説明

ニューロン性一酸化窒素シンターゼの複素環式芳香族選択的阻害剤

式の化合物のような、脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などの神経変性疾患の潜在的な治療のためのニューロン性一酸化窒素シンターゼ(nNOS)を阻害する化合物。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2003年9月8日に出願された出願番号第60/500,997号(その全体が参照として本明細書に組み入れられる)からの優先権の利益を主張する。
【0002】
米国政府は、Northwestern Universityに対する米国立衛生研究所からの研究費番号GM94725に拠って本発明に対して一定の権利を有する。
【0003】
発明の背景
一酸化窒素(NO)は、集合的に一酸化窒素シンターゼ(NOS、E. C. 1.14.13.39)として知られる酵素ファミリーにより、多くの組織および細胞型においてアルギニンから酵素的に合成される。この酵素の3つの主要なアイソフォームが単離され、特徴づけられており、それぞれ異なる生理機能と関連していた:免疫応答(誘導性NOSまたはiNOS)、平滑筋弛緩(内皮NOSまたはeNOS)、およびニューロンのシグナリング(ニューロン性NOSまたはnNOS)。これらのアイソフォームは全て、補因子としてNADPH、FAD、FMN、(6R)-5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリン、およびヘムを利用する。
【0004】
NOの過剰産生は、多くの疾病状態の要因であった。nNOSによるNOの過剰産生は、脳卒中、片頭痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、並びにモルヒネに対する耐性および依存性に関係していた。iNOSを媒介したNOの過剰産生は、大腸炎、組織損傷および炎症、並びにリウマチ様関節炎の発症と関連していた。
【0005】
動物実験および初期の臨床試験では、NOS阻害剤がこれらの障害の多くに治療的であり得ることを示唆するが、一酸化窒素が生理学的機能に対して重要であるために、強力な、並びにアイソフォーム選択的阻害剤が必須である。nNOS阻害は、脳卒中およびパーキンソン病治療の標的とされ、並びにiNOS阻害は、感染性ショックおよび関節炎治療の標的にされてきた。eNOSの過敏性と関連した病態が存在する可能性もあるが、血圧恒常性は非常に重要であって、大部分の研究者が、治療的に有用なNOS阻害剤は、eNOSを阻害すべきではないと考えている。
【0006】
eNOSおよびiNOS以上の優れた阻害能力およびnNOSに対する選択性は、一定の従来技術のアミン含有側鎖を有するニトロアルギニンジペプチドアミドで達成された(引例のcpds1〜3)。Huang, H.; Martasek, P.; Roman, L.J.; Masters, B.S.S.; Silverman, R.B.Nω-Nitroarginine-Containing Dipeptide Amides. Potent and Highly Selective Inhibitors of Neuronal Nitric Oxide Synthase. J. Med Chem. 1999, 42, 3147-53を参照されたい。
【0007】
これらの化合物の中で最も強力なnNOS阻害剤は、L-ArgNO2-L-Dbu-NH2(1)(Ki =130nM)であり、これは、またeNOS以上に優れた選択性(>1500倍)およびiNOS以上の192倍の選択性を示す。しかし、このような化合物が治療的に有用となり得るには、さらなるペプチド擬態修飾を常に必要とする。一般に、ペプチドは、生物学的利用能が乏しく、そのために、候補薬として失敗することが多い。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
前述を考慮にいれて、ニューロン性一酸化窒素シンターゼの選択的阻害のための化合物および関連した使用方法を提供し、これにより、上で概説したものを含む従来技術の種々の欠陥および欠点を克服することが、本発明の目的である。本発明の1つまたは複数の局面により、一定の目的に対処することができるが、1つまたは複数のその他の局面により、一定のその他の目的に対処することができることが、当業者には十分に理解される。それぞれの目的は、その全ての点で、本発明のあらゆる局面に対して同程度に適用されなくてもよい。したがって、以下の目的は、本発明の任意の一つの局面に関して択一的に考えることができる。
【0009】
本発明の目的は、その他の酵素アイソフォーム以上に選択的nNOS阻害を示す1つまたは複数の非ペプチド化合物を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、選択的NOS阻害のための、1つまたは複数の高次構造的に束縛された化合物を提供することである。
【0011】
また、1つまたは複数の哺乳動物疾病状態を示す一酸化窒素産生を促進する条件下での、インビトロでの使用および研究のための、このような非ペプチドの高次構造的に束縛された化合物を提供することも、本発明の目的であり得る。
【0012】
または、本発明の目的は、このような疾病状態のインビボ治療を可能にする分子構造またはこのような化合物を提供することである。
【0013】
概要、およびこのような化合物の一定の態様の記述から、本発明のその他の目的、特徴、利益、および利点が明らかであり、これと共に記載した合成技術についての知識を有する当業者には、直ちに明らかであろう。このような目的、特徴、利益、および利点は、添付の実施例、データ、図、およびこれらから引き出される全ての合理的結論を共に考慮して明らかであろう。
【0014】
3つのNOSアイソフォームのオキシゲナーゼ・ドメインの結晶構造が以前に決定された。次いで、本発明のnNOS阻害剤をデザインするために、新たな新規分子デザイン法が開発された。リガンド結合に重要であると考えられるnNOS活性部位の残渣は、複数コピー同時探索(Multiple Copy Simultaneous Search:MCSS)法によって解析した。また、3つのNOSアイソフォーム間の活性部位における構造的な相違をGRID/CPCA法によって解析した。次いで、LUDIライブラリー・デザインおよびLUDI断片結合によって分子を構築した。適切なLUDI断片ライブラリーをGRIDおよびMCSS解析の結果に従って構築した。次いで、デザインした分子を、市販のAutoDock3.5プログラムを使用して活性部位にドッキングさせた。結合スコアは、Cscoreプログラムによって評価した。最後に、性質に基づいた薬剤デザイン戦略を使用して分子のADME効果を評価した。分子の結合スコアおよび/または性質スコアが要求を満たさなかった場合は、新たな分子が満足な結果を与えるまで分子を再構築し、再びドッキングして、再びスコアした。
【0015】
本選択的nNOS阻害剤のデザインにおいて考慮したのは、(1)分子が、nNOS内で同定された重要な残渣と相互作用するか否か;(2)分子が、nNOS/eNOSおよびnNOS/iNOSの両方に対する選択性を与える残渣と相互作用するか否か;(3)分子が高次構造的に、特にnNOS-アイソフォーム選択性にマッチする束縛された高次構造に拘束されているか否か;(4)分子が経口的に吸収され、血液脳関門を通過するか否かである。このようなアプローチにより、2つの利点が提供された:(a)新たな分子およびリード化合物を生成するための戦略;(b)活性部位解析の結果を新たな分子デザインのためのプロセスに容易に合併することができる。
【0016】
従って本発明は、一部において、以下の式の化合物に関する。

