説明

ナノインプリント用モールド搬送装置および転写方法

【課題】連続処理が可能で、かつモールドや被転写体を損傷しない転写装置のナノインプリント用モールド搬送装置。
【解決手段】搬送装置3はローラ21a、21bを有し、ローラ21a、21bには、搬送ベルト13が巻きつけられている。ローラ21a、21bがA1、A2方向に回転すると、搬送ベルト13はB方向に移動し、被転写体9を搬送する。搬送装置3の上方にはベルト11が設けられている。ベルト11はローラ23a、23bに巻きつけられており、ローラ23a、23bがC1、C2方向に移動することにより、B方向に移動する。ベルト11の表面には複数のモールド15が設けられている。転写の際は、搬送ベルト13およびベルト11をB方向に移動させながら、モールド15をアクチュエータを用いて下降させ、被転写体9に押圧することにより、転写形状を連続して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント技術を用いて半導体等の基板上に形状を転写する転写装置のナノインプリント用モールド搬送装置および転写装置を用いた転写方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板上に回路のパターン形状を転写する技術としては、フォトリソグラフィが知られている。
フォトリソグラフィは、半導体基板上に感光剤であるレジストを塗布し、フォトマスクを介してパターン形状を露光によって転写し、その後、レジストを除去することによって、半導体基板上に所望のパターン形状を転写する技術である。
【0003】
一方、近年では半導体基板の低コスト化、高精度化の要求が高まっている。
しかしながら、フォトリソグラフィは工程が多岐に渡り、生産性が悪く、また、転写形状の微細化によって、要求される寸法精度が、露光に用いられる光源の波長に近づいていることなどから、これ以上の低コスト化、高精度化は困難となってきている。
【0004】
そこで、フォトリソグラフィに代わる技術として、ナノインプリントと呼ばれる技術が近年注目されている。
【0005】
ナノインプリントは、パターン形状の転写をインプリント用のモールド、すなわち型で行う技術であり、転写形状が形成されたモールドをレジスト等の被転写体表面に押し付け、押し付けた状態で被転写体の表面を硬化させることによって、被転写体上に転写形状を形成する。
【0006】
ナノインプリントはフォトリソグラフィと比べて、装置の構造が単純であり、かつ高精度を実現できるため、低コスト、高精度の技術として注目されている。
【0007】
ここで、ナノインプリント用のモールドは、従来、平板上に形成され、平板を被転写体表面に押し付けることによって形状を転写していた。
【0008】
一方、このような転写装置では、連続処理ができず、生産性が悪いため、円筒状のローラの表面にモールドを設け、これを回転させながら被転写体上に連続して形状を転写する転写装置が開発されており、以下のようなものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001-198979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、円筒状のローラでは、被転写体とモールドの接触が線接触である。
そのため、連続処理を行うと接触時間が短く、被転写体が硬化する前にモールドと被転写体が分離してしまい、被転写体上の転写形状が崩れてしまうおそれがある。
【0010】
従って、被転写体が硬化するまでの間は、モールドと被転写体とを接触させた状態で、ローラの回転を停止していなければならず、実際には連続処理ができなかった。
【0011】
また、被転写体からモールドを分離する際には、円筒状のモールドでは垂直に分離することができないため、被転写体からモールドが垂直でない角度をもって分離されることになる。
従って、アスペクト比の大きい転写形状の場合は、分離の際に、モールドや被転写体が損傷してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は連続処理が可能で、かつモールドや被転写体を損傷しない転写装置のナノインプリント用モールド搬送装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、被転写体上に、転写形状を有するモールドを押圧することによって、前記被転写体上に転写形状を形成するナノインプリント用転写装置に用いられるナノインプリント用モールド搬送装置であって、被転写体が載置された面に対向して設けられ、連続して移動可能なベルトと、前記ベルトの前記被転写体と対向する面に設けられ、転写形状を有するモールドと、前記モールドを前記被転写体に押圧する押圧手段と、を具備することを特徴とするナノインプリント用モールド搬送装置である。
【0014】
前記ベルトは、一対の第1のローラに巻きつけられ、一対の前記第1のローラの回転によって連続して移動させる。前記ベルトは、板状部材をつなぎ合わせた構造を有し、前記ローラは、多角形の角柱形状を有していてもよい。
前記ベルトは、複数の板状部材を、前記被転写体を載置する面と平行な面内で連結した環状構造を有しており、前記モールド搬送装置は、前記ベルトを前記被転写体を載置する面と平行な面内で回転させる回転手段を具備し、前記回転手段により前記ベルトを回転させることにより、前記ベルトが連続して移動してもよい。
【0015】
