説明

ナノワイヤおよび他のデバイスの電場沈着のための方法およびシステム

ナノワイヤの沈着のための方法、システム、および装置が提供されている。沈着システムは、閉鎖流路、入口ポート、および電気信号源を備えている。上記入口ポートは、上記流路にナノワイヤを含む懸濁液を供給する。上記電気信号源は、上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための電場を生成するために、上記流路中の上記電極対に接続されている。上記沈着システムは、複数の溶液タイプを受容するように構成されていること、様々な電極の形状を有していること、回転可能な流路を有していること、追加の導電体を有していること、および他の側面を含んだ様々な他の特徴を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造物に関する。より具体的には、ナノ構造物の沈着方法および沈着システム、ならびに電気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤ等のナノ構造物は、全ての新世代電子デバイスを促進させる可能性を秘めている。ナノ構造物に基づいた、この新たに現れた新世代電子デバイスにとって、基板のような様々な表面へのナノ構造物の効率的な配列および沈着が主要な課題となっている。電場を用いると、液体中に懸濁しているナノワイヤを配列させることができるが、現行の沈着技術では、表面積が大きい基板へ拡張するうえで厳しい制限を課してしまう。同様に、集積回路、ダイス、および光学コンポーネント等の電子デバイスを沈着させる現行の技術は、表面積が大きい基板には十分に拡張し得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナノ構造物に対応した電子デバイスのアレイの生産に適した、ナノ構造物および他の電子デバイスの高品質な沈着を実現できるシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ナノ構造物の沈着に関する方法、システム、および装置が提供されている。ナノ構造物の電極への沈着のための技術が提供されており、1つのナノ構造物の電極対への沈着、2つのナノ構造物の電極対への沈着、および/または、他の所望の数量のナノ構造物の電極対への沈着を含んでいる。更に、ナノ構造物は、何れの数量の電極対に沈着されてもよく、1つの電極対および基板パネル上のアレイに形成された複数の電極対を含んでいる。
【0005】
例えば、第1の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。ナノワイヤを基板上に密着させずに、上記基板の電極上にナノワイヤを誘電泳動的に固定可能な特性を有する第1の溶媒が選択される。上記ナノワイヤを上記基板上に固着可能な特性を有する第2の溶媒が選択される。上記ナノワイヤを上記基板上に固定させるために、第1の溶媒および上記ナノワイヤを含んでいる第1の懸濁液が上記基板上に流される。上記ナノワイヤを上記基板上に固着させるために、第2の溶媒を含んでいる第2の懸濁液が上記基板上に流される。上記基板が乾燥される。
【0006】
他の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。基板の表面が第1の方向にて配置される。上記表面は、第1の電極および第2の電極を含む電極対を備えている。複数のナノワイヤを含む懸濁液が上記基板の上記表面上に流される。上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを上記電極対に付随させるために、上記電極対を用いて電場が生成される。過剰なナノワイヤを除去するために、第1の方向において上記基板の上記表面が洗浄される。上記基板が第2の方向へと回転される。過剰なナノワイヤを除去するために、第2の方向において上記基板の上記表面が洗浄される。
【0007】
他の実施例において、沈着システムは、閉鎖流路、入口ポート、および電気信号源を備えている。上記閉鎖流路は、第1の電極および第2の電極を備える電極対を備える第1の表面を有している。入口ポートは、上記流路に懸濁液の流れを供給するように構成されている。上記懸濁液は、複数のナノワイヤを含んでいる。上記閉鎖流路は、上記懸濁液が上記第1の表面上に流れるための第1の方向にて配置されることができる。電気信号源は、上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるために、上記電極対を用いて電場を生成するように構成されている上記電極対に接続されている。上記入口ポートは、過剰なナノワイヤを除去するために、上記第1の方向にて上記閉鎖流路の上記第1の表面を洗浄するための溶液を供給する。上記閉鎖流路は、第2の方向に回転できるように構成されている。上記入口ポートは、過剰なナノワイヤを除去するために、上記第2の方向にて上記閉鎖流路の上記第1の表面を洗浄するための溶液を供給する。
【0008】
他の実施例において、ナノ構造物の沈着システムが提供されている。上記システムは、境界表面、輸送機構、および複数のパネル処理段階または領域を備えている。上記境界表面は、標的パネルの表面上に複数の電極対を有する当該標的パネルを受容するように構成されている。各電極対は、少なくとも1つのナノワイヤを受容するように構成されている。上記輸送機構は、所定の速度にて上記標的パネルを上記境界表面上にて輸送するように構成されている。各パネル処理領域が、上記標的パネルの上記表面の一部に対してそれぞれの処理を実行するように構成されている。上記輸送機構は、上記標的パネルを上記複数のパネル処理領域を通して輸送するように構成されている。
【0009】
他の実施例において、ナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。標的パネルの表面上に複数の電極対を有する上記標的パネルが境界表面にて受容される。各電極対は、少なくとも1つのナノワイヤを受容するように構成されている。上記標的パネルは、所定の速度にて複数のパネル処理段階または領域を通して上記境界表面上を輸送される。上記標的パネルは、上記複数のパネル処理領域の各パネル処理領域にて処理される。各パネル処理領域は、上記標的パネルの上記表面の一部に対してそれぞれの処理を実行するように構成されている。
【0010】
他の実施例において、沈着システムは、閉鎖流路、誘電性の材料、入口ポート、および交流電気信号源を備えている。上記閉鎖流路は、互いに対向している第1および第2の表面を有している。上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備えている。上記第2の表面は、第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対を備えている。上記誘電性の材料は、上記第1の電極対および第2の電極対を被覆している。上記入口ポートは、懸濁液の流れを上記流路に供給するよう構成されている。上記懸濁液は、複数のナノワイヤを含んでいる。上記交流電気信号源は、上記第1および上記第2の電極対に接続されており、上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1および上記第2の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記第1および上記第2の電極対を用いて交流電場を生成するように構成されている。
【0011】
他の実施例において、沈着システムは、閉鎖流路、導電体、入口ポート、および交流電気信号源を備えている。上記閉鎖流路は、第1の表面を有している。上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている。入口ポートは、懸濁液の流れを上記流路に供給するよう構成されている。上記懸濁液は、複数のナノワイヤを含んでいる。交流電気信号源は、上記電極対および上記導電体に接続されており、上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記電極対および上記導電体を用いて交流電場を生成するように構成されている。
【0012】
他の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。互いに対向している第1および第2の表面を有している閉鎖流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液が流される。上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備えており、上記第2の表面は、第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対を備えている。上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1および上記第2の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記第1および上記第2の電極対を用いて交流電場が生成される。
【0013】
他の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。第1の表面を有している閉鎖流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液が流される。上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている。導電体が上記閉鎖流路に配置される。上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記電極対および上記導電体を用いて交流電場を生成される。
【0014】
他の実施例において、沈着システムは、表面および電極対を有している基板を備えている。上記電極対は、上記表面上に同軸上に配置されている第1の電極および第2の電極を備えている。上記第1の電極は、第1の端部を備えており、上記第2の電極は、第2の端部を備えている。上記第1の端部および上記第2の端部は、上記基板の上記表面上にて隣接して配置されつつ第1の距離だけ離れている。上記電極対は、上記電極対に少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための電場を生成するために、電気信号を受信するように構成されている。上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも正方形ではない形状であり、上記電極対上のナノワイヤの位置を向上させつつガイドするように構成されている。
【0015】
他の実施例において、ナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを電極対に付随させるための電場を上記電極対を用いて生成するために、基板の表面上に同軸上に配置されている上記電極対の第1の電極および第2の電極にて電気信号が受信される。上記第1の電極は、第1の端部を備えており、上記第2の電極は、第2の端部を備えている。上記第1の端部および上記第2の端部は、上記基板の上記表面上にて隣接して配置されつつ第1の距離だけ離れている。上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも正方形ではない形状であり、上記電極対上のナノワイヤの位置を向上させつつガイドするように構成されている。上記少なくとも1つのナノワイヤが上記基板の上記表面上に固着される。
【0016】
他の実施例において、沈着システムは、第1の表面を有している流路、入口ポート、電極対、および少なくとも1つの導電体を備えている。上記入口ポートは、懸濁液の流れを上記流路に供給するように構成されている。上記懸濁液は、複数のナノワイヤを含んでいる。上記電極対は、上記第1の表面上に第1の電極および第2の電極を備えている。上記電極対は、上記電極対に上記懸濁液の少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための第1の電場を生成するために、第1の電気信号を受信するように構成されている。上記少なくとも1つの導電体は、上記流路の上記第1の表面から過剰なナノワイヤを引き付けるための第2の電場を生成するために、第2の電気信号を受信するように構成されている。
【0017】
他の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。第1の表面を有している流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液が流される。上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている。上記懸濁液の少なくとも1つのナノワイヤを上記電極対に付随させるために、交流電場が上記電極対を用いて生成される。過剰なナノワイヤを上記流路の上記第1の表面から引き付けるために、第2の電場が少なくとも1つの導電体を用いて生成される。
【0018】
他の実施例において、基板の表面へのナノ構造物の沈着のための技術が提供されている。電極対に関連した固定電圧の動作ウィンドウを増大させるために、上記電極対の形状が形成される。上記電極対は、流路の表面上に第1の電極および第2の電極を備えている。上記流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液が流される。上記電極対にて上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを固定させるための交流電場を上記電極対を用いて生成するために、動作ウィンドウ内の値を有している電圧が上記電極対に印加される。
【0019】
本発明に係る様々な実施形態の構造および動作と同様に、本発明に係る更なる実施形態、特徴、および利点が、以下に添付の図面を参照しながら詳細に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、添付の図面を参照しながら記述されている。図面において、同様の符号は同一のまたは機能的に同様の構成要素を表す。構成要素が最初に出現する図面は、対応する符号における最も左の桁によって表されている。
【図1A】1本の単結晶半導体ナノワイヤの図である。
【図1B】コア−シェル(CS)構造に従ってドープされたナノワイヤの図である。
【図1C】コア−シェル−シェル(CSS)構造に従ってドープされたナノワイヤの図である。
【図2】一実施形態例に従ったナノ構造物の沈着システムのブロック図である。
【図3】一実施形態例に従ったナノ構造物の沈着のためのステップの例を提供しているフローチャートである。
【図4】実施形態例に従った、沈着フェーズにおける図2のナノ構造物の沈着システムのブロック図である。
【図5】実施形態例に従った、図4とは異なる沈着フェーズにおける図2のナノ構造物の沈着システムのブロック図である。
【図6】一実施形態例に従ったナノワイヤ溶液流システムのブロック図である。
【図7】一実施形態例に従った沈着システムのための電場生成システムである。
【図8】一実施形態例に従った、ナノワイヤを電極対に付随させるために電場が生成される沈着システムである。
【図9】一実施形態例に従った、付随ナノワイヤを伴った図8の沈着システムである。
【図10】一実施形態例に従った、沈着システムにおけるナノワイヤに印加される力を示している。
【図11】一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供しているフローチャートである。
【図12A】一実施形態例に従った反転可能なナノワイヤ溶液流システムのブロック図である。
【図12B】一実施形態例に従った反転可能なナノワイヤ懸濁液容器の一部の側面図である。
【図12C】一実施形態例に従った、図12Bに対し反対の方向における図12Bの容器である。
【図13】一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供するフローチャートである。
【図14】容器の壁からの距離に対する速度のプロットである。
【図15】一実施形態例に従って実現されてもよい洗浄時間の減少を示すプロットである。
【図16】一実施形態例に従った、洗浄に先立つ反転洗浄テストにおける基板上の電極図である。
【図17】一実施形態例に従った、洗浄が実行された後の図16の基板の図である。
【図18】通常の構成において洗浄されたウェハの基板上のナノワイヤの画像である。
【図19】一実施形態例に従った、反転構成において洗浄されたウェハの基板上のナノワイヤの画像である。
【図20】一実施形態例に従った、基板上に形成された電極対である。
【図21】実施形態に従った、電極の幅の様々な値に対する電極電圧の様々なウィンドウのプロットである。
【図22】一実施形態例に従った、0本、1本、および2本のナノワイヤが沈着する発生率のプロットである。
【図23】電極電圧ウィンドウにおいて、1本のナノワイヤが高い発生率を伴って電極に沈着される沈着分布のプロットである。
【図24】一実施形態例に従った、ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連するプロットである。
【図25】一実施形態例に従った、電極の幅の範囲に対する1本のナノワイヤの沈着の振る舞いに関連するプロットである。
【図26】一実施形態例に従った、電極の幅の範囲に対する1本のナノワイヤの沈着の振る舞いに関連するプロットである。
【図27】一実施形態に例に従った、電極の幅の効果を示している、ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連するプロットである。
【図28】一実施形態に例に従った、電極の幅の効果を示している、ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連するプロットである。
【図29】一実施形態例に従った電極の幅に対する臨界電圧のプロットである。
【図30】一実施形態例に従った電極電圧に対する1本のナノワイヤの処理ウィンドウ(SNPW)のプロットである。
【図31】一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着システムのブロック図である。
【図32】一実施形態に従った、図31の沈着システムを用いてナノ構造物が沈着されてもよいパネル例である。
【図33】一実施形態例に従った、図31の沈着システムのパネル処理領域のブロック図である。
【図34】処理時間を減少するために拡張された現行の沈着システムである。
【図35】一実施形態例に従った沈着セルである。
【図36】一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供しているフローチャートである。
【図37】一実施形態例に従った、複数のパネル処理領域を含んでいる沈着システムである。
【図38】線形処理によるせん断を示しており、境界表面に対する標的パネルの動きがせん断を形成しつつ速度プロファイルに影響を与えている。
【図39】実施形態に従ったナノワイヤの沈着技術例の側面図である。
【図40】実施形態に従ったナノワイヤの沈着技術例の側面図である。
【図41】一実施形態に従ったナノワイヤ洗浄技術例の側面図である。
【図42】実施形態に従ったナノワイヤ洗浄技術例の側面図である。
【図43】実施形態に従ったナノワイヤ洗浄技術例の側面図である。
【図44】一実施形態例に従った、基板およびカバーを備えている閉鎖流路の側面図である。
【図45】一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供するフローチャートである。
【図46】沈着の実施形態例において用いられてもよい交流波形である。
【図47】沈着の実施形態例において用いられてもよい交流波形である。
【図48】一実施形態例に従った、SLAマトリクスについての変形例のラベルに対する動作ウィンドウのプロットの一例であり、電極の厚さの効果を表す。
【図49】一実施形態例に従った、電極の厚さに対する動作ウィンドウのプロットである。
【図50】一実施形態例に従った、電極の厚さに対する動作ウィンドウのプロットである。
【図51】一実施形態例に従った、電極の幅に対する動作ウィンドウのプロットの一例である。
【図52】実施形態例に従った、固定電圧での電極の間隙(電極端部間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すプロットである。
【図53】実施形態例に従った、固定電圧での電極の間隙(電極端部間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すプロットである。
【図54】実施形態例に従った、固定電圧での電極の間隙(電極端部間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すプロットである。
【図55】実施形態例に従った、固定電圧での電極の間隙(電極端部間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すプロットである。
【図56】実施形態例に従った、固定電圧での電極の間隙(電極端部間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すプロットである。
【図57】一実施形態例に従った、基板上に形成された電極対である。
【図58】一実施形態例に従った、基板上に形成された、丸い電極の先端を伴う電極対である。
【図59】一実施形態例に従った、丸い電極の先端および複数の電極対の各々に固定されたナノワイヤを伴う電極回路構成である。
【図60】一実施形態例に従った、基板上の形成された、三角形状の電極の先端を伴う電極対である。
【図61】一実施形態例に従った、三角形状の電極の先端および複数の電極対の各々に固定されたナノワイヤを伴う電極回路構成である。
【図62】実施形態例に従った、ナノ構造物の沈着のためのステップの例を提供するフローチャートである。
【図63】実施形態例に従った、ナノ構造物の沈着のためのステップの例を提供するフローチャートである。
【図64】一実施形態例に従った、ナノ構造物の沈着のためのシステムである。
【図65】誘電泳動(DEP)技術に従って組み立てられた電子デバイスの図である。
【図66】誘電泳動(DEP)技術に従って組み立てられた電子デバイスの図である。
【図67】一実施形態例に従った、電場指向アセンブリの原理の一例を表す沈着システムである。
【図68】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力を用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図69】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力を用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図70】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力を用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図71】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力を用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図72】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図73】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図74】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図75】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図76】一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像であり、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いたナノワイヤの捕獲を表す。
【図77】一実施形態例に従った、距離に対する相互作用力平衡のプロットである。
【図78】一実施形態例に従った、電圧に対する0本、1本、および2本のナノワイヤの沈着の発生率のプロットである。
【図79】一実施形態例に従った、臨界固定電圧に対する流速度のプロットである。
【図80】一実施形態例に従った、ナノワイヤの沈着のための閉鎖セルシステムの画像である。
【図81】一実施形態例に従った、図80の閉鎖セルシステムの断面ブロック図である。
【図82】一実施形態例に従った、図80の閉鎖セルシステムの位置Xに対する速度のプロットである。
【図83】一実施形態例に従った、複数の電極アレイを備えている表面を有するウェハである。
【図84】一実施形態例に従った、ナノワイヤが沈着された、基板上の電極対である。
【図85】一実施形態例に従った、配列オフセットに対する累積率のプロットである。
【図86】実施形態例に従った、ナノワイヤトランジスタの電気的な特性を表すプロットである。
【図87】実施形態例に従った、ナノワイヤトランジスタの電気的な特性を表すプロットである。
【図88】実施形態例に従った、ナノワイヤトランジスタの電気的な特性を表すプロットである。
【0021】
本発明は、添付の図面を参照しながら記述されている。図面におてい、同様の符号は、同一のまたは機能的に同様の構成部材を表す。また、符号の最も左の桁は、符号が最初に出現する図面を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔I.導入部〕
本明細書において特定の実施形態が記載されているが、これは本発明の実施例であり、とりわけ本発明の範疇を限定するものではない。実際、簡略のために、従来のエレクトロニクス、製造、半導体デバイス、およびナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブ、およびナノリボンの技術、およびシステムの他の機能的な態様(およびシステムの独立動作コンポーネントのコンポーネント)は、本明細書においては詳述されていない。更に、簡略のために、本発明は、ナノワイヤに関連して記載されていることが多い。
【0023】
ナノワイヤが多く記載されているが、本明細書に記載の技術は、ナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン、および/またはこれらを組み合わせたもののような他のナノ構造物にも適用可能である。また、本明細書に記載の製造技術は、何れの半導体デバイスタイプおよび他の電子コンポーネントタイプを製造するためにも用いられうる。更に、本明細書に記載の技術は、電気システム、光学システム、家庭用電化製品、工業電子装置、および無線システムへの応用、宇宙への応用、または他の何れの応用にも適用できる。
【0024】
本明細書にて用いられているように、「アスペクト比」とは、ナノ構造物の第2および第3の軸の長さの平均値により除算されたナノ構造物の第1の軸の長さのことである。ここで、第2および第3の軸は、互いの長さが略同等である2つの軸である。例えば、完全なロッドのアスペクト比は、長軸に対して垂直な(直行した)断面の直径により除算された長軸の長さである。
【0025】
ナノ構造物に関して用いられる際の「ヘテロ構造」という用語は、少なくとも2つの異なるおよび/または区別できる種類の材料を特徴とするナノ構造物を表す。典型的に、ナノ構造物の第1の領域は第1の材料タイプを含んでおり、ナノ構造物の第2の領域は第2の材料タイプを含んでいる。所定の実施形態において、ナノ構造物は第1の材料でできたコアおよび第2の(または第3等の)材料でできた少なくとも1つのシェルを備えている。ここで、異種の材料タイプが、ナノワイヤの長軸、例えば、分岐ナノ結晶のアームの長軸またはナノ結晶の中央の長軸の周囲に放射状に配置されている。シェルがシェルであると見なされるために、または、ナノ構造物がヘテロ構造であると見なされるために、シェルは隣接する材料を完全に覆う必要はない。例えば、微小なアイランド状の第2の材料により覆われた第1の材料でできたコアを特徴とするナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態では、異種の材料タイプは、ナノ構造物内の異なる位置に配置されている。例えば、材料タイプは、ナノワイヤの主軸(長軸)に沿って、または、分岐ナノ結晶のアームの長軸に沿って配置されてもよい。ヘテロ構造内の異なる領域は、全く異種の材料を含んでいてもよいし、基準となる材料を含んでいてもよい。
【0026】
本明細書にて用いられているように、「ナノ構造物」とは、500nn未満(例えば、200nn未満、100nn未満、50nn未満、または更に小さく20nn未満)の大きさを伴う少なくとも1つの領域または特徴的な大きさを有する構造物である。典型的に、当該領域または特徴的な大きさは、当該構造物の最短の軸に沿っている。そのような構造物の例には、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐テトラポッド(例えば、無機デンドリマ)のようなものが挙げられる。ナノ構造物は、材料の特性において略同種であってもよく、所定の実施形態においては、他種(例えば、ヘテロ構造)であってもよい。例えば、ナノ構造物は、略結晶、略単結晶、多結晶、アモルファス、またはこれらの組み合わせであってもよい。1つの側面においては、ナノ構造物の3つの大きさがそれぞれ、500nn未満(例えば、約200nn未満、約100nn未満、約50nn未満、または更に小さく約20nn未満)の大きさである。
【0027】
