説明

ネットワークシステム及びネットワーク装置

【課題】仮想ネットワーク装置において、複数の物理ネットワーク装置間を結び、制御信号をやり取りするための専用回線において障害が発生した場合にも、冗長性を維持し、転送性能の低下を防止する。
【解決手段】本ネットワークシステムは、複数の物理ネットワーク装置101、102間で送受信される仮想化のための制御信号を、各物理ネットワーク装置101、102と、隣接するネットワーク装置119とを接続する装置跨ぎLA117、118を介して、仮想化のための制御信号を該隣接するネットワーク装置119で中継する。これにより、専用回線112に障害が発生した場合にも、物理ネットワーク装置101、102間での制御信号のやり取りを継続でき、仮想ネットワーク装置100を運用し続けることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステム及びネットワーク装置に係り、複数台のネットワーク装置を仮想的に1台のネットワーク装置として動作させることで、冗長化と転送性能向上を図る技術に関する。特に、複数台のネットワーク装置間を結び、制御信号をやり取りするための専用回線において障害が発生した場合にも、冗長性を維持し、転送性能の低下を防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ルータ・スイッチなどのネットワーク装置に求められる回線収容数や転送性能が向上している。このため、例えば企業内ネットワークの規模増大に伴い、既存のネットワーク構成を大幅に変えることなく、回線収容数や転送性能を容易に拡張できることが求められている。このような背景から、複数台のネットワーク装置を1台の仮想的なネットワーク装置として動作させることで、回線収容数・転送性能の拡張を実現するネットワークシステムが提案されている。
例えば、非特許文献1において記載されているVSS(Virtual Switching System)と呼ばれるネットワークシステムにおいては、シャーシ型のレイヤ3スイッチについて、2台のスイッチ(以下、物理スイッチと呼ぶ)を1台の仮想的なスイッチ(以下、仮想スイッチ)として動作させることが可能である。
VSSは、非特許文献1のFigure.2に示すように、2台の物理スイッチの制御プレーン(装置の制御やプロトコル処理などを行う部位)を運用系と待機系に分け、データプレーン(パケット転送を実施する部位)を両方とも運用状態で使用する。また、VSSは、隣接するサーバやネットワーク装置との接続方法として、隣接する装置とVSSの各物理スイッチ間を個別の物理回線で結び、その回線をリンクアグリゲーション(LA:Link Aggregation)で構成するという、VSSの物理スイッチを跨いだLAで構成することを推奨している。このような接続方法を取ることで、2台の物理スイッチにはLAの負荷分散機能によりトラフィックが分散されて送信され、2台分の転送性能を有効に利用することができる。さらに、各物理スイッチと、隣接する装置をそれぞれ物理回線で結び、それら物理回線をLAとして構成する装置跨ぎLAを用いることにより、VSSと隣接装置が仮想的に1本の回線で結ばれているという、ループの無い構成かつ冗長構成となっていることから、他のL2冗長プロトコルに見られるような、障害時におけるネットワークのばたつきも発生しにくい。
【0003】
VSSでは、仮想スイッチを実現するために、非特許文献1のFigure.4に示されるように、2台の物理スイッチ間をVSL(Virtual Switch Link)と呼ばれる専用線で結び、VSS制御トラフィックと通常データトラフィックをやり取りすると記載されている(非特許文献17ページ、“Virtual Switch Link”参照)。また、VSS制御トラフィックには、VSLP(Virtual Switch Link Protocol)と呼ばれるVSL制御プロトコルのパケットと、装置内部でやり取りされる制御信号が含まれると記載されている(非特許文献1 51ページ、“Control Traffic over VSL”参照)。以下、説明のために、VSLを経由するVSS制御トラフィック、通常データトラフィックを総称してVSLトラフィックと呼ぶ。
VSLに障害が発生しているが、2台の物理スイッチには障害が無い場合、各物理スイッチは上述したVSLトラフィックがやり取りできなくなる。これにより、各物理スイッチは他方の物理スイッチに障害が発生したと誤検出し、待機系の物理スイッチは自装置を運用系に切り替え、運用系の物理スイッチがネットワーク上に2台存在する状態になる。これにより、同一のアドレスを持つネットワーク装置が2台存在することになり、パケットロス、誤転送など、様々な問題が発生する恐れがある。これを回避するために、VSSでは、各物理スイッチに障害が無く、VSLのみの障害が発生していることを検出するための機能を有している。この機能を用いてVSL障害を検出すると、制御プレーンが運用系の物理スイッチは、自装置の全ポートを遮断し、制御プレーンが待機系の物理スイッチは運用系に遷移することにより、運用系装置が2台存在する状態を回避している。VSSでは、VSL障害発生による全ポート遮断の状態をリカバリモードと呼んでいる(非特許文献1 42ページ、“Detection Mechanisms and Configuration”参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Cisco Systems、「Cisco Catalyst 6500 Series Virtual Switching System (VSS) 1440」、[Online]、インターネット<URL:http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/switches/ps5718/ps9336/white_paper_c11_429338.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1では、VSLのみに障害が発生した場合、VSLトラフィックの代替経路が存在しない。そのため、VSLトラフィックを2台の物理スイッチ間でやり取りすることが出来ず、2台の物理スイッチを仮想的に1台のスイッチとして動作させることが出来なくなる。これを回避するために、非特許文献1では、VSL障害発生時、片側の物理スイッチをリカバリモードにして仮想化制御を不要にし、VSLトラフィックをやり取りする必要を無くすことで、通信を維持する方法が記載されている。
非特許文献1に記載のVSSでは、上記のVSL障害時のリカバリモードの動作によって、以下に示す2つの課題が存在する。
課題(1):VSSの転送性能が半減する
非特許文献1では、VSSを構成する2台の物理スイッチのうち、リカバリモードとなった物理スイッチをデータ転送に用いることが出来ない。このため、VSL障害発生後には、発生前と比較して、システム全体で使用できる転送性能が最大で50%減少するという課題がある。
図2、図3に転送性能が減少する例を示す。VSS300は、物理スイッチ301、302で構成され、物理スイッチ301、302の間はVSL313で接続されている。また、ネットワーク装置303は、回線317を介して物理スイッチ301、回線318を介して物理スイッチ302と接続されており、回線317、318は装置跨ぎLAとなっている。ネットワーク装置304は、回線319を介して物理スイッチ301、回線320を介して物理スイッチ302に接続されており、回線319、320は装置跨ぎLAとなっている。端末305はネットワーク装置303に、端末306は物理スイッチ301に接続されており、ネットワーク308はネットワーク装置304に接続されている。図2において、トラフィック314が示すように回線318、物理スイッチ302、回線320を経由するトラフィックと、トラフィック315−1が示すように回線317、物理スイッチ301、回線319を経由するトラフィックが流れていた場合について考える。VSL障害が発生すると、図3に示すように、物理スイッチ302が運用系になり、物理スイッチ301がリカバリモードに移行し、ポート309、311、312を閉塞するため、回線317、319、321が使用不可となる。そのため、装置跨ぎLAの障害切り替え処理により、回線317、319を経由していたトラフィックは、引き続き運用されている回線318、320を経由するように経路が切り替わる。例えば、VSL障害発生前のトラフィック315−1は、VSL障害発生後、トラフィック315−2に示すように回線318、物理スイッチ302、回線320を経由するように経路が切り替わる。しかし、VSL障害発生前には、物理スイッチ301、302という2台分の転送性能と、VSS300とネットワーク装置303、VSS300とネットワーク装置304の間でそれぞれ2本の物理回線を使用できていた状態から、障害後に1台分の転送性能とそれぞれ1本の物理回線しか使用できない状態となる。よって、VSS全体の転送性能はVSL障害の前後で減少する。装置跨ぎLAの振り分けによりトラフィックが均等に分散されていた場合には、転送性能が最大で50%減少する。
課題(2):リカバリモードとなった物理スイッチを経由する通信が出来なくなる
非特許文献1では、VSSを構成する各物理スイッチと隣接装置との間を接続する方法として、装置跨ぎLAを用いることが推奨されている。LAをサポートしていない装置をVSSに接続する場合には、片側の物理スイッチにのみ接続する形態が考えられる。この場合、接続した物理スイッチがVSL障害によりリカバリモードとなった場合に、他装置との通信が切断されてしまうという課題がある。
【0006】
図2、図3に、端末間の通信断が発生する例を示す。図2では、端末305と端末306は、トラフィック316−1に示すように、ネットワーク装置303、回線317、物理スイッチ301、回線321を経由して通信を行うことが出来る。しかし、図3では、LAの障害切り替わり動作により、トラフィック316−2に示すようにネットワーク装置303、回線318、物理スイッチ302経由に切り替わる。物理スイッチ301は、リカバリモードへの移行により、ポート309、311、312を閉塞するため、端末305と306を結ぶ経路は存在しなくなり、パケットの廃棄が発生する。なお、非特許文献1では、リカバリモード時に特定ポートを閉塞の対象外に設定することが可能であると記載されている。ただし、閉塞対象外ポートは、物理装置の管理用インタフェースにのみ設定が推奨されている。
例として、端末305と306の間の通信を維持するために、トラフィック316−1の経路上にあるポート309、311を閉塞の対象外に設定し、トラフィック316−1の通信を維持しようとしたとする。この場合、ネットワーク装置303から、BGPなどのプロトコルパケットがVSS300宛てに送信されると、回線317はポート309が閉塞対象外になっていることから、LA振分けにより物理スイッチ301に対して送信される場合が考えられる。この場合には、VSL障害が発生しているためにこのパケットを新運用系である物理スイッチ302に送信する方法がない。よって、特定ポートを閉塞対象外にする機能を用いて端末305と306の通信を維持できたとしても、VSS300宛のプロトコルパケットを処理できないという別の課題が発生する。
本発明は、以上の点に鑑み、複数台のネットワーク装置間を結び、制御信号をやり取りするための専用回線において障害が発生した場合にも、冗長性を維持し、転送性能の低下を防止するネットワークシステム及びネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[適用例1]
ネットワークシステムであって、前記ネットワークシステムは、
仮想的なネットワーク装置として動作するために、お互いに仮想化用パケットを交換する、少なくとも第一のネットワーク装置と第二のネットワーク装置である物理装置と、
前記少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置によって構成される仮想的なネットワーク装置である仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置である配下装置と、
前記少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置を接続し、仮想化用パケットを交換するための専用の回線である装置間リンクと、
前記少なくとも第一の物理装置と前記配下装置、前記第二の物理装置と前記配下装置とを物理回線で接続し、それら物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎLAを有するネットワークシステムであり、
前記第一の物理装置ないし第二の物理装置は、
第一ないし第二の物理装置を識別する値である物理装置識別子と、
前記第一の物理装置と第二の物理装置間で仮想化用パケットを送受信することで、自装置以外の前記物理装置識別子を学習する仮想化制御部と、
自装置の前記物理装置識別子を保持する装置情報テーブルと、
前記装置間リンクに障害が発生した場合おいて、前記仮想化用パケットを前記装置跨ぎLAを介して第一の物理装置から第二の物理装置に送信する際に、第一の物理装置において仮想化用パケットに送信先物理装置識別を付加し、また、第二の物理装置にて前記仮想化用パケットを受信した際、前記装置情報テーブル内の前記物理情報識別子と、仮想化用パケット内の前記送信先物理装置識別子が一致していれば、その仮想化用パケットの受信処理を行う装置間データ転送部を備えることを特徴のひとつとし、
前記配下装置は、
前記物理装置を識別するための情報である物理装置識別子を、前記少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置から収集する仮想化制御部と、
前記仮想化制御部で収集した前記物理装置識別子と前記装置跨ぎLA上の各物理回線との接続の対応表を格納したLA情報テーブルと、
前記物理装置から受信した仮想化用パケットに付加されている物理装置識別子が、装置跨ぎLA上のどの物理回線に接続しているかどうかを、前記LA情報テーブルを検索することにより判定し、検索結果の物理回線に対してパケットを出力する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体例を以下に示す。例えば、仮想装置は物理装置Aと物理装置Bの2台で構成される。物理装置Aには“A”、物理装置Bには“B”という物理装置識別子を割り当てる。物理装置Aと物理装置Bの間は、装置間リンクで接続されている。配下装置は、回線1を介して物理装置Aと、回線2を介して物理装置Bと接続しており、回線1と回線2は装置跨ぎLAを構成する。配下装置は、回線1と接続する物理装置の識別子が“A”、回線2と接続する物理装置が“B”であることをLA情報テーブルに予め保持する。以上のようなネットワークシステムにおいて、装置間リンクに障害が発生した場合、物理装置Aが物理装置B宛てに仮想化用パケットを送信したい場合、物理装置Aは、仮想化用パケットに送信先物理装置の情報として“B”を付加し、回線1を用いて配下装置に送信する。配下装置は、回線1から仮想化用パケットを受信すると、LA情報テーブルを検索し、送信先物理装置として指定されている“B”が回線2と接続されていることを判定し、回線2に仮想化用パケットを出力する。物理装置Bは、回線2から仮想化用パケットを受信すると、仮想化用パケットに付加されている送信先物理装置の情報が“B”であるため、自装置宛ての仮想化用パケットと判定し、仮想化用パケットの受信処理を実施する。
例えば、後述する図18〜20に相当する。
【0008】
[適用例2]
ネットワークシステムであって、前記ネットワークシステムは、
