ネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び、通信方法
【課題】ネットワーク全体としての帯域が飽和していても、通信を行おうとする端末コンピュータが必要とする帯域幅を確保することができるネットワークシステムを提供する。
【解決手段】本発明のネットワークシステムは、エージェント101〜151を備えた複数の端末100〜150によって構成されている。エージェント101〜151は、ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末に送信する要求情報生成部3を備えている。また、他の端末として前記要求情報を受信し、前記要求情報によって要求される通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する受付部4と、受付部4が取得した前記諾否情報が、通信の制限を承諾する旨を示す場合、自己の通信を制限する帯域制御部5とを備えている。
【解決手段】本発明のネットワークシステムは、エージェント101〜151を備えた複数の端末100〜150によって構成されている。エージェント101〜151は、ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末に送信する要求情報生成部3を備えている。また、他の端末として前記要求情報を受信し、前記要求情報によって要求される通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する受付部4と、受付部4が取得した前記諾否情報が、通信の制限を承諾する旨を示す場合、自己の通信を制限する帯域制御部5とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の複数のコンピュータ間における帯域制御を行うネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び、通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを用いた端末コンピュータ間の通信においては、経由するネットワーク経路の帯域幅やその混雑度により、データの送受信における通信速度が変化する。例えば、あるネットワーク上にある端末コンピュータが大容量のデータの送受信を行った場合、その送受信に係るネットワーク経路の帯域幅が広い高速通信回線であれば問題とならない場合もあるが、それほど広くない帯域幅の通信回線環境では、上記大容量のデータ送受信が他の端末コンピュータが使用可能な帯域幅を圧迫してしまう。このため、他の端末コンピュータは、通信を行うために必要十分な帯域幅を確保することができず、データ送受信に多くの時間を要するといった問題が生じる。
【0003】
このような問題に対して、最も広い帯域幅を確保できる経路を選択し、その選択された経路でデータの送受信を行うことで、できるだけ高い通信速度を得るといった方策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−209014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来例のように、広い帯域幅を確保できる経路を選択しようとしても、ネットワーク全体としての帯域幅には限りがあるため、ネットワーク全体としての帯域が飽和状態である場合には、結果的に十分な通信速度を得ることができる程度の帯域幅を確保することができないおそれがあった。
また、中継装置や、サーバによって各端末コンピュータに割り当てられる帯域幅を効率的に配分するように制御することも考えられるが、この場合においても、ネットワーク全体としての帯域幅には限りがある。このため、混雑度が高かったり、大容量のデータ転送が行われている状態であると、これから通信を開始しようとしている端末コンピュータは必要な帯域幅の割り当てを受けることができず、十分な通信速度を得ることができないおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク全体としての帯域が飽和していても、通信を行おうとする端末コンピュータが必要とする帯域幅を確保することができるネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムであって、一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成手段と、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段と、前記諾否情報取得手段が取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成のネットワークシステムによれば、諾否情報取得手段が取得した、要求情報によって要求される通信の制限を承諾するか否かについての諾否情報に基づいて、他の端末コンピュータの通信制限が行われるので、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに使用帯域幅を開放させることができる。この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。なお、他の端末コンピュータによる通信には、当該他の端末コンピュータ自体の要求により行われる通信だけでなく、当該他の端末コンピュータが要求を受けて行われる通信も含む。
【0009】
(2)上記ネットワークシステムにおいて、前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記通信制限手段に送信する終了通知手段をさらに備え、前記通信制限手段は、前記終了通知を受信すると、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を解除するものであることが好ましい。
この場合、一の端末コンピュータの通信が終了すれば、他の端末コンピュータにおける通信を、一の端末コンピュータが通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0010】
(3)また、前記要求情報生成手段は、前記一の端末コンピュータが行う通信に係る属性を示す属性情報を含んだ前記要求情報を生成するものであってもよい。
(4)さらに、前記属性情報は、前記一の端末コンピュータが行う通信の優先度及び/又は前記一の端末コンピュータを使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報であることが好ましい。
この場合、要求情報に基づいた、通信制限についての諾否に関する諾否情報に、一の端末コンピュータの通信に係る優先度や、一の端末コンピュータを使用するユーザについての情報を反映させることができ、状況に応じた通信制限を通信制限手段に行わせることができる。
【0011】
(5)前記諾否情報取得手段は、前記要求情報に示される要求に応じた、前記他の端末コンピュータを使用するユーザによる通信の制限を承諾するか否かの選択を、前記要求情報を受信する前から予め諾否情報として取得し記憶していてもよく、この場合、要求情報に対する通信制限の諾否の選択について、他の端末コンピュータを使用するユーザの選択を反映させることができるとともに、要求情報に応じた諾否情報を、予め定められた基準に基づいて設定し通信制限に反映させることができる。
【0012】
(6)また、上記ネットワークシステムは、前記複数の端末コンピュータの通信状況を把握する通信状況把握手段をさらに備え、前記要求情報生成手段は、前記通信状況把握手段が把握する通信状況に基づいて要求情報を生成するものであることが好ましい。
この場合、複数の端末コンピュータの通信状況に基づいて、通信制限の要求対象となる他の端末コンピュータを適切に特定でき、それに応じた要求情報を生成することができる。
【0013】
(7)前記通信状況把握手段は、前記複数の端末コンピュータと通信可能に接続された管理用の端末コンピュータに設けられているものであってもよい。
この場合、複数の端末コンピュータそれぞれが、自己以外の他の端末コンピュータの通信状況を把握する必要がなく、複数の端末コンピュータの通信状況を管理用の端末コンピュータで一括管理することができる。
【0014】
(8)また、本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記他の端末コンピュータに送信する終了通知ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記構成のコンピュータプログラムによれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、他の端末コンピュータに対して通信制限させるための要求情報を送信することで、他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を割り当てることができる。また、一の端末コンピュータの通信が終了すれば、他の端末コンピュータにおける通信を、一の端末コンピュータが通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0016】
(9)また、本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータが通信を開始する場合に、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を当該一の端末コンピュータから受信する他の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成のコンピュータプログラムによれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【0018】
(10)本発明は、複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおける、通信方法であって、一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記構成の通信方法によれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び通信方法によれば、ネットワーク全体としての帯域が飽和していても、通信を行おうとする端末コンピュータが必要とする帯域幅を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。
【図2】各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。
【図3】通信制御部が行う帯域幅の制御に関する処理を説明するための図である。
【図4】ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。
【図5】各端末のエージェントに対する現在の通信状況の問い合わせの態様を示す図である。
【図6】現状の通信状況の把握の態様を示す図である。
【図7】要求情報を他の端末に送信し、他の端末がユーザの選択を受け付ける態様を示す図である。
【図8】他の端末が要求情報に基づいて帯域幅を開放し、要求元の端末がデータ送信を開始する態様を示す図である。
【図9】要求元の端末がデータ送信を終了し、他の端末が元の帯域幅の戻す態様を示す図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係るネットワークシステムの一部を示す構成図である。
【図11】(a)は、管理端末が備えるエージェントの機能ブロック図であり、(b)は、管理テーブルの一例を示す図である。
【図12】各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。
【図13】各端末が備えるエージェントの記憶部に格納されている基準テーブルを示す図である。
【図14】通信要求情報を管理端末に送信する態様を示す図である。
【図15】管理端末が要求情報を送信し、その要求情報を受信した端末がユーザの選択を取得する態様を示す図である。
【図16】要求情報に基づいて帯域幅を開放し、要求元の端末がデータ送信を開始する態様を示す図である。
【図17】要求元の端末がデータ送信を終了し、他の端末が元の帯域幅の戻す態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第一の実施形態〕
〔システムの全体構成〕
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。図1中のネットワークシステムは、複数の端末コンピュータ100,110,120,130,140,150を有している。
このネットワークシステムは、例えば、企業内で用いられるシステムであり、端末コンピュータ(以下、単に「端末」ともいう)100,110,120を含む第一のサブネットN1と、端末130,140,150を含む第二のサブネットN2とによって構成されている。これら両サブネットN1,N2は、それぞれ、場所の異なる事業所に配置されており、互いに中継端末200、及びファイアウォール400を介して接続されている。このファイアウォール400を含んで両サブネットN1,N2間に介在する通信経路L1は、当該両サブネットN1,N2間を帯域幅10Mbpsで接続している。
【0023】
端末100〜150は、OSが搭載されたコンピュータによって構成されている。各端末100〜150には、各種アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」ともいう)102,112,122,132,142,152の動作基盤となるエージェントコンピュータプログラム(以下、単に「エージェント」ともいう)101,111,121,131,141,151がインストールされている。これらエージェントは、通常、各端末100〜150に常駐している。
【0024】
各端末のエージェント101〜151は、他の端末のエージェントと通信を行いつつ協調して動作することで、本実施形態に係るネットワークシステムにおける帯域確保機能を実現する。
また、各端末のエージェント101〜151は、端末に搭載された一又は複数のアプリケーション102〜152が動作するために必要な機能を提供するフレームワークでもある。
【0025】
エージェント101〜151上で動作するアプリケーション102〜152としては、ネットワーク内の情報の流れを追跡する情報追跡システム、ファイル転送システムなどが挙げられる。
