説明

ドルゾラミドの製造方法

ドルゾラミドの製造方法およびドルゾラミドの製造において有用な中間体の製造方法を提供する。特に、式(viii)のアセトアミドスルホンを製造する方法であって、過酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジメチルジオキシラン、セレニウムジオキシド、m−フェナントロリンジ−N−オキシド、硝酸および過酸化水素からなる群より選択される酸化剤の存在下で式(vii)のヒドロキシスルホンアミドを酸化することを含んでなる方法が提供される。式(ix-a)のアセトアミドスルホンの製造方法であって、アセトニトリルおよび酸の存在下で、式(viii)のヒドロキシスルホンを式(ix-a)のアセトアミドスルホンに変換することを含んでなる方法も提供される。ドルゾラミドのトランス異性体とドルゾラミドのシス異性体の混合物からドルゾラミドのシスおよびトランス異性体を分離する方法であって、異性体混合物をカルボン酸と反応させることを含んでなる方法も提供される。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドルゾラミド塩酸塩の改善された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドルゾラミドの化学名は、(4S,6S)-4-(エチルアミノ)-5,6-ジヒドロ-6-メチル-4H-チエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド 7,7-ジオキシド塩酸塩である。ドルゾラミド塩酸塩は、以下の構造式Iで表される。
【化1】

【0003】
ドルゾラミド塩酸塩は、高眼圧症の治療において有用な炭酸脱水酵素阻害剤としても既知である。
【0004】
ドルゾラミドおよびその誘導体の製造方法は、最初にEP 0296879に記載されている。特に関連する方法を、以下のスキーム1に示す。
【化2】

【0005】
スキーム1に開示される方法は、以下の不利な点を有する。
【0006】
(a)無水エタノールを使用したスルホンアミド(vi)のケトンの還元は、還流温度で行われ、その後反応終了まで数時間、室温で撹拌される。反応時間が長いことにより、多くの不純物が生成する。
【0007】
(b)アルコール(vii)からスルホン(viii)への酸化は、オキソンを用いて行われる。オキソンは多くの不都合を有し、例えば、目、皮膚、鼻および咽頭を刺激する。適切な換気を行って使用すべきであり、その粉塵への曝露は最小限にすべきである。微量の重金属塩は、オキソンの分解を触媒する。それは、全ての有機溶媒に対してほとんど不溶であるため、相転位触媒を必要とする。
【0008】
(c)スルホアミノ化ヒドロキシスルホン(viii)の4−ヒドロキシ基の活性化および望ましいエチルアミンによる求核置換は、全てのジアステレオマー生成物(x)、すなわちトランスおよびシス異性体を結果として生じ、カラムクロマトグラフィーにより分離し、さらに分離剤を用いて分離する必要がある。
【0009】
リッター反応によるドルゾラミド塩酸塩の代替の製造ルートは、EP0296879に開示されており、ニトリルおよび強酸で脂肪族ヒドロキシルを処理してアミドを形成することからなる。開示されている方法を以下のスキーム2に示す。
【化3】

【0010】
前記反応は、立体配置を保持しながらヒドロキシスルホン(viii)を対応するアセトアミドスルホン(ix-a)に変換し、アミノ基を還元し、クロマトグラフィー分離および分解し、所望のトランス異性体(I)を得ることを含む。
【0011】
先行技術は、リッター反応を行うために過剰量の硫酸を使用することを教示しているため、反応の停止に大量の氷が必要となる。濃硫酸中の反応物が氷に接触した場合、物質の分解を引き起こす大量の局在的な熱を産生する。反応を停止させるために大量の水を必要とするため、抽出に必要な酢酸エチルの量も実質的に大量になる。水を使用することは得策でなく、産業的に適用可能でもない。
【0012】
米国特許第5688968号は、ドルゾラミドの代替の製造ルートであって、以下のスキーム3に示すようにキラル5,6-ジヒドロ-4-(S)-ヒドロキシ-6-(S)-メチル-4H-チオピラン-7,7-ジオキシドから開始する方法を開示する。
【化4】

