説明

ネットワークレートを割り当てる方法及び装置

【課題】顕著な品質変動をいかに回避するかという問題に効率的に対処することができるネットワークリソース割当を最適化するための手法を提供する。
【解決手段】最適化演算に対する入力として、割り当てられるデータレートに応じて、好ましくはさらにチャネル状態にも応じて、或るアプリケーションに対し、ユーザーが知覚する品質を示す品質効用関数を用いることと、前記最適化演算が、前記品質効用関数に基づいて、前記種々のアプリケーションに対しかつ前記複数のアプリケーションへの種々の可能なリソース割当に対し、複合品質尺度を、複数の前記可能なリソース割当の中で該品質尺度が極値に達するリソース割当を見つけることにより該品質尺度が最適化されるよう計算するように前記最適化演算を実行することであって、それにより、前記ネットワークに対する全体的な最適化されたリソース割当を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークレートを割り当てる方法及び装置に関する。特に、本発明は、オペレーターが、ユーザーが知覚するサービス品質を考慮することを希望する、ネットワークリソース割当最適化問題のようなシナリオに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオアプリケーションの要求が高まり続けているため、モバイルネットワークオペレーター(通信事業者)にとって、無線ネットワークにおけるネットワークリソース管理及びリソース割当は優先すべき事項となっている。ネットワークリソースを効率的に使用し、ユーザー満足度を達成するために、ネットワークは、アプリケーション要件を、たとえばネットワークにおけるディープパケット検査(deep packet inspection)を通じて理解する必要がある。これにより、ネットワークは、ビデオコンテンツの感度及びパケット依存性を知ることができる。ビデオの感度は、たとえばデータレート及びパケットロス率等のネットワークパラメーターに依存する、ユーザーが知覚するビデオ品質の関係である。たとえば、動的シーン(たとえばスポーツ)を含むビデオは、高いデータレートが必要であり、パケットロスに対してより敏感である。パケット依存性は、ネットワークに対して、パケットの重要性に関して知らせるものであり、したがって、ネットワークは種々のパケットに優先順位を付けることができる。たとえば、I−B−P−B−P−B−…の順に従って画像群を使用するビデオコーデックの場合、Iフレームを含むパケットを送信することが、Pフレーム又はBフレームのパケットより優先順位が高いが、この理由は、パケットが依存しているIフレームが受信側に正しく送信されていない場合、Pフレーム及びBフレームを正しく復号することができないためである。
【0003】
種々のビデオコンテンツを含む複数のビデオストリームに対してネットワークリソースを割り当てることは、ネットワークオペレーターには困難な課題であり、この理由は、ネットワークオペレーターが、ネットワークでサービスを受けているすべてのユーザーを満足させたままで、その限られたネットワークリソースを効率的に使用するためにどれだけのネットワークリソースをいずれのビデオストリームに与えるべきかを知らなければならないためである。
【0004】
種々の層の抽象化された情報(たとえば、アプリケーションモデル/アプリケーション感度、チャネル品質状態)を考慮してネットワークリソース割当を最適化することは、最初、エラスティックな(elastic)アプリケーション(たとえばファイル転送アプリケーション)に対して導入された(たとえば、非特許文献1を参照されたい)。後に、非特許文献2では、ユーザー知覚品質測定法に対する共通測定基準として、最初は音声アプリケーションに対して提案された品質尺度である、平均オピニオン評点(mean opinion score: MOS)を用いることにより、リソース割当が種々のアプリケーションにわたって最適化される(たとえば、非特許文献3を参照されたい)。最適なリソース割当は、ネットワークオペレーターによって設定される目的関数によって決まる。すべてのユーザーの平均品質の最大値(MaxSumと呼ぶ)又はアプリケーションタイプ及びチャネル品質状態に関らずすべてのユーザーに対して同様の品質を有する最大値(MaxMinと呼ぶ)等のネットワークリソース最適化問題に対する目的関数を設定する、いくつかの方法がある。さらに、ネットワークオペレーターは、すべてのユーザーに対して最低保証品質を設定することもでき、その後、保証品質に等しいか若しくはそれより高い同じ品質(MaxMin−MinMOS)に達するように、又は最大平均品質(MaxSum−MinMOS)に達するようにリソース割当を適応させる。
【0005】
ネットワークリソースがいかにそのユーザーにのみ割り当てられるかという問題に対処する従来技術はクロスレイヤー最適化に関し、そこでは、ネットワークリソース割当は、種々の層から抽象化された情報に基づいて最適化される。非特許文献2若しくは非特許文献4において、又は特許文献1(「Apparatus and Method for Controlling an Operation of a Plurality of Communication Layers」)において、それらは、アプリケーション層、ネットワーク層、MAC層及び物理層からの情報を考慮する。最適化問題に対する目的関数セットに基づき、ネットワークリソースは異なって割り当てられる。たとえば、ネットワークは、非特許文献2におけるように、すべてのユーザーの平均的なユーザー知覚品質の最大値に達したいと望む場合がある。別の手法は、非特許文献5又は特許文献2(「Congestion control system and method for packet switched networks providing max-min fairness」)におけるように、すべてのユーザーが同様のサービス品質を知覚するように、ネットワークリソースを割り当てるものであり得る。しかしながら、リソース割当を最適化するために多くの異なる手法があるが、既知の手法のいずれも、顕著な品質変動をいかに回避するかという問題に効率的に対処することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7609652号
