説明

ノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置ならびに自動分析装置

【課題】分注ノズルの洗浄を確実に行った上で、検体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防ぐ。
【解決手段】検体を吸引した後であって該検体を吐出する前に分注ノズルの外壁面を洗浄する第一洗浄工程(ステップS32)と、検体を吐出した後に分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する第二洗浄工程(ステップS34)とを含む。第一洗浄工程では、分注ノズルが検体に接触した直後で、検体が空気に触れて分注ノズルの外壁面に固着する前に洗浄するので分注ノズルの洗浄を容易に行える。その後の第二洗浄工程では、第一洗浄工程で分注ノズルの外壁面が予め洗浄され、かつ空気に触れ難い状態で検体を保持する分注ノズルの内壁面を洗浄するので分注ノズルの洗浄を容易に行える。よって、分注ノズルの洗浄を確実に行い、かつ分注ノズルの全洗浄時間の延長を防いで分注サイクル時間が長くなることを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置ならびに自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの検体を分析する自動分析装置では、先に分注した検体が分注ノズルに付着したまま次に分注する検体に持ち越されることで、分析結果に影響を及ぼすキャリーオーバーを回避するため、分注ノズルを洗浄するノズル洗浄装置を備えている。このノズル洗浄装置は、検体を吸引する位置と検体を吐出する位置との間の分注ノズルの移動軌跡の途中に配置され、分注ノズルに対して洗浄液を供給するように構成されている。このノズル洗浄装置を用いたノズル洗浄方法では、検体の吸引および吐出を行って分注が完了した後に、分注ノズルをノズル洗浄装置の位置に移動させ、この分注ノズルに対して洗浄液を供給して分注ノズルを洗浄している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−241442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動分析装置で分析される血液には、全血検体がある。全血検体は、凝固成分を含んでいるので、吸引後に空気に触れて乾燥すると分注ノズルの外壁面に固着してしまう。このため、分注ノズルの外壁面に全血検体が固着したまま次に分注する検体に持ち越されてキャリーオーバーの問題が生じる。
【0005】
ここで、従来のノズル洗浄方法において、全血検体を分注する場合のキャリーオーバーを回避するため、検体を吐出して分注が完了した後の分注ノズルの洗浄時間を延長することが考えられる。しかし、分注ノズルの洗浄時間を延長すると、1回の分析において検体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を分注の1サイクルとした分注サイクル時間が長くなり、分析の高速化を図ることができない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分注ノズルの洗浄を確実に行い、かつ分注サイクル時間が長くなることを防ぐノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置ならびに自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるノズル洗浄方法は、液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄方法において、液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に、前記分注ノズルの外壁面を洗浄する第一洗浄工程と、液体を吐出した後に、前記分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する第二洗浄工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるノズル洗浄方法は、上記発明において、前記第一洗浄工程は、前記分注ノズルを洗浄した後に、前記分注ノズルに吸引されている液体の一部を廃棄することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるノズル洗浄方法は、上記発明において、前記第一洗浄工程は、噴出された洗浄液の流路中に前記分注ノズルを進入させつつ、該分注ノズルを自身の長手方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるノズル洗浄方法は、上記発明において、前記第一洗浄工程は、洗浄液が貯留された貯留部内に前記分注ノズルを挿入させることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるノズル洗浄装置は、液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄装置において、前記分注ノズルが挿入される開口を上部に有した洗浄槽と、前記洗浄槽内の上部にて洗浄液を噴出させる噴出用洗浄液供給手段と、前記洗浄槽内であって前記噴出用洗浄液供給手段によって噴出される洗浄液の下方域に配置されて前記分注ノズルが挿入される開口を上部に有し、かつ洗浄液が貯留される貯留部と、前記貯留部に対して洗浄液を供給する貯留用洗浄液供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるノズル洗浄装置は、上記発明において、前記噴出用洗浄液供給手段によって供給された洗浄液、および前記貯留用洗浄液供給手段によって供給されて前記貯留部の開口から溢れた洗浄液を前記洗浄槽の外部に排出する排出部を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる自動分析装置は、液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを有し、前記分注ノズルによって液体を所定容器に分注して、該容器内で異なる液体を混合し反応させた反応液を分析する自動分析装置において、液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に前記分注ノズルの外壁面を洗浄し、吸引した液体を吐出した後にのみ前記分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する特別洗浄モードと、吸引した液体を吐出した後に前記分注ノズルの外壁面および内壁面を洗浄する通常洗浄モードとを有し、予め取得した分析情報に基づいて前記特別洗浄モードまたは通常洗浄モードに切り替えるモード切替手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記分析情報は、分析を行う液体の種類、分析項目、もしくは液体を吸引する際の分注ノズルの液面からの潜り込み深さであり、前記モード切替手段は、これら分析情報の少なくとも一つ、または組み合わせに基づいて洗浄モードを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるノズル洗浄方法は、液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に、分注ノズルの外壁面を洗浄する第一洗浄工程と、液体を吐出した後に、分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する第二洗浄工程とを含んでいる。このため、第一洗浄工程では、分注ノズルが液体に接触した直後であって、該液体が空気に触れて分注ノズルの外壁面に固着する前に洗浄を行うので、分注ノズルの外壁面の洗浄を確実に行うことができる。そして、その後の第二洗浄工程では、第一洗浄工程で分注ノズルの外壁面が予め洗浄され、かつ空気に触れ難い状態で液体を保持していた分注ノズルの内壁面を洗浄するので、分注ノズルの洗浄を確実に行うことができる。この結果、分注ノズルの洗浄を確実に行ってキャリーオーバーを回避し、かつ分注ノズルの全洗浄時間が長くなることが防げる。したがって、液体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防いで、分析の高速化を図ることができる。
【0016】
本発明にかかるノズル洗浄装置は、分注ノズルが挿入される開口を上部に有した洗浄槽と、洗浄槽内の上部にて洗浄液を噴出させる噴出用洗浄液供給手段と、洗浄槽内であって噴出用洗浄液供給手段によって噴出される洗浄液の下方域に配置されて分注ノズルが挿入される開口を上部に有し、かつ洗浄液が貯留される貯留部と、貯留部に対して洗浄液を供給する貯留用洗浄液供給手段とを備えている。このノズル洗浄装置では、分注ノズルを洗浄する際、洗浄槽の上部の開口に分注ノズルを挿入することで、噴出用洗浄液供給手段によって噴出された洗浄液で分注ノズルの外壁面が洗浄され、さらに貯留部に分注ノズルが挿入されることで、貯留用洗浄液供給手段によって貯留部に供給された洗浄液で分注ノズルの外壁面がさらに洗浄される。このため、分注ノズルの外壁面を確実に洗浄することが可能になる。しかも、分注ノズルを洗浄槽に挿入することで2つの洗浄動作が共に行えるので洗浄時間の延長を防ぐことが可能になる。この結果、液体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防いで、分析の高速化を図ることができる。
【0017】
