説明

ナノ結晶金属酸化物粒子と、高分子系分散剤と、表面活性化剤との組み合わせを含む、物品の強化された耐スクラッチ性

樹脂と、複数のナノ粒子と、表面活性化剤と、高分子系分散剤とを含むフィルム形成用組成物。フィルム形成用組成物は実質的に透明であり、耐磨耗性を向上させる基材と組み合わせて最適化される。フィルム形成用組成物は、家具、ドア、床を含む木製品、建築物表面、自動車部品や自動車仕上げ塗装、金属塗装、コイル塗装、プラスチック製品、拭き保護処理に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを形成するための組成物に関し、より詳しくは、耐スクラッチ性を向上させるために、フィルム形成用組成物と共に使用される、ナノ粒子をベースとした添加剤に関する。典型的なフィルム形成用組成物としては、基材を擦り傷から保護するために基材に塗布される、ポリマーをベースとするコーティングが挙げられるが、本発明の技術は、低温硬化、押出し成形、共押出し成形、またはモールディングによって製造されるポリマー製品にも有効である。通常、これらのコーティングおよび/またはポリマー製品は透明である。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、ポリマーコーティングの耐スクラッチ性を改善するために、(1)コーティングの表面の滑りをよくするために添加剤を使用する(方法1)、または(2)コーティングの硬度を上げるためにセラミック粒子を入れる(方法2)、の2つの方法が挙げられている。
【0003】
方法1は、コーティングの表面エネルギーを低くし、表面の滑りをよくするために、コーティング中に、シリコーンやワックス、あるいはフッ素化材料のような添加剤を入れている。これらの添加剤は、一部の処方においては、コーティングの擦り傷を減少させる傾向がある。しかしながら、コーティングの表面硬度は実質的には変わらないため、耐スクラッチ性の向上には限界がある。
【0004】
方法2は、コーティングの耐スクラッチ性を向上させるために無機粒子またはセラミック粒子を入れている。このようなセラミック粒子を入れることで、コーティングの耐スクラッチ性を大幅に改良することができる。しかしながら、多くの場合、望ましくない大幅なヘイズの上昇や、望ましくない物理特性の変化(粘度、剛性、可撓性等)などが生じ、コーティングの他の特性を犠牲にすることになってしまう。
【0005】
透明な物品やコーティングにおいては、耐スクラッチ性を向上させるためにナノ粒子組成物を使用することは、望ましくない高いヘイズをもたらすことにもなってしまう。高いヘイズは、大きい粒子または粒子の凝集体からの光散乱、ナノ粒子と基質との間の大きな屈折率不整合、高いナノ粒子濃度、あるいはナノ粒子に関するこれらの特性の組み合わせによって起こる。例えば、二酸化ケイ素粒子やアルミノケイ酸塩粒子は、屈折率が多くのコーティング組成物の屈折率と非常に近く、粒子のサイズや粒子が分散される程度に関わらず望ましくないヘイズの増加を防止することができるので、透明なコーティングの耐スクラッチ性を向上させるために、一般的に使用されている。しかしながら、耐スクラッチ性を付与するためには、通常、高濃度の二酸化ケイ素粒子が必要とされるが、この高い二酸化ケイ素濃度は、配合物の粘度のような他の特性において好ましくない変化をもたらすことになる。酸化アルミニウム粒子は、二酸化ケイ素粒子よりも高い耐スクラッチ性を付与することができるが、酸化アルミニウム粒子は屈折率が高く、同じサイズの屈折率の低い粒子と比較してかなり光散乱やヘイズを生じてしまうため、最適な耐スクラッチ性を付与するのに必要とされるよりも低い濃度での使用に限定されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
透明性、光学的透明度、粘度、可撓性などの組成物の他の物理的特性を付随的に犠牲にすることなしに、フィルム形成用組成物の耐スクラッチ性を向上させるための、ナノ粒子をベースとした添加剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フィルム形成用組成物の耐スクラッチ性を向上させるために最適化された、ナノ粒子をベースとした、改良された添加剤に関するものである。
【0008】
簡潔には、本発明は、表面活性化剤とナノ粒子と、高分子系分散剤との組み合わせを有するものである。1つの態様では、本発明は、バルクのポリマー製品やポリマーコーティングなどの物品に、比較的高水準の耐スクラッチ性を付与する。別の態様では、ナノ粒子をベースとした添加剤は、組成物の質量基準で約0.5〜10質量%程度の比較的低いナノ粒子濃度で、透明性、光沢、粘度、可撓性、剛性などの物品あるいはコーティングの他の特性の大幅な変化を引き起こすことなしに、フィルム形成用組成物に入れられる。また別の態様では、複数のナノ粒子の少なくとも1つは、前記フィルム形成用組成物の表面またはフィルム形成用組成物を含む基材の表面に位置している。
【0009】