【0013】
スキーム3に記載されている方法は、以下の不都合な点を有する:
(a)出発物質である高価なキラルヒドロキシスルホンの使用。出発物質であるキラルヒドロキシスルホンの製造方法は、米国特許第5,157,129、5,474,919および5,760,249に開示されている。これらの方法において、キラルヒドロキシスルホンは、対応するケトスルホンの非対称の酵素的還元、またはキラルチエニルチオブチル酸の環化によりキラルヒドロキシエステルまたはラクトンを得て、得られるケトンを立体特異的に還元することにより得られる。
【0014】
(b)本願の方法は、ドルゾラミドから望ましくないシス異性体を分離するためにマレイン酸を使用する。しかしながら、シス異性体を除去するためのこのマレイン酸塩の形成は、トランス/シスの比が95:5より大きい場合にのみ適する。このことは、シス異性体の含量が5%より多い場合には、ドルゾラミドのマレイン酸塩形成はシス異性体を排他的に除去しないことを意味する。望ましいキラル純度を達成するために、繰り返しの精製を往々にして必要とする。
【0015】
ドルゾラミド塩酸塩の製造のための他のルートは米国特許第7109353号に開示されており、以下のスキーム4に示すように、酸化剤として過ホウ酸ナトリウムを使用する。
【化5】

【0016】
スキーム4に開示されている方法は、以下の不都合な点を有する。
【0017】
(a)(i)から(ii)への変換は、混合物を18〜20時間還流することを必要とするため、時間がかかり、生成物中に不純物を生じ得る。
【0018】
(b)前記方法は(vi)を(vii)に変換するためにリッター反応を使用するため、熱い反応物を反応停止させるために大量の水を必要とし、産業的な設備において実用的でない。
【0019】
(c)過ホウ酸ナトリウムは、(v)を(vi)に変換するための酸化剤として使用されるが、漂白性を有し、その取扱いは長時間にわたる場合に有害である。
【0020】
ドルゾラミドを製造するためのさらに他の方法は、米国公開番号20060155132に開示されており、以下のスキーム5に示すように、キラル5,6-ジヒドロ-4-(R)-ヒドロキシ-6-(S)-メチル-4H-チエノ-[2,3-b]チオピラン-7,7-ジオキシドを保護することを含む。
【化6】

【0021】
スキーム5に開示されている方法は、以下の不都合な点を有する。
【0022】
(a)化合物(II)から(III)への変換プロセスは、−30℃〜0℃の非常に低い温度を必要とする。
【0023】
(b)アミノ化プロセスは16〜20時間必要とするため、時間がかかり、生成物中に不純物を生じ得る。
【0024】
これら全ての先行技術の不都合な点は、本発明の方法により克服される。
【発明の目的】
【0025】
本発明の目的は、ドルゾラミド塩酸塩の商業的な製造方法を提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、高価な試薬を使用することのない酸化プロセスを提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、過剰量のスルホン酸を使用しなくてもよい方法を提供し、製造方法を単純化することにある。
本発明のさらにもう1つの目的は、ドルゾラミドのシス異性体を分離する方法を提供することにある。
本発明のさらにもう1つの目的は、単純、経済的、且つ産業的な規模に適した方法を提供することにある。
【発明の概要】
【0026】
本発明の第1の側面によると、式(viii)のアセトアミドスルホンの製造方法であって、酸化剤の存在下で式(vii)のヒドロキシスルホンアミドを酸化することを含んでなる方法が提供される。
【化7】

【0027】
1つの実施形態において、前記酸化剤は、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシ硫酸、過ホウ酸、過ギ酸、過マレイン酸およびペルオキシジクロロマレイン酸(例えば、過酸化水素および無水ジクロロマレイン酸から調製される)のような過酸;任意にバナジウム触媒の存在下におけるtert-ブチルヒドロペルオキシド;ジメチルジオキシラン;セレニウムジオキシド;m−フェナントロリンジ−N−オキシド(例えばHおよびm−フェナントロリンから調製される);硝酸ならびに過酸からなる群より選択される。好ましくは、前記酸化剤は過酸化水素である。
【0028】
1つの実施形態において、前記酸化は、タングステン酸またはタングステン酸ナトリウムのようなタングステン酸塩により触媒される。好ましくは、前記酸化はタングステン酸ナトリウムにより触媒される。
【0029】
酸化反応において溶媒が使用されてよく、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メタノール、tert-ブタノール、酢酸、硫酸、水、トリフルオロ酢酸、クロロホルムおよびそれらの混合物から選択されてよい。反応のための好ましい溶媒は、水、酢酸エチルまたはこれらの混合物である。
【0030】
好ましい実施形態において、反応終了後に過剰な過酸が反応系に存在し、これは硫酸ナトリウムまたは二酸化マンガンの溶液中で反応系を失活させることにより分解されてよい。
【0031】
式(viii)のアセトアミドスルホンは、ドルゾラミドに変換されてよい。例えばEP0296879の方法のような先行技術の方法のいくつかは、式(viii)のアセトアミドスルホンを変換するために使用されてよい。
【0032】
本発明のもう1つの側面によると、式(ix-a)のアセトアミドスルホンの製造方法であって、アセトニトリルおよび酸の存在下、式(viii)のヒドロキシスルホンを式(ix-a)のアセトアミドスルホンに変換することを含んでなる方法が提供される。
【化8】

