説明

ネットワーク装置

【課題】ネットワークケーブルの挿抜作業でポート誤認識による事故を防止し、作業を効率化するネットワーク装置を提供する。
【解決手段】複数のポートを有するネットワーク装置は、各ポートに対応したインジケータランプと、文字列を表示可能なディスプレイと、インジケータランプの点灯および消灯、並びにディスプレイに文字列を表示させる制御手段とを備えている。また、ネットワーク装置に関する設定情報が保持されたデータベースをさらに備え、データベースに対してポートの検索を行い、検索されたポートに対応するインジケータランプを点灯および消灯させる、並びに検索と関連した内容をディスプレイに表示させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置に関する。より詳細には、ネットワークケーブルの挿抜作業におけるポート誤認識による事故を防止し、作業を効率化する、多数のポートを持つ中規模以上のネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のネットワーク装置では、作業対象を確認させるため、特定のポート、シャーシに対応するインジケータランプを点滅させていた。非特許文献1および2に記載のCisco社NX−OSのBlueBeacon機能では、ローカルの管理者がトラブルシューティングや交換を行うハードウェアをすぐに識別できるように、ハードウェアコンポーネントのLEDを点滅させておくことができる。ここでは、シャーシ、ファン、選択したモジュール、電源、クロスバー・モジュールのLEDを点滅させることができる。
【0003】
また、非特許文献3に記載のSpirent社のSPT−9000Aは、フロントの小型液晶ディスプレイへ各搭載シャーシのIPアドレス、Gateway、温度、簡易的なエラーまたは状態情報などを順番に表示させる機能を有していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Blue beacon、[online]、[平成21年3月13日検索]、インターネット(URL:http://docwiki.cisco.com/wiki/Cisco_Nexus_7000_Series_NX-OS_Troubleshooting_Guide%2C_Release_4.x_--_Troubleshooting_Tools_and_Methodology#Using_the_Blue_Beacon_Feature)
【非特許文献2】Blue beacon、[online]、[平成21年3月13日検索]、インターネット(URL:http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/service/manual_j/sw/nex/nxtsg/appendixB/15807_01_appendixb.pdf)
【非特許文献3】Spirent SPT-9000A、[online]、[平成21年3月13日検索]、インターネット(URL:http://www.paralink.com.tw/product/spirent/pdf/Spirent%20TestCenter%20SPT-2000A,%20SPT-5000A%20&%20SPT-9000A%20Chassis.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1および2に記載のネットワーク装置では、多数のポートを持つ中規模以上になるとネットワークケーブルの挿抜を伴う作業において、遠隔地のオペレータからの指示はインジケータランプによって行うことしかできず、作業者へ情報を正確に伝えることができない。そのため、ネットワークケーブルの誤挿抜による事故を十分に防ぐことができなかった。また、非特許文献3に記載のネットワーク装置における液晶ディスプレイの表示は、各種情報を順番に表示させるのみで、挿入されたケーブルの情報を表示させるものでない。このため、ゲーブルの誤挿入は、別途導通試験を行った後に初めて検出され、作業効率は良くなかった。
【0006】
従って、本発明は、ネットワークケーブルの挿抜作業でポート誤認識による事故を防止し、作業を効率化するネットワーク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するため本発明によるネットワーク装置は、複数のポートを有するネットワーク装置であって、前記各ポートに対応したインジケータランプと、文字列を表示可能なディスプレイと、前記インジケータランプを点灯および消灯させる、並びに前記ディスプレイに文字列を表示させる制御手段とを備えている。
【0008】
また、前記ネットワーク装置に関する設定情報が保持されたデータベースをさらに備え、前記制御手段は、前記データベースに対して前記ポートの検索を行い、検索されたポートに対応する前記インジケータランプを点灯および消灯させる、並びに検索と関連した内容を前記ディスプレイに表示させることも好ましい。
【0009】
また、制御ネットワークに接続可能なマネジメントポートをさらに備え、前記制御手段は、前記制御ネットワークを経由して、前記マネジメントポートに接続された管理ツールであることも好ましい。
【0010】
また、前記ポートに接続されたケーブルの物理的な導通およびその状態を取得し、前記ディスプレイに表示する手段をさらに備えていることも好ましい。
【0011】
