ネットワークカメラ
【課題】雲台の方向を変える際に生ずる振動、衝撃により、光学部品の位置ずれを防ぐと共に消費電力を低減する。
【解決手段】パン駆動スイッチがオン(S101)のときはパン駆動モータを駆動し(S102)、又はチルト駆動スイッチがオン(S104)のときはチルト駆動モータを駆動し(S105)、フィルタ枠駆動モータへの通電をオンにする。
また、パン駆動スイッチがオフ(S106)のときはパン駆動モータを停止し(S107)、又はチルト駆動スイッチがオフ(S110)のときはチルト駆動モータを停止し(S110)、フィルタ枠駆動モータへの通電をオフにする。
【解決手段】パン駆動スイッチがオン(S101)のときはパン駆動モータを駆動し(S102)、又はチルト駆動スイッチがオン(S104)のときはチルト駆動モータを駆動し(S105)、フィルタ枠駆動モータへの通電をオンにする。
また、パン駆動スイッチがオフ(S106)のときはパン駆動モータを停止し(S107)、又はチルト駆動スイッチがオフ(S110)のときはチルト駆動モータを停止し(S110)、フィルタ枠駆動モータへの通電をオフにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の低消費電力化を図るネットワークカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、離れた位置の映像を見られるネットワークカメラが普及してきており、主な用途として監視目的やテレビ会議用カメラとして使用されている。ネットワークカメラは離れた場所の映像を見られるのみでなく、ズーム、フォーカスに加えて、カメラが雲台に載置されており、カメラの向きも離れた場所から遠隔操作できるものが多い。
【0003】
また、ネットワークケーブルからカメラ電源を供給し、設置場所に新たな電源を設ける必要のないカメラが普及している。このような背景により、近年ではネットワークカメラ装置は装置の省電力化が重要課題となっている。
【0004】
また、特許文献1には、カラーとモノクロを切換えるために、対物レンズと撮像素子に至る光路上に、光学フィルタ切換手段を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000―162668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来例では、光学フィルタ切換手段の非作動時の通電状態が一定である。そのため、レンズユニットが雲台に搭載され、雲台がパン、チルト駆動を行う際に生ずる振動及び衝撃に対する光学部材の位置信頼性と非駆動時の省電力性の両立が困難である。つまり、光学フィルタ切換手段の非作動時に非通電状態であれば、モータシャフトはコギングトルクのみで回転規制されているので衝撃等で回転し、フィルタの位置ずれが生ずる可能性が高く、光学性能の劣化の原因となる。一方、光学フィルタ切換手段の非作動時に通電状態であれば、常に電力が消費されるので消費電力の増大という問題が生ずる。
【0007】
更に、光学フィルタ切換手段に限らず、電動ズーム手段及び電動フォーカス手段等のレンズユニットを構成する電子部品についても、同様のことが生ずる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、低省電力と共に光学性能の安定化を図るネットワークカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るネットワークカメラは、電動によるパン及び(又は)チルト駆動が可能な雲台と、モータにより前記雲台に構設した光学要素の光学状態を可変とする駆動手段とを有するネットワークカメラにおいて、前記雲台の駆動時と非駆動時とで前記モータをそれぞれ異なる通電状態に切換える制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るネットワークカメラによれば、雲台の駆動時と停止時とで、光学要素を駆動するモータの通電状態を切換えて、省電力化と光学性能の維持の両立が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】フィルタ切換部の斜視図である。
【図4】カメラ装置の説明図である。
【図5】作動状態の説明図である。
【図6】作動状態の説明図である。
【図7】ブロック回路構成図である。
【図8】フローチャート図である。
【図9】実施例2のフローチャート図である。
【図10】実施例3のフローチャート図である。
【図11】カメラ装置の説明図である。
【図12】カメラ装置の説明図である。
【図13】実施例4のブロック回路構成図である。
【図14】フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図、図2は要部の断面図である。物体側から1群鏡筒1、2群鏡筒2、3群鏡筒3、4群鏡筒4が配列されている。4群鏡筒4の後方に撮像素子保持枠5が設けられ、2群鏡筒2と3群鏡筒3の間には絞りユニット6が配置されている。
【0014】
1群鏡筒1はレンズ保持部を備えており、図示しない第1レンズ群を接着又は熱かしめにより固定保持している。2群鏡筒2はフォーカスレンズ群L2を保持し、フォーカスラック7及びフォーカスララックばね8が取付部2aに取り付けられている。スリーブ部2b及びU溝部2cがそれぞれ1群鏡筒1と撮像素子保持枠5により支持された2本の第1のガイドバー9により案内され、第1のガイドバー9により2群鏡筒2は光軸に平行方向以外への移動が規制される。
【0015】
また、1群鏡筒1にはビス10によりステッピングモータから成るフォーカス駆動モータ11が駆動源として取り付けられ、このフォーカス駆動モータ11のシャフトにフォーカスラック7が螺合している。この構成により、2群鏡筒2はフォーカス駆動モータ11の駆動により光軸方向に移動しフォーカシングを行う。このとき、1群鏡筒1に取り付けられたフォーカスセンサ12により、2群鏡筒2のリセット位置が規定される。
【0016】