【特許文献2】米国特許第5675576号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】F. P. Kelly著、「Charging and rate control for elastic traffic」、European Transaction of Telecommunication, vol. 8, pp. 33-37, Jan. 1997
【非特許文献2】S. Khan、S. Duhovnikov、E. Steinbach及びW. Kellerer著、「MOS-based multiuser multiapplication cross-layer optimization for mobile multimedia communication」、Advances in Multimedia, 2007, article ID94918
【非特許文献3】ITU−T勧告P.800、「Method for subjective determination of transmission quality」、August 1996
【非特許文献4】L.-U. Choi、M. T. Ivrlac、E. Steinbach及びJ. A. Nossek著、「Bottom-up approach to cross-layer design for video transmission over wireless channels」、Proc. IEEE Vehicular Technology Conference 2005-Spring (VTC'S05), vol. 5, Stockholm, Sweden, May 30-Jun. 1, 2005, pp. 3019-3025
【非特許文献5】B. Radunovic及びJ.-Y. Le Boudec著、「A unified framework for maxmin and min-max fairness with applications」、IEEE/ACM Trans. on Networking, vol. 15, no. 5, pp. 1073-1083, Oct. 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、この問題に有効に対処することができる手法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態によれば、ユーザーが、割り当てるための或る限られた総帯域幅を有するネットワークを介して場合によっては種々のアプリケーションにアクセスする際に経由する複数のモバイル端末に対してネットワークデータレートを割り当てる方法であって、
最適化演算に対する入力として、前記割り当てられるデータレートによって決まり、好ましくはさらにチャネル状態によっても決まる、或るアプリケーションに対し、ユーザーが知覚する品質を示す品質効用関数を用いることと、
前記最適化演算が、前記品質効用関数に基づいて、前記種々のアプリケーションに対しかつ前記複数のアプリケーションへの種々の可能なリソース割当に対し、複合品質尺度を、複数の前記可能なリソース割当の中で該品質尺度が極値に達するリソース割当を見つけることにより該品質尺度が最適化されるよう計算するように前記最適化演算を実行することであって、それにより、前記ネットワークに対する全体的な最適化されたリソース割当を得る、前記最適化演算を実行すること
を含み、
前記最適化演算が、ペナルティーパラメーターを、該ペナルティーパラメーターが前記モバイル端末のうちの1つ又は複数における過去のユーザー知覚品質と比較したユーザー知覚品質の劣化の大きさが或る閾値を超えるリソース割当に対し、前記過去の前記ユーザー知覚品質と比較した前記ユーザー知覚品質が前記或る閾値を超えていない別のリソース割当に比較してペナルティーを与えるよう用いるように、前記最適化演算を適用すること、
をさらに含む、方法が提供される。
【0010】
ペナルティーパラメーターを導入することにより、時間的品質変化を考慮し、この所与の範囲の条件下でリソース割当を最適化する一方で、或るユーザー端末における品質変化が、ユーザーが知覚することができる大きさを越えないように、資源割当の最適化を行うことが可能になる。
【0011】
一実施の形態によれば、前記或る閾値は、ユーザーに顕著ではないか又はユーザーが許容できる知覚品質の変化の量として予め設定される。これにより、許容される変動の限界を、ユーザーに顕著ではないか又はユーザーが許容できる程度に設定することが可能になる。
【0012】
一実施の形態によれば、前記複合品質尺度は、
或るアプリケーションに対しかつ或る割り当てられたデータレートに対し、前記割り当てられたレートからもたらされる前記アプリケーションの対応するユーザー知覚品質レベルと、前記品質変化からもたらされる対応するペナルティーパラメーターとを加えることであって、それにより、前記或るアプリケーションに対してペナルティーが与えられた品質指標を得ること、
前記複数のアプリケーションに対して得られた、前記ペナルティーが与えられた品質指標を合計することにより、複合品質尺度を得ること、
前記複数のアプリケーションに対する複数の種々の可能なリソース割当に対して前記複合品質尺度を計算すること、及び
前記複合品質尺度が極値に達した前記複数のリソース割当のうちの1つを、前記最適化されたリソース割当として得ること、
に基づく。
【0013】
これにより、依然として最大限の時間的品質変化を保証しながら、合計及び品質レベルの最適化に基づき既知の最適化手法を用いる方法が提案される。
【0014】
一実施の形態によれば、前記ペナルティーパラメーターは、過去と比較した品質変化の量と前記或る閾値との差に基づいて計算される。
【0015】
これにより、時間的品質変化及び所望の閾値が共に適切に考慮されることが確実になる。
【0016】
一実施の形態によれば、前記ペナルティーパラメーターに対し、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合に前記ペナルティーパラメーターにより重みを与える重み付け因子が適用される。