前記押圧手段は、前記モールドを前記被転写体に対して略垂直に上下動させることが可能なアクチュエータであり、前記アクチュエータによって、前記モールドを下降させることにより、前記モールドが前記被転写体の表面に略垂直に押圧され、前記モールドは、複数個に分割され、前記アクチュエータは、分割された個々の前記モールドごとに、前記ベルトに設けられ、分割された個々の前記モールドが独立して前記アクチュエータにより上下動可能であってもよい。
【0016】
第2の発明は、被転写体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の前記被転写体を載置する面に対向して設けられ、前記搬送装置の搬送方向に移動可能なベルトと、前記ベルトの前記搬送装置と対向する面に設けられ、転写形状を有するモールドと、前記モールドを前記被転写体に押圧する押圧手段と、を具備するナノインプリント用転写装置を用いて、前記転写形状を前記被転写体上に転写する転写方法であって、前記ベルトを前記被転写体の搬送方向に移動させながら、前記モールドを、前記押圧手段を用いて前記被転写体に押圧することにより、前記転写形状を前記被転写体上に連続して転写することを特徴とする転写方法である。
【0017】
前記ベルトは、一対の第1のローラに巻きつけられ、一対の前記第1のローラの回転によって連続して移動させる。前記ベルトは、板状部材をつなぎ合わせた構造を有し、前記ローラは、多角形の角柱形状を有していてもよい。
前記ベルトは、複数の板状部材を、前記搬送装置の前記被転写体を載置する面と平行な面内で連結した環状構造を有しており、前記ベルトを、前記被転写体を載置する面と平行な面内で回転させることにより、前記ベルトが移動してもよい。
【0018】
前記押圧手段は、前記モールドを前記被転写体に対して略垂直に上下動させることが可能なアクチュエータであり、前記アクチュエータによって、前記モールドを下降させることにより、前記モールドが前記被転写体の表面に略垂直に押圧され、前記モールドは、複数個に分割され、前記アクチュエータは、分割された個々の前記モールドごとに、前記ベルトに設けられ、分割された個々の前記モールドが独立して前記アクチュエータにより上下動可能であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では転写装置が、表面にモールドが設けられたベルトを備えており、ベルトを被転写体の搬送方向に移動させながら、モールドを被転写体の表面に接触させて転写を行うため、モールドが被転写体と面接触する。
【0020】
従って、円筒状のモールドを用いた場合と比べてモールドと被転写体の接触時間を長くできるため、モールドと被転写体の接触中に被転写体を硬化させることができ、連続処理が可能となり、生産性が改善される。
【0021】
また、本発明によれば、転写装置がモールドを被転写体から略垂直に分離する。
従って、分離の際に、モールドや被転写体が損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】転写装置1を示す側面図
【図2】図1の搬送装置3とモールド搬送装置5の境界近傍の拡大断面図
【図3】図2の変形例
【図4】転写の際の転写装置1の動作を示す拡大断面図
【図5】転写の際の転写装置1の動作を示す拡大断面図
【図6】転写の際の転写装置1の動作を示す拡大断面図
【図7】転写の際の転写装置1の動作を示す拡大断面図
【図8】モールド搬送装置5aを示す図
【図9】転写装置1の転写時の変形例を示す図
【図10】転写装置1aを示す側面断面図
【図11】転写装置1bを示す側面図
【図12】図11の搬送装置3とモールド搬送装置5bの境界近傍の拡大断面図
【図13】図11の搬送装置3とモールド搬送装置5bの境界近傍の拡大断面図
【図14】転写装置1cを示す側面図
【図15】図14の搬送装置3とモールド搬送装置5cの境界近傍の拡大断面図
【図16】図14の搬送装置3とモールド搬送装置5cの境界近傍の拡大断面図
【図17】転写装置1dを示す側面図
【図18】図17のG方向矢視図
【図19】転写装置1eを示す側面図
【図20】図19のG2方向矢視図
【図21】図19のローラ61a付近の拡大断面図
【図22】図19のローラ61b付近の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る転写装置1を示す側面図であって、図2は図1の搬送装置3とモールド搬送装置5の境界近傍の拡大断面図である。
また図3は図2の変形例である。
【0024】
図1に示すように、転写装置1は搬送装置3を有している。
搬送装置3は円筒状のローラ21a、21bを有し、ローラ21a、21bには、帯状の搬送ベルト13が巻きつけられている。
そして、ローラ21a、21bと搬送ベルト13とで搬送装置3を構成している。
【0025】
ローラ21a、21bは図示しないフレーム等に軸支されており、図1のA1、A2方向に回転可能である。
即ち、ローラ21a、21bがA1、A2方向に回転すると、搬送ベルト13はB方向に移動する。
【0026】
搬送ベルト13は被転写体9を搬送するベルトであり、上面には長尺状の被転写体9が載置されている。
即ち、搬送ベルト13がB方向に移動することによって、搬送装置3は被転写体9をB方向に搬送する。
【0027】
被転写体9は半導体基板等であり、図2に示すように、シリコン等の基板9b上に、感光剤であるレジスト9aが塗布された構造を有している。
レジスト9aは、第1の実施形態においては、熱により軟化する性質を有する樹脂である。
【0028】
一方、図1および図2に示すように、搬送装置3の上方には、搬送ベルト13と対向するように、帯状のベルト11がさらに設けられている。