本発明にかかる自動分析装置は、液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に分注ノズルの外壁面を洗浄し、吸引した液体を吐出した後に分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する特別洗浄モードと、吸引した液体を吐出した後にのみ分注ノズルの外壁面および内壁面を洗浄する通常洗浄モードとを有し、予め取得した分析情報に基づいて前記特別洗浄モードまたは通常洗浄モードに切り替えるモード切替手段を備えている。この自動分析装置では、分析情報に基づいて、例えば凝固成分を含む全血検体のように液体の分注後の洗浄では洗浄時間が長くなる検体を分析する場合は、特別洗浄モードに切り替える。一方、例えば血清検体のように液体の分注後の洗浄であっても洗浄時間を短く維持できる検体を分析する場合は、通常洗浄モードに切り替える。このため、液体を分析する分析状況に応じて全洗浄時間の延長を防ぐように洗浄モードを切り替えることが可能になる。この結果、液体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防いで、分析の高速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるノズル洗浄方法およびノズル洗浄装置ならびに自動分析装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態である自動分析装置を示す概略構成図である。
【0019】
自動分析装置1は、血液や尿などの検体(液体)と、検査項目に応じた試薬とを混合して反応させた反応液の光学的特性を測定することにより検体の成分濃度などを分析するものである。この自動分析装置1は、検体載置部2と、反応部3と、試薬載置部4と、分注機構(分注装置)5と、ノズル洗浄機構(ノズル洗浄装置)6を備えている。
【0020】
検体載置部2は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部21を備えている。各収納部21には、検体を収容した検体容器22が収納される。検体容器22は、上方に向けて開口する開口部22aを有している。また、検体載置部2は、検体テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。検体載置部2が回転すると検体容器22は、分注機構5によって検体が吸引される検体吸引位置に移動する。
【0021】
なお、検体容器22には、収容された検体の種類や分析項目に関する検体情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、検体載置部2は、検体容器22の識別ラベルの情報を読み取る読取部23を備えている。
【0022】
反応部3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部31を備えている。各収納部31には、検体と試薬とを反応させた反応液を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で収納される。また、反応部3は、反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応部3が回転すると反応容器32は、分注機構5によって検体が吐出される検体吐出位置や、分注機構5によって試薬が吐出される試薬吐出位置に移動する。
【0023】
また、反応部3は、測定光学系33を備えている。測定光学系33は、光源33aおよび測光センサ33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光(340〜800nm)を出射する。測光センサ33bは、光源33aから出射されて、反応容器32の反応液を透過した光束を測定する。なお、反応部3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する洗浄機構34を備えている。
【0024】
試薬載置部4は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された収納部41を備えている。各収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部42aを有している。また、試薬載置部4は、試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬載置部4が回転すると試薬容器42は、分注機構5によって試薬が吸引される試薬吸引位置に移動する。
【0025】
なお、試薬容器42には、収容された試薬の種類や収容量に関する試薬情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、試薬載置部4は、試薬容器42の識別ラベルの情報を読み取る読取部43を備えている。
【0026】