また、本発明では、フィルム形成用組成物を用意する工程と、第一の耐磨耗性を有する基材にフィルム形成用組成物を塗布する工程と、複数の金属酸化物ベースのナノ粒子と、高分子系分散剤と、表面活性化剤とを含む耐磨耗性改良剤を、前記基材または前記フィルム形成用組成物に添加する工程とを有する耐スクラッチ性を向上させる方法であって、前記添加工程の後、基材は、第一の耐磨耗性よりも大きい第二の耐磨耗性を示すことを特徴とする方法も提供される。
【0010】
本発明は、ナノ結晶粒子を用意する工程と、複数の非凝集状態の一次ナノ結晶粒子を有する分散物を形成するために高分子系分散剤とナノ結晶粒子を混合する工程と、前記分散物の表面張力または表面エネルギーを低くする工程と、フィルム形成用組成物を作るために樹脂に前記分散物を添加する工程と、基材に前記フィルム形成用組成物を塗布する工程と、基材上に実質的に透明なフィルムを形成する工程を含む、フィルム形成用組成物の製造方法にも関するものである。このフィルム形成用組成物は、自動車用品や建築物表面のような金属、プラスチック、木製品を含む様々な基材に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のナノ粒子をベースとした添加剤は、ポリマー製品あるいはポリマー配合物中に入れられる、ナノ粒子と、高分子系分散剤と、表面活性化剤との新規な組み合わせを有するものである。ナノ粒子、特には実質的に球状のナノ結晶金属酸化物が、ポリマーをベースとした製品あるいはコーティングの硬度を向上させるために、配合物に入れられる。高分子系分散剤は、一次粒子径でナノ粒子が分散するのを助け、配合中および工程中にナノ粒子が凝集するのを防止する。表面活性化剤は、通常、ポリマーコーティングの耐スクラッチ性を向上させるために高分子系分散剤やナノ結晶粒子の表面と相互作用するとともに、物品またはコーティングの表面に、あるいは、物品またはコーティングと他の材料との界面に、ナノ粒子が移動できるようにする。
【0012】
本発明は、ナノ粒子をベースとした添加剤中の構成要素が耐スクラッチ性を向上させることに関して相乗効果をもたらすのみならず、ある態様では、透明性、光沢、剛性、可撓性、粘度などの物品あるいはコーティングの他の特性の大幅な変化を防止することもできる点で、利点を有する。
【0013】
別の態様では、ナノ粒子と、高分子系分散剤と、表面活性化剤との組み合わせとすることによって、耐スクラッチ性を向上させるために物品またはコーティング中に入れられるナノ粒子を、低い濃度で使用することができる。言い換えると、本発明の構成要素(ナノ粒子、高分子系分散剤、および表面活性化剤)の1つあるいはそれ以上が除かれた配合と比較して、物品またはコーティングに高い透明性または光学的透明度を付与することができる。経済的な利点も大きく、より高性能な材料系を開発することも可能である。これらの態様では、ナノ粒子の濃度範囲は、フィルム形成用組成物の質量基準で、約0.1〜50質量%であり、より好ましくは約0.10〜20質量%であり、さらに好ましくは約0.1〜10質量%である。
【0014】
ナノ粒子、特には実質的に球状のナノ結晶金属酸化物粒子は、粒子の最も長い面が100nmを実質的に下回るサイズで特徴づけられる物質であり、結晶性無孔構造を有している。このような金属の好ましい例としては、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、ホウ素、銅、セリア、ジルコニウム、鉄、スズ、アンチモン、インジウム、マグネシウム、カルシウム、銀、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ粒子という語は、ここでは、粒子の最も長い面で100.0nm未満の直径を有する粒子を意味する。
【0015】
高分子系分散剤とは、液体またはポリマー中の固体粒子、特には実質的に球状のナノ結晶金属酸化物、の分散や安定化を促すように設計された材料をいう。
【0016】
非水系媒体中で、実質的に球状のナノ結晶金属酸化物を十分に安定に分散させるために非常に有効であることが見出された高分子系分散剤は、ポリマー鎖(繰り返し単位骨格を有する分子)を有しており、1またはそれ以上の末端基に特徴を有する。通常、実質的に球状のナノ結晶金属酸化物と非水系媒体の安定な分散は、(1)1000を超える分子量を有する高分子系分散剤と、(2)金属酸化物表面と相互作用する1またはそれ以上の酸性または塩基性の末端基とを用いて形成される。通常、ホモポリマーとコポリマーの両方共、ナノ結晶金属酸化物の有効な分散剤である。さらに、これらのホモポリマーとコポリマーは非水系媒体に可溶であってもよい。
【0017】
水系媒体中では、ナノ結晶粒子に引きつけられるポリマー繰り返し単位と、ポリマーを水溶性にするポリマー繰り返し単位とを有する水溶性コポリマーが、実質的に球状のナノ結晶金属酸化物の十分に安定な分散に効果的な高分子系分散剤であることが見出された。共重合体系分散剤は、酸性相互作用、塩基性相互作用、中性相互作用、および共有結合性相互作用のうちの少なくとも1つを介して、ナノ結晶表面に定着される。共重合体系分散剤とナノ粒子の少なくとも1つとの相互作用は、カチオン性、アニオン性、中性のうちの1つであってもよい。
【0018】
