説明

ナノ繊維濾過媒体を用いる、流体資料からの微生物の除去

液体資料から微生物を除去するための方法ならびに高い液体透過率および高い微生物保持を同時に示すナノ繊維含有液体濾過媒体。細菌、特には、B.ディミヌタのような微生物が、約9を上回るB.ディミヌタLRVを有する多孔性ナノ繊維含有濾過媒体に液体を通過させることによって液体から除去され、ナノ繊維は10nmから約1,000nmの直径を有する。細菌およびマイコプラズマのような微生物を除去するための別の方法には、約8を上回る微生物LRVを有する多孔性ナノ繊維含有濾過媒体に液体を通過させることが含まれ、ナノ繊維は約10nmから約1,000nmの直径を有する。濾過媒体は繊維性電気紡糸ポリマーナノ繊維液体濾過媒体マットの形態であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は2009年3月19日出願の米国仮特許出願第61/210,468号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般には、濾過媒体に関する。特定の実施形態において、本発明は多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過マットおよび濾過された液体からの微生物の保持におけるこの使用方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
液体濾過において用いられるフィルタは、一般には、繊維性不織媒体フィルタまたは多孔性フィルムメンブランフィルタのいずれかとして分類することができる。
【0004】
繊維性不織液体濾過媒体には、以下のものに限定されるわけではないが、スパンボンデッド、メルトブローもしくはスパンレース連続繊維から形成される不織媒体;カード処理ステープル繊維等から形成される水流交絡(hydroentangled)不織媒体;またはこれらのタイプの何らかの組み合わせが含まれる。典型的には、液体濾過において用いられる繊維性不織フィルタ媒体フィルタは約1ミクロン(μm)を一般に上回る細孔径を有する。
【0005】
多孔性フィルムメンブラン液体濾過媒体は不支持で用いられるか、または多孔性基体もしくは支持体と共に用いられる。多孔性濾過メンブランは繊維性不織媒体よりも小さい細孔径を有し、典型的には、約1μm未満の細孔径を有する。多孔性フィルム液体濾過メンブランは以下で用いることができる:(a)液体から濾過される微粒子が、典型的には、約0.1μmから約10μmの範囲にある、精密濾過;(b)液体から濾過される微粒子が、典型的には、約5nmから約0.1μmの範囲にある、限外濾過;および(c)液体から濾過される粒状物質が、典型的には、約1Aから約1nmの範囲にある、逆浸透。
【0006】
繊維性不織媒体および多孔性フィルムメンブランは各々精密濾過における使用に適する。精密濾過は、流体流から細菌のような微生物を除去する、信頼性があって容易に拡大縮小可能である安全な方法として産業界で広く認められており、また、医薬および生物医薬製造の根幹をなしている。これは、生物医薬処理の最中に複数の場所で精密濾過を用いる、生物医薬産業において特に重要である。
【0007】
しかしながら、繊維性不織媒体での精密濾過を用いて約1μm未満の細孔径に相当する粒子保持を達成するため、フィルタ内の繊維性材料の層の数は、不織媒体の深さを深めるため、増加させる必要がある。不織媒体内の繊維層の数の増加は望ましい結果および望ましくない結果の両者を生じる。繊維層の数の増加は、フィルタ媒体による捕獲を逃れるために汚染物質粒子が通過しなければならない欠陥経路の蛇行の増加に加えてフィルタ媒体の汚染物質保持能力の増加により、望ましい結果を生じる。しかしながら、不織媒体内の繊維層の数の増加は、使用時に、この媒体を横切る圧力降下または差圧を望ましくなく増加させる。これは、言い換えるなら、フィルタ使用者にとってのエネルギーが増加することおよびフィルタの寿命がより短くなることを意味する。
【0008】
精密濾過において用いられる多孔性メンブランフィルタは、繊維性不織媒体とは異なり、良好な粒子保持、圧力降下および流動の組み合わせを提供するが法外に経費がかかる傾向にもあり、典型的には、圧力降下の全範囲にわたって良好な汚染物質保持能力を提供することがなく、従って、多孔性メンブランを用いるフィルタの寿命が制限される。
【0009】
液体精密濾過メンブランの2つの最も望ましい特徴は高い透過性および信頼性のある保持である。もちろん、これら2つのパラメータはトレードオフの関係にあり、歴史的に同じタイプのメンブランではメンブランの透過性を犠牲にすることによってより高い保持が達成されている。メンブランを製造するための従来法に固有の制限はメンブランが空隙率の特定の閾値を超えることを妨げ、従って、所定の細孔径で達成することができる透過率の大きさを制限する。
【0010】
濾過メンブランによる微生物保持の定量測定は対数減少値、即ち、LRVとして慣例的に表される。LRVはチャレンジ溶液中の粒子濃度のフィルタ流出液中のこれに対する比の対数である:LRV=Log{[CFU]チャレンジ/[CFU]流出液
【0011】
フィルタが試験条件下ですべての微生物を保持する場合、1つの微生物がフィルタを通過するときに得られる値を上回るものとしてLRVを報告することが通例である。例えば、4.7710CFU/cmのチャレンジ粒子濃度で、最大測定可能LRVは8.22である。粒子がフィルタを通過しないとき、LRVは8.22を上回るものとして報告される。
【0012】
メンブランの細孔径評点は、このメンブランが関連標準化細菌チャレンジ試験にうまく合格している指標である。最も一般的な細孔径評点は0.22μmであり、これは液体濾過に用いられるメンブランフィルタの細菌保持を決定するための標準試験法(Standard Test Method for Determining Bacterial Retention Of Membrane Filters Utilized For Liquid Filtration)(ASTM F838−83試験)に合格するメンブランに割り当てられ、≧10CFU/cmブレブンディモナス・ディミヌタ(Brevundimonas diminuta)でチャレンジした後に無菌流出液を生じることを立証することができる。
【0013】
従来シュードモナス・ディミヌタ(Pseudomonas diminuta)として知られるブレブンディモナス・ディミヌタ(ATTC#19146)は好気性グラム陰性菌(バチルス)である。このサイズが小さいため、B.ディミヌタは滅菌用のメンブランフィルタ等を検証するための標準微生物である。しかしながら、B.ディミヌタはほとんどの病原菌を代表するものではあるが、B.ディミヌタはマイコプラズマと呼ばれる微生物のクラスの悪いモデルであることが立証されている。
【0014】
マイコプラズマは、細胞培養物に感染することができ、および生物医薬品製造に対して実質的に有害な効果を有することがある微生物である。マイコプラズマでの真核細胞培養物等の汚染も一般的な問題であり、信頼できない実験結果およびおそらくは危険な生物学的生成物につながる。これは生物学的および医薬製品の開発および製造に関わる製造者にとっての深刻な問題を表す。細胞培養において用いられる高度の栄養環境の培地はマイコプラズマの増殖につながる可能性があり、これは細胞増殖の減少に加えて培養物の損失を生じる。視認可能な効果、例えば、細胞変性、pHの変化、異常増殖または濁りを示す培地に基づいて感染後の短期間に検出することができるタイプの細菌での汚染とは対照的に、マイコプラズマによって生じる汚染は目立った兆候がなく未検出のままであることがある(Razin,S.1997.Comparative genomics of Mycoplasmas.Wien Klin Wochenschr 109:551−6.Jung H.Wang S Y,Yang I W,Hsuch D W,Yang W J,Wang T H,Wang:H S.(2003) Detection and treatment of Mycoplasma contamination in cultured cells.Chang Gung Med J.26:250−8.Wisher M.(2002) Biosafety and product release testing issues relevant to replication−competent oncolytic viruses,Review.Cancer Gene Ther.9:1056−61)。