これらのアプリケーションにおいては、一の端末に搭載されたアプリケーションが、他の端末に搭載された同種又は異種のアプリケーションと協調した協調処理を実行するために、エージェント101〜151を介して、アプリケーション間通信が行われる。
また、中継端末200も、各端末110〜150と同様、OSが搭載されたコンピュータによって構成されている。また、中継端末200は、エージェント201、及びこのエージェント201上で動作するアプリケーション202がインストールされている。このアプリケーション202としては、情報追跡システム、ファイル転送システムや、各サブネット間の通信を制御するためのシステムなどが挙げられる。
【0026】
〔エージェントの構成〕
図2は、本実施形態に係る帯域確保機能を実現するためのエージェントの機能ブロック図である。なお、図2に示す機能は、エージェントコンピュータプログラムが各端末において実行されることで発揮される機能である。
図2においては、端末100にインストールされたエージェント101を示しているが、他の端末110〜150、及び中継端末200におけるエージェントも同様の構成である。
【0027】
図2に示すように、エージェント101は、機能部として、通信制御部1と、通信状況把握部2と、要求情報生成部3と、受付部4と、帯域制御部5とを備えている。
通信制御部1は、端末100のアプリケーション102と、自己以外の通信対象となる端末(のアプリケーション)との間のネットワーク通信における使用帯域幅の制御を、帯域制御部5に命令に基づいて行う機能や、エージェント101(の上記各機能部)と他のエージェントとの間で行われる通信についての制御を行う機能を有している。
また、通信制御部1は、後述する要求情報を他の端末に対して送信することで、他の端末における通信制限がなされ、その上で、自己の通信を行った場合に、その通信が終了すると、その旨を示す終了通知を他の端末に送信する機能も有している。
【0028】
通信状況把握部2は、「一の端末」としての端末100のアプリケーション102が自己以外の端末との間でネットワーク通信(例えば、データ送信)を行おうとする際に、その通信相手である通信対象端末までのネットワーク経路における通信状況を把握する機能を有している。具体的には、前記通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している「他の端末」を特定するために、通信状況把握部2は、各端末のエージェントに対して、現在の通信状況を問い合わせ、現状の通信状況を示す状況情報を送信するように要求する機能を有している。さらに、前記要求に応じて各端末から送信される前記状況情報を受信し要求情報生成部3に与える機能も有している。
【0029】
要求情報生成部3は、通信状況把握部2から与えられる各端末の状況情報に基づいて、端末100から通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、さらに、当該端末100が必要とする帯域幅を確保するために、前記他の端末に対して、当該他の端末が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する機能を有している。また、通信を行っていない他の端末に対しては、通信を控えることを要求するか否かを決定する機能も有している。
また、要求情報生成部3は、当該端末100が必要とする帯域幅を確保するために、ネットワークを介した通信の制限を要求するための要求情報を生成し、この要求情報を前記他の端末に送信する機能を有している。
この要求情報は、前記他の端末に対して、通信を控えることを要求する旨や、通信を行っている場合にはその使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅といった、通信制限に関する情報の他、端末100を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末100が行おうとしている通信の優先度等といった端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んで生成される。
なお、上記優先度とは、各端末が行う通信に対して適宜設定される属性で、例えば業務上の優先順位を定めるための値であり、ここでは、数値が大きいほどその通信が優先される。この優先度は、緊急度や重要度に応じて、各端末が行う通信それぞれに設定することができる。
【0030】
受付部4は、端末100が前記「他の端末」として前記要求情報を受信する場合において、当該要求情報を受信し、この要求情報に応答して、前記要求情報による要求を承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段としての機能を有している。
具体的に、受付部4は、前記要求情報を受信すると、当該要求情報に含まれる、「一の端末」が要求する通信制限に関する情報や、「一の端末」を使用するユーザのユーザ特定情報、「一の端末」が行おうとしている通信の優先度について、端末100のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100のユーザにおいて認識可能にする機能を有している。
さらに、受付部4は、端末100のユーザが、マウス等の入力デバイスを用いて「一の端末」からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面をモニタ画面に出力する機能を有している。これにより、当該ユーザが、要求情報に示される要求を承諾するか否かについての選択について入力することで、受付部4は、要求情報に示される要求を承諾するか否かについての端末100のユーザによる選択を、要求情報によって要求される通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報として取得することができる。
受付部4は、取得した諾否情報を、前記要求情報とともに帯域制御部5に与える。
【0031】
帯域制御部5は、受付部4から与えられる、前記要求情報、及び、諾否情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた通信制限を行うか否かを決定しそれに基づいた通信制限を行う通信制限手段としての機能を有している。帯域制御部5は、端末100のユーザの選択が、要求を承諾するものである場合には、要求情報に示される要求に応じた通信制限を実現するように通信制御部1を制御する。一方、端末100のユーザの選択が要求を承諾しないものである場合には、自己が使用している帯域幅を開放したり、通信の開始を控えるといったことを行わない。
また、帯域制御部5は、自己以外の端末から送信される上記終了通知を受信すると、現状行っている通信制限を解除する機能も有している。
【0032】
図3は、通信制御部1が行う通信帯域制御に関する処理の一例を説明するための図である。
図3では、アプリケーション102が通信対象端末のアプリケーションに対してデータ送信を行う際の処理を示している。アプリケーション102は、エージェント101(の通信制御部1)を介して通信対象端末に対してデータ送信する。このため、アプリケーション102は、送信する送信データをエージェント101に与え、当該送信データの送信をエージェント101に要求する。
送信データを受け付けたエージェント101は、自己の通信制御部1に当該送信データを与える。通信制御部1は、この送信データを所定サイズの複数のデータブロックに分割し、自己が有するFIFO等により構成される送信キュー1aに前記データブロックを順次格納する。
通信制御部1は、一定時間間隔で送信キュー1aからデータブロックを順次抜き出し、通信対象端末に対して送信を行う。このとき、通信制御部1は、例えば、送信キュー1aからデータブロックを抜き出す際の時間間隔を調整することで、送信データの帯域幅を調整する。この時間間隔は、帯域制御部5からの制御指令に応じて定められ、通信制御部1は、帯域制御部5の制御指令に基づいて送信データの帯域制御を行う。
【0033】
〔第一の実施形態による帯域制御の具体例〕
次に、上記ネットワークシステムにおける帯域割り当て制御についての具体例を図4〜図9に基づいて説明する。
なお、図4〜図9では、第一のサブネットN1中の端末120を「一の端末」、端末100,端末110を「他の端末」として説明する。
図4は、ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。図4において、端末100は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末150に対して帯域幅5Mbpsを利用してデータの送信を行っている。また、端末110は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末140に対して帯域幅4Mbpsを利用してデータの送信を行っている。
ここで、「一の端末」である端末120のアプリケーション122において、第二のサブネットN2の端末130に対して5Mbpsの帯域幅を要するデータ送信を行うイベントが発生したとする。
【0034】
すると、図5に示すように、端末120のエージェント121は、通信を確実に行うため、通信状況把握部2に端末130までの経路における通信状況を把握させる。
通信状況把握部2は、各端末のエージェントに対して、現在の通信状況を問い合わせるための問い合わせ情報を、第一のサブネットN1内のエージェントのみが受信可能なマルチキャストパケットで送信する(図5中、S1)。
なお、本実施形態では、端末120が、第二のサブネットN2の端末130と通信を行おうとしているため、エージェント121は、両サブネットN1,N2の間に介在する通信経路L1の帯域幅の使用状況を把握するために、第一のサブネットN1内のエージェントのみに問い合わせを行ったが、端末120が行おうとしている通信の経路によっては、第二のサブネットN2内の各端末のエージェントに通信状況を問い合わせる場合もある。エージェント121は、本ネットワークシステム全体を管理把握しているサーバ等が有する管理エージェント(図示せず)を利用して問い合わせることもできる。
【0035】
各端末の通信制御部1は、自己以外の端末から通信状況の問い合わせ情報を受信すると、現状の状況情報を問い合わせ元のエージェントに送信する機能を有している。
したがって、端末100,110それぞれのエージェント101,111が、端末120からの問い合わせ情報を受信すると、図6に示すように、エージェント101,111は、自己の通信制御部1に現状の端末の通信状況を示す状況情報をエージェント121に対して送信させる(図6中、S2−1,S2−2)。
なお、状況情報には、その端末の帯域使用量についての情報の他、通信先の端末、その通信の優先度等を含んでいる。また、仮に、通信を行っていない端末が上記問い合わせ情報を受信した場合には、当該端末は、通信を行っていない旨の状況情報を返信する。
【0036】
エージェント101,111からの状況情報を受信した端末120のエージェント121は、この状況情報に基づいて、端末100から端末130までのネットワーク経路と重複する経路を使用している他の端末を、自己の要求情報生成部3に特定させる。
ここで、エージェント121の要求情報生成部3は、エージェント101からの状況情報によって、端末100が端末150に対して帯域幅5Mbpsでデータ送信中であること、及び端末110が端末140に対して帯域幅4Mbpsでデータ送信中であることを認識する。
要求情報生成部3は、例えば、通信経路L1の最大帯域幅が10Mbpsであることを記憶しておくことで、上記情報から、通信経路L1において利用可能な帯域幅が1Mbpsであることを把握できる。また要求情報生成部3は、端末120が行おうとしているデータ送信の経路である通信経路L1を用いている「他の端末」が端末100及び110であることも把握する。
この結果、エージェント121の要求情報生成部3は、現状の通信状況では、端末120が行おうとしているデータ送信に必要な帯域幅である5Mbpsが確保できないと判断する(図6中、ステップS3)。
なお、ここでは、通信経路L1の最大帯域幅が10Mbpsであることを要求情報生成部3が記憶している場合を例示したが、端末120を使用するユーザが要求情報生成部3にその旨を認識させてもよい。
【0037】
上記のように判断したエージェント121の要求情報生成部3は、図7に示すように、端末120が行おうとしているデータ送信に必要な5Mbpsの帯域幅を確保するために、端末100,110それぞれのエージェント101,111に対して要求すべき通信制限に関する内容、例えば、これらエージェント101,111が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する。
このとき要求情報生成部3は、端末120が要求する通信の優先度と、他の端末が行っている通信の優先度とを比較する。そして、端末120が要求する通信の優先度よりも低い優先度の通信を行っている他の端末に対して、使用帯域幅の開放を要求することを決定するとともに、その開放を要求する帯域幅を決定する。このように、通信中の端末が複数ある場合には、それぞれが使用している帯域幅に応じて、各端末に開放を要求する帯域幅を異ならせることもできる。
【0038】
また、例えば、上記端末100、110以外に、現状、通信を行っていない端末が存在する場合には、要求情報生成部3は、その端末に対して、通信を控えるように要求することを決定することもできる。
【0039】
なお、ここでは、要求情報生成部3は、エージェント101,111が使用している帯域幅の全部の開放、又は、使用帯域幅の半分の開放のいずれかを要求することを決定した場合を示している。
さらに、要求情報生成部3は、上記で決定した帯域幅について開放することを要求するための要求情報を生成し、この要求情報を端末100,110のエージェント101,111に送信する(図7中、ステップS4)。
この要求情報には、上述のように、要求情報生成部3が決定した開放を要求する帯域幅についての情報の他、端末120を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末120が行おうとしている通信の優先度が含まれている。
【0040】
次いで、端末120からの要求情報を受信した端末100(110)のエージェント101(111)は、要求情報を受付部4に与える。受付部4は、この要求情報に応答して、当該要求情報に含まれる、端末120が開放を要求する帯域幅についての情報や、端末120を使用するユーザのユーザ特定情報、端末120が行おうとしている通信の優先度について通知するための通知画面を、端末100(110)のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100(110)を使用するユーザそれぞれに向けて表示する。この通知画面によって、端末100(110)を使用するユーザに対して、要求情報を受信したことを通知する。