また、搬送装置3の上方には、円筒状のローラ23a、23bが設けられている。
ベルト11はローラ23a、23bに巻きつけられている。
なお、ベルト11は請求項1に記載されたベルトに対応する部材である。
【0029】
ローラ23a、23bは図示しないフレーム等に軸支されており、それぞれC1、C2方向に回転可能である。
即ち、ローラ23a、23bがC1、C2方向に回転することにより、ベルト11の、搬送ベルト13と対向する面はB方向に移動する。
そして、ベルト11、ローラ23a、23bとでモールド搬送装置5を構成している。
【0030】
図2に示すように、ベルト11の搬送ベルト13と対向する面には、複数のアクチュエータ17を介して複数のモールド15が設けられている。
モールド15の表面には転写形状19が設けられている。
【0031】
モールド15は、レジスト9a上に転写形状19を転写する部材であり、転写形状19は例えば半導体基板のパターン形状等である。
モールド15を構成する材料は、微細加工が容易で、かつ転写時の摩耗やせん断に耐えうる材料が好ましい。
【0032】
このような条件を満たす材料としては、例えばシリコン、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅、炭化シリコン、窒化シリコン、ガラス、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、立方晶窒化ホウ素、樹脂およびこれらを含む化合物、合金等が挙げられる。
【0033】
一方、第1の実施形態のように、レジスト9aが熱により軟化する性質を有する樹脂の場合は、後述するように、転写の際にレジスト9aが加熱されるため、モールド15が熱の影響を受ける。
そのため、モールド15を構成する材料には、さらに耐熱性が求められる。
【0034】
従って、上記の材料のうち、シリコン、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅、炭化シリコン、窒化シリコン、ガラス、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、立方晶窒化ホウ素およびこれらを含む化合物、合金等を用いるのが望ましい。
【0035】
アクチュエータ17は、モールド15を移動させるための駆動部材であり、モールド15を図2のD1、D2方向に移動可能である。
従って、アクチュエータ17がモールド15をD1方向に下降させることによって、モールド15をレジスト9a上に略垂直に押圧することができ、押圧されたモールド15は転写形状19をレジスト9a上に転写する。
【0036】
一方、モールド15がレジスト9aに押圧された状態で、アクチュエータ17がモールド15をD2方向に上昇させることによって、モールド15をレジスト9a上に略垂直に分離することができる。
また、図3に示すように、アクチュエータ17はモールド15を図2のE1、E2方向に傾斜させ、モールド15の表面がレジスト9aの表面に対して角度θをなすようにすることも可能であるが、傾斜させる理由は後述する。
【0037】
さらに、図1および図2に示すように、搬送ベルト13で囲まれた空間の内部で、かつモールド搬送体5の下部には、加熱部33、冷却部37および断熱部35が設けられている。
加熱部33、冷却部37および断熱部35は、搬送ベルト13のうち、被転写体9が載置された面の裏面に近接して設けられている。
【0038】
加熱部33、冷却部37および断熱部35は、レジスト9aを軟硬化させるための装置であり、このうち、加熱部33は、ローラ21b寄りの場所に設けられている。
加熱部33は例えば電熱ヒータ等である。
【0039】
一方、冷却部37は、かつローラ21a寄りの場所に設けられている。
冷却部37は、例えば電気式や水冷式のクーラ等である。
【0040】
加熱部33と冷却部37の間には、断熱部35が設けられており、加熱部33と冷却部37の間で熱の移動が起こらないようにしている。
【0041】
即ち、加熱部33が搬送ベルト13を加熱することにより、被転写体9の基板9bが加熱され、加熱された基板9bがレジスト9aを加熱する。
前述のように、レジスト9aは熱により軟化する性質を有する樹脂であるため、加熱されると軟化する。
即ち、加熱部33は、レジスト9aを間接的に加熱し、軟化させる。
【0042】
一方、冷却部37が、搬送ベルト13を冷却することにより、被転写体9の基板9bが冷却され、冷却された基板9bがレジスト9aを冷却する。
即ち、冷却部37はレジスト9aを間接的に冷却し、硬化させる。
【0043】
ここで、加熱部33は、ローラ21b寄りの場所に、冷却部37はローラ21a寄りの場所設けられており、被転写体9はB方向に搬送される。
従って、搬送装置3上を搬送される被転写体9は、まず加熱部33で加熱され、次いで、冷却部37で冷却されることになる。
【0044】
次に、転写装置1が被転写体9上に転写を行う際の動作について説明する。
図4〜図7は転写の際の転写装置1の動作を示す拡大断面図である。
【0045】
まず、作業者、もしくは図示しない搬送機構等が、搬送装置3の搬送ベルト13上に被転写体9を載置する。
搬送装置3のローラ21a、21bは、それぞれ図1のA1、A2方向に回転し、搬送ベルト13および搬送ベルト13上に載置された被転写体9を、一定速度でB方向へ搬送する。
【0046】
同時に、モールド搬送装置5のローラ23a、23bは、図1のC1、C2方向に回転し、それによってベルト11の、搬送ベルト13と対向する面は、搬送ベルト13と略等しい速度でB方向に移動する。
【0047】
