説明

ナノ・インプリント・プロセスにおける基板のアラインメント・システム及び方法

透明インプリント・テンプレート・モールドにアクティブ・インプリント・エリアを取り囲む回折格子が構成される。回折格子がアクティブ・エリアと同時に作製されることにより、アクティブ・エリアが回折格子に対して正確に定められる。テンプレート・モールドの下にのツール座標内に基板が位置する。センサ・システムが光エネルギー・ビームを生成するとともに、特定の角度ウィンドウ内へと反射されたエネルギーのみを受光し、このセンサ・システムを使用してテンプレート・モールドを位置特定する。センサ・システムを走査して基板と回折格子とをツール座標内で位置特定する。このようにして、ツール座標におけるテンプレート・モールドの基板に対する相対位置が判定される。その後、基板がテンプレート・モールドに対して正確に位置決めされる。このシステムを使用して、基板に対するインプリント・パターンの位置を追跡するとともに基板に対するパターンの同心度を判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般に構造のナノファブリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファブリケーションとは、およそナノメータ又はそれ以下の特徴部などを有する非常に小さな構造の製作を意味する。ナノファブリケーションがかなり大きな影響を与えてきた1つの分野に集積回路の加工がある。半導体加工業界は、基板上に形成される単位面積当たりの回路を増やす一方で、さらに大きな生産収率を得ようと努力し続けているため、ナノファブリケーションはますます重要になっている。ナノファブリケーションは、より大きなプロセス制御を提供しながら、形成される構造の特徴部の最小寸法のさらなる縮小を可能にする。ナノファブリケーションを採用するその他の開発の分野として、生物工学、光技術、機械系などが挙げられる。
【0003】
1つの例示的なナノファブリケーション技術は、一般にインプリント・リソグラフィと呼ばれる。例示的なインプリント・リソグラフィ・プロセスが、米国特許出願第10/264,960号として出願された「基板上に特徴部を配置して最小寸法の変動性を有する特徴部を再現するための方法及びモールド」という名称の米国特許出願公開第2004/0065976号、米国特許出願第10/264,926として出願された「基板上に層を形成して測定標準の製作を容易にする方法」という名称の米国特許出願公開第2004/0065252号、及び「インプリント・リソグラフィ・プロセスのための機能的パターン形成材料」という名称の米国特許第6,936,194号などの数多くの公報に詳細に記載されており、これらの特許のすべては本発明の譲受人に譲渡されるとともに引用により本明細書に組み入れられる。
【0004】
前述の米国特許出願公開及び米国特許の各々に開示されるインプリント・リソグラフィ技術には、重合可能層におけるレリーフ・パターンの形成と、このレリーフ・パターンに対応するパターンを下部にある基板内へ転写するステップとが含まれる。所望の位置を得るために、基板をモーション・ステージ上に配置して基板上へのパターン形成を容易にすることができる。この目的のために、テンプレートと基板との間に存在する成形可能な液体により基板から離間されたテンプレートを使用する。この液体は固化して、液体と接するテンプレートの表面形状に一致するパターンを内部に記録する固化層を形成する。その後、テンプレートを固化層から切り離し、テンプレートと基板とが離間するようにする。その後、基板及び固化層に、固化層内のパターンに対応するレリーフ像を基板に転写する処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0065976号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0065252号公報
【特許文献3】米国特許第6,936,194号公報
【特許文献4】米国特許第6,873,087号公報
【特許文献5】米国特許第6,932,934号公報
【特許文献6】米国特許第7,077,992号公報
【特許文献7】米国特許第7,179,396号公報
【特許文献8】米国特許第7,396,475号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
透明インプリント・テンプレート・モールドを基板と位置合わせするためのシステムが、光エネルギー・ビームを生成するとともに、検出面から反射された光エネルギーの部分であって、基板面に対する角度ウィンドウ内に生じる部分のみを受光するように構成された走査センサ・システムを備える。インプリント・テンプレートに対応するアクティブ・エリアを取り囲んで回折格子を配置する。回折格子が所定の寸法増分に対応するピッチの検出面を有することにより、位置を判定できるようになる。システムは、ツール座標により定められる透明テンプレートモールドの下に基板を位置決めするためのツール位置決めシステムをさらに備える。システムは、センサ・システムと基板との間に配置された、インプリント・テンプレート・モールドのアクティブ・エリアを基板面に対して位置決めするように構成された位置決めステージを有する。