また、前記ポートに接続されたケーブルの論理的な状態を取得し、前記ディスプレイに表示する手段をさらに備えていることも好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ネットワーク装置に組み込まれた小型のディスプレイと各ポートに設置されたインジケータランプで遠隔地のオペレータからの指示を作業者へ正確に伝えることができ、ネットワークケーブルの誤挿抜による事故の防止が実現され、同時に、ケーブル挿入後の導通試験を簡易に行うことができ、作業の効率化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるネットワーク装置の概要を示す。
【図2】本発明によるネットワーク装置の第1の使用例のシーケンス図を示す。
【図3】本発明によるネットワーク装置の第2の使用例のシーケンス図を示す。
【図4】本発明によるネットワーク装置の第3の使用例のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明によるネットワーク装置の概要を示す。ネットワーク装置1は、ネットワークケーブルを挿入するためのポート11、各ポートに対応し、上部または下部などポートの周囲に配置されたインジケータランプ12、少なくとも文字列が表示可能な小型ディスプレイ13、およびマネジメントポート14から構成されている。マネジメントポート14には、インジケータランプ12および小型ディスプレイ13を制御可能な管理ツール15が、制御ネットワーク17を介して遠隔地に接続されている。管理ツール15は、telnetなどのターミナル、またはEMSなどのツールなどでネットワーク装置1を制御できる。また、管理ツール15は、ネットワーク装置1に関する設定情報が保持されたデータベース16にアクセスすることも可能である。
【0015】
管理ツール15は、ネットワーク装置1に対して以下の命令を行うことができる。
1.任意のポート11に対応するインジケータランプ12を点灯および消灯させる。この命令は任意の数のインジケータランプ12に対して同時に行える。
2.小型ディスプレイ13に任意の文字列を表示させる。また、任意の時間に表示内容の変更を行える。
3.データベースに対して、種々の条件による検索を行い、条件に一致するポート11に対応するインジケータランプ12を一括して操作(点灯および消灯)し、同時に検索と関連した内容を小型ディスプレイ13に連携して表示させる。
4.ポート11にネットワークケーブルが挿入された場合、ケーブルの信号強度や損失量などの情報を小型ディスプレイ13に表示し、物理的な導通とその状態を確認する。
5.ネットワークケーブルが挿入されているポート11に対して、フレームのタイプを指定し、該当するフレームに含まれるオブジェクトの値を小型ディスプレイ13に表示し、回線の論理的な導通とその状態を確認する。
【0016】
図2は、本発明によるネットワーク装置の第1の使用例のシーケンス図を示す。本例では、VLAN IDによるポートの識別を示す。
【0017】
A社の利用する専用線サービスService_Aには、ポートVLANでID 2009番が割り当てられていた。この度、A社はService_Aを停止することになり、これによって、データが流れないケーブルが生じたため、運用効率の観点から該当するケーブルを撤去することになった。撤去対象のケーブルを以下のように特定して、作業者に通知することができる。
【0018】
21.管理ツール15において、VLAN ID 2009が割り当てられたポートを検索する。
22.管理ツール15は、検索されたポート11に対応するインジケータランプ12の点灯を命令する。ネットワーク装置1は、命令されたインジケータランプ12を点灯する。
23.また、管理ツール15は、VLAN ID 2009に対応するサービス名Service_Aの表示を命令する。ネットワーク装置1は、命令されたサービス名を小型ディスプレイ13に表示する。
【0019】
24.現地の作業者は、ネットワーク装置1の小型ディスプレイ13に表示された内容を目視し、VLAN ID 2009およびサービス名Service_Aが表示されたネットワーク装置1を発見することができる。そして、そのネットワーク装置1の点灯しているインジケータランプ12に対応しているポート11に接続されているケーブルを抜くことにより不要なケーブルを撤去できる。
【0020】
以上のように、本発明のネットワーク装置1を用いることによって、作業が必要なネットワーク装置1を容易に発見することが可能になり、このネットワーク装置1での作業が必要なポート11がインジケータランプ12の点灯により判別でき、ポート誤認識による事故を防止できる。
【0021】
図3は、本発明によるネットワーク装置の第2の使用例のシーケンス図を示す。本例では、回線増設時の導通確認試験を示す。
【0022】
31.ある局舎において、新規サービスの開設に伴い、装置間の回線を増設することになった。現地の装置作業者Aは、管理ツール15を操作している作業者Bに、新規の回線を接続するポート11を指示するように伝えた。
32.作業者Bは、管理ツール15により対象ポート11のインジケータランプ12の点灯を命令する。ネットワーク装置1は、命令されたインジケータランプ12を点灯する。
33.また、作業者Bは、管理ツール15により、新規の回線のポート番号(ge−2/4/10)の表示を命令する。ネットワーク装置1は、小型ディスプレイ13にポート番号(ge−2/4/10)を表示する。
34.作業者Aは、インジケータランプ12の点灯したポート11と、小型ディスプレイ13に表示されたポート11が一致することを確認し、このポート11にケーブルを接続する。
35.作業者Aは、小型ディスプレイ13に表示された接続したケーブルの光信号の強度(dbm)と通信方式を確認した。