分注機構5は、検体載置部2と反応部3との間、および試薬載置部4と反応部3との間にそれぞれ設けられたもので、図2に示すように分注ノズル50を有している。分注ノズル50は、ステンレスなどによって棒管状に形成されたもので、先端を下方に向けて上方の基端がアーム51の先端に取り付けてある。アーム51は、水平配置され、その基端が支軸52の上端に固定してある。支軸52は、鉛直配置されており、ノズル移送部53によって鉛直軸Oを中心として回転する。支軸52が回転すると、アーム51が水平方向に旋回して、分注ノズル50を水平方向に移動させる。また、支軸52は、ノズル移送部53によって鉛直軸Oに沿って昇降する。支軸52が昇降すると、アーム51が鉛直方向に昇降して、分注ノズル50を鉛直(上下)方向であって分注ノズル50の長手方向に昇降させる。
【0027】
分注ノズル50の基端には、チューブ54aの一端が接続してある。このチューブ54aの他端は、シリンジ55に接続してある。シリンジ55は、チューブ54aの他端が接続された筒状のシリンダー55aと、シリンダー55aの内壁面に摺動しながらシリンダー55a内を進退可能に設けられたプランジャー55bとを有する。プランジャー55bは、プランジャー駆動部56に接続してある。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55aに対するプランジャー55bの進退移動を行うものである。シリンジ55のシリンダー55aには、チューブ54bの一端が接続してある。このチューブ54bの他端は、予圧用液L1を収容するタンク57に接続してある。また、チューブ54bの途中には、電磁弁58およびポンプ59が接続してある。なお、予圧用液L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この与圧用液L1は、分注ノズル50の内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0028】
分注機構5は、ポンプ59を駆動し、電磁弁58を開状態にすることでタンク57に収容されている与圧用液L1が、チューブ54bを経てシリンジ55のシリンダー55a内に充填され、さらにシリンダー55aからチューブ54aを経て分注ノズル50の先端まで満たされる。このように与圧用液L1が分注ノズル50の先端まで満たされた状態で、電磁弁58を閉状態にし、ポンプ59を止めておく。そして、検体や試薬の吸引を行う場合、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して後退移動させることにより、与圧用液L1を介して分注ノズル50の先端部に吸引圧が印可され、この吸引圧によって検体や試薬が吸引される。一方、検体や試薬の吐出を行う場合には、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55bをシリンダー55aに対して進出移動させることにより、与圧用液L1を介して分注ノズル50の先端部に吐出圧が印可され、この吐出圧によって検体や試薬が吐出される。
【0029】
なお、図には明示しないが分注機構5は、分注ノズル50で分注する検体および試薬の液面を検知する液面検知機能を備えている。液面検知機能には、例えば分注ノズル50が検体や試料に接した際の静電容量の変化によって液面を検知するものがある。
【0030】
ノズル洗浄機構6は、検体載置部2と反応部3との間、および試薬載置部4と反応部3との間であって、分注機構5における分注ノズル50の水平移動の軌跡の途中位置に設けてある。ノズル洗浄機構6は、図3に示すように洗浄槽60を有している。洗浄槽60は、筒状に形成され、下降する分注ノズル50の先端が上方から挿入されるように上部に開口60aを有している。
【0031】
洗浄槽60には、噴出用洗浄液供給手段61が設けてある。噴出用洗浄液供給手段61は、ノズル部61aを有している。ノズル部61aは、洗浄槽60内の上部に配置してあり、その吐出口を斜め下方に向け、かつ洗浄槽60の鉛直な中心線Sに向けて複数(本実施の形態においては2つ)設けてある。各ノズル部61aには、チューブ61bの分岐した一端がそれぞれ接続してある。また、チューブ61bは、一端から他端に至る途中で1つに合流して形成してある。このチューブ61bの他端は、洗浄液L2を収容するタンク61cに接続してある。また、1つに合流したチューブ61bの途中には、電磁弁61dおよびポンプ61eが接続してある。なお、洗浄液L2としては、蒸留水や脱気水などが適用される。
【0032】
洗浄槽60の内部であってノズル部61aの下方域には、貯留部62が設けてある。貯留部62は、洗浄槽60の中心線Sに沿って配置してあり、下降する分注ノズル50の先端が上方から挿入されるように、その上部に開口62aを有し、かつ洗浄液L2が貯留されるように有底に形成してある。また貯留部62の底部には、チューブ62bの一端が接続してある。チューブ62bの他端は、廃棄タンク62cに接続してある。また、チューブ62bの途中には、電磁弁62dが接続してある。
