説明

ネットワークプリンタ

【課題】 低消費電力状態から復帰する際に、言語処理プログラムのロードを完了するまでに要する時間を短縮することが可能なネットワークプリンタを提供する。
【解決手段】 プリンタ機能を有するネットワーク複合機1は、NIC10と、低消費電力状態を取ることができ、プリントデータを用紙に印刷する記録部12とを備える。NIC10は、プリントデータを受信する受信部10aと、プリントデータの送信元を特定する送信元特定部10dと、プリントデータの履歴情報を送信元毎に記憶する記憶部10bと、記録部12の電力状態を判定する電力状態判定部10cと、セッション確立要求信号が受信され且つ記録部12が低消費電力状態である場合に、送信元の履歴情報に応じた言語処理プログラムを記録部12にロードさせるロード情報を生成するロード情報生成部10eと、記録部12を起動するための起動信号及びロード情報を出力する出力部10fとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークプリンタに関し、特に、低消費電力状態を取り得るネットワークプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量削減などの観点から、電気機器の低消費電力化が社会的に求められている。例えばLANなどのネットワークに接続して使用されるネットワークプリンタにおいては、待機時にプリンタコントローラ、プリンタエンジンなどへの電力供給を停止する低消費電力状態に移行することにより機器の省電力化を図ったものが知られている。一般的に、このようなネットワークプリンタでは、低消費電力状態にあるときにネットワークインターフェースコントローラ(NIC)のみを稼働させておき、外部のコンピュータなどから送られてくるプリントデータを待ち受けるとともに、プリントデータを受信したときに、プリンタコントローラなどを低消費電力状態から通常電力状態へ復帰させるように構成されている。
【0003】
プリンタコントローラに対して電力供給が再開され、プリンタコントローラが起動されるときに、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶されている各種の言語処理プログラム及びフォントデータがRAMなどの揮発性メモリにロードされる。ここで、ネットワークプリンタが複数のプリンタ言語に対応しているときに、すべての言語処理プログラム、フォントデータをロードするとした場合、ロードに時間がかかるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献1には、プリント言語を解析して所定のプリントデータに変換するトランスレータ(プリント言語解析プログラム)が複数搭載されている場合に、格納場所及びバージョン番号に基づいて、使用するトランスレータを決定する画像記録方法が開示されている。この画像記録方法では、電源投入時に、PROM、ROM−SIMM、ROM−DIMM、フラッシュメモリなどに格納されている複数のトランスレータを探索するとともに、トランスレータの格納場所及びバージョン番号に基づいて優先順位を決定し、該優先順位が最も高いトランスレータをRAMにロードして使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−24658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1記載の方法では、ロードされるトランスレータは1つであるものの、電源投入時に、様々な格納場所に格納されているトランスレータを探索し、格納場所及びバージョン番号に基づいて優先順位を決定した後にトランスレータのロードを行う必要がある。そのため、この方法を低消費電力状態を取り得るネットワークプリンタに適用した場合、プリントデータが受信されてプリンタコントローラなどが通常電力状態に復帰する際に、トランスレータのロードが完了してプリントデータの処理が可能となるまでに長時間を要するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、低消費電力状態を取り得るネットワークプリンタにおいて、低消費電力状態から復帰する際に、言語処理プログラムのロードを完了するまでに要する時間を短縮することが可能なネットワークプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るネットワークプリンタは、ネットワークを介して接続される通信端末との間で通信を行なう通信手段と、通常電力状態と低消費電力状態とを取ることができ、通常電力状態にあるときに通信手段により受信されたプリントデータを用紙にプリントアウトする記録手段とを備え、通信手段が、ネットワークを介して送られてくるプリントデータを受信する受信手段と、過去に受信されたプリントデータのプリンタ言語の履歴情報を記憶する記憶手段と、記録手段の電力状態を判定する判定手段と、所定のポートを通してセッション確立要求信号が受信され、かつ、記録手段が低消費電力状態であると判断された場合に、記憶手段に記憶されている履歴情報に応じた言語処理プログラムを記録手段にロードさせるためのロード情報を生成する生成手段と、セッション確立要求信号が受信され、かつ、記録手段が低消費電力状態であると判断された場合に、記録手段に対して、該記録手段を起動するための起動信号を出力するとともに、生成手段により生成されたロード情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るネットワークプリンタによれば、過去に受信されたプリントデータのプリンタ言語の履歴情報が記憶されており、セッション確立信号が受信されたときに記録手段を起動する起動信号が出力されるとともに、履歴情報に記憶されているプリンタ言語に応じた言語処理プログラムをロードさせるためのロード情報が出力される。そのため、セッション確立要求信号が受信された時点、すなわち、セッションが確立されてプリントデータ(PDLデータ)が受信される前に、言語処理プログラムのロードを開始することができる。よって、記録手段を起動する際に、言語処理プログラムのロードが完了するタイミングを早めることができる。また、過去の履歴情報に応じてロードする言語処理プログラムが特定されるため、自機で処理可能な全プリンタ言語に対応したすべての言語処理プログラムをロードする必要がなく、言語処理プログラムのロード時間を短縮することができる。以上の結果、低消費電力状態から復帰する際に、言語処理プログラムのロードを完了するまでに要する時間を短縮することが可能となる。なお、ロードする言語処理プログラムには、対応するフォントデータを含んでもよい。
【0010】
本発明に係るネットワークプリンタでは、上記通信手段が、所定のポートを通してセッション確立要求信号が受信されたときに、該セッション確立要求信号を解析して、該セッション確立要求信号の送信元を特定する特定手段を備え、記憶手段が、履歴情報をプリントデータの送信元毎に記憶し、生成手段が、特定手段により特定された送信元の履歴情報に応じて、ロード情報を生成することが好ましい。
【0011】
