説明

ナビゲーション装置、および経路誘導方法

【課題】ナビゲーション装置において、渋滞を効率よく回避できる経路案内を行う。
【解決手段】目的地までの推奨経路を探索するナビゲーション装置にリンク毎に該リンクの道路種別を示す情報を対応付けたリンク情報を記憶する記憶装置3と、現在位置を検出する手段と、少なくとも渋滞しているリンクを特定する情報が含まれている道路交通情報を、外部から受信する手段と、探索した推奨経路、受信した道路交通情報を用いて、推奨経路の中に渋滞しているリンクが在るか否かを判定し、渋滞しているリンクが在る場合に渋滞しているリンクを迂回して、目的地に向かう迂回路を探索する手段と、推奨経路と迂回路とが分岐する分岐点を抽出し、抽出した分岐点に進入する推奨経路のリンクであって、かつ分岐点に接続するリンクの道路種別により迂回路を採用するか否かを判定する手段と、を有する演算処理部1とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に車載用ナビゲーション装置の経路探索および経路誘導の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置には、道路の渋滞情報を受信し、その受信した渋滞情報を利用して、渋滞している道路を迂回する迂回経路を探索するものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1のナビゲーション装置は、利用者からの要求にしたがい目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路を用いて利用者に対する経路誘導を行う。また、特許文献1のナビゲーション装置は、受信した渋滞情報が示す渋滞道路が推奨経路を構成する道路であるか否かを判定する。そして、上記のナビゲーション装置は、渋滞情報が示す渋滞道路が推奨経路を構成する道路である場合に、渋滞道路を回避する迂回路を探索し、迂回路を利用者に提示するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−318377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高速道路を走行している際に渋滞に巻き込まれた場合、運転者や同乗者は、出来るだけ早く渋滞から抜けたいと考えることが多い。高速道路では、サービスエリアまで休憩所や店舗がないためである。また、ナビゲーション装置は、高速道路からの迂回路を探索する場合に、高速道路から降りてすぐに元の高速道路に戻る経路を迂回路として探索してしまうことが多い。このような経路は、渋滞を回避するための迂回路としては妥当な経路とはいえない。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、高速道路からの迂回路を求めることについて特に考慮されていない。特許文献1では、推奨経路が高速道路である場合、迂回路を探索しないようにしている。そのため、特許文献1では、推奨経路の道路種別によっては、渋滞を回避する経路を案内できないことがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ナビゲーション装置において、渋滞を効率よく回避できる経路案内を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、地図データに含まれているリンク情報を用いて出発地から目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路を用いて利用者に対する経路案内を行うナビゲーション装置に適用される。また、前記リンク情報には、リンク毎に該リンクが高速道路、専用道路、および一般道路のいずれかであるかを示す道路種別情報が含まれている。
【0008】
そして、前記ナビゲーション装置は、前記探索した推奨経路を記憶する手段と、現在位置を検出する手段と、少なくとも渋滞しているリンクを特定する情報が含まれている道路交通情報を、外部から受信する手段と、前記記憶している推奨経路、前記受信した道路交通情報、および前記検出した現在位置を用いて、現在位置から目的地までの推奨経路の中に道路交通情報に含まれる渋滞しているリンクが在るか否かを判定し、該渋滞しているリンクが在る場合に該渋滞しているリンクを迂回して、該現在位置から目的地に向かう迂回路を探索する手段と、前記記憶している推奨経路、前記探索した迂回路、および前記リンク情報を用いて、前記迂回路を採用するか否かを判定する手段と、前記採用すると判定された場合に該迂回路を用いて経路誘導を行い、前記採用すると判定されなかった場合に前記記憶している推奨経路を用いて経路誘導を行う手段と、を有し、前記判定する手段は、前記推奨経路と前記迂回路とが分岐する分岐点を抽出し、該抽出した分岐点に進入する推奨経路のリンクであって、かつ分岐点に接続するリンクを特定し、特定したリンクの道路種別毎に定められた条件に従い前記迂回路を採用するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、推奨経路上に渋滞している道路があり、迂回路を探索する場合において、走行している推奨経路の道路種類別を考慮して探索した迂回路を採用するか否かを判定するようにしている。そのため、本発明によれば、交通渋滞に効率よく対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
