説明

ニトロカテコール誘導体を含む医薬製剤及びその製造方法

本発明は、本明細書で定義されるような式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種の活性医薬成分を含む組成物及び医薬製剤並びにこの組成物及び医薬製剤を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニトロカテコール誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の活性医薬成分(active pharmaceutical ingredient)を含む組成物及び医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
レボドパ(L−DOPA)は、臨床診療において数十年に亘ってパーキンソン病を含む様々な状態の対症療法に使用されてきた。L−DOPAは血液脳関門を通過することができ、次にそこでドーパミンに変換されてそのレベルを上昇させる。しかしながら、L−DOPAのドーパミンへの変換は末梢組織でも起き得ることから、L−DOPAの投与時に有害な作用が引き起される恐れがある。従って、末梢組織におけるドーパミンへの変換を防止する末梢性アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)阻害剤(カルビドパ、ベンセラジド等)の同時投与が標準的な臨床診療になっている。
【0003】
これが、酵素であるカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)の阻害剤の開発への関心につながった。これはCOMTがL−DOPAの分解を触媒することから、この酵素の阻害によってL−DOPAで治療中のパーキンソン病患者に臨床的改善がもたらされるという仮説に基づいたものである。
【0004】
国際公開第WO2007/013830号及び第WO2007/117165号パンフレットに記載のように、ニトロカテコール誘導体である本明細書で開示の式Iの化合物は強力で長時間作用型のCOMT阻害剤であることが判明している。これらの化合物は、バイオアクティブ且つバイオアベイラブルである。このため、式Iの化合物は、カテコールアミンのO−メチル化の阻害が治療的に有益になり得る一部の中枢及び末梢神経系疾患(例えば、気分障害、パーキンソン病、パーキンソン病疾患(parkinsonian disorders)、下肢静止不能症候群等の運動障害、胃腸障害、浮腫形成状態、高血圧)の治療において潜在的に価値のある薬剤学的性質を有する。更に、これらの化合物は、カテコールアミンのO−メチル化の阻害に関係しないその他の疾患及び障害の治療においても活性を有し得る。
【0005】
しかしながら、式Iの化合物は極めて低い嵩密度、不良な溶解度及び/又は不良な流動特性を示し得ることも判明していて、これがこの活性化合物を含有している製剤の処方及び/又は製造をより困難にしている。
【発明の概要】
【0006】
ここで発明者は、本明細書で定義されるような式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種の活性医薬成分(API)を含む組成物及びその製剤を発見した。好ましくは、この少なくとも1種のニトロカテコール誘導体は2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシド又は5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールである。この少なくとも1種のニトロカテコール誘導体は、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドと5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールとの混合物でもあり得る。少なくとも1つの実施形態において、このAPIは顆粒の形態で存在し得る。一部の実施形態において、この組成物及び/又は製剤は更なるAPIを含み得て、例えば、組成物及び/又は製剤は、式Iのニトロカテコール誘導体から選択された少なくとも1種のAPIに加えて、L−DOPA等の更なるAPI、末梢性アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)阻害剤(カルビドパ、ベンセラジド等)を含み得る。更なる実施形態において、組成物及び/又は製剤は、少なくとも1種のホスフェート誘導体及び少なくとも1種のポリビニルピロリドン(PVP)誘導体も含み得る。APIが顆粒である様々な例示的な実施形態において、この少なくとも1種のホスフェート誘導体及び少なくとも1種のPVP誘導体化合物は独立して粒内(すなわち、APIと共に造粒される及び/又はAPIと同じ顆粒内に含まれる)、粒外(すなわち、APIの顆粒の外側に存在する)又は部分的に粒内で部分的に粒外になり得る。組成物は、API単体のものより高く、また著しく上昇した嵩密度を示し得る。組成物は良好な流動性も示し得て、この流動性は、特定の実施形態において、API単体での流動性より大幅に改善され得る。組成物は、圧縮性、含有物の均一性(すなわち、APIが組成物全体、例えば顆粒全体に亘って均一に分散している)等のその他の特徴における改善も示し得る。本明細書に記載の方法の利用によって、組成物の顆粒特性も改善され得る(顆粒サイズ、顆粒サイズ及び/又は顆粒質量の均一性における改善等)。
【0007】
上記の概要及び以下の詳細な説明は例示及び説明のためのものに過ぎず、請求される本発明を限定するものでないと理解されたい。
【0008】
本開示は、本明細書で定義されるような式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種のAPIと、少なくとも1種のホスフェート誘導体と、少なくとも1種のPVP誘導体化合物とを含む組成物及びその製剤に関する。少なくとも1つの実施形態において、このAPIは顆粒の形態で存在し得る。
【0009】
本明細書で使用の用語「顆粒(granule)」、「顆粒形態(granular form)」、「API顆粒」及びこれらの変化形は、本明細書で定義されるような式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択されるAPIの湿式又は乾式造粒によって製造された粒子のことである。顆粒は更に、少なくとも1種のホスフェート誘導体及び/又は少なくとも1種のPVP誘導体化合物を含み得る。
【0010】
本明細書で使用の用語「組成物(composition)」及びその変化形は、少なくとも1種のAPIと、少なくとも1種のホスフェート誘導体と、少なくも1種のPVP誘導体化合物とを含む複合材料を意味することを意図する。特定の実施形態において、この組成物は、2種以上の式Iのニトロカテコール誘導体(すなわち、複数のAPI)を含み得て、例えば、組成物は2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドと、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールと、少なくとも1種のホスフェート誘導体と、少なくとも1種のPVP誘導体化合物とを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、組成物はその少なくとも1種のAPIの顆粒を含み得て、またその少なくとも1種のホスフェート誘導体及び少なくとも1種のPVP誘導体化合物は様々な実施形態において独立して粒内(すなわち、APIと共に造粒される及び/又はAPIと同じ顆粒内に含まれる)、粒外(すなわち、APIの顆粒の外側に存在する)又は部分的に粒内で部分的に粒外になり得る。例えば、ホスフェート誘導体は、10〜90質量%、20〜80質量%、30〜70質量%、40〜60質量%又は約50質量%が粒内となり、残りが粒外となり得る。PVP誘導体化合物は、10〜90質量%、20〜80質量%、30〜70質量%、40〜60質量%又は約50質量%が粒内となり、残りが粒外となり得る。組成物は更に少なくとも1種の賦形剤を含み得て、別の実施形態において、組成物はカプセルの充填、打錠及び/又は患者への直接投与(例えば、サシェ包装)に適し得る。
【0011】
本明細書で使用の用語「製剤(formulation)」、「医薬製剤(pharmaceutical formulation)」及びその変化形は、剤形へと更に加工又は処方される本明細書に記載の組成物を含むことを意図する。製剤は、患者への投与に適した剤形(カプセル、錠剤等の圧縮形態等)で、典型的には顆粒の形態の、本明細書に記載の組成物を含み得る。製剤は、少なくとも1種の賦形剤と混合された患者への投与に適した剤形(カプセル、錠剤等の圧縮形態等)で、典型的には顆粒の形態の、本明細書に記載の組成物を含み得る。
【0012】
本明細書において、式Iのニトロカテコール誘導体は、以下のように定義される。
【化1】

