説明

ニッケル上に銀ストライクを電気めっきする方法

【課題】ミラー光沢銀層をニッケルもしくはニッケル合金基体上に電気めっきするための、環境に優しい銀電気めっき方法を提供する。
【解決手段】a)1種以上の銀イオン源、1種以上のイミドもしくはイミド誘導体、および1種以上のアルカリ金属硝酸塩を含み、シアン化物を含まない溶液を提供し;b)ニッケルを含む基体を前記溶液と接触させ;並びにc)ニッケルもしくはニッケル合金上に銀ストライク層を電気めっきする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシアン化物を含まない銀電気めっき液からニッケル上に銀ストライクを電気めっきする方法に関する。より具体的には、本発明は、銀ストライク上にめっきされた追加の銀金属層がニッケル上にミラー光沢堆積物を形成する、シアン化物を含まない銀電気めっき液からニッケル上に銀ストライクを電気めっきする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀めっきは装飾およびディナーウェアのために従来使用されてきた。その優れた電気的性質のせいで、銀めっきはエレクトロニクス産業において、例えば、光起電力素子のための電流トラック、コネクタおよびスイッチなどに幅広い有用性を有してきた。
【0003】
多くの従来の銀めっき液はシアン化化合物を含むので非常に毒性であった。多くの場合、そのめっき液の銀イオン源は水溶性シアン化銀塩からである。銀めっき液からシアン化化合物を低減もしくは除去し、同時にその銀めっき液の所望のめっき性能および基体への銀の接着性を維持し、並びに光沢銀堆積物を達成するための試みがなされてきた。例えば、硝酸銀−チオウレア溶液およびヨウ化銀−有機酸溶液が試みられてきたが、銀めっき液を容易に利用するという産業界に要求される成功を伴っていなかった。また、銀チオシアナート溶液に添加されたトリエタノールアミンを含む銀溶液、並びに銀の無機および有機酸塩に添加されたヨウ化カリウムおよびスルファニル酸誘導体のような他の銀めっき液が試みられてきた。しかし、このような銀めっき液は銀めっき液を使用する産業界を満足させるように機能していなかった。
【0004】
シアン化物を含まない銀めっき液は、銀電気めっき液を使用する産業界の作業者に対して毒性が低く、かつその液からの廃水がシアン化物で環境を汚染しないので環境により優しい。しかし、一般に、このようなシアン化物を含まない銀電気めっき液は全く安定ではなかった。この液は典型的には電気めっき中に分解し、液中の銀イオンは多くの場合、基体上の堆積の前に低減し、よってこの液の寿命が短くなる。最大適用可能電流密度および銀堆積物の物理的特性の改良の余地もある。
【0005】
装飾目的およびエレクトロニクス用途のために、銅基体と銀上層との間の拡散バリアとしてニッケル下地が使用される。ニッケル上に直接銀を電気めっきすることは、電気めっき液がシアン化物を含まないか含むかに関係なく、典型的にはニッケルに充分に接着していない銀層を生じさせる。この問題に対処する試みにおいて、産業界は銀ストライク層をニッケル上にめっきする。この銀ストライク層は後の銀層とニッケル下地との間の接着性を向上させるために追加される。銀ストライク層は実質的には後の銀堆積物よりも薄い。
【0006】
米国特許第5,601,696号はシアン化物を含まない銀電気めっき液および銀を堆積する方法を開示する。この銀めっき液は硝酸銀および酸化銀を銀のソースとして含み、およびヒダントイン化合物を錯化剤として含む。導電性塩は塩化カリウムおよびギ酸カリウムの双方を含む。この特許に開示された銀堆積物は3.5μm、5μmおよび50μmの厚さである。この特許は、それが銀と銅基体との間の良好な接着性を達成すると主張しているが、塩化物もしくはギ酸塩を含むこの銀浴からの銀堆積物は半光沢にすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,601,696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半光沢銀堆積物を提供できるシアン化物を含まない銀ストライク電気めっき液が存在するが、後の銀金属堆積物とニッケルもしくはニッケル合金との間の良好な接着性を提供し、かつニッケルもしくはニッケル合金上にミラー光沢銀堆積物を提供するシアン化物を含まない銀電気めっき液を使用する方法についての必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