仮想的なネットワーク装置として動作するために、お互いに仮想化用パケットを交換する、少なくとも第一のネットワーク装置と第二のネットワーク装置である物理装置と、
前記少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置によって構成される仮想的なネットワーク装置である仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置である配下装置と、
前記少なくとも第一の物理装置と前記配下装置、前記第二の物理装置と前記配下装置とを物理回線で接続し、それら物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎLAを有するネットワークシステムにおいて、
前記第一の物理装置ないし第二の物理装置は、
第一ないし第二の物理装置を識別する値である物理装置識別子と、
前記第一の物理装置と第二の物理装置間で仮想化用パケットを送受信することで、自装置以外の前記物理装置識別子を学習する仮想化制御部と、
自装置の前記物理装置識別子を保持する装置情報テーブルと、
前記仮想化用パケットを前記装置跨ぎLAを介して第一の物理装置から第二の物理装置に送信する際に、第一の物理装置において仮想化用パケットに送信先物理装置識別を付加し、また、第二の物理装置にて前記仮想化用パケットを受信した際、前記装置情報テーブル内の前記物理情報識別子と、仮想化用パケット内の前記送信先物理装置識別子が一致していれば、その仮想化用パケットの受信処理を行う装置間データ転送部を備えることを特徴のひとつとし、
前記配下装置は、
前記物理装置を識別するための情報である物理装置識別子を、前記少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置から収集する仮想化制御部と、
前記仮想化制御部で収集した前記物理装置識別子と前記装置跨ぎLA上の各物理回線との接続の対応表を格納したLA情報テーブルと、
前記物理装置から受信した仮想化用パケットに付加されている物理装置識別子が、装置跨ぎLA上のどの物理回線に接続しているかどうかを、前記LA情報テーブルを検索することにより判定し、検索結果の物理回線に対してパケットを出力する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体的には、適用例1の具体例において、装置間リンクが無い場合の適用例であり、物理装置Aと物理装置B間で、仮想化用パケットを、常時装置跨ぎLAで接続する配下装置経由で交換する。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2記載のネットワークシステムであって、
前記第一ないし第二の物理装置は、
前記仮想装置のそれぞれに固有に割り当てられる番号である仮想装置識別子と、
前記仮想化用パケットを送信する際、前記仮想化用パケット内に前記仮想装置識別子を付加して送信し、また、前記仮想化用パケットを受信する際、前記仮想化用パケットに付加される前記仮想装置識別子を確認し、前記第二の物理装置の所属する前記仮想装置の前記仮想装置識別子と一致する場合には、仮想化用パケット受信処理を実施する装置間データ転送部と、
前記仮想化用パケットを受信する際、自装置の所属する仮想装置の前記仮想装置識別子が一致しない場合には、前記配下装置が実施するパケット送受信処理と同様の処理を実施する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体的には、適用例1の具体例において、配下装置が物理装置C、物理装置Dで構成され、装置間リンクにより接続される仮想装置であり、適用例1の配下装置と同様にLA情報テーブルを保持する。物理装置Aと物理装置Cが回線1で、物理装置Bと物理装置Dを回線2で接続し、回線1と回線2を装置跨ぎLAとして構成している場合に、物理装置A、Bで構成される仮想装置に“X”、物理装置C,Dで構成される仮想装置に“Y”という仮想装置識別子を割り当てる。物理装置Aが物理装置B宛てに仮想化用パケットを送信する場合、物理装置Aは、仮想化用パケットに、送信先物理装置情報として“B”、送信先仮想装置情報として“X”を付加し、回線1に出力することで、仮想化用パケットを物理装置Cに送信する。物理装置Cは、仮想化用パケットを受信し、送信先仮想装置情報に“X”が付加されていることを判定し、仮想化用パケットを物理装置Bに中継するために、LA情報テーブルを検索し、装置間リンク、物理装置Dを経由して回線2に仮想化用パケットを出力する。物理装置Bは、仮想化用パケットを受信し、送信先仮想装置情報、物理装置情報とも、自装置に割り当てられた識別子と一致するため、仮想化用パケットの受信処理を実施する。
例えば、後述する図37に相当する。
【0010】
[適用例4]
適用例1または適用例2記載のネットワークシステムであって、
前記第一の物理装置ないし第二の物理装置のうち、仮想装置宛てのパケットの受信処理を実施する第一の物理装置は、
前記配下装置に対して、前記仮想装置の持つアドレス情報を送信する仮想化制御部を有し、
前記配下装置は、
前記仮想装置から受信したアドレス情報を格納する仮想装置アドレス情報テーブルと、
パケットを受信して前記仮想装置宛てにパケットを中継する際、前記仮想装置アドレス情報テーブルを検索し、パケットの送信先アドレスと一致する情報が見つかった場合には、前記LA情報テーブルを検索し、装置跨ぎLA上の前記第一の物理装置と接続する物理回線に対してパケットを出力する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体的には、適用例1の具体例において、仮想装置にアドレスEが付加されており、物理装置Aが仮想装置宛てパケットの受信処理を行う場合に、配下装置は仮想装置に設定されているアドレスEを、仮想装置アドレステーブル上に保持する。配下装置は、パケットを仮想装置に中継する際に、そのパケットの送信先アドレスがEである場合には、回線1にパケットを出力し、物理装置Aに送信する。
例えば、後述する第2の実施例、図27等に相当する。
【0011】
[適用例5]
適用例1または適用例2記載のネットワークシステムであって、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置ないし第二の物理装置から仮想化用パケットを受信した際、前記仮想化用パケット内に、前記仮想装置において中継処理がされるべきパケットが含まれている場合に、そのパケットの送信先アドレスと、前記仮想化用パケットの送信先物理装置識別子との対応を格納するためのテーブルである例外アドレステーブルと、
パケット受信時の経路検索において、出力先ポートが前記仮想装置と接続される装置跨ぎLA回線であった場合、パケットの送信先アドレスが、前記LA例外テーブルに含まれているかどうか検索し、含まれている場合には、そのアドレスに対応する前記物理装置識別子を用いて、前記LA情報テーブルを検索し、送信先として示されている前記物理装置と接続される物理回線を決定し、パケットを送信する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体的には、適用例1の具体例において、配下装置が物理装置Aから仮想化用パケットを受信し、物理装置B宛てに中継する際に、仮想化用パケット内にアドレスFを送信先アドレスとして設定されているデータパケットが含まれている場合、配下装置はアドレスFと物理装置識別子“B”との対応を、LA例外テーブルに保持する。その後、配下装置にてパケットを仮想装置に中継する際に、そのパケットの送信先アドレス情報がFである場合には、回線2にパケットを出力し、物理装置Bに送信する。
例えば、後述する第3の実施例、図28等に相当する。
【0012】
[適用例6]
適用例1または適用例2記載のネットワークシステムであって、
前記仮想装置と接続されるネットワーク装置と、
前記第一ないし第二の物理装置は、
前記配下装置の仮想化制御部と情報をやり取りし、仮想装置の装置跨ぎLA回線が、前記配下装置と接続されているか、そうでないかを判別する仮想化制御部と、
各装置跨ぎLAを識別する番号であるLAグループ番号と、前記仮想化制御部により判定された配下装置との接続有無との対応を保持するLA情報テーブル部と、
前記第一の物理装置が前記ネットワーク装置から受信したパケットを前記第二の物理装置に送信する必要がある場合に、前記LA情報テーブルを検索することで前記配下装置と接続する前記LAグループ番号を判定し、そのLAグループの物理回線の中で、前記第一の物理装置に存在する物理回線を選択し、その物理回線に対して仮想化用パケットを送信する装置間データ転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワークシステムである。
具体的には、適用例1の具体例において、ネットワーク装置Gが、回線3を介して物理装置Aと、回線4を介して物理装置Bと接続し、回線3と回線4が装置跨ぎLAを構成している場合に、ネットワーク装置Gから物理装置Bにパケットが中継され、さらに出力先ポートが物理装置A上にある場合、物理装置Bは、仮想化用パケットに送信先物理装置情報として“A”を付加し、回線2を用いて配下装置に送信する。配下装置は、LA情報テーブルを検索し、仮想化用パケットを回線1に出力し、物理装置Aに送信する。物理装置Aは、仮想化用パケットを受信し、そこからデータパケットを取り出し、データパケットの中継処理を実施する。
例えば、後述する第4の実施例、図34等に相当する。
【0013】
[適用例7]
ネットワーク装置であり、LAによりネットワークシステムと接続しているネットワーク装置であって、
前記ネットワークシステムから送信されたパケットのヘッダ情報に、LA回線を個別の物理回線と見なすかどうかを指示する情報と、LA回線上のどの物理回線に出力するかを示す情報が含まれている場合、その情報に従い、LA回線を個別の物理回線と見なし、指定されたLA回線上の物理回線を用いて前記第二のネットワーク装置に送信する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワーク装置である。
具体的には、装置A、ネットワークシステムBがあり、回線1、回線2によるLAで接続している構成において、ネットワークシステムBが装置Aに対し、回線1を用いて送信するパケットに、回線2を出力ポートとする情報が付加されている場合に、装置Aは、回線1から受信したパケットを、回線2に出力して、パケットをネットワーク装置Bに送信する。
例えば、後述する第1の実施例の配下装置に相当する。
【0014】
[適用例8]
ネットワーク装置であり、
LAによりネットワークシステムと接続しているネットワーク装置であって、
前記ネットワークシステムから、任意のネットワークアドレスと、前記任意のネットワークアドレスを送信先とするパケットをLAのどの物理回線を使用して送信するかどうかを示す送信先回線情報を受信した場合に、その情報を格納する例外アドレステーブル部と、
パケット受信した際に、前記例外アドレステーブル部を検索し、送信先ネットワークアドレスと一致するエントリ見つかった場合に、パケットをエントリ内に指定された物理回線に送信する転送部を備えることを特徴のひとつとするネットワーク装置である。
具体的には、装置A、ネットワークシステムBがあり、回線1、回線2によるLAで接続している場合に、ネットワークシステムBが装置Aに対し、アドレスXを持つパケットを回線2に出力するように指示し、装置Aは指示された情報を例外アドレステーブルに保持する。装置Aは、装置Bにパケットを中継する際、パケットの送信先アドレスを確認し、アドレスXである場合、出力先ポートとして回線2を選択し、パケットを出力する。
例えば、後述する第2、第3の実施例の配下装置に相当する。
【0015】
本発明の第1の解決手段によると、
少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置で構成された仮想的に1台のネットワーク装置であり、仮想化制御のための仮想化制御パケット及び各物理装置間で送受信されるデータパケットを含む仮想化用パケットを前記第一の物理装置と第二の物理装置間で交換するための装置間リンクを有する仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置であり、前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置とそれぞれ物理回線で接続し、それら物理回線が該物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する配下装置と
を備え、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置は、
前記装置間リンクに障害が発生した場合において、仮想化用パケットに送信先の物理装置を特定するための送信先の物理装置情報を付加し、装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する物理回線を介して該仮想化用パケットを前記配下装置に送信する装置間データ転送部
を有し、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置又は前記第二の物理装置の物理装置情報と、装置跨ぎリンクアグリゲーション上の、各物理装置に接続される物理回線の識別情報とが対応して格納されたリンクアグリゲーション情報テーブルと、
前記第一又は第二の物理装置から受信した仮想化用パケットについて、該仮想化用パケットに付加されている送信先の物理装置情報に基づき、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを検索して、対応する装置跨ぎリンクアグリゲーション上の物理回線を特定し、特定された物理回線を介して仮想化用パケットを送信先の前記第一又は第二の物理装置に出力する転送部と
を有するネットワークシステムが提供される。
【0016】
本発明の第2の解決手段によると、
少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置で構成された仮想的に1台のネットワーク装置である仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置であり、前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置とそれぞれ物理回線で接続し、それら物理回線が該物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する配下装置と
を備え、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置は、
仮想化用パケットに送信先の物理装置を特定するための送信先の物理装置情報を付加し、装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する物理回線を介して該仮想化用パケットを前記配下装置に送信する装置間データ転送部
を有し、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置又は前記第二の物理装置の物理装置情報と、装置跨ぎリンクアグリゲーション上の、各物理装置に接続される物理回線の識別情報とが対応して格納されたリンクアグリゲーション情報テーブルと、