本明細書にて用いられているように、「ナノワイヤ」とは、一般に、少なくとも1つの断面の大きさが500nn未満、好ましくは約100nn以下であり、アスペクト比(長さ対幅)が10よりも大きい、好ましくは50よりも大きい、より好ましくは100よりも大きい、細長い導電性の材料または半導電性の材料(または、本明細書に記載の他の材料)であれば任意のものを表す。本発明に係る方法およびシステムを実行するにあたり使用するナノワイヤは、例として10ミクロンオーダーの長さ(例えば、約10、20、30、40、および50ミクロン等)および約100nnの半径を有している。
【0028】
本発明に係るナノワイヤは、材料の特性において略同種であってもよく、所定の実施形態においては、他種(例えば、ナノワイヤへテロ構造)であってもよい。ナノワイヤは、本質的にどの適切な材料から製造されてもよく、例えば、ナノ構造物は、略結晶、略単結晶、多結晶、アモルファスであってもよい。ナノワイヤは、ばらつきのある直径を有していてもよく、また、略均一の直径、すなわち、(a)ばらつきが最大である領域において、および、(b)少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nm、または、少なくとも50nm)の直線的な長さにおいて、約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満、または約1%未満)のばらつきを示す直径を有していてもよい。典型的に、直径は、ナノワイヤの端部から離れて(例えば、ナノワイヤの中央部20%、40%、50%、または80%に亘り)算出される。ナノワイヤは、長軸の全長または一部に亘り、直線状であっても、例えば、湾曲したり折れ曲がったりしていてもよい。所定の実施形態において、ナノワイヤまたはナノワイヤの一部は、2次元および3次元の量子閉じ込めを示してもよい。本発明に係るナノワイヤは、特にカーボンナノチューブを含まなくてもよく、また所定の実施形態において、「ウィスカ」または「ナノウィスカ」を含まなくてもよく、特に100nnよりも大きい直径または約200nnよりも大きい直径を有する「ウィスカ」を含まなくてもよい。
【0029】
そのようなナノワイヤの例には、国際公開第02/17362号パンフレット、国際公開第02/48701号パンフレット、および、国際公開第01/03208号パンフレットに記載されている半導体ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、および同様の大きさを伴う他の細長い導電性または半導電性の構造物が含まれ、これらは参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0030】
本明細書にて用いられているように、「ナノロッド」とは、一般に、ナノワイヤと同等の細長い導電性または半導電性の材料(または、本明細書に記載の他の材料)を表すが、ナノロッドのアスペクト比(長さ対幅)はナノワイヤのアスペクト比よりも小さい。2つ以上のナノロッドは自身の長手方向の軸に沿って互いに結合されてもよく、結合されたナノロッドは、電極間に架かる。また、2つ以上のナノロッドは、実質的に自身の長手方向の軸に沿って配列されるが互いに結合されなくてもよく、2つ以上のナノロッドの端部間において小さな間隙が存在する。この場合、電子が小さな間隙を横切ろうと一方のナノロッドから他方のナノロッドにホッピングすることにより、電子が一方のナノロッドから他方のナノロッドに移動する。2つ以上のナノロッドは、実質的に電子が電極間を移動できるパスを形成するように配列されてもよい。
【0031】
ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、およびナノリボンには、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP6)B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−Sn、Ge−Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN、CaCN、ZnGeP、CdSnAs、ZnSnSb、CuGeP、CuSi2P、(Cu,Ag)(Al,Ga,In,Tl,Fe)(S,Se,Te)、Si、Ge、Al、(Al,Ga,In)(S,Se,Te)、AlCO、およびこれらの半導体材料の2つ以上からなる適切な組み合わせから選択された半導体材料を含んでいる幅広いタイプの材料が用いられてもよい。
【0032】
ナノワイヤは、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム、コバルト、クロム、アルミ、チタン、スズ等の金属、金属合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミック、および/またはこれらの組み合わせのような他の材料から形成されてもよい。現在知られている他の導電性または半導電性の材料、または、今後開発される導電性または半導電性の材料が用いられてもよい。
【0033】
所定の態様において、半導体は、
(i)周期律表のIII族からのp型ドーパントまたは周期律表のV族からのn型ドーパント、つまり、B、Al、およびInからなるグループから選択されたp型ドーパントまたはP、As、およびSbからなるグループから選択されたn型ドーパント
(ii)周期律表のII族からのp型ドーパント、つまり、Mg、Zn、Cd、およびHgからなるグループから選択されたp型ドーパント
(iii)周期律表のIV族からのp型ドーパント、つまり、CおよびSiからなるグループから選択されたp型ドーパントまたはSi、Ge、Sn、S、Se、およびTeからなるグループから選択されたn型ドーパント
からなるグループからのドーパントを含んでいてもよい。現在知られている他のドーパント材料、または、今後開発されるドーパント材料が用いられてもよい。
【0034】
更に、ナノワイヤまたはナノリボンは、カーボンナノチューブまたは導電性または半導電性の有機ポリマー材料(例えば、ペンタセンおよび遷移金属酸化物)により形成されたナノチューブを含んでいてもよい。
【0035】
これ以降、本明細書における記載を通して、「ナノワイヤ」という用語は、説明をする目的のために用いられているが、本明細書における記載は、ナノチューブ(例えば、自身を通って軸方向に形成された凹状チューブを有するナノワイヤ状の構造)の使用も包括している。ナノチューブは、本明細書に記載されている特性および利点を提供するために、本明細書におけるナノワイヤと同様にナノチューブの薄膜/ナノチューブの組み合わせにより形成されてもよく、ナノチューブ単体、または、ナノワイヤとの組み合わせにより形成されてもよい。
【0036】
本明細書における空間の表現(例えば、「上方に」、「下方に」、「上に」、「下に」、「上部に」、「下部に」、「垂直に」、「水平に」等)は、説明のためにのみ用いられており、本発明に係るデバイスは、何れの方向または態様によって空間的に配列されてもよい。
【0037】
図1Aは、単一結晶の半導体ナノワイヤコア(これ以降、「ナノワイヤ」と呼ぶ)100の図である。図1Aは、均一にドープされた単一結晶のナノワイヤであるナノワイヤ100を示している。そのような単一結晶のナノワイヤは、然るべき制御された方法によりp型半導体およびn型半導体の何れか一方にドープされてもよい。ナノワイヤ100のようなドープされたナノワイヤは、改善された電子的特性を示す。例えば、そのようなナノワイヤは、バルクを有する単一結晶の材料と同程度の電荷移動レベルを有するようにドープされてもよい。
【0038】
図1Bは、ナノワイヤコアの周囲にシェル112を伴うコア−シェル構造を有するナノワイヤ110を示している。ナノワイヤの外層を形成することにより、例えば、ナノワイヤのパッシベーションアニーリングをすることにより、および/または、ナノワイヤを伴うコア−シェル構造を用いることにより、表面における分散は低減される。酸化物被膜のような絶縁層は、シェル層としてナノワイヤ上に形成されてもよい。更に、例えば、酸化物被膜を有するシリコンナノワイヤにとって、水素(H2)中におけるナノワイヤのアニールは、表面状態を非常に低減させる。本実施形態において、コア−シェル結合は、以下の制限を満足するように構成されている。
(1)伝導電荷がコア中に閉じ込められるように、シェルのエネルギーレベルはコアのエネルギーレベルよりも高い。
(2)コアおよびシェルの材料がうまく格子整合しており、表面準位および表面電荷が少ない。
図1Cに示されているような、単一結晶の半導体コア、ゲート誘電体の内部シェル、および共形ゲートの外部シェルを備えるために、より複雑な他のナノワイヤのコア−シェル構造が用いられてもよい。図1Cは、ナノワイヤコアの周囲に内部シェル112および外部シェル116を伴うコア−シェル−シェル構造を有するナノワイヤ114を示している。これは、例えば、外部ゲートのシェルとして、Si/SiOxの(上述された)コア−シェル構造の周囲にTaAlN、WN、または高ドープされたアモルファスシリコンを沈着させることにより実現されてもよい。
【0039】
絶縁シェルの価電子帯は、p型にドープされたワイヤのコアの価電子帯より低くてもよい。またはシェルの伝導帯は、n型にドープされたワイヤのコアより高くてもよい。一般に、コアのナノ構造物は、いかなる金属材料または半導体材料から形成されてもよく、コア上に沈着した1つ以上のシェル層は同種の材料または異種の材料から形成されてもよい。例えば、第1のコア材料は、II−IV族半導体のグループ、III−V族半導体グループ、IV族半導体グループ、およびこれらの合金からなるグループから選択された第1の半導体を含んでいてもよい。同様に、1つ以上のシェル層の第2の材料は、酸化物層、例えば、第1のコア材料は、II−IV族半導体のグループ、III−V族半導体グループ、IV族半導体グループ、およびこれらの合金からなるグループから選択された第1の半導体と同一または異なる第2の半導体を含んでいてもよい。例えば、半導体は、CdSe、CdTe、InP、InAs、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InSb、Si、Ge、AlAs、AlSb、PbSe、PbS、PbTeを含んでいるが、これに限定されるものではない。上述のように、金、クロム、スズ、ニッケル、アルミ等、およびこれらの合金のような金属材料がコア材料として用いられてもよく、二酸化シリコンまたは他の絶縁材料のような適切なシェル材料を用いて金属コアが被覆されてもよい。より複雑なコア−シェル−シェルナノワイヤ構造物を形成させるために、この二酸化シリコンや他の絶縁材料のような適切なシェル材料は、上述の材料によりできた1つ以上の追加のシェル層により順々に覆われてもよい。
【0040】
ナノ構造物は、違った材料に用いることのできる数多くの適切な方法の何れかによって生成されてもよく、ナノ構造物のサイズは、違った材料に用いることのできる数多くの適切な方法の何れかにより制御されてもよい。例えば、様々な混合物によるナノ結晶の合成が、例えば、
・Peng et al. (2000) "Shape Control of CdSe Nanocrystals" Nature 404 59-61
・Puntes et al (2001) "Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt" Science 291, 2115-2117
・米国特許第6,306,736号明細書(2001年10月23日公開)、Alivisatosら著、表題「Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals and product formed using process」
・米国特許第6,225,198号明細書(2001年5月1日公開)、Alivisatosら著、表題「Process for forming shaped group II-IV semiconductor nanocrystals and product formed using process」
・米国特許第5,505,928号明細書(1996年4月9日公開)、Alivisatosら著、表題「Preparation of III-V semiconductor nanocrystals」
・米国特許第5,751,018号明細書(1998年5月12日公開)、Alivisatosら著、表題「Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self-assembled monolayers」
・米国特許第6,048,616号明細書(2000年4月11日公開)、Gallagherら著、表題「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」
・米国特許第5,990,479号明細書(1999年11月23日公開)、Weissら著、表題「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes biological applications and process for making and using such probes」
に記載されている。
【0041】
制御された直径を有するナノワイヤを含んでいる、様々なアスペクト比を有するナノワイヤの成長は、例えば、
・Gudiksen et al. (2000) "Diameter-selective synthesis of semiconductor nanowires" J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802
・Cui et al. (2001) "Diameter-controlled synthesis of single-crystal silicon nanowires" Appl. Phys. Lett. 78, 2214-2216
・Gudiksen et al. (2001) "Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowirews" J. Phys. Chem. B 105, 4062-4064
・Morales et al. (1998) "A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires" Science 279, 208-211
・Duan et al. (2000) "General synthesis of compound semiconductor nanowires" Adv. Mater. 12, 298-302
・Cui et al. (2000) "Doping and electrical transport in silicon nanowires" J. Phys. Chem. B 104, 5213-5216
・Peng et al. (2000) "Shape Control of CdSe Nanocrystals" Nature 404 59-61
・Puntes et al (2001) "Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt" Science 291, 2115-2117
・米国特許第6,306,736号明細書(2001年10月23日公開)、Alivisatosら著、表題「Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals and product formed using process」
・米国特許第6,225,198号明細書(2001年5月1日公開)、Alivisatosら著、表題「Process for forming shaped group II-IV semiconductor nanocrystals and product formed using process」
・米国特許第6,036,774号明細書(2000年3月14日公開)、Lieberら著、表題「Method of producing metal oxide nanorods」
・米国特許第5,897,945号明細書(1999年4月27日公開)、Lieberら著、表題「Metal oxide nanorods」
・米国特許第5,997,832号明細書(1999年12月7日公開)、Lieberら著、表題「Preparation of carbide nanorods」
・Urbau et al. (2002) "Synthesis of single-crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate" J. Am. Chem. Soc. 124, 1186
・Yun et al. (2002) "Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy" Nano Letters 2, 447
に記載されている。
【0042】
分岐ナノワイヤ(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、および分岐テトラポッド)の成長は、例えば、
24.Jun et al. (2001) "Controlled synthesis of multi-armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system" J. Am. Chem. Soc. 123, 5150-5151
25.Manna et al. (2001) "Synthesis of Soluble and Processable Rod-, Arrow-, Teardrop-, and Tetrapod-Shaped CdSe Nanocrystals" J. Am. Chem. Soc. 122, 12700-12706
に記載されている。
【0043】
ナノ粒子の合成は、例えば、
・米国特許第5,690,807号明細書(1997年11月25日公開)、Clark Jr.ら著、表題「Method for producing semiconductor particles」
・米国特許第6,136,156号明細書(2000年10月24日公開)、El-Shallら著、表題「Nanoparticles of silicon oxide alloys」
・米国特許第6,413,489号明細書(2002年7月2日公開)、Yingら著、表題「Synthesis of nanometer-sized particles by reverse micelle mediated techniques」
・Liu et al. (2001) "Sol-Gel Synthesis of Free-Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles" J. Am. Chem. Soc. 123, 4344
に記載されている。ナノ粒子の合成は、ナノ結晶、ナノワイヤ、および分岐ナノワイヤの成長に関する上記引用文献にもまた記載されており、引用文献における結果としてのナノ構造物は約1.5未満のアスペクト比を有している。
【0044】
ナノ構造を有するコア−シェル型ヘテロ構造物、すなわち、ナノ結晶およびナノワイヤ(例えば、ナノロッド)コア−シェル型ヘテロ構造物の合成は、例えば、
・Peng et al. (1997) "Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility" J. Am. Chem. Soc. 119, 7019-7029
・Dabbousi et al. (1997) "(CdSe)ZnS core-shell quantum dots: Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites" J. Phys. Chem. B 101, 9463-9475
・Manna et al. (2002) "Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods" J. Am. Chem. Soc. 124, 7136-7145
・Cao et al. (2000) "Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores" J. Am. Chem. Soc. 122, 9692-9702
に記載されている。同様の方法が、他のコア−シェル型ナノ構造物の成長に適用されてもよい。
【0045】
異種の材料が、ナノワイヤの長軸に沿って異なる位置に配置されているナノワイヤ型ヘテロ構造物の成長は、例えば、
・Gudiksen et al. (2002) "Growth of nanowire superlattice structure for nanoscale photonics and electronics" Nature 415 617-620
・Bjork et al. (2002) "One-dimensional steeplechase for electrons realized" Nano Letters 2, 86-90
・Wu et al. (2002) "Block-by-block growth of single-crystalline Si/SiGe superlattice nanowires" Nano Letters 2, 83-86
・米国特許出願公開第60/370,095号明細書(2002年4月2日公開)、Empedocles著、表題「Nanowire heterostructures for encoding information」
に記載されている。同様の方法が、他のヘテロ構造物の成長に適用されてもよい。
【0046】
〔II.ナノ構造物の沈着のための実施形態例〕
このセクションでは、ナノワイヤのようなナノ構造物および電子デバイスを表面に適用するための実施形態が記載されている。本実施形態は「ナノワイヤ」という用語の下で記載されることが多いが、このような記載は説明のために記載されているのであり、このような実施形態は他のナノ構造物タイプ(例えば、ナノチューブ等)および電子デバイスに適用可能である。
【0047】
実施形態において、沈着表面上の電極対のごく近傍に1つ以上のナノワイヤが供給される。電極対に電圧が印加されることにより、ナノワイヤは電極対に付随するようになる。その後、ナノワイヤは、電極対から標的表面に沈着されてもよく、また、更なる処理のために沈着表面上に残存していてもよい。
【0048】
本明細書を通して用いられている「配置」という用語は、ナノワイヤ(および他のナノ構造物)の表面への、例えば、電極対への「沈着」または「連結」だけでなく「配列」および「結合」をも表す。「配置」という用語は、配列されているナノワイヤおよび配列されていないナノワイヤの何れをも含んでいる。本明細書を通して用いられている「配列された」という用語は、略平行であるナノワイヤ、または、互いに同一方向または略同一方向に方向付けされているナノワイヤを表す(例えば、ナノワイヤは同一方向に配列または互いに45度以内に配列されている)。本発明に係るナノワイヤは、全てが互いに略平行でありつつ、(他の実施形態では、電極に対して平行であるが)電極対の各電極に対して略垂直であるように(例えば、両電極を通る軸に対して平行であるように)配列されている。電極対上へのナノワイヤの配置は、ナノワイヤが電極対に架かるようにナノワイヤを配置することを含む。電極対の2つの電極間の距離よりもナノワイヤが長い実施形態では、ナノワイヤは電極を越えて延伸してしまう。
【0049】
本明細書に記載の実施形態にて用いられているナノワイヤを供給する技術は、当業者にはよく知られている。例えば、一実施形態では、ナノワイヤが懸濁液中に供給されてもよい。懸濁液とは、複数のナノワイヤが液体中に懸濁しているものである。一実施形態では、当該液体は、水または水溶液のような水性の媒体、イオン(塩を含む)、および他のコンポーネント(例えば、界面活性剤)である。ナノワイヤ懸濁液を作り上げるための適切な液体の他の例として、有機溶媒、無機溶媒、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本明細書にて用いられているように、ナノワイヤを供給する際の「電極対のごく近傍に」という語句は、ナノワイヤが電極により生成された電場により操作されるように供給される、または、配置されることを表す。これは、ナノワイヤが電極に付随できるような電極対からの距離である。実施形態例では、ナノワイヤは、電極対のごく近傍にあるように、電極対から10ミリメートルも離れないように供給される。他の実施形態例では、ナノワイヤは、電極対のごく近傍にあるように、電極対から100μm、50μm、または1μmも離れないように供給される。
【0051】
実施形態において、ナノ構造物を配列および/または沈着するためのシステムおよび/または装置が提供される。例えば、図2は、一実施形態例に係るナノ構造物の沈着システム200を示している。図2に示されているように、沈着システム200は、溶液202、ナノ構造物204、および標的基板212を備えている。基板212は、ナノ構造物204を受容するための、「標的表面」と表される表面210を備えている。電極対208は表面210上に配置されている。ナノ構造物204は、溶液202の中に存在している。ナノ構造物204は、溶液202から表面210にある電極対208により受容され、ナノ構造物204は、ナノ構造インク(例えば、ナノワイヤインク)およびナノ構造懸濁液(例えば、ナノワイヤ懸濁液)等であってもよい。ナノ構造物204は、1つ以上のナノワイヤを含め、本明細書にて記載されているいかなるナノ構造物タイプを含んでいてもよい。沈着システム200のコンポーネントに関する更なる説明は、以下に記載されている。
【0052】
図3は、実施形態例に係るナノ構造物を沈着するためのステップの例を提供しているフローチャート300を示している。例えば、フローチャート300に従うと、ナノ構造物204は溶液202から表面210に沈着される。説明のために、フローチャート300は、実施形態の様々なブロック図を示している図2、4、および5に関連させて以下に記載されている。以下の記述に基づけば、他の構造的および動作的な実施形態は当業者には明白である。
【0053】
フローチャート300は、ステップ302と共に開始する。ステップ302では、少なくとも1つのナノ構造物が電極対のごく近傍に供給される。例えば、図2に示されているようにナノ構造物204は、電極対208のごく近傍に供給される。例えば、ナノ構造物204は、ナノ構造物204が電極対208のごく近傍に配置されるために溶液202中に存在しており、電極対208の上方(または下方)を移動し、電極対208に接触する。また、ナノ構造物204は、他の方法により電極対208のごく近傍に供給されてもよい。
【0054】
ステップ304では、1つ以上のナノ構造物を電極に付随させるために、電場が電極対の電極により生成される。例えば、電場を生成させるために、電位が電極対208に結合される。電極対208により生成された電場は、電極対208のごく近傍に配置されているナノ構造物204を電極対208に付随させるために用いられる。図4に示されているように、ナノ構造物204は電場により電極対208に引き寄せられる。図5に示されているように、ナノ構造物204は、電極対208に付随する(図2、4および5に示されていない、溶液202中の他のナノ構造物は電極対208に付随しない)。一実施形態において、付随したナノ構造物204は、電場により表面210から離れて懸濁している。他の実施形態において、付随したナノ構造物204は、電場により表面210に接触している。ナノ構造物を付随させるために電極により電場が生成される実施形態の例が、以下において更に詳細に記載されている。
【0055】
基板212は、電極対208が形成された(例えば、パターン形成された、めっきされた等の)基板または他の構造である。基板212は、半導体ウェハまたは誘電体材料(例えば、プラスチックまたはポリマー等)のような適切な材料の何れかを用いて形成されている。適切な材料の例として、Si、SiO2、GaAs、InP、および本明細書に記載されている他の半導体材料が含まれるが、これに限定されるものではない。電極対208は、第1および第2の電極を備えている。第1および第2の電極に用いられる材料の例として、Al(アルミニウム)、Mo(モリー電極(Moly electrodes))、Cu(銅)、Fe(鉄)、Au(金)、Ag(銀)、Pt(白金)、Cr/Au(クロム−金)、およびドープされたポリシリコン等が含まれるが、これに限定されるものではない。所望であれば、実施形態を実施するにあたり用いられる電極は、表面上に酸化物被覆または他の層を更に含んでいてもよい。第1および第2の電極の方向またはパターンの何れが用いられてもよい。
【0056】
ナノ構造物は、フローチャート300のステップ302に係る様々な手法により、第1および第2の電極のごく近傍に供給される。一実施形態において、容器は、ナノ構造物を含んでいる溶液202の流れを受容する。例えば、実施形態の一例に従い、図6は、ナノワイヤ溶液流システムの600ブロック図を示している。図6に示されているように、移動システム600は、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602、ナノワイヤ懸濁液容器610、およびナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604を備えている。ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602は、溶液の供給源を含むタンクまたは他の貯蔵器タイプである。所望であれば、懸濁液を形成させるために、ナノワイヤ(および/または他のナノ構造物)が貯蔵器602の溶液に導入されてもよい。溶液は、水、イソプロピルアルコール(IPA)、他の液体、これらの組み合わせ等を含んでいる、ナノワイヤを収容するためのいかなる適切な液体タイプであってもよい。
