説明

ドラッグデリバリーシステム

主題発明は、(i)薬物を充填した熱可塑性のポリマーコア層、(ii)薬物を充填した熱可塑性のポリマー中間層、および(iii)中間層を被覆する、非薬物処理の熱可塑性のポリマースキンを含み、前記コア層は第1の(薬学的に)有効な化合物の結晶で充填されており、前記中間層は第2の(薬学的に)有効な化合物の結晶で充填されている、少なくとも1つのコンパートメントを含むドラッグデリバリーシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、特に女性の避妊、ホルモン補充療法、卵巣機能の制御などの生殖医薬の分野に関する。
【0002】
本発明は、2つまたはそれを超える有効物質を同時に放出するためのドラッグデリバリーシステム(デバイス)に関し、このシステムは長期間にわたって実質的に一定の割合で有効物質を放出する。ドラッグデリバリーシステムは、埋め込み、子宮内システム(IUS)、らせんコイル、バネなどの様々な形態であってよく、特にリング型の膣のドラッグデリバリーシステムである。本発明が膣内使用のためのドラッグデリバリー物品に関する場合、その使用は、避妊およびホルモン補充療法などの女性の医学的適応に典型的に焦点があてられる。一実施形態において、本発明による物品は、特にリングの形態であり、これを以降膣リングと呼ぶ。
【背景技術】
【0003】
膣リングは知られている。この点における背景技術は、以下の特許文献を含む。
【0004】
米国特許第3,995,633号および米国特許第3,995,634号は、特別に作成されたホルダー中に構築されている、様々な有効物質を含む、別々の、好ましくは球状または円柱状のレザバーを記載している。
【0005】
米国特許第4,237,885号は、チューブ中に提供される複数の「スペーサー」によって部分に分けられ、その後、別々のチューブ部分の各々がシリコーン液体中の様々な有効物質で満たされ、チューブの2つの末端が実質的に相互に接続されているポリマー材料のチューブまたはコイルを記載している。しかし、この放出システムにおいて、一方のレザバーから他のレザバーへの有効材料の輸送(拡散)は、問題の有効物質間の予め設定した固定の放出比率が経時的に変化するように、チューブの壁を通して、特に長期間の貯蔵時に起こる。
【0006】
欧州特許公開第0,050,867号、好ましくはシリコーンエラストマーの2層によって覆われており、内側層が有効物質で充填されたシリコーンエラストマーである、薬学的に許容できる支持リングを含む2層の膣リングを開示している。
【0007】
米国特許第4,292,965号は、シリコーンエラストマーから作られた3層のリング型の膣デリバリーシステムを記載している。
【0008】
米国特許第4,596,576号は、各コンパートメントが異なる有効物質を含んでいる2コンパートメントの膣リングを記載している。異なる有効物質間で一定の放出比率を有する適切なリングを実現するために、コンパートメントの終端部分はガラス製ストッパーによって接続されている。
【0009】
国際公開WO97/02015は、2コンパートメントの装置を開示しており、第1のコンパートメントはコア、薬物処理の中間層、および非薬物処理の外側層からなり、第2のコンパートメントは薬物処理のコアおよび非薬物処理の外側層からなる。
【0010】
EP876815は、プロゲストゲン様ステロイド化合物およびエストロゲン様ステロイド化合物を、固定の生理学的比率において長期間にわたって同時放出するようにデザインされている膣リング(Nuvaring(登録商標))を開示している。ドラッグデリバリーシステムは、プロゲストゲン様化合物およびエストロゲン様化合物の混合物を含む熱可塑性のポリマーコア、ならびに熱可塑性のポリマースキンを含む1つのコンパートメントを含んでおり、プロゲストゲン様化合物は比較的低い程度の過飽和においてポリマーコア材料中に最初に溶解される。
【0011】
国際公開WO2004/103336は、薬物充填した熱可塑性のポリマーコア、薬物充填した熱可塑性のポリマー中間層、および中間層を覆う非薬物処理の熱可塑性のポリマースキンからなる、少なくとも1つのコンパートメントを含むドラッグデリバリーシステムを記載している。中間層は、溶解した形態におけるプロゲストゲン様化合物およびエストロゲン様化合物の結晶で充填されている。コアは溶解した形態におけるエストロゲン様化合物で充填されている。
【0012】
国際公開WO2005/089723は、1つのコンパートメントが、プロゲストゲン様化合物が25℃で飽和レベル未満の濃度まで溶解しているコアを含んでいる、1つまたは複数のコンパートメントを有するリングを開示している。コアは、エストロゲン様化合物も含んでいる。コンパートメントは、プロゲストゲン様化合物およびエストロゲン様化合物両方に透過性であるスキンをさらに含んでいる。
【0013】
上記の開示より、例えば、材料、層、およびコンパートメントは、リング装置の開発において役割を果たす全ての態様であることが明らかである。
【0014】
通常、2つまたはそれを超える有効物質が関与する場合に複雑になる一定の放出パターンを得ることを意図して、全ての選択がなされる。後者は避妊の分野において特に重要であり、この目的に関してプロゲストゲンおよびエストロゲンの組合せがしばしば用いられ、この放出パターンが避妊効果をもたらさなければならない。ホルモン補充療法においても、薬物の組合せを送達するリングを有することが望ましいことがある。
【0015】
上記の開示の中で、EP876815、WO2005/089723、およびWO2004/103336は明らかに標準を設定しており、これらは1−コンパートメントのリングデザインに関与し、エチレン酢酸ビニル(EVA)の組合せを用いることによってシラスティックポリマーに対する必要性を除去し、これらは2つまたはそれを超える有効物質をお互いに実質的に一定の速度で長期間にわたって放出する。
【0016】
しかし、常に任意の技術製品として、後者はまた依然として改善され得る。EP876815、WO2005/089723、およびWO2004/103336に記載されているドラッグデリバリー装置は、有効化合物が全て溶解した状態において存在し(EP876815およびWO2005/089723)、または1つ以外の有効化合物が全て溶解した状態において存在する(WO2004/103336)ことを必要としている。この必要条件は、ポリマーマトリックス中に充填され得る薬物の量を厳しく制限する。薬物濃度の、ある臨界の閾値を超えた増大は、ポリマーマトリックス中の薬物の結晶化を必ずもたらす(J.van Laarhovenら、Journal of Controlled Release、82巻、2002年、309−317頁)。したがって、EP876815、WO2005/089723およびWO2004/103336の両方において開示されているドラッグデリバリーシステムは、両方とも固体状態において存在する2つの薬学的に有効な化合物を用いる場合は適切ではない。これは、有効化合物が、EVAポリマーなど、用いられるポリマーにおいて比較的溶解性の劣る場合に、および/または必要とされる放出パターンを得るためにポリマーマトリックスにおいて比較的高い薬物の充填を必要とする場合に起こり得る。両方の薬物物質が結晶の形態において存在する場合は、両方の化合物の溶解濃度は、各化合物の飽和濃度の定義による。したがって、これらの濃度はこれらの飽和濃度に等しいままであるので、このような薬学的に有効な化合物の1つの放出速度を、有効化合物の濃度を変化させることによって他者から独立して調節することは可能ではない。スキンの厚さの変動も、スキンの厚さの増大または低減は同じ方向における両方の化合物の放出に影響を及ぼすので、他者から独立に、このような薬学的に有効な化合物の1つの放出速度の調節には寄与しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,995,633号明細書
【特許文献2】米国特許第3,995,634号明細書
【特許文献3】米国特許第4,237,885号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0,050,867号明細書
【特許文献5】米国特許第4,292,965号明細書
【特許文献6】米国特許第4,596,576号明細書
【特許文献7】国際公開第97/02015号
【特許文献8】欧州特許出願公開第876815号明細書
【特許文献9】国際公開第2004/103336号
【特許文献10】国際公開第2005/089723号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】J.van Laarhovenら、Journal of Controlled Release、82巻、2002年、309−317頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって本発明の目的は、固体状態において部分的に存在し、溶解状態において部分的に存在する2つの化合物の放出速度が、互いに独立に制御され得るドラッグデリバリーシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
この問題は、(i)薬物充填した熱可塑性のポリマーコア層、(ii)薬物充填した熱可塑性のポリマー中間層、および(iii)中間層を被覆する、非薬物処理の熱可塑性のポリマースキンを含み、前記コア層は第1の化合物、特に薬学的に有効な化合物の結晶で充填されており、前記中間層は第2の化合物、特に薬学的に有効な化合物の結晶で充填されている、少なくとも1つのコンパートメントを含むドラッグデリバリーシステムによって本発明により解決される。
【0021】
本発明の第1の実施形態において、コア層がドラッグデリバリーシステムのコアを形成する。代替の一実施形態において、ドラッグデリバリーシステムは、コア層によって覆われているさらなる非薬物処理のコアを含む。
【0022】
本発明によるドラッグデリバリーシステムは、先に述べたコア層、中間層、およびスキン層以外にさらなる層も含むことができる。層は、デリバリーシステムを成形するのに用いられる3軸または多軸のファイバーを形成する。デリバリーシステムは、リング、埋め込み、子宮内システム(IUS)、らせんコイル、またはバネの形態を有することができる。
【0023】
本発明のドラッグデリバリーシステムは、単一コンパートメントシステムであるのが好ましく、これはシステム全体が、同じタイプの薬物を充填したレザバー、例えばファイバーから作られている同じセグメントからなることを意味する。ファイバーは、少なくとも2つの層が結晶形態の有効成分で充填されている、3、4またはそれを超える層からなることができる。
【0024】
したがって主題のドラッグデリバリーシステムは、例えばEVAポリマー中の溶解性が比較的劣り、および/または望ましい放出プロファイルを得るためにポリマーマトリックス中に比較的高い薬物の充填を必要とするためにポリマー中に結晶状態で存在する2つの有効化合物、特に薬学的に有効な化合物の放出速度を、互いに独立に調節するのを可能にするので、上記の問題を解決する。
【0025】
本発明は、少なくとも3つの同軸性の層からなるファイバーから形成されるドラッグデリバリーシステムに関する。外側層は非薬物処理であるが、少なくとも2つの内側の層は結晶形態である薬物で充填されている。
【0026】
図14は、ドラッグデリバリーシステムが、コアおよび中間のシェルがそれぞれ有効化合物AおよびBで充填されている3層からなる本発明の実施形態を説明するものである。有効化合物(「有効AおよびB」)は両方ともそれらの飽和濃度を超えて充填されており、両方とも結晶状態において部分的に存在している。
【0027】
デリバリーシステムの製造直後、内部拡散が有効化合物の再分配をもたらし始める。有効AおよびBの画分は、飽和濃度が達成するまでポリマー中に溶解し、同時の内部拡散が内部の濃度勾配を一様にする。内部の濃度差の均一性をもたらす拡散プロセスは、図15において有効Aに対して視覚化される。時間点t8は、システムが平衡に到達する瞬間に相当する。
