説明

ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物

赤外線吸収無機ナノ粒子およびエチレンコポリマーを含んでなる組成物、およびその組成物を製造する方法が提供される。赤外線吸収無機ナノ粒子は、好ましくは、アンチモンスズ酸化物(ATO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ランタン六ホウ化物(LaB6)またはそれらの混合物を含む。また、ポリマーブレンド、ポリマーフィルムおよびシート、ソーラーコントロールラミネート、ならびにポリマーブレンド、ポリマーフィルムおよびシートおよびソーラーコントロールラミネートの製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線の透過を低下させる材料の分野、特に赤外線光の透過を低下させるポリマーと無機材料とのブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスラミネート製品または「安全ガラス」は、ほぼ1世紀の間、社会に貢献している。安全ガラスは、高い衝撃耐性および貫入抵抗、ならびに粉砕時のガラス破片の最小限の散乱を特徴とする。ラミネートは典型的に、ポリマーフィルムまたはシートであって、2枚のガラスシートまたはパネルの間に配置される中間層のサンドイッチからなる。ガラスシートの一方または両方の代わりに、例えば、ポリカーボネート材料のシートのような光学的に透明な剛性ポリマーシートを用いてもよい。安全ガラスは、2つ以上の中間層で一緒に接着された3層以上のガラスおよび/またはポリマーシートを含むように、さらに発展されている。
【0003】
中間層は典型的に、強靭性を示し、また亀裂または衝突の場合にガラスに付着する、比較的厚いポリマーフィルムまたはシートで製造される。長年にわたって、ガラスラミネート製品のために、多種多様なポリマー中間層が開発されてきた。一般に、これらのポリマー中間層が、他の特徴の中でも、許容できるレベルの光学的透明性、4%より少ない曇り、衝撃耐性、貫入抵抗、紫外線耐性、長期熱安定性、ガラスおよび/または他の剛性ポリマーシートへの接着性、紫外線透過率、水分吸収、水分耐性および長期耐候性を有することが望ましい。
【0004】
広範囲に使用される中間層材料には、ポリビニルブチラール(PVB);ポリウレタン(PU);ポリ塩化ビニル(PVC);メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン(mPE);エチレンビニルアセテート(EVA)のようなポリマー;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/またはその塩(以後、エチレン酸コポリマーイオノマー)の共重合によって得られるもののようなコポリマー;ポリマー脂肪酸ポリアミド;ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル樹脂(PET);シリコーンエラストマー;エポキシ樹脂;エラストマーポリカーボネート等を含んでなる複合多成分組成物が含まれる。酸コポリマーは、透過ラミネートの作製に関する用途で、より広範囲になっている。
【0005】
自動車フロントガラスにおいて一般的に使用される周知の安全ガラス以上に、ガラスラミネートは、電車、飛行機、船およびほとんど全ての他の輸送様式の窓に組み入れられている。また、設計者が建築物により多くのガラス表面を組み入れているため、近年、安全ガラスの建築用途も迅速に拡大している。それらの望ましい美的特徴に加えて、ガラスラミネート製品は今や、例えば、多くの新しい建築物で特色のガラス階段のような重量支持構造に必要とされる強度を達成している。
【0006】
また、新しい安全ガラス製品は、自然災害および人為的災害に耐えるように設計されている。例えば、コポリエチレンイオノマー樹脂は、ガラスラミネート中間層として一般的に使用されるポリビニルブチラールおよびエチレンビニルアセテート材料のような他の材料と比較して、著しく高い強度または貫入抵抗を提供する材料である。例えば、米国特許第3,344,014号明細書および米国特許第5,344,513号明細書を参照のこと。具体的な例には、現在、多くのハリケーンを受けやすい地域で指定される耐ハリケーンガラス、耐盗難ガラス、および耐爆ガラスラミネート製品の最近の開発が含まれる。例えば、激しい強風によって、または飛行破片の衝撃によって、または構造に侵入しようとする犯人の試みによって、ラミネートの壊れやすい部分が壊れた後でさえも、これらの製品は侵入に抵抗するために十分な強度を有する。
【0007】
社会は、上記の光学的および装飾的な性能、ならびに安全特徴以上に、ラミネートガラス製品からのより多くの機能を要求し続けている。1つの望ましい目標は、自動車または建築物のような構造内での、例えば、ソーラーコントロールガラスの開発によるエネルギー消費の減少である。近赤外線スペクトルはヒトの目では感知されないので、典型的なアプローチは、近赤外線スペクトルからの太陽エネルギーの一部が構造に入ることを妨ぐガラスラミネートを開発することである。例えば、透過した可視光スペクトルの減少および歪みを生じずに、近赤外線スペクトルの一部を遮断するソーラーコントロール窓を備えている構造で、空気調節に費やされるエネルギーが低下し得る。
【0008】
ガラスラミネート中のソーラーコントロールは、さらにソーラーコントロール層を加えるか、またはこれらのアプローチの組み合わせによってガラスまたはポリマー中間層の変性によって達成され得る。例えば、米国特許第6,150,028号明細書および米国特許第6,432,522号明細書、ならびに国際公開第99/58334号パンフレットおよび国際公開第01/60604号パンフレットを参照のこと。ソーラーコントロールラミネートガラスの1つの形式として、典型的に真空蒸着またはスパッタリングプロセスによって適用されたアルミニウムまたは銀金属のような導電性金属層を有するポリエステルフィルムのような金属化基材フィルムが挙げられる。金属化フィルムは、一般的に、十分なソーラーコントロール特性を提供するために適切な波長の光を反射する。しかしながら、金属化フィルムは、一般的に、高真空装置および精密な雰囲気制御システムを必要とする真空蒸着またはスパッタリングプロセスによって製造される。
【0009】
赤外線光に加えて、金属化フィルムは特定のラジオ波長も反射し、従って、ソーラーコントロールラミネートガラスによって保護されるラジオ、テレビ、汎地球測位システム(GPS)、自動料金徴収、キーレスエントリー、コミュニケーションシステム、自動ガレージオープナー、自動預金受払機、無線周波数識別(RFID)ならびに自動車および他の構造で一般的に使用される同様のシステムの機能に障害を及ぼす。このような障害は、金属層が連続的であり、従って、導電性であることの直接的な結果である。
【0010】
最後に、ガラスラミネーションプロセスの間および後、スパッタリングされた金属コーティングフィルムへの水分侵入は、中間層からのエッジ削除を可能にする追加の複雑なプロセスを必要とする。これは製造プロセスを複雑化する。
【0011】
より最近の傾向は、赤外線光を反射するよりも、むしろ吸収する特定の金属化合物のナノ粒子の使用である。基材の透明性および透明度を維持するため、これらの材料は、理想的に約200ナノメートル(nm)未満の公称粒度を有する。これらの材料は導電性フィルムを形成しないので、この種類のソーラーコントロール窓ガラスによって保護された構造内部に位置する放射線透過および受け取り機器の操作は、妨害されない。
【0012】
赤外線吸収無機化合物の例には、金属酸化物および金属ホウ化物が含まれる。商業重要性を達成しているいくつかの赤外線吸収金属酸化物は、アンチモンスズ酸化物およびインジウムスズ酸化物である。アンチモンスズ酸化物およびインジウムスズ酸化物でコーティングされたいくつかのフィルム基材は、ソーラーコントロール窓カバーとして記載される。例えば、米国特許第5,518,810号明細書を参照のこと。金属酸化物粒子は、接触接着剤の薄層によって窓に付着されてよい。例えば、米国特許第6,191,884号明細書、米国特許第6,261,684号明細書および米国特許第6,528,156号明細書を参照のこと。
【0013】
ランタン六ホウ化物も商業重要性を達成している。ランタン六ホウ化物でコーティングされたいくつかのフィルム基材は、ソーラーコントロール窓カバーとして記載される。例えば、米国特許第6,221,945号明細書、米国特許第6,277,187号明細書および米国特許第6,319,613号明細書、ならびに欧州特許第1 008 564号を参照のこと。さらに、ランタン六ホウ化物は、窓カバーのハードコート層で、アンチモンスズ酸化物と組み合わせて使用されている。例えば、米国特許第6,663,950号明細書を参照のこと。
【0014】
しかしながら、ソーラーコントロール窓カバーを含む窓カバーは、老化、および例えばクリーニングのような環境ストレスに対して不安定であるという欠点がある。時間の経過によって、それらはフィルム上で引掻き傷または応力割れを発現し得る。またそれらは、泡を形成し得るか、あるいは他の様式で、例えば、湿度、熱またはその両方から、窓への接着の部分的または全体的な欠けを生じ得る。
【0015】
従って、赤外線吸収無機ナノ粒子がガラスラミネートのポリマー中間層に組み入れられている。一般的に、ナノ粒子は、可塑剤、溶媒またはもう1つの液体のような媒体中の分散体としてポリマー材料に導入される。あるいは、赤外線吸収中間層のために望ましい最終濃度で、超微細金属酸化物粒子がポリマー溶融物中に直接的に導入される。例えば、米国特許第5,830,568号明細書、米国特許第6,315,848号明細書、米国特許第6,329,061号明細書、米国特許第6,579,608号明細書、米国特許第6,506,487号明細書、米国特許第6,620,477号明細書、米国特許第6,686,032号明細書、米国特許第6,632,274号明細書、米国特許第6,673,456号明細書、および米国特許第6,733,872号明細書、ならびに国際公開第02/060988号パンフレットを参照のこと。またランタン六ホウ化物は、ポリマー中に分散される。例えば、米国特許出願公開第2004/0071957号明細書、米国特許出願公開第2004/0131845号明細書および米国特許出願公開第2004/0028920号明細書を参照のこと。ランタン六ホウ化物のポリマー分散体は、ガラス中間層としても使用される。例えば、米国特許出願公開第2004/0028920号明細書を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、無線周波数伝達を妨げることなく、赤外線エネルギーの透過を低下させる新規の材料を提供することは依然として望ましい。可塑剤または他の成分を必要とせず、そして高い強度および非常に良好な透明性または低い曇りを有するラミネートを製造するために使用することが可能な赤外線ブロック材料を提供することは依然として望ましい。また、これらの材料を配合するための簡略化されたプロセスを提供することも依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、無線周波数伝達を妨げることなく赤外線エネルギーの透過を低下させる新規材料を提供する。可塑剤または他の成分は必要とされず、そして得られるラミネートは、高い強度および非常に良好な透明性または低い曇りを有する。また、これらの材料を配合するための簡略化されたプロセスが提供される。
