説明

ナノ材料を被着させることを含む組成物および方法

ナノ材料および液体媒体を含み、液体媒体が、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物で構成されるインク組成物が開示される。ナノ材料、液体媒体、および散乱体で構成されるインク組成物も開示される。ナノ材料および液体媒体で構成され、液体媒体が過フルオロ化合物で構成される、インク組成物がさらに開示される。ナノ材料および約25ダイン/cmを超えない表面張力を有する液体媒体を含むインクを、インクジェット印刷する方法が開示される。ある好ましい実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。インクから調製されたデバイスおよび本発明の方法も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2007年6月25日に出願された米国出願番号60/946,090および2007年7月12日に出願された米国出願番号60/949,306に対して優先権を主張し、このそれぞれはこの全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0002】
本発明は、ナノ材料を含む組成物およびナノ材料またはナノ材料を含む組成物を被着させることを含む方法を含むが、これらに限定されない、ナノ材料の技術分野に関するものである。
【発明の概要】
【0003】
ナノ材料を被着させるための改良された組成物および方法を開発することが好都合であることが認識されてきた。このような方法および組成物は、デバイスおよび/またはデバイスのアレイを製造するために有用である。
【0004】
本発明の一態様により、ナノ材料および液体媒体で構成されるインク組成物が提供され、液体媒体は過フルオロ化合物で構成される。ある最も好ましい実施形態において、液体媒体は、3Mより入手できるFluorinert FC−77で構成される。
【0005】
本発明によるインクの、本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、インク組成物は分散物で構成される。ある用途では、分散物がコロイド状であることが望ましい。
【0006】
ある実施形態において、インクは散乱体をさらに含むことが可能である。
【0007】
ある実施形態において、液体媒体は、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む過フルオロ化合物で構成される。ある実施形態において、官能性単位はUV処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は熱処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は、当業者によってただちに確認可能な他の架橋技法によって架橋することが可能である。ある実施形態において、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物は、液体媒体そのものであることが可能である。ある実施形態において、組成物は共溶媒であることが可能である。ある実施形態において、組成物は液体媒体との混合物の成分であることが可能である。
【0008】
ある実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。ある好ましい実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成され、半導体ナノ結晶の少なくとも一部は半導体ナノ結晶の表面に結合されたフッ化リガンドを含む。
【0009】
本発明の一態様により、ナノ材料および液体媒体で構成されるインク組成物が提供され、液体媒体は架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物で構成される。ある実施形態において、官能性単位はUV処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は熱処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は、当業者によってただちに確認可能な他の架橋技法によって架橋することが可能である。ある実施形態において、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物は、これ自体が液体媒体であることが可能である。ある実施形態において、組成物は共溶媒であることが可能である。ある実施形態において、組成物は液体媒体との混合物の成分であることが可能である。
【0010】
ある実施形態において、インクは散乱体をさらに含むことが可能である。
【0011】
本発明の別の態様により、ナノ材料、液体媒体、および散乱体で構成されるインク組成物が提供される。
【0012】
散乱体(本明細書では散乱粒子とも呼ばれる。)の例は、限定されることなく、金属または金属酸化物粒子、気泡、ならびにガラスビーズ(中実または中空)を含む。他の散乱体は、当業者によってただちに識別可能である。ある実施形態において、散乱体は球形状を有する。散乱粒子の好ましい例は、TiO、SiO、BaTiO、およびZnOを含むが、これらに限定されない。散乱体のサイズおよびサイズ分布の選択は、当業者によってただちに決定可能である。サイズおよびサイズ分布は、散乱粒子および存在し得る任意の液体媒質の除去後に散乱体が分散されるホスト材料の屈折率のミスマッチと、レイリー散乱理論に従って散乱される事前に選択した波長とに好ましくは基づいている。散乱粒子の表面は、ホスト材料における分散性および安定性を改善するためにさらに処理され得る。一実施形態において、散乱粒子は、0.001から20重量%の範囲内の濃度の、粒径0.2μmのTiO(DuPontによるR902+)で構成される。ある好ましい実施形態において、散乱体の濃度範囲は0.1から10重量%である。あるさらに好ましい実施形態において、インクは、TiOで構成される散乱体を約1から約5重量%の範囲内の濃度で含む。
【0013】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)を液体媒体中に個別に分散させる必要はない。ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)は凝集され得る。本明細書に記載する本発明のある実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)は、ポリマー粒子の中に含まれ得るか、またはポリマー粒子に吸着され得る。本明細書に記載する本発明のある実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)は、マトリクスの中に含まれ得るか、またはマトリクスに吸着され得る。マトリクスはポリマー性または非ポリマー性であることが可能である。
【0014】
本明細書に記載した本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。
【0015】
半導体ナノ結晶は、発光デバイス、ディスプレイ、光検出器、不揮発性ランダムメモリデバイス、太陽電池、センサ、光起電力デバイスなどを含むが、これらに限定されない各種のデバイスにおける使用および他の最終使用用途に特に適切となる特徴および特性を有している。
【0016】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成され、半導体ナノ結晶の少なくとも一部は半導体ナノ結晶の表面に付着された1つ以上のリガンドを含む。
【0017】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、本発明の実施形態によるインクは、電荷を輸送することが可能である材料をさらに含むことが可能である。ある実施形態において、電荷を輸送することが可能である材料は、インクに含まれる半導体ナノ結晶のバンドギャップよりも少なくとも大きい三重項エネルギーを有する。ある実施形態において、インクに含まれる電荷を輸送することが可能である材料は、液体媒体に少なくとも部分的に溶解性である。
【0018】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、本発明の実施形態によるインクは、インクジェット液体媒体およびインクに通例使用される成分などの多種多様の成分、例えば、これらに限定されないが、溶媒、共溶媒、界面活性剤、殺生物剤、緩衝剤、粘度調節剤、金属イオン封鎖剤、着色料、安定剤、保湿剤、充填剤、増量剤、水、およびこの混合物をさらに含み得る。
【0019】
本発明の別の態様により、ナノ材料および約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体で構成されるインク組成物を被着させる方法が提供される。ある実施形態において、液体媒体は約15ダイン/cmを超えない表面張力を有する。約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体の例は、各種の電子デバイス(例えば発光デバイス、光検出器、および半導体ナノ結晶を含む他のデバイス)を製造するために通例使用される有機材料が不溶性である液体媒体を含む。このような液体媒体の例は、フッ化溶媒、例えば過フルオロデカリン、または3Mによって販売されているFluorinertシリーズの溶媒を含む。このような溶媒からインクを生成する際に、表面張力および粘度は、インクジェットに通常必要な表面張力および粘度、例えば25ダイン/cmよりも低下し得る。Fluorinert FC−77は、例えば、13ダイン/cmの表面張力および1.3cPの粘度を有する。
【0020】
ナノ材料および約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体で構成されるインク組成物を、印刷するためにインクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバを含むインクジェットシステムから被着させる方法であって、インクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバ内の大気圧に対して陰圧を生成することと;インクを印刷することとを含む方法。方法は、インクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバを含むインクジェットシステムを使用して、これらの溶媒で作製したインクをより着実にインクジェット印刷することが可能である。インクジェット・カートリッジ・リザーバ内で(大気圧に対して)陰圧を生成することによって、より安定なジェットを達成することが可能である。ある実施形態において、より安定なジェットは、例えばインクジェット・カートリッジ・リザーバをインクジェットノズルの下に配置することによって達成することが可能である。好ましくは、インクジェット・カートリッジ・リザーバは、インクジェット・カートリッジ・リザーバの高さを調整してカートリッジリザーバ内でわずかな陰圧を得られるように、インクジェットノズルに対して保持または位置決めされる。方法は、界面活性剤または他の成分の添加を必要とせずに、ナノ材料および約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体で構成されるインク組成物のインクジェット印刷を容易にすることが可能である。
【0021】
別個の界面活性剤および/または他の添加剤の添加を必要とせずに、ナノ材料(例えばリガンドを含む半導体ナノ結晶)を含む約25ダイン/cm未満の表面張力を有するインクをインクジェット印刷する能力は、このようなさらなる添加剤がこの化学特性、光学特性、または電子特性および/またはこれらの性能に悪影響を有し得るデバイスおよび他の電子構造物の製造において好都合である。
【0022】
ある実施形態において、インクは、基板および本明細書に記載する他の表面を含むが、これに限定されない表面に被着される。
【0023】
ある実施形態において、ナノ材料は発光することが可能である無機ナノ粒子で構成される。
【0024】
ある実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。半導体ナノ結晶は、発光デバイス、ディスプレイ、光検出器、不揮発性ランダムメモリデバイス、太陽電池、センサ、光起電力デバイスなどを含むが、これらに限定されない各種のデバイスにおける使用および他の最終使用用途に特に適切となる特徴および特性を有している。
【0025】
ある実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成され、半導体ナノ結晶の少なくとも一部は半導体ナノ結晶の表面に付着された1つ以上のリガンドを含む。
【0026】
ある実施形態において、方法は、インクからの液体媒体の除去をさらに含む。ある実施形態において、液体媒体は、液体媒体の除去時に、被着されたナノ材料を含む層が平面であるように選択される。
【0027】
ある実施形態において、液体媒体は、インクが被着される層に含まれる材料が不溶性である液体を含む。
【0028】
本発明の別の態様により、デバイスを製造する方法が提供される。方法は、本発明の態様または実施形態によるインクを、電極を含む基板の上に被着させることを含む。基板は、1つ以上のさらなる層および/または機構を場合により含み得る。別の詳説された態様において、基板への被着後に、液体媒体はインクから除去される。別の詳説された態様において、1つ以上のさらなる層および/または機構は、半導体ナノ結晶の上に配置される。
【0029】
本発明の別の態様により、本発明の態様または実施形態によるインクを、電極を含む基板の上に所定の配列で被着させることを含む、デバイスのアレイを形成する方法が提供される。例えば、インクはパターン形成されたまたはパターン形成されていない配列で被着させることが可能である。
【0030】
基板は、1つ以上のさらなる層および/または機構を場合により含み得る。別の詳説された態様において、基板への被着後に、液体媒体はインクから除去される。別の詳説された態様において、1つ以上のさらなる層および/または機構は、半導体ナノ結晶の上に配置される。ある実施形態において、異なる発光材料を含む2種以上のインクが所定の配列で被着される。例えば、インクはパターン形成されたまたはパターン形成されていない配列で被着させることが可能である。
【0031】
本発明の他の態様により、本明細書で教示するインク組成物を含むデバイスが提供される。ある実施形態において、インクおよび/または組成物はデバイスの部品に含まれる。ある実施形態において、インクおよび/または組成物は部品の表面に含まれる。ある実施形態において、インクおよび/または組成物はデバイスに層として含まれることが可能である。ある実施形態において、インクおよび/または組成物はデバイス上面および/または下面に含まれる。インクおよび/または組成物は、インクおよび/または組成物が配置される表面の所定の領域上に所定の配列で含まれることが可能である。このような配列は、特定の用途に従ってパターン形成される、またはパターン形成されないことが可能である。ある実施形態において、1個を超える所定の配列が含まれる。ある実施形態において、デバイスはディスプレイ、発光デバイス、または他の照明ユニットを含む。ある実施形態において、デバイスは光起電力デバイスを含む。ある実施形態において、デバイスは別の電子または光電子デバイスを含む。
【0032】
本明細書に記載される上述のおよび他の態様は、本発明の実施形態をすべて構成する。
【0033】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも例示および説明のためだけであり、請求されるような本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。他の実施形態は、本明細書で開示される発明の明細および実施を考慮することにより当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による方法の実施形態を実施するために使用するための、機器構成の例の概略図を示す。