(I)
式中、R1及びR2は独立して水素又は生理的条件下で加水分解性の基から選択され、任意で置換された低級アルカノイル又はアロイルであり、
Xはメチレン基であり、
Yは酸素、窒素又は硫黄の原子であり、
nは0、1、2及び3から選択され、
mは0又は1であり、
3は、印がついていない結合によって示されるように連結される、式A、B、C、D、E及びF:
【化2】

(式中、R4、R5、R6及びR7は独立して水素、C1−C6−アルキル、C1−C6−チオアルキル、C1−C6−アルコキシ、C6−C12−アリールオキシ又はC6−C12−チオアリール基、C1−C6−アルカノイル又はC7−C13−アロイル基、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、C1−C6−ジアルキルアミノ、C3−C12−シクロアルキルアミノ、C3-12−ヘテロシクロアルキルアミノ、C1−C6−アルキルスルホニル、C6−C12−アリールスルホニル、ハロゲン、C1−C6−ハロアルキル、例えばトリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はヘテロアリール基から選択され、或いは残基R4、R5、R6及びR7の2個以上が合わさって脂肪族若しくはヘテロ脂肪族環又は芳香族若しくはヘテロ芳香族環を表す)から選択されるピリジン基であり、
Pは中央ユニット、例えば平面ユニットであり、例えば1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジイル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジイル、2H−テトラゾール−2,5−ジイル、1,2,3−チアジアゾール−4,5−ジイル、1−アルキル−3−(アルコキシカルボニル)−1H−ピロール−2,5−ジイル(アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされ、またアルコキシはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる)、1−アルキル−1H−ピロール−2,5−ジイル(アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされる)、チアゾール−2,4−ジイル、1−H−ピラゾール−1,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、オキサゾール−2,4−ジイル、カルボニル、1H−イミダゾール−1,5−ジイル、イソキサゾール−3,5−ジイル、フラン−2,4−ジイル、3−アルコキシカルボニルフラン−2,4−ジイル(アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる)、ベンゼン−1,3−ジイル及び(Z)−1−シアノエテン−1,2−ジイルの位置異性体から選択されるものである。生理学的条件下で加水分解性の適切な基は当該分野において周知であり、またO原子と共にエーテル、エステル又は炭酸エステル結合を形成する基を含む。
【0013】
好ましくは、Pは、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル及び1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイルから選択される。
【0014】
式Iの少なくとも1種のニトロカテコール誘導体は、好ましくは2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシド又は5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールである。この少なくとも1種の式Iのニトロカテコール誘導体は、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドと、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールとの混合物でもあり得る。この少なくとも1種の式Iのニトロカテコール誘導体が2種のニトロカテコール誘導体(2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシド、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオール等)の混合物である実施形態において、これら2つの成分の比は約50:50又はその変化形、例えば約60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、97:3又は99:1であり得る。或いは、これら2種のニトロカテコール誘導体の一方は、もう一方のニトロカテコールの量の5%を含めたこの値までの量(5%以下)(an amount up to and including 5%)、3%以下の量又は1%以下の量で存在し得る。例えば、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールは、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドの量の5%以下の量、3%以下の量又は1%以下の量で存在し得る。
【0015】
本明細書で開示されるような式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種のAPIは低い嵩密度を示し得ることから、これを剤形に処方及び製造するのは困難である。例えば、後述の方法で測定した場合、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドは、造粒及び/又は処方前に0.1g/ml未満の嵩密度を示し、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールは、造粒及び/又は処方前に約0.2g/mlの嵩密度を示し得る。