前記第一又は第二の物理装置から受信した仮想化用パケットについて、該仮想化用パケットに付加されている送信先の物理装置情報に基づき、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを検索して、対応する装置跨ぎリンクアグリゲーション上の物理回線を特定し、特定された物理回線を介して仮想化用パケットを送信先の前記第一又は第二の物理装置に出力する転送部と
を有するネットワークシステムが提供される。
【0017】
本発明の第3の解決手段によると、
リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションにより送信するネットワーク装置において、
前記ネットワークシステムから送信されたパケットのヘッダ情報に、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なすかどうかを指示する情報と、リンクアグリゲーション回線上のどの物理回線に出力するかを示す情報が含まれている場合、それらの情報に従い、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なし、指定されたリンクアグリゲーション回線上の物理回線を用いてパケットを送信する転送部
を備えた前記ネットワーク装置が提供される。
【0018】
本発明の第4の解決手段によると、
リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションに従い送信するネットワーク装置において、
前記ネットワークシステムから、任意のネットワークアドレスと、前記任意のネットワークアドレスを送信先とするパケットをリンクアグリゲーションのどの物理回線を使用して送信するかどうかを示す送信先回線情報を受信した場合に、該ネットワークアドレスと送信先回線情報とが対応したエントリを格納する例外アドレステーブル部と、
パケット受信した際に、前記例外アドレステーブル部を検索し、送信先ネットワークアドレスが一致するエントリ見つかった場合に、該エントリの送信先回線情報に応じた物理回線に、受信されたパケットを送信する転送部と
を備えた前記ネットワーク装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、複数台のネットワーク装置間を結び、制御信号をやり取りするための専用回線において障害が発生した場合にも、冗長性を維持し、転送性能の低下を防止するネットワークシステム及びネットワーク装置を提供することができる。
上述の適用例1において、仮想装置を構成する各物理装置間を結ぶ装置間リンクにおいて障害が発生した場合にも、各物理装置は、配下装置と接続する装置跨ぎLA回線に対して仮想化用パケットを送信し、配下装置において仮想化用パケットを中継することにより、装置間リンク障害後にも、各物理装置間での仮想化用パケットのやり取りを継続することが可能となる。これにより、非特許文献1に記載されているリカバリモードのように、物理装置の片方の全ポート遮断といった回避策を取る必要が無くなり、仮想装置の制御を維持し続けることができる。これにより、前記課題(1)については、本発明により、装置間リンク障害時においても、各物理装置が系状態を維持したまま動作し続けることが可能となるため、装置間リンク障害前と障害後と比較して、仮想装置全体の転送性能の減少を最小限に抑えることが可能となる。また、前記課題(2)についても、本発明により、物理装置の全ポート遮断という装置間リンク障害時の回避策が不要となることから、各物理装置に装置跨ぎLAで接続していない装置との通信を維持し続けることが可能となる。
また、適用例2により、装置跨ぎLA回線経由で仮想化用パケットをやり取りすることができるため、装置間リンクが無い場合にも仮想装置を構成することが可能となる。
適用例1または適用例2では、配下装置として、仮想装置と同等機能を持つ仮想ネットワーク装置を用いた場合、物理装置から仮想化用パケットを配下装置に送信すると、配下装置にて仮想化用パケットの受信処理を実施してしまう。そこで適用例3を用いることにより、仮想装置毎に仮想化用パケットを識別することが可能となる。よって、仮想装置と仮想装置を接続し、一方の仮想装置を、配下装置として動作させることが可能である。
また、適用例4により、配下装置が仮想装置に対して仮想装置宛てのパケットを中継する場合、物理装置間でパケットを受け渡す必要が無いように、装置跨ぎLA上の出力先物理回線を選択することで、装置跨ぎLAを経由する仮想化用パケットを少なくすることができ、装置跨ぎLAでの帯域の消費を減らすことが可能となる。
また、適用例5により、送信先ネットワークアドレスと、そのネットワークアドレスを持つパケットを、別の物理装置に渡さずに転送が可能な物理装置と接続する装置跨ぎLA物理回線との対応表を持つ。これにより、仮想装置で中継するパケットが、仮想化用パケットを用いて物理装置間でやり取りされることを防ぎ、装置跨ぎLAでの帯域の消費を減らすことが可能となる。
また、適用例6により、仮想装置と装置跨ぎLAで接続する隣接装置が、配下装置だけでなく、配下装置の機能を持たないネットワーク装置と混在している環境において、装置間リンクに障害が発生した時に、ネットワーク装置から第1の物理装置に対して送信されたデータパケットが、第1の物理装置以外の物理装置に転送が必要となる場合に、配下装置と各物理装置との間の装置跨ぎLA回線を用いることで、物理装置間のデータパケット転送を引き続き実施することができる。これにより、適用例1または適用例2のネットワークシステムにおいて、仮想装置と装置跨ぎLAで接続する複数のネットワーク装置のうち、少なくとも1台が配下装置の機能を持っていれば、配下装置の機能を持たないその他のネットワーク装置も、仮想装置を構成する物理装置の台数分の転送性能を利用でき、柔軟なネットワーク構成を行うことが可能となる。
また、適用例7により、LAを特定条件下で別物理回線と見なすことができる。これにより、ネットワーク装置とネットワークシステムが、LAが装置跨ぎLAで構成されているような場合に、ネットワークシステム上でやり取りする制御パケットを、装置跨ぎLAを用いてネットワーク装置経由で交換することが可能となる。
また、適用例8により、特定のアドレスを送信先アドレスとして持つパケットをLAに送信する場合に、LA上の特定の物理回線を出力先ポートとして選択することができる。これにより、ネットワーク装置とネットワークシステム間の接続が、装置跨ぎLAで構成されているような場合に、LAで接続されるネットワークシステムにとって、受信処理や中継処理が簡略化されるポートに対してパケットを送信することができ、転送性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例における、概略構成を示す説明図である。
【図2】非特許文献1における、VSSの動作の一例を示す説明図である。
【図3】非特許文献1における、VSL障害発生時のVSSの動作の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の各実施例における、装置間リンク正常運用時のパケット中継動作の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の各実施例における、正常時の仮想化制御パケットの送受信時の動作を示す説明図である。
【図6】本発明の各実施例における、配下装置でのパケット転送の動作を示す説明図である。
【図7】本発明の各実施例における、装置渡りデータパケットの動作の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の各実施例における、仮想装置宛てデータパケットを待機系物理装置から運用系物理装置に転送する動作を示す説明図である。
【図9】本発明の各実施例における、仮想装置で中継処理を行うデータパケットを物理装置間で転送する動作を示す説明図である。
【図10】本発明の各実施例における、装置間リンク正常時の装置情報テーブルの一例を示す説明図である。
【図11】本発明の各実施例における、装置間リンク障害中の装置情報テーブルの一例を示す説明図である。
【図12】本発明の第1の実施例における、LA中継パケットのフレームフォーマットを示す説明図である。
【図13】図12の、送信元装置種別501と送信先装置種別502に格納する値の一例を示す説明図である。
【図14】本発明の第1の実施例における、配下装置のLA情報テーブルの一例を示す説明図である。
【図15】本発明の各実施例における、装置間リンク障害時の装置間データ転送部のLA中継パケット送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の各実施例における、装置間データ転送部のLA中継パケット受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の各実施例における、配下装置の転送部におけるLA中継パケット中継処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第1の実施例における、装置間リンク障害時の、仮想化制御パケット送信処理の一例を示す説明図である。
【図19】本発明の第1の実施例における、仮想装置宛てのパケットが待機系物理装置に送信された場合の、運用系装置への転送動作を示す説明図である。
【図20】本発明の第1の実施例における、仮想装置宛てでないパケットの、物理装置間での転送動作を示す説明図である。
【図21】第2の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図22】第2の実施例における、LA中継パケットのフレームフォーマットを示す説明図である。
【図23】図22における、データ種別503に格納する値の一例を示す説明図である。
【図24】本発明の第2の実施例における、仮想装置アドレスの情報を格納したLA中継パケットのフレームフォーマットを示す説明図である。
【図25】本発明の第2の実施例における、仮想装置アドレス131の一例を示す説明図である。
【図26】本発明の第2の実施例における、配下装置119のパケット転送処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】本発明の第2の実施例における、装置間リンク障害時の仮想装置宛てパケットの中継処理の動作を示す説明図である。
【図28】本発明の第3の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図29】本発明の第3の実施例における、LA中継パケットのフレームフォーマットを示す説明図である。
【図30】本発明の第3の実施例における、LA例外テーブル132の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図31】図29のデータ種別503に格納する値の一例を示す説明図である。
【図32】本発明の第3の実施例における、LA例外テーブル132の一例を示す説明図である。
【図33】本発明の第3の実施例における、配下装置でのパケット中継処理の手順を示すフローチャートである。
【図34】本発明の第4の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図35】本発明の第4の実施例における、LA情報テーブル127に格納する情報の一例を示す説明図である。
【図36】本発明の第4の実施例における、装置間データ転送部のLA中継パケット送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図37】配下装置が仮想装置で構成される変形例のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例
A−1.本実施例の構成
A−2.装置間リンク正常時の動作
A−3.装置間リンク障害時の動作
A−4.本実施例の効果

B.第2の実施例
B−1.本実施例の構成
B−2.装置間リンク正常時の動作
B−3.装置間リンク障害時の動作
B−4.本実施例の効果

C.第3の実施例
C−1.本実施例の構成
C−2.装置間リンク正常時の動作
C−3.装置間リンク障害時の動作
C−4.本実施例の効果

D.第4の実施例
D−1.本実施例の構成
D−2.装置間リンク正常時の動作
D−3.装置間リンク障害時の動作
D−4.本実施例の効果

E.変形例

【0022】
A.第1の実施例:
A−1.実施例の構成:
図1に、第1の実施例の構成例を示す。
仮想装置100は、例えば、物理装置101と物理装置102の2台で構成されており、仮想的に1台のネットワーク装置として動作する。仮想装置100には、配下装置119が直接接続されている。配下装置は、例えば、適宜のネットワーク装置を用いることができる。配下装置119は、回線117、回線118により仮想装置100と接続される。回線117は配下装置119と物理装置101間、回線114は配下装置119と物理装置102間を接続しており、回線117、118の2本の物理回線を、LAにより仮想的に1本の回線として動作させる。つまり、2台の物理装置を跨いだ、装置跨ぎLAで構成されている。第1の実施例において、物理装置上の各ポートが装置跨ぎLA上のポートとして動作しているかどうかは、コンフィグレーション等により、あらかじめ装置に設定されているものとする。
仮想装置100を構成する物理装置101は、制御部103と転送部104を備える。同様に、物理装置102についても、制御部103と転送部104を備える。
制御部103上で動作する仮想化制御部107は、コンフィグレーションによる優先度設定等により、物理装置101、102のどちらが仮想装置100全体の制御を行うかを決定する。第1の実施例では、コンフィグレーションにより、物理装置101で動作している仮想化制御部107が、全体の制御を担当することが決定される場合について説明する。初期化時にどちらの物理装置が全体の制御を担当するかどうかは、装置間で動的に取り決めることにより決定してもよい。
仮想装置全体の制御を実施する物理装置101上の制御部103では、BGP(Boader Gateway Protocol)やOSPF(Open Shortest Pass First)等のルーティングプロトコルにより、他装置とパケットのやり取りをして経路の制御を行う経路管理部105や、その他ネットワークプロトコルの処理を行うプロトコル処理部106が複数動作している。本実施の形態では、各物理装置のうち、仮想装置全体を制御する仮想化制御部107と、経路管理部105、プロトコル処理部106が動作する物理装置のことを、運用系と表現する。第1の実施例では、物理装置101が運用系となる。
また、物理装置102上の制御部103でも、同じく仮想化制御部107が動作している。物理装置102の仮想化制御部107は、仮想化装置100全体の制御は実施せず、運用系である物理装置101上の仮想化制御部107と通信を行い、物理装置101上の仮想化制御部107の指示に従い、物理装置102の動作を制御する。また、待機系では、経路管理部、プロトコル処理部を備えてもよいが動作しない。本実施の形態では、各物理装置のうち、制御部において仮想化制御部のみが動作している物理装置を、待機系と表現する。第1の実施例では、物理装置102が待機系となる。
物理装置101、102を仮想的に1台の装置として動作させるためには、各物理装置の仮想化制御部107の間で制御のための情報を交換する必要がある。例えば、コンフィグレーションの情報や、経路管理部105が学習した経路情報がこれにあたる。この仮想化制御のために物理装置間で交換するパケットのことを、仮想化制御パケットと呼ぶ。仮想化制御部107間で仮想化制御パケットを送受信するために、物理装置101、102の間を専用の回線で接続する。この回線のことを装置間リンク112と呼ぶ。