最初に本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置(以下において単に「ナビゲーション装置」という)の概略構成図である。
【0013】
図示するように、ナビゲーション装置は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、地図データ等が記憶された記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、地磁気センサ7と、ジャイロ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、道路交通情報の提供サービスを行うセンタ等が送信する道路交通情報を受信するためのFM多重放送受信装置10とを有する。
【0014】
演算処理部1は、ナビゲーション装置が利用者に提供する各種情報を処理するための中心的ユニットである。例えば、各種センサ6〜8やGPS受信装置9から出力される情報を基にして現在位置を検出する。演算処理部1は、検出した現在位置の周辺の地図データを記憶装置3から読み出し、その読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在位置を示すマークを重ねてディスプレイ2に表示する。また、演算処理部1は、現在位置と利用者から指示された目的地とを結ぶ推奨経路を探索し、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いて利用者を誘導する。また、演算処理部1は、FM多重放送受信装置10により受信した道路交通情報を用いて探索した推奨経路が渋滞しているか否かを判定する。演算処理部1は、渋滞していると判定した場合には、渋滞を回避するための迂回路を探索する。さらに、演算処理部1は、後述する所定の要件にしたがい、探索した迂回路を採用するか否かを判定し、迂回路を採用すると判定した場合には、その探索した迂回路をディスプレイ2上に表示し、迂回路にしたがい経路誘導を行う。
【0015】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成された画像データを表示するユニットで、CRTや液晶ディスプレイ等により構成される。また、演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National TV Standards Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0016】
記憶装置3は、日本列島の全体図から全国各市町村の詳細図まで多段階の縮尺図に対応した地図データ等のデータを記憶するユニットである。なお、記憶装置3には、例えば、DVD装置やハードディスク装置を用いることができる。
【0017】
ここで地図データの構成を説明する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態の記憶装置3に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示す図である。
【0019】
図示するように、地図データ310は、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に分類されている。地図データ310は、メッシュ領域を識別するためのメッシュID311、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ312を有する。
【0020】
リンクデータ312は、リンクを識別するためのリンクID3121、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報3122、リンクが属する道路が「高速道路」、「専用道路」、および「一般道路」のいずれかであるかを示す道路種別3123、リンクの長さを示すリンク長情報3124、リンクの旅行時間(或いは移動時間)情報3125、および2つのノード(開始ノード、終了ノード)にそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)3126などを有する。
【0021】
なお、記憶装置3には、上述の地図データの他に、座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュ領域のメッシュIDを特定するためのテーブル(変換テーブルと呼ぶこととする)が記憶されている。
【0022】
図1に戻り、説明を続ける。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成した利用者へのメッセージを音声信号に変換して出力すると共に、利用者が発した声を認識し、認識した内容を演算処理部1に転送する。
