説明

ナノチューブ、特にカーボンナノチューブを含む熱可塑性複合材料の製造方法

【課題】(a) ナノチューブと、ホモポリアミドまたはコポリアミド、ポリカーボネート、SBMまたはPEG等の少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを混合装置中に導入し、(b)熱可塑性ポリマーを溶融し、(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する固定を含む、ナノチューブを10〜50重量%含むナノチューブ、特にカーボンナノチューブをベースにした熱可塑性複合材料の製造方法と、この方法で得られる複合材料と、その複合製品製造での使用。
【解決手段】ポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に可塑剤を導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブ、特にカーボンナノチューブをベースにした複合材料の製造方法と、得られた複合材料と、その複合材料製造での使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は炭素原子が規則的に配置され五角形、六角形および/または七角形の閉じた特殊な中空管状結晶構造を有している。CNTは一般に一枚または複数の巻かれたグラファイトシートからなり、単一壁ナノチューブ(SWNT)と多重壁ナノチューブ(MWNT)に区別できる。
【0003】
CNTは公知の方法で製造でき、市場で入手できる。CNTを製造する方法は種々あり、特に放電、レーザーアブレーションおよびCVD(化学的蒸着法)で合成できる。CVD(化学的蒸着法)は大量使用が可能なコストでカーボンナノチューブを大量生産できる方法である。化学的蒸着法では炭素源を高温度で触媒上に噴射する。触媒はアルミナ、シリカまたはマグネシアのような無機固体に担持された鉄、コバルト、ニッケルまたはモリブデン等の金属から成る。炭素源はメタン、エタン、エチレン、アセチレン、エタノール、メタノールや、一酸化炭素と水素との混合物(HIPCOプロセス)にすることができる。
【0004】
CNTは機械的には鋼と同程度の優れた剛性(ヤング率で測定)を示し、しかも極めて軽い。さらに、CNTは優れた導電性および熱伝導性を示す。従って、これらの特性を種々の材料、特に高分子材料、例えば熱可塑性樹脂およびエラストマーに与えるための添加剤としてCNTを用いることができる。
【0005】
それと同時に、液体配合物、特に水溶性配合物、例えばペイントを固くしおよび/または濃縮するためにCNT-ベースの複合材料を使用することも提案されている(特許文献1)。
【0006】
ポリマー・マトリックス中にCNTを多量に分散させるため、特に、機械特性に影響を及ぼさずに静電気散逸能力を改良して上記マトリックスから例えば自動車工業での電子部品や塗装パネルを製造するために、これまで多数のアプローチがなされてきた。
【0007】
しかし、工業的見地からはCNTが高度に充填され、各種ポリマー・マトリックス中に所望濃度で希釈できる複合材料が望ましい。
【0008】
しかし、CNTはその寸法が小さく、粉塵化しやすく、特にCVDで製造したものは分子間の強いファンデルワース作用を生じさせる構造を有するため、ハンドリングおよび分散が難しいということが分かっている。
【0009】
ポリマーマトリックス中にCNTを容易に分散させる解決策もいくつか提案されている。そうした解決策の中では超音波処理を挙げることができる。しかし、超音波処理には一時的な音波処理効果しかなく、ナノチューブを部分的に切断し、その性質の一部に影響を及ぼす酸素-含有官能基を作る効果を有するだけである。他の解決策は溶剤およびモノマー中でCNT分散物を製造し、系内で重合を実行して官能化されたCNTを作る方法である。しかし、この解決策は複雑であり、使用する化合物にコストがかかることが分かっている。さらに、グラフト化操作はナノチューブの構造、結果的にその電気的および/または機械的特性を損傷させるリスクがある。
【0010】
さらに、熱可塑性の高分子をベースにした複合材料を得るための従来のコンパウンディングツールとして、CNTと熱可塑性ポリマーマトリックスとを混合する試みも行なわれている。しかし、ポリマーマトリックス中にCNTの多量(10重量%以上)を導入すると、一般に混合装置中での化合物の粘度が増加するのが観測され、その結果、混合機のスクリューが停止し、生産ラインの速度を落とすことが必要になり、生産性に負のインパクトを与えることになる。さらに、複合材料が硬くなり、自己加熱され、ポリマーが劣化する。その結果、CNTの存在下ではバーレルおよび混合機のスクリューの壁面に汚染被膜ができる。この結果、複合材料が容認できない程度に汚染されるだけでなく、混合装置の動力が増加(10時間の混合で約10%増加)し、機械のパワー限度を超え、機械が不意に停止することがある。この場合には混合装置から障害物を取り除いて、清掃しなければならず、生産が停止することになる。
【0011】
従って、ナノチューブおよびマトリックスの等級を下げずに、機器を汚染せずに、ポリマー・マトリックス中にナノチューブ、特にカーボンナノチューブを少なくとも10重量%含む複合材料を連続的に製造することができる簡単で、安価な工業的方法を提供するというニーズがある。
【0012】
本発明者は、ポリマーの溶融帯域の上流側で混合装置に導入した可塑剤とナノチューブとを接触させる方法によって上記ニーズに応えることができる、ということを発見した。
【0013】
混合物の粘度を減らすためにポリマーの混合装置に可塑剤とCNTとを導入することは特許文献2(米国特許公開第US 2004/0262581号明細書)で既に提案されている。この特許の目的は剪断力を減らしてCNTの外観および均一分散を維持し、CNTの有効性を改良し、CNTが低含有量(約5%)でもポリマーに電気抵抗率を与えることにある。従って、この特許にはCNTを10重量%以上含む複合材料の製造方法は記載がなく、CNT含有量を高くすると混合物が硬くなるという課題は記載がない。さらに、混合装置の上流側に配置されたブレンダか、ポリマーの溶融帯域の下流にCNTとポリマーとを同時に導入できると記載されており、可塑剤の導入方法は特に問題にされていない。
【0014】
本発明者は、ポリマーの溶融帯域の下流に可塑剤を導入すると、CNTの含有量が高い化合物は許容できない程度に過熱されてしまうということを証明した。
【0015】
特許文献3(米国特許公開第2007/202287号明細書)には、燃料ホースの製造に適した複合材料を製造するために、可塑剤とポリアミドのマトリックス中に分散させたCNTを2軸スクリュー押出機へ導入することが提案されている。この特許で得られた複合材料はCNTを7〜15%含み、そのままにチューブにされるか、ペレットにされる。しかし、ポリアミド・マトリックスだけでなく任意のポリマーマトリックス中に多量のCNTを分散させて、各種ポリマーの各種機械的または電気的部品を製造するのに適した多量のCNTを含むマスターバッチを製造する手段を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際特許第WO 2007/135323号公報
【特許文献2】米国特許公開第US 2004/262581号明細書
【特許文献3】米国特許公開第US 2007/202287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明者は、ポリマーマトリックスが少なくとも部分的に粉末の形をしている時に上記の目標は達成できということ、上記文献に記載のものよりフレキシブルな方法で実行できるということを発見した。すなわち、ペレットの形だけでなく、少なくとも部分的に粉末の形をしたポリマーを使用することで多量のCNTをマトリックス中により良く分散でき、従って、得られた複合材料の機械特性および電気特性をより良くできるということを証明した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の対象は、下記(a)〜(c):