【0016】
低嵩密度のAPIの処方には、多くの問題が生じることが多い。例えば、含有物の均一性の不良、粒子の偏析、流動性が殆どない又は全くないこと、平均質量変動性の高さ、錠剤のキャッピング及び/又はラミネーション並びに錠剤の高い摩損度である。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態において、本開示の組成物及び/又は製剤中に存在するこの少なくとも1種のAPIの量(又は用量)は好ましくは治療有効量である。本明細書で言うところの「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、開示の組成物の投与によって治療可能な及び/又は予防可能なあらゆる状態をいくらかでも治療、緩和及び/又は予防するのに十分な治療薬の量を意味する。この量は、例えば、検出可能な治療効果又は予防効果又は回復効果を示すに十分な量であり得る。この効果には、例えば、本明細書で挙げた状態の治療、緩和及び/又は予防が含まれ得る。(例えば、特定の患者の治療に)実際に必要な量は様々な要素に左右され、この要素には治療及び/又は予防の対象となる疾患、その重症度、使用する具体的な医薬組成物、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事、投与方法、投与時間、投与経路、治療薬の排出速度、治療期間、治療薬と組み合わせて又は同時に使用する薬剤並びに当業者に周知のその他のこのような要素が含まれる。様々な実施形態において、例えば、製剤(すなわち、カプセル又は錠剤の剤形)は1mg以上のAPI、例えば2.5mg以上、5mg以上、10mg以上、20mg以上、40mg以上、50mg以上又は100mg以上のAPIを含有し得る。従って、組成物及び/又は製剤におけるAPI含有量は、0.02〜90質量%、例えば0.1〜70質量%、0.2〜50質量%又は0.3〜45質量%であり得る。
【0018】
本開示の少なくとも1種のホスフェート誘導体はリン酸カルシウムを含む全ての物質であり、二塩基性無水リン酸カルシウム(例えば、A−TABTM、Di−CafosTMA−N、EmcompressTM(無水)、FujicalinTM)、二塩基性リン酸カルシウム二水和物(例えば、CafosTM、CalipharmTM、CalstarTM、Di−CafosTM、EmcompressTM)及び三塩基性リン酸カルシウム(例えば、Tri−CafosTM、TRI−CALTMWG、TRI−TABTM)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0019】
様々な実施形態において、本開示の組成物及び/又は製剤中に存在するこの少なくとも1種のホスフェート誘導体の量は、組成物及び/又は製剤の0.5〜99.5質量%、例えば組成物及び/又は製剤の総質量の10〜80質量%、20〜60質量%又は25〜40質量%(例えば、35質量%)を構成し得る。この少なくとも1種のホスフェート誘導体は、粒内、粒外又は部分的に粒内で部分的に粒外となり得る。この少なくとも1種のホスフェート誘導体の量は、部分的には、所望の用量及び嵩密度に応じて変化し得る。
【0020】
本開示のこの少なくとも1種のPVP誘導体化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)及びその置換されたものを含む全ての物質であり、ポビドン(例えば、PlasdoneTM、kollidonTM)、コポビドン(例えば、Plasdone S−630TM、kollidon VA−64TM)及び架橋PVP(クロスポビドンとしても知られる)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0021】
様々な実施形態において、本開示の組成物及び/又は製剤中に存在するこの少なくとも1種のPVP誘導体化合物の量は、組成物及び/又は製剤の0.1〜40質量%、例えば組成物及び/又は製剤の総質量の1〜30質量%、2〜20質量%、3〜10質量%又は6〜8質量%(例えば、7質量%)を構成し得る。PVP誘導体化合物は、粒内、粒外又は部分的に粒内で部分的に粒外となり得る。この少なくとも1種のPVP誘導体化合物の量は、部分的には、所望の用量及び嵩密度に応じて変化する。
【0022】
本発明は、本発明の組成物又は製剤を製造する方法にも関し、この方法は、
‐式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種の活性医薬成分を造粒して顆粒を形成し、
‐造粒の前、最中又はその後に、少なくとも1種のホスフェート誘導体をこの少なくとも1種の活性医薬成分と混合し、
‐造粒の前、最中又はその後に、少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物をこの少なくとも1種の活性医薬成分と混合する工程を含む。
【0023】
この少なくとも1種のAPIと、少なくとも1種のホスフェート誘導体と、少なくとも1種のPVP誘導体化合物とを、混合によって組み合わせ得る(本明細書においてはブレンドするとも称される)。適当な装置、混合時間及び混合速度は、例えば存在している材料の量、使用する混合プロセスのタイプ及び当業者に公知のその他のパラメータに基づいて当業者によって求められ得る。例えば、様々な実施形態において、成分は、V−ブレンダ、高せん断ミキサ、当業者に公知のその他の混合装置及び/又はプロセスを利用して手動で混合され得る。更なる例として、様々な実施形態において、成分は、適当な時間に亘って(例えば、1〜30分、2〜10分)混合され得る。
