説明

ネットワーク画像読取装置

【課題】 読み取った画像データの転送エラー時に再度原稿の読み取りを行う必要がなく、効率よく画像データを取得できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置を提供する。
【解決手段】 原稿を読み取り、画像データを取得する読取部11と、画像データを一時的に記憶する一時記憶部13と、ネットワーク1を介して外部記憶装置3の共有フォルダ5を検知する検知部19と、検知された共有フォルダ5の中から画像データの転送先を指定する転送先受付部23と、一時記憶部13からネットワーク1を介して転送先に画像データを転送する転送部25と、転送部25で画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する判定部27と、検知された共有フォルダを提示する転送先表示部21と、判定部27で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、提示された共有フォルダ5の中からユーザが指定した代替転送先を受け付ける転送先受付部23と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク画像読取装置に関し、特に、読み取った画像データを指定した転送先にネットワークを介して転送するネットワーク画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のネットワーク画像読取装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたスキャナ装置は、PC(パーソナルコンピュータ)からスキャナ装置を共有可能とする登録要求を受信して登録し、登録されたPCを一覧表示し、一覧からスキャナ装置を使用するPCの選択を受け付け、受け付けたPCにスキャナ装置を設定するための設定要求を転送し、スキャナ装置が非動作中の場合のみPCの選択を受け付ける。これにより、上記文献に記載されたスキャナ装置は、ネットワークを介して接続された複数のPC間で、効率よく共有化を図ることができる。
【特許文献1】特開2003−333255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、たとえば、原稿の読み取り要求をPC側から行うので、読み取った画像データの転送先のPCが、転送不可能になる可能性については考慮されていないという点で改善の余地を有していた。すなわち、読み取った画像データの転送先が共有解除やログオフなどにより転送不可能になった場合、転送先を指定し直すとともに、再度原稿を読み取り画像データを取得し直す必要があり、使用上手間がかかり効率が悪いと言った問題点があった。
【0004】
本発明は、上記背景の下でなされたものであり、その目的とするところは、読み取った画像データの転送エラー時に再度原稿の読み取りを行う必要がなく、効率よく画像データを取得できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、ネットワークを介して接続された共有フォルダを有する外部記憶装置に、読み取った画像データを転送するネットワーク画像読取装置であって、原稿を読み取り、画像データを取得する読取部と、前記画像データを一時的に記憶する一時記憶部と、前記ネットワークを介して前記外部記憶装置の前記共有フォルダを検知する検知部と、前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から前記画像データの転送先の共有フォルダを指定する転送先指定部と、前記一時記憶部から前記ネットワークを介して前記転送先に前記画像データを転送する転送部と、前記転送部で前記画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する判定部と、前記検知部で検知された前記共有フォルダを提示する提示部と、前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記提示部で提示された前記共有フォルダの中からユーザが指定した前記代替転送先を受け付ける転送先受付部と、を含むことを特徴とするネットワーク画像読取装置が提供される。
【0006】
ここで、ネットワーク画像読取装置とは、たとえば、LANなどのネットワークに接続されたスキャナ、MFP(Multi Functional Peripheral)、インターネットファクシミリ装置である。ネットワーク画像読取装置は、同じネットワークに接続された共有フォルダ領域を有する外部記憶装置、たとえば、パーソナルコンピュータの記憶装置などに読み取った画像データを転送する。転送に際しては、たとえば、SMB(Server Message Block)など、ネットワークを介したファイル共有を実現するプロトコルを利用することができる。