このような化合物は、示したとおり、下部構造I、II、およびIIIとの関連で考慮される。下部構造Iは、アミノ置換された窒素含有芳香環(式中、Xは、CH、N、O、またはSであることができ;mおよびnは、0または1であることができるが、mおよびnの少なくとも1つは、1であることを条件とする)を含む。下部構造IIは、5員環または6員環(式中、Yは、NまたはCHであることができ;pおよびqは、1または2であることができるが、pおよびqの少なくとも1つが1であり、かつpおよびqが同時に2でないことを条件とする)を含む。さらに、R1は、H、アルキル、アミノ、ヒドロキシ、または置換されたアルキル(例えば、限定されるわけではないが、アミノアルキルまたはヒドロキシアルキル)部分であることができる。下部構造IIIは、アルキル、置換されたアルキル、アルキルヒドロキシ(Z=O)、置換されたアルキルヒドロキシ(Z=O)、アルキルアミン(Z=NH)、または置換されたアルキルアミン(Z =NH)部分(例えば、限定されるわけではないが、直鎖状、環状のアルキルアミン)であることができる。
【0017】
このような化合物の構造は、出発原料または試薬の選択、並びに下部構造I、II、および/またはIIIへの途中経路(enroute)のみによって限定される。同様に、本化合物は、立体化学的に限定されない。下記に図示したように、このような化合物および/またはこれらの中間体は、ラセミ混合物(これらから、異性体を分離することできる)またはジアステレオマー(これらから、シスおよび/またはトランス異性体を分離することができる)として利用することができる。さらに、本発明の化合物は、任意のこのような化合物の酸性塩を含むことができることが、当業者に十分に理解されるであろう。限定されるわけではないが、一級、二級、および/または三級アミンを含む一定の態様を、部分的に、または完全にプロトン化し、これによって対イオンをプロトン酸の共役塩基とすることができる。
【0018】
化合物の電荷または立体化学に関係なく、一定の態様において、mおよびnは1であり、XはCHであり、その結果下部構造Iは、アミノ置換されたピリジニル部分を含む。それにもかかわらず、一定の態様において、YはNであり、pは1または2であり、ZはNHであり、その結果、下部構造IIは、それぞれアミノ置換されたピロリジニルまたはピペラジニル部分を含む。あるいは、YはCHであることができ、下部構造IIは、シクロペンチルまたはシクロヘキシル部分を含むことができ、この場合pおよびqが1または2であることができる(ただし、pおよびqの少なくとも1つが、1であることを条件とする)。それにもかかわらず、R1は、上記の通りであるか、または本明細書に他に図示したとおりであることができる。R2は、一定の態様において、上述したアミノ(Zは、NHである)置換基に垂れ下がった(pendant)アミノアルキル部分であることができる。したがってR2は、任意の一級、二級、もしくは三級の、直鎖状または環状アミノアルキル基を含むことができる。
【0019】
あるいは本発明は、以下の式の化合物に向けることができる。

限定されるわけではないが、一定の態様により、R1およびR2に関する前述の考察と組み合わせて、上に提供したとおりである。同様に、このような化合物は、電荷または立体化学によって限定されない。
【0020】
部分的には、本発明はまた、ニューロン性一酸化窒素シンターゼを阻害する方法を提供することができ、このような方法は、以下の実施例、参照される図面、および/または添付の合成スキームによって図示したものを含む(しかし、これらに限定されるわけではない)任意の本化合物の有効な量とニューロン性一酸化窒素シンターゼとを接触させることを含む。より詳細に、また本明細書によって支持されるとおり、本発明は、ニューロン性一酸化窒素シンターゼの選択的阻害法を提供することができる。このような方法は、(1)本発明の化合物を提供する工程;および(2)このような化合物と一酸化窒素シンターゼとを接触させ、接触により、誘導性および内皮アイソフォーム以上に選択的にニューロン性一酸化窒素シンターゼを阻害する工程を含んでもよい。
【0021】
nNOSの選択的阻害は、当業者に周知の手順およびプロトコルを使用して、本発明の代表的な化合物について証明された。使用したNOSアイソフォームの全ては、種々の供与源に由来する大腸菌(E. coli)において過剰発現した組換え酵素であった。NOSからの一酸化窒素形成は、文献に記載されているように、ヘモグロビン捕獲アッセイ法によってモニターした。このような阻害を示す明らかなIC50値は、少なくとも3つの阻害剤濃度で、10μM L-アルギニンの存在下においてパーセント阻害を測定することによって得られた。したがって本発明の化合物は、nNOS阻害のためにインビトロにおいて、および/または脳卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病からのものを含む種々の神経変性の治療、または治療評価において使用することができる
【0022】
本発明の実施例
以下の非限定的な実施例およびデータは、本明細書に記載した合成法を介して入手される種々の一酸化窒素シンターゼ阻害化合物の調製および使用を含む、本発明の化合物および/または方法に関する種々の局面および特徴を例証する。従来技術と比較して、本化合物および関連した方法は、驚くべき、予想外の、およびこれとは反対の結果、並びにデータを提供する。本発明の有用性は、いくつかの化合物の調製および使用を介して例証されるが、相当する結果が、本発明の範囲に相応する種々のその他の化合物で入手できることが当業者に十分に理解されるであろう。
【0023】
実施例1〜8は、下記のスキームIと組み合わせて考慮することができる。
【0024】
スキームI