【0015】
0.1μmのメンブラン細孔径評点は、メンブランがマイコプラズマを除去するものであると立証されていることを示す(Roche,K.L.:Levy,R.V.,Methods to Validate Microporous Membranes for the Removal of Mycoplasma,BioPharm 1992,5,(3),22−33を参照)。
【0016】
例えば、0.1μmの細孔径評点を有するメンブランは、バイオリアクタの内部で生存および増殖する細胞に供給される培地、栄養物および細胞培養液を濾過するのに用いることができる。マイコプラズマ用の試験微生物であるA.ライダウィイ(A.Laidawii)に特異的な対数減少値(LRV)を有するメンブランが現存する。LRV>8がマイコプラズマの「完全」保持を獲得するのに十分であることは慣例的に認められているものの、より高い透過性およびより高いスループットのため、より小さいLRVを有するフィルタが液体濾過においてしばしば代わりに用いられる。
【0017】
Millipore Corporationに譲渡され、SERUM−FREE GROWTH MEDIUM FOR ACHOLEPLASMA LAlDLAWII AND METHODS FOR RETENTION TESTING STERILIZING GRADE FILTERSと題する、参照によりこの全体が本明細書に十分に組み込まれる、WO/2009/032040は、濾過媒体によるマイコプラズマの完全保持が≧1 109×cfu/mLアコレプラズマ・ライドラウィイ(Acholeplasma Laidlawii)(A.ライドラウィイ;ATCC 23206)でのチャレンジの後に無菌流出液を生じるものであると立証できることを教示する。
【0018】
例えば、米国マサチューセッツ州BillericaのMillipore Corporationから各々入手可能である、0.1μmの細孔径評点を有する2つのメンブラン、即ちDurapore(登録商標)VVおよびExpress SHRは、それぞれ、4および6のマイコプラズマLRVを有する。これもMillipore Corporationから入手可能である、Durapore(登録商標)MVは完全マイコプラズマ保持(LRV>8)を獲得するものの、これが有する媒体濾過における透過性および能力はDurapore(登録商標)VVおよびExpress SHRと比較して低い。
【0019】
メルトブロー(melt blowing)、静電紡糸および電気ブロー(electroblowing)を含む様々な方法を用いて、非常に小さい直径の繊維、即ち、数ミクロンまたは1μm未満のオーダーの繊維のウェブへと合成ポリマーが形成されている。このようなウェブは液体遮蔽材料およびフィルタとして有用であることが示されている。しばしば、これらはより強いシートと組み合わされ複合材料を形成し、その際より強いシートは最終フィルタ製品の要求を満たすような強度を提供する。
【0020】
Schaeferらに発行された米国特許公開番号2004/0038014は、汚染物質を濾過するための、静電紡糸によって形成される、微細ポリマーマイクロファイバおよびナノ繊維の厚い収集物の1以上の層を含む不織濾過マットを教示する。静電紡糸法は、微細繊維形成ポリマー溶液が収容される貯留容器、ポンプおよび貯留容器からポリマー溶液を得るエミッタ装置を含む電気紡糸装置を利用する。静電界内で、ポリマー溶液の液滴が静電界によりグリッド上に位置する収集媒体基体に向かって加速される。適切な静電電源によってエミッタおよびグリッドの間で高電圧静電電位が維持され、これらの間に収集基体が位置する。
【0021】
「電気ブロー」法は世界特許公開WO03/080905に開示され、これは参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液の流れを、高電圧が印加され、およびこれを介してポリマー溶液が排出される、スピナレット内の一連の紡糸ノズルに保存タンクから供給する。その間に、場合により加熱される圧縮空気を紡糸ノズルの側部または周囲に配置される空気ノズルから放出する。空気は、一般には、新たに放出されるポリマー溶液を包んで前進させる吹き込み気体流として下方に向けられ、真空チャンバ上方の接地多孔性収集ベルト上に集められる繊維性ウェブの形成を助ける。電気ブロー法は、商業的サイズおよび量のナノウェブを約1gsm超の基本重量で、約40gsm以上の大きさでさえ、比較的短期間に形成することを可能にする。
【0022】
Batesらに発行された米国特許公開番号2007/0075015は、液体中の粒状物質を濾過するための、場合によりスクリム層上に配置される、1,000ナノメートル未満の平均径を有するナノ繊維の少なくとも1つの層を含む液体濾過媒体を教示する。この濾過媒体は比較的高い固体性レベルで少なくとも0.055L/分/cmの流速を有する。この媒体は、2psi(14kPa)および15psi(100kPa)の間で差圧が増加するとき、見かけ上流速が減少しない。
【0023】
Xuに発行された米国特許公開番号2007/0018361は、反応性電気紡糸によるナノ繊維の製造であって、電気紡糸法が、化学または光化学反応を行うインライン反応器と連結される製造を教示する。Xuにおいて教示される方法は電気紡糸を用いて架橋ポリマーおよび他の材料からのナノ繊維の製造を可能にする。
【0024】
Chenに発行された米国特許公開番号2009/0026137は、微孔メンブランに隣接し、および、場合により、微孔メンブランに結合するナノウェブを有する複合媒体を備える、液体フィルタの製造を教示する。このメンブランは評価された粒子径で3.7のLRV値を特徴とし、ナノウェブは評価された粒子径のメンブランで0.1を上回る分別濾過効率を有する。ナノウェブはこの効率で0.0002を上回る厚み効率比(thickness efficiency ratio)をも有する。ナノウェブはメンブランに深層濾過をもたらすように作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】国際公開第2009/032040号
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0038014号明細書
【特許文献3】国際公開第03/080905号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0075015号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0018361号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0026137号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Razin,S.1997.Comparative genomics of Mycoplasmas.Wien Klin Wochenschr 109:551−6
【非特許文献2】Jung H.Wang S Y,Yang I W,Hsuch D W,Yang W J,Wang T H,Wang:H S.(2003) Detection and treatment of Mycoplasma contamination in cultured cells.Chang Gung Med J.26:250−8