【図2】発光デバイスの構造の例の概略図を示す。
【図3】発光デバイスの構造の例の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面は、例証のためだけに示された簡略表現である;実際の構造物は、例えば相対スケールなどを含む多くの点で異なり得る。
【0036】
本発明をその他の利点および機能と共により良好に理解するために、上に示した図面と関連して以下の開示および添付の特許請求の範囲を参照する。
【0037】
本発明の一態様により、ナノ材料および液体媒体で構成されるインク組成物が提供され、液体媒体は過フルオロ化合物で構成される。ある最も好ましい実施形態において、液体媒体は、3Mより入手できるFluorinert FC−77で構成される。
【0038】
本発明によるインク組成物のある態様および実施形態において、インク組成物はコロイド状分散物で構成される。
【0039】
ある実施形態において、液体媒体は、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む過フルオロ化合物で構成される。ある実施形態において、官能性単位はUV処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は熱処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は、当業者によってただちに確認可能な他の架橋技法によって架橋することが可能である。ある実施形態において、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物は、液体媒体そのものであることが可能である。ある実施形態において、組成物は共溶媒であることが可能である。ある実施形態において、組成物は液体媒体との混合物の成分であることが可能である。
【0040】
本発明の一態様により、ナノ材料および液体媒体で構成されるインク組成物が提供され、液体媒体は架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物で構成される。ある実施形態において、官能性単位はUV処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は熱処理によって架橋することが可能である。ある実施形態において、官能性単位は、当業者によってただちに確認可能な他の架橋技法によって架橋することが可能である。ある実施形態において、架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物は、これ自体が液体媒体であることが可能である。ある実施形態において、組成物は共溶媒であることが可能である。ある実施形態において、組成物は液体媒体との混合物の成分であることが可能である。
【0041】
ある実施形態において、インクは散乱体をさらに含むことが可能である。
【0042】
本発明の別の態様により、ナノ材料、液体媒体、および散乱体で構成されるインク組成物が提供される。
【0043】
散乱体(本明細書では散乱粒子とも呼ばれる。)の例は、限定されることなく、金属または金属酸化物粒子、気泡、ならびにガラスビーズ(中実または中空)を含む。他の散乱体は、当業者によってただちに識別可能である。ある実施形態において、散乱体は球形状を有する。散乱粒子の好ましい例は、TiO、SiO、BaTiO、およびZnOを含むが、これらに限定されない。散乱体のサイズおよびサイズ分布の選択は、当業者によってただちに決定可能である。サイズおよびサイズ分布は、散乱粒子および存在し得る任意の液体媒質の除去後に散乱体が分散されるホスト材料の屈折率のミスマッチと、レイリー散乱理論に従って散乱される事前に選択した波長とに好ましくは基づいている。散乱粒子の表面は、ホスト材料での分散性および安定性を改善するためにさらに処理され得る。一実施形態において、散乱粒子は、0.001から20重量%の濃度の、粒径0.2μmのTiO(DuPontによるR902+)で構成される。ある好ましい実施形態において、散乱体の濃度範囲は0.1から10重量%である。あるさらに好ましい実施形態において、インクは、TiOで構成される散乱体を約1から約5重量%の範囲内の濃度で含む。
【0044】
本明細書に記載した本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。
【0045】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、本発明の実施形態によるインク組成物は、インクジェット液体媒体およびインクにおいて通例使用される成分などの多種多様の成分、例えば、これらに限定されないが、溶媒、共溶媒、界面活性剤、殺生物剤、緩衝剤、粘度調節剤、金属イオン封鎖剤、着色料、安定剤、保湿剤、充填剤、増量剤、水、およびこの混合物をさらに含み得る。
【0046】
本発明の別の態様により、ナノ材料および約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体で構成されるインク組成物を被着させる方法が提供される。ある実施形態において、液体媒体は約15ダイン/cmを超えない表面張力を有する。約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体の例は、各種の電子デバイス(例えば発光デバイス、光検出器、および半導体ナノ結晶を含む他のデバイス)を製造するために通例使用される有機材料が不溶性である液体媒体を含む。このような液体媒体の例は、フッ化溶媒、例えば過フルオロデカリンまたは3Mによって販売されているFluorinertシリーズの溶媒を含む。このような溶媒からインクを生成する際に、表面張力および粘度は、インクジェットに通常必要な表面張力および粘度、例えば25ダイン/cm未満に低下することがある。Fluorinert FC−77は、例えば、13ダイン/cmの表面張力および1.3cPの粘度を有する。
【0047】
ある実施形態において、インクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバを含むインクジェットシステムを使用して、これらの溶媒で作製したインクをより着実にインクジェット印刷するための方法が提供される。方法は、より安定であるジェットを生じるために、インクジェット・カートリッジ・リザーバ内で(大気圧に対して)陰圧を生成することを含む。陰圧の生成は、例えばインクジェット・カートリッジ・リザーバをインクジェットノズルの下に配置することによって達成することが可能である。好ましくは、インクジェット・カートリッジ・リザーバは、インクジェット・カートリッジ・リザーバの高さを調整してカートリッジリザーバ内でわずかな陰圧を得られるように、インクジェットノズルに対して保持または位置決めされる。
【0048】
ある実施形態において、本発明の実施形態によるインクは、インクジェット印刷システムのインクジェットプリントヘッドなどのマイクロディスペンサから被着することが可能である。インクジェット印刷によって、ナノ材料を含むインクのパターンをデバイスの層上に好都合に形成することが可能である。インクジェット印刷によって、印刷されるインク付着区域の位置およびサイズに対する精密な制御が可能となる。サイズが約20μmのインクスポットは、市販のインクジェットプリンタによって今日ただちに達成可能であり、より小さいスポットサイズが可能であることが予想される。複数のプリントヘッドを有するインクジェット印刷システムを使用して、異なるナノ材料を同時にパターン形成することが可能である。それゆえ、複数のナノ材料を1回の被着ステップで被着させることが可能である。複数のナノ材料を1回の被着ステップで被着させることによって、前の被着パターンに続く被着を位置合せする必要性が回避される。
【0049】
ナノ材料を被着するために使用するインクジェット印刷システムは、インクを含有する噴射チャンバリザーバを有するプリントヘッドを含むことが可能である。一実施形態において、インクジェット印刷システムは、例えば、被覆するオリフィスプレートを通じて組成物を推進させるための抵抗加熱素子または圧電素子を使用して、印刷される材料またはデバイス層の上にインクを推進させるために使用することが可能である。インクはリザーバ内に格納することが可能であり、組成物はオリフィスプレートに向かってマイクロチャネルのセットを通じて移動することが可能である。プリントヘッドは、インクを含有する噴射チャンバリザーバを有することが可能である。本明細書に記載する方法を実施するために使用するためのインクジェット印刷システムの例は、限定されることなく、Dimatix,Inc.,Santa Clara,CaliforniaのDimatix Materials Cartridge DMC−1000 Seriesを含むDimatix Materials Printer DMP−2800 Seriesを含む。他の製造者によるインクジェット印刷システムも、本明細書に記載する方法を実施するために有用である。2006年2月14日に発行されたHoisington et al.(Dimatix,Inc.に譲渡)の米国特許6,997,539「Apparatus for Depositing Droplets」;2006年3月14日に発行されたMoynihan et al.(Dimatix,Inc.に譲渡)の米国特許7,011,936「Piezoelectric Ink Jet Module With Seal」に記載されたインクジェット印刷システムも参照されたい。上述の特許は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。他のインクジェット印刷システムの例は、Cambridge,UKに本社があるXaar Corporationより入手可能なOmnidotプリンタを含む。ノズルアレイの別の例は、126ジェットを含み、Xaar Corporationによって部品番号XJ 126で販売されている、マルチジェット・ノズル・システムである。さらに、超音波スプレーヘッドを使用してインク液滴を施与する噴霧スプレープロセスが利用され得る。さらに、高い粘度、例えば20センチポイズ以上のインクでは、Xaar Corporationより入手可能なLeopardが利用され得て、インクは粘度をジェット可能な範囲まで低下させるために加熱され得る。
【0050】
研究および開発のニーズにより好適である別のインクジェットシステムの例は、Engineering Artsから入手可能なActive Pipette(商標)圧電システムである。
【0051】
インクジェット印刷システムは、例えば、データインタフェース、制御サブシステム、位置決めサブシステム、および被着サブシステムを含むことが可能である。本発明の他の実施形態において、所望の適用パラメータによって選択した量の溶液を施与するように構成されることが可能である熱噴出、圧電噴出、エアゾール発生、マイクロピペット、ピペット、超音波ヘッドなどを含むが、これらに限定されない1つ以上のマイクロディスペンサを含む多様な他の送達システムのいずれかによって、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料および液体媒体を含むインクが材料またはデバイス層に被着され得ることが認識されるはずである。
【0052】
現在のインクジェット技術によって、約15μmから約100μmのオリフィスサイズが考慮されている。それゆえ、被着可能である機構の最小サイズはおおよそこの範囲に現在限定されているが、将来の開発によって、より小さいオリフィスサイズおよび縮小サイズが考慮され得る。さらに、オリフィスのサイズは、インクジェットされるインク中に存在するいずれのナノ材料の実際のサイズにも影響を及ぼすことが可能である。
【0053】
ある実施形態において、インクジェット技法は、熱、圧電、音波衝撃、または他の公知のインクジェット印刷システムを含む、各種のインクジェットペンに合わせたインク調合物を含むことが可能である。
【0054】
上で議論したように、インク組成物は、インクジェット液体媒体およびインクで通例使用される成分などの多種多様の成分の1つ以上、例えば、これらに限定されないが、溶媒、共溶媒、界面活性剤、殺生物剤、緩衝剤、粘度調節剤、金属イオン封鎖剤、着色料、安定剤、保湿剤、充填剤、増量剤、水、およびこの混合物をさらに含むことが可能である。液体媒体の量を選択する際の幾つかの考慮事項には、熱容量、蒸発熱、臨界核形成温度、拡散率などの核形成に関連する考慮事項が含まれる。通例、熱インクジェット印刷システムで使用するためのインクは、約0.8cPから約20cPの粘度を有することが可能であり、幾つかの場合では最大50cPであることが可能である。同様に、圧電インクジェット印刷システムで使用するためのインクは、約2cPから約15cPの粘度を有することが可能であり、幾つかの場合では最大30cPであることが可能である。場合により、粘度調節剤がインクに含まれることが可能である。粘度調節剤の例は、2−ピロリドン、イソプロピルアルコール、グリセロールなどを含む。しかし、他の粘度調節剤が使用可能である。
【0055】
ある実施形態において、本発明の実施形態によるインクは、インクジェット印刷システムのインクジェットプリントヘッドなどのマイクロディスペンサから被着することが可能である。インクジェット印刷によって、ナノ材料を含むインクのパターンをデバイスの層上に好都合に形成することが可能である。インクジェット印刷によって、印刷されるインク付着区域の位置およびサイズに対する精密な制御が可能となる。サイズが約20μmのインクスポットは、市販のインクジェットプリンタによって今日ただちに達成可能であり、より小さいスポットサイズが可能であることが予想される。複数のプリントヘッドを有するインクジェット印刷システムを使用して、異なるナノ材料を同時にパターン形成することが可能である。それゆえ、複数のナノ材料を1回の被着ステップで被着させることが可能である。複数のナノ材料を1回の被着ステップで被着させることによって、前の被着パターンに続いての被着を位置合せする必要性が回避される。
【0056】
熱インクジェット印刷システムで使用されるインクの表面張力は、約25ダイン/cmから約75ダイン/cmに及ぶことが可能であり、幾つかの実施形態において、約30から約55ダイン/cmであることが可能である。表面張力は、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、グリセロールなどの化合物を使用して調整することが可能である。ある実施形態において、液体媒体はインクの約60重量%から約から100重量%を含むことが可能である。インクの粘度または他のジェット特性を調節するために、各種の技法が使用可能である。例えば、熱を使用して、材料を液化させること、材料の溶解度を上昇させること、または材料がインクジェット可能になるように粘度を低下させることが可能である。当業者は、上の議論が主に熱インクジェット印刷システムに集中していることを認識するであろう;圧電インクジェット印刷システムは、より制限的でない考慮事項を含む。例えば、熱インクジェット印刷システムは、約80℃未満の温度で通例操作されるのに対して、圧電インクジェット印刷システムは最高約150℃の温度で操作することが可能である。当業者は、熱、圧電、または他のインクジェット印刷システムからインクをインクジェットするために、どの成分が液体媒体に含まれることが可能であるかを認識するであろう。当業者は、多種多様の解像度および導電性パスを達成するためにこれらおよび他の変数を調整することが可能である。プリントヘッド波形(例えば圧電および熱励起波形、目詰まり防止波形、噴出波形など)、ならびにプリントヘッドおよびオリフィスプレートを構築するために使用される材料の組成はこのような変数に含まれる。例えば、インクの湿潤属性および、インクジェットノズルの内面または印刷オリフィスプレートの表面の湿潤性に応じて、液滴噴出を向上させるためにインク組成物を処理することが可能である。
【0057】