【0025】
実施例1
(6-メチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-1)合成
2-アミノ-6-ピコリン(0.025mol)の50mLの溶解t-ブタノール溶液をジ-tert-ブチルジカルボナート(0.0275mol)で処置した。温度を約60℃に保持した。溶液を48時間攪拌後、溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、ヘキサン 対 酢酸エチル8:2)、85%の収率で純粋な(I)を得た。
【0026】
実施例2
3-ベンジル-6-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン(I-2)の合成。
丸底フラスコ内の1-ベンジルピロリン(0.01mol)、98% H2SO4(0.012mol)、水(1.5g)、およびアセトン(10mL)の氷冷溶液に、77%のm-CPBA(0.013mol)を攪拌しながら添加し、室温で約50時間反応させた。反応の完了後(TLCモニター)、アセトンを減圧下で蒸発させ、混合物を1M NaOHによって中和し、トルエン(30mL×3)で抽出した。出現した沈殿物を濾過して、濾液を水(30mL×2)で繰り返し洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、カラムクロマトグラフィーを経て77%の収率で純粋な生成物が得られた(シリカゲル、CH2Cl2:EtOAc:MeOH、7.5:2.00:0.5)。
【0027】
実施例3
[6-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(1-3)の合成
(6-メチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸-tert-ブチルエステルI-1(0.00625mol)の10mLのTHF溶液を-78℃の浴槽(アセトン/ドライアイス)中で冷却した。n-BuLi(1.6Mのヘキサン溶液、0.0125mol)をN2下で15分間添加した。溶液の色は、無色からオレンジに変化した。次いで、冷却浴を除いた。室温において45分間攪拌後、着色溶液が暗赤色に変化した。次いで、溶液を-78℃の浴槽に戻した。3-ベンジル-6-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサンI-2(0.005mol)の10mLのTHF溶液を1時間添加した。2時間後、冷却浴を除いた。溶液を室温でさらに2時間撹拌した。氷冷水(50ml)を添加することによって、反応をクエンチした。混合物をCH2Cl2(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4無水物を通して乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH、9:1)(90%)。
【0028】
実施例4
[6-(1-ベンジル-4-オキソ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-4)の合成
DMSO(0.02mol)の30mLのCH2Cl2無水物溶液に、塩化オキサリル(0.015mol)を滴下した。混合物を-78℃で10分間攪拌した。この後に、[6-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-3(0.01mol)の10mLのCH2Cl2無水物溶液を、反応温度を-60℃以下に保持する速度で滴下した。完全に添加すると同時に、混合物を-78℃で2時間撹拌させた。次いで、トリエチルアミン無水物(0.03mol)を混合物に滴下した。完全に添加後、反応混合物を室温に温めた。生じた溶液を1M NaOH(40ml)の間で分割し、生成物をCH2Cl2(30ml×2)で抽出した。全ての有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、Na2SO4無水物を通して乾燥し、真空中で濃縮して、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーを使用して精製した(シリカゲル、CH2Cl2:EtOAc、4:1)(87 %)。
【0029】
実施例5
[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tent-ブチルエステル(I-5)の合成
[6-(1-ベンジル-4-オキソ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-4(0.001mol)、3-フェニル-プロピルアミンなどの置換されたアミン、(0.015mol)、酢酸(0.0015mol)、および3Åモレキュラーシーブ(1g)の乾燥MeOH(20mL)溶液に、NaBH3CN(0.002mol)を添加した。次いで、反応物を室温においてN2雰囲気下で36時間撹拌した。TLCにより、反応完了をモニターする。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を1M NaOH(50mL)で希釈し、CH2Cl2(50ml×2)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、MgSO4無水物を通して乾燥して、溶媒を真空中で濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製した({6-[1-ベンジル-4-(3-フェニル-プロピルアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステルに関して、シリカゲル、ヘキサン:EtOAc:Et3N、3:2:0.25)(65%)。シスおよびトランス異性体を上記の溶出剤で分離することができる。シスおよびトランス異性体の比率は、45:55であった。
【0030】
実施例6
6-[1-ベンジル-4-(置換されたアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミンハイドロクロライド塩(I-6)または4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-1-ベンジル-ピロリジン-3-オールハイドロクロライド塩(I-7)の合成
6-[1-ベンジル-4-(3-フェニル-プロピルアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル、または[6-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-3などの[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.0002mol、I-5)をアルゴン下での氷水浴によって冷却した。次いで、4M HClの1,4-ジオキサン溶液を攪拌しながらゆっくり添加した。氷水浴を3時間後に除去し、反応混合物を室温にて一晩撹拌した。反応の完了後、液体を減圧下で蒸発させて、残渣を水(10mL)と酢酸エチル(10mL)との間で分けた。次いで、水層を酢酸エチル(5mL×2)で洗浄した。ハイバキュームローターヴェイパー(high vacuum rotorvapor)によって水を蒸発後、残渣を凍結乾燥器によって乾燥して、生成物を得た。
【0031】
実施例7
図1のものを含む種々のその他の化合物は、スキームIの合成経路に従って調製した。全ての化学構造は、1H NMR、l3C NMR、および質量スペクトルによって確認した。全ての生成物は、ラセミ混合物である。
【0032】
実施例8
限定されるわけではないが、スキームIに従って、図1の化合物I-6、化合物P-3、およびP-5は、スキームIaに示したとおりに調製した。
【0033】
スキームIa

【0034】
実施例9〜16は、下記のスキームIIと組み合わせて考慮することができる。
【0035】
スキームII

【0036】
実施例9
[6-(4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(II-1)の合成
[6-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-3(0.002mol)および10%Pd-C(0.7g)のMeOH(30mL)懸濁液を45℃において水素下で一晩撹拌した。次いで、触媒を濾過によって除去し、MeOH(30mL)で洗浄した。濾液を濃縮して、II-1を得た。生成物の大部分をさらに精製することなく次の反応に使用した(100%)。一部をカラムクロマトグラフィーによって精製して(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH:Et3N、6:30:0.1)、NMRおよび質量スペクトルを決定した。
【0037】
実施例10
{6-[1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-エチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(II-2)の合成
[6-(4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルII-1 (0.01mol)、(2-ブロモ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチル(0.012mol)、K2CO3無水物(0.02mol)の50mLのDMF無水物溶液の混合物を室温にて一晩撹拌した。固体を濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた。残渣をEtOAcと水との間で分けた。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4無水物を通して乾燥し、真空中で蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH、9:1)。(57%)。
【0038】
実施例11
{6-[1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-エチル)-4-オキソ-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(II-3)の合成手順は、[6-(1-ベンジル-4-オキソ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-4)のものと類似している。
【0039】
実施例12
{6-[4-置換されたアミノ-1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-エチル)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル(II-4)の合成手順は、[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-5)のものと類似している。
【0040】
実施例13
6-[4-置換されたアミノ-1-(2-アミノ-エチル)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミンハイドロクロライド塩(II-5)の合成手順は、6-[1-ベンジル-4-(置換されたアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミンハイドロクロライド塩(I-6)のものと類似している。
【0041】
実施例14
1-(2-アミノ-エチル)-4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-ピロリジン-3-オールハイドロクロライド塩(II-6)の合成手順は、4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-1-ベンジル-ピロリジン-3-オールハイドロクロライド塩(I-7)のものと類似している。
【0042】
実施例15
(2-ブロモ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(II-7)の合成
2-ブロモエチルアミンハイドロブロミド(0.0049mol)のMeOH(30mL)溶液に、トリエチルアミン(7mL)およびジ-tert-ブチルジカルボナート(0.0098mol)を添加した。反応混合物を60℃において1時間、次いで室温で14時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、次いでCH2Cl2に溶解して、1M HCl、ブライン、飽和NaHCO3水溶液およびブラインで連続的に洗浄し、MgSO4無水物を通して乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100% CH2Cl2)によって精製し、無色の油状物として純粋な生成物を得た(84%)。
【0043】
実施例16
図2のものを含む種々のその他の化合物は、スキームIIの合成経路に従って調製した。全ての化学構造は、1H NMR、l3C NMR、および質量スペクトルによって確認した。全ての生成物は、ラセミ混合物である。
【0044】
実施例17
スキームIIおよび化合物II-5に従って、図2の化合物P-7およびP-9は、スキームIIaに提供したとおりに調製した。
【0045】
スキームIIa

【0046】
実施例18〜29は、スキームIIIおよびIIIaと組み合わせて考慮することができる。
【0047】
スキームIII

【0048】
スキームIIIa
本合成スキーム(式中、ZがNHであり、スキームIIIaのRがR2である)に記載した還元アミノ化反応に使用するための種々のアミン、RNH2は、示したとおりに調製した。開始アミノアルコールおよび/または試薬を選択すると共に、化合物III-8〜III-13のそれぞれのベンジル基を、代わりに、パラ位、メタ位、またはオルト位のいずれかにおいて、ハロゲン、アルキル、またはハロゲン化されたアルキルを含む(しかし、これらに限定されるわけではない)置換基で置換することができる。同様に、オキソピロリジニル中間体のこのようなアミンおよび還元アミノ化を経て、図3の化合物の任意のベンジル基を置換することができる。