【0007】
また、提示部は、検知部で検知された共有可能な外部記憶装置の共有フォルダのリストを表示部に表示、または印刷部に出力する。
【0008】
この発明によれば、ユーザは提示された共有フォルダのリストを参照して、転送先を指定することが可能となるので、転送先に画像データの転送が正常に完了しなかった場合に、提示されたリストの中から代替転送先を指定して、再度転送することができるので、転送エラー時でも再度読み取る必要がなく、効率よく再送できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、ネットワークを介して接続された共有フォルダを有する外部記憶装置に、読み取った画像データを転送するネットワーク画像読取装置であって、原稿を読み取り、画像データを取得する読取部と、前記画像データを一時的に記憶する一時記憶部と、前記ネットワークを介して前記外部記憶装置の前記共有フォルダを検知する検知部と、前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から前記画像データの転送先の共有フォルダを指定する転送先指定部と、前記一時記憶部から前記ネットワークを介して前記転送先に前記画像データを転送する転送部と、前記転送部で前記画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する判定部と、を含み、前記転送先指定部は、前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することを特徴とするネットワーク画像読取装置が提供される。
【0010】
この発明によれば、転送先に画像データの転送が正常に完了しなかった場合に、代替転送先に自動的に再度転送することができるので、転送エラー時でも再度読み取る必要がなく、効率よく再送できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置が提供される。
【0011】
上記ネットワーク画像読取装置において、前記転送先の優先順位を決定する条件を予め登録する条件登録部と、前記条件に従って前記転送先の前記優先順位を決定する決定部と、を含むことができ、前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記転送先指定部は、前記決定部で決定された前記優先順位に従って、前記代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することができる。
【0012】
ここで、転送先の優先順位を決定する条件としては、たとえば、転送先の外部記憶装置や共有フォルダの名前の降順や昇順、ネットワークにログインした順などがある。
【0013】
この構成によれば、予め決められた条件に従って、転送先の優先順位を決定することができるので、適切な代替転送先を指定することが可能となり、システムの信頼性が向上する。
【0014】
上記ネットワーク画像読取装置において、前記転送先の優先順位を予め登録する転送先登録部を含み、前記転送先指定部は、前記転送先登録部に登録されている前記優先順位に従って、前記代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することができる。
【0015】
ここで、代替転送先には、たとえば、常時ネットワークに接続されているサーバなどを優先順位の上位に登録することができる。自動的に代替転送先に再送された場合、ユーザに代替転送先に再送したことを報知する報知部を設けてもよい。たとえば、「指定フォルダが存在しないため、代替転送先として、以下のフォルダに転送しました。」と表示部に表示する。
【0016】
この構成によれば、転送に失敗したとき、代替転送先を予め登録しておくことができるので、転送エラー時自動的に代替転送先に転送可能となり、ネットワーク画像読取装置の一時記憶部の記憶容量を転送待ちの画像データが占有することが少なくなるので、ネットワーク画像読取装置の一時記憶部の容量を縮小することができる。
【0017】
なお、ネットワーク画像読取装置は、転送に失敗したとき、予め登録されている転送先に再送するか否かをユーザに問い合わせ、指示を受け付ける受付部を含み、再送指示を受け付けたとき、予め登録されている転送先に再送してもよい。
【0018】
この場合、たとえば、「指定フォルダが存在しないため、代替転送先として以下のフォルダに転送しますが、よろしいですか?」などのメッセージを表示部に表示することができる。
【0019】
上記ネットワーク画像読取装置において、前記検知部で検知された前記共有フォルダを提示する提示部と、前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記提示部で提示された前記共有フォルダの中からユーザが指定した前記代替転送先を受け付ける転送先受付部と、を含むことができる。