【0024】
顆粒は、乾式又は湿式造粒で形成され得る。好ましくは、顆粒は、少なくとも1種の造粒液を使用して湿式で造粒される。例として、この少なくとも1種の造粒液は、水、エタノール、イソプロパノール及び/又はアセトンから選択され得る。好ましくは、造粒液は水である。造粒のための適当な装置、混合時間及び混合速度は、例えば材料の量及び存在する場合は造粒液の量に基づいて当業者によって求められ得る。様々な実施形態において、成分は、高せん断ミキサ、遊星型ミキサ、当業者に公知のその他の造粒装置及び/又はプロセスを利用して手動で造粒され得る。更なる例として、様々な実施形態において、成分は、適当な時間、例えば1〜60分間又は2〜30分間に亘って造粒され得る。造粒の終点の判断は当業者の能力の範囲内であるが、顆粒内部に捕捉される空気量の低下をもたらす顆粒サイズ及び粒子の凝集の安定化の観察によって、或いは電圧、導電性 トルク(conductivity torque)、消費電力又は近赤外法の安定したレオロジー的又は相関的な測定の達成によって求めることができる。更なる例として、造粒速度は、造粒機混合速度の5〜100%、例えば25〜100%になり得る。
【0025】
湿式造粒プロセスの完了後、次に顆粒を乾燥させ得る。顆粒を、6%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは1〜3%の乾燥減量(loss on drying:LOD)値にまで乾燥させるべきである。LOD値を求めるための適切な技法は、USP31(第1巻)、test<731>(The United States Pharmacopeia Convention,2008)に記載される通りである。この試験は、試験対象の物質を正確に秤量することを伴う(m0)(例えば、1〜10gの試料量を使用する)。次に、試験試料を、一定質量(mf)が得られるまで105℃で乾燥させる。水分量は、以下の式:
LOD(%)=[(m0−mf)/m0]x100
を使用して計算することができる。
【0026】
適当な乾燥装置、乾燥時間及び温度は、例えば存在する材料の量、材料の水分含有量及び造粒液の量に基づいて当業者によって求められ得る。非限定的な例として、流動層乾燥機又は箱型乾燥機を、例えば25℃以上、40℃以上又は70℃以上で使用して顆粒を乾燥させ得る。例えば、顆粒を66℃で乾燥させ得る。
【0027】
この方法は更に、顆粒の篩過工程を含み得る。顆粒の篩過によって均一な粒子サイズの顆粒が得られ、また、篩過を利用して、剤形の処方又は製造に有利なサイズの粒子を選択し得る。様々な実施形態において、顆粒は、0.5mm以上、例えば0.6mm、0.8mm、1.0mm及び1.6mmのスクリーンで篩過され得る。
【0028】
組成物は更に、少なくとも1種のAPI、少なくとも1種のホスフェート誘導体及び少なくとも1種のPVP誘導体化合物とブレンドされ得る少なくとも1種の賦形剤を含み得る。一実施形態において、この少なくとも1種の賦形剤はAPI顆粒とブレンドされる。この少なくとも1種の賦形剤は、慣用の賦形剤、例えば(a)フィラー、希釈剤又は増量剤(例えば、炭酸カルシウム、フルクトース、カオリン)、(b)バインダ(例えば、アラビアゴム、スクロース、ゼイン)、(c)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム)、(d)滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水添ヒマシ油、水添植物油タイプI、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、中鎖トリグリセリド、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマラート、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸スクロース、ステアリン酸亜鉛)及び(e)グライダント(例えば、三塩基性リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、粉末セルロース(cellulose, powdered)、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク)から選択され得る。特定の実施形態において、組成物及び/又は製剤は、このような追加の賦形剤を全く含まない。
【0029】
この少なくとも1種の賦形剤を、少なくとも1種のAPIの造粒の前又は最中に添加し得て、従ってこの賦形剤は粒内賦形剤として存在し得る。或いは、この少なくとも1種の賦形剤を製剤に造粒後に、例えば顆粒とのブレンドによって添加し得ることから、この賦形剤は粒外賦形剤として存在し得る。様々な実施形態において、少なくとも1種の第1の賦形剤を造粒の前又は最中に添加し得て、少なくとも1種の第2の賦形剤及び/又は更なる少なくとも1種の第1の賦形剤を造粒後に組成物に添加し得る。例えば、様々な実施形態において、フィラー、バインダ及び崩壊剤を、造粒の前又はその最中に添加することができ、流動剤(flowability agent)及びグライダントを造粒後に添加することができる。
【0030】
一部の例示的な実施形態において、組成物及び/又は製剤は以下の成分を含む。
API 0.2〜50.0質量%
ホスフェート誘導体 5.0〜50.0質量%
追加のフィラー 0.0〜85.0質量%
ポビドン誘導体 1.0〜15.0質量%
滑沢剤 1.0〜15.0質量%
崩壊剤 1.0〜15.0質量%