【0023】
入力装置5は、ナビゲーション装置の各種機能選択、目的地設定等の利用者からの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイステック、ディスプレイ2上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0024】
センサ6〜8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置が現在位置を検出するために使用するものである。車輪速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数から移動体が曲がった角度を計測する。地磁気センサ7は、地球が保持している磁気を検知し、移動体が向かっている方角を検出する。ジャイロ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロで構成され、移動体が回転した角度を検出する。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGSP衛星間の距離および距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行方向および進行方位を測定する。
【0025】
続いて、上述したナビゲーション装置の演算処理部1が有する機能について図3を用いて説明する。
【0026】
図3は、本発明の実施形態の演算処理部1の機能構成を説明するための図である。
【0027】
図示するように、演算処理部1は、設定部20、現在位置検出部11、データ読込部12、マップマッチ処理部13、経路探索部14、経路誘導部15、地図表示処理部16、グラフィックス処理部17、交通データ更新部18、および経路・交通データ記憶部19を有する。
【0028】
設定部20は、入力装置5或いは音声入出力装置4に入力された利用者からの要求を受け付け、その要求された内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1を制御する。例えば、利用者が、入力装置5を介して目的地に向うための推奨経路の探索を要求した場合、現在位置から目的地までの推奨経路を探索する処理を経路探索部14に要求する。
【0029】
現在位置検出部11は、車輪速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロセンサ8で計測される角速度データS7を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用いて、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期値(X,Y)から自車走行後の位置である現在位置(X´,Y´)を定期的に演算する。現在位置検出部11は、上記算出した現在位置を地図表示処理部16に出力すると共に、上記算出した現在位置を所定の算出回数毎にマップマッチ処理部13に出力する。また、現在位置検出部11は、後述するマップマッチ処理部13から現在位置の補正データを取得した場合、その現在位置の補正データを地図表示処理部16に出力する。さらに、現在位置検出部11は、経路誘導部15からの現在位置を要求された場合、経路誘導部15に現在位置(或いは現在位置の補正データ)を出力する。
【0030】
ここで、現在位置検出部11は、自車の回転した角度と進む方向との関係を一致させるため、地磁気センサ7から得られた方位データS6と、ジャイロ8から得られ角速度データS7を積分した角度データを参照して、自車が進行している方向の絶対方位を推定する。現在位置検出部11は、車輪速センサ6のデータS5およびジャイロ8のデータS7を各々積分していくと、誤差が蓄積するため、ある時間でGPS受信装置9から得られた位置データS8をもとに蓄積した誤差をキャンセルする処理を施し、現在位置のデータを求める。
【0031】
データ読込部12は、ディスプレイ2に表示が要求される領域や、経路探索のために要求される領域(現在位置および目的地を含む)にある地図データを記憶装置3から読み込む。
【0032】
マップマッチ処理部13は、データ読込部12が読み込んだ現在位置周辺の地図データと、現在位置検出部11が定期的に検出する現在位置を合わせ込むマップマッチ処理を行う。マップマッチ処理部13は、定期的に現在位置を補正し、補正した現在位置を示すデータを現在位置検出部11に出力する。
【0033】
交通データ更新部18は、FM多重放送受信装置10が受信した道路交通情報を受付ける。なお、本実施形態では、道路交通情報の具体的な構成については特に限定しないが、道路交通情報には、少なくとも交通渋滞の発生した日時と、その交通渋滞が発生しているリンクを特定する情報(リンクID)とが含まれていることとする。そして、交通データ更新部18は、受付けた道路交通情報を受信した日時と対応付けて経路・交通データ記憶部19に格納する。また、交通データ更新部18は、所定の間隔で、経路・交通データ記憶部19に格納されている道路交通情報を更新する。具体的には、交通データ更新部18は、記憶している道路交通情報の中から、交通渋滞の発生している日時が現在の日時から所定時間以上経過したものを検索し、検索された所定時間以上経過した道路交通情報を消去する(受信した日時から所定時間以上経過したものを消去するようにしてもよい)。