【0017】
これにより、全体的な品質尺度に対する所望の影響に従って時間的品質変化に重み付けすることが可能になる。
【0018】
一実施の形態によれば、前記ペナルティーパラメーター又は前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超えない場合はゼロであり、
前記ペナルティーパラメーター又は前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合、ゼロを上回り、好ましくは1を上回る。
【0019】
これにより、閾値を超えない場合にペナルティーがないことが確実になる。
【0020】
一実施の形態によれば、過去の前記ユーザー知覚品質は、
現リソース割当より或る時間量だけ先行する、或る瞬間のユーザー知覚品質と、
先行するリソース割当からもたらされるユーザー知覚品質と、
或る期間又は過去の或る数のリソース割当ステップにわたって平均化されたユーザー知覚品質と、
のうちの1つである。
【0021】
これにより、使用可能な過去のユーザー品質定義の例が与えられる。
【0022】
一実施の形態によれば、前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合は1であるか、又は、
前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合、0より大きく、前記過去と比較した前記品質変化の量と共に線形に増大する。
【0023】
これにより、ペナルティー因子を、最適化関数に影響を与えるときに要求に応じていかに重み付けすることができるかの例が与えられる。
【0024】
一実施の形態によれば、この方法は、
前記リソース割当方法を繰返し、好ましくは或る頻度で行うこと、
先行して行われたリソース割当のユーザー知覚品質レベルを追跡すること、
或る時間量にわたって追跡されたか、又は或る回数のリソース割当からもたらされたユーザー知覚品質レベルを平均化することにより、前記追跡されたユーザー知覚品質レベルに基づいて、過去の前記ユーザー知覚品質を決定すること
をさらに含む。
【0025】
これにより、経時的に連続的な最適化プロセスを実施することができる。
【0026】
一実施の形態によれば、前記最適化関数は、
第1の合計要素が、各ユーザー端末によって与えられる前記リソース割当に基づく、前記各ユーザー端末に対する前記ユーザー知覚品質レベルの合計に基づくことと、
第2の合計要素が、各ユーザー端末に対する、過去にユーザーが知覚した品質レベルと所与のリソース割当に基づいて知覚される品質レベルとの品質の差の合計に基づくこと、
を含み、
ここで、該第2の合計要素は、各ユーザー端末に対する前記品質差に、時間的品質変化の優先順位重みを掛けることによって変更され、時間的品質変化の前記優先権重みは、過去にユーザーが知覚した前記品質レベルと前記所与のリソース割当に基づいて知覚される前記品質レベルとの前記品質差が、時間的品質変化の閾値を上回る場合にのみ適用され、
前記第1の合計要素から前記変更された第2の合計要素を減じた値の最大値をもたらす最適なネットワークリソース割当を探索すること、
を含む。
【0027】
これにより、既知の最適化プロセスに基づいているが、該プロセスにさらにペナルティーパラメーターを組み入れた最適化が可能となる。
【0028】
一実施の形態によれば、ユーザーが、割り当てるための或る限られた総帯域幅を有するネットワークを介して場合によっては種々のアプリケーションにアクセスする際に経由する複数のモバイル端末に対してネットワークレートを割り当てる装置であって、
最適化演算に対する入力として、前記割り当てられるデータレートに応じて、好ましくはさらにチャネル状態にも応じて、或るアプリケーションに対し、ユーザーが知覚する品質を示す品質効用関数を用いるように構成されたモジュール
を具備し、
前記装置は、前記最適化演算が、前記品質効用関数に基づいて、前記種々のアプリケーションに対しかつ前記複数のアプリケーションへの種々の可能なリソース割当に対し、複合品質尺度を、複数の前記可能なリソース割当の中で該品質尺度が極値に達するリソース割当を見つけることにより該品質尺度が最適化されるよう計算するように前記最適化演算を実行することにより、ネットワークに対する全体的な最適化されたリソース割当を得るように構成され、
前記装置は、前記最適化演算が、ペナルティーパラメーターを、該ペナルティーパラメーターが前記モバイル端末のうちの1つ又は複数における過去のユーザー知覚品質と比較したユーザー知覚品質の劣化の大きさが或る閾値を超えるリソース割当に対し、前記過去の前記ユーザー知覚品質と比較した前記ユーザー知覚品質が前記或る閾値を超えていない別のリソース割当に比較してペナルティーを与えるよう用いるように、前記最適化演算を適用するように構成されたモジュールをさらに具備する、
装置が提供される。
【0029】
このように、本発明の実施の形態を実施する装置を実装することができる。
【0030】
一実施の形態によれば、この装置は、本発明の実施の形態のうちの1つによる方法を実施するモジュールをさらに具備する。
【0031】
一実施の形態によれば、コンピューターにおいて実行されると、該コンピューターが、本発明の実施の形態のうちの1つによる方法を実行することができるようにするコンピューター実行可能コードを有する、コンピュータープログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態を適用することができるシナリオを概略的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の効果を示すシミュレーション結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態を説明する前に、最初に、以下の説明で使用するいくつかの用語の意味を明確にする。
【0034】
AS − アプリケーションサーバー
BS − 基地局
CLO − クロスレイヤー最適化器
MAC − 媒体アクセス制御
MOS − 平均オピニオン評点
PSNR − ピーク信号対雑音比