【0057】
図6に示されているように、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602は、ナノワイヤ懸濁液流606を排出し、容器610により受け入れられる。ナノワイヤ懸濁液流606は、1つ以上の流路、パイプ、バルブ等を通して、貯蔵器602により容器610に供給される。懸濁液と電極対208とを相互作用させた後、容器610は残存ナノワイヤ懸濁液流608を排出し、ナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604により受け入れられる。ナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604は、タンクまたは他の貯蔵器タイプである。チャンバ604内において受け入れられた残存ナノワイヤ懸濁液流608は、例えば、濾過され、および/またはシステム600を循環させるためにソース貯蔵器602に戻って供給されたり、そこに追加された残存ナノワイヤまたはそこから回復した残存ナノワイヤを有したり、廃棄されたりしてもよい。
【0058】
それ故、上述の実施形態においては、電極対208にナノ構造物の懸濁液(例えば、ナノワイヤ「インク」)を供給することにより、1つ以上のナノ構造物が供給される。図6に示されているように、ナノワイヤを含んでいる溶液を表面上の電極対に対して流れさせることにより、ナノワイヤ懸濁液は供給される。一実施形態において、ナノワイヤが供給されるにつれて、懸濁液流は流れ方向にナノワイヤを配列させるために役立っている。
【0059】
フローチャート300のステップ304に係る様々な手法により1つ以上の隣接したナノワイヤを電極に付随させるために、電場が電極対の電極により生成される。例えば、実施形態の一例に従い、図7は、フローチャート300のステップ304(図3)を実行させるために用いられるナノワイヤの沈着システム700を示している。図7に示されているように、システム700は、電圧源702を備えている。電圧源702は、電気信号704を供給するために電気的な接続により電極対208に結合された信号/波形生成器である。電圧源702は、1つ以上のナノワイヤ706を電極対208に付随させるための電場を電極対208が生成するための直流(DC)信号および/または交流(AC)信号としての電気信号704を生成する。
【0060】
例えば、図8は、図7の沈着システム700の一例である、例示的な沈着システム800を示している。図8に示されているように、システム800は、容器802、(容器802中の、および/または容器802を流れている)溶液202、(溶液202中の)ナノワイヤ706、および基板212を備えている。図8において、基板212は、溶液202中に一部(例えば、下方を向いている表面210)が浸水しているように示されているが、他の実施形態において、基板212は溶液202中に完全に浸水しており、および/または、図8とは別の方向に方向付けられている。第1の電極804と第2の電極806との間において矢印により示されている電場808は、基板212上の電極対208に電圧を印加することにより生成される。1つ以上のナノワイヤ706を電極対208に付随させるため、電気信号704を用いて電極対208に電圧を印加することにより、電場808が電極対208の電極804と電極806との間において生成される。電場808は、容器802へのナノワイヤ生成/導入期間の前、後、および/または、期間中において生成されてもよい。本明細書にて用いられているように、「電場」および「電磁場」という用語は、互いに交換可能に用いられており、電荷の近傍にて荷電された物体に印加される力を表す。本明細書にて用いられているように、「電極対への電圧印加」という用語は、電極対の電極間において電場が生成されるように、電極に電気的な電圧/電流を供給するための、適切な機構またはシステムの何れかを表す。
【0061】
電場808を生成するための電極対208への電圧印加は、フローチャート300のステップ304を含めたナノワイヤの配列処理および沈着処理の一部期間または全期間において実行されてもよい。実施形態の一例では、第1の電極804を電圧源702の陽極端に(例えば、ワイヤまたは他の接続方法を用いて)結合させつつ、第2の電極806を電圧源702の陰極端に結合させることにより、電場808が生成される。電気信号704により導通状態になり電流が供給されると、陰極および陽極は、表面210に配置された電極804および806に電荷を輸送する。これにより、電極対208の電極804と電極806との間において電場808が生成される。実施形態では、電場808は、定電場、交流電場のようなパルス型の電場、または他の電場タイプであってもよい。
【0062】
電場808を生成するための電極対208への電圧印加は、電極対208に電磁場を供給することによりなされてもよい。この分野ではよく知られているように、電磁波を移動させつつ供給するために、様々な大きさおよび形状の(例えば、円筒形状の、矩形状の)導波路が用いられてもよい(例えば、Guru, B.S. et al. "Electromagnetic Field Theory Fundamentals" Chapter 10, PWS Publishing Company, Boston, MA(1998)を参照)。実施形態を実施する際に用いるための導波路の動作周波数は、当業者により難なく規定され、例えば、約100MHzから10GHz、約1GHzから5GHz、約2GHzから3GHz、約2.5GHz、または2.45GHzの範囲にある。
【0063】
以下において更に記載されているように、ナノワイヤ706が、電極804と電極806との間において生成された交流電場808に遭うと電場勾配が生じる。実質的な双極子モーメントが、ナノワイヤ706(例えば、図8におけるナノワイヤ706a)の近傍にて生成され、隣接したナノワイヤが電場の方向に対して平行に配列するように、交流電場が双極子にトルクを及ぼす。例えば、図9は、電場808により電場808に対して平行に配列され、電極対208に付随しているナノワイヤ706aを示している。
【0064】
実施形態において、第1の電極804および第2の電極806は、ナノワイヤ706の長軸の長さ未満の距離、ナノワイヤ706の長軸の長さと同一の距離、または、ナノワイヤ706の長軸の長さ以上の距離だけ離れている。本明細書に記載の方法を用いることにより、あらゆる長さのナノワイヤ706が配列されつつ配置されうる。一実施形態において、電極対の電極間距離は、ナノワイヤは一方の電極または両方の電極の内部エッジを越えて延伸するような距離である。一実施形態において、ナノワイヤ706は各電極の内部エッジを越えて中央にまで延伸し、ナノワイヤ706の端部において数十nnから数μmが電極材料と重なり合っている。電極804と電極806との間の距離よりも短いナノワイヤ706は、(もし結合するのであれば)電極対の一方の電極にしか結合できず、これにより、所望であれば続く除去フェーズにおいて除去される。同様に、実質的に電極804と電極806との間の距離よりも長いナノワイヤ706は、電極804および806の1つ以上を越えて浮遊し/延伸し、(例えば、より大きな露出表面領域を有するので)続く除去フェーズにおいて除去される。これにより、本実施形態は、様々なナノワイヤサイズを有する懸濁液から所定の長さを有するナノワイヤ706を優先的に選択し、それらを電極対208上に配列させつつ沈着させる方法を付加的に提供する。また、実施形態によっては、湾曲していたり、折れ曲がっていたり、屈曲していたりするものよりも「直線状の」ナノワイヤ706が付随しつつ連結されている。それ故に、そのような実施形態は、折れ曲がっていたり、屈曲していたりするあまり好適ではないナノワイヤ706よりも、直線状のナノワイヤ706を好適に沈着することによる付加的な恩恵を提供する。
【0065】
ナノワイヤを交流電場に対して平行に配列することに加えて、電場勾配が隣接するナノワイヤ706に誘電泳動力を及ぼし、ナノワイヤ706は電極対208に引き付けられる。図10は、基板212の電極対208にナノワイヤ706を引き付ける力1002を示している。一実施形態において、力1002は誘電泳動力である。勾配は電極対208の位置において最も高くなっており、引力は電極に向かって徐々に強まっている。電気的に2つの層が、電極対208の各電極の表面において生成され、電極と逆性に荷電されたイオンが電極ごとに存在する。電場808においては、イオンは各電極からまずナノワイヤ706aに向かい移動する。イオンが、逆性に荷電されたナノワイヤ706aに接近するにつれて、イオンは自身と同性の電荷により反発され、それぞれの電極に向かって戻り、イオンの循環パターンが出来上がる。現存する液体(例えば、ナノワイヤ懸濁液溶液202)もまた循環され、ナノワイヤ706aを電極に引き付ける誘電泳動力に相反する電気浸透力を生成する。これにより、一実施形態において、図10に示されている力1006は、浸透力を含んでいる。
【0066】
また、一実施形態において、ナノワイヤ706および表面210の電荷値がナノワイヤの電極対208への付随または固定に影響を与える。例えば、図10は、付随したナノワイヤ706aを有する基板212を示している(図示されていない他のナノワイヤも付随している)。図10に示されているように、表面210は、表面210に表面電荷を供給する、酸化物層のような層1004を有している。層1004の電荷極性は、所望のようにナノワイヤ706aを引き付けるまたは反発するように選択されてもよい。例えば、層1004は、負の表面電荷を表面210に提供してもよく、結果的に(例えば、イソプロピルアルコール中にて)負の表面電荷を有するナノワイヤ706a上に反発力が生じてしまう。これにより、図10におけるナノワイヤ706aに反発する力1006は、ナノワイヤ706aおよび層1004が、同性の電荷極性を有することにより生じる静電気的な反発力を含んでいる。
【0067】
力1002および力1006は、(例えば、ナノワイヤ706aが電極対208から離れたところに配置され、電極対208または表面210に接触していなくとも)電極対208に付随する場所においてナノワイヤ706aが維持されるような平衡状態(または相対平衡状態)に到達する。本明細書において用いられているように、「付随している」または「固定されている」という用語は、(ナノワイヤ706aのような)ナノワイヤにか掛かる引力と反発力とが平衡状態であり、電極対208からのナノワイヤの実質的な移動量が無いまたは殆ど無い(例えば、表面210および電極対208に対して垂直または略垂直である)ことを表すため用いられている。これは、本明細書を通し、「付随フェーズ」とも呼ばれている。ナノワイヤ706aは、電極208を越えた(例えば、力1002に対して垂直方向おける)ナノワイヤ懸濁液流に関わらず、ナノワイヤ706aに固定されているか、または付随している。ナノワイヤ706aと電極208との間における溶液流および他の反発力により、ナノワイヤ706aに掛かる流体力と平衡になるように誘電泳動力がナノワイヤ706aを電極208に引き付けるため、このナノワイヤ懸濁液流はナノワイヤ706aに抗力を及ぼす。
【0068】
付随状態または固定状態において、ナノワイヤは電場に対して平行に配置されるが、電極のエッジに沿って(例えば、電極表面の直上方にある平面において)実質的に移動可能である。ナノワイヤは、電極208から離れて固定されている。電極からの距離量は、印加された電場808の強度、電場808の周波数、ナノワイヤ706の電荷強度、層1004の電荷強度等を含めた様々な要因に依存している。
【0069】
付随状態または固定状態において、ナノワイヤ706は、電極804および806の長さに沿って、自由に再配置、移動、配列する。電場808に沿って実質的に既に配列されたナノワイヤ706は、最近接のナノワイヤに接触するまで、または、最近接のナノワイヤによって反発されるまで、電極対208に沿って移動する傾向にある。実質的に配列されていないナノワイヤ706は、最近接のナノワイヤに接触するにつれて、または、最近接のナノワイヤによって反発されるにつれて、配列されるように移動する傾向にあり、ナノワイヤ706に及ぼされる様々な力は平衡状態に到達する。(例えば、電場808の方向に垂直な、電極対208に沿った)ナノワイヤ706の横方向移動度は、ナノワイヤを寄せ集めず、それらを配列事象および付随事象の時間的順序に順応させることができる。すなわち、ナノワイヤが(例えば、懸濁液から)継続的に電極対208に提供されるにつれて、既に付随しているナノワイヤは、自由に移動することで、他のナノワイヤを電極に付随させる。
【0070】
ナノワイヤ706aを電極対208に固定したまたは付随させた後で、電場が除去されたとしてもナノワイヤ706aが基板212上に残存するように、ナノワイヤ706aを基板212上に「固着させる」ことが望ましい。固着に先立ち、溶液流は減少または完全に停止されるが、これは必要不可欠なものではない。上述のように、(例えば、ナノワイヤ706aおよび基板212の表面210の両者が負に荷電されていることにより)ナノワイヤ706aは基板212の表面210により反発され、この静電気的な反発はナノワイヤ706aを表面210に引き付ける誘電泳動力に対抗する。電気対208に印加される電圧を増大させることにより、および、これにより電場を増大させることにより、誘電泳動力はより強力になり、(静電気的な反発に対抗して)ナノワイヤ706aを表面210のより近傍に引き付ける。臨界距離において、ナノワイヤ706aと表面210との間における引力であるファンデルワールス力が重要になる。ファンデルワールス力とは、一分子内の自発双極子が隣接する分子内において双極子を誘発させる際に、両者間における一過性の引力を結果的に生じさせる分子間相互作用である。ファンデルワールス力は、原子スケールにて発生し、より弱い力である。本来は、ヤモリおよび幾つかの昆虫が付着モードとしてファンデルワールス相互作用を用いる。ナノワイヤ706aが表面710に対して近距離内(例えば、おおよそ10nn)を移動する際、(誘電泳動力を伴う)ファンデルワールス力は、ナノワイヤ706aと表面710との間における静電気的な反発力に勝り、ナノワイヤ706aを表面210に接触させるように引き付ける。この点において、ナノワイヤ706aは、基板212および/または電極対208に「固着されている」とみなされる。更に、この点において、電極対208に印加される電圧はゼロにまで減少し、電場は除去され(誘電泳動力は除外され)、ナノワイヤ706aはファン・デル・ワールス力により表面210に付着したまま残存する。
【0071】
このように、実施形態において、ナノ構造物は電場を用いることにより基板上に形成される。実施形態において、ナノ構造物の沈着の態様を向上および/または改善させるために、システムおよび処理の様々な態様が補正される。向上されたおよび/または改善されたナノ構造物の沈着のための実施形態の更なる例は、以下の段落において記載されている。そのような実施形態では、複数のナノ構造物が電極対に形成されないように、1つのナノ構造物(例えば、1つのナノワイヤ)が対応する電極対に形成されるように構成されている。更に、もしくは、または、実施形態は、複数のナノ構造物(例えば、2つのナノワイヤ、3つのナノワイヤ等)が対応する電極対に選択的に形成されるように構成されている。実施形態では、基板上の1つの電極対に、または、基板上の電極アレイにおける電極対のような複数の電極対にナノ構造物を形成するように構成されている。本明細書において、ナノ構造物の沈着に関する数多くの実施形態が記載されている。そのような実施形態は、説明のために個々に記載されているが、任意の態様において組み合わされてもよい。
【0072】
当業者は理解するであろうが、本発明のシステムおよび方法は、本明細書において説明されているように、複数の競合パラメータの複雑な相乗効果を含んでいる。本発明により考えられた当該システムおよび方法は、特定の適用例における目標を実現するために、これらのパラメータの補正を含んでいる。以下に説明されるように、ナノワイヤの沈着を制御している主な要因は、電場の強度、周波数、駆動信号、溶液流率および溶液流方向、そして溶媒、ナノワイヤ、および基板の構成および特性を含んでおり、本システムにおける競合力は、誘電泳動力、浸透力、静電気力、流体力、および重力を含んでいる。以下に説明されるように、これらのパラメータおよび他のパラメータは、特定の適用例におけるナノワイヤの沈着の要求を実現するために調整されてもよい。例えば、複数ナノワイヤの沈着は、流体力学的な移動、電極の幅、および印加電圧に比べ、電場強度に強く依存する。当業者は理解するであろうが、本発明は、所望のナノワイヤの沈着を提供するためのシステムおよび方法の補正を含んでいる。これは、特定のシステムパラメータが本発明の適用例ごとに唯一のものであり、そのような補正が必要不可欠であるからである。
【0073】
本発明の所定の実施形態において補正された更なるパラメータは、例えば、独立電荷値および相対電荷値、そして、ナノワイヤ、ナノワイヤ溶液、および基板の表面の極性を含んでいる。固定および固着に用いられる様々な溶媒の特性は、構成、pHレベル、流率および流方向を含んでいる。ナノワイヤの特性は、構成、形状、サイズ/大きさ、表面特性、極性、分極性、密度、溶媒濃度、相互反発力、および、ナノワイヤと基板との反発力を含んでいる。電極の特性は、本システムにおける電極の量、形状、形状、サイズ/大きさ、間隔、均一性、構成、および、パターン/配置を含んでいる。本システムおよび方法の優れたパラメータが以下に詳細に記載されている。
【0074】
(A.誘電泳動を用いたナノワイヤ形成用複数溶媒技術)
一実施形態において、ナノ構造物の沈着の際に一連の異種の溶媒が用いられる。1つ以上の任意の数の溶媒が沈着の際に適用される。各溶媒は、ナノ構造物を表面に固定させる際に有利な、ナノ構造物を表面に固着させる際に有利な、および/または、沈着処理の更なる様態において有利な1つ以上の特性を提供する。
【0075】
ナノワイヤの大きさと釣り合った基板の電極上に方向付けられ沈着されるために、ナノワイヤが溶媒中に懸濁されてもよい。電場強度、駆動信号、流体力学的動力、(溶媒により影響を与えられた)表面特性、およびナノワイヤ特性は、ナノワイヤの沈着の様態を変更するために調整されうるパラメータである。基板上の電極へのナノワイヤの沈着の一例において、ナノワイヤは沈着の際に電極を覆い、表面上に固着され密着されることが可能になる。沈着の際にナノワイヤが粘着性を有する場合、そのようなナノワイヤは基板上にランダムに付着するか基板上には固着せず、沈着処理は成功していない。
【0076】
一実施形態において、基板の表面上にナノワイヤを形成するために、溶媒が連続して用いられる。例えば、図11は、一実施形態によれば、ナノ構造物を沈着するための処理を提供しているフローチャート1100を示している。他の構造的および動作的な実施形態は、以下の記述に基づけば当業者には明白である。フローチャート1100の全ステップが全実施形態において実行される必要があるわけではなく、フローチャート1100のステップが図11に示されている順序にて実行される必要があるわけでもない。
【0077】
フローチャート1100は、ステップ1102と共に開始する。ステップ1102では、ナノワイヤを基板上に密着させずに、基板の電極上にナノワイヤを誘電泳動的に固定可能な特性を有する第1の溶媒が選択される。密着させずにナノワイヤを誘電泳動的に固定可能な第1の溶媒の例が、以下に更に記載されている。
【0078】
ステップ1104では、ナノワイヤを基板上に固着可能な特性を有する第2の溶媒が選択される。ナノワイヤを固着可能な特性を有する第2の溶媒の例が、以下に更に記載されている。
【0079】
ステップ1106では、ナノワイヤを基板上に固定させるために、第1の溶媒およびナノワイヤを含んでいる第1の懸濁液が基板上に流される。例えば、(ステップ1102において選択された第1の溶媒を含んでいる)第1の懸濁液は、ナノワイヤを固定させるための既述の態様と同様の態様にて基板の上方を流される。
【0080】
ステップ1108では、ナノワイヤを基板に固着させるために、第2の溶媒を含んでいる第2の懸濁液が基板上に流される。例えば、(ステップ104において選択された第2の溶媒を含んでいる)第2の懸濁液は、ナノワイヤを固着させるための既述の態様と同様の態様にて基板の上方を流される。
【0081】
ステップ1110では、基板が乾燥される。基板は、本明細書に記載の任意の態様、または、他に知られている任意の態様にて乾燥される。
【0082】
フローチャート1100によれば、第1および第2の溶媒が、ナノ構造物の沈着処理において用いられる。第1の溶媒は、ナノワイヤを固定させるために基板上に流される(ステップ1106)。ナノワイヤが基板上に密着することを防ぐ、(ステップ1102にて選択された)第1の溶媒の特性により、ナノワイヤは沈着処理の間にて基板上に固着させられない。このように、乾燥処理間にて、先に第2の溶媒を適用させることなく、ナノワイヤは所望の位置から移動され、結果的にナノワイヤは不規則に配置される。(例えば、乾燥処理の間にて)ナノワイヤが移動することを防ぐために、第2の溶媒がナノワイヤを基板に固着させる特性を有するように(ステップ1104において)選択される。第2の溶媒は、(ステップ1108での)沈着処理における第1の溶媒と交換するために用いられる。第2の溶媒により、ナノワイヤは基板に固着させられる。
【0083】
例えば、一実施形態において、図6に示されているナノワイヤ溶液流システム600は、フローチャート1100を実行する。図6を参照すると、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602は、第1の溶媒において懸濁しているナノワイヤの流れである懸濁液流606を提供するように構成されている。例えば、貯蔵器602は、第1の溶媒を提供する第1の溶液ソースを含んでいる。懸濁液流606は、ナノワイヤを受容する電極を有する基板(例えば、基板212)を含んでいるナノワイヤ懸濁液容器610に受容される。ナノワイヤが容器610中の基板に固定された後に、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602は、第2の溶媒において懸濁している懸濁液流606を提供するように構成される。例えば、貯蔵器602は、第2の溶媒を提供する第2の溶液ソースを含んでいる。(第2の溶媒を含んでいる)懸濁液流606は、ナノワイヤ懸濁液容器610に受容され、(本明細書において記載されているように、例えば、電場を適用することにより)ナノワイヤは基板に固着される。
【0084】
例えば、一実施形態において、第1の溶媒は、任意の相対比率におけるIPA(イソプロピルアルコール)と水との混合物であり、水(H2O)の相対比率は0.1〜100%の範囲内における任意の値を含んでいる。例えば、第1の溶媒は、IPAが85%、水が15%である溶液であり、沈着チャンバ(例えば、ナノワイヤ懸濁液容器610)におけるナノワイヤの沈着に用いられる。IPAと共に混合物に含まれる水により、ナノワイヤが表面に密着することを防いでいる。適切な数のナノワイヤが電極に固定された後に、沈着チャンバから過剰なナノワイヤが洗浄される。過剰なナノワイヤが沈着チャンバから洗浄された後、ナノワイヤは高電圧が印加されることにより、表面に固着されてもよい。ナノワイヤが表面に固着された後、純正のIPAからなる第2の溶媒(または他の適切な第2の溶媒)が沈着チャンバを通して流される。沈着チャンバは、第1の溶媒をより速く除去できる液体流特性を有するように構成されている。IPAからなる第2の溶媒は、ナノワイヤの表面への付着および固着を改善する。続いて、第2の溶媒が除去される。
【0085】
第1および第2の溶媒は、水−アルコール混合物、無極性溶媒、添加物等を含めた様々な溶液を1つ以上含んでいる。一実施形態において、添加物を伴う純正の溶媒が、密着防止のために(第1の溶媒として)用いられ、ナノワイヤが固定された後に洗浄される(例えば、有極性溶媒、無極性溶媒、または界面活性剤を伴うアルコール)。第1および第2の溶媒の濃度は、所望の特性を選択するために変化させられうる。例えば、ナノワイヤが基板から強力に反発されるところから基板に強力に引き付けられるところまでの範囲において動作するように、溶媒は形成される。この範囲を越えて構成される溶媒を形成するために、pH調整剤、塩等を含んだ化学薬品の1つ以上が溶液に追加されてもよい。
【0086】
(B.基板上への沈着後の過剰なナノワイヤ洗浄技術)
一実施形態において、固定されていないナノワイヤの基板からの洗浄の速度および洗浄の質を改善すべく、ナノワイヤ、チップレットのような電子デバイス等のナノ構造物を沈着基板から離れて定着させるために重力が活用される。
【0087】
例えば、ナノワイヤの沈着は、ナノワイヤ懸濁液またはナノワイヤ溶液(「ナノワイヤインク」とも呼ばれる)を電場を用いて基板上に引き付けることにより実行される。一実施形態において、ナノワイヤが基板の表面に向かって下方に定着できるように、沈着がナノワイヤインクの下方の基板に対して実行されてもよい。このように、重力により表面付近におけるナノワイヤの高濃度が促進され、これにより沈着および電極の全装荷が加速される。しかしながら、この構成によれば、ナノワイヤは基板のごく近くにあり、基板のごく近くにおける流体速度は非常に小さいので、ナノワイヤが表面から洗浄されることは困難である。このように、基板洗浄段階では、全沈着処理の75%以上の時間を要する。基板洗浄段階を向上させる技術であれば、如何なるものも全沈着処理をはるかに高速化させられる。
【0088】
一実施形態において、閉鎖システムが、ナノ構造物の沈着に用いられる。ここで、沈着基板は、高アスペクト(幅/高さ)比流路を有する1つの大きな壁を形成する。沈着の間、沈着基板は、流路間を流れさせられる流体/懸濁液に露出された電極を伴う閉鎖システム/セルの底部壁の上にある。ナノワイヤは、交流電場(誘電泳動)を介し流体から直接電極上に沈着される。電極がナノワイヤで満たされた後、過剰なナノワイヤはセルから洗浄される。洗浄手順の一例において、システムは通常の構成(沈着に用いられるものと同様の方向)においてナノワイヤインク(例えば、ナノワイヤを含んでいない、85%のIPAおよび15%の水からなる溶媒)を形成する純正の連続相成分を用いて第1の洗浄段階において洗浄される。表面から10μmから20μmのところの流体要素が全流路長を通過するように、第1の洗浄段階の洗浄時間は十分に長くする(100ミリメートル長の流路に対しておおよそ10分)。第1の洗浄段階が完了すると、流路内の流れは止まり、沈着基板が流路の上部境界を形成するように、システムが反転される。一旦、反転されると、表面付近のナノワイヤは流路の中央に向かい定着し始める。反転された後、第2の洗浄段階において流れは再開され、壁から離れるにつれて速度が増大するので、ナノワイヤはより速く洗浄される。この手順により、洗浄時間が1桁短縮される。
【0089】
システムの形状およびサイズ、ナノワイヤタイプ、インク溶媒、および沈着基板を含めた様々なパラメータが補正される。実施形態は、スタンピングシステムにおいて実行される。
【0090】
例えば、図12Aは、実施形態の一例によれば、反転洗浄が可能なナノワイヤ溶液流システム1200のブロック図を示している。ナノワイヤ溶液流システム1200は、図6のシステム600と同様のものである。図12Aに示されているように、システム1200は、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602、反転可能なナノワイヤ懸濁液チャンバまたは容器1202、およびナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604を備えている。ナノ構造物の沈着および洗浄において援助するために、反転可能なナノワイヤ懸濁液容器1202は、沈着処理の間、一方向以上の方向において方向付けされる。
【0091】
例えば、実施形態の一例によれば、図12Bは反転可能なナノワイヤ懸濁液容器1202の一部の断面図を示している。図12Bに示されているように、容器1202は、互いに反対側にある第1の表面1204および第2の表面1206を有する本体を備えており、当該第1の表面1204および第2の表面1206は、容器1202を通して流路1208を形成する間隙の距離だけ離れている。基板1216は、容器1202内の第2の表面1206上に配置されている。電極804および806は、基板1216の表面1218上に形成されている。第1の表面1204が第2の表面1206の上方にあるように(例えば、ここで、第1の表面1204から第2の表面1206に向けて重力が掛かる)、容器1202は図12Bにおける第1の方向に方向付けられている。図12Cは、第2の表面1206が第1の表面1204の上方にあるように、図12Bの容器1202を反転して方向付けしたものを示している(例えば、ここで、第2の表面1206から第1の表面1204に向けて重力が掛かる)。
【0092】
(図12Bおよび12Cの容器1202を含めた)図12Aのシステム1200は、様々なやり方によりナノ構造物の沈着および洗浄を実行する。例えば、図13は、一実施形態によれば、ナノ構造物の沈着処理を提供するフローチャート1300を示している。他の構造的および動作的な実施形態は、以下の記載に基づけば当業者には明白である。全ての実施形態において、フローチャート1300の全ステップが実行される必要は無く、フローチャート1300のステップは図13に示されている順に実行される必要も無い。
【0093】
フローチャート1300は、ステップ1302と共に開始する。ステップ1302では、基板の表面が第1の方向にて配置されており、表面は第1の電極および第2の電極を含む電極対を備えている。例えば、図12Bに示されているように、基板1216は、容器1202内の第2の表面1206に配置されており、それ故、基板1216の表面1218は流路1218に方向付けられている。電極804および806は、基板1216の表面1218上にある。電極の一対が基板1216上に示されているが、任意の数の電極対(および更なる特徴)が基板1216上に形成されている。