3群鏡筒3はズームレンズ群L3を保持しており、ズームラック13、ズームラックばね14が取付部3aに取り付けられている。スリーブ部3b、U溝部3cが第1のガイドバー9により案内されて、光軸以外の方向への移動を規制されている。4群鏡筒4にビス10によりステッピングモータから成るズーム駆動モータ15が取り付けられ、このズーム駆動モータ15のシャフトにズームラック13が螺合し3群鏡筒3を移動する。4群鏡筒4にビス10により固定されたズームセンサ16は、3群鏡筒3の位置を検出し、この信号により3群鏡筒3の移動量を決定しズーミングを行う。
【0017】
絞りユニット6は4群鏡筒4に固定されており、内蔵の絞り羽根を移動することにより、光軸上の開口径を調節し、撮像素子に入射する光量を調節している。
【0018】
図3は4群鏡筒4と撮像素子保持枠5との間に配置され、赤外カットフィルタ21及びNDフィルタ22、ダミーガラス23を光軸上で切換えるフィルタ切換部の斜視図である。フィルタを固定するフィルタ枠24は3つのの開口部を有し、それぞれの開口部には赤外カットフィルタ21のみ、赤外カットフィルタ21とNDフィルタ22、ダミーガラス23がそれぞれ取り付けられている。
【0019】
両端を撮像素子保持枠5に保持された第2のガイドバー25により、フィルタ枠24はそのスリーブ部を介して光軸と直交する方向に移動可能に案内されている。更にフィルタ枠24には、フィルタ枠ラック26及びフィルタ枠ラックばね27が取り付けられている。フィルタ枠ラック26はステッピングモータから成るフィルタ枠駆動モータ28のシャフト部と螺合しており、フィルタ枠駆動モータ28のシャフトの回転によりガイド方向に駆動される。そして、フィルタ枠24の移動を検知するフィルタ枠センサ29の信号により、フィルタ枠24を所定の位置まで移動させる。
【0020】
従って、フィルタ枠24が光軸に直交する方向に移動することで、光軸上に位置するフィルタ等の切換えが可能となるので、撮像素子に入射する光束の波長を調整できる。例えば、昼間等に明るい被写体を撮影する場合には、赤外カットフィルタ21又は赤外カットフィルタ21とNDフィルタ22が取り付けられている開口部を光軸上に位置させて、色再現性の良い画像を得る。一方、夜間等の低照度の被写体の場合はダミーガラス23を光軸上に位置し、赤外光も通過することで光量を稼ぐことが可能となる。このダミーガラス23は、赤外カットフィルタ21の挿入時と光路長を合わせるために使用されている。
【0021】
フィルタ枠駆動モータ28の非駆動時においては、モータ非通電状態であればモータシャフトはコギングトルクにより回転規制されている。一方、モータ通電状態であればモータシャフトは通電トルクにより回転規制されており、一般的に通電トルクはコギングトルクよりも大きいので、振動及び衝撃が加わった時の耐回転性は通電時の方が有利である。従って、モータシャフトにフィルタ枠ラック26を介して固定されているフィルタ枠24の位置ずれは、フィルタ枠駆動モータ28が通電されている場合の方が、通電されていない場合よりも発生し難い状態である。
【0022】
なお、フィルタ枠24が所定の位置からずれると、フィルタ枠24が形成する開口部が、光束上からずれて撮像素子に入る光束が蹴られる虞れがあり、光束が蹴られると周辺光量の低下又は画像が欠けるという問題が生ずる。
【0023】
図4(a)は具体的なネットワークカメラの正面図、図4(b)は側面図である。回転ベース31上にレンズ枠支持台32を介してレンズ枠33が設けられ、レンズ枠33の前部には図1〜図3で説明したレンズ鏡筒を有するレンズユニット34が設けられ、回転ベース31の後方には電源35が配置されている。レンズユニット34の方向は回転ベース31に対して、リモートコントローラ又はネットワークによる遠隔操作により可変とされている。また、カメラの向きのみならず、レンズユニット34のズーミング、フォーカシング及びフィルタの光学要素の光学状態の切換えも遠隔操作でモータにより電動駆動が可能とされている。
【0024】
図5(a)、(b)はカメラのパン駆動による上方から見た作動状態の説明図であり、レンズ枠支持台32は矢印の方向にパン回転中心Oを中心に任意の回転角度内を回転自由に回転ベース31に保持されている。また、回転ベース31にはパンモータが内蔵されており、電動によりレンズ枠支持台32を回転させ、レンズユニット34の方向を変えることが可能となっている。
【0025】
図6(a)〜(c)はカメラのチルト駆動の作動状態の説明図であり、レンズ枠支持台32はチルト回転中心O’を中心に、図6(a)に示す矢印方向にレンズ枠33が回転可能に支持されている。また、レンズ枠支持台32の内部にはチルトモータが内蔵されており、電動により図6(b)、(c)に示すようにレンズユニット34のチルト駆動が可能となっている。
【0026】
図7はブロック回路構成図である。レンズ枠33にはレンズユニット34が設けられ、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、フィルタ枠24が配列されている。レンズ枠33はレンズ枠支持台32を介して回転ベース31に構設されている。
【0027】
CPU41の出力は、フォーカス駆動モータ11を介してフォーカスレンズ群L2に、ズーム駆動モータ15を介してズームレンズ群L3に、フィルタ枠駆動モータ28を介してフィルタ枠24に接続されている。更に、CPU41の出力はパン駆動モータ42を介して回転ベース31に、チルト駆動モータ43を介してレンズ枠支持台32に接続されている。また、CPU41には、パン駆動スイッチ44、チルト駆動スイッチ45の出力が接続されている。
【0028】
図8は実施例のフローチャート図である。ステップS101のパン駆動スイッチ44の信号のオンにより、ステップS102でパン駆動モータ42の駆動が開始されると同時に、ステップS103でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。また、ステップS101でパン駆動スイッチ44の信号がオフで、ステップS104でチルト駆動スイッチ45がオンされた場合は、その信号によりステップS105で、チルト駆動モータ43の駆動が開始される。その後に、ステップS103でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0029】