しかしながら、水系媒体と非水系媒体の両方において、実質的に球状のナノ結晶金属酸化物の十分に安定な分散物を得るのに効果的であることが見いだされた高分子系分散剤は、通常、(1)1000より大きい分子量を有し、(2)酸性、塩基性、中性、または共有結合性の、1またはそれ以上の末端基を有し、(3)分散媒体に可溶である。
【0019】
高分子系分散剤の好ましい例としては、特定のポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリウレア、ポリエーテル、ポリシリコーン、脂肪酸エステルの他、これらがアミン、アルコール、酸、ケトン、エステル、フッ素、芳香族化合物で官能化されたもの、およびこれらポリマーの物理的な混合物やコポリマーが挙げられる。高分子系分散剤は、ナノ粒子の質量基準で、約0.5〜50質量%の量で存在し、より好ましくは約1.0〜40質量%であり、さらには約2.0〜30.0質量%である。
【0020】
表面活性化剤とは、物品の表面張力や表面エネルギーを低くする性質を有する材料をいう。表面活性化剤の好ましい例としては、特定のスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、アルキルアミン塩、ポリアクリレート(ホモポリマーおよびコポリマー)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの重合体、あるいはこれらのブロック共重合体、ポリシロキサン、有機的に改変されたポリシロキサン、フッ素化された小分子、フッ素化されたポリマーやコポリマー、天然または人工のワックス、および上記例示したものの物理的な混合物や共有結合的に結合したコポリマーが挙げられる。表面活性化剤は、ナノ粒子の質量基準で、約0.1〜50質量%の量で添加され、より好ましくは約0.2〜20質量%であり、さらには約0.5〜10質量%の間である。
【0021】
高分子系分散剤と表面活性化剤の間には化学的な重複があるように見られるが、本発明においては、これらは、はっきりと区別される構成要素である。分散剤の目的は、配合物中で、粒子、特には実質的に球状のナノ結晶金属酸化物、の十分に安定な分散状態をつくりだすことである。表面活性化剤は、物品または配合物の、表面張力または表面エネルギーを低くするように、高分子系分散剤やナノ結晶粒子と相互作用するものである。表面活性化剤は、ナノ粒子の、物品またはコーティングの表面における、あるいは物品またはコーティングと他の材料との界面における移動も可能にする。
【0022】
本発明の適用によって耐スクラッチ性が向上する物品またはコーティングの種類としては、ナノ粒子分散物と、高分子系分散剤と、表面活性化剤とが配合されたいかなる材料も含まれる。通常、これらの物品には、架橋または非架橋のポリマー系が含まれる。ポリマー性コーティングの例としては、ポリエーテル、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミド、メラミン、アクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、フッ素化されたポリマー樹脂の他、これらのポリマーのコポリマーや、これらのポリマー樹脂およびコポリマー樹脂の混合物が挙げられる。これらの樹脂は、水性、水溶性、エマルジョン、あるいは溶媒性のコーティングとなるように配合される他、溶媒フリーの100%固体のコーティングにもされる。市販の重要なコーティングの例としては、家具、ドア、床、建築物表面を含む、木製品用;自動車用品および自動車仕上げ塗装用;金属塗装およびコイル塗装用;プラスチック製品用;拭き保護処理用;の保護コーティングが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明のフィルム形成用組成物を含む物品または基材の耐スクラッチ性は、%光沢保持率または耐スクラッチ性パラメーターとして測定される。
【0024】
ここで、%光沢保持率とは、物品の最終光沢を初期光沢によって割った値を100倍した値をいい、ここで、最終光沢と初期光沢とは、BYK−ガードナーヘイズ−グロス測定装置によって、擦り傷の方向に沿って測定された−20°の光沢をいう。物品の最終光沢は、スチールウールやスコッチブライトパッドなどのような研磨手段に物品を擦ることによって決定される。表面の擦り傷は光沢を低減するので、%光沢保持率は、物品の耐スクラッチ性を反映する。耐スクラッチ性は、%GR値が高いほど大きい。
【0025】
ここで、耐スクラッチ性パラメーターとは、BYK−ガードナーヘイズ−ガードプラス測定装置によって測定される、本発明のフィルム形成用組成物がない基材のヘイズ増加分を、本発明のフィルム形成用組成物を有する基材のヘイズの増加分で割った値を意味する。ヘイズの増加分は、スクラッチ試験が行われる前後の基材の間の、透過ヘイズの差を計算することによって測定される。耐スクラッチ性パラメーター1.0は、それぞれの試料が、対照物に対して耐スクラッチ性の点で改善が見られないことを意味する。より高いSRPが測定されるほど、フィルムの耐スクラッチ性の改善が大きい。本発明のフィルム形成用組成物を有する基材の耐スクラッチ性パラメーターは、上述の値よりも大きく、以下の実施例で示した試験では、耐スクラッチ性パラメーターは、請求の範囲に記載された構成要素の組成にもよるが、約4であり、特には約2.5〜20である。しかしながら、これらの耐スクラッチ性の値は、構成要素の組成と、スクラッチ試験を行うのに使用される手段の磨損性に依存するものである。