【0094】
ステップ1304では、複数のナノワイヤを含む懸濁液が基板の表面上を流れる。例えば、図12Aを参照すると、ナノワイヤ懸濁液ソース貯蔵器602は、容器1202により受容されるナノワイヤ懸濁液流606を排出する。ナノワイヤ懸濁液流606はナノワイヤを含んでおり、基板1216の表面1218の上方を流れる。
【0095】
ステップ1306では、懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを電極対に付随させるために、電極対を用いて電場が生成される。例えば、図12Aを参照すると、上述のやり方にて電極804および806を用いて電場が生成される。ナノワイヤ懸濁液流606の懸濁液中のナノワイヤは電極804および806と相互作用し、懸濁液からの1つ以上のナノワイヤが電極804および806に付随するようになる。容器610は、ナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604により受容される残存ナノワイヤ懸濁液流608を排出する。
【0096】
ステップ1308では、基板の表面が、過剰なナノワイヤを除去するために第1の方向において洗浄される。例えば、図12Aに示されているように、第1の洗浄段階において、第1の洗浄液1210が貯蔵器602から受容され、容器1202を通って収集のためのナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604に流れる。第1の洗浄液1210は、過剰なナノワイヤを除去するために容器1202を洗浄する。例えば、図12Bを参照すると、ナノワイヤ706aが、(例えば、ステップ1306により)電極対804および806に付随するものであり、ナノワイヤ706bから706fが過剰なナノワイヤである。第1の洗浄液1210は、ナノワイヤ706bから706fの少なくとも幾つかを基板1216および/または流路1208から洗浄するために、容器1202の流路1208を通って流れる。例えば、流路1208の中央部の速度が最速なので、流路1208のより中央に配置されたナノワイヤ706eおよび706fが、第1の洗浄液1210により流路1208から洗浄される。
【0097】
ステップ1310では、基板が第2の方向へと回転される。例えば、図12Aを参照すると、前の方向から位置が反転されるように、容器1202が第2の方向へと回転される。容器1202は、手動反転(例えば、人が反転させる)またはモータ動作等による自動反転を含んだ任意のやり方にて第2の方向へと回転される。例えば、図12Bの容器1202は、反対の方向である、図12Cに示されている容器1202の方向へと回転される。
【0098】
ステップ1312では、過剰なナノワイヤを除去するために、基板の表面が第2の方向において洗浄される。例えば、図12Aに示されているように、第2の洗浄段階において、第2の洗浄液1212が貯蔵器602から受容され、容器1202を通って収集のためのナノワイヤ懸濁液収集チャンバ604に流れる。第2の洗浄液1212は、第1の洗浄液1210により除去されなかった過剰なナノワイヤを除去するために容器1202を洗浄する。例えば、図12Cを参照すると、(第1の洗浄液121により洗浄されることにより)図12Bに示されているナノワイヤ706eおよび706fは、もはや存在しない。ナノワイヤ706aは、ステップ1306により電極804および806に付随しており、ナノワイヤ706bから706dは図12Cに見ることのできる残存過剰なナノワイヤである。(図12Bに対する)容器1202の反転により、重力がナノワイヤ706bから706dに作用し、それらを容器1202の基板1216および第2の表面1206から下方へ流路1208の中央部を通り容器1202の第1の表面1204に向けて移動させる。例えば、図12Cに示されているように、重力1214は、ナノワイヤ706dに作用する。第2の洗浄液1210は、流路1208内のナノワイヤ706bから706dの少なくとも幾つかを洗浄するために、容器1202の流路1208を通り流れる。ナノワイヤ706bから706dが第2の洗浄液1210の速度が最速である流路1208の中央部へ移動するにつれて、ナノワイヤ706bから706dはより簡単に除去されやすくなる。
【0099】
閉鎖沈着セルを用いると、洗浄時間は、ナノワイヤを入口領域から洗浄するための効力(efficacy)および表面におけるナノワイヤの速度により制御される。例えば、以下の式(1)は、流路の中央線からの距離yを変数にとる、粒子(例えば、ナノワイヤ)の速度Vを表す。
【0100】
【数1】

【0101】
ここで、Qは流路を通る流体の流速度(例えば、mL/分)、hは流路の間隙距離または高さ(例えば、mm)、wは流路幅(例えば、mm)である。
【0102】
壁からナノワイヤまでの距離dは、d=h−yの関係により与えられる。例えば、図14は、容器の壁(例えば、第2の表面1206)からの距離に対する速度のプロットを示している。プロット1400のプロット線1402のように、第2の表面1206からの距離が増加するにつれて速度が増加する。図14の例を関して、プロット1400を生成させるために、幾つかのシステムパラメータ例が用いられた。
・流路1208の幅=49mm
・第1の表面1204と第2の表面1206との間隙=0.5mm
・流路長=80mm
・流路を通る流体の流速度=cm/分
5μm/秒から20μm/秒である測定されたナノワイヤの速度は、500nmから1.8μmである第2の表面1206からの浮遊高さに対応している。例えば、それぞれの洗浄は1.5時間から4.5時間掛かる。実施形態において、ナノワイヤ懸濁液容器1202は、特定の適用に選択されるように、任意の大きさを有している。
【0103】
ステップ1310の間にチャンバ604を回転させることにより(例えば、180度)、第2の表面1206にて固定されていないナノワイヤまたは第2の表面1206の付近にて固定されていないナノワイヤは、第2の洗浄液1210の速度が最速である流路1208内部に定着する傾向にある。例えば、ナノワイヤ706および/または他の粒子の定着速度は、ナノワイヤの大きさに基づいて規定される。
【0104】
【数2】

【0105】
ここで、Vは定着速度(例えば、mm/秒)、Dは粒子の直径(例えば、ナノワイヤ長)、gは重力加速度(例えば、9.81m/秒)、ρpartは粒子密度(例えば、g/cm)、ρfluidは流体密度(例えば、g/cm)、Cdは抗力係数(単位なし)である。抗力係数Cdは、以下のように算出される。
【0106】
【数3】

【0107】
ここで、Fは粒子に印加される力、および、Aは粒子表面の領域(πrL)である。
(垂直円柱のための)粒子に印加される力Fは、以下のように算出される。
【0108】
【数4】

【0109】
ここで、μは流体粘度(パスカル秒)、Lはナノワイヤ長、rはナノワイヤの半径である。
【0110】
例えば、直径d=240nmおよび長さL=18μmを有するナノワイヤ706(「シリンダー」)にとって、このようなナノワイヤ706は0.81μmの体積を有している。このようなナノワイヤ706にとって、等価球半径は1.24である。等価球の定着速度は1.12μm/秒である。このようにすると、シリンダーの定着速度は0.25μm/秒(14μm/分)である。
【0111】
図15は、実施形態の例によれば、実現された洗浄時間の減少を表すプロット1500を示している。プロット1500は、mL/分である流体速度Q(X軸)に対するμm/秒であるナノワイヤ速度u(Y軸)をプロットしている。7つのプロット線が、流路表面からの様々な距離に対してプロット1500においてプロットされており、流路の中心部に向かって速度が増加することを示している。例えば、図15に関して、1分の定着後にナノワイヤ速度が1桁より大きく増加し、2時間よりも長く掛かっていた洗浄時間は10分未満に短縮される。
【0112】
反転洗浄検査の例が以下に記載されている。(290mVの電極電圧にて)25分の沈着が実行され、反転洗浄時間は30分であった。容器を回転させる間に電極電圧が350mVにまで増加させられた(容器内の気泡が幾つかのナノワイヤを除去した)。容器を反転させた後、ナノワイヤの沈着の間に用いられた流速度と同一の流速度にて洗浄が実行され、重複ナノワイヤを除去するために減少された電源電圧が用いられた(270mVの電源電圧)。10分のIPA洗浄が実行され、固着および乾燥処理が実行された(8分間の排液および10分間の窒素乾燥)。容器を反転させない沈着処理では4時間掛かるのに対し、沈着および反転洗浄に掛かった全処理時間は、おおよそ1.5時間であった。
【0113】
図16は、実施形態の一例によれば、反転洗浄検査における洗浄前の基板上での第1の電極1602aおよび第2の電極1602bの画像1600を示している。ナノワイヤ1604が図16に示されている。ナノワイヤ1606が電極1602aおよび1602bに付随して示されている。図17は、(セルの出口付近にて)洗浄が実行されてから15分後の図16における基板の画像1700を示しており、図16に対して倍率は下がっている。図17において、11個の電極対1702が電極アレイ1704に含まれている。電極対1702の各対は対応する電極1602aおよび1602b、および対応する電極1602aと1602bとの間を延伸している付随したナノワイヤ1606を含んでいる。11個の電極対1702は、一列縦隊の列に互いに平行に配置されている。電極アレイ1704は、第1の導体1706(例えば、第1の「バスライン」)および第2の導体1708(例えば、第2の「バスライン」)を更に含んでいる。電極1602aの各々の第1の端部が第1の導体1706に接続されており、電極1604aの各々の第1の端部が第2の導体1706に接続されている。ナノワイヤ1606の各々は、対応する電極対1602aおよび1602bの第2の端部の間にて延伸している。電極対1602aおよび1602bの各々の第2の端部は、電極の間隙または間隔1710の距離だけ離れている。隣接する電極対1702は、電極対の間隔の距離だけ離れている。
【0114】
他の例において、ウェハ表面上にナノワイヤを沈着するため、そして、過剰なナノワイヤを洗浄するために、反転洗浄処理が1時間30分間継続的に実行される。処理の間、(ナノワイヤ密度が5×106ナノワイヤ/mLである懸濁液を用いた)沈着が30分周期にて実行され、沈着の構成にて洗浄が10分間実行される(例えば、ナノワイヤが上部表面において除去される)。反転された構成への転換が5分間実行され、反転洗浄処理(85%のIPAおよび15%の水)が20分間実行される。100%のIPAを用いた反転洗浄処理が次に10分間実行される。固着および排液処理が5分間実行され、窒素乾燥処理が10分間実行される。結果として、ナノワイヤの沈着の均一性は、効果的に洗浄されることにより向上され、ウェハ表面は極度に清潔になる。
【0115】
図18は、通常の構成において3時間洗浄されたウェハの基板上の複数の電極アレイの画像1800を示している。図18に示されているように、電極に付随していない数多くの浮遊ナノワイヤ1802が、ウェハ表面上に存在している。図19は、実施形態の一例によれば、図18に示されているウェハの表面上に複数の電極アレイが反転構成において30分間洗浄された後の画像1900を示している。図19に示されているように、ウェハ表面全体に存在している浮遊ナノワイヤは、殆ど無いまたは全く無い。反転構成において洗浄されたウェハは、(反転していない)沈着の方向において洗浄されたウェハよりも著しく清潔になる。
【0116】
他の例において、ウェハ表面上にナノワイヤを沈着するため、そして、過剰なナノワイヤを洗浄するために、反転洗浄処理が2時間40分間継続的に実行される。処理の間、(ナノワイヤ密度が5×106ナノワイヤ/mLである懸濁液を用いた)沈着が1時間周期にて実行され、(上部表面においてナノワイヤを除去するために)沈着の構成にて洗浄が10分間実行される。反転された構成への転換が5分間実行され、反転洗浄処理が(85%のIPAおよび15%の水を用いて)1時間実行される。100%のIPAを用いた反転洗浄処理が次に10分間実行される。固着および排液処理が5分間実行され、窒素乾燥処理が10分間実行される。結果として、この例においては電極密度がより高いので、反転洗浄時間が先の例よりも長くかかり、これにより定着が減少した。反転洗浄処理は、沈着の均一性を従来技術より著しく改善した。
【0117】
(C.ナノワイヤの沈着のための電極構成)
上述のように、電場を用いて溶液中に存在するナノワイヤを基板上に引き付けることにより、ナノ構造物の沈着は実行される。電場を生成するために用いられる電極のタイプおよび構成は、沈着処理に重大な影響を与える。ナノワイヤを沈着するための沈着システムは、沈着の質に影響を与えうる不均一性を有している(例えば、流体力学的な不均一性を有している)。これにより、基板全体において沈着の均一性を保障するナノ構造物の沈着システムにおける動作ウィンドウを理解しつつ最大限にすることが好ましい。
【0118】
実施形態において、電極形状は、選択されたやり方にて溶液から電極にナノ構造物を沈着可能な構成となるように提供される。例えば、電極形状は、1つのナノワイヤが電極に沈着されるように、または、多数のナノワイヤ(例えば、2つのナノワイヤ、3つのナノワイヤ等)が電極に沈着されるように構成されている。基板は、同様の形状または異なる形状を有する複数の電極対を含んでいる。例えば、異なる電極形状による異なる振る舞いを活用するために、異なる形状を有する電極は沈着のために存在している。ナノワイヤが様々な要因に基づいて異なる電極形状に引き付けられるので、基板は、異なる形のナノワイヤを特定の位置に沈着させる異なる電極パターンと共に形成される。更に、電極の材料および薄膜の積層(例えば、電極を被覆するために誘電体が用いられる)は、ナノ構造物の沈着の特性(例えば、電極対に沈着されたナノワイヤの数量、沈着位置等)を変更させるために変更されてもよい。
【0119】
例えば、一実施形態において、高アスペクト比の流路を含むシステム(例えば、図6における容器610または図12における容器1202)が、沈着のために用いられる。システム内には、流路の1つの大きな壁に形成された、または、配置された沈着基板が存在している。システムは閉鎖していても閉鎖していなくてもよく、沈着基板を横切る少なくとも1つの方向においてせん断応力が均一であるように構成されている。本明細書に記載されているように、誘電泳動力によりナノワイヤが流路を通って流れるバルクの液体から基板の電極上に引き付けられる。ナノワイヤの沈着を発生させるために、誘電泳動力は、基板に接する方向(流体抗力の方向)において、ナノワイヤ上の流体抗力よりも大きい。さもなければ、ナノワイヤは電極から一掃される。1つの電極対に固定されるナノワイヤの数は、ナノワイヤサイズ、せん断力、電極に印加される電圧、電圧の周波数、および電極形状のような要因に依存する。電極に印加される電圧の周波数は、誘電泳動力が発生するほどに十分大きく設定される。
【0120】
例えば、図20は、一実施形態例に従った、基板上に形成された電極対208示している。電極対208は、第1の電極804および第2の電極806を備えている。図20に示されているように、電極804および806の各々は幅2002を有しており、電極間の間隔2004(または、間隙、距離)が、電極804の端部2006と電極806の端部2008との間に存在している(端部2006および2008は、図20の例において四角形状に示されている)。説明のために、3つのナノワイヤ706aから706cが図20に示されている。ナノワイヤ706aは、電極804および806に接近しているように示されている。ナノワイヤ706bは、電極804および806に固定されているように示されている。ナノワイヤ706cは、ナノワイヤ706bによって電極804および806から置換されているように示されている。ナノワイヤ706の沈着を向上させるために、電極の幅2002、電極の間隔2004、流路の高さ、ナノワイヤの表面電荷、ナノワイヤの分極性(電場からの電荷)、および溶液の特性の内、任意の1つ以上のものが変更されてもよい。
【0121】
一実施形態において、1つのナノワイヤの長さの少なくとも2.5μmが電極804および806のそれぞれに重なり合うように、間隔2004が1つのナノワイヤの沈着用に設置されてもよい。そのような実施形態において、間隔2004は、ナノワイヤから5μmを引いた長さであるように構成されてもよい。この構成により、電極に橋を架けている直鎖状の構造において並置された2つのナノワイヤのような欠陥を防いでもよい。このようにして、沈着溶液中のナノワイヤの10μmのナノワイヤ長に対して、ナノワイヤが間隔2004に架かりつつ電極804および806のそれぞれに2.5μmずつ重なり合えるように、間隔2004は5μm(または5μm未満)に設置されてもよい。
【0122】
電極の幅2002に関して、電極の幅2002が増加するにつれて、1つのナノワイヤの沈着ウィンドウが減少する。一実施形態例において、電極804および806への1つのナノワイヤの沈着が望まれる場合、電極の幅2002の最大値はおおよそ2μmになる。幅2002が減少するにつれて、印加される電圧値は増加し、ナノワイヤが電極804および806に時期尚早に固着され易くなり、電極が腐敗する可能性が増加する。
【0123】
図21は、実施形態に従った、電極の幅2102の異なる値に対する様々な電極電圧ウィンドウのプロット2100を示している。図21は、沈着ウィンドウ電圧(ボルト)に対する様々な電極の幅の値(μm)について、電極毎のナノワイヤの様々な値を示しており、電極の幅の7つの値(1.5μm、2μm、2.5μm、3μm、3.5μm、4μm、および4.5μm)のそれぞれについてのプロット線を含んでいる。図21に示されている、4.5μmの電極の幅に対するプロット線2102を例にすると、第1の範囲2104はナノワイヤが電極対に全く固定されていない範囲を示しており、第2の範囲2106は1つのナノワイヤが電極対に固定されている範囲を示しており、第3の範囲2108は2つのナノワイヤが電極対に固定されている範囲を示しており、第4の範囲2110は3つのナノワイヤが電極対に固定されている範囲を示している。このようにして、プロット線2102に関して、電極の幅4.5μmを有している電極対毎に1つのナノワイヤが沈着されることが望まれる場合、おおよそ130mVから150mVの範囲における電極電圧が印加されてもよい。電極の幅4.5μmを有している電極対毎に1つまたは2つのナノワイヤが沈着されることが望まれる場合、おおよそ150mVから170mVの範囲における電極電圧が印加されてもよい。電極の幅4.5μmを有している電極対毎に2つのナノワイヤが沈着されることが望まれる場合、おおよそ170mVから180mVの範囲における電極電圧が印加されてもよい、等が挙げられる。当業者によって理解されるであろうが、これらの範囲は、特定の特性を有する特定のシステムの実施形態に関連している。しかしながら、本発明は、所望のナノワイヤの沈着を提供するためのシステムおよび方法の補正を包含している。本発明の異なる適用例毎に所定のシステムパラメータが一意的になるにつれて、そのような補正は必要不可欠になるからである。例えば、ナノワイヤ長が補正される場合、または、システムに導入される際の溶液の流率が補正される場合、所望のナノワイヤの沈着を実現するために、臨界固定電圧値に補正が必要であってもよい。このようにして、荷電された電極により生成された電場は、所望のナノワイヤの沈着を実現するための流率の変化を伴い、例えば、電極に印加された電圧を補正することによって拡張されうる。
【0124】
更に、プロット2100により示されているように、電極の幅が2μmから3μmの範囲にある電極対毎に沈着された1つまたは2つのナノワイヤを有するための20mVのウィンドウ2112(おおよそ210mVから230mVの範囲の電極電圧)が存在している。ウィンドウ2112は、任意の電圧範囲に対して、1つおよび2つの何れかのナノワイヤが電極上で安定する電極の幅の範囲を提供している。このようにして、電極は、1つおよび2つの何れかのナノワイヤの基板への沈着が実行できるように構成されうる。
【0125】
図22は、ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連したプロット2200を示している。プロット2200は、沈着されたナノワイヤが0本である発生率、1本である発生率、および2本である発生率のそれぞれを表したプロットを含んでいる。プロット2200は、0本のナノワイヤの沈着、1本のナノワイヤの沈着、および2本のナノワイヤの沈着にそれぞれ対応しているプロット線である3つのプロット線を含んでいる。電極上への1本のナノワイヤの沈着は、電圧の設定値変更(500Hzの電極電圧、4mL/分のIPA流率)後の5分間に決定された。図22に示されているように、100mVから190mVである電極電圧の範囲に関し、0本のナノワイヤが沈着される場合のプロット線および/または2本のナノワイヤが沈着される場合のプロット線と比べ、非常に高い発生率で1本のナノワイヤが電極に沈着される電極電圧の範囲は無い。反対に、図23は、理想的な沈着の分布であるプロット2300を示しており、電極電圧のウィンドウ2302では、高い発生率で1本のナノワイヤが電極に沈着される。
【0126】
ナノワイヤの沈着の一実験例においては、窒化物で被覆された平面状のナノワイヤが沈着された。50nmのPECVD(plasma enhanced chemical vapor depositin:プラズマ化学気相成長法)酸化物により被覆された基板が使用され、当該基板は使用前の5分間に酸素(O2)プラズマにより洗浄された。電極電圧は低レベルから高レベルまで走査された。図24は、2μmの電極の幅および8μmの流路の高さにとっての平面状窒化物ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連したプロット2400を示している。プロット2200と同様に、プロット2400は、0本のナノワイヤの沈着、1本のナノワイヤの沈着、および2本のナノワイヤの沈着にそれぞれ対応しているプロット線である3つのプロット線を含んでいる。プロット2400において、電極上へのナノワイヤの沈着は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。プロット2400は、80mV(190mVから270mV)であるより幅の広い電極電圧ウィンドウ2402を示しており、190mVから270mVである電極電圧の範囲において、0本のナノワイヤが沈着される場合のプロット線および/または2本のナノワイヤが沈着される場合のプロット線と比べ、非常に高い発生率で1本のナノワイヤが電極に沈着される。
【0127】
図25および26は、0.5μm、1μm、1.5μm、および2μmの電極の幅および800μmの流路の高さに対し、1本の平面状窒化物ナノワイヤの沈着の振る舞いに関連したプロット2500および2600を示している。プロット2500は、4つの電極の幅のそれぞれに関して、電極電圧に対する発生率を表すプロット線を示している。臨界電圧Vcは、1μmの幅広の電極に対して、発生率が0%である電圧値と発生率が100%である電圧値との中間の電圧値として決定されてもよい。例えば、図25に示されているように、臨界電圧2502は、(発生率が0%である電極電圧190mVと発生率が100%である電極電圧230mVとの和を)1/2することにより、1μmの電極の幅に対し、1本のナノワイヤの沈着については210mVに決定されてもよい。1本のナノワイヤの沈着が略50%である電極電圧を大まかに示すため、臨界電圧が電極の幅のそれぞれに対して決定されてもよい。電極への平面状ナノワイヤの沈着分布は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。図26のプロット2600は、0から2.5μmの範囲にある電極の幅(μm)に対する臨界電圧(mV)に関するプロット線2602を示している。プロット2600はVcが電極の幅に関して非線形であることを示している。
【0128】
図27は、平面状ナノワイヤの沈着の振る舞い:電極の幅の効果(流路の高さは10μm)に関連したプロット2700を示している。プロット2700は、4つの電極の幅(0.5μm、1μm、1.5μm、および2μm)のそれぞれに関して、電極電圧(mV、実効値(rms))に対する1本のナノワイヤの発生率を表すプロット線を示している。プロット2700では、電極への平面状ナノワイヤの沈着分布は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。
【0129】
図28は、平面状ナノワイヤの沈着の振る舞い:電極の幅の効果(電極の間隙は12μm)、平面状ナノワイヤの沈着の動作に関連したプロット2800を示している。プロット2800は、4つの電極の幅(0.5μm、1μm、1.5μm、および2μm)のそれぞれに関して、電極電圧(mV、実効値(rms))に対する発生率を表すプロット線を示している。プロット2800では、電極への平面状ナノワイヤの沈着分布は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。(例えば、増加された電極の間隙のため)並置された沈着(端部と端部とが接続された2本のナノワイヤ)がより好ましいので、1本のナノワイヤの沈着は飽和しない(例えば、ナノワイヤの沈着が電極電圧のどの範囲においても100%の発生率に到達しない)ことを、プロット2800は表す。
【0130】
図29は、電極の幅(μm)に対する臨界電圧Vc(mV)のプロット2900を示している。プロット2900は、8μmの電極の間隙に対する第1のプロット線および10μmの電極の間隙に対する第2のプロット線を含んでいる。プロット2900では、電極への平面状ナノワイヤの沈着分布は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。電極の間隙(電極の先端間の距離)が増大するに伴い、臨界電圧が増大される傾向にあることを、プロット2900は表す。
【0131】
図30は、1本のナノワイヤの処理ウィンドウ(SNPW:single nanowire process window)に関連したプロット3000を示しており、SNPWは1本のナノワイヤが100%発生する電圧の範囲である。プロット3000は、電極の幅(μm)に対するSNPW(mV)をプロットしている。プロット3000は、8μmの電極の間隙に対する第1のプロット線および10μmの電極の間隙に対する第2のプロット線を含んでいる。プロット3000では、電極への平面状ナノワイヤの沈着分布は、電圧の設定値変更(1kHzの電極電圧、3.5mL/分のIPA流率)後の1分間と決定された。並置されたナノワイヤの沈着がより好ましいので、より大きな電極の間隙に対し、1本のナノワイヤの処理ウィンドウはより小さくなることを、プロット3000は表す。
【0132】
(D.大型パネル上へのナノワイヤの沈着技術)
上述のように、沈着の構成例において、溶液から基板の表面上にナノワイヤを沈着させるために、交流電場が使用されうる。電極は基板上にパターン形成されてもよく、交流電場が当該電極に印加されうる。ナノワイヤは、ナノワイヤの中心線が電極対の電極間の中央になるように電場に対して平行に配置される。ナノワイヤを含んでいる液体が基板上に流される際、流体力学的な引き付けおよび誘電泳動的な引き付けは、1つ以上のナノワイヤが各電極対に固定されるように平衡になりうる。1つの処理例では、100mm×100mmオーダーのサイズを有している基板上に1時間の時間尺度においてナノワイヤが沈着されてもよいが、数分の時間尺度またはそれよりも良い時間尺度において、より大きな基板(例えば、3000mm×3000mm)にこの処理を拡張させることが好ましい。
【0133】
実施形態において、複数の処理領域を伴った連続的な線形処理がナノワイヤを大型パネル上に沈着させるために使用されてもよい。例えば、一実施形態において、ナノワイヤの沈着技術が大型パネルへの沈着を可能にするために拡張される。基板(例えば、ガラスまたは本明細書にて記述されている任意の他の基板)が、連続的な線形速度を伴って沈着システムに供給されてもよい。沈着システムにおいて、1つ以上の段階または領域が存在しており、1つ以上の段階または領域の各々が特定の処理(例えば、ナノ構造物の沈着領域、固着および乾燥領域、洗浄領域、修復領域、計測領域等)を実行するように構成されている。必要に応じて、1つ以上の領域が選択的に繰り返されうる。例えば、ナノワイヤが修復領域において基板から除去される場合、当該基板は第2の沈着領域および洗浄領域に供給されてもよい。
【0134】
図31は、一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着装置/システム3100のブロック図の例を示している。図31に示されているように、システム3100は、境界表面3102、輸送機構3104、複数のパネル処理領域3106a〜3106n、および標的パネル3108を備えている。境界表面3102は、標的パネル3108を受容するように構成されている。標的パネル3108は、標的パネル3108の表面3110上に複数の電極対(例えば、電極対208)を有している。電極対は、少なくとも1つのナノワイヤを受容するように構成されている。輸送機構3104は、所定の速度にて標的パネル3108を境界表面3102上に輸送するように構成されている。パネル処理領域3106aから3106nの各々は、本明細書に記述されているように、標的パネル3108の表面3110の一部に対してそれぞれの処理を実行するように構成されている。輸送機構3104は、複数のパネル処理領域3106aから3106nを通して標的パネル3108を輸送するように構成されている。
【0135】