(a) 少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとナノチューブとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 熱可塑性ポリマーとナノチューブとを溶融混合する、
段階を含む、10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法において、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の重量比で、少なくとも一種の可塑剤を上記混合装置中に加え、ポリマーの溶融帯域域中または溶融帯域域の上流側に少なくとも50重量%の可塑剤を導入する工程をさらに含み、ただし、可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを同時に導入するか、混合装置の同じ供給ホッパーに連続して導入する場合にはポリマーが粉末/顆粒比が10:90〜100:0である混合物の形、好ましくは主として粉末形にすることを特徴とする方法にある。
本発明方法は混合装置、好ましくはコンパウンディング装置で実行される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に従って得られる複合生成物と、PA-12をベースにした比較例の複合生成物の温度を関数とする比抵抗曲線。
【図2】本発明に従って得られる複合生成物と、PA-6をベースにした比較例の複合生成物の温度を関数とする比抵抗曲線。
【図3】本発明に従って得られる複合生成物と、ポリカーボネートをベースにした比較例の複合生成物の温度を関数とする比抵抗曲線。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「コンパウンディング装置」という用語は複合材料を製造するために熱可塑性ポリマーと添加剤とを溶融コンパウンディングするのにプラスチック工業で従来から使用されている装置を意味する。この装置ではポリマー組成物と添加剤が高剪断力装置、例えば共回転する二軸押出機またはコニーダー(co-kneader、共混練機)を使用して混合される。溶融物は一般に凝集した物理的固体の形、例えば顆粒の形またはロッドの形で機械を出て、冷却後、顆粒にカットされる。
【0021】
本発明で使用可能な共混練機の例はBuss社から市販のBUSS(登録商標)MDK46コニーダーおよびのBUSS(登録商標)MKS46コニーダーで、これらは複数の帯域に分けられた加熱バーレル中に羽根を備えたスクリーシャフトを有し、加熱バーレルの内壁には混練した原料を剪断するために上記の羽根と噛み合う混練歯が設けられている。スクリーシャフトは回転すると同時にモーターによって軸線方向に往復動する。このコニーダーには例えば押出しスクリューまたはポンプから成る顆粒装置が出口オリフィスに設けられている。
【0022】
本発明で使用可能なコニーダーのスクリューのL/Dは7〜22、例えば10〜20であり、共回転押出機のスクリューのL/Dは15〜56、例えば20〜50である。
【0023】
さらに、コンパウンディング階段は一般に30〜320℃、例えば70〜300℃の温度で実行される。この温度は、アモルファス熱可塑性エラストマの場合はガラス遷移温度(Tg)以上であり、半結晶熱可塑性ポリマーの場合には融点以上であり、使用するポリマーに依存し、一般にポリマーの供給業者が指摘する温度である。
【0024】
本発明者は、本発明方法ではポリマーマトリックスの温度をより良く制御でき、従って、安定性が確実になり(電力消費が許容レベルで一定になり)、汚染が少なく、顆粒化がより容易な新規な複合材料になり、CNTが高い含有量で、よく分散し、得られたロッドが破断しないということを証明した。
【0025】
本発明者は、本発明複合材料は、可塑剤を含まない複合材料よりも、ポリマーマトリックス中により容易に希釈でき(特に超音波を使用しないで)、希釈をより低い温度で実行でき、複合材料に所望の伝導度を与える、ということを見出した。従って、本発明で得られる複合材料より経済的に加工できる。
【0026】
本発明で使用可能なナノチューブはカーボンナノチューブ(以下、CNT)か、硼素、リンまたは窒素をベースにしたナノチューブか、これらの元素のいくつかを含んだナノチューブか、これらの元素の少なくとも一つと炭素とのナノチューブにすることができる。カーボンナノチューブが好ましい。単一壁、二重壁または多重壁のタイプにすることができる。二重壁のナノチューブは下記文献に記載の方法で製造できる。
【非特許文献1】Flahaut et al.in Chem. Com. (2003), 1442
【0027】
多重壁のナノチューブは下記文献に記載の方法で製造できる。
【特許文献4】国際特許第WO03/02456号公報
【0028】
本発明で使用するナノチューブは一般に0.1〜200ナノメートル、好ましくは0.1〜100ナノメートル、より好ましくは0.4〜50ナノメートル、さらに好ましくは1〜30ナノメートル、例えば3〜30ナノメートルの平均直径を有し、長さは0.1μm以上、好ましくは0.1〜20μpm、例えば約6μmである。その長さ/直径比は10以上、通常100以上手ある。これらのナノチューブは一般にVGCF(蒸気-成長炭素繊維)ナノチューブとよばれるものから成る。その比表面積は例えば100〜300m2/gで、嵩密度は0.01〜0.5g/cm3、好ましくは0.07〜0.2g/cm3である。本発明のカーボンナノチューブは多重壁カーボンナノチューブであるのが好ましく、例えば5〜15枚、好ましくは7〜10枚のシートから成る。
【0029】
粗カーボンナノチューブは例えばアルケマ(Arkema)社から商標名Graphistrength(登録商標)C100で市販されている。このナノチューブは本発明方法で使用する前に精製および/または処理(特に酸化処理)および/または粉砕することができる。また、溶液中で化学的方法、例えば活性化またはカップリング剤との反応で官能化できる。
【0030】
本発明ではCNTは粉末の形であるのが好ましい。
【0031】
ナノチューブの粉砕はボールミル、ハンマーミル、細砕ロール、ナイフミルまたはブレードミル、ガスジェット、その他のナノチューブのもつれたネットワークの寸法を小さくすることができる任意の機器を用いて公知の方法でコールドまたはホットで実施できる。この粉砕階段はガスジェット、特にエアージェットで行うのが好ましい。
【0032】
ナノチューブは硫酸、その他の酸溶液で洗浄してその製造方法に起因する残留金属または無機物の不純物を除去することで精製できる。硫酸に対するナノチューブの重量比は1/2〜1/3の間にすることができる。精製工程は90〜120℃の温度で、例えば5〜10時間行うことができる。この操作の後に精製されたナノチューブを水で洗浄し、乾燥する階段を行うことができる。ナノチューブの他の精製方法は、含まれる特に鉄および/またはマグネシウムを除去するために1000℃以上で熱処理する方法である。
【0033】
ナノチューブの酸化は0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%のNaOC1を含む次亜塩素酸ナトリウム溶液、例えばナノチューブ/次亜塩素酸ナトリウムの重量比が例えば1/0.1〜1/1の溶液と接触させて実行する。酸化は60℃以下の温度、好ましくは室温で数分から24時間の時間で実行する。この酸化操作の後に、酸化したナノチューブを濾過および/または遠心分離し、洗浄し、乾燥する階段を行うのが好ましい。
【0034】