本明細書に記載した本発明のある実施形態において、上述の正常範囲から外れるインク特性を生じるであろう媒体系を使用することが有益であり得る。このことは、例えば、デバイスの材料が不溶性である媒体を使用する場合に、当てはまるであろう。この基準を満足する溶媒のクラスの例は、フッ化溶媒、例えば過フルオロデカリン、または3Mによって販売されているFluorinertシリーズの溶媒である。このような溶媒からインクを生成する際に、表面張力および粘度は、インクジェットに通常必要な表面張力および粘度よりも低下することがある。Fluorinert FC−77は、例えば、13ダイン/cmの表面張力および1.3cPの粘度を有する。これらの溶媒を用いて作製したインクをより着実に噴射する方法は、より安定であるジェットを形成するためにカートリッジリザーバ内で(大気圧に対して)陰圧を生成することを含む。陰圧の生成は、カートリッジリザーバをインクジェットノズルのやや下に配置することによって、実験室規模で達成することが可能である。ジェットを形成するために十分な陰圧をカートリッジリザーバ内で達成するためのカートリッジリザーバの位置決めは、当業者によってただちに決定されることが可能である。好ましくは、インクジェット・カートリッジ・リザーバは、インクジェット・カートリッジ・リザーバの高さを調整してカートリッジリザーバ内で所望の陰圧を得られるように、インクジェットノズルに対して保持または位置決めされる。一例において、カートリッジリザーバは可変高プラットフォーム(例えば小型ジャッキ)上に位置決めされ、プラットフォームの高さはカートリッジリザーバ内で陰圧、好ましくはやや陰圧を得るために調整することが可能である。実験室規模の装置の例の概略図を図1に示す。ある実施形態において、フッ化溶媒に含まれる半導体ナノ結晶は、ナノ結晶の表面に付着された1個以上のフッ化リガンドを含む。フッ化リガンドを含むナノ結晶は、例えばコロイド合成の間にナノ結晶表面に付着されるようになる少なくとも1つ以上のリガンドを、一例として、チオール、カルボジチオアート、カルボジチオ酸、アミン、チオ尿素、アミド、ホスフィンオキシド、ホスホンまたはホスフィン酸、チオホスフォンまたはチオホスフィン酸などの、官能性頭基を含むリガンドと交換することによって調製可能であり、官能性頭基は、過フッ化または部分フッ化されているアルキルおよび/またはアリール単位によって置換することが可能である。好ましくは、フッ化リガンドはフッ化液体媒体と化学的に適合性である。噴出液滴の形で印刷される表面へのナノ材料の付着は、ナノ材料および液体媒体で構成されるインクの「ドット」を表面上に生成する。「ドット」という用語は、表面といったん接触したインク液滴を指す。幾つかの例において、液滴中のインクは表面の薄層中にとどまるであろう。しかし、デバイス層の多孔性、湿潤性、および/または他の属性に応じて、および液滴が層に接触するときに、インクは外側に広がってドットゲインを生じることが可能である。ドットゲインは、表面上のドットの最終直径の、この最初の直径に対する比である。インクが被着される材料または層が多孔性である場合、ドットは材料または層の中に浸透することが可能である。ドット浸透は、液滴が被着される表面の中へ液滴が浸漬する深さである。ドットの物理的および/または化学的特性は、インクの浸透性および特異性を妨害することなく、溶解速度を向上させることが可能である。制御されたドット配置、ドットの高い表面積対質量比、およびドットのデジタル質量被着制御を使用して、デバイスにおける被着ナノ材料の性能に対処することが可能である。
【0058】
例えば、ドットは、噴出溶液が非湿潤性表面、または比較的不浸透性の表面を有する送達基板に適用されるときにそうであるように、ドットゲインまたはドット浸透を実質的に有さない。
【0059】
ドットを形成するインクとインクが被着される表面との間の相互作用の性質を定量する1つの好都合な方法は、液体−固体界面および液体−空気界面によって形成された角度θを測定することである。この角度は、接触角と呼ばれ、インクが被着される表面の湿潤性と同様に、溶液の表面張力の結果である。高い表面張力と、印刷されるデバイス層の表面との低い相互作用とを有する液体媒体を含むインクは、90°を超える接触角を示す傾向がある。インクは次に、表面上に離散した液滴を形成する傾向がある。しかし、有機液体で通例そうであるように、液体媒体が比較的非極性であり、インクが被着されるデバイス層の表面が同様に非極性である場合、接触角は通例90°未満であり、液体は広がり、薄膜を形成する傾向がある。ドットが広がって薄くなると、接触角はゼロとなる傾向がある。
【0060】
上述のように、インクジェット印刷システムは、対応するインクに含まれ得る、各種の半導体ナノ結晶で構成される1つ以上の異なるナノ材料を被着させるように適合され得る。幾つかの実施形態において、2個以上の噴出カートリッジは、異なるナノ材料を含むインクを被着するようにおよび/または異なる液滴体積を有するインクを噴出するようにそれぞれ構成することが可能である。インクジェットシステムは、印刷される表面に異なるインクのナノ材料を適用するように個別に構成されている、異なる噴出カートリッジを互換的に収容するように構成され得る。互換型噴出カートリッジは、空の噴出カートリッジを充填された噴出カートリッジと交換するためにも使用され得る。ナノ材料および液体媒体を含むインクをデバイスの材料または層に被着させる他の仕組みを利用することは、本開示の範囲内であり、噴出カートリッジは非制限的な例として提供される。例えば、インクジェットシステムは、圧電噴出素子によって引き起こされる振動による移動などの、熱以外の仕組みによって流体噴出をもたらすように構成されたエジェクタを有する噴出ヘッドを利用する噴出カートリッジを含み得る。
【0061】
本発明による方法を実行するために有用であり得るインクジェットシステムの一例において、ノズル間隔は約504μmであることが可能である;ノズル直径は約27μmであることが可能である;液滴サイズ(12plの場合)は最小サイズから5平方μmに広がる。
【0062】
概算ノズル寿命に基づいて、ノズルは約807平方フィートの面積をコーティングすることが予想可能である。この面積は、2インチ角29,000個の、または6インチ角3,200個のディスプレイを印刷することに相当する。インクジェット印刷することが可能である流体粘度の範囲は、例えば、8から14cPを含む。70℃を超える操作温度での印刷は、使用される具体的な材料および機器によって制限され得る。
【0063】
インクの液滴体積、接触角、粘度、および他の特性に応じて、液滴体積がわずかから8plであっても、スポット直径は迅速な広がりのために比較的大きい可能性がある。同様に、インクの液滴体積、接触角、粘度、および他の特性に応じて、幾つかの例では、インクジェット印刷システムから線形パターンを印刷するために、重複配置での液滴の反復印刷が適切であり得る。
【0064】
本発明の実施形態によるインクは、マイクロディスペンサからナノ材料を被着させるために有用であり得る。ある実施形態において、液体媒体は、ナノ材料を分散または懸濁させることが可能である液体で構成される。ある好ましい実施形態において、ナノ材料はコロイド状に分散されている。ある実施形態において、液体媒体は、ナノ材料が溶解しない、または感知できるほど溶解しない(例えば溶解度は0.001mg/ml未満である)液体で構成される。
【0065】
ナノ材料を含み、ナノ材料のナノ粒子の少なくとも一部の表面に1つ以上のリガンドが付着している、ある実施形態において、液体媒体は、リガンドが付着したこのようなナノ材料を分散または懸濁させることが可能である液体で構成される。ある好ましい実施形態において、ナノ材料はコロイド状に分散されている。ある実施形態において、ナノ粒子は半導体ナノ結晶で構成される。ある実施形態において、液体媒体はリガンドが(ナノ粒子に付着していないときに)少なくとも部分的に溶解性である液体媒体である。ある実施形態において、液体媒体はリガンドが(ナノ粒子に付着していないときに)不溶性である液体媒体である。
【0066】
ある実施形態において、インクは、インクが被着される材料またはデバイス層が不溶性である液体媒体を含む(例えば材料の<0.001/mg/mlが液体媒体に溶解する。)。ある他の実施形態において、インクは、インクが被着される材料またはデバイス層が少なくとも部分的に溶解性である液体媒体を含む(例えば材料の>0.001mg/mlが液体媒体に溶解する。)。ある実施形態において、ナノ結晶の少なくとも一部が、インクに溶解する材料または層の一部に少なくとも一時的に混和するようになる可能性がある。
【0067】
ある実施形態において、方法は、インクからの液体媒体の除去をさらに含む。
【0068】
ある実施形態において、液体媒体は、材料または層およびナノ材料の少なくとも一部が混和したままであるように除去することが可能である。
【0069】
別の実施形態において、液体媒体は、ナノ材料相が分離して下の材料または層の表面またはこの付近にナノ材料の層を形成するように除去することが可能である。相分離は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2003年3月28日に出願されたBulovic et al.の、米国出願番号10/400,907、「Layered Materials Including Nanoparticles」により詳細に記載されている。
【0070】
ある実施形態において、インクの液体媒体は、液体媒体の除去時に、デバイスの材料または層であって、材料または層に被着されたナノ材料を含む材料または層が平面であるように選択される。平面状の材料またはデバイス層を達成するための技法の例は、PLED技術で通例使用されるようなウェル構造を利用することを含む。他の技法は当業者によってただちに決定可能である。平面性を測定する1つの技法は、ピーク間高さの差を測定することによる。ピーク間高さの差は、AFM顕微鏡を使用してただちに測定可能である。ある実施形態において、平面状層は約5%未満のピーク間高さの差を有する。
【0071】
ナノ材料(例えば半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料)を含むインクへの包含のための液体媒体の例は、限定されることなく、以下の表1に挙げる液体媒体、およびこの2つ以上の混合物を含む。
【0072】
混合物の例は、ヘキサンおよびオクタン;ベンゼンおよびキシレン;テトラヒドロフランおよびアニソール;などを含むが、これらに限定されない。
【0073】
【表1】

【0074】
他の液体または液体の混合物が液体媒体として使用可能である。ある実施形態において、揮発性液体または揮発性液体の混合物が液体媒体として使用可能である。
【0075】
ある実施形態において、ナノ材料および液体媒体を含むインクは、約0.1センチポイズ(例えばジエチルエーテル、メタノールの粘度)から1500センチポイズ超(例えば油、グリセロールの粘度)の範囲内の粘度を有する。
【0076】
半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料を含むある実施形態において、液体媒体は有機非極性液体で構成される。ある実施形態において、液体媒体は約1cP以下の粘度および比較的高い揮発性も有する。
【0077】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)を媒体中に個別に分散させる必要はない。ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶は凝集され得る。本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)は、ポリマー粒子の中に含まれ得るか、またはポリマー粒子に吸着され得る。本明細書に記載する本発明のある実施形態において、ナノ材料粒子(例えば半導体ナノ結晶)は、マトリクスの中に含まれ得るか、またはマトリクスに吸着され得る。マトリクスはポリマー性または非ポリマー性であることが可能である。
【0078】
本明細書に記載する本発明のある態様および実施形態において、本発明の実施形態によるインク組成物は、電荷を輸送することが可能である材料をさらに含むことが可能である。ある実施形態において、電荷を輸送することが可能である材料は、インクに含まれる半導体ナノ結晶のバンドギャップよりも少なくとも大きい三重項エネルギーを有する。ある実施形態において、インク組成物に含まれる電荷を輸送することが可能である材料は、液体媒体に少なくとも部分的に溶解性である。
【0079】
場合により、他の成分がインクに含まれることが可能である。インクに場合により含まれることが可能である他の成分の例は、例えば、これらに限定されないが、界面活性剤、溶媒、共溶媒、緩衝剤、殺生物剤、粘度調節剤、錯化剤、キレート剤、安定剤(例えばナノ材料の凝集を抑制するための)、保湿剤、充填剤、増量剤などを含む。他の考えられる成分は、インクまたはインクジェットインク組成物に含まれ得る種類の他の添加剤を含む。安定剤は例えば、個々のナノ粒子の周囲にコーティングを形成するために化学的に付着した官能基またはリガンドを含むことが可能である。
【0080】
インクに含まれるナノ材料の量(例えば濃度(重量/体積))は、特定のナノ材料および被着されたナノ材料の所望の属性(例えば厚さ、光学密度、被着ナノ材料の機構(例えばパターン形成されている、またはパターン形成されていない、パターンの機構のサイズなど))に基づいて選択することが可能である。量は当業者によってただちに決定可能である。
【0081】
例えば、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料および液体媒体(例えば非極性有機液体または液体混合物で構成される液体媒体を含むが、これらに限定されない。)を含むインクのある実施形態において、インクは少なくとも約0.1mg/mlの半導体ナノ結晶を含むことが可能である。他の実施形態の例において、インクは少なくとも1mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも25mg/ml;少なくとも50mg/mlなどを含むことが可能である。
【0082】
ある実施形態において、ナノ材料およびいずれかの他の任意の成分は被着時にインク中に分散される。ある好ましい実施形態において、分散物はコロイド状である。
【0083】
ナノ材料は、100nmより小さい平均最大寸法を有するナノ粒子を含む。
【0084】
ある好ましい実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。
【0085】
半導体ナノ結晶は、ナノメートルスケールの無機半導体粒子で構成される。半導体ナノ結晶は、好ましくは約150オングストローム(A)未満の、最も好ましくは12から150Aの範囲内の平均ナノ結晶直径を有する。
【0086】
半導体ナノ結晶は例えば、直径約1nmから約1000nmの、好ましくは約2nmから約50nmの、さらに好ましくは約5nmから約20nm(例えば約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nm)の無機微結晶を含む。
【0087】
半導体ナノ結晶を形成する半導体は、第IV族元素、第II−VI族化合物、第II−V族化合物、第III−VI族化合物、第III−V族化合物、第IV−VI族化合物、第I−III−VI族化合物、第II−IV−VI族化合物、第II−IV−V化合物、三元および四元混合物および/または合金を含む、上述のいずれかの合金、および/または上述のいずれかの混合物を含むことが可能である。例は、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Si、Ge、他の第IV族元素、および/または三元および四元混合物もしくは合金を含む、これらの混合物もしくは合金を含むが、これらに限定されない。
【0088】
半導体ナノ結晶の形状の例は、球、ロッド、円板、他の形状またはこの混合物を含む。
【0089】
好ましくは、半導体ナノ結晶は、1つ以上の第1の半導体材料の「コア」を含み、「コア」は1つ以上の第2の半導体材料のオーバーコーティング即ち「シェル」によって包囲され得る。半導体シェルによって包囲された半導体ナノ結晶コアは、「コア/シェル」半導体ナノ結晶とも呼ばれる。