【0020】
たとえば、提示部は、共有可能な外部記憶装置の共有フォルダのリストを表示部に表示、または印刷部に出力する。この構成によれば、ユーザは提示された共有フォルダのリストを参照して、転送先を指定することが可能となるので、転送前や転送エラー時に転送先の指定がしやすくなり使い勝手が向上する。
【0021】
上記ネットワーク画像読取装置において、前記転送部で前記転送が正常に完了しなかった場合に再送するタイミングの指定を受け付ける再送受付部と、前記転送部で前記転送が正常に完了しなかった場合、前記画像データを前記再送受付部で受け付けたタイミングを計時する計時部と、前記計時部がタイムアップしたとき、前記転送部は、前記一時記憶部に記憶された前記画像データを前記接続部を介して前記外部記憶装置に転送することができる。
【0022】
ここで、再送するタイミングとは、たとえば、再送時刻や再送リトライ時間間隔などである。この構成によれば、転送に失敗した画像データを、再度読み込むことなく、タイミングを遅らせて自動的に再送することができるので、利便性が増す。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
上述のように、本発明によれば、読み取った画像データの転送エラー時に再度原稿の読み取りを行う必要がなく、効率よく画像データを取得できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本実施の形態のネットワーク画像読取装置10のネットワーク構成を示す構成図である。ネットワーク画像読取装置10は、ネットワーク1を介して接続された共有フォルダ5(図中、「共有1」、「共有2」、および「共有3」と示す)を有する記憶装置3を含むパーソナルコンピュータ7(図中、「PC1」および「PC2」と示す)に、読み取った画像データを転送する。
【0026】
ネットワーク画像読取装置10は、たとえば、LANなどのネットワーク1に接続されたスキャナ、MFP、インターネットファクシミリ装置である。なお、画像データの転送に際しては、たとえば、SMBなど、ネットワーク1を介したファイル共有を実現するプロトコルを利用することができる。
【0027】
図2は、本実施の形態のネットワーク画像読取装置10の概略機能ブロック図である。ネットワーク画像読取装置10は、読取部11と、一時記憶部13と、条件受付部15と、開始受付部16と、インタフェース部17(図中。「I/F」と示す)と、検知部19と、転送先表示部21と、転送先受付部23と、転送部25と、判定部27と、報知部29と、を備える。
【0028】
なお、図2において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してある。
【0029】
また、ネットワーク画像読取装置10の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0030】
読取部11は、原稿を読み取り、画像データを取得する。読取部11は、たとえば、スキャナである。一時記憶部13は、読取部11で取得した画像データを一時的に記憶する。本実施の形態において、一時記憶部13に一時的に記憶された画像データは、パーソナルコンピュータ7に転送された後、削除される。
【0031】
条件受付部15は、読取部11で原稿を読み取る際の各種条件、たとえば、解像度、濃度などの設定を受け付ける。開始受付部16は、ユーザが原稿をネットワーク画像読取装置10にセットした後、読取部11での読み取り開始の指示や、転送エラー時、再送開始の指示を受け付ける。たとえば、スタートボタン(不図示)をユーザが押下したとき、開始受付部16は、開始指示を受け付ける。
【0032】
インタフェース部17は、ネットワーク画像読取装置10をネットワーク1を介してパーソナルコンピュータ7に接続させるインタフェース部である。ネットワーク画像読取装置10は、インタフェース部17を介して、ネットワーク1にログインし、パーソナルコンピュータ7の記憶装置3の共有フォルダ5を参照し、アクセスする。
【0033】
検知部19は、ネットワーク1を介してパーソナルコンピュータ7の記憶装置3の共有フォルダ5を検知する。転送先表示部21は、検知部19で検知されたパーソナルコンピュータ7の記憶装置3の共有フォルダ5を転送先候補として表示する。ここで、転送先候補は、たとえば、各パーソナルコンピュータ7の記憶装置3内の共有フォルダ5のフォルダ構造を示すツリー図や、表などで示すことができる。
【0034】
転送先受付部23は、検知部19で検知されたパーソナルコンピュータ7の記憶装置3の共有フォルダ5の中から画像データの転送先として指定された共有フォルダを受け付ける。また、転送先受付部23は、転送エラー時、代替転送先に再送するか否かの指示を受け付ける。