図4に示すように、搬送装置3に搬送された被転写体9が、加熱部33の上部に達すると、加熱部33の発する熱によって、被転写体9のレジスト9aは間接的に加熱される。
加熱されたレジスト9aは、やがて軟化して、転写可能な状態となる。
【0048】
レジスト9aが転写可能な状態となると、図5に示すように、軟化したレジスト9a上のモールド15aは、アクチュエータ17aによってD1方向に下降し、レジスト9a上に略垂直に押圧される。
押圧されたモールド15aは、レジスト9a上に転写形状19aを転写する。
【0049】
ここで、搬送ベルト13とベルト11は略等しい速度でB方向に移動しているので、レジスト9aと押圧されたモールド15aとは、互いの相対位置がずれることなく、一体となってB方向に移動する。
【0050】
なお、押圧の際は、図3に示すモールド15と同様に、モールド15aをE1、E2方向に傾斜させ、モールド15aをレジスト9aの表面に対して角度θを持って押圧してもよい。
【0051】
このような押圧方法は、垂直に押圧すると、モールド15aとレジスト9aの間に空気が巻き込まれて、転写形状に気泡による欠陥が生じる恐れがある場合に有効である。
【0052】
図6に示すように、レジスト9aがさらにB方向に移動し、モールド15aに押圧された部分が冷却部37の上方を通過すると、冷却部37によって被転写体9のレジスト9aが間接的に冷却される。
冷却されたレジスト9aは、やがて硬化して、転写形状19aがレジスト9a上に固定される。
【0053】
なお、図6では、レジスト9aのうち、モールド15aに押圧された部分の隣接部分は、加熱部33によって加熱されて軟化している。
従って、モールド15aに隣接して設けられたモールド15bは、アクチュエータ17bによってD1方向に下降し、レジスト9bを押圧して転写形状19bを転写する。
【0054】
レジスト9aが硬化すると、図7に示すように、モールド15aはアクチュエータ17aによってD2方向に略垂直に上昇し、レジスト9aと分離する。
レジスト9a上には、転写形状19aと略等しい転写形状25aが転写されている。
【0055】
このように、モールド15aは略垂直に上昇してレジスト9aと分離するため、円筒状のモールドを用いた場合と比べて、分離の際にモールド15aや被転写体9が損傷する可能性は低い。
【0056】
なお、モールド15aをレジスト9aと分離する際は、略垂直に分離するのではなく、アクチュエータ17aがモールド15aを図7のE1、E2方向に傾斜させることにより、図3に示す角度θを持って分離することも可能である。
このように、角度θを持って分離することにより剥離時に必要な引き剥がし力を低減できる。
ただし、既に述べたように、角度θが大きくなるに従い、パターン形状に影響を及ぼすことが懸念されるため、配慮しなければならない。
【0057】
一方、図7では、レジスト9aのうち、モールド15bに押圧された部分は、冷却部33によって冷却されて硬化している。
また、モールド15bに押圧された部分の隣接部分は、加熱部33によって加熱されて軟化している。
【0058】
以後は、搬送ベルト13とベルト11が略等しい速度でB方向に移動しつつ、レジスト9aのうち、加熱されて軟化した部分にモールドが押圧されて、転写形状を転写し、冷却されて硬化した部分からはモールドが分離する。
【0059】
以上の動作は連続して行われ、転写体9のレジスト9a表面への転写が終了するまで続けられる。
転写が終了すると、被転写体9は、図示しないロールに巻き取られるか、図示しない別の搬送装置等によって次工程に搬送される。
【0060】
このように、転写装置1では、各モールドとレジスト9aとは、互いに対向して設けられたベルト11および搬送ベルト13上に設けられ、ベルト11および搬送ベルト13の移動中に接触、分離する。
即ち、各モールドとレジスト9aとは、面接触しているため、円筒状のモールドを用いる場合と比べて各モールドとレジスト9aの接触時間が長い。
【0061】
従って、レジスト9aの軟化、モールドのレジスト9aへの押圧による形状の転写、レジスト9aの硬化、モールドのレジスト9aからの分離、という一連の転写作業を連続して行うことができる。
【0062】
なお、各モールドとレジスト9aが接触可能な時間の最大値はローラ23aとローラ23bの距離で決まり、この距離が長いほど接触可能な時間も長くなる。
【0063】
ここで、第1の実施形態の変形例について簡単に説明する。図8はモールド搬送装置5aを示す図、図9は転写装置1の転写時の変形例を示す図である。
【0064】
図1におけるモールド搬送装置5では、帯状のベルト11が円筒状のローラ23a、23bに巻きつけられていたが、図8に示すモールド搬送装置5aのように、ベルト13aを、板状部材14をつなぎ合わせた構造としてもよい。
また、このような形状とした場合は、ローラの形状は、円筒状ではなく、ローラ24a、24bのような角柱形状にしてもよい。
【0065】
このような形状にすることにより曲げに弱い構造物を保持することが可能である。
例えば、アクチュエータのような構造物、厚みがあり脆性の大きいモールドを使用することが可能である。
なお、図8ではローラ24a、24bは軸方向の断面形状が8角形であるが、8角形以外の多角形でもよい。
【0066】
次に、図1における転写装置1では1枚の長尺状の被転写体9上に、転写形状を連続して形成していたが、被転写体9は長尺状である必要はない。
例えば、図9に示すように、短尺状の被転写体10を複数搬送装置3で搬送し、これらに同時に転写を行ってもよい。
【0067】