【非特許文献3】Wisher M.(2002) Biosafety and product release testing issues relevant to replication−competent oncolytic viruses,Review.Cancer Gene Ther.9:1056−61
【非特許文献4】Roche,K.L.:Levy,R.V.,Methods to Validate Microporous Membranes for the Removal of Mycoplasma,BioPharm 1992,5,(3),22−33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
信頼のおける電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体であって、高い透過性および高スループットを同時に達成しながら、濾過媒体を通過する液体から分離されるとき、細菌、特にはマイコプラズマのような微生物の完全保持に適切な約8を上回る微生物LRV、および/またはB.ディミヌタの完全保持に適切な約9を上回るB.ディミヌタLRVを有する電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体を得ることが望ましい。
【0028】
加えて、この多孔性電気紡糸ナノ繊維濾過媒体は容易に拡大縮小可能であり、ミリリットルから数千リットルの範囲の資料流体の処理容積に適合可能であり、および様々な濾過法および装置と共に用いることができる。本発明はこれらに加えて他の目的および実施形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の要旨
本発明は、多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に液体を通過させることによって液体から微生物を除去する方法に関する。電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体は多孔性支持体もしくは基体上に配置して、または配置せずに、用いることができる。電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体は様々な形状、サイズ、厚みおよび密度に、例えば、多孔性ポリマーナノ繊維マットに形成することができる。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、約9を上回るB.ディミヌタLRVを有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関し、このナノ繊維は約10nmから約1000nmの範囲の平均繊維径を有する。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、約9を上回るB.ディミヌタLRVを有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関し、この濾過媒体は約80%から約95%の範囲の空隙率を有する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、約4を上回るマイコプラズマLRVおよび約3,000LMH(リットル毎立方メートル毎時)を上回る10psi差圧での液体透過率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVおよび約3,000LMHを上回る10psi差圧での液体透過率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、約9を上回るB.ディミヌタLRVを有し、および約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する繊維性多孔性マットとして形成される、多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、約9を上回るB.ディミヌタLRVを有し、および約10,000LMHを上回る10psi差圧での液体透過率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVを有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体であって、ナノ繊維が約10nmから約1,000nmの範囲の平均繊維径を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体媒体に関する。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVを有し、および約3,000LMHを上回る10psi差圧での液体透過率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVを有し、および約80%から約95%の範囲の空隙率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVを有し、および約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する繊維性多孔性マットとして形成される多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回るマイコプラズマLRVを有し、および約10,000LMHを上回る10psi差圧での液体透過率を有する多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過媒体に関する。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、電気紡糸装置を用い、およびこの溶液に約10kVを上回る電位を施し、および電気紡糸ポリマー繊維を不織マットとして収集することによって、ポリマー溶液からの1以上の電気紡糸ポリマーナノ繊維から多孔性濾過媒体を形成するための方法に関する。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、約8を上回る微生物LRVを有する濾過媒体を含み、および多孔性支持体または多孔性基体上に配置される電気紡糸ポリマーナノ繊維マットを含む複合多孔性濾過装置に関する。
【0043】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明および特許請求の範囲において説明される。当業者には明らかであるように、本発明の多くの変更および変化を、この精神および範囲から逸脱せずに、なすことができる。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明、特許請求の範囲に加えて添付の図面は、例示および説明のためだけのものであり、本教示の様々な実施形態の説明を提供しようとするものである。本明細書で説明される具体的な実施形態は例としてのみ提示されるものであり、限定するものとして意図されているわけでは決してない。
【0044】
本明細書に組み込まれ、この一部を構成する添付の図面は、本発明の現在考慮される実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態によるナノ繊維を電気紡糸する方法の模式図である。ポリマー溶液10、回転ドラム20、移動収集ベルト30、接地電極35、高電圧源40、電場50によって生成されたポリマー繊維、ポリマー繊維から形成された繊維マット60。