【0028】
しかし、結晶状態において存在する有効AおよびBの画分は拡散せず、したがってシステムにおいて再分配しない。したがって、有効AおよびBの結晶は、製造中にそれらが最初に充填されたコアおよび中間シェル中に留まる。有効AおよびBの結晶のこの空間的な分離は、図16に図示されるこれらの化合物のための別々の拡散経路をもたらす。ドラッグデリバリー装置が、インビトロまたはインビボのいずれかで媒体中に挿入されると、外部拡散が直ちに起こり始める。移行相において、化合物AおよびBの溶解した部分は、装置の表面近く、システムの外に非常にすみやかに拡散し、最初のバーストをもたらす。同時に最初の濃度勾配が発生し始め、定常状態の状況は図16において図示される。
【0029】
理論によって拘泥されるものではないが、放出の間、有効Aのコア中の濃度は飽和濃度に等しいままであり、または非常に近いままであることが予想される。コアの外への外部拡散は、コア中の濃度の局所的な低減をもたらし、これはコアを通して分散された結晶がポリマーマトリックス中に溶解する推進力をもたらす。したがって、溶解した有効Aの濃度の拡散による低減は、溶解していく結晶によって直ちに釣り合いがとられ、濃度勾配が中間およびスキン両方にわたって発生する。
【0030】
類似の議論に基づくと、有効Bは、スキンにわたるだけの濃度勾配を発生することが予想される。したがって、定常状態において有効Aおよび有効Bに対する拡散距離は異なり、寸法における変動、ならびに/またはスキンおよび中間層の組成は、絶対的な放出速度、ならびに有効AおよびBがシステムによって放出される比率を調整する手段を提供する。
【0031】
したがって、主題発明は、そこから2つの有効化合物、特に薬学的に有効な化合物が、互いに独立に放出され得る、3層のデザインのドラッグデリバリーシステムを提供する。本発明は、熱可塑性ポリマー(例えばEVAポリマー)中の溶解性が比較的劣り、望ましい放出パターンを得るためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とし、したがって必然的にポリマーマトリックスにおいてその固体の(結晶の)形態において存在する、薬学的に有効な2つの化合物の同時の放出に特に有用である。
【0032】
主題発明の別の一目的は、ドラッグデリバリーシステムにおいて用いられる薬物物質の有効性を増大し、用いられるシステムにおける残余の薬物含量を最小にすることである。
【0033】
本発明の別の態様によって、本発明は、本発明のドラッグデリバリーシステム、特に膣リングを利用する避妊の方法を提供する。
【0034】
本発明のさらに別の態様によって、本発明は、本発明のドラッグデリバリーシステム、特に膣リングを利用するホルモン補充療法の方法を提供する。
【0035】
別の一実施形態によって、避妊、および性感染症の処置または予防を同時に提供する方法が提供される。
【0036】
本発明の別の一態様によって、本発明の3層のドラッグデリバリーシステムを製造する方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】実施例において記載した、変形Aの3層のファイバーの断面図を示す図である。
【図1B】実施例において記載した、変形Bの3層のファイバーの断面図を示す図である。
【図1C】実施例において記載した、変形Cの3層のファイバーの断面図を示す図である。
【図2】変形A1−A4のリングデザインの、酢酸ノメゲストロール(以降NOMAcと呼ぶ)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図3】変形A1−A4のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図4】変形B1およびB2のリングデザインの、NOMAcおよびエストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図5A】変形B3−B6のリングデザインの、NOMAcのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図5B】変形B7−B11のリングデザインの、NOMAcのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図6A】変形B3−B6のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図6B】変形B7−B11のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図7】変形C1−C4のリングデザインの、NOMAcのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図8】変形C1−C4のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図9】変形C5−C7のリングデザインの、NOMAcのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図10】変形C5−C7のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図11】変形B3のリングデザインの、NOMACのインビトロの放出プロファイルからの、薬物物質の効率を計算するために用いた枯渇ポイントの測定を示すグラフである。
【図12】変形C5のリングデザインの、エストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルからの、薬物物質の効率を計算するために用いた、枯渇ポイントの測定を示すグラフである。
【図13】溶解したステロイドだけを含む2層のシステムの放出プロファイルに対する、エトノゲストレルの濃度変化の影響を示すグラフである(NuvaRing(登録商標)および国際公開第2005/089723に記載されているリング)。
【図14】3層のファイバーの断面図を示す図である。
【図15】図14におけるファイバーの内部濃度勾配の再分配および均一化を示すグラフである。
【図16】定常状態条件下での完全に発生した濃度勾配を示す図である。
【図17】変形D1−D3のリングデザインのドロスペリノン(DPN)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図18】変形D1−D3のリングデザインのエストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図19】変形F1−F3のリングデザインのレボノゲストレル(LNG)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図20】変形F1−F3のリングデザインのエストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図21】変形G1−G3のリングデザインのエトノゲストレル(ETO)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図22】変形G1−G3のリングデザインのエストラジオール(E2)のインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図23】リスペリドンも含む3層のリング装置からのミルタザピンのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図24】ミルタザピンも含む3層のリング装置からのリスペリドンのインビトロの放出プロファイルを示すグラフである。
【図25】薬物充填したコア層(濃灰色)、薬物充填した中間層(淡灰色)、および非薬物処理のスキン(白色)によって覆われた非薬物処理のコア層(白色)を含むシステムを示す図である。
【図26】薬物充填したコア層(濃灰色)、非薬物処理の中間層(白色)、薬物充填した中間層(淡灰色)、および非薬物処理のスキン(白色)からなるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
主題発明は、(i)ポリマーベースのコア層、(ii)ポリマーベースの中間層、および(iii)中間層を被覆するポリマーベースのスキンの3層からなる、少なくとも1つのコンパートメントを含むドラッグデリバリーシステムを提供し、前記コア層は第1の薬学的な化合物(薬物または有効)の結晶を含み、前記ポリマー中間層は第2の薬学的な化合物の結晶を含む。
【0039】
本発明の第1の実施形態において、コア層がドラッグデリバリーシステムのコアを形成する。代替の一実施形態において、ドラッグデリバリーシステムは、コア層によって被覆されているさらなる非薬物処理のコアを含む。
【0040】
したがって、製造の間、薬物の結晶は単一の層中に分散されないが、有効AおよびBの結晶は2つの別々の相中に分散される。有効AおよびBの画分は、飽和濃度に到達するまで、および同時の内部拡散が内部の濃度勾配を均一にするまでポリマー中に溶解する。有効化合物AおよびBの結晶は不動であり、したがって有効AおよびBの結晶は、それらが最初に充填された層中に空間的に分離されたままである。
【0041】
2つの有効化合物の同時の放出が意図されるドラッグデリバリーシステムの放出の動力学は、2つの本質的な属性、すなわち2つの化合物がデリバリーシステムから放出される絶対速度およびこれらの化合物が放出される相互の比率によって特徴付けられる。有効AおよびBのデリバリーシステムからの絶対的な放出速度は、スキンの厚さを調節することによって調整され得る。しかし、これらの化合物が放出される比率は、スキンの厚さの変動によって本質的に影響を受けないままである、というのはスキンの厚さを調節することが化合物AおよびBの拡散経路に等しく影響を及ぼすからである。
【0042】
同じコンパートメントからの2つの化合物を独立に放出調整するのが知られている溶液(EP876815、WO2005/089723およびWO2004/103336)は、少なくとも1つの化合物がデリバリーシステム中に完全に溶解するという属性にこれらの溶液が基づいているので、適切ではない。明らかにこれは、両方が結晶形態において部分的に存在する2つの有効を含む目的の発明によるシステムの場合に当てはまらない。この理由から、相互の放出比率を調節するための新しい、代替のメカニズムが企図されなければならなかった。
【0043】
新しい概念において、同じコンパートメントからの2つの有効の放出の独立の調節は、有効AおよびBに対する別々の拡散経路を作成することによって達成される。この目的で、AおよびBは、2つの別々の層における同じコンパートメント中に充填される。有効化合物AおよびBの結晶がそれぞれコア層および中間層に充填されたデリバリーシステムにおいて、化合物Aは中間層およびスキンの両方にわたって濃度勾配を発生し、有効Bはスキンのみにわたって濃度勾配を発生する。化合物AおよびBの異なる拡散距離は、システムからこれらの化合物が放出される比率を独立に調節する手段を提供する。
【0044】
コア層中に充填された化合物の拡散距離は、中間層の厚さを変えることによって調節され得る。したがって、中間層の厚さを変えることにより、中間層の厚さを低減または増大することによってコア層中に充填された化合物の放出速度は上または下に調整され得る。しかし、中間層中に充填された化合物の拡散経路は、本質的に変化しないままであり、したがって放出速度も本質的に無影響のままである。したがってコア層中に充填された薬物化合物の放出速度は、中間層中に充填された薬物化合物の放出速度に影響を及ぼさずに変更され得、したがって放出の比率は望ましい比率に向かって調節され得る。望ましい放出比率が得られた後は、絶対的な放出速度は、スキンの正しい厚さを選択することによって調節され得る。
【0045】
放出比率を徹底的に変更するための別の可能性は、コア層および中間層中の薬物充填を逆転することである。コア層中に有効Aを、中間層中にBを充填する代わりに、Bがコア層中に充填されAが中間層中に充填されてもよい。放出比率を調整するさらなる手段は、中間層に用いられる異なるポリマーグレードを利用することである。
