説明

ネットワークシステム、情報処理機器、コンピュータの制御方法及びプログラム

【課題】 情報処理機器にアクセスする情報端末を確実に特定でき、また、確実に排他制御をすることができるネットワークシステム、情報処理機器、コンピュータの制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】 情報処理機器18と、情報処理機器18を制御可能な複数の情報端末12〜14とがネットワーク接続されて構成されるネットワークシステム10において、情報処理機器18は、情報処理機器18を制御する側の複数の情報端末12〜14から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段と、前記識別子生成手段により生成する識別子を複数の情報端末12〜14に送信する識別子送信手段と、を含み、複数の情報端末12〜14は、それぞれ、前記識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段を含む、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステム、情報処理機器、コンピュータの制御方法及びプログラムに関し、特に情報処理機器を排他制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報端末から情報処理機器を制御する際に、情報処理機器を排他制御する必要のある場合がある。例えば、複数の情報端末から情報処理機器を同時に制御しようとする場合には、情報処理機器の動作の保証のために排他制御が必要とされる。従来では、排他制御している情報端末を特定するために、情報端末の有する固有の識別情報を用いているものがある。例えば、下記特許文献1では、予めメーカーによって情報端末に付与された固有のID(例えばMACアドレス等)やネットワーク上でのノードIDを用いて、情報端末を識別している。
【特許文献1】特開2002−374268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、情報端末と情報処理機器間の通信に用いている通信プロトコルによっては、どの情報端末が情報処理機器に処理要求を出しているのか特定できないことがあった。例えば、通信プロトコルにHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を用いて、情報端末がプロキシーサーバを介して情報処理機器に通信した場合には、情報処理機器が参照するMACアドレスはプロキシーサーバのものであるため、通信元の情報端末を特定できなかった。また、情報端末の種類が複数ある場合に、それらに共通する一意の識別子がないと、確実な排他制御が困難であるという問題もあった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、情報処理機器にアクセスする情報端末を確実に特定でき、また、確実に排他制御をすることができるネットワークシステム、情報処理機器、コンピュータの制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るネットワークシステムは、情報処理機器と、前記情報処理機器を制御可能な複数の情報端末とがネットワーク接続されて構成されるネットワークシステムにおいて、前記情報処理機器は、前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段と、前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末に送信する識別子送信手段と、を含み、前記複数の情報端末は、それぞれ、前記識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段を含む、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る情報処理機器は、複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器において、前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段と、前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信手段と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プリンタ、複合機等である。以下、同様。)の制御方法は、複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器の制御方法において、前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成ステップと、前記識別子生成ステップにより生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器のプログラムにおいて、前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段、及び、前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信手段、として情報処理機器を機能させるためのプログラムである。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、メモリーカードその他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る情報端末は、前記情報処理機器を制御可能な情報端末において、前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段を含む、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコンピュータ(例えばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プリンタ、複合機等である。以下、同様。)の制御方法は、前記情報処理機器を制御可能な情報端末の制御方法において、前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信ステップ、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、前記情報処理機器を制御可能な情報端末のプログラムにおいて、前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段、として情報端末を機能させるためのプログラムである。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、メモリーカードその他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納することとしてもよい。