QoE − 体感品質
UE − ユーザー機器
【0035】
一実施形態によれば、アプリケーション効用関数(又は品質効用関数)を利用し、場合によってはユーザーのチャネル品質も利用し、さらにリソース割当の最適化問題に対する入力として利用可能な全ネットワークリソースを利用する方法を提供する。提案する方法の出力は、各ユーザーに対する最適なリソース割当(たとえば、各ユーザー又はそのモバイルデバイスのアプリケーションに割り当てられるデータレート又はシンボルレート)(又は各ストリーム若しくは各ユーザー機器に対する、すなわち割当プロセスにおいて考慮される各エンティティに対する割当)である。リソースは、さまざまなビデオコンテンツにアクセスしておりかつ同じ無線セル内に存在しているすべてのアクティブなユーザー(又はエンティティ)が、無線チャネル状態の劇的な変化があっても、時間的なビデオ品質の平滑な変化を体感しているように、割り当てられる。同時に、好ましくは、ネットワークリソース利用に関するシステム効率が可能な限り高く維持される。
【0036】
予測されるユーザー知覚品質をモデル化する従来の手法が可能なが、これらの作業は、予測されるユーザー知覚品質の尺度としてMOSを使用していた。従来技術におけるアプリケーションモデリングの目的は、ユーザー知覚品質が、ネットワーク/アプリケーション性能測定基準(たとえばデータレート、パケットロス、PSNR)に関していかに変化するかを知ることであって、それらの値の或る閾値を超過することに関してどのように変化するかを知ることではなかった。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、ユーザーが知覚する品質変動が制限され、かつリソース割当を行うときにその制限が考慮されるようにリソース割当を決定するために、「過去と比較して最大の許容されるユーザー知覚品質変動」という閾値を、導入し用いる。
【0037】
既知の上述した目的関数のいずれも、ユーザーが知覚する時間的品質の変化を考慮していなかった。たとえば、MaxSum目的関数では、チャネル品質状態が経時的に劇的に変化しているとき、ユーザーは、ビデオ品質の劇的な変化を体感し、ビデオを観ている間に苛立つ可能性がある。これは、チャネル品質状態が低品質になっているときに、オプティマイザー(optimizer:最適化器)がそのユーザーに対していかなるネットワークリソースも与えないためである。しかしながら、チャネル品質が非常に良い場合、オプティマイザーは、このユーザーに対するネットワークリソース割当に対して高い優先順位を与えることになり、したがって、このユーザーが知覚するサービスが良くなるか又はさらには非常に良くなる。対照的に、MaxMin目的関数では、すべてのユーザーが同じ品質を知覚することになり、それにより、時間的品質は平滑になる。しかしながら、これにより、ネットワークリソースの大部分が、チャネル品質の悪いユーザーに、又は要求の高いアプリケーションにアクセスしているユーザーに与えられることになるため、システム効率が最低限になる。
【0038】
本発明の実施形態によれば、ここで、ネットワークリソース割当問題の目的関数に対してユーザーが知覚する時間的品質の影響を考慮し、したがって、サービス/アプリケーションにアクセスする全期間の全体的なユーザー知覚品質を向上させる。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、人間は、或る閾値を超える品質の時間的変動しか認識することができないという事実を利用する。これは、人間が、オブジェクトの値の変化、たとえば、インスタンスが保持するオブジェクトの重み変化(或る閾値を超えた場合にのみ知覚可能である)を知覚することができる、他の何らかの場合に幾分か類似している。同様に、人間の眼が認識することができる時間的なビデオ品質変化の一定の閾値もある。一実施形態によれば、ここで、目的関数においてこうした閾値を考慮し、それを、ネットワークリソース割当問題の解決に用いる。これにより、オプティマイザーに対し、ネットワークリソース割当に対するより高い柔軟性が与えられる。たとえば、知覚不可能なビデオ品質変化の範囲内では、要求の低いビデオにアクセスしているユーザーに又はチャネル状態の良いユーザーに割り当てられたネットワークリソースの一部を、要求の高いビデオにアクセスしているユーザーか、又はチャネル状態の悪いユーザーに与えることができ、一方で、リソースを他のユーザーに与えているユーザーは、それほどの品質劣化を知覚しないか又はまったく知覚しない。言い換えれば、「知覚される品質劣化閾値」のパラメーターにより、リソース割当に関与しているネットワークエンティティが、ビデオストリームの品質を、ユーザーが気付かない(又はほとんど気付かない)程度まで「低下させる」ことができ、その後、この意図的な品質劣化によって「解放された」ネットワークリソースを、品質が閾値を下回って低下することを回避するためにより緊急にそれらを必要とする他のアプリケーション又はビデオストリーム又はユーザーに対して使用することができる。この理由は、たとえば、それら又は彼らが、たとえばスポーツビデオの場合のように、或る品質レベルを維持すべきである場合にリソースに関してより要求が厳しいビデオストリームを使用しているためである。
【0040】
一実施形態によれば、時間的ビデオ品質の変化及びその人間が知覚可能な閾値は、QoEベースのネットワークリソース割当最適化を実行しているときに行われるユーザー知覚品質評価(リソース割当の計算に関与する「目的関数」によって決定される)全体に影響を与える、因子又はパラメーターとして考慮される。
【0041】
本発明の実施形態による方法を適用することにより、ネットワークオペレーターは、
−時間的ビデオ品質の変化を考慮することにより、限られたネットワークリソースの使用を最適化し、
−無線チャネル状態の動的変化による時間的ビデオ品質のいかなる劇的な変化も防止し、
−ビデオ品質の変化が平滑であるビデオ配信サービスを提供することにより可能な限り高いユーザー満足度を維持する
ことができる。
【0042】