【0046】
コア層中に充填された薬物の拡散経路は、中間層およびスキンを通すものである。しかし、中間層の組成は一定ではない。使用またはインビトロの放出試験の間、中間層中に充填された固体粒子のサイズおよび濃度は徐々に低減して最初の含量および粒子サイズの画分になる。驚くべきことに、様々な組成の層を通して拡散する、コア中に充填された薬物化合物の放出速度は、殆ど影響を受けず、本質的にゼロオーダーのままであることが見出された。
【0047】
本発明の別の一目的は、効率の増大したドラッグデリバリーシステムであり、これは使用後のシステムにおける残留の薬物含量がより低いことを意味する。本発明のデリバリーシステムにおける薬物Aおよび薬物B両方の使用後の残存含量は、公表されている量の10 20−40重量%未満に制限され得る。これは、溶解した形態のみの薬物を含む先行技術のデリバリーシステム(EP876815、NuvaRing(登録商標)およびWO2005/089723)、または少なくとも1つの完全に溶解した有効を含むシステム(WO2004/103336)に比べて、非常に際立った改善である。例えば、NuvaRing(登録商標)における使用後の残留の薬物含量は、エトノゲストレルおよびエチニルエストラジオールに対してそれぞれ約78重量%および88重量%である。WO2004/103336において記載されている3層のリングに対して、(完全に)溶解している化合物の薬物の実質的な効率は、NuvaRing(登録商標)に比べて改善されていない。
【0048】
理論によって拘泥されるものではないが、目的の発明によるデリバリーシステムの効率の改善は、デリバリーシステムにおける安定化された濃度勾配に関して理解され得る。新しいデリバリーシステムは両方の化合物の結晶を含み、したがってシステムの外への拡散による両方の薬物の溶解濃度の低減は、溶解しようとする結晶によって釣り合いがとられる。これは、(半)定常状態の放出の間の濃度勾配は、結晶の溶解速度がシステムの外への薬物の輸送と協同する限り、本質的に一定のままであることを意味する。
【0049】
主題発明のこの新奇な3層のドラッグデリバリーシステムの本質は、主題発明において用いられる化合物は熱可塑性ポリマーにおける溶解性が比較的劣り、ならびに/または望ましい放出比率および/もしくは放出速度を得るためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とし、したがって必然的に結晶状態において存在するので、これらがポリマーマトリックス中に両方ともその固体の(結晶の)状態において存在するという事実に関わらず、2つの薬学的に有効な化合物の放出速度を互いに独立に調節する可能性を提供することにある。
【0050】
ファイバーは3層からなることができるが、1つまたは複数のさらなる層も含んでもよい。さらなる層の一例は、薬物処理したコア層によって覆われている非薬物処理のコアであってよい。非薬物処理のコアは、ドラッグデリバリーシステムの効率にとって有利であり得る。コアは、ファイバーにその予め決定された厚さを与えるように主に作用し、これはコアが大容量を含むことを意味する。大型のコアのレザバー(3層のデザインにおける)は、結晶の材料が存在し、存在したままであるようなレベルの薬物物質を含んでいなければならない。これは非常に過量の薬物物質が必要とされることを意味し得る。さらなる非薬物処理のコア(第4層)が存在する場合、薬物処理された内側の層は、放出速度をもたらさずに、より高い濃度の薬物物質を含まなければならない。このより高い濃度のため、平均の拡散経路はより短く、放出速度はより一定であり得る。このように放出のプロファイルに著しく影響を及ぼすことなしに、薬物物質のより高い効率が達成され得る。
【0051】
別の一実施形態において、さらなる層が薬物処理した層の間に含まれることがある。これは、コア層および中間のシェル中に充填された化合物の拡散経路を区別するさらなる手段として用いられ得る。
【0052】
本発明によると、少なくとも2つの層が薬物処理され、これらの層中の有効化合物が固体状態において少なくとも部分的に存在するのであれば、様々な他の立体配置が可能である。
【0053】
主題発明のドラッグデリバリーシステムは、任意の哺乳動物、特にメスの哺乳動物において用いられ得る。特定の一実施形態において、哺乳動物はヒトの女性である。
【0054】
本発明のドラッグデリバリーシステムは、薬物処理されたコア層、薬物処理された中間層および非薬物処理のスキンを含む、多層または3層のファイバーから作られている様々な形態において提供され得る。コア層はコアであってよく、または非薬物処理のコアを覆っていてよい。適切な形態は、実質的にリング型の形態、桿状体、T型などを含む。
【0055】
「実質的にリング型の形態」の語は、リング型の装置の他に、膣投与に好適である任意の他の本質的にリング型の構造、例えば、らせんコイル型スパイラルおよび回旋状の表面を有するリング装置などを包含すると理解されるべきである。埋め込みは通常桿状の形態を有し、子宮内システムは通常T型である。
【0056】
望ましい放出の比率は、それだけには限定されないが、避妊またはホルモン補充療法など、主題発明のドラッグデリバリー装置で用いられることが求められる徴候に依存する。
【0057】
主題発明のドラッグデリバリーシステムにおいて用いられるファイバーの提供は、(1)ファイバーのコアに固体の(結晶の)形態の第1の(薬学的に)有効な化合物を充填し、(2)ファイバーの中間層に固体の形態の第2の薬学的に有効な化合物を充填し、それによって、両方の化合物が物理的に分離され、2つの別々な層中、すなわちコアおよび中間層中にその固体の形態において存在するファイバーを提供することによって達成される。両方の薬学的に有効な化合物の溶解した部分は、平衡がひとたび達成されたら、全ての層におけるファイバー全てにわたって存在する。両方の薬物物質の固体部分は分離したままである。
【0058】
主題発明の詳しい一実施形態において、(薬学的に)有効な化合物は、EVAポリマーなどの熱可塑性ポリマーにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出比率を得るためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とする。本発明のより詳しい一実施形態において、薬学的に有効な化合物は両方ともステロイドである。
【0059】
しかし、本発明は、同時に、および特定の比率において投与される必要がある他の有効化合物を放出するのに用いられ得る。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態の一例として、以下の一節は膣リングおよびステロイドを意味するが、非ステロイド化合物および他の形態のドラッグデリバリーシステムも、主題発明によってやはり企図される。
【0061】
リングからのステロイドの放出は、ポリマー中のステロイドの溶解性および拡散係数によって影響を受ける。ポリマーマトリックスにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出パターンを得るためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とするステロイドの特定の場合において、ステロイドはその固体の形態においてマトリックス中に組み入れられ、飽和が達成されるまでポリマーマトリックス中に溶解する。このようなシステムにおいて溶解される濃度は自由に選択され得ないが、飽和濃度に等しい。
【0062】
したがって、ステロイドの充填は、放出を望ましい速度に調節するのに用いられ得ない、というのは、ステロイド濃度は飽和濃度と等しいままであるので、ステロイドの充填を変化させても溶解したステロイド濃度をより高くも、またはより低くもしないからである。スキンの厚さの増大または低減は、一般に、同方向における両方の化合物の放出に影響を及ぼすので、スキンの厚さを変化させても、互いに独立に1つを超えるこのような薬学的に活性な化合物の放出速度の調節には限られた寄与しかしない。
【0063】
リングがシンク中に入れられた後、ステロイドはリングの外へ拡散し始め、ポリマーマトリックス中に溶解したステロイドの濃度はわずかに低下する。その結果、固体のステロイドが溶解し始める。このように、リングの外側への拡散的な輸送による濃度勾配の低下は、固体の形態において存在するステロイドの溶解によって釣り合いがとられる。
【0064】
したがって、本発明の3層の膣リングの概念は、(1)EVAポリマーにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出プロファイルを達成するためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とする第1のステロイド(A)でコアを充填し、(2)EVAポリマーにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出プロファイルを達成するためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とする第2のステロイド(B)で中間層を充填することである。このように、化合物Aおよび化合物Bの両方が、固体状態におけるポリマーマトリックス中に存在する。
【0065】
理解されるように、ステロイドAおよびステロイドBの望ましい放出速度は、2つの別々の層に化合物を別々に配置することによって得られる。放出速度は、EVAポリマー中間層の厚さを変化させることによって、および/またはグレードを変化させることによってさらに調節され得る。
【0066】
本発明の3層の膣リングは、化合物Aおよび化合物Bの平均放出速度の間の異なる比率をもたらすようにデザインされ得る。ステロイド化合物の平均放出速度間の比率は、化合物の位置を変化させることによって、すなわち化合物Aをコア中に、化合物Bを中間層に充填することによって、またはその逆によって、影響を受けることがある。放出の比率は、中間層の厚さを変えることによって、および/または中間層ポリマーのグレードを変えることによってさらに調節され得る。
【0067】
さらに2つの化合物をある種の予め設定された放出の規格に向かって同時に放出することを意図したリングの最適化は、2つの薬物化合物(AおよびB)が放出される相対的比率を調節する可能性および化合物が毎日放出される絶対的速度を調整する可能性の両方を必要とする。
【0068】
一方、ポリマーマトリックスにおける溶解性が比較的低い両方のステロイドを一緒に、比較的高い単一の層中(すなわち、中間層中またはコア中)に充填し、したがって両方がその固体(結晶)状態において存在する場合、放出速度はポリマーマトリックスにおけるステロイドの溶解性および拡散率によって主に支配される。このような場合、全くの偶然だけによって望ましい放出の比率が得られる。
【0069】
主題発明の膣リングは、共押出しおよび/またはブレンド押出しなど、押出しの知られているプロセスによって製造され得る。薬物充填したコア、薬物充填した中間層、および非薬物処理の外側層が、全て共押出しされる。このようにして得られたファイバーは必要とされる長さの片に切断され、各片は、任意の適切なやり方においてリング型の装置に構築される。次いで、リングは、場合により滅菌または消毒された後、例えば適切なサシェ中に包装される。
【0070】
主題発明の膣リングは、多段階の射出成形を用いることによっても製造され得る(Woolfsonら(1999年)、J of Contr.Release、61巻、319−328頁;Malcolmら(2003年)、J.Contr.Release、91巻、355−364頁;Woolfsonら(2003年)、J.Contr.Release、91巻、465−476頁)。
【0071】