具体的には、図9に示すように、棚41aに載置された複数の被転写体10をロボットアームである移載装置43aが搬送装置3に載置する。
被転写体10は搬送装置3上をB方向に搬送され、同じくB方向に移動しているモールド搬送装置5のベルト11に設けられたモールド15によって、形状を転写される。
【0068】
形状が転写された被転写体10は、搬送装置3の端部で、ロボットアームである移載装置43bによって棚41bに移動される。
その後は、被転写体10は必要に応じて図示しない次工程に搬送される。
【0069】
このように、第1の実施の形態によれば、転写装置1が、被転写体9を搬送する搬送装置3と、搬送装置3に対向して設けられたベルト11を有しており、搬送装置3がB方向に被転写体9を搬送すると、ベルト11もB方向に移動し、表面に設けられたモールド15が被転写体9に押圧されて転写形状19を転写する。
【0070】
従って、被転写体9とモールド15の接触が面接触であり、円柱状のモールドを用いた場合と比べて被転写体9とモールド15の接触時間が長いので、転写作業を連続して行うことができる。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、転写後に、モールド15を被転写体9から略垂直に分離するので、分離の際にモールド15や被転写体9が損傷するのを防ぐことができる。
【0072】
次に、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係る転写装置1aを示す側面断面図である。
【0073】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態に係る転写装置1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0074】
第2の実施形態における転写装置1aでは、第1の実施形態に係る転写装置1において、加熱部33、冷却部37、断熱部35の代わりに露光部35a、遮光部33a、37aが設けられている。
【0075】
第1の実施形態では、レジスト9aとして、熱により軟化する性質を有する樹脂を用いていたが、レジスト9aとして、熱ではなく、光により硬化する光硬化性樹脂を用いる場合がある。
【0076】
かかる場合は、図10に示すように、モールド15b、15cとレジスト9aが接触する部分の直下に露光部35aを備え、それ以外の部分には遮光部33a、37aを備える必要がある。
【0077】
露光部35aは、ハロゲンランプや水銀ランプ等の光源を備えた部位であり、これらの光源は、レジスト9aに向けて紫外線等を照射する。
レジスト9aは、光により硬化する光硬化性樹脂であるため、照射を受けることにより、硬化する。
なお、遮光部33a、37aは光を遮断する部位である。
【0078】
例えば、図10では露光部35aの上部でモールド15b、15cがレジスト9aと接触しており、この状態では、露光部35aからの光の照射を受けることにより、レジスト9aのうち、モールド15b、15cと接する部分が硬化して、転写形状が固定される。
【0079】
なお、露光部35aからの光がレジスト9aに照射されるためには、搬送ベルト13および基板9bは透明な材料で構成される必要がある。
また、外部からの迷光等が転写前にレジスト9aを露光するのを防ぐため、転写装置1aは、装置全体が図示しない暗箱等で覆われるのが望ましい。
【0080】
このように、第2の実施形態によれば、転写装置1aが、被転写体9を搬送する搬送装置3と、搬送装置3に対向して設けられたベルト11を有しており、搬送装置3がB方向に被転写体9を搬送すると、ベルト11もB方向に移動し、表面に設けられたモールド15b、15cが被転写体9に押圧されて転写形状19を転写する。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0081】
また、第2の実施形態によれば、被転写体9のレジスト9aとして、光により硬化する光硬化性樹脂が用いられているため、モールド15b、15cを構成する材料には必ずしも耐熱性は要求されない。
従って、モールド15b、15cを構成する材料の選択肢がより広くなる。
【0082】
次に、第3の実施形態について説明する。図11は、第3の実施形態に係る転写装置1bを示す側面図であって、図12及び図13は、図11の搬送装置3とモールド搬送装置5bの境界近傍の拡大断面図である。
【0083】
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態に係る転写装置1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0084】
第3の実施形態における転写装置1bでは、ベルト11に直接モールド45が設けられている。
【0085】
図11および図12に示すように、ベルト11の表面にはモールド45が設けられている。
ベルト11で囲まれた空間の内部にはアクチュエータ49が設けられており、アクチュエータ49には押圧板47が設けられている。
【0086】
押圧板47は、ベルト11のうち、搬送ベルト13と対向する面の裏面に近接して設けられている。
アクチュエータ49は図示しないフレーム等に保持されている。
【0087】
アクチュエータ49は押圧板47を移動させる駆動部材であり、押圧板を図12のD1、D2方向に移動させることができる。
押圧板47は平板状の部材である。
【0088】
アクチュエータ49がD1方向に押圧板47を移動させると、図13に示すように、ベルト11が押圧板47に押圧され、押圧板47と接する部分がレジスト9aを押圧する。