物理装置101、102上の転送部104は、装置間データ転送部108、経路情報110、経路決定部111を有する。装置間データ転送部108の内部には、物理装置の系状態と、装置間リンクの状態を格納する装置情報テーブル109を保持する(例えば、図10参照)。経路情報110には、経路管理部105が学習した経路が格納されている。経路決定部111は、パケット受信時、送信先レイヤ2アドレス、または送信先レイヤ3アドレスに関する経路を経路情報110から検索し、該当する経路情報を基にパケット中継を実施する。また、装置間データ転送部108は、正常時(装置間リンク112の障害が発生していない場合)、仮想化制御部107や経路決定部111からの指示により、装置間リンク112を経由して、物理装置102に対し仮想化制御パケットを送信する。また、物理装置におけるパケット中継処理では、自装置で受信したパケットの出力ポートが、もう一方の物理装置のポートである場合がある。この場合、装置間リンク112を用いて物理装置間でパケットの受け渡しを実施する。これを以下、装置渡りデータパケットと呼ぶ(詳細はA−2で後述する)。また、仮想化制御パケットと装置渡りデータパケットを、総称して仮想化用パケットと呼ぶ。
物理装置101、102の経路情報110には、各物理装置の仮想化制御部107による同期処理により、同一の経路情報が格納される。運用系である物理装置101上の経路管理部105が仮想化制御部107に配布した経路情報は、自装置の経路情報110に登録するだけでなく、装置間リンク112を介して経路情報を送信する。待機系である物理装置102の仮想化制御部107は、装置間リンク112から経路情報を受信し、その経路情報を自装置の経路情報110に登録することで、物理装置101、102の経路情報110が同期される。
仮想装置100と装置跨ぎLAで接続される配下装置119は、物理装置101、102と同様に、制御部125と転送部120を備える。
配下装置119の制御部125では、仮想化制御部126が動作する。仮想化制御部126は、仮想装置100上の物理装置101、102で動作する仮想化制御部107から、各物理装置の系状態を取得し、LA情報テーブル123に格納する。LA情報テーブル123については、A−3.において後述する。
転送部120は、経路決定部122と経路情報124を有する。また、転送部120は、装置跨ぎLAの回線117、118に、特定のアルゴリズム(ハッシュ計算など)に基づいて中継パケットを振り分けるためのLA振分け部121と、LAを構成する各物理回線の情報を格納したLA情報テーブル123とを有する。
【0023】
A−2.装置間リンク正常時の動作:
図4に、第1の実施例における正常時(装置間リンク112に障害が発生していない場合)のパケット転送処理の例を示す。
図1での仮想装置100、物理装置101、102、配下装置119に加え、仮想装置100と装置跨ぎLAで接続される配下装置200、物理装置100と1本の回線で接続されるネットワーク装置201、配下装置200と接続されるネットワーク220、ネットワーク装置201と接続されるネットワーク221、配下装置101に接続される端末202と端末203が配置されている例について説明する。この例では、配下装置119、200については、装置跨ぎLAで物理装置101、102双方に接続されており、ネットワーク装置201は物理装置102にのみ接続されている。仮想装置100では、コンフィグレーション等により、ポート216とポート217、ポート210とポート211のそれぞれが、装置跨ぎLA上のポートであることを設定する。また、配下装置200の装置内部の構成は、図1における配下装置119の構成と同様である。なお、第1の実施例では、仮想装置と装置跨ぎLAにより接続する装置は、配下装置のみであることを前提とする。
A−1で述べた通り、装置間リンク112では、図4におけるパケット253のように、物理装置101、102の間で仮想化制御パケットが交換される。
図5に、パケット253が装置間リンク112を経由して送信される例を示す。この例は、運用系の物理装置101の経路管理部105で学習した経路を、物理装置102に同期させるために送信される仮想化制御パケットの例である。物理装置101の経路管理部105は、学習した経路情報を仮想化制御部107に送信する。仮想化制御部107は、経路情報を物理装置101上の経路情報110に反映させるとともに、装置間データ転送部108に対し、物理装置102への経路情報送信を指示する。これを受け、装置間データ転送部108は、経路情報を含む仮想化制御パケットであるパケット253を生成し、装置間リンク112を介して物理装置102に送信する。物理装置102の転送部104は、パケット253を受信すると、装置間データ転送部108にパケット処理を指示する。物理装置102上の装置間データ転送部108は、仮想化制御パケットから経路情報を取り出し、自装置の仮想化制御部107に送信する。仮想化制御部107は、この経路情報を自装置の経路情報110に反映させ、物理装置101、102間での経路同期が完了する。
図4のパケット250が示すように、端末202から、ネットワーク220上に存在する装置(図示は省略)宛てにパケット送信を実施する場合、端末202から送信されたパケット250は、配下装置119に送信され、それを受信した配下装置119は中継処理a1を実施する。
図6に、a1の詳細を示す。配下装置119は、端末202からパケットを受信すると、経路決定部122に対して受信パケットの出力先ポートを決定するよう指示する。経路決定部122は、経路情報124、LA情報テーブル123を順に検索し、出力先ポートとして、ポート218、219で構成されるLAポートが選択される。次に、LA振分け部121にパケットが渡され、パケットのヘッダ情報などに基づき、特定のアルゴリズムを用いてポート218、219のどちらかにパケットを振分けるかを選択する。ポート218が選択された場合、物理装置101のポート216にパケットが到着する。
物理装置101は、配下装置119からパケットを受信すると、経路検索を実施して出力先ポートを決定する。図4のパケット250のように、ネットワーク220上の装置が送信先であるパケットの中継処理においては、ポート210、211の構成するLAが出力先ポートとして選択される。このとき、ポート210を選択した場合には、装置間リンク112を経由せずに中継できるため、出力先ポートとしてポート210を選択し、配下装置200にパケットを送信する。
図4のパケット252に示すように、端末203から、ネットワーク221上に存在する装置(図示は省略)宛てにパケットを送信する場合も、配下装置119にて中継処理a1と同様に中継処理が実施される。LA振り分けによりポート219が選択された場合、物理装置102で中継処理が実施される。物理装置102は、配下装置119からパケットを受信すると、経路検索を実施する。検索の結果、出力先ポートとしてポート213が選択し、ネットワーク装置201にパケットを送信する。
また、図4のパケット251に示すように、端末202から仮想装置100宛てにパケット(プロトコルパケットなど)が送信され、配下装置119のLA振り分け処理にてポート218が選択された場合、運用系である物理装置101でデータパケットを受信し、パケット処理を実施する。
図7に、装置間リンク112上で装置渡りデータパケットのやり取りを実施する例を示す。パケット254のように、仮想装置100宛てのデータパケットを待機系の物理装置102で受信した場合、装置間リンク112を経由して物理装置101に送信する。また、パケット255のように、ネットワーク221上の装置宛てのデータパケットを物理装置101で受信した場合、装置間リンク112を経由して物理装置102、ネットワーク装置201の順でパケット中継が行われる。
図8に、仮想装置100宛てのパケット254が、待機系の物理装置102から装置間リンク経由で運用系の物理装置101に送信される例を示す。
端末203から、物理装置101のプロトコル処理部106で処理すべきデータパケットが配下装置119に対して送信される。これを受信した配下装置119は、LAの振り分け処理を実施する。ここでは、回線118を経由して物理装置102に中継される例について説明する。物理装置102は、データパケットを受信すると、経路決定部111で経路情報110が検索され、仮想装置100宛てのデータパケットであることが判定される。経路決定部111は、装置間データ転送部108に対し、受信データパケットを運用系である物理装置101へ送信するよう指示する。装置間データ転送部108は、受信データパケットに装置間リンク専用のヘッダを付加してカプセル化し、装置渡りデータパケットを生成する。この専用のヘッダには、物理装置101に対し、物理装置101において、装置渡りデータパケット内に含まれるデータを受信するように指示する情報が格納される。装置渡りデータパケットは、装置間リンク112を介し、物理装置101の装置間データ転送部108に渡される。装置間データ転送部108は、装置渡りデータパケットからデータパケットを取り出し、データパケットに含まれるヘッダ情報(TCP、UDPヘッダ等)から、そのデータパケットを受信するプロトコル処理部106を選択し、パケット処理を指示する。
図9に、パケット255が装置間リンクを経由して中継される例を示す。
端末203からパケット255が送信されると、それを受信した配下装置119は、LA振分け処理により、ここでは回線117を経由して物理装置101に中継する。物理装置101は、データパケットを受信すると、経路決定部111において経路情報110を検索し、出力先ポートとして物理装置102上のポート213が選択される。経路決定部111は、出力先ポートが別物理装置のポートであった場合、装置間データ転送部108に対し、装置間リンク112経由での送信を依頼する。装置間データ転送部118は、経路決定部111から受けたデータパケットを、装置間リンク専用のヘッダを付加してカプセル化し、装置渡りデータパケットを生成する。この専用ヘッダには、物理装置102に対し、ポート213へパケットを出力するように指示する情報が格納される。装置渡りデータパケットは、装置間リンク112を介し、物理装置102の装置間データ転送部108に渡される。装置間データ転送部108は、装置渡りデータパケットからデータパケットを取り出し、ヘッダに格納されていた出力先ポートの情報を基に、ポート213に送信する。
以上が、装置間リンク正常時の動作となる。
【0024】
A−3.装置間リンク障害時の動作:
ここでは、A−1、A−2で述べた構成において、装置間リンク112に障害が発生した場合に、前述の課題(1)、(2)を解決するための方法を説明する。
第1の実施例では、装置間リンク112の障害を検出した際に、仮想装置と配下装置の間の装置跨ぎLA回線を代替経路として用いる。例えば図4、図7で示した構成例では、仮想装置100(物理装置101、102)と配下装置(配下装置119、配下装置200)との間の装置跨ぎLA回線である。ただし、通常のLA回線の処理を実施した場合、同一回線の折り返しとみなされてしまう。そのため、第1の実施例では、装置間リンク経由で送信すべきデータについては、装置跨ぎLA回線を、個別の物理回線として用いる処理を実施する。これを実施するため、装置間データ転送部108にて独自のヘッダであるLA中継ヘッダを付加してカプセル化を実施する。LA中継ヘッダが付加されたパケットを、以下LA中継パケットと呼ぶ。配下装置119または配下装置200は、仮想装置100の各物理装置101、102からLA中継パケットを受信した場合に、装置跨ぎLAとしてではなく、2本の別の物理回線として、LA中継ヘッダに含まれる情報を基に、パケットの中継処理を行う。なお、装置間リンク障害の検出方法については、非特許文献1と同様の方法を用いてもよいし、他の適宜の手法を用いても良い。
装置間リンク障害時に装置跨ぎLA回線を代替経路として用いるために、各物理装置101、102の装置間データ転送部108において、LA中継ヘッダによるカプセル化、デカプセル化処理を実施する。各物理装置101、102では、これらを実施するため、装置間データ転送部108上に、図10、図11に示すテーブルを保持する。このテーブルのことを装置情報テーブル109と呼ぶ。装置情報テーブル109には、例えば、運用系又は待機系を示す自装置の系状態と、装置間リンク状態という2種類の状態を保持する。これらの状態は、自装置の制御部103にて動作する仮想化制御部107が管理し、運用系と待機系の切り替わりや装置間リンクの障害発生に伴い、随時状態を変更する。
図10は、仮想装置100に障害が発生していない正常時のテーブル情報の例である。装置間リンク112に障害が発生すると、各物理装置の仮想化制御部107がそれぞれ障害発生を検出し、図11に示すように、例えば、装置間データ転送部108に対し、装置間リンク状態を“障害”に変更するように指示する。
【0025】
図12に、装置跨ぎLAを介してやり取りされる、LA中継パケットのフレームフォーマットを示す。レイヤ2プロトコルにEthernetII(登録商標)規格を用いた場合、送信先MACアドレス、送信元MACアドレス、Typeフィールドが配置される。MACアドレスには、メーカー固有のMACアドレスや、各装置の装置MACアドレス、マルチキャストアドレスなど、隣接装置が受信処理を開始するMACアドレスであれば何を格納してもよい。また、Typeフィールドには、Ethernetヘッダ以下に続くプロトコルを識別する値が格納される。第1の実施例では、TypeフィールドにLA中継パケットを識別するための固有の値を格納する。使用するレイヤ2プロトコルがEthernetII以外の場合には、プロトコルに合わせたヘッダを使用する。第1の実施例では、レイヤ2ヘッダの直後に、LA中継ヘッダとして、送信元装置種別501と送信先装置種別502を格納する。各物理装置、配下装置は、送信元装置種別501と送信先装置種別502によってLA中継パケットの送信元、送信先を識別する。第1の実施例では、運用系物理装置101、待機系物理装置102、配下装置119の3つの装置を識別できれば良いため、ビット幅は2ビットあれば十分である。一例として、図13に示すように、送信元装置種別501と、送信先装置種別502に格納する値のビット列と装置種別を対応づければよい。送信先装置種別502に続き、通常装置間リンクでやり取りされるパケット(仮想化制御パケット、装置渡りデータパケット)をカプセル化して格納する。なお、仮想装置を構成する物理装置が3台以上の場合については、後述のE.変形例において説明する。
配下装置119では、LA中継パケットを中継するために、装置跨ぎLAを構成する各物理回線が、仮想装置100の運用系物理装置、待機系物理装置のどちらに接続されているかという情報が必要となる。第1の実施例では、配下装置119、配下装置200の保持するLA情報テーブル123に、接続先物理装置の系状態を示すフィールドを追加することで、接続先の物理装置種別を判別する。
図14に、LA情報テーブル123に接続先装置の系状態の情報を追加した例を示す。LA情報テーブル123は、例えば、物理ポート番号と、LAグループ番号(LA識別子)と、接続先装置の系情報(物理装置情報)が対応して記憶される。配下装置のポート218、219は、それぞれ運用系、待機系に接続されていることを示す情報が格納される。LA情報テーブル123に格納される系状態フィールドは、仮想装置100の初期化時や、運用系、待機系の切り替わりといったイベント契機により、物理装置101、102の仮想化制御部107と、配下装置119、200の仮想化制御部126がそれぞれ情報を交換することにより更新される。