本発明を実施する上で用いられ得る熱可塑性のポリマーは、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エーテルウレタン)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーおよびポリシロキサンなど、原理上、薬剤上の使用に適する任意の熱可塑性のポリマーまたはエラストマー材料であってよい。詳しい一実施形態において、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(ポリEVA)が、その優れた機械的および物理的性質のために用いられる。ポリEVA材料はコア、中間層、およびスキンに用いられることがあり、Elvax、Evatane、Lupolen、Movriton、Ultrathene、AtevaおよびVestyparの商品名の下に入手できる製品など、任意の市販のエチレン−酢酸ビニルコポリマーであってよい。
【0072】
一実施形態において、コアおよび中間層は両方とも、同じポリマーグレードから作られている。別の一実施形態において、コアおよび中間層は同じポリマーグレードから作られていない。コアおよび中間層に対して異なるポリマーグレードを選ぶことは、ドラッグデリバリーシステムからの薬物化合物の放出速度を調節する手段を提供し、本発明のシステムの柔軟性の微調整を可能にする。
【0073】
本発明による膣リングは、所望により任意のサイズにおいて製造され得る。同様のことが他の形状に当てはまる。
【0074】
一実施形態において、リングは50mmと60mmの間の、別の一実施形態において52mmと56mmの間の外径(外側の外周)を有し、横断面の直径は約2.5mmと6.0mmの間であり、一つの詳しい実施形態において約3.0mmと4.5mmの間であり、別の一実施形態において約3.5mmと4.0mmの間であり、さらに別の一実施形態において膣リングの横断面の直径は4.0mmである。
【0075】
埋め込みは、適切には長さ1cmから6cmおよび直径1−4mmを有し、好ましくは長さ1−5cm直径1−3mm、より好ましくは長さ2−5cmおよび横断面の直径1.5mmから2.5mmを有する。
【0076】
子宮内システム(IUS)は薬物処理した子宮内装置である。これらは様々な形状をとることができる。一実施形態において、ホルモンを充填した部分は、本発明によるファイバーからなる。さらなる一実施形態において、システムはt型である。次いで、ホルモンが、システムの軸および/またはアーム中に充填され得る。さらに、このような子宮内システムは、ホルモンを充填したファイバーを含む担体を含むことができる。
【0077】
IUSの薬物レザバーの寸法は、長さ1から3.6cmの間で直径1から4.5mm、好ましくは長さ1から3.6cmおよび直径1.5から3.5mm、より好ましくは長さ2から3.6cmおよび直径1.5から2.5mm、さらにより好ましくは長さ2.5から3.1mmおよび直径2.0から2.3mmで通常変化する。Tのいずれかまたは両方の部分が薬物処理されていてよい。
【0078】
本発明の別の一目的は、膣リングなどのドラッグデリバリーシステムにおいて用いられる薬物物質の効率を増大すること、および用いられるシステムにおける残留の薬物含量を最小にすることである。使用後の本発明のリングシステムにおける薬物Aおよび薬物B両方の残留の含量は、充填された量の約45重量%またはそれ未満に最小化され得る。詳しくは、約20−35重量%に低減され得る。
【0079】
主題発明の一目的は、中間層および/またはコアが、例えば避妊またはホルモン補充のためのステロイドの他に、例えば、HIV、ヘルペス、クラミジアおよび淋病などの性感染症(STD)を同時に処置および/または予防するための抗微生物薬も含む、改善された膣リングを提供することでもある。
【0080】
主題発明のリングの実施形態において、膣リングのデザイン(物理的寸法)が対象のヒトまたは動物に対して不都合をもたらさなければ、実質的にリング型の形態のいくつか(例えば螺旋コイル状のスパイラル)では著しく大きな表面が可能ではあるが、ボディの表面(リングの外側表面)は800mmを超え、別の一実施形態において1000mmを超え、典型的には1700−2200mmのオーダーである。
【0081】
プラセボのコンパートメントまたは1つもしくはそれを超える他の薬物で充填されたコンパートメントである、第2のコンパートメントを加えることが時には必要とされることもある。このような余分なコンパートメントは、ステロイドの他に、AIDS、クラミジア、ヘルペスおよび淋病などのSTDを処置ならびに/または予防するための抗微生物薬を投与するのに必要であり得る。
【0082】
任意の抗微生物薬が、主題発明のドラッグデリバリーシステム、特に膣リング(中間層中および/またはコア中および/またはさらなるコンパートメント中)中に組み入れられ得る。抗微生物薬は、任意の抗細菌薬、例えば、任意の抗生物質、任意の抗ウイルス薬、任意の抗真菌薬、または任意の抗原虫薬であってよい。主題発明の膣リング中に組み入れられることが企図される抗微生物薬の一例は、マンデル酸縮合ポリマーである(Zanefeldら(2002年)、Fertility and Sterility、78巻(5)、1107−1115頁)。別の一例はダピビリン(4−[[4−[2,4,6−トリメチルフェニル]アミノ−2−ピリミジニル]アミノ]ベンゾニトリル)である。
【0083】
本発明による膣リングおよび他の全てのドラッグデリバリーシステムは、物理的に安定である。
【0084】
本明細書で用いられる、物理的に安定なドラッグデリバリーシステム(リングなど)は、少なくとも約半年から1年間、約18℃−40℃で、膣リングのスキンの表面上にステロイド結晶の形成なしに貯蔵され得るシステムである。
【0085】
本発明による膣リングは、避妊に使用するために主にデザインされているが、リングは、HRT(ホルモン補充療法)、卵巣機能の調節などのある種の条件下でも用いられてよい。埋め込みも避妊に使用するのに適しており、これらは取り入れスケジュールを毎日、毎週、または毎月遵守する必要なしに数年間体内に留まることができるのでさらにより便利であり得る。
【0086】
本発明のドラッグデリバリーシステム、特に膣リングは、同時に避妊を提供し、微生物性疾患に抗うためにも使われ得る。処置されるべき、および/または予防されるべき微生物感染症は、任意の細菌性の、ウイルス性の、真菌性の、または原虫性の感染症であってよい。詳しくは、HIV、クラミジア、淋病またはヘルペスなどの性感染症は、抗微生物薬を主題発明のシステム中に組み入れることによって処置され得る。
【0087】
本発明のさらなる一目的は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および長期間膣路内にシステムを保持するステップを含む、避妊方法を提供することである。埋め込みは膣路内に配置されないが、例えば腕において、皮下的に導入される。したがって、埋め込みでの避妊の方法は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性において皮下的に配置するステップ、および長期間女性の中にシステムを保持するステップを含む。
【0088】
本明細書で用いられる、リング型のシステムに対する「長期間」は、約7日から約365日までの任意の時間であってよい。一実施形態において、期間は約21日である。別の一実施形態において、期間は約24日である。なおさらなる一実施形態において、期間はカレンダーの月に対応し、特定のカレンダーの月および望ましいリングフリーの期間(一般に0日から最大7日の範囲である)に応じて、22、23、24、25、26、27、28、29、30または31日のいずれかである。
【0089】
他の実施形態において、期間は約7、14、22、23、25、26、27、28、29、30、31、42、48、59、60、61、62、63、72、84、90、91、92、96、105、120、126、I44、147、151、152、153、168、181、182、184、189、192、210、212、213、214、216、231、240、252、264、273、274、288、294、304、305、312、315、334、335、336、357、360、365または366日である。
【0090】
埋め込みに対して、「長期間」はさらに長く、7日から5年、特に7日から1年、または7日から2年、または7日から3年、または7日から4年、または7日から5年の間で変化し得る。
【0091】
IUSに対して、「長期間」は、7日と5年の間、特に7日から1年、または7日から2年、または7日から3年、または7日から4年、または7日から5年で変化することができる。
【0092】
膣路における使用に対して、本発明のドラッグデリバリー装置は、特にリング型、例えば、リング、らせんコイルおよびバネ、またはT型、特にIUSである。埋め込みは、特に腕において、皮下的に用いられる。
【0093】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約21日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、避妊の方法をさらに提供する。
【0094】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約24日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、避妊の方法をさらに提供する。
【0095】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約28日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、避妊の方法をさらに提供する。
【0096】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくともおよそカレンダーの1ヶ月(カレンダーの月に応じて28日から31日まで変化する)膣路内にシステムを保持するステップを含む、避妊の方法をさらに提供する。
【0097】
主題発明の別の一目的は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約21日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、同時に避妊を提供し、性感染症を処置または予防する方法を提供することである。
【0098】
主題発明の別の一目的は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約24日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、同時に避妊を提供し、性感染症を処置または予防する方法を提供することである。
【0099】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくとも約28日間膣路内にシステムを保持するステップを含む、同時に避妊を提供し、性感染症を処置または予防する方法をさらに提供する。
【0100】
本発明は、主題発明のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および少なくともおよそカレンダーの1ヶ月(カレンダーの月に応じて28日から31日まで変化する)膣路内にシステムを保持するステップを含む、同時に避妊を提供し、性感染症を処置または予防する方法をさらに提供する。
【0101】
一実施形態において、ドラッグデリバリーシステム、特に膣リング、または膣路中に配置される任意の他の実質質的にリング型の形態は、約21日後におよそ1週間の期間除去されて月経の機会を与える。別の一実施形態において、ドラッグデリバリーシステムは、約24日後におよそ4日の期間除去されて月経の機会を与える。
【0102】