【0007】
システムは、基板及びセンサ・システムを位置決めする、制御信号を生成するためのコントローラを有する。センサ信号は、テンプレート又は基板のいずれかから反射又は散乱された受光した光エネルギーの変動に反応する。
【0008】
まず、ステージ座標フレーム内でテンプレートを位置特定し、配向する方法を開示する。テンプレートは、インプリント可能な特徴部を含むアクティブ・エリアを有する。インプリント特徴部と同時にテンプレート上の回折格子が生成され、この結果回折格子がインプリント特徴部に対して正確に位置特定される。回折格子は連続した線又は複数に分かれた線で作ることができる。センサ・システムは、光エネルギー・ビームを生成するとともに、測定面の表面に対する、小角度のウィンドウ内に存する、光エネルギーの部分のみを受光するように構成される。センサ信号をコントローラ内で処理してテンプレートをツール座標内で位置特定する。
【0009】
別の実施形態では、反射ビームをセンサの受光部に到達させるべく導くように傾いた反射面を介して測定用光学ビームが反射された場合、同じ光学センサが基板の端部を位置特定することができる。基板の端部が反射ビームを遮断すると、受光部における光エネルギーが変化し、これが基板端部の位置を知らせる。基板の中心位置と基板の直径IDとの両方を判定することができる。
【0010】
別の実施形態では、インプリント基板をステージ座標フレーム内で位置特定/配向するための同様のシステム/方法を開示する。基板は、適合する回折格子を含むテンプレートによるインプリント後に回折格子を含むようになる。基板上の回折格子は、テンプレートのピッチに対応する同一ピッチを有する。テンプレート用のものと同じセンサを使用して、基板の回折格子から光エネルギーを収集することにより基板を位置特定/配向することができる。基板上にインプリントされた回折格子の位置及び配向を測定することにより、回折格子の基板に対する誤差を使用して、後続するインプリンティングの中心化及び配向の誤差を補償することができる。中心化誤差の補償を調整することにより、基板上にインプリントされた特徴部を所定の方向に付勢できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】基板から離間されたモールドを有するリソグラフィ・システムの単純化した側面図である。
【図2】上部にパターン層を有する図1に示す基板の側面図である。
【図3A】アクティブ・エリアを取り囲む回折格子を付加したテンプレートを示す図である。
【図3B】本発明の実施形態による、図3Aのテンプレート上に設けられた回折格子の背面に入射するセンサ・システムからの光ビームを示す図である。
【図3C】図3Bのセンサの例示的な波形を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態による、光ビームが基板端部を横切り、チャック斜面に入射する際の図3Bのセンサ・システムを示す図である。
【図4B】センサ・システムが基板端部を横切って走査する際の図4Aのセンサの例示的な波形を示す図である。
【図5】基板端部上の斜面を横切って走査するセンサ・システムを示す図である。
【図6A】基板上にインプリントされた回折格子を横切り、基板端部を横切って走査するセンサ・システム、及びチャック斜面原位置アラインメント測定スキームを示す図である。
【図6B】基板上のインプリントパターンの相対位置の決定に適した測定を示す図である。
【図7A】本発明の実施形態で使用する方法ステップのフロー図である。
【図7B】本発明の別の実施形態で使用する追加の方法ステップのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、基板12上にレリーフ・パターンを形成するように構成されたシステム10を示す図である。基板12は基板チャック14に結合することができる。図示のように、基板チャック14は真空チャックであるが、「インプリント・リソグラフィ・プロセスのための高精度配向アラインメント及びギャップ制御段階」という名称の米国特許第6,873,087号に記載されるように、基板チャック14は、以下に限定されるわけではないが、真空、ピンタイプ、溝タイプ、又は電磁気チャックを含むいずれのチャックであってもよく、該特許は引用により本明細書に組み入れられる。基板12及び基板チャック14をステージ16上に支持することができる。さらに、ステージ16、基板12、及び基板チャック14をベース(図示せず)上に配置することができる。ステージ16はX軸及びY軸に関する動きを提供することができる。
【0013】