【0033】
また、洗浄槽60には、貯留用洗浄液供給手段63が設けてある。貯留用洗浄液供給手段63は、ノズル部63aを有している。ノズル部63aは、貯留部62の底部近傍に配置してあり、その吐出口を貯留部62の内方に向けて設けてある。ノズル部63aには、チューブ63bの一端が接続してある。チューブ63bの他端は、噴出用洗浄液供給手段61のチューブ63bの途中であって、電磁弁61dとポンプ61eとの間に接続してある。また、チューブ63bの途中には、電磁弁63cが接続してある。すなわち、チューブ63bは、ノズル部63aから電磁弁63cを介してチューブ61bに接続してあり、さらにポンプ61eを介してタンク61cに接続してある。
【0034】
また、洗浄槽60には、排出部64が設けてある。排出部64は、洗浄槽60の内部で貯留部62に並んで配置してある。排出部64は、上部に形成した開口が貯留部62の開口62aから下方に傾斜する斜面をなすようにすり鉢状に形成され、下部が洗浄槽60の底部に貫通して形成してある。排出部64の下部には、チューブ64aの一端が接続してある。チューブ64aの他端は、廃棄タンク62cに接続してある。
【0035】
ノズル洗浄機構6は、電磁弁61dを開状態にしてポンプ61eを駆動することでタンク61cに収容されている洗浄液L2が、チューブ61bを経てノズル部61aの吐出口から洗浄槽60の内部に噴出される。また、電磁弁63cを開状態にしてポンプ61eを駆動することでタンク61cに収容されている洗浄液L2が、チューブ63bを経てノズル部63aの吐出口から貯留部62の内部に供給され、かつ貯留部62の内部で貯留される。ノズル部61aから洗浄槽60の内部に吐出された洗浄液L2、およびノズル部63aから貯留部62の内部に供給されて該貯留部62の開口62aから溢れる洗浄液L2は、排出部64における上部開口の斜面に沿って排出部64内に導かれ、この排出部64からチューブ64aを経て洗浄槽60の外部にある廃棄タンク62cに排出される。また、電磁弁62dを開状態にすることで貯留部62に貯留された洗浄液L2が、チューブ62bを経て廃棄タンク62cに排出される。
【0036】
このような構成の自動分析装置1では、反応容器32に対して分注機構5が、検体容器22から検体を分注する。また、反応容器32には、分注機構5が試薬容器42から試薬を分注する。そして、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応部3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと測光センサ33bとの間を通過する。このとき、反応容器32内の反応液は、測光センサ33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、洗浄機構34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0037】
図4は、分注ノズルの洗浄にかかる制御系を示すブロック図である。自動分析装置1は、図4に示すように制御部100を有している。制御部100には、記憶部101と、入力部102とが接続してある。また、制御部100には、上述した分注機構5のノズル移送部53と、プランジャー駆動部56と、電磁弁58と、ポンプ59とが接続してある。さらに、制御部100には、述したノズル洗浄機構6の電磁弁61dと、ポンプ61eと、電磁弁63cと、電磁弁62dとが接続してある。制御部100は、記憶部101に予め格納したプログラムやデータに従って、特に記憶部101から取得した分析情報101aを用いて分注機構5およびノズル洗浄機構6を制御する。
【0038】
制御部100には、入力部102(例えば読取部23やキーボードやマウス)によって分析情報101aが入力される。入力部102によって入力される分析情報101aには、分析を行う検体の種類(例えば血液や尿)や、分析項目(例えば血清検体の分析や全血検体の分析)や、検体を分注ノズル50で吸引する際の検体液面からの分注ノズル50の潜り込み深さなどがある。分注ノズル50の潜り込み深さは、分析項目に基づくもので、血清検体の分析であれば検体液面から数ミリ程度(例えば3mm)となり、全血検体の分析であれば検体の全深さに応じた深さ(例えば液面から全体深さの70%)となる。制御部100は、分析情報101aを取得し、検体載置部2に載置された検体容器22に対応付けて記憶部101に記憶する。
【0039】
制御部100は、モード切替手段100aを有している。モード切替手段100aは、分注ノズル50の洗浄モードを切り替えるためのものである。洗浄モードとしては、特別洗浄モードと通常洗浄モードとがある。特別洗浄モードは、検体を吸引した後であって該検体を吐出する前に分注ノズル50の外壁面を洗浄し、検体を吐出した後に分注ノズル50の外壁面および内壁面を洗浄するモードである。また、通常洗浄モードは、吸引した検体を吐出した後のみに分注ノズル50の外壁面および内壁面を洗浄するモードである。