【0049】
実施例18
6-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸tert-ブチルエステル(III-1)の合成
ジ-tert-ブチルジカルボナート(0.015mol)を0℃の3-ピロリン(0.01mol、65 %純粋)の20 mL MeOH溶液に一部づつ添加した。次いで、反応混合物を室温で24時間撹拌した(TLCにより、9:1ヘキサン/EtOAcを使用してモニターした)。溶媒の蒸発後、残渣を30mL CH2Cl2に溶解した。反応混合物を0℃に冷却し、m-CPBA(0.013mol、最大77%純粋)を一部に添加した。室温で48時間混合物を撹拌した後に、20% Na2SO3を添加し、2つの層に分けた。水層をCH2Cl2(20mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出液を20% Na2SO3(30mL×2)および水(30mL×2)で洗浄した。次いで、溶媒を真空中で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、7:3)、純粋な生成物を得た(71%)。
【0050】
実施例19
3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピリジン-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(III-2)の合成手順は、[6-(1-ベンジル-4-ヒドロキシ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-3)のものと類似している。
【0051】
実施例20
3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピリジン-2-イルメチル)-4-オキソ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(III-3)の合成
デス・マーチン・ペルヨージナン(0.0014mol)の10mL CH2Cl2懸濁液に、3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピリジン-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステルIII-2 (0.001mol)の5mL CH2Cl2溶液を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1M Na2S2O3(10mL)を反応に添加し、10分間攪拌後、反応混合物をCH2Cl2(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層を5%のNaHCO3水溶液(20mL×3)およびブライン(20mL×2)で洗浄した。有機層をNa2SO4無水物を通して乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、8:2)、純粋な生成物を得た(96%)。
【0052】
実施例21
3-置換されたアミノ-4-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピリジン-2-イルメチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(III-4)の合成手順は、[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-5)のものと類似している。
【0053】
実施例22
6-(4-置換されたアミノ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イルアミン(III-5)の合成手順は、6-[1-ベンジル-4-(置換されたアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミン(I-6)のものと類似している。
【0054】
実施例23
4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-ピロリジン-3-オールハイドロクロライド塩の合成手順は、4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-1-ベンジル-ピロリジン-3-オールハイドロクロライド塩(I-7)のものと類似している。
【0055】
実施例24
(2-アミノ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(III-7)の合成
ジ-tert-ブチルジカルボナート(0.01mol)のジクロロメタン(120mL)溶液を、勢いよく攪拌しながら5時間にわたってエチレンジアミン(0.06mol)の30mLジクロロメタン溶液に滴下した。室温においてさらに24時間攪拌を続けた。油状残渣に濃縮後、反応混合物を2M 炭酸ナトリウム水溶液(60mL)に溶解し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出した。有機層を2M 炭酸ナトリウム(40mL×2)で洗浄し、MgSO4無水物を通して乾燥した。溶媒を減圧下で蒸発させて、純粋な生成物を得た(100%)。
【0056】
実施例25
ベンジル-(2-ヒドロキシ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(III-8)の合成
ジ-tert-ブチルジカルボナート(0.01mol)のCH2Cl2(15mL)溶液を2-ベンジルアミノ-エタノール(0.01mol)の15mL CH2Cl2および12mL 1M NaOH溶液に滴下した。室温で24時間撹拌した後、有機層を分離し、水(25mL×2)で洗浄して、Na2SO4無水物を通して乾燥し、減圧下で溶媒を除去することにより、油としての粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、7:3)(100%)。
【0057】
実施例26
(2-アミノ-エチル)-ベンジル-カルバミン酸tert-ブチルエステル(III-9)の合成
トリフェニルホスフィン(0.0125mol)の乾燥THF(10mL)溶液をベンジル-(2-ヒドロキシ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルIII-8のTHF(30mL)溶液に、0℃において窒素下でカニューレを経て添加した。次いで、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIPAD)(0.013mol)を滴下し、DIPADの添加後に、溶液を0℃において20分間撹拌した。ジフェニルホスホンアジド(diphenyl phosphonic azide; DPPA)(0.0125mol)を0℃において添加し、溶液を室温にて5時間撹拌した(TLCにより、III-8の量をモニターする)。次いで、溶液を真空中で濃縮し、粗製残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製してアジド中間体(azide intermediate)を得た(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、9.5 :0.5)。
【0058】
上記のアジド中間体のTHF(5mL)溶液に、0℃においてPh3P(0.012mol)および水(0.03mol)を添加した。混合物を0℃で2時間および室温で21時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を10%のクエン酸(30mL)およびEtOAc(15mL)で処置した。分離した水層をEtOAc(10mL×2)で洗浄した。次いで、水層を2M NaOHで塩基性化(basify)して、アルカリ性溶液をCH2Cl2(30mL×3)で抽出した。抽出物をMgSO4無水物を通して乾燥し、次いで溶媒を減圧下で除去して純粋な生成物を得た。
【0059】
実施例27
(2R)-2-N-Boc-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(III-10)および(2S)-2-N-Boc-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(III-12)の合成手順は、ベンジル-(2-ヒドロキシ-エチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(III-8)のものと類似している。
【0060】
実施例28
(2R)-2-N-Boc-3-フェニル-プロパン-1,2-ジアミン(III-11)、または(2S)-2-N-Boc-3-フェニル-プロパン-1,2-ジアミン(III-13)の合成
トリフェニルホスフィン(0.0125mol)の乾燥THF(10mL)溶液をカニューレを経て窒素下で0℃において2-N-Boc-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール(III-10またはIII-12)のTHF(30ml)溶液に添加した。次いで、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIPAD)(0.013mol)を滴下し、DIPADの添加後、溶液を0℃において20分間撹拌した。ジフェニルホスホンアジド(DPPA)(0.0125mol)を0℃において添加し、溶液を室温で5時間撹拌した(TLCにより、III-10、またはIII-12の量をモニターする)。次いで、溶液を真空中で濃縮し、粗製残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、アジド中間体を得た(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、9.5:0.5)。
【0061】
上記のアジド中間体を触媒量の10% Pd/C(0.5g)を含む10ml MeOHに溶解した。溶液をH2雰囲気下で室温において24時間撹拌した。次いで、溶液をセライトを通して濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を10% クエン酸(30mL)およびEtOAc(15mL)で処置した。分離した水層をEtOAc(10mL×2)で洗浄した。次いで、水層を2M NaOHで塩基性化し、アルカリ性溶液をCH2Cl2(30mL×3)で抽出した。抽出物をMgSO4無水物を通して乾燥し、次いで溶媒を減圧下で除去し、純粋な生成物を得た。
【0062】
実施例29
図3のものを含む種々のその他の化合物は、スキームIIIおよびIIIaの合成経路に従って調製した。(ZがNHまたはOであるかにかかわらず、下部構造IIIに対応するその他のR2部分は、図4に提供されている)。全ての化学構造は、1H NMR、l3C NMR、および質量スペクトルによって確認した。全ての生成物は、P-23〜P-26およびP-36〜P-43を除いてラセミ混合物である。
【0063】
実施例30
スキームIIIおよび化合物III-5に従って、図3の化合物P-13およびP-38は、下記のスキームIIIbに示したとおりに調製した。
【0064】
スキームIIIb