一般的に、特定の送信元から出力されるプリントデータは同じプリンタ言語により記述されている場合が多い。すなわち、送信元が一度使用したプリンタ言語は再度使用される確率が高い。本発明に係るネットワークプリンタによれば、送信元毎に使用されたプリンタ言語の履歴情報が記憶されており、セッション確立信号が受信されたときに、送信元が特定され、特定された送信元の履歴情報に応じてロードさせる言語処理プログラムが特定される。よって、プリントデータ(PDLデータ)が受信される前に高い確率で使用されているプリンタ言語を推定することができる。そのため、プリントデータが受信され、使用されているプリンタ言語が特定される前であっても、適切な言語処理プログラムをロードすることが可能となる。
【0012】
本発明に係るネットワークプリンタでは、上記通信手段が、受信されたプリントデータを解析して、該プリントデータを記述しているプリンタ言語を判定するプリンタ言語判定手段を備え、プリンタ言語判定手段により判定されたプリンタ言語が、記憶されている履歴情報に含まれていない場合に、記憶手段が、該プリンタ言語を履歴情報に加えて更新し、生成手段が、該プリンタ言語に対応した言語処理プログラムを記録手段にロードさせるロード情報を生成し、出力手段が、生成手段により生成されたロード情報を、記録手段に対して出力することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、受信されたプリントデータが、履歴情報に記録されていないプリンタ言語によって記述されたものであった場合に、該プリンタ言語が履歴情報に追加されて更新されるとともに、該プリンタ言語に対応した言語処理プログラムがロードされる。よって、過去に使用されたことがないプリンタ言語で記述されたプリントデータが受信された場合であっても、受信されたプリントデータを適切に処理することができる。また、今後同一のプリンタ言語が使用された場合に、対応する言語処理プログラムをより迅速にロードすることが可能となる。
【0014】
本発明に係るネットワークプリンタでは、上記通信手段が、記憶手段に記憶されている履歴情報の内、利用頻度が所定の頻度に達しないプリンタ言語の履歴情報を削除する削除手段をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この場合、利用頻度が低いプリンタ言語の履歴情報が削除されるため、利用実績に即して履歴情報を更新することができる。そのため、利用実績に応じてロードされる言語処理プログラムの数を削減することができ、言語処理プログラムのロード時間をより短縮することが可能となる。
【0016】
本発明に係るネットワークプリンタでは、記憶手段に履歴情報が記憶されていない場合に、生成手段が、保存されているすべての言語処理プログラムを記録手段にロードさせるロード情報を生成することが好ましい。
【0017】
このようにすれば、履歴情報がない場合には、すべての言語処理プログラムがロードされる。よって、履歴情報から使用されているプリンタ言語を推定することができない場合であっても、適切にプリントデータを処理することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低消費電力状態を取り得るネットワークプリンタにおいて、低消費電力状態から復帰する際に、言語処理プログラムのロードを完了するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るネットワークプリンタが搭載されたネットワーク複合機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク複合機によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャート(第1ページ目)である。
【図3】ネットワーク複合機によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャート(第2ページ目)である。
【図4】ネットワーク複合機によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャート(第3ページ目)である。
【図5】ネットワーク複合機によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャート(第4ページ目)である。
【図6】ネットワーク複合機によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャート(第5ページ目)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。なお、ここでは、実施形態に係るネットワークプリンタをネットワーク複合機(MFP)に適用した場合を例にして説明する。また、ネットワーク複合機がLANを介してパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)と接続されているネットワークシステムを例にして説明する。なお、例示するネットワークシステムは、理解を容易にするためにその構成を簡略化したものである。まず、図1を用いて、ネットワーク複合機1の全体構成について説明する。図1は、LAN51に接続されたネットワーク複合機1の全体構成を示すブロック図である。
【0021】
ネットワーク複合機1は、待機時に低消費電力状態(省エネルギー状態)を取り得るネットワーク複合機であり、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナ機能、読み取り生成した画像データを用紙に記録するコピー機能、及びファクシミリ通信により受信した画像データを用紙に記録するFAX受信機能に加え、LAN51を介して接続されているPC30,31など(特許請求の範囲に記載の通信端末に相当。以下「送信元」ともいう)から受信した画像データを用紙に記録するPCプリント機能を備えている。また、ネットワーク複合機1は、読み取った画像データをファクシミリ送信するFAX送信機能に加え、外部のPC30,31などから受信した画像データをファクシミリ送信するPC−FAX機能を備えている。さらに、ネットワーク複合機1は、電子メールを利用してIP網経由で画像データを送受信するインターネットFAX(IFAX)機能等も有している。これらの各機能を実現するためにネットワーク複合機1は、NIC10、制御部11、記録部12、操作部13、表示部14、読取部15、コーデック16、画像記憶部17、モデム18、NCU19、IFAX制御部20、及び、Webサーバ21等を備えている。なお、上記各部はバス(通信路)23で相互に通信可能に接続されている。
【0022】
NIC10は、各種通信プロトコルの送受信制御処理、及び各種通信プロトコル上のデータ解析処理及びデータ作成処理を行なうネットワークインターフェースである。NIC10は、LAN51を介してPC30,31に接続されており、PC30,31との間で、例えばTCP/IPに従ってデータの通信を行なう。すなわち、NIC10は、特許請求の範囲に記載された通信手段として機能する。なお、待機時すなわちネットワーク複合機1が省エネルギー状態にあるときであっても、NIC10には電力が供給される。
【0023】