【0090】
例えば、半導体ナノ結晶は、式MXを有するコアを含むことが可能であり、式中、Mはカドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、またはこれらの混合物であり、Xは酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、またはこの混合物である。半導体ナノ結晶コアとしての使用に好適な材料の例は、CdO、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、GaAs、GaP、GaSb、GaN、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、InN、AlAs、AlP、AlSb、AIS、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、Ge、Si、他の第IV族元素、および/または三元および四元混合物もしくは合金を含む、これらの混合物もしくは合金を含むが、これらに限定されない。
【0091】
シェルは、コアの組成と同じまたは異なる組成を有する半導体材料であることが可能である。シェルは、コア半導体ナノ結晶の表面に半導体材料のオーバーコートを構成して、第IV族元素、第II−VI族化合物、第II−V族化合物、第III−VI族化合物、第III−V族化合物、第IV−VI族化合物、第I−III−VI族化合物、第II−IV−VI族化合物、第II−IV−V化合物、三元および四元混合物および/または合金を含む、上述のいずれかの合金、および/または上述のいずれかの混合物を含むことが可能である。例は、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgO、MgS、MgSe、MgTe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Si、Ge、他の第IV族元素、および/または三元および四元混合物および/または合金を含む、これらの混合物および/もしくは合金を含むが、これらに限定されない。例えば、ZnS、ZnSeまたはCdSオーバーコーティングは、CdSeまたはCdTe半導体ナノ結晶上に成長させることが可能である。オーバーコーティングプロセスは、例えば米国特許6,322,901に記載されている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節して、コアの吸収スペクトルを監視することによって、高い発光量子効率および狭いサイズ分布を有するオーバーコート材料を得ることが可能である。オーバーコーティングは1つ以上の層で構成され得る。オーバーコーティングは、コアの組成と同じまたは異なる少なくとも1つの半導体材料で構成されている。好ましくは、オーバーコーティングは約1から約10の単層の厚さを有する。オーバーコーティングは、10の単層よりも大きい厚さを有することも可能である。ある実施形態において、1つを超えるオーバーコーティングがコア上に含まれることが可能である。
【0092】
ある実施形態において、周囲の「シェル」材料はコア材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有することが可能である。ある実施形態において、周囲のシェル材料はコア材料のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有することが可能である。
【0093】
ある実施形態において、シェルは、「コア」基板の原子間隔に近い原子間隔を有するように選択することが可能である。ある実施形態において、シェルおよびコア材料は同じ結晶構造を有することが可能である。
【0094】
半導体ナノ結晶(コア)シェル材料の例は、限定されることなく、赤色(例えば(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑色(例えば(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)、および青色(例えば(CdS)CdZnS(コア)シェルを含む。
【0095】
コア/シェル半導体構造物のさらなる例は、2003年8月12日に出願された米国出願番号10/638,546、「Semiconductor Nanocrystal Heterostructures」およびBulovic et al.の米国公開特許出願番号2004−0023010 A1、「Light Emitting Device Including Semiconductor Nanocrystals」に記載されている。上述の出願は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0096】
半導体ナノ結晶の調製および操作は、例えば、米国特許6,322,901および米国特許6,576,291、ならびに米国特許出願番号60/550,314に記載されており、このそれぞれは参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。半導体ナノ結晶を製造する1つの方法は、コロイド成長プロセスである。コロイド成長は、MドナーおよびXドナーの高温の配位溶媒中への注入によって起きる。単分散半導体ナノ結晶を調製する好ましい方法の一例は、高温の配位溶媒中に注入されたジメチルカドミウムなどの有機金属試薬の熱分解を含む。この熱分解は、独立した核形成を可能にして、巨視的な量の半導体ナノ結晶の成長制御を引き起こす。注入は、半導体ナノ結晶を形成するために制御された方法で成長可能である核を生成する。反応混合物は、半導体ナノ結晶を成長およびアニーリングするために穏やかに加熱することが可能である。サンプル中の半導体ナノ結晶の平均サイズおよびサイズ分布のどちらも成長温度に依存する。安定した成長を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズの増大と共に上昇する。半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の集合のメンバである。独立した核形成および成長制御の結果として、得ることが可能な半導体ナノ結晶の集合は直径の狭い単分散分布を有する。直径の単分散分布はサイズとも呼ぶことが可能である。好ましくは、粒子の単分散集合は、集合における粒子の少なくとも60%が特定の粒径範囲内に含まれる粒子の集合を含む。単分散粒子の集合は、好ましくは直径の15% rms(二乗平均平方根)未満、さらに好ましくは10% rms未満、最も好ましくは5%未満の偏差がある。
【0097】
ある実施形態において、半導体ナノ結晶の調製はアミンの存在下で実行可能である。例えば、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2003年6月10日に発行された、Bawendi et al.らの米国特許6,576,291、「Preparation of Nanocrystallites」を参照されたい。
【0098】
半導体ナノ結晶の狭いサイズ分布によって、狭いスペクトル幅での発光の可能性が与えられる。単分散半導体ナノ結晶は、Murrayら(J.Am.Chem.Soc.,115:8706(1993));Christopher Murrayの論文、「Synthesis and Characterization of II−VI Quantum Dots and Their Assembly into 3−D Quantum Dot Superlattices」,Massachusetts Institute of Technology,September,1995;および米国特許出願番号08/969,302、「Highly Luminescent Color−selective Materials」に詳細に記載されている。上述は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0099】
配位溶媒中での半導体ナノ結晶の成長制御およびアニーリングのプロセスと、続いての核形成によっても、均質な表面誘導体化および規則的なコア構造物を生じさせることが可能である。サイズ分布が鮮明になると、安定した成長を維持するために温度を上昇させることが可能になる。MドナーまたはXドナーをさらに添加することによって、成長期間を短縮することが可能である。Mドナーは無機化合物、有機金属化合物、または元素金属であることが可能である。Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウムまたはタリウムである。Xドナーは、Mドナーと反応して、一般式MXを有する材料を形成することが可能な化合物である。Xドナーは、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二酸素、アンモニウム塩、またはトリス(シリル)プニクチドなどのカルコゲニドドナーまたはプニクチドドナーであり得る。好適なXドナーは、二酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)Se)、(トリ−n−オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)または(トリ−n−ブチルホスフィン)セレニド(TBPSe)などのトリアルキルホスフィンセレニド、(トリ−n−オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)などのトリアルキルホスフィンテルリドもしくはヘキサプロピルリントリアミドテルリド(HPPTTe)、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)Te)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド((TMS)S)、(トリ−n−オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)などのトリアルキルホスフィンスルフィド、アンモニウムハライド(例えばNH4Cl)などのアンモニウム塩、トリス(トリメチルシリル)ホスフィド((TMS)P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)As)、またはトリス(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)Sb)を含む。ある実施形態において、MドナーおよびXドナーは同じ分子内の部分であることが可能である。
【0100】
配位溶媒は、半導体ナノ結晶の成長の制御を補助することが可能である。配位溶媒は、例えば成長する半導体ナノ結晶の表面に対して配位するために利用できる孤立電子対を有するドナー孤立電子対を有する化合物である。溶媒配位は、成長する半導体ナノ結晶を安定化させることが可能である。配位溶媒の例は、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスホン酸、またはアルキルホスフィン酸を含むが、ピリジン、フラン、およびアミンなどの他の配位溶媒も半導体ナノ結晶の産生に好適であり得る。好適な配位溶媒の例は、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)およびトリスヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)を含む。テクニカルグレードのTOPOが使用可能である。非配位溶媒も使用可能である。
【0101】
反応の成長ステージ中のサイズ分布は、粒子の吸収または発光線幅を監視することによって推定可能である。粒子の吸収スペクトルの変化に対応した反応温度の変更によって、成長の間の鋭い粒径分布の維持が可能となる。結晶成長中により大きい結晶を成長させるために、核形成溶液に反応物質を添加することが可能である。例えばCdSeおよびCdTeでは、特定の半導体ナノ結晶平均粒径で成長を停止させて、半導体材料の適正な組成を選択することによって、半導体ナノ結晶の発光スペクトルは300nmから5ミクロン、または400nmから800nmの波長範囲にわたって連続的に調整可能である。
【0102】
半導体ナノ結晶の粒径分布は、米国特許6,322,901に記載されているように、メタノール/ブタノールなどの半導体ナノ結晶に対しての貧溶媒を用いたサイズ選択的沈殿によってさらに精製することが可能である。例えば、半導体ナノ結晶は、10%ブタノールのヘキサン溶液中に分散させることが可能である。この撹拌溶液に、乳光が持続するまでメタノールを滴加することが可能である。遠心分離による上清および綿状塊の分離によって、サンプル中で最大の微結晶を多く含む沈殿が産生される。この手順は、光学吸収スペクトルのさらなる鮮鋭化が認められなくなるまで反復することが可能である。サイズ選択的沈殿は、ピリジン/ヘキサンおよびクロロホルム/メタノールを含む、多様な溶媒/非溶媒ペアで実施することが可能である。サイズ選択された半導体ナノ結晶の集合は、好ましくは平均直径から15% rmsを超えない偏差、さらに好ましくは10% rms以下の偏差、最も好ましくは5% rms以下の偏差を有する。
【0103】
本明細書で議論するように、ある実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成され、半導体ナノ結晶の少なくとも一部はこの表面に付着された1つ以上のリガンドを含む。
【0104】
一実施形態において、リガンドは、成長プロセスの間に使用される配位溶媒に由来する。表面は、上層を形成するための過剰な競合配位基への反復曝露によって改質することが可能である。例えば、キャップド半導体ナノ結晶の分散物は、ピリジン、メタノール、および芳香族にただちに分散するが、脂肪族溶媒にはもはや分散しない微結晶を産生するために、ピリジンなどの配位有機化合物によって処理することが可能である。このような表面交換プロセスは、例えばホスフィン、チオール、アミンおよびホスフェートを含む半導体ナノ結晶の外面と配位または結合可能である任意の化合物によって実施することが可能である。半導体ナノ結晶は、表面に対して親和性を示し、半導体ナノ結晶が懸濁または分散された液体媒質に対して親和性を有する部分で終結する短鎖ポリマーに曝露することが可能である。このような親和性によって、懸濁物の安定性が改善され、半導体ナノ結晶の綿状化が妨げられる。
【0105】
有機リガンドは、デバイス内での非常に安定な無機ナノ結晶の広い面積の非エピタキシャル被着を促進するために有用であり得る。
【0106】
さらに詳細には、配位リガンドは、式、
(Y−)k−n−(XM−L)
を有することが可能であり、
式中、kは、2、3または5であり、nは、k−nがゼロ以上であるように、1、2、3、4または5であり;Xは、O、S、S=O、SO2、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、As、またはAs=Oであり;YおよびLはそれぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、または少なくとも1個の二重結合、少なくとも1個の三重結合、もしくは少なくとも1個の二重結合および1個の三重結合を場合により含有する直鎖もしくは分枝C2−12炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、1個以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3から5員ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、またはホルミルによって場合により置換されることが可能である。炭化水素鎖は、−O−、−S−、−N(R)−、−N(R)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R)−、−N(R)−C(O)−N(R)−、−O−C(O)−O−、−P(R)−、または−P(O)(R)−によって場合により割り込まれることも可能である。RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルである。アリール基は置換または非置換環式芳香族基である。例は、フェニル、ベンジル、ナフチル、トリル、アントラシル、ニトロフェニル、またはハロフェニルを含む。ヘテロアリール基は、環内に1個以上のヘテロ原子を備えたアリール基、例えばフリル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルである。
