説明

ネットワーク画像入出力システムおよび画像形成装置

【課題】SIP呼接続を使用してデータ通信をおこなうことにより、VoIPインフラが整ったネットワーク環境下に、容易にデータ転送を行うことができ、課金管理されたシステムにおいて、VoIPネットワーク上でやりとりされる音声データや動画データなどを、普及率の高い携帯電話などに保存できる発明を提供する。
【解決手段】IPネットワーク環境下のLAN回線に接続するためのインタフェースと、VoIPネットワーク上で通信するための呼接続手段と、WWWポータルサイトとデータ通信するための通信手段と、ディスプレイと、課金管理およびユーザ認証が可能な情報を扱う手段とを供え、前記WWWポータルサイトに蓄積されたデータをユーザ認証および課金管理することにより、データの閲覧、出力およびWWWポータルサイトへのデータ蓄積を可能としたことを特徴とするネットワーク画像入出力システムを主な発明とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワーク、VoIPネットワーク(特にSIP(Session Initiation Protocol))、WWWポータルサイト、課金およびユーザ認証管理、IP電話などとデータ通信を行うことが可能なネットワーク画像入出力システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、スキャナなどの情報機器群が、Bluetoothなどの無線IFを介してホームサーバと接続された家庭内情報網が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−312268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、プリンタが各種の通信プロトコルを介して通信プロトコルの自由度を利用したシステムの発明ではなく、関連性は少ない。
【0004】
最近のWWWブラウザの普及に伴い、PULL型(情報をサーバ等から引き出して閲覧するタイプ)のデータ通信が一般的となっており、このようなPULL型の通信インフラにSIPなどのリアルタイム性のある呼接続プロトコルを採用して、PUSH型(情報発信が可能なタイプ)の通信を実現することが可能となってきている。またVoIPネットワークの普及で通信費の低コスト化が注目されており、プリペイドカードやFeliCaカードなどを利用して課金管理やユーザ認証を行い、情報の閲覧、入出力を可能にして、ひとつの通信端末で複数のユーザの個人情報を扱うことが可能となってきつつある。本発明は、このような環境下になされたものである。
【0005】
本発明は、たとえばSIP(Session Initiation Protocol)呼接続を使用してデータ通信をおこなうことにより、VoIP(Voice over IP)インフラが整ったネットワーク環境下に、容易にデータ転送を行うことを目的とする。また、メール添付による転送とは異なり、リアルタイム性があり、データ転送の送達の確認や端末同士の能力交換も可能なため、通信インフラに適応した、より信頼性のある通信を行うことを目的とする。
【0006】
また、本発明は、従来、ファクシミリやプリンタなど、テキストデータや画像データを、専ら紙などの記録媒体に出力するのであり、他方、VoIPネットワークが普及する今日では、音声データや動画データなどもネットワーク上でやりとりされるのが多くなってきており、本発明は、課金管理されたシステムにおいて、VoIPネットワーク上でやりとりされる音声データや動画データなどを、普及率の高い携帯電話などに保存できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1記載のネットワーク画像入出力システムは、IP(Internet Protocol)ネットワーク環境下のLAN回線に接続するためのインタフェースと、VoIP(Voice over IP)ネットワーク上で通信するための呼接続手段と、WWWポータルサイトとデータ通信するための通信手段と、ディスプレイと、課金管理およびユーザ認証が可能な情報を扱う手段とを供え、前記WWWポータルサイトに蓄積されたデータをユーザ認証および課金管理することにより、データの閲覧、出力およびWWWポータルサイトへのデータ蓄積を可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のネットワーク画像入出力システムにおいて、前記呼接続手段はSIP(Session Initiation Protocol)に準拠した呼接続手段であり、閲覧したデータの蓄積および画像出力せずに、指定した宛先の画像出力端末に出力および送信可能としたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のネットワーク画像入出力システムにおいて、携帯電話およびPDAを含む移動端末とデータ通信可能な手段を備え、VoIPネットワークとの音声データおよび動画データの閲覧と、前記移動端末へのデータ蓄積を可能としたことを特徴とする。
【0010】
また請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載のネットワーク画像入出力システムに使用可能な画像形成装置であって、ユーザからの要請に基づいて送信されたデータを管理して保存し、転送し、印刷出力する機能を有し、SIPサーバから前記ユーザの認証がされた場合に前記ユーザからの要請を受任したことをユーザ端末を介して通知するジョブの前または後に前記ジョブの実行による報酬をユーザに対して課金する処理を実行する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のネットワーク画像入出力システムによれば、あらかじめサービス登録されたユーザは、プリペイドカードやFeliCaカード等の情報を利用して、ユーザ認証と課金管理とがされるため、例えばコンビニエンスストアーなどに設置してある複合機を一時的にユーザ専用端末としても使用できるこの端末を用いて、個人データの閲覧、出力、転送、保存などを容易にかつ安全に行うことができる。