以下において、本発明の実施形態について、幾分かより詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態を適用する概略的なシナリオを示す。考慮されるネットワークアーキテクチャーは、4つの主なネットワーク要素から構成される。すなわち、アプリケーションサーバー(AS)、QoEベースのオプティマイザー(QoEモジュール)、基地局(BS)及びユーザー機器(UE)である。ASは、ユーザーがアクセスしたいアプリケーションデータストリームの供給源である。QoEモジュールは、ネットワークリソース割当最適化を実行するダウンリンクリソース割当器として動作している。
【0044】
リソース割当は、最適化関数又はいわゆる「目的関数」により、「目的関数」への入力パラメーターの集合に基づいて実行される。これら入力パラメーターは、たとえば、長期リンク層(たとえば、各UEのチャネル状態)を含むことができる。入力パラメーターは、たとえば、アプリケーションデータレートの変化に対するユーザー知覚品質を示す、アプリケーション効用情報又はアプリケーション/品質効用関数を含む。したがって、品質効用関数又はアプリケーション効用関数は、或るアプリケーションに対し、割り当てられたデータレートに応じてユーザーが知覚する品質を示す。アプリケーション/品質効用関数は、或るアプリケーションに特有とすることもでき(たとえば、ビデオストリームの場合、或るビデオストリームに特有とすることもでき)、たとえば、予め決定することもでき、たとえばアプリケーションデータと共にアプリケーションサーバーからQoEモジュールに送信することもできる。代替的に、品質効用関数をQoEモジュールに格納することもでき、QoEモジュールがデータ(たとえばビデオストリーム)に対して最適化プロセス中に適用されるべき対応する品質効用関数を識別することができるように、アプリケーションサーバーからのデータは、識別子を有することもできる。
【0045】
最適化関数(又は「目的関数」)に対する別の入力パラメーターは、時間的品質の知覚可能な変化等の品質閾値(ユーザーが知覚可能な時間的品質変化の閾値)である。ネットワークオペレーターは、この閾値を先に設定することもできるし、システム実行時間中にこの閾値を動的に設定することもできる。
【0046】
BSは、UEに対するパケットをスケジューリングするノードである。UEは、エンドユーザーが体感する(適合された)アプリケーションデータストリームの宛先であり、パケットは、QoEモジュールによって最適化関数に基づいてUEに割り当てられたリソースを用いて、種々のUEに配信される。
【0047】
言い換えれば、いくつかのモバイル端末(UE)が、帯域幅の限られたネットワーク(BSは無限の容量を有していない)を介して種々のアプリケーションにアクセスすることができると共に、品質効用情報及び時間的品質変化の閾値を考慮する最適化関数を用いてそれらに割り当てられたネットワークリソースを用いて、それらのデータを受け取る、(BS及びUEによって形成された)ネットワークがある。
【0048】
品質効用関数を用いて、QoEモジュールは、利用可能なリソース(たとえばBSの総帯域幅)に基づいて、種々のUEに対する種々の可能なリソース割当に対して複合品質尺度を計算することができる。これを行う最も簡単な方法のうちの1つは、たとえば、各UEに或るデータレートが割り当てられた或るリソース割当に対し、種々のUEに対するMOSの合計を計算するというものである。この複合尺度を、所与のデータレートに対して知覚品質(たとえばMOS)を与える品質効用関数を用いることによって得ることができる。このように、複合品質尺度を、或るリソース割当に対して得ることができ、その後、複数の種々の可能なリソース割当に対して同様に得ることができる(たとえば、QoEは、好ましくは可能な種々のリソース割当すべてに対して、種々のUEに対する種々のリソース割当に対して複合尺度を単に計算することもできる)。
【0049】
そのような方法で、複合品質尺度(たとえば、種々のUEのMOSの合計)が極値(たとえば最大値)に達する割当として、最適なリソース割当を得ることができる。
【0050】
しかしながら、一実施形態によれば、ここで、複合品質尺度の計算に導入されるペナルティーパラメーターが使用される。その目的で、或るリソース割当に対し(たとえば、或るUEに割り当てられた或るデータレートに対し)、結果としての品質尺度(品質効用関数に基づいて決定される)が、過去における(たとえば、前の割当時又は或る期間前の)このUEの知覚品質から、或る閾値(「時間的品質変化閾値」)を超える程度まで逸脱するか否かが判断される。そうである場合、最適化関数においてペナルティーパラメーターを用いることにより、UEに対する結果としての知覚品質が、閾値を超える程度まで変化すると判断されたこのリソース割当に対してペナルティーが課される。ペナルティーパラメーターを、たとえば、負の項として導入することができ、この負の項は、品質効用関数によって決定される知覚品質に加算される。これは、このリソース割当及びこのUEに対する「知覚品質」が、ペナルティーパラメーターによって負に「重み付けされる」か又は「マイナスの影響を受ける」ことを意味し、結果として、このリソース割当に対する複合品質測定値もまたマイナスの影響を受けることになり、この理由は、品質変化が閾値を超えるUEの個々の品質寄与が、ペナルティーパラメーターによってマイナスの影響を受けるように、複合品質測定値に寄与しているためである。
【0051】
言い換えれば、或るリソース割当に対し(すなわち、n番目のUEに対してデータレートRnが割り当てられている或る割当パターンに対し)、UEのうちの1つにおける品質変動が或る許容閾値を超える場合、このリソース割当に対応する、かつ最適化関数によって決定される複合品質尺度値は、このとき最適化関数において有効になっているペナルティーパラメーターのためにマイナスの影響を受ける(すなわち、より低い全体的な品質を示す)ことになる。
【0052】
一実施形態によれば、複合品質測定値は、或るリソース割当に対する品質効用関数から導出される、種々のUEの個々の品質測定値に基づいて計算され、いくつかのUEのうちの1つに対し時間品質変化閾値を超える品質変化がある場合、変化が閾値を超えるこのUEに対する個々の品質尺度に対し、ペナルティーパラメーターが適用される。或るリソース割当に対し、2つ以上のUEが品質変化閾値を超える場合、それらの各々に対し、それらの個々の品質尺度は、ペナルティーパラメーターによって影響を受ける。