【0107】
好適な配位リガンドは、商業的に購入することが可能であるか、または例えば、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、J.March,Advanced Organic Chemistryに記載されたような通常の合成有機技法によって調製することが可能である。
【0108】
他のリガンドは、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2003年8月15日に出願された米国特許出願番号10/641,292、「Stabilized Semiconductor Nanocrystals」に記載されている。
【0109】
電子およびホールが半導体ナノ結晶上に局在しているとき、発光は発光波長にて生じることが可能である。発光は、量子閉じ込め半導体材料のバンドギャップに相当する周波数を有する。バンドギャップは半導体ナノ結晶のサイズの関数である。小径を有する半導体ナノ結晶は、物質の分子形とバルク形との間の中間の特性を有することが可能である。例えば、小径を有する半導体材料に基づく半導体ナノ結晶は、3つの次元すべてにおける電子およびホールの両方の量子閉じ込めを示すことが可能であり、この量子閉じ込めは、微結晶サイズが減少している材料の有効バンドギャップの増加をもたらす。結果として、半導体ナノ結晶の光学的吸収および発光は、微結晶のサイズが減少するにつれて、青色へ、またはより高いエネルギーへ移動する。
【0110】
半導体ナノ結晶からの発光は、スペクトルの紫外、可視、または赤外領域の全波長範囲を通じて、半導体ナノ結晶のサイズ、半導体ナノ結晶の組成、または両方を変化させることによって調整することが可能である狭いガウス型発光帯であり得る。例えば、CdSeは可視領域で調整可能であり、InAsは赤外領域で調整可能である。半導体ナノ結晶の集合の狭いサイズ分布は、狭いスペクトル範囲での発光を生じることが可能である。集合は、単分散であることが可能であり、半導体ナノ結晶の直径において、好ましくは15% rms(二乗平均平方根)未満の、さらに好ましくは10%未満の、最も好ましくは5%未満の偏差を示す。可視域で発光する、半導体ナノ結晶の約75nm、好ましくは60nm、さらに好ましくは40nm、最も好ましくは30nm半値全幅(FWHM)を超えない狭い範囲のスペクトル発光を観察することが可能である。赤外発光半導体ナノ結晶は、150nmを超えない、または100nmを超えないFWHMを有することが可能である。発光エネルギーによって表すと、発光は0.05evを超えない、または0.03evを超えないFWHMを有することが可能である。発光の幅は、半導体ナノ結晶の直径の分散が縮小するにつれ減少する。半導体ナノ結晶は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%を超えるような高い発光量子効率を有することが可能である。
【0111】
半導体ナノ結晶の狭いFWHMは、飽和色発光を生じることが可能である。飽和光発光を生じることで可視スペクトルの赤色および青色部分においてさえ効率的な照明デバイスをもたらされ得るが、この理由は、半導体ナノ結晶発光デバイスでは赤外およびUV発光に対して光子が消失しないためである。単一材料系の可視スペクトル全体にわたる広範に調整可能な飽和色発光には、いずれのクラスの有機発色団も適合しない(例えば、参照によりこの全体が組み入れられている、Dabbousi et al.,J.Phys.Chem.101,9463(1997)を参照されたい。)。半導体ナノ結晶の単分散集合は、狭い波長範囲に及ぶ光を発光するであろう。異なる組成、サイズ、および/または構造の半導体ナノ結晶を含むデバイスは、1つを超える狭い波長範囲で光を放出することが可能である。観察者が感知する発光の色は、相対サブ画素電流と同様に、デバイスにおける半導体ナノ結晶のサイズおよび材料の適切な組合せを選択することによって制御することが可能である。半導体ナノ結晶のバンド端エネルギーレベルの低下によって、直接電荷注入またはエネルギー移動のどちらによって発生したかにかかわらず、考えられるすべての励起子の捕獲および放射再結合が促進される。最大理論半導体ナノ結晶照明デバイスの効率は従って、リン光有機発光デバイスの効率1に匹敵する。半導体ナノ結晶の励起状態寿命(τ)は通例のリン光体(τ>0.1μs)よりもはるかに短く(τから10ns)、半導体ナノ結晶照明デバイスが高い電流密度および高い輝度においても効率的に動作できるようにする。
【0112】
透過電子顕微鏡法(TEM)は、半導体ナノ結晶集合のサイズ、形状、および分布に関する情報を提供することが可能である。粉末X線回折(XRD)パターンは、半導体ナノ結晶の結晶構造の種類および品質に関する最も完全な情報を提供することが可能である。粒径がX線可干渉距離によって、ピーク幅に反比例しているため、サイズの推定も可能である。例えば、半導体ナノ結晶の直径は、透過電子顕微鏡法によって直接測定可能であるか、または例えばシェラーの式を使用してX線回折データから推定することが可能である。半導体ナノ結晶の直径は、紫外/可視吸収スペクトルから推定することも可能である。
【0113】
本発明によるインク組成物は表面上に被着させることが可能である。
【0114】
代表的な表面の例は、材料もしくはデバイス層または他の基板を含む。
【0115】
ある実施形態において、基板は例えば、織物、フィルム、テープ、可撓性シートなどであることが可能である。基板のこのような形式は、例えば、プラスチック、箔、紙などで構成されることが可能である。ある実施形態において、基板は材料のシート、材料のロールなどで構成されることが可能である。基板の寸法はこの目的とする用途に応じて変化することが可能である。ある実施形態において、非剛性基板が所望である。ある実施形態において、可撓性基板が好ましい。
【0116】
ある実施形態において、基板は発光デバイスまたは他の照明ユニットの上面または下面であることが可能である。
【0117】
ある実施形態において、基板は基板の上に配置されたデバイスの層をさらに含むことが可能である。これらの実施形態において、デバイスの層は材料で構成され、インクは層の上に被着される。
【0118】
ある実施形態において、インクは基板の上に配置されたデバイスの層の上に被着される。ある実施形態において、基板は基板の上に配置されたデバイスの層をさらに含む。これらの実施形態において、デバイスの層は材料で構成され、インクは層の上に被着される。
【0119】
ある実施形態において、インクは所定の配列に被着される。例えば、インクはパターン形成されたまたはパターン形成されていない配列で被着させることが可能である。
【0120】
本発明は、特に、例えば、少なくとも1つの寸法が例えば約0.5メートルを超える大型の基板を含むデバイスに対して、および/またはナノ材料の所定の配列が所望であるときに、著しい利点を与え得ることが考えられる。
【0121】
本開示で考慮される本発明のある実施形態および態様において、ナノ材料は光を放出することが可能な無機ナノ粒子で構成される。
【0122】
本開示で考慮される本発明のある実施形態および態様において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。半導体ナノ結晶は、発光デバイス、ディスプレイ、光検出器、不揮発性ランダムメモリデバイス、太陽電池、センサ、光起電力デバイスなどを含むが、これらに限定されない各種のデバイスにおける使用および他の最終使用用途に特に適切となる特徴および特性を有している。
【0123】
本開示で考慮される本発明のある実施形態および態様において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成され、半導体ナノ結晶の少なくとも一部はこの表面に付着された1つ以上のリガンドを含む。
【0124】
ある実施形態において、方法は、インクからの液体媒体の除去をさらに含む。ある実施形態において、液体媒体は、液体媒体の除去時に、被着されたナノ材料を含む層が平面であるように選択される。
【0125】
ある実施形態において、液体媒体は、インクが被着されている層に含まれる材料が不溶性である液体を含む。
【0126】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層は小型分子材料で構成される。「小型分子」材料は、ポリマーでない任意の有機材料を指す。小型分子材料は金属をさらに含むことが可能である。小型分子は有機金属化合物を含むことが可能である。小型分子材料は金属錯体を含むことが可能である。小型分子材料は幾つかの状況において反復単位を含むことが可能である。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することによって、分子は「小型分子」クラスから除去されない。小型分子材料の他の例は、有機オリゴマー分子を含むことが可能である(例えば中間の相対分子質量の有機分子、この構造は低い相対分子質量の分子に実際にまたは概念的に由来する少数の単位で本質的に構成される。参照により本明細書に組み入れられている、関連するNotesを含む、IUPAC Compendium of Chemical Terminology 2nd Edition(1997)からの「oligomer molecule」を参照されたい。)。
【0127】
ある実施形態において、小型分子材料は、コア部分に構築された一連の化学シェルを含む、デンドリマーのコア部分として作用し得る。デンドリマーのコア部分は、蛍光またはリン光小型分子エミッタであり得る。
【0128】
デンドリマー置換基を使用して小型分子が溶解処理を受ける能力を向上させることも可能である。
【0129】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層はポリマーで構成される。
【0130】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層は有機ナノ結晶で構成されることが可能である。有機ナノ結晶の例は、限定されることなく、J凝集体、H凝集体、および他の双極子配列を有する凝集体を含む有機ナノ結晶を含む。有機ナノ結晶の例は、S.Kirstein et al.,「Herringbone Structures In Two−Dimensional Single Crystals of Cyanine Dyes.I.Detailed Structure Analysis Using Electron Diffraction」,J.Chem.Phys.103(2)July 1995,pages 816 et seq.;S.Kirstein et al.,「Herringbone Structures In Two−Dimensional Single Crystals of Cyanine Dyes.II.Optical Properties」,J.Chem.Phys.103(2)July 1995,pages 826 et seq.;A.Mishra et al.「Cyanines During the 1990s:A Review」,Chem.Rev.2000,100,1973−2011;およびC.Peyratout et al.,「Aggregation of Thiacyanine Derivatives On Polyelectrolytes:,Phys.Chem.Chem.Phys.,2002,4,3032−3039に記載されており、この開示は参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0131】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層はカーボンナノチューブで構成される。
【0132】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層はカーボンナノチューブ/ポリマーブレンドまたはハイブリッドで構成される。
【0133】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層は無機材料で構成される。
【0134】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層は、電極も含み得る基板の上に配置することが可能である。
【0135】
ある実施形態において、インクが被着されているデバイスの層は電極で構成される。
【0136】
ある実施形態において、基板の上にインクの前に1つ以上の他の層を配置することが可能である。
【0137】
ある実施形態において、方法は第2の電極層をナノ材料の上に被着することをさらに含むことが可能である。1つ以上のさらなる層(例えばホール遮断層、電子輸送層、電子注入層などを含む。)の被着も、第2の電極層の被着の前または後に場合により含まれることが可能である。不動態化、パッケージングなども場合により含まれることが可能である。
【0138】
ある実施形態において、インクは電荷を輸送可能である材料の上に被着される。
【0139】
ある実施形態において、ナノ材料は1つ以上の別個の層として被着される。デバイスを製造するある実施形態において、ナノ材料はデバイスの任意の2つの層の間に配置することが可能である。ある実施形態において、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、ホール輸送層と電子輸送層との間に配置された1つ以上の別個の発光層として被着することが可能である。ある実施形態において、例えば、ナノ材料は2つのホール輸送層の間および/または2つの電子輸送層の間に配置することが可能である。デバイスに含まれる各電荷輸送層は、1つ以上の層でさらに構成され得る。本明細書の別の箇所で議論するように、他の層も電子輸送層とホール輸送層との間に含まれ得る。デバイス内に別個の層として含まれるときに、例えば半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、連続したまたは実質的に連続した薄膜または層として配置することが可能である。別個の層として配置されるときに、層はパターン形成されることが、またはパターン形成されないことが可能である。好ましくは、デバイスに含まれる半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、半導体ナノ結晶の実質的に単分散の集合で構成される。
【0140】
ある実施形態において、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、複数の単層以下の厚さで被着される。例えば、厚さは3つの単層、3つ以下の単層、2つ以下の単層、1つの単層、部分単層などよりも大きいことが可能である。半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料の各被着層の厚さは変化し得る。好ましくは、被着した半導体ナノ結晶の任意の箇所における厚さの変動は、3つ未満の単層、さらに好ましくは2つ未満の単層、最も好ましくは1つ未満の単層である。単一の単層として被着されているとき、半導体ナノ結晶の好ましくは少なくとも約60%は単一の単層の厚さであり、より好ましくは半導体ナノ結晶の少なくとも約80%は単一の単層の厚さであり、最も好ましくは、半導体ナノ結晶の少なくとも約90%は単一の単層の厚さである。発光デバイスにおいて、単層は、電気的性能に対する影響を最小限にしながら、半導体ナノ結晶の有益な発光特性を提供することが可能である。
【0141】