NIC10は、演算を行なうマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、マイクロプロセッサにより制御されて通信処理を行う通信用チップ(IC)、及び通信用チップにより受信され、該通信用チップから読み出された受信データなどを一時的に記憶するRAM、及びデータがバックアップされているバックアップRAM等により構成されている。なお、NIC10は、上述したマイクロプロセッサ、通信用チップ、ROM、RAM等がワンチップに収められたマイクロコンピュータを用いて構成してもよい。
【0024】
NIC10では、上述したハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより、受信部10a、記憶部10b、電力状態判定部10c、送信元特定部10d、ロード情報生成部10e、出力部10f、プリンタ言語判定部10g、削除部10hが構築されている。
【0025】
受信部10aは、例えばPC30,31(送信元)からLAN51を介してプリントデータなどを受信する。すなわち、受信部10aは、特許請求の範囲に記載の受信手段として機能する。記憶部10bは、上述したRAM又はバックアップRAMにより構成され、プリントデータの送信元毎に、すなわち、送信元のIPアドレス(又は、マックアドレス、ホスト名)と関連付けて、プリントデータを受信したポート番号、受信されたプリントデータのプリンタ言語の種類(例えば、PCL5e,PCLxl,PostScript,XPS,PDFなど)、受信日時、及び受信回数などを履歴情報として記憶する。また、記憶部10bは、受信されたプリントデータの送信元が履歴情報に記録されていない場合、及び、送信元は記録されているが、ポート番号、プリンタ言語が履歴情報に記録されていない場合には、新規の情報を履歴情報に追加し、履歴情報を更新する。すなわち、記憶部10bは、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0026】
電力状態判定部10cは、例えば、記録部12と接続されたポートのレベル(Hi又はLow)に基づいて、記録部12の電力状態を判定する。具体的には、電力状態判定部10cは、ポートレベルがHi(5V)の場合には通常電力状態(通常モード)と判定し、Low(0V)のときには低消費電力状態(省エネモード)と判定する。すなわち、電力状態判定部10cは、特許請求の範囲に記載の判定手段として機能する。
【0027】
送信元特定部10dは、所定のポート(例えば、9100番(Port9100)、515番(LPD)、80番(IPP)など)を通してセッション確立要求信号(SYN信号)が受信されたときに、該セッション確立要求信号を解析して、送信元のIPアドレス(又は、マックアドレス、ホスト名)を抽出し、該セッション確立要求信号の送信元を特定する。すなわち、送信元特定部10dは、特許請求の範囲に記載の特定手段として機能する。
【0028】
ロード情報生成部10eは、セッション確立要求信号が受信され、かつ、記録部12が低消費電力状態であると判断された場合に、送信元特定部10dにより特定された送信元の履歴情報に示される(過去に使用された)プリンタ言語に対応した言語処理プログラム及びフォントデータを特定して、不揮発性のフラッシュメモリから記録部12のRAMにロードさせるためのロード情報(例えばプログラム名、バージョン情報などを含む)を生成する。なお、特定された送信元の履歴情報に複数のプリンタ言語が記録されている場合には、対応する複数の言語処理プログラム及びフォントデータを含むロード情報が生成される。また、ロード情報生成部10eは、プリンタ言語判定部10gによりPJLランゲージ情報から判定されたプリンタ言語が、記憶されている履歴情報に含まれていない場合、すなわち、通常電力状態への復帰時にロードさせた言語処理プログラムが受信されたプリントデータのプリンタ言語に対応していない場合に、該プリンタ言語に対応した言語処理プログラムを記録部12にロードさせるロード情報を生成する。さらに、ロード情報生成部10eは、記憶部10bに当該送信元の履歴情報が記憶されていない場合に、不揮発性のフラッシュメモリに保存されているすべての言語処理プログラムを記録部12のRAMにロードさせるロード情報を生成する。すなわち、ロード情報生成部10eは、特許請求の範囲に記載の生成手段として機能する。
【0029】
出力部10fは、セッション確立要求信号が受信され、かつ、記録部12(ネットワーク複合機1)が低消費電力状態であると判断された場合に、記録部12に対して、該記録部12を低消費電力状態から通常電力状態へ復帰させるための起動信号を出力する。出力部10fから起動信号が出力されると、記録部12などへの電源供給が開始される。そして、記録部12においてプログラムロード等の起動処理が実行され、記録部12が起動される。なお、記録部12の起動が完了すると、上述したポートのレベルがHiにセットされる。また、出力部10fは、起動信号を出力した後に、ロード情報生成部10eにより生成されたロード情報を出力する。さらに、出力部10fは、プリンタ言語判定部10gにより判定されたプリンタ言語が、記憶されている履歴情報に含まれていない場合に、ロード情報生成部10eにより生成されたロード情報を、記録部12に対して出力する。すなわち、出力部10fは、特許請求の範囲に記載の出力手段として機能する。
【0030】
プリンタ言語判定部10gは、受信されたプリントデータを解析して、PJLランゲージ情報を抽出し、該プリントデータを記述しているプリンタ言語を判定する。すなわち、プリンタ言語判定部10gは、特許請求の範囲に記載のプリンタ言語判定手段として機能する。
【0031】
削除部10hは、記憶部10bに記憶されている履歴情報の内、利用頻度が所定の頻度に達しないプリンタ言語の履歴情報を削除する。より具体的には、削除部10hは、所定期間(例えば1ヶ月)及び/又は所定回数(絶対的又は相対的回数)利用されていないプリンタ言語の履歴情報を削除する。すなわち、削除部10hは、特許請求の範囲に記載の削除手段として機能する。
【0032】
制御部11は、演算を行なうマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果等の各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップデータを記憶するバックアップRAM等により構成されている。制御部11は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、ネットワーク複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0033】
記録部12は、電子写真方式のプリンタであり、例えば、LAN51を介して接続されている外部のPC30,31から受信されるプリントデータ(PDLデータ)を用紙にプリントアウトする。すなわち、記録部12は、特許請求の範囲に記載の記録手段として機能する。また、記録部12は、読取部15により読み取られ生成された画像データ、及びFAX、IFAX等で受信された画像データを用紙にプリントアウトする。そのため、記録部12は、プリンタコントローラ12a、及びプリンタエンジン12bを備えている。
【0034】
記録部12は、所定時間以上連続して印刷処理が行われない場合に電源供給が停止(オフ)され、低消費電力状態となる。一方、記録部12では、上述したように、出力部10fから出力された起動信号を受けて電源供給が開始され、通常電力状態となる。