【0065】
実施例31〜38は、下記のスキームIVと組み合わせて考慮することができる。
【0066】
スキームIV

【0067】
実施例31
シクロペント-3-エニル-カルバミン酸tert-ブチルエステル(IV-1)の合成
氷水浴槽中で冷却した3首の丸底フラスコに、Ph3P(0.015mol)のTHF無水物(10mL)溶液、3-シクロペンテン-1-オール(II)(0.012mol)のTHF無水物(10mL)溶液、およびN-Bocエチルオキサマート(0.015mol)のTHF無水物(10mL)溶液を添加した。次いで、DEAD(0.015mol)を上記の混合物に滴下した。反応混合物を0℃において2時間撹拌し、次いで、室温で48時間反応させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をCH2Cl2(30mL)に溶解して、水およびブライン(20mL×3)で洗浄した。溶媒を真空中で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100%ジクロロメタン)によって精製し、生成物の混合物、(tert-ブトキシカルボニル-シクロペント-3-エニル-アミノ)-オキソ-酢酸エチルエステル、およびN-Boc エチルオキサマートを得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0068】
上記の粗生成物、(tert-ブトキシカルボニル-シクロペント-3-エニル-アミノ)-オキソ-酢酸エチルエステル(3.80g)のTHF(35mL)溶液の氷水浴槽中で冷却した撹拌溶液に、LiOH(0.0765mol)の水溶液(35mL)を添加した。混合物を氷水浴中で3時間撹拌した。有機材料をCH2Cl2(30mL×3)で抽出し、有機層を合わせて、ブライン(30mL×2)で洗浄し、溶媒を真空中で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100%ジクロロメタン)によって精製し、純粋な生成物の白い結晶を得た(53%)。
【0069】
実施例32
シス-(6-オキサ-ビシクロ[3.1.0]hex-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(IV-2)の合成
固体のNaHCO3(0.0167mol)およびm-CPBA(0.0128mol)をシクロペント-3-エニル-カルバミン酸tert-ブチルエステルIV-1(0.0093mol)のCH2Cl2(60mL)の撹拌溶液に対し、一部づつ添加した。混合物を0℃において反応の最初の2時間撹拌し、次いで室温で約48時間撹拌させた。20%のNa2SO3(30mL)水溶液を添加し、2つの層を分離した。水層をCH2Cl2(20mL×3)で抽出し、合わせた有機層を20% Na2SO3(30mL×1)、5% NaHCO3(30mL×1)、および水(30mL×1)で洗浄した。合わせた有機層を真空中で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、100%ジクロロメタン)によって精製し、無色の油状物(64%)として純粋な生成物を得た。
【0070】
実施例33
[6-(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(IV-3)の合成
(6-メチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-1(0.0028mol)のTHF (10mL)溶液をN2下で-78℃に冷却した。冷却した溶液に、n-BuLi(1.6Mのヘキサン溶液、0.0097mol)を50分にわたって滴下した。溶液は、無色からオレンジに、次いで赤に変化した。-78℃において30分間撹拌後、溶液を室温で30分間撹拌し、この時点で暗赤色になった。反応混合物を-78℃に冷却し、シス-(6-オキサ-ビシクロ[3.1.0]hex-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルIV-2(0.0032mol)を2時間にわたって添加した。添加の完了後、混合物を-78℃において2時間撹拌し、次いで室温で2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水を添加することでクエンチし、CH2Cl2(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL×1)で洗浄し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、1:1)の後、白い黄色固体として純粋な生成物を得た(50%)。
【0071】
実施例34
[6-(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-オキソ-シクロペンチルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(IV-4)の合成]
過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.07mmol、5mol%)を[6-(4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルIV-3 (0.14mmol)およびN-メチルモルホリン-N-オキシド(0.26mmol)のジクロロメタン(9mL)およびアセトニトリル(1mL)の撹拌溶液に室温で添加し、一晩反応させた。完了時に、溶媒を真空中で蒸発させて、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、CH2Cl2:EtOAc、8:2)、白色固体として純粋な生成物を得た(67%)。
【0072】
実施例35
[6-(2-置換されたアミノ-4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-シクロペンチルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(IV-5)の合成手順は、[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-5)のものと類似している。
【0073】
実施例36
4-(6-アミノ-ピリジン-2-イルメチル)-N3-置換された-シクロペンタン-1,3-ジアミン(IV-6)の合成手順は、6-[1-ベンジル-4-(置換されたアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミンハイドロクロライド塩(I-6)のものと類似している。
【0074】
実施例37
図5のものを含む種々のその他の化合物は、スキームIVの合成経路に従って調製した。全ての化学構造は、1H NMR、l3C NMR、および質量スペクトルによって確認した。全ての生成物は、ラセミ混合物である。
【0075】
実施例38
スキームIVおよび化合物IV-6に従って、図5の化合物P-44およびP-45は、下記のスキームIVaに提供したとおりに調製した。
【0076】
スキームIVa

【0077】
実施例39〜44は、下記のスキームVと組み合わせて考慮することができる。
【0078】
スキームV

【0079】
実施例39
(4,6-ジメチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(V-1)のための合成手順は、(6-メチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-1)のためのものと類似している。
【0080】
実施例40
3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチル-ピリジン-2-イルメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(V-2a)および3-(2-ter-ブトキシカルボニルアミノ-6-メチル-ピリジン-4-イルメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(V-2b)の合成
(6-メチル-ピリジン-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステルI-1(0.005mol)の20mL THF溶液を-78℃浴槽(ドライアイスのアセトン溶液)中で冷却した。n-BuLi(1.6Mヘキサン溶液、0.0125mol)をN2下で15分間にわたって添加した。溶液の色は、無色からオレンジに変化した。次いで、冷却浴を除いた。室温において30分攪拌後、着色溶液が暗赤色に変化した。次いで、溶液を-78℃浴に戻した。6-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボン酸tert-ブチルエステルIII-1(0.00625mol)の10mL THF溶液を1時間にわたって添加した。2時間後、冷却浴を除いた。溶液を室温で2時間以上撹拌した。反応を氷冷水(50ml)を添加することによってクエンチした。混合物をCH2Cl2(30ml×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4無水物を通して乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル、ヘキサン:MeOH、9:1)(58%)。2つの幾何異性体V-2aおよびV-2bをこの溶離系によって得ることができる。V-2aおよびV-2bのモル比は、2:1である。
【0081】
実施例41
3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチル-ピリジン-2-イルメチル)-4-オキソ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(V-3)の合成手順は、3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピリジン-2-イルメチル)-4-オキソ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(III-3)のものと類似している。
【0082】
実施例42
3-置換されたアミノ-4-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチル-ピリジン-2-イルメチル)-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(V-4)の合成手順は、[6-(4-置換されたアミノ-1-ベンジル-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステル(I-5)のものと類似している。
【0083】
実施例43
4-メチル-6-(4-置換されたアミノ-ピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イルアミン(V-5)の合成手順は、6-[1-ベンジル-4-(置換されたアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-ピリジン-2-イルアミン(I-6)のものと類似している。
【0084】
実施例44
図6のものを含む種々のその他の化合物は、スキームVの合成経路に従って調製した。全ての化学構造は、1H NMR、l3C NMR、および質量スペクトルによって確認した。全ての生成物は、ラセミ混合物である。
【0085】
実施例45およびこれに従った化合物は、下記のスキームVI〜VIIと組み合わせて考慮することができる。
【0086】
スキームVI