【0034】
なお、交通データ更新部18は、受付けた道路交通情報の中から推奨経路を構成するリンクから所定範囲内にある道路の道路交通情報だけを経路・交通データ記憶部19に格納するようにしてもよい。
【0035】
経路・交通データ記憶部19は、上述の道路交通情報と、経路探索部14が探索した推奨経路を示すデータとを記憶する。
【0036】
経路探索部14は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在位置、目的地)を結ぶ最適なコストで目的地に到達する経路をリンクデータ312(図2参照)を用いて探索する。また、経路探索部14は、後述する経路誘導部15からの迂回路探索要求を受付けた場合に迂回路の探索を行い、その迂回路を採用するか否かを判定する処理を行う。なお、迂回路を探索する処理および探索した迂回路を採用するか否かを判定する処理については、後段で詳細に説明する。
【0037】
経路探索部14は、探索の結果得られた経路を推奨経路として、ディスプレイ2に表示させるために地図表示処理部16に推奨経路を示すデータを出力する。また、経路探索部14は、探索された推奨経路を示すデータを経路誘導部15に出力する。また、経路探索部14は、検索の結果得られた推奨経路を経路・交通データ記憶部19に格納する。なお、経路探索部14は、後述する迂回路判定処理(図6)の結果、探索した迂回路を採用すると判定した場合には、迂回路を示すデータを地図表示処理部16、および経路誘導部15に出力する。
【0038】
経路誘導部15は、探索された推奨経路を通って目的地に到達するように利用者を誘導する。また、経路誘導部15は、予め定められた間隔で、推奨経路上に渋滞している道路が含まれているか否かを判定する(渋滞している道路が含まれているか否かの判定する処理は後述する)。経路誘導部15は、推奨経路上に渋滞している道路が在る場合には、迂回路探索要求を経路探索部14に行う。そして、経路誘導部15は、迂回路探索要求に応答して、経路探索部14が迂回路を示す情報を送信した場合、送信された迂回路を示す情報を受信し、その迂回路を用いて利用者を目的地まで誘導する。なお、経路誘導部14は、推奨経路上に渋滞している道路がない場合、および、経路探索部14からの迂回路を受信しない場合には推奨経路を用いて経路誘導を続ける。
【0039】
地図表示処理部16は、ディスプレイ2に表示が要求される領域にある地図データ310を記憶装置3からデータ読込部12を介して受け取る。地図表示処理部16は、経路探索部14から探索した推奨経路(迂回路がある場合には迂回路)を受け取り、現在位置検出部11から現在位置の情報を受け取る。そして、地図表示処理部16は、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、および経路誘導のための矢印といったマーク等をディスプレイ2の画面に描画させるための地図描画コマンドを生成し、グラフィックス処理部17に出力する。
【0040】
グラフィックス処理部17は、地図表示処理部16で生成された地図描画コマンドを用いてディスプレイ2の画面上に画像データを表示させる。
【0041】
続いて、本実施形態の演算処理部1のハードウェア構成を説明する。
【0042】
図4は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【0043】
図示するように、演算処理部1は、CPU(中央演算処理装置)21と、CPU21が実行するプログラムやデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)22と、上記各部(設定部20、現在位置検出部11、データ読込部12、マップマッチ処理部13、経路探索部14、経路誘導部15、地図表示処理部16、グラフィックス処理部17、および交通データ更新部18)が有する機能を実行するためのプログラムが予め記憶されているROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータを転送するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィック描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上に載せるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。そして、上記各部(設定部20、現在位置検出部11、データ読込部12、マップマッチ処理部13、経路探索部14、経路誘導部15、地図表示処理部16、グラフィックス処理部17、交通データ更新部18)の機能は、CPU21が、ROM23に記憶されている上記各部が有する機能を実行するためのプログラをRAM22にロードし、実行することにより実現される。また、経路・交通データ記憶部19は、RAM22の所定領域に設けられる。