一実施形態において、沈着システム3100は、5分毎に1パネルというパネル処理量をこなせるように構成されてもよく、これは10mm/秒であるパネル速度に対応する。他の実施形態において、沈着3100は、他のパネルスループットの値および速度に順応するように構成されてもよい。図32は、一実施形態に従った、沈着システム3100を用いてナノ構造物が沈着されるパネル3200の例を示している。パネル3200は、図31に示されているパネル3108の例である。パネル3200は、3メートル×3メートルの領域として図32に示されているが、他の実施形態においては、他のサイズであってもよい。
【0136】
一実施形態例において、標的パネル3108は、標的パネル3108と境界表面3102との間に均一の間隙(例えば、おおよそ1mm)を有している境界表面3102上に移動されてもよい。標的パネル3108と境界表面3102との間の間隙は均一であってもよく、可変であってもよい。標的パネル3108の上部が沈着システム3100中に一方向に移動するにつれて、標的パネル3108は異なる領域3106に徐々に進入する。それにより、(例えば、沈着領域において)標的パネル3108の一部分上にて沈着が発生してもよく、一方、(例えば、洗浄領域において)標的パネル3108の他の部分が洗浄される。
【0137】
例えば、図33は、一実施形態例に従った、沈着システム3100のパネル処理領域3106a〜3106dのブロック図を示している。図33に示されているように、第1のパネル処理領域3106aは、基板湿潤デバイス3302を備えており、第2のパネル処理領域3106bは、ナノ構造物の沈着デバイス3304を備えており、第3のパネル処理領域3106cは、基板洗浄デバイス3306を備えており、第4のパネル処理領域3106dは、修復デバイス3308を備えており、第5のパネル処理領域3106eは、(選択的な)第2のナノ構造物の沈着デバイス3310を備えている。
【0138】
図33の例において、第1のパネル処理領域3106aは基板湿潤領域である。第1のパネル処理領域3106aの基板湿潤デバイス3302は、沈着溶媒3312を用いて標的パネル3108の表面3110を湿潤させるように構成されてもよい。第2のパネル処理領域3106bはナノ構造物の沈着領域である。第2のパネル処理領域3106bのナノ構造物の沈着デバイス3304は、ナノ構造物3314の沈着を実行するように構成れている。ここで、ナノ構造物の沈着デバイス3304のナノワイヤ注入のためのポートは、供給されたナノワイヤの大多数が、標的パネル3108の表面3110上の電極により引き付けられる範囲内に存在することを保証するために、表面3110から10μmの距離のような標的パネル3108からの距離が異なる位置にて配置されうる。これにより、電極の完全な装荷および迅速な装荷を保証するために、ナノワイヤの超高濃度が局所的に(例えば、表面付近の狭い一帯に)追加される。
【0139】
図33の例において、第3のパネル処理領域3106cは洗浄領域である。基板第3のパネル処理領域3106cの洗浄デバイス3306は、標的パネル3108上に沈着されたナノ構造物を洗浄するように構成されている。洗浄のために、垂直速度が使用されてもよい。標的パネル3108が移動されている間、流体3316が標的パネル3108の表面3110からおよび/または境界表面3102から引き出されてもよい。一実施形態において、基板洗浄デバイス3606は、流体3316を引き出すために使用される六角形状に被覆された複数のチューブを備えていてもよく、当該六角形状に被覆されたチューブは標的パネル3108に垂直な長軸を有している。チューブの端部は、標的パネル3108の表面3110から(例えば、10μmから100μm)離れていてもよいが、洗浄装置の底部表面から500μmから1mmの長さだけ延伸してもよい。標的パネル3108から過剰なナノワイヤを除去するための垂直速度を生成するために、流体3316はチューブを通してシステムから除去されてもよい。表面3110の近くにチューブを有することによって、表面3110からの液体はシステムから排出されるために長く流動する必要が無くなるので、非常に低い引き出し速度が使用されうる。これにより、全てのナノワイヤを表面3110から除去すること無く、洗浄が実行されることが可能になる。チューブバンク(tube bank)を使用することにより、標的パネル3108によって引きずられている流体が、強いせん断応力に起因して、望まれていないのにも関わらずナノワイヤをパネルから除去してしまうような制限を受けることはない。
【0140】
第4のパネル処理領域3106dは修復領域である。第4のパネル処理領域3106dの修復デバイス3308は、不良のナノ構造物3318(例えば、欠陥のあるナノワイヤ、電極に十分に結合していないナノワイヤ、等)を標的パネル3108から除去するように構成されている。第5のパネル処理領域3106eは、不良のナノ構造物3318が除去された位置にナノ構造物を沈着させるために、選択的に存在してもよい。図33において、第5のパネル処理領域3106eは、そのような位置にナノ構造物3320を沈着させるように構成されている第2のナノ構造物の沈着デバイス3310を備えている。
【0141】
実施形態において、材料、大きさ、方向(垂直方向、水平方向、等)、領域幅、マイクロパターン形成、流体ポートの配置、等を含んでいる、沈着システム3100の様々な態様が変更されてもよい。
【0142】
従来の沈着処理によれば、ナノワイヤの沈着にはおおよそ1時間がかかる。そのような従来の処理は、典型的に対流(表面付近の流体がセルの長さを横切るためにおおよそ1.5時間)および定着に頼っている。表面速度および定着時間が小さいので、そのような従来の処理は拡張不能である。従来の洗浄処理は、対流(表面付近の流体がセルの長さを横切るためにおおよそ1.5時間)および定着に頼っており、5μm/分から10μm/分のオーダーの定着率を伴っている。
【0143】
図34は、処理時間を減少させるために再拡張された現行の沈着処理である沈着沈着システム3400を示している。システム3400では、ナノ構造物3404のパネル3404上への沈着が正方形状の沈着セル3402において発生するので、ナノ構造物を基板全体に亘って沈着させるために、沈着処理は2回(2サイクル)実行されなければならない。例えば、第1の沈着サイクルが、図34の左図に示されているセル3402の組によって実行される。続いて、パネル3404は距離3406だけ移動され、第2の沈着サイクルが、図34の右図に示されているセル3402の組によって実行される。セル3402の各々が100%の効率を有するのであれば、1回の沈着サイクルのみが必要になるであろう。しかしながら、セル3402の各々には沈着が実行されない外部の縁が存在し、これにより、2回の沈着サイクルが用いられる。3メートル×3メートルのパネルにとって、標的処理時間の例は2段階の沈着に対して5分(沈着サイクル毎に2.5分)である。
【0144】
図35は、沈着セル3500を示しており、x×xの領域を有している、沈着が発生する、セル3500の中央領域3502(例えば、「スイートスポット」)が示されている。沈着が発生しないセル3500の縁は、x’の幅を有している。セル3500は、パネル3404全体に亘る沈着のためのセル3500のアレイを提供するために、小型化されてもよい。そのような処理は、20μm/分までのパネル表面におけるナノワイヤの流速度によって制限されてもよい。完全な沈着のための処理時間は、おおよそ2分であってもよい。沈着処理および洗浄処理にはそれぞれ略同一の時間がかかる。そのような構成において、セル3500の大きさXは、以下のように算出されてもよい。
【0145】
【数5】

【0146】
このようにして、本実施例においては、3メートル四方のパネルにつき6.25×106個である数多いセル3500対して、セル3500のサイズはおおよそ1.2mm×1.2mmであってもよい。
【0147】
図36は、一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供しているフローチャート3600を示している。例えば、一実施形態において、フローチャート3600は、図31に示されているナノ構造物の沈着システム3100によって実行されてもよい。以下の記述に基づけば、他の構造的および動作的な実施形態は当業者には明白である。
【0148】
フローチャート3600はステップ3602と共に開始する。ステップ3602では、境界表面が、標的パネルの表面上に複数の電極対を有している当該標的パネルを受容する。例えば、図31に示されているように、境界表面3102は、標的パネル3108を受容する。標的パネル3108は、表面3110上に複数の電極対を有している。標的パネル3108は、システム3100の入口点にて(例えば、図31のシステム3100の左側において、第1のパネル処理領域3106aにて)受容されてもよい。
【0149】
ステップ3604では、標的パネルは、所定の速度にて複数のパネル処理領域を通して境界表面上を輸送される。例えば、図31に示されているように、標的パネル3108は、輸送機構3104によって境界表面3102上を輸送される。例えば、標的パネル3108は、システム3100を通して、図31における左から右に、つまり、矢印3112の方向に輸送されてもよい。輸送機構3104は、ステッピング・モータ、コンベヤーシステム、等を含んでいる、境界表面312全体に亘る標的パネル3108の輸送に適した任意の輸送機構タイプであってもよい。
【0150】
ステップ3606では、標的パネルは、複数のパネル処理領域の各パネル処理領域にて処理され、各パネル処理領域はそれぞれの処理を標的パネルの表面の一部に実行するように構成されている。例えば、図31に示されているように、標的パネル3108がシステム3100を通して矢印3112の方向に輸送されるにつれて、標的パネル3108の一部分が、第1のパネル処理領域3106aから第nのパネル処理領域3106nまで順々に進入し、それぞれに応じて処理される。例えば、図33を参照すると、標的パネル3108の第1の部分が、領域3106aにおいて(例えば、基板湿潤デバイス3302によって)最初に処理されてもよく、領域3106bにおいて(例えば、ナノ構造物の沈着デバイス3304によって)次に処理されてもよく、領域3106cにおいて(例えば、基板洗浄デバイス3306によって)次に処理されてもよく、領域3106dにおいて(例えば、修復デバイス3308によって)次に処理されてもよく、領域3106eにおいて(例えば、ナノ構造物の沈着デバイス3310によって)次に処理されてもよく、その後の領域が存在するのであれば、その後の領域において処理されてもよい。標的パネル3108のその後の部分は同様の態様にて処理され、標的パネル3108の異なる部分は異なる領域3106において同時に処理されてもよい。
【0151】
領域3106は、それらの幅および標的パネル3108の速度に依存している異なる処理時間を有していてもよい。例えば、図37は、第1のパネル処理領域3106aから第nのパネル処理領域3106nを備えている、図31の沈着システム3100と同様の沈着システム3700を示している。図37に示されているように、第1のパネル処理領域3106aから第nのパネル処理領域3106nの各々は、各々に対応する幅であって、第1のパネル処理領域3106aから第nのパネル処理領域3106nの内、他のパネル処理領域の幅とは異なる幅を有している。例えば、第1のパネル処理領域3106aは、幅3702を有しているように示されている。幅3702の値に依存して、標的パネル3108の一部分は、第1のパネル処理領域3106における、それぞれに対応している処理時間を有している。例えば、以下の表1は、(標的パネルの速度例「v」に関して)幅3702「w」の様々な値に対する、第1のパネル処理領域3106にとっての様々な処理時間「t」を示している。ここで、t=w/vである。
【0152】
【表1】

【0153】
図38は、線形処理によるせん断を示している。ここで、境界表面3102に対する標的パネル3108の動きはせん断を生成し、速度プロファイルに影響を与える。これは、沈着処理に影響を及ぼす。図38に示されているように、せん断応力τは以下に従って算出されてもよい。
【0154】
【数6】

【0155】
ここで、
・δは標的パネル3108と境界表面3102との間の間隙の距離
・ηは溶液の動粘性係数
様々な間隙の距離の値に対するせん断応力の様々な値が、以下の表2に示されている。
【0156】
【表2】

【0157】
表2に示されているように、標的パネル3108と境界表面3102との間の間隙の距離が減少するにつれて、せん断応力が増大する。
【0158】
図39および図40は、実施形態に従った、ナノワイヤの沈着技術例の側面図を示している。例えば、実施形態において、図39および図40に示されているナノワイヤの沈着技術は、図33に示されているナノ構造物の沈着デバイス3304および3310の何れか一方または両方によって実行されてもよい。図39に示されているように、表面3910は、標的パネル3108の表面3110に隣接している。表面3910は、境界表面3102または他の表面(例えば、ナノ構造物の沈着デバイス3304および3310の表面)であってもよい。図39に示されているように、表面3910は、第1のポート3902、第2のポート3904、および第3のポート3906を備えている。第1のポート3902および第3のポ―ト3906は、表面3910と同一平面に示されており、第2のポート3904は、表面3910から突出しているチューブとして示されている。また、実施形態においては、ポート3902、3904、および3906の何れが表面3910と同一平面であってもよく、または、表面3910から突出していてもよい。更に、任意の数の各ポート3902、3904、および3906が存在していてもよい。例えば、ポート3902、3904、および3906の少なくとも何れかを複数含んでいてもよい。
【0159】
第1のポート3902は、溶媒除去ポートである。図39の矢印によって示されているように、溶液は、表面3110と表面3910との間から沈着システムから除去されるためにポート3902にて受容される。第2のポート3904は、ナノワイヤインク注入ポートである。ポート3904は、(例えば、上述のように、電場の適用による)表面3110上の電極上への沈着のために、表面3110と表面3910との間の溶液にナノワイヤ3908を供給する。ポート3904は、ナノワイヤ3908を表面3110近傍の溶液に注入するために表面3110に隣接して配置されるために、チューブの形状であってもよい。ナノワイヤインクは、溶液に対する相対的に高いナノワイヤの濃度を含む任意の濃度を有していてもよい。この手法によって、表面3110の電極の装荷がより速く発生してもよい。更に、ナノワイヤインクを局在させることによって、その後の洗浄サイクルが、より速くおよび/またはより効率的に実行されてもよい。第3のポートは、溶液注入ポートである。図39の矢印によって示されているように、溶液は、表面3110と表面3910との間に挿入されるためにポート3906から供給される。
【0160】
図40の実施形態において、表面3910は、標的パネル3108の表面3110に隣接している。表面3910は、表面3910から突出しているチューブとして示されているポート4002を備えている。実施形態においては、ポート4002は、その代わりに表面3910と同一平面であってもよい。ポート4002は、ナノワイヤインク注入ポートである。ポート4002は、(例えば、上述のように、電場の適用による)表面3110上の電極上への沈着のために、表面3110と表面3910との間の溶液にナノワイヤ3908を供給する。ポート4002は、ナノワイヤ3908を表面3110近傍の溶液に注入するために表面3110に隣接して配置されるために、チューブの形状であってもよい。この手法によって、表面3110の電極の装荷がより速く発生してもよい。更に、ナノワイヤインクを局所的に注入することによって、その後の洗浄サイクルが、より速くおよび/またはより効率的に実行されてもよい。
【0161】
図40における一実施形態において、溶液が、駆動圧力およびクエット型の流れに従って表面3110と表面3910との間に供給されてもよい。ポート4002は、複数のポート4002を備えているチューブバンク4004に備えられてもよい(チューブバンク4004の上面図が図40に示されている)。図40に示されているように、チューブバンク4004は、ジグザグのパターン(staggered pattern)に配置されている、2列に亘るポート4002を備えている(例えば、ポート4002の第1の列および第2の列は、互いにオフセットを有して配置されている)。チューブバンク4004は、ポート4002にて、表面3110に亘り、ナノワイヤ3908の複数の挿入位置を供給するために提供されてもよい。例えば、チューブバンク4004は、ポート4002での流線の拡大および縮小を防ぐ援助をしてもよい。例えば、溶液は、狭いパスに押しやられること無くチューブの近傍を通過してもよい。
【0162】
効率的な洗浄のために、過剰なナノワイヤがセルから(垂直に)除去され、および/または、(基板に対して)基板よりも速い速度を達成しなければならない。過剰なナノワイヤが、基板から100μmから1000μmの位置(基板とナノワイヤとの間の速度差が基板の速度より大きい点)に移動され得ないならば、せん断応力は沈着にとって過大なものになってしまう。このようにして、効果的な洗浄は、臨界固定力を越えない垂直速度プロファイルを生成することを目標としている。
【0163】
図41は、一実施形態に従った、ナノワイヤ洗浄技術例の側面図を示している。例えば、一実施形態において、図41に示されているナノワイヤ洗浄技術は、図33に示されている基板洗浄デバイス3306によって実行されてもよい。図41に示されているように、表面4110は、標的パネル3108の表面3110に隣接している。表面4110は、境界表面3102または他の表面(例えば、ナノ構造物の沈着デバイス3304および3310)であってもよい。図39に示されているように、表面4110は、第1のポート4102および第2のポート4104を備えている。第1のポート4102および第2のポート4104は、表面4110と同一平面に示されている。実施形態において、ポート4102および4104は、表面4110から突出していてもよい。
【0164】
第1のポート4102は、溶媒除去ポートである。図41の矢印によって示されているように、溶液は、表面3110と表面4110との間から沈着システムから除去されるためにポート4102にて受容される。第2のポート4104は、溶媒注入ポートである。図41の矢印によって示されているように、溶液は、表面3110と表面4110との間に挿入されるためにポート4104から供給される。ナノワイヤを表面3110からポート4102に移動させるために用いられる垂直速度は、主に基板の速度に依存している。表面3110と表面4110との間の1mmの間隙に対して、垂直速度は、t=x/v=0.5mm/10mm/秒=0.05秒のオーダーであってもよい。ここで、xは過剰なナノワイヤが除去される垂直方向の距離であり、vは標的パネル3108の速度である。垂直速度Vyは、δ/t=1mm/0.05秒=20mm/秒(例えば、臨界固定力にて保持されている、表面3110上のナノワイヤの速度のおおよそ1000倍)である。
【0165】
図42および図43は、実施形態に従った、ナノワイヤ洗浄技術例の側面図を示している。例えば、実施形態において、図42および図43に示されているナノワイヤ洗浄技術は、図33に示されている基板洗浄デバイス3306によって実行されてもよい。図42に示されているように、表面4210は、標的パネル3108の表面3110に隣接している。表面4210は、境界表面3102または他の表面(例えば、基板洗浄デバイス3306の表面)であってもよい。図42に示されているように、表面4210は、第1のポート4202、第2のポート4204、第3のポート4206、および第4のポート4208を備えている。第1のポート4202および第3のポート4206は、表面4210と同一平面に示されており、第2のポート4204および第4のポート4208は、表面4210から突出しているチューブとして示されている。実施形態においては、任意のポート4202、4204、4206、および4208が表面4210と同一平面であってもよく、または、表面3910から突出していてもよい。
【0166】
第1のポート4202は、溶媒注入ポートである。溶液は、表面3110と表面4210との間に挿入されるためにポート4202から供給される。第2のポート4204は、ナノワイヤインク除去ポートである。ポート4204は、表面3110と表面4210との間の溶液からナノワイヤ3908を受容する。ポート4204は、表面3110に近接して配置されたナノワイヤ3908を除去するための、表面3110に隣接して(例えば、10μmから100μmの範囲内に)配置される開口部を有するためにチューブの形状であってもよい。表面3110近傍のポート4204を局在させることによって、十分ながらも減少された垂直な流れにより、表面3110近傍の過剰なナノワイヤ3908を除去することが可能になる。第3のポート4206は、溶媒注入ポートである。溶液は、表面3110と表面4210との間に挿入されるためにポート4206から供給される。ポート4204と同様に、第4のポート4208は、表面3110と表面4210との間の溶液からナノワイヤ3908を受容し、表面3110に隣接して配置されている開口部を有するためにチューブの形状である。
【0167】
図43の実施形態は、図42の実施形態と同様に構成されており、表面4210は、第1から第4のポート4202、4204、4206、および4208を備えている。図43の実施形態において、ポート4202、4204、4206、および4208は、複数の各ポート4202、4204、4206、および4208を備えているチューブバンク4304に備えられている(チューブバンク4304の上面図が図43に示されている)。図43に示されているように、チューブバンク4304は、ジグザグのパターンに配置されている、ポート4202、4204、4206、および4208に対応している4列に亘るポートを備えている。ポート4202の2つが第1の列に示されている。ポート4204の5つが第2の列に示されている。ポート4206の2つが第3の列に示されている。ポート4208の4つが第4の列に示されている。実施形態においては、任意の数のポート4202、4204、4206、および4208が、任意の特定の列に備えられていてもよい。第2の列および第4の列は、互いに対してジグザグ形状である(例えば、ポート4204の第2の列およびポート4208の第4の列は平行であり、互いにオフセットを有して配置されている)。チューブバンク4304は、複数の溶液挿入位置およびナノワイヤ除去位置を提供するため供給されてもよい。例えば、チューブバンク4304は、表面3110近傍に開口部を有しているチューブを備えることによって、および、流れがチューブを周回するようにし、せん断応力を低く持続させることによって、表面3110近傍でのナノワイヤの除去を向上してもよい。溶媒は、連続性を持続させるためにポート4202および4206によって注入される。一実施形態において、ポート4204の開口部およびポート4208の開口部と表面3110との間に100μmの間隙を(1mmの流路の間隙に対して)設けるために、チューブを上昇させることによって、垂直速度は減少されてもよい。
【0168】
(E.表面におよび表面から粒子を移動させるための技術)
上述のように、マクロエレトロニクスに適用するための誘電泳動的なナノワイヤの沈着処理は、ナノワイヤが基板に限りなく近接して(典型的には、電極の間隙の1または2倍である距離以内に)沈着されることが必要であってもよい。この近接は、通常、(a)重力的な定着、または、(b)溶液中の高濃度ナノワイヤ、によって達成される。ナノワイヤが電極の間隙にて沈着された後、洗浄処理が過剰なナノワイヤを除去するために用いられてもよい。基板の近傍にて、流れは平均速度よりもかなり遅くてもよく、基板においては速度がゼロに、または、ゼロ近くに減少する。過剰なナノワイヤがより速い速度の流れの方へ基板に対して垂直に移動され得ないならば、これにより、結果的に洗浄が非常に遅くなってしまう。これは、基板および流れチャンバを反転させることによって重力的な定着を用いて達成されてもよい。
【0169】
沈着処理をスピードアップさせるので、基板への、または、基板からのナノワイヤの動作を加速させるための重力より強力な力を生成しうる代替処理が所望されている。更に、基板を反転させる必要の無い処理が、大型の(1m2より大きい)基板に拡張されてもよい。
【0170】
同様に、一実施形態において、粒子を基板上に沈着させる処理の一部として、粒子を基板へ、または、基板から移動させるために、静電気力が用いられてもよい。例えば、ナノワイヤを荷電させること、および、電極を溶媒に露出させることによって、荷電されたナノワイヤが、直流電場において基板に対して垂直に移動する。しかしながら、この処理は、電極からのイオンおよび溶媒を溶媒に注入し、これにより汚染物の問題および/または沈着の問題が生じてしまう。
【0171】
実施形態において、改善された拡張性および減少されたイオン汚染物を伴って、ナノワイヤに対して基板に垂直に印加される力が増加される。一実施形態において、電場を生成するために、第1の電極対が、基板上に配置されてもよく、1つの電極または第2の電極対が、対向する流れチャンバ壁上に配置されてもよい。基板の電極は、溶液からナノワイヤを誘電泳動的に沈着させるために用いられる。各々の電極対は、誘電材料により溶媒から絶縁されていてもよい。ナノワイヤ上の静電気力は、2組の電極の間における電場によって生成される。直流電場が印加される場合、溶液中のイオンは素早く電場を遮蔽し、実質的な動きはほとんど発生しない。ナノワイヤの所望の動作を発生させるために、交流波形が用いられてもよく、交流波形が調整されてもよい。一実施形態において、静電気力は、ナノワイヤの動作を発生させるために生成された力である。非対称の交流電場(例えば、立ち上がり時間が立ち下がり時間と異なっている、および/または、高電圧における時間が低電圧における時間と異なっている)を用いることによって、実質的な力がナノワイヤに掛けられる。例えば、これは、遮蔽イオンおよびナノワイヤの動きの異なる時間尺度、または、電圧の立ち上がりおよび遮蔽の異なる時間尺度によるものであってもよい。
【0172】
他の実施形態において、誘電泳動力が利用される。非均一な電場(少なくとも1つの方向において非均一)が生成される。例えば、電極、または、ワイヤまたはロッドのような他のタイプの導電体が、基板に対して平行に(および、ロッドの軸に対して垂直に)移動されうる。電極とロッドとの間の電場が非均一であり、ナノワイヤが電場の高勾配領域に引き付けられる。ロッド付近および沈着電極付近にて、電場は非均一性である。ロッドが小さく、基板の電極に略近接している場合、ロッドの勾配が基板の勾配よりも大きくなり、所望のように、ナノワイヤが基板から引き離される。
【0173】
基板の電極(第1の電極)と流路の電極(第2の電極)との間の交流電場が、基板の電極の間の誘電泳動的な沈着電場に重ね合わされうる。流路の電極は、流路の壁上に存在している必要はない。流路の電極は、流路の内側または外側に存在しうる。電極付近の電場勾配が基板付近の電場勾配よりも大きいのであれば、上述されたワイヤまたはロッドの代わりに、スクリーンまたは他の形状が用いられうる。基板に対して平行に移動させる代わりに、電極は間隙に固定されてもよく、基板の被覆率は、電極が基板上に等間隔に一直線に配列されるように電極を設計することによって達成されうる。
【0174】
この手法でのナノワイヤの垂直方向における制御が、沈着時間を減少させるために用いられてもよい。沈着および固定を援助するために、基板上の電極へナノワイヤを移動させるために、ナノワイヤが沈着基板に垂直な第1の方向に(例えば、上方向にまたは下方向に)移動されてもよく、および/または、基板上の電極からナノワイヤを移動させるために、ナノワイヤが沈着基板に垂直な第2の方向に移動されてもよい。一実施例において、ナノワイヤの垂直方向における制御が、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)を用いて被覆された基板上に実行された。電場と被覆金属との間における任意の非対称パルスにより、ナノワイヤの垂直方向の制御が可能になる。
【0175】
実施形態が様々な手法により構成されている。例えば、図44は、基板4402およびカバー4404(例えば、第2の基板または流れ容器/流れチャンバの表面)を備えている閉鎖流路4400の側面図を示している。図44の一実施例において、流路4400は、基板4402およびカバー4404によって形成されている、対向している第1および第2の基板を有している。基板4402は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対4406を備えており、カバー4404は、導電体4408を備えている。この導電体4408は、例えば、1本の電極または第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対、ワイヤ、ロッド、またはスクリーンであってもよい。誘電材料4410は第1の電極対を4406を被覆し、誘電材料4412は第2の電極対4408を被覆している。入口ポート4418は、懸濁液4416の流れを流路4400に供給するように構成されている。懸濁液4416は、複数のナノワイヤを含んでいる。電気信号源4414は、懸濁液4416中の少なくとも1つのナノワイヤに、実質的な力を基板4402の表面およびカバー4404の表面に対して垂直方向に掛けるための第1の電極対4406および第2の電極対4408を用いて交流電場を生成するように構成されている第1の電極対4406および第2の電極対4408に接続されている。
【0176】