【0033】
1つの実施形態において、前記酸は硫酸である。適切には、15モル当量未満の硫酸が使用される。
【0034】
反応終了後に過剰な硫酸が反応系に存在し得るが、アンモニアガスで除去することにより中和されてよい。中和中に形成される硫酸アンモニウムは、ろ過により分離されてよい。
【0035】
式(ix-a)のアセトアミドスルホンは、溶媒の濃縮、ろ過および水でのクエンチングにより単離されてよい。1つの実施形態において、前記単離は炭酸水素ナトリウムでの洗浄を含まない。
【0036】
1つの実施形態において、式(viii)のヒドロキシスルホンは、上述した方法に従って調製される。
【0037】
式(ix-a)のアセトアミドスルホンは、その後、当業者に周知の適切な還元剤を用いて式(x)のドルゾラミドに還元されてよい。
【化9】

【0038】
前記還元剤は、NaBH4/BF3(Et2)Oであってよい。
【0039】
本発明のもう1つの側面によると、ドルゾラミドのトランス異性体とドルゾラミドのシス異性体との混合物からドルゾラミドのシスおよびトランス異性体を分離するための方法であって、前記異性体混合物をカルボン酸と反応させることを含んでなる方法が提供される。
【0040】
1つの実施形態において、前記カルボン酸は、フマル酸、安息香酸、酢酸、サリチル酸およびp−ヒドロキシ安息香酸からなる群より選択され、好ましくはサリチル酸またはp−ヒドロキシ安息香酸である。より好ましくは、前記酸はサリチル酸である。
【0041】
本発明の方法は、トランス異性体を用いて酸付加塩を選択的に形成することにより、望ましいトランス異性体から望ましくないシス異性体を除去する。それ故、トランス異性体の塩は、シス異性体の遊離塩基から分離されてよい。サリチル酸塩は、30%以下のシス異性体を含むドルゾラミドの異性体混合物から望ましくないシス異性体を選択的に除去する。それ故、1つの実施形態において、ドルゾラミドのトランス異性体とドルゾラミドのシス異性体との混合物は、30%以下のドルゾラミドのシス異性体を含む。本発明のもう1つの側面によると、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%のトランス含量を有するドルゾラミドサリチル酸塩が提供される。言い換えると、トランス−(±)−ドルゾラミドサリチル酸塩の割合が少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%であるトランス−(±)−ドルゾラミドサリチル酸塩とシス−(±)−ドルゾラミドとの混合物が提供される。これは、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の純度を有するトランス−(±)−ドルゾラミドサリチル酸塩として表現されてもよい。
【0042】
酸との反応は、ケトン、エステル、アルコール、脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素、またはそれらの混合物のような有機溶媒の存在下、好ましくはケトンおよびエステル、最も好ましくは酢酸エチルおよびアセトンを単独または混合物として用いて行われてよい。
【0043】
トランスドルゾラミドの酸塩は、当業者に周知の通常の方法により、トランス−(±)−ドルゾラミド塩基に変換されてよい。
【0044】
前記トランス−(±)−ドルゾラミド塩基は、ジ−p−トルオイル−酒石酸のようなキラル分解剤を用いて分解されてよい。使用される溶媒は、好ましくは、極性のプロトン性もしくは非プロトン性溶媒または非極性溶媒またはそれらの混合物から選択され、好ましくは極性のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合物、最も好ましくは2−プロパノールとアセトニトリルの混合物である。1つの実施形態において、前記溶媒は約10容積で存在する。
【0045】
例えばドルゾラミドジ−p−トルイル−L−酒石酸塩のような分解剤とドルゾラミドの塩は、ドルゾラミドの遊離塩基を単離することにより、またはドルゾラミドの遊離塩基を単離することなく、塩酸塩に変換されてよい。
【0046】
本発明のもう1つの側面によると、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99.5%の純度を有するトランス−(−)ドルゾラミド塩酸塩が提供される。
【0047】
本発明のもう1つの側面によると、上述した方法により製造されたドルゾラミド塩酸塩が提供される。
【0048】
本発明のもう1つの側面によると、上述した方法により製造されたドルゾラミド塩酸塩の医薬としての使用が提供される。
【0049】
本発明のもう1つの側面によると、上述した方法により製造されたドルゾラミド塩酸塩の高眼圧症における使用が提供される。
【0050】
本発明は、治療を必要とする患者に炭酸脱水酵素阻害剤を投与することにより疾患を予防、改善、または排除する、疾患の治療方法も提供され、該方法は、実質的に上述されている本発明に従って調製されたドルゾラミド塩酸塩の治療的有効量を患者に投与することを含んでなる。
【発明の詳細な説明】
【0051】
本発明は、式Iのドルゾラミド塩酸塩の改善された合成方法を提供する。
【0052】
1つの側面において、本発明は、適切な酸化剤、好ましくはスキーム6に示すように過酸化水素を使用して式(vii)のヒドロキシスルホンアミドを酸化することにより、式(viii)のアセトアミドスルホンを製造する方法を提供する。
【化10】