次に、ステップS106のパン駆動スイッチ44のオフ信号により、ステップS107でパン駆動モータ42の駆動が終了し、ステップS108でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ一連の動作が終了する。同様に、ステップS106でパン駆動スイッチ44の信号がオンで、ステップS109のチルト駆動スイッチ45のオフ信号により、ステップS110でチルト駆動モータ43の駆動が終了し、ステップS108に進む。
【0030】
即ち、カメラがパン又はチルト駆動している時のみ、フィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされている状態であり、パン又はチルト駆動が終了するとフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされている状態となる。
【0031】
これはパン又はチルト駆動時の振動及び停止時の衝撃をレンズユニット34が受けた際に、レンズユニット34内のフィルタ枠駆動モータ28のねじシャフトが回転し、フィルタ枠24が位置ずれを起こし難いように通電をオンする。
【0032】
このように実施例1では、電動によるパン又はチルト駆動によりカメラの向きの移動に連動して、フィルタ枠駆動モータ28の通電状態を切換えている。パン又はチルト駆動中はフィルタ枠駆動モータ28への通電をオンとし、パン又はチルト駆動の停止後は通電をオフとする。
【0033】
パン又はチルト非駆動時に、フィルタ枠駆動モータ28への通電をオフするのは、カメラの省電力化のためである。パン又はチルト駆動時に連動して、フィルタ枠駆動モータ28への通電オンとするのは、パン又はチルト駆動及び停止時に生ずる振動及び衝撃で、フィルタ枠24が位置ずれが生ずる可能性を低減するためである。従って、本実施例1はカメラの省電力化とフィルタ枠24の位置の信頼性の両立を可能としている。
【実施例2】
【0034】
図9は実施例2のフローチャート図であり、他の部分については実施例1と同様である。
【0035】
ステップS201でパン駆動スイッチ44の信号がオンされると、ステップS202でパン駆動モータ42の駆動がスタートする。ステップS203でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。また、パン駆動スイッチ44がオフで、ステップS204でチルト駆動スイッチ45がオンされると、ステップS205でチルト駆動モータ43の駆動がスタートし、同様にステップS203に進む。
【0036】
次に、ステップS206でパン駆動スイッチ44の信号がオフされると、ステップS207でパン駆動モータ42の駆動が終了しパン駆動を停止する。パン駆動が停止すると、ステップS208でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ一連の動作が終了する。また、ステップS206でパン駆動スイッチ44がオンで、ステップS209でチルト駆動スイッチ45がオフされると、ステップS210でチルト駆動モータ43の駆動が終了し、ステップS208に進む。
【0037】
本実施例2では、カメラのパン又はチルト非駆動時には、フォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電はオフしており、パン又はチルト駆動時に通電オンとしている。この通電オンにより、パン又はチルト駆動時に生ずるレンズユニットへの振動及び衝撃により、レンズユニットを構成する電子部品に保持されている光学部品の位置ずれを防止している。
【0038】
実施例2では、カメラの省電力化と、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3及びフィルタ枠24の位置信頼性の両立が可能であることを示している。
【実施例3】
【0039】
図10は実施例3のフローチャート図であり、他の部分については実施例1、2と同様である。
【0040】
ステップS301でパン駆動スイッチ44の信号がオンされると、ステップS302でパン駆動モータ42の駆動がスタートする。ステップS303でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0041】
次に、ステップS304でパン駆動スイッチ44がオフされると、ステップS305でパン駆動モータ42の駆動が終了しパン駆動が停止する。ステップS306でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ105の通電がオフされ、一連の動作が終了する。
【0042】
また、ステップS301でパン駆動スイッチ44の信号がオフで、ステップS307でチルト駆動スイッチ45の信号がオンされると、ステップS308でチルト駆動モータ43の駆動がスタートする。ステップS309でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0043】
次に、ステップS310でチルト駆動スイッチ45の信号がオフされると、ステップS311でチルト駆動モータ43の駆動が終了しチルト駆動が停止する。ステップS312でフォーカス駆動モータ11及びズーム駆動モータ15の通電がオフされ、一連の動作が終了する。
【0044】
図11は実施例3においてカメラ内部の鏡筒及びフィルタを模式的に示した上方からの断面図、図12はカメラ内部の鏡筒及びフィルタの側方からの断面図であり、図4と同じ符号は同じ部材を示している。
【0045】
レンズユニット34内には、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21が配列されている。フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21は、それぞれフォーカスレンズ群移動方向A、ズームレンズ群移動方向B、赤外カットフィルタ移動方向Cに示す方向に移動する。従って、非駆動時にはそれぞれフォーカスレンズ群移動方向A、ズームレンズ群移動方向B、赤外カットフィルタの移動方向Cに示す方向への保持が必要であり、全て図11に示す平面に略並行とされている。
【0046】
図11において、パン駆動時にはレンズユニット34はパン回転中心Oを中心にパン回転方向Dの方向に回転を行う。従って、レンズユニット34の内部の部品に対してパン駆動及び駆動停止時に発生する振動及び衝撃の加わる方向は、図11で示す平面に略平行方向である。フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21に、パン駆動及び駆動停止時に発生する振動及び衝撃の加わる方向と位置ずれ保持が必要な方向が一致する。