方法は、a)1種以上の銀イオン源、1種以上のイミドもしくはイミド誘導体、および1種以上のアルカリ金属硝酸塩を含み、シアン化物を含まない溶液を提供し;b)ニッケルを含む基体を前記溶液と接触させ;並びにc)基体のニッケルもしくはニッケル合金上に銀ストライク層を電気めっきすることを含む。この最初の銀ストライク層がニッケルもしくはニッケル合金上に堆積された後で、銀ストライク層上に1以上の追加の銀層が堆積されて、ニッケル含有基体上にミラー光沢銀堆積物上層を形成する。
【発明の効果】
【0010】
溶液中の硝酸塩は基体のニッケルもしくはニッケル合金上にミラー光沢銀堆積物上層を提供し維持する。最初の銀ストライク層はニッケル含有基体上に堆積される追加の銀層の良好な接着性を提供する。さらに、この銀電気めっき液はシアン化物を含まないので、多くの従来の銀電気めっき液の毒危険性をなくし、そして環境に優しい。本方法および銀電気めっき液は、装飾用途、エレクトロニクス用途、並びに太陽電池用途におけるニッケル含有基体上にミラー光沢銀層を堆積させるために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書を通じて使用される場合、用語「めっき」および「堆積」は交換可能に使用される。用語「シリサイド」とはケイ素と他の元素、通常は金属との二元化合物を意味する。
【0012】
以下の略語は、文脈が明らかに他のことを示さない限りは、以下の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;mL=ミリリットル;L=リットル;A=アンペア;dm=デシメートル;μm=ミクロン;nm=ナノメートル;UV=紫外;IR=赤外;ASTM=米国標準試験方法。全てのパーセンテージおよび比率は、他に示されない限りは重量基準である。全ての範囲は包括的であり、かつこのような数値範囲が合計で100%になると制約されることが論理的である場合を除いて、任意に組み合わせ可能である。
【0013】
本方法は1種以上の銀イオン源を含む銀ストライク電気めっき水溶液の使用を含む。銀イオン源には、限定されないが、酸化銀、硝酸銀、チオ硫酸銀ナトリウム、グルコン酸銀;銀システイン錯体のような銀アミノ酸錯体;アルキルスルホン酸銀、例えばメタンスルホン酸銀、および銀ヒダントイン化合物並びに銀スクシンイミド錯体が挙げられる。好ましくは、銀イオン源は酸化銀および1種以上の銀ヒダントイン錯体から選択される。銀ストライク電気めっき液はシアン化物含有銀化合物を含まない。銀イオン源はストライク液中に0.1g/L〜5g/L、または例えば0.2g/L〜2g/Lの量で含まれる。
【0014】
ミラー光沢銀上層を達成するために、銀ストライク水溶液中にアルカリ金属硝酸塩が3g/L〜30g/L、または例えば15g/L〜30g/Lの量で含まれる。アルカリ金属硝酸塩には、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムが挙げられる。
【0015】
銀ストライク液中に1種以上のイミドおよびイミド誘導体が40g/L〜120g/L、または例えば50g/L〜100g/L、または例えば60g/L〜80g/Lの量で含まれる。このようなイミドには、限定されないが、スクシンイミド、2,2−ジメチルスクシンイミド、2−メチル−2−エチルスクシンイミド、2−メチルスクシンイミド、2−エチルスクシンイミド、1,1,2,2−テトラメチルスクシンイミド、1,1,2−トリメチルスクシンイミド、2−ブチルスクシンイミド、マレイミド、1−メチル−2−エチルマレイミド、2−ブチルマレイミド、1−メチル−2−エチルマレイミド、フタルイミド、フタルイミド誘導体、例えば、N−メチルフタルイミドおよびN−エチルフタルイミド、イミド誘導体、例えば、ヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メタノール−5,5−ジメチルヒダントインおよび5,5−ジフェニルヒダントインが挙げられる。
【0016】
スルファミン酸およびその塩;アルカンスルホン酸およびその塩、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびプロパンスルホン酸が銀ストライク電気めっき液に含まれうる。スルファミン酸およびその塩並びにアルカンスルホン酸およびその塩は銀ストライク液中に5g/L〜100g/L、または例えば10g/L〜60g/Lの量で含まれうる。このような酸およびその塩は一般的に様々なソース、例えば、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニーなどから市販されている。
【0017】