【0041】
さらに、受付部4は、端末100(110)のユーザが、マウス等の入力デバイスを用いて端末120からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面を、前記通知画面とともにモニタ画面に表示する(図7中、ステップS5−1,S5−2)。
本実施形態において、この選択画面は、「使用帯域幅の全部を開放」、「使用帯域幅の半分を開放」、「使用帯域幅の開放を拒否」の3つを端末100(110)のユーザが選択できるように表示される。この選択画面によって、受付部4は、端末100(110)を使用するユーザに端末120からの要求に対する判断を促す。
受付部4は、端末100(110)を使用するユーザによる選択画面の操作に応じて、要求情報に含まれる要求を承諾するか否かについての端末100(110)を使用するユーザによる選択を受け付け、その選択を諾否情報として取得する(ステップS6−1,S6−2)。
本実施形態では、端末100(110)を使用するユーザは共に「使用帯域幅の半分を開放」することを承諾し選択した場合を示している。
【0042】
また、受付部4が前記選択画面とともに表示する通知画面には、要求情報の送信元である端末120が行おうとしている通信の優先度やユーザ特定情報といった属性情報が表示されるので、受付部4が受け付ける、端末100(110)を使用するユーザによる選択に、前記優先度や、端末120を使用するユーザについての情報を反映させることができる。
つまり、受付部4は、端末100(110)のユーザが要求情報に示される要求を認識した上で決定した選択を受け付けることができるので、現在の通信状況に応じた、端末100(110)を使用するユーザの意思を反映した許諾情報を取得することができる。
【0043】
端末100(110)のエージェント101(111)それぞれの受付部4は、受け付けた端末100(110)のユーザに選択に関する情報を、前記要求情報とともに帯域制御部5に与える。
受付部4から前記要求情報、及び、端末100(110)の許諾情報が与えられたエージェント101(111)それぞれの帯域制御部5は、これら各情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた帯域幅を開放するか否かを決定して帯域制御を行う。
帯域制御部5は、端末100(110)のユーザの選択に従って、自己が使用している帯域幅を制御する。本実施形態では、図8に示すように、端末100(110)のユーザが「使用帯域幅の半分を開放」することを承諾(選択)し、その旨の情報を取得しているので、エージェント101(111)それぞれの帯域制御部5は、現状使用している帯域幅の内、半分を開放することを決定し、使用帯域幅の半分を開放するように帯域制御を行う(図8中、ステップS7−1,S7−2)。具体的には、端末100の使用帯域幅は、2.5Mbpsに、端末110の使用帯域幅は、2Mbpsに制御される。
なお、帯域制御部5は、端末100(110)のユーザが使用帯域幅の開放を承諾しなかったとしても、要求情報に含まれる、ユーザ特定情報や、優先度に基づいた自己の判断(例えば、要求情報が強制的に使用帯域幅を開放することを求めている旨の内容である場合等)により、使用帯域幅を開放することを強制的に決定することもできる。
【0044】
その後、エージェント101(111)は、それぞれのユーザの承諾を得て使用帯域幅を要求情報に従って開放するように制御したことを示す情報を、要求情報の送信元である端末120のエージェント121に送信する(図8中、ステップS8−1,S8−2)。
【0045】
使用帯域幅を開放するように制御したことを示す情報を受信したエージェント121は、第二のサブネットS2の端末130に向けて、データ送信を開始する(図8中、ステップS9)。
なお、通信を行っていない端末が存在し、その端末が、自己の通信を控えるように要求されかつ通信を控えることを決定した場合においても、当該端末のエージェントは、自己の通信を一時的に控えていることを示す情報を、要求情報の送信元である端末120のエージェント121に送信する。
【0046】
端末120のデータ送信が終わると、エージェント121は、図9に示すように、使用帯域幅を開放した端末100,110のエージェント101,111に対して、データの送信が終了した旨を示す終了通知を送信する(図9中、ステップS10)。
【0047】
端末120のエージェント121からの終了通知を受信した端末100,110のエージェント101,111は、その後、通信制限を解除して元の帯域幅で通信を行うように帯域制御を行う(図9中、ステップS11−1,S11−2)。
このように、エージェント120が、端末120の通信の終了に応じて、端末100,110に対して終了通知を送信するので、端末100,110における通信を、端末120が通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0048】
上記のように構成されたネットワークシステムによれば、受付部4が取得した、要求情報によって要求される通信の制限を承諾するか否かについての諾否情報に基づいて、端末100(110)における通信制限が行われるので、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、端末100(110)に使用帯域幅を開放させることができる。この結果、端末120に対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【0049】
また、本実施形態のネットワークシステムは、各端末の通信状況を把握する通信状況把握部2を備え、要求情報生成3は、通信状況把握部2が把握する各端末の通信状況に基づいて要求情報を生成するので、使用帯域幅の開放の要求対象となる他の端末である端末100(110)を適切に特定でき、それに応じた要求情報を生成することができる。
【0050】
また、本実施形態において、上記のように、端末120に対して、使用帯域の開放を行った端末100のエージェント101及び端末110のエージェント111は、将来、端末120との間で、通信制限を要求したり、その要求を受けた場合に、当該端末120に対しての優先度を高くすることができる権原を示すポイントを取得する。
エージェント101,111は、将来、端末120との間で、通信制限に関する要求の授受を行う際には、これらのポイントを用いることで、端末120に対する自己の通信の優先度を上げることができ、端末120との間の通信制限に関して、自己の通信を優先させることができる。これによって、エージェント101,111は、過去に端末120に対して使用帯域を譲ったことに対する対価を受けることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、端末120のエージェント121からの終了通知の受信に応じて、端末100,110のエージェント101,111が、通信制限を解除して元の帯域幅で通信を行うように構成されている場合を例示したが、例えば、端末100,110のエージェント101,111は、通信制限を行う期間を設定し、その期間内で通信制限を行い、当該期間が経過すると通信制限を解除するように構成することもできる。
この場合、通信制限を行う通信制限期間は、端末120側から自己の通信に必要な期間として要求することもできるし、端末100、110が、自己の通信の状況に応じて設定可能な範囲で設定することもできる。
【0052】
〔第二の実施形態〕
図10は、本発明の第二の実施形態に係るネットワークシステムの一部を示す構成図である。本実施形態は、第一のサブネットS1中にネットワーク内の管理を行うための管理端末コンピュータ300を備えている点で、第一の実施形態と相違している。
【0053】
管理端末コンピュータ300(以下、管理端末300ともいう)は、エージェント301がインストールされ常駐している。また、ネットワークに関する各種管理を行うためのシステム等を実現するためのアプリケーションがインストールされている。
【0054】
図11(a)は、管理端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。エージェント301は、機能部として、通信制御部11と、通信状況把握部12と、要求情報生成部13とを備えている。
通信制御部11は、管理端末300にインストールされているアプリケーション302が行う通信や、他のエージェントとの間で行われる通信についての制御を行う機能を有している。
【0055】
通信状況把握部12は、第一のサブネットS1中に含まれる各端末100〜120の通信状況を常時管理する機能を有している。具体的に、通信状況把握部12は、各端末100〜120の現状の通信状況を記憶管理するために管理テーブルを備えている。
図11(b)は、上記管理テーブルの一例を示す図である。この管理テーブルには、通信中であるか否か、通信中である場合における通信を要求した端末のユーザ特定情報、その通信の優先度、帯域使用量といった情報が、第一のサブネットS1中の各端末100〜120それぞれについて格納されている。
通信状況把握部12は、図10に示すように、第一のサブネットS1内の各端末100〜120が送信する、現状の通信状況を示す状況情報を受信することで、上記管理テーブルに格納される各種情報を取得する。なお、各端末100〜120が送信する状況情報は、その端末が通信中であるか否か、通信中である場合における通信先の端末、その通信の優先度、帯域使用量についての情報を含んでいる。通信状況把握部12は、各端末の状況情報を受信すると、この状況情報に含まれる各種情報を管理テーブルに格納し、各端末100〜120の通信状況を管理する。
【0056】
要求情報生成部13は、エージェント301が各端末100〜120から送信される通信要求情報(後に詳述する)を受信すると、管理テーブルに格納された情報に基づいて、前記通信要求情報の送信元の端末から当該送信元の端末が通信を行おうとしている通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、さらに、当該要求元の端末が必要とする帯域幅を確保するために、前記他の端末に対して、当該他の端末が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する機能を有している。また、通信を行っていない他の端末に対しては、通信を控えることを要求するか否かを決定する機能も有している。
さらに、要求情報生成部13は、前記要求情報の送信元の端末が必要とする帯域幅を確保するために、ネットワークを介した通信の制限を要求するための要求情報を生成し、この要求情報を前記他の端末に送信する機能を有している。
【0057】
図12は、各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。なお、図12は、端末100のエージェント101を示しているが、他の端末においても同様の構成である。
図12に示すエージェント101は、第一の実施形態にて示したエージェントが有する通信状況把握部2及び要求情報生成部3を有しない点を除いて、基本的に同様に構成されている。
エージェント101の通信制御部1は、自己の通信状況を変更する毎に、現状の通信状況を示す状況情報を管理端末300のエージェント301に送信するように構成されている(図10参照)。このため、エージェント301の管理テーブルには、常に現状の通信状況が格納される。
また通信制御部1は、端末100のアプリケーション102が自己以外の端末との間でネットワーク通信(例えば、データ送信)を行おうとする際に、アプリケーション102が通信を要求している通信対象端末や、必要な帯域幅についての情報の他、端末100を使用するユーザのユーザ特定情報、通信の優先度等といった端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んだ、通信要求情報を生成し、管理端末300に送信する機能を有している。
【0058】
また、本実施形態のエージェント101は、受付部4が取得する、ユーザの選択に基づく諾否情報を予め取得し記憶しておき、要求情報を受信したときに、記憶しておいた諾否情報の中から、その要求情報に示される要求に応じた諾否情報を取得する機能を有している。
エージェント101の受付部4は、予め取得した、要求情報に示される要求を承諾するか否かの諾否情報を記憶するための記憶部4aを備えている。
この記憶部4aには、図13に示すように、要求情報の送信元の端末が行おうとしている通信に設定されている優先度、及び要求情報の送信元の端末のユーザを特定するためのユーザ特定情報に応じて承諾するか否かを決定するにあたっての自己の端末のユーザの選択を示す基準テーブルが記憶されている。
【0059】
基本的に、優先度の値のみによって、各通信の優先順位が定められるが、自己の端末のユーザの属性によっては、要求情報の送信元のユーザに応じて、その優先順位の変更を必要とする場合もある。
この基準テーブルは、自己の端末のユーザによって入力されており、自己の端末が通信中(送信中)のときに要求情報を受信した場合に、自己の端末の通信中の通信に係る優先度より定まる優先順位と、要求情報の送信元の端末が行おうとしている通信に設定されている優先度、及び要求情報の送信元の端末のユーザにより定まる優先順位とを比較していずれの通信を優先するかといった、当該ユーザの選択を記憶している。
【0060】
例えば、自己の端末が優先度「3」で送信を行っているときに、ユーザ特定情報より特定されるユーザが「○○部長」、優先度「3」とされた要求情報を受信したとすると、図13より、要求情報に係る通信の方が優先順位が上位となるので、この場合、受付部4は、要求情報に係る通信を優先させるべく、当該要求情報に示される通信制限に関する要求を承諾することを選択する。
以上のように、自己の端末のユーザは、上記基準テーブルに予め入力することによって、自己の端末のエージェントが要求情報を受信したときのその要求を承諾するか否かの選択について、当該要求情報を通信の優先度に加えて、要求情報の送信元のユーザを考慮に入れるという、自己の端末のユーザ自身の意思に基づいた選択を、諾否情報として受付部4に取得させることができる。
【0061】