【0044】
続いて、本実施形態のナビゲーション装置が行う経路探索処理および経路誘導処理を説明する。
【0045】
図5は、本実施形態のナビゲーション装置が行なう経路探索処理および経路誘導処理のフロー図である。なお、ナビゲーション装置の経路・交通データ記憶部19には、道路交通情報が記憶されているものとする。すなわち、交通データ更新部18は、FM多重放送受信装置10が受信した道路交通情報を受付け、その受付けた交通情報を経路・交通データ記憶部19に記憶させる。また、交通データ更新部18は、上述した通り、所定の間隔で経路・交通データ記憶部19に記憶されている道路交通情報を更新する。
【0046】
先ず、経路探索部14は、目的地までの推奨経路の探索を行う(S100)。具体的には、経路探索部14は、設定部20を介して利用者からの目的地の入力を受付ける。また、経路探索部14は、現在位置検出部11を介して車両の現在位置を取得する。なお、以下の説明では、車両の現在位置を出発地とする場合を例にするが、特にこれに限定しない。経路探索部14は、設定部20を介して利用者からの出発地の入力を受付けるようにしてもよい。そして、経路探索部14は、記憶装置3から変換テーブルを読出し、現在位置および目的地を示す座標情報からその座標情報により特定される地点を含むメッシュ領域のメッシュIDを特定する。次に、経路探索部14は、データ読込部12を介して記憶装置3より、特定したメッシュIDを持つ地図データ各々に登録されている各リンクデータ312を入手する。経路探索部14は、入手したリンクデータ312を用いて、最適なコストで目的地に到達する推奨経路を探索し、探索した推奨経路を示すデータを経路誘導部15に出力する。
【0047】
経路誘導部15は、経路探索部14が出力した推奨経路を受付け、利用者に対する経路誘導を開始する(S101)。具体的には、経路誘導部15は、経路探索部14が出力する推奨経路を取得する。また、自車位置検出部11から定期的に現在位置を取得する。そして、経路誘導部15は、取得した現在位置と、経路探索部14から取得した推奨経路を示すデータと、データ読込部12を介して記憶装置3から読込んだ地図データとを用いて利用者を目的地まで誘導する。経路誘導部15は、受付けた推奨経路の情報と、現在位置検出部11から取得した現在位置とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声で利用者に知らせたり、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、ユーザに推奨経路を通知する。
【0048】
また、経路誘導部15は、予め定められた間隔で、現在位置から目的地に至る推奨経路に渋滞している道路があるか否かを判定する(S102)。具体的には、経路誘導部15は、経路・交通データ記憶部19に記憶されている交通情報を読み出す。経路誘導部15は、現在位置検出部11から取得した現在位置と、S101で取得した推奨経路を構成するリンクと、読み出した道路交通情報に含まれる交通渋滞が発生しているリンクを特定する情報(リンクID)とを用いて、現在位置から目的地までの推奨経路の中に道路交通情報に含まれる渋滞しているリンクが在るか否かを判定する。経路誘導部15は、現在位置から目的地までの推奨経路上に渋滞していることを示すリンクが在る場合には、迂回路探索要求を経路探索部14に行い、S103の処理に移行する。経路誘導部15は、推奨経路上に渋滞している道路がないと判定した場合にS107の処理に進む。なお、上記の迂回路探索要求には、推奨経路を構成するリンクを示すデータと、推奨経路上の渋滞するリンクを示すデータとが含まれている。
【0049】
S103では、経路探索部14は、経路誘導部15からの迂回路探索要求を受付け、迂回路の探索を行う。なお、本ステップでの迂回路の探索は、従来技術により実現される。例えば、経路探索部14は、現在位置検出部11から現在位置を取得し、現在位置と、迂回路探索要求に含まれる推奨経路を示すデータおよび渋滞するリンクを示すデータとを用いて、迂回路の探索に必要なメッシュ領域のメッシュIDを特定する。そして、経路探索部14は、データ読込部12を介して記憶装置3より、特定したメッシュIDを持つ地図データ各々に登録されている各リンクデータ312を入手する。経路探索部14は、入手したリンクデータ312を用いて、推奨経路上の渋滞するリンクを迂回して目的地まで到達する迂回路を探索する。
【0050】
続いて、経路探索部14は、S103で探索した迂回路を採用するか否かを判定する処理を行い(S104)、迂回路を採用すると判定した場合には、迂回路を示すデータ(迂回路を構成するリンクデータ)を経路誘導部15に出力し、S106に移行する。一方、経路探索部14は、迂回路を採用しないと判定した場合には、その旨を示す情報を経路誘導部15に出力し、S107に移行する。
【0051】