図15は、装置間リンク障害時、物理装置101、102の装置間データ転送部108において、仮想化制御部107や経路決定部111から装置間リンク経由のパケット送信を指示された場合に、LA中継パケットを生成して装置跨ぎLA回線に送信する処理をフローチャートで表したものである。図16は、物理装置101、102がLA中継パケットを受信した際の装置間データ転送部108における処理をフローチャートで表したものである。図17は、配下装置において、LA中継パケットを受信した場合に、ヘッダ内の送信先装置種別502で指定された系状態を持つ物理装置に対してパケットを中継する処理をフローチャートで示したものである。
【0026】
(仮想化制御パケットの転送)
図18は、装置間リンク障害時の、仮想化制御パケット送信処理の一例を示す説明図である。
以下、第1の実施例における、装置間リンク障害時の仮想化制御パケットの転送方法について例を挙げて説明する。ここでの例は、図4に示すネットワーク構成において、図18に示すように、経路同期の際に運用系から待機系に仮想化制御パケットが送信される場合である。仮想化装置100において運用系として動作している物理装置101では、経路管理部105が新たな経路を学習すると、仮想化制御部107に経路情報を通知する。仮想化制御部107は、経路情報110に経路を登録すると共に、装置間データ転送部108に対し、装置間リンク112経由で待機系物理装置102に経路情報を送信するように指示する。まず、装置間データ転送部108での処理を図15に沿って示す。
装置間データ転送部108は、例えば、仮想化制御部107から装置間リンク112を介したパケット送信指示を受ける(ステップ403)。装置間データ転送部108は、自身が持つ装置情報テーブル109を参照し、自装置の装置種別を取得する。装置種別により、以降の処理が2つに分岐する(ステップ404)。自装置の装置種別が運用系の場合、図12に示したLA中継ヘッダについて、送信元装置種別501に“運用系”、送信先装置種別502に“待機系”を示す情報を格納する。図13で示した例を用いた場合、送信元装置種別501には二進数で“00”、送信先装置種別502に“01”を格納する(ステップ405−a)。一方、自装置の装置種別が待機系の場合は、送信元装置種別501に“待機系”、送信先装置種別502に“運用系”を示す情報を格納する(ステップ405−b)。図18の例では、物理装置101の装置種別が運用系のため、ステップ405−aに分岐する。
ステップ405−aにおいてLA中継ヘッダを生成した後、装置間データ転送部へのパケット送信指示元が、仮想化制御部107であるか、経路決定部111であるかで、処理が分岐する(ステップ406)。図18の例では、指示元が仮想化制御部105であるため、パケットにLA中継ヘッダを付加し、自装置の装置跨ぎLA上の任意のポートに出力する(ステップ408−a)。図18の例では、装置間データ転送部108が出力先ポートとしてポート216を選択し、配下装置119にLA中継パケットを送信する。
配下装置119は、物理装置101からLA中継パケットを受信し、転送部120に処理を依頼する。LA中継パケットを受信した際の転送部120での動作を、図17に沿って説明する。
装置跨ぎLAで接続する物理装置101、102のどちらか一方からLA中継パケットを受信すると、転送部120にて受信処理を開始する(ステップ413)。転送部120は、LA中継パケットを受信したポートの番号をキーにしてLA情報テーブル123を検索し、仮想装置100と接続している装置跨ぎLAのLAグループ番号を取得する(ステップ414)。次に、受信したLA中継パケットのヘッダ内に含まれる送信先装置種別502が、運用系であるか、待機系であるかによって、処理が2つに分岐する(ステップ415)。運用系の場合、転送部120は、LA情報テーブル123を再び検索し、ステップ412で得られたLAグループ番号と、接続先装置の系状態が運用系というデータを持つ物理ポートを選択する(ステップ416−a)。一方、待機系の場合、転送部120は、LA情報テーブル123を再び検索し、ステップ412で得られたLAグループ番号と、接続先装置の系状態が待機系というデータを持つ物理ポートを選択する(ステップ416−b)。図18の例では、送信先装置種別502に待機系と示されているため、ステップ416−bが実行され、物理ポート番号としてポート219が選択される。ステップ416−a、416−bの後のステップ437については、第1の実施例では実施しない。ステップ437については、C.第3の実施例にて後述する。最後に、受信したLA中継パケットを、ステップ416−a、416−bで得られた物理ポート番号宛てに中継する(ステップ417)。
【0027】
物理装置102は、配下装置119からLA中継パケットを受信する。このときの物理装置102の動作を図16に沿って説明する。
物理装置102の装置間データ転送部108は、転送部104からLA中継パケットの受信処理を行うよう指示を受ける(ステップ409)。装置間データ転送部108は、LA中継ヘッダの送信先装置種別502を確認し、運用系・待機系のどちらかであるか、その他の値が格納されているかで処理が2つに分岐する(ステップ410)。その他の値が格納されている場合には、例えばパケットは廃棄される。運用系・待機系どちらかの場合、LA中継ヘッダ内の送信先装置種別502と、装置間データ転送部108の装置情報テーブル109に示すテーブルに格納されている自装置の系状態が一致するかどうかを確認する(ステップ411)。図18の例では“待機系”で一致しているため、次の処理に進む。不一致の場合には、例えばパケットが廃棄される。最後に、LA中継パケットのデカプセル化を行い、取り出したパケットについて、装置間リンク使用時と同様の受信処理を実施する(ステップ412)。
図18の例を用いて説明した方法により、装置間リンク障害後も物理装置間で仮想制御パケットを交換することができるため、仮想装置100の制御を維持することが可能となる。よって、A−2において説明した図4のように、装置間リンクを経由しない通信については、上述した方法により通信を維持できる。
【0028】
(装置渡りデータパケットの転送1)
仮想装置100が装置間リンク障害前と同様の動作を行うためには、図7で示したように、装置間リンクを経由する装置渡りデータパケットを、代替経路を用いて物理装置間でやり取りするための方法が必要となる。以下、装置間リンク障害時における装置渡りデータパケットの転送方法を示す。
図19は、仮想装置宛てのパケットが待機系物理装置に送信された場合の、運用系装置への転送動作を示す説明図である。仮想装置100宛てのデータパケットが待機系物理装置に送信された場合に、運用系物理装置へ装置渡りデータパケットを転送する方法を、図19に示す例を用いて説明する。端末202は、送信先アドレスとして仮想装置100のアドレスを持つパケットを送信し、配下装置119の転送部120がそれを受信する。転送部120では、受信パケットの処理を経路決定部122に指示する。経路決定部122は、経路情報124を検索し、出力先ポートとしてポート218、219で構成されるLAポートが選択される。経路決定部122は、LA振り分け部121に対し、パケット振分けを指示する。LA振り分け部121では、パケットのヘッダ情報など、特定のアルゴリズムを用いてポート218、219のどちらかにパケットを振分けるかを選択する。LA振り分け処理の結果、ポート219が選択されたとすると、物理装置102に対しパケットが送信される。
物理装置102は、ポート217からパケットを受信し、転送部104にて中継処理を実施する。転送部104は、経路決定部111にパケット処理を指示し、経路情報110を参照して経路検索を実施する。この結果、受信したパケットが仮想装置100宛てであり、運用系物理装置101の制御部103にて処理する必要があることが分かる。経路決定部111は、物理装置101にデータパケットを送信するため、装置間データ転送部108にパケット処理を指示する。
装置間データ転送部108での処理を図15に沿って説明する。待機系物理装置102上の装置間データ転送部108は、経路決定部111から、装置間リンク112を介したパケット送信指示を受ける(ステップ403)。装置間データ転送部108は、自装置が持つ装置情報テーブル109を参照し、自装置の装置種別が“待機系”であることを取得する(ステップ404)。装置間データ転送部108は、装置種別が待機系の場合、LA中継ヘッダの送信元装置種別501に“待機系”、送信先装置種別502に“運用系”を示す情報を格納する(ステップ405−b)。次に、送信指示元により処理が2つに分岐する。図19の例では、指示元が経路決定部111であるため、ステップ407に進む(ステップ406)。装置間データ転送部108は、転送部104がパケットを受信したポート(以下、パケット受信ポート)が装置跨ぎLA上のポートであるか、そうでないかを、コンフィグレーション等の設定情報を用いて判定し、判定結果により処理が分岐する(ステップ407)。パケット受信ポートが装置跨ぎLA上のポートであった場合、装置間データ転送部108は、パケットにステップ405−bで作成されたLA中継ヘッダを付加し、パケット受信ポートにLA中継パケットを出力する(ステップ408−b)。一方、装置跨ぎLA上のポートでない場合、装置間データ転送部108は、パケットにLA中継ヘッダを付加し、自装置の装置跨ぎLAポートの任意のポートに出力する(ステップ408−a)。図19の例では、パケット受信ポートがポート217で、ポート217が装置跨ぎLA上のポートであることが予め設定されているため、ステップ408−bが実行され、受信パケットにLA中継ヘッダを付加し、ポート217にLA中継パケットを出力する。以上の処理により、配下装置119にLA中継パケットが到着する。
【0029】
配下装置119は、物理装置102からLA中継パケットを受信し、転送部120にパケット処理を指示する。転送部120での処理を図17に沿って説明する。配下装置119は、物理装置102からLA中継パケットを受信すると、転送部120にて受信処理を開始する(ステップ413)。転送部120は、LA中継パケットを受信したポート219のポート番号をキーにしてLA情報テーブル123を検索し、ポート219の所属するLAグループ番号を取得する(ステップ414)。次に、受信したLA中継パケットのヘッダ内に含まれる送信先装置種別502が、“運用系”であることを判定する(ステップ415)。LA情報テーブル123を再び検索し、ステップ414で得られたLAグループ番号と、接続先装置の系状態が運用系であるデータを持つ物理ポートを検索し、ポート218を選択する(ステップ416−a)。最後に、選択されたポート218に対しLA中継パケットを送信する(ステップ417)。
物理装置101の転送部104は、配下装置119によって中継されたLA中継パケットを受信し、装置間データ転送部108にパケット処理を指示する。装置間データ転送部108での受信処理を図16に沿って説明する。装置間データ転送部108は、転送部104からLA中継パケットの受信処理を行うよう指示を受ける(ステップ409)。装置間データ転送部108は、LA中継ヘッダの送信先装置種別を確認し、“運用系”であることを判定し、次の処理に進む(ステップ410)。LA中継ヘッダ内の送信先装置種別と、装置情報テーブル109に示すテーブルに格納されている自装置の系状態が“運用系”で一致していることを確認し、次の処理に進む(ステップ411)。最後に、LA中継パケットをデカプセル化してパケットを取り出し、装置間リンク112使用時と同様の受信処理を実施する(ステップ412)。
【0030】
(装置渡りデータパケットの転送2)
片側物理装置に接続されているネットワーク装置に中継されるデータパケットが、他方の物理装置に中継された場合の、装置渡りデータパケットの転送方法を図20に示す例を用いて説明する。端末203は、ネットワーク装置201の先にあるネットワーク上の装置(図は省略)を送信先アドレスとして持つパケットを送信する。これを受けた配下装置119は、図19と同様、経路検索、LA振り分けを実施し、ここではポート218からパケットが送信されたとする。物理装置101は、配下装置119からのパケットをポート216から受信し、経路決定部111にて、経路情報110を参照し、出力先ポートとして物理装置102上のポート213が決定される。出力先ポートが自装置以外にあるため、経路決定部111は、装置間データ転送部108に対し、物理装置102へのパケット送信を指示する。
これを受けた装置間データ転送部108での処理を、図15に沿って説明する。装置間データ転送部108は、経路決定部111から、装置間リンク112を介したパケット送信指示を受ける(ステップ403)。装置間データ転送部108は、自身が持つ装置情報テーブル109を参照し、自装置の装置種別が“運用系”であることを取得する(ステップ404)。装置種別が運用系の場合、図12に示したLA中継ヘッダについて、送信元装置種別501に“運用系”、送信先装置種別502に“待機系”を示す情報を格納する(ステップ405−a)。図20では、送信指示元が経路決定部111であるため、ステップ407に進む(ステップ406)。パケット受信ポートはポート216であり、装置跨ぎLA上にあるため、ステップ408−bに進む(ステップ407)。最後に、受信パケットにステップ405−aで作成されたLA中継ヘッダを付加し、パケット受信ポートであるポート216に出力する(ステップ408−a)。以上の処理により、配下装置119にLA中継パケットが到着する。
配下装置119は、ポート218からLA中継パケットを受信し、転送部120にパケット処理を指示する。転送部120でのLA中継パケット中継処理を図17に沿って説明する。配下装置119は、物理装置101からLA中継パケットを受信すると、転送部120にて受信処理を開始する(ステップ413)。転送部120は、LA中継パケットを受信したポート218のポート番号をキーにしてLA検索テーブル123を検索し、LAグループ番号を取得する(ステップ414)。次に、受信したLA中継パケットのヘッダ内に含まれる送信先装置種別502が、“待機系”であることを判定する(ステップ415)。送信先装置種別502が待機系であった場合、LA情報テーブルを再び検索し、ステップ412で得られたLAグループ番号と、接続先装置の系状態が待機系というデータを持つ物理ポートを検索し、ポート219を選択する(ステップ416−b)。最後に、ポート219に対しに対し、LA中継パケットを中継する(ステップ417)。
物理装置102の転送部104は、配下装置119から送信されたLA中継パケットを受信し、装置間データ転送部108に処理を指示する。装置間データ転送部108でのLA中継パケット受信処理を図16に示す。装置間データ転送部108は、転送部104からLA中継パケットの受信処理を行うよう指示を受ける(ステップ409)。装置間データ転送部108は、LA中継ヘッダの送信先装置種別を確認し、“待機系”であることを判定し、次の処理に進む。(ステップ410)。次に、LA中継ヘッダ内の送信先装置種別と、装置情報テーブル109に示すテーブルに格納されている自装置の系状態が“待機系”で一致していることを判定し、次の処理に進む(ステップ411)。最後に、LA中継パケットをデカプセル化してパケットを取り出し、装置間リンク使用時と同様の受信処理を実施する(ステップ412)。
【0031】
A−4:実施例の効果
第1の実施例によれば、装置間リンク112において障害が発生した場合にも、装置跨ぎLA回線を用い、仮想化用パケットを配下装置で中継することで、各物理装置間で仮想化用パケットのやり取りを継続することが出来る。これにより、物理装置の片方の全ポート遮断などの回避策を取る必要が無くなり、物理装置101、102を、仮想装置100として動作させ続けることが可能となる。