【0012】
本発明では、前記情報処理機器は、前記複数の情報端末のうち1つからの占有要求に対して、前記情報処理機器が占有状態にないと判断される場合に、一意の占有IDを生成し、占有IDを占有要求をした情報端末に送信する。本発明によれば、情報端末に共通する一意の識別子がなくとも、情報処理機器によって生成される一意の識別子によって、情報端末を確実に特定することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記情報処理機器は、前記複数の情報端末のいずれかに現に占有的に制御されている占有状態にあるか否かを判断する占有状態判断手段をさらに含み、前記識別子生成手段は、前記複数の情報端末のうち1つからの占有要求に対して、前記占有状態判断手段により占有状態にないと判断される場合に、前記複数の情報端末の有する情報によらない一意の識別子を生成し、前記識別子送信手段は、前記識別子生成手段により生成する識別子を、占有要求をした情報端末に送信する、ことを特徴とする。こうすれば、情報処理機器を占有的に制御している情報端末を確実に特定することができる。
【0014】
本発明の一態様では、前記情報処理機器は、前記識別子送信手段により送信する識別子を記憶する識別子記憶手段と、前記占有状態判断手段により占有状態にあると判断される場合に、前記識別子記憶手段に記憶される識別子を用いる情報端末からの処理要求のみ受け付けるように制御する排他制御手段と、をさらに含み、前記複数の情報端末は、それぞれ、前記識別子受信手段により受信する識別子を用いて、前記情報処理機器に処理要求を行う処理要求手段をさらに含む、ことを特徴とする。こうすれば、情報処理機器によって情報端末に付与された一意の識別子に基づいて、確実に排他制御することができる。
【0015】
本発明の一態様では、前記排他制御手段は、前記識別子記憶手段に記憶される識別子を用いる情報端末からの処理要求であれば、該情報端末の使用する通信プロトコルによらず処理を受け付ける、ことを特徴とする。こうすれば、ネットワークシステム内に複数の通信プロトコルが併用される環境下でも、情報処理機器によって情報端末に付与された一意の識別子に基づいて、確実に排他制御することができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記情報処理機器は、前記情報処理機器の占有状態を解除する占有状態解除手段をさらに含む、ことを特徴とする。こうすれば、複数の情報端末のうち1つに限らず、他の情報端末も前記情報処理機器を排他制御することができる。
【0017】
本発明の一態様では、前記処理要求手段は、前記情報処理機器の占有状態の解除を要求する占有解除要求手段を含み、前記占有状態解除手段は、前記占有解除要求手段による要求に応じて、前記情報処理機器の占有状態を解除する、ことを特徴とする。こうすれば、情報端末の要求する処理が終了するのに合わせて、情報処理機器の占有解除をすることができるようになるので、複数の情報端末による情報処理機器の排他制御を効率的に行うことができる。
【0018】
本発明の一態様では、前記情報処理機器は、プロキシーサーバを介して、前記複数の情報端末と相互通信可能に接続される、ことを特徴とする。本発明によれば、情報処理装置と情報端末との間にプロキシーサーバが介在する環境においても、情報処理機器によって生成される一意の識別子によって情報端末を確実に特定し、排他制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの構成図を示す。同図に示されるように、本発明に係るネットワークシステムは、PC12〜14、プロキシーサーバ16およびネットワークプリンタ18を含んで構成される。ここで、PC12〜14とプロキシーサーバ16とは第1ネットワーク20を介して相互通信可能に接続されている。また、プロキシーサーバ16とネットワークプリンタ18とは第2ネットワーク22を介して相互通信可能に接続されている。PC12〜14は、プロキシーサーバ16を介して、ネットワークプリンタ18を排他制御することができる。
【0021】
PC12〜14は、それぞれ、ネットワーク上でデータを送受信可能なパーソナルコンピュータである。本実施例では、各PCは同一のPCとするが、PC以外の情報機器であってもよく、また、各々が種類の異なる機器同士であってもよい。PC12〜14は、それぞれ、第1ネットワーク20を介して相互通信可能に接続されたプロキシーサーバ16を介して、ネットワークプリンタ18に対して占有要求を行い、占有を確保することができる。PC12〜14のうち1つが占有を確保している場合には、それ以外のPCの占有要求や処理要求は拒絶される。なお、本実施例では、PC12〜14は、プロトコルとしてSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて処理の要求を行うこととするが、これ以外のプロトコルであってもよい。各PCには、SNMPマネージャのプロセスが常時起動していて、プロキシーサーバ16上で起動するSNMPエージェントと情報の受け渡しを行う。
【0022】