【0047】
そのため実施例3では、パン駆動に連動してフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電をオンとして位置保持力を高めている。
【0048】
図12において、チルト駆動時にレンズユニット34はチルト回転中心O’を中心にチルト回転方向Eに示す方向に回転する。このため、チルト駆動及び駆動停止に発生する衝撃は、フォーカスレンズ群移動方向A及びズームレンズ群移動方向Bに略並行方向に発生する。
【0049】
従って、フォーカスレンズ群L2及びズームレンズ群L3が動かないように、モータ通電により保持力を高める必要がある。一方、赤外カットフィルタ21の移動方向は図12で示す平面に対して略直交しており、チルト駆動による衝撃が加わる方向とは略直交方向であるため、位置ずれの可能性は低く、本実施例3では通電を行わない。
【0050】
このように実施例3では、カメラのパン駆動に連動して、フォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電をオンとする。一方で、カメラのチルト駆動時には、フォーカス駆動モータ11及びズーム駆動モータ15の通電をオンとする。
【0051】
実施例3では、パン駆動時とチルト駆動時とで通電オンするモータの種類を別としている。これは、パン回転方向Dとチルト回転方向Eが異なるので、パン駆動時とチルト駆動時とで、各モータが保持しているフォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3及びフィルタ枠24の位置ずれが生ずる可能性が異なるからである。即ち、パン駆動、チルト駆動により位置ずれが生じ易い方向にフォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3又はフィルタ枠24を保持しているモータのみを通電オンする制御を行っている。
【実施例4】
【0052】
図13は実施例4のブロック回路構成図であり、図7と同一の符号は同一の部材を示している。なお、CPU41には、パン高速度駆動スイッチ51、パン低速度駆動スイッチ52が接続されている。
【0053】
図14は実施例4のフローチャート図である。ステップS401でパン高速度駆動スイッチ51がオンされると、ステップS402でパン駆動モータ42が高速度駆動を開始し、ステップS403でフィルタ枠駆動モータ28がハイ通電を行う。ステップS404でパン高速度駆動スイッチ51がオフされると、その信号によりステップS405でパン駆動モータ42が高速度駆動を終了し、ステップS406でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ終了する。
【0054】
また、ステップS401でパン高速度駆動スイッチ51がオフでステップS407でパン低速度駆動スイッチ52がオンされると、ステップS408でパン駆動モータ42が低速度駆動を開始し、ステップS409でフィルタ枠駆動モータ28がロー通電を行う。ステップS410でパン低速度駆動スイッチ52がオフされると、その信号によりステップS411でパン駆動モータ42が低速度駆動を終了し、ステップS406でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ終了する。
【0055】
なお、パン高速度駆動及びパン低速度駆動はパン駆動速度が異なっており、ユーザが速度を選択できるようになっている。また、フィルタ枠駆動モータ28のハイ通電及びロー通電とは、フィルタ枠駆動モータ28への通電時の電流又は電圧が高い場合と低い場合である。即ち、パン駆動の速度により耐衝撃性が異なるので、速度に応じて必要最小限の通電状態とする。
【0056】
なお、本実施例4では、パン駆動速度及びフィルタ枠駆動モータ28への通電状態をそれぞれ2通りとしたが、更に細分化することができることは勿論である。
【0057】
このように本実施例4では、雲台によりパン、チルト駆動が可能なカメラにおいて、パン又はチルト駆動に連動してレンズユニット内のモータ通電状態をオン、オフ制御を行い、光学部品の位置ずれによる光学性能の防止と省電力化の両立を図っている。
【0058】
なお、上述の各実施例では、パン、チルト非駆動時にレンズユニットを構成する電子部品への通電をオフとしているが、完全にオフではなく、パン、チルト駆動時の通電状態に対して通電量を減少するような制御でも支障はない。また、実施例ではパン・チルトの両駆動機能を備えたカメラについて説明したが、何れか一方のみを備えた場合においても適用可能である。
【0059】
各実施例では、レンズユニットを構成する光学要素として、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群び赤外カットフィルタとしたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 1群鏡筒
2 2群鏡筒
3 3群鏡筒
4 4群鏡筒
5 撮像素子保持枠
11 フォーカス駆動モータ
15 ズーム駆動モータ
21 赤外カットフィルタ
22 NDフィルタ
23 ダミーガラス
24 フィルタ枠
28 フィルタ枠駆動モータ
31 回転ベース
32 レンズ枠支持台
33 レンズ枠
34 レンズユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の低消費電力化を図るネットワークカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、離れた位置の映像を見られるネットワークカメラが普及してきており、主な用途として監視目的やテレビ会議用カメラとして使用されている。ネットワークカメラは離れた場所の映像を見られるのみでなく、ズーム、フォーカスに加えて、カメラが雲台に載置されており、カメラの向きも離れた場所から遠隔操作できるものが多い。
【0003】
また、ネットワークケーブルからカメラ電源を供給し、設置場所に新たな電源を設ける必要のないカメラが普及している。このような背景により、近年ではネットワークカメラ装置は装置の省電力化が重要課題となっている。