他の実施形態において、ドラッグデリバリーシステムは、約22、23、25、26、27、28、29、30、31、42、48、59、60、61、62、63、72、84、90、91、92、96、105、120、126、144、147、151、152、153、168、181、182、184、189、192、210、212、213、214、216、231、240、252、264、273、274、288、294、304、305、312、315、334、335、336、357、360、365または366日後にある期間除去されて月経の機会を与える。月経を可能にする期間の後、主題発明の新しいドラッグデリバリーシステムが女性の膣中に挿入されて、次の女性のサイクルまたは複数のサイクルにおける避妊を提供する。
【0103】
他の実施形態において、ドラッグデリバリーシステムは月経の機会を与える期間を許さずにすぐに置き換えられる。
【0104】
詳しい一実施形態において、主題発明のドラッグデリバリーシステムは、参照によって本明細書に組み入れられるWO2007/001888において記載されているカレンダーレジメンにおいて用いられ得る。
【0105】
別の一実施形態において、主題発明のドラッグデリバリーシステムは、拡張されたレジメンにおいて用いられてよく、すなわち、例えば21日または例えば24日後にリングを除去した後に、月経の期間を可能にせずに翌日次のリングが挿入される。このような拡張されたレジメンは当技術分野においてよく知られている(例えば、Daviesら、Contraception、46巻、269−278頁(1992)を参照されたい)。
【0106】
主題発明は、避妊キットを製造するための、主題発明のドラッグデリバリーシステムの使用をさらに想定するものである。
【0107】
主題発明は、ホルモン補充療法のための処置を製造するための、主題発明のドラッグデリバリーシステムの使用をさらに包含する。
【0108】
主題発明は、避妊を提供し、例えばAIDS、ヘルペス、クラミジアおよび淋病などの性感染症を処置ならびに/または予防するための併用調製物を製造するための、主題発明のドラッグデリバリーシステムの使用も提供する。
【0109】
主題発明の一実施形態において、薬学的に有効な化合物は両方ともステロイドである。本発明の詳しい一実施形態において、ステロイド化合物の1つはプロゲストゲン様ステロイド化合物であり、他のステロイド化合物はエストロゲン様ステロイド化合物である。
【0110】
主題発明のプロゲストゲン様ステロイド化合物は、EVAポリマーなどの熱可塑性のポリマーにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出比率を達成するためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とする、任意の適切なプロゲストゲンであってよい。このようなプロゲストゲン様ステロイド化合物の例は、それだけには限定されないが、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)、天然プロゲストゲン、ジドロゲステロン、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、デメゲストン、プロメゲストン、ネストロン、トリメゲストン、ノルエチステロン(=ノルエチンドロン)、酢酸ノルエチステロン、リネストレノール、酢酸エチノジオール、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、ジエノゲスト、エトノゲストレル、レボノルゲストレル、ドロスピレノンまたはプロゲストゲン活性を有する任意の他の適切なステロイド化合物を含む。
【0111】
主題発明のエストロゲン様ステロイド化合物は、EVAポリマーにおける溶解性が比較的劣り、望ましい放出比率を達成するためにポリマーマトリックスにおいて比較的高充填を必要とする、任意の適切なエストロゲンであってよい。このようなエストロゲン様ステロイド化合物の例は、それだけには限定されないが、エストラジオール(E2)、エチニルエストラジオール(EE)、エストリオール、エステトロール(E4)またはこれらのエステル、これらの擬似多形、薬学的に許容できるこれらの溶媒和化合物、これらの水和物もしくはこれらの半水化物、例えば、それだけには限定されないがエストラジオール半水化物、またはエストロゲン活性を有する任意の他の適切なステロイド化合物を含む。
【0112】
主題発明の詳しい一実施形態において、プロゲストゲンは酢酸ノメゲストロール(NOMAc)であり、エストロゲンはエストラジオール(E2)またはその水和物、例えばエストラジオール半水化物である。
【0113】
主題発明の一実施形態において、プロゲストゲンは中間層中に約10−70重量%存在し、エストロゲンはコア中に約3−70重量%存在する。主題発明の一つの詳しい実施形態において、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)は中間層中に約20−60重量%存在する。別の詳しい一実施形態において、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)は中間層中に約35−60重量%存在する。さらに別の一実施形態において、エストラジオール(E2)は、コア中に約3−20重量%存在する。さらに別の詳しい一実施形態において、エストラジオール(E2)はコア中に約4.5−9重量%存在する。
【0114】
主題発明の別の一実施形態において、エストロゲンは中間層中に約3−70重量%存在し、プロゲストゲンはコア中に約5−70重量%存在する。主題発明の一つの詳しい実施形態において、エストラジオール(E2)は中間層中に約3−27重量%存在する。別の詳しい一実施形態において、エストラジオール(E2)は中間層中に約9−27重量%存在する。さらに別の一実施形態において、エストラジオール(E2)は中間層中に約4−15重量%存在する。なお別の一実施形態において、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)はコア中に約5−35重量%存在する。一つの詳しい実施形態において、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)はコア中に約35重量%存在する。さらに別の一実施形態において、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)はコア中に約5−15重量%存在する。
【0115】
本発明の3層の膣リングは、プロゲストゲン様ステロイド化合物とエストロゲン様ステロイド化合物の平均放出速度の間に異なる比率をもたらすようにデザインされていてよい。平均放出速度間の比率は、ステロイド化合物の位置を変化させることによって、すなわちコア中にプロゲストゲンを、中間層中にエストロゲンを充填することによって、またはその反対によって著しく影響を受けることがある。一つの詳しい一実施形態において、プロゲストゲンは酢酸ノメゲストロール(NOMAc)であり、エストロゲンはエストラジオール(E2)であり、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)とエストラジオール(E2)の間の平均放出比率は、約0.6と約28の間で変化することができる。
【0116】
ステロイドの他に、非ステロイド性化合物も、特に2つまたはそれを超える有効化合物を特定の比率において投与するために、本発明のドラッグデリバリーシステム中に含まれていてよい。
【0117】
主題発明は、
(i)充填した(薬物処理した)均一のポリマーコア顆粒を生成し、
(ii)充填した(薬物処理した)均一のポリマー中間層顆粒を生成し、
(iii)コア顆粒および中間層顆粒をポリマースキン顆粒と共押出しして3層のファイバーを形成する
ことによって主題発明のドラッグデリバリーシステムを作成するのに用いられる3層のファイバーを製造する方法も提供する。
【0118】
充填した(薬物処理した)均一のポリマーコア顆粒の生成は、
a)コアポリマーを粉砕し、
b)粉砕したポリマーを、コア中に充填する有効化合物と乾燥粉末混合し、
c)ステップ(b)の得られた粉末混合物をブレンド押出しし、
d)得られた充填されたポリマー鎖を顆粒に切断し、それによってコア顆粒を得、
e)コア顆粒を滑沢剤と一緒に潤滑する
ことを含む。
【0119】
充填した(薬物処理した)均一のポリマー中間層顆粒の生成は、
a)中間層ポリマーを粉砕し、
b)粉砕したポリマーを、中間層中に充填する有効化合物と乾燥粉末混合し、
c)ステップ(b)の得られた粉末混合物をブレンド押出しし、
d)得られた充填されたポリマー鎖を顆粒に切断し、それによって中間層顆粒を得、
e)中間層顆粒を滑沢剤と一緒に潤滑する
ことを含む。
【0120】
本発明は、決して請求される本発明の範囲を限定することを意図しない、以下の実施形態においてさらに記載される。
【実施例】
【0121】
(実施例1) 3層リングの調製
広範囲の3層のファイバーを調製した(A1−A4、B1−B11、およびC1−C7)。ファイバーは、単一の3.6mmキャピラリーから4.0mmに伸ばされた。
【0122】
有効成分である酢酸ノメゲストロール(NOMAc)およびエストラジオール半水化物を、ポリマーによって均一に混合するために、2つの逐次的な混合ステップを行った。第1のステップにおいて、有効化合物およびポリマー(EVA28または33)粉末を用いて乾燥粉末混合を行った。有効化合物を、60分間、約47rpmの固定の回転スピードでRhonrad(Barrel−hoop原理)を用いて、ステンレススチール製ドラム中、ポリマー粉末と混合した。第1の粉末混合ステップは、ポリマー、および様々な有効層用の有効化合物を混合することによって行った。引き続き、均一にした粉末混合物を、25mm共回転ダブルスクリューブレンド押出し機(BerstorffZE25)を用いてブレンド押し出しし、得られた薬物処理したポリマー鎖を、IPS造粒機を用いて顆粒に切断した。このプロセスによって、8つの有効顆粒のバッチが製造された。
【0123】
造粒後、顆粒V以外の全てのバッチを、トリコエクストルージョン(trico−extrusion)を促進するために、0.1重量%ステアリン酸マグネシウムと一緒に潤滑にした。バッチVは、50重量%の顆粒Uを50重量%プラセボEVA28と混合することによって製造した。共押出しのプロセスを用いて、3層のファイバーを製造するために用いられた顆粒バッチの組成物を、以下の表1Aおよび1Bに記載する。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
3層共押出し
3層ファイバーの共押出しに、Fourne Trico押出し機(スクリュー18/18/15mm)を用いた。2つの18mmの押出し機がコアおよび中間の材料を加工し、15mmの押出し機がスキン層を加工するのに用いられた。3つの押出し機は、3つの別々のスピニングポンプを有する3コンパートメントのスピニングブロックで接続された。これらのポンプを用いて、3つのポリマーメルトの体積流量を制御した。体積流量を制御することによって、3層全ての層の厚さを調節した。3つのポリマーメルトフローをスピナレット中で合わせて3層のファイバーを形成した。3.6mmのキャピラリーを用いた。目標のファイバーの直径は4.0mmであり、ファイバーは全て、110℃で、1m/分の速度で押し出された。
【0127】
ファイバーの寸法(外径、中間の厚さ、およびスキンの厚さ)を、6つのファイバー片に対して測定した。外径をレーザー厚さ装置によって測定した。層の厚さを、顕微鏡(Jena)を用いて測定した。
【0128】
以下のファイバーのバッチを製造した。
【0129】
【表3】

【0130】
変形A、BおよびCの3軸の断面の典型的な例の写真を、それぞれ図1A、図1Bおよび1Cに提供する。
【0131】
切断および構築
共押出し後、3層のファイバーのバッチA1−A4、B1、B2、C1−C4を157mmの片に切断した。Loctiteポリオレフィン接着キット(Loctite406+Loctite770)を用いて、ファイバーの終端を一緒に接着することによってリングを形成した。
【0132】
3層のファイバーのバッチB3−B11およびC5−7を157mmの片に切断し、その後これらを、溶接温度115℃、溶接時間17秒で、フラッシュフリー溶接機(CCM)で溶接した。