装置間リンク障害時にも、各物理装置が系状態を維持したまま動作し続けることが可能となるため、前記課題(1)で挙げた、転送性能の半減という課題を解決することができる。さらに、片側の物理装置の全ポート遮断が必要ないため、前記課題(2)については、各物理装置に装置跨ぎLAで接続していない装置との通信が遮断されるという課題を解決することができる。
【0032】
B.第2の実施例
第1の実施例は、装置間リンク障害時、物理装置間でやり取りする仮想化用パケットを、LA中継ヘッダでカプセル化し、装置跨ぎLA回線経由で送信する方法である。しかし、第1の実施例は、配下装置から仮想装置へのLA振分けの状況により、装置渡りデータパケットのトラフィックが増大した場合、LA中継パケットによって装置跨ぎLA回線の帯域を圧迫する場合があり、転送性能が正常時と比べて低下する場合がある。
第2の実施例は、LA中継パケットにカプセル化され、装置跨ぎLAを経由して送信される装置渡りデータパケットのうち、待機系から運用系に送信される仮想装置宛てデータパケット(第1の実施例の図19参照)を、配下装置において運用系に強制的に振分けるようにし、装置渡りデータパケットを不要にすることで、第1の実施例の課題を解決する方法である。第2の実施例では、配下装置において、仮想装置の持つアドレス情報を取得し、自装置の転送部にテーブルとして保持しておく。このアドレス情報のことを仮想装置アドレス情報と呼ぶ。配下装置の転送部において仮想装置宛てのパケットを中継する際、仮想装置アドレス情報と第1の実施例で用いたLA情報テーブルの情報を組み合わせ、仮想装置宛のパケットはLA振分け処理を無視して運用系物理装置に対して送信することにより、装置渡りデータパケットを含むLA中継パケットを減少させ、装置跨ぎLA回線の帯域圧迫を軽減させることができる。
【0033】
B−1.実施例の構成
図21に、第2の実施例の構成図を示す。
第1の実施例の構成に加えて、運用系物理装置101の制御部に、仮想装置アドレス情報テーブル130を配置する。このテーブルは、仮想装置100全体で割り当てられているレイヤ2・レイヤ3アドレスの一覧である。配下装置119には、転送部120に仮想装置アドレス情報テーブル131を追加する。このテーブルは、運用系物理装置101が持つ仮想装置アドレス情報テーブル130と同じ情報が格納されている。配下装置119における仮想装置アドレス情報テーブル131の作成方法については、以下のB−2.にて詳述する。
【0034】
B−2.装置間リンク正常時の動作
装置間リンクが正常で、システムに障害が発生していない場合、データパケットの中継処理については第1の実施例と差分は無いため、ここでは説明は省略する。
配下装置119における仮想装置アドレス情報テーブル131の追加方法を、図21を用いて説明する。運用系の物理装置101上の仮想化制御部107は、コンフィグレーション等で仮想装置の運用系として動作を開始した際に、仮想装置アドレス情報テーブル130をLA中継パケットとして、配下装置119に送信する。これを受信した配下装置119は、仮想化制御部126にて処理を実施する。仮想化制御部126は、パケットに含まれるアドレス情報を、自装置の仮想装置アドレス情報テーブル131に追加する。
図22に、仮想装置アドレス情報を送信する際に用いるLA中継パケットのフレームフォーマットを示す。送信元装置種別501、送信先装置種別502については、第1の実施例と同じく“運用系”、“待機系”、“配下装置”を識別する値を格納する。仮想装置アドレス情報送信時には、送信元装置種別501に“運用系”、送信先装置種別502には“配下装置”を示す値を格納する。データ種別503には、LA中継ヘッダ以下に格納するデータの種別を格納する。第2の実施例では、図23に示す例のように、“仮想装置アドレス情報”、“仮想化制御パケット”、“装置渡りデータパケット”の3種類のデータ種別を、2ビットのフィールドに割り当てればよい。
図24に、仮想装置アドレス情報をLA中継パケットに格納する例を示す。ここでは、レイヤ2プロトコルとしてEthernetII、レイヤ3プロトコルとしてIPv4を用いた場合について説明する。図22に示したLA中継ヘッダに続き、パケットに含まれるMACアドレス数504、IPv4アドレス数505を格納する。図24では、例として、IPv4アドレス数505の直後に10ビットの未使用領域を設けているが、この部分は装置内でのソフトウェア処理を簡略化するためのものであり、不要であれば削除しても良い。これに続き、MACアドレス数504に示された個数分のMACアドレス506−1、506−2・・・を格納する。MACアドレスに続き、IPv4アドレス数505に示された個数分のIPv4アドレス507−1、507−2・・・を格納する。別のレイヤ2、レイヤ3プロトコルを使用する場合には、MACアドレス、IPv4アドレス情報のフィールドに格納する情報を、使用するプロトコルに合わせて変更する。仮想装置アドレス情報が大きい場合、物理装置と配下装置を結ぶ回線において、一度に送信可能なパケットサイズを超過する可能性がある。この場合には、パケットのフラグメント化を行い、送信可能なサイズまで分割して送信する。その際、独自制御ヘッダ内には、パケットのフラグメント化を実施するための情報を格納する。フラグメント化の処理は、IPプロトコルにて行われるフラグメントと同様の処理を行えばよい。その場合には、IPヘッダ内のフラグメント情報と同等の情報をヘッダに付加する。
図25に、配下装置119にて保持する仮想装置アドレス情報テーブル131の例を示す。仮想装置100が、IPv4アドレス、MACアドレスをそれぞれ255個保持していた場合、図25に示すようなテーブルが作成される。仮想装置アドレス情報テーブル131は、レイヤ3のアドレス情報、レイヤ2のアドレス情報に分かれており、それぞれレイヤ3アドレステーブル131−1、レイヤ2アドレステーブル131−2と呼ぶ。第2の実施例では、レイヤ3アドレステーブル131−1としてIPv4アドレスのテーブル、レイヤ2アドレステーブル131−2としてMACアドレスのテーブルをそれぞれ用意する。後述する配下装置でのパケット中継処理においては、レイヤ2中継であるかレイヤ3中継であるかによって、どちらのテーブルを検索するかを決定する。
仮想装置アドレス情報テーブル130、仮想装置100の初期化時以外では、コンフィグレーション変更などによりアドレス情報が変更された契機で、運用系物理装置から配下装置119に仮想装置アドレス情報テーブル130を送信する。配下装置119の仮想化制御部126は、仮想装置アドレス情報を受信する度に、自装置の仮想装置アドレス情報テーブル131を更新する。
【0035】
B−3.装置間リンク障害時の動作
図26は、装置間リンク112の障害時における、配下装置でのパケット中継処理をフローチャートで示したものである。
図27に、第2の実施例における装置間リンク障害時の仮想装置宛てデータパケットの中継処理の説明図を示す。端末202は、仮想装置100宛てのパケットを配下装置119に対して送信する。配下装置119のパケット転送処理を図26に沿って説明する。パケットを受信した配下装置119は、経路決定部122にて、経路情報124を用いて送信先ポートを検索する(ステップ418)。検索結果の送信先ポートが、仮想装置と接続されるLAポートであるか、そうでないかにより、処理が2つに分岐する(ステップ419)。送信先ポートが仮想装置100と接続されるLAポートでない場合、配下装置119は、通常のパケット転送処理を実施(図6と同様)し、中継処理を終了する(ステップ420)。一方、送信先ポートが仮想装置100と接続されるLAポートの場合、経路決定部122にてレイヤ2転送と判定されたか、レイヤ3転送と判定されたかにより、処理が分岐する(ステップ421)。レイヤ2転送と判定された場合、配下装置119は、仮想装置アドレス情報テーブル131のレイヤ2テーブル131−2に対し、受信パケットのヘッダに格納されている送信先MACアドレスをキーにして検索を行う(ステップ422−a)。また、レイヤ3転送と判定された場合、配下装置119は、仮想装置アドレス情報テーブル131のレイヤ3テーブル131−1に対し、受信パケットのヘッダに格納されている送信先IPアドレスをキーにして検索を行う(ステップ422−b)。ステップ422−aまたはステップ422−bにおける検索により、送信先アドレスと一致するアドレス情報が含まれていた場合(アドレス情報有り)と、含まれない場合(アドレス情報無し)の場合で処理が2つに分岐する(ステップ423)。アドレス情報有りの場合は、LA振分け部121において、LA情報テーブル123を確認し、送信先のLAポート上で、運用系物理装置101と接続されている物理ポートを選択し、パケット送信を実施する(ステップ424−a)。アドレス情報無しの場合は、LA振分け部121においてヘッダ情報を基にして送信先ポートを決定し、パケット送信を行う(ステップ424−b)。図27の例では、ステップ424−aが実施され、ポート218が選択される。配下装置119は、ポート218からパケットを送信し、運用系物理装置101はこのパケットを経路決定部111で処理する。経路決定部111において、受信パケットの宛先が仮想装置宛てであることが判定され、ヘッダ情報(TCP/UDPヘッダのポート番号など)を基にパケットを受信するプロトコル処理部106を選択し、パケット受信を指示する。
【0036】
B−4.実施例の効果
第2の実施例は、配下装置において、運用系物理装置で処理される仮想装置宛てのパケットを受信した場合に、LA振分け処理を無視して、運用系物理装置と接続されている装置跨ぎLA上の物理回線に送信する。この処理により、待機系から運用系への装置渡りデータパケットを、仮想リンク障害時にLA中継ヘッダによりカプセル化して送信する処理が不要となる。よって、第1の実施例と組み合わせて使用することにより、第1の実施例の課題であった、LA中継パケットの増加に伴う装置跨ぎLA回線の帯域への影響を軽減させることが可能である。
【0037】
C.第3の実施例
第3の実施例は、第1の実施例と組み合わせることにより、第1の実施例における課題である装置跨ぎLA回線の帯域の圧迫を解決するための方法である。第3の実施例では、配下装置において、装置渡りデータパケットがカプセル化されたLA中継パケットを受信した際に、カプセル化されているパケットの宛先アドレス情報と、LA中継ヘッダに含まれる送信先装置種別の情報を合わせて、LA例外テーブルとして管理する。配下装置では、LA例外テーブルを登録した後、カプセル化されたパケットと同じ送信先のパケットを中継する際に、パケットの送信先アドレスをキーとしてLA例外テーブルを検索することで、カプセル化の必要がない物理装置側にパケットを送信する。これにより、LA例外テーブル追加後のデータパケットのカプセル化を不要にし、LA中継パケットによる装置跨ぎLA回線の帯域圧迫を軽減することが可能である。
【0038】
C−1.実施例の構成
図28に、第3の実施例の構成例を示す。第1の実施例の構成に加えて、配下装置119上の転送部120に、LA例外テーブル132を追加する。このテーブルは、物理装置101または102から、装置渡りデータパケットがカプセル化されたLA中継パケットを受信した場合に、カプセル化されているパケットのヘッダ情報から送信先アドレスを取り出し、LA例外テーブルに登録する。この時、LA中継ヘッダに含まれる送信先装置種別502の情報も合わせて確認する。LA例外テーブルの作成方法については、以下のC−3.にて詳述する。

C−2.装置間リンク正常時の動作
装置間リンク正常時には、第1の実施例と同様の方法で仮想化制御パケットの送受信、データパケットの中継を実施する。
【0039】
C−3.装置間リンク障害時の動作
図29に、第3の実施例において、装置跨ぎLA回線上でやり取りするLA中継パケットのフォーマットを示す。第3の実施例では、カプセル化された“装置渡りデータパケット”の種類を識別できるようにする。例えば、装置渡りデータパケットを、“他宛データパケット(レイヤ2中継)”、“他宛データパケット(レイヤ3中継)”、“自宛データパケット”の3つに分類する。ここで、「自宛」とは仮想装置宛てを指し、「他宛」とは仮想装置以外の装置宛てを指す。このうち、“自宛データパケット”については、第2の実施例を用いてもよいし、第3の実施例を用いて、他宛データパケットと同様の処理を行ってもよい。なお、第3の実施例においては、自宛データパケットを対象としない場合の例について説明する。第2の実施例で示したデータ種別の例を含めた、データ種別503の値の例を、図31に示す。第1の実施例に対し、第2、第3の実施例を同時に使用するには、図31のように、3ビット分の値が必要となる。
第3の実施例では、装置間リンク112の障害時に、データパケットのカプセル化の頻発を防ぐために、配下装置119にLA例外テーブル131を作成する。LA例外テーブルの作成例を図32に示す。LA例外テーブル131は、レイヤ3アドレスのテーブル132−1、レイヤ2アドレスのテーブル132−2に分かれる。テーブルの各エントリには、LA例外処理の対象とする“例外送信先アドレス”と、そのアドレスを持つパケットを、LA振り分けを行わずにどのポートに出力するかを示す、“物理ポート番号”が対応して格納される。
配下装置119においては、第1の実施例におけるLA中継パケットの中継処理の際に、LA例外テーブル132の更新処理を実施する。LA例外テーブル132の更新方法を図30に沿って説明する。図30は、図17におけるステップ437の処理の詳細フローチャートである。ステップ437は、第3の実施例で実行されるステップで、第1の実施例を用いる場合は実行しない。
配下装置119は、図17のステップ416−aもしくは416−bまでの処理を行った後、LA中継ヘッダ内のデータ種別503を確認し、“他宛データパケット(レイヤ2)”であるか、“他宛データパケット(レイヤ3)”であるか、“その他”であるかで、3つの処理に分岐する(ステップ425)。“他宛データパケット(レイヤ2)”の場合、配下装置119は、LA例外テーブル132−2に新規のフィールドを作成し、例外送信先アドレス(MACアドレス)フィールドに、カプセル化されたデータパケット内の送信先MACアドレスを登録する。この時、物理ポート番号フィールドは空にしておく(ステップ426−b)。“他宛データパケット(レイヤ3)”の場合、配下装置119は、LA例外テーブル132−1に対し、カプセル化されたデータパケット内の送信先IPアドレスを登録する(ステップ426−b)。“その他”の場合は、処理を終了し、図17のステップ415を実行する。ステップ426−aもしくはステップ426−bの後、配下装置119はヘッダ内の送信先装置種別502を確認し、“運用系”であるか、“待機系”であるかを確認する(ステップ427)。“運用系”の場合、配下装置119は、パケットを受信したポートの所属するLAグループ番号をキーとしてLA情報テーブル123を検索し、運用系に接続されている物理ポートのポート番号を取得して、ステップ426−aもしくはステップ426−bにおいて空にしていた物理ポート番号フィールドに登録する(ステップ428−a)。“待機系”の場合、配下装置119は、パケットを受信したポートの所属するLAグループ番号をキーとしてLA情報テーブル123を検索し、待機系に接続されている物理ポートのポート番号を取得し、ステップ426−aもしくはステップ426−bにおいて空にしていた物理ポート番号フィールドに登録する(ステップ428−b)。以上で、ステップ437の処理が完了し、図17の処理に戻る。
