説明

ドロップブレーカーを備えたフロントガラスワイパーの駆動装置

本発明は、接続ロッド(6)と、フロントガラスのワイパーブレードのシャフト(4)を駆動するクランク(5)とから構成される少なくとも2つの駆動部材を備える種類の自動車のフロントガラスワイパーの駆動装置に関し、本装置では、接続ロッド(6)及び/又はクランク(5)の一部のパーツが、車両の排気及び暖房システムのエアインレットスクープ(10)の上方を通過する。本発明は、接続ロッド(6)及び/又はクランク(5)の、前記エアインレットスクープ(10)の上方に張り出した部分から離れた位置に配置されたドロップブレーカー(12)を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、接続ロッドと、ワイパーアームのスピンドルを駆動するクランクとからなる少なくとも2つの駆動部材を備える種類の、フロントガラスワイパーの駆動装置に関するものである。
【0002】
スペースが制限されていることにより、助手席側において、接続ロッド及び/又はクランクの一部のパーツが排気及び暖房システムの空気取り入れ口の上を通っている場合がある。
本出願人は、暖房ダクトに水が進入することがあり、排気システムが稼動しているとき、この水が霧状になって客室に入り込む危険があることを発見した。
【0003】
本発明の目的は、この問題を解決することである。
本発明は、接続ロッド及び/又はクランク上の、前記空気取り入れ口を垂直に横切ることのない位置にドロップブレーカーシステムを配置することにより、この課題を達成する。
【0004】
出願人は、実際に、このような暖房ダクトへの水の進入は、分析により、ワイパーのスピンドルから水が毛管作用により駆動部品(クランク及び接続ロッド)の下側に沿って通過する現象によるものであることを発見した。前記部品が空気取り入れ口の上で移動するとき、流れる水が吸い込まれ、暖房ダクトに運ばれることがある。
本発明により、特定の領域に限定して配置された1つ以上のドロップブレーカーを使用して、空気取り入れ口の上を垂直に通過しない所定の位置で水滴が形成されることを事前に決定することにより、そのような水滴が回路内に進入する危険を無くすことができる。
【0005】
有利には、このドロップブレーカーは、当該ドロップブレーカーが配置される部品の表面の不連続性、特にこの表面上に形成された急な凹凸、或いは、表面又は表面の端面に形成された切開部により構成される。
有利には、ドロップブレーカーは、接続ロッドの下側の下方に数ミリメートルの間隔で設けられる2つの突出ラグにより構成される。
【0006】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照する後述の説明により明らかになる。
【実施例1】
【0007】
車両のフロントガラスワイパーの駆動装置は一般に、2つの固定アーム2を支持するシャーシ1を備え、各固定アームの一方の端部は、ワイパーアームのスピンドル4を支持するベアリング3を有する。このスピンドル4は、ダブルクランク式のクランク5により駆動され、交互に反対方向に回転運動を行い、このクランク自体は接続ロッド6によって駆動される。接続ロッドの一方の端部は前記クランク5に間接接続されており、他方の端部は、シャーシ1に支持されるモータ8によって駆動されて往復(前後)の直線運動を行なうスピンドル7に接続されている。接続ロッド6は助手席側で、車両の排気及び暖房システムの空気取り入れ口10の一部の上を通過する。
水が助手席側の接続ロッド6に沿って垂れている場合、空気取り入れ口10に吸い込まれる危険がある。そのように水が取り入れ口に進入すると、水は暖房ダクトまで運ばれ、次いで運転者が排気システムのスイッチを入れると客室に運ばれて霧状になる。
【0008】
本発明によれば、ドロップブレーカーが設けられ、これが、取り入れ口10の上にかかる領域以外の領域において水流を分断することが可能な位置に配置されることにより、水滴が採水器の規定領域内に集まり、いかなる危険も無くなる。
ドロップブレーカーは、助手席側の接続ロッド6及び/又は助手席側のクランク5に設置することができる。一般に、ドロップブレーカーは、水の流れを水滴に分断することができるような、関連部品(接続ロッド又はクランク)の連続的な表面の不連続箇所から構成される。このような不連続は、例えば、部品の表面上に設けられたラグ、又は関連部品の端面の小さな切開部の形態とすることができる。
【0009】
図1に示す第一実施形態によれば、ドロップブレーカーシステム12は、助手席側の接続ロッド6の、取り入れ口10から常に離れている領域に配置されている。このシステムは、接続ロッド6の下の、例えば図3に示されるような、毛管作用により水が運ばれる位置に配置された少なくとも1つのラグ、好ましくは2つの突出するラグ13から構成されている。1又は複数のラグ13は、水流の経路を分断し、取り入れ口10から離れた所定の地点で水を落下させる。接続ロッド6の下側の下方に設けられたこれらのラグ13は、接続ロッドの機械特性(慣性モーメント、剛性、動作)に影響しない。2つのラグは、数ミリメートルの間隔で配置され、2つの急な角(例えば90度)を形成することができ、ラグに向かって水を直角に進ませる。
【0010】
第一の実施形態と組み合わせることができる第二の実施形態によれば、ドロップブレーカーシステム12’は助手席側のクランク5上に配置することができる。この原理は、例えばアーク形状の、1又は複数の小さな切開部13’を、クランク5の、スピンドル4に近い部分に形成することにより、クランク5の端面を分断することである。有利には、クランクの2つの端面の各々に1つの切開部13’を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】自動車のフロントガラスワイパーの駆動装置を上方から見た概略斜視図である。
【図2】図1と同じ要素を側方から見た部分概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ロッド(6)と、ワイパーアームのスピンドル(4)を駆動するためのクランク(5)とから構成される少なくとも2つの駆動部材を備える種類の、自動車のフロントガラスワイパーの駆動装置であって、接続ロッド(6)及び/又はクランク(5)の一部が、車両の排気及び暖房システムの空気取り入れ口(10)の上を通過している装置において、接続ロッド(6)及び/又はクランク(5)の、前記空気取り入れ口(10)の上を垂直に横切らない位置に配置されたドロップブレーカー(12、12’)を特徴とする装置。
【請求項2】
ドロップブレーカー(12、12’)が、当該ドロップブレーカーが配置される部品の表面における不連続性から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ドロップブレーカー(12)がこの表面上に形成された急な凹凸から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ドロップブレーカー(12)が接続ロッド(6)上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ドロップブレーカー(12)が、接続ロッドの下側の下方に数ミリメートルの間隔で配置される2つの突出するラグ(13)から構成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
ドロップブレーカー(12’)が、前記部品の表面又は表面の端面に形成された切開部(13’)から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
ドロップブレーカー(12’)が、クランク(5)上に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−509851(P2009−509851A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532834(P2008−532834)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050924
【国際公開番号】WO2007/036661
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】