【0053】
一実施形態による複合品質測定値は、品質効用関数によって決定される種々のUEに対する個々の品質尺度の結合に基づくため、複合品質尺度は、多くのUEが品質変化閾値を超える品質劣化を体感するリソース割当の場合に、幾分か重くペナルティーが与えられることになる。
【0054】
ネットワークオペレーターは、予め閾値を設定することができ、閾値を、該閾値が平均的な人間に対して(単に)まだ顕著ではないか又は耐えられる品質変化に対応するように、選択することができる。
【0055】
以下において、オプティマイザー(QoEモジュール)が、最適化の前に目的関数(最適化関数)の設定に応じて異なるように、無線ネットワークリソースをいかに割り当てるかのさらなる実施形態について説明する。すべてのユーザーのMOSの合計を最大化する従来の目的関数(最適化関数)と、時間的品質の変化を考慮する、本発明の実施形態による新たな目的関数とを、幾分かより詳細に説明する。
【0056】
まず、全体の品質の最大化(MaxSumMOS)に基づく手法について説明する。
【0057】
文献から既知である手法では、ネットワークリソース割当最適化に対して用いられることが多い目的関数は、比例公平性(proportional fairness)目的関数(たとえば、上記非特許文献2他を参照されたい)であり、それは、オプティマイザーに対し、まず、チャネル状態が良くかつ小さい帯域幅で高いユーザー知覚品質を与えるアプリケーションにアクセスしているユーザーに対してネットワークリソースを割り当てさせる。言い換えれば、すべてのユーザーの知覚サービス品質の合計を最大化する(「MaxSumMOS」と呼ぶ)最適なリソース割当を見つける。数学的に、MasSumMOS目的関数(又は最適化関数)を以下のように公式化することができる。
【数1】

に従う。ここで、
【数2】

は抽象化されたパラメータータプル
【数3】

である。
【数4】

は、候補動作モードを表すプロトコル層から抽象化された可能なパラメータータプルの集合である。αは、ユーザーiに割り当てられるべきネットワークリソースの一部である。Kは、現時点でアクティブでありかつ同じ基地局からサービスを受けているユーザーの総数である。
【0058】
次に、以下において、最小化時間的品質変化(MinTempChange)に基づく一実施形態による手法をより詳細に説明する。
【0059】
時間的ビデオ品質の変動による、ビデオを観る際の苛立ちを回避するために、ネットワークオペレーターは、時間的ビデオ品質が時間的品質変化の閾値(ΔMOSth)の範囲内で変化することを強制するように、目的関数を設計することができる。この要件が満たされると、ユーザーは、時間的ビデオ品質の変化を知覚することができなくなる。ΔMOSthを考慮することに加えて、ネットワークオペレーターは、ネットワークリソースが効率的に使用されることを確認したいと望む場合がある。これを、たとえば、すべてのユーザーの平均的なユーザー知覚品質に関してネットワークリソース利用を最大化するMaxSumMOS目的関数を用いることにより、達成することができる。しかしながら、上述したように、MaxSumMOS目的関数のみでは、時間的ビデオ品質の変動について配慮しない。両要件を考慮するために、MaxSumMOS目的関数を、一実施形態によれば、以下のように変更することができる。
【数5】

ここで、tは時間スケールの概念であり、過去のユーザー知覚品質の例としてのMOS(t−1)は、直前の1秒間の平均MOS値である。それを、MOS若しくは最後のリソース割当、又は瞬間的な時点より或る期間前におけるMOSとすることも可能である。式(3)の減算される要素を、「ペナルティーパラメーター」とみなすことができ、それは、知覚品質が閾値を超えると、知覚品質全体にマイナスの影響を与える。βは、以下の因子と共に、或るリソース割当に対して従来のMaxSumMOS目的関数((1)を参照)にペナルティーを与える重み因子であり、時間的ビデオ品質の知覚可能な変化をもたらす。βを以下のように公式化することができる。
【数6】

【0060】
(6)においてβが定義されると、それを、従来のMaxSumMOS目的関数に対する線形ペナルティー因子とみなすことができる。ペナルティーパラメーターは、この実施形態では、因子β(ペナルティー重み付け因子)及び(5)で定義したその続く因子にある。
【0061】
代替的に、オペレーターがペナルティー因子(重み付け因子)の影響を増大させたい場合、それは、オプティマイザーが、たとえば二次関数を用いて、時間的なビデオ品質の変動の影響をより重視するべきであることを意味し、βを以下のように公式化することができる。
【数7】

ここで、σ及びρは、ネットワークリソース割当最適化の前にオペレーターが設定することができる定数パラメーターである。
【0062】
要約すると、式(3)は、オプティマイザー(QoEモジュール)が、可能な限り高いネットワークリソース使用効率を維持しながら(すなわち、限られた時間的品質変化の状態の下で全体的な品質を最大限にしながら)、すべてのユーザーが可能な限り最小の(或る定義された閾値を下回る)時間的ビデオ品質の変化を知覚するような、最適なネットワークリソース割当を見つけようとすることを意味すると言える。
【0063】
図2は、MinTempChange目的関数を用いて最適なネットワークリソース割当を見つけるアルゴリズムの概略的な例示的概要を示す。
【0064】
図2から、まず、利用可能なリソースがすべてのセッションに対してサービスするのに十分であるか否かを検査することが分かる。十分である場合、レートの適応はまったく不要であり、QoEモジュールはリソース割当最適化を行う必要はなく、それは、そうした場合、最適なリソース割当は、各セッションに対してそれが要求するデータレートを単に割り当てることであるためである。利用可能なリソースがすべてのセッションに対して十分でない場合(答えがNOである)場合にのみ、リソース割当最適化が必要となる。
【0065】