図28の構成例における配下装置119でのパケット中継処理を図33に沿って説明する。第3の実施例は、例えばレイヤ2のプロトコルとしてEthernetII、レイヤ3のプロトコルとしてIPv4を用いた場合の例である。端末203から、ネットワーク装置201に接続されるネットワーク上の装置(図は省略)に対してパケットが送信されると、配下装置119にてパケットを受信する。配下装置119の経路決定部122は、転送部120から、パケットの受信処理を行うよう指示を受ける。経路決定部122は経路情報124を検索し、送信先のポートを決定する(ステップ429)。次に、LA情報テーブル123を参照し、送信先ポートが仮想装置と接続されるLAポートであるか、そうでないかにより、処理が分岐する(ステップ430)。仮想装置と接続するLAポートの場合は、ステップ432に進む。それ以外(通常の物理ポート、仮想装置と接続されていないLAポート)の場合は、ステップ431に進み、例外アドレス処理を行わず、通常のパケット中継処理が実施される。図28の例では、送信先のポートは物理ポート218、219で構成される装置跨ぎLAのポートが選択されるため、ステップ432に進む。次に、経路決定部122において、レイヤ2中継として処理されたか、レイヤ3中継として処理されたかどうかで処理が分岐する(ステップ432)。レイヤ2中継の場合、配下装置119は受信パケットの送信先MACアドレスをキーとし、LA例外テーブル132−2を検索する(ステップ433−a)。レイヤ3中継の場合、配下装置119は受信パケットの送信先レイヤ3アドレスをキーとし、LA例外テーブル132−1を検索する(ステップ433−b)。ステップ433−a、433−bを検索結果から、“例外アドレス登録有り”であるか、“例外アドレス登録無し”であるかで処理を分岐する(ステップ434)。例外アドレス登録有りの場合、配下装置119はその例外アドレスが含まれるエントリに示される物理ポート宛にパケットを送信し、中継処理が完了する(ステップ435−a)。例外アドレス登録無しの場合は、配下装置119は第1の実施例と同様に、LA振り分け部121にパケット処理を指示し、LA振り分け部121では、パケットのヘッダ情報など、特定のアルゴリズムによりパケット振分けを実施し、中継処理が完了する。
【0040】
C−4.実施例の効果
第3の実施例では、第1の実施例と比較し、仮想装置100と配下装置119間の装置跨ぎLAにてやり取りされるLA中継パケット(仮想装置から、その他装置に中継するために、物理装置間でやり取りされる装置渡りデータパケットをカプセル化したもの)を減少させることが出来る。よって、第1の実施例の課題である、装置跨ぎLA回線の帯域圧迫を軽減させることが可能である。
第2の実施例、第3の実施例ともに、第1の実施例の課題である装置跨ぎLA回線の帯域圧迫を解決する手段となっている。第1の実施例との組み合わせは、どちらか一方でも、両方を組み合わせてもよい。
【0041】
D.第4の実施例
第4の実施例においては、仮想装置100に装置跨ぎLAで接続されるネットワーク装置が、配下装置119のようにLA中継パケットを処理する装置(以下、機能有り配下装置と呼ぶ)と、LA中継パケットを処理する機能を持たない装置(以下、機能無し配下装置と呼ぶ)とで混在している場合について説明する。機能有り配下装置と機能無し配下装置が混在している場合に装置間リンク障害が発生すると、機能無し配下装置が仮想装置100へパケットを送信し、そのパケットが仮想装置100において装置渡りデータパケットとして処理が必要になる場合には、機能無し配下装置にはLA中継パケットを処理する機能が無いため、中継処理を実施することができないという課題がある。
そこで第4の実施例では、装置間リンク障害時に、機能無し配下装置から仮想装置に対し、装置渡りデータパケット処理が必要なパケットが送信された場合には、機能有り配下装置を経由して、装置跨ぎLA回線を用いた物理装置間の装置渡りデータパケット送受信を実施する。

D−1.実施例の構成
図34に、第4の実施例の構成例を示す。第1の実施例における構成例(図1参照)に加え、第4の実施例では、物理装置101、102それぞれの装置間データ転送部104上に、LA情報テーブル127を配置する。LA情報テーブル127は、仮想装置100上の装置跨ぎLA回線について、接続先が機能有り配下装置であるか、機能無し配下装置であるかを示す情報が格納されている。第1の実施例と同様に、配下装置119は回線117を介して物理装置101と、回線118を介して物理装置102と接続し、装置跨ぎLA回線を構成している。配下装置119は、LA中継パケットを中継する機能を持った機能有り配下装置である。それに加え、第4の実施例では、配下装置133が仮想装置100と接続されている。配下装置133は、回線222を介して物理装置101と、回線223を介して物理装置102と接続し、装置跨ぎLA回線を構成している。配下装置133は機能無し配下装置である。配下装置133は転送部128を有し、配下装置119と同様に、LA振り分け部129、経路決定部130、経路情報131を有する。配下装置133には、端末204が接続されている。
【0042】
D−2.装置間リンク正常時の動作
第4の実施例においては、装置間リンク112の正常時のデータ転送方法は、第1の実施例と同様である。機能無し配下装置133についても、図6で示した配下装置119の中継処理と同様の処理を実施する。
図35に、各物理装置101、102におけるLA情報テーブル127に格納する情報を示す。LA情報テーブル127は、仮想装置100上の各物理ポートの識別番号である物理ポート番号フィールドと、物理ポートがどの物理装置に存在するかを示す所属物理装置フィールドと、物理ポートがどのLAグループに所属しているかを示すLAグループ番号フィールドとを有する。さらに、同一のLAグループ毎に、接続先の配下装置が、“機能有り配下装置”であるか、“機能無し配下装置”であるかを示す配下装置種別フィールドを有する。
配下装置種別フィールドは、例えば仮想装置100の初期設定時に、運用系物理装置の仮想化制御部107と、機能有り配下装置119の仮想化制御部126との間でパケットをやり取りし、仮想化制御部126が仮想化制御部107に対して、自装置(配下装置119)が“機能有り配下装置”であることを通知することで設定を行う。また、配下装置種別フィールドは、配下装置が障害により停止、もしくは装置跨ぎLA回線の片側で障害が発生するといった、LA中継パケットを中継できない状態になることを適宜の方法で検出し、“機能有り”から“機能無し”に更新する。検出の方法は、例えば物理装置101、102の仮想化制御部107それぞれと、機能有り配下装置119間での定期的な生存確認や、装置跨ぎLA回線の障害契機での切り替えといった方法を用いることができる。
【0043】
D−3.装置間リンク障害時の動作
第4の実施例において、装置間データ転送部108でのLA中継パケット送信処理は、第1の実施例での図15のステップ405−aまたはステップ405−bまで処理を実施した後に、ステップ406以降の処理を図36のフローチャートで示す処理に置き換える。
第4の実施例において、装置間リンク障害発生時に、機能無し配下装置から仮想装置に対し、装置渡りデータパケットが必要となるパケット送信が行われた場合の中継処理を図34の例を用いて説明する。図34は、端末204から、ネットワーク装置201と接続されるネットワーク上の装置(図は省略)宛にパケットが送信される場合を例である。端末204から送信されたパケットは、機能無し配下装置133の転送部128にて、図6と同様に処理され、LA振り分け処理により物理装置101、102のどちらかに送信される。この例では、物理装置101に振り分けられた場合について説明する。物理装置101の転送部104は、パケットを受信すると、経路決定部111において、経路情報110を元に出力先ポートを検索し、物理装置102のポート213であることを判定する。ポート213は物理装置101上に無いため、物理装置101の経路決定部111は、自装置の装置間データ転送部108に対し、物理装置102にパケット送信を行うよう指示する。装置間データ転送部では、図15のステップ405−aまたはステップ405−bまでの処理が行われ、それ以降に、図36に示す第4の実施例独自の処理が行われる。
物理装置101の装置間データ転送部108では、LA情報テーブル127を検索し、配下装置種別フィールドが“機能有り”となっているLAグループ番号を検索する(ステップ438)。LAグループ番号が見つかる場合と、見つからない場合とで、以降の処理が分岐する(ステップ439)。見つからない場合、機能有り配下装置が1台も存在しないため、物理装置を2台から1台に縮退する必要がある。そのため、仮想化制御部107に対し、縮退動作の実行を指示する。縮退動作は、非特許文献1におけるリカバリモードと同様の処理を行えばよい(ステップ440−b)。図34の例では、ステップ438の検索処理により、回線117、118により構成される装置跨ぎLAのLAグループ番号(例えば、10)が得られる。この場合、LAグループ内の物理ポートのうち、自装置(物理装置101)に所属する物理ポートが、機能有り配下装置と接続するポートとなる。図35の例ではポート1になる。このポートを、LA中継パケット送信を行うポートとして選択する。(ステップ440−a)。最後に、選択したポートに対し、LA中継パケットを出力する(ステップ441)。以上の処理により、配下装置119にLA中継パケットが到着する。
以降の配下装置119、物理装置102での処理は、第1の実施例と同様である。
【0044】
D−4.発明の効果
第4の実施例は、第1の実施例と組み合わせて用いることにより、機能有り配下装置と機能なし配下装置が混在している環境において装置間リンクに障害が発生した場合にも、機能無し配下装置からのパケット転送を維持することが可能となる。これにより、仮想装置と隣接する装置のうち少なくとも1台が配下装置の機能を持っていれば、配下装置の機能を持たないその他のネットワーク装置も、仮想装置を構成する物理装置の台数分の転送性能を利用でき、柔軟なネットワーク構成を行うことが可能となる。

E.変形例
なお、本発明は上記した実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
(装置間リンクの省略)
上記した第1から第4の実施例では、物理装置間を装置間リンクで接続しており、装置間リンク正常時には、仮想化制御パケットや装置渡りデータパケットは装置間リンクを経由して送られる例について説明している。しかし、第1の実施例で説明したように、装置跨ぎLA経由で仮想化制御パケットや装置渡りデータパケットをやり取りする方法を用いれば、設備面などの理由により、装置間リンクを用意できない場合など、装置間リンクを備えないシステム構成においても、装置跨ぎLA回線を用いることで、2台の物理装置を1台の仮想装置に仮想化することが可能である。
(仮想装置の構成の変形例)
また、上記した第1から第4の実施例では、仮想装置を構成する物理装置が2台の場合の例について説明している。仮想装置を構成する物理装置が3台以上の場合にも適用できる。このためには、例えば、第1の実施例における図12をはじめ、各実施例におけるLA中継パケットのフレームフォーマットに含まれる送信元装置種別501、送信先装置種別502について、複数台の物理装置を識別する固有値(以下、物理装置識別子と呼ぶ)を格納できるようにフィールドを拡張すればよい。例えば第1の実施例の図13については、“0”を運用系と定めておき、その他の装置は待機系として、0以外の値を割り当てる。また、図14における接続先装置の系状態についても、運用系、待機系という値ではなく、送信元装置種別501、送信先装置種別502で用いる物理装置識別子を格納する。装置間リンク障害時、各物理装置において、その他の物理装置に対し配下装置経由のLA中継パケットの送信が必要な場合には、データを送信したい物理装置の物理装置識別子をLA中継ヘッダの送信先装置種別に指定すれば、配下装置において、送信元の意図した物理装置に中継することが可能である。各物理装置に割り当てる物理装置識別子の決定方法は、コンフィグレーションにより静的に決めてもよいし、各物理装置の仮想化制御部同士でのやり取りにより動的に決定しても良い。静的・動的どちらの場合においても、物理装置識別子が決定すれば、各物理装置は他の物理装置の物理装置識別子を学習し、どの物理装置識別子が運用系であるかを決定する。
【0045】
(配下装置の仮想化)
また、上記した第1から第4の実施例における配下装置は、複数の物理装置で構成される仮想装置の場合にも適用できる。
図37に、システム構成の例を示す。例えば、図1に示した第1の実施例の構成例において、仮想装置100に接続される配下装置が、物理装置601、602により構成される仮想装置600である場合について考える。物理装置601、602は、物理装置101、102と同様に、制御部603、転送部604で構成される。転送部604は、装置間データ転送部608、装置情報テーブル609、経路情報610を有する。この場合、仮想装置100上の物理装置から送信されたLA中継パケットを、仮想装置600が受信すると、それを自装置に対する仮想化制御パケットや装置渡りデータと誤認識し、不正な経路の同期や誤転送が発生するという課題がある。そこで、仮想装置においても、配下装置と同様のLA中継パケット中継機能を持たせ、さらに、仮想装置を識別する固有値(以下、仮想装置識別子と呼ぶ)を各仮想装置に割り当てることで前記の課題を解決することが可能である。例えば、第1の実施例においては、図15で示したLA中継パケット送信処理において、LA中継パケットのフレームフォーマットに自装置の所属する仮想装置に割り当てられている仮想装置識別子を格納して送信する。各仮想装置は、LA中継パケット受信時において、ヘッダに含まれる仮想装置識別子と自装置の仮想装置識別子が一致する場合には、図16に示したようなLA中継パケットの受信処理を実施する。自身の仮想装置識別子と一致しない場合には、配下装置として動作し、図17に示すLA中継パケットの中継処理を行う。図17の処理を行うために、物理装置601、602には、それぞれLA情報テーブル611を配置し、第1の実施例における配下装置119上の、LA情報テーブル123と同様の情報を格納する。以上の方法により、仮想装置が配下装置として動作することが可能となる。
【0046】
(冗長システムへの適用)
また、上記した第1から第4の実施例における物理装置は、仮想装置のように2台以上が1台の装置として仮想的に動作するネットワークシステムだけでなく、2台以上ネットワーク装置により冗長制御を行い、それぞれが独立して動作するネットワークシステム(以下、冗長システム)に接続する場合にも適用可能である。例として、配下装置と、冗長システムを構成する2台以上のネットワーク装置とを、それぞれ物理回線で結び、各物理回線を装置跨ぎLAとして動作させる場合について説明する。冗長システムにおいて、各ネットワーク装置間で、生存確認を行うための制御パケットを送受信する際に、第1の実施例の配下装置の処理により、制御パケットを装置跨ぎLAを介して配下装置にて中継を行うことが可能である。これにより、制御パケットをやり取りするために専用回線を用いるような冗長システムにおいて、専用回線に障害が発生しても、装置跨ぎLAで制御パケットの送受信を継続することができる。また、専用回線を用意しなくても運用が可能である。さらに、実施例2、実施例3の配下装置の処理を行うことで、冗長システムからの指示に従い、特定のアドレス宛てのパケットを、冗長システム上の特定のネットワーク装置に送信することができる。これにより、特定のネットワーク装置にのみ接続されている装置に対してパケットを中継する場合に、冗長システム上のネットワーク装置間でパケットを受け渡す手順を省略することができ、最短経路でパケットを中継することが可能となる。
【0047】
(配下装置の構成例)
上述の配下装置は、リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションにより送信するネットワーク装置であって、