半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶のサイズおよび組成によって調整できる電子および光学特性を備えた複合ヘテロ構造物を生成するためのボトムアップ化学手法を設計するために利用可能であり得る、強い量子閉じ込め効果を示す。
【0142】
本明細書で議論するように、ある実施形態において、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、パターン形成された配列で被着することが可能である。パターン形成された半導体ナノ結晶は、通電されて所定の波長の光を産生する、例えば赤色、緑色、および青色、もしくは赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青緑色、青色、紫色、または他の可視、赤外、もしくは紫外発光で構成される画素のアレイ、または識別可能な波長発光画素の他の組合せを形成するために使用することが可能である。
【0143】
一般に、各種の色を放出することが可能であるデバイスまたはデバイスのアレイは、異なる色を発光することが可能である発光性材料のパターンを含む。インクジェットプリントヘッドおよび/または他のマイクロディスペンサを使用して本発明の実施形態によるインクからナノ材料を被着させることによって、シャドウマスクおよび気相被着に関連する他のパターン形成技法を使用することなく、このようなパターンを被着させることができる。このような被着プロセスによって、接触印刷でのような転写ステップの必要性もなくなる。
【0144】
パターン形成された配列で被着させるときに、ナノ材料はミクロンスケール(例えば1mm未満、500μm未満、200μm未満、100μm未満または50μm未満または20μm未満)の少なくとも1つの寸法を有する機構を備えたパターンで被着することが可能である。ナノ材料は、ミクロンスケールを超える機構を備えたパターン形成配列で被着することも可能である。
【0145】
ミクロンスケールの機構を有する被着ナノ材料で構成されたパターンは、本明細書ではマイクロパターンとも呼ばれ得る。マイクロパターンは、サイズがミクロンスケール、例えば1mm未満、500μm未満、200μm未満、100μm未満、50μm未満、または20μm以下の機構を有することが可能である。20μmの機構サイズは、大半の発光デバイスおよび他の用途のデバイスにとって十分に小さい。
【0146】
ナノ材料を被着することが可能である表面は、1cm以上、10cm以上、100cm以上、または1,000cm以上の寸法を有することが可能である。
【0147】
本発明による組成物および方法はスケーラブルであり、広範囲の表面積の上に1つ以上のナノ材料で構成されるパターンを被着するために有用であり得る。
【0148】
例えば、方法は、ナノ材料を非常に小さい面積(例えば100μmカテーテル)から非常に大きい面積(例えば12インチ平方の面積)まで被着するために有用である。さらなる例において、方法は、GEN2(360mm×465mm)、GEN3(550mm×650mm)、GEN3.5(600mm×720mm)、GEN4(730mm×920mm)、GEN5(1110mm×1250mm)、GEN6(1500mm×1800mm)、GEN7(1900mm×2100mm)などの寸法を有する表面の上にナノ材料を被着することと、これに続く、例えばディスプレイで使用可能であるガラスの生成にも有用である。場合により、半導体リソグラフィー分野で頻繁に実施されているように、ナノ材料が適用される面積は次に共にステッチ接合(またはタイル接合)して、印刷可能面積を12インチ平方から「n×12インチ平方」に拡張することが可能である。
【0149】
本発明によるインクは、各種のデバイスを作製する際に含まれることが可能である。本発明によって有用であり得る各種のデバイスならびに各種の被着および他の技法の例に関するさらなる情報は、例えば、2007年6月25日に出願されたSeth A. Coe−Sullivanの、「Methods For Depositing Nanomaterial,Methods For Fabricating A Device,And Methods For Fabricating An Array Of Devices」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/014711[Docket 番号QDV00C1_PCT]、2007年6月25日に出願されたSeth A.Coe−Sullivan,et al.の、「Methods For Depositing Nanomaterial,Methods For Fabricating A Device,Methods For Fabricating An Array Of Devices And Compositions」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/014705[Docket 番号QDV00C2_PCT]、2007年6月25日に出願されたSeth A.Coe−Sullivan,et al.の、「Methods And Articles Including Nanomaterial」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/014706[Docket 番号QDV00D2_PCT]、2007年4月9日に出願されたSeth A.Coe−Sullivan,et al.の、「Composition Including Material,Methods Of Depositing Material,Articles Including Same And Systems For Depositing Material」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/08873、2007年4月13日に出願されたMaria J,Anc,et al.の、「Methods Of Depositing Material,Methods Of Making A Device,And Systems And Articles For Use In Depositing Material」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/09255、2007年4月9日に出願されたSeth Coe−Sullivan,et al.の、「Methods And Articles Including Nanomaterial」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/08705、2007年4月9日に出願されたMarshall Cox,et al.の、「Methods Of Depositing Nanomaterial & Methods Of Making A Device」という名称の国際特許出願番号PCT/US2007/08721、2005年10月20日に出願されたSeth Coe−Sullivan,et alの、「Method And System For Transferring A Patterned Material」という名称の米国特許出願番号11/253,612、および2005年10月20日に出願されたSeth Coe−Sullivan,et al.の、「Light Emitting Device Including Semiconductor Nanocrystals」という名称の米国特許出願番号11/253,595で開示されているものを含み、上述の特許出願はそれぞれ参照により本明細書に組み入れられている。
【0150】
本発明の実施形態に従って製造されたデバイスは、フラット・パネル・ディスプレイ、コンピュータモニタ、テレビ、広告板、屋内もしくは屋外照明および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザプリンタ、電話機、携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ファインダ、マイクロディスプレイ、車両、大面積の壁、劇場もしくはスタジアム用スクリーン、または標識を含む多種多様の消費者製品に組み入れられ得る。各種の制御機構を使用して、受動マトリクスおよび能動マトリクスを含む、本発明によって製造されたデバイスを制御し得る。
【0151】
発光デバイスの実施形態の例を図2に示す。図示した例は、基板の上に配置された第1の電極、第1の電極と電気的に接続された第1層、第1層と電気的に接続された第2層、および第2層と電気的に接続された第2の電極を含む。第1層はホールを輸送可能である材料(HTL)で構成されることが可能であり、第2層は電子を輸送可能である材料(ETL)で構成されることが可能である。少なくとも1つの層が非ポリマー性であることが可能である。発光材料は2つの電極の間に含まれる。発光材料は、この発光特徴(例えばデバイスに電圧が印加されるときにナノ結晶によって放出される光子の波長)に基づいて選択することが可能である、複数の半導体ナノ結晶を含むことが可能である。発光材料は、第1層および第2層の間に1つ(図2に示すような)以上の層として含まれることが可能である。図において、発光材料を含む層は「量子ドット層」と呼ばれる。図2に示した実施形態において、構造物の第1の電極は基板と接触している。各電極は、構造物に電圧を供給するために電源に接続されることが可能である。適正な極性の電圧がヘテロ構造物に印加されたときに、エレクトロルミネセンスはデバイスに含まれる半導体ナノ結晶によって産生されることが可能である。
【0152】
図2に示すデバイス構造物は以下のように製造され得る。第1の電極(例えばアノード)が上に配置された基板は入手され得る、または任意の好適な技法を使用して製造され得る。第1の電極はパターン形成され得る。第1層(例えばホール輸送層)は任意の好適な技法を使用して被着され得る。発光層は本発明の実施形態によるインクから被着される。ある実施形態において、インクはマイクロディスペンサ、例えばインクジェットプリントヘッドから施与される。インクジェット印刷が好ましいのは、インクジェット印刷によって別個の領域のパターン形成がただちに可能になるためである。ある実施形態において、インクの液体媒体は、液体媒体の除去時に、デバイスの層が(例えばポリマー発光デバイス(PLED)技術で通例使用されるようなウェル構造物を利用して)平面であるように選択される。第2層(例えば電子輸送層)は任意の好適な技法を使用して被着され得る。第2の電極(例えばカソード)は任意の好適な技法を使用して被着され得る。
【0153】
図2に示す例において、光は構造物の下部から(例えばITOコートガラスを通じて)放出される。十分に光透過性の上部電極が使用される場合、構造物は構造物の上部から光を放出することができる。
【0154】
または、図2の構造物は反転可能であり、この場合には光を上部から放出することが可能である。
【0155】
図2に示す簡単な層状化構造物が非制限的な例として与えられており、本発明の実施形態が多種多様の他の構造物と関連して使用され得ることが理解される。本明細書に記載する特定の材料および構造物は本質的に例示的であり、他の材料および構造物も使用され得る。異なる方法で説明された各種の層を組合せることによって機能デバイスが実現され得るか、または層が設計、性能、およびコスト要因に基づいて完全に省略され得る。具体的に記載されていない他の層も含まれ得る。具体的に記載された材料以外の材料も使用され得る。本明細書に与えられた例の多くは各種の層が単一材料で構成されるとして説明しているが、例えばホストおよびドーパントの混合物などの材料の組合せ、さらに一般的には混合物が使用され得ることが理解される。また、層は各種のサブ層を有し得る。本明細書で各種の層に与えられた名称は、制限する意図はない。
【0156】
発光デバイスの光出力の色は、発光材料としてデバイス中に含まれる各種の半導体ナノ結晶の組成、構造、およびサイズの選択によって精密に制御することが可能である。ある実施形態において、2つ以上の異なる半導体ナノ結晶(異なる組成、構造、および/またはサイズを有する。)が含まれることが可能である。
【0157】
図3は、デバイスを上に設置することが可能であるガラス基板、およびデバイスをカプセル化するために使用することが可能である保護ガラス層を示す、発光デバイスの別の実施形態の例を示す。
【0158】
場合により、乾燥剤または他の水分吸収材を、例えばUV硬化性エポキシなどのエポキシによって封着する前に、デバイス内に含めることが可能である。他の乾燥剤または水分吸収材を使用することが可能である。
【0159】
第1の電極は例えば、酸化インジウムスズ(ITO)層などの、高い仕事関数(例えば4.0eVを超える。)のホール注入導体で構成されるアノードであり得る。他のアノード材料は、例えばタングステン、ニッケル、コバルト、プラチナ、パラジウムおよびこれらの合金、酸化ガリウムインジウムスズ、酸化亜鉛インジウムスズ、窒化チタン、ポリアニリン、または他の高い仕事関数のホール注入導電性ポリマーを含むが、これらに限定されない他の高い仕事関数のホール注入導体を含む。ある実施形態において、第1の電極は光透過性または透明である。ITOに加えて、他の光透過性電極材料の例は、導電性ポリマー、および他の金属酸化物、低いもしくは高い仕事関数の金属、導電性エポキシ樹脂、または少なくとも部分的に光透過性であるカーボンナノチューブ/ポリマーブレンドもしくはハイブリッドを含む。電極材料として使用可能である導電性ポリマーの例は、Bayer AGによって商標PEDOTで販売されている、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)である。他の分子的に改変されたポリ(チオフェン)も導電性であり、ポリアニリンのエメラルジン塩基形態と同様に使用可能である。
【0160】
第2の電極は例えば、Al、Ba、Yb、Ca、リチウム−アルミニウム合金(Li:Al)、マグネシウム−銀合金(Mg:Ag)、またはフッ化リチウム−アルミニウム(LiF:Al)などの、低い仕事関数(例えば4.0eV未満)の電子注入金属で構成されるカソードであり得る。Mg:Agなどの第2の電極は、不透明の保護金属層、例えばカソード層を大気による酸化から保護するためのAg層、または実質的に透明のITOの比較的薄い層によって、場合により被覆することが可能である。第2の電極は、固体層の露出表面上に挟む、スパッタリングする、または蒸着させることが可能である。電極の一方または両方をパターン形成することが可能である。デバイスの電極は導電性経路によって電圧源に接続することが可能である。電圧の印加時に、デバイスから光が生成される。
【0161】
図2に示すようなデバイスにおいて、例えば、第1の電極は約500オングストロームから4000オングストロームの厚さを有することが可能である。第1層は約30オングストロームから約1000オングストロームの厚さを有することが可能である。第2層は約30オングストロームから約1000オングストロームの厚さを有することが可能である。第2の電極は約5オングストロームから約10,000オングストローム超の厚さを有することが可能である。
【0162】
非ポリマー性電極材料は、例えばスパッタリングまたは蒸着によって被着することが可能である。ポリマー性電極材料は、例えばスピンキャストによって被着することが可能である。
【0163】
上で議論したように、電極はパターン形成することが可能である。光透過性電極材料を含む電極材料は、例えばフォトリソグラフィーなどの化学エッチング方法またはレーザを使用する物理エッチング方法などによってパターン形成することが可能である。また電極は、マスキング中に真空蒸着、スパッタリングなどによってパターン形成され得る。
【0164】
ホール輸送層および電子輸送層は、まとめて電荷輸送層と呼ぶことが可能である。これらの層のどちらかまたは両方は、有機または無機材料で構成されることが可能である。無機材料の例は例えば、無機半導体を含む。無機材料はアモルファスまたは多結晶性であり得る。有機電荷輸送材料はポリマー性または非ポリマー性であり得る。ある実施形態において、電荷輸送材料は勾配昇華精製される。
【0165】