【図2】実施例1において例示される、本発明の一実施形態からのナイロン繊維の断面走査電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1において例示される、本発明の一実施形態からのナイロン繊維の正面走査電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例2において例示される、本発明の別の実施形態からのナイロン繊維の走査電子顕微鏡写真である。
【図5】比較例1からの対称的な市販メンブランDurapore(登録商標)MVPPの走査電子顕微鏡写真である。
【図6】比較例2からの対称的な市販メンブランDurapore(登録商標)GVPPの走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以前であろうと以降であろうと、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各々個別の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれていることが明確に個別に指摘されるのと同じ程度にまで、参照によりこれら全体が組み込まれる。
【0047】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的上、他の仕方で示されない限り、成分の量を表すすべての数字、材料のパーセンテージまたは割合、反応条件ならびに明細書および特許請求の範囲において用いられる他の数値は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。
【0048】
従って、反対に指示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは近似であり、これは本発明によって獲得することが求められる望ましい特性に依存して変化し得る。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、各々の数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数字を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0049】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の例において示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、あらゆる数値はこれらそれぞれの試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲はそこに含まれるすべての下位範囲を包含するものであると理解されるべきである。例えば、「1から10」の範囲は最小値1および最大値10の間(これらを含む。)のあらゆるすべての下位範囲、即ち、1以上の最小値および10以下の最大値を有するあらゆるすべての下位範囲、例えば、5.5から10を含む。
【0050】
本発明をさらに詳細に記述する前に、幾つかの用語を定義する。これらの用語の使用が本発明の範囲を限定することはなく、本発明の記述を容易にするのに役立つだけである。
【0051】
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他の仕方で明瞭に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0052】
「ナノ繊維」という用語は、数十ナノメートルから数百ナノメートルまで変化するが、一般には1マイクロメートル未満の直径を有する繊維を指す。
【0053】
「フィルタ媒体」または「複数のフィルタ媒体」という用語は、微生物汚染物質を搬送する流体が通過する材料または材料の収集物であって、微生物がこの材料または材料の収集物の中または上に堆積するものを指す。
【0054】
「流束」および「流速」という用語はある体積の流体が所定面積の濾過媒体を通過する速度を指すときに交換可能に用いられる。
【0055】
本発明の濾過媒体は多孔性電気紡糸ナノ繊維液体濾過マットを含む。これらのナノ繊維は約10nmから約1000nmの平均繊維径を有する。濾過媒体は約0.1μmから約1μmの範囲の平均細孔径を有する。濾過媒体は約80%から約95%の範囲の空隙率を有する。濾過媒体は約1μmから約500μm、好ましくは、約50μmから約200μmの範囲の厚みを有する。濾過媒体は約300LMH/psiを上回る液体透過率を有する。
【0056】
本発明のナノ繊維において用いるのに適するポリマーには熱可塑性および熱硬化性ポリマーが含まれる。適切なポリマーには、以下のものに限定されるわけではないが、ナイロン、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロース、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)、これらのコポリマー、派生化合物およびブレンド、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0057】
濾過媒体の電気紡糸ナノ繊維マットの製造方法はWO2005/024101;WO2006/131081;およびWO2008/106903に開示され、これらはすべてチェコ共和国LiberecのElmarco S.R.O.に譲渡されている。
【0058】
本発明の一実施形態において、濾過媒体は単一ナノ繊維から製造されるマットを含み、単一ナノ繊維は紡糸ドラムとコレクタとの間に位置する移動収集装置が方法を1回経ることによって製造される。同じ移動収集装置の上で同時に稼動する1以上の紡糸ドラムによって繊維ウェブを形成することができることは理解されるであろう。
【0059】
本発明の一実施形態においては、ナイロン溶液からナノ繊維を堆積させることによって繊維マットを製造する。このナノ繊維マットは、乾燥ベースでの測定で、即ち、残留溶媒を蒸発させるか、除去した後に、約5g/mから約15g/mの基本重量を有する。
【0060】
図1に示されるように、移動収集装置30は、好ましくは、単一ナノ繊維から製造される多孔性マットが収集される、スピニングビーム20とコレクタ35との間の静電場内に位置する移動収集ベルトである。
【0061】
本発明の一実施形態においては、様々な多孔性単一または多層基体または支持体のいずれかを、電気紡糸ナノ繊維マット媒体を収集してこれと結合させるために、移動収集ベルト上に配置することで、複合濾過装置を形成することができる。
【0062】
単一または多層多孔性基体または支持体の例には、以下のものに限定されるわけではないが、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂結合不織布(resin−bonded nonwovens)、織物、ニット織物、紙およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0063】
本発明の別の実施形態においては、本明細書で教示される電気紡糸ナノ繊維マット媒体を多孔性基体または支持体に接合することができる。接合は、加熱平滑ニップロール間での熱カレンダー処理、超音波接合および気体接合によるものを含むがこれらに限定されるものではない、当技術分野において公知の方法によって達成することができる。接合は、媒体が、取り扱い、有用なフィルタへの形成およびフィルタ内での使用に伴う力に耐えることができるように、媒体の強度および圧縮抵抗を高め、また、用いられる接合方法に依存して、物理的特性、例えば、厚み、密度ならびに細孔のサイズおよび形状を調整する。
【0064】