銀ストライク電気めっき液は1種以上の緩衝剤を含むことができる。緩衝剤には、これに限定されないが、ホウ酸塩緩衝剤、例えば、ボラックス、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤およびスルファミン酸塩緩衝剤が挙げられる。使用される緩衝剤の量はめっき液のpHを8〜14、好ましくは9〜12に維持するのに充分な量である。
【0018】
場合によっては、1種以上の界面活性剤が銀ストライク液に含まれる。様々な従来の界面活性剤が使用されうる。銀めっきの性能を妨げない限りは、アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性の従来の界面活性剤のいずれも使用されうる。界面活性剤は銀電気めっき液について当業者に知られている従来の量で含まれうる。
【0019】
場合によっては、銀ストライク電気めっき液は1種以上の追加の成分を含む。この追加の成分には、限定されないが、結晶粒微細化剤(grain refiner)、さび止め剤、レベラーおよび延性増強剤(ductility enhancer)が挙げられる。このような追加の成分は従来の量で使用され、これは当業者に知られている。
【0020】
ニッケル含有基体は、従来の電気めっきスプレー装置を用いて銀溶液を基体のニッケルもしくはニッケル合金面にスプレーすることによって、または銀ストライク液中に基体全体を浸漬することによって、銀ストライクで電気めっきされうる。従来の電気めっき装置が使用されうる。電気めっきは室温から70℃までの範囲、または例えば25℃〜50℃の範囲の温度で行われうる。ニッケル含有基体は典型的にはカソードとして機能し、および銀電気めっきに好適な従来のアノードが使用されうる。アノードは可溶性電極、例えば、可溶性銀電極であることができ、または不溶性アノード、例えば、酸化イリジウムもしくは酸化鉛不溶性アノードが使用されうる。電極は、電源を提供する従来の整流器に接続される。電流密度は0.1A/dm〜2A/dm、または例えば0.2A/dm〜1A/dmの範囲である。0.1g/L〜5g/Lの低い銀含有量と組み合わせたこのような低い電流密度は典型的には5秒〜20秒のめっき時間内でストライク膜を提供する。銀ストライク層がニッケルもしくはニッケル合金の表面に直接隣接するように銀ストライクはニッケルもしくはニッケル合金上にめっきされる。ニッケルもしくはニッケル合金上にめっきされる銀ストライクは厚さ0.01μm〜0.2μm、または例えば0.02μm〜0.1μmの範囲である。
【0021】
次いで、追加の銀層が銀ストライク層に隣接してニッケル基体上に銀を所望の厚さまで積み上げるように、銀ストライク層上に追加の銀層が堆積される。このような追加の銀層は厚さ1μm〜50μmの範囲であることができ、かつミラー光沢である。銀ストライク上に追加の銀層を電気めっきするために、従来の銀電気めっき浴が使用されうる。追加の銀層はシアン化物を含む銀電気めっき液からめっきされうるが、その毒性および環境への危険性のせいでこのような電気めっき液を回避するのが好ましい。銀ストライク上に電気めっきされた銀層は下地ニッケルとの良好な接着性を有し、かつミラー光沢である。
【0022】
ミラー光沢銀層が望まれるのであればどのような場合でも、ミラー光沢銀堆積物を提供するために銀電気めっき液が使用されうる。典型的には、スイッチ、電気コネクタもしくは宝飾品のような銅合金上のニッケル層もしくはニッケル合金層がコーティングされる。ポリマー材料上のニッケルもしくはニッケル合金層もコーティングされうる。
【0023】
銀ストライクを電気めっきする方法は、電流トラックの形成におけるような太陽電池の製造における太陽電池産業においても使用されうる。電流トラックの形成においては、半導体ウェハがドープされてp/n接合を形成する。このようなウェハは典型的にはウェハのp+ドープエミッタ層側の上がSiの反射防止層でコーティングされる。次いで、1以上の既知の従来のエッチング方法を用いて、反射防止層を貫通し、ウェハのp+ドープエミッタ層を露出させて、電流トラックがパターン形成される。当該技術分野において知られている従来のニッケル堆積方法によってニッケルシード層が堆積されうる。典型的には、ニッケルシード層は光アシストニッケル堆積によって堆積される。ニッケル源が無電界ニッケル組成物である場合には、めっきは外部電流を用いることなく行われる。ニッケル源が電界ニッケル組成物からのものである場合には、裏面電位(整流器)が半導体ウェハ基体に適用される。電流密度は0.1A/dm〜2A/dmの範囲であり得る。光源には、これに限定されないが、可視光、IR、UVおよびX−線が挙げられる。