そのため、モールド45とレジスト9aとが面接触する。
【0089】
従って、ベルト11および搬送ベルト13を連続して図13のB方向に移動させながらアクチュエータ49がD1方向に押圧板47を移動させると、押圧板47に押圧されたベルト11が被転写体9を押圧し、モールド45の転写形状が連続してレジスト9a上に転写される。
【0090】
なお、モールド45とレジスト9aの接触面積は、押圧板47の面積で決まるため、押圧板47の面積を変更することによって、接触面積を任意に調整可能である。
【0091】
また、ベルト11はB方向に移動しているため、やがてはレジスト9aから分離するが、分離する際の角度α1は、ベルト11と搬送ベルト13の距離によって異なる。
【0092】
即ち、ベルト11と搬送ベルト13の距離を近づければ近づけるほど、ベルト11とレジスト9aのなす角度α1は小さくなり、反対に遠ざければ遠ざけるほど、角度α1は大きくなる。
【0093】
角度α1が小さいほど、ベルト11はレジスト9aからより垂直に分離するため、角度α1はなるべく小さい方が望ましい。
ここで、望ましい角度は例えば30度以下である。
【0094】
なお、第3の実施形態のように、ベルト11が角度α1をもってレジスト9aから分離する場合は、モールド45を構成する材料は弾性体であることが望ましい。
このような材料としては、例えばシリコン、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅、樹脂等が挙げられる。
【0095】
このように、第3の実施形態によれば、転写装置1bが、被転写体9を搬送する搬送装置3と、搬送装置3に対向して設けられたベルト11を有しており、搬送装置3がB方向に被転写体9を搬送すると、ベルト11もB方向に移動し、表面に設けられたモールド45が、被転写体9に押圧されて転写形状19を転写する。
【0096】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0097】
また、第3の実施形態では、転写装置1bはベルト11をレジスト9aから分離する際の、ベルト11と搬送ベルト13のなす角度α1を任意に設定可能である。
従って、モールド45をレジスト9aから略垂直に分離することができ、分離の際に、モールド45およびレジスト9aが損傷するのを防ぐことができる。
【0098】
さらに、第3の実施形態によれば、モールド45が、ベルト11に直接設けられているので、第1の実施形態と異なり、アクチュエータをベルト11上に複数個設ける必要がなく、構造がより簡易である。
【0099】
次に、第4の実施形態について説明する。
図14は、第4の実施形態に係る転写装置1cを示す側面図であって、図15及び図16は、図14の搬送装置3とモールド搬送装置5cの境界近傍の拡大断面図である。
【0100】
なお、第4の実施形態において、第3の実施形態に係る転写装置1bと同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0101】
第4の実施形態は、第3の実施形態において、ローラ51aを設けたものであり、ベルト11がローラ51aと搬送ベルト13の隙間に引き込まれることによって、ローラ51aがベルト11をレジスト9aに押圧する。
【0102】
図14に示すように、転写装置1cではローラ23aとローラ23bの間に、さらにローラ51a、51b等の複数のローラが設けられている。
【0103】
ローラ51a、51bは、軸方向が搬送方向であるB方向に垂直で、かつ搬送ベルト13に近接するように設けられており、さらにベルト11と接するように設けられている。
また、ローラ51a、51bと搬送ベルト13の間の距離は、ベルト11と被転写体9の厚さの和と略等しい。
【0104】
図15に示すように、ローラ23bをC2方向に回転させると、ベルト11はE1方向に移動する。
ここで、ローラ51aが、搬送ベルト13に近接して設けられているので、ベルト11はローラ51aとレジスト9aの隙間に引き込まれる。
【0105】
また、ローラ51a、51bと搬送ベルト13の間の距離は、ベルト11と被転写体9の厚さの和と略等しいので、レジスト9aとローラ51aの間の隙間は、ベルト11の厚さと略等しくなる。
従って、引き込まれたベルト11は、ローラ51aによってレジスト9aに押圧され、表面に設けられたモールド45の形状をレジスト9aに転写する。
【0106】
一方、転写が終了すると、ベルト11はレジスト9aから分離するが、図16に示すように、ベルト11がローラ51bよりもローラ23a側に移動すると、ベルト11はE2方向に移動するため、F2方向に上昇することになる。
【0107】
ここで、ベルト11がレジスト9aから分離する際の角度α2は、ローラ23aと搬送ベルト13の距離によって異なる。
即ち、ローラ23aと搬送ベルト13の距離を近づければ近づけるほど、ベルト11とレジスト9aのなす角度α2は小さくなる。
【0108】
角度α2が小さいほど、ベルト11はレジスト9aからより垂直に分離するため、角度α2はなるべく小さい方が望ましい。
ここで、望ましい角度は、例えば30度以下である。
【0109】
このように、第4の実施形態によれば、転写装置1cがローラ51aを有し、ベルト11がローラ51aと搬送ベルト13の隙間に引き込まれることによってベルト11上のモールド45がレジスト9aに押圧される。
従って、第3の実施形態と同様の効果を奏する。
【0110】
また、第4の実施形態によれば、ベルト11のレジスト9aへの押圧をローラ51aが行うので、アクチュエータが不要となり、第3の実施形態と比べて、さらに構造が簡易となる。