【0026】
物品の耐スクラッチ性を向上させるために、表面活性物質、高分子系分散剤、およびナノ結晶金属酸化物の組み合わせを使用することは、新規かつ当業者に非自明である。本発明の3つの構成要素のいずれか1つでも取り除くと、以下の実施例で示されるように、本発明の効果が低減される。
【実施例】
【0027】
以下実施例において本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
(スチールウールスクラッチ試験の手順)
実施例1〜3において、それぞれのフィルムは、0グレードの2”×2”スチールウールパッドで200往復擦り、擦り傷から生じる透過ヘイズの増加をBYK−ガードナーヘイズ−ガードプラス測定装置で測定することによって、耐スクラッチ性が試験された。スチールウールパッドには40g/cmの圧力がかけられた。実施例4では、スチールウールパッドには8g/cmの圧力がかけられ、50往復擦られた。それぞれフィルムの耐スクラッチ性は、擦りによって起こるヘイズの抑制について定量化された。耐スクラッチ性パラメーター(SRP)は、元フィルム(それぞれの実施例のフィルムA)で測定されたヘイズの増加分を、同じ実施例の他のフィルムで測定されたヘイズの増加分で割ることによって計算された。1.0のSRPは、それぞれの実施例の対照と比較して、耐スクラッチ性に改善が認められないこと示す。より高いSRPが測定されるほど、フィルムの耐スクラッチ性の改善が大きい。
【0029】
(ナイロンブラシスクラッチ試験の手順)
実施例5と7では、フィルムは、BYKガードナースクラブテスターを使用して、UV硬化性コーティングにはナイロンブラシによる500〜1000往復の擦り、溶剤型コーティングにはナイロンブラシによる100往復の擦りをかけることによって、耐スクラッチ性が試験された。ナイロンブラシによる擦りの前後のコーティングの光沢は、BYK−ガードナーヘイズ−グロス測定装置によって、擦り傷の方向に沿って測定される−20°の光沢が測定された。表面の擦り傷は光沢を低減するので、%光沢保持率、%GR値(最終光沢/初期光沢×100)は、コーティングの耐スクラッチ性を反映する。耐スクラッチ性は、%GR値が高いほど大きい。
【0030】
(スコッチブライトスクラッチ試験の手順)
実施例6では、フィルムは、100g/cm2の圧力下、スコッチブライトパッドでそれぞれのコーティングに10往復の擦りをかけることによって、耐スクラッチ性が試験され、BYK−ガードナーヘイズ−グロス測定装置によって、擦り方向に沿って測定される−20°の光沢の変化が測定された。表面の擦り傷は光沢を低減するので、%光沢保持率、%GR値(最終光沢/初期光沢×100)は、コーティングの耐スクラッチ性を反映する。耐スクラッチ性は、%GR値が高いほど大きい。
【0031】
磨耗試験の激しさは、擦り面(スコッチブライト、スチールウール、ナイロンブラシ)、かけられる圧力、試験される表面に擦り面が擦りつけられる回数に依存する。上述の試験で示された条件では、スチールウール磨耗試験とスコッチブライト磨耗試験が、表面に最も激しい磨耗を与えるものであり、過酷な接触磨耗をシミュレートしている。ナイロンブラシ磨耗試験は軽い磨耗を与えるものであり、カーウオッシュをシミュレートしている。
【0032】
(実施例1)
30質量%のサートマーSR−368、30質量%のサートマーCD−501、30質量%のサートマーSR−238、10質量%のサートマーSR−494を含むUV硬化性のウレタンベースのコーティング配合物が調製され、この組成物に、硬化剤として5質量%のベンゾフェノンと5質量%のイルガキュア651が添加された。以下の表に示される原料および濃度の、高分子系分散剤と表面活性化剤を使用して、サートマーSR−238中に酸化アルミニウムナノ粒子が30質量%の濃度で分散された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。これらの分散物は、UV硬化性配合物に添加され、十分に攪拌され、スライドガラス上に1ミルのフィルムを作成するのに使用された。フィルムは、0.6ジュール/パスで、3パスのUV照射によって硬化された。硬化したそれぞれのフィルムは、初期ヘイズと、上述したスチールウール擦り試験の手順で規定されているSRPが試験された。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例1Aは基本のコーティング配合である。実施例1B〜1Eは本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例1F〜1Gは、本発明のコーティング配合である。1Bと1Cの配合は、表面活性化剤は含んでいるが、ナノ粒子や高分子系分散剤は含まれていない。その結果、1Bと1CのSRPは、1Aと比較して何ら改善が見られなかった。1Dと1Eの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。その結果、1Dと1EのSRPは、基本の配合である1Aと比較してわずかに改善が見られたにすぎなかった。1Fと1Gの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。1Fと1GのSRPは、1A〜1Eと比較して大幅な改善が見られた。