【0087】
スキームVII

【0088】
実施例45
(4-メチル-チアゾール-2-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(VII-1)の合成
40mLのCH2Cl2を含む丸底フラスコに、I(695mg、6.09mmol)、4-DMAP(52.3mg、0.43mmol)、およびBoc2O(1.374g、6.29mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。真空中での溶液の濃縮に続いてカラムクロマトグラフィーによる精製を行い(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc、10:1)、白い結晶として生成物を得た(54%)。
【0089】
実施例46
スキームVIに従って、種々のn-置換されたピロリルチアゾリン化合物を下記のスキームIVaに提供したとおりに調製した。
【0090】
スキームVIa

【0091】
実施例47および48は、スキームI〜VIIに示したように、本発明の種々の化合物の調製に有用なその他の合成手順を提供する。
【0092】
実施例47
ピロリジン還元を図示する、[6-(4-ヒドロキシピロリジン-3-イルメチル)-ピリジン-2-イル]-カルバミン酸tert-ブチルエステルの合成

【0093】
5(0.002mol)および10% Pd-C(0.7g)のMeOH(30mL)懸濁液を水素(1atm)下で45℃において7時間撹拌した。次いで、触媒を濾過によって除去し、MeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、9を得た(100%収率)。大部分の生成物をさらに精製することなく次の反応に使用した。一部を構造解析のためにフラッシュクロマトグラフィーによって精製した(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH:Et3N、6:3:0.25)。
【0094】
実施例48
ピロリジン酸化を図示する、3-(6-tert-ブトキシカルボニルアミノピリジン-2-イルメチル)-4-オキソ-ピロリジン-l-カルボン酸tert-ブチルエステルの合成

デス・マーチン・ペルヨージナン(0.0014mol)の10mL CH2Cl2懸濁液に、13(0.001mol)の5mL CH2Cl2溶液を添加し、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1M Na2S2O3(10mL)を反応に添加して、10分間攪拌後、反応混合物をCH2Cl2(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を5%のNaHCO3水溶液(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4を通して乾燥し、蒸発させた。混合物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、CH2Cl2:EtOAc、9.5:0.5)、96%の収率で14を得た。
【0095】
実施例49
前述に従い、種々のその他の化合物は、当業者によって理解されるとおり、相当する合成技術またはこれらの直接修飾を使用して類似の様式で調製することができる。例えば、チアジン(X =S、m=n=1)、オキサジン(X=O、m=n=1)、ピラジン(X=N、m=n=1)、オキサゾール(X=O、m=1、およびn=0、またはm=0、およびn=1)、またはイミダゾール(X=N、m=1、およびn=0、またはm=0およびn=1)部分を含む下部構造Iを有する化合物は、スキームI〜VIIに記載した、その種の合成手順を使用して適切な出発原料から調製することができる。同様に、シクロヘキサン(Y=CH、p=1、q=2またはp=2、q=1)、またはピペリジン(Y=N、p=1、q=2またはp=2、q=1)部分を含む下部構造IIを有する化合物は、適切な出発原料を使用して得ることができる。また理解されるとおり、下部構造III(Z=OまたはNH)の任意のR2部分を導入することができる(使用される還元アミノ化条件下での対応するアミン利用能およびその反応性(Z=NH)またはエポキシド開口後もしくはケトンへの酸化後の対応するアルコールの直接のアルキル化によるエーテル形成(Z=O)、続く還元およびシスとトランス・アルコールとの分離によってのみ制限される)。
【0096】
実施例50
下部構造IIIのバリエーションに関して、R3が直鎖状または環状のアミノアルキル部分であってもよい本発明に従った化合物を考える。特に、本実施例の化合物に関して、このような部分は、ベンジル基(X=H)、またはこれらの置換されたフェニルバリエーション(例えば、Xは、パラ位、メタ位、またはオルト位のいずれかにおけるハロゲン、アルキル、またはハロゲン化アルキルであることができるが、これらに限定されるわけではない)を含むことができる。このような化合物は、対応するオキソピロリジニル中間体の還元アミノ化のための適切なアミン試薬(例えば、スキームIIIaにおけるアミンIII-9の置換されたフェニルバリエーション)を使用して調製され、次に、本明細書において他に示したとおり、ピロリンエポキシドでリチウム化された2-アミノ-4,6-ジメチルピリジンの環開反応を経て入手できる。