しかし、本発明方法で使用するナノチューブは生(粗)の状態であるのが好ましい。すなわち、ナノチューブの予備的な表面処理は不必要である。本発明者はナノチューブを溶融ポリマーと接触させる前に、本発明方法で導入する可塑剤がナノチューブの表面で吸収されると考える。理論に拘束されるものではないが、吸収の効果は以下である
(1)溶融ポリマーによってナノチューブの湿れ性が改良される、
(2)ナノチューブ間の相互作用が減り、その結果、コンパウンド(混合)時にポリマー中にそれを分散させるのが容易になる。
【0035】
さらに、本発明では再生可能な資源に由来する原料から得られるナノチューブ、特に下記文献に記載の植物由来のナノチューブを使用するのが好ましい。
【特許文献5】フランス特許第FR 2 914 634号公報
【0036】
本発明で使用するナノチューブの量は複合材料の総重量に対して10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%例えば15〜40重量%、さらに好ましくは20〜50重量%、例えば20〜35重量%である。
【0037】
本発明方法では、ナノチューブ(粗のナノチューブまたは粉砕および/または精製および/または酸化および/または非可塑剤分子で官能化されたナノチューブ)を少なくとも一種の熱可塑性ポリマーと接触させる。
【0038】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱時に溶融し、溶融状態で変形、再変形可能なポリマーを意味する。この熱可塑性ポリマーは下記の中から選択できる:オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アルキルメタクリレート・コポリマー(SBM)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンおよびポリブチレン、アクリルのホモポリマーおよびコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、例えばポリメタクリル酸メチル、ホモポリアミド、コポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリエーテル、例えばポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレンまたはポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン、ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ塩化ビニール、フルオロポリマ、例えばポリ弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン樹脂およびポリクロロ‐トリフルオロ‐エチレン、天然または合成ゴム、熱可塑性ポリウレタン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニールおよびこれらの混合物。
【0039】
本発明の一つの特に好ましい実施例では、ポリマーはホモポリアミドおよびコポリアミドの中から選択される。ホモポリアミド(PA)としては特に下記が挙げられる:PA-6、PA-11およびPA-12(これらはアミノ酸またはラクタムの重合で得られる)、PA-6.6、PA-4.6、PA-6.10、PA-6.12、PA-6.14、PA-6.18およびPA-10.10(これらは二酸とジアミンの重縮合で得られる)、芳香族ポリアミド、例えばポリアリールアミドおよびポリフタルアミド。上記ポリマーの中でPA-11、PA-12および芳香族PAはアルケマ(Arkema)社から商標名リルサン(Rilsan、登録商標)で入手できる。
【0040】
コポリアミドまたはポリアミド・コポリマーは種々の出発原料:(i) ラクタム、(ii) アミノカルボン酸または(iii) 等モル量のジアミンとジカルボン酸から得ることができる。コポリアミドは上記の中から選択される少なくとも2つの異なる出発材料を必要とする。コポリアミドは少なくとも2つの単位から成り、従って、異なる炭素原子数を有するラクタムまたはアミノカルボン酸、または異なる分子量を有する2つのラクタムまたはラクタムと等モル量のジアミンおよびジカルボン酸との組合せがある。ラクタム(i)は特にラウリルラクタムおよび/またはカプロラクタムから選択できる。アミノカルボン酸(ii)はα、ω−アミノカルボキシル酸、例えば11-アミノウンデカン酸または12-アミノドデカン酸を選択するのが好ましい。先駆体(iii)は特に少なくとも一種のC6−C36脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル(brassylic)酸、n-ドデカンジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸または2,6-ナフタリン・ジカルボン酸と、少なくとも一種のC4−C22脂肪族、脂環式、アリール脂肪族または芳香族のジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、m-キシリレンジアミンまたはp- キシリレンジアミンとの組み合せにすることができる。ジカルボン酸およびジアミンを使用する場合には等モル量で使用することは理解できよう。このコポリアミドはアルケマ(Arkema)社からプラタミド(Platamide、登録商標)の名称で市販されている。
【0041】
他の実施例では、ポリマーはスチレン−ブタジエン−アルキルメタクリレート・コポリマー、特にC1〜C8(またはSBM)にすることができ、特に下記にすることができる:
【0042】
(1) ポリスチレン、1,4- ポリブタジエンおよびポリメチル−メタクリレート(PMMA)をベースにするトリブロック・コポリマー(これは下記文献に記載のようにアニオン重合で得られる。
【特許文献6】欧州特許第EP 0524054号公報
【特許文献7】欧州特許第EP 0 749 987号公報
【0043】
このコポリマーは例えばポリスチレンを10〜25重量%(例えばMn=10,000〜30,000グラム/モル)、ポリブタジエンを5〜30重量%(例えばMn=10,000〜25,000グラム/モル)、ポリメチル−メタクリレート(PMMA)を50〜70重量%(例えばMn=40,000〜90,000グラム/モル)含む。このコポリマーは例えばアルケマ(ARKEMA)社から商品名ナノストレングス(Nanostrength、登録商標) E41で粉末の形で入手できる。
【0044】
(2) 一つまたは複数のシェルで被覆されたコアから成るコア/シェルタイプのコポリマー(コアはブタジエン、スチレンおよび/またはアルキルメタクリレートのホモポリマーまたはコポリマーから成り、特にC1〜C8のスチレン−ブタジエン・コポリマーで、その少なくとも1つのシェルが、好ましくは各シェルがスチレンおよび/または特にC1〜C8のアルキルメタクリレートのホモポリマーまたはコポリマーを含む。このコアはポリスチレンの内部シェルとPMMAの外部シェルとで被覆される)。このコア/シェルコポリマーは、特に下記文献に記載されている。
【特許文献8】国際特許第WO 2006/106214号公報
【0045】
本発明に適したSBMコア/シェルコポリマーは特にアルケマ(ARKEMA)社から商品名デュラストレングス(Durastrength、登録商標)E920で市販されている。
【0046】