例えば、熱カレンダー処理を用いて電気紡糸ナノ繊維マット媒体の厚みを減少させ、密度を高めおよび空隙率を減少させ、ならびに細孔のサイズを減少させることができる。これは、次に、所定の印加差圧で媒体を通る流速を減少させる。一般には、超音波接合が熱カレンダー処理よりも小さい面積の電気紡糸ナノ繊維マット媒体を接合し、従って、厚み、密度および細孔サイズに対する効果がより少ない。一般には気体接合が厚み、密度および細孔サイズに対する効果が最小であり、従って、この接合方法はより速い流体流速の維持が望ましい用途において好ましいものであり得る。
【0065】
熱カレンダー処理を用いるとき、ナノ繊維が溶融して個別の繊維としてのこれらの構造をもはや保持しなくなるほどに、電気紡糸ナノ繊維材料を過剰接合することがないように注意を払わなければならない。極端な場合には、過剰接合はフィルムが形成されるほどに完全なナノ繊維溶融を生じる。用いられるニップロールの一方または両者はほぼ周囲温度、例えば、約25℃から約300℃の温度に加熱される。ナノ繊維マットおよび/または多孔性支持体もしくは基体は約0lb/inから約1000lb/in(178kg/cm)の範囲の圧力でニップロール間で圧縮することができる。ナノ繊維マットは少なくとも約10ft/分(3m/分)のライン速度で圧縮することができる。
【0066】
カレンダー処理条件、例えば、ロール温度、ニップ圧およびライン速度は望ましい硬さが達成されるように調整することができる。一般には、より高い温度、より高い圧力ならびに/または高温および/もしくは高圧の下でのより長い滞留時間の適用が硬さの増加を生じる。
【0067】
他の機械的工程、例えば、伸長、冷却、加熱、焼結、焼きなまし、巻き取り、繰り出し等を、場合により、所望の通りに、電気紡糸ナノ繊維マット媒体の形成、成形および製造の方法全体に含めることができる。
【0068】
例えば、本明細書で教示される電気紡糸ナノ繊維マット媒体を、所望の通りに、単一工程または複数工程で伸長させることができる。電気紡糸ナノ繊維マット媒体を伸長させるために用いられる伸長方法に依存して、伸長により、厚み、密度ならびにマットに形成される細孔のサイズおよび形状を含む、マットの物理的特性を調整することができる。例えば、電気紡糸ナノ繊維マットを単一方向に伸長させる(一軸伸長)場合、望ましい最終伸長比が得られるまで単一伸長工程または一続きの伸長工程によって伸長を達成することができる。
【0069】
同様に、電気紡糸ナノ繊維マット媒体を2方向に伸長させる(二軸伸長)場合、望ましい最終伸長比が得られるまで単一の二軸伸長工程または一続きの二軸伸長工程によって伸長を行うことができる。二軸伸長は、一続きのある方向への1以上の一軸伸長工程および別の方向への1以上の一軸伸長工程によって達成することもできる。電気紡糸ナノ繊維マットを2方向に同時に伸長させる二軸伸長工程および一軸伸長工程をどの順序でも連続して行うことができる。
【0070】
マットの伸長方法は特に限定されるものではなく、通常の幅出し、圧延もしくは膨張またはこれらの2つ以上の組み合わせを用いることができる。伸長は一軸的、二軸的等で行うことができる。二軸伸長の場合、縦方向伸長および横方向伸長を同時に、または連続的に行うことができる。
【0071】
様々なタイプの伸長装置が当技術分野において周知であり、本発明の電気紡糸マットの伸長を達成するのに用いることができる。一軸伸長は、通常、第2のローラ即ち下流ローラが第1のローラ即ち上流ローラよりも速い周速で回転する2つのローラの間での伸長によって達成される。一軸伸長は標準幅出機で達成することもできる。
【0072】
二軸伸長は幅出機で2つの異なる方向に同時に伸長させることによって達成することができる。しかしながら、より一般的には、上に記述されたように2つの異なるように回転するローラの間で最初に一軸伸長させた後、幅出機を用いて異なる方向に一軸伸長させるか、または幅出機を用いて二軸伸長させることによって、二軸伸長を達成する。最も一般的なタイプの二軸伸長は2つの伸長方向が互いにほぼ直角である場合である。連続シートを伸長させているほとんどの状況において、一方の伸長方向はシートの長軸に対して少なくともほぼ平行(縦方向)であり、他方の伸長方向は縦方向に対して少なくともほぼ直角であってシートの平面内にある(横方向)。
【0073】
電気紡糸ナノ繊維マットを一軸的または二軸的のどちらかで伸長させた後、この伸長多孔性電気紡糸ナノ繊維マットを再度カレンダー処理することができる。伸長装置から排出されるマットと比較して厚みが減少したマットが形成されるように、伸長電気紡糸ナノ繊維マットを協働的に作動する一対の加熱カレンダーロールに送ることができる。これらのカレンダーロールによって発揮される圧力を温度と共に調節することにより、最終電気紡糸ナノ繊維マットの細孔径を所望の通りに制御し、それにより平均細孔径の調整を可能にすることができる。
【0074】
伸長の前、その間および/またはその後に、様々な技術のいずれかによって電気紡糸ナノ繊維マットを加熱することができる。これらの技術の例には、放射加熱、例えば、電気加熱または気体燃料赤外ヒーターによって提供されるもの、対流加熱、例えば、再循環熱空気によって提供されるものおよび伝導加熱、例えば、加熱ロールとの接触によって提供されるものが含まれる。温度制御の目的で測定される温度は用いられる装置および個人的な好みに従って変化し得る。
【0075】
一般には、温度は、もしあるとしても伸長マットの厚みの変動が許容し得る限度内であり、およびこれらの限度の外側の微多孔性電気紡糸ナノ繊維マットの量が許容し得るほど少なくなるように、伸長電気紡糸ナノ繊維マットがほぼ均一に伸長されるように制御することができる。制御の目的で用いられる温度は、これらが用いられる装置の性質、温度測定装置の位置および温度を測定している物質または対象の固有性に依存するため、電気紡糸ナノ繊維マットこれ自体のものに近いものであり得、または近いものではあり得ないことは明らかである。
【0076】
空隙率はカレンダー処理の結果として変更されることがある。約5%から約90%の空隙率の範囲を得ることがでできる。
【0077】
濾過媒体はしばしば単層構成で用いられるが、互いに隣接する濾過媒体の1を上回る層を提供することが時折有利である。粒子保持を改善するためのメンブランフィルタの積層はウイルス除去において一般に用いられ、Viresolve(登録商標)NFPおよびViresolve Pro(登録商標)というMilliporeの製品ラインにおいて商業的に実施されている。同じ、または異なる組成の濾過媒体の積層もフィルタスループットの改善に用いられる。このような積層フィルタの例はMilliporeのExpress(登録商標)SHCおよびSHRP製品ラインである。多層濾過製品を選択するための他の検討事項には媒体および装置製造の経済性および利便性、滅菌および検証の容易さが含まれる。本発明の繊維性濾過媒体は単層または多層構成で用いることができる。
【0078】
試験方法
基本重量はASTM D−3776によって決定し、これはそれによって参照により組み込まれ、g/mで報告される。
【0079】
空隙率はg/mでの資料の基本重量をg/cmでのポリマー密度によって除し、マイクロメートルでの資料厚みで除し、100を乗しおよび得られた数を100から減じることによって算出し、即ち、空隙率=100−[基本重量/(密度×厚み)×100]である。
【0080】
繊維径は以下のように決定した。各ナノ繊維層資料について、走査電子顕微鏡(SEM)画像を40,000×倍で10枚撮影した。10の明瞭に区別可能なナノ繊維の直径を各SEM画像から決定して記録した。欠陥は含めなかった(即ち、ナノ繊維の塊、ポリマー液滴、ナノ繊維の交差)。各々の資料の平均繊維径を算出した。
【0081】
厚みはASTM D1777−64によって決定し、これはそれによって参照により組み込まれ、マイクロメータで報告される。
【0082】