【0133】
(実施例2) NOMAcおよびエストラジオールのインビトロの放出速度
インビトロの放出速度
EVA33から部分的に作られたリングに対するインビトロの放出に対する結果を、表3A、ならびに図2から4、7および8に示す。図2は、変形AのリングデザインのNOMAcのインビトロの放出プロファイルを示す。図3は、変形Aのリングデザインのエストラジオールのインビトロの放出プロファイルを示す。図4は、変形B1−B2のリングデザインのNOMAcおよびエストラジオールのインビトロの放出プロファイルを示す。図7は、変形C1−C4のリングデザインのNOMAcのインビトロの放出プロファイルを示す。図8は、変形C1−C4のリングデザインのエストラジオールのインビトロの放出プロファイルを示す。表3Aは、リング変形Aの4試料、リング変形Bの2試料、およびリング変形Cの4試料からの放出速度を示す。
【0134】
【表4】

【0135】
完全にEVA28からなるリングに対するインビトロの放出に対する結果を、表3B、ならびに図5、6、9および10に示す。図5Aおよび5Bは、変形B3−B11のリングデザインのNOMAcのインビトロの放出プロファイルを示す。図6Aおよび6Bは、変形B3−B11のリングデザインのエストラジオールのインビトロの放出プロファイルを示す。図9は、変形C5−C7のリングデザインのNOMAcのインビトロの放出プロファイルを示す。図10は、変形C5−C7のリングデザインのエストラジオールのインビトロの放出プロファイルを示す。表3Bは、完全にEVA28からなるリング変形Bの9試料、および完全にEVA28からなるリング変形Cの3試料の放出速度を示す。
【0136】
【表5】

【0137】
NOMAcとエストラジオールの間の放出比率
変形A、BおよびCに対する2つの薬物物質間の比率を、表4Aおよび4Bに提供する。表4Aにおけるリングに対して、2つの薬物物質間の比率を、NOMAcのインビトロの平均放出速度(2−5日目)をエストラジオールの平均放出速度で除することによって決定した。表4B(完全にEVA28から作成される)におけるリングに対して、2−14日からの平均放出速度を除することによって比率を決定した。
【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
グループBおよびCのリングデザインは、NOMAcおよびエストラジオールの結晶が物理的に/空間的に分けられており、2つの異なる層中に存在する製剤を表している。変形B1−B11において、中間層はNOMAcで充填されており、コアはエストラジオールで充填されている。変形C1−C7において、中間層はエストラジオールで充填されており、コアはNOMAcで充填されている。両方のグループにおいて、有効成分はその固体の(結晶の)状態において存在する。グループBの変形において、NOMAcとエストラジオールの間の平均放出速度における比率は28.1まで増大され得るが、グループCにおける比率は2.5未満のままであり、中間層の厚さを増大することによって本質的に0.6に低減され得る。
【0141】
本発明のドラッグデリバリー装置の安定化効果
リングをシンク中に置いた後、ステロイドがリングの外に拡散し始め、ポリマーマトリックス中に溶解するステロイドの濃度はわずかに低下する。その結果、固体のステロイドが溶解し始める。したがって、リングの外への拡散の輸送による濃度勾配の低減は、固体の形態において存在するステロイドの溶解によって釣り合いがとられる。図2−10は、この安定化効果を図示している。図4におけるNOMAcに対する変形B2、ならびにエストラジオール(E2)に対する変形B1およびB2、図7における変形C1からC4、ならびに図8における変形C3からC4に対する放出曲線の勾配は実質的に平坦であり、すなわち放出は殆どゼロオーダーであることを指摘しており、すなわちステロイドの放出速度は固相が溶解するまで維持され得る。
【0142】
NOMACおよびエストラジオールを溶解するのにEVA28を用いる実施例において、同様の傾向が見出された。Bの変形において、図6におけるエストラジオールの放出プロファイルは、全ての実施例において(B3−B11)ゼロオーダーに近かった。図5におけるバッチB7、B8およびB9はまた、NOMAcおよび他のバッチに対して本質的に平坦な放出プロファイルを明らかにし、わずかに一定性が劣るが、合理的な一定の放出プロファイルを示した。変形C(C5−C7)において、図9におけるNOMACの放出プロファイルは、比較的高い放出速度に対しても非常に平坦である。
【0143】
(実施例3) 本発明のドラッグデリバリー装置の薬物物質の効率
有効化合物が主にその固体状態において存在する場合、リングの薬物物質の効率を大幅に改善することができる。放出速度は、固相が枯渇するまで維持され得る。ステロイドの1つの枯渇が開始する点の測定を、図11および12において示す。放出プロファイルは、曲線が別のレジームに偏向するまで(S曲線)、(殆ど)安定状態のレジームを示す。これらのレジームの2本の接線が相互に交わる点を枯渇点と定義する。
【0144】
表5は、いくつかのバッチ(バッチB3、B4、B7およびC5)に対する薬物物質の効率を示すものである。
【0145】
【表8】

【0146】
表5におけるデータより、放出は、薬物物質の約65−80%が放出されるまで本質的に維持されることを引き出すことができる。得られた、使用後の残余物の含量は、20−35重量%にすぎない。
【0147】
実験結果の考察
NOMAcとエストラジオールの間のインビトロの放出速度および放出比率
変形A1からA4は、1つの層中に両方のステロイド化合物を充填することによって、NOMAcおよびエストラジオールの放出比率は、主題発明の膣リングで達成され得る広範囲の放出比率に比べて狭いマージン内に限定されることを実証している。実施例A1、A2、A3およびA4を比べた場合、放出比率におけるいくつかの変形が観察されるが、スキンの性質(厚さおよび/またはポリマー)を変化させても、2つの化合物を互いに独立に調整する実際的な手段をもたらさない。変形A1からA4に対して観察される放出比率におけるわずかな変動性(1.5と2.5の間)は、リングからの両方のステロイド化合物の全般的な絶対的な放出速度に関連しない(表4A)。したがって、全くの偶然による他は、スキンの性質を変化させることによって、最適の相対的な放出比率および最適の絶対的な放出速度を両方とも含む、望ましい最適の同時の放出の特徴を得ることはできない。
【0148】
2つの結晶のステロイドを物理的に分離することで(変形BおよびCの、2つの異なる層中にこれらを配置することによって)、2つのステロイドの放出速度を独立に調整する能力がもたらされる。これは変形BおよびCによって例示され、これらはNOMACとE2の間の放出比率を、両方向(上または下)においてかなりの範囲にわたって調節することができることを示している。
【0149】
中間層の厚さに関して、薬物物質の結晶が充填される位置以外は、A1、B1およびC1のリングのスキンの厚さおよびポリマーのグレードは同一である(表2)。同じことが、変形A2、B3およびC2にみなされる。リングA1およびA2は、NOMAcおよびE2の結晶が両方とも中間層中に充填され、したがって薬物の結晶が空間的に分けられていない参照のリングである。リングB1およびB2に関して、これらのリングが同一の様式において振舞う場合、参照のリングに比べてリングB1およびリングB2からのエストラジオールの放出速度は、エストラジオールがコア中に充填され、したがってこの化合物の拡散距離を増大するという事実により全く本質的に低減されなければならない。一方、NOMAcの放出は、依然として無影響でなければならない(同一の拡散距離)。実際、変形B1およびB2の振舞いは、理想の振舞いに近づくと思われる。リングB1およびB2のエストラジオールの放出を参照のリングの放出と比べた場合、結果(表4A)は、実際に、エストラジオールの平均放出速度はA1に比べてB1に対して約69%、およびA2に比べてB2に対して約74%と、極めて著しく低減していることを表している。比較すると、NOMAcの平均放出速度はずっと影響が少なく、B1対A1およびB2対A2両方に対して約15−20%の中程度の低減を示している。これは放出比率に対して大きな影響を有し、表4Aにおける結果は、異なる層中のNOMAcおよびエストラジオールの薬物物質の結晶を分離すると、放出比率を増大する能力を著しく増大することを実証している。バッチC1およびC2のNOMACの放出速度はA1およびA2に比べるとかなり低く、これは拡散距離が長いためである。エストラジオールの放出速度も、拡散距離が比較可能であるのに関わらず、やはり低い(表4Aを参照されたい)。これは、コアからのステロイドが中間層中にひとたび拡散すると、2つのステロイド間に相互作用が存在することを指摘するものである。両方のステロイドに対して放出速度における低減は比較可能であったので、放出比率はおよそ2のままである。
【0150】
実施例C3は、他の方向における放出比率を調整するための概念を実証するものである(低い比率の)。さらに、この実施例は、薬物結晶の空間的な分離と組み合わせて中間層の厚さを変化させることは、放出速度および2つの化合物間の放出比率を調整する実際的な手段であることを実証している。中間層が2倍厚く、したがってNOMAcに対する拡散距離がさらに増大する以外は、リングC3はリングC1に類似する。NOMAcに対する拡散距離のこのさらなる増大は、NOMAcの放出速度のさらなる低減をもたらし、したがって1に近い放出比率に対する値をもたらす。これは、実施例C5、C6およびC7によってさらに実証される。中間層の厚さを大幅に増大することによって、比率は0.6にまで低減される。これらに実施例において、E2の放出速度は無影響のままであり、NOMAcの放出速度は強力に低減される。
【0151】
同様の効果が、完全にEVA28からなる変形Bのリングにおいて観察された。スキンの厚さは維持したまま、中間(NOMAC)層の厚さを増大することによって、絶対的なNOMAC放出速度を妨害することなしにNOMACとエストラジオールの間の比率は5.1から28.1に増大した(バッチB3−B6)。スキンの厚さの増大のみによって(実施例B3、B7およびB9)、比率は狭いバンド幅(4.4−5.1)内に維持された。しかし、スキン層の厚さを変えることによって、絶対的な放出速度は実際にかなり影響を受けた。
【0152】
総じて、有効化合物を分散するように選択されたEVAポリマーのタイプ(EVA28対EVA33)は、2つのステロイド間の放出比率に強力な効果を有さない(B2をB8と比較せよ)。
本発明のドラッグデリバリー装置の安定化効果
薬物充填の効果がないことは(飽和濃度に到達した後)、実施例によってはっきりと実証される。中間層(C2対C4)中またはコア(B3対B10)中いずれかのエストラジオール充填を変化させても、絶対的な放出速度に大きく影響を及ぼさず、化合物(NOMAcおよびエストラジオール)が放出される相対的な比率にも影響を及ぼさない。NOMAc濃度における変形も、比率に対するいくつかの効果は観察することができるが、絶対的な放出速度に実質的に影響を及ぼさない。
【0153】
薬物充填を増大する効果(化合物が固体状態において存在する点を超えて)は、バッチC2およびC4によって説明される。バッチC2およびC4の中間層におけるエストラジオール濃度は、それぞれ9重量%および27重量%である(両実施例において、エストラジオールは固体状態において存在する)。エストラジオールの薬物充填がかなり増大しても(バッチC2対C4)、増大はエストラジオールの絶対的な放出速度にかなりの程度で影響を及ぼすことはなく、相対的な放出速度(NOMAcとエストラジオールの間の放出比率)にも影響を及ぼさない。この実施例は、放出速度は、両方の場合においてポリマー中のエストラジオールの飽和濃度に本質的に等しい溶解した薬物濃度によって支配されること、および薬物充填をさらに増大することは固体状態において存在する化合物の放出速度に影響を及ぼす有用な手段ではないことを明らかに実証している。
【0154】