基板12から離間されてパターン形成装置17が存在する。パターン形成装置17はテンプレート18を備え、そこからパターン形成面22を上部に有するメサ20が基板12の方へ延びる。さらに、メサ20をモールド20と呼ぶことができる。メサ20をナノ・インプリントモールド20と呼ぶこともできる。さらなる実施形態では、実質的にテンプレート18にモールド20が存在しなくてもよい。テンプレート18及び/又はモールド20は、以下に限定されるわけではないが、石英ガラス、石英、シリコン、有機ポリマー、シロキサン・ポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボン・ポリマー、金属、及び硬化サファイアを含むような材料から形成することができる。図示のように、パターン形成面22は、複数の離間した凹部24及び突起部26により定められる特徴部を備える。しかしながら、さらなる実施形態では、パターン形成面22は実質的に平坦及び/又は平面であってもよい。パターン形成面22は、基板12上に形成されるパターンの基礎を形成する原パターンを定めることができる。「インプリント・リソグラフィ・プロセスのための高精度配向アラインメント及びギャップ制御段階」という名称の米国特許第6,873,087号に記載されるように、テンプレート18は、以下に限定されるわけではないが、真空、ピンタイプ、溝タイプ、又は電磁気チャックを含むチャックの組から選択されるテンプレート・チャック28に結合することができる。さらに、テンプレート・チャック28は、インプリント・ヘッド30に結合してテンプレート18、従ってモールド20の動きを容易にすることができる。以下の詳細な説明では、説明を簡単にするためにテンプレート18及びモールド又はメサ20をテンプレート・モールドと呼ぶことができる。
【0014】
システム10は、流体分注システム32をさらに備える。流体分注システム32は、基板12上にポリマ材料34を蒸着させるように構成される。システム10は、あらゆる数の流体ディスペンサを含むことができ、流体分注システム32は、それ自体が複数の分注ユニットを備えることができる。液滴分注、スピンコーティング、浸漬被覆、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、薄膜蒸着、厚膜蒸着などのあらゆる公知の技術を使用して、ポリマ材料34を基板12上に位置決めすることができる。通常、モールド20が基板12の所定の近傍に移る前にポリマ材料34を基板12上に配置することにより、モールド20と基板12との間に所望の容積を設定する。しかしながら、モールド20が基板20の所望の近傍に位置するときに所望の容積が満たされるように、ポリマ材料34の量を決めることもできる。
【0015】
図1及び図2を参照すると、システム10は、エネルギー40を経路42に沿って導くように結合されたエネルギー40の光源38をさらに備える。インプリント・ヘッド30及びステージ16は、モールド20と基板12とを重ね合わせ、これらを経路42内に配置するように構成される。インプリント・ヘッド30、ステージ16のいずれか又は両方は、モールド20と基板12との間の距離を変化させて、これらの間のポリマ材料34により満たすことができる所望の容積を定める。ポリマ材料34で所望の容積が満たされた後、光源38が(広帯域紫外線放射などの)エネルギー40を生成してポリマ材料34を固化及び/又は架橋させ、この結果基板12の表面44の形状に対してパターン形成面22を形成し、基板12上にパターン層46を定める。
【0016】
パターン層46は、残留層48と、突起部50及び凹部52として示す複数の特徴部とを含むことができる。ステージ16、インプリント・ヘッド30、流体分注システム32、及び光源38とデータ通信するプロセッサ54によりシステム10を制御することができ、このプロセッサ54はメモリ56に記憶されたコンピュータ可読プログラムに基づいて動作する。
【0017】
上述のシステムは、「インプリント・リソグラフィ・プロセス中における不連続フィルムの形成」という名称の米国特許第6,932,934号、「ステップアンドリピートインプリント・リソグラフィ・プロセス」という名称の米国特許第7,077,992号、「ポジ型2層インプリント・リソグラフィ法」という名称の米国特許第7,179,396号、及び「インプリント・リソグラフィを用いた階段構造を形成する方法」という名称の米国特許第7,396,475号において参照されるインプリント・リソグラフィ・プロセス及びシステムでさらに使用することができ、これらの特許はすべて引用により本明細書に組み入れられる。別の実施形態では、例えば、フォトリソグラフィ(Gライン、Iライン、248nm、193nm、157nm、及び13.2〜13.4nmを含む様々な波長)、コンタクトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ、X線リソグラフィ、イオンビームリソグラフィ、及び原子線リソグラフィなどのあらゆる公知の技術において上述のシステムを使用することができる。
【0018】