【0024】
半導体ウェハの前面を光エネルギーで照明することにより、エミッタ層上でめっきがおこる。衝突する光エネルギーは半導体に電流を発生させる。20nm〜300nm厚のニッケル層が典型的に望まれる。
【0025】
ニッケルシード層が堆積された後ですぐに銀ストライクがニッケルの隣に堆積される。典型的には、ニッケルがめっきされた後1分以内に、より典型的にはニッケルめっき後30秒以内に、最も典型的には1〜30秒で銀が堆積される。ニッケル堆積後短時間以内に銀がニッケル上に堆積されない場合には、そのニッケルは不動態化され、銀めっきの前に活性化されなければならない。不動態化はめっきに耐性の金属層を説明する一般的な用語である。不動態化された金属上でめっきがおこる場合には、不動態化金属とその上に堆積された金属との間の接着性は劣っており信頼性がない。典型的には、堆積された金属は不動態化金属から容易に剥がれる。よって、ニッケルめっき後1分以内にそのニッケル上に銀を堆積させることが非常に望ましく、そうでなければ、ニッケルと銀との間の信頼できる接着性を達成するのに活性化好適が必要とされる場合がある。
【0026】
銀は光誘起めっき(LIP)または従来の銀電気めっき方法によって堆積されうる。一般に、パターン形成された半導体ウェハはめっきセル内に収容された銀組成物中に沈められる。半導体ウェハの裏面は外部電源(整流器)に接続される。銀めっき組成物中に配置された銀アノードは、構成要素間に完全な回路が形成されるように整流器に接続される。電流密度は0.1A/dm〜2A/dm、または例えば、0.2A/dm〜1A/dmである。
【0027】
光源は半導体ウェハを光エネルギーで照明するように配置される。光源は、例えば、半導体ウェハが光起電力感受性である波長の範囲内でエネルギーを提供する蛍光もしくはLEDランプであることができる。これらに限定されないが、75ワットおよび250ワットランプのような白熱ランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプおよび150ワットIRランプのような様々な他の光源が使用されうる。
【0028】
銀金属がニッケルの隣に堆積された後で、次いで半導体は焼結されてニッケルシリサイドを形成する。焼結はニッケル表面上に堆積された銀と共に行われて、銀とニッケルとの間の接着性を向上させる。ニッケル上にめっきされた銀との焼結は焼結のためのウィンドウを増大させる。言い換えれば、ウェハの損傷についての懸念無しに、ニッケルとケイ素との間の向上した結合を提供するために、焼結は所定のピーク温度で従来の処理を超えて延長されうる。多くの従来のプロセスにおいては、半導体をオーブン内で所定の温度で長すぎる期間維持することはニッケルがウェハ内に深く拡散してエミッタ層に入り、これよりウェハを短絡させる場合がある。ニッケルとケイ素との間の向上した結合はニッケルシリサイドと銀との間の接着欠陥の可能性を低減させる。さらに、銀は焼結温度によってシリサイド中に組み込まれず、よってニッケルシリサイドは、焼結中の酸化からニッケルを保護する銀を伴って形成される。380℃以上、もしくは400℃〜500℃のウェハピーク温度を提供する炉が使用されうる。650℃を超えるピーク温度は使用されない、というのはこのような高い温度ではニッケルシリサイドおよびニッケルジシリサイドが両方とも形成されうるからである。ニッケルジシリサイドは半導体ウェハにおける電流を低減させる高い接触抵抗率を有するので、ニッケルジシリサイドの形成は望ましくない。典型的には、ピーク温度時間は2秒〜20秒の範囲である。好適な炉の例はランプベースの(IR)である。
【0029】
銀層は焼結中にニッケルを酸化から保護するので、焼結は不活性ガス雰囲気もしくは真空とは対照的に、酸素含有環境で行われうる。よって、このような手順に必要とされるコストのかかる装置を伴う不活性もしくは真空環境における焼結に必要とされる工程および設備は除かれる。また、特別な不活性ガスを使わないことは、焼結プロセスのコストおよび複雑さをさらに低減させる。一般に、焼結は3分〜10分間行われる。半導体が炉を通るときのライン速度は使用される炉に応じて変化しうる。好適なライン速度を決定するためにわずかな実験が行われる場合がある。典型的には、ライン速度は330cm/分〜430cm/分である。
【0030】