このように、本実施形態のエージェント101の受付部4は、要求情報に応じた、自己の端末のユーザの選択に基づく諾否情報を予め取得して、上記基準テーブルとして記憶しているので、要求情報に対する通信制限の諾否の選択について、当該ユーザの選択を反映させることができるとともに、要求情報に応じた諾否情報を、予め定められた基準に基づいて設定し通信制限に反映させることができる。
【0062】
〔第二の実施形態による帯域制御の具体例〕
次に、上記ネットワークシステムにおける帯域割り当て制御についての具体例を図14〜図17に基づいて説明する。
図14は、ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。図14において、端末100は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末150に対して帯域幅5Mbpsを利用してデータの送信を行っている。また、端末110は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末140から、帯域幅5Mbpsを利用してデータの受信を行っている。
なお、上述したように、管理端末300のエージェント301は、各端末100〜120から送信される状況情報から得られる各種情報が格納された管理テーブルによって、各端末100〜120の現状の通信状況を把握している。
【0063】
ここで、「一の端末」である端末120のアプリケーション122において、第二のサブネットN2の端末130に対して5Mbpsの帯域幅を要する緊急度の高いデータ送信を行うイベントが発生したとする。
端末120のエージェント121は、まず、アプリケーション122が通信を要求している通信対象端末が端末130であることを示す情報や、必要な帯域幅が5Mbpsであることを示す情報の他、端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んだ、通信要求情報を生成し、管理端末300に対して送信する(図14中、ステップS101)。
なお、この場合、当該データ送信の緊急度が高いので、エージェント121は、自己の判断又は端末120のユーザの指示等に基づいて、優先度を高く、例えば、ここでは「5」に設定する。
【0064】
通信要求情報を受信した管理端末300のエージェント301は、上述のように、管理テーブルに格納された情報に基づいて、端末120が要求している通信が可能であるかを判断する。エージェント301は、管理テーブルを参照して、端末120から通信対象端末である端末130までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、エージェント121が要求する帯域幅を確保できるか否かを判断する。
本実施形態では、端末100が端末150に対して帯域幅5Mbpsでデータ送信中であるとともに、端末110が端末140から帯域幅4Mbpsでデータを受信中であることから、エージェント301は、端末120の使用しようとしている経路の内、通信経路L1が端末100及び端末110の使用経路と重複すること、及び、この通信経路L1における残りの帯域幅が1Mbpsであることを認識する。
【0065】
したがって、エージェント301は、現状では、端末120が要求する帯域幅の確保ができないと判断する(図14中、ステップS102)。
次いで、エージェント301は、端末120が必要とする帯域幅を確保するために、端末100及び端末110に対して要求する通信制限の内容として、これらが使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する。
このとき、エージェント301は、管理テーブルに格納されている各情報を参照し、端末120が要求する通信の優先度と、他の端末が行っている通信の優先度とを比較する。そして、端末120が要求する通信の優先度よりも低い優先度の通信を行っている他の端末に対して、使用帯域幅の開放を要求することを決定するとともに、その開放を要求する帯域幅を決定する。
なお、エージェント301は、優先度以外に、例えば、端末120のユーザ特定情報と、各端末のユーザ特定情報とを対比したり、各端末の通信時間等を考慮して使用帯域幅の開放を要求する端末を決定することもできる。
【0066】
図14では、端末110は、端末140からのデータを受信しているので、この端末110に対して使用帯域幅の開放を要求することはできない。したがって、本実施形態においては、エージェント301は、帯域幅5Mbpsでデータ送信を行っている端末100に対してのみに使用帯域幅の開放を要求できる。
【0067】
そこで、エージェント301は、端末100が行っている通信の優先度と、端末120が行おうとしている通信の優先度とを比較する。この結果、本実施形態では、端末120の通信は、緊急度の高い通信として優先度が「5」と設定されており、端末100が行っている通信の優先度「3」(図11(b)参照)よりも高い値に設定されているため、エージェント301は、端末120が要求している帯域幅である5Mbpsを確保するため、5Mbpsの帯域幅で通信を行っている端末100に、使用帯域幅の全てを開放を要求することを決定する。
上記決定に基づいて、エージェント301は、端末100に対する通信制限として、使用帯域幅の全てを開放することを要求する旨の要求情報を生成し、図15に示すように、端末100に対して送信する(図15中、ステップS103)。
なお、この要求情報には、第一の実施形態と同様、要求情報生成部3が決定した通信制限についての情報の他、端末120を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末120が行おうとしている通信の優先度が含まれている。
【0068】
管理端末300からの要求情報を受信した端末100のエージェント101は、要求情報を受付部4に与える。受付部4は、要求情報を受け付けると、記憶部4aに記憶された基準テーブル(図13参照)に基づいて、予め受け付けておいた、その要求情報に示される要求に応じた諾否情報を取得する(図15中、ステップS104)。
本実施形態では、端末100のユーザが行っている通信の優先度が「3」、要求している通信の優先度が「5」であり、仮に、端末120のユーザが図13中の「○○部長」であるとすると、エージェント101の受付部4は、基準テーブル参照することで、この場合の端末100のユーザの選択が、自己の通信よりも、管理端末300からの要求情報に示される要求に係る通信の方を優先させる判断であることを認識でき、受付部4は、要求情報に係る通信を優先させるべく、当該要求情報に示される通信制限を承諾することを選択する。
このように、受付部4は、端末100のユーザの選択が反映された基準テーブルを参照することで、要求情報に示される通信制限を承諾する旨の諾否情報を取得することができる。
【0069】
なお、この場合、受付部4は、第一の実施形態にて述べたように、この要求情報に応答して、当該要求情報に含まれる、端末120が要求する通信制限についての情報や、端末120を使用するユーザのユーザ特定情報、端末120が行おうとしている通信の優先度について通知するための通知画面を、端末100のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100のユーザに向けて表示するとともに、マウス等の入力デバイスを用いて端末120からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面を、モニタ画面に表示してもよい。
この場合、端末100のユーザは、自己が直接要求を承諾するか否かを選択画面により選択してもよいし、受付部4に処理させることもできる。
【0070】
端末100のエージェント101は、受付部4が取得した、要求情報に示される要求を承諾する旨の諾否情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた通信制限を行うべく、自己が使用する帯域幅を開放するように帯域制御を行う。
エージェント101は、前記要求情報の要求に基づいて、現状使用している帯域幅の全部を開放することを決定し、図16に示すように、使用帯域幅の全部を開放するように帯域制御を行う(図16中、ステップS105)。
【0071】
その後、エージェント101は、使用帯域幅を要求情報に従って通信制限を行ったことを示す情報を、管理端末300のエージェント301に送信する(図16中、ステップS106)。
【0072】
通信制限を行ったことを示す情報を受信したエージェント301は、エージェント121に対して、通信に必要な帯域幅が確保できた旨を通知する(図16中、ステップS107)。
エージェント301から、上記通知を受けたエージェント121は、第二のサブネットS2の端末130に向けて、データ送信を開始する(図16中、ステップS108)。
【0073】
端末120のデータ送信が終わると、エージェント121は、図17に示すように、管理端末300のエージェント301に対して、データの送信が終了した旨を示す通知を送信する(図17中、ステップS109)。
【0074】
エージェント121からデータ送信終了を示す通知を受信した管理端末300のエージェント301は、端末100のエージェント101に対して、端末120の通信が終了した旨を示す終了通知を送信する(図17中、ステップS110)。
エージェント301からの端末120の通信が終了した旨の終了通知を受信した端末100のエージェント101は、その後、通信制限を解除し元の帯域幅で通信を行うように帯域制御を行う(図17中、ステップS111)。
【0075】
上記構成のネットワークシステムによれば、通信状況把握部12を有するエージェント301を備えた管理端末300が設けられているので、各端末それぞれが、自己以外の他の端末の通信状況を把握する必要がなく、各端末の通信状況を管理端末300で一括管理することができる。
このため、各端末100〜120は、それぞれに自己以外の他の端末の通信状況を把握するための機能部を備える必要がなく、システムを構成する各端末の構成を簡略化することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、ネットワークシステムの全体構成を中継端末及びファイアウォールで繋いだ二つのサブネットとした場合を例示したが、これに限定されるものでなく、複数の端末コンピュータで構成されるネットワークシステムであれば、本発明を適用することができる。
また、要求情報により他の端末に対して開放が要求される帯域幅は、他の端末が多数である場合には、これら他の端末が行っている通信の優先度に応じて適宜差異を設けて設定される。このため、帯域幅の開放の開放を要求する要求元である一の端末は、使用帯域幅の開放の要求に対して、他の端末からの承諾を得やすくなる。
また、上記各実施形態では、現状通信を行っている他の端末の内、その通信の送信元の端末を特定して通信制限を行うように構成したが、その通信の送信先の端末を特定して通信に関する情報を取得し、通信制限を行うように構成することもできる。
【0077】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 通信制御部(終了通知手段)
2 通信状況把握部(通信状況把握手段)
3 要求情報生成部(要求情報生成手段)
4 受付部(諾否情報取得手段)
4a 記憶部
5 帯域制御部(通信制限手段)
12 通信状況把握部(通信状況把握手段)
13 要求情報生成部(要求情報生成手段)
100〜150 端末
300 管理端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の複数のコンピュータ間における帯域制御を行うネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び、通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを用いた端末コンピュータ間の通信においては、経由するネットワーク経路の帯域幅やその混雑度により、データの送受信における通信速度が変化する。例えば、あるネットワーク上にある端末コンピュータが大容量のデータの送受信を行った場合、その送受信に係るネットワーク経路の帯域幅が広い高速通信回線であれば問題とならない場合もあるが、それほど広くない帯域幅の通信回線環境では、上記大容量のデータ送受信が他の端末コンピュータが使用可能な帯域幅を圧迫してしまう。このため、他の端末コンピュータは、通信を行うために必要十分な帯域幅を確保することができず、データ送受信に多くの時間を要するといった問題が生じる。
【0003】
このような問題に対して、最も広い帯域幅を確保できる経路を選択し、その選択された経路でデータの送受信を行うことで、できるだけ高い通信速度を得るといった方策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−209014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来例のように、広い帯域幅を確保できる経路を選択しようとしても、ネットワーク全体としての帯域幅には限りがあるため、ネットワーク全体としての帯域が飽和状態である場合には、結果的に十分な通信速度を得ることができる程度の帯域幅を確保することができないおそれがあった。
また、中継装置や、サーバによって各端末コンピュータに割り当てられる帯域幅を効率的に配分するように制御することも考えられるが、この場合においても、ネットワーク全体としての帯域幅には限りがある。このため、混雑度が高かったり、大容量のデータ転送が行われている状態であると、これから通信を開始しようとしている端末コンピュータは必要な帯域幅の割り当てを受けることができず、十分な通信速度を得ることができないおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク全体としての帯域が飽和していても、通信を行おうとする端末コンピュータが必要とする帯域幅を確保することができるネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムであって、一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成手段と、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段と、前記諾否情報取得手段が取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成のネットワークシステムによれば、諾否情報取得手段が取得した、要求情報によって要求される通信の制限を承諾するか否かについての諾否情報に基づいて、他の端末コンピュータの通信制限が行われるので、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに使用帯域幅を開放させることができる。この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。なお、他の端末コンピュータによる通信には、当該他の端末コンピュータ自体の要求により行われる通信だけでなく、当該他の端末コンピュータが要求を受けて行われる通信も含む。