図45は、一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のための処理を提供するフローチャート4500を示している。例えば、一実施形態において、フローチャート4500は、図44に示されている流路4400において実行されてもよい。以下の記述に基づけば、他の構造的および動作的な実施形態は当業者には明白である。
【0177】
フローチャート4500は、ステップ4502と共に開始する。ステップ4502では、複数のナノワイヤを含む懸濁液が、対向している第1および第2の表面を有している閉鎖流路を通して流される。第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備えており、第2の表面は、第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対を備えている。例えば、図44を参照すると、懸濁液4416はナノワイヤを含んでおり、流路4400を通して流される。流路4400は、電極対4406を備えている第1の表面つまり基板402、および、電極対4408を備えている第2の表面つまりカバー4404を備えている。この態様において、電極対4408は流路4400内に配置されている。他の実施形態において、ワイヤまたはロッドのような他のタイプの導電体が電極対4408の代わりに流路4400に配置されてもよい。
【0178】
ステップ4504では、第1および第2の表面に対して垂直な方向において、実質的な力を懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに掛けるために、交流電場が第1および第2の電極対を用いて生成される。例えば、図44を参照すると、電気信号源4414は、交流電場を生成するために電極対4406および電極対4408に結合されていてもよい。交流電場は、懸濁液4416中の少なくとも1つのナノワイヤに実質的な力を基板4402の表面およびカバー4404の表面に対して垂直な方向に(例えば、図44における懸濁液4416を表す矢印の方向に対して垂直に)掛けてもよい。
【0179】
例えば、一実施例において、電気信号源4414は、交流電場を生成するために三角形状のパルス信号パルスを印加してもよい。Tesla(Al/TEOS(200nm/40nm))基板が基板4402として用いられ、Tenriウェハ(Al/TEOS(400nm/100nm))がカバー4404として用いられ、180μmである基板とカバーとの間隔が用いられた。
【0180】
図46および図47は、Tesla基板例のような実施形態例において用いられてもよい交流波形を示している。例えば、図46は、沈着の際にナノワイヤの動きを制御するために用いられてもよい第1の波形4602および第2の波形4604を示している。第1の波形4602は、周期が200m秒であり振幅が10Vである、三角形状の立ち上がりおよび垂直な立ち下がりを伴う鋸歯パルス波として示されている。第2の波形4604は、周期が200m秒であり振幅が10Vである、垂直な立ち上がりおよび三角形状の立ち下がりを伴う反対向きの鋸型パルス波として示されている。図46に示されているように、第1の波形4602は、(例えば、第1の時間周期の間)ナノワイヤを下方向に押しやるように構成されてもよく、第2の波形4604は、(例えば、第2の時間周期の間)ナノワイヤを上方向に押しやるように構成されてもよい。図46に示されている、第1の波形4602および第2の波形4604のパラメータは、説明のために提供されており、これに限定されることはない。
【0181】
例えば、電場(V3)間のパルスは、周波数が400Hzでありピーク間電圧が1Vである正弦波パルスであってもよい。手順に従うと、ナノワイヤは充満されていてもよく、ナノワイヤは液体の流れなしに下方向に(V1)押しやられてもよい。ナノワイヤの沈着が微弱な液体の流れと共に発生してもよい(V3)。ナノワイヤの洗浄(V2およびV3)が液体の流れと共に実行されてもよい。
【0182】
図44の他の実施例において、図47に示されているように交流矩形パルス波が用いられてもよい。例えば、図47は、沈着の際にナノワイヤの動きを制御するために用いられてもよい第1の波形4702および第2の波形4704を示している。第1の波形4702は、高電圧レベルでの周期幅が180m秒であり、低電圧レベルでの周期幅が20m秒であり、振幅が10Vである矩形パルス波として示されている。第2の波形4604は、高レベルでの周期幅が20m秒であり、低レベルでの周期幅が180m秒であり、振幅が10Vである矩形パルス波として示されている。図47に示されているように、第1の波形4702は、(例えば、第1の時間周期の間)ナノワイヤを下方向に押しやるように構成されてもよく、第2の波形4704は、(例えば、第2の時間周期の間)ナノワイヤを上方向に押しやるように構成されてもよい。図47に示されている、第1の波形4702および第2の波形4704のパラメータは、説明のために提供されており、これに限定されることはない。
【0183】
(F.1本のナノワイヤの沈着にとっての動作ウィンドウを増大させるように形成された電極形状)
上述のように、ナノワイヤの沈着は、電場を用いて溶液中のナノワイヤを基板上に捕獲することによって実行されてもよい。電場を生成するために用いられる電極の外形は、電極電圧および溶液流率にとっての動作ウィンドウに大きな影響を及ぼしうる。例えば、電圧が0Vよりも大きく増加されるにつれて、臨界電圧はナノワイヤに掛かる誘電泳動力が流れる液体のせん断応力に等しくなり、結果として、電極間でのナノワイヤの固定になる点に到達する。高電圧においては、複数のナノワイヤが1本の電極に固定されうる。電極上の複数のナノワイヤは所望のものではなく、また、せん断応力、電極の外形、および電圧の変形がウェハ上に発生するので、1本のワイヤの固定および複数のワイヤの固定との間の電圧の範囲は非常に重要になりうる。このように、1本のナノワイヤ(または他の所望の数のナノワイヤ)を固定するために用いられる電極電圧の動作ウィンドウのサイズを増大させるために、電極対の電極の幅、電極対の電極間の間隔、電極電圧、および/または、他のパラメータのようなシステムパラメータを制御できることが望ましい。1本のナノワイヤ(または他の所望の数のナノワイヤ)を堅実に固定するために印加される電極電圧の範囲が拡大されればされるほど、デバイスの構成はより簡略化されたものおよびより信頼できるものになる。
【0184】
実施形態において、1本のナノワイヤ(または他の所望の数のナノワイヤ)が電極に固定される電圧の範囲(処理ウィンドウ)を最小限にするように構成されている改善された電極形状が提供されている。
【0185】
所定の電極上に沈着されるナノワイヤの数は、沈着システムに存在する力に依存している。例えば、誘電泳動力、流体力学的引力、ナノワイヤ間の相互反発力、およびナノワイヤと基板との反発力が要因である。1つの電極対上に複数のナノワイヤを促進する2つの要因は、流体力学的引力に対する電場強度(強電場または小引力は複数のナノワイヤを好む)と電極の幅である。2本のナノワイヤが電極対上に固定される際、それらは互いに相互作用する。2本のナノワイヤ間の反発力は、それらを別離させる。電場は電極の縁を過ぎると急速に減少するので、ナノワイヤが電極の縁から遥か遠くに移動する場合、流体力学的力によって引き離され、溶液流によって一掃される。2本のナノワイヤは、2本のナノワイヤがある時間周期において電極上に固定される準安定状態にて残存しうる。十分に長い時間が経過した後、十分に大きな局所的な変動が、典型的にナノワイヤの1つを別離させる。電極の幅が広い場合、多くのナノワイヤが1つの電極対上に安定状態にて存在できる。電極の幅が3μm未満まで減少するにつれて、1本のナノワイヤのみが特定の操作条件(電圧および流率)の下において電極対に固定される。しかしながら、1本のナノワイヤまたは複数のナノワイヤを選択的に固定するための、電極の幅と電極の電圧との間の関係がある。電極の幅が減少するにつれて、複数のナノワイヤを固定することなく高電圧が印加されうる。電極の厚さもまた重要である。より薄い電極は、一般により大きな動作ウィンドウを提供する。
【0186】
例えば、一実施例において、ナノワイヤは、85%のIPAと15%の水との混合溶液中にて、200nmから50アルミnmまでの間において厚さが変更される電極対上に固定された。この電極対については、電極の厚さを50nmから200nmに増加した後、1本のナノワイヤを捕獲するための電圧の範囲は、100mVから20mVに減少された。より薄い電極は、1本のナノワイヤを捕獲するためのより大きな動作ウィンドウを提供する。2次元の場合、動作ウィンドウは最大であってもよい。ここで、電極の厚さは非常に薄いものとする。一実施形態において、これに接近するために、ダマスク構造が作製されてもよい。そのような構造において、電極は、低誘電率膜に埋め込まれている。例えば、電極は、基板上に形成されてもよい。低誘電率膜は、膜の厚さが電極の厚さと同一になる(例えば、電極の表面と膜とが、互いに共通の平面または同一平面である)ように、電極間の間隔を埋めるために、電極間の基板に適用されてもよい。また、電極は、基板上に形成されてもよく、低誘電率膜は、電極間の間隔を埋めるために、および、電極を覆うために、基板におよび電極上に適用されてもよい。電極の表面が露出されるように、および、電極の表面と膜の表面とが互いに共通の平面または同一平面であるように、膜の最上層を除去するために、膜はエッチングされてもよい。
【0187】
図48は、一実施形態例に従った、多くの変形例に対する動作ウィンドウのプロット4800の例(mV)を示している。各変形例は、特定の電極形状(例えば、三角形状、円形状、四角形状、等)、特定の電極の幅、電極対の電極間の特定の間隔、等を有しているそれぞれの電極対形状の構成である。更に、各変形例に対して、3つの異なる電極の厚さ(50nm、100nm、および200nm)が、電極の厚さの効果を表すためにプロットされている。動作ウィンドウは、電極対上での1本のナノワイヤの固定が発生する電圧の範囲である。プロット4800に示されているように、電極の厚さが減少するにつれて、1本のナノワイヤの固定のための動作ウィンドウは一般に増大する。例えば、三角形状の電極の縁である変形例9では、電極の厚さが50nmならば、動作ウィンドウがおおよそ112mVという結果になり、電極の厚さが100nmならば、動作ウィンドウがおおよそ100mVという結果になり、電極の厚さが200nmならば、動作ウィンドウがおおよそ27mVという結果になる。しかしながら、電極対の電極間の間隙が12μmであり、電極の幅が1.5μmである変形例Gでは、電極の厚さが50nmならば、動作ウィンドウがおおよそ102mVという結果になり、電極の厚さが100nmならば、動作ウィンドウがおおよそ130mVという結果になり、電極の厚さが200nmならば、動作ウィンドウがおおよそ46mVという結果になる。
【0188】
図49および図50は、実施形態例に従った、それぞれ8μmの間隙(プロット線4902)および10μmの間隙(プロット線5002)に対する4つの変形例についての、電極の厚さ(nm)に対する動作ウィンドウ(mV)のプロット4900およびプロット5000を示している。図49および図50に示されているように、動作ウィンドウは、電極の厚さの増加と共に減少し、電極の厚さの減少と共に増加する。この効果の例示的な要因には、
(1)ナノワイヤ間の静電気的な反発、および/または、ナノワイヤと基板との間の静電気的な反発が、電極の縁付近におけるナノワイヤの安定性に影響を与えること。
(2)電極の縁における電場が増加すること(間隙に対するアスペクト比)。
含んでいる。
【0189】
図51は、一実施形態に従った、電極の幅の効果を表す、電極の幅(μm)に対する動作ウィンドウ(mV)のプロット5100の例を示している。3つの異なる電極の厚さ(50nm、100nm、および200nm)が、電極の厚さの効果を表すためにプロットされている。プロット5100に示されているように、電極の幅が増加するにつれて、動作ウィンドウは減少する。更に、電極の幅が減少するにつれて、動作ウィンドウは増大する。電極の幅が約1.2μmよりも(例えば、点線5102の左側に)減少するにつれて、隣接電極を互いに接続させる電気的なコネクタ(例えば、「バスライン」)は、動作時に所望しない効果を奏し始める(例えば、ナノワイヤがバスライン上の所望しない領域に引き付けられるようになる)。
【0190】
このようにして、実施形態において、より薄い電極を提供することによって、動作ウィンドウ(電極電圧の範囲)が増大されてもよい。平らな2次元の電極構造(例えば、ダマスク構造)が平面電極を提供するために望ましい。
【0191】
更に、大きな動作ウィンドウが、10μmおよび12μmの間隙(電極対の電極間の間隔)、1.5μmおよび2μmの電極の幅、および三角形状の電極エンドキャップ(end-cap)を含む様々な電極形状に対して観測された。
【0192】
更に、隣接電極対間の間隔が動作ウィンドウに影響を与える。より近くに配置された電極対(例えば、隣接電極対間の距離が4μm)についてはより強い電場が存在するので、結果としてより低い固定電極電圧が必要になる。しかしながら、このような構成における動作ウィンドウは軽減されている。より大きな動作ウィンドウを生成するために、電極対はより遠く(例えば、隣接電極対間の距離が8μm以上)に配置されてもよい。
【0193】
バスラインからの電場は、高電圧においては無視できない。(電極対の電極間における)より大きな電極の間隙および減少しつつある電極の幅にとって、より高い固定電極電圧が必要になってもよい。このようにして、バスライン間において距離が増大されること(たとえば、5μmから10μm)が、より高い固定電極電圧を打ち消すために望ましい。
【0194】
(G.アレイ上および孤立電極上へのナノワイヤの類似的な沈着のために構成された電極の外形)
上述のように、ナノワイヤの沈着は、電場を用いて溶液中のナノワイヤを基板の電極上に捕獲することによって実行されてもよい。電場を生成するために用いられる電極の構成が、沈着処理に多大な影響を及ぼしうる。例えば、電極アレイにおいて近接して配置された電極は、最近接の隣り合う電極の電場に影響を与えうる。電極アレイにとって、ナノワイヤを固定するために用いられる電圧は、隣接電極間の間隔に依存して、孤立電極対に用いられる電圧よりも低くなりうる。同一のウェハ上に同一の大きさを伴った電極アレイおよび孤立電極対の両方を有することは、結果として沈着の問題をもたらす。これは、誘電泳動力が1つの電極対と電極アレイとでは異なるからである。このようにして、2本のナノワイヤは電極アレイ上に沈着される一方で、幾つかの動作電圧において、孤立電極対上に沈着された1本のナノワイヤ(所望の数のナノワイヤであってもよい)が存在することになり、問題である。
【0195】
実施形態において、近接して配置されたアレイおよび/または孤立電極対にナノワイヤを沈着させるために、異なる電極形状が基板上に用いられてもよく、異なるサイズのナノワイヤを同一の動作電圧にて沈着させること、または、隣接電極間に異なる間隔が必要である電極パターンに対するナノワイヤを同一の動作電圧にて沈着させることができる。例えば、実施形態において、電極形状の関数としての誘電泳動的捕獲反応が利用されてもよい。図52から図56は、ナノワイヤの固定に用いられる電極電圧への、電極の間隙(電極対における電極の端部の間の距離)、電極の幅、および電極の厚さの効果を表すそれぞれのプロットを示している。
【0196】
例えば、図52は、固定電圧への電極の間隙の効果を表す、電極の幅が1.5μmである場合の、間隙サイズ(μm)に対する固定電圧(mV)のプロット5200を示している。図52に示されているように、プロット5200は、第1のプロット線5202、第2のプロット線5204、第3のプロット線5206、および、第4のプロット線5208を含んでいる。第1のプロット線5202は、互いに4μm離れて配置された電極対アレイにおける電極対にとっての電極の幅に対する1本のナノワイヤを電極対に固定させるための固定電圧のプロットである。第2のプロット線5204は、互いに8μm離れて配置された電極対アレイにおける電極対にとっての電極の幅に対する1本のナノワイヤを固定させるための固定電圧のプロットである。第3のプロット線5206は、互いに4μm離れて配置された電極対アレイにおける電極対にとっての電極の幅に対する2本のナノワイヤを電極対に固定させるための固定電圧のプロットである。第4のプロット線5208は、互いに8μm離れて配置された電極対アレイにおける電極対にとっての電極の幅に対する2本のナノワイヤを固定させるための固定電圧のプロットである。
【0197】
プロット線5202から5208の各々に対して、固定電圧は、電極の間隙距離が増加すると共に増加する。更に、プロット5200によって示されているように、必要な固定電圧は、(電極対上により近接に配置された1本のナノワイヤに対する)第1のプロット線5202から、(電極対上により近接に配置されていない1本のナノワイヤに対する)第2のプロット線5204へ、(電極対上により近接に配置された2本のナノワイヤに対する)第3のプロット線5206へ、(電極対上により近接に配置されていない2本のナノワイヤに対する)第4のプロット線5208へと増加する。このようにして、必要な固定電圧は、一般に、隣接電極対間の間隔が増加するにつれて増加する。
【0198】
図53は、電極の幅が2μmである場合の間隙サイズ(μm)に対する固定電圧(mV)のプロット5300を示しており、電極の間隙の固定電圧への効果を表す。プロット5300は、第1のプロット線5302、第2のプロット線5304、第3のプロット線5306、および第4のプロット線5308を含んでおり、それぞれ図52におけるプロット5200のプロット線5202、5204、5206、および5208に対応している。プロット線5302から5308は、電極の間隙距離が増加するにつれて、および、電極対の間隔が増加するにつれて固定電圧が増加するプロット5200のプロット線52025208の効果と同様の効果を示している。更に、図53のプロット線5302から5308は、図53のプロット線52055208に比べて固定電圧において低圧側に移動しており、電極の幅が増加すると共に固定電圧が減少することを表す。
【0199】
図54および図55は、それぞれ1本のナノワイヤ固定および2本のナノワイヤ固定についての電極の幅(μm)に対する固定電圧(mV)のプロット5400および5500を示している。3つの異なる電極の厚さ(50nm、100nm、および200nm)が、電極の厚さの効果を表すために5400および5500の各々においてプロットされている。図54および図55に示されているように、電極の幅が減少するにつれて、および、電極の厚さが減少するにつれて固定電圧は増加する。更に、2本のナノワイヤの固定(プロット5500)は、一般に、1本のナノワイヤの固定よりも高い固定電圧を必要とする。
【0200】
図56は、1本のナノワイヤ固定および2本のナノワイヤ固定に対する臨界固定電圧(mV)のプロット5600を示しており、近接して配置された(例えば、4nmのアレイ状に配置された)電極対と孤立した(例えば、他の電極対から8nm以上離れて孤立した)電極対との違いを表す。プロット5600において、プロットバー5602は、孤立電極対への1本のナノワイヤの固定に対する臨界固定電圧がおおよそ220mVであり、プロットバー5604は、アレイ状の電極対への1本のナノワイヤの固定に対する臨界固定電圧がおおよそ200mVであり、プロットバー5606は、孤立電極対への2本のナノワイヤの固定に対する臨界固定電圧がおおよそ330mVであり、プロットバー5608は、アレイ状の電極対への2本のナノワイヤの固定に対する臨界固定電圧がおおよそ300mVであることを示している。プロット5600によって示されているように、80mV(300mVから220mV)である、1本のナノワイヤ固定と2本のナノワイヤ固定との間の有効的な電極電圧の動作ウィンドウが存在する。同該動作ウィンドウは、(プロットバー5608によって示されている臨界固定電圧を増加させるために)電極対の間隙をアレイ状に増加させること、(プロットバー5608によって示されている臨界固定電圧を増加させるために)アレイの電極対の電極の間隙を増加させること、(プロットバー5602によって示されている臨界固定電圧を減少させるために)孤立電極対の電極の間隙を減少させること、等のような様々な手法によって増加される。
【0201】
このようにして、電極固定電圧は、電極の幅の増加および/または電極の間隙の減少と共に減少する。このようにして、電極の幅は、1つ以上のナノワイヤを固定するために必要な電極電圧を調整するために補正されてもよい。例えば、電極の幅は、必要な固定電圧を減少させるために増加されてもよく、または、必要な固定電圧を増加させるために減少されてもよい。しかしながら、電極毎の固定電圧および電極毎のナノワイヤの均衡数の両方が変化するので、電極の幅は、特定の数のナノワイヤを電極に捕獲させようと試みる際にあまり順応できるパラメータではない。より幅の広い電極は、より幅の狭い電極より多数の固定されたナノワイヤに順応しうる。より幅の狭い電極は、より少数の固定されたナノワイヤに順応しうる。更に、電極の間隙も、1つ以上のナノワイヤを固定するために必要な電極電圧を調整するために補正されてもよい。例えば、電極の間隙は必要な固定電圧を増加させるために増加されてもよく、または、必要な固定電圧を減少させるために減少されてもよい。このようにして、電極の幅および/または電極の間隙は、1つ以上のナノワイヤを固定するために必要な電極電圧を調整するために補正されてもよい、電極形状のパラメータである。
【0202】
例えば、近接に配置された電極対を有する電極アレイに関連している、図52のプロット線5202および5206では、(同数の固定されたナノワイヤに対する)孤立電極対に関連している、図52のプロット線5204および5208に比べて必要な固定電圧が低い。近接に配置された電極対を有する電極アレイでは、孤立電極対よりも低い固定電圧が必要になるので、孤立電極対の電極の間隙は、孤立電極対が電極アレイの固定電圧と一致する減少した固定電圧を有するために減少されてもよい(例えば、第1の電極対は、第1の電極対に関連した最少固定電圧を第2の異なる形状を有する第2の電極対に関連した最少固定電圧に一致させるための第1の外形を有するように構成されていてもよい)。このようにして、孤立電極対および電極アレイの電極対にナノワイヤを固定するために、孤立電極対および電極アレイの電極対に同一の電圧が印加されうる。電極形状のこの置換および他の置換は、電極形状に関わらず、特定数のナノワイヤを各電極対に沈着させるために用いられうる。電極の厚さは典型的には一定であるが補正されてもよく、電極の厚さを局所的に変更するために相当数の処理が実行される。
【0203】
(H.沈着後に基板へのナノワイヤの固着を制御するように構成された電極形状)
上述のように、ナノワイヤの沈着は、電場を用いて溶液中のナノワイヤを基板上に捕獲することによって実行されてもよい。電場を生成するために用いられる電極の構成は、沈着後の固着処理に多大な影響を与えうる。例えば、不適切な電極形状により、結果的にナノワイヤのずれが生じてしまう。
【0204】
ナノワイヤが基板に固着されている間、ナノワイヤが基板上に平行におよびセンタリングされて配列されるように改善するための改善後の電極形状および固定電圧の実施形態例が提供される。例えば、誘電泳動的に固定されたナノワイヤの基板への固着が改善されてもよい。一実施形態において、ナノワイヤは三角形状の先端を有する電極上に少量の配列のばらつきを伴って固着される。固着のために用いられる高電圧では、電極の縁にて非常に鋭い電場勾配が存在しうる。より幅の広い電極は、中心部の代わりに両縁の何れかにてナノワイヤを固着してもよい。電極の鋭い角および縁は、電場に多大な影響を与えうる。電場は縁にて高密度になりやすい。このようにして、電極の端部は、沈着されたナノワイヤを所望の電極位置に引き付けさせる電場勾配を生成するように形成されてもよい。更に、沈着のために用いられる電極の材料および積層膜(誘電体は電極を被覆しうる)、電極形状、溶媒、および/または、ナノワイヤタイプは、ナノワイヤの固着位置を制御するために変更されてもよい。
【0205】
例えば、図57は、一実施形態例に従った、基板上に形成された電極対208を示している。電極対208は、第1の電極804および第2の電極806を備えている。第1の電極804は矩形状の端部2006を備えており、第2の電極806は矩形状の端部2008を備えている。図57に示されているように、電極804および806の各々は幅2002を有しており、電極804の端部2006と電極806の端部2008との間に電極の間隔2004(または、間隙、距離)が存在している。ナノワイヤ706は電極804および806に固定されているように図57に示されている。電極804および806の矩形状に起因して、図57では、ナノワイヤ706は移動し、電極804および806の右端部に固定されている。更に、矩形状の電極804および806が用いられる場合、2本のナノワイヤの沈着が高い率で発生する(例えば、幾つかの構成においてはおおよそ20%)。矩形状の電極を用いている1つの構成例において、ナノワイヤは、ピーク間電圧が30Vの増幅器を用いて電極に固着された。用いられた最大固着電圧は、実効値が16Vであった。図57に示されているものと同様に、電圧が増加されるにつれて、ナノワイヤが電極の縁に向かい移動し始めた。
【0206】
図58は、一実施形態例に従った、基板上の形成された電極対5800を示している。電極対5800は、第1の電極5802および第2の電極5804を備えている。第1の電極5802は、円形状のまたは丸い端部5806aを備えており、第2の電極5804は、円形状または丸い端部5806bを備えている。ナノワイヤ706は、電極5802および5804に固定されているように図58に示されている。図59は、一実施形態例に従った、丸い端部を有する電極を備えている、ウェハ上の電極アレイの画像5900を示している。更に、図59に示されているように、ナノワイヤ5902は、電極対の各々に固定されているように示されている。図58および図59に示されているように、電極対上のナノワイヤは、矩形状の端部を有する電極(例えば、図57)の場合よりも良くセンタリングされている。丸い端部を有する電極に対して、ナノワイヤは、電場が最強である、丸い電極の端部上にセンタリングされて固着される傾向にある。固着(locking)電圧は、固着を改善するために補正されうる。
【0207】
図60は、一実施形態例に従った、基板上に形成された電極対6000を示している。電極対6000は、第1の電極6002および第2の電極6004を備えている。第1の電極6002は、先の尖った三角形状の端部6006aを備えており、第2の電極6004は、先の尖った三角形状の端部6006bを備えている。ナノワイヤ706は、電極6002および6004に固定されているように図60に示されている。図61は、一実施形態例に従った、三角形状の端部を有する電極(例えば、厚さ50nmの電極)を備えている、ウェハ上の電極アレイの画像6100を示している。更に、図61に示されているように、ナノワイヤ6102は、電極対の各々に固定されているように示されている。図60および図61に示されているように、電極対上のナノワイヤは、矩形状の端部を有す電極(例えば、図57)の場合よりも良くセンタリングされている。三角形状の先端を有する電極に対して、ナノワイヤは、電場が最強である、三角形状の電極の端部の頂点上にセンタリングされて固着される傾向にある。固着電圧は、固着を改善するために補正されうる。
【0208】
図62は、実施形態例に従った、ナノ構造物の沈着のためのステップの例を提供するフローチャート6200を示している。フローチャート6200は、説明のために、図58および図60を参照しながら以下に記述されている。以下の記述に基づけば、他の構造的および動作的な実施形態は当業者には明白である。フローチャート6200の全ステップが全実施形態において実行される必要があるわけではない。例えば、ステップ6202(形成するステップ)は、ステップ6204および6206を実行する構成要素から分離して、他の構成要素によって実行されてもよい。
【0209】
フローチャート6200は、ステップ6202と共に開始する。ステップ6202では、電極対の第1の電極および第2の電極が、同軸上に配列されるように基板の表面上に形成される。第1の電極は第1の端部を備えており、第2の電極は第2の端部を備えている。第1の電極および第2の電極は、隣接して配置され、第1の距離だけ離されている。第1の端部および第2の端部は、何れも正方形状ではない。例えば、図58に示されているように、第1の電極5802の端部5806aおよび第2の電極5804の端部5806bは丸くなっており、それらの丸い端部は間隙2004だけ離されている。また、図60に示されているように、第1の電極6002の端部6006aおよび第2の電極6004の端部6006bは三角形状であり、それらの頂点は間隙2004だけ離されている。
【0210】
ステップ6204では、懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを電極対に付随させるための電場を生成するために、電気信号が当該電極対にて受信される。例えば、本明細書に記述されているように(例えば、図3のステップ304を参照すると)、電気信号は、1つ以上のナノワイヤを電極対に付随させるための電場を生成するために、図58の電極対5800または図60の電極対6000に印加されてもよい。
【0211】
ステップ6206では、上記少なくとも1つのナノワイヤが基板の表面に固着される。例えば、上述のように、ナノワイヤは電極対5800または6000に固定または固着されてもよい。例えば、上述のように、10Vppまたはそれ以上の電圧のような固着電圧が電極対に印加されてもよい。三角形状の先端を有する電極にとっては、電場が三角形状の先端の頂点にて非常に強力であるので、ナノワイヤは10Vppを越えると固着される。
【0212】
(I.誘電泳動的な沈着後に過剰なナノワイヤを基板から除去するための技術)