S106では、経路誘導部15は、経路探索部14が出力した迂回路を示すデータを受付け、表示処理部16を介して、受付けた迂回路を示すデータをディスプレイ2に表示する。また、経路誘導部15は、採用された迂回路を新たな推奨経路として、利用者を目的地まで誘導する。具体的には、経路誘導部15は、受付けた迂回路を示すデータと、現在位置検出部11から取得する現在位置とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを音声出入力装置4を用いて音声で利用者に知らせたり、ディスプレイ2に表示された地図上に進行すべき方向を表示して、迂回路を推奨経路として利用者に対する経路案内を行う。
【0052】
続いて、S102で推奨経路上に渋滞する道路がないと判定された場合、および、S105で迂回路を採用しないと判定された場合に進むS107の処理を説明する。S107では、経路誘導部15は、S100で探索された推奨経路にしたがい利用者に経路案内を行い、S108に進む。
【0053】
S108では、経路誘導部15は、現在位置検出部11が検出した現在位置を用いて、現在位置が目的地に到達したか否かを判定し、到達していない場合にはS102に戻り、到達した場合には処理を終了する。なお、経路誘導部15は、迂回路による経路案内をしている際に、S102〜107の処理に戻る場合がある。この場合、S102〜107の処理では、採用された迂回路を推奨経路として、渋滞の有無、迂回路の探索、迂回路判定処理等を行う。
【0054】
続いて、上記のS104の迂回路判定処理について図6および図7を用いて説明する。図6は、本実施形態の迂回路判定処理のフロー図である。図7は、推奨経路と迂回路とを例示した図である。なお、図7の例では、リンク1000、1001、1002、1003、1004を推奨経路とし、リンク1000、1200、1201、1003、1004を迂回路としている。
【0055】
先ず、経路探索部14は、上述したS103で取得した推奨経路と、探索した迂回路とを用いて、推奨経路と迂回路との分岐点1100(図7参照)を抽出する(S200)。
【0056】
続いて、経路探索部14は、抽出した分岐点に接続されている推奨経路上のリンクであって、分岐点に進入するリンク(図7の例では、リンク1000)が高速道路(或いは専用道路)か否かを判定する(S201)。経路探索部14は、判定の結果、高速道路(或いは専用道路)であると判定した場合には、S202の処理に進み、高速道路(或いは専用道路)ではないと判定した場合には、S206の処理に進む。具体的には、経路探索部14は、抽出した分岐点に接続されているリンクであって、かつ迂回路および推奨経路の両者に共通するリンクを特定し、リンクデータ312を用いて特定したリンクの道路種別を判定する(図2参照)。
【0057】
S202では、経路探索部14は、迂回路と推奨経路との合流点があるか否かを判定し、合流点が在る場合にはS203の処理に進み、合流点がない場合にはS206の処理に進む。具体的には、経路探索部14は、迂回路を構成するリンクであって、且つ推奨経路から分岐後の経路を構成するリンクの中に推奨経路と共通するリンクID3121を持つリンクがない場合に合流点がないと判定する。一方、経路探索部14は、迂回路を構成するリンクであって、且つ推奨経路から分岐後のリンクの中に推奨経路と共通するリンクID3121を持つリンクが在る場合に合流点があると判定する。例えば、図7の場合には、合流点1101があると判定される。
【0058】
S203では、経路探索部14は、合流点を抽出し、合流点(図7の例では1101)の先に接続されるリンクを特定する(図7の例ではリンク1003)。より具体的には、経路探索部14は、合流点に接続し、且つ迂回路および推奨経路の両者に共通するリンクID3121を持つリンクを特定する。そして、経路探索部14は、S201と同様の手順にしたがい、特定したリンクが高速道路(或いは専用道路)か否かを判定する。経路探索部14は、判定の結果、高速道路(或いは専用道路)であると判定した場合には、S204の処理に進み、高速道路(或いは専用道路)ではないと判定した場合には、S206の処理に進む。
【0059】
S204では、経路探索部14は、推奨経路、リンクデータ312、および抽出した分岐点および合流点を用いて、分岐点から合流点までの距離を求める。具体的には、経路誘導部14は、分岐点から合流点に至る推奨経路上のリンク(図7の例ではリンク1001、1002)を特定する。経路誘導部14は、特定したリンクのリンクデータ312のリンク長情報3124(図2参照)から分岐点から合流点までの距離を求める。そして、経路誘導部14は、求めた距離が所定距離(例えば1km)より短い場合にS205の処理に進み、所定距離より長い場合にはS206の処理に進む。
【0060】
S205では、経路探索部14は、迂回路を採用しない旨の判定を行う。すなわち、本実施形態では、経路探索部14は、推奨経路と迂回路との分岐点が高速道路であって、且つ迂回路と推奨経路とが分岐した後合流する場合であって、且つ合流した後の道路が高速道路である場合において、分岐点から合流点までの推奨経路上の距離が所定距離より短い場合には、迂回路を採用しないようにしている。このように構成することにより、例えば、推奨経路が高速道路の場合において、高速道路から降りてすぐに高速道路に戻るような迂回路が採用されることを防ぐことができる。