【0035】
転送部25は、インタフェース部17を介して一時記憶部13に記憶された画像データを転送先受付部23で受け付けた転送先に転送する。判定部27は、転送部25で画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する。報知部29は、判定部27の判定結果を報知する。報知部29は、たとえば、表示部、音声出力部、電子メール送信部である。
【0036】
図3は、図1のネットワーク画像読取装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、条件受付部15が読み取り条件を受け付ける(S11)。つづいて、検知部19は、ネットワーク1を介して現在共有可能な共有フォルダ5を検知し、転送先表示部21に表示する(S13)。図4は、転送先表示部21に表示される転送先指定画面の一例を示す図である。転送先指定画面31には、共有フォルダ一覧33が表示され、現在共有可能なフォルダの一覧が表示される。図3に戻り、転送先受付部23は、ユーザが選択した転送先を受け付ける(S15)。ユーザが選択した転送先は、図4の転送先指定画面31において反転表示などによりユーザに提示される。
【0038】
ここまでの間に、ユーザは原稿をセットする。つづいて、開始受付部16は、スタートボタンが押下されたとき、読み取り開始の指示を受け付ける(S17のYES)。ここで、後述するステップで、転送先受付部23が代替転送先の指定を受け付けたとき、再送フラグがセットされる。ステップS17で開始指示が受け付けられたとき(S17のYES)、転送部25は、再送フラグがセットされているか否かを判定する(S18)。再送フラグがセットされていない場合(S18のNO)、初回の転送受け付けであるので、開始受付部16で受け付けた開始指示は、読み取り開始の指示となり、読取部11は原稿を読み取り(S19)、一時記憶部13に記憶する(S21)。
【0039】
転送部25は、一時記憶部13に記憶された画像データを転送先受付部23で受け付けた転送先にインタフェース部17を介して転送する(S23)。つづいて、判定部27は、転送部25で画像データの転送が正常に完了したか否かを判定し(S25)、転送が正常に完了した場合(S25のYES)、転送部25は、再送フラグをリセットし(S29)、処理を終了する。ここで、一時記憶部13に記憶された画像データを削除してもよい。一方、なんらかの事情、たとえば、転送先の共有フォルダ5の共有の解除や、パーソナルコンピュータ7のログオフ、ネットワーク1の通信状態の悪化や切断などにより、転送が正常に完了しなかった場合(S25のNO)、報知部29はその旨を報知する(S27)。
【0040】
図5は、ネットワーク画像読取装置10の報知部29に表示される転送エラー報知画面の一例を示す図である。転送エラー報知画面41は、転送がエラーとなったことをユーザに報知するとともに、代替転送先を指定する代替転送先指定ボタン43と、転送を中断する終了ボタン45と、を有する。
【0041】
図3に戻り、転送先受付部23が図5の代替転送先指定ボタン43の押下を受け付けた場合、代替転送先への再送となり(S28のYES)、転送部25は、再送フラグをセットし(S30)、ステップS13に戻る。つづいて、検知部19は、ネットワーク1を介して現在共有可能な共有フォルダ5を検知し、転送先表示部21に表示する(S13)。つづいて、転送先受付部23は、ユーザが選択した転送先を受け付ける(S15)。スタートボタンが押下されたとき、開始受付部16は、開始指示を受け付ける(S17のYES)。
【0042】
つづいて、転送部25は、再送フラグがセットされているか否かを判定する(S18)。再送フラグがセットされている場合(S18のYES)、開始受付部16で受け付けた開始指示は、再送開始の指示となり、原稿読み取りのステップS19およびステップS21をバイパスして、転送部25は、一時記憶部13に記憶された画像データを転送先受付部23で受け付けた代替転送先にインタフェース部17を介して再度転送する(S23)。このように、転送エラー時に、再度原稿を読み取らずに、一時記憶部13に記憶された画像データを代替転送先に再送することができる。
【0043】
一方、ステップS28において、転送先受付部23が図5の終了ボタン45の押下を受け付けた場合(S28のNO)、画像データの送信は中断され、転送部25は再送フラグをリセットし(S29)、本処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、転送先に画像データの転送が正常に完了しなかった場合に、代替転送先に再度転送することができるので、転送エラー時でも再度読み取る必要がなく、効率よく再送できる使い勝手のよいネットワーク画像読取装置が提供される。
(第二の実施の形態)