本発明は、特にパターン化媒体インプリントツール用のインプリントツール上の透明テンプレート・モールドの検出を容易にする。通常、パターン形成には1桁ミクロンの同心度アラインメントが望まれる。これには、ツールのステージ座標内でテンプレートのアクティブ・エリアと基板との間の相対位置を2、3ミクロンの範囲内で判定することができるシステム及び方法が求められる。テンプレート18の端部に対してモールド20を配置する精度が低い(すなわち、テンプレート18の端部を使用してテンプレート18のアクティブ・エリアの位置を判定することができない)ことにより、このシステム要件を満たすことはさらに複雑になる。また、テンプレート18は、そのアクティブ・エリアをウェハチャック14に向けて(下向きに)配置され、これによりモールド20を検出することができるセンサをテンプレート18に結合した場合、その配置が限定される。このため、テンプレート18の非アクティブ側を見ながらテンプレート18を検出するとともに、基準としてテンプレート18の端部を使用せずにツールのステージ座標内にテンプレート18の位置を判定することができるシステムが求められる。同様に、基板12の検出に関しては、基準として基板12の端部又は斜面しか使用することができない。
【0019】
別の関連する問題として、インプリント・パターンの基板12に対する中心性アラインメントにおける誤差の検出がある。このようなインプリント後の測定は、基板12の中心位置の更新に極めて重要なデータを提供する。処理中にツールにおいてインラインによるインプリント後の測定を行う必要がある。
【0020】
図3Aは、アクティブ・エリア303を含む(モールド20などの)インプリントモールドを有するテンプレート301の表面図である。この実施形態では、アクティブ・エリア303の周りに円形の回折格子302が形成される。回折格子302は、(モールド20などの)インプリントモールドの作製中にアクティブ・エリアと同じ側に形成される。図3Bは、本明細書では説明を簡単にするためにセンサ・システム315と呼ぶエミッタ307及びセンサ304の側面図である。エミッタ307及びセンサ304は、面308に平行な面の法線に対して角度をなして位置決めされる。エミッタ307からの光が透明テンプレート・モールドに当たり、回折格子302の背面上に入射する。回折格子から反射される光は、入射光が回折格子の窪み309から峰310へと移動するにつれて変化する。回折格子の端部は、入射光が窪み309内にあるときには反射光を妨げ、峰310に当たっているときには妨げない。回折格子302は、電気信号が距離パラメータと釣り合っている時に電圧遷移を有するように正確なピッチで形成される。従って、センサ304及びエミッタ307は、或る角度ウィンドウでの反射光のみがセンサ304に達するように位置決めされる。図3Cは、峰322及び谷321を有する電圧波形320を示す図であり、これらは、回折格子の「歯」がエミッタ307の光ビーム305を通過するときにセンサ304が反射光306を受光することにより生成される波形の特徴を示している。図示のパルス幅は、回折格子の「歯」の物理的な幅又はピッチに比例する。
【0021】
図4Aは、基板401及びチャック402との関連におけるエミッタ307及びセンサ304の側面図である。この実施形態では、入射光305及び反射光306が基板401の端部及びチャック402と相互作用する。チャック402には、基板401の端部を通過した場合に反射光306がセンサ304を外すことを確実にする反射傾斜面又は斜面403を構成することができる。このようにして、センサ304に到達する反射光の急落により基板401の端部を検出することができる。
【0022】
図4Bは、センサ・システム315が基板401の端部上を走査してチャック402上に入射する際に、センサ304により生成される例示的な波形410を示す図である。レベル412は、光305が基板401から反射されたときのセンサ信号を表し、レベル411は、光305がチャック402の表面403上に入射したときのセンサ信号を表す。
【0023】
図5は、基板401の端部に斜面501を構成した場合の実施形態を示す図である。この実施形態では、センサ・システム315が基板401の端部上を走査したときに信号変化が生じる。斜面501の角度により、入射光305が別の経路306をとるようになり、この結果センサ304上に入射する反射光が減る。
【0024】
図6Aは、回折格子302が、インプリントされた回折格子601としてアクティブ・エリアとともにインプリントされた実施形態を示す図である。基板401の端部が位置特定されると、センサ・システム315は、回折格子301の第1の「歯」が位置特定されるまで走査を行うことができる。このようにして、基板401の端部に対するテンプレート301の位置を判定することができる。この場合、センサ・システム315を使用して、インプリントされた特徴部の位置を基板の端部に対して位置特定することができる。基板の端部及び回折格子を測定中のセンサの位置は変化しないままである。