【0018】
第1の態様で、本発明は、赤外線吸収無機ナノ粒子と、エチレン酸コポリマーとを含んでなるナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を提供する。
【0019】
また、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の製造方法も提供される。この方法では、赤外線吸収無機ナノ粒子がマトリックス材料に組み入れられ、ナノ微粒子ソーラーコントロール濃縮物が形成される。ナノ微粒子ソーラーコントロール濃縮物をさらにエチレン酸コポリマーとブレンドして、本発明のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を形成する。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を含んでなるシート、フィルムおよびソーラーコントロールラミネートのような成形品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここでの定義は、他に具体的な例で限定されない限り、本明細書を通して使用される用語に適用される。
【0022】
用語「ナノ粒子」は、以下で使用される場合、赤外線吸収無機ナノ粒子を指す。
【0023】
用語「ソーラーコントロール」は、本明細書で使用される場合、太陽によって放射されるいかなる波長の光の強度をも低下させることを指す。好ましくは、本発明において、赤外線または近赤外線波長の強度は低下する。また、好ましくは、可視波長の強度は実質的に不変である。好都合に、これらの2つの好ましい条件下で熱の伝達は低下するが、視覚による透明度は維持され、そして着色した物体の外観は実質的に歪まない。
【0024】
用語「(メタ)アクリル酸」は、本明細書で使用される場合、アクリル酸またはメタクリル酸、あるいはアクリル酸およびメタクリル酸の混合物を指す。同様に、用語「(メタ)アクリレート」は、本明細書で使用される場合、アクリル酸、メタクリル酸、またはアクリル酸およびメタクリル酸の混合物の塩またはエステルを指す。
【0025】
用語「有限量」および「有限値」は、本明細書で使用される場合、ゼロに等しくない量または値を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータならびに他の量および特徴が正確である必要がないが、耐性、換算係数、概数、測定誤差等および当業者に明らかである他の要因を反映して、所望の通り、近似であってよく、そして/またはより大きく、もしくは小さくてよい。一般に、量、サイズ、配合、パラメータまたは他の量もしくは特徴は、そのように明白に記述されていなくても、「約」または「おおよそ」である。
【0027】
一態様において、本発明は赤外線吸収無機ナノ粒子と、エチレン酸コポリマーとを含んでなるナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を提供する。
【0028】
適切なナノ粒子は、約200ナノメートル(nm)未満の公称または平均粒度を有する。好ましくは、ナノ粒子は約100nm未満の公称粒度を有する。より好ましくは、ナノ粒子は約50nm未満の公称粒度を有する。なおより好ましくは、ナノ粒子は約30nm未満の公称粒度を有する。なおより好ましくは、ナノ粒子は約1nm〜約20nmの範囲の公称粒度を有する。
【0029】
赤外線無機吸収ナノ粒子は、好ましくは、金属、金属含有化合物、金属含有複合体、または金属、金属含有化合物および金属含有複合体から選択される2つ以上の物質の混合物を含んでなる。適切な金属には、限定されないが、スズ、亜鉛、ジルコニウム、鉄、クロム、コバルト、セリウム、インジウム、ニッケル、銀、銅、白金、マンガン、タンタル、タングステン、バナジウム、アンチモン、モリブデン、ランタニドおよびアクチニド系列が含まれる。適切な金属含有化合物には、限定されないが、金属ホウ化物、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属リン酸塩および金属硫化物が含まれる。適切な金属含有複合体には、少なくとも1つのドーピング物質でドーピングされた金属および少なくとも1つのドーピング物質でドーピングされた金属含有化合物が含まれる。適切なドーピング物質には、限定されないが、アンチモン、アンチモン化合物、フッ素、フッ素化合物、スズ、スズ化合物、チタン、チタン化合物、ケイ素、ケイ素化合物、アルミニウムおよびアルミニウム化合物が含まれる。
【0030】
赤外線無機吸収ナノ粒子の1つの好ましい種類は、金属ホウ化物を含んでなるナノ粒子である。好ましい金属ホウ化物には、限定されないが、ランタン六ホウ化物(LaB6)、プラセオジム六ホウ化物(PrB6)、ネオジム六ホウ化物(NdB6)、セリウム六ホウ化物(CeB6)、ガドリニウム六ホウ化物(GdB6)、テルビウム六ホウ化物(TbB6)、ジスプロシウム六ホウ化物(DyB6)、ホルミウム六ホウ化物(HoB6)、イットリウム六ホウ化物(YB6)、サマリウム六ホウ化物(SmB6)、ユウロピウム六ホウ化物(EuB6)、エルビウム六ホウ化物(ErB6)、ツリウム六ホウ化物(TmB6)、イッテルビウム六ホウ化物(YbB6)、ルテチウム六ホウ化物(LuB6)、ストロンチウム六ホウ化物(SrB6)、カルシウム六ホウ化物(CaB6)、チタンホウ化物(TiB2)、ジルコニウムホウ化物(ZrB2)、ハフニウムホウ化物(HfB2)、バナジウムホウ化物(VB2)、タンタルホウ化物(TaB2)、クロムホウ化物(CrBおよびCrB2)、モリブデンホウ化物(MoB2、Mo25およびMoB)およびタングステンホウ化物(W25)等、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0031】
より好ましくは、ナノ粒子は、アンチモンスズ酸化物(ATO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ランタン六ホウ化物(LaB6)、またはATO、ITOもしくはLaB6の2つ以上の混合物を含んでなる。なおより好ましくは、ナノ粒子は、ATO、ITO、LaB6、またはATO、ITOもしくはLaB6の2つ以上の混合物から本質的になる。
【0032】
アンチモンスズ酸化物を、アンチモンをドーピングしたスズ酸化物、または比較的少量のアンチモン酸化物を含有するスズ酸化物として記載することができる。アンチモンレベルは、アンチモンスズ酸化物の総重量を基準にして、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%の範囲である。より好ましくは、アンチモンレベルは、アンチモンスズ酸化物の総重量を基準にして、約5重量%〜約15重量%の範囲である。アンチモン酸化物によって約8重量%〜約10重量%の範囲のレベルまでドーピングされたスズ酸化物がさらに好ましい。
【0033】
インジウムスズ酸化物は、対照的に、スズがドーピングされたインジウム酸化物として、または比較的少量のスズ酸化物を含有するインジウム酸化物として記載することができる。スズレベルは、スズおよびインジウム原子の合計を基準にして、好ましくは約1〜約15原子パーセント、そしてより好ましくは約2〜約12原子のパーセントの範囲である。別の表現で、ITO粉末中のスズ含有量のモル分率、すなわち、(Snのモル)/[(Snのモル)+(Inのモル)]は、好ましくは約0.01〜約0.15である。より好ましくは、スズ含有量のモル分率は約0.02〜約0.12である。
【0034】
耐水性、熱酸化安定性、分散性等のような特性を改善するために、例えばシラン化合物、チタン化合物またはジルコニウム化合物で、ナノ粒子を表面処理してもよい。
【0035】
例えば、気相分解法、プラスマ蒸発法、アルコキシド分解法、同時沈殿法、水熱法等を含むいずれかの適切なプロセスで、ATO、ITOおよびLaB6ナノ粒子を製造してもよい。
【0036】
以下に明示されるプロセス考察を前提として、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物中のナノ粒子の量は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、約0.01〜約50重量%、好ましくは約0.01〜約10重量%、そしてより好ましくは約0.01〜約5重量%の範囲であってよい。
【0037】
また、本発明のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、エチレン酸コポリマーを含む。適切なエチレン酸コポリマーは、20,000psi(138MPa)より高いモジュラスを有する。ASTM法D−638によって測定した場合、好ましくは、モジュラスは約25,000psi(173MPa)以上であり、そしてより好ましくは、モジュラスは約30,000psi(207MPa)以上である。
【0038】
また、適切なエチレン酸コポリマーは、ポリマーの総重量を基準にして、約0.1重量%〜約30重量%の1つ以上の酸コモノマー、好ましくは約10重量%〜約25重量%の酸コモノマー、そしてより好ましくは約15重量%〜約25重量%の酸コモノマーを含んでなる。当業者は、エチレンコポリマー中の酸コモノマーのレベルは、コポリマーのガラスへの接着性に影響を及ぼすことに気が付く。
【0039】
好ましい酸コモノマーには、限定されないが、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびモノメチルマレイン酸が含まれる。より好ましくは、酸コモノマーは(メタ)アクリル酸である。
【0040】
エチレン酸コポリマーの酸基は、1つ以上の金属カチオンによって好ましくは少なくとも部分的に中和される。金属カチオンは一価、二価、三価、またはより高い価であってもよい。好ましい一価イオンには、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀および銅イオンが含まれる。好ましい二価イオンには、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、スズ、鉛、鉄、コバルト、ニッケルおよび亜鉛イオンが含まれる。好ましい三価イオンには、アルミニウム、スカンジウム、鉄およびイットリウムイオンが含まれる。より高い価の好ましいイオンには、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウムおよび鉄イオンが含まれる。好ましくは、金属カチオンが四価か、またはより高い価である場合、米国特許第3,404,134号明細書に記載されるようなステアレート、オレエート、サリチレートおよびフェノラート基のような錯化剤が含まれる。ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムのイオン、ならびにナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびアルミニウムの2つ以上の組み合わせは、より好ましい。ナトリウムイオン、亜鉛イオン、ならびにナトリウムおよび亜鉛イオンの混合物は、さらにより好ましい。一般的に、ナトリウムイオンは高い光学的透明性に関連し、そして亜鉛イオンは高い水分耐性に関連する。エチレンコポリマー中、好ましくは約0〜約100パーセント、より好ましくは約10〜約100パーセント、そしてさらにより好ましくは約20〜約80パーセントの酸基は中和される。