そして、次のステップにおいて、ユーザー(又は端末)の数、アプリケーション層情報(すなわち品質効用関数)、及びまた場合によっては抽象化されたPHY/MAC層情報等、最適化を行うために必要なすべての情報を取得し、それらを用いて、最適化にチャネル状態もまた考慮することができる。実施形態では、ここまで、品質尺度は、入力としてデータレートを有する品質効用関数に基づいて決定される、としか述べていないが、品質尺度を計算する場合の別個のパラメーターとして、又は品質効用関数の入力パラメーターとして、チャネル状態もさらに考慮することができる。
【0066】
そして、得られた情報に基づいて、最適化を実行して、最大品質を与えるリソース割当を見つけると同時に、ペナルティーパラメーターを考慮することによって、時間的品質変化が或る閾値を超えないことを確実にする。そして、最適化されたリソース割当を用いて、データをユーザー端末に分配する。その目的のために、UEは、それぞれのUEで実行しているアプリケーション(たとえばビデオストリームとすることができる)の要求されたデータレートより低い可能性のあるデータレートでサービスされており、要求されたデータレートを任意のレート形成方式によって最適化プロセスにより決定されたものに変更することによって、そのデータレートを実現することができる。
【0067】
MinTempChange目的関数の影響のよりよい理解を促進するために、図3には、図3に示すようなHSDPAシミュレーションから受け取られた、時間的なユーザー知覚品質の統計結果がプロットされている。明らかに、VS3ユーザー(矢印によって印がつけられている線)を見ると、そのユーザーが、ΔMOSth0.23でMinTempChange目的関数を採用した場合にはるかに平滑な品質を知覚した。
【0068】
当業者には、本発明の実施形態に関連して説明した方法、要素、ユニット及び装置を、ハードウェアで、ソフトウェアで、又は両方の組合せとして実施することができることが容易に明らかとなろう。特に、本発明の実施形態及びそれらに関連して説明したモジュールの要素を、コンピューターで実行しているか又はマイクロプロセッサーによって実行されている1つ又は複数のコンピュータープログラムによって実施することができることが理解されよう。本発明を実施するいかなる装置も、特に、ネットワークで作用しているルーター、サーバー、モジュール等のネットワークエンティティ、又は携帯電話、スマートフォン、PDA若しくは同様のもの等のモバイルデバイスの形態をとることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが、割り当てるための或る限られた総帯域幅を有するネットワークを介して場合によっては種々のアプリケーションにアクセスする際に経由する複数のモバイル端末に対してネットワークデータレートを割り当てる方法であって、
最適化演算に対する入力として、前記割り当てられるデータレートに応じて、好ましくはさらにチャネル状態にも応じて、或るアプリケーションに対し、ユーザーが知覚する品質を示す品質効用関数を用いるステップと、
前記最適化演算が、前記品質効用関数に基づいて、前記種々のアプリケーションに対しかつ前記複数のアプリケーションへの種々の可能なリソース割当に対し、複合品質尺度を、複数の前記可能なリソース割当の中で該品質尺度が極値に達するリソース割当を見つけることにより該品質尺度が最適化されるよう計算するように前記最適化演算を実行するステップであって、それにより、前記ネットワークに対する全体的な最適化されたリソース割当を得る、実行するステップと
を含み、
前記最適化演算が、ペナルティーパラメーターを、該ペナルティーパラメーターが前記モバイル端末のうちの1つ又は複数における過去のユーザー知覚品質と比較したユーザー知覚品質の劣化の大きさが或る閾値を超えるリソース割当に対し、前記過去の前記ユーザー知覚品質と比較した前記ユーザー知覚品質が前記或る閾値を超えていない別のリソース割当に比較してペナルティーを与えるよう用いるように、前記最適化演算を適用するステップと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記或る閾値は、予め設定されるか、又はユーザーに顕著ではないか若しくはユーザーが許容できる知覚品質の変化の量として、システム実行時間中に動的に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複合品質尺度は、
或るアプリケーションに対しかつ或る割り当てられたデータレートに対し、前記割り当てられたレートからもたらされる前記アプリケーションの対応するユーザー知覚品質レベルと、前記品質変化からもたらされる対応するペナルティーパラメーターとを加えるステップであって、それにより、前記或るアプリケーションに対してペナルティーが与えられた品質指標を得る、加えるステップと、
前記複数のアプリケーションに対して得られた、前記ペナルティーが与えられた品質指標を合計することにより、複合品質尺度を得るステップと、
前記複数のアプリケーションに対する複数の種々の可能なリソース割当に対して前記複合品質尺度を計算するステップと、
前記複合品質尺度が極値に達した前記複数のリソース割当のうちの1つを、前記最適化されたリソース割当として得るステップと
に基づく、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペナルティーパラメーターは、過去と比較した品質変化の量と前記或る閾値との差に基づいて計算される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ペナルティーパラメーターに対し、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合に前記ペナルティーパラメーターにより重みを与える重み付け因子が適用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ペナルティーパラメーター又は前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超えない場合はゼロであり、