コア中のエストラジオールの充填が9重量%から4.5重量%まで低減されるバッチB3およびB10を比較すると(両実施例においてエストラジオールは固体状態において存在する)、エストラジオールがマトリックスにおいて結晶化するレベルを超えて薬物充填を変化させることによって、エストラジオールの放出が調節され得ないことが確認される。放出を実質的に調整するのに薬物充填を用いることができないことは、実施例B3をB11と比べることによってさらに強調される。この場合、中間層におけるNOMAcの薬物充填は35重量%(B3)から60重量%(B11)まで増大し、この増大はNOMAcの放出速度に対してわずかな効果しかない。E2の放出速度は低減され(B3対B11)、理論によって拘泥されるものではないが、これはおそらく中間層における拡散耐性の増大の結果であり、中間層は、薬物分子を拡散するのに本質的に不透過性であり、したがってこれが拡散経路の屈曲の増大により拡散距離も増大する薬物物質結晶の約60重量%からなる。
【0155】
本発明のドラッグデリバリー装置の薬物物質の効率
本発明のドラッグデリバリー装置を用いた後の残余の含量は20−35重量%にすぎず、これは先行技術(US5989581、WO2004/103336)において記載されるリング中に存在する残余の含量よりもかなり低い。ステロイドが溶解した形態において存在するリングでは(EP876815およびWO2005/089723)、許容される平坦なプロファイルと組み合わせて特定の絶対的な放出速度に到達するために、大型のレザバー(コアおよび中間)はある濃度のステロイドを含んでいる必要がある。ステロイドがあまり溶解していない場合は、好適なスキンの厚さおよび/またはスキンの材料を選択することによって、絶対的な放出速度をやはり達成することができる。しかし、観察される放出のプロファイルは急勾配である(図13を参照されたい)。放出速度の維持(例えば、スキンの厚さの調節)と組み合わせてより多くのステロイドをリング中に配置すると、効率の劣るリングがもたらされる。WO2004/103336に記載されている3層のリングは、2つまたはそれを超える化合物を同時に放出するのに適しており、ポリマーマトリックス中に完全に溶解している少なくとも1つの有効化合物を含んでいる。NuvaRing(登録商標)同様、この溶解した化合物は、一定のプロファイルを合理的に得るために非常に過量に充填されている必要があり、そのためNuvaRing(登録商標)同様、これはリング中に充填されている少なくとも1つの有効薬剤に対して最適以下の薬物物質の効率をもたらす。
【0156】
(実施例4) 3層のリングの調製
広範囲の3層のファイバーを調製した(D1−D3、F1−F3、G1−G3)。ファイバーは、単一の3.6mmキャピラリーから4.0mmに伸ばされた。
【0157】
有効成分を、ポリマーによって均一に混合するために、2つの逐次的な混合ステップを行った。第1のステップにおいて、有効化合物およびポリマー(EVA28)粉末を用いて乾燥粉末混合を行った。有効化合物を、60分間、約47rpmの固定の回転スピードでRhonrad(Barrel−hoop原理)を用いて、ステンレススチール製ドラム中、ポリマー粉末と混合した。第1の粉末混合ステップを、ポリマー、および異なる有効層用の有効化合物を混合することによって行った。引き続き、均一にした粉末混合物を、25mm共回転ダブルスクリューブレンド押出し機(BerstorffZE25)を用いてブレンド押し出しし、得られた薬物処理したポリマー鎖を、IPS造粒機を用いて顆粒に切断した。このプロセスによって、4つの有効顆粒のバッチが製造された。
【0158】
造粒後、全てのバッチを、トリコエクストルージョンを促進するために、0.1重量%ステアリン酸マグネシウムと一緒に潤滑にした。共押出しのプロセスを用いて3層のファイバーを製造するために用いられた顆粒バッチの組成物を、以下の表6Aに記載する。
【0159】
【表9】

【0160】
3層共押出し
3層ファイバーの共押出しに、Fourne Trico押出し機(スクリュー18/18/15mm)を用いた。2つの18mmの押出し機がコアおよび中間の材料を加工し、15mmの押出し機がスキン層を加工するのに用いられた。3つの押出し機は、3つの別々のスピニングポンプを有する3コンパートメントのスピニングブロックで接続された。これらのポンプを用いて、3つのポリマーメルトの体積流量を制御した。体積流量を制御することによって、3層全ての層の厚さを調節した。3つのポリマーメルトフローをスピナレット中で合わせて3層のファイバーを形成した。3.6mmのキャピラリーを用いた。目標のファイバーの直径は4.0mmであり、ファイバーは全て、1−2m/分の速度で押し出された。
【0161】
ファイバーの寸法(外径、中間の厚さ、およびスキンの厚さ)を、6つのファイバー片に対して測定した。外径をレーザー厚さ装置によって測定した。層の厚さを、顕微鏡(Jena)を用いて測定した。
【0162】
製造したファイバーのバッチを表6Bに列挙する。
【0163】
【表10】

【0164】
切断および構築
3層のファイバーのバッチを157mmの片に切断し、その後これらを、溶接温度125℃で、フラッシュフリー溶接機で溶接した。
【0165】
(実施例5) インビトロの放出速度
得られた膣リングからのインビトロの放出速度を、0.45%SLS中測定した。表7A−7Cにおいて、バッチD−Gのインビトロの平均放出を列挙する。
【0166】
【表11】

【0167】
バッチDのリングデザインは、DPNおよびE2の結晶が物理的に/空間的に分離されており、2つの別々の層中に存在する製剤を表す。D1およびD2のインビトロの放出結果(図17および18)は、DPN放出は増大し得るが、E2の放出は主に無影響のままであることを示している。D2およびD3の比較は反対の挙動、すなわちDPN放出は無影響のままであるが、E2放出は増大することを示している。これは2つの有効化合物を物理的に分離することで、両方の化合物の放出速度は独立に調節され得ることを示している。
【0168】
【表12】

【0169】
バッチFのリングデザインは、LNGおよびE2の結晶が物理的に/空間的に分離されており、2つの別々の層中に存在する製剤を表す。F1およびF2のインビトロの放出結果(図19および20)は、中間層の厚さを低減することによってE2放出は増大し得るが、LNGの放出は無影響のままであることを示している。F3は、スキンの厚さを低減することによってLNG放出が増大され得ることを示している。
【0170】
【表13】

【0171】
バッチGのリングデザインは、ETOおよびE2の結晶が物理的に/空間的に分離されており、2つの別々の層中に存在する製剤を表す。
【0172】
放出比率
表8A−8Cは、本発明は広範囲の放出比率を可能にすることを示している。
【0173】
【表14】

【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
(実施例6) 非薬物処理のコアを有する4層のファイバー
ファイバーは3層からなることができるが、1つまたは複数のさらなる層も含んでもよい。さらなる層の一例は、薬物処理したコア層によって覆われている非薬物処理のコアであってよい。非薬物処理のコアは、ドラッグデリバリーシステムの効率に有利であり得る。コアは、ファイバーにその予め決定された厚さを与えるように主に働き、これはコアが大体積を含むことを意味する。大型のコアのレザバー(3層のデザインにおける)は、結晶の材料が存在し、存在したままであるようなレベルの薬物物質を含んでいなければならない。これは、非常に過量の薬物物質が必要とされることを意味し得る。さらなる非薬物処理のコア(第4層)が存在する場合、薬物処理された内側の層は、放出速度をもたらさずに、より高濃度の薬物物質を含んでいなければならない。この高い濃度のため、平均の拡散経路はより短く、放出速度はさらにより一定であり得る。このように放出プロファイルに著しく影響を及ぼすことなしに、薬物物質のより高い効率が達成され得る。これは、3層のファイバーの放出プロファイルと同じである4層のファイバーから作られているリングの放出プロファイルによって示される。
【0177】
(実施例7) 本発明の非ステロイドの有効化合物に対する使用
本発明はステロイドの使用に限定されない。図23および図24は、60%リスペリドンを含む150μmのEVA33の中間層および60%ミルタザピンを含むEVA33コアを有する、スキン厚さ50μmのEVA33を有する3層の放出制御装置からの、それぞれミルタザピン(MIR)およびリスペリドン(RIS)の放出を示している。ミルタザピンおよびリスペリドンの放出速度の比率および量は、異なる層の材料および厚さを調節することによって独立に調整され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)薬物充填した熱可塑性のポリマーコア層、(ii)薬物充填した熱可塑性のポリマー中間層、および(iii)中間層を被覆する、非薬物処理の熱可塑性のポリマースキンを含み、前記コア層は第1の化合物、特に薬学的に有効な化合物の結晶で充填されており、前記中間層は第2の化合物、特に薬学的に有効な化合物の結晶で充填されている、少なくとも1つのコンパートメントを含むドラッグデリバリーシステム。
【請求項2】
コア層がドラッグデリバリーシステムのコアを形成することを特徴とする、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項3】
コア層によって被覆されているさらなる非薬物処理のコアを特徴とする、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項4】
コア層と薬物充填した中間層の間のさらなる非薬物処理の中間層を特徴とする、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項5】
デリバリーシステムが、リング、埋め込み、子宮内システム(IUS)、らせんコイルまたはバネの形態を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項6】
デリバリーシステムが実質的にリング型の形態を有し、膣内投与が意図されることを特徴とする、請求項5に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項7】
前記第1の薬学的に有効な化合物がステロイドであり、ならびに前記第2の薬学的に有効な化合物がステロイドである、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項8】
前記第1の薬学的に有効な化合物がプロゲストゲンであり、ならびに前記第2の薬学的に有効な化合物がエストロゲンである、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項9】
前記第1の薬学的に有効な化合物がエストロゲンであり、ならびに前記第2の薬学的に有効な化合物がプロゲストゲンである、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項10】
プロゲストゲンが、酢酸ノメゲストロール(NOMAc)、天然プロゲストゲン、ジドロゲステロン、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、デメゲストン、プロメゲストン、ネストロン、トリメゲストン、ノルエチステロン(=ノルエチンドロン)、酢酸ノルエチステロン、リネストレノール、酢酸エチノジオール、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、ジエノゲスト、ドロスピレノン、およびプロゲストゲン活性を有する任意の他の適切なステロイド化合物からなる群から選択される、請求項8から9に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項11】