API 0.2〜30.0質量%
ホスフェート誘導体 20.0〜50.0質量%
追加のフィラー 0.0〜85.0質量%
ポビドン誘導体 3.0〜10.0質量%
滑沢剤 1.0〜10.0質量%
崩壊剤 3.0〜10.0質量%

API 20.0〜50.0質量%
ホスフェート誘導体 20.0〜50.0質量%
追加のフィラー 0.0〜55.0質量%
ポビドン誘導体 3.0〜10.0質量%
滑沢剤 1.0〜10.0質量%
崩壊剤 3.0〜10.0質量%
【0031】
様々な例示的な実施形態において、少なくとも1種のAPI、少なくとも1種のホスフェート誘導体及び少なくとも1種のPVP誘導体化合物の顆粒を含む組成物を使用して製剤を調製し得て、例えばカプセルの充填に使用し得る。或いは、圧縮して錠剤を形成し得る。
【0032】
本開示で使用するためのカプセルには、ゼラチンカプセル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)カプセルが含まれるが、これらに限定はされない。本開示の実施形態に従った組成物でこのようなカプセルを充填するのに適した方法は、当業者に周知である。
【0033】
本開示の錠剤は、当業者に公知のいずれの方法によっても形成し得て、この方法は例えば圧縮である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、錠剤は、例えば水性のフィルムコーティング、溶媒系のフィルムコーティング及び/又は糖衣でコーティングされ得る。
【0034】
また、本発明の製剤は、例えば本発明の組成物に着色剤を含めることによって、或いは組成物又は製剤のコーティングによって着色され得る。
【0035】
組成物は、APIだけの場合より改善された嵩密度及び/又は流動特性を示し得る。本明細書で使用の用語「改善された嵩密度(improved bulk density)」、「大幅に改善された嵩密度(significantly improved bulk density)」及びその変化形は、組成物の嵩密度が、APIだけの場合のおよそ少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍又は少なくとも5倍であることを意味する。化合物又は組成物の嵩密度を当該分野で一般に認められている方法を使用して求めることは、当業者の能力の範囲内である。しかしながら、適切な方法には、例えばEuropean Pharmacopeia(第6版)、Test2.9.15「apparent volume」の285〜286頁(EDQM,2007)及びUSP31(第1巻)、test<616>の231〜232頁(The United States Pharmacopeia Convention,2008)が含まれる。適切な方法を以下に記載する。
【0036】
装置:高さ3±0.2mmから1分間あたり250±15回のタップが可能な落下装置。ホルダを備えたメスシリンダ用の支持台は450±5gの質量を有する。
質量220±40gの250mlのメスシリンダ(目盛りは2ml間隔)。
【0037】
方法:乾燥したシリンダ内に、100.0g(mg)の試験物質を圧縮することなく導入する。シリンダをホルダに固定する。ゆるみ状態の見掛け体積(V0)をミリリットル単位まで読み取る。タップを10回、500回、1250回行い、対応する体積V10、V500及びV1250をミリリットル単位まで読み取る。V500とV1250との差が2mlより大きい場合、更に1250回のタップを行う。
【0038】
或いは、100.0gの選択が不可能な場合、任意の質量の試験試料を選択し(ただし、50〜250mlの体積)、上述したようにその見掛け体積V0を測定し、試料を秤量し、その質量を結果に記入する。次に、かさ/見掛け密度を、以下の式:
m/V0
を使用してg/mlで求め得る。式中、mは質量(グラム)であり、V0はゆるみ状態での見掛け体積である。
【0039】
次に、タップ後の見掛け密度を、以下の式:
M/V1250
を使用してg/mlで求め得る。式中、mは質量(グラム)であり、V1250は、1250回のハブ後の見掛け体積である。
【0040】
例えば、上述したように、式Iのニトロカテコールである2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドは、造粒前に0.1g/ml未満の嵩密度を示す。2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドの顆粒を含む本開示の組成物は、0.2g/ml以上、例えば0.4g/ml以上、0.5g/ml以上又は0.6g/ml以上の嵩密度を示し得る。2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドを含むカプセル充填用又は打錠用の最終ブレンド物として使用するための本開示の組成物は、0.2g/ml以上、例えば0.4g/ml以上、0.5g/ml以上又は0.6g/ml以上の嵩密度又は見掛けの嵩密度を示し得る。
【0041】
開示の特定の実施形態において、開示の圧縮製剤(錠剤等)は、0.5〜1.5g/mL、例えば0.6〜1.4g/mL、0.7〜1.3g/mL又は0.8〜1.2g/mLの見掛け密度を示す。
【0042】
圧縮製剤の見掛け密度は製剤の質量及び体積で測定され、また十分に当業者の能力の範囲内である。
【0043】
当該分野で一般に認められている方法を使用して化合物又は組成物の圧縮性を測定することは、当業者の能力の範囲内である。しかしながら、適切な方法には、例えば、USP31(第1巻)、test<1174>(The United States Pharmacopeia Convention,2008)を使用し、顆粒のかさ容積(V0)及びタップ体積(Vf)の両方を測定することが含まれる。次に、圧縮性指数(CI)を、以下の式:
CI(%)=100x[(V0−Vf)/V0
を使用して計算し得る。
【0044】
当該分野で一般に認められている方法を使用して化合物又は組成物の流動性を測定することは、当業者の能力の範囲内である。しかしながら、適切な方法には、例えばUSP31(第1巻)、test<1174>(The United States Pharmacopeia Convention,2008)に記載のオリフィスを通る流量の試験が含まれる。この場合、流動性は、ガラス漏斗の直径10mmの開口部を流れる単位時間あたりの質量として測定され得る。
【0045】
特に記載がない限り、記載の有無に関わらず、本文及び請求項で使用の数値は全て「約」という語によって全てのケースにおいて修飾されていると理解されたい。また、本文及び請求項で使用の正確な数値は、開示の追加の実施形態を構成すると理解されるべきである。実施例で開示の数値の正確さを確保するための努力がなされた。しかしながら、測定された数値は本質的に、そのそれぞれの測定技法に見られる標準偏差由来のある程度の誤差を含み得る。
【0046】
本明細書で使用の定冠詞、不定冠詞は「少なくとも1種(1つ)」を意味し、明確にそうではないと記載されていない限り、「たった1種(1つ)」であると限定されるべきではない。このため、例えば、「その製剤」又は「製剤」の使用は、少なくとも1種(1つ)の製剤を意味すると意図される。
【0047】
開示のその他の実施形態は、本開示の仕様及び実際を考慮すれば当業者には明らかである。仕様及び実施例は例示的なものに過ぎないと見なされ、本発明の真の範囲及び精神は、請求項によって示されると意図される。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、請求の本発明を限定することを意図していない。
【0049】
実施例1
4種の高用量カプセルを(実験室規模)、まず以下の表1に記載の量のAPI、リン酸二カルシウム及び/又は微結晶セルロース、クロスカルメロース−ナトリウム及び/又はポビドン及び/又はアルファ化デンプンを実験室規模の高せん断ミキサ(Stephan)で混合することによって形成した。これらの実施例で使用したAPIは、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドであった。精製水を各混合物に添加し、混合物を造粒した。
【0050】
次に、顆粒を、実験室規模の流動層乾燥機(Aeromat)で乾燥させた。乾燥させた顆粒を篩過し、次に表1に記載の残りの原料と1Lタンブルミキサ(Turbula)でブレンドした。カプセルに、手動式のカプセル充填機を使用して組成物を充填した。
【0051】
顆粒及び最終組成物を、上記の方法を使用して嵩密度及びタップ密度について評価した。流動性もまた、USP31(第1巻)、test<1174>(The United States Pharmacopeia Convention,2008)に記載のオリフィスを通る流量の試験によって評価した。流動性は、ガラス漏斗の直径10mmの開口部を流れる単位時間あたりの質量として測定された。
【0052】
【表1】