【0111】
次に、第5の実施形態について説明する。
図17は第5の実施形態に係る転写装置1dを示す側面図であって、図18は図17のG方向矢視図である。
なお、第5の実施形態において、第1の実施形態に係る転写装置1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0112】
第5の実施形態においては、第1〜第4の実施形態と異なり、ベルト11aは被転写体9が載置された面に平行な面内で回転する構造となっている。
【0113】
図17および図18に示すように、転写装置1dは搬送装置3を有し、搬送装置3の被転写体9が設けられた面に対向してベルト11aが設けられている。
【0114】
図18に示すように、ベルト11aは、平板状の板状部材12を複数個連結した構造を有しており、モータ等の図示しない回転手段によって、図18のH方向に回転可能である。
なお、板状部材12の、搬送装置3と対向する面には、図17に示すように、複数のアクチュエータを介して複数のモールド15が設けられている。
【0115】
即ち、ベルト11aは被転写体9が載置された面に平行な面内で回転する。
そして、係る回転によって、搬送装置3の上部にある板状部材12はB方向に移動する。
【0116】
なお、モールド15の構造および転写の方法は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
このように、第5の実施形態によれば、転写装置1dがベルト11aを有し、ベルト11aの、被転写体9と対向する面に設けられたモールド15がレジスト9aに押圧されることによって転写を行う。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0118】
また、第5の実施形態によれば、ベルト11aは、被転写体9が載置された面に平行な面内で回転するので、モールド15の凹凸表面側が常に下側を向くことになる。即ち、異物がモールド凹凸に入り込むリスクを低減することが可能である。
【0119】
次に、第6の実施形態について説明する。
図19は第6の実施形態に係る転写装置1eを示す側面図であって、図20は図19のG2方向矢視図である。
また、図21は図19のローラ61a付近の拡大断面図、図22は図19のローラ61b付近の拡大断面図である。
【0120】
なお、第6の実施形態において、第5の実施形態に係る転写装置1dと同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0121】
第6の実施形態における転写装置1eは、第5の実施形態における転写装置1dにおいて、モールドの押圧手段として、ローラ61aを用いたものである。
【0122】
図19および図20に示すように、ベルト11aのうち、搬送ベルト13と対向する面の裏面に接するようにして、ローラ61a、61b等の複数のローラが設けられている。
ローラ61a、61b等の複数のローラと搬送ベルト13の間の隙間は、ベルト11aと被転写体9の厚さの和と略同等である。
【0123】
即ち、ベルト11aは、ローラ61a、61b等の複数のローラと搬送ベルト13に挟まれている。
従って、図21に示すように、ベルト11aは、図20のH方向に回転することにより、図21のE1方向に移動してローラ61aと搬送ベルト13の隙間に引き込まれる。
【0124】
この際、ローラ61aと搬送ベルト13の間の距離は、ベルト11aと被転写体9の厚さの和と略同等であるため、レジスト9aとローラ61aの間の隙間は、ベルト11aの厚さと略等しくなる。
従って、ベルト11aはローラ61aにF1方向に押圧され、レジスト9aと密着する。
そして、モールド45の形状がレジスト9aに転写される。
【0125】
一方、転写が終了すると、モールド45はレジスト9aから分離するが、図22に示すように、ローラ61bよりも左側に移動すると、ベルト11aはE2方向に移動するため、F2方向に上昇する。
【0126】
ここで、ベルト11aがレジスト9aから分離する際の角度α3は、ベルト11aと搬送ベルト13の距離を変更することにより、任意に設定可能である。
即ち、ベルト11aと搬送ベルト13の距離を近づければ近づけるほど、角度α3は小さくなる。
【0127】
角度α3が小さいほど、ベルト11aはレジスト9aからより垂直に分離するため、角度α3はなるべく小さい方が望ましい。
ここで、望ましい角度は、例えば30度以下である。
【0128】
このように、第6の実施形態によれば、転写装置1eがローラ61aを有し、ベルト11aがローラ61aと搬送ベルト13の隙間に引き込まれることによってベルト11a上のモールド45がレジスト9aに押圧される。
従って、第5の実施形態と同様の効果を奏する。
【0129】
また、第6の実施形態によれば、ベルト11aをレジスト9aから分離する際のベルト11aと搬送ベルト13のなす角度α3を任意に設定可能である。
従って、モールド45を略垂直にレジスト9aから分離することができ、分離の際に、モールド45およびレジスト9aの損傷するのを防ぐことができる。
【0130】
さらに、第6の実施形態によれば、モールド45の押圧手段としてローラ61aを備えているため、アクチュエータ等の駆動装置は不要であり、第5の実施形態と比べて構造が簡易である。
【0131】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0132】