【0040】
制御部100では、上記分析情報101aに基づき、モード切替手段100aによっていずれかの洗浄モードに切り替える。例えば、分析を行う検体の種類が血液である場合に特別洗浄モードに切り替える一方、検体が尿である場合に通常洗浄モードに切り替える。また、分析項目が全血検体の分析である場合に特別洗浄モードに切り替える一方、分析項目が血清検体の分析である場合に通常洗浄モードに切り替える。また、検体液面からの分注ノズル50の潜り込み深さが所定深さ(例えば3mm)を超える場合に特別洗浄モードに切り替える一方、潜り込み深さが所定深さ以下である場合に通常洗浄モードに切り替える。なお、モード切替手段100aによって洗浄モードを切り替える場合、制御部100は、例えば、分析を行う検体の種類が血液であり、かつ分析項目が全血検体である場合に特別洗浄モードに切り替えるように、分析情報の組み合わせによって洗浄モードを切り替えるようにしてもよい。
【0041】
上気制御部100による分注ノズル50の洗浄動作について説明する。図5は、分注ノズルの洗浄動作を示すフローチャートであり、図6は、特別洗浄モードの洗浄動作を示すフローチャートであり、図7は、特別洗浄モードの動作図であり、図8は、通常洗浄モードを示すフローチャートである。
【0042】
図5に示すように制御部100は、記憶部101から分析情報101aを取得する(ステップS1)。制御部100は、分析情報101aに基づきモード切替手段100aによって洗浄モードを切り替える(ステップS2)。ステップS2において、特別洗浄モードに切り替えた場合(ステップS2:Yes)、制御部100は、本実施の形態にかかるノズル洗浄方法としての特別洗浄モードを実行して本制御を終了する(ステップS3)。一方、ステップS2において、通常洗浄モードに切り替えた場合(ステップS2:No)、制御部100は、通常洗浄モードを実行して本制御を終了する(ステップS4)。
【0043】
図6に示すように特別洗浄モード(ステップS3)では、先ず、制御部100は、分注ノズル50を検体吸引位置にある検体容器22の開口部22aの上方に移動させ、該分注ノズル50で検体を吸引する(ステップS31)。次に、制御部100は、第一洗浄工程として、吸引した検体を吐出する前に、分注ノズル50をノズル洗浄機構6における洗浄槽60の開口60aの上方に移動させ、該分注ノズル50の外壁面を洗浄する(ステップS32)。次に、制御部100は、分注ノズル50を検体吐出位置にある反応容器32の上方に移動させ、検体を吐出する(ステップS33)。最後に、制御部100は、第二洗浄工程として、分注ノズル50をノズル洗浄機構6における洗浄槽60の開口60aの上方に移動させ、該分注ノズル50の内壁面および外壁面を洗浄する(ステップS34)。
【0044】
上記特別洗浄モード(ステップS3)の第一洗浄工程(ステップS32)では、先ず、制御部100は、図7(a)に示すように噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから洗浄槽60内の上部に洗浄液L2を供給し、かつ貯留部62の電磁弁62dを閉状態にして貯留用洗浄液供給手段63のノズル部63aから貯留部62に洗浄液L2を供給する。この状態で、制御部100は、分注ノズル50を下降させて洗浄槽60の開口60aに挿入させる。すると、ノズル部61aから供給される洗浄液L2の流路中に進入しつつ分注ノズル50が自身の長手方向に移動する。これにより、ノズル部61aから噴射された洗浄液が分注ノズル50の長手方向に沿って分注ノズル50の外壁面に衝突して、分注ノズル50の外壁面に付着している検体が除去されて分注ノズル50の外壁面が洗浄される。除去された検体は、洗浄液L2とともに排出部64によって洗浄槽60の外部に排出される。
【0045】
さらに、下降する分注ノズル50は、貯留部62に挿入される。すると、貯留部62に貯留された洗浄液L2に浸されて分注ノズル50の外壁面がさらに洗浄される。貯留部62では、ノズル部63aから供給されつつ上方の開口62aから溢れた洗浄液L2が排出部64によって洗浄槽60の外部に排出されている。よって、除去された検体を含む汚れた洗浄液L2は、貯留部62に留まることなく排出され、貯留部62には汚れていない洗浄液L2が常に供給されているため、汚れた洗浄液L2が分注ノズル50に付着することがない。なお、分注ノズル50を貯留部62に挿入する深さは、検体の吸引時に分注ノズル50を検体に潜り込ませた深さ以上であればよい。
【0046】
次に、制御部100は、図7(b)に示すように分注ノズル50を上昇させて貯留部62から引き出す。このとき、噴出用洗浄液供給手段61および貯留用洗浄液供給手段63による洗浄液L2の供給を止めてもよいが、噴出用洗浄液供給手段61による洗浄液L2の供給を引き続き行って、ノズル部61aから供給される洗浄液L2の流路中に進入した形態で分注ノズル50が自身の長手方向に移動することで、分注ノズル50の外壁面をさらに洗浄するようにしてもよい。