【0009】
(2)上記ネットワークシステムにおいて、前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記通信制限手段に送信する終了通知手段をさらに備え、前記通信制限手段は、前記終了通知を受信すると、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を解除するものであることが好ましい。
この場合、一の端末コンピュータの通信が終了すれば、他の端末コンピュータにおける通信を、一の端末コンピュータが通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0010】
(3)また、前記要求情報生成手段は、前記一の端末コンピュータが行う通信に係る属性を示す属性情報を含んだ前記要求情報を生成するものであってもよい。
(4)さらに、前記属性情報は、前記一の端末コンピュータが行う通信の優先度及び/又は前記一の端末コンピュータを使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報であることが好ましい。
この場合、要求情報に基づいた、通信制限についての諾否に関する諾否情報に、一の端末コンピュータの通信に係る優先度や、一の端末コンピュータを使用するユーザについての情報を反映させることができ、状況に応じた通信制限を通信制限手段に行わせることができる。
【0011】
(5)前記諾否情報取得手段は、前記要求情報に示される要求に応じた、前記他の端末コンピュータを使用するユーザによる通信の制限を承諾するか否かの選択を、前記要求情報を受信する前から予め諾否情報として取得し記憶していてもよく、この場合、要求情報に対する通信制限の諾否の選択について、他の端末コンピュータを使用するユーザの選択を反映させることができるとともに、要求情報に応じた諾否情報を、予め定められた基準に基づいて設定し通信制限に反映させることができる。
【0012】
(6)また、上記ネットワークシステムは、前記複数の端末コンピュータの通信状況を把握する通信状況把握手段をさらに備え、前記要求情報生成手段は、前記通信状況把握手段が把握する通信状況に基づいて要求情報を生成するものであることが好ましい。
この場合、複数の端末コンピュータの通信状況に基づいて、通信制限の要求対象となる他の端末コンピュータを適切に特定でき、それに応じた要求情報を生成することができる。
【0013】
(7)前記通信状況把握手段は、前記複数の端末コンピュータと通信可能に接続された管理用の端末コンピュータに設けられているものであってもよい。
この場合、複数の端末コンピュータそれぞれが、自己以外の他の端末コンピュータの通信状況を把握する必要がなく、複数の端末コンピュータの通信状況を管理用の端末コンピュータで一括管理することができる。
【0014】
(8)また、本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記他の端末コンピュータに送信する終了通知ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記構成のコンピュータプログラムによれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、他の端末コンピュータに対して通信制限させるための要求情報を送信することで、他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を割り当てることができる。また、一の端末コンピュータの通信が終了すれば、他の端末コンピュータにおける通信を、一の端末コンピュータが通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0016】
(9)また、本発明は、ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータが通信を開始する場合に、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を当該一の端末コンピュータから受信する他の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0017】
上記構成のコンピュータプログラムによれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【0018】
(10)本発明は、複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおける、通信方法であって、一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記構成の通信方法によれば、上述のように、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、当該他の端末コンピュータに通信を制限させることができ、この結果、一の端末コンピュータに対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のネットワークシステム、コンピュータプログラム、及び通信方法によれば、ネットワーク全体としての帯域が飽和していても、通信を行おうとする端末コンピュータが必要とする帯域幅を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。
【図2】各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。
【図3】通信制御部が行う帯域幅の制御に関する処理を説明するための図である。
【図4】ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。
【図5】各端末のエージェントに対する現在の通信状況の問い合わせの態様を示す図である。
【図6】現状の通信状況の把握の態様を示す図である。
【図7】要求情報を他の端末に送信し、他の端末がユーザの選択を受け付ける態様を示す図である。
【図8】他の端末が要求情報に基づいて帯域幅を開放し、要求元の端末がデータ送信を開始する態様を示す図である。
【図9】要求元の端末がデータ送信を終了し、他の端末が元の帯域幅の戻す態様を示す図である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係るネットワークシステムの一部を示す構成図である。
【図11】(a)は、管理端末が備えるエージェントの機能ブロック図であり、(b)は、管理テーブルの一例を示す図である。
【図12】各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。
【図13】各端末が備えるエージェントの記憶部に格納されている基準テーブルを示す図である。
【図14】通信要求情報を管理端末に送信する態様を示す図である。
【図15】管理端末が要求情報を送信し、その要求情報を受信した端末がユーザの選択を取得する態様を示す図である。
【図16】要求情報に基づいて帯域幅を開放し、要求元の端末がデータ送信を開始する態様を示す図である。
【図17】要求元の端末がデータ送信を終了し、他の端末が元の帯域幅の戻す態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第一の実施形態〕
〔システムの全体構成〕
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るネットワークシステムの構成図である。図1中のネットワークシステムは、複数の端末コンピュータ100,110,120,130,140,150を有している。
このネットワークシステムは、例えば、企業内で用いられるシステムであり、端末コンピュータ(以下、単に「端末」ともいう)100,110,120を含む第一のサブネットN1と、端末130,140,150を含む第二のサブネットN2とによって構成されている。これら両サブネットN1,N2は、それぞれ、場所の異なる事業所に配置されており、互いに中継端末200、及びファイアウォール400を介して接続されている。このファイアウォール400を含んで両サブネットN1,N2間に介在する通信経路L1は、当該両サブネットN1,N2間を帯域幅10Mbpsで接続している。
【0023】
端末100〜150は、OSが搭載されたコンピュータによって構成されている。各端末100〜150には、各種アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」ともいう)102,112,122,132,142,152の動作基盤となるエージェントコンピュータプログラム(以下、単に「エージェント」ともいう)101,111,121,131,141,151がインストールされている。これらエージェントは、通常、各端末100〜150に常駐している。
【0024】
各端末のエージェント101〜151は、他の端末のエージェントと通信を行いつつ協調して動作することで、本実施形態に係るネットワークシステムにおける帯域確保機能を実現する。
また、各端末のエージェント101〜151は、端末に搭載された一又は複数のアプリケーション102〜152が動作するために必要な機能を提供するフレームワークでもある。
【0025】
エージェント101〜151上で動作するアプリケーション102〜152としては、ネットワーク内の情報の流れを追跡する情報追跡システム、ファイル転送システムなどが挙げられる。
これらのアプリケーションにおいては、一の端末に搭載されたアプリケーションが、他の端末に搭載された同種又は異種のアプリケーションと協調した協調処理を実行するために、エージェント101〜151を介して、アプリケーション間通信が行われる。
また、中継端末200も、各端末110〜150と同様、OSが搭載されたコンピュータによって構成されている。また、中継端末200は、エージェント201、及びこのエージェント201上で動作するアプリケーション202がインストールされている。このアプリケーション202としては、情報追跡システム、ファイル転送システムや、各サブネット間の通信を制御するためのシステムなどが挙げられる。
【0026】
〔エージェントの構成〕
図2は、本実施形態に係る帯域確保機能を実現するためのエージェントの機能ブロック図である。なお、図2に示す機能は、エージェントコンピュータプログラムが各端末において実行されることで発揮される機能である。
図2においては、端末100にインストールされたエージェント101を示しているが、他の端末110〜150、及び中継端末200におけるエージェントも同様の構成である。
【0027】
図2に示すように、エージェント101は、機能部として、通信制御部1と、通信状況把握部2と、要求情報生成部3と、受付部4と、帯域制御部5とを備えている。
通信制御部1は、端末100のアプリケーション102と、自己以外の通信対象となる端末(のアプリケーション)との間のネットワーク通信における使用帯域幅の制御を、帯域制御部5に命令に基づいて行う機能や、エージェント101(の上記各機能部)と他のエージェントとの間で行われる通信についての制御を行う機能を有している。
また、通信制御部1は、後述する要求情報を他の端末に対して送信することで、他の端末における通信制限がなされ、その上で、自己の通信を行った場合に、その通信が終了すると、その旨を示す終了通知を他の端末に送信する機能も有している。
【0028】
通信状況把握部2は、「一の端末」としての端末100のアプリケーション102が自己以外の端末との間でネットワーク通信(例えば、データ送信)を行おうとする際に、その通信相手である通信対象端末までのネットワーク経路における通信状況を把握する機能を有している。具体的には、前記通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している「他の端末」を特定するために、通信状況把握部2は、各端末のエージェントに対して、現在の通信状況を問い合わせ、現状の通信状況を示す状況情報を送信するように要求する機能を有している。さらに、前記要求に応じて各端末から送信される前記状況情報を受信し要求情報生成部3に与える機能も有している。
【0029】
要求情報生成部3は、通信状況把握部2から与えられる各端末の状況情報に基づいて、端末100から通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、さらに、当該端末100が必要とする帯域幅を確保するために、前記他の端末に対して、当該他の端末が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する機能を有している。また、通信を行っていない他の端末に対しては、通信を控えることを要求するか否かを決定する機能も有している。
また、要求情報生成部3は、当該端末100が必要とする帯域幅を確保するために、ネットワークを介した通信の制限を要求するための要求情報を生成し、この要求情報を前記他の端末に送信する機能を有している。
この要求情報は、前記他の端末に対して、通信を控えることを要求する旨や、通信を行っている場合にはその使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅といった、通信制限に関する情報の他、端末100を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末100が行おうとしている通信の優先度等といった端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んで生成される。
なお、上記優先度とは、各端末が行う通信に対して適宜設定される属性で、例えば業務上の優先順位を定めるための値であり、ここでは、数値が大きいほどその通信が優先される。この優先度は、緊急度や重要度に応じて、各端末が行う通信それぞれに設定することができる。
【0030】
受付部4は、端末100が前記「他の端末」として前記要求情報を受信する場合において、当該要求情報を受信し、この要求情報に応答して、前記要求情報による要求を承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段としての機能を有している。