本発明のポリマー組成物は、上記の熱可塑性ポリマーの他に、各種の添加剤、特に、液体調製物の複合材料の分散を促進するための添加剤、例えばポリマー分散剤、特にカルボキシメチル セルロース、アクリルポリマー、Lubrizol社から商標名Solplus (登録商標)DP310で市販のポリマー、官能化された両親媒性炭化水素、例えばTrillium Specialties社から商標名Trilsperse(登録商標)800で市販のもの、界面活性剤、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホナートおよびこれらの混合物を含むことができる。ポリマー組成物はさらに、充填剤、例えばナノチューブ以外のグラファイトをベースにした充填剤、特にfullerenes)、シリカまたは炭酸カルシウムを含むことができる。また、UVフィルタ、特に酸化チタン(IV)および/または耐燃性付与剤をベースにしたものを含むことができる。また、変形例または追加成分として少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの溶剤を含むことができる。
【0047】
本発明方法では上記のポリマー組成物が上記ナノチューブおよび少なくとも一種の可塑剤と接触される。
【0048】
「可塑剤」という用語は、ポリマーに加えられ可撓性を増加させ、ガラス遷移温度(Tg)を下げ、可鍛性(maqlleability)および/または伸び性を増加させる化合物を意味する。
【0049】
本発明で使用可能な可塑剤としては下記が挙げられる:
(1) ホスフェート・アルキルエステルおよびヒドロ安息香酸、ラウリン酸、アゼライン酸およびペラルゴン酸、のアルキルエステル(1〜20の炭素原子を含む好ましくは直鎖アルキル基)、
(2) アリールホスフェート、
(3) フタレート、特にジアルキルまたはアルキルアリールフタレート、特にアルキルベンジルフタレート(アルキル基は直鎖または分岐鎖で、互いに独立して1〜12の炭素原子を含む)、
(4) ニトリル樹脂、
(5) 環式ポリブチレンテレフタレートおよびそれを含む混合物、例えばCyclics Corporation社から市販の樹脂CBT(登録商標)100、
(6) アジペート、特にジアルキル・アジペート、例えばジ(2-エチルヘキシル)、
(7) セバケート、特にジアルキルセバケート、特にジオクチルセバケート、
(8) グリコール・ベンゾエートまたはグリセロール・ベンゾエート、
(9) ジベンジルエーテル、
(10) クロロパラフィン、
(11) 官能化された両親媒性炭化水素、例えばTrillium Specialties社から商標名Trilsperse(登録商標)800で市販のもの、
(12) プロピレンカーボネート、
(13) スルホンアミド、特にアルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド(アリール基は必要に応じて1〜12の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基で置換されていてもよい)、例えばベンゼンスルホンアミド、トルエンスルホンアミド、スルホンアミドは1〜20の炭素原子を含む好ましくは少なくとも一つの直鎖アルキル基でN-置換またはN,N-置換されていてもよく、アルキル基はアルキルエステル、アルキル・アミドまたは(アルキルエステル)アルキル・アミド基を有していてもよい)、
(14) N-アルキルグアニジンの塩(アルキル基は6〜16の炭素原子を有する好ましくは直鎖アルキル基)、
(15) グリコール(例えばプロピレングリコール)、
(16) 上記の混合物。
【0050】
上記の可塑剤の中で本発明で好ましく用いられるのはスルホンアミド、アリール・ホスフェート、フタレート、ニトリル樹脂およびこれらの混合物である。可塑剤の例としては下記が挙げられる:N-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、N-エチルベンゼンスルホンアミド(EBSA)、N-プロピルベンゼンスルホンアミド(PBSA)、N-ブチル-N-ドデシルベンゼンスルホンアミド(BDBSA)、N,N-ジメチル−ベンゼンスルホンアミド(DMBSA)、パラ−メチルベンゼンスルホンアミド、オルト−トルエンスルホンアミド、パラ-トルエンスルホンアミド、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニル・ホスフェート)、ネオペンチルグリコールビス(ジフェニル・ホスフェート)、ジオクチルフタレート、グリコール、環式ポリブチレンテレフタレート、官能化された両親媒性炭化水素およびこれらの混合物。
【0051】
また、下記文献に記載の可塑剤でもよい。
【特許文献9】欧州特許第EP 1 873 200号公報
【0052】
可塑剤は使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%、好ましくは50〜200重量%、より好ましくは75〜150重量%で使用される。従って、複合材料の総重量に対して例えば5〜80重量%、より一般的には10〜30重量%である。
【0053】
本発明で使われる可塑剤の選択はナノチューブにより補強されるマトリックスの化学種に依存する。[表1]は特に適した可塑剤/ポリマーマトリックスの組合せを例である。
【0054】
【表1】


【0055】
本発明の他の対象は、所定のポリマー/可塑剤のペアーに対して適用される方法にある。
本発明の他の対象は、下記(a)〜(c):
(a)ナノチューブと、ホモポリアミドまたはコポリアミドから成る少なくとも一つの熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物とを混合装置へ導入し、
(b) 上記熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程を含む、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
上記混合装置に、スルホンアミド、ヒドロキシベンゾエート、フタレート、アジペートおよびホスフェートの中から選択される少なくとも一種の可塑剤を添加する工程をさらに含み、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の重量比で、上記可塑剤の少なくとも50重量%を、ポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に導入し、ただし、可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを同時に導入するか、混合装置の同じ供給ホッパーに連続して導入する場合には、ポリマーは粉末/細粒比が10:90から100:0の混合物の形、好ましくは主として粉末の形にすることを特徴とする方法にある。
【0056】
本発明のさらに他の対象は、下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、ポリカーボネートから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合、
する工程を含む好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で、アルキルホスフェート、アリールホスフェートおよびフタレートの中から選択される少なくとも一種の可塑剤をポリマーの混合装置へ添加し、可塑剤の少なくとも50重量%を溶融帯域の上流側か、溶融帯域中に導入する工程をさらに含むこと特徴とする方法にある。
【0057】
本発明の他の対象は、下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル・コポリマーから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程から成る、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む、複合材料の製造方法において、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で、フタレートおよびニトリル樹脂の中から選択される少なくとも一つの可塑剤を混合装置に添加する工程をさらに含み、
ポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に可塑剤の少なくとも50重量%を導入することを特徴とする方法にある。
【0058】
本発明のさらに他の対象は、下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、ポリエチレングリコールから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程を含む、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
【0059】
グリコール類の中から選択される少なくとも一種の可塑剤を混合装置に添加する工程をさらに含み、使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で上記可塑剤の少なくとも50重量%をポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に導入することを特徴とする方法にある。
【0060】
既に述べたように、使用する可塑剤の少なくとも50重量%はポリマーの溶融帯域の上流側で混合装置に導入される。
【0061】
特に液体の可塑剤に適した本発明第1の実施例では、可塑剤は全部または一部はポリマーの溶融帯域の開始位置へ導入される。一般に、可塑剤の50〜100重量%、例えば60〜80重量%をこの帯域に導入し、その可塑剤の0〜50重量%、例えば20〜40重量%をポリマーの溶融帯域の下流に導入する。
【0062】
本発明の変形連の第2実施例では、可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを混合装置の同じ供給ホッパーに同時または連続して導入できる。一般には可塑剤の全てをこのホッパーに導入するのが好ましい。上記原料は任意の順番でホッパーまたは適切なコンテナに直接導入でき、ホッパーに導入する前に均質化することもできる。
【0063】
この実施例では、ポリマーは粉末/細粒の混合物の形をしているのが好ましく、粉末/細粒の比は10:90から100:0であり、好ましくはポリマーは主として細粒の形ではなく、粉末の形をしているのが好ましい。そうすることでポリマーマトリックス中にナノチューブがより良く分散し、より良い伝導度を有する複合材料が得られるということを本発明者は確認した。実際には粉末形および細粒形のポリマーの混合物をポリマー粉末/ポリマー細粒の重量比を70/30〜100/0、好ましくは90/10〜100/0にして使用できる。
【0064】
本発明のこの第2実施例は個体の可塑剤に適している。これらはナノチューブとの予備混合物の形で混合装置の供給ホッパーに導入できる。70重量%の可塑剤としての環式ポリブチレンテレフタレートと30重量%の多重壁ナノチューブとを含む予備混合物はアルケマ(Arkema)社から商標名グラフィトスレングス(Graphistrength、登録商標)C M12-30で市販されている。
【0065】
本発明のこの実施例は可塑剤が液体の場合にも使用できる。この場合、ナノチューブおよび可塑剤は予備混合物(precomposite)の形でのホッパーまたは重量コンテナに導入できる。この予備混合物は例えば下記方法を用いて得ることができる
【0066】
(1)液体の形、必要な場合には溶融状態または溶剤中の溶液の形をした可塑剤を粉末状のナノチューブと接触させる。例えば可塑剤をナノチューブ粉末中へ注入または分散させて直接導入するか、これとは逆に、粉末中へ可塑剤を滴下するか、噴霧器を使用して可塑剤をスプレーしてナノチューブ粉末中に導入する。
(2) 得られた予備混合物を乾燥する。必要に応じて溶剤を除去(一般に蒸発によって除去)した後に乾燥する。
【0067】
上記の第1の階段は通常の合成反応装置、羽根式混合装置、流動層反応器またはブラベンダー(Brabender)、Z-ブレード混合装置または押出機タイプで実行できる。一般に、コーンタイプの混合装置、例えば円錐容器の隔壁に沿って回転する回転スクリューを有する混合装置であるホソカワのVrieco-Nautaタイプを使用するのが好ましい。
【0068】
本発明の第2実施例の変形例では、液体の可塑剤と熱可塑性ポリマーと作り、それにナノチューブを混合して予備混合物を作ることができる。
【0069】
本発明方法が完了時に複合材料が得られる。本発明の他の対象は、上記方法で得られる複合材料にある。この複合材料はそのまま使用するか、マスターバッチとして、従って、ポリマーマトリックス中に希釈して複合ポリマーを作るのに使用できる。
【0070】
本発明の他の対象は、複合材料製品の製造での上記複合材料の使用、および/またはポリマーマトリックスの電気的、機械的および/または熱的特性の少なくとも一つを付与するための上記複合材料の使用にある。
【0071】
本発明のさらに他の対象は、下記(1)と(2)から成る複合材料の製造方法にある:
(1)上記の本発明方法で複合材料を製造し、
(2)得られた複合材料をポリマーマトリックス中へ導入する
本発明のこの実施例では、複合材料は例えば0.5〜5重量%のナノチューブを含むことができる。
【0072】
ポリマーマトリックスは一般に勾配、ブロック、ランダム、立体ブロックのホモポリマーまたはコポリマー、リジッドまたはエラスチックな熱可塑性または熱硬化性のホモポリマーまたはコポリマー、結晶質、半結晶または非晶質のホモポリマーまたはコポリマーの中から選択される少なくとも一種のポリマーを含む。本発明では、少なくとも一種の熱可塑性ポリマーおよび/または少なくとも一種のエラストマー、特に、上記リストの中から選択されるものを使用するのが好ましい。
【0073】
上記複合材料がポリスチレン−ポリブタジエン−ポリ(C1-C8 アルキルメタクリレート)タイプまたはSBMポリマーから成る場合には、ポリマーマトリックスは例えばポリ塩化ビニルまたはPVCを含むことができる。
【0074】
また、ポリマーマトリックスは各種のアジュバントおよび添加剤、例えば滑剤、顔料、安定剤、充填剤または強化材、静電気防止剤、殺菌剤、難燃剤、溶剤を含むことができる。
【0075】
本発明のこの実施例では、得られる複合材料製品を例えば静電荷電の蓄積を防止するための流体輸送用貯槽器具、パイプ、タンク、オフショアパイプまたはホースの製造で使用できる。その変形例として、上記複合材料製品は特にスーパーキャパシター(supercapacitors)または燃料電池用の多孔性電極の製造で使用できる。
【0076】
本発明の他の実施例では、本発明方法で得られる複合材料をポリマーマトリックスを含むまたは含まない液体調合品の固化(stiffen)および/または濃化(thicken)に用いる。この液体調合品は熱可塑性ポリマーのための少なくとも一種の溶剤を含む。例えば、熱可塑性ポリマーが水可溶性ポリエチレングリコールの場合、液状調合品は水を含むことができる。従って、本発明は熱可塑性ポリマー用の少なくとも一種の溶剤を含む液体調合品、例えば特にインキ、ニス、ペイント、マスチック、ビチューメンまたはコンクリート組成物を固化および/または濃化するための手段を提供する。従って、本発明の他の対象は上記複合材料の上記での使用にある。
【0077】
他の実施例では、本発明の複合材料が導電性繊維(特に、溶融プロセスで得られるもの)または導電性単層フィルムまたは多層フィルム、すなわち電気抵抗率が一般に101〜108ohms.cmである製品の製造で使用される。
【0078】
すなわち、本発明方法を用いることで、従来技術のものと同程度の良好な機械特性を有し、それより優れた電気伝導率を有する製品、特に押出フィルムまたは繊維の形の製品を得ることができる。これは、これらの繊維およびフィルムの欠陥の原因となるナノチューブの凝集がなく、および/または、ナノチューブがより大きな易動性を有するためと考えられる。この繊維は特に導電性繊維の製造に使用できる。この用途では可塑剤は環式オリゴブチル(またはポリブチレン)テレフタレート、官能化された両親媒性炭化水素、アルキルスルファミドおよびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