電子輸送層に含まれることが可能である代表的な有機材料の例は、分子マトリクスを含む。分子マトリクスは非ポリマー性であり得る。分子マトリクスは、小型分子、例えば金属錯体を含むことが可能である。8−ヒドロキシキノリンの金属錯体は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛またはマグネシウム錯体、例えばアルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン)(Alq)であり得る。電子輸送層中の他のクラスの材料は、金属チオキシノイド化合物、オキサジアゾール金属キレート、トリアゾール、セキシチオフェン誘導体、ピラジン、およびスチリルアントラセン誘導体を含むことが可能である。Balq2は、電子輸送層に含まれることが可能である別の材料の例である。有機材料で構成される電子輸送層は固有(非ドープ)であっても、またはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を上昇させるために使用され得る。例えば、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2006年4月27日に出願された、Beatty et alの米国仮特許出願番号60/795,420、「Device Including Semiconductor Nanocrystals And A Layer Including A Doped Organic Material And Methods」を参照されたい。
【0166】
ホール輸送層に含まれることが可能である代表的な有機材料の例は、有機発色団を含む。有機発色団は、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)などのフェニルアミンを含むことが可能である。他のホール輸送層は、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−スピロ(スピロ−TPD)、4,4’−N,N’−ジカルバゾリル−ビフェニル(CBP)、4,4−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)など、ポリアニリン、ポリピロール、ポリ(フェニレンビニレン)、銅フタロシアニン、芳香族3級アミンもしくは多核芳香族3級アミン、4,4’−ビス(p−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニル化合物、もしくはN,N,N’,N’−テトラアリールベンジジンを含むことが可能である。有機材料で構成されるホール輸送層は固有(非ドープ)であっても、またはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を上昇させるために使用され得る。ドープされたホール輸送層の例は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2006年4月27日に出願された、Beatty et alの米国仮特許出願番号60/795,420、「Device Including Semiconductor Nanocrystals And A Layer Including A Doped Organic Material And Methods」に記載されている。
【0167】
有機材料で構成される電荷輸送層ならびに、有機電荷輸送層の製造、発光デバイス、および関連技術に関する他の情報は、2005年10月21日に出願された米国特許出願番号11/253,612、「Method And System For Transferring A Patterned Material」、および2005年10月21日に出願された米国特許出願番号11/253,595、「Light Emitting Device Including Semiconductor Nanocrystals」、ならびに2007年6月4日に出願された国際特許出願番号PCT/US2007/13152、「Light−Emitting Devices And Displays With Improved Performance」でさらに詳細に議論されている。上述の特許出願は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0168】
有機電荷輸送層は、真空蒸着法、スパッタリング法、浸漬コーティング法、スピンコーティング法、キャスト法、バーコーティング法、ロールコーティング法、および他のフィルム被着法などの公知の方法によって配置され得る。ある実施形態において、有機層は、超高真空(例えば≦10−8トル)、高真空(例えば約10−8トルから約10−5トル)、または低真空条件(例えば約10−5トルから約10−3トル)下で被着される。好ましくは、有機層は、約1×10−7から約1×10−6トルまたは約1×10−7から約5×10−6トルの高真空条件下で被着される。または、有機層は、各層の溶媒を適切に選択しながら、多層コーティングによって形成され得る。
【0169】
無機材料を含む電荷輸送層および無機電荷輸送層の製造に関連する他の情報は以下で、ならびに2005年2月16日に出願された米国特許出願番号60/653,094、「Light Emitting Device Including Semiconductor Nanocrystals」および2006年2月15日に出願された米国特許出願番号11/354,185でより詳細にさらに議論されており、この開示はそれぞれ参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0170】
無機半導体で構成される電荷輸送層を低温にて、例えば真空蒸着法、イオンめっき法、スパッタリング、インクジェット印刷などの公知の方法によって基板に被着することが可能である。
【0171】
基板は不透明、光透過性、または透明であり得る。基板は剛性または可撓性であり得る。基板はプラスチック、金属またはガラスであり得る。
【0172】
幾つかの用途において、基板はバックプレーンを含むことが可能である。バックプレーンは、個々の画素への電力を制御するまたは切り換えるための能動または受動電子機器を含む。バックプレーンを包含することは、ディスプレイ、センサ、またはイメージャなどの用途に有用であり得る。特に、バックプレーンは能動マトリクス、受動マトリクス、固定フォーマット、ダイレクトドライブ、またはハイブリッドとして構成することが可能である。ディスプレイは静止画像、動画、または照明用に構成することが可能である。発光デバイスのアレイを含むディスプレイは、白色光、モノクローム光、または色調整光を供給することが可能である。
【0173】
電荷輸送層に加えて、デバイスは1つ以上の電荷注入層、例えばホール注入層(HIL)(別個の層またはホール輸送層の一部のどちらかとして)および/または電子注入層(EIL)(別個の層または電子輸送層の一部のどちらかとして)を場合によりさらに含み得る。有機材料で構成される電荷注入層は固有(非ドープ)であることも、またはドープされていることも可能である。例えば、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2006年4月27日に出願された、Beatty et alのlの米国仮特許出願番号60/795,420、「Device Including Semiconductor Nanocrystals And A Layer Including A Doped Organic Material And Methods」を参照されたい。
【0174】
1つ以上の電荷遮断層がまたさらに場合により含まれ得る。例えば、電子遮断層(EBL)、ホール遮断層(HBL)、または励起子遮断層(eBL)を構造物中に導入することが可能である。遮断層は例えば、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−tertブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、2,2’,2”−(1,3,5−ベンジントリル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TBPi)、3,4,5−トリフェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール、バソクプロイン(BCP)、4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−Nフェニルアミノ}トリフェニルアミン(m−MTDATA)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、1,3−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼン、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tertブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−5,2−イル]ベンゼン、1,4−ビス(5−(4−ジフェニルアミノ)フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ベンゼンまたは1,3,5−トリス[5−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼンを含むことが可能である。有機材料で構成される電荷遮断層は固有(非ドープ)であることも、またはドープされていることも可能である。例えば、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている、2006年4月27日に出願された、Beatty et alのlの米国仮特許出願番号60/795,420、「Device Including Semiconductor Nanocrystals And A Layer Including A Doped Organic Material And Methods」を参照されたい。
【0175】
電荷注入層(ある場合)、および電荷遮断層(ある場合)は、スピンコーティング、浸漬コーティング、蒸着、または他の薄膜被着方法によって電極の1つの表面に被着することが可能である。例えばM.C.Schlamp,et al.,J.Appl.Phys.,82,5837−5842,(1997);V.Santhanam,et al.,Langmuir,19,7881−7887,(2003);およびX.Lin,et al.,J.Phys.Chem.B,105,3353−3357,(2001)を参照されたい、このそれぞれは参照によりこの全体が組み入れられている。
【0176】
他の多層構造物は、本発明の発光デバイスおよびディスプレイの性能を改善するために場合により使用され得る(例えば2003年3月28日に出願された米国特許出願番号10/400,907および米国特許出願番号10/400,908を参照されたい、このそれぞれは参照によりこの全体が組み入れられている。)。発光デバイスの性能は、この効率を向上させること、この発光スペクトルを狭くもしくは広くすること、またはこの発光を偏光させることによって改善することが可能である。例えばBulovic et al.,Semiconductors and Semimetals 64,255(2000)、Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Yamasaki et al.,Appl.Phys.Lett.76,1243(2000)、Dirr et al.,Jpn.J.Appl.Phys.37,1457(1998)、およびD’Andrade et al.,MRS Fall Meeting,BB6.2(2001)を参照されたい、このそれぞれは参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0177】
好ましくは、半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料を含むデバイスは、制御された(酸素を含まず、水分を含まない)環境で処理されて、製造プロセスの間のルミネセンス効率の抑制を防止する。
【0178】
デバイスおよびディスプレイの製造でナノ材料を被着させるために有用であることに加えて、デバイスおよび/またはアレイの他の層(例えば電極、電荷輸送層、電荷遮断層、電荷注入層など)をマイクロディスペンサ、例えばインクジェットプリントヘッドから被着させることも可能である。マイクロディスペンサ、例えばインクジェットプリントヘッドを使用して複数のデバイス層を製造することによって、製造プロセスを単純化して、他の製造効率を与えることが可能である。
【0179】
調製可能である半導体ナノ結晶材料の多様性、ならびに半導体ナノ結晶の組成、構造、およびサイズによる波長調整のために、所定の色の光を放出可能であるデバイスは半導体ナノ結晶を発光材料として使用することによって実現可能である。半導体ナノ結晶発光デバイスを調整して、スペクトルのどこにおいても発光させることが可能である。可視または不可視(例えばIR)光を放出する発光デバイスを調製することが可能である。半導体ナノ結晶のサイズおよび材料は、半導体ナノ結晶が所定の波長を有する光を放出するように選択することが可能である。発光は、スペクトルの任意の領域、例えば可視、赤外などにおいて所定の波長の発光であり得る。例えば、波長は300から2,500nm以上、例えば300から400nm、400から700nm、700から1100nm、1100から2500nm、または2500nm超であることが可能である。
【0180】
ある実施形態において、個々の発光デバイスを形成することが可能である。他の実施形態において、複数の個々の発光デバイスを単一の基板上の複数の位置で形成して、ディスプレイを形成することが可能である。
【0181】
ディスプレイは、同じまたは異なる波長で発光する2個以上のデバイスを含むことが可能である。異なる色を発光する半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料のアレイを用いて基板をパターン形成することによって、異なる色の画素を含むディスプレイを形成することが可能である。パターン形成された半導体ナノ結晶は、通電されて所定の波長の光を産生する、例えば赤色、緑色、および青色、もしくは赤色、黄色、緑色、青緑色、および/または青色発光で構成される画素のアレイ、または識別可能な色の発光画素の他の組合せを形成するために使用することが可能である。ある実施形態において、1個以上の画素はスペクトルの紫外または赤外発光部にて発光することが可能である。
【0182】
個別の発光デバイスまたはディスプレイの1つ以上の発光デバイスは、白色光を産生するように構築された、異なる色の発光半導体ナノ結晶の混合物を場合により含むことが可能である。または白色光は、赤色、緑色、青色、および場合によりさらなる画素を含むデバイスから産生することが可能である。
【0183】
他のディスプレイの例は、2006年2月9日に出願されたSeth Coe−Sullivan et al.の米国特許出願番号60/771,643、「Displays Including Semiconductor Nanocrystals And Methods Of Making Same」に含まれており、この開示は参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0184】
上述のように、本明細書に記載する方法は、太陽電池、起電力デバイス、光検出器、不揮発性メモリデバイスなどを含むが、これらに限定されない発光デバイスに加えて、他のデバイスの製造にも用途を有し得る。
【0185】