具体的に、受付部4は、前記要求情報を受信すると、当該要求情報に含まれる、「一の端末」が要求する通信制限に関する情報や、「一の端末」を使用するユーザのユーザ特定情報、「一の端末」が行おうとしている通信の優先度について、端末100のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100のユーザにおいて認識可能にする機能を有している。
さらに、受付部4は、端末100のユーザが、マウス等の入力デバイスを用いて「一の端末」からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面をモニタ画面に出力する機能を有している。これにより、当該ユーザが、要求情報に示される要求を承諾するか否かについての選択について入力することで、受付部4は、要求情報に示される要求を承諾するか否かについての端末100のユーザによる選択を、要求情報によって要求される通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報として取得することができる。
受付部4は、取得した諾否情報を、前記要求情報とともに帯域制御部5に与える。
【0031】
帯域制御部5は、受付部4から与えられる、前記要求情報、及び、諾否情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた通信制限を行うか否かを決定しそれに基づいた通信制限を行う通信制限手段としての機能を有している。帯域制御部5は、端末100のユーザの選択が、要求を承諾するものである場合には、要求情報に示される要求に応じた通信制限を実現するように通信制御部1を制御する。一方、端末100のユーザの選択が要求を承諾しないものである場合には、自己が使用している帯域幅を開放したり、通信の開始を控えるといったことを行わない。
また、帯域制御部5は、自己以外の端末から送信される上記終了通知を受信すると、現状行っている通信制限を解除する機能も有している。
【0032】
図3は、通信制御部1が行う通信帯域制御に関する処理の一例を説明するための図である。
図3では、アプリケーション102が通信対象端末のアプリケーションに対してデータ送信を行う際の処理を示している。アプリケーション102は、エージェント101(の通信制御部1)を介して通信対象端末に対してデータ送信する。このため、アプリケーション102は、送信する送信データをエージェント101に与え、当該送信データの送信をエージェント101に要求する。
送信データを受け付けたエージェント101は、自己の通信制御部1に当該送信データを与える。通信制御部1は、この送信データを所定サイズの複数のデータブロックに分割し、自己が有するFIFO等により構成される送信キュー1aに前記データブロックを順次格納する。
通信制御部1は、一定時間間隔で送信キュー1aからデータブロックを順次抜き出し、通信対象端末に対して送信を行う。このとき、通信制御部1は、例えば、送信キュー1aからデータブロックを抜き出す際の時間間隔を調整することで、送信データの帯域幅を調整する。この時間間隔は、帯域制御部5からの制御指令に応じて定められ、通信制御部1は、帯域制御部5の制御指令に基づいて送信データの帯域制御を行う。
【0033】
〔第一の実施形態による帯域制御の具体例〕
次に、上記ネットワークシステムにおける帯域割り当て制御についての具体例を図4〜図9に基づいて説明する。
なお、図4〜図9では、第一のサブネットN1中の端末120を「一の端末」、端末100,端末110を「他の端末」として説明する。
図4は、ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。図4において、端末100は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末150に対して帯域幅5Mbpsを利用してデータの送信を行っている。また、端末110は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末140に対して帯域幅4Mbpsを利用してデータの送信を行っている。
ここで、「一の端末」である端末120のアプリケーション122において、第二のサブネットN2の端末130に対して5Mbpsの帯域幅を要するデータ送信を行うイベントが発生したとする。
【0034】
すると、図5に示すように、端末120のエージェント121は、通信を確実に行うため、通信状況把握部2に端末130までの経路における通信状況を把握させる。
通信状況把握部2は、各端末のエージェントに対して、現在の通信状況を問い合わせるための問い合わせ情報を、第一のサブネットN1内のエージェントのみが受信可能なマルチキャストパケットで送信する(図5中、S1)。
なお、本実施形態では、端末120が、第二のサブネットN2の端末130と通信を行おうとしているため、エージェント121は、両サブネットN1,N2の間に介在する通信経路L1の帯域幅の使用状況を把握するために、第一のサブネットN1内のエージェントのみに問い合わせを行ったが、端末120が行おうとしている通信の経路によっては、第二のサブネットN2内の各端末のエージェントに通信状況を問い合わせる場合もある。エージェント121は、本ネットワークシステム全体を管理把握しているサーバ等が有する管理エージェント(図示せず)を利用して問い合わせることもできる。
【0035】
各端末の通信制御部1は、自己以外の端末から通信状況の問い合わせ情報を受信すると、現状の状況情報を問い合わせ元のエージェントに送信する機能を有している。
したがって、端末100,110それぞれのエージェント101,111が、端末120からの問い合わせ情報を受信すると、図6に示すように、エージェント101,111は、自己の通信制御部1に現状の端末の通信状況を示す状況情報をエージェント121に対して送信させる(図6中、S2−1,S2−2)。
なお、状況情報には、その端末の帯域使用量についての情報の他、通信先の端末、その通信の優先度等を含んでいる。また、仮に、通信を行っていない端末が上記問い合わせ情報を受信した場合には、当該端末は、通信を行っていない旨の状況情報を返信する。
【0036】
エージェント101,111からの状況情報を受信した端末120のエージェント121は、この状況情報に基づいて、端末100から端末130までのネットワーク経路と重複する経路を使用している他の端末を、自己の要求情報生成部3に特定させる。
ここで、エージェント121の要求情報生成部3は、エージェント101からの状況情報によって、端末100が端末150に対して帯域幅5Mbpsでデータ送信中であること、及び端末110が端末140に対して帯域幅4Mbpsでデータ送信中であることを認識する。
要求情報生成部3は、例えば、通信経路L1の最大帯域幅が10Mbpsであることを記憶しておくことで、上記情報から、通信経路L1において利用可能な帯域幅が1Mbpsであることを把握できる。また要求情報生成部3は、端末120が行おうとしているデータ送信の経路である通信経路L1を用いている「他の端末」が端末100及び110であることも把握する。
この結果、エージェント121の要求情報生成部3は、現状の通信状況では、端末120が行おうとしているデータ送信に必要な帯域幅である5Mbpsが確保できないと判断する(図6中、ステップS3)。
なお、ここでは、通信経路L1の最大帯域幅が10Mbpsであることを要求情報生成部3が記憶している場合を例示したが、端末120を使用するユーザが要求情報生成部3にその旨を認識させてもよい。
【0037】
上記のように判断したエージェント121の要求情報生成部3は、図7に示すように、端末120が行おうとしているデータ送信に必要な5Mbpsの帯域幅を確保するために、端末100,110それぞれのエージェント101,111に対して要求すべき通信制限に関する内容、例えば、これらエージェント101,111が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する。
このとき要求情報生成部3は、端末120が要求する通信の優先度と、他の端末が行っている通信の優先度とを比較する。そして、端末120が要求する通信の優先度よりも低い優先度の通信を行っている他の端末に対して、使用帯域幅の開放を要求することを決定するとともに、その開放を要求する帯域幅を決定する。このように、通信中の端末が複数ある場合には、それぞれが使用している帯域幅に応じて、各端末に開放を要求する帯域幅を異ならせることもできる。
【0038】
また、例えば、上記端末100、110以外に、現状、通信を行っていない端末が存在する場合には、要求情報生成部3は、その端末に対して、通信を控えるように要求することを決定することもできる。
【0039】
なお、ここでは、要求情報生成部3は、エージェント101,111が使用している帯域幅の全部の開放、又は、使用帯域幅の半分の開放のいずれかを要求することを決定した場合を示している。
さらに、要求情報生成部3は、上記で決定した帯域幅について開放することを要求するための要求情報を生成し、この要求情報を端末100,110のエージェント101,111に送信する(図7中、ステップS4)。
この要求情報には、上述のように、要求情報生成部3が決定した開放を要求する帯域幅についての情報の他、端末120を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末120が行おうとしている通信の優先度が含まれている。
【0040】
次いで、端末120からの要求情報を受信した端末100(110)のエージェント101(111)は、要求情報を受付部4に与える。受付部4は、この要求情報に応答して、当該要求情報に含まれる、端末120が開放を要求する帯域幅についての情報や、端末120を使用するユーザのユーザ特定情報、端末120が行おうとしている通信の優先度について通知するための通知画面を、端末100(110)のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100(110)を使用するユーザそれぞれに向けて表示する。この通知画面によって、端末100(110)を使用するユーザに対して、要求情報を受信したことを通知する。
【0041】
さらに、受付部4は、端末100(110)のユーザが、マウス等の入力デバイスを用いて端末120からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面を、前記通知画面とともにモニタ画面に表示する(図7中、ステップS5−1,S5−2)。
本実施形態において、この選択画面は、「使用帯域幅の全部を開放」、「使用帯域幅の半分を開放」、「使用帯域幅の開放を拒否」の3つを端末100(110)のユーザが選択できるように表示される。この選択画面によって、受付部4は、端末100(110)を使用するユーザに端末120からの要求に対する判断を促す。
受付部4は、端末100(110)を使用するユーザによる選択画面の操作に応じて、要求情報に含まれる要求を承諾するか否かについての端末100(110)を使用するユーザによる選択を受け付け、その選択を諾否情報として取得する(ステップS6−1,S6−2)。
本実施形態では、端末100(110)を使用するユーザは共に「使用帯域幅の半分を開放」することを承諾し選択した場合を示している。
【0042】
また、受付部4が前記選択画面とともに表示する通知画面には、要求情報の送信元である端末120が行おうとしている通信の優先度やユーザ特定情報といった属性情報が表示されるので、受付部4が受け付ける、端末100(110)を使用するユーザによる選択に、前記優先度や、端末120を使用するユーザについての情報を反映させることができる。
つまり、受付部4は、端末100(110)のユーザが要求情報に示される要求を認識した上で決定した選択を受け付けることができるので、現在の通信状況に応じた、端末100(110)を使用するユーザの意思を反映した許諾情報を取得することができる。
【0043】
端末100(110)のエージェント101(111)それぞれの受付部4は、受け付けた端末100(110)のユーザに選択に関する情報を、前記要求情報とともに帯域制御部5に与える。
受付部4から前記要求情報、及び、端末100(110)の許諾情報が与えられたエージェント101(111)それぞれの帯域制御部5は、これら各情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた帯域幅を開放するか否かを決定して帯域制御を行う。
帯域制御部5は、端末100(110)のユーザの選択に従って、自己が使用している帯域幅を制御する。本実施形態では、図8に示すように、端末100(110)のユーザが「使用帯域幅の半分を開放」することを承諾(選択)し、その旨の情報を取得しているので、エージェント101(111)それぞれの帯域制御部5は、現状使用している帯域幅の内、半分を開放することを決定し、使用帯域幅の半分を開放するように帯域制御を行う(図8中、ステップS7−1,S7−2)。具体的には、端末100の使用帯域幅は、2.5Mbpsに、端末110の使用帯域幅は、2Mbpsに制御される。
なお、帯域制御部5は、端末100(110)のユーザが使用帯域幅の開放を承諾しなかったとしても、要求情報に含まれる、ユーザ特定情報や、優先度に基づいた自己の判断(例えば、要求情報が強制的に使用帯域幅を開放することを求めている旨の内容である場合等)により、使用帯域幅を開放することを強制的に決定することもできる。
【0044】
その後、エージェント101(111)は、それぞれのユーザの承諾を得て使用帯域幅を要求情報に従って開放するように制御したことを示す情報を、要求情報の送信元である端末120のエージェント121に送信する(図8中、ステップS8−1,S8−2)。
【0045】
使用帯域幅を開放するように制御したことを示す情報を受信したエージェント121は、第二のサブネットS2の端末130に向けて、データ送信を開始する(図8中、ステップS9)。
なお、通信を行っていない端末が存在し、その端末が、自己の通信を控えるように要求されかつ通信を控えることを決定した場合においても、当該端末のエージェントは、自己の通信を一時的に控えていることを示す情報を、要求情報の送信元である端末120のエージェント121に送信する。
【0046】
端末120のデータ送信が終わると、エージェント121は、図9に示すように、使用帯域幅を開放した端末100,110のエージェント101,111に対して、データの送信が終了した旨を示す終了通知を送信する(図9中、ステップS10)。