【0053】
過酸化水素を用いた、溶媒の存在下におけるスルフィドからスルホンへの酸化は、特に反応がタングステン酸またはタングステン酸ナトリウム、好ましくはタングステン酸ナトリウムにより触媒される場合に、よい収率で行われる。過酸化水素は、活性酸素含量が高く、分子量が小さい。それは、安価で、広範に利用可能であり、強く、無公害の酸化剤である。前記方法に使用される溶媒は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メタノール、tert-ブタノール、酢酸、硫酸、水、トリフルオロ酢酸、クロロホルムおよびそれらの混合物から選択される。反応に対して好ましい溶媒は、水、酢酸エチルまたはこれらの混合物である。これらの溶媒の利点は、先行技術において以前に報告されているように、撹拌時間が一晩から2時間に劇的に減少することである。過剰な過酸は、オキシダントを含有する反応系の蒸発に対して、亜硫酸ナトリウムまたは二酸化マンガンの溶液中で反応物を反応停止させることにより分解されてよいことが先行技術で報告されている。酸素を送達した後、過酸化水素酸化において形成される副産物は無公害の水である。それ故、産業における過酸化水素の使用は非常に好ましい。それ故、過酸化水素の使用は製造コストを減少させ、作業を単純化し、廃水処理の問題も最小限にできる。これは、本発明のもう1つの側面を形成する。
【0054】
本発明のもう1つの側面において、本発明は、式(ix-a)のアセトアミドスルホンの改善された製造方法に向けられる。該方法は、以下のスキーム7に示すように、リッター反応による式(viii)のヒドロキシスルホンの変換を含んでよい。
【化11】

【0055】
前記方法は、溶媒および作用物質として作用するアセトニトリル中で行われる。先行技術において報告されている19.35モル当量の代わりに15モル当量未満の硫酸が使用されてよく、大量の硫酸を扱うことを避けられる。利点は、反応時間が、先行技術において報告されている一晩の撹拌から6時間に劇的に減少することである。本発明の方法においては、作業方法が単純化されることにより、高い純度で生成物が得られ、先行技術の作業方法を使用した場合に形成される不純物を最小限にし得る。本発明において、反応終了後、過剰量の硫酸は、アンモニアガスを通すことにより中和されてよい。アンモニアの使用は、局所的な熱の発生を避け、先行技術において報告されているような大量の氷中で反応を停止させることによる物質の分解も引き起こさない。反応において生成する硫酸アンモニウムは、ろ過により分離されてよい。生成物は有機的なろ液を濃縮して残留物を得、残留物を水中で急冷することにより容易に単離される。得られる生成物は、80%より多いトランス異性体を含む。この方法は、水および酢酸エチルのような大量の溶媒を扱わなくてよく、先行技術において報告されているようにそれに続く炭酸水素ナトリウムによる洗浄を行わなくてよく、これは本発明のもう1つの側面を形成する。
【0056】
式(ix-a)のアセトアミドスルホンは、その後、適切な還元剤を用いて、式(x)のシスおよびトランス−ドルゾラミドの混合物に還元されてよい。生成物は、シス−トランス比を維持したまま得られる。
【化12】