【0035】
(実施例2)
30質量%のサートマーCN−120、30質量%のサートマーCD−501、30質量%のサートマーSR−238、10質量%のサートマーSR−494を含むUV硬化性のエポキシベースのコーティング配合物が調製され、この組成物に、硬化剤として5質量%のベンゾフェノンと5質量%のイルガキュア651が添加された。以下の表に示される原料および濃度の高分子系分散剤と表面活性化剤を使用して、サートマーSR−238中に、酸化アルミニウムナノ粒子が30質量%の濃度で分散された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。これらの分散物は、UV硬化性配合物に添加され、十分に攪拌され、スライドガラス上に1ミルのフィルムを作成するのに使用された。フィルムは、0.6ジュール/パスで、3パスのUV照射によって硬化された。硬化したそれぞれのフィルムは、初期ヘイズと、上述したスチールウール擦り試験の手順で規定されているSRPが試験された。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例2Aは基本のコーティング配合である。実施例2Bは本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例2Cは、本発明のコーティング配合である。2Bの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。その結果、2BのSRPは、基本の配合である2Aと比較してわずかに改善が見られたにすぎなかった。2Cの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。2CのSRPは、2Aや2Bと比較して大幅な改善が見られた。
【0038】
(実施例3)
25質量%のサイメル301、25質量%のトーン200、および50質量%のブチルセルソルブを含む熱硬化型のコーティング配合物が調製され、この組成物に、硬化剤として、p−トルエンスルホン酸を20質量%含有する2−プロパノール溶液が、2質量%添加された。以下の表に示される原料および濃度の、高分子系分散剤と表面活性化剤を使用して、酸化アルミニウムナノ粒子のダウアノールPMA分散物が30質量%の濃度で調製された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。これらの分散物は、熱硬化型配合物に添加され、十分に攪拌され、スライドガラス上に2ミルのウエットフィルムを作成するのに使用された。フィルムは、120℃で1時間かけて硬化された。硬化したそれぞれのフィルムは、初期ヘイズと、上述したスチールウール擦り試験の手順で規定されているSRPが試験された。
【0039】
【表3】

【0040】
実施例3Aは基本のコーティング配合である。実施例3Bは、本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例3C〜3Jは、本発明のコーティング配合である。3Bの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。その結果、3BのSRPは、基本の配合である3Aと比較してわずかに改善が見られたにすぎなかった。3C〜3Jの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。3C〜3JのSRPは、3Aや3Bと比較して大幅な改善が見られた。
【0041】
(実施例4)
80質量%のHC−7600Sアクリルと20質量%のHC−7605Sジイソシアネート(デュポン)とを含有する、40質量%の樹脂固体を含む2成分系ポリウレタンコーティング配合物が調製された。以下の表に示される原料および濃度の、高分子系分散剤と表面活性化剤を使用して、酸化アルミニウムナノ粒子のダウアノールPMA分散物が30質量%の濃度で調製された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。これらの分散物は、ポリウレタン配合物に添加され、十分に攪拌され、スライドガラス上に2ミルのウエットフィルムを作成するのに使用された。フィルムは、120℃で1時間かけて硬化された。硬化したそれぞれのフィルムは、初期ヘイズと、上述したスチールウール擦り試験の手順で規定されているSRPが試験された。
【0042】
【表4】

【0043】
実施例4Aは基本のコーティング配合である。実施例4Bは本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例4C〜4Kは、本発明のコーティング配合である。4Bの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。その結果、4BのSRPは、基本の配合である4Aと比較してわずかに改善が見られたにすぎなかった。4C〜4Kの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。4C〜4KのSRPは、4Aや4Bと比較して大幅な改善が見られた。