【0025】
図6Bは、内縁603並びに外縁(図示せず)を有する成形基板602を示す図である。センサ・システム315は、基板の内縁から回折格子601を横切って走査することができる。同様に、回折格子を横切って基板の外縁を走査することができる。この例図では、個々の直交軸上で2つずつの4つの測定(d1〜d4)が行われる。このようにして、基板602のインプリント・パターンの同心度を判定することができる。
【0026】
本発明は、テンプレート301及び基板401のステージ内位置座標を判定する手段を提供することにより問題を解決する。テンプレートの製造工程中、テンプレートの位置検出に使用される回折格子302の組がテンプレート301内の所定の位置にエッチングされる。回折格子302の組はアクティブ・エリアとともに製造されるので、これらを基準として使用してテンプレート301のアクティブ・エリアの位置を判定することができる。これらの回折格子302は、最初のθ(角度)アラインメント要件に応じて長方形又は円形であってもよい。回折格子302は、入射レーザー光(エミッタ307)の波長及びレーザー光の入射角に基づいて設計された特定のピッチを有する。回折格子302のサイズは、レーザー光307のスポットサイズ及びシステムから要求される位置感度に基づいて設定される。システムは、テンプレート301及び基板401の経路よりも上にレーザーエミッタ307及び検出器304を配置する。光電検出器304は、特定の角度で反射された光306のみを受光するように配置される。テンプレート301はローディング機構上に配置され、検出センサの下でX−Yステージにより動かされる。光電検出器304は、レーザー光306が回折格子302上に存在しない場合にはNULL信号を与えるように構成されるが、レーザー307が回折格子302上に入射する場合、光電検出器304上に1次回折光(306)が入射することにより電気信号を与えるようになる。この信号を使用して、(図1の16のような)XYステージ又はツール座標におけるテンプレート301の位置を判定することができる。回折モードでは、光ビーム306が基板401の端部から離れているときには、センサ304上で反射光306の強度は検出されないが、光ビーム306が基板401の端部上に存在するときには端部が反射光306をセンサ304へ導くようになる。
【0027】
別の実施形態では、ウェハ・チャック402上のレーザー・エミッタ307と光電検出器304との間に小さな傾斜面403が設けられる。この反射面403は、光源と検出器との間の角度の半分に等しい量だけ傾斜する。チャック402上に基板401が配置されると、内縁が傾斜面403に重なり合うようになる。この実施形態では、光ビーム305がウェハ・チャック402上に存在するときには、エミッタ307からの光ビーム305が検出器304内へ完全に反射される。走査ビーム305が基板401の端部にぶつかると、ビーム305は遮断されるか、或いは異なる角度(ビーム306)に向けられ、光電検出器に光が到達しなくなる。この信号410の急落(傾斜412)を使用して基板401の端部を検出することができる。
【0028】
テンプレート301用のセンサと基板401用のセンサは同じユニットであってもよく、これらはさらに、テンプレート301と基板401に対して2つの異なるセンサの組を使用する場合に必要となる較正処理を省く役目を果たす。
【0029】
テンプレートの回折格子302を基板401上にインプリントした場合、二重の回折格子601が、テンプレート301の基板401に対する中心情報を提供することができる。同じセンサ・システム315が、今回はインプリントされた回折格子601及び基板401の端部の両方の基準を検出することができる。
【0030】
図7A及び図7Bは、本発明の実施形態に組み込まれる方法ステップである。ステップ701において、透明モールド及び基板上にセンサ・システムを配置する。センサ・システムは、光エネルギー・ビームを生成するとともに、角度ウィンドウ内へと検出面から反射された光エネルギーの部分のみを受光するように構成される。センサ・システムはまた、透明テンプレート・モールド及び基板の検出面から反射された受光した光エネルギーの変動に応じてセンサ信号も生成する。ステップ702において、透明テンプレート・モールドをツール座標内で位置特定するための制御信号に応じて透明テンプレート・モールドを位置決めする。透明テンプレート・モールドは、所定の寸法増分に対応するピッチの検出面を有する回折格子で囲まれたインプリント可能な特徴部を含むアクティブ・エリアを有する。ステップ703において、基板をツール座標内で位置特定するための制御信号に応じて基板を位置決めする。基板は、検出面として構成された端部を有する。ステップ704において、コントローラ内でセンサ信号を処理して、透明テンプレート・モールドをツール座標内で基板に対して位置特定する。ステップ705において、制御信号を生成することにより、基板をツール座標内で透明テンプレート・モールドに対して正確に位置決めする。