【0012】
請求項2記載のネットワーク画像入出力システムによれば、通信プロトコルに使用されるSIPを用いることによって、リアルタイム性があり、また、IP電話ネットワークのインフラを使用して通信するため、通信の自由度が拡大するとともに通信相手との取引の安全性を確保することができる。
【0013】
請求項3記載のネットワーク画像入出力システムによれば、音声データや動画データを携帯電話やPDAなどの移動通信端末に対して保存可能としたので、紙への出力不可のデータフォーマットであっても、課金管理を行って個人へのデータ配信を行うことができる。
【0014】
請求項4記載の画像形成装置によれば、ユーザにはデータの保存サーバとしても、また、カタログなど必要な場合の供給先を確保しつつ持ち歩かずにいつでも取り出せるサーバとして使用でき、また、これによって地球環境の理にもかなったコスト削減も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明のネットワーク画像入出力システムを実施形態により、詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のシステムの全体構成図である。図1に示すように、IPネットワーク環境下に、VoIPネットワークのアドレス解決(Address Resolution)、アクセス制御、帯域管理、登録処理などを行うSIPサーバ2と、ネットワークと公衆回線を仲介するVoIPゲートウェイ3と、データを蓄積するためのWWWポータルサイト(データベース)4とが接続されている。また、通信端末として、本発明のシステムに好適に使用できるネットワーク画像入出力装置1と、その他、PC(Personal Computer)5、携帯電話6、PDA(Personal Digital Assistance)7などが相互に通信可能に接続された構成となっている。
【0017】
また本発明の画像形成装置は、ユーザからの要請に基づいて送信されたデータを管理して保存し、あるいは転送しあるいは印刷出力する機能を有し、好ましくは、さらにSIPサーバから前記ユーザの認証がされた場合に前記ユーザからの要請を受任したことをユーザ端末を介して通知し、ユーザの要請に応じてデータを保存したり、データを転送したり、データの印刷を実行し、これらのジョブの前または後にジョブの実行による報酬をユーザに対して課金する処理を実行する機能を有する。
【実施例1】
【0018】
本発明のシステムに好適に使用可能なネットワーク画像入出力装置1は、前述のサーバ2とネットワークを介して通信できる機能を有し、プリペイドカードの購入やFeliCaカードを含む非接触式ICカードの補充によって、あらかじめサーバ(SIPサーバ2)に好ましくはユーザ登録しておくことができる。ユーザがプリペイドカードやFeliCaカードなどのIDを機器に入力すると、機器はサーバ(SIPサーバ2)に対して現在の登録場所であるネットワーク画像入出力装置1、SIP対応複合機1´、IP携帯電話6、PDA7などのVoIPネットワークを介して通信機能を発揮可能な機種から少なくともIPアドレスとユーザ名を登録する。
【0019】
この登録処理ではダイジェスト認証などを行って、あらかじめサーバに登録されているユーザであれば使用可能とすることが好ましい。
【0020】
ユーザ認証が成功した場合、ネットワーク画像入出力装置に装備してあるディスプレイ等にユーザ宛の情報(テキストデータや静止画像など)が表示される。またユーザ宛にデータが届いていることを、サービス登録時に携帯電話やPC(Personal Computer)のメールアドレスなどをあらかじめ登録しておき、その登録された携帯電話あるいはPC等への通知(通知メール)によりそのことに対する報知がされる。
【0021】
前記した手段によって、ユーザは個人宛の情報を閲覧することが可能となる。閲覧はサムネイル(thumbnail)表示でもよく、また、原寸大で表示されてもよい。また、閲覧が有料であっても無料であってもどちらでもよい。図3は、ディスプレイに表示されたこのような閲覧された情報の例を示しており、このような閲覧したデータをユーザは転送したり、保存したりすることが可能である。
【実施例2】
【0022】
本発明のシステム構成は実施例1と同様である。ネットワーク画像入出力装置が登録するサーバはSIP(Session Initiation Protocol)に準拠したSIPサーバ(SIPサーバを含む)であり、ネットワーク画像入出力装置がユーザ登録する際、SIPのREGISTERメソッドを使用して、動的にIPアドレスを登録することを可能とする。またユーザがログオフした場合、SIPの呼制御に従って、ユーザ登録を削除し、使用していた端末にデータを公開しないように制御することも可能である。データの転送はSIP呼制御によってデータ転送チャネルが確立され、宛先は少なくとも(電話番号など)数字による入力指定ができる。また、SIP-URIのユーザ名が使用できてもよい。
【実施例3】
【0023】
実施例1、2で述べたように、扱うデータはテキストデータや静止画像であったが、本実施例では、IP電話による音声データであっても、動画データも前記した実施例で使用されていたデータに加えて使用可能とすることができる。また、音声データや動画データの出力手段として、携帯電話やPDAなどに一旦保存したファイル等であっても良い。これらのデータを保存するために、データ転送手段として、インタフェースケーブルを介して行ってもよいし、Bluetooth(登録商標)などを用いて転送されてもよい。この場合、データサイズやパケットサイズによって課金されるものとし、その課金量は、適宜算定されるものである。
【0024】
本発明のシステムは、LAN、WANなどの通信形態や一般の公衆回線の通信網を介して接続されるシステムであるが、課金処理が危険性の少ないプリペイドカード等あるいはFeliCa(登録商標)などの非接触式カードで取引安全性の高いカードシステムを使用することにより、ユーザ認証、課金処理を安全に行うことができる。
【0025】