【0047】
端末120のエージェント121からの終了通知を受信した端末100,110のエージェント101,111は、その後、通信制限を解除して元の帯域幅で通信を行うように帯域制御を行う(図9中、ステップS11−1,S11−2)。
このように、エージェント120が、端末120の通信の終了に応じて、端末100,110に対して終了通知を送信するので、端末100,110における通信を、端末120が通信を開始する前の状態に速やかに戻すことができる。
【0048】
上記のように構成されたネットワークシステムによれば、受付部4が取得した、要求情報によって要求される通信の制限を承諾するか否かについての諾否情報に基づいて、端末100(110)における通信制限が行われるので、ネットワーク全体の帯域幅が飽和状態であるとしても、諾否情報に応じて、端末100(110)に使用帯域幅を開放させることができる。この結果、端末120に対して必要とする帯域幅を確保することができる。
【0049】
また、本実施形態のネットワークシステムは、各端末の通信状況を把握する通信状況把握部2を備え、要求情報生成3は、通信状況把握部2が把握する各端末の通信状況に基づいて要求情報を生成するので、使用帯域幅の開放の要求対象となる他の端末である端末100(110)を適切に特定でき、それに応じた要求情報を生成することができる。
【0050】
また、本実施形態において、上記のように、端末120に対して、使用帯域の開放を行った端末100のエージェント101及び端末110のエージェント111は、将来、端末120との間で、通信制限を要求したり、その要求を受けた場合に、当該端末120に対しての優先度を高くすることができる権原を示すポイントを取得する。
エージェント101,111は、将来、端末120との間で、通信制限に関する要求の授受を行う際には、これらのポイントを用いることで、端末120に対する自己の通信の優先度を上げることができ、端末120との間の通信制限に関して、自己の通信を優先させることができる。これによって、エージェント101,111は、過去に端末120に対して使用帯域を譲ったことに対する対価を受けることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、端末120のエージェント121からの終了通知の受信に応じて、端末100,110のエージェント101,111が、通信制限を解除して元の帯域幅で通信を行うように構成されている場合を例示したが、例えば、端末100,110のエージェント101,111は、通信制限を行う期間を設定し、その期間内で通信制限を行い、当該期間が経過すると通信制限を解除するように構成することもできる。
この場合、通信制限を行う通信制限期間は、端末120側から自己の通信に必要な期間として要求することもできるし、端末100、110が、自己の通信の状況に応じて設定可能な範囲で設定することもできる。
【0052】
〔第二の実施形態〕
図10は、本発明の第二の実施形態に係るネットワークシステムの一部を示す構成図である。本実施形態は、第一のサブネットS1中にネットワーク内の管理を行うための管理端末コンピュータ300を備えている点で、第一の実施形態と相違している。
【0053】
管理端末コンピュータ300(以下、管理端末300ともいう)は、エージェント301がインストールされ常駐している。また、ネットワークに関する各種管理を行うためのシステム等を実現するためのアプリケーションがインストールされている。
【0054】
図11(a)は、管理端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。エージェント301は、機能部として、通信制御部11と、通信状況把握部12と、要求情報生成部13とを備えている。
通信制御部11は、管理端末300にインストールされているアプリケーション302が行う通信や、他のエージェントとの間で行われる通信についての制御を行う機能を有している。
【0055】
通信状況把握部12は、第一のサブネットS1中に含まれる各端末100〜120の通信状況を常時管理する機能を有している。具体的に、通信状況把握部12は、各端末100〜120の現状の通信状況を記憶管理するために管理テーブルを備えている。
図11(b)は、上記管理テーブルの一例を示す図である。この管理テーブルには、通信中であるか否か、通信中である場合における通信を要求した端末のユーザ特定情報、その通信の優先度、帯域使用量といった情報が、第一のサブネットS1中の各端末100〜120それぞれについて格納されている。
通信状況把握部12は、図10に示すように、第一のサブネットS1内の各端末100〜120が送信する、現状の通信状況を示す状況情報を受信することで、上記管理テーブルに格納される各種情報を取得する。なお、各端末100〜120が送信する状況情報は、その端末が通信中であるか否か、通信中である場合における通信先の端末、その通信の優先度、帯域使用量についての情報を含んでいる。通信状況把握部12は、各端末の状況情報を受信すると、この状況情報に含まれる各種情報を管理テーブルに格納し、各端末100〜120の通信状況を管理する。
【0056】
要求情報生成部13は、エージェント301が各端末100〜120から送信される通信要求情報(後に詳述する)を受信すると、管理テーブルに格納された情報に基づいて、前記通信要求情報の送信元の端末から当該送信元の端末が通信を行おうとしている通信対象端末までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、さらに、当該要求元の端末が必要とする帯域幅を確保するために、前記他の端末に対して、当該他の端末が使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する機能を有している。また、通信を行っていない他の端末に対しては、通信を控えることを要求するか否かを決定する機能も有している。
さらに、要求情報生成部13は、前記要求情報の送信元の端末が必要とする帯域幅を確保するために、ネットワークを介した通信の制限を要求するための要求情報を生成し、この要求情報を前記他の端末に送信する機能を有している。
【0057】
図12は、各端末が備えるエージェントの機能ブロック図である。なお、図12は、端末100のエージェント101を示しているが、他の端末においても同様の構成である。
図12に示すエージェント101は、第一の実施形態にて示したエージェントが有する通信状況把握部2及び要求情報生成部3を有しない点を除いて、基本的に同様に構成されている。
エージェント101の通信制御部1は、自己の通信状況を変更する毎に、現状の通信状況を示す状況情報を管理端末300のエージェント301に送信するように構成されている(図10参照)。このため、エージェント301の管理テーブルには、常に現状の通信状況が格納される。
また通信制御部1は、端末100のアプリケーション102が自己以外の端末との間でネットワーク通信(例えば、データ送信)を行おうとする際に、アプリケーション102が通信を要求している通信対象端末や、必要な帯域幅についての情報の他、端末100を使用するユーザのユーザ特定情報、通信の優先度等といった端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んだ、通信要求情報を生成し、管理端末300に送信する機能を有している。
【0058】
また、本実施形態のエージェント101は、受付部4が取得する、ユーザの選択に基づく諾否情報を予め取得し記憶しておき、要求情報を受信したときに、記憶しておいた諾否情報の中から、その要求情報に示される要求に応じた諾否情報を取得する機能を有している。
エージェント101の受付部4は、予め取得した、要求情報に示される要求を承諾するか否かの諾否情報を記憶するための記憶部4aを備えている。
この記憶部4aには、図13に示すように、要求情報の送信元の端末が行おうとしている通信に設定されている優先度、及び要求情報の送信元の端末のユーザを特定するためのユーザ特定情報に応じて承諾するか否かを決定するにあたっての自己の端末のユーザの選択を示す基準テーブルが記憶されている。
【0059】
基本的に、優先度の値のみによって、各通信の優先順位が定められるが、自己の端末のユーザの属性によっては、要求情報の送信元のユーザに応じて、その優先順位の変更を必要とする場合もある。
この基準テーブルは、自己の端末のユーザによって入力されており、自己の端末が通信中(送信中)のときに要求情報を受信した場合に、自己の端末の通信中の通信に係る優先度より定まる優先順位と、要求情報の送信元の端末が行おうとしている通信に設定されている優先度、及び要求情報の送信元の端末のユーザにより定まる優先順位とを比較していずれの通信を優先するかといった、当該ユーザの選択を記憶している。
【0060】
例えば、自己の端末が優先度「3」で送信を行っているときに、ユーザ特定情報より特定されるユーザが「○○部長」、優先度「3」とされた要求情報を受信したとすると、図13より、要求情報に係る通信の方が優先順位が上位となるので、この場合、受付部4は、要求情報に係る通信を優先させるべく、当該要求情報に示される通信制限に関する要求を承諾することを選択する。
以上のように、自己の端末のユーザは、上記基準テーブルに予め入力することによって、自己の端末のエージェントが要求情報を受信したときのその要求を承諾するか否かの選択について、当該要求情報を通信の優先度に加えて、要求情報の送信元のユーザを考慮に入れるという、自己の端末のユーザ自身の意思に基づいた選択を、諾否情報として受付部4に取得させることができる。
【0061】
このように、本実施形態のエージェント101の受付部4は、要求情報に応じた、自己の端末のユーザの選択に基づく諾否情報を予め取得して、上記基準テーブルとして記憶しているので、要求情報に対する通信制限の諾否の選択について、当該ユーザの選択を反映させることができるとともに、要求情報に応じた諾否情報を、予め定められた基準に基づいて設定し通信制限に反映させることができる。
【0062】
〔第二の実施形態による帯域制御の具体例〕
次に、上記ネットワークシステムにおける帯域割り当て制御についての具体例を図14〜図17に基づいて説明する。
図14は、ネットワークシステム全体における現状の通信状況を示す図である。図14において、端末100は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末150に対して帯域幅5Mbpsを利用してデータの送信を行っている。また、端末110は、通信経路L1を経由して第二のサブネットN2の端末140から、帯域幅5Mbpsを利用してデータの受信を行っている。
なお、上述したように、管理端末300のエージェント301は、各端末100〜120から送信される状況情報から得られる各種情報が格納された管理テーブルによって、各端末100〜120の現状の通信状況を把握している。
【0063】
ここで、「一の端末」である端末120のアプリケーション122において、第二のサブネットN2の端末130に対して5Mbpsの帯域幅を要する緊急度の高いデータ送信を行うイベントが発生したとする。
端末120のエージェント121は、まず、アプリケーション122が通信を要求している通信対象端末が端末130であることを示す情報や、必要な帯域幅が5Mbpsであることを示す情報の他、端末100が行おうとしている通信に係る属性を示す属性情報を含んだ、通信要求情報を生成し、管理端末300に対して送信する(図14中、ステップS101)。
なお、この場合、当該データ送信の緊急度が高いので、エージェント121は、自己の判断又は端末120のユーザの指示等に基づいて、優先度を高く、例えば、ここでは「5」に設定する。
【0064】
通信要求情報を受信した管理端末300のエージェント301は、上述のように、管理テーブルに格納された情報に基づいて、端末120が要求している通信が可能であるかを判断する。エージェント301は、管理テーブルを参照して、端末120から通信対象端末である端末130までのネットワーク経路と重複する経路を使用している一又は複数の他の端末を特定し、エージェント121が要求する帯域幅を確保できるか否かを判断する。
本実施形態では、端末100が端末150に対して帯域幅5Mbpsでデータ送信中であるとともに、端末110が端末140から帯域幅4Mbpsでデータを受信中であることから、エージェント301は、端末120の使用しようとしている経路の内、通信経路L1が端末100及び端末110の使用経路と重複すること、及び、この通信経路L1における残りの帯域幅が1Mbpsであることを認識する。
【0065】
したがって、エージェント301は、現状では、端末120が要求する帯域幅の確保ができないと判断する(図14中、ステップS102)。
次いで、エージェント301は、端末120が必要とする帯域幅を確保するために、端末100及び端末110に対して要求する通信制限の内容として、これらが使用している使用帯域幅の内、開放を要求する帯域幅を決定する。
このとき、エージェント301は、管理テーブルに格納されている各情報を参照し、端末120が要求する通信の優先度と、他の端末が行っている通信の優先度とを比較する。そして、端末120が要求する通信の優先度よりも低い優先度の通信を行っている他の端末に対して、使用帯域幅の開放を要求することを決定するとともに、その開放を要求する帯域幅を決定する。
なお、エージェント301は、優先度以外に、例えば、端末120のユーザ特定情報と、各端末のユーザ特定情報とを対比したり、各端末の通信時間等を考慮して使用帯域幅の開放を要求する端末を決定することもできる。
【0066】
図14では、端末110は、端末140からのデータを受信しているので、この端末110に対して使用帯域幅の開放を要求することはできない。したがって、本実施形態においては、エージェント301は、帯域幅5Mbpsでデータ送信を行っている端末100に対してのみに使用帯域幅の開放を要求できる。
【0067】
そこで、エージェント301は、端末100が行っている通信の優先度と、端末120が行おうとしている通信の優先度とを比較する。この結果、本実施形態では、端末120の通信は、緊急度の高い通信として優先度が「5」と設定されており、端末100が行っている通信の優先度「3」(図11(b)参照)よりも高い値に設定されているため、エージェント301は、端末120が要求している帯域幅である5Mbpsを確保するため、5Mbpsの帯域幅で通信を行っている端末100に、使用帯域幅の全てを開放を要求することを決定する。