【0035】
プリンタコントローラ12aは、演算を行うマイクロプロセッサ、言語処理プログラム、フォントデータなどを記憶する不揮発性のフラッシュメモリ(ROM)、マイクロプロセッサに処理を実行させるための言語処理プログラム、フォントデータなどをフラッシュメモリからロードして記憶するとともに、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAMなどにより構成されている。なお、プリンタコントローラ12aは、NIC10の出力部10fから受取ったロード情報(例えばプログラム名、バージョン情報など)に基づいて、フラッシュメモリに記憶されている言語処理プログラム、フォントデータをRAMにロードする。プリンタコントローラ12aは、RAMにロードされた言語処理プログラムなどを実行することにより、プリントデータ(PDLデータ)をラスターデータに展開したり、プリンタエンジン12bを制御する機能を実現する。プリンタコントローラ12aは、展開したラスターデータをプリンタエンジン12bに出力する。
【0036】
プリンタエンジン12bは、印刷を行う印刷機構である。プリンタエンジン12bは、プリンタコントローラ12aによって制御され、プリンタコントローラ12aから入力されるラスターデータを用紙に印刷する。より詳細には、プリンタエンジン12bは、給紙、ドラムへの帯電、レーザの照射、トナーの塗布、用紙への転写、定着等の印刷工程を実行し、ラスターデータの印刷を行う。
【0037】
操作部13は、ネットワーク複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキー等を備えている。表示部14は、LCD等を用いた表示装置であり、ネットワーク複合機1の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示する。読取部15は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。
【0038】
コーデック16は、読取部15で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部17は、DRAM等で構成されており、コーデック16で符号化圧縮された画像データ、FAX受信された画像データ、及び、外部のPC30,31から受信されて符号化圧縮された画像データ等を記憶する。
【0039】
モデム(変復調器)18は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行なう。また、モデム18は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行なう。NCU(Network Control Unit)19は、モデム18と接続されており、モデム18と公衆交換電話網(PSTN)50との接続を制御する。また、NCU19は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0040】
IFAX制御部20は、インターネット環境を利用したIFAX機能を司る。IFAX制御部20は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って電子メールを送信する機能、及び、POP(Post Office Protocol)に従って電子メールを受信する機能を有している。IFAX制御部20は、送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信する。また、IFAX制御部20は、設定された時間毎にPOPサーバから電子メールを受信して添付ファイルをプリントアウトする。Webサーバ21は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、PC30,31からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。
【0041】
次に、図2〜図6を併せて参照しつつ、ネットワーク複合機1によるPCプリントデータ受信処理について説明する。図2〜6は、ネットワーク複合機1によるPCプリントデータ受信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS100では、Port9100でSYN信号が受信されたか否か、すなわち、指定ポート(9100番)へのセッション確立要求(SYN信号)があるか否かの判断が行われる。Port9100でSYN信号が受信されていない場合には、図6のステップS246に処理が移行する。一方、Port9100でSYN信号が受信されたときには、ステップS102に処理が移行する。
【0043】
Port9100でSYN信号が受信された場合、ステップS102では、記録部12(ネットワーク複合機1)が低消費電力状態であるか否かについての判断が行われる。ここで、記録部12が通常電力状態であると判断された場合には、図5のステップS212に処理が移行する。一方、記録部12が低消費電力状態であると判断されたときには、ステップS104に処理が移行する。ステップS104では、記録部12を起動するための起動信号が出力され、記録部12への電源供給が開始される。
【0044】
続くステップS106では、SYN信号を解析して送信元のIPアドレス(又は、マックアドレス、ホスト名)を抽出して送信元を特定するとともに、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が履歴情報に記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が記録されていない場合には、ステップS108に処理が移行し、記録部12を構成するプリンタコントローラ12aのRAMに自機のフラッシュメモリに保存されているすべての言語処理プログラム及びフォントデータをロードするようにロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、すべての言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS138に処理が移行する。
【0045】
一方、ステップS106において、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が記録されているときには、ステップS110に処理が移行する。ステップS110では、履歴情報にPCL5eの受信情報が記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、履歴情報にPCL5eの受信情報が記録されていない場合には、ステップS116に処理が移行する。一方、履歴情報にPCL5eの受信情報が記録されているときには、ステップS112に処理が移行する。ステップS112では、プリンタコントローラ12aのRAMにPCL5e用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、ステップS116に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS114において、プリンタコントローラ12aのRAMにPCL5e用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報(例えばプログラム名、バージョン情報などを含む情報)が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PCL5e用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS116に処理が移行する。