以下、添付図面を参照した本発明の実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0079】
実施例1
ポリアミドCNT/ナイロン-12複合材料の製造
[表2]に組成を示す2つの配合物、すなわちlA(比較の配合物)と1B(本発明の配合物)とをBUSS MDK46のコニーダー(L/D=11)で混練した。
【0080】
【表2】

【0081】
配合物1Aの全固体成分は単一ホッパーへ導入した。配合物1Bの成分の一部(ポリアミドおよびナノチューブ)は同じホッパーに導入し、一部は重量測定式(gravimetric)な定量ポンプを用いてポリマーの溶融開始位置に対応するコニーダーの第1帯域に(BBSA)注入した。2つの配合物で設定温度および流量は同一にした(コニーダーの帯1/帯2:280℃/290℃、流量:13kg/時)。
【0082】
配合物lAは粘性が強く、コニーダーの電力消費量は5.8〜5.9kWになり、従って、メーカの指示した公称動力(6.0kW)に近い。しかも、コニーダーの最後の帯域の原料温度は約315℃に上昇した。
【0083】
これとは対照的に、配合物1Bは粘性が低く、生産条件を変えずに電力消費量は5.0〜5.2kWである。コニーダーの最終帯域の原料温度は295℃であった。さらに、配合物1Aはコニーダー中に堆積物を発生させたが、配合物1Bには堆積物の発生はなかった。
【0084】
この実施例の結果から、本発明方法は可塑剤を使用しない方法よりも温和な条件下でナノチューブの濃度を高くして複合材料を製造できるということが分かる。従って、本発明方法はポリマーマトリックスのグレードを下げず、また、容認できない機器の汚染を引き起こさずに、複合材料を連続的に製造することができる。
【0085】
実施例2
CNT/ナイロン−12複合材料から複合材料製品の製造
実施例1の複合材料を共回転する2軸押出機(直径:16mm、L/D=25)中で各種温度でPA−12で希釈して、2重量%のCNTを含む複合材料製品を得た。得られた複合材料製品の固有抵抗を測定した。[図1]はそれをプロットした曲線である。
【0086】
この図から明らかなように、ポリマーの製造メーカが定義した加工ウインドー(すなわち変形温度領域)の230℃〜290℃で製造した本発明に従って製造した複合材料製品(BBSAを含むMB)は、比較例の複合材料製品(BBSAを含まないMB)より低い温度で電気伝導性を有する。従って、本発明はより温和なプロセス条件下でポリマーマトリックスを保存した状態で複合材料製品を得ることができる。
これと同様な結果は、実施例1、2のPA−12をPA−11(アルケマ(Arkema)社からリルサン(Rilsan、登録商標)BMNO TLDの名称で市販)に代えた場合にも得られた。
【0087】
実施例3
CNT/ナイロン-6複合材料の製造
[表3]に組成を示した2つの配合物、すなわち3A(比較例の配合物)と3B(本発明の配合物)をコニーダーBUSS MDK 46(L/D=11)に導入した。
【0088】
【表3】

【0089】
配合物3Aの全固体成分は単一ホッパーに導入した。配合物3Bの成分の一部(ポリアミドおよびナノチューブ)は同じホッパーに入れ、他の部分は一部は重量測定式(gravimetric)な定量ポンプを用いてポリマーの溶融開始位置に対応するコニーダーの第1帯域に(10% BBSA)注入した。2つの配合物で設定温度および流量は同一にした(コニーダーの帯1/帯2:290℃/290℃、流量:11kg/時)。
【0090】
配合物3Aは粘性が強く、コニーダーの電力消費量は5.7〜5.8kWになり、従って、メーカの指示した公称動力(6.0kW)に近く、コンパウンディングを10時間続けた後にそれを越えた。従って、出力を10kg/時に下げる必要があった。コニーダーの最後の帯域の原料温度は約320℃に上昇した。
これとは対照的に、配合物3Bは粘性が低く、生産条件を変えずに電力消費量は5.4〜5.6kWである。コニーダーの最終帯域の原料温度は300℃であった。さらに、配合物3Aはコニーダー中に堆積物を発生させたが、配合物3Bには堆積物の発生はなかった。従って、この実施例から、本発明方法はポリマーマトリックスのグレードを下げず、また、容認できない機器の汚染を引き起こさずに、複合材料を連続的に製造することができることは明らかである。
【0091】
実施例4
CNT/ナイロン-6複合材料から複合材料製品の製造
実施例3の複合材料を共回転する2軸押出機(直径:16mm、L/D=25)中で各種温度でPA−12で希釈して、3重量%のCNTを含む複合材料製品を得た。得られた複合材料製品の固有抵抗を測定した。[図2]はそれをプロットした曲線である。
【0092】
この図から明らかなように、本発明に従って製造した複合材料は複合材料製品の製造温度を20℃下げることができ、その静電気放散特性は同じである。
実施例5
CNT/ポリカーボネート複合材料の製造
[表4]に組成を示した2つの配合物、すなわち5A(比較例の配合物)と5B(本発明の配合物)をコニーダーBUSS MDK 46(L/D=11)に導入した。
【0093】
【表4】

【0094】
配合物5Aの全固体成分は単一ホッパーに導入した。配合物5Bの成分の一部(ポリカーボネートおよびナノチューブ)は同じホッパーに入れ、他の部分は一部は重量測定式(gravimetric)な定量ポンプを用いてポリマーの溶融開始位置に対応するコニーダーの液体を80℃に加熱する装置を備えた第1帯域に注入した。2つの配合物で設定温度および流量は同一にした(コニーダーの帯1/帯2:300℃/260℃および310℃/270℃)。
【0095】
配合物5Aは、複合材料の劣化を引き起こさずにCNT含有量を20重量%まで上げることはできない点に注意する必要がある。さらに、テストしたCNT含有量でも原料温度は320℃を超え、出力は普通の10〜11kg/時であった。
これとは対照的に、CNTを20重量%含んだ配合物5Bを使用した場合には、15kg/時の安定した出力で約40時間生産を維持でき、原料温度は300℃を超えなかった。
【0096】
この実施例から、本発明方法を用いることでポリマーマトリックスのグレードを下げずに、高度にCNTを充填した複合材料を連続的に製造することができることが分かる。
本発明の複合材料、例えば配合物5Bは難燃剤である熱伝導性原料製造用(すなわち、UL94発火点試験のVO指数を有し、LOIが32%を超える)ポリカーボネート、ABS樹脂またはABS/スチレン・コポリマーをベースにしたポリマーマトリックス中に2〜3重量%のCNT濃度で希釈できる。
【0097】
実施例6
CNT/ポリカーボネート複合材料からの複合材料製品の製造
実施例5の複合材料を共回転する2軸押出機(直径:16mm、L/D=25)中で各種温度でPA−12で希釈して、2重量%のCNTを含む複合材料製品を得た。得られた複合材料製品の固有抵抗を測定した。[図3]はそれをプロットした曲線である。
この図から明らかなように、本発明に従って製造した複合材料は複合材料製品の製造温度を20℃下げることができ、その静電気放散特性は同じである。
【0098】
比較実施例7
CNT/PA−6複合材料の製造
実施例3の製造方法を繰り返したが、可塑剤は全てPA−6の溶融帯域の下流でコニーダーに導入した。
この帯域で300℃を超える原料温度の増加が観測され、さらに、約10時間の運転後に機械の動力が5.5kWから6kWまでになった。12時間後には生産を停止しなければならなかった。
従って、この比較例は、ポリマー溶融帯域の下流に可塑剤を導入した同様な方法と比較して本発明方法(実施例3)で得られる利点を示す。
【0099】