流動性:「+++」=極めて良好、「−−−」=流動なし
【0053】
表1から見て取れるように、ポビドン又はリン酸二カルシウムの存在(バッチB、Cを参照のこと)によって、嵩密度及び流動特性は、その両方が存在しない場合より(バッチDを参照のこと)改善されたが、嵩密度における改善は、これらの賦形剤が両方存在する場合(バッチAを参照のこと)に著しく大きかった。同様の流動性データが、顆粒及び最終混合物について得られ、バッチAの顆粒及び最終混合物は極めて良好な流動性を示した。
【0054】
実施例2
低用量カプセルを調製するために、2種のバッチA製剤を実験室規模で調製した。この2種の低用量カプセルのバッチを、以下の表2に記載の組成物を使用して形成した。まず、以下の表2に記載の量のAPI、リン酸二カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロース−ナトリウム及びポビドンを、V−ブレンダで混合した。これらの実施例で使用したAPIは2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドであった。精製水を混合物に添加し、混合物を手動で混合し、造粒した。
【0055】
次に、顆粒を、箱型乾燥機において50℃で約300分間に亘って乾燥させた。乾燥させた顆粒を篩過した。次に、篩過済みの顆粒を、表2に記載の残りのクロスカルメロース−ナトリウム及びシリカ(コロイド状、含水)とV−ブレンダでブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを添加し、混合した。カプセルに、カプセル充填機を使用して組成物を充填した。
【0056】
顆粒及び最終組成物を、上記の実施例1に記載の方法を使用して嵩密度、タップ密度及び流動性について評価した。圧縮性指数を、USP31(第1巻)、test<1174>(The United States Pharmacopeia Convention,2008)を使用し、顆粒の嵩容積(V0)及びタップ体積(Vf)の両方を測定して評価した。次に、圧縮性指数(CI)を、以下の式:
CI(%)=100x[(V0−Vf)/V0
を使用して計算した。
【0057】
結果を以下の表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
上の表2から見て取れるように、バッチFの顆粒の嵩密度は、先行の試験の高用量製剤の嵩密度よりはるかに高かった。従って、カプセルに十分な質量でもってバッチFの顆粒を充填することは不可能であった。しかしながら、バッチEでは、実施例1の高用量製剤のものと同様の特性の顆粒及びカプセルが得られた。バッチEは、良好な流動特性及び圧縮特性も示した。
【0060】
実施例3
様々な用量の3種のカプセル(パイロット規模)のバッチを、以下の表3に記載の組成物を使用して形成した。バッチHは低用量カプセル、バッチJは中用量カプセル、バッチLは高用量カプセルである。
【0061】
まず、以下の表3に記載の量のAPI、リン酸二カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロース−ナトリウム及びポビドンを高せん断ミキサ造粒機で混合した。これらの実施例で使用したAPIは、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドであった。精製水を混合物に添加し、混合物を高せん断ミキサ造粒機で混合した。
【0062】
次に、顆粒を、流動層乾燥機で乾燥させた。乾燥させた顆粒を篩過した。次に、篩過済みの顆粒を、表3に記載の残りのクロスカルメロース−ナトリウム及びシリカ(コロイド状、含水)とV−ブレンダでブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを添加し、混合した。カプセルに、カプセル充填機を使用して組成物を充填した。
【0063】
更に、2種の実験室規模のバッチ(低用量のバッチG、高用量のバッチK)を、実施例2に記載の方法によって形成した。これらのバッチの組成物を、以下の表3に示す。
【0064】
顆粒、組成物及びカプセルを、実施例2に記載のものと同じやり方で評価した。結果を以下の表3に示す。更に、質量の均一性を、20個のカプセルの個々の質量によって評価し、平均質量及び標準偏差を計算した。この結果も表3に示す。
【0065】
【表3】