【0041】
エチレン酸コポリマーは、他のコモノマーを任意に含有してもよい。好ましいコモノマーには、アルキル基が約20個までの炭素を含む分枝鎖または非分枝鎖部分であるアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。アルキル基は、未置換であっても、または1つ以上のヒドロキシル基によって置換されていてもよい。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチルアクリレート、第三級ブチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル、ドデシル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、ラウリル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルが含まれる。他の好ましいコモノマーには、限定されないが、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ジアルキルマレアート(C1〜C4アルキル)、ジアルキルフマレート(C1〜C4アルキル)、ジメンチルフマレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート等およびそれらの混合物が含まれる。より好ましいコモノマーには、限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ならびにメチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよびビニルアセテートの2つ以上の混合物が含まれる。
【0042】
エチレン酸コポリマーが20,000psiより高いモジュラスを維持することを条件として、他のコモノマーは、エチレン酸コポリマーの総重量を基準にして、約50重量%まで、より好ましくは約25重量%まで、なおより好ましくは約10重量%までの有限量で存在してよい。
【0043】
本発明での使用に適切なエチレン酸コポリマーを、例えば、米国特許第3,404,134号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、米国特許第6,500,888号明細書および米国特許第6,518,365号明細書に記載されるように、重合および中和してよい。また、リサイクルされたエチレン酸コポリマーをバージン材料と一緒に、またはその代わりに使用してもよい。
【0044】
また、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、加工特性、最終的な機械特性を改善するため、または本発明のフィルムおよびシートのガサガサ鳴る音(rattle)またはサラサラ鳴る音(rustle)を低下させるために添加されてもよい1つ以上の可塑剤を含むことができる。本質的に、いかなる可塑剤も本発明での使用が見出され得る。
【0045】
また、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、少なくとも1つの分散剤を含み得る。分散剤およびその濃度の選択は、ナノ粒子の表面特徴、エチレンコポリマーの化学的性質、およびナノ粒子を粉砕、懸濁または分散させるために使用される技術を含む多くの要因に依存する。本質的に、いかなる分散剤も本発明の組成物内での実用性が見出され得る。使用時に、分散剤は、好ましくは、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、約10重量%までの有限量で存在する。
【0046】
本発明の組成物中に1つ以上の界面活性剤が含まれ得る。適切な界面活性剤には、アニオン、非イオンおよびカチオン界面活性剤が含まれる。使用時に、界面活性剤は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約5重量%までの有限量で存在する。
【0047】
また、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、例えば、欧州特許出願公開第1 227 070A1号に記載のように、EDTA、ベータ−ジケトン、例えばアセチルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ジピバロイルメタン等のような1つ以上のキレート試薬を含み得る。使用時に、キレート試薬は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約2重量%まで、より好ましくは約1重量%までの有限量で存在する。
【0048】
本発明の組成物に有効量の熱安定剤を組み入れてもよい。本質的に、いかなる熱安定剤も本発明での使用のために適切である。好ましい種類の熱安定剤には、限定されないが、フェノール系酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族化合物ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミン系酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アシルアミノフェノール、オキサミド、金属不活性化剤、ホスファイト、ホスホニト、ベンジルホスホネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、ペルオキシド、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、ベンゾフラノン、インドリノンを破壊する化合物等、ならびにそれらの混合物が含まれる。1つ以上の熱安定剤が使用される場合、本発明の組成物には、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約10.0重量%まで、より好ましくは約5.0重量%まで、そしてなおより好ましくは約1.0重量%までの有限量の熱安定剤が組み入れられる。
【0049】
本発明の組成物に有効量の1つ以上のUV吸収剤を組み入れてもよい。本質的に、いかなるUV吸収剤も本発明での使用のために適切である。好ましい種類のUV吸収剤には、限定されないが、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換および未置換安息香酸のエステル等、ならびにそれらの混合物が含まれる。1つ以上のUV吸収剤が使用される場合、本発明の組成物には、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約10.0重量%まで、より好ましくは約5.0重量%まで、そしてなおより好ましくは約1.0重量%までの有限量のUV吸収剤が組み入れられる。
【0050】
本発明の組成物に有効量の1つ以上のヒンダードアミン光安定剤(HALS)を組み入れてもよい。本質的に、いかなるヒンダードアミン光安定剤も本発明での使用のために適切である。一般的に、ヒンダードアミン光安定剤は、第二級または第三級であり、アセチル化、N−ヒドロカルボイルオキシ置換、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルボイルオキシ置換または他の置換された環式アミンであって、さらに典型的にアミン官能基に隣接する炭素原子上の脂肪族置換基から誘導された立体障害を組み入れるものである。1つ以上のヒンダードアミン光安定剤が使用される場合、本発明の組成物には、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約10.0重量%まで、より好ましくは約5.0重量%まで、そしてなおより好ましくは約1.0重量%までの有限量のヒンダードアミン光安定剤が組み入れられる。
【0051】
ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物には、さらに、ポリマーの溶融流動を低下させる1つ以上の添加剤を組み入れてよい。都合よく、ラミネートの溶融および流動傾向の低下によって、火に対して燃料の接近しやすさが少なくなるため、これらの添加剤を含むポリマー材料は難燃性中間層として機能し得る。付随して、これらの添加剤は、本発明の組成物が有用である温度の上限を、典型的に約20℃〜70℃増加させる。溶融流動を低下させる添加剤の具体的な例には、限定されないが、有機ペルオキシド、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ベチルペルオキシ)ヘキサン−3、ジ−第三級ブチルペルオキシド、第三級ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、アルファ,アルファ’−ビス(第三級ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(第三級ブチルペルオキシ)バレエート、2,2−ビス(第三級ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(第三級ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(第三級ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、第三級ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド等およびそれらの組み合わせの混合物が含まれる。好ましくは、有機ペルオキシドは約100℃以上の温度で分解し、ラジカルを発生する。より好ましくは、有機ペルオキシドは、約70℃以上で10時間の半減期を与える分解温度を有し、ブレンド操作に関して改善された安定性を提供する。有機ペルオキシドは、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、約10重量%まで有限量で存在する。
【0052】
有機ペルオキシドと一緒に、ジブチルスズジラウレートのような1つ以上の開始剤を使用してもよい。開始剤は、存在する場合、エチレンコポリマー組成物の総重量を基準にして、約0.05重量%までの有限量で添加される。反応制御および安定性を向上するため、有機ペルオキシドと一緒にヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノンおよびメチルヒドロキノンのような1つ以上の抑制剤を添加してもよい。抑制剤は、エチレンコポリマー組成物の総重量を基準にして、約5重量%未満のレベルで添加されてよい。
【0053】
またナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウムまたはマグネシウム型のカップリング剤を含んでもよい。シラン型カップリング剤が好ましい。有用なシランカップリング剤の具体的な例には、限定されないが、ガンマ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル−トリアセトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピル−トリメトキシシラン等およびそれらの組み合わせを含んでよい。典型的に、存在する場合、シランカップリング剤は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、約5重量%まで有限量で存在する。
【0054】
ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、任意に、加工助剤、流動増加添加剤、潤滑油、顔料、染料、難燃剤、衝撃変性剤、結晶化度を増加させるための核化剤、シリカのような抗ブロック剤、UV安定剤、接着剤、プライマー、ブルーイング剤のような着色剤、架橋剤、硬化剤、pH調節剤、消泡剤、湿潤剤、酸化防止剤、スリップ剤、液体エラストマー、例えば、商標名RMR(商標)でMobil Chemical Companyから市販品として入手可能なイソプレン−ブタジエン−イソプレン樹脂等のような他の成分を含んでもよい。これらの添加剤の適切なレベルおよびポリマー組成物中への添加剤の組み入れ方法は、当業者にとって入手可能である。例えば、「Modern Plastics Encyclopedia」,McGraw−Hill,New York,NY 1995を参照のこと。
【0055】
ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の製造プロセスは、エチレン酸コポリマーをナノ粒子および任意に他の成分と組み合わせる工程と、組み合わせられた成分を混合する工程とを含む。
【0056】
好ましくは、ナノ粒子はエチレン酸コポリマー中に分散される。分散、すなわち、供給された状態のままのナノ粒子を一次粒子へとデアグロメレーションするプロセスは、いかなる適切な手段によっても達成され得る。例えば、曇り測定によって実証されるように、ナノ粒子が十分にデアグロメレーションされない場合、ナノ粒子を含有する物品の透明性は悪化するだろう。
【0057】
好ましくは、分散プロセスは、溶融されたエチレンコポリマーが、ナノ粒子と、存在し得る本組成物のいずれかの任意の成分と組み合わせられる高剪断溶融混合プロセスである。適切な高剪断混合装置には、静的ミキサー、ゴムミル、ブラベンダー(Brabender)ミキサー、バス(Buss)ニーダー、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、加熱された、または未加熱の2本ロールミル等が含まれる。
【0058】
正確な加工条件はエチレンコポリマーの物性に依存するが、エチレンコポリマーに組み入れられるナノ粒子および任意の他の成分の量および種類にも依存する。当業者は、適切な加工条件および装置を決定することができる。例えば、国際公開第01/00404号パンフレットには、加熱された2本ロールミルを使用するポリマー材料中でのナノ粒子の分散方法が記載されている。この方法は、エチレンコポリマーまたはナノ微粒子ソーラーコントロール組成物が、静的ミキサー、ゴムミル、ブラベンダー(Brabender)ミキサー、バス(Buss)ニーダー、一軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機のような他の装置での効率的な加工には高すぎる溶融粘度を有する場合、より好ましい。
【0059】
加えて、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物中のナノ粒子のレベルは、デアグロメレーションプロセスの効率に影響を及ぼす重要なパラメータである。溶融粘度はナノ粒子のレベルによって一般的に増加し、これは両方とも、好ましくは、分散体プロセスの間、高い剪断応力を付与するために十分である。逆に不適切に低いレベルのナノ粒子は、十分高い溶融粘度を提供しない。その結果、剪断応力も不適切に低く、そして供給された状態のままのナノ粒子は、それらの一次粒度まで効率的にデアグロメレーションされない。それは論理的に、エチレンコポリマー内に組み入れられたナノ粒子のレベルの上限は、選択された分散プロセスおよび装置が耐え得る最も高い溶融粘度によって部分的に決定されるという結果になる。
【0060】
いずれの混合工程の前にも、エチレンコポリマーを乾燥し、そして粉末化するか、またはペレット化してもよい。また、混合装置への供給のため、「ペレットブレンド」または「粉末ブレンド」と呼ばれる乾燥ブレンドで、エチレンコポリマーをナノ粒子および任意の成分と混合してもよい。あるいは、2つ以上の異なる供給機によって、エチレンコポリマー、ナノ粒子および任意の構成部分を個々に供給してもよい。
【0061】
典型的な押出プロセスでは、エチレンコポリマー、ナノ粒子、および存在する場合、任意の成分を、押出機の後部または「供給」部分中に供給する。しかしながら、押出機の2つ以上の異なる位置にエチレンコポリマー、ナノ粒子および任意の成分を供給することは好都合である。例えば、エチレンコポリマーを押出機の後部部分に供給し、一方、ナノ粒子をダイプレートの付近で押出機の前面に供給する。押出機温度プロフィールは、好ましくは加工条件下でのエチレンコポリマーの溶融を可能にする。スクリューデザインによって、好ましくは剪断応力が与えられ、従って、それが溶融エチレンコポリマーと、ナノ粒子および他の任意の成分とを混合する時に熱を与える。好ましくは、溶融エチレンコポリマーまたはナノ粒子組成物の加工温度は、約50℃〜約300℃の範囲である。しかしながら、上記のように、正確な加工条件は、エチレンコポリマーの物性、溶融物中のナノ粒子のレベル等次第である。
【0062】
本発明の好ましいプロセスでは、比較的多量のナノ粒子を比較的少量のマトリックス材料とブレンドして、比較的高レベルのナノ粒子を有する濃縮物を形成する。濃縮物を、マトリックス材料と同一であっても異なってもよいエチレンコポリマーとブレンドし、所望量の赤外線を効率的に吸収するために必要なナノ粒子が比較的低レベルであるソーラーコントロール組成物を製造する。濃縮物を形成する適切および好ましい加工方法および条件は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を配合するためのプロセスに関して上記で明示されたものと同様である。いくつかの好ましいプロセスでは、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、製造プロセスでその場で製造される。例えば、ナノ粒子濃縮物は添加剤として、フィルムおよびシートのような成形品の下記製造プロセスに直接添加されてもよい。成形品を形成するための適切および好ましいプロセスおよび条件を以下に記載する。
【0063】
ナノ粒子が組み入れられるマトリックス材料は、好ましくはポリマーである。本質的に、いかなるポリマーもマトリックス材料として実用性が見出される。好ましくは、マトリックス材料は可視光に対して透過性である。好ましいポリマーマトリックス材料には、限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、環式ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、ジンジオタクチックポリスチレン、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミド、例えばナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリル樹脂、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル);エチルアクリルアセテート(EM);エチルメタクリレート(EMAC);メタロセン触媒によるポリエチレン;可塑化ポリ(塩化ビニル);ISD樹脂;ポリウレタン;音響的に変性されたポリ(塩化ビニル)、例えば、Sekisui Companyから市販品として入手可能であるもの;可塑化ポリ(ビニルブチラール);音響的に変性されたポリ(ビニルブチラール);エチレン酸コポリマー;等、ならびにそれらのコポリマーおよびそれらの組み合わせが含まれる。マトリックス材料は、バージン材料に加えて、またはその代わりに、リサイクルされた材料を含んでもよい。
【0064】
好ましくは最適な透明性のために、マトリックス材料はエチレン酸コポリマーの同等物であるか、または少なくとも混和性である。しかしながら、特により高融点のエチレン酸コポリマーと一緒に、より低融点のマトリックス材料を利用することは好都合であると考えられる。例えば、フィルムの相対的な薄さのため、および最終的なフィルム組成物中のマトリックス材料の低レベルのため、最終的なフィルムの透明性は過度に損なわれない。
【0065】
再び加工考察を条件として、ナノ粒子濃縮物を形成するためにマトリックス材料中に組み入れられるナノ粒子の量は、ナノ粒子およびマトリックス材料の組み合わせられた重量を基準にして、約30〜約80重量%、好ましくは約30〜約50重量%、そしてより好ましくは約35〜約45重量%の範囲であってよい。
【0066】
ナノ粒子濃縮物は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物での使用のために適切であるとして上記で明示されたもののような1つ以上の任意の添加剤を含んでもよい。ナノ粒子濃縮物中の任意の添加剤の濃度は、所望の最終濃度およびナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を配合するためのプロセスの選択次第で、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の濃度と同じであっても、または異なってもよい。ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、約0.0001重量%〜約75重量%のナノ粒子濃縮物および約99.9999重量%〜約25重量%のエチレン酸コポリマー;好ましくは約0.0001重量%〜約40重量%のナノ粒子濃縮物および約99.9999重量%〜約60重量%のエチレン酸コポリマー;より好ましくは約0.0001重量%〜約20重量%のナノ粒子濃縮物および約99.9999重量%〜約80重量%のエチレン酸コポリマー;そしてなおより好ましくは、約0.0001重量%〜約10重量%のナノ粒子濃縮物および約99.9999重量%〜約90重量%のエチレン酸コポリマーを含んでよい。
【0067】
ナノ粒子濃縮物からナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を製造するプロセスは、好ましくは高剪断溶融混合プロセスによって実行される。好ましくは、かかるプロセスは、溶融エチレンコポリマー樹脂と、ナノ粒子濃縮物および存在する場合、任意の成分との高剪断混合を含む。いずれもの混合工程の前に、ナノ粒子濃縮物は任意に乾燥され、そして粉末化されるか、またはペレット化されてよい。混合工程で、エチレンコポリマーに関しても適切ないずれかの様式でナノ粒子濃縮物を取り扱ってもよい。他の点では、適切および好ましい加工条件は上記に記載されたとおりである。
【0068】
好ましくは、マトリックス材料中のナノ粒子濃縮物は、下記のフィルムまたはシート形成プロセスの一部として、エチレン酸コポリマーとブレンドされる。
【0069】
あるいは、赤外線無機吸収ナノ粒子を約0.01〜約80重量%のレベルで、可塑剤に、あるいは溶媒に添加してもよい。好ましくは、摩擦ミル、サンドミル、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、スプレーデアグロメレーター、3本ロールミル等のような装置を使用するプロセスによって、ナノ粒子をデアグロメレーションする。次いで、得られた懸濁液または分散体を、好ましくは高剪断溶融混合プロセスで、エチレン酸コポリマーに添加してよい。好ましい加工条件は、上記に記載されたとおりである。