本方法は、ニッケル含有基体上に堆積される追加の銀層の良好な接着性を有する銀ストライク層を提供する。さらに、銀ストライク層上にめっきされる後の銀層はミラー光沢仕上げを有する。銀電気めっき液はシアン化物を含まないので、それは多くの従来の銀電気めっき液の毒危険性を除き、かつ環境に優しい。本方法および銀電気めっき液は、装飾用途、エレクトロニクス用途、および太陽電池用途においてニッケル含有基体上にミラー光沢銀層を堆積させるために使用されうる。これらは太陽電池デバイスのための電流トラックの形成におけるニッケルシリサイドの形成にも使用されうる。
以下の実施例は本発明を例示するために含まれるが、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0031】
実施例1
以下の表に示されるように銀ストライク水溶液が製造された。
【表1】

【0032】
6枚のニッケルプレめっき銅試験パネル(50×50mm)がこの銀ストライク液で電気めっきされた。それぞれのパネルは、上記表1の銀ストライクを含む別々の電気めっき液中に配置された。このパネルはカソードとして機能し、そして白金チタン電極がアノードとして使用された。カソード、銀ストライク液およびアノードは電源を提供する従来の整流器に電気的に連絡するように接続された。0.5A/dmの電流密度で20秒間電気めっきが行われた。厚さ0.1μmの銀ストライク層が各パネル上に堆積された。
【0033】
ニッケルの隣に銀ストライクが電気めっきされた後で、この銀めっきされたパネルは室温で脱イオン水ですすがれた。次いで、このパネルには、以下の表2の成分を含む銀電気めっき液から追加の5μm銀層が電気めっきされた。電気めっきは5A/dmの電流密度で行われた。
【0034】
【表2】

【0035】
銀電気めっきされたパネルは、室温で脱イオン水ですすがれ、空気乾燥された。次いで、それぞれの銀電気めっきされたパネルは銀層のニッケル面に対する接着性について試験された。接着試験はASTM B571、スクライブグリッドおよびテープ試験を用いて行われた。各パネルの銀層にテープが貼り付けられ、そしてパネルから引きはがされた。どのテープ試験サンプルもテープ上に観察可能な銀堆積物を何ら示していなかったが、全てのパネル上の銀の表面は光沢がない〜乳濁した外観を有していた。
【0036】
実施例2
以下の表に示されるように水性銀ストライク液が製造された。
【表3】

【0037】
6枚のニッケルプレめっき銅試験パネル(50×50mm)がこの銀ストライク液で電気めっきされた。それぞれのパネルは、上記表3の銀ストライクを含む別々の電気めっき液中に配置された。このパネルはカソードとして機能し、そして白金チタン電極がアノードとして使用された。カソード、銀ストライク液およびアノードは電源を提供する従来の整流器に電気的に連絡するように接続された。0.5A/dmの電流密度で20秒間電気めっきが行われた。厚さ0.1μmの銀ストライク層が各パネル上に堆積された。
【0038】
ニッケルの隣に銀ストライクが電気めっきされた後で、この銀めっきされたパネルは室温で脱イオン水ですすがれた。次いで、このパネルには、実施例1の表2に示されるような銀電気めっき液から追加の5μm銀層が電気めっきされた。
【0039】
銀電気めっきされたパネルは、室温で脱イオン水ですすがれ、空気乾燥された。次いで、それぞれの銀電気めっきされたパネルは銀層のニッケル面に対する接着性について試験された。接着試験はASTM B571、スクライブグリッドおよびテープ試験を用いて行われた。各パネルの銀層にテープが貼り付けられ、そしてパネルから引きはがされた。どのテープ試験サンプルもテープ上に観察可能な銀堆積物を何ら示していなかった。良好な接着結果に加えて、この銀堆積物の表面はミラー光沢外観を有していた。このことは、上記実施例1における銀堆積物を超える改良であった。
【0040】
実施例3
以下の表に示されるように水性銀ストライク液が製造された。
【表4】

【0041】
6枚のニッケルプレめっき銅試験パネル(50×50mm)がこの銀ストライク液で電気めっきされた。それぞれのパネルは、上記表4の銀ストライクを含む別々の電気めっき液中に配置された。このパネルはカソードとして機能し、そして白金チタン電極がアノードとして使用された。カソード、銀ストライク液およびアノードは電源を提供する従来の整流器に電気的に連絡するように接続された。0.5A/dmの電流密度で20秒間電気めっきが行われた。厚さ0.1μmの銀ストライク層が各ニッケルパネル上に堆積された。
【0042】
ニッケルの隣に銀ストライクが電気めっきされた後で、この銀めっきされたパネルは室温で脱イオン水ですすがれた。次いで、このパネルには、スクシンイミド銀として銀を含む銀電気めっき液から追加の5μm銀層が電気めっきされた。追加の銀層をめっきするのに使用された銀電気めっき液は以下の表5における成分を含んでいた。
【0043】
【表5】