上述のように、ナノワイヤの沈着は、電場を用いて溶液中のナノワイヤを基板上に捕獲することによって実行されてもよい。沈着は、ナノワイヤが表面に向けて定着するように、及び、重力が表面付近のナノワイヤの高濃度を促進するように、ナノワイヤインクより下方の基板を伴って実行されうる。これにより、沈着および電極の全装荷の時間が早くなる。そのような構成では、ナノワイヤが表面のごく近傍に配置されており、表面付近の流速度が相対的に小さいので、ナノワイヤは表面から洗浄され難い。このようにして、洗浄段階には全沈着処理の75%以上の時間が掛かる。洗浄を向上させるための技術が改善されることにより、実質的に処理全体の時間が早くなる。
【0213】
また、洗浄を改善するために、ナノ構造物が沈着されている表面からナノワイヤを引き離すために静電気力、誘電泳動力、および/または磁力を用いるための実施形態例が示されている。例えば、実施形態において、沈着基板が高アスペクト比流路のより大きな壁を形成する閉鎖システムが沈着のために用いられてもよい。沈着の間、沈着基板は、流路を通って流れる流体に露出された基板上の電極を伴って、流路の底部表面/底部壁を形成している。ナノワイヤは、交流電場を用いて流体から電極上に直接沈着される(誘電泳動法)。一旦、電極がナノワイヤで十分に充満されると、過剰なナノワイヤが流路から洗浄されてもよい。基板の表面付近での流体(ナノワイヤ)の接線速度が相対的に小さいので、ナノワイヤを表面から流体の流れがより速い場所に移動させることが有効である。これにより、洗浄時間が実質的に減少される。ナノワイヤを表面から移動させる技術の一例として、流路内部の1つ以上の追加電極(「洗浄電極」)から生じる静電気力を印加することが挙げられる。洗浄電極が基板に比べて小さい場合、または、電極対が用いられる場合、交流信号が印加される際に、電極に対する電場勾配がナノワイヤを引き付ける(交流電気泳動法)。電極に対するこの引力によって、ナノワイヤは表面から移動するが、固定されたナノワイヤを表面上の電極から除去するほど十分な強さではない。更に、洗浄電極での流体の接線方向の流れは典型的に十分速く、ナノワイヤはそこに固定されない。
【0214】
洗浄電極は、様々な手法により構成されてもよい。例えば、一実施形態において、正および負の(交流に対して同相および逆相の)電極間に特定の間隙距離を有する電極対を形成する2つの幅の狭いロッドが用いられてもよい。ロッドは流路の幅に広がり、表面からの異なる距離において存在しうる。ロッドは、流体の流れの方向にセルの一端から他端へ移動する。この場合、ロッドが表面上を走査するにつれて、それらは固定されていないナノワイヤを表面から局所的に除去し、洗浄を向上させる。他の実施形態において、ウェハ状のより大きな領域に影響を及ぼさせるために、複数のロッドまたは他の電極が用いられている。他の実施形態において、ワイヤを引き付けるために、表面付近に配置された固定電極格子が用いられている。
【0215】
実施形態において、システムの形状および/またはサイズ、ナノワイヤタイプ、インク溶媒のタイプ、沈着基板、等を含むシステムパラメータは変更されてもよい。ナノワイヤを表面から引き寄せるために、電極のための多くの異なる形状および材料が用いられてもよい。
【0216】
例えば、図63は、実施形態例に従った、ナノ構造物の沈着のためのステップの例を提供するフローチャート6300を示している。図63は、説明のために、図64を参照しながら記述されている。図64は、一実施形態に従った、ナノ構造物の沈着のためのシステム6400を示している。以下の記述に基づけば、他の構造的および動作的な実施形態は当業者には明白である。
【0217】
フローチャート6300は、ステップ6302と共に開始する。ステップ6302では、複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液が、第1の表面を有している流路を通して流される。第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている。例えば、図64に示されているように、システム6400は、流路6402、入口ポート6404、電極対6406、および導電体6408を備えている。流路6402は、第1の表面6412を有している。入口ポート6404は、懸濁液6410の流れを(閉鎖であってもなくてもよい)流路6402に供給するように構成されている。懸濁液6410は、ナノワイヤ706aを含む複数のナノワイヤを備えている。電極対6406は、表面6412上に第1および第2の電極を備えている。
【0218】
ステップ6304では、懸濁液の少なくとも1つのナノワイヤを電極対に付随させるために、交流電場が当該電極対を用いて生成される。例えば、一実施形態において、図64の電極対6406は、懸濁液6410の少なくとも1つのナノワイヤを電極対6406に付随させるための第1の電場を生成するために、(例えば、電気信号源から)第1の電気信号を受容するように構成されてもよい。例えば、図64に示されているように、ナノワイヤ646aは電極対6406に付随している。
【0219】
ステップ6306では、過剰なナノワイヤを流路の第1の表面から引き離すために、第2の電場が少なくとも1つの導電体を用いて生成される。例えば、図64の導電体6408は、過剰なナノワイヤを表面6412から引き離すための第2の電場を生成するために、(例えば、同一の電気信号源または異なる電気信号源から)第2の電気信号を受容するように構成されてもよい。例えば、電極対6406に固定されていない、または、他の何れの電極対にも固定されていないナノワイヤ706bおよび706cは、導電体6408に向けて引き付けられてもよい。このようにして、流路6402を通して流れる懸濁液6410は、電極対6406に乗っている、過剰なナノワイヤであるナノワイヤ706bおよび706cを、この手法にて洗浄可能である。
【0220】
上述のように、導電体6408は、電極、電極対、等を含む1つ以上の導電体を備えていてもよい。導電体6408は、1つ以上のワイヤ、ロッド、格子、等を備えていてもよい。導電体6408は、過剰なナノワイヤを流路6402から洗浄可能にするために、静的であってもよく、または、(例えば、手動の力、モータ、等によって)動的であってもよい。
【0221】
(J.広い領域上でのナノワイヤの誘電泳動指向アセンブリ)
広い領域上でのナノワイヤの誘電泳動指向アセンブリのための実施形態が、このサブセクションにおいて提供されている。このサブセクションにおいて、ナノワイヤ、誘電泳動法、動作ウィンドウ、ハードウェア、広い領域での沈着、配列のための適用例およびアプローチ、および、他の実施形態が記述されている。
【0222】
本明細書にて記述されているように、多くのデバイスおよびシステムが、本明細書にて記述されている技術に従って沈着されたナノ構造物および/または電気的なデバイスと組み込みうる。例えば、ナノワイヤを組み込んでもよい適用例の1つとして、LCD/OLED(液晶ダイオード/有機発光ダイオード)ディスプレイのバックプレーン(例えば、Sony(登録商標)社製のOLED)が挙げられる。そのようなディスプレイバックプレーンは、アモルファスシリコンディスプレイのバックプレーンより高性能であってもよく、低コストである。ナノワイヤを組み込んでもよい他の適用例としては、順応性のある電子機器(例えば、オランダ・アイントホーフェンにあるポリマー・ビジョン・リミテッド社(Polymer Vision Ltd.)製の順応性のあるディスプレイ)が挙げられる。ナノワイヤの低処理温度はプラスチックとの相性が良く、このようにして、ナノワイヤをプラスチックと共に用いる多くの適用が可能になる。他のナノワイヤの適用例としては、プリンテッド・エレクトロニクス、センサ、および無線ICタグ(RFID)が挙げられる。
【0223】
図65および図66は、誘電泳動(DEP)技術に従って組み立てられた電子デバイスの図を示している。例えば、図65は、第1の電極6502および第2の電極6504を備えている、基板6508上の2つの端子を有するデバイス6500を示している。カーボンナノワイヤ6506が、第1の電極6502および第2の電極6504に結合されて示されている。デバイス6500と同様のデバイスを組み立てるために用いられた誘電泳動沈着技術に従うと、90%のデバイスが(100μm×100μmの領域において)1本のカーボンナノチューブを受容した。図66は、基板6606上でのデバイス6602のアレイ6600を示しており、デバイス6602の各々は、第1の電極6602およびそれぞれに対応する第1の電極6602に結合されているナノワイヤ6604を含んでいる。アレイ6600を組み立てるために用いられた誘電泳動沈着技術に従うと、80%のデバイスが1本のナノワイヤを受容した。
【0224】
図67は、一実施形態に従った、電場指向アセンブリの原理の一例を表す沈着システム6700を示している。例えば、図67は、本明細書において記述されている誘電泳動法を利用する電場指向アセンブリを表す。図67に示されているように、システム6700は、基板6702、第1の電極6704、第2の電極6706、ナノワイヤ6708、(容器に含まれた)溶媒6710、および交流信号発生器6712を備えている。第1の電極6704および第2の電極6706は、基板6702の表面上に配置されている。第1の電極6704は、交流信号発生器6712陰極に接続されており、第2の電極6706は、交流信号発生器6712陽極に接続されている。図67において、基板6702は全体が溶媒6710中に浸されている。交流信号発生器6712によって交流電流/交流電圧を第1の電極6704および第2の電極6706に印加することによって、電磁場6714が生成される。電磁場6714は、ナノワイヤ6708のように、溶媒6710中の少なくとも何本かのナノワイヤを第1の電極6704および第2の電極6706に付随させるために生成された交流電磁場である。
【0225】
電磁場6714を生成するための、第1の電極6704および第2の電極6706への電圧印加は、フローチャート300のステップ304を含んだナノワイヤの配列および沈着の処理の一部の間または全部の間、実行されうる。本明細書にて記述されているように、ナノワイヤ6708は、電極6704および6706の間に生成された交流電場に出くわすにつれて、電場勾配が生じる。実質的な双極子モーメントが近傍のナノワイヤにおいて生成され、近傍のナノワイヤが電場の向きに対して平行に配列されるように、交流電場が双極子にトルクを及ぼす。例えば、ナノワイヤ6708が、電極6704および6706に付随しながら、電磁場6714によって電磁場6714の電場成分に対して平行に配列されて示されている。
【0226】
ナノワイヤ6708を交流電場に対して平行に配列することに加え、電場勾配がナノワイヤ6708に誘電泳動力を及ぼし、ナノワイヤ6708を電極6704および6706に対して引き付ける。以下の式(7)は、図67におけるナノワイヤ6708に及ぼされる誘電泳動力Fdepを表す。
【0227】
【数7】

【0228】
ここで、
【0229】
【数8】

【0230】
であり、Eは電場、εnはナノワイヤ6708の複素誘電率、εpは溶媒6710の複素誘電率である。
勾配は電極6704および6706において最大であり、電極6704および6706に及ぼされる引力が増大する。逆性に荷電されたイオンが各電極にて存在する(例えば、電極6704において負に荷電したイオンが存在し、電極6706にて正に荷電したイオンが存在する)ように、電気的な2層が電極6704および6706の各々の表面にて生成される。電磁場6714において、イオンは、電極6704および6706の各々からごく近傍に浮かんでいるナノワイヤ6708に向けて先ず移動する。イオンが逆性に荷電されたナノワイヤ6708に接近するにつれて、イオンは同性の電荷によって反発され、それぞれの電極に戻らされ、結果としてイオンの循環パターンが生じる(例えば、正に荷電されたイオンが、電極6704に最近接のナノワイヤ6708の端部に示されており、負に荷電されたイオンが、電極6706に最近接のナノワイヤ6708の端部に示されている)。溶媒6710もまた循環され、ナノワイヤ6708を電極6704および6706に引き付ける誘電泳動力に対向する電気浸透力を生成する。誘電泳動力および電気浸透力は平衡(または相対平衡)に到達し、それ故、ナノワイヤ6708は、電極6704および6706に付随されるようになる位置にて保持される。
【0231】
本明細書にて記述されている様々なタイプのナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ、等を含んだ様々なタイプのナノワイヤが、この手法にて沈着のために用いられてもよい。例えば、VLS(気相−液相−固相)技術を用いて成長された(ホウ素がドープされた)シリコンベースのp−i−p型ナノワイヤが用いられてもよい。そのようなナノワイヤは、長さが18μm(または他の長さ)であるように作製されてもよい(長さの均一性〜1μm)。このタイプのナノワイヤは、説明のために記述されているが、これに限定されるものではない。
【0232】
図68から図71は、一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像を示しており、誘電泳動力を用いたナノワイヤの捕獲を表す。例えば、図68の第1の画像6800において、第1の電極6802および第2の電極6804が溶媒中の基板上に示されている。図68に示されているように、第1の電極6802および第2の電極6804の各々は、(他の実施形態では他の幅および/または間隔を有しているが、)2μmの幅を有しており、10μmだけ離れて配置されている。図69の第2の画像6900において、ナノワイヤ6902は、第1の電極6802および第2の電極6804に接近しているように示されている。図70の第3の画像7000において、ナノワイヤ6902は、(図70の円形の点線により表されている)第1の電極6802および第2の電極6804の捕獲半径内に、第1の電極6802および第2の電極6804に接近したように示されている。この捕獲半径は、(電場から離れるにつれて指数関数的に減少する)誘電泳動力が、(表面から離れるにつれて増大する)流体力よりも大きい領域である。図71の第4の画像7100において、ナノワイヤ6902は、固定され、第1の電極および6802および第2の電極6804の上方に浮いているように示されている。誘電泳動力が第1の電極6802および第2の電極6804上を流れる溶媒の粘性抵抗よりも大きいので、ナノワイヤ6902は、第1の電極6802および第2の電極6804に固定されることが可能になる。図68から図71において、ナノワイヤに掛かるトルクは、
【0233】
【数9】

【0234】
に比例している。
【0235】
図72から図76は、一実施形態例に従った、電極対の連続取込画像を示しており、誘電泳動力および自己制限式アセンブリを用いた捕獲を表す。例えば、図72の第1の画像7200において、第1の電極6802および第2の電極6804が、第1の電極6802および第2の電極6804に固定されたナノワイヤ7202を伴って、溶媒中の基板上に示されており、第2のナノワイヤ7204が第1の電極6802および第2の電極6804に接近しているように示されている。図73の第2の画像7300において、第2のナノワイヤ7204が、第1の電極6802および第2の電極6804のより近くに接近しているように示されており、捕獲半径に進入している。図74の第3の画像7400において、誘電泳動力が第1の電極6802および第2の電極6804上を流れる溶媒の粘性抵抗よりも大きいので、第2のナノワイヤ7204は、第1の電極6802および第2の電極6804に固定されているように示されており、(例えば、第1のナノワイヤ7202と第2のナノワイヤ7204との間の相互反発力に起因して)第1のナノワイヤ7202と置換され始めているように示されている。図75の第4の画像7500において、第2のナノワイヤ7204が、固定され、第1の電極6802および第2の電極6804の上方を浮いているように示されており、第1のナノワイヤ802が、第1の電極6802および第2の電極6804から置換されている。図76の第5の画像7600において、第2のナノワイヤ7204が、固定され、第1の電極6802および第2の電極6804の上方を浮いているように示されており、第1のナノワイヤ802が、第1の電極6802および第2の電極6804上を流れる溶媒の流体力学的抵抗に起因して一掃されている。
【0236】
第1のナノワイヤ7202を置換する第2のナノワイヤ7204は、流路におけるナノワイヤの相互作用が特定の電極対に固定されるナノワイヤの数を所望の数に制限する、ナノ構造物の自己制限式アセンブリの一例である。1本のナノワイヤの自己アセンブリに対する特定の条件は、ナノワイヤと基板との間に十分な反発力があるならば、最初に印加電圧および流速度(誘電泳動力および流体力)によって規定される。例えば、流速度が増加するにつれて、臨界固定電圧は〜2のべき乗則で増加する。1本および2本のナノワイヤに対する臨界固定電圧は、それぞれの事象(0本のナノワイヤ、1本のナノワイヤ、および2本のナノワイヤ)に対する境界となっている。定電圧では、電極に配置された1本のナノワイヤは、2本のナノワイヤよりも大きな流体力学的抵抗力に耐えうる。流体力学的抵抗に対向する、ナノワイヤに掛かる誘電泳動力は、電極に対するナノワイヤの位置に依存している。1本のナノワイヤでは、ナノワイヤは、電場の勾配が最大である電極の中心線にて固定されてもよい。追加のナノワイヤを電極上に構築する際、ナノワイヤは、電場の勾配がより小さく、誘電泳動力が減少する領域まで離される。ナノワイヤ間の離れている距離は、ナノワイヤの長軸に垂直な誘電泳動力に対するナノワイヤ間の反発力、および、流体の流れからの流体力または電気浸透力に依存している。
【0237】
図77は、一実施形態例に従った、基板上の電極対に関するナノワイヤの距離(任意単位)に対する相互作用力平衡(任意単位)を表すプロット7700を示している。プロット7700は、第1のプロット線7702、第2のプロット線7704、および第3のプロット線7706を示しており、これらは、誘電泳動力の異なる値に対応している。第1のプロット線7702は誘電泳動力の相対的に低い値に対応しており、第2のプロット線7704誘電泳動力の相対的に中位の値に対応しており、第3のプロット線7706は誘電泳動力の相対的に高い値に対応している。プロット線7702をうるために、相対的に低い電極電圧が印加される。プロット線7704をうるために、相対的に中位の電極電圧(例えば、固着(locking)電極電圧よりも低い電極電圧)が印加される。プロット線7706をうるために、相対的に高い電極電圧(例えば、固着電極電圧よりも高い電極電圧)が印加される。
【0238】
図77に示されているように、第1のプロット線7702では、距離が(図77における右側に)増加するにつれて、ナノワイヤと電極対との間の相互作用力は基本的に0になる(基板からの距離が増加するにつれて相互作用力は減少する)。ナノワイヤと基板との間の距離が減少するにつれて、相互作用力はより大きく反発するようになり(例えば、図77において、プロット線7702に沿って左方向に進むと、ナノワイヤと基板との間の静電気的な反発に起因して、プロット線7702は下方に下がる)、その後、プロット線7702が相互作用力の0値に到達するまで、より小さく反発するようになる(例えば、図77において、プロット線7702に沿って更に左方向に進むと、引き付ける誘電泳動力が顕著になるにつれて、プロット線7702は上方に進んでいく)。相互作用力の0値は、ナノワイヤが基板からの間隔を保ちつつ固定されて浮くように、引き付ける誘電泳動力と他の力(例えば、反発する静電気力、等)とが平衡している基板からの距離を示している。ナノワイヤと基板との距離が更に減少するにつれて、ファン・デル・ワールス力が顕著になるので、相互作用力は強く引き付けるようになる。このようにして、ナノワイヤは基板に引き付けられて固着される。
【0239】
図77に示されているように、第2のプロット線7704は、第1のプロット線7702と同様の形状をしている。ただし、第2のプロット線7704は、0より下に、第1のプロット線7702についての上述の反発力の範囲にまで下がる前に、ナノワイヤと基板との間に引力が存在する距離の範囲を有しており、第2のプロット線7704の窪みの最小値は、第1のプロット線7702の最小値よりも小さく(より小さく反発する)、相互作用力の0値について、ナノワイヤは、第2のプロット線では第1のプロット線に比べて基板に対してより近接して配置されている。
【0240】
図77に示されているように、第3のプロット線7706は、第2のプロット線7704と同様の形状をしている。ただし、第2のプロット線7704の窪みの最小値は、第2のプロット線7702の最小値よりも小さく、実際に、0よりも低く到達しない、または、0よりも小さくならない。このようにして、第3のプロット線7706において、ナノワイヤが基板によって反発される距離の範囲は存在しない。
【0241】
図78は、一実施形態に従った、電圧(mV)に対する0本、1本、および2本のナノワイヤの沈着の発生率のプロット7800を示している。プロット7800は、定せん断応力が掛かる際の電圧の降下、および、1本のナノワイヤの沈着に対する動作ウィンドウを表す。図78の例において、プロット7800は、電極対に沈着されている1本のナノワイヤの発生率が100%であった、おおよそ325mVから390mVの電圧範囲における動作ウィンドウ7802を表す。動作ウィンドウ7802より低い電圧では、電極対に沈着されている1本のナノワイヤの発生率は100%よりも低かった(2本のナノワイヤが沈着される場合もあった)。
【0242】
図79は、一実施形態例に従った、臨界固定電圧(Vpc)(mV)に対する流速度(mV/分)のプロット7900を示している。プロット7900は、1本のナノワイヤの沈着についての第1のプロット線7902、および、2本のナノワイヤの沈着についての第2のプロット線7904を示している。プロット線7902とプロット線7904との間の領域は、流速度および電極電圧の範囲が1本のナノワイヤの沈着に対して利用可能である、電極対上の1本のナノワイヤの沈着に対する処理ウィンドウと見なされてもよい。プロット線7902の左の領域は、ナノワイヤが電極対上に沈着されない領域であり、プロット線7904の右の領域は、2本のナノワイヤが電極対上に沈着される領域である。図79は、広い処理ウィンドウによって低欠陥沈着が可能になることを表しており、電圧よりも大きな流速度のばらつきについての許容範囲を表す。プロット7900によれば、固定力はナノワイヤに掛かる抵抗力を算出することにより近似されうる。図79において、プロット線7902および7904に対する流速度の値(Q)はVpc2.2と近似されてもよい。
【0243】
図80は、一実施形態例に従った、ナノワイヤの沈着のための閉鎖セルシステム8002の画像8000を示している。図81は、一実施形態例に従った、図80の閉鎖セルシステム8002の断面ブロック図を示している。図80および図81の例において、システム8002は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)インサート8004および石英ウェハ8006を備えており、流路を形成するために(例えば、O字形状のリングまたは他の密閉剤によって)互いに密閉されている。図81に示されているように、石英ウェハ8006上へのナノワイヤの沈着のために、ナノワイヤ溶液が流れてもよい流路8104が、PVDFインサート8004と石英ウェハ8006との間に表されている。顕微鏡の対物レンズ8102または他の画像取込デバイスが、流路8104を通過し、石英ウェハ8006上に沈着されるナノワイヤを観測するために存在してもよい。図81に示されているように、(透明であってもよい)石英ウェハ8006を通してナノワイヤを観測するために、顕微鏡の対物レンズ8102は石英ウェハ8006に隣接して配置されている。閉鎖セルシステム8002を実行することにより、1本のナノワイヤの沈着を繰り返し提供することができ、95%以上の成功率で1本のナノワイヤを電極上に沈着させることが可能になる。
【0244】
図82は、一実施形態例に従った、閉鎖セルシステム8002の位置x(mm)に対する速度(μm/秒)のプロット8200を表す。プロット8200は、閉鎖セルシステム8002のセルの流れの均一性を表す。プロット8200に存在するプロット点は、(5μmのポリスチレン球を混入したH2Oについての)粒子画像速度測定法を用いて速度プロファイルを測定することによって生成された。プロット線8202は、矩形状の流路における流れに対するナビエ・ストークス方程式の解としてプロット8200に追加された。プロット線8202を伴うプロット8200のプロット点も同様に、閉鎖セルシステム8200の実質的なセルの流れの均一性(例えば、流路8104に沿った位置「x」の範囲に対する相対的な定速度)を表す。
【0245】
図83は、一実施形態例に従った、複数の電極アレイ8304を備えている表面8302を備えているウェハ8300を表す。ウェハ8300の一例において、ウェハ8300は9つの電極アレイ8304を備えている6インチのウェハであるが、他の実施形態において、他のサイズおよび/または電極アレイの数を有していてもよい。各電極アレイ8304は、例えば、20mm×20mmのサイズであって、16,384の電極位置を備えているように、何れのサイズであってもよく、何れの数の電極を備えていてもよい。実施形態に従った、ウェハ8300上のアレイ8304へのナノワイヤの沈着の一例において、98.52%の電極対が1本のナノワイヤを受容し、0.07%の電極対がナノワイヤを沈着せず(この例において、合計12の電極がナノワイヤを沈着しなかった)、0.37%の電極対が欠陥を有し、1.02%の電極対が欠陥のあるナノワイヤを受容した。このようにして、ウェハ8300は、大面積かつ低欠陥沈着に関する一例である。この例において、標的アレイ8304は、DUV(深紫外線)顕微鏡を用いて調べられた(画像は手動により調べられた)。
【0246】
図84は、ナノワイヤの配列の一例を表す。例えば、図84は、第1の電極8402および第2の電極8404を備えている、基板8408上の電極対8400を示している。ナノワイヤ8406は、第1の電極8402および第2の電極8404に結合されているように示されている。電極対の中心線8410は、第1の電極8402および第2の電極8404の端部の間を表す。ナノワイヤの中心線8412は、ナノワイヤについて表す。図84に示されているように、ナノワイヤの中心線8412は、電極対の中心線8410から距離8414だけオフセットを有している。実施形態において、本明細書に記述された沈着技術に従った誘電泳動的な配列機能により、距離8414は減少される。例えば、図85は、一実施形態例に従った、配列オフセット(nm)に対する累積確率のプロット8500を示している。プロット8500のプロット線8502によって表されているように、テストされた電極対のおおよそ99.9%が、1μm未満の距離8414を有している。誘電泳動的な配列機能は、第7世代および第8世代のLCD(液晶ディスプレイ)ステッパに匹敵し、(例えば、Nikon社製のステッパでは)おおよそ0.6μmである。
【0247】
図86から図88は、実施形態に従った、ナノワイヤトランジスタの電気的な特性を表すプロットを示している。図86から図88に関して、ナノワイヤは、従来のトップダウンの製造法を用いてp型MOSFETに形成された。図86は、ナノワイヤトランジスタのゲート電圧(V)に対するドレイン電流(A)のプロット8600を示している。図87は、ナノヤイワトランジスタのVtの分散に関するプロット8700を示しており、Vt(V)に対する累積確率(%)をプロットしている。図88は、ナノワイヤトランジスタの閾値以下の勾配(SS)の分散に関するプロット8800を示しており、SS(V/デケード)に対する累積確率(%)をプロットしている。プロット8600、8700、および8800によって表されているように、ナノワイヤトランジスタは、非常に狭い電圧(Vt)および閾値以下の勾配(SS)の分散を示している。
【0248】
実施形態において、1本のナノワイヤの沈着の99.9%が、誘電泳動的アセンブリを用いることにより可能である。良い流体力学的均一性を伴う沈着の高い生成量が、大面積(100mmより大きい)において実現されうる。本明細書において記述されているように、誘電泳動的アセンブリ技術は、配列エラーを少なく(例えば、配列エラーは0.6μm(3σ)よりも小さく)してナノワイヤを正確に配置させることができ、これらの技術を従来の半導体プロセスと互換性を持たせることができる。
【0249】
本明細書にて提供されている実施形態に従って形成されうる電子デバイスおよびシステムの更なる例が、以下に記述されている。
【0250】
〔III.実施形態に従って沈着されたナノワイヤおよび電気的なデバイスの例示的なデバイスおよび適用例における使用〕
数多くの電子デバイスおよびシステムが、半導体および他のタイプのデバイスを、本明細書に記述されている技術に従って沈着されたナノワイヤの薄膜および/または電気的なデバイスを伴って組み込みうる。本発明の幾つかの適用例が説明のために以下にまたは本明細書中に記述されているが、これに限定されるものではない。本明細書に記述されている適用例は、配列されているまたは配列されていないナノワイヤの薄膜、および、合成されているまたは合成されていないナノワイヤの薄膜を含みうる。
【0251】
半導体デバイス(または他のタイプのデバイス)は、他の電子回路の信号に結合されうる。および/または、他の電子回路と共に集積されうる。半導体デバイスは大型の基板に形成されることができ、続いて、小さな基板に分離、または、四角く切断されうる。更に、大型の基板上(従来の半導体ウェハよりも実質的に大きい基板)では、その上に形成された半導体デバイスは、相互連結されうる。
【0252】