平均流動起泡点(Mean flow bubble point)は、ASTM指定F316からの自動起泡点法を用いることによるASTM指定E1294−89、「自動液体ポロシメータを用いるメンブランフィルタの細孔径の特徴の標準試験法(Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter)に従い、ニューヨーク州IthacaのPorous Materials,Inc.(PMI)からの市販装置に原理的に類似する特注キャピラリフローポロシメータを用いて決定した。直径47mm(測定可能面積9.6cm)の個々の資料をイソプロピルアルコールで湿らせた。各々の資料をホルダに納め、空気の差圧を印加して資料から流体を除去した。湿潤流動が乾燥流動(湿潤溶媒なしの流動)の1/2に等しい差圧を、供給されるソフトウェアを用いて平均流動細孔径を算出するために用いる。
【0083】
流速(流束とも呼ばれる。)は、流体が所定面積の資料を通過する速度のことであり、35mmの直径を有するフィルタ媒体資料に脱イオン水を通過させることによって測定した。水は水圧(水頭圧)または空気圧(水全体にわたる気圧)を用いて資料に強制通過させた。
【0084】
電気紡糸マットの有効細孔径は従来のメンブラン技術、例えば、起泡点、液−液ポロシメトリーおよび特定サイズの粒子を用いる負荷試験を用いて測定することができる。繊維マットの有効細孔径は、一般には、繊維直径と共に増加し、および空隙率と共に減少することが公知である。
【0085】
起泡点試験は有効細孔径を測定するのに都合のよい方法を提供する。これは以下の等式から算出され:
【0086】
【数1】

式中、Pは起泡点圧であり、γはプローブ液の表面張力であり、rは細孔半径でありおよびθは液−固接触角である。
【0087】
メンブラン製造者は公称細孔径評点を市販メンブランフィルタに割り当てており、これはこれらの保持特性に基づくものである。
【0088】
無作為不織布マットの細孔径分布がマットの厚みの増加に従って狭くなることは公知であるが(Meltzer,T.H.,In Filtration in the Pharmaceutical Industry,Marcel Dekker:New York,1987;p 103を参照)、不織布マットの細孔径分布が、マイコプラズマ保持フィルタについては少なくとも100LMH/psiの、B.ディミヌタ保持フィルタについては500LMH/psiの競合透過率(competitive permeability)で(上で論じられた)「完全細菌保持」を達成するのに十分な狭さであり得るかどうかはこれまで示されていない。
【0089】
マイコプラズマ保持は、メンブランの平方cmあたり8.7710コロニー形成ユニット(CFU/cm)でメンブランにチャレンジすることによって測定した。装置を50mLの希釈A.ライドラウィイでチャレンジした後、50mLのマイコプラズマバッファでフラッシュし、合計で100mLとする。次に、この100mL全体を0.22μm無菌メンブランを通して濾過した。次いで、公開特許出願WO2009/032040に記載される手順を行った。
【0090】
B.ディミヌタ保持はASTM F838−83に従って測定した。
【0091】
以下の本発明の実施例は、電気紡糸ナノ繊維マットが高い透過率および高い細菌保持の両者を同時に有し得ることを示す。
【0092】
以下、本発明を以下の実施例においてより詳細に説明する。本発明を例示しようとするものである以下の実施例によって本発明がさらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0093】
(実施例1)
WO2006/131081に開示されるナノ繊維ウェブを形成するための電気紡糸法および装置を用いて下記実施例のナノ繊維層およびマットを製造した。
【0094】
ナノ繊維層はナイロン6ポリマーの溶液を電気紡糸することによって製造した。ナイロン6は米国ニュージャージー州Florham ParkのBASF Corp.からUltramid B24の商標で供給された。重量比2:1の酢酸およびギ酸の溶媒混合液を用いて、8から16%の範囲の濃度を有するナイロンの溶液を調製した。
【0095】
ナイロンの10wt.%溶液を82kVならびに溶液および接地電極の間の距離155mmで45分間電気紡糸した。例としてのみ、A.ライディアウィイ保持について上述の標準Millipore法を用いて資料を試験した。下記表Iにおいて代表的な資料を最も近いDurapore(登録商標)メンブラン、MVPPと比較する。
【0096】
これらの結果を下記表Iに示す。
【0097】
【表1】

【0098】
(実施例2)
一続きのナイロン6電気紡糸繊維性マットを実施例1に記述されるように調製した。ナイロンの13wt.%溶液を82kVならびに溶液および接地電極間の距離155mmで10および45分間電気紡糸した。2つの紡糸時間について、それぞれ、55および225ミクロン厚の繊維マットを製造した。これらの資料を、例としてのみ、B.ディミヌタ保持について試験した。本明細書で教示されるマイコプラズマ保持電気紡糸繊維性マットをB.ディミヌタの完全保持に用いることに注意するべきである。
【0099】
(実施例3)
別の一続きのナイロン6電気紡糸繊維性マットを実施例2に記述されるように調製した。ナイロンの16wt.%溶液を82kVならびに溶液および接地電極間の距離155mmで15分間電気紡糸した。これらの資料を、例としてのみ、B.ディミヌタ保持について試験した。
【0100】
これらの結果を下記表IIに示す。
【0101】
【表2】

【0102】
電気紡糸ナノ繊維マットのより大きい空隙率はより高い透過率を生じ、その一方で微生物を保持するための信頼のおける手段を依然として提供する。
【0103】
使用方法
【0104】
本発明による電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体は食品、飲料、医薬、バイオテクノロジー、マイクロエレクトロニクス、化学処理、水処理および他の液体処理産業において有用である。
【0105】
本発明による電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体は液体資料または流れから微生物を濾過、分離、同定および/または検出するのに用いることができる。
【0106】
本発明による電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体はあらゆる液体資料調製法と共に用いることができ、この液体資料調製法には、以下のものに限定されるわけではないが、クロマトグラフィー;高圧液体クロマトグラフィー(HPLC);電気泳動;ゲル濾過;資料遠心;オンライン資料調製;診断キット試験;診断試験;高スループットスクリーニング;親和結合アッセイ;液体資料の精製;流体資料の成分のサイズに基づく分離;流体資料の成分の物理特性に基づく分離;流体資料の成分の化学特性に基づく分離;流体資料の成分の生物学的特性に基づく分離;流体資料の成分の静電特性に基づく分離;およびこれらの組み合わせが含まれる。その上、本発明による電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体はより大きな装置および/またはシステムの構成要素または一部であり得る。
【0107】
キット
【0108】
本発明は液体資料から微生物を除去するのに用いることができるキットも提供する。このキットは、例えば、1以上の本発明による電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体に加えて、1以上の液体濾過装置、媒体の支持体または基体を含むことができる。キットは1以上の対照を含むことができ、本発明を実施する方法において有用な様々なバッファを場合により含むことができる。場合により、試薬を除去し、または非特異的に保持もしくは結合する物質を除去するための洗浄バッファをキットに含めることができる。
【0109】