プロキシーサーバ16は、PC12〜14の代わりにネットワークプリンタ18にアクセスするプロキシーサーバである。本実施例では、プロキシーサーバ16はSNMPプロキシーサーバとするが、使用するプロトコルに応じたプロキシーサーバとしてもよい。プロキシーサーバ16は、PC12〜14とは第1ネットワーク20を介して接続され、ネットワークプリンタ18とは第2ネットワーク22を介して接続される。各PCからの占有要求や処理要求を受けたプロキシーサーバ16が、ネットワークプリンタ18に対して、それらの要求を代行して行い、その処理結果を要求元のPCに返す。プロキシーサーバ16には、SNMPエージェントとSNMPマネージャの両方のプロセスが常時起動している。SNMPエージェントは、PC12〜14のSNMPマネージャとの情報の受け渡しを行い、SNMPマネージャは、ネットワークプリンタ18との情報の受け渡しを行う。
【0023】
ネットワークプリンタ18は、ネットワークに接続し、ネットワーク上の情報機器からアクセス可能なプリンタである。ネットワークプリンタ18は、プロキシーサーバ16と第2ネットワークを介して接続される。ネットワークプリンタ18は、プロキシーサーバ16から受けた占有要求、処理要求および占有解除要求に対して処理を行い、その処理結果をプロキシーサーバ16に送信する。ネットワークプリンタ18は、占有要求用にMIB(Management Information Base)を保持する。ネットワークプリンタ18に占有要求をするには、SNMPを用いて占有要求用のMIBの値を例えば1にするSetRequestにより行い、占有解除要求をするには、上記MIBの値を例えば0にするSetRequestにより行う。ネットワークプリンタ18には、SNMPエージェントのプロセスが常時起動していて、プロキシーサーバ16のSNMPマネージャと情報の受け渡しを行う。
【0024】
図2には、ネットワークプリンタ18の機能ブロック図を示す。同図に示されるように、ネットワークプリンタ18は、機能的には、送受信部40、要求判断部42、占有判定部44、要求処理部46、占有ID生成部48および占有ID記憶部50を含み構成されている。
【0025】
送受信部40は、ネットワークプリンタ18のネットワークインターフェースを介して外部機器との情報の送受信を行うものである。具体的には、送受信部40は、ネットワークインターフェースを介して第2ネットワークに接続し、プロキシーサーバ16と情報の送受信を行う。
【0026】
要求判断部42は、外部機器からの要求を解析して、その内容を判断するものである。具体的には、プロキシーサーバ18から送られてきたSNMPデータが、ネットワークプリンタ18の占有要求用のMIBの値を設定するような要求を示す場合には、要求判断部42は占有要求または占有解除要求と判断する。占有要求か占有解除要求かの判断は、MIBに設定しようとする値によって判断する。例えば、MIBに1を設定しようとする場合は占有要求、0の場合は占有解除要求と判断する。また、ネットワークプリンタ18が占有状態にある場合には、処理要求元が現在占有状態にあるか否かの占有判定を要する処理として判断される。
【0027】
占有判定部44は、ネットワークプリンタ18が現在占有状態にあるか否か、または、処理要求元のPCが現在占有状態を確保しているか否かの判断を行うものである。具体的には、要求判断部42によりプロキシーサーバ16から占有要求があったと判断する場合に、占有判定部44は、占有要求用のMIBの値を参照し、その値が1であれば占有状態と判定する。また、処理要求元のPCが現在占有状態を確保しているか否かの判定は、前記処理要求元の送信するSNMPデータにコミュニティストリングとして含まれる占有IDが、ネットワークプリンタが記憶している占有IDと同一か否かで判定する。両者が同一であれば現在占有状態を確保していると判定する。こうすることで、PC12〜14がプロキシーサーバ16を介してネットワークプリンタ18に通信した場合であっても、どのPCがアクセスしているのか特定でき、確実な排他制御ができる。また、複数のPC間に共通する一意の識別子がなくとも、それぞれのPCを特定でき、確実な排他制御ができるようになる。
【0028】
要求処理部46は、占有要求および処理要求に対して処理を行い、その処理結果を返すものである。具体的には、占有要求に対して、占有判定部44により占有状態と判定される場合には、プロキシーサーバ16に対して占有拒絶の処理結果を返す。一方、占有状態でないと判定される場合には、占有ID生成部48にて占有IDを生成し、プロキシーサーバ16に占有IDを返す。また、処理要求に対しては、占有判定部44により現在占有状態を確保していると判定する場合には、要求された処理を行って、その処理結果をプロキシーサーバ16に返す。現在占有状態を確保していないと判定する場合には、処理を行わず、処理要求拒絶の処理結果を返す。処理結果を受けたプロキシーサーバ16は、その処理結果を処理要求元のPCに対して送信する。
【0029】
占有ID生成部48は、一意の識別子である占有IDを生成するものである。占有IDは、重複することがなく、ユニーク(唯一)であることが保証された16進数32桁の文字列形式で表現された128bitのGUID(Global Unique IDentifier)である。本実施例では、占有IDは128bitのGUIDであるとするが、それに限らず、その他の一意の識別子であってもよい。
【0030】
占有ID記憶部50は、占有ID生成部48により生成された占有IDを記憶するものである。占有IDはネットワークプリンタ18のメモリ上に記憶されることとしてもよいし、ハードディスク上に記憶されることとしてもよい。占有有状態を解除する場合には、占有ID記憶部50に記憶されている占有IDを破棄する。
【0031】
図3には、PC12〜14の機能ブロック図を示す。同図に示されるように、PC12〜14は、それぞれ、機能的には送受信部60、制御部64、占有ID記憶部62を含み構成されている。
【0032】
送受信部60は、PCのネットワークインターフェースを介して外部機器との情報のやり取りを行うものである。具体的には、送受信部60は、第1ネットワークを介して、プロキシーサーバ16との情報を相互に受け渡しを行う。
【0033】