また、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、1つのの半導体デバイスおよび複数の半導体デバイスを必要とする適用例に組み込まれうる。例えば、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、複数の半導体デバイスが形成されている大面積かつマクロエレクトロニクスの基板に特に適用可能である。そのような電子デバイスは、アクティブマトリクス型の液晶ディスプレイ(LCD)、有機LEDディスプレイ、電界放出ディスプレイのためのディスプレイ駆動回路を含みうる。他のアクティブ型のディスプレイは、ナノワイヤポリマーと量子ドットポリマーとの混合物から形成されうる(当該混合物はエミッタおよびアクティブ型の駆動マトリクスの両方として機能しうる)。また、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、スマートライブラリ、クレジットカード、広域アレイセンサ、および、スマートカード、スマートインベントリタグ等を含んだ無線IC(RFID)タグに適用可能である。
【0253】
また、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、デジタルおよびアナログ回路の適用例に適用可能である。特に、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、大面積の基板上に超大型の集積が必要である適用例において有用である。例えば、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤの薄膜は、論理回路、記憶回路、プロセッサ、増幅器、および、他のデジタルおよびアナログ回路において実装されうる。
【0254】
本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤは、光起電性の適用例に適用されうる。そのような適用例において、特定の光起電性デバイスの光起電性の特性を向上させるために、透明な導電性の基板が用いられる。例えば、そのような透明な導電性の基板は、インジウムスズ酸化物(ITO)または同等の物の代わりに、適応性のある大面積の代替物として用いられる。基板は、ナノワイヤの薄膜により被覆されることができ、広いバンドギャップ、つまり、非吸収であるように、可視光よりも広いバンドギャップを有するように形成されている。しかし、その上部に形成されている光起電性デバイスのアクティブ材料と並んでいるHOMOバンドまたはLUMOバンドの何れかを有するように形成されてもよい。透明な導電帯は、光起電性デバイスから電流を除去するために、吸収光起電性材料の2つの側面に配置されうる。2つの異なるナノワイヤ材料が選択されうる。一方は光起電性のHOMOバンドと並んでいるHOMOを有しており、他方は光起電性材料のLUMOバンドと並んでいるLUMOを有している。2つのナノワイヤ材料のバンドギャップが、光起電性材料のバンドギャップよりも遥かに広くなるように選択されうる。この実施形態に従って、基板がほぼ非吸収であり続ける一方、ナノワイヤは、ナノワイヤの薄膜の抵抗を減少させるために軽くドープされうる。
【0255】
それ故、幅広い軍事用品および生活用品は、本明細書に記述されている技術によって沈着されたナノワイヤおよび電気的なデバイスを組み込みうる。例えば、そのような品は、パソコン、ワークステーション、サーバ、ネットワークデバイス、PDAおよびパームパイロットのような携帯用電子デバイス、電話(例えば、携帯および一般)、ラジオ、テレビ、電子ゲームおよびゲームシステム、ホームセキュリティシステム、自動車、飛行機、ボート、他の家庭用品および商業用品、等を含みうる。
【0256】
実施形態例が示されてきた。本発明はこれらの例に限定されるものではない。これらの例は説明のために示されており、限定されるものではない。本明細書に記述されている説明に基づけば、代替例(本明細書において記述されている代替例の等価例、拡張例、変形例、派生例、等を含んでいる)は、当業者にとって明白であろう。そのような代替例は、本発明の範疇および精神の範囲を逸脱しない。
【0257】
本明細書中に記述されている全ての文献、特許、および特許公報は、それらの個別の文献、特許、または特許公報の各々が参照することにより具体的に個別に組み込まれると示されるのと同程度に、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
ナノワイヤを基板に密着させることなく上記ナノワイヤを上記基板の電極に誘電泳動的に固定させることが可能な特性を有する第1の溶媒を選択するステップと、
上記ナノワイヤを上記基板に固着させることが可能な特性を有する第2の溶媒を選択するステップと、
上記ナノワイヤが上記基板に固定されることを可能にするために、上記基板上に上記第1の溶媒と上記ナノワイヤとを含む第1の懸濁液を流すステップと、
上記ナノワイヤが上記基板に固着することを可能にするために、上記基板上に上記第2の溶媒を含む第2の懸濁液を流すステップと、
上記基板を乾燥させるステップと、
を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記第1の懸濁液を流す上記ステップに続いて上記基板を洗浄するステップを更に含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1の溶媒がイソプロピルアルコールおよび水を含むように選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記第1の溶媒がイソプロピルアルコールを含むように選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記第1の溶媒および上記第2の溶媒の少なくとも1つが、水−アルコール混合物、無極性溶媒、添加物、pH調整剤、および塩の少なくとも1つを含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記第1の懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを電極に付随させるために、上記基板上の電極対である上記電極を用いて電場を生成するステップを更に含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
第1の電極および第2の電極を有する電極対を備える基板の表面を第1の方向にて配置するステップと、
上記基板の上記表面上に複数のナノワイヤを含む懸濁液を流すステップと、
上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるために、上記電極対を用いて電場を生成するステップと、
過剰なナノワイヤを除去するために、上記第1の方向にて上記基板の上記表面を洗浄するステップと、
上記基板を第2の方向に回転させるステップと、
過剰なナノワイヤを除去するために、上記第2の方向にて上記基板の上記表面を洗浄するステップと、
を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
上記基板の上記表面は、流路の表面であり、
上記懸濁液を流す上記ステップは、上記懸濁液を上記流路を通して上記基板の上記表面上に流すステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるために、上記電極対を用いて電場を生成する上記ステップは、
上記電極対に210mVから230mVの範囲における電圧を印加するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
上記第1の電極および上記第2の電極の各々は、おおよそ2μmの幅を有しており、
上記第1の電極と上記第2の電極との間の間隔は、おおよそ8μmであり、
上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるために、上記電極対を用いて電場を生成する上記ステップは、
上記電極対に190mVrmsから270mVrmsの範囲における交流電圧を印加するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ナノ構造物を沈着させるためのシステムであって、
第1の電極および第2の電極を備える電極対を備える第1の表面を有する閉鎖流路と、
上記流路に懸濁液の流れを供給するように構成されている入口ポートと、
を備えており、
上記懸濁液は複数のナノワイヤを含んでおり、
上記閉鎖流路は、上記懸濁液が上記第1の表面上に流れるための第1の方向にて配置されることができ、
上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるために、上記電極対を用いて電場を生成するように構成されている上記電極対に接続された電気信号源と、
を更に備えており、
上記入口ポートは、過剰なナノワイヤを除去するために、上記第1の方向にて上記閉鎖流路の上記第1の表面を洗浄するための溶液を供給し、
上記閉鎖流路は、第2の方向に回転できるように構成されており、
上記入口ポートは、過剰なナノワイヤを除去するために、上記第2の方向にて上記閉鎖流路の上記第1の表面を洗浄するための溶液を供給する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
第1の方向にて、重力によってナノワイヤを閉鎖流路を流れている上記懸濁液から上記第1の表面に引き付けるように上記第1の表面が配置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
第2の方向にて、重力によってナノワイヤを上記第1の表面から上記閉鎖流路の中央部に向けて引き離すように上記第1の表面が配置されている、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
第2の方向にて、上記第1の表面は上記第1の方向に対して反転している、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
上記電気信号源は、上記懸濁液から少なくとも1つのナノワイヤを上記電極対に引き付ける誘電泳動力を与えるために、上記電極対を用いて交流電場を生成するように構成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
第1の方向にて、上記第1の表面は、第1の表面の近傍にあるナノワイヤが上記閉鎖流路の長さを通過できるような期間、洗浄される、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
上記第1の電極と上記第2の電極との間隔は、ナノワイヤの長さから5μmを引いた長さに略等しい、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
第1の電極および第2の電極の各々は、おおよそ2μmの幅を有している、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
第1の電極および第2の電極の各々は、2μmから3μmの範囲内の幅を有している、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
標的パネルの表面上に複数の電極対を有する当該標的パネルを受容するように構成されている境界表面を備えており、
各電極対は、少なくとも1つのナノワイヤを受容するように構成されており、
所定の速度にて上記標的パネルを上記境界表面上にて輸送するように構成された輸送機構と、
各パネル処理領域が上記標的パネルの上記表面の一部に対してそれぞれの処理を実行するように構成されている複数のパネル処理領域と、
を更に備えており、
上記輸送機構は、上記標的パネルを上記複数のパネル処理領域を通して輸送するように構成されている、
ことを特徴とするナノ構造物の沈着装置。
【請求項21】
上記複数のパネル処理領域は、連続して配置されている、沈着領域、洗浄領域、乾燥領域、および修復領域を含んでいる、
ことを特徴とする請求項20に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項22】
上記複数のパネル処理領域は、上記修復領域に続き連続して配置されている、第2の沈着領域および第2の洗浄領域を更に含んでいる、
ことを特徴とする請求項20に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項23】
上記沈着領域は、
上記標的パネルの上記表面付近にナノワイヤインクを供給するように構成されているナノワイヤインク注入ポートと、
上記標的パネルの上記表面と上記境界表面との間に溶媒を供給するように構成されている溶媒注入ポートと、
上記溶媒を除去するように構成されている溶媒除去ポートと、
を備えている、
ことを特徴とする請求項21に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項24】
上記沈着領域は、上記標的パネルの上記表面付近にナノワイヤ懸濁液を供給するように構成されている複数のナノワイヤ注入ポートを備えている、
ことを特徴とする請求項21に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項25】
上記複数のナノワイヤ注入ポートは、ナノワイヤ注入ポートの第1の列およびナノワイヤ注入ポートの第2の列を含んでおり、
上記第1の列および上記第2の列は平行であり、
上記第1の列は、上記第2の列からオフセットを有して配置されている、
ことを特徴とする請求項24に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項26】
上記洗浄領域は、
上記標的パネルの上記表面付近からナノワイヤインクを除去するように構成されているナノワイヤインク除去ポートと、
上記標的パネルの上記表面と上記境界表面との間に溶媒を供給するように構成されている溶媒注入ポートと、
を備えている、
ことを特徴とする請求項21に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項27】
上記洗浄領域は、
上記標的パネルの上記表面付近からナノワイヤインクを除去するように構成されている複数のナノワイヤインク除去ポートと、
上記標的パネルの上記表面と上記境界表面との間に溶媒を供給するように構成されている複数の溶媒注入ポートと、
を備えており、
上記複数のナノワイヤインク除去ポートは、ナノワイヤインク除去ポートの第1の列およびナノワイヤインク除去ポートの第2の列を備えており、
上記第1の列および上記第2の列は平行であり、
上記第1の列は、上記第2の列からオフセットを有して配置されており、
少なくとも1つの上記溶媒注入ポートは、上記第1の列と上記第2の列との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項21に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項28】
上記境界表面と上記標的パネルの上記表面との間の第1の間隙が、おおよそ1mmであり、
上記ナノワイヤインク除去ポートと上記標的パネルの上記表面との間の第2の間隙が、10μmから100μmの範囲内にある、
ことを特徴とする請求項26に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項29】
上記所定の速度は、10mm/秒である、
ことを特徴とする請求項20に記載のナノ構造物の沈着装置。
【請求項30】
ナノ構造物を沈着させるための方法であって、
標的パネルの表面上に複数の電極対を有する当該標的パネルを境界表面にて受容するステップを含んでおり、
各電極対は、少なくとも1つのナノワイヤを受容するように構成されており、
上記標的パネルを所定の速度にて複数のパネル処理領域を通して上記境界表面上を輸送するステップと、
上記標的パネルを上記複数のパネル処理領域の各パネル処理領域にて処理するステップと、
を更に含んでおり、
上記各パネル処理領域は、上記標的パネルの上記表面の一部に対してそれぞれの処理を実行するように構成されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項31】
ナノ構造物を沈着させるためのシステムであって、
互いに対向している第1および第2の表面を有する閉鎖流路を備えており、
上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備えており、
上記第2の表面は、第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対を備えており、
上記第1の電極対および第2の電極対を被覆している誘電性の材料と、
複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液の流れを上記流路に供給するよう構成されている入口ポートと、
上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1および上記第2の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記第1および上記第2の電極対を用いて交流電場を生成するように構成されている、上記第1および上記第2の電極対に接続されている交流電気信号源と、
を更に備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項32】
上記交流電場は、非対称である、
ことを特徴とする請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
上記交流電場は、上記交流電場の立ち下がり時間とは異なる立ち上がり時間を有する三角形状の波形を有している、
ことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
上記交流電場は、第1の周期では高電圧レベルを有しつつ、第2の周期では低電圧レベルを有する矩形状の波形を有しており、
上記第1の周期は、上記第2の周期とは異なる、
ことを特徴とする請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
ナノ構造物を沈着するためのシステムであって、
第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている第1の表面を有している閉鎖流路と、
導電体と、
複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液の流れを上記流路に供給するよう構成されている入口ポートと、
上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記電極対および上記導電体を用いて交流電場を生成するように構成されている、上記電極対および上記導電体に接続されている交流電気信号源と、
を備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項36】
上記導電体は、ワイヤ、ロッド、またはスクリーンである、
ことを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
互いに対向している第1および第2の表面を有している閉鎖流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液を流すステップを含んでおり、
上記第1の表面は、第1の電極および第2の電極を備えている第1の電極対を備えており、
上記第2の表面は、第3の電極および第4の電極を備えている第2の電極対を備えており、
上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1および上記第2の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記第1および上記第2の電極対を用いて交流電場を生成するステップを更に含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項38】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている第1の表面を有している閉鎖流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液を流すステップと、
上記閉鎖流路に導電体を配置するステップと、
上記懸濁液中の少なくとも1つのナノワイヤに、上記第1の表面に対して垂直方向に実質的な力を掛けるために、上記電極対および上記導電体を用いて交流電場を生成するステップと、
を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
ナノ構造物を沈着させるためのシステムであって、
表面を有している基板と、
上記表面上に同軸上に配置されている第1の電極および第2の電極を備えている電極対と、
を備えており、
上記第1の電極は、第1の端部を備えており、
上記第2の電極は、第2の端部を備えており、
上記第1の端部および上記第2の端部は、上記基板の上記表面上にて隣接して配置されつつ第1の距離だけ離れており、
上記電極対は、上記電極対に少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための電場を生成するために、電気信号を受信するように構成されており、
上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも正方形ではない形状である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項40】
上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも三角形状であり、
上記第1の端部の頂点は、上記第2の端部から上記第1の距離だけ離れている、
ことを特徴とする請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも円形状である、
ことを特徴とする請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
上記基板の上記表面は、流路の表面であり、
複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液の流れを上記流路に供給するように構成されている入口ポートと、
上記電極対に上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための上記電場を上記電極対を用いて生成するために、上記電気信号を供給するように構成されている、上記電極対に接続された電気信号源と、
を含んでいる、
ことを特徴とする請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
上記電気信号は、おおよそ10Vppである、
ことを特徴とする請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
ナノ構造物を沈着させるための方法であって、
懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを電極対に付随させるための電場を上記電極対を用いて生成するために、基板の表面上に同軸上に配置されている上記電極対の第1の電極および第2の電極にて電気信号を受信するステップを備えており、
上記第1の電極は、第1の端部を備えており、
上記第2の電極は、第2の端部を備えており、
上記第1の端部および上記第2の端部は、上記基板の上記表面上にて隣接して配置されつつ第1の距離だけ離れており、
上記第1の端部および上記第2の端部は、何れも正方形ではない形状であり、
上記基板の上記表面上に上記少なくとも1つのナノワイヤを固着させるステップを更に備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項45】
ナノ構造物を沈着させるためのシステムであって、
第1の表面を有している流路と、
複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液の流れを上記流路に供給するように構成されている入口ポートと、
上記第1の表面上に第1の電極および第2の電極を備えている電極対と、
を備えており、
上記電極対は、上記電極対に上記懸濁液の少なくとも1つのナノワイヤを付随させるための第1の電場を生成するために、第1の電気信号を受信するように構成されており、
上記流路の上記第1の表面から過剰なナノワイヤを引き付けるための第2の電場を生成するために、第2の電気信号を受信するように構成されている少なくとも1つの導電体を更に備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項46】
上記少なくとも1つの導電体は、第3の電極、第2の電極対、複数のロッド、および電極格子の少なくとも1つを備えている、
ことを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
上記第2の電場は、固定されたナノワイヤを上記電極対から除去してしまうほど強力ではない引力を有するように構成されている、
ことを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
上記過剰なナノワイヤが上記流路から洗浄されるために、上記第2の電場は、上記過剰なナノワイヤを上記流路の中央部における流体の流れに引き付けるように構成されている、
ことを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項49】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
第1の電極および第2の電極を備えている電極対を備えている第1の表面を有している流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液を流すステップと、
上記懸濁液の少なくとも1つのナノワイヤを上記電極対に付随させるために、上記電極対を用いて交流電場を生成するステップと、
過剰なナノワイヤを上記流路の上記第1の表面から引き付けるために、少なくとも1つの導電体を用いて第2の電場を生成するステップと、
を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項50】
ナノ構造物を基板の表面に沈着させるための方法であって、
流路の表面上に第1の電極および第2の電極を備えている電極対に関連した固定電圧の動作ウィンドウを増大させるために、上記電極対の形状を形成するステップと、
上記流路を通して複数のナノワイヤを含んでいる懸濁液を流すステップと、
上記電極対にて上記懸濁液からの少なくとも1つのナノワイヤを固定させるための交流電場を上記電極対を用いて生成するために、動作ウィンドウ内の値を有している電圧を上記電極対に印加するステップと、
を含んでいる、
ことを特徴とする方法。
【請求項51】
上記形成するステップは、上記第1の電極の厚さおよび上記第2の電極の厚さを減少させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
上記形成するステップは、低誘電率膜、第1の電極、および第2の電極を備えているダマスク構造を上記流路の上記表面上に形成するステップを含んでおり、
上記低誘電率膜は、上記第1の電極および上記第2の電極の表面と同一平面を成している表面を有している、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項53】
上記形成するステップは、上記第1の電極と上記第2の電極との間の間隙を増大させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項54】
上記形成するステップは、上記第1の電極の幅および上記第2の電極の幅を減少させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項55】
上記形成するステップは、第1の電極対と第2の電極対との間隔を増大させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項56】
上記形成するステップは、1本のナノワイヤを上記電極対に固定させるための上記動作ウィンドウを増大させるために、上記電極対の上記形状を形成するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項57】
上記形成するステップは、2本のナノワイヤを上記電極対に固定させるための上記動作ウィンドウを増大させるために、上記電極対の上記形状を形成するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項58】
上記形成するステップは、第1の電極対に関連した最少固定電圧を第2の形状を有する第2の電極対に関連した最少固定電圧に一致させるための第1の形状を有するように、上記電極対を形成するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項50に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【公表番号】特表2012−528020(P2012−528020A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513177(P2012−513177)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/036065
【国際公開番号】WO2010/138506
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】