【0031】
別の実施形態では、追加のステップが組み込まれる。ステップ706において、回折格子のパターン及びアクティブ・エリアを基板上にインプリントする。ステップ707において、基板上の回折格子及びアクティブ・エリアのインプリント・パターンをセンサ・システムが走査することにより、基板端部に対応する検出面及びインプリントされた回折格子上の検出面からセンサ信号が生成される。ステップ708において、コントローラ内でセンサ信号を処理して、インプリント・パターンをツール座標内で基板の端部に対して位置特定し、アクティブ・エリアの基板に対する同心度を判定してプロセス制御を容易にする。
【0032】
本発明の実施形態によれば、図7A〜図7Bにおいて望まれるステップをプロセッサ54を通じて制御し、システム10において動作させることができる。これらの処理ステップを、メモリ56に記憶されたコンピュータシステム内のプログラムステップとして記憶することができる。
【0033】
上述した本発明の実施形態は例示的なものである。上述の開示に数多くの変更及び修正を行う一方で、これらを本発明の範囲内にとどめることができる。従って、本発明の範囲は、上記の説明により限定すべきものではなく、添付の特許請求の範囲並びにこれらの同等物の完全な範囲を参照しながら決定すべきものである。
【符号の説明】
【0034】
304 センサ
305 入射光
306 反射光
307 エミッタ
315 センサ・システム
401 基板
402 チャック
403 斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレート・モールドを基板に対して位置合わせするためのシステムであって、
光エネルギー・ビームを生成するとともに、角度ウィンドウ内へと前記基板及び前記テンプレート・モールドの検出面から反射された前記光エネルギーの部分のみを受光するように構成された、前記テンプレート・モールド及び前記基板の上方に配置されたセンサ・システムと、
前記テンプレート・モールドのアクティブ・エリアの周りに配置された、所定の寸法増分に対応するピッチの検出面を有する回折格子と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
基板制御信号に応じてツール座標内で前記基板を前記テンプレート・モールドに対して位置決めするためのツール位置決めシステムをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサ・システムと前記基板との間に配置された、テンプレート制御信号に応じて前記ツール座標内で前記テンプレート・モールドのアクティブ・エリアを前記基板面に対して位置決めするように構成された位置決めステージをさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記基板及びテンプレート制御信号を生成するとともに、前記回折格子及び前記基板の前記検出面から反射された受光した光エネルギーの変動を受けて前記センサ・システムにより生成された信号に応じて前記基板及びテンプレート・モールドを前記センサ・システムに対して位置決めするためのコントローラをさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記テンプレート・モールドの前記アクティブ・エリアのインプリント特徴部が形成されるのと同時に、前記回折格子が前記テンプレート・モールド上にインプリント特徴部として形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記センサ・システムが、前記光エネルギー・ビームを生成するレーザー光エミッタと、角度ウィンドウ内へと検出面から反射された前記光エネルギーの一部を受光する、前記レーザー光の周波数に反応する光検出器とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記レーザー光エミッタ及び光検出器が、所定の角度ウィンドウ内へと検出面から反射されたレーザー光のみが前記光検出器上に入射するように相対的に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記回折格子が、所定の距離パラメータに対応するピッチを有する一連の平行な等間隔を空けた長方形の峰及び谷として構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アクティブ・エリアの特徴部が前記基板上にインプリントされるとの同時に、前記回折格子が前記基板上にインプリントされる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記基板を保持するチャックに検出面を構成して前記基板の端部を位置決めしやすくした、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記インプリントされた回折格子を含む前記基板を走査することにより、前記基板上の前記インプリントされたアクティブ・エリアが前記基板の端部に対して位置特定される、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記インプリントされた回折格子を含む基板を、前記センサ・システムが前記基板の中心を通る直交軸に沿って双方向に走査して、前記インプリントされたアクティブ・エリアの前記基板の端部に対する同心度を判定する、