N-[4-(6-アミノ-4-メチル-ピリジン-2-イルメチル)-ピロリジン-3-イル]-N’-(2-,3-または4-Xベンジル)-エタン-1,2-ジアミン

6-[4-(5-(2-,3-または4-Xベンジル-ピロリジン-3-イルアミノ)-ピロリジン-3-イルメチル]-4-メチル-ピリジン-2-イルアミン。
【0097】
実施例51
酵素阻害性アッセイ法。使用したNOSアイソフォームの全ては、種々の供与源に由来する大腸菌において過剰発現した組換え酵素であった。マウス・マクロファージiNOSは、以下の手順に従って発現させ、精製した:(Hevel, J. M.; White, K. A.; Marletta, M. A. Purification of the Inducible Murine Macrophage Nitric Oxide Synthase. J. Biol. Chem. 1991, 266, 22789-22791.)。
【0098】
iNOS発現:50μg/mLアンピシリンおよび34μg/mLのクロラムフェニコールを含むTerrificブロス培地(12g/Lトリプトン、24g/L酵母抽出物、4mL/Lグリセロール、17mM KH2PO4、および72mM K2HPO4)を37℃におけるより大きな培養物への播種に(1:100)pCWiNOSの一晩培養を使用した。〜0.5のOD600にて、培養物を25℃に冷却し、1mM IPTG(終濃度)の添加によって誘導した。約24時間25℃で増殖後、細胞を5300×gにてペレットにし、50mLのコニカルチューブへ移して、-80℃で貯蔵した。
【0099】
iNOS精製:1.0Lの培養物からの細胞ペレットを超音波処理緩衝液中(50mM Hepes、pH 7.4、10% グリセロール、10μg/mL ベンズアミジン、5μg/mLロイペプチン、0.2mMのPMSF、並びに各々1μg/mLのペプスタチン、キモスタチン、およびアンチパイン)に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。13000×gで20分間の遠心分離により、iNOS活性酵素を含んだ上清を得た。iNOS上清を1gの2’,5’-ADP-セファロース4B樹脂カラムに充填した。次いで、カラムを20mlのiNOS精製緩衝液(10 mM K2HPO4、10%グリセロール、0.5mM L-アルギニン、pH7.4)および10μM BH4で洗浄した。誘導性NOSは、10mM 2’(3')-AMP、10μM BH4、および0.3M NaClを補った30mlのiNOS精製緩衝液で溶出した。溶出液を限外濾過によって5mlに濃縮した。上記濃縮操作を、10μM BH4を補った10ml Hepes緩衝液でさらに3回繰り返して、精製された誘導性NOSを得た。
【0100】
ラットnNOSは、Roman et al.(Roman, L. J.; Sheta, E. A.; Martasek, P.; Gross, S.S.; Liu, Q.; Masters, B. S. S. High-Level Expression of Functional Rat Neuronal Nitric Oxide Synthase in Escherichia coli. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1995 92, 8428-8432.)の手順に従って精製した。
【0101】
nNOS発現:50μg/mLアンピシリンおよび34μg/mLのクロラムフェニコールを含むTerrificブロス培地(10g/L トリプトン、20g/L酵母抽出物、4ml/Lグリセロール、19.5mM KH2PO4、および30.5mM Na2HPO4)を37℃においてより大きな培養物への播種に(1:100)pCWnNOSの一晩培養を使用した。〜1.0のOD600にて、培養物を25℃に冷却し、0.5mM IPTG、450μM d-アミノレブリン酸、1mM ATP、3μM リボフラビンの添加によって誘導した。暗闇での25℃における誘導インキュベーションの約48時間後、細胞を5300×gにてペレットにし、50mLのコニカルチューブへ移して、-80℃で貯蔵した。
【0102】
nNOSは、Gerber et al.(Gerber、N. C.;Montellano, P. R. Neuronal Nitric Oxide Synthase:Expression in Escherichia coli, Irreversible Inhibition by Phenyldiazene, and Active Site Topology. J. Biol. Chem. 1995, 270, 17791-17796)の手順に従って精製した。
【0103】
nNOS精製:2.0Lの培養からの細胞ペレットを超音波処理緩衝液A(50mM Tris Base緩衝液、pH8.0、10%グリセロール)、2mg/mlリゾチーム、0.5mM L-アルギニン、lmM EDTA、0.1mM PMSF、1□g/mlアンチパイン、並びに各々1μMのロイペプチン、ペプスタチン、およびペプスタチン)に再懸濁し、超音波処理によって溶解した。100000×gで1時間の遠心分離により、nNOS活性酵素を含む上清を得た。上清を2mM CaCl2にし、タンパク質を2mM CaCl2を含む緩衝液Aで平衡化した15mlカルモジュリン-セファロース・カラムに充填した。カラムを2mM CaCl2、0.5mM L-アルギニン、および10μM BH4を含む100mlの緩衝液Bで洗浄し(50mM Hepes、5mM DTT、および10% DTT)、0.3M NaCl、5mM EGTA、0.5mM L-アルギニン、および10μM BH4を補った30mlの緩衝液Bで溶出した。次いでタンパク質を、0.3M NaCl、0.5mM L-アルギニン、および10μM BH4を補った緩衝液Bで平衡化した5mlの 2’,5’-ADP-セファロース・カラムに充填した。カラムを0.5mM L-アルギニンおよび10μM BH4を含む25mlの緩衝液B、次いで10μM BH4(L-アルギニンなしで)を補っただけの25mlの緩衝液Bで洗浄した。ニューロン性NOSは、10mM 2’(3')-AMP、10μM BH4、および0.3M NaClを補った20mlの緩衝液Bで溶出した。次いで、20mlの溶離液を限外濾過によって5mlに濃縮した。上記の濃縮操作を10□MのBH4を補った10mlの緩衝液Bでさらに2回繰り返し、精製されたニューロン性NOSを得た。
【0104】
ウシeNOSは、Martasek et al.(Martasek、P.;Liu, Q.;Roman, L. J.;Gross , S. S.;Sessa, W. C.;Masters, B. S. S. Characterization of Bovine Endothelial Nitric Oxide Synthase Expressed in Escherichia coli. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1996, 219, 359-365)によって発現させ、単離した。手順は下記のとおり。
【0105】
ウシeNOSの発現:アンピシリン(50mg/ml)およびクロラムフェニコール(35mg/ml)を含む0.5リットル(2.8リットルのファーンバック・フラスコ中)の修正TB(1リットルにつき20gの酵母抽出物、10gのバクト-トリプトン、2.65gのKH2PO4、4.33gのNa2HPO4、および4mlのグリセロール)の播種にBov-eNOSpCWの一晩培養を使用した。培養をz0.8のOD600まで22℃において(200rpm)増殖させ、0.5mM IPTGで誘導した。IPTG誘導の1時間前に、d-アミノレブリン酸(0.5mM最終)を添加し、IPTG誘導時にリボフラビン(3mM最終的な)およびATP(1mM最終)も添加した。誘導後、フラスコを22℃(200rpm)にて暗がりで保持した。細胞を誘導の48時間後に収集し、精製が実施されるまで、細胞ペレットを-80℃で凍結した。
【0106】
ウシeNOSの精製。精製は、典型的には2リットルの大腸菌培養からのeNOSで実施した。eNOSタンパク質は、nNOS(14)についての発行されたプロトコルを修正したものを利用して精製した。細胞を緩衝液C[50mM Tris-Cl、pH 7.8、1mM EDTA、1mM DTT、10% グリセロール(v/v)、150mM NaCl、0.1mMフッ化フェニルメチルスルホニル、1mMロイペプチン、および1mMペプスタチン]に再懸濁し、パルス超音波処理によって溶解し、次いで遠心して細胞片を沈降させた。上清を、緩衝液D[50mM Tris-Cl、pH7.8、0.1mM EDTA、0.1mM ジチオスレイトール、150mM NaCl、10% グリセロール(v/v)]中で平衡化した2’,5’-ADPセファロース4Bカラムに適用した。カラムを20カラム量の緩衝液Bで、および再び20カラム量の600mM NaClを含む緩衝液Bで洗浄した。最後に、タンパク質を600mM NaClおよび5mM 2’-AMPを含む緩衝液Bで溶出した。画分をソレー領域(A400)の吸収に関してスクリーニングし、血液タンパク質含有画分をプールし、濃縮した(Centriprep 50, Amicon)。繰り返し希釈/濃縮[50mM Tris-Cl、pH7.8、0.1mM EDTA、0.1mMジチオスレイトール、10% グリセロール(vol/vol)]を使用して、150mM NaClの終濃度および相応して減少された2’-AMP含量を達成する。IPTG誘導の24時間後に収集した場合、IPTG処置の48時間後のものと比較して、47%の収率だけが得られた。サイトゾル抽出物は、CO-差スペクトルによって決定すると1リットルにつき6〜10mgのeNOSを含み、2’,5’-ADPセファロース4Bカラム・プールでは、3.6〜6.0mgを得た(>>60%の回収)。精製したeNOSは、1mM L-アルギニンの存在下で貯蔵する。
【0107】
eNOS洗浄:eNOSは、有意な量のL-アルギニンを含み、これは、酵素アッセイを妨害する。L-アルギニンは、Amico濃縮器を使用して、いくつかの希釈および濃縮段階によって除去することができる。希釈緩衝液は、0.1mM EDTA、400mM NaCl、10% グリセロール、および1mM β-メルカプトエタノールを含む10ml Tris-HCl 50mMである。上記の希釈および濃縮操作を3回繰り返し、精製されたeNOSを得た。
【0108】
NOSからの一酸化窒素形成は、以前に記載されたとおりに(Hevel, J. M.; Marletta, M. A. Nitric Oxide Synthase Assays. Methods Enzymol. 1994, 133, 250-258)、ヘモグロビン捕獲アッセイ法によってモニターした。
【0109】
iNOSのための手順:使い捨てキュベット(1.5ml)に、10μLの0.6mM L-アルギニン(終濃度は、10μMである)、6μLの阻害剤、10μLの6.24mM NADPH、6μLの12.5g/L ヘモグロビン-A0(二価鉄形態)、6μlの1mM BH4、556μLの100mM Hepes緩衝液、6μLのiNOSを添加し、401nmにおける吸光度の時間依存的増大を30℃でモニターした。
【0110】
nNOSおよびeNOSのための手順:使い捨てキュベット(1.5ml)に、10μLの0.6mM L-アルギニン(終濃度は、10μMである)、6μLの阻害剤、10μLの50mM CaCl2、10μLの40,000ユニット/mL カルモジュリン、10μLの6.24mM NADPH、6μLの12.5g/L ヘモグロビン-A0(二価鉄形態)、6μlの1mM BH4、536μLの100mM Hepes緩衝液、6μLのnNOSまたはeNOSを添加し、401nmにおける吸光度の時間依存的増大を30℃でモニターした。IC50値は、少なくとも5つの濃度の阻害剤で、10μM L-アルギニンの存在下における阻害の割合を測定することによって得た。明らかなKi値は、以下の阻害方程式に従って算出した:%阻害=100[I]/{[I]+Ki(1+[S]/km)}(Segel, I. H. Enzyme Kinetics; John Wiley and Sons: New York, 1975; p 105)。L-アルギニンについてのKm値のパラメーターは、1.3μM(nNOS)、8.3μM(iNOS)、および1.7μM(eNOS)であった。阻害剤の選択性は、それぞれのKi値の比率として定義される。表1のデータは、本発明の化合物がNOS活性を阻害し、その他の酵素アイソフォーム以上に選択的にnNOSを阻害することを示す。
【0111】
(表1)NOS酵素アッセイ結果