本発明のシステムでは、図2に示すようなフローチャートに示す処理手順に従って処理が行われる。すなわち、ユーザは端末等を介し、あるいは直接的に、ユーザ登録がされた宛先の画像形成装置に対しデータを登録しておく(ステップS201)。そしてユーザは必要なとき、すなわち登録したデータを出力したいときに必要な事項を入力してデータの出力の要請をある画像形成装置に対して行う。画像形成装置は出力したいと要請されたデータが登録または送付されているか否かを判断し、ユーザ端末(PDA、またはIP携帯電話)へその判断結果を送付する(ステップS202)。ユーザは、特定の画像形成装置から送付された結果であるメールあるいはファイルを開いて、印刷が可能である場合にはプリペイドカードあるいはFeliCaなどのカード等を介して読み取り機により必要なデータを入力する(ステップ203)。このユーザからの入力されたデータは、SIPサーバを介してユーザ認証が行われてVoIPネットワークを介してユーザ認証が行われたことを画像形成装置側で確認される(ステップS204)。また、確認されたユーザに対して、画像形成装置側ではユーザからのデータを印刷し、その印刷がされたことを、前記ユーザ端末側を介してユーザに通知し、課金処理を実行する(ステップS205)。なお画像形成装置側では、ユーザからのデータを保管する保管庫とあるいはメールサーバなどのサーバ基地としての機能もユーザ側に対して有している。
【0026】
図1に示すシステム構成においては、画像形成装置は、SIP対応複合機1´とネットワーク画像入出力装置1とが含まれる構成としたが、これを1台の複合機として動作した例を図2に示した。
【0027】
また、SIP対応複合機1´とネットワーク画像入出力装置1との関係をホストとサブの関係にすることもできる。例えば、SIP対応複合機1´をホストとし、ネットワーク画像入出力装置1をサブと設定して、ユーザ認証の可否の通知をホスト側のSIP対応複合機1´で受信しない限り、サブのネットワーク画像入出力装置1がデータを送信したり、出力したりすることができないようにホスト側がコントロールしたりすることができるようにしてもよい。そして、ホストまたはサブのどちらかをユーザ端末とは切り離したシステムとし、サイバーテロなどから安全なシステムとして温存させておくようなシステム形態とすることもできる。
【0028】
また本発明では、SIP対応複合機1´とネットワーク画像入出力装置1とがワークシェアリング方式を採用するようにすることもできる。たとえばSIP対応複合機1´またはネットワーク画像入出力装置1の一方が使用困難な場合に、ユーザ端末に対し、他の機器にデータ管理、データ出力を指示して良いかの確認を行い、ユーザからの確認を得た後に、これを実行するような機能を有することもできる。たとえばこの場合には、ユーザからの要請をスケジューリングで管理しておき、実行すべき時間帯がすでに埋まっているか否かを確認等する機能を有することがどちらかの機器でコントロールすることができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置と、ユーザとの動作例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の画像形成装置によりユーザ端末に送られる操作画面の状態あるいは画像形成装置上での操作画面の状態の例を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ネットワーク画像入出力装置
1’ SIP対応複合機
2 SIPサーバ
3 VoIPゲートウェイ
4 ポータルサイト
5 パーソナルコンピュータ
6 IP携帯電話
7 PDA(Personal Digital Assistance)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)ネットワーク環境下のLAN回線に接続するためのインタフェースと、VoIP(Voice over IP)ネットワーク上で通信するための呼接続手段と、WWWポータルサイトとデータ通信するための通信手段と、ディスプレイと、課金管理およびユーザ認証が可能な情報を扱う手段とを有し、前記WWWポータルサイトに蓄積されたデータをユーザ認証および課金管理することにより、データの閲覧、出力およびWWWポータルサイトへのデータ蓄積を可能としたことを特徴とするネットワーク画像入出力システム。
【請求項2】
前記呼接続手段はSIP(Session Initiation Protocol)に準拠した呼接続手段であり、閲覧したデータの蓄積および画像出力せずに、指定した宛先の画像出力端末に出力および送信可能としたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク画像入出力システム。
【請求項3】
携帯電話およびPDAを含む移動端末とデータ通信可能な手段を有し、VoIPネットワークとの音声データおよび動画データの閲覧と、前記移動端末へのデータ蓄積を可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載のネットワーク画像入出力システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のネットワーク画像入出力システムに使用可能な画像形成装置であって、ユーザからの要請に基づいて送信されたデータを管理して保存し、転送し、印刷出力する機能を有し、SIPサーバから前記ユーザの認証がされた場合に前記ユーザからの要請を受任したことをユーザ端末を介して通知するジョブの前または後に前記ジョブの実行による報酬をユーザに対して課金する処理を実行する機能を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−221709(P2007−221709A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43077(P2006−43077)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】