随意の他のキット試薬には溶離バッファが含まれる。バッファの各々は別々の容器内に溶液として提供することができる。または、バッファを乾燥形態で、または粉末として提供し、使用者が望む用途に従って溶液として仕上げることができる。この場合、バッファは小包内に提供することができる。外力を提供する手段、例えば、真空ポンプに加えて装置が自動化されている場合、キットは電源を提供することができる。キットは電気紡糸ナノ繊維含有液体濾過媒体、装置、支持体もしくは基体を用いるための、および/または本発明で用いるのに適する試薬を仕上げるための、および本発明を実施する方法の取り扱い説明書を含むこともできる。本発明の方法を実施する間に、または本発明の装置を使用する間に、得られるデータを記録および分析するための随意のソフトウェアを含めることもできる。
【0110】
「キット」という用語には、例えば、単一包装内で組み合わされた構成要素の各々、個別に包装されて一緒に販売される構成要素、またはカタログ内で(例えば、カタログ内の同じページに、または2頁にまたがって)一緒に提示される構成要素が含まれる。
【0111】
上に記述された開示は独自の有用性を有する複数の別個の発明を包含し得る。これらの発明の各々がこの好ましい形態で開示されてはいるが、本明細書で開示され、および説明されるこれらの具体的な実施形態は、多くの変化が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではない。本発明の主題は本明細書で開示される様々な要素、特徴、機能および/または特性のすべての新規および非自明の組み合わせおよび部分的組み合わせを含む。以下の特許請求の範囲は新規および非自明と見なされる特定の組み合わせおよび部分的組み合わせを特に指摘する。特徴、機能、要素および/または特性の他の組み合わせおよび部分的組み合わせで具現化される発明は、本出願または関連出願からの優先権を主張する出願において主張され得る。また、このような特許請求の範囲は、異なる発明に関していようと同じ発明に関していようと、および元の特許請求の範囲に対して範囲がより広かろうと、より狭かろうと、等しかろうと、または異なろうと、本開示の発明の主題に含まれるものであると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体資料から微生物を除去する方法であって:
a)微生物を含む液体資料を提供する工程、
b)約8を上回る微生物対数減少値(LRV)、約80%から約95%の空隙率および約300LMH/psiを上回る液体透過率を有する多孔性ナノ繊維含有濾過媒体を提供する工程であって、ナノ繊維が約10nmから約1,000nmの繊維径を有する工程、ならびに
c)濾過媒体に微生物を含有する液体資料を通過させ、微生物の完全保持を生じる工程、
を含む方法。
【請求項2】
イソプロパノールで試験して、濾過媒体が1から100psiの範囲の、平均流動起泡点を有する、請求項1の方法。
【請求項3】
濾過媒体が約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項1の方法。
【請求項4】
ナノ繊維含有濾過媒体が電気紡糸および電気ブローからなる群より選択される方法によって形成される、請求項1の方法。
【請求項5】
微生物が細菌である、請求項1の方法。
【請求項6】
微生物がマイコプラズマである、請求項1の方法。
【請求項7】
ナノ繊維が、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)およびこれらのコポリマー、派生化合物またはブレンドからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項1の方法。
【請求項8】
ナノ繊維が脂肪族ポリアミドを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
ナノ繊維がポリマーまたはコポリマーのブレンドを含む、請求項1の方法。
【請求項10】
ナノ繊維が多孔性支持体上に配置される、請求項1の方法。
【請求項11】
多孔性支持体がスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂結合不織布、織物、ニット織物、紙およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の層を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
濾過媒体によるマイコプラズマの完全保持が、濾過媒体が≧1 10×cfu/mLアコレプラズマ・ライドラウィイでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項6の方法。
【請求項13】
約8を上回る微生物LRVを有する多孔性ナノ繊維濾過媒体であって、該濾過媒体を通過する液体資料から除去される微生物の完全保持において用いるためのものであり:
ナノ繊維含有基体を含み、ナノ繊維が約10nmから約1,000の繊維径を有し、ならびに基体が
i)約80%から約95%の範囲の空隙率、および
ii)約300LMH/psiを上回る液体透過率、
を有する濾過媒体。
【請求項14】
約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項13の濾過媒体。
【請求項15】
iii)イソプロパノールで試験して、1から100psiの範囲の、平均流動起泡点、
をさらに含む、請求項13の濾過媒体。
【請求項16】
ナノ繊維が、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)ならびにこれらのコポリマー、派生化合物およびブレンドからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項13の濾過媒体。
【請求項17】
ナノ繊維が脂肪族ポリアミドを含む、請求項13の濾過媒体。
【請求項18】
ナノ繊維含有基体が電気紡糸および電気ブローからなる群より選択される方法によって形成される、請求項14の濾過媒体。
【請求項19】
ナノ繊維が多孔性支持体上に配置される、請求項14の濾過媒体。
【請求項20】
多孔性支持体がスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂結合不織布、織物、ニット織物、紙およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の層を含む、請求項19の濾過媒体。
【請求項21】
微生物が細菌である、請求項14の濾過媒体。
【請求項22】
微生物がマイコプラズマである、請求項14の濾過媒体。
【請求項23】
濾過媒体によるマイコプラズマの完全保持が、濾過媒体が≧1 10×cfu/mLアコレプラズマ・ライドラウィイでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項22の濾過媒体。
【請求項24】
約8を上回る微生物LRVを有する濾過装置であって、該装置を通過する液体資料から除去される微生物の完全保持において用いるためのものであり:
約8を上回る微生物対数減少値(LRV)を有するナノ繊維含有濾過媒体を含み、ナノ繊維は約10nmから約1,000nmの繊維径を有し、ならびに濾過媒体は
i)約80%から約95%の範囲の空隙率、および
ii)約300LMH/psiを上回る液体透過率、
を有する濾過装置。
【請求項25】
濾過媒体が約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項24の装置。
【請求項26】
濾過媒体が
iii)イソプロパノールで試験して、1から100psiの範囲の、平均流動起泡点、
をさらに含む、請求項24の装置。
【請求項27】
濾過媒体が電気紡糸および電気ブローからなる群より選択される方法によって形成される、請求項24の装置。
【請求項28】
濾過媒体が電気紡糸ポリマー繊維マットである、請求項24の装置。
【請求項29】