作業者Aが小型ディスプレイ13の表示を確認すると、信号強度の値は問題なかったが、通信方式が“half−duplex”と表示されていた。そのため、作業者Aはポートの設定を調べ、Auto−MDI機能がオフになっていたことは発見し、修正した。
再度、作業者Aが小型ディスプレイ13の表示を確認すると、今度は問題なく“full−duplex”と表示されていた。
【0023】
以上のように、本発明のネットワーク装置1では、作業が必要なポート11をインジケータランプ12の点灯により判別でき、ポート誤認識による事故を防止できる。さらに、ネットワークの物理的接続状態をすぐに確認することができ、作業を効率化できる。
【0024】
図4は、本発明によるネットワーク装置の第3の使用例のシーケンス図を示す。本例では、サービスの新規開設に向けたLSP(Label Switched Path)の追加作業を示す。
【0025】
ある局舎において、サービスの新規開設に向けたLSPの増設作業をすることになった。上記第2の使用例と同じ方法(41から44)によって、ケーブルを接続し、回線を増設する。
【0026】
45.管理ツール15の作業者Bは、新たなLSPの設定をネットワーク装置1に追加した。ネットワーク装置1は、RSVP、LDPなどのKeep−aliveメッセージが相互にやり取りされていることを検知し、小型ディスプレイ13に各セッションの状態を表示する。
46.装置作業者Aは、小型ディスプレイ13を目視したところ、全てのセッションがUp状態であることを確認できた。
47.作業者Bは管理ツール15を操作し、ネットワーク装置1にRRO(Record Route Object)とERO(Explicit Route Object)の内容表示を命令した。ネットワーク装置1は、RROとEROの内容を小型ディスプレイ13に表示する。
48.装置作業者Aは、小型ディスプレイ13に表示された値と、予め決められていたLSPの経路情報を比較し、LSPの経路設定が正しいことを確認した。
【0027】
以上のように、本発明のネットワーク装置1では、ネットワークの論理的接続状態をすぐに確認することができ、作業を効率化できる。
【0028】
なお、上記実施形態では、インジケータランプ12はポート11の上部または下部に配置されていたが、この形態に限定されない。例えば、ポート11の左右に配置することも考えられる。また、点灯によりポート11を指示できるのであれば、ポート11を示す番号の内部、または、ポート11の内部にインジケータランプ12を設定することも可能である。
【0029】
また、マネジメントポート14は、外部と通信できるものであれば、別のものとすることも可能である。例えば、メモリーカードスロットとし、メモリーカードカード経由でネットワーク装置1を制御することも可能である。
【0030】
また、データベース16は、管理ツール15と接続されているが、管理ツール15がアクセスできるならば、管理ツール15と同じところにある必要はない。例えば、ネットワーク装置1に内蔵されることも可能である。
【0031】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 ネットワーク装置
11 ポート
12 インジケータランプ
13 小型ディスプレイ
14 マネジメントポート
15 管理ツール
16 データベース
17 制御ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートを有するネットワーク装置であって、
前記各ポートに対応したインジケータランプと、
文字列を表示可能なディスプレイと、
前記インジケータランプを点灯および消灯させる、並びに前記ディスプレイに文字列を表示させる制御手段と、
を備えていることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記ネットワーク装置に関する設定情報が保持されたデータベースをさらに備え、
前記制御手段は、前記データベースに対して前記ポートの検索を行い、検索されたポートに対応する前記インジケータランプを点灯および消灯させる、並びに検索と関連した内容を前記ディスプレイに表示させることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
制御ネットワークに接続可能なマネジメントポートをさらに備え、
前記制御手段は、前記制御ネットワークを経由して、前記マネジメントポートに接続された管理ツールであることを特徴とする請求項1また2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記ポートに接続されたケーブルの物理的な導通およびその状態を取得し、前記ディスプレイに表示する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記ポートに接続されたケーブルの論理的な状態を取得し、前記ディスプレイに表示する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のネットワーク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−220161(P2010−220161A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67522(P2009−67522)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】