【0057】
本発明のもう1つの側面は、酸付加塩を形成することによりドルゾラミドのシス異性体を分離する方法を提供し、1つの実施形態を以下のスキーム8に示す。
【化13】

【0058】
式中のHAは酸であり、Aはアニオンである。前記アニオンは、酸HAに対応する。スキーム8において使用される酸は、好ましくはカルボン酸または塩酸、硫酸のような鉱酸である。
【0059】
本発明は、溶媒または溶媒混合物中に酸付加塩を形成することにより望ましいトランス異性体から望ましくないシス異性体を除去する方法にも向けられ、先行技術において報告されているような面倒なカラムクロマトグラフィーを行わなくてよい。塩の形成のために使用される酸は、フマル酸、安息香酸、酢酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸または安息香酸のようなカルボン酸からなる群より選択されてよく、好ましくはサリチル酸またはp−ヒドロキシ安息香酸である。より好ましくは、前記ドルゾラミド塩は、トランス(±)−ドルゾラミドサリチレートである。他の酸付加塩は、先行技術において報告されているように、ドルゾラミド中の望ましくないシス異性体含量が5%以下である場合にシス異性体を除去できるのに対して、前記サリチル酸塩は、30%以下のシス異性体を含むドルゾラミドから望ましくないシス異性体を選択的に除去することが可能である。前記塩の調製は、ケトン、エステル、アルコール、脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素、またはそれらの混合物のような有機溶媒、好ましくはケトンおよびエステル、最も好ましくは酢酸エチルおよびアセトンの単独または組み合わせの存在下で行われてよい。そのようにして得られたドルゾラミドサリチレートは、シス異性体の割合が1%未満であるトランス−(±)−ドルゾラミドを含む。
【0060】
そのように形成されたトランスドルゾラミドサリチレートは、通常の方法により式(xii)のトランス−(±)−ドルゾラミド塩基に変換されてよい。
【0061】
式(xii)のトランス−(±)−ドルゾラミド塩基は、その後、ジ−p−トルオイル酒石酸のようなキラル分離剤を用いて分離されてよい。使用される溶媒は、好ましくは、極性のプロトン性もしくは非プロトン性溶媒または非極性溶媒またはそれらの混合物から選択され、好ましくは極性のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合物であり、最も好ましくは2−プロパノールとアセトニトリルの混合物である。この溶媒の組み合わせは、トランス異性体を分離するために単独で使用する場合に約100容積も必要とされるn−プロパノールのような先行技術において使用される溶媒を超える利点がある。本発明の方法において、望ましいトランス(−)異性体は、約10容積の溶媒を使用することにより容易に単離されるため、反応容積および時間を減少させ、バッチサイズおよび収量を増大させ、本発明のもう1つの側面を形成する。
【0062】
例えばドルゾラミドジ−p−トルイル−L−酒石酸塩のようなドルゾラミドの塩および分離剤は、塩基を単離することにより、または塩基を単離しないで塩酸塩に変換されてよい。この方法により調製されるドルゾラミド塩酸塩は、対応する4R,6Rジアステレオマーを0.5%より多く含まない。
【0063】
以下の非限定的な例は、本発明の範囲を限定することなく本発明により提供される方法を説明する。
【0064】
実施例1
5,6-ジヒドロ-4H-4-ヒドロキシ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミドの調製
メタノール中の5,6-ジヒドロ-4H-6-メチルチオ[2,3-b]チオピラン-4-オン-2-スルホンアミド(100.0 gms, 0.54モル)の懸濁液に、水素化ホウ素ナトリウム(20.0 gms, 0.52モル)を0℃〜5℃で加えた。混合物を0℃〜5℃で15分間撹拌し、その後25℃〜30℃で2時間撹拌した。50℃以下の減圧下で、反応系からメタノールを蒸発させた。反応系を25℃〜30℃に冷却し、1000 mlの水を加えた。反応系をさらに10℃に冷却し、硫酸(29.9 gms, 0.30モル)を用いてpH 2に酸性化し、15分間撹拌した。温度を10℃以下に維持しながら、10%水酸化ナトリウム溶液を用いて反応系のpHを7〜8に調整した。反応物を10℃で15分間撹拌し、その後25℃〜30℃で10分間撹拌した。生成物を1000 ml酢酸エチル中で3回抽出した。溶媒を減圧下で蒸発させ、100.7 gmsの標題化合物を得た。
【0065】
実施例2
5,6-ジヒドロ-4H-4-ヒドロキシ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドの調製