前記ペナルティーパラメーター又は前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合、ゼロを上回り、好ましくは1を上回る、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
過去の前記ユーザー知覚品質は、
現在のリソース割当より或る時間量だけ先行する、或る瞬間のユーザー知覚品質と、
先行するリソース割当からもたらされるユーザー知覚品質と、
或る期間又は過去の或る数のリソース割当ステップにわたって平均化されたユーザー知覚品質と、
のうちの1つである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合は1であるか、又は、
前記重み付け因子は、過去と比較した前記品質変化の量が前記或る閾値を超える場合、0より大きく、前記過去と比較した前記品質変化の量と共に線形に増大する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記リソース割当方法を繰返し、好ましくは或る頻度で行うステップと、
先行して行われたリソース割当のユーザー知覚品質レベルを追跡するステップと、
或る時間量にわたって追跡されたか、又は或る回数のリソース割当からもたらされたユーザー知覚品質レベルを平均化することにより、前記追跡されたユーザー知覚品質レベルに基づいて、過去の前記ユーザー知覚品質を決定するステップと
をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記最適化関数は、
各ユーザー端末によって与えられる前記リソース割当に基づく、前記各ユーザー端末に対する前記ユーザー知覚品質レベルの合計に基づく、第1の合計要素と、
が、各ユーザー端末に対する、過去にユーザーが知覚した品質レベルと所与のリソース割当に基づいて知覚される品質レベルとの間の品質の差の合計に基づく、第2の合計要素と
を含み、
前記第2の合計要素は、各ユーザー端末に対する前記品質差に、時間的品質変化の優先順位重みを掛けることによって変更され、時間的品質変化の前記優先権重みは、過去にユーザーが知覚した前記品質レベルと前記所与のリソース割当に基づいて知覚される前記品質レベルとの前記品質差が、時間的品質変化の閾値を上回る場合にのみ適用され、
前記第1の合計要素から前記変更された第2の合計要素を減じた値の最大値をもたらす最適なネットワークリソース割当を探索する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ユーザーが、割り当てるための或る限られた総帯域幅を有するネットワークを介して場合によっては種々のアプリケーションにアクセスする際に経由する複数のモバイル端末に対してネットワークデータレートを割り当てる装置であって、前記装置は、
最適化演算に対する入力として、前記割り当てられるデータレートに応じて、好ましくはさらにチャネル状態にも応じて、或るアプリケーションに対し、ユーザーが知覚する品質を示す品質効用関数を用いるように構成されたモジュール
を具備し、
前記装置は、前記最適化演算が、前記品質効用関数に基づいて、前記種々のアプリケーションに対しかつ前記複数のアプリケーションへの種々の可能なリソース割当に対し、複合品質尺度を、複数の前記可能なリソース割当の中で該品質尺度が極値に達するリソース割当を見つけることにより該品質尺度が最適化されるよう計算するように前記最適化演算を実行することにより、前記ネットワークに対する全体的な最適化されたリソース割当を得るように構成され、
前記装置は、前記最適化演算が、ペナルティーパラメーターを、該ペナルティーパラメーターが前記モバイル端末のうちの1つ又は複数における過去のユーザー知覚品質と比較したユーザー知覚品質の劣化の大きさが或る閾値を超えるリソース割当に対し、前記過去の前記ユーザー知覚品質と比較した前記ユーザー知覚品質が前記或る閾値を超えていない別のリソース割当に比較してペナルティーを与えるよう用いるように、前記最適化演算を適用するように構成されたモジュールをさらに具備する、
装置。
【請求項12】
前記或る閾値は、ユーザーに顕著ではないか又はユーザーが許容できる知覚品質の変化の量として予め設定される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記複合品質尺度が、
或るアプリケーションに対しかつ或る割り当てられたデータレートに対し、前記割り当てられたレートからもたらされる前記アプリケーションの対応する知覚品質レベルと、前記品質変化からもたらされる対応するペナルティーパラメーターとを加えることであって、それにより、前記或るアプリケーションに対してペナルティーが与えられた品質指標を得ることと、
前記複数のアプリケーションに対して得られた、前記ペナルティーが与えられた品質指標を合計することにより、複合品質尺度を得ることと、
前記複数のアプリケーションに対する複数の種々の可能なリソース割当に対して前記複合品質尺度を計算することと、
前記複合品質尺度が極値に達した前記複数のリソース割当のうちの1つを、前記最適化されたリソース割当として得ること
に基づくように構成される、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
請求項5〜10のいずれか一項に記載の方法を実施するモジュール
をさらに具備する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
コンピューターにおいて実行されると、該コンピューターが、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法を実行することができるようにするコンピューター実行可能コードを有する、コンピュータープログラム。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−90258(P2012−90258A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−184609(P2011−184609)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】