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
テンプレート・モールドを基板に対して位置合わせする方法であって、
光エネルギー・ビームを生成するとともに、角度ウィンドウ内へと前記検出面から反射された前記光エネルギーの部分のみを受光するように構成され、前記テンプレート・モールド及び前記基板の前記検出面から反射された受光した光エネルギーの変動に応じてセンサ信号を生成するセンサ・システムを前記テンプレート・モールド及び前記基板の上に配置するステップと、
前記テンプレート・モールドをツール座標内で位置特定するための制御信号に応じて、所定の寸法増分に対応するピッチの検出面を有する回折格子で囲まれたインプリント可能な特徴部を含むアクティブ・エリアを有する前記テンプレート・モールドを位置決めするステップと、
前記基板をツール座標内で位置特定するための制御信号に応じて、検出面として構成された端部を有する前記基板を位置決めするステップと、
前記センサ信号をコントローラ内で処理して、前記テンプレート・モールドをツール座標内で前記基板に対して位置特定るステップと、
前記制御信号を生成することにより、前記基板を前記テンプレート・モールドに対して正確に位置決めするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記回折格子のパターン及び前記アクティブ・エリアを前記基板上にインプリントするステップと、
前記基板上にインプリントされた前記回折格子のパターン及び前記アクティブ・エリアを前記センサ・システムで走査することにより、前記基板端部に対応する検出面及び前記インプリントされた回折格子上の検出面からセンサ信号を生成するステップと、
前記センサ信号を前記コントローラ内で処理して、前記インプリントされたパターンをツール座標内で前記基板の前記端部に対して位置特定し、前記アクティブ・エリアの前記基板に対する同心度を判定してプロセス制御を容易にするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記テンプレート・モールドの前記アクティブ・エリアのインプリント特徴部が形成されるのと同時に、前記回折格子が前記テンプレート・モールド上にインプリント特徴部として形成される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記センサ・システムが、前記光エネルギー・ビームを生成するレーザー光エミッタと、角度ウィンドウ内へと検出面から反射された前記光エネルギーの一部を受光する、前記レーザー光の周波数に反応する光検出器とを備える、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザー光エミッタ及び光検出器が、所定の角度ウィンドウ内へと検出面から反射されたレーザー光のみが前記光検出器上に入射するように相対的に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回折格子が、所定の距離パラメータに対応するピッチを有する一連の平行な等間隔を空けた長方形の峰及び谷として構成される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記アクティブ・エリアの特徴部がインプリントされるとの同時に、前記回折格子が前記基板上にインプリントされる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
インプリント・パターン及びインプリント格子を含む前記基板の直交軸に沿って前記センサ・システムを走査し、回折格子の端部に対する内縁までの距離を記録するステップと、
個々の直交経路に沿った前記距離を減算して、前記基板にインプリントしたパターンの同心度の測定値を生成するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2010−534406(P2010−534406A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517027(P2010−517027)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/008817
【国際公開番号】WO2009/014655
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】