900ml酢酸エチルおよび100ml水中の5,6-ジヒドロ-4H-4-ヒドロキシ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド(100.7 gms, 0.37モル)の溶液に、タングステン酸ナトリウム(12.75 gms, 0.038モル)を25℃〜30℃で加えた。反応系を5℃に冷却した。30% H2O2 (200.0 ml, すなわち 222 gms, 1.95モル)の溶液を、温度を5℃以下に維持しながら反応系にゆっくりと加え、さらに0℃〜10℃で1時間撹拌した。温度を25℃〜30℃に昇温し、1時間撹拌した。0℃〜5℃の間で、10% 亜硫酸ナトリウム溶液(100 gms, 1000ml水中0.79モル)を加えた。反応系を25℃〜30℃で15分間撹拌した。層を分離し、水層を500 ml酢酸エチルで4回洗浄した。混合性の有機層を10 %塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。溶媒を減圧下で2容積まで蒸留し、25℃〜30℃に冷却し、1時間撹拌し、ろ過により単離し、標題化合物(92.5 gms)を得た。
【0066】
実施例3
5,6-ジヒドロ-4H-4-アセチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドの調製
アセトニトリル(1110 ml)中の5,6-ジヒドロ-4H-4-ヒドロキシ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド(92.5 gms, 0.31モル)を硫酸98% (165.7 ml, 205 gms, 3.11モル)に5℃以下で滴下した。添加後、懸濁液を25℃まで温め、6時間撹拌した。10℃〜20℃で、アンモニアガスを用いて反応系のpHを9〜10に調節した。反応系をさらに25℃で1時間撹拌し、ろ過し、500 mlアセトニトリルで洗浄した。減圧下で蒸留して残留物を得た。減圧下、70〜80℃で、微量の溶媒を水で除去した。残留物を25℃〜30℃に冷却し、撹拌し、ろ過して、5,6-ジヒドロ-4H-4-アセチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド(83.25 gms)を得た。
【0067】
実施例4
5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドの調製
THF (832 ml)中の5,6-ジヒドロ-4H-4-アセチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド(83.25 gms, 0.24モル)の懸濁液を0℃に冷却し、温度を5℃以下に維持しながら水素化ホウ素ナトリウム(49.11 gms, 1.29 moles)を一度に加えた。反応系を5℃で15分間撹拌し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(249.75 ml, 287.2 gms, 2.02モル)を5℃以下で加えた。反応系を0℃〜5℃で5時間撹拌した。反応系の温度を25℃〜30℃に上げ、18時間撹拌した。5℃以下の1M硫酸溶液(1082 ml)中で反応を停止させ、温度を25℃〜30℃に上げて1時間撹拌した。溶媒を減圧下、80℃で蒸留した。反応系を10℃に冷却し、50%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7〜8に調整した。1665 ml酢酸エチル中で1回、832 mlで2回抽出した。混合性の有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、木炭を通し(charcoalised)hyfloでろ過し、蒸留して、標題化合物(77.42 gms)を得た。
【0068】
HPLC: 80:20::トランス:シス。
【0069】
実施例5
(a)5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドサリチレートの調製
酢酸エチル(541.9 ml)およびアセトン(309.68 ml)に、実施例4の生成物(77.42 gms, 0.23 モル, 80% トランス)を加えた。反応系を45〜50℃に加熱して透明な溶液とし、サリチル酸(37.92 gms, 0.27モル)を45℃〜50℃で加えた。反応系を1時間還流し、25℃〜30℃に冷却し、2時間撹拌した。得られた固体をろ過により単離した。ろ過ケークを酢酸エチル:アセトン(5:3容積)の溶媒混合物中で精製し、68.10 gmsのサリチル酸塩を得た。
トランス異性体>99.9%
シス異性体<0.1%。
それ故、トランス異性体の量は、80%〜99%超である。
【0070】
(b)5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド p-ヒドロキシベンゾエートの調製
5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド p-ヒドロキシベンゾエートを、5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドおよびp-ヒドロキシ安息香酸から、70%の収率で、同様の方法により得た。
【0071】
(c)5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドベンゾエートの調製