【0070】
また、本発明のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を含んでなるフィルムおよびシートも本明細書で提供される。これらのフィルムおよびシートで、適切および好ましい組成物は、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物に関して上記で明示されたとおりである。しかしながら、一般的に、ほとんどの用途で、ほぼ同一レベルのエネルギー吸収が望ましく、そしてフィルムはシートより薄いため、フィルムはシートより高濃度のナノ粒子を含む。
【0071】
フィルムとシートとの間の差異は厚さである。しかしながら、フィルムがいつからシートになるのかについて業界基準は設定されていない。本発明の目的のために、ポリマーフィルムは、約10ミル(0.25mm)以下;好ましくは約0.5ミル(0.012mm)〜約10ミル(0.25mm);より好ましくは約1ミル(0.025mm)〜約5ミル(0.13mm)の厚さを有する。自動車フロントガラスに関しては、ポリマーフィルムの厚さは、好ましくは、約1ミル(0.025mm)〜約4ミル(0.1mm)の範囲であってよい。
【0072】
本発明のポリマーシートは、ポリマーシートから製造されたラミネートの同時に増加する貫通強度に基づき、約10ミル(0.25mm)より厚い;好ましくは約15ミル(0.38mm)より厚い;より好ましくは約30ミル(0.75mm)より厚い;なおより好ましくは約50ミル(1.25mm)より厚い厚さを有する。高い貫通強度は、ハリケーンおよびセキュリティ侵害の試みから生じるもののような異常な物理的傷害に対して耐性を必要とする用途での望ましい特徴である。60ミル(1.50mm)、90ミル(2.25mm)より厚い、さらには120ミル(3.00mm)より厚い中間層は、今や市販品として入手可能である。
【0073】
本発明のフィルムおよびシートは、いずれかの適切なプロセスによって製造され得る。例えば、米国特許第4,372,311号明細書に記載されるように浸漬コーティングによって、米国特許第4,427,614号明細書に記載されるように圧縮成形によって、米国特許第4,880,592号明細書に記載されるように溶融押出によって、米国特許第5,525,281号明細書に記載されるように溶融吹き込みによって、または他の適切なプロセスによって薄フィルムを形成することができる。ポリマーシートは、例えば、押出、カレンダリング、溶液キャスティングまたは射出成形によって成形することができる。当業者は、ポリマー組成物でおよびシートまたはフィルム形成に使用される方法に基づき、適切なプロセスパラメータを認識することができるであろう。
【0074】
しかしながら、好ましくは、本発明のフィルムは溶液キャスティングまたは押出によって形成され、そして本発明のシートは押出によって形成される。押出は、フィルムおよびシートのような長く連続的な製品を形成するための特に好ましい方法である。
【0075】
押出または射出成形のような溶融加工法が使用される場合、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の溶融加工温度は、好ましくは約50℃〜約300℃、そしてより好ましくは約100℃〜約250℃である。本発明のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物は、一般的に優れた熱安定性を特徴とし、それによって、有効溶融粘度を低下させる高温でのそれらの処理が可能となる。
【0076】
本発明のシートおよびフィルムは、少なくとも1層がナノ粒子を含んでなる2層以上の層を有する多層ラミネートを含む。多層フィルムおよびシート構造は、例えば、共押出、インフレーションフィルム、浸漬コーティング、溶液コーティング、ブレード、パドル、エアナイフ、印刷、ダルグレン(Dahlgren)、グラビア、粉末コーティング、スプレー、または他の分野のプロセスのようないずれかの適切な手段で形成されてよい。個々の層は、例えば熱、接着剤および/または結合層によって連結されてもよい。好ましくは、多層フィルムは、押出キャスティングプロセスによって製造される。
【0077】
用途を拡大するために、多くのフィルムおよびシート形成方法、特に押出プロセスを様々な押出後操作と組み合わせることもできる。かかる成形後操作としては、丸形から楕円形への変更、異なる寸法へのフィルムのブロー成形、機械加工、穴あけ、伸長または配向、圧延、カレンダリング、コーティング、エンボス加工、印刷、Vicat軟化点を増加させるためのEビーム処理のような放射線等が挙げられる。押出後操作は、ポリマー組成、ポリマーの成形法およびフィルムまたはシートの成形法と一緒に、透明性、収縮、引張強度、破断点伸び、衝撃強度、絶縁耐力および誘電率、引張係数、化学薬品耐性、融点、熱撓み温度、接着性等のような多くの特性に影響を及ぼす。
【0078】
例えば、いずれかの方法によって形成されたフィルムおよびシートを、いずれかの適切な方法に従って、形成後、縦および横断方向の一方または両方で伸長することによって、一軸または二軸配向してもよい。また二軸配向フィルムが伸長されて、すなわち、縦方向にさらに引き抜かれてもよい。好ましくは、引抜きまたは伸長は、フィルム材料のガラス転移温度より少なくとも10℃高い、より好ましくはフィルム材料のVicat軟化温度未満、なおより好ましくはフィルム材料のVicat軟化点より少なくとも10℃低い温度で実行される。
【0079】
好ましくは、配向フィルムおよびシートの収縮は、熱安定化によって、すなわち、伸長された位置でフィルムまたはシートを保持し、そして急冷する前に数秒間加熱することによって制御される。これによって、配向フィルムまたはシートは安定し、それは次いで、熱安定化温度より高い温度のみで収縮し得る。好ましくは、配向フィルムまたはシートは、150℃で30分後、両方向で2パーセント未満収縮する。
【0080】
好ましくは、ポリマーフィルムまたはシートの一方または両方の表面は、接着性を向上させるために処理される。この処理としては、限定されないが、接着剤、シランを含むプライマー、火炎処理、プラスマ処理、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、熱気処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶媒処理等およびそれらの組み合わせを含むいずれかの適切な形式が取られてよい。接着剤およびプライマーは、シートのために好ましい処理である。
【0081】
本質的に、いかなる接着剤も本発明での使用に適切である。好ましい接着剤の具体的な例には、限定されないが、ガンマ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピル−トリメトキシシラン等およびそれらの混合物が含まれる。市販品として入手可能である好ましい接着剤には、例えば、Wilton,CTのGE Silicones−OSi Specialtiesから入手可能であり、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランであると考えられるSilquest(商標)A−1100シラン、およびMidland,MIのDow Corning Corporationから入手可能であるZ−6020(商標)シランが含まれる。この接着剤は、溶融プロセスによって、または溶液コーティング、エマルジョンコーティング、浸漬コーティング等のようなコーティングプロセスによって適用されてよい。
【0082】
同様に、本質的に、いかなるプライマーも本発明での使用に適切である。例えば、好ましいプライマーの具体的な例には、ポリアリルアミンをベースとするプライマーが含まれる。1つのポリアリルアミンをベースとするプライマーおよびポリ(エチレンテレフタレート)ポリマーフィルムへのその適用については、例えば、米国特許第5,411,845号明細書、米国特許第5,770,312号明細書、米国特許第5,690,994号明細書および米国特許第5,698,329号明細書に記載される。より好ましくは、本発明のフィルムおよびシートの表面をプライマーでコーティングする。
【0083】
接着剤またはプライマーを使用する場合、当業者は、ポリマーフィルムまたはシート、および接着剤またはプライマーの組成、ならびにコーティングプロセスに基づき、適切なコーティング厚およびプロセスパラメータを認識できる。
【0084】
また、フィルムまたはシートは、一方または両方の表面に、引掻き、摩耗および同様の損傷から外側ポリマー層を保護するための紫外線(UV)硬化樹脂から形成されたハードコート層を有してもよい。いかなる適切なハードコート配合物も利用されてよい。1つの好ましいハードコートは、米国特許第4,027,073号明細書に記載される。ハードコートは、他の望ましい特性を提供するために、さらなる添加剤を組み入れてもよく、または変性されてもよい。例えば、高い引掻き耐性に関して、例えば、実質的に可視光の透過に影響を及ぼさないSiO2、TiO2、ZrO2、Al23またはMgOの微細粒子;くもり防止特性に関して、例えば、湿潤剤として作用し得る親水性モノマー、オリゴマーまたは界面活性剤;高い光沢に関して、例えば、旭電化工業株式会社から入手可能なADEKA OPTMER(商標)KR−567;ならびに水蒸気バリア特性または極性溶媒耐性に関して、例えば、ケイ素またはフッ素を含有するモノマー、オリゴマーまたは樹脂。
【0085】
本発明のシートおよびフィルムは、平滑な表面を有し得る。しかしながら、好ましくは、ラミネート内の中間層として使用されるシートは、積層プロセス間にラミネートの表面間からほとんどの空気が有効に除去されるように、少なくとも1つの粗い表面を有する。押出されたシートの一方または両方の側面上の粗い表面は、ダイ開口部のデザイン、および押出物が通過するダイ出口表面の温度によって提供され得る。粗くすることは、押出後のシートに機械的にエンボス加工することのような押出後の操作によって、またはシートの押出間のメルトフラクチャー等によっても達成され得る。
【0086】
また、本発明の少なくとも1つのフィルムまたはシートを含んでなるソーラーコントロールラミネートも、本発明によって提供される。特定の好ましい実施形態で、本発明のソーラーコントロールラミネートは、本質的に、少なくとも1つのナノ粒子を含有する本発明のフィルムまたはシート、および少なくとも1つの追加の層から成る。追加の層はフィルムまたはシートであってもよい。
【0087】
追加の層として使用するために好ましいフィルムには、限定されないが、配向された、および配向されていないポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等が含まれる。好ましくは、追加のフィルム層は、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)である。追加の層として使用するために好ましいシートには、限定されないが、ポリビニルブチラール組成物、音響的ポリビニルブチラール組成物、エチレンビニルアセテート組成物、熱可塑性ポリウレタン組成物、ポリ塩化ビニルコポリマー組成物、エチレン酸コポリマー組成物等を含んでなるシートが含まれる。
【0088】
