説明

ノイズフィルタ回路

【課題】ノイズフィルタ回路において、ACコードから高周波ノイズが放射されるのを低減する。
【解決手段】ノイズフィルタ回路1は、電源供給ライン3a、3bと、ラインフィルタ4と、コンデンサ5と、パワーインダクタ6a、6bとを備える。電源供給ライン3a、3bの一端側は、ACコード2に繋がっており、電源供給ライン3a、3bの他端側は、電気機器装置の電気回路に接続される。ラインフィルタ4は、電源供給ライン3a、3b上に接続されており、コンデンサ5は、一端がACコード2とラインフィルタ4との間における電源供給ライン3aに接続され、他端がACコード2とラインフィルタ4との間における電源供給ライン3bに接続されている。パワーインダクタ6a、6bは、各々、電源供給ライン3a、3b上に接続されている。このような構成により、電気機器装置で発生した高周波ノイズがACコード2に伝わるのを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器装置が交流電源の供給を受けるためのACコードから電磁波ノイズが放射されるのを低減するノイズフィルタ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばDVDレコーダやテレビジョン受像機等の電気機器装置は、ACコードから交流電源の供給を受けて動作するようになっている。このような電気機器装置では、電気機器装置で発生するノイズがACコードに伝わってしまうと、そのノイズがACコードから電磁波ノイズとして放射されてしまう。そこで、このような電気機器装置は、電気機器装置で発生したノイズがACコードに伝わるのを低減することにより、ACコードから電磁波ノイズが放射されるのを低減するようにしたノイズフィルタ回路を備えている。このようなノイズフィルタ回路としては、図2に示す構成のものが知られている。
【0003】
図2に示すノイズフィルタ回路70は、ACコード71から交流電源の供給を受けるための1対の電源供給ライン72a、72bと、電気機器装置で発生したノイズがACコード71に伝わるのを低減するためのラインフィルタ73、コンデンサ74、及びビーズコア75a、75bとを備える。1対の電源供給ライン72a、72bの一端側は、ACコード71に繋がっており、1対の電源供給ライン72a、72bの他端側は、接続端子77a、77bを介して、電気機器装置の電気回路(電源回路等)に接続される。
【0004】
ラインフィルタ73は、1対の電源供給ライン72a、72b上に接続されている。コンデンサ74は、一端がACコード71とラインフィルタ73との間における電源供給ライン72aに接続されていると共に、他端がACコード71とラインフィルタ73との間における電源供給ライン72bに接続されている。すなわち、コンデンサ74は、ACコード71とラインフィルタ73との間における1対の電源供給ライン72a、72b間に接続されている。ビーズコア75a、75bは、ACコード71とコンデンサ74との間における電源供給ライン72a、72b上に接続されている。なお、ACコード71とビーズコア75aとの間における電源供給ライン72a上には、過電流保護用のヒューズ76が接続されている。
【0005】
一方、フェライト粉体の中心部に金属導体を埋設して焼成したフェライトビーズが知られている(例えば特許文献1参照)。また、2つの交流電源ラインに、おのおの第1、第2のコイルを接続し、第1、第2のコイルの中間点をビーズインダクタンスを介してバイパスコンデンサにて接地し、高域並びに低域のノイズ成分を除去するようにしたACラインフィルタ回路が知られている(例えば特許文献2参照)。また、ラインフィルタトランスと4つのコンデンサから成るノイズフィルタ回路が知られている(例えば特許文献3参照)。また、電力線に搬送波信号を重畳して伝送する電力線搬送波装置の監視制御装置に使用する単相三線式電力線用のブロックフィルタが知られている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−246048号公報
【特許文献2】特開平2−179015号公報
【特許文献3】特開平5−276752号公報
【特許文献4】特開昭64−61110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のノイズフィルタ回路70においては、電気機器装置で発生する30MHz前後の高周波ノイズがACコードに伝わるのを低減することができておらず、ACコードから30MHz前後の高周波ノイズが放射されてしまう。なお、上述した特許文献1乃至特許文献4に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ACコードから高周波ノイズが放射されるのを低減することができるノイズフィルタ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電気機器装置が交流電源の供給を受けるためのACコードから電磁波ノイズが放射されるのを低減するノイズフィルタ回路において、ACコードから交流電源の供給を受けるための1対の電源供給ライン上に接続されたラインフィルタと、一端がACコードとラインフィルタとの間における1対の電源供給ラインのうちの一方の電源供給ラインに接続されると共に、他端がACコードとラインフィルタとの間における1対の電源供給ラインのうちの他方の電源供給ラインに接続されたコンデンサと、1対の電源供給ラインのうちの少なくとも一方の電源供給ライン上に接続されたパワーインダクタと、を備えるものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のノイズフィルタ回路において、パワーインダクタは、ラインフィルタとコンデンサとの間における電源供給ライン上に接続され、コンデンサは、1対の電源供給ラインにおける、パワーインダクタよりもACコードに近い位置に配されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、1対の電源供給ライン上にラインフィルタが接続され、ACコードとラインフィルタとの間における1対の電源供給ライン間にコンデンサが接続され、1対の電源供給ラインのうちの少なくとも一方の電源供給ライン上にパワーインダクタが接続された構成により、電気機器装置で発生する高周波ノイズがACコードに伝わるのを低減することができ、ACコードから高周波ノイズが放射されるのを低減することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、パワーインダクタがラインフィルタとコンデンサとの間に接続された構成により、パワーインダクタが発生源となる低周波ノイズをコンデンサにより除去することができるので、上記の低周波ノイズがACコードに伝わるのを低減することができ、ACコードから低周波ノイズが放射されるのを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るノイズフィルタ回路の構成を示す電気回路図。