【0004】
また、特許文献1には、カラーとモノクロを切換えるために、対物レンズと撮像素子に至る光路上に、光学フィルタ切換手段を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000―162668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来例では、光学フィルタ切換手段の非作動時の通電状態が一定である。そのため、レンズユニットが雲台に搭載され、雲台がパン、チルト駆動を行う際に生ずる振動及び衝撃に対する光学部材の位置信頼性と非駆動時の省電力性の両立が困難である。つまり、光学フィルタ切換手段の非作動時に非通電状態であれば、モータシャフトはコギングトルクのみで回転規制されているので衝撃等で回転し、フィルタの位置ずれが生ずる可能性が高く、光学性能の劣化の原因となる。一方、光学フィルタ切換手段の非作動時に通電状態であれば、常に電力が消費されるので消費電力の増大という問題が生ずる。
【0007】
更に、光学フィルタ切換手段に限らず、電動ズーム手段及び電動フォーカス手段等のレンズユニットを構成する電子部品についても、同様のことが生ずる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、低省電力と共に光学性能の安定化を図るネットワークカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るネットワークカメラは、電動によるパン及び(又は)チルト駆動が可能な雲台と、モータにより前記雲台に構設した光学要素の光学状態を可変とする駆動手段とを有するネットワークカメラにおいて、前記雲台の駆動時と非駆動時とで前記モータをそれぞれ異なる通電状態に切換える制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るネットワークカメラによれば、雲台の駆動時と停止時とで、光学要素を駆動するモータの通電状態を切換えて、省電力化と光学性能の維持の両立が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】フィルタ切換部の斜視図である。
【図4】カメラ装置の説明図である。
【図5】作動状態の説明図である。
【図6】作動状態の説明図である。
【図7】ブロック回路構成図である。
【図8】フローチャート図である。
【図9】実施例2のフローチャート図である。
【図10】実施例3のフローチャート図である。
【図11】カメラ装置の説明図である。
【図12】カメラ装置の説明図である。
【図13】実施例4のブロック回路構成図である。
【図14】フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は実施例1のレンズ鏡筒の分解斜視図、図2は要部の断面図である。物体側から1群鏡筒1、2群鏡筒2、3群鏡筒3、4群鏡筒4が配列されている。4群鏡筒4の後方に撮像素子保持枠5が設けられ、2群鏡筒2と3群鏡筒3の間には絞りユニット6が配置されている。
【0014】
1群鏡筒1はレンズ保持部を備えており、図示しない第1レンズ群を接着又は熱かしめにより固定保持している。2群鏡筒2はフォーカスレンズ群L2を保持し、フォーカスラック7及びフォーカスララックばね8が取付部2aに取り付けられている。スリーブ部2b及びU溝部2cがそれぞれ1群鏡筒1と撮像素子保持枠5により支持された2本の第1のガイドバー9により案内され、第1のガイドバー9により2群鏡筒2は光軸に平行方向以外への移動が規制される。
【0015】
また、1群鏡筒1にはビス10によりステッピングモータから成るフォーカス駆動モータ11が駆動源として取り付けられ、このフォーカス駆動モータ11のシャフトにフォーカスラック7が螺合している。この構成により、2群鏡筒2はフォーカス駆動モータ11の駆動により光軸方向に移動しフォーカシングを行う。このとき、1群鏡筒1に取り付けられたフォーカスセンサ12により、2群鏡筒2のリセット位置が規定される。
【0016】
3群鏡筒3はズームレンズ群L3を保持しており、ズームラック13、ズームラックばね14が取付部3aに取り付けられている。スリーブ部3b、U溝部3cが第1のガイドバー9により案内されて、光軸以外の方向への移動を規制されている。4群鏡筒4にビス10によりステッピングモータから成るズーム駆動モータ15が取り付けられ、このズーム駆動モータ15のシャフトにズームラック13が螺合し3群鏡筒3を移動する。4群鏡筒4にビス10により固定されたズームセンサ16は、3群鏡筒3の位置を検出し、この信号により3群鏡筒3の移動量を決定しズーミングを行う。
【0017】
絞りユニット6は4群鏡筒4に固定されており、内蔵の絞り羽根を移動することにより、光軸上の開口径を調節し、撮像素子に入射する光量を調節している。
【0018】
図3は4群鏡筒4と撮像素子保持枠5との間に配置され、赤外カットフィルタ21及びNDフィルタ22、ダミーガラス23を光軸上で切換えるフィルタ切換部の斜視図である。フィルタを固定するフィルタ枠24は3つのの開口部を有し、それぞれの開口部には赤外カットフィルタ21のみ、赤外カットフィルタ21とNDフィルタ22、ダミーガラス23がそれぞれ取り付けられている。
【0019】
両端を撮像素子保持枠5に保持された第2のガイドバー25により、フィルタ枠24はそのスリーブ部を介して光軸と直交する方向に移動可能に案内されている。更にフィルタ枠24には、フィルタ枠ラック26及びフィルタ枠ラックばね27が取り付けられている。フィルタ枠ラック26はステッピングモータから成るフィルタ枠駆動モータ28のシャフト部と螺合しており、フィルタ枠駆動モータ28のシャフトの回転によりガイド方向に駆動される。そして、フィルタ枠24の移動を検知するフィルタ枠センサ29の信号により、フィルタ枠24を所定の位置まで移動させる。
【0020】
従って、フィルタ枠24が光軸に直交する方向に移動することで、光軸上に位置するフィルタ等の切換えが可能となるので、撮像素子に入射する光束の波長を調整できる。例えば、昼間等に明るい被写体を撮影する場合には、赤外カットフィルタ21又は赤外カットフィルタ21とNDフィルタ22が取り付けられている開口部を光軸上に位置させて、色再現性の良い画像を得る。一方、夜間等の低照度の被写体の場合はダミーガラス23を光軸上に位置し、赤外光も通過することで光量を稼ぐことが可能となる。このダミーガラス23は、赤外カットフィルタ21の挿入時と光路長を合わせるために使用されている。