a:ラットnNOS;b:マウスiNOS;c:ウシe NOS;*は、列挙された濃度まで阻害が観察されなかったことを示す;** n/iがKi(iNOS)/Ki(nNOS)であり、かつn/eがKi(eNOS)/Ki(nNOS)である場合。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に従った化合物のシスおよびトランス異性体を提供する。
【図2】本発明に従った化合物のシスおよびトランス異性体を提供する。
【図3】本発明に従った化合物のシスおよびトランス異性体を提供する。
【図4】本発明に従った化合物の下部構造IIIに対応する種々のR2部分を提供するが、限定されるわけではない。
【図5】本発明に従った化合物のいくつかのシスおよびトランス異性体を提供する。
【図6】本発明に従った化合物のいくつかのシスおよびトランス異性体を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式のニューロン性一酸化窒素シンターゼ阻害化合物およびその塩;

式中、Xは、CH、N、O、およびSから選択され;mおよびnは、独立して0および1から選択される整数であり、かつmおよびnの少なくとも1つは1であり;Yは、CHおよびNから選択され;pおよびqは、独立して1および2から選択される整数であり、pおよびqの少なくとも1つは1であり、かつpおよびqは、同時に2ではなく;Zは、NHおよびOから選択され;R1は、H、アルキル、アミノ、ヒドロキシル、および置換されたアルキル部分から選択され;R2は、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシアルキル、置換されたヒドロキシアルキル、アミノアルキル、および置換されたアミノアルキル部分から選択される。
【請求項2】
XがCHであり、mおよびnが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
YがNであり、pおよびqが1である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
ZがNHまたはOであり、R2がアミノアルキル部分を含む、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R2部分が一級、二級、三級、直鎖状、および環状アミノ基の少なくとも1つを含む、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R1がHおよびアミノアルキル部分から選択される、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
XがSであり、mおよびnのうちの1つが0である、請求項2記載の化合物。
【請求項8】
YがNであり、pおよびqが1である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
ZがNHまたはOであり、R1がHおよびアミノアルキル部分から選択され、R2がアミノアルキル部分を含む、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
YがCHであり、pおよびqが1である、請求項2記載の化合物。
【請求項11】
ZがNHまたはOであり、R1がHおよびアミノアルキル部分から選択され、R2が、アミノアルキル部分を含む、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
以下の式のニューロン性一酸化窒素シンターゼ阻害化合物およびその塩:

式中、R1は、H、アルキル、置換されたアルキル、アミノアルキル、置換されたアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、および置換されたヒドロキシアルキル部分から選択され;R2は、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシアルキル、置換されたヒドロキシアルキル、アミノアルキル、および置換されたアミノアルキル部分から選択される。
【請求項13】
R1がHおよびアミノアルキル部分から選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R2がアミノアルキル部分を含む、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
R2部分が一級、二級、三級、直鎖状、および環状アミノ基の少なくとも1つを含む、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R1がHおよびアミノアルキル部分から選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
以下の式の化合物およびその塩の有効な量とニューロン性一酸化窒素シンターゼとを接触させる工程を含む、ニューロン性一酸化窒素シンターゼを阻害する方法:

式中、Xは、CH、N、O、およびSから選択され;mおよびnは、独立して0および1から選択される整数であり、かつmおよびnの少なくとも1つは1であり;Yは、CHおよびNから選択され;pおよびqは、独立して1および2から選択される整数であり、pおよびqの少なくとも1つは1であり、かつpおよびqは、同時に2ではなく;Zは、NHおよびOから選択され;R1は、H、アルキル、置換されたアルキル、アミノ、アミノアルキル、置換されたアミノアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、および置換されたヒドロキシアルキル部分から選択され;R2は、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシアルキル、置換されたヒドロキシアルキル、アミノアルキル、および置換されたアミノアルキル部分から選択される。
【請求項18】
XがCHであり、mおよびnが1である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
YがNであり、pおよびqが1である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ZがNHまたはOであり、R2が一級、二級、三級、直鎖状、および環状アミノアルキル部分から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
以下の式の化合物およびその塩と一酸化窒素シンターゼとを接触させる工程を含む、ニューロン性一酸化窒素シンターゼの選択的阻害法であって、該接触により、誘導性および内皮シンターゼアイソフォーム以上に選択的にニューロン性一酸化窒素シンターゼを阻害する方法:

式中、R1は、H、アルキル、置換されたアルキル、アミノアルキル、置換されたアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、および置換されたヒドロキシアルキル部分から選択され;R2は、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシアルキル、置換されたヒドロキシアルキル、アミノアルキル、および置換されたアミノアルキル部分から選択される。
【請求項22】
R1が、Hおよびアミノアルキル部分から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
R2部分が一級、二級、三級、直鎖状、および環状アミノ基の少なくとも1つを含む、請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【公表番号】特表2007−505122(P2007−505122A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526228(P2006−526228)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029080
【国際公開番号】WO2005/026111
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】