【0061】
一方、S206では、経路探索部14は、迂回路を採用する判定を行う。すなわち、本実施形態のナビゲーション装置は、分岐前の道路が高速道路(或いは専用道路)でない場合には、迂回路を採用する。一般道路の場合には、推奨経路にすぐに戻るような迂回路であっても妥当な迂回路である可能性が高いと考えられるためである。また、本実施形態のナビゲーション装置は、上記分岐前の道路が高速道路(或いは専用道路)であっても、迂回路が分岐後に推奨経路に合流しない場合には迂回路を採用する。また、上記分岐前の道路が高速道路(或いは専用道路)であって、かつ上記合流後の道路が高速道路の場合には迂回路を採用する。このような場合にも迂回路が妥当であると考えられるためである。
【0062】
また、本実施形態のナビゲーション装置は、推奨経路と迂回路との分岐点が高速道路であって、且つ迂回路と推奨経路とが分岐した後合流する場合であって、且つ合流した後の道路が高速道路である場合において、分岐点から合流点までの推奨経路上の距離が所定距離より長い場合には、迂回路を採用する。このように構成するのは、例えば、推奨経路が高速道路の場合において、高速道路から降りから高速道路に戻るような迂回路であっても、分岐点から合流点までの距離が所定距離より長く離れている場合には、迂回路が妥当であると考えられるためである。
【0063】
このように本発明によれば、推奨経路上に渋滞している道路があり、迂回路を探索した場合において、走行している推奨経路と迂回路との分岐前の道路種類別を考慮し、迂回路を採用するか否かの採用条件を定めている。そして、採用条件にしたがい、迂回路を採用するか否かを判定するようにしている。したがって、本実施形態では、探索された迂回路が妥当な場合、迂回路にしたがい経路誘導を行い、探索された迂回路が妥当ではない場合、迂回路ではなく元の推奨経路にしたがい経路誘導を行うことができる。
【0064】
そのため、本発明によれば、交通渋滞に効率よく対応した経路誘導を行うことが可能になる。
【0065】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、受信した道路交通情報を利用して迂回路を判定するようにしたが特にこれに限定するものではない。例えば、利用者が直接迂回したい道路の情報をナビゲーション装置に入力し、ナビゲーション装置が入力された迂回したい道路の情報を用いて迂回路を探索するようにしてもよい。そして、ナビゲーション装置は、図6に示す処理ステップを行い、探索された迂回路を採用するか否かを判定するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態の説明では、推奨経路が渋滞しているか否かを予め定められた間隔で、判定する場合を例にしたが、特にこれに限定するものではない。例えば、FM多重放送受信装置10が道路交通情報を受信する毎に推奨経路が渋滞しているか否かを判定するようにしてもよい。また、利用者からの要求を受付けた場合に推奨経路が渋滞しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施形態の説明では、道路種別情報として、高速道路(或いは専用道路)と一般道路とを用いるようにしたが特にこれに限定するものではない。道路種別情報をさらに細かく分類(県道、細街路等)して、分類した道路種別情報毎に迂回路を採用するか否かを判定する条件を定めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態の記憶装置3に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態の演算処理部1の機能構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態の演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態のナビゲーション装置が行なう経路探索処理および経路誘導処理のフローを説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態のナビゲーション装置が行なう迂回路判定処理のフロー図である。
【図7】本発明の実施形態の推奨経路と迂回路とを例示した図である。
【符号の説明】
【0069】
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声入出力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…地磁気センサ、8…ジャイロ、9…GPS受信装置、10…FM多重放送受信装置、11…現在位置検出部、12…データ読込部、13…マップマッチ処理部、14…経路探索部、15…経路誘導部、16…地図表示処理部、17…グラフィックス処理部、18…交通データ更新部、19…経路・交通データ記憶部、20…設定部、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データに含まれているリンク情報を用いて出発地から目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いて利用者に対する経路案内を行うナビゲーション装置であって、