【0044】
(実施例5)
以下の表に示される原料および濃度の、酸化アルミニウムナノ粒子(サートマーSR−238中に30質量%で分散)と、高分子系分散剤と、表面活性化剤が場合に応じて添加された、独自仕様のUV硬化性コーティング配合物が調製された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。配合物は、UV照射によって硬化されるフィルムを作成するのに使用され、フィルムの耐スクラッチ性は、上述のナイロンブラシ擦り試験の手順を用いて、ナイロンブラシで500往復擦ることによって測定された。硬化したそれぞれのフィルムは、初期光沢と、上述したナイロンブラシ擦り試験の手順で規定されている%GRが試験された。
【0045】
【表5】

【0046】
実施例5Aは基本のコーティング配合である。実施例5B〜5Dは本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例5E〜5Fは、本発明のコーティング配合である。5Bの配合は、表面活性化剤を含んでいるが、ナノ粒子と高分子系分散剤は含んでいない。5Cと5Dの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。5Eと5Fの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。5Eと5Fの%GRは、5A〜5Dよりも非常に大きい。実際、5Eではナイロンブラシ試験の後でより高い光沢が測定された。
【0047】
(実施例6)
43.5質量%のラロマーLR8986と、43.5質量%のラロマーLR8967と、8.7質量%のシロイドED50と、3.5質量%のイラガキュア184と、0.4質量%のBYK361と、0.4質量%のテゴエアレックスを含むUV硬化性コーティング配合物が調製され、この中に、以下の表に示される原料および濃度の、酸化アルミニウムナノ粒子(サートマーSR−238中に30質量%で分散)と、高分子系分散剤と、表面活性化剤が場合に応じて添加された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。配合物は、UV照射によって硬化されるフィルムを作成するのに使用され、硬化したそれぞれのフィルムは、初期光沢と、上述したスコッチブライト擦り試験の手順で規定されている%GRが試験された。
【0048】
【表6】

【0049】
実施例6Aは基本のコーティング配合である。実施例6B〜6Cは本発明の1またはそれ以上の構成要素が取り除かれたコーティング配合である。実施例6Dと6Eは、本発明のコーティング配合である。6Bと6Cの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤を含んでいるが、表面活性化剤は含んでいない。6Dと6Eの配合は、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤を含んでおり、本発明の態様である。6Dと6Eの%光沢保持率は、6A〜6Cと比較して大幅に改善された。
【0050】
(実施例7)
以下の表に示される原料および濃度の、酸化アルミニウムナノ粒子(ダウアノールPMA中に30質量%で分散)と、高分子系分散剤と、表面活性化剤が場合に応じて入れられた、独自仕様の2成分脂肪族ポリウレタンコーティング配合物が調製された。全ての濃度はコーティング中の総樹脂固体に対する質量%で表示されている。これらの分散物はポリウレタン配合物に添加され、十分に攪拌され、スライドガラス上に2ミルのウエットフィルムを作成するのに使用された。フィルムは、140℃で1時間、熱的に硬化された。フィルムの耐スクラッチ性は、上述のナイロンブラシ擦り試験の手順を用いて、ナイロンブラシで500往復擦ることによって測定された。硬化したフィルムは、初期光沢と、上述したナイロンブラシ擦り試験の手順で規定されている%GRが試験された。
【0051】
【表7】

【0052】
実施例7Aは基本のコーティング配合であり、実施例7B〜7Cは、0.05%と0.20%の直鎖ポリシロキサン表面活性化剤を含み、ナノ粒子と高分子系分散剤を含まないコーティング配合物を表す。実施例7Dと7Eは、ナノ粒子と高分子系分散剤と、0.05%または0.20%の直鎖ポリシロキサン表面活性化剤を含む、本発明のコーティング配合物を表す。実施例7F〜7Gは、0.05%と0.20%の櫛形ポリシロキサン表面活性化剤を含み、ナノ粒子と高分子系分散剤を含まないコーティング配合物を表す。実施例7Hと7Iは、ナノ粒子と高分子系分散剤と、0.05%または0.20%の櫛形ポリシロキサン表面活性化剤を含む、本発明のコーティング配合物を表す。7Bに対する7D、7Cに対する7E、7Fに対する7H、7Gに対する7I、の%GRは、大幅に改善された。
【0053】
(比較実験のまとめ)