例えば、ナノ材料、例えば半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料は、光検出器デバイスまたは光検出器デバイスのアレイの製造で本発明による方法によって被着することが可能である。光検出器デバイスは、吸収特性に基づいて選択される複数の半導体ナノ結晶で構成される1つ以上のナノ材料を含む。光検出器に含まれるとき、半導体ナノ結晶は、通例、スペクトルのIRまたはMIR領域における特定の波長の吸収に対して所定の電気的応答を産生するように設計されている。半導体ナノ結晶を含む光検出器デバイスの例は、Alexi Cosmos Arangoによる「A Quantum Dot Heterojunction Photodetector」,Submitted to the Department of Electrical Engineering and Computer Science,in partial fulfillment of the requirements for the degree of Masters of Science in Computer Science and Engineering at the Massachusetts Institute of Technology,February 2005に記載されており、この開示は参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。1つ以上の光検出器は、ハイパースペクトル撮像デバイスなどの撮像デバイスにさらに含まれることが可能である。例えば2006年3月24日に出願されたCoe−Sullivan et al.の、米国仮出願番号60/785,786、「Hyperspectral Imaging Device」を参照されたい、この開示は参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0186】
一実施形態において、光検出器デバイスを製造する方法は、本発明の実施形態による をデバイスの層にマイクロディスペンサから被着させることを含む。一実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。インクは、デバイスの層の上に所定のパターン形成配列で、またはほんの一例として層、連続フィルムなどを含むパターン形成されていない配列として被着することが可能である。好ましくは、液体媒体は被着インクから、任意の他の材料または層が被着インクの上に被着される前に除去される。
【0187】
別の実施形態において、光検出器デバイスのアレイを製造する方法は、本発明の実施形態によるインクをデバイスの層にマイクロディスペンサから被着させることを含む。一実施形態において、ナノ材料は半導体ナノ結晶で構成される。ナノ材料および液体媒体で構成されるインクは、デバイス層に(パターン形成されたまたはパターン形成されていない)所定の配列で被着することが可能である。デバイス層は電極をさらに含む基板に被着することが可能である。第2の電極は、好ましくは液体媒体のインクからの除去の後に、被着ナノ材料の上に被着することが可能である。一実施形態において、ナノ材料が上に被着されているデバイス層は電荷輸送材料で構成されている。場合により、第2の電荷輸送層はナノ材料層と第2の電極との間に形成することが可能である。
【0188】
光検出器デバイスまたはデバイスのアレイを製造する方法は、1つ以上のナノ材料を(パターン形成されたまたはパターン形成されていない)所定の配列で被着することを場合により含むことが可能である。上で議論したように、ナノ材料および液体媒体を含むインクはマイクロディスペンサから被着させる。
【0189】
本発明による方法は、メモリデバイスの製造におけるナノ材料の被着に使用することも可能である。不揮発性デバイスの例は、2004年10月6日に出願されたBawendi et al.の米国特許出願番号10/958,659、「Non−Volatile Memory Device」に記載されており、この開示は参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0190】
半導体ナノ結晶およびこの使用に関連するさらなる情報については、2004年10月22日に出願された米国特許出願番号60/620,967および2005年1月11日に出願された米国特許出願番号11/032,163、2005年3月4日に出願された米国特許出願番号11/071,244も参照されたい。上述の特許出願はそれぞれ、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。
【0191】
本明細書で使用するように、「上」および「下」は、基準点からの位置に基づく相対的な位置の用語である。さらに詳細には、「上」は基板から最も離れていることを意味するが、「下」は基板に最も近いことを意味する。例えば、2個の電極を場合により含む発光デバイスでは、下電極は基板に最も近い電極であり、一般に、製造される最初の電極である;上電極は、発光材料の上側の、基板からさらに離れている電極である。下電極は、基板に最も近い下表面と、基板からより離れた上表面の、2つの表面を有する。例えば、第1層が第2層の「上」に配置される、または被着されると説明される場合、第1層は基板からさらに離れて配置される。別途規定しない限り、第1層と第2層の間に他の層が存在し得る。例えば、各種の有機層および/または無機層が間にあっても、カソードはアノードの「上に配置された」と説明され得る。
【0192】
本明細書で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り複数形を含む。それゆえ、例えば、ナノ材料への言及はこのような材料の1つ以上への言及を含む。
【0193】
上および全体に記載されたすべての特許および公報は、参照によりこの全体が本明細書に組み入れられている。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが範囲、好ましい範囲、または好ましい上限値および好ましい下限値のリストのいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているか否かにかかわらず、任意の範囲上限または好ましい上限値および任意の範囲下限または好ましい下限値の任意の対より形成されたすべての範囲を特に開示するとして理解されるものである。数値範囲が本明細書で引用されている場合、別途明示しない限り、範囲はこの端点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図される。範囲を定義するときに、本発明の範囲が引用された特定の値に限定されることは意図されていない。
【0194】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書で開示された本発明の実施により当業者に明らかになるであろう。本明細書および実施例が例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神が以下の特許請求の範囲およびこの等価物によって示されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の量子閉じ込め半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料と、
複数の散乱粒子と、
および液体媒体と、
で構成される、インク組成物。
【請求項2】
散乱粒子が金属または金属酸化物粒子、気泡、中実ガラスビーズ、または中空ガラスビーズを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項3】
散乱粒子がTiO、SiO、BaTiO、およびZnOを含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項4】
散乱粒子の少なくとも一部が球形状を有する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項5】
散乱粒子が球形状を有する、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項6】
散乱粒子の少なくとも一部が、液体媒質中での分散性および安定性を改善するための表面処理を含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項7】
散乱粒子が平均粒径0.2μmのTiOの粒子で構成される、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項8】
散乱粒子の濃度が0.001から20重量%の範囲にある、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項9】
散乱粒子の濃度が0.1から10重量%の範囲にある、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項10】
散乱粒子の濃度が0.1から3重量%の範囲にある、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項11】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約0.1mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項12】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約1mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項13】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約5mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項14】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約10mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項15】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約25mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項16】
インク組成物が液体媒体1mlに付き、量子閉じ込め半導体ナノ結晶を少なくとも約50mg含む、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項17】
量子閉じ込め半導体ナノ結晶の少なくとも一部がコア/シェル構造で構成される、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項18】
インク組成物が分散物で構成される、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項19】
インク組成物がコロイド状分散物で構成される、請求項1に記載のインク組成物。
【請求項20】
複数の量子閉じ込めコア−シェル半導体ナノ結晶で構成されるナノ材料と、
複数の散乱粒子と、
液体媒体と、で構成され、液体媒体は、架橋することが可能である1つ以上の官能基を含む組成物で構成される、インク組成物。
【請求項21】
官能単位がUV処理によって架橋可能である、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項22】
官能単位が熱処理によって架橋可能である、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項23】
架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物および液体媒体が同じである、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項24】
液体媒体が、液体媒質およびこれ自体が架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物の混合物で構成される、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項25】
架橋することが可能である1個以上の官能基を含む組成物が、共溶媒を液体媒体と共に含む、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項26】
インク組成物が分散物で構成される、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項27】
インク組成物がコロイド状分散物で構成される、請求項20に記載のインク組成物。
【請求項28】
複数の半導体ナノ結晶およびTiOで構成される散乱粒子で構成され、散乱粒子が約1から約5重量%の範囲の濃度で含まれる、インク組成物。
【請求項29】
ナノ材料および液体媒体で構成され、液体媒体は過フルオロ化合物で構成される、インク組成物。
【請求項30】
液体媒体がFluorinert FC−77で構成される、請求項29に記載のインク組成物。
【請求項31】
散乱体をさらに含む、請求項29に記載のインク組成物。
【請求項32】
ナノ材料が半導体ナノ結晶で構成される、請求項29に記載のインク組成物。
【請求項33】
半導体ナノ結晶の少なくとも一部が半導体ナノ結晶の表面にフッ化リガンドを含む、請求項32に記載のインク組成物。
【請求項34】
ナノ材料および約25ダイン/cm未満の表面張力を有する液体媒体で構成されるインク組成物を、印刷するためにインクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバを含むインクジェットシステムから被着させる方法であって、インクジェットノズルにインクを供給するインクジェット・カートリッジ・リザーバ内の大気圧に対して陰圧を生成するステップと;インクを印刷するステップとを含む、方法。
【請求項35】
インクが、半導体ナノ結晶であって、半導体ナノ結晶の少なくとも一部が表面に1つ以上のリガンドが付着している半導体ナノ結晶で構成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
インクが、インクの表面張力を変化させるために別個の添加剤を含まない、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
液体媒体がフッ化液体で構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
フッ化溶媒がパーフルオロデカリンで構成される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
リガンドの少なくとも一部がフッ化化合物で構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
請求項1に記載の組成物を含む を備える、デバイス。
【請求項41】
請求項20に記載のインク組成物を含む を備える、デバイス。
【請求項42】
請求項28に記載のインク組成物を含む を備える、デバイス。
【請求項43】
請求項29に記載のインク組成物を含む を備える、デバイス。
【請求項44】
請求項34に記載の方法を含む、デバイスを製造する方法。
【請求項45】
請求項34に記載の方法を含む、デバイスのアレイを製造する方法。
【請求項46】
本明細書で提示および説明したような、物質の新しく有用で自明でないプロセス、機械、製造、および組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−532794(P2010−532794A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514794(P2010−514794)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/007901
【国際公開番号】WO2009/014590
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(508241026)キユーデイー・ビジヨン・インコーポレーテツド (12)
【Fターム(参考)】