図6は、本実施の形態のネットワーク画像読取装置10の要部構成を示す概略ブロック図である。図6のネットワーク画像読取装置10は、図2のネットワーク画像読取装置10の構成に加え、転送先決定部51およびテーブル記憶部53を含む点で相違する。
【0045】
テーブル記憶部53は、転送先の優先順位を予め登録する優先順位テーブル53aを記憶する。図7は、優先順位テーブル53aの一例を示す図である。優先順位テーブル53aは、記憶装置3の共有フォルダ5の優先順位が登録される。たとえば、常時ネットワーク1に接続されているサーバなどを転送先の優先順位の上位に登録することができる。
【0046】
図6に戻り、転送先決定部51は、優先順位テーブル53aに登録されている優先順位に従って、代替転送先として転送先の共有フォルダ5を決定する。
【0047】
なお、本実施の形態において、転送部25により画像データが自動的に代替転送先に再送された場合、ユーザに代替転送先に再送したことを報知する報知部を設けることもできる。たとえば、「指定フォルダが存在しないため、代替転送先として、以下のフォルダに転送しました。」と表示部に表示する。
【0048】
このように構成されたネットワーク画像読取装置10によれば、転送に失敗したとき、代替転送先を予め登録しておくことができるので、転送エラー時自動的に代替転送先に転送可能となり、ネットワーク画像読取装置10の一時記憶部13の記憶容量を転送待ちの画像データが占有することが少なくなるので、ネットワーク画像読取装置10の一時記憶部13の容量を縮小することができる。
(第三の実施の形態)
図8は、本実施の形態のネットワーク画像読取装置10の要部構成を示す概略ブロック図である。図8のネットワーク画像読取装置10は、図2または図6のネットワーク画像読取装置10の構成に加え、タイマ設定受付部61およびタイマ63を有する点で相違する。
【0049】
タイマ設定受付部61は、転送部25で転送が正常に完了しなかった場合に再送するタイミングの指定を受け付ける。ここで、再送するタイミングとは、たとえば、再送時刻や再送リトライ時間間隔などである。たとえば、ログオフなどにより転送エラーとなった場合は、次にログインされそうな時刻、たとえば次の日の朝などを再送時刻として指定できる。あるいは、通信状態の悪化などにより転送エラーとなった場合は、数分間隔でリトライするよう指定することもできる。
【0050】
タイマ63は、タイマ設定受付部61で受け付けたタイミングを計時し、タイムアップしたことを転送部25に通知する。
【0051】
このように構成されたネットワーク画像読取装置10の動作について図9を用いて以下に説明する。図9は、ネットワーク画像読取装置10の転送エラー時の再送時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図3のフローチャートのステップS25において、判定部27が転送が正常に完了しなかったと判定した場合(S25のNO)、報知部29は、そのことを報知する(S41)。タイマ設定受付部61は、転送エラー時の再送のタイミングを受け付け(S43)、タイマ63の計時を開始させる(S45)。再送のタイミングは、予め設定されていてもよいし、報知部29が転送エラーを報知したとき、ユーザに設定を促し、入力を受け付けてもよい。
【0053】
タイマ63がタイムアップしたか否かを監視し(S47)、タイムアップしたとき(S47のYES)、図3のステップS23に戻り、自動的に再送されることとなる。
【0054】
このように構成されたネットワーク画像読取装置10によれば、転送に失敗した画像データを、再度読み込むことなく、タイミングを遅らせて自動的に再送することができるので、利便性が増す。
【0055】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【0056】
たとえば、上記実施の形態において、転送エラー時、検知部19が検知した共有フォルダ5の一覧からユーザが代替転送先を指定する構成としたが、検知部19は転送エラー時、少なくとも一つの共有フォルダ5を検知し、代替転送先としてユーザに確認をする構成とすることもできる。このとき検知部19は、たとえば、転送エラーとなった共有フォルダ5と同じ階層内の他の共有フォルダ5や一つ上の階層の共有フォルダ5を検知することができる。ここで、検知された共有フォルダ5が複数の場合は、予め決められた優先順位、たとえば、名前順、作成日時順、ネットワーク1にログインした順および、これらの降順、昇順などにしたがって転送先を決定することもできる。あるいは、自動的に代替転送先に転送する構成とすることもできる。この場合、転送先を記録する記録部を有するとよい。
【0057】