追加の層として使用するための好ましい剛性シートには、例えばガラスが含まれる。「ガラス」という用語は、本明細書で使用される場合、窓ガラス、板ガラス、ケイ酸塩ガラス、薄板ガラス、フロートガラス、着色ガラス、例えば太陽熱を制御するための成分を含み得る専門ガラス、例えば銀のようなスパッタ金属でコーティングされたガラス、ATOおよび/またはITOでコーティングされたガラス、E−ガラス、Solex(商標)ガラス(Pittsburgh,PAのPPG Industriesから入手可能)、Toroglass(商標)が含まれる。典型的なガラスの種類は、90ミルの厚さのアニールフラットガラスであり、そして最適の接着を達成するために中間層にガラスのスズ側面を配向することが好ましい。あるいは、剛性シートは、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、環式ポリオレフィン、例えばエチレンノルボルネンポリマー、メタロセン触媒ポリスチレン等およびそれらの混合物または組み合わせのような剛性ポリマーシートであってもよい。好ましくは、剛性シートは透過的である。金属またはセラミックプレートを剛性シートとして使用してもよいが、透明度または透明性がソーラーコントロールラミネートで必要とされない場合のみである。
【0089】
追加の層は、音響バリア特性のような追加の特性を提供してもよい。また、追加の層は、それらに適用された、有機赤外線吸収体、および導電性が不利ではない用途で、スパッタ金属層のような機能性コーティングを有してもよい。当業者は、所望のソーラーコントロールラミネートの構造およびプロセス効率によって指示されるように、上記ハードコート、接着剤およびプライマーも追加の層に適用されてよいことに気が付く。
【0090】
好ましいソーラーコントロールラミネートには、以下のような隣接する層を含んでなる構造が含まれる:
ポリマーフィルム/ナノ粒子含有シート;
ポリマーシート/ナノ粒子含有シート;
ポリマーフィルム/ナノ粒子含有シート/ポリマーフィルム;および
ポリマーシート/ナノ粒子含有フィルム/ポリマーシート。
剛性シート/ナノ粒子含有シート;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/ポリマーフィルム;
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有フィルム;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/第2の剛性シート;
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有フィルム/ポリマーシート/第2の剛性シート;
剛性シート/ナノ粒子含有ポリマーシート/ポリマーフィルム/ポリマーシート/第2の剛性シート;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/第2の剛性シート/ポリマーシート/第3の剛性シート;
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有シート/第2のポリマーシート/第2の剛性シート;および
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有シート/ポリマーフィルム。
【0091】
上記の各実施形態で、いずれかの材料の「第2の」層は、本発明のものであっても、なくても、第1の層の材料と同一であっても、異なってもよい。さらに、いくつかのより好ましい実施形態で、ソーラーコントロールラミネートの層は、それらが隣接するように、互いに直接的に積層される。
【0092】
本発明のソーラーコントロールラミネートを製造するために、いかなる適切なプロセスも使用されてもよい。当業者は、ソーラーコントロールラミネートの層の組成、および剛性ラミネートか、または可撓性ラミネートが望ましいかどうかに依存して、異なるプロセスおよび条件が望ましいであろうことに気が付く。
【0093】
例えば、本発明のシートまたはフィルムは、ニップロールプロセスで1つ以上の他のポリマーフィルムまたはシートに接着されてよい。かかるプロセスでは、追加の層は、1つ以上のカレンダーロールニップを通して本発明のフィルムまたはシートと一緒に供給され、そこで2つの層は適度な圧力をかけられて、その結果、弱く接着されたラミネートが形成される。一般的に、接着圧力は約10psi(0.7kg/cm2)〜約75psi(5.3kg/cm2)の範囲であり、そして好ましくは、約25psi(1.8kg/cm2)〜約30psi(2.1kg/cm2)の範囲である。典型的なライン速度は、1分あたり約5フィート(1.5m)〜約30フィート(9.2m)の範囲である。ニップロールプロセスは、例えばオーブンまたは加熱ロールによって供給される適度な加熱の有無にかかわらず実行されてよい。加熱される場合、ポリマー表面は、一時的な溶融接着を促進するために、すなわち、ポリマーシートまたはフィルムの表面が粘着性となるために十分な温度を達成しなければならない。本発明の好ましいポリマーフィルムおよびシートのための適切な表面温度は約50℃〜約120℃の範囲であり、そして好ましくは表面温度は約65℃である。溶融接着後、ラミネートを1つ以上の冷却ロール上に通過させ、確実にラミネートを十分に強くさせ、保管のために巻き取られる場合に非粘着性にさせる。プロセス水冷却は、一般的にこの目的を達成するために十分である。
【0094】
ソーラーコントロールラミネートを製造するためのもう1つの典型的な手順では、本発明のフィルムまたはシートを含んでなっている中間層を2枚のガラスプレート間の配置し、ガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを形成する。好ましくは、ガラスプレートを洗浄および乾燥させる。真空バッグ(例えば、米国特許第3,311,517号明細書を参照のこと)、真空リング、または約27〜28インチ(689〜711mmHg)の真空を維持できる他の装置を使用して、空気をプレプレスアセンブリの層の間から外へ引き抜く。プレプレスアセンブリは真空下で封着され、次いで圧力下で加熱のためにオートクレーブに配置される。所定の優先順位を増加させることによって、オートクレーブ中の温度は、約130℃〜約180℃、約120℃〜約160℃、約135℃〜約160℃、または約145℃〜約155℃である。オートクレーブの圧力は、好ましくは約200psi(15バール)である。所定の優先順位を増加させることによって、プレプレスアセンブリは、約10〜約50分間、約20〜約45分間、約20〜約40分間または約25〜約35分間オートクレーブで加熱される。加熱および圧力サイクルに続き、オートクレーブの空気は、オートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく冷却される。約20分の冷却後、過剰の気圧は排気され、そしてラミネートをオートクレーブから取り出す。
【0095】
あるいは、ソーラーコントロールラミネートを製造するために、ニップロールプロセスが使用されてもよい。そのようなプロセスでは、ガラス/中間層/ガラスアセンブリをオーブン中で、約80℃と約120℃の間、好ましくは約90℃と約100度との間で、またはその温度まで、約30分間加熱する。その後、加熱されたガラス/中間層/ガラスアセンブリを一組のニップロールに通過させ、ガラスと中間層との間の空隙空間の空気を排出させる。構造の縁部をこの時点で封着し、上記のように、ソーラーコントロールラミネートを製造するために、オートクレーブ中真空下で加工されてもよいプレプレスアセンブリを製造する。
【0096】
また、ソーラーコントロールラミネートは、オートクレーブを使用しないプロセスによって製造されてもよい。いくつかの適切な非オートクレーブプロセスは、例えば、米国特許第3,234,062号明細書、米国特許第3,852,136号明細書、米国特許第4,341,576号明細書、米国特許第4,385,951号明細書、米国特許第4,398,979号明細書、米国特許第5,536,347号明細書、米国特許第5,853,516号明細書、米国特許第6,342,116号明細書、米国特許第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004/0182493号明細書、欧州特許第1 235 683 B1号、ならびに国際公開第91/01880号パンフレットおよび国際公開第03/057478 A1号パンフレットに記載されている。一般的に、非オートクレーブプロセスは、プレプレスアセンブリの加熱、および真空、圧力または両方の適用を含む。例えば、プレプレスアセンブリは加熱オーブンおよびニップロールを通過してもよい。
【0097】
本発明のソーラーコントロールラミネートを含んでなる物品も提供される。本発明の物品の例には、限定されないが、建築用および輸送車両、例えば、自動車、飛行機、トラック、電車および船舶用の窓または天窓のような内部および外部ガラス;階段板またはレールのようなそれらの構成要素を含む手すりおよび階段のような構造用部材;彫刻および他の装飾用物体等が挙げられる。本発明の好ましい物品は、例えば、地震および深刻な気象条件、例えば竜巻またはハリケーンを含む自然災害のため、あるいは犯罪者の活動の予防または犯罪者の活動による損害のようなセキュリティの理由のため、貫入抵抗の増加が望ましい、いずれかの使用のためのガラスを含む。
【0098】
建築用途および輸送車両での使用のために、好ましいソーラーコントロールラミネートは2枚のガラス層、および両方のガラス層に直接積層された本発明の単一中間層を有する。これらの用途で、ソーラーコントロールラミネートは、好ましくは、約3mm〜約30mmの全体的な厚さを有する。中間層は典型的に、約0.38mm〜約4.6mmの厚さを有し、そして各ガラス層は通常、少なくとも1mmの厚さであるか、またはより厚い。本発明の中間層は、好ましくはガラス層に直接接着され、従って、ガラスは中間層に隣接し、そして接着剤は好ましくは必要とされない。また、ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの5層ラミネート、ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラス/中間層/ガラスの7層ラミネート等のような多層ソーラーコントロールラミネートも好ましい。
【実施例】
【0099】
以下の例はあくまで例示のために示され、決して本発明の範囲を限定する意図はない。
【0100】
分析方法
Perkin Elmer Lambda19分光光度計を使用して、ASTM試験方法E424およびE308、ならびにISO9050:2003およびISO13837試験方法に従って、ソーラーコントロール特性を測定した。
【0101】
材料
インジウムスズ酸化物ナノ粒子は、Romeoville,ILのNanoPhase Technologies Companyから、商用名「Nanotek」で入手可能である。このグレードは、10nmの公称粒度を有すると考えられる。
【0102】
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)は、19重量%のメタクリル酸を含有し、そして酸基の37%はナトリウムイオンで中和される。同様のポリマーは、Wilmington,DEのE.I.du Pont de Nemours & Co.から商標「Surlyn」(登録商標)で入手可能である。
【0103】
調製例PE1