5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドベンゾエートを、5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシドおよび安息香酸から、76%の収率で、同様の方法により得た。
【0072】
実施例6
5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド ジ-p-トルオイル-(L)酒石酸塩
(a)実施例5(a)で調製したサリチル酸塩(68.1 gms, 0.14モル)を酢酸エチル(955.0 ml)中に入れ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(284.0 ml)を用いて塩基性化した。反応系を25℃〜30℃で15分間撹拌し、水層を酢酸エチル(476 ml×2)で抽出し、有機層を混合し、ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。透明な溶媒溶液を蒸留により完全に除去した。残留物をイソプロパノール:アセトニトリル(2:1) 476 mlの混合物中に溶解して透明な溶液を得、ジ-p-トルイル-L-酒石酸塩(62.4gms)を還流温度で加え、1時間還流した。反応系を25℃に冷却し、2時間撹拌した。生成物をろ過により単離し、イソプロパノール:アセトニトリル(500 ml)中で再結晶し、収量44.26 gmsの標題化合物を得た。
トランス(-)ドルゾラミド ジ-p-トルオイル-L-タータラート > 99.5%
トランス(+)ドルゾラミド ジ-p-トルオイル-D-タータラート < 0.5%
シス異性体 <0.1%。
【0073】
(b)同様に、実施例6(a)に記載の方法を用いて、実施例5(b)のp-ヒドロキシベンゾエート塩から標題化合物が得られた。
【0074】
(c)同様に、実施例6(a)に記載の方法を用いて、実施例5(c)のベンゾエート塩から標題化合物が得られた。
【0075】
実施例7
5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド塩酸塩
(a)実施例6で調製したドルゾラミド ジ-p-トルイル-L-酒石酸塩 (44.26 gms, 0.085 モル)を酢酸エチル(557.0 ml)に入れ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて塩基性化した。反応系を25℃〜30℃で15分間撹拌し、水層を酢酸エチル(278 ml×2)で抽出した。有機層を混合し、ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、炭素を通した。得られた透明な溶液に、IPA + HCL (16.35 ml, 0.089モル)を加え、30分間撹拌し、大気圧、85℃における蒸留により約280 ml容積まで酢酸エチルを除去し、25〜30℃に冷却し、同じ温度で12時間撹拌し、ろ過し、26.0 gmsのドルゾラミド塩酸塩を得た。
トランス(-)ドルゾラミド塩酸塩 > 99.5%
トランス(+)ドルゾラミド塩酸塩 < 0.5%
シス異性体 <0.1%。
【0076】
(b)ドルゾラミド塩酸塩は、実施例6(b)の塩から、定量的な収量で、同様の方法で得られた。
【0077】
(c)ドルゾラミド塩酸塩は、実施例6(c)の塩から、定量的な収量で、同様の方法で得られた。
【0078】
実施例8
塩基の単離をしない5,6-ジヒドロ-4H-4-エチルアミノ-6-メチルチエノ[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド塩酸塩の調製
実施例6で調製したドルゾラミド ジ-p-トルイル-L-タータラート(50 gms, 0.096モル)をイソプロパノール(1000 ml)と共に丸底フラスコに入れた。反応系を80℃に加熱し、IPA-HCl (20 ml)を滴下してpHを3〜4にした。反応系を加熱して、5〜10分間還流した。得られた透明の溶液を100 mlに濃縮した。反応系に300 ml酢酸エチルを加え、25℃まで冷却し、同じ温度で12〜14時間撹拌した。得られたドルゾラミド塩酸塩をろ過により単離し、酢酸エチル(50 ml)で洗浄し、減圧下、60〜65℃で5〜6時間乾燥した。収量- 30 gms。
【0079】
トランス(-)ドルゾラミド塩酸塩 > 99.5%
トランス(+)ドルゾラミド塩酸塩 < 0.5%
シス異性体 <0.1%。
【0080】
本発明は上述した実施例の細部に限定されず、本発明はその本質的な属性から離れることなく他の特異的な形態で表現されてよいことは当業者に明らかであり、それ故、本発明の実施形態および実施例は、全ての側面において説明のためのものであり非限定的であり、参考文献は上述した説明よりもむしろ付属の特許請求の範囲を形成し、実施例と均等の意味および範囲に属する全ての変形はその中に包含されると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジメチルジオキシラン、セレニウムジオキシド、m−フェナントロリンジ−N−オキシド、硝酸および過酸化水素からなる群より選択される酸化剤の存在下で、式(vii)のヒドロキシスルホンアミドを酸化することを含んでなる、式(viii)のアセトアミドスルホンの製造方法。
【化1】