【0066】
上の表3の結果は、パイロット規模のバッチの特性の殆どがプロセスのスケールアップで改善されたことを示す(すなわち、上記の実施例1、2のバッチと比較して)。更に、特に嵩密度、タップ密度及び流量は、APIのものより驚くほど優れた特性を有する最終生成物の達成を示す。本実施例及び本明細書に記載のその他の実施例のバッチで使用したAPIは、極めて低い嵩密度(<0.1g/ml)を有し、流動しないが、本バッチの一部の顆粒は、0.8g/mlより高い嵩密度(800%を超える上昇)及び20g/秒より高い流量を示す。高いAPI用量であっても(例えば、約35%)、嵩密度は0.1g/ml未満から0.76g/mlへと大きく改善された。
【0067】
比較例1
5種の高用量カプセルを、まず表4に記載の量のAPI、第1微結晶セルロース量、第1エチルセルロース量及びとうもろこしデンプンを高せん断ミキサで混合することによって形成した。これらの実施例で使用したAPIは、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドであった。精製水を各混合物に添加し、混合物を造粒した。
【0068】
次に、顆粒を、流動層乾燥機(Aeromat)で乾燥させた。乾燥させた顆粒を篩過し、次に表4に記載の残りの原料と1Lタンブルミキサ(Turbula)でブレンドした。カプセルに、手動式のカプセル充填機を使用して組成物を充填した。
【0069】
【表4】

【0070】
顆粒及び最終組成物を、実施例1に記載のやり方で評価した。結果を上の表4に示す。製剤は、嵩密度においてほぼゼロ〜若干の改善しか示さず、また流動特性は不良〜不十分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種の活性医薬成分と、少なくとも1種のホスフェート誘導体と、少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物とを含む組成物であって、前記少なくとも1種の活性医薬成分が顆粒の形態で存在することを特徴とする組成物。

下式I、

(I)
(式Iにおいて、
1及びR2は独立して水素又は生理的条件下で加水分解性の基から選択され、任意で置換された低級アルカノイル又はアロイルであり、
Xはメチレン基であり、
Yは酸素、窒素又は硫黄の原子であり、
nは0、1、2及び3から選択され、
mは0又は1であり、
3は、印がついていない結合によって示されるように連結される、式A、B、C、D、E及びF:



(式中、R4、R5、R6及びR7は独立して水素、C1−C6−アルキル、C1−C6−チオアルキル、C1−C6−アルコキシ、C6−C12−アリールオキシ又はC6−C12−チオアリール基、C1−C6−アルカノイル又はC7−C13−アロイル基、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、C1−C6−ジアルキルアミノ、C3−C12−シクロアルキルアミノ、C3-12−ヘテロシクロアルキルアミノ、C1−C6−アルキルスルホニル、C6−C12−アリールスルホニル、ハロゲン、C1−C6−ハロアルキル、例えばトリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はヘテロアリール基から選択され、或いは残基R4、R5、R6及びR7の2個以上が一緒になって脂肪族若しくはヘテロ脂肪族環又は芳香族若しくはヘテロ芳香族環を表す)から選択されるピリジン基であり、
Pは中央ユニット、例えば平面ユニットであり、例えば1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジイル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジイル、2H−テトラゾール−2,5−ジイル、1,2,3−チアジアゾール−4,5−ジイル、アルキルがメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされ、またアルコキシがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる1−アルキル−3−(アルコキシカルボニル)−1H−ピロール−2,5−ジイル、アルキルがメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされる1−アルキル−1H−ピロール−2,5−ジイル、チアゾール−2,4−ジイル、1−H−ピラゾール−1,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、オキサゾール−2,4−ジイル、カルボニル、1H−イミダゾール−1,5−ジイル、イソキサゾール−3,5−ジイル、フラン−2,4−ジイル、アルコキシがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる3−アルコキシカルボニルフラン−2,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル並びに(Z)−1−シアノエテン−1,2−ジイルの位置異性体から選択されるものである。)
【請求項2】
前記活性医薬成分が、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性医薬成分が、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性医薬成分が、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドと、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールとの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性医薬成分が、0.02〜90質量%を構成する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記活性医薬成分が、0.2〜50質量%を構成する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記顆粒が、前記少なくとも1種のホスフェート誘導体及び/又は前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物を更に含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、二塩基性無水リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物及び三塩基性リン酸カルシウムから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、二塩基性リン酸カルシウム二水和物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、0.5〜99.5質量%を構成する、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、10〜80質量%を構成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、20〜60質量%を構成する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、ポビドン又はコポビドンから選択される、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリビニルピロリドン誘導体化合物が、ポビドンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、0.1〜40質量%を構成する、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、2〜20質量%を構成する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、3〜10質量%を構成する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の賦形剤を更に含む、請求項1〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
嵩密度が0.2g/mlより大きい、請求項1〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
嵩密度が0.5g/mlより大きい、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
追加のAPIを更に含む、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の組成物を含む医薬製剤。
【請求項23】
錠剤及びカプセルから選択される剤形である、請求項22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
0.5〜1.5g/mLの見掛け密度を示す錠剤である、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
0.8〜1.2g/mLの見掛け密度を示す錠剤である、請求項24に記載の医薬製剤。
【請求項26】
組成物又は医薬製剤を製造する方法であって、
式Iのニトロカテコール誘導体、その塩、エステル、水和物、溶媒和物及びその他の誘導体から選択される少なくとも1種の活性医薬成分を造粒して顆粒を形成し、
造粒の前、最中又はその後に、少なくとも1種のホスフェート誘導体を前記少なくとも1種の活性医薬成分と混合し、
造粒の前、最中又はその後に、少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物を前記少なくとも1種の活性医薬成分と混合することを特徴とする方法。