また、図6のネットワーク画像読取装置10において、転送先を決定する際、優先順位テーブル53aに予め登録されている優先順位にしたがって転送先を決定する構成としていたが、これに限定されない。たとえば、転送先の優先順位を決定する条件を予め登録する条件登録部(不図示)と、条件にしたがって転送先の優先順位を決定する決定部と、を含むことができる。ここで、転送先の優先順位を決定する条件としては、たとえば、転送先の記憶装置3や共有フォルダ5の名前順、作成日時順、ネットワーク1にログインした順および、これらの降順、昇順などがある。
【0058】
判定部27で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、転送先受付部23は、優先順位にしたがって、代替転送先として転送先の共有フォルダ5を受け付けることができる。代替転送先は、優先順位にしたがって自動的に指定してもよいし、優先順位にしたがって転送先を提示し、ユーザからの転送先の指定を受け付けてもよい。
【0059】
この構成によれば、予め決められた条件に従って、転送先の優先順位を決定することができるので、適切な代替転送先を指定することが可能となり、システムの信頼性が向上する。
【0060】
また、上記実施の形態において、検知部19は、ネットワーク1を介してパーソナルコンピュータ7の記憶装置3の共有フォルダ5を検知する構成としたが、さらに検知部19は、検知された共有フォルダ5の上書き禁止属性や、パスワード認証属性を取得するフォルダ属性取得部を含むことができる。
【0061】
この構成によれば、検知部19で検知された共有フォルダ5の属性が、上書き禁止でないことや、パスワード認証の必要がないことを確認した上で、転送先候補として提示することが可能となるので、より適切なフォルダを転送先候補として提示することができるので、転送エラーの発生をより低減することができる。
【0062】
また、上記実施の形態では、検知部19で検知された共有フォルダ5を提示する提示部として、転送先表示部21を設けた構成としたが、このほかに、提示部は、共有可能な記憶装置3の共有フォルダ5のリストを出力する印刷部を設けてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、図3のステップS13で、読取部11による原稿の読み取り前に転送先一覧を転送先表示部21に表示するとき、および画像データの転送エラー時、画像データを再送する代替転送先を転送先表示部21に表示するときに、検知部19がネットワーク1を介して現在共有可能な共有フォルダ5を検知する構成としていたが、これに限定されない。たとえば、検知部19は、定期的、あるいは予め決められた時刻に、ネットワーク1を介して共有可能な共有フォルダ5を検知し、転送先として記憶部に記憶する構成とすることもできる。読取部11による原稿の読み取り前に転送先一覧を表示する際、転送先表示部21は、記憶部に記憶されている転送先を表示する。
【0064】
この構成によれば、画像データを転送する際、検知部19による共有フォルダ5の検知にかかる時間を省くことができるので、画像データの転送にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態に係るネットワーク画像読取装置のネットワーク構成を示す構成図である。
【図2】図1のネットワーク画像読取装置の概略機能ブロック図である。
【図3】図1のネットワーク画像読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】図1のネットワーク画像読取装置の転送先指定画面の一例を示す図である。
【図5】図1のネットワーク画像読取装置の転送エラー報知画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るネットワーク画像読取装置の要部構成を示す概略機能ブロック図である。
【図7】図6のネットワーク画像読取装置のテーブル記憶部の優先順位テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るネットワーク画像読取装置の要部構成を示す概略機能ブロック図である。
【図9】図8のネットワーク画像読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 ネットワーク
3 外部記憶装置
3 記憶装置
5 共有フォルダ
7 パーソナルコンピュータ
10 ネットワーク画像読取装置
11 読取部
13 一時記憶部
15 条件受付部
16 開始受付部
17 インタフェース部
19 検知部
21 転送先表示部
23 転送先受付部
25 転送部
27 判定部
29 報知部
31 転送先指定画面
33 共有フォルダ一覧
41 転送エラー報知画面
43 代替転送先指定ボタン
45 終了ボタン
51 転送先決定部
53 テーブル記憶部
53a 優先順位テーブル
61 タイマ設定受付部