上記決定に基づいて、エージェント301は、端末100に対する通信制限として、使用帯域幅の全てを開放することを要求する旨の要求情報を生成し、図15に示すように、端末100に対して送信する(図15中、ステップS103)。
なお、この要求情報には、第一の実施形態と同様、要求情報生成部3が決定した通信制限についての情報の他、端末120を使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報や、当該端末120が行おうとしている通信の優先度が含まれている。
【0068】
管理端末300からの要求情報を受信した端末100のエージェント101は、要求情報を受付部4に与える。受付部4は、要求情報を受け付けると、記憶部4aに記憶された基準テーブル(図13参照)に基づいて、予め受け付けておいた、その要求情報に示される要求に応じた諾否情報を取得する(図15中、ステップS104)。
本実施形態では、端末100のユーザが行っている通信の優先度が「3」、要求している通信の優先度が「5」であり、仮に、端末120のユーザが図13中の「○○部長」であるとすると、エージェント101の受付部4は、基準テーブル参照することで、この場合の端末100のユーザの選択が、自己の通信よりも、管理端末300からの要求情報に示される要求に係る通信の方を優先させる判断であることを認識でき、受付部4は、要求情報に係る通信を優先させるべく、当該要求情報に示される通信制限を承諾することを選択する。
このように、受付部4は、端末100のユーザの選択が反映された基準テーブルを参照することで、要求情報に示される通信制限を承諾する旨の諾否情報を取得することができる。
【0069】
なお、この場合、受付部4は、第一の実施形態にて述べたように、この要求情報に応答して、当該要求情報に含まれる、端末120が要求する通信制限についての情報や、端末120を使用するユーザのユーザ特定情報、端末120が行おうとしている通信の優先度について通知するための通知画面を、端末100のモニタ画面等の出力デバイスに出力し、要求情報を端末100のユーザに向けて表示するとともに、マウス等の入力デバイスを用いて端末120からの要求情報に示される要求を承諾するか否かを選択することができる選択画面を、モニタ画面に表示してもよい。
この場合、端末100のユーザは、自己が直接要求を承諾するか否かを選択画面により選択してもよいし、受付部4に処理させることもできる。
【0070】
端末100のエージェント101は、受付部4が取得した、要求情報に示される要求を承諾する旨の諾否情報に基づいて、前記要求情報の要求に応じた通信制限を行うべく、自己が使用する帯域幅を開放するように帯域制御を行う。
エージェント101は、前記要求情報の要求に基づいて、現状使用している帯域幅の全部を開放することを決定し、図16に示すように、使用帯域幅の全部を開放するように帯域制御を行う(図16中、ステップS105)。
【0071】
その後、エージェント101は、使用帯域幅を要求情報に従って通信制限を行ったことを示す情報を、管理端末300のエージェント301に送信する(図16中、ステップS106)。
【0072】
通信制限を行ったことを示す情報を受信したエージェント301は、エージェント121に対して、通信に必要な帯域幅が確保できた旨を通知する(図16中、ステップS107)。
エージェント301から、上記通知を受けたエージェント121は、第二のサブネットS2の端末130に向けて、データ送信を開始する(図16中、ステップS108)。
【0073】
端末120のデータ送信が終わると、エージェント121は、図17に示すように、管理端末300のエージェント301に対して、データの送信が終了した旨を示す通知を送信する(図17中、ステップS109)。
【0074】
エージェント121からデータ送信終了を示す通知を受信した管理端末300のエージェント301は、端末100のエージェント101に対して、端末120の通信が終了した旨を示す終了通知を送信する(図17中、ステップS110)。
エージェント301からの端末120の通信が終了した旨の終了通知を受信した端末100のエージェント101は、その後、通信制限を解除し元の帯域幅で通信を行うように帯域制御を行う(図17中、ステップS111)。
【0075】
上記構成のネットワークシステムによれば、通信状況把握部12を有するエージェント301を備えた管理端末300が設けられているので、各端末それぞれが、自己以外の他の端末の通信状況を把握する必要がなく、各端末の通信状況を管理端末300で一括管理することができる。
このため、各端末100〜120は、それぞれに自己以外の他の端末の通信状況を把握するための機能部を備える必要がなく、システムを構成する各端末の構成を簡略化することができる。
【0076】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、ネットワークシステムの全体構成を中継端末及びファイアウォールで繋いだ二つのサブネットとした場合を例示したが、これに限定されるものでなく、複数の端末コンピュータで構成されるネットワークシステムであれば、本発明を適用することができる。
また、要求情報により他の端末に対して開放が要求される帯域幅は、他の端末が多数である場合には、これら他の端末が行っている通信の優先度に応じて適宜差異を設けて設定される。このため、帯域幅の開放の開放を要求する要求元である一の端末は、使用帯域幅の開放の要求に対して、他の端末からの承諾を得やすくなる。
また、上記各実施形態では、現状通信を行っている他の端末の内、その通信の送信元の端末を特定して通信制限を行うように構成したが、その通信の送信先の端末を特定して通信に関する情報を取得し、通信制限を行うように構成することもできる。
【0077】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 通信制御部(終了通知手段)
2 通信状況把握部(通信状況把握手段)
3 要求情報生成部(要求情報生成手段)
4 受付部(諾否情報取得手段)
4a 記憶部
5 帯域制御部(通信制限手段)
12 通信状況把握部(通信状況把握手段)
13 要求情報生成部(要求情報生成手段)
100〜150 端末
300 管理端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムであって、
一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成手段と、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段と、
前記諾否情報取得手段が取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限手段と、を備えていることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記通信制限手段に送信する終了通知手段をさらに備え、
前記通信制限手段は、前記終了通知を受信すると、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を解除する請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記要求情報生成手段は、前記一の端末コンピュータが行う通信に係る属性を示す属性情報を含んだ前記要求情報を生成する請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記属性情報は、前記一の端末コンピュータが行う通信の優先度及び/又は前記一の端末コンピュータを使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報である請求項3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記諾否情報取得手段は、前記要求情報に示される要求に応じた、前記他の端末コンピュータを使用するユーザによる通信の制限を承諾するか否かの選択を、前記要求情報を受信する前から予め諾否情報として取得し記憶している請求項1〜4のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記複数の端末コンピュータの通信状況を把握する通信状況把握手段をさらに備え、
前記要求情報生成手段は、前記通信状況把握手段が把握する通信状況に基づいて要求情報を生成する請求項1〜5のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記通信状況把握手段は、前記複数の端末コンピュータと通信可能に接続された管理用の端末コンピュータに設けられている請求項6に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、
前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記他の端末コンピュータに送信する終了通知ステップと、を備えていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータが通信を開始する場合に、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を当該一の端末コンピュータから受信する他の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、
前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおける、通信方法であって、
一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、
前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴とする通信方法。
【請求項1】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムであって、
一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成手段と、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得手段と、
前記諾否情報取得手段が取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限手段と、を備えていることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記通信制限手段に送信する終了通知手段をさらに備え、
前記通信制限手段は、前記終了通知を受信すると、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を解除する請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記要求情報生成手段は、前記一の端末コンピュータが行う通信に係る属性を示す属性情報を含んだ前記要求情報を生成する請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記属性情報は、前記一の端末コンピュータが行う通信の優先度及び/又は前記一の端末コンピュータを使用するユーザを特定するためのユーザ特定情報である請求項3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記諾否情報取得手段は、前記要求情報に示される要求に応じた、前記他の端末コンピュータを使用するユーザによる通信の制限を承諾するか否かの選択を、前記要求情報を受信する前から予め諾否情報として取得し記憶している請求項1〜4のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記複数の端末コンピュータの通信状況を把握する通信状況把握手段をさらに備え、
前記要求情報生成手段は、前記通信状況把握手段が把握する通信状況に基づいて要求情報を生成する請求項1〜5のいずれか一項に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記通信状況把握手段は、前記複数の端末コンピュータと通信可能に接続された管理用の端末コンピュータに設けられている請求項6に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、
前記一の端末コンピュータが通信を終了すると、その旨を示す終了通知を前記他の端末コンピュータに送信する終了通知ステップと、を備えていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
ネットワーク上の複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおいて、一の端末コンピュータが通信を開始する場合に、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を当該一の端末コンピュータから受信する他の端末コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、
前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
複数の端末コンピュータ間で通信を行うネットワークシステムにおける、通信方法であって、
一の端末コンピュータが通信を開始する場合、前記ネットワークを介した通信の制限を要求する要求情報を生成し、当該要求情報を前記他の端末コンピュータに送信する要求情報生成ステップと、
前記要求情報によって要求される前記他の端末コンピュータによる通信の制限について、承諾するか否かを示す諾否情報を取得する諾否情報取得ステップと、
前記諾否情報取得ステップにて取得した前記諾否情報が、前記他の端末コンピュータによる通信の制限を承諾する旨を示す場合、前記他の端末コンピュータによる通信を制限する通信制限ステップと、を備えていることを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−283759(P2010−283759A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137384(P2009−137384)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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