以下の表に、実施例がまとめられている。実施例番号、コーティングの種類、耐スクラッチ性試験(SR試験)、および耐スクラッチ性能のデータは、添加剤なしのポリマー(None)、ナノ粒子と高分子系分散剤を有するポリマー(N+PDA)、ポリシロキサン表面活性化剤を有するポリマー(PSAM)、ナノ粒子と高分子系分散剤とポリシロキサン表面活性化剤を有するポリマー(N+PDA+PSAM)に関して比較されている。SRPとGRPは、それぞれ、スチールウールについての性能データと、光沢耐スクラッチ試験である。実施例で異なるポリシロキサン表面活性化剤が使用された複数の試験は、平均値を表に示している。異なる量のナノ粒子を使用した複数の試験が行われている場合は、ナノ粒子の質量%が括弧書きで続けて記されている。該当する分類のデータがない箇所はハイフンで示されている。PUは、ポリウレタンの略である。
【0054】
【表8】

【0055】
スチールウール耐スクラッチ性試験では、より高いSRPが測定されるほど、フィルムの耐スクラッチ性の改善が大きい。上の表からは、ナノ粒子と高分子系分散剤とポリシロキサン表面活性化剤を含む配合物(N+PDA+PSAM)、すなわち本発明の配合物が、著しい耐スクラッチ性の改善を示した。
【0056】
ナイロンブラシおよびスコッチブライト耐スクラッチ性試験では、より%GRが高いほど、フィルムの耐スクラッチ性の改善が大きい。上の表からは、ナノ粒子と高分子系分散剤とポリシロキサン表面活性化剤を含む配合物(N+PDA+PSAM)、すなわち本発明の配合物が、著しい耐スクラッチ性の改善を示した。
【0057】
まとめの表は、磨耗または摩滅条件のある範囲下での耐磨耗性のデータを示している。ナイロンブラシ磨耗試験がカーウオッシュを想定した穏やかな擦り試験である一方、スコッチブライト磨耗試験およびスチールウール磨耗試験は、表面に激しい磨耗条件を与える。したがって、本発明の構成要素によって保護される度合いは、試験条件を考慮してみなければならない。実施例1〜4および6では、コーティング表面は、比較的激しく巨視的な磨耗を受けている。にもかからわらず、ヘイズと光沢の測定からは、本発明のフィルム形成用組成物によって付与される顕著な耐磨耗性が、特に他の材料の組み合わせと照らし合わせてみて、観察されている。表面活性化剤はコーティング表面で滑剤として機能するため、実施例5と7では、コーティング表面は無傷のままであり、表面活性化剤のみを含むコーティングは、比較的高い光沢を維持している−これはこの材料は試験によっては除かれず、その機能を保持するためである。しかしながら、全ての磨耗条件において、ナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤の組み合わせは、商品価値のある耐磨耗性の改良を達成した。
【0058】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに、当業者は、ここで述べた発明の変形、修正、および他の実施形態を容易に考えつくことができるであろう。したがって、本発明は、以上述べた具体的な説明に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、複数のナノ粒子と高分子系分散剤と表面活性化剤とを有する分散物と、を有するフィルム形成用組成物であって、前記フィルム形成用組成物は実質的に透明であり、前記フィルム形成用組成物を有する基材は十分に耐磨耗性であることを特徴とするフィルム形成用組成物。
【請求項2】
前記フィルム形成用組成物を有する基材が、耐スクラッチ性パラメータの値が約2.5〜20として示される、向上した耐磨耗性を示すことを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項3】
前記樹脂が、ポリエーテル、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミド、メラミン、アクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、フッ素化ポリマー樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子が実質的に球状であるナノ結晶金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項5】
前記ナノ粒子が、組成物の質量基準で約0.5〜10質量%の量存在していることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項6】
前記ナノ粒子が金属酸化物ナノ粒子であり、前記金属がシリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、ホウ素、銅、セリア、ジルコニウム、鉄、スズ、アンチモン、インジウム、マグネシウム、カルシウム、銀およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項7】
前記高分子系分散剤が、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリウレア、ポリエーテル、ポリシリコーン、脂肪酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項8】