【0047】
次に、制御部100は、図7(c)に示すように分注ノズル50の先端が貯留部62から出たとき、分注ノズル50で吸引してある検体の一部を吐出して廃棄する。これにより、上記の洗浄において分注ノズル50の先端に付着している洗浄液L2が吐出した検体とともに廃棄されるので、反応容器32に吐出する検体に洗浄液L2が混入する事態を防ぐことが可能になる。最後に、制御部100は、分注ノズル50を洗浄槽60から引き出すとともに、貯留部62の電磁弁62dを開状態にして貯留部62に貯留してある洗浄液L2を排出してステップS32における洗浄を終了する。
【0048】
また、図には明示しないが、上記特別洗浄モード(ステップS3)の第二洗浄工程(ステップS34)において、制御部100は、分注ノズル50に満たされている洗浄液(予圧用液L1)を検体とともに吐出して洗浄槽60に廃棄して分注ノズル50の内壁面を洗浄する。次に、制御部100は、噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから洗浄液L2を供給するとともに、分注ノズル50を下降させて洗浄槽60の開口60aに挿入することで、ノズル部61aから供給される洗浄液L2によって分注ノズル50の外壁面を洗浄する。さらに、下降する分注ノズル50は、貯留部62に挿入され、該貯留部62に貯留された洗浄液L2に浸されて分注ノズル50の外壁面がさらに洗浄される。最後に、制御部100は、分注ノズル50を洗浄槽60から引き出してステップS34における洗浄を終了する。
【0049】
なお、上記ステップS34において、噴出用洗浄液供給手段61から供給した洗浄液L2のみで分注ノズル50の外壁面の洗浄を行ってもよい。この場合、貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2の供給を行わず、貯留部62の電磁弁62dを開状態にして、貯留部62に流入した洗浄液L2を排出させる。また、上記ステップS34において、噴出用洗浄液供給手段61から洗浄液L2の供給を行わず、貯留部62に分注ノズル50を挿入するのみで分注ノズル50の外壁面の洗浄を行ってもよい。またさらに、上記ステップS34においては、ステップS32で既に分注ノズル50の外壁面が洗浄されているため、分注ノズル50の内壁面を洗浄するだけでもよく、噴出用洗浄液供給手段61および貯留用洗浄液供給手段63から洗浄液L2の供給を行わず、分注ノズル50に満たされている洗浄液(予圧用液L1)を検体とともに吐出して洗浄槽60に廃棄して分注ノズル50の内壁面を洗浄するだけでもよい。
【0050】
一方、図8に示すように通常洗浄モード(ステップS4)では、先ず、制御部100は、分注ノズル50を検体吸引位置にある検体容器22の開口部22aの上方に移動させ、該分注ノズル50で検体を吸引する(ステップS41)。次に、制御部100は、分注ノズル50を検体吐出位置にある反応容器32の上方に移動させ、検体を吐出する(ステップS42)。最後に、制御部100は、分注ノズル50をノズル洗浄機構6における洗浄槽60の開口60aの上方に移動させ、上記特別洗浄モードの第二洗浄工程(ステップS34)と同じく分注ノズル50の内壁面および外壁面を洗浄する(ステップS43)。
【0051】
ところで、分注ノズル50によって検体を分注し、かつ該分注ノズル50を洗浄して次の検体の分注を行う場合、次の検体へのキャリーオーバーが、感染症を起こす病原微生物が持ち越される虞のない0.1ppm以下となるまで洗浄する要望がある。本実施の形態の上記特別洗浄モードにおいて、全血検体の分注量を10mLとして検体容器22内の最下まで分注ノズル50の先端を潜り込ませた場合でキャリーオーバーを測定した結果では、次検体へのキャリーオーバーが0.002ppm〜0.018ppmの範囲となり、キャリーオーバー0.1ppm以下の要望を達成することができた。
【0052】
このように、上述した自動分析装置1にかかるノズル洗浄方法によれば、検体を吸引した後であって該検体を吐出する前に分注ノズル50の外壁面を洗浄する第一洗浄工程と、検体を吐出した後に分注ノズル50の少なくとも内壁面を洗浄する第二洗浄工程とを含んでいる。このため、例えば全血検体のように凝固成分を含み、かつ粘性を有した検体の分注を行う場合、第一洗浄工程では、分注ノズル50が検体に接触した直後であって、該検体が空気に触れて分注ノズル50の外壁面に固着する前に洗浄するので、キャリーオーバーが回避できるまでの分注ノズル50の洗浄を容易に行うことができる。その後の第二洗浄工程では、第一洗浄工程で分注ノズル50の外壁面が予め洗浄されており、かつ空気に触れ難い状態で検体を保持していた分注ノズル50の内壁面を洗浄するので、分注ノズル50の洗浄を容易に行うことができる。この結果、分注ノズル50の洗浄を確実に行ってキャリーオーバーを回避した上で、分注ノズル50の全洗浄時間の延長を防ぐことが可能になる。したがって、検体の吸引・吐出および分注ノズル50の洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防ぎ、分析の高速化を図ることができる。