【0021】
フィルタ枠駆動モータ28の非駆動時においては、モータ非通電状態であればモータシャフトはコギングトルクにより回転規制されている。一方、モータ通電状態であればモータシャフトは通電トルクにより回転規制されており、一般的に通電トルクはコギングトルクよりも大きいので、振動及び衝撃が加わった時の耐回転性は通電時の方が有利である。従って、モータシャフトにフィルタ枠ラック26を介して固定されているフィルタ枠24の位置ずれは、フィルタ枠駆動モータ28が通電されている場合の方が、通電されていない場合よりも発生し難い状態である。
【0022】
なお、フィルタ枠24が所定の位置からずれると、フィルタ枠24が形成する開口部が、光束上からずれて撮像素子に入る光束が蹴られる虞れがあり、光束が蹴られると周辺光量の低下又は画像が欠けるという問題が生ずる。
【0023】
図4(a)は具体的なネットワークカメラの正面図、図4(b)は側面図である。回転ベース31上にレンズ枠支持台32を介してレンズ枠33が設けられ、レンズ枠33の前部には図1〜図3で説明したレンズ鏡筒を有するレンズユニット34が設けられ、回転ベース31の後方には電源35が配置されている。レンズユニット34の方向は回転ベース31に対して、リモートコントローラ又はネットワークによる遠隔操作により可変とされている。また、カメラの向きのみならず、レンズユニット34のズーミング、フォーカシング及びフィルタの光学要素の光学状態の切換えも遠隔操作でモータにより電動駆動が可能とされている。
【0024】
図5(a)、(b)はカメラのパン駆動による上方から見た作動状態の説明図であり、レンズ枠支持台32は矢印の方向にパン回転中心Oを中心に任意の回転角度内を回転自由に回転ベース31に保持されている。また、回転ベース31にはパンモータが内蔵されており、電動によりレンズ枠支持台32を回転させ、レンズユニット34の方向を変えることが可能となっている。
【0025】
図6(a)〜(c)はカメラのチルト駆動の作動状態の説明図であり、レンズ枠支持台32はチルト回転中心O’を中心に、図6(a)に示す矢印方向にレンズ枠33が回転可能に支持されている。また、レンズ枠支持台32の内部にはチルトモータが内蔵されており、電動により図6(b)、(c)に示すようにレンズユニット34のチルト駆動が可能となっている。
【0026】
図7はブロック回路構成図である。レンズ枠33にはレンズユニット34が設けられ、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、フィルタ枠24が配列されている。レンズ枠33はレンズ枠支持台32を介して回転ベース31に構設されている。
【0027】
CPU41の出力は、フォーカス駆動モータ11を介してフォーカスレンズ群L2に、ズーム駆動モータ15を介してズームレンズ群L3に、フィルタ枠駆動モータ28を介してフィルタ枠24に接続されている。更に、CPU41の出力はパン駆動モータ42を介して回転ベース31に、チルト駆動モータ43を介してレンズ枠支持台32に接続されている。また、CPU41には、パン駆動スイッチ44、チルト駆動スイッチ45の出力が接続されている。
【0028】
図8は実施例のフローチャート図である。ステップS101のパン駆動スイッチ44の信号のオンにより、ステップS102でパン駆動モータ42の駆動が開始されると同時に、ステップS103でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。また、ステップS101でパン駆動スイッチ44の信号がオフで、ステップS104でチルト駆動スイッチ45がオンされた場合は、その信号によりステップS105で、チルト駆動モータ43の駆動が開始される。その後に、ステップS103でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0029】
次に、ステップS106のパン駆動スイッチ44のオフ信号により、ステップS107でパン駆動モータ42の駆動が終了し、ステップS108でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ一連の動作が終了する。同様に、ステップS106でパン駆動スイッチ44の信号がオンで、ステップS109のチルト駆動スイッチ45のオフ信号により、ステップS110でチルト駆動モータ43の駆動が終了し、ステップS108に進む。
【0030】
即ち、カメラがパン又はチルト駆動している時のみ、フィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされている状態であり、パン又はチルト駆動が終了するとフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされている状態となる。
【0031】
これはパン又はチルト駆動時の振動及び停止時の衝撃をレンズユニット34が受けた際に、レンズユニット34内のフィルタ枠駆動モータ28のねじシャフトが回転し、フィルタ枠24が位置ずれを起こし難いように通電をオンする。
【0032】
このように実施例1では、電動によるパン又はチルト駆動によりカメラの向きの移動に連動して、フィルタ枠駆動モータ28の通電状態を切換えている。パン又はチルト駆動中はフィルタ枠駆動モータ28への通電をオンとし、パン又はチルト駆動の停止後は通電をオフとする。
【0033】
パン又はチルト非駆動時に、フィルタ枠駆動モータ28への通電をオフするのは、カメラの省電力化のためである。パン又はチルト駆動時に連動して、フィルタ枠駆動モータ28への通電オンとするのは、パン又はチルト駆動及び停止時に生ずる振動及び衝撃で、フィルタ枠24が位置ずれが生ずる可能性を低減するためである。従って、本実施例1はカメラの省電力化とフィルタ枠24の位置の信頼性の両立を可能としている。
【実施例2】
【0034】
図9は実施例2のフローチャート図であり、他の部分については実施例1と同様である。
【0035】