【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記酸化剤は、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸、ペルオキシ硫酸、過ホウ酸、過ギ酸、過マレイン酸およびペルオキシジクロロマレイン酸からなる群より選択される過酸である方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記酸化剤は過酸化水素である方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記酸化はタングステン酸またはタングステン酸の塩により触媒される方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記酸化はタングステン酸ナトリウムにより触媒される方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、前記酸化は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メタノール、tert-ブタノール、酢酸、硫酸、水、トリフルオロ酢酸、クロロホルムおよびそれらの混合物からなる群より選択される溶媒の存在下で行われる方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記溶媒は、水、酢酸エチルまたはそれらの混合物である方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、過剰量の過酸が酸化終了後の反応系に存在し、前記過剰量の過酸は、亜硫酸ナトリウムまたは二酸化マンガンの溶液中で反応系を失活させることにより分解する方法。
【請求項9】
式(ix-a)のアセトアミドスルホンの製造方法であって、アセトニトリルおよび酸の存在下で、式(viii)のヒドロキシスルホンを式(ix-a)のアセトアミドスルホンに変換することを含んでなる方法。
【化2】

【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記酸は硫酸である方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記変換において15モル当量未満の硫酸が使用される方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法であって、前記変換の完了後に過剰量の硫酸が反応系に存在し、該過剰量の硫酸はアンモニアガスを通すことにより中和される方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法であって、式(ix-a)のアセトアミドスルホンは、溶媒の濃縮、ろ過および水によるクエンチングにより単離される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記単離は炭酸水素ナトリウム洗浄を含まない方法。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法であって、前記式(viii)のヒドロキシスルホンは請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により調製される方法。
【請求項16】
式(x)のドルゾラミドの製造方法であって、請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法により式(ix-a)のアセトアミドスルホンを製造することと、適切な還元剤を用いて式(ix-a)のアセトアミドスルホンを還元することとを含んでなる方法。
【化3】

【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記還元剤はNaBH4/BF3(Et2)Oである方法。
【請求項18】
ドルゾラミドのトランス異性体とドルゾラミドのシス異性体の混合物からドルゾラミドのシス異性体およびトランス異性体を分離する方法であって、異性体の混合物をカルボン酸と反応させることを含んでなる方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記カルボン酸は、フマル酸、安息香酸、酢酸、サリチル酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸からなる群より選択される方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記カルボン酸はサリチル酸またはp−ヒドロキシ安息香酸である方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記カルボン酸はサリチル酸である方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、サリチル酸との反応後における反応混合物中のトランス異性体の含量は少なくとも99%である方法。
【請求項23】
請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法であって、前記カルボン酸との反応は、ケトン、エステル、アルコール、脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素、またはそれらの混合物から選択される有機溶媒の存在下で行われる方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記溶媒は、ケトン、エステルまたはそれらの混合物である方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記溶媒は、酢酸エチル、アセトン、またはそれらの混合物である方法。
【請求項26】
請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法であって、前記トランスドルゾラミド酸塩はトランス−(±)−ドルゾラミド塩基に変換される方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記トランス−(±)−ドルゾラミド塩基はキラル分離剤の存在下で分離される方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記キラル分離剤はジ−p−トルオイル−酒石酸である方法。
【請求項29】
請求項27または28に記載の方法であって、前記分離は、極性のプロトン性もしくは非プロトン性溶媒または非極性溶媒またはそれらの混合物から選択される溶媒中で行われる方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記溶媒は極性のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒の混合物である方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記溶媒は2−プロパノールとアセトニトリルの混合物である方法。
【請求項32】
請求項27〜31のいずれか1項に記載の方法であって、前記ドルゾラミドの塩は、ドルゾラミドの塩酸塩に変換される方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記ドルゾラミドの塩は、ドルゾラミドの遊離塩基を単離することにより、またはドルゾラミドの遊離塩基を単離することなく、ドルゾラミドの塩酸塩に変換される方法。
【請求項34】
請求項18〜25のいずれか1項に記載の方法であって、ドルゾラミドのトランス異性体とドルゾラミドのシス異性体の混合物は請求項16または17に記載の方法により製造される方法。
【請求項35】
実質的に実施例に記載されている方法。

【公表番号】特表2010−526127(P2010−526127A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506995(P2010−506995)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001592
【国際公開番号】WO2008/135770
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】