前記リンク情報には、リンク毎に該リンクが高速道路、専用道路、および一般道路のいずれかの道路であるかを示す道路種別情報が含まれていて、
前記探索した推奨経路を記憶する手段と、
現在位置を検出する手段と、
少なくとも渋滞しているリンクを特定する情報が含まれている道路交通情報を、外部から受信する手段と、
前記記憶している推奨経路、前記受信した道路交通情報、および前記検出した現在位置を用いて、現在位置から目的地までの推奨経路の中に道路交通情報に含まれる渋滞しているリンクが在るか否かを判定し、該渋滞しているリンクが在る場合に該渋滞しているリンクを迂回して、該現在位置から目的地に向かう迂回路を探索する手段と、
前記記憶している推奨経路、前記探索した迂回路、および前記リンク情報を用いて、前記迂回路を採用するか否かを判定する手段と、
前記採用すると判定された場合に該迂回路を用いて経路誘導を行い、前記採用すると判定されなかった場合に前記記憶している推奨経路を用いて経路誘導を行う手段と、を有し、
前記判定する手段は、
前記推奨経路と前記迂回路とが分岐する分岐点を抽出し、該抽出した分岐点に進入する推奨経路のリンクであって、かつ分岐点に接続するリンクを特定し、特定したリンクの道路種別毎に定められた条件に従い前記迂回路を採用するか否かを判定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記判定する手段は、
前記特定した分岐点に接続するリンクが一般道路である場合、前記迂回路を採用し、
前記特定した分岐点に接続するリンクが高速道路および専用道路のいずれかである場合、さらに前記分岐した後に前記迂回路と前記推奨経路とが合流するか否かを判定し、
前記合流しない場合には前記迂回路を採用し、前記合流する場合には、前記推奨経路および前記迂回路との合流点を求めて、
前記迂回路および前記推奨経路の両者に共通するリンクであって、且つ前記合流点に接続するリンクを特定し、該特定した合流点に接続するリンクの道路種別毎に定められた条件に従い前記迂回路を採用するか否かを判定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記判定する手段は、
前記特定した合流点に接続するリンクが一般道路である場合、前記迂回路を採用し、
前記特定した合流点に接続するリンクが高速道路および専用道路のいずれかである場合に分岐点と合流点との距離を算出し、該算出した距離が所定距離より大きい場合に迂回路を採用し、該所定距離より小さい場合には迂回路を採用しないこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
地図データに含まれているリンク情報を用いて出発地から目的地までの推奨経路を探索し、該探索した推奨経路を用いて利用者に対する経路案内を行うナビゲーション装置が行う経路誘導方法であって、
前記リンク情報には、リンク毎に該リンクが高速道路、専用道路、および一般道路のいずれかの道路であるかを示す道路種別情報が含まれていて、
前記ナビゲーション装置は、
現在位置を検出するステップと、
少なくとも渋滞しているリンクを特定する情報が含まれている道路交通情報を、外部から受信するステップと、
前記記憶している推奨経路、前記受信した道路交通情報、および前記検出した現在位置を用いて、現在位置から目的地までの推奨経路の中に道路交通情報に含まれる渋滞しているリンクが在るか否かを判定し、該渋滞しているリンクが在る場合に該渋滞しているリンクを迂回して現在位置から目的地に向かう迂回路を探索するステップと、
前記記憶している推奨経路、前記探索した迂回路、および前記リンク情報を用いて、前記迂回路を採用するか否かを判定するステップと、
前記採用すると判定された場合に該迂回路を用いて経路誘導を行い、前記採用すると判定されなかった場合には、前記記憶している推奨経路を用いて経路誘導を行うステップと、を行い、
前記判定するステップは、
前記推奨経路と迂回路とが分岐する分岐点を抽出し、該抽出した分岐点に進入する推奨経路のリンクであって、かつ分岐点に接続するリンクを特定し、該特定したリンクの道路種別毎に定められた条件に従い前記迂回路を採用するか否かを判定すること
を特徴とする経路誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−153693(P2006−153693A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345741(P2004−345741)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】