インジウムスズ酸化物(40重量%)を、ポリビニルブチラール(18〜18.5のヒドロキシル価を有する50重量%の中間粘度グレード)およびトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(10重量%)と混合し、粉末ブレンドを形成した。粉末ブレンドに高剪断の集中的な溶融混合を、30分間180℃〜200℃の範囲の温度まで加熱された2本ロールミル上で受けさせた。溶融物をスラブへとキャストした。スラブを室温まで冷却し、そして粉砕して別々のチップを形成した。
【0104】
実施例1
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(35.00グラム、19重量%メタクリル酸、ナトリウムイオンにより37%中和されたもの)のペレットを、150℃に予熱されたBrabender Plasti−Corder(商標)PL2000押出機(C.W.Brabender,South Hackensack,NJから入手可能)に取り付けられたミキサーヘッド(Roller Bladesを備えたType Six Mixer)に配置した。ポリマーを50rpmのスクリュー速度で、Brabenderで溶解した。5分後、調製例PE1(5.00グラム)の生成物を添加し、そして得られたブレンドを150℃で0.50時間溶融配合した。
【0105】
上記製造されたブレンド生成物を溶融プレス上で4インチ×4インチ×15ミル(102mm×102mm×0.38mm)プラークへと圧縮した。プレスサイクルは、6000psiの圧力での3分のヒートアップ工程、12,000psiでの2分の保持、そして12,000psiでの4分のクールダウンを含んだ。最大プレス温度は176℃(測定時)であった。
【0106】
実施例2
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(92.00グラム)および実施例1からの生成物(8.00グラム)のペレットブレンドをBrabender押出機に供給した(押出機ヘッド:25:1L/d一軸スクリュー、直径0.75インチ(19.05mm))。押出機の温度プロフィールは、40rpmのスクリュー速度で、供給領域、110℃、セクション1、200℃、セクション2、200℃およびダイプレート、200℃であった。得られた配合ブレンドを回収し、そして同一条件で2回より多く押出機を通してフィードバックした。
【0107】
得られた生成物を溶融プレス上でプラークへと圧縮した。プラークのサイズは、4インチ×4インチ×30ミル(102mm×102mm×0.75mm)、3インチ×3インチ×30ミル(76mm×76mm×0.75mm)、および3インチ×3インチ×15ミル(76mm×76mm×0.38mm)であった。プレスサイクルは、6000psiの圧力での3分のヒートアップ工程、12,000psiでの2分の保持、そして12,000psiでの4分のクールダウンを含んだ。最大プレス温度は176℃(測定時)であった。
【0108】
比較例CE1
ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸)(92.00グラム)のペレットをBrabender押出機に供給した(押出機ヘッド:25:1L/d一軸スクリュー、直径0.75インチ(19.05mm))。押出機の温度プロフィールは、40rpmのスクリュー速度で、供給領域、110℃、セクション1、200℃、セクション2、200℃およびダイプレート、200℃であった。得られた配合ブレンドを回収し、そして同一条件で2回より多く押出機を通してフィードバックした。
【0109】
得られた生成物を溶融プレス上でプラークへと圧縮した。プラークのサイズは、4インチ×4インチ×30ミル(102mm×102mm×0.75mm)、3インチ×3インチ×30ミル(76mm×76mm×0.75mm)、および3インチ×3インチ×15ミル(76mm×76mm×0.38mm)であった。プレスサイクルは、6000psiの圧力での3分のヒートアップ工程、12,000psiでの2分の保持、そして12,000psiでの4分のクールダウンを含んだ。最大プレス温度は176℃(測定時)であった。
【0110】
比較例CE2
透明なアニールフロートガラスプレート層、比較例CE1のプラークおよび第2の透明なアニールフロートガラスプレート層(それぞれ4インチ×4インチ;ガラス層2.5mm厚;プラーク0.75mm厚;ガラスの空気側面はプラーク中間層と接触する)を含むガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、ガラス/中間層/ガラスアセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからガラス/中間層/ガラスラミネートを取り出す。
【0111】
得られたラミネートは70.3の太陽光線透過率および78.2の可視光透過率を有した。
【0112】
実施例3
透明なアニールフロートガラスプレート層、実施例2のプラークおよび第2の透明なアニールフロートガラスプレート層(それぞれ4インチ×4インチ;ガラス2.5mm厚;プラーク0.75mm厚;ガラスの空気側面はプラーク中間層と接触する)を含むガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、ガラス/中間層/ガラスアセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでガラス/中間層/ガラスプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからガラス/中間層/ガラスラミネートを取り出す。
【0113】
ラミネートは52.0の太陽光線透過率および68.7の可視光透過率を有した。
【0114】
比較例CE3
透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×3mm厚、ガラス層の空気側面はプラーク中間層と接触する)、比較例CE1のプラーク(3インチ×3インチ×30ミル)、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(4インチ×4インチ)、薄テフロン(Teflon)(登録商標)フィルム層および第2の透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.5mm厚)を含むプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、アセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからラミネートを取り出す。薄テフロン(Teflon)(登録商標)フィルムおよび第2のガラスシートを除去し、ガラス/中間層/二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムラミネートを得る。
【0115】
このラミネートは77.4の太陽光線透過率および80.3の可視光透過率を有した。
【0116】
実施例4
透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×3mm厚、ガラス層の空気側面はプラーク中間層と接触する)、実施例2のプラーク(3インチ×3インチ×30ミル)、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム(4インチ×4インチ)、薄テフロン(Teflon)(登録商標)フィルム層および第2の透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.5mm厚)を含むプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、プレプレスアセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからラミネートを取り出す。薄テフロン(Teflon)(登録商標)フィルムおよび第2のガラスシートを除去し、ガラス/中間層/二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムラミネートを得る。
【0117】
このラミネートは57.0の太陽光線透過率および69.7の可視光透過率を有した。
【0118】
比較例CE4
Solex(商標)グリーンガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.3mm厚)、比較例CE1の2つのプラーク(3インチ×3インチ×15ミル)および透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.5mm厚、ガラスの空気側面はプラーク中間層と接触する)を含むプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、ガラス/中間層/中間層/ガラスアセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからガラス/中間層/中間層/ガラスラミネートを取り出す。
【0119】
ラミネートは55.0の太陽光線透過率および71.6の可視光透過率を有した。
【0120】
実施例5
Solex(商標)グリーンガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.3mm厚)、実施例2の2つのプラーク(3インチ×3インチ×15ミル)および透明なアニールフロートガラスプレート層(4インチ×4インチ×2.5mm厚、ガラスの空気側面はプラーク中間層と接触する)を含むプレプレスアセンブリを真空バッグに配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、ガラス/中間層/中間層/ガラスアセンブリの層の間に含有されるいずれの空気も除去した。次いでプレプレスアセンブリを、200psig(14.3バール)の圧力のエアオートクレーブ中で30分間135℃で加熱した。次いでオートクレーブの圧力を維持するための追加の気体を添加することなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気の温度が約50℃未満になった時、過剰の圧力を排気し、そしてオートクレーブからガラス/中間層/中間層/ガラスラミネートを取り出す。
【0121】
ラミネートは37.3の太陽光線透過率および57.2の可視光透過率を有した。
【0122】
本発明の特定の好ましい実施形態が上記に記載され、そして特に例示されているが、本発明がかかる実施形態に限定されるようには意図されない。特許請求の範囲に記載されるように本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.エチレン酸コポリマーと、
b.無機赤外線吸収ナノ粒子と
を含んでなるナノ微粒子ソーラーコントロール組成物であって、
無機赤外線吸収ナノ粒子が、好ましくはアンチモンスズ酸化物、インジウムスズ酸化物またはランタン六ホウ化物の1つ以上を含んでなり;
前記ソーラーコントロール組成物が、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、好ましくは約0.01〜約80重量%、より好ましくは約0.01〜約5重量%、または約35〜約45重量%の無機赤外線吸収ナノ粒子を含んでなり;
そしてさらにエチレン酸コポリマーが、エチレン酸コポリマーの総重量を基準にして、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、そしてより好ましくは約15重量%〜約25重量%の1つ以上の酸コモノマーを含んでなり;