占有ID記憶部62は、ネットワークプリンタ18からプロキシーサーバ16を介して送信された占有IDを記憶するものである。占有IDは各PCのメモリ上に記憶されることとしてもよいし、ハードディスク上に記憶されることとしてもよい。各PCが占有を解除する場合には、占有ID記憶部62に記憶されている占有IDが破棄される。
【0034】
制御部64は、PCの各部の制御や処理要求の生成等を行うものである。具体的には、占有ID記憶部62に値の設定や値の破棄をしたり、ネットワークプリンタ18に対する占有要求や処理要求を生成したり、それらの要求を送受信部60により送信させたりする。また、処理要求は、SNMPのSetRequestを送信する際のコミュニティストリングとして占有ID記憶部62に記憶されている占有IDを用いて生成する。
【0035】
以下、本発明の実施の形態に係る情報処理機器の動作の詳細について説明する。
【0036】
図4は、ネットワークプリンタ18における占有要求の処理を示すフロー図である。ネットワークプリンタ18は、プロキシーサーバ16を介したPCからの占有要求を受信すると(S101)、自己の占有要求用のMIBの値を参照し、占有状態にあるか否かを判断する(S102)。占有状態にあると判断する場合には、プロキシーサーバ16を介して占有要求元のPCに占有要求拒絶の処理結果を送信し(S103)、処理を終了する。また、占有状態にないと判断する場合には、占有ID生成部66により占有IDを生成し(S104)、その占有IDをプロキシーサーバ16を介して占有要求元のPCに送信する(S105)。そしてネットワークプリンタ18自身も送信した占有IDを占有ID記憶部62に記憶し(S106)、処理を終了する。
【0037】
図5は、ネットワークプリンタ18における処理要求の処理を示すフロー図である。ネットワークプリンタ18は、プロキシーサーバ16を介したPCからの処理要求(SNMPデータ)を受信すると(S201)、その処理要求を解析し、格納された占有IDを抽出する(S202)。そして、抽出した占有IDと、占有ID記憶部50に記憶されている占有IDとを比較し、それらが同一か否かを判断する(S203)。同一でないと判断する場合には、処理要求を拒絶する旨の処理結果をプロキシーサーバ16を介して占有要求元のPCに返信し(S204)、処理を終了する。また、同一だと判断する場合には、要求された処理を実行し(S205)、その処理結果をプロキシーサーバ16を介して占有要求元のPCに送信して(S206)、処理を終了する。
【0038】
次に、本発明の第2の実施形態に係るネットワークシステムについて説明する。第2の実施形態に係るネットワークシステムは、上記最適な実施形態のものと同様であるが、PC、プロキシーサーバ、ネットワークプリンタ間で使用するプロトコルが異なる。すなわち、第2の実施形態に係るネットワークシステムにおいては、SNMPの代わりにHTTPとSOAP(Simple Object Access Protocol)を用いる。この場合、プロキシーサーバ16はHTTPプロキシーサーバとする。HTTPとSOAPを用いることで、XMLを解析可能な情報処理機器であれば、共通する一意の識別子を持たない場合であっても、確実に排他制御することができる。また、SNMPよりもSOAPを用いた方が送受信するデータ量は増えるが、より柔軟に処理の定義ができ、また、複雑な処理命令も記述できるようになる。
【0039】
図6には、占有要求、処理要求および占有解除要求をSOAPで実現する場合のXMLによる定義(XML Schema)の一例を示す。同図(A)には、占有要求のXMLによる定義を(1)に、それに対するレスポンスのXMLによる定義を(2)に示す。同図に示されるように、占有要求のレスポンスにおいては、占有ID(LockID)の値を返すように定義されている。また、同図(B)には、処理要求のXMLによる定義を示す。同図に示されるように、処理要求を行う際には、占有ID(LockID)を処理命令の中に格納し、処理に応じたパラメータとともに、ネットワークプリンタ18に送信する。上記処理要求の中には、占有解除要求も含まれるが、その占有解除要求のXMLによる定義を同図(C)に示す。同図に示されるように、占有解除要求は占有ID(LockID)を処理命令の中に格納している。
【0040】
以上説明した本発明の実施の形態に係るネットワークシステムによれば、情報処理機器と情報端末との間に用いる通信プロトコルによらずに情報端末を確実に特定でき、また、確実に排他制御をすることができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
上記第2実施例では、HTTPとSOAPを用いることとしているが、SOAPと共に用いるプロトコルは、HTTP以外のプロトコルであってもよい。例えば、HTTPの代わりにSMTP(Send Mail Transfer Protocol)を用いることとしてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、占有要求、処理要求および占有解除要求に用いられる通信プロトコルは共通しているが、複数の通信プロトコルを併用してそれらの要求を行ってもよい。例えば、占有要求はSOAP、処理要求はSNMP、そして占有解除要求はSOAPを用いて情報端末と情報処理機器との間の通信を行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの構成図である。
【図2】ネットワークプリンタ18の機能ブロック図を示す。
【図3】PC12〜14の機能ブロック図を示す。
【図4】ネットワークプリンタ18における占有要求の処理を示すフロー図である。
【図5】ネットワークプリンタ18における処理要求の処理を示すフロー図である。