エストロゲンが、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストリオール、エステトロール、これらのエステル、これらの擬似多形、薬学的に許容できるこれらの溶媒和化合物、これらの水和物、これらの半水化物、およびエストロゲン活性を有する任意の他の適切なステロイド化合物からなる群から選択される、請求項8から9に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項12】
プロゲストゲンが酢酸ノメゲストロールである、請求項10に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項13】
エストロゲンがエストラジオールまたはエストラジオール半水化物である、請求項11に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項14】
プロゲストゲンが酢酸ノメゲストロールであり、ならびにエストロゲンがエストラジオールまたはエストラジオール半水化物である、請求項8から9に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項15】
少なくともスキンが、任意にコア層および中間層も、熱可塑性ポリマーとしてエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項16】
コア層および中間層が同じグレードのエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする、請求項12に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項17】
コアおよび中間層が異なるグレードのエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むことを特徴とする、請求項12に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項18】
前記プロゲストゲンが約5−70重量%存在する、請求項5に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項19】
前記プロゲストゲンが酢酸ノメゲストロールである、請求項15に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項20】
酢酸ノメゲストロールが約5−35重量%存在する、請求項16に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項21】
酢酸ノメゲストロールが約35重量%存在する、請求項17に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項22】
前記エストロゲンが約3−70重量%存在する、請求項5に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項23】
前記エストロゲンがエストラジオールまたはエストラジオール半水化物である、請求項19に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項24】
前記エストラジオールが約3−27重量%存在する、請求項20に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項25】
前記エストラジオールが約9−27重量%存在する、請求項21に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項26】
前記エストロゲンが約3−70重量%存在する、請求項6に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項27】
前記エストロゲンがエストラジオールまたはエストラジオール半水化物である、請求項23に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項28】
前記エストラジオールが約3−20重量%存在する、請求項24に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項29】
前記エストラジオールが約4.5−9重量%存在する、請求項25に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項30】
前記プロゲストゲンが約10−70重量%存在する、請求項6に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項31】
前記プロゲストゲンが酢酸ノメゲストロールである、請求項27に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項32】
前記酢酸ノメゲストロールが約20−60重量%存在する、請求項28に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項33】
前記酢酸ノメゲストロールが約35−60重量%存在する、請求項29に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項34】
中間層が抗微生物薬をさらに含むことを特徴とする、請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項35】
コアが抗微生物薬をさらに含むことを特徴とする、請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項36】
装置が2つのコンパートメントを含むことを特徴とする、請求項1から35のいずれか一項に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項37】
第2のコンパートメントが抗微生物薬を含む、請求項33に記載のドラッグデリバリーシステム。
【請求項38】
(i)請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および(ii)システムを長期間膣路内に保持するステップを含む、避妊方法。
【請求項39】
長期間が約21日である、請求項35の方法。
【請求項40】
長期間が約24日である、請求項35の方法。
【請求項41】
(i)請求項1−30に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に、数値にして月の「n+x」日に配置するステップ、および(ii)システムを、数値にして翌月の「n」日まで膣路内に保持するステップを含み、「n」は1−28からの、数値にした月の日にちであり、「x」は3、4、5、6または7であり、ならびに方法を少なくとも2サイクル間実施する避妊方法。
【請求項42】
「x」が4である場合、カレンダー上の月が28、29、30または31日を有するか否かに応じて「n」が24、25、26または27である、請求項41の方法。
【請求項43】
「x」が7である場合、カレンダー上の月が28、29、30または31日を有するか否かに応じて「n」が21、22、23または24である、請求項42の方法。
【請求項44】
(i)請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、(ii)システムを少なくとも約21日間、膣路内に保持するステップ、および(iii)システムをおよそ1週間の期間除去して月経の機会を与えるステップを含む、避妊方法。
【請求項45】
(i)請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、(ii)システムを少なくとも約24日間、膣路内に保持するステップ、および(iii)システムをおよそ4日の期間除去して月経の機会を与えるステップを含む、避妊方法。
【請求項46】
(i)請求項34から37に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および(ii)システムを少なくとも約21日間、膣路内に保持するステップを含む、避妊および性感染症の処置または予防を同時に提供する方法。
【請求項47】
(i)請求項34から37に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、(ii)システムを少なくとも約21日間、膣路内に保持するステップ、および(iii)システムをおよそ1週間の期間除去して月経の機会を与えるステップを含む、避妊および性感染症の処置または予防を同時に提供する方法。
【請求項48】
(i)請求項34から37に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、および(ii)システムを少なくとも約24日間、膣路内に保持するステップを含む、避妊および性感染症の処置または予防を同時に提供する方法。
【請求項49】
(i)請求項34から37に記載のドラッグデリバリーシステムを女性の膣路内に配置するステップ、(ii)システムを少なくとも約24日間、膣路内に保持するステップ、および(iii)システムをおよそ4日間の期間除去して月経の機会を与えるステップを含む、避妊および性感染症の処置または予防を同時に提供する方法。
【請求項50】
避妊キットの製造のための、請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステムの使用。
【請求項51】
ホルモン補充療法のための薬物の製造のための、請求項1から30に記載のドラッグデリバリーシステムの使用。
【請求項52】
避妊をもたらすための、ならびに性感染症を処置および/または予防するための併用調製物を製造するための、請求項34から37に記載のドラッグデリバリーシステムの使用。
【請求項53】
疾患がAIDSである、請求項52の使用。
【請求項54】
疾患がヘルペスである、請求項52の使用。
【請求項55】
疾患がクラミジアである、請求項52の使用。
【請求項56】
疾患が淋病である、請求項52の使用。
【請求項57】
(i)充填した均一のポリマーコア顆粒を生成するステップ、
(ii)充填した均一のポリマー中間層顆粒を生成するステップ、ならびに
(iii)コア顆粒および中間層顆粒をポリマースキン顆粒と共押出しして3層のドラッグデリバリーシステムを形成するステップ
を含む、請求項1に記載の3層のドラッグデリバリーシステムを製造する方法。
【請求項58】
ステップ(i)が、
a)コアポリマーを粉砕するステップ、
b)粉砕したポリマーを、コア中に充填する有効化合物と乾燥粉末混合するステップ、
c)ステップ(b)の得られた粉末の混合物をブレンド押出しするステップ、
d)得られた充填されたポリマー鎖を顆粒に切断し、それによってコア顆粒を得るステップ、および
e)コア顆粒を滑沢剤と一緒に潤滑するステップ
を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(ii)が、
a)中間層ポリマーを粉砕するステップ、
b)粉砕したポリマーを、中間層に充填する有効化合物と乾燥粉末混合するステップ、
c)ステップ(b)の得られた粉末の混合物をブレンド押出しするステップ、
d)得られた充填されたポリマー鎖を顆粒に切断し、それによって中間層顆粒を得るステップ、および
e)中間層顆粒を滑沢剤と一緒に潤滑するステップ
を含む、請求項57に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図1C】
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【公表番号】特表2010−539205(P2010−539205A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525267(P2010−525267)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007975
【国際公開番号】WO2009/036999
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】