実施例8
コニーダーでのCNT/PEGマスターバッチの製造
25重量%のカーボンナノチューブ(アルケマ(ARKEMA)社からグラフィストレングス(Graphistrength、登録商標)C100)と、20重量%のポリエチレングリコール粉末(CLARIANT社のPEG 1500)と、20重量%のCLARIANT社のCM‐セルロースと、10重量%のナトリウムドデシルベンゼンスルホネートとを含む予備複合材料を、テークアップ押出機を付けたBUSS MDK46コニーダー(L/D=11)の最初の供給ホッパーに導入した。また、可塑剤として25重量%のプロピレングリコールを第1混練帯域へ注入した。コニーダー内部の設定温度は以下の通り:80℃/100℃(帯域1/帯域2)、80℃(テークアップ押出機)。上記含有量は100重量%のマスターバッチを得るための百分比率である。マスターバッチはダイフェース造粒のない固体状態でコンディショニングした。これは水性塩基ペイント配合物に希釈可能である。
【0100】
実施例9
押出機でのCNT/PEGマスターバッチの製造
50重量%のカーボンナノチューブ(アルケマ(ARKEMA)社からグラフィストレングス(Graphistrength、登録商標)C100)と、50重量%のプロピレングリコールとを含む予備複合材料をprecompositeは、CLEXTRAL BC21共回転2軸押出機の最初の計量部に導入した。40重量%のポリエチレングリコール(CLARIANT社のPEG 1500)と、40重量%のカルボキシメチルセルロース(CLARIANT社)と、20重量%のナトリウムドデシルベンゼンスルホナートとから成る粉末混合物を押出機の第2計量部に導入した。
コンパウンディングは600回転/分のスクリュー回転速度と10kg/時の流量とで、100℃の設定温度で実行した。得られたマスターバッチはCNTの重量%(挿入数)を含み、ダイフェース造粒のない固体状態でコンディショニングした。
これは室温で数時間、上記配合物中に存在する溶剤混合物で含浸された後に、溶剤配合物中に導入できる。
【0101】
実施例10
CNT/SBM複合材料の製造
組成を[表5]に示す2つの配合物:すなわち本発明の10Aおよび10B、をBUSSコニーダーMDK46(L/D=11)に導入した。
【0102】
【表5】

【0103】
配合物10Aおよび10Bの固形成分(ポリマーとナノチューブ)の一部は同じ供給ホッパーに導入し、一部(可塑剤)はポリマーの溶融開始位置に対応するコニーダーの最初の帯域へ重量定量ポンプで噴射した。ポンプには配合物10A用には160℃、配合物10B用には100℃まで液体を加熱する装置が付けてある。設定温度は両方の配合物とも同じにした(コニーダーの帯域1/帯域2:220/200℃)。
CNT(30%)の量が高いもかかわらず、原料温度は可塑剤のおかげで240℃を超えなかった。この実施例から本発明方法を用いることで、ポリマーマトリックスのグレードを下げずに、CNTが高濃度に充填された複合材料を連続的に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c):
(a) 少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとナノチューブとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 熱可塑性ポリマーとナノチューブとを溶融混合する、
段階を含む、10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法において、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の重量比で、少なくとも一種の可塑剤を上記混合装置中に加え、ポリマーの溶融帯域域中または溶融帯域域の上流側に少なくとも50重量%の可塑剤を導入する工程をさらに含み、ただし、可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを同時に導入するか、混合装置の同じ供給ホッパーに連続して導入する場合にはポリマーが粉末/顆粒比が10:90〜100:0である混合物の形、好ましくは主として粉末形であることを特徴とする方法。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーをオレフィンのホモポリマーおよびコポリマー、例えばアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アルキルメタクリレート・コポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンおよびポリブチレン、アクリルのホモポリマーおよびコポリマーおよびポリアルキル(メタ)アクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ホモポリアミドおよびコポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリエーテル、例えばポリフェニレン・エーテル、ポリオキシメチレンおよびポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン、ポリスチレン、スチレン/無水マレインコポリマー、ポリ塩化ビニール、フルオロポリマ、例えばポリ弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびポリクロロ‐トリフルオロ‐エチレン、天然または合成のゴム、熱可塑性ポリウレタン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニールおよびこれらの混合物の中から選択する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可塑剤を下記の中から選択する請求項1または2に記載の方法:
(1)ヒドロ安息香酸、ラウリン酸、アゼライン酸およびペラルゴン酸のホスフェートアルキルエステルおよびアルキルエステル(アルキル基は好ましくは1〜20の炭素原子を含む直鎖アルキル基)、
(2)アリールホスフェート、
(3)フタレート、特にジアルキルまたはアルキルアリール・フタレート、特にアルキルベンジルフタレート(アルキル基は互いに独立して1〜12の炭素原子を有する直鎖または分岐したアルキル基)、
(3)ニトリル樹脂、
(4)環式ポリブチレンテレフタレートおよびそれを含む混合物、
(5)アジペート、特にジアルキルアジペート、例えばジ(2-エチルヘキシル)アジペート、
(6)セバケート、特にジアルキルセバケート、特にジオクチルセバケート、
(7)グリコールベンゾエートまたはグリセロールベンゾエート、
(8)ジベンジルエーテル、
(9)クロロパラフィン、
(10)官能化された両親媒性炭化水素、
(11)プロピレンカーボネート、
(12)スルホンアミド、特にアルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミドおよびアリールアルキルスルホンアミド(アリール基は1〜12の炭素原子を有する少なくとも一つのアルキル基で置換されていてもよく、例えばベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドであり)、このスルホンアミドは少なくとも1〜20の炭素原子を有する少なくとも一つの好ましくは直鎖アルキル基によってN-置換またはN,N-置換されていてもよく、上記アルキル基はアルキルエステル、アルキルアミドまたは(アルキルエステル)アルキルアミド基を有していてもよい)、
(13)N-アルキル・グアニジンの塩(アルキル基は6〜16の炭素原子を有する好ましくは直鎖アルキル基)、
(14)グリコール、例えばプロピレングリコール、
(15)上記の混合物。
【請求項4】
下記(a)〜(c):