【0046】
ステップS116では、履歴情報にPCLxlの受信情報が記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、履歴情報にPCLxlの受信情報が記録されていない場合には、ステップS122に処理が移行する。一方、履歴情報にPCLxlの受信情報が記録されているときには、ステップS118に処理が移行する。ステップS118では、プリンタコントローラ12aのRAMにPCLxl用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、ステップS122に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS120において、プリンタコントローラ12aのRAMにPCLxl用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PCLxl用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS122に処理が移行する。
【0047】
ステップS122では、履歴情報にPostScriptの受信情報が記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、履歴情報にPostScriptの受信情報が記録されていない場合には、ステップS128に処理が移行する。一方、履歴情報にPostScriptの受信情報が記録されているときには、ステップS124に処理が移行する。ステップS124では、プリンタコントローラ12aのRAMにPostScript用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、ステップS128に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS126において、プリンタコントローラ12aのRAMにPostScript用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PostScript用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS128に処理が移行する。
【0048】
ステップS128では、履歴情報にXPSの受信情報が記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、履歴情報にXPSの受信情報が記録されていない場合には、ステップS134に処理が移行する。一方、履歴情報にXPSの受信情報が記録されているときには、ステップS130に処理が移行する。ステップS130では、プリンタコントローラ12aのRAMにXPS用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、ステップS134に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS132において、プリンタコントローラ12aのRAMにXPS用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、XPS用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS134に処理が移行する。
【0049】
ステップS134では、プリンタコントローラ12aのRAMにPDF用の言語処理プログラムがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、ステップS138に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS136において、プリンタコントローラ12aのRAMにPDF用の言語処理プログラムをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PDF用の言語処理プログラムをロードする。その後、ステップS138に処理が移行する。
【0050】
ステップS138では、記録部12が低消費電力状態から通常電力状態に復帰したか否か、また、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータのロードが終了したか否かについての判断が行われる。ここで、記録部12が通常電力状態に復帰しており、かつ、言語処理プログラムなどのロードが終了している場合には図3のステップS140に処理が移行する。一方、記録部12が通常電力状態に復帰していないとき、又は言語処理プログラムなどのロードが終了していないときには、記録部12が通常電力状態に復帰し、かつ言語処理プログラムなどのロードが終了するまで、本ステップが繰り返して実行される。
【0051】
図3に示されるステップS140では、受信されたSYN信号に対する応答として、ACK/SYN信号が送信される。続くステップS142では、送信されたACK/SYN信号に対するレスポンスとして、送信元からのACK信号が受信されたか否かについての判断が行われる。ここで、ACK信号が受信された場合には、送信元との間でセッションが確立され、ステップS144に処理が移行する。一方、ACK信号がまだ受信されていないときには、ACK信号が受信されるまで本ステップが繰り返し実行される。
【0052】
セッションが確立された場合、ステップS144では、PJL(Printer Job Language)データ、及びPDL(Page Description Language)データが受信される。続くステップS146では、PJLデータの言語情報が受信されたか否かについての判断が行われる。ここで、PJLデータの言語情報が受信された場合には、ステップS170において、受信されたPJLデータの言語情報がNIC10の記憶部10bに記憶された後、図4に示されるステップS172に処理が移行する。一方、PJLデータの言語情報が受信されていないときには、ステップS148に処理が移行する。
【0053】
ステップS148では、送信元からのFIN信号が受信されたか否かについての判断が行われる。ここで、FIN信号が受信された場合、ステップS150において、送信元に対してACK/FIN信号が返信される。その後、ステップS152では、送信元からのACK信号が受信されたか否かについての判断が行われる。ここでACK信号が受信された場合には、セッションが解除され、本処理が終了する。一方、ACK信号が受信されていないときには、ACK信号が受信されるまで本ステップが繰り返して実行される。
【0054】
ステップS148において送信元からのFIN信号が受信されていないときには、ステップS154に処理が移行する。ステップS154では、PJLデータ、PDLデータを記憶できる空き容量がNIC10の記憶部10bに有るか否かについての判断が行われる。ここで、空き容量がない場合又は少ない場合(すなわち受信バッファからの読み出しができない場合)には、ステップS156に処理が移行する。一方、空き容量がある場合には、ステップS158に処理が移行する。