前記高分子系分散剤が、1000を超える分子量を有しており、少なくとも1つの前記ナノ粒子の表面と相互作用する2またはそれ以上の末端基を有していることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項9】
前記高分子系分散剤が、少なくとも1つの前記ナノ粒子と共有結合性相互作用を介して結びついていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項10】
前記表面活性化剤が、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、アルキルアミン塩、ポリアクリレート、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項11】
前記組成物が、前記分散物の取り込みの前と後で、実質的に同じ光学的透明性か、光沢か、粘度を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項12】
前記複数のナノ粒子の少なくとも1つが、前記フィルム形成用組成物の表面または物品の表面に位置することを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項13】
前記組成物が実質的に透明であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム形成用組成物。
【請求項14】
フィルム形成用組成物を用意する工程と、第一の耐磨耗性を有する基材に前記フィルム形成用組成物を塗布する工程と、複数の金属酸化物ベースのナノ粒子と、高分子系分散剤と、表面活性化剤を含む耐磨耗性改良剤を、前記基材または前記フィルム形成用組成物に添加する工程と、を有する耐磨耗性を向上させる方法であって、
前記添加工程の後、前記基材は、第一の耐磨耗性よりも大きい第二の耐磨耗性を示すことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記添加工程の前に、前記高分子系分散剤と表面活性化剤の中に前記複数の金属酸化物ベースのナノ粒子を分散させる工程をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ粒子が実質的に球状であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノ粒子が金属酸化物ナノ粒子であり、前記金属が、シリコン、アルミニウム、チタン、亜鉛、ホウ素、銅、セリア、ジルコニウム、鉄、スズ、アンチモン、インジウム、マグネシウム、カルシウム、銀およびこれらの混合物からなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子が、前記フィルム形成用組成物の質量基準で約0.1〜10質量%の量存在していることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が、前記添加工程の前後で実質的に同じ光学的透明性か、光沢か、粘度を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルム形成用組成物が、前記添加工程の後において実質的に透明であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
ナノ結晶粒子を用意する工程と、複数の非凝集状態の一次ナノ結晶粒子を有する分散物を形成するために高分子系分散剤とナノ結晶粒子を混合する工程と、前記分散物の表面張力または表面エネルギーを低くする工程と、フィルム形成用組成物を作るために樹脂に前記分散物を添加する工程と、基材に前記フィルム形成用組成物を塗布する工程と、前記基材上に実質的に透明なフィルムを形成する工程とを有する、フィルム形成用組成物の製造方法。
【請求項22】
前記基材が木質製品であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記基材が自動車の表面であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。

【公表番号】特表2008−500434(P2008−500434A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515370(P2007−515370)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018656
【国際公開番号】WO2005/119359
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(503194691)ナノフェイズ テクノロジーズ コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】NANOPHASE TECHNOLOGIES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1319 Marquette Drive, Romeoville, IL 60446, United States of America
【Fターム(参考)】