濾過媒体が多孔性支持体上に配置される、請求項24の装置。
【請求項30】
微生物がマイコプラズマである、請求項24の装置。
【請求項31】
濾過媒体によるマイコプラズマの完全保持が、濾過媒体が≧1 10×cfu/mLアコレプラズマ・ライドラウィイでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項24の装置。
【請求項32】
液体資料から微生物を除去する方法であって:
a)微生物を含む液体資料を提供する工程、
b)約9を上回る微生物対数減少値(LRV)、約80%から約95%の空隙率および約1,000LMH/psiを上回る液体透過率を有する多孔性ナノ繊維含有濾過媒体を提供する工程であって、ナノ繊維が約10nmから約1,000nmの繊維径を有する工程、ならびに
c)濾過媒体に微生物を含有する液体資料を通過させ、微生物の完全保持を生じる工程、
を含む方法。
【請求項33】
濾過媒体がイソプロパノールで試験して、1から100psiの範囲の、平均流動起泡点を有する、請求項32の方法。
【請求項34】
濾過媒体が約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項32の方法。
【請求項35】
濾過媒体が電気紡糸ポリマー繊維性マットである、請求項32の方法。
【請求項36】
微生物が細菌である、請求項32の方法。
【請求項37】
細菌がブレブンディモナス・ディミヌタである、請求項36の方法。
【請求項38】
ナノ繊維が、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)ならびにこれらのコポリマー、派生化合物およびブレンドからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項32の方法。
【請求項39】
ナノ繊維が脂肪族ポリアミドを含む、請求項32の方法。
【請求項40】
濾過媒体が多孔性支持体上に配置される、請求項32の方法。
【請求項41】
多孔性支持体がスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂結合不織布、織物、ニット織物、紙およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の層を含む、請求項40の方法。
【請求項42】
濾過媒体によるブレブンディモナス・ディミヌタの完全保持が、濾過媒体が液体濾過に用いられるメンブランフィルタの細菌保持を決定するための標準試験法(ASTM F838−83試験)の要求を満たし、および≧10CFU/cmブレブンディモナス・ディミヌタでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項32の方法。
【請求項43】
約9を上回る微生物LRVを有する液体濾過ナノ繊維含有媒体であって、該濾過媒体を通過する液体資料から除去される微生物の完全保持において用いるためのものであり:
ナノ繊維含有マットを含み、ナノ繊維は約10nmから約1,000nmの繊維径を有し、ならびにマットは
i)約80%から約95%の範囲の空隙率、および
ii)約1,000LMH/psiを上回る液体透過率、
を有する媒体。
【請求項44】
約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項43の濾過媒体。
【請求項45】
iii)イソプロパノールで試験して、1から100psiの範囲の、平均流動起泡点、
をさらに含む、請求項43の濾過媒体。
【請求項46】
ナノ繊維が、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)ならびにこれらのコポリマー、派生化合物およびブレンドからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項43の濾過媒体。
【請求項47】
ナノ繊維が脂肪族ポリアミドを含む、請求項43の濾過媒体。
【請求項48】
マットが電気紡糸ポリマー多孔性マットである、請求項43の濾過媒体。
【請求項49】
ナノ繊維が多孔性支持体上に配置される、請求項43の濾過媒体。
【請求項50】
多孔性支持体がスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂結合不織布、織物、ニット織物、紙およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の層を含む、請求項43の濾過媒体。
【請求項51】
微生物が細菌である、請求項43の濾過媒体。
【請求項52】
細菌がブレブンディモナス・ディミヌタである、請求項51の濾過媒体。
【請求項53】
濾過媒体によるブレブンディモナス・ディミヌタの完全保持が、濾過媒体が液体濾過に用いられるメンブランフィルタの細菌保持を決定するための標準試験法(ASTM F838−83試験)の要求を満たし、および≧10CFU/cmブレブンディモナス・ディミヌタでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項52の濾過媒体。
【請求項54】
約9を上回る微生物LRVを有する液体濾過装置であって、該装置を通過する液体資料から除去される微生物の完全保持において用いるためのものであり:
約9を上回る微生物対数減少値(LRV)を有するナノ繊維含有濾過媒体を含み、ナノ繊維は約10nmから約1,000nmの繊維径を有し、ならびに濾過媒体は
i)約80%から約95%の空隙率、および
ii)約1,000LMH/psiを上回る液体透過率、
を有する濾過装置。
【請求項55】
濾過媒体が約1μmから約500μmの範囲の厚みを有する、請求項54の装置。
【請求項56】
濾過媒体が
iii)イソプロパノールで試験して、1から100psiの範囲の、平均流動起泡点、
をさらに含む、請求項54の装置。
【請求項57】
濾過媒体が電気紡糸ポリマー多孔性マットである、請求項54の装置。
【請求項58】
濾過媒体が1以上の層を有する多孔性支持体上に配置される、請求項54の装置。
【請求項59】
微生物がブレブンディモナス・ディミヌタである、請求項54の装置。
【請求項60】
濾過媒体によるブレブンディモナス・ディミヌタの完全保持が、濾過媒体が液体濾過に用いられるメンブランフィルタの細菌保持を決定するための標準試験法(ASTM F838−83試験)の要求を満たし、および≧10CFU/cmブレブンディモナス・ディミヌタでチャレンジされた後に無菌流出物を生成するものであると確認することができるときに生じる、請求項59の装置。
【請求項61】
ナノ繊維が、ポリイミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリ(尿素ウレタン)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルブチレン)ならびにこれらのコポリマー、派生化合物およびブレンドからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項54の装置。
【請求項62】
ナノ繊維が脂肪族ポリアミドを含む、請求項54の装置。
【請求項63】
請求項54の濾過装置を用いる、請求項32の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−520761(P2012−520761A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500791(P2012−500791)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/000826
【国際公開番号】WO2010/107503
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】