【0055】
ステップS156では、windows sizeがゼロのACK(win=0)が返信される。ACK(win=0)が返信されると、送信元は、受信バッファが空いたか否かを問い合わせる信号TCP Zero Window Probe(win=0)を定期的に送出する。この信号に対して、NIC10が、受信バッファに空き容量がないことを示す信号TCP Zero Window Probe ACK(win=0)を返すことにより持続接続制御(キープアライブ制御)が行われる。すなわち、持続接続制御が維持されている間、TCP Zero Window Probe(win=0)に対してTCP Zero Window Probe ACK(win=0)が返信される。その後、ステップS144に処理が移行し、上述したステップS144〜の処理が繰り返して実行される。
【0056】
一方、ステップS158では、受信されたPJLデータ、PDLデータが、受信バッファからNIC10の記憶部10bに読み出され記憶される。続いて、ステップS160において、NIC10の受信バッファの空き容量に応じた受信可能データ量xxxがセットされたACK(win=xxx)が送信元へ送信される。次に、ステップS162では、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータのロードが終了したか否かについての判断が行われる。ここで、ロードが終了していない場合には、ステップS144に処理が移行し、上述したステップS144〜の処理が再度実行される。一方、ロードが終了しているときには、ステップS164において、NIC10の記憶部10bに記憶されたPJLデータ、PDLデータが記録部12(プリンタコントローラ12a)に転送される。その後、ステップS144に処理が移行し、上述したステップS144〜の処理が繰り返して実行される。なお、記録部12(プリンタコントローラ12a)では、転送されたPJLデータ、PDLデータ(すなわちプリントデータ)が処理され、プリントデータが用紙にプリントアウトされる。
【0057】
上述したステップS170において、受信されたPJLデータの言語情報がNIC10の記憶部10bに記憶された後、図4に示されるステップS172では、PJLデータから抽出された言語情報(すなわちPDLデータのプリンタ言語)がPCL5eであるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ言語がPCL5eでない場合には、ステップS180に処理が移行する。一方、プリンタ言語がPCL5eであるときには、ステップS174に処理が移行する。ステップS174では、プリンタコントローラ12aのRAMにPCL5e用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、図3に示されるステップS176において、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新された後、ステップS154に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS178において、プリンタコントローラ12aのRAMにPCL5e用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PCL5e用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS202に処理が移行する。
【0058】
プリンタ言語がPCL5eでない場合、ステップS180では、プリンタ言語がPCLxlであるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ言語がPCLxlでない場合には、ステップS186に処理が移行する。一方、プリンタ言語がPCLxlであるときには、ステップS182に処理が移行する。ステップS182では、プリンタコントローラ12aのRAMにPCLxl用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、図3に示されるステップS176において、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新された後、ステップS154に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS184において、プリンタコントローラ12aのRAMにPCLxl用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PCLxl用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS202に処理が移行する。
【0059】
プリンタ言語がPCLxlでない場合、ステップS186では、プリンタ言語がPostScriptであるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ言語がPostScriptでない場合には、ステップS192に処理が移行する。一方、プリンタ言語がPCLxlであるときには、ステップS188に処理が移行する。ステップS188では、プリンタコントローラ12aのRAMにPostScript用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、図3に示されるステップS176において、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新された後、ステップS154に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS190において、プリンタコントローラ12aのRAMにPostScript用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PostScript用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS202に処理が移行する。
【0060】
プリンタ言語がPostScriptでない場合、ステップS192では、プリンタ言語がXPSであるか否かについての判断が行われる。ここで、プリンタ言語がXPSでない場合には、ステップS198に処理が移行する。一方、プリンタ言語がXPSであるときには、ステップS194に処理が移行する。ステップS194では、プリンタコントローラ12aのRAMにXPS用の言語処理プログラム、及びフォントデータがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、図3に示されるステップS176において、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新された後、ステップS154に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS196において、プリンタコントローラ12aのRAMにXPS用の言語処理プログラム、及びフォントデータをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、XPS用の言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS202に処理が移行する。