ステップS201でパン駆動スイッチ44の信号がオンされると、ステップS202でパン駆動モータ42の駆動がスタートする。ステップS203でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。また、パン駆動スイッチ44がオフで、ステップS204でチルト駆動スイッチ45がオンされると、ステップS205でチルト駆動モータ43の駆動がスタートし、同様にステップS203に進む。
【0036】
次に、ステップS206でパン駆動スイッチ44の信号がオフされると、ステップS207でパン駆動モータ42の駆動が終了しパン駆動を停止する。パン駆動が停止すると、ステップS208でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ一連の動作が終了する。また、ステップS206でパン駆動スイッチ44がオンで、ステップS209でチルト駆動スイッチ45がオフされると、ステップS210でチルト駆動モータ43の駆動が終了し、ステップS208に進む。
【0037】
本実施例2では、カメラのパン又はチルト非駆動時には、フォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電はオフしており、パン又はチルト駆動時に通電オンとしている。この通電オンにより、パン又はチルト駆動時に生ずるレンズユニットへの振動及び衝撃により、レンズユニットを構成する電子部品に保持されている光学部品の位置ずれを防止している。
【0038】
実施例2では、カメラの省電力化と、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3及びフィルタ枠24の位置信頼性の両立が可能であることを示している。
【実施例3】
【0039】
図10は実施例3のフローチャート図であり、他の部分については実施例1、2と同様である。
【0040】
ステップS301でパン駆動スイッチ44の信号がオンされると、ステップS302でパン駆動モータ42の駆動がスタートする。ステップS303でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0041】
次に、ステップS304でパン駆動スイッチ44がオフされると、ステップS305でパン駆動モータ42の駆動が終了しパン駆動が停止する。ステップS306でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ105の通電がオフされ、一連の動作が終了する。
【0042】
また、ステップS301でパン駆動スイッチ44の信号がオフで、ステップS307でチルト駆動スイッチ45の信号がオンされると、ステップS308でチルト駆動モータ43の駆動がスタートする。ステップS309でフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電がオンされる。
【0043】
次に、ステップS310でチルト駆動スイッチ45の信号がオフされると、ステップS311でチルト駆動モータ43の駆動が終了しチルト駆動が停止する。ステップS312でフォーカス駆動モータ11及びズーム駆動モータ15の通電がオフされ、一連の動作が終了する。
【0044】
図11は実施例3においてカメラ内部の鏡筒及びフィルタを模式的に示した上方からの断面図、図12はカメラ内部の鏡筒及びフィルタの側方からの断面図であり、図4と同じ符号は同じ部材を示している。
【0045】
レンズユニット34内には、フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21が配列されている。フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21は、それぞれフォーカスレンズ群移動方向A、ズームレンズ群移動方向B、赤外カットフィルタ移動方向Cに示す方向に移動する。従って、非駆動時にはそれぞれフォーカスレンズ群移動方向A、ズームレンズ群移動方向B、赤外カットフィルタの移動方向Cに示す方向への保持が必要であり、全て図11に示す平面に略並行とされている。
【0046】
図11において、パン駆動時にはレンズユニット34はパン回転中心Oを中心にパン回転方向Dの方向に回転を行う。従って、レンズユニット34の内部の部品に対してパン駆動及び駆動停止時に発生する振動及び衝撃の加わる方向は、図11で示す平面に略平行方向である。フォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3、赤外カットフィルタ21に、パン駆動及び駆動停止時に発生する振動及び衝撃の加わる方向と位置ずれ保持が必要な方向が一致する。
【0047】
そのため実施例3では、パン駆動に連動してフォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電をオンとして位置保持力を高めている。
【0048】
図12において、チルト駆動時にレンズユニット34はチルト回転中心O’を中心にチルト回転方向Eに示す方向に回転する。このため、チルト駆動及び駆動停止に発生する衝撃は、フォーカスレンズ群移動方向A及びズームレンズ群移動方向Bに略並行方向に発生する。
【0049】
従って、フォーカスレンズ群L2及びズームレンズ群L3が動かないように、モータ通電により保持力を高める必要がある。一方、赤外カットフィルタ21の移動方向は図12で示す平面に対して略直交しており、チルト駆動による衝撃が加わる方向とは略直交方向であるため、位置ずれの可能性は低く、本実施例3では通電を行わない。
【0050】
このように実施例3では、カメラのパン駆動に連動して、フォーカス駆動モータ11、ズーム駆動モータ15及びフィルタ枠駆動モータ28の通電をオンとする。一方で、カメラのチルト駆動時には、フォーカス駆動モータ11及びズーム駆動モータ15の通電をオンとする。
【0051】
実施例3では、パン駆動時とチルト駆動時とで通電オンするモータの種類を別としている。これは、パン回転方向Dとチルト回転方向Eが異なるので、パン駆動時とチルト駆動時とで、各モータが保持しているフォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3及びフィルタ枠24の位置ずれが生ずる可能性が異なるからである。即ち、パン駆動、チルト駆動により位置ずれが生じ易い方向にフォーカスレンズ群L2、ズームレンズ群L3又はフィルタ枠24を保持しているモータのみを通電オンする制御を行っている。