(a) 混合装置へナノチューブと、ホモポリアミドまたはコポリアミドから成る少なくとも一つの熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物とを導入し、
(b) 上記熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程を含む、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
上記混合装置に、スルホンアミド、ヒドロキシベンゾエート、フタレート、アジペートおよびホスフェートの中から選択される少なくとも一種の可塑剤を添加する工程をさらに含み、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の重量比で、可塑剤の少なくとも50重量%を、ポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に導入し、ただし、可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを同時に導入するか、混合装置の同じ供給ホッパーに連続して導入する場合には、ポリマーは粉末/細粒比が10:90から100:0の混合物の形、好ましくは主として粉末の形をしていることを特徴とする方法。
【請求項5】
下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、ポリカーボネートから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合、
する工程を含む好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で、ホスフェートアルキルエステル、アリールホスフェートおよびフタレートの中から選択される少なくとも一種の可塑剤をポリマーの混合装置へ添加し、可塑剤の少なくとも50重量%を溶融帯域の上流側か、溶融帯域中に導入する工程をさらに含むこと特徴とする方法。
【請求項6】
下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル・コポリマーから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーとを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程から成る、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む、複合材料の製造方法において、
使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で、フタレートおよびニトリル樹脂の中から選択される少なくとも一つの可塑剤を混合装置に添加する工程をさらに含み、
ポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に可塑剤の少なくとも50重量%を導入することを特徴とする方法。
【請求項7】
下記(a)〜(c):
(a) ナノチューブと、ポリエチレングリコールから成る少なくとも一種の熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物を混合装置へ導入し、
(b) 熱可塑性ポリマーを溶融し、
(c) 溶融した熱可塑性ポリマーとナノチューブとを混合する、
工程を含む、好ましくは10〜50重量%のナノチューブを含む複合材料の製造方法であって、
グリコール類の中から選択される少なくとも一種の可塑剤を混合装置に添加する工程をさらに含み、使用するナノチューブの重量に対して10〜400重量%の比で上記可塑剤の少なくとも50重量%をポリマーの溶融帯域の上流側または溶融帯域中に導入することを特徴とする方法。
【請求項8】
混合装置がコンパウンディング装置、例えばコニーダー(共混練機)または共回転二軸押出機)である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
可塑剤、熱可塑性ポリマーおよびナノチューブを混合装置の同じ供給ホッパーに同時または連続して導入する請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
可塑剤をポリマーの溶融帯域の開始位置で混合装置に導入する1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ナノチューブがカーボンナノチューブである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
使用するナノチューブが複合材料の総重量に対して15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%である請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
可塑剤を下記の中から選択する請求項1〜3および8〜12のいずれか一項に記載の方法:N-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)、N-エチルベンゼンスルホンアミド(EBSA)、N-プロピルベンゼンスルホンアミド(PBSA)、N-ブチル−N-ドデシルベンゼンスルホンアミド(BDBSA)、N,N-ジメチルベンゼンスルホンアミド(DMBSA)、パラ−メチルベンゼンスルホンアミド、オルト−トルエンスルホンアミド、パラ−トルエンスルホンアミド、レソルシノールビス(ジフェニル・ホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニル・ホスフェート)、ネオペンチルグリコールビス(ジフェニル・ホスフェート)、ジオクチルフタレート、グリコール、官能化された両親媒性炭化水素、環状ポリブチレンテレフタレートおよびこれらの混合物。
【請求項14】
可塑剤が複合材料の総重量の5〜80重量%、好ましくは10〜30重量%である請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法で得られる複合材料。
【請求項16】
請求項15に記載の複合材料の、多層複合製品の製造、および/または、ポリマーマトリックスに電気的、機械的および/または温的特性の少なくとも一つの特性を付与するための使用。
【請求項17】
請求項15に記載の複合材料の、液状調整物、特にインキ、ニス、ペイント、マスチック、ビチューメン製品または少なくとも一種の熱可塑性ポリマーの溶剤を含むコンクリート組成物を固くしおよび/または濃縮するための使用。
【請求項18】
請求項15に記載の複合材料の、導電性繊維または導電性の単層または多層フィルムの製造での使用。
【請求項19】
可塑剤が環式オリゴブチルテレフタレート、官能化された両親媒性炭化水素、アルキル・スルファミドおよびこれらの混合物の中から選択される請求項18に記載の使用。
【請求項20】
(1)請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法で複合材料を製造し、(2)この複合材料をポリマーマトリックス中へ導入することから成る複合材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−506475(P2012−506475A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532692(P2011−532692)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052034
【国際公開番号】WO2010/046606
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】