【0044】
銀電気めっきされたパネルは、室温で脱イオン水ですすがれ、空気乾燥された。次いで、それぞれの銀電気めっきされたパネルは銀層のニッケル面に対する接着性について試験された。接着試験はASTM B571、スクライブグリッドおよびテープ試験を用いて行われた。各パネルの銀層にテープが貼り付けられ、そしてパネルから引きはがされた。どのテープ試験サンプルもテープ上に観察可能な銀堆積物を何ら示していなかったが、銀堆積物の表面は光沢がない〜乳濁した外観を有していた。
【0045】
実施例4
以下の表に示されるように水性銀ストライク液が製造された。
【表6】

【0046】
6枚のニッケルプレめっき銅試験パネル(50×50mm)がこの銀ストライク液で電気めっきされた。それぞれのパネルは、上記表6の銀ストライクを含む別々の電気めっき液中に配置された。このパーツはカソードとして機能し、そして白金チタン電極がアノードとして使用された。カソード、銀ストライク液およびアノードは電源を提供する従来の整流器に電気的に連絡するように接続された。0.5A/dmの電流密度で20秒間電気めっきが行われた。厚さ0.1μmの銀ストライク層が各ニッケルパネル上に堆積された。
【0047】
ニッケルの隣に銀ストライクが電気めっきされた後で、この銀めっきされたパネルは室温で脱イオン水ですすがれた。次いで、このパネルには、実施例3の表5における銀電気めっき液から追加の5μm銀層が電気めっきされた。
【0048】
銀電気めっきされたパネルは、室温で脱イオン水ですすがれ、空気乾燥された。次いで、それぞれの銀電気めっきされたパネルは銀層のニッケル面に対する接着性について試験された。接着試験はASTM B571、スクライブグリッドおよびテープ試験を用いて行われた。各パネルの銀層にテープが貼り付けられ、そしてパネルから引きはがされた。どのテープ試験サンプルもテープ上に観察可能な銀堆積物を何ら示していなかった。良好な接着結果に加えて、この銀堆積物の表面はミラー光沢外観を有していた。このことは、上記実施例1および3における銀堆積物を超える改良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1種以上の銀イオン源、1種以上のイミドもしくはイミド誘導体、および1種以上のアルカリ金属硝酸塩を含み、シアン化物を含まない溶液を提供し;
b)ニッケルを含む基体を前記溶液と接触させ;並びに
c)ニッケルもしくはニッケル合金上に銀ストライク層を電気めっきする;
ことを含む方法。
【請求項2】
銀ストライク層上に第2の銀層を電気めっきする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
銀ストライク層が厚さ0.01μm〜0.2μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の銀層が厚さ1μm〜50μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
銀ストライク層が0.1A/dm〜2A/dmの電流密度で電気めっきされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属硝酸塩が硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イミドがスクシンイミド、2,2−ジメチルスクシンイミド、2−メチル−2−エチルスクシンイミド、2−メチルスクシンイミド、2−エチルスクシンイミド、1,1,2,2−テトラメチルスクシンイミド、1,1,2−トリメチルスクシンイミド、2−ブチルスクシンイミド、マレイミド、1−メチル−2−エチルマレイミド、2−ブチルマレイミド、1−メチル−2−エチルマレイミド、フタルイミドおよびフタルイミド誘導体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記イミド誘導体がヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メタノール−5,5−ジメチルヒダントインおよび5,5−ジフェニルヒダントインから選択される請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2012−67388(P2012−67388A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−204195(P2011−204195)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】