【実施例4】
【0052】
図13は実施例4のブロック回路構成図であり、図7と同一の符号は同一の部材を示している。なお、CPU41には、パン高速度駆動スイッチ51、パン低速度駆動スイッチ52が接続されている。
【0053】
図14は実施例4のフローチャート図である。ステップS401でパン高速度駆動スイッチ51がオンされると、ステップS402でパン駆動モータ42が高速度駆動を開始し、ステップS403でフィルタ枠駆動モータ28がハイ通電を行う。ステップS404でパン高速度駆動スイッチ51がオフされると、その信号によりステップS405でパン駆動モータ42が高速度駆動を終了し、ステップS406でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ終了する。
【0054】
また、ステップS401でパン高速度駆動スイッチ51がオフでステップS407でパン低速度駆動スイッチ52がオンされると、ステップS408でパン駆動モータ42が低速度駆動を開始し、ステップS409でフィルタ枠駆動モータ28がロー通電を行う。ステップS410でパン低速度駆動スイッチ52がオフされると、その信号によりステップS411でパン駆動モータ42が低速度駆動を終了し、ステップS406でフィルタ枠駆動モータ28の通電がオフされ終了する。
【0055】
なお、パン高速度駆動及びパン低速度駆動はパン駆動速度が異なっており、ユーザが速度を選択できるようになっている。また、フィルタ枠駆動モータ28のハイ通電及びロー通電とは、フィルタ枠駆動モータ28への通電時の電流又は電圧が高い場合と低い場合である。即ち、パン駆動の速度により耐衝撃性が異なるので、速度に応じて必要最小限の通電状態とする。
【0056】
なお、本実施例4では、パン駆動速度及びフィルタ枠駆動モータ28への通電状態をそれぞれ2通りとしたが、更に細分化することができることは勿論である。
【0057】
このように本実施例4では、雲台によりパン、チルト駆動が可能なカメラにおいて、パン又はチルト駆動に連動してレンズユニット内のモータ通電状態をオン、オフ制御を行い、光学部品の位置ずれによる光学性能の防止と省電力化の両立を図っている。
【0058】
なお、上述の各実施例では、パン、チルト非駆動時にレンズユニットを構成する電子部品への通電をオフとしているが、完全にオフではなく、パン、チルト駆動時の通電状態に対して通電量を減少するような制御でも支障はない。また、実施例ではパン・チルトの両駆動機能を備えたカメラについて説明したが、何れか一方のみを備えた場合においても適用可能である。
【0059】
各実施例では、レンズユニットを構成する光学要素として、フォーカスレンズ群、ズームレンズ群び赤外カットフィルタとしたが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 1群鏡筒
2 2群鏡筒
3 3群鏡筒
4 4群鏡筒
5 撮像素子保持枠
11 フォーカス駆動モータ
15 ズーム駆動モータ
21 赤外カットフィルタ
22 NDフィルタ
23 ダミーガラス
24 フィルタ枠
28 フィルタ枠駆動モータ
31 回転ベース
32 レンズ枠支持台
33 レンズ枠
34 レンズユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動によるパン及び(又は)チルト駆動が可能な雲台と、モータにより前記雲台に構設した光学要素の光学状態を可変とする駆動手段とを有するネットワークカメラにおいて、前記雲台の駆動時と非駆動時とで前記モータをそれぞれ異なる通電状態に切換える制御手段を備えたことを特徴とするネットワークカメラ。
【請求項2】
前記モータはズームレンズ群、フォーカスレンズ群、フィルタ枠の何れかを駆動することを特徴とする請求項1に記載のネットワークカメラ。
【請求項3】
前記モータはステッピングモータであることを特徴とする請求項2に記載のネットワークカメラ。
【請求項4】
前記制御手段は、パン駆動時とチルト駆動とで通電する前記モータを切換えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のネットワークカメラ。
【請求項5】
前記制御手段は、パン及び(又は)チルト駆動の駆動速度に応じて前記モータの通電量を切換えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のネットワークカメラ。
【請求項1】
電動によるパン及び(又は)チルト駆動が可能な雲台と、モータにより前記雲台に構設した光学要素の光学状態を可変とする駆動手段とを有するネットワークカメラにおいて、前記雲台の駆動時と非駆動時とで前記モータをそれぞれ異なる通電状態に切換える制御手段を備えたことを特徴とするネットワークカメラ。
【請求項2】
前記モータはズームレンズ群、フォーカスレンズ群、フィルタ枠の何れかを駆動することを特徴とする請求項1に記載のネットワークカメラ。
【請求項3】
前記モータはステッピングモータであることを特徴とする請求項2に記載のネットワークカメラ。
【請求項4】
前記制御手段は、パン駆動時とチルト駆動とで通電する前記モータを切換えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のネットワークカメラ。
【請求項5】
前記制御手段は、パン及び(又は)チルト駆動の駆動速度に応じて前記モータの通電量を切換えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のネットワークカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−283598(P2010−283598A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135267(P2009−135267)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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