【図6】占有要求、処理要求および占有解除要求をSOAPで実現する場合のXMLによる定義(XML Schema)の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 ネットワークシステム、12,13,14 PC、16 プロキシーサーバ、18 ネットワークプリンタ、20 第1ネットワーク、22 第2ネットワーク、40 送受信部、42 要求判断部、44 占有判定部、46 要求処理部、48 占有ID生成部、50 占有ID記憶部、60 送受信部、62 占有ID記憶部、64 制御部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理機器と、前記情報処理機器を制御可能な複数の情報端末とがネットワーク接続されて構成されるネットワークシステムにおいて、
前記情報処理機器は、
前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段と、
前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末に送信する識別子送信手段と、を含み、
前記複数の情報端末は、それぞれ、
前記識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段を含む、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記情報処理機器は、
前記複数の情報端末のいずれかに現に占有的に制御されている占有状態にあるか否かを判断する占有状態判断手段をさらに含み、
前記識別子生成手段は、前記複数の情報端末のうち1つからの占有要求に対して、前記占有状態判断手段により占有状態にないと判断される場合に、前記複数の情報端末の有する情報によらない一意の識別子を生成し、
前記識別子送信手段は、前記識別子生成手段により生成する識別子を、占有要求をした情報端末に送信する、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワークシステムにおいて、
前記情報処理機器は、
前記識別子送信手段により送信する識別子を記憶する識別子記憶手段と、
前記占有状態判断手段により占有状態にあると判断される場合に、前記識別子記憶手段に記憶される識別子を用いる情報端末からの処理要求のみ受け付けるように制御する排他制御手段と、をさらに含み、
前記複数の情報端末は、それぞれ、
前記識別子受信手段により受信する識別子を用いて、前記情報処理機器に処理要求を行う処理要求手段をさらに含む、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークシステムにおいて、
前記排他制御手段は、前記識別子記憶手段に記憶される識別子を用いる情報端末からの処理要求であれば、該情報端末の使用する通信プロトコルによらず処理を受け付ける、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記情報処理機器は、
前記情報処理機器の占有状態を解除する占有状態解除手段をさらに含む、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のネットワークシステムにおいて、
前記処理要求手段は、前記情報処理機器の占有状態の解除を要求する占有解除要求手段を含み、
前記占有状態解除手段は、前記占有解除要求手段による要求に応じて、前記情報処理機器の占有状態を解除する、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のネットワークシステムにおいて、
前記情報処理機器は、プロキシーサーバを介して、前記複数の情報端末と相互通信可能に接続される、
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項8】
複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器において、
前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段と、
前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信手段と、を含む、
ことを特徴とする情報処理機器。
【請求項9】
複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器の制御方法において、
前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成ステップと、
前記識別子生成ステップにより生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理機器の制御方法。
【請求項10】
複数の情報端末によって制御可能な情報処理機器のプログラムにおいて、
前記情報処理機器を制御する側の前記複数の情報端末から取得する情報によらない一意の識別子を生成する識別子生成手段、及び、
前記識別子生成手段により生成する識別子を前記複数の情報端末のうち1つに送信する識別子送信手段、
として情報処理機器を機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項8に記載される情報処理機器を制御可能な情報端末において、
前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段を含む、
ことを特徴とする情報端末。
【請求項12】
請求項8に記載される情報処理機器を制御可能な情報端末の制御方法において、
前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信ステップ、
を含むことを特徴とする情報端末の制御方法。
【請求項13】
請求項8に記載される情報処理機器を制御可能な情報端末のプログラムにおいて、
前記情報処理機器の識別子送信手段により送信される識別子を受信する識別子受信手段、
として情報端末を機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−270455(P2006−270455A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84954(P2005−84954)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】