そしてエチレン酸コポリマーが、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびモノメチルマレイン酸からなる群から選択される1つ以上の酸コモノマーを含んでなり、そしてより好ましくはエチレン酸コポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、またはアクリル酸およびメタクリル酸の両方を含んでなり;
そしてエチレン酸コポリマーの酸基が、任意に、少なくとも部分的に、1つ以上の金属カチオンによって、好ましくは約20%〜約80%のレベルまで、そして好ましくはナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛およびアルミニウムからなる群から選択される1つ以上の金属イオンによって中和されていてもよく;
そしてエチレン酸コポリマーが、任意に、アルキル基が約20個までの炭素を含む分枝鎖または非分枝鎖部分であり、そしてアルキル基が未置換または1つ以上のヒドロキシル基によって置換されたアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレート、ジアルキルマレアート(C1〜C4アルキル)、ジアルキルフマレート(C1〜C4アルキル)、ジメンチルフマレート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネートからなる群から選択される1つ以上の他のコモノマーをさらに含んでもよく;
そして1つ以上の他のコモノマーが、エチレン酸コポリマーの総重量を基準にして、約50重量%までの有限量で存在してもよく;
前記ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物が、任意に、可塑剤、分散剤、界面活性剤、キレート試薬、熱安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、溶融流動を減少させる添加剤、開始剤、液体エラストマーおよびカップリング剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含んでいてもよいナノ微粒子ソーラーコントロール組成物。
【請求項2】
好ましくはフィルムまたはシートである請求項1に記載のポリマーブレンドを含んでなる成形品であって;シートが、任意に、少なくとも1つの粗い表面を有していてもよく;フィルムまたはシートが、任意に、UV硬化ハードコート層をさらに含んでいてもよく;そして独立して、フィルムまたはシートが、任意に、接着性を向上するために処理されていてもよく;そしてフィルムが、好ましくは接着剤、シランを含むプライマー、火炎処理、プラスマ処理、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、熱気処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理および溶媒処理からなる群から選択される1つ以上の処理によって処理され;そしてシートが、好ましくは接着剤、プライマー、または接着剤およびプライマーの両方によって処理される成形品。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルムまたはシートを含んでなるソーラーコントロールラミネート。
【請求項4】
第1の追加の層および任意に第2の追加の層をさらに含んでいてもよい請求項3に記載のソーラーコントロールラミネートであって、第1の追加の層もしくは第2の追加の層、または第1および第2の追加の層の両方が、好ましくは接着剤、プライマーおよびハードコートからなる群から独立して選択されるコーティングをさらに含んでなり;そして第1の追加の層もしくは第2の追加の層、または第1および第2の追加の層の両方が、好ましくは剛性シートである、ソーラーコントロールラミネート。
【請求項5】
フィルムまたはシートが第1の追加の層と第2の追加の層との間の配置され、そして好ましくは(a)第1の追加の層および第2の追加の層がガラスであるか;あるいは(b)第1の追加の層が、好ましくはガラスであり、そして第2の追加の層が、好ましくは二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)であるか;あるいは(c)ソーラーコントロールラミネートが、第1の追加の層とフィルムまたはシートとの間に配置される第3の追加の層をさらに含んでなり、そしてより好ましくは第3の追加の層とフィルムまたはシートとの間に配置される第4の追加の層をさらに含んでなるか;あるいは(d)第4の追加の層が、第2の追加の層とフィルムまたはシートとの間に配置され、第1および第2の追加の層が剛性シートであり、そして第3および第4の追加の層が、フィルムまたはシートから独立して選択されるか;あるいは(e)フィルムまたはシートと、第1および第2の追加の層とが隣接しそして、第3の追加の層が第2の追加の層に隣接し、そして第4の追加の層が第3の追加の層に隣接し、そして第3の追加の層がフィルムまたはシートであり、そして第4の追加の層が剛性シートである、請求項4に記載のソーラーコントロールラミネート。
【請求項6】
第1の追加の層と第2の追加の層とが隣接し、そしてフィルムまたはシートが第2の追加の層に隣接し;そして好ましくは第1および第2の追加の層とフィルムまたはシートとが隣接し、そして第1の追加の層が剛性シートであり、そして第2の追加の層がフィルムまたはシートであり、そしてソーラーコントロールラミネートが、請求項2に記載の第2のフィルムまたはシート、そして任意に、剛性シートである第3の追加の層をさらに含んでなり、そして第2のフィルムまたはシートがフィルムまたはシートに隣接し、そして任意の第3の層が第2のフィルムまたはシートに隣接する、請求項4に記載のソーラーコントロールラミネート。
【請求項7】
剛性シート/ナノ粒子含有シート;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/ポリマーフィルム;
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有フィルム;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/第2の剛性シート;
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有フィルム/ポリマーシート/第2の剛性シート;
剛性シート/ナノ粒子含有ポリマーシート/ポリマーフィルム/ポリマーシート/第2の剛性シート;
剛性シート/ナノ粒子含有シート/第2の剛性シート/ポリマーシート/第3の剛性シート;剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有シート/第2のポリマーシート/第2の剛性シート;および
剛性シート/ポリマーシート/ナノ粒子含有シート/ポリマーフィルムからなる群から選択される構造を有する、請求項3に記載のソーラーコントロールラミネート。
【請求項8】
建築または輸送車両に用いられる内部または外部の窓または天窓;構造用部材;彫刻;および装飾用物体からなる群から選択される、請求項3に記載のソーラーコントロールラミネートを含んでなる物品。
【請求項9】
請求項1に記載のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の製造方法であって、
無機赤外線吸収ナノ粒子が、ナノ粒子濃縮物の総重量を基準にして、約30重量%〜約80重量%のレベルで存在する、マトリックス材料および無機赤外線吸収ナノ粒子を含んでなるナノ粒子濃縮物を提供する工程と;
エチレン酸コポリマーを提供する工程と;
ナノ微粒子ソーラーコントロール濃縮物およびエチレン酸コポリマーを組み合わせ、好ましくは押出法でナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を形成する工程と
を含んでなり;
無機赤外線吸収ナノ粒子が、ナノ粒子濃縮物の総重量を基準にして、好ましくは約30重量%〜約50重量%、そしてより好ましくは約35重量%〜約45重量%のレベルで存在し;
無機赤外線吸収ナノ粒子が、好ましくはアンチモンスズ酸化物、インジウムスズ酸化物またはランタン六ホウ化物の1つ以上を含んでなり;
そしてマトリックス材料が、好ましくは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、環式ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、ジンジオタクチックポリスチレン、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリ(ウレタン)、アクリル樹脂、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル);エチルアクリルアセテート;エチルメタクリレート;メタロセン触媒によるポリエチレン;可塑化ポリ(塩化ビニル);ISD樹脂;ポリウレタン;音響的に変性されたポリ(塩化ビニル);可塑化ポリ(ビニルブチラール);音響的に変性されたポリ(ビニルブチラール);およびエチレン酸コポリマーからなる群から選択される1つ以上のポリマーを含んでなり;
そしてマトリックス材料が、リサイクルされた材料、バージン材料またはリサイクルされた材料およびバージン材料の両方を含んでなってよく;
そしてより好ましくは、マトリックス材料が、エチレン酸コポリマーに等しいか、もしくは混和性であるか、またはエチレン酸コポリマーの融点より低い融点を有し;
そしてナノ微粒子ソーラーコントロール組成物が、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、好ましくは約0.0001重量%〜約75重量%、より好ましくは約0.0001重量%〜約10重量%のナノ粒子濃縮物を含んでなり;
そしてナノ微粒子ソーラーコントロール組成物が、ナノ微粒子ソーラーコントロール組成物の総重量を基準にして、好ましくは約99.9999重量%〜約25重量%のエチレン酸コポリマー、より好ましくは約99.9999重量%〜約90重量%のエチレン酸コポリマーを含んでなる方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法によって得られるナノ微粒子ソーラーコントロール組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のナノ微粒子ソーラーコントロール組成物を含んでなる成形品。
【請求項12】
フィルムまたはシートである請求項11に記載の成形品。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルムまたはシートを含んでなるソーラーコントロールラミネート。

【公表番号】特表2009−501271(P2009−501271A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521524(P2008−521524)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/026876
【国際公開番号】WO2007/094815
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】