例えば、第1の実施形態では加熱部33、冷却部37および断熱部35を、搬送ベルト13で囲まれた空間の内部に設けているが、ベルト11で囲まれた空間内に設け、ベルト11およびモールド15を加熱、冷却することにより、間接的にレジスト9aを加熱、冷却してもよい。
【0133】
同様に、第2の実施形態では、露光部33aおよび遮光部35a、37aを搬送ベルト13で囲まれた空間の内部に設けているが、ベルト11で囲まれた空間内に設けてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1…………転写装置
3…………搬送装置
5…………モールド搬送装置
9…………被転写体
11………ベルト
13………搬送ベルト
15………モールド
17………アクチュエータ
19………転写形状
21a……ローラ
23a……ローラ
31………硬化装置
33………加熱部
33a……露光部
35………断熱部
37………冷却部
45………モールド
47………押圧板
49………アクチュエータ
51a……ローラ
61a……ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写体上に、転写形状を有するモールドを押圧することによって、前記被転写体上に転写形状を形成するナノインプリント用転写装置に用いられるナノインプリント用モールド搬送装置であって、
被転写体が載置された面に対向して設けられ、連続して移動可能なベルトと、
前記ベルトの前記被転写体と対向する面に設けられ、転写形状を有するモールドと、
前記モールドを前記被転写体に押圧する押圧手段と、
を具備することを特徴とするナノインプリント用モールド搬送装置。
【請求項2】
前記ベルトは、
一対の第1のローラに巻きつけられ、一対の前記第1のローラの回転によって連続して移動することを特徴とする請求項1記載のナノインプリント用モールド搬送装置。
【請求項3】
前記ベルトは、
複数の板状部材を、前記被転写体を載置する面と平行な面内で連結した環状構造を有しており、
前記モールド搬送装置は、前記ベルトを前記被転写体を載置する面と平行な面内で回転させる回転手段を具備し、
前記回転手段により前記ベルトを回転させることにより、前記ベルトが連続して移動することを特徴とする請求項1記載のナノインプリント用モールド搬送装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記モールドを前記被転写体に対して略垂直に上下動させることが可能なアクチュエータであり、前記アクチュエータによって、前記モールドを下降させることにより、前記モールドが前記被転写体の表面に略垂直に押圧され、
前記モールドは、複数個に分割され、
前記アクチュエータは、分割された個々の前記モールドごとに、前記ベルトに設けられ、
分割された個々の前記モールドが独立して前記アクチュエータにより上下動可能であることを特徴とする請求項1記載のナノインプリント用モールド搬送装置。
【請求項5】
前記ベルトは、板状部材をつなぎ合わせた構造を有し、
前記ローラは、多角形の角柱形状を有することを特徴とする請求項2記載のナノインプリント用モールド搬送装置。
【請求項6】
被転写体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の前記被転写体を載置する面に対向して設けられ、前記搬送装置の搬送方向に移動可能なベルトと、
前記ベルトの前記搬送装置と対向する面に設けられ、転写形状を有するモールドと、
前記モールドを前記被転写体に押圧する押圧手段と、
を具備するナノインプリント用転写装置を用いて、前記転写形状を前記被転写体上に転写する転写方法であって、
前記ベルトを前記被転写体の搬送方向に移動させながら、前記モールドを、前記押圧手段を用いて前記被転写体に押圧することにより、前記転写形状を前記被転写体上に連続して転写することを特徴とする転写方法。
【請求項7】
前記ベルトは、
一対の第1のローラに巻きつけられ、一対の前記第1のローラの回転によって連続して移動することを特徴とする請求項6記載の転写方法。
【請求項8】
前記ベルトは、
複数の板状部材を、前記搬送装置の前記被転写体を載置する面と平行な面内で連結した環状構造を有しており、
前記ベルトを、前記被転写体を載置する面と平行な面内で回転させることにより、前記ベルトが移動することを特徴とする請求項6記載の転写方法。
【請求項9】
前記押圧手段は、前記モールドを前記被転写体に対して略垂直に上下動させることが可能なアクチュエータであり、前記アクチュエータによって、前記モールドを下降させることにより、前記モールドが前記被転写体の表面に略垂直に押圧され、
前記モールドは、複数個に分割され、
前記アクチュエータは、分割された個々の前記モールドごとに、前記ベルトに設けられ、
分割された個々の前記モールドが独立して前記アクチュエータにより上下動可能であることを特徴とする請求項6記載の転写方法。
【請求項10】
前記ベルトは、板状部材をつなぎ合わせた構造を有し、
前記ローラは、多角形の角柱形状を有することを特徴とする請求項7記載の転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−129927(P2011−129927A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280088(P2010−280088)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【分割の表示】特願2006−173733(P2006−173733)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】