【0061】
プリンタ言語がXPSでない場合、ステップS198では、プリンタコントローラ12aのRAMにPDF用の言語処理プログラムがロード済みであるか否かについての判断が行われる。ここで、既にロード済みの場合には、図3に示されるステップS176において、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新された後、ステップS154に処理が移行する。一方、まだロードされていないときには、ステップS200において、プリンタコントローラ12aのRAMにPDF用の言語処理プログラムをロードさせるロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、PDF用の言語処理プログラムをロードする。その後、ステップS202に処理が移行する。
【0062】
ステップS202では、記憶部10bに記憶されている履歴情報のプリンタ言語情報が更新される。その後、ステップS204では、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータのロードが終了したか否かについての判断が行われる。ここで、ロードが終了していない場合には、ステップS206に処理が移行する。一方、ロードが終了しているときには、ステップS208に処理が移行する。
【0063】
ステップS206では、windows sizeがゼロのACK(win=0)が送信されることにより、持続接続制御(キープアライブ)が実行される。その後、ステップS204に処理が戻され、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータのロードが終了するまで、上述したステップS204,S206の処理が繰り返して実行される。
【0064】
一方、ステップS208では、NIC10の受信バッファの空き容量、すなわち受信可能データ量に応じたwindows sizeがセットされたACK(win=xxx)(ここでxxxは受信可能データ量を表す)が送信元へ送信される。続いて、ステップS210では、NIC10の記憶部10bに記憶されたPJLデータ、PDLデータが記録部12(プリンタコントローラ12a)に転送される。その後、図3に示されるステップS144に処理が移行し、上述したステップS144〜の処理が実行される。
【0065】
上述したステップS102(図2参照)において、記録部12が通常電力状態であると判断された場合には、図5に示されるステップS212において、SYN信号を解析して送信元のIPアドレス(又は、マックアドレス、ホスト名)を抽出することにより送信元を特定するとともに、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が履歴情報に記録されているか否かについての判断が行われる。ここで、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が記録されていない場合には、ステップS214に処理が移行し、記録部12を構成するプリンタコントローラ12aのRAMに自機のフラッシュメモリに保存されているすべての言語処理プログラム及びフォントデータをロードするようにロード情報が生成され、プリンタコントローラ12aに対して出力される。このロード情報を受信したプリンタコントローラ12aは、該ロード情報に基づいて、すべての言語処理プログラム及びフォントデータをロードする。その後、ステップS244に処理が移行する。
【0066】
一方、ステップS212において、特定された送信元のIPアドレス及びPort9100の受信情報が記録されているときには、ステップS216に処理が移行する。ここで、図5に示されるステップS216〜S242の処理内容は上述したステップS110〜S136の処理内容と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
ステップS214又はステップS242での処理が終了した後、ステップS244では、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータのロードが終了したか否かについての判断が行われる。ここで、言語処理プログラムなどのロードが終了している場合には図3のステップS140に処理が移行する。一方、言語処理プログラムなどのロードが終了していないときには、言語処理プログラムなどのロードが終了するまで、本ステップが繰り返して実行される。
【0068】
上述したステップS100(図2参照)において、Port9100でSYN信号が受信されていないと判断された場合、すなわち、LPD(515番)(又はIPP(80番))でSYN信号が受信された場合には、図6に示されるステップS246において、記録部12(ネットワーク複合機1)が低消費電力状態であるか否かについての判断が行われる。ここで、記録部12が通常電力状態であると判断された場合には、図5のステップS212に処理が移行する。一方、記録部12が低消費電力状態であると判断されたときには、ステップS248に処理が移行する。ここで、ステップS248〜S282の処理内容は上述したステップS104〜S138の処理内容と同一又は同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、ステップS282の処理が終了した後、図3に示されるステップS140に処理が移行する。ステップS140以降の処理は上述した通りであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0069】
本実施形態によれば、過去に受信されたプリントデータのプリンタ言語の履歴情報が記憶されており、セッション確立信号(SYN信号)が受信されたときに記録部12を起動する起動信号が出力されるとともに、履歴情報に記憶されているプリンタ言語に応じた言語処理プログラムをロードさせるためのロード情報が出力される。そのため、セッション確立要求信号が受信された時点、すなわち、セッションが確立されてプリントデータ(PDLデータ)が受信される前に、言語処理プログラムのロードを開始することができる。よって、記録部12を起動する際に、言語処理プログラムのロードが完了するタイミングを早めることができる。また、過去の履歴情報に応じてロードする言語処理プログラムが特定されるため、自機で処理可能な全プリンタ言語に対応したすべての言語処理プログラムをロードする必要がなく、言語処理プログラムのロード時間を短縮することができる。以上の結果、低消費電力状態から復帰する際に、言語処理プログラムのロードを完了するまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0070】