ネットワークシステムから送信されたパケットのヘッダ情報に、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なすかどうかを指示する情報と、リンクアグリゲーション回線上のどの物理回線に出力するかを示す情報が含まれている場合、それらの情報に従い、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なし、指定されたリンクアグリゲーション回線上の物理回線を用いてパケットを送信する転送部を備えることができる。
また、上述の配下装置は、リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションにより送信するネットワーク装置において、
前記ネットワークシステムから、任意のネットワークアドレスと、前記任意のネットワークアドレスを送信先とするパケットをリンクアグリゲーションのどの物理回線を使用して送信するかどうかを示す送信先回線情報を受信した場合に、該ネットワークアドレスと送信先回線情報とが対応したエントリを格納する例外アドレステーブル部と、
パケット受信した際に、前記例外アドレステーブル部を検索し、送信先ネットワークアドレスが一致するエントリ見つかった場合に、該エントリの送信先回線情報に応じた物理回線に、受信されたパケットを送信する転送部と
を備えることができる。
なお、上述の各実施例において、各テーブルは適宜の記憶部に記憶されることができる。また、各テーブルはテーブル構成以外にも適宜の形態で記憶領域に記憶されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、複数台のネットワーク装置を仮想的に1台のネットワーク装置として動作させるネットワークシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100、600 仮想装置
101、601 運用系物理装置
102、602 待機系物理装置
103、125、603 制御部
104、120、128、604 転送部
105 経路管理部
106 プロトコル処理部
107、126 仮想化制御部
108、608 装置間データ転送部
109、609 装置情報テーブル
110、124、131、610 経路情報
111、122、130 経路決定部
112、612 装置間リンク
117、118、222、223、317〜321 回線
119,200 配下装置
121 LA振分け部
123、127、611 LA情報テーブル
130、131 仮想装置アドレス情報テーブル
132、132−1、132−2 LA例外テーブル
133 機能無し配下装置
300 VSS
301 運用系物理スイッチ
302 待機系物理スイッチ
201、303、304 ネットワーク装置
210、211、213、216〜219、220、221、309、311、312 ポート
202〜204、305、306 端末
220、221、308 ネットワーク
313 VSL
250、251、252、253、254、255 パケット
314、315−1、315−2、316−1、316−2 トラフィック
501 送信元装置種別
502 送信先装置種別
503 データ種別
504 MACアドレス数
505 IPv4アドレス数
506−1、506−2 仮想装置MACアドレス
507−1、507−2 仮想装置IPv4アドレス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置で構成された仮想的に1台のネットワーク装置であり、仮想化制御のための仮想化制御パケット及び各物理装置間で送受信されるデータパケットを含む仮想化用パケットを前記第一の物理装置と第二の物理装置間で交換するための装置間リンクを有する仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置であり、前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置とそれぞれ物理回線で接続し、それら物理回線が該物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する配下装置と
を備え、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置は、
前記装置間リンクに障害が発生した場合において、仮想化用パケットに送信先の物理装置を特定するための送信先の物理装置情報を付加し、装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する物理回線を介して該仮想化用パケットを前記配下装置に送信する装置間データ転送部
を有し、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置又は前記第二の物理装置の物理装置情報と、装置跨ぎリンクアグリゲーション上の、各物理装置に接続される物理回線の識別情報とが対応して格納されたリンクアグリゲーション情報テーブルと、
前記第一又は第二の物理装置から受信した仮想化用パケットについて、該仮想化用パケットに付加されている送信先の物理装置情報に基づき、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを検索して、対応する装置跨ぎリンクアグリゲーション上の物理回線を特定し、特定された物理回線を介して仮想化用パケットを送信先の前記第一又は第二の物理装置に出力する転送部と
を有するネットワークシステム。
【請求項2】
少なくとも第一の物理装置と第二の物理装置で構成された仮想的に1台のネットワーク装置である仮想装置と、
前記仮想装置と接続するネットワーク装置であり、前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置とそれぞれ物理回線で接続し、それら物理回線が該物理回線を集約した仮想的な回線である装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する配下装置と
を備え、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置は、
仮想化用パケットに送信先の物理装置を特定するための送信先の物理装置情報を付加し、装置跨ぎリンクアグリゲーションを構成する物理回線を介して該仮想化用パケットを前記配下装置に送信する装置間データ転送部
を有し、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置又は前記第二の物理装置の物理装置情報と、装置跨ぎリンクアグリゲーション上の、各物理装置に接続される物理回線の識別情報とが対応して格納されたリンクアグリゲーション情報テーブルと、
前記第一又は第二の物理装置から受信した仮想化用パケットについて、該仮想化用パケットに付加されている送信先の物理装置情報に基づき、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを検索して、対応する装置跨ぎリンクアグリゲーション上の物理回線を特定し、特定された物理回線を介して仮想化用パケットを送信先の前記第一又は第二の物理装置に出力する転送部と
を有するネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記第一の物理装置及び第二の物理装置はそれぞれ制御部を有し、
該制御部の一方は、経路の制御及び/又はネットワークプロトコルの処理を行う運用系であり、他方は、経路の制御及び/又はネットワークプロトコルの処理を行わない待機系であり、
前記物理装置情報は、前記第一の物理装置及び第二の物理装置の制御部が運用系か待機系かを示す系情報であるネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記配下装置は、
前記物理装置を識別するための情報である前記物理装置情報を、前記物理回線を介して前記第一の物理装置と第二の物理装置とから収集し、該物理回線の識別情報と、収集した該物理装置情報とを対応して前記リンクアグリゲーション情報テーブルに記憶する仮想化制御部
をさらに有するネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記配下装置は、少なくとも第三及び第四の物理装置で構成された仮想的に1台のネットワーク装置であって、該物理装置間でパケットを交換するための第二の装置間リンクを有する第二の仮想装置であり、
前記仮想装置及び前記第二の仮想装置のそれぞれに仮想装置識別子が固有に割り当てられ、
前記第一及び前記第二の物理装置の前記装置間データ転送部は、
前記仮想化用パケットを送信する際、該仮想化用パケットに自装置が所属する仮想装置の仮想装置識別子を付加して送信し、
前記配下装置の前記転送部は、
前記仮想化用パケットを受信すると、該仮想化用パケットに付加された仮想装置識別子が自装置の所属する第二の仮想装置の前記仮想装置識別子と一致しない場合には、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを参照して特定された物理回線に仮想化用パケット出力するネットワークシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のネットワークシステムであって、
前記配下装置は、
仮想化用パケットを受信した前記第三の物理装置から、前記第二の装置間リンクを経由して前記第四の物理装置へ該仮想化用パケットが転送され、前記第四の物理装置に接続された、前記特定された物理回線へ該仮想化用パケットを出力するネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置のうち、仮想装置宛てのパケットの受信処理を実施する前記第一の物理装置は、
前記配下装置に対して、前記仮想装置のアドレス情報を送信する仮想化制御部をさらに有し、
前記配下装置は、
前記仮想装置の前記仮想化制御部から受信したアドレス情報を格納する仮想装置アドレス情報テーブルをさらに有し、
前記転送部は、
パケットを受信すると、前記仮想装置アドレス情報テーブルを参照し、パケットの送信先アドレスと一致するアドレス情報が見つかった場合には、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを参照して前記第一の物理装置と接続する物理回線を特定し、特定された物理回線に受信したパケットを出力するネットワークシステム。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記配下装置は、
前記第一の物理装置及び前記第二の物理装置から仮想化用パケットを受信した際、前記仮想化用パケット内に、前記第一及び第二の物理装置間で中継されるデータパケットが含まれている場合に、該データパケットの送信先アドレス情報と、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを検索して特定された物理回線の識別情報とを対応して格納するリンクアグリゲーション例外アドレステーブル
をさらに備え
前記転送部は、
パケット受信時の経路検索において、出力先が前記仮想装置と接続される装置跨ぎリンクアグリゲーション回線であった場合、パケットの送信先アドレス情報が、前記リンクアグリゲーション例外テーブルに格納されているかどうかを検索し、格納されている場合には対応する前記物理回線の識別情報に従い該パケットを送信するネットワークシステム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
前記仮想装置と接続されるネットワーク装置であり、前記リンクアグリゲーション情報テーブルと前記転送部による仮想化用パケットの中継機能を有さない第二の配下装置
をさらに備え、
前記第一及び第二の物理装置は、
装置跨ぎリンクアグリゲーションを識別するリンクアグリゲーション識別子と、該装置跨ぎリンクアグリゲーションで接続される装置が前記中継機能を有するか否かを示す配下装置種別情報とを対応して格納するリンクアグリゲーション情報テーブル部
を有し、
前記装置間データ転送部は、前記第一及び第二の物理装置の一方が前記第二の配下装置から受信したパケットを前記第一及び第二の物理装置の他方に送信する場合に、前記リンクアグリゲーション情報テーブルを参照して前記中継機能を有する前記配下装置と接続するリンクアグリゲーション識別子を判定し、該リンクアグリゲーションを構成する物理回線に対して前記パケットを出力するネットワークシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のネットワークシステムであって、
前記第一の物理装置は、
前記配下装置から前記配下装置が前記中継装置を有することを示す情報を受信し、前記リンクアグリゲーション情報テーブル部に記憶するネットワークシステム。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
第一及び第二の物理装置を識別する物理装置情報が予め定められ、
前記第一及び第二の物理装置は、
前記第一の物理装置と第二の物理装置間で仮想化用パケットを送受信することで、自装置以外の前記物理装置情報を学習する仮想化制御部と、
自装置の前記物理装置情報を保持する装置情報テーブルと
をさらに有するネットワークシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のネットワークシステムであって、
前記第二の物理装置の前記装置間データ転送部は、
前記仮想化用パケットを前記配下装置から受信した際、前記装置情報テーブル内の前記物理装置情報と、仮想化用パケット内の送信先の物理装置情報が一致していれば、該仮想化用パケットの受信処理を行うネットワークシステム。
【請求項13】
リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションにより送信するネットワーク装置において、
前記ネットワークシステムから送信されたパケットのヘッダ情報に、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なすかどうかを指示する情報と、リンクアグリゲーション回線上のどの物理回線に出力するかを示す情報が含まれている場合、それらの情報に従い、リンクアグリゲーション回線を個別の物理回線と見なし、指定されたリンクアグリゲーション回線上の物理回線を用いてパケットを送信する転送部
を備えた前記ネットワーク装置。
【請求項14】
リンクアグリゲーションによりネットワークシステムと接続され、該ネットワークシステムへのパケットをリンクアグリゲーションに従い送信するネットワーク装置において、
前記ネットワークシステムから、任意のネットワークアドレスと、前記任意のネットワークアドレスを送信先とするパケットをリンクアグリゲーションのどの物理回線を使用して送信するかどうかを示す送信先回線情報を受信した場合に、該ネットワークアドレスと送信先回線情報とが対応したエントリを格納する例外アドレステーブル部と、
パケット受信した際に、前記例外アドレステーブル部を検索し、送信先ネットワークアドレスが一致するエントリ見つかった場合に、該エントリの送信先回線情報に応じた物理回線に、受信されたパケットを送信する転送部と
を備えた前記ネットワーク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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