63 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された共有フォルダを有する外部記憶装置に、読み取った画像データを転送するネットワーク画像読取装置であって、
原稿を読み取り、画像データを取得する読取部と、
前記画像データを一時的に記憶する一時記憶部と、
前記ネットワークを介して前記外部記憶装置の前記共有フォルダを検知する検知部と、
前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から前記画像データの転送先の共有フォルダを指定する転送先指定部と、
前記一時記憶部から前記ネットワークを介して前記転送先に前記画像データを転送する転送部と、
前記転送部で前記画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する判定部と、
前記検知部で検知された前記共有フォルダを提示する提示部と、
前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記提示部で提示された前記共有フォルダの中からユーザが指定した前記代替転送先を受け付ける転送先受付部と、
を含むことを特徴とするネットワーク画像読取装置。
【請求項2】
ネットワークを介して接続された共有フォルダを有する外部記憶装置に、読み取った画像データを転送するネットワーク画像読取装置であって、
原稿を読み取り、画像データを取得する読取部と、
前記画像データを一時的に記憶する一時記憶部と、
前記ネットワークを介して前記外部記憶装置の前記共有フォルダを検知する検知部と、
前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から前記画像データの転送先の共有フォルダを指定する転送先指定部と、
前記一時記憶部から前記ネットワークを介して前記転送先に前記画像データを転送する転送部と、
前記転送部で前記画像データの転送が正常に完了したか否かを判定する判定部と、を含み、
前記転送先指定部は、前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記検知部で検知された前記外部記憶装置の前記共有フォルダの中から代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することを特徴とするネットワーク画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク画像読取装置において、
前記転送先の優先順位を決定する条件を予め登録する条件登録部と、
前記条件に従って前記転送先の前記優先順位を決定する決定部と、を含み、
前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記転送先指定部は、前記決定部で決定された前記優先順位に従って、前記代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することを特徴とするネットワーク画像読取装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のネットワーク画像読取装置において、
前記転送先の優先順位を予め登録する転送先登録部を含み、
前記転送先指定部は、前記転送先登録部に登録されている前記優先順位に従って、前記代替転送先として前記転送先の前記共有フォルダを指定することを特徴とするネットワーク画像読取装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれかに記載のネットワーク画像読取装置において、
前記検知部で検知された前記共有フォルダを提示する提示部と、
前記判定部で転送が正常に完了しなかったと判定されたとき、前記提示部で提示された前記共有フォルダの中からユーザが指定した前記代替転送先を受け付ける転送先受付部と、
を含むことを特徴とするネットワーク画像読取装置。
【請求項6】
請求項2乃至5いずれかに記載のネットワーク画像読取装置において、
前記転送部で前記転送が正常に完了しなかった場合に再送するタイミングの指定を受け付ける再送受付部と、
前記転送部で前記転送が正常に完了しなかった場合、前記画像データを前記再送受付部で受け付けたタイミングを計時する計時部と、
前記計時部がタイムアップしたとき、前記転送部は、前記一時記憶部に記憶された前記画像データを前記接続部を介して前記外部記憶装置に転送することを特徴とするネットワーク画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−20125(P2006−20125A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196584(P2004−196584)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】