【図2】従来のノイズフィルタ回路の構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態によるノイズフィルタ回路について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態によるノイズフィルタ回路の構成を示す。ノイズフィルタ回路1は、例えばDVDレコーダやテレビジョン受像機等の電気機器装置に備えられ、電気機器装置が交流電源の供給を受けるためのACコード2から電磁波ノイズが放射されるのを低減する回路である。
【0015】
ノイズフィルタ回路1は、ACコード2から交流電源の供給を受けるための1対の電源供給ライン3a、3bと、電気機器装置で発生したノイズがACコード2に伝わるのを低減するためのラインフィルタ4、コンデンサ5、及びパワーインダクタ6a、6bと、過電流保護用のヒューズ7とを備える。
【0016】
本実施形態では、ACコード2は、ノイズフィルタ回路1と一体的に構成されており、1対の電源供給ライン3a、3bの一端側は、ACコード2に繋がっている。1対の電源供給ライン3a、3bの他端側は、接続端子8a、8bを介して、電気機器装置の電気回路(電源回路等)に接続される。
【0017】
ラインフィルタ4は、1対のチョークコイルから成っており、1対の電源供給ライン3a、3b上に接続されている。コンデンサ5は、メタライズドフィルムコンデンサ(X−CAP)であり、一端がACコード2とラインフィルタ4との間における電源供給ライン3a(1対の電源供給ライン3a、3bの一方)に接続されていると共に、他端がACコード2とラインフィルタ4との間における電源供給ライン3b(1対の電源供給ライン3a、3bの他方)に接続されている。すなわち、コンデンサ5は、ACコード2とラインフィルタ4との間における1対の電源供給ライン3a、3b間に接続されている。
【0018】
パワーインダクタ6aは、ラインフィルタ4とコンデンサ5との間における電源供給ライン3a上に接続されており、パワーインダクタ6bは、ラインフィルタ4とコンデンサ5との間における電源供給ライン3b上に接続されている。ヒューズ7は、ACコード2とコンデンサ5との間における電源供給ライン3a上に接続されている。
【0019】
このような構成のノイズフィルタ回路1によれば、1対の電源供給ライン3a、3b上にラインフィルタ4が接続され、ACコード2とラインフィルタ4との間における1対の電源供給ライン3a、3b間にコンデンサ5が接続され、電源供給ライン3a、3b上にパワーインダクタ6a、6bが接続された構成により、電気機器装置で発生する30MHz前後の高周波ノイズがACコード2に伝わるのを低減することができ、ACコード2から30MHz前後の高周波ノイズが放射されるのを低減することができる。
【0020】
しかも、パワーインダクタ6a、6bがラインフィルタ4とコンデンサ5との間に接続された構成により、コンデンサ5をパワーインダクタ6a、6bよりもACコード2に近い側に配することができるので、パワーインダクタ6a、6bが発生源となる1MHz以下の低周波ノイズをコンデンサ5により除去することができる。これにより、パワーインダクタ6a、6bが発生源となる1MHzの低周波ノイズがACコード2に伝わるのを低減することができるので、ACコード2から1MHz以下の低周波ノイズが放射されるのを低減することができる。
【0021】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、パワーインダクタは、1対の電源供給ラインのうちのいずれか一方の電源供給ライン上にのみに接続されていてもよい。また、コンデンサは、メタライズドフィルムコンデンサ(X−CAP)に限られず、他のコンデンサであってもよい。また、ACコンセントは、ノイズフィルタ回路と別体に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 ノイズフィルタ回路
2 ACコード
3a、3b 電源供給ライン
4 ラインフィルタ
5 コンデンサ
6a、6b パワーインダクタ
7 ヒューズ
8a、8b 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器装置が交流電源の供給を受けるためのACコードから電磁波ノイズが放射されるのを低減するノイズフィルタ回路において、
前記ACコードから交流電源の供給を受けるための1対の電源供給ライン上に接続されたラインフィルタと、
一端が前記ACコードと前記ラインフィルタとの間における前記1対の電源供給ラインのうちの一方の電源供給ラインに接続されると共に、他端が前記ACコードと前記ラインフィルタとの間における前記1対の電源供給ラインのうちの他方の電源供給ラインに接続されたコンデンサと、
前記1対の電源供給ラインのうちの少なくとも一方の電源供給ライン上に接続されたパワーインダクタと、
を備えることを特徴とするノイズフィルタ回路。
【請求項2】
前記パワーインダクタは、前記ラインフィルタと前記コンデンサとの間における前記電源供給ライン上に接続され、前記コンデンサは、前記1対の電源供給ラインにおける、前記パワーインダクタよりも前記ACコードに近い位置に配されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−61477(P2011−61477A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208660(P2009−208660)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】