一般的に、特定の送信元から出力されるプリントデータは同じプリンタ言語により記述されている場合が多い。すなわち、送信元が一度使用したプリンタ言語は再度使用される確率が高い。本実施形態によれば、送信元毎に使用されたプリンタ言語の履歴情報が記憶されており、セッション確立信号が受信されたときに、送信元が特定され、特定された送信元の履歴情報に応じてロードさせる言語処理プログラムが特定される。よって、プリントデータ(PDLデータ)が受信される前に高い確率で使用されているプリンタ言語を推定することができる。そのため、プリントデータが受信され、使用されているプリンタ言語が特定される前であっても、適切な言語処理プログラムをロードすることが可能となる。
【0071】
本実施形態によれば、受信されたプリントデータが、履歴情報に記録されていないプリンタ言語によって記述されたものであった場合に、該プリンタ言語が履歴情報に追加されて更新されるとともに、該プリンタ言語に対応した言語処理プログラムがロードされる。よって、過去に使用されたことがないプリンタ言語で記述されたプリントデータが受信された場合であっても、受信されたプリントデータを適切に処理することができるとともに、今後同一のプリンタ言語が使用された場合に、対応する言語処理プログラムをより迅速にロードすることが可能となる。
【0072】
本実施形態によれば、利用頻度が低いプリンタ言語の履歴情報が削除されるため、利用実績に即して履歴情報を更新することができる。そのため、利用実績に応じてロードされる言語処理プログラムの数を削減することができ、言語処理プログラムのロード時間をより短縮することが可能となる。
【0073】
本実施形態によれば、履歴情報がない場合には、すべての言語処理プログラムがロードされる。よって、履歴情報から使用されているプリンタ言語を推定することができない場合であっても、適切にプリントデータを処理することができる。
【0074】
本実施形態によれば、プリンタコントローラ12aに対する言語処理プログラム、フォントデータなどのロードが終了し、NIC10の記憶部10bに記憶されたPJLデータ、PDLデータをプリンタコントローラ12aに転送できるようになるまでの間、送信元との間でセッションを張った状態を保持しつつ送信元に対してデータの送信を禁止する持続接続制御が実行される。よって、データを一時的に格納するための大容量メモリをNIC10側で備える必要がない。また、このようにすれば、持続接続制御が終了される時点では、既にセッションが張られているため、迅速にプリントデータの受信を開始することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、送信元と関連付けて履歴情報に記録されているすべてのプリンタ言語に対応する言語処理プログラム、フォントデータをロードさせる構成としたが、プリンタ言語毎の利用頻度を考慮し、例えば、最も利用頻度が高いプリンタ言語に対応する言語処理プログラムなどをロードさせる構成としてもよい。このようにすればロード時間をさらに短縮することができる。
【0076】
また、上記実施形態では過去の履歴情報が記録されていない場合に、フラッシュメモリに格納されているすべての言語処理プログラム、フォントデータをロードする構成としたが、すべての言語処理プログラムなどをロードするのではなく、例えば、予めデフォルト設定された言語処理プログラムなどをロードする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 ネットワーク複合機
10 NIC
10a 受信部
10b 記憶部
10c 電力状態判定部
10d 送信元特定部
10e ロード情報生成部
10f 出力部
10g プリンタ言語判定部
10h 削除部
11 制御部
12 記録部
12a プリンタコントローラ
12b プリンタエンジン
13 操作部
14 表示部
15 読取部
16 コーデック
17 画像記憶部
18 モデム
19 NCU
20 IFAX制御部
21 Webサーバ
23 バス
30,31 パーソナルコンピュータ
50 PSTN
51 LAN


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される通信端末との間で通信を行なう通信手段と、
通常電力状態と低消費電力状態とを取ることができ、通常電力状態にあるときに前記通信手段により受信された前記プリントデータを用紙にプリントアウトする記録手段と、を備え、
前記通信手段は、
ネットワークを介して送られてくるプリントデータを受信する受信手段と、
過去に受信されたプリントデータのプリンタ言語の履歴情報を記憶する記憶手段と、
前記記録手段の電力状態を判定する判定手段と、
所定のポートを通してセッション確立要求信号が受信され、かつ、前記記録手段が低消費電力状態であると判断された場合に、前記記憶手段に記憶されている履歴情報に応じた言語処理プログラムを前記記録手段にロードさせるためのロード情報を生成する生成手段と、
前記セッション確立要求信号が受信され、かつ、前記記録手段が低消費電力状態であると判断された場合に、前記記録手段に対して、該記録手段を起動するための起動信号を出力するとともに、前記生成手段により生成された前記ロード情報を出力する出力手段と、を有する、
ことを特徴とするネットワークプリンタ。
【請求項2】
前記通信手段は、前記所定のポートを通してセッション確立要求信号が受信されたときに、該セッション確立要求信号を解析して、該セッション確立要求信号の送信元を特定する特定手段を備え、
前記記憶手段は、前記履歴情報をプリントデータの送信元毎に記憶し、
前記生成手段は、前記特定手段により特定された送信元の履歴情報に応じて、前記ロード情報を生成することを特徴とする請求項1に記載のネットワークプリンタ。
【請求項3】
前記通信手段は、受信されたプリントデータを解析して、該プリントデータを記述しているプリンタ言語を判定するプリンタ言語判定手段を備え、
前記プリンタ言語判定手段により判定されたプリンタ言語が、記憶されている履歴情報に含まれていない場合に、前記記憶手段は、該プリンタ言語を履歴情報に加えて更新し、前記生成手段は、該プリンタ言語に対応した言語処理プログラムを前記記録手段にロードさせるロード情報を生成し、前記出力手段は、前記生成手段により生成されたロード情報を、前記記録手段に対して出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークプリンタ。
【請求項4】
前記通信手段は、前記記憶手段に記憶されている履歴情報の内、利用頻度が所定の頻度に達しないプリンタ言語の履歴情報を削除する削除手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のネットワークプリンタ。
【請求項5】
前記生成手段は、前記記憶手段に履歴情報が記憶されていない場合に、保存されているすべての言語処理プログラムを前記記録手段にロードさせるロード情報を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のネットワークプリンタ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−37068(P2011−37068A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184692(P2009−184692)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】