式I:


(I)
式Iにおいて、
1及びR2は独立して水素又は生理的条件下で加水分解性の基から選択され、任意で置換される低級アルカノイル又はアロイルであり、
Xはメチレン基であり、
Yは酸素、窒素又は硫黄の原子であり、
nは0、1、2及び3から選択され、
mは0又は1であり、
3は、印がついていない結合によって示されるように連結される、式A、B、C、D、E及びF:


(式中、R4、R5、R6及びR7は独立して水素、C1−C6−アルキル、C1−C6−チオアルキル、C1−C6−アルコキシ、C6−C12−アリールオキシ又はC6−C12−チオアリール基、C1−C6−アルカノイル又はC7−C13−アロイル基、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、C1−C6−ジアルキルアミノ、C3−C12−シクロアルキルアミノ、C3-12−ヘテロシクロアルキルアミノ、C1−C6−アルキルスルホニル、C6−C12−アリールスルホニル、ハロゲン、C1−C6−ハロアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はヘテロアリール基から選択され、或いは残基R4、R5、R6及びR7の2個以上が合わさって脂肪族若しくはヘテロ脂肪族環又は芳香族若しくはヘテロ芳香族環を表す)から選択されるピリジン基であり、
Pは中央ユニット、例えば平面ユニットであり、例えば1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、1,2,4−オキサジアゾール−3,5−ジイル、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジイル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジイル、2H−テトラゾール−2,5−ジイル、1,2,3−チアジアゾール−4,5−ジイル、アルキルがメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされ、またアルコキシがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる1−アルキル−3−(アルコキシカルボニル)−1H−ピロール−2,5−ジイル、アルキルがメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルで表わされる1−アルキル−1H−ピロール−2,5−ジイル、チアゾール−2,4−ジイル、1−H−ピラゾール−1,5−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、オキサゾール−2,4−ジイル、カルボニル、1H−イミダゾール−1,5−ジイル、イソキサゾール−3,5−ジイル、フラン−2,4−ジイル、アルコキシがメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソプロポキシで表わされる3−アルコキシカルボニルフラン−2,4−ジイル、ベンゼン−1,3−ジイル並びに(Z)−1−シアノエテン−1,2−ジイルの位置異性体から選択されるものである。
【請求項27】
前記少なくとも1種の活性医薬成分が、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の活性医薬成分が、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の活性医薬成分が、2,5−ジクロロ−3−(5−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−4,6−ジメチルピリジン 1−オキシドと、5−[3−(2,5−ジクロロ−4,6−ジメチルピリジン−3−イル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]−3−ニトロベンゼン−1,2−ジオールとの組み合わせである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、二塩基性無水リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物及び三塩基性リン酸カルシウムから選択される、請求項26〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種のホスフェート誘導体が、二塩基性リン酸カルシウム二水和物である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、ポビドン又はコポビドンから選択される、請求項26〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種のポリビニルピロリドン誘導体化合物が、ポビドンである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記造粒工程が、造粒液を使用して行われる、請求項26〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記顆粒を乾燥させることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記顆粒を篩過することを更に含む、請求項26〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記顆粒を少なくとも1種の賦形剤とブレンドすることを更に含む、請求項26〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
造粒後、前記組成物が、0.2g/mLより大きい嵩密度を有する、請求項26〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
造粒後、前記組成物が、0.5g/mLより大きい嵩密度を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬製剤を製造する際に、医薬品剤形を形成することを更に含む、請求項26〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記医薬品剤形の形成が、前記組成物を錠剤に圧縮する工程を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記錠剤が、0.5〜1.5g/mLの見掛け密度を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記錠剤が、0.8〜1.2g/mLの見掛け密度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬品剤形の形成が、カプセルに前記組成物を充填する工程を含む、請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522763(P2012−522763A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503350(P2012−503350)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/PT2010/000014
【国際公開番号】WO2010/114404
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511237704)ビアル−ポルテーラ エ セーアー. ソシエダッド アノニマ (2)
【Fターム(参考)】