【0053】
また、上記第一洗浄工程では、分注ノズル50を洗浄した後に、分注ノズル50に吸引されている検体の一部を廃棄する。このため、検体を吸引した後であって該検体を吐出する前に分注ノズル50の外壁面を洗浄した際に、洗浄液L2が分注ノズル50内に吸引してある検体に接触して該検体に混入することが考えられるが、この洗浄液L2が一部廃棄した検体とともに廃棄されるので、反応容器32に吐出する検体に洗浄液L2が混入することを防ぎ、分析に影響を及ぼすことがない。また、検体の一部の廃棄に伴って、分注ノズル50の先端部の外壁面に付着している洗浄液L2も共に廃棄されるので、分注ノズル50の先端部の外壁面に付着した洗浄液L2が反応容器32に吐出する検体に混入することも防げる。
【0054】
また、上記第一洗浄工程では、噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから噴出された洗浄液L2の流路中に分注ノズル50を進入させつつ、分注ノズル50を長手方向に下降もしくは上昇させる。このため、ノズル部61aから噴射された洗浄液が分注ノズル50の長手方向に沿って分注ノズル50の外壁面に衝突して、該分注ノズル50の外壁面が洗浄されるので、分注ノズル50の先端から基端に向けて長手方向の比較的広い範囲で検体が付着していても、この分注ノズル50の洗浄を確実に行うことが可能になる。
【0055】
また、上記第一洗浄工程では、貯留用洗浄液供給手段63で供給した洗浄液L2が貯留された貯留部62に対し、分注ノズル50の長手方向の移動に伴って分注ノズル50を進入させる。このため、ノズル部61aから供給された洗浄液L2での洗浄に伴って、分注ノズル50の外壁面が貯留部62の洗浄液に浸されてさらに洗浄されるので、分注ノズル50の先端から基端に向けて比較的広い範囲で検体が付着していても、この分注ノズル50の洗浄を確実に行うことが可能になる。
【0056】
上述した自動分析装置1にかかるノズル洗浄装置によれば、分注ノズル50が挿入される開口60aを上部に有した洗浄槽60と、洗浄槽60内の上部にて洗浄液L2を噴出するノズル部61aを有した噴出用洗浄液供給手段61と、洗浄槽60内であって噴出用洗浄液供給手段61におけるノズル部61aの下方域に配置されて分注ノズル50が挿入される開口62aを上部に有し、かつ洗浄液L2が貯留される貯留部62と、貯留部62に対して洗浄液L2を供給する貯留用洗浄液供給手段63とを備えている。このノズル洗浄装置では、分注ノズル50を洗浄する際、洗浄槽60の上部の開口60aに分注ノズル50を挿入することで、洗浄槽60内の上部においてノズル部61aから噴出された洗浄液L2によって分注ノズル50の外壁面が洗浄され、この洗浄に伴って貯留部62に分注ノズル50が挿入されることで、貯留用洗浄液供給手段63から貯留部62に供給された洗浄液L2によって分注ノズル50の外壁面がさらに洗浄される。このため、分注ノズル50の先端から基端に向けて比較的広い範囲で検体が付着していても、この分注ノズル50の洗浄を確実に行うことが可能になる。しかも、分注ノズル50の1回の下降動作で2つの洗浄を共に行うので洗浄時間の延長を防ぐことが可能になる。この結果、検体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防ぎ、分析の高速化を図ることができる。
【0057】
また、上記ノズル洗浄装置は、噴出用洗浄液供給手段61によって供給された洗浄液L2、および貯留用洗浄液供給手段63によって供給されて貯留部62の開口62aから溢れた洗浄液L2を洗浄槽60の外部に排出する排出部64を備えている。このため、噴出用洗浄液供給手段61のノズル部61aから供給されて分注ノズル50の外壁面から除去した検体を含む洗浄液L2が排出部64によって排出され、かつ貯留部62から溢れて分注ノズル50の外壁面から除去した検体を含む洗浄液L2が排出部64によって排出される。この結果、貯留部62には除去した検体を含まない洗浄液L2が貯留されるので、除去された検体が再び分注ノズル50に付着することを防ぐ。
【0058】
上述した自動分析装置1によれば、検体を吸引した後であって該検体を吐出する前に分注ノズル50の外壁面を洗浄し、吸引した検体を吐出した後に分注ノズル50の少なくとも内壁面を洗浄する特別洗浄モードと、吸引した検体を吐出した後にのみ分注ノズル50の外壁面および内壁面を洗浄する通常洗浄モードとを有し、予め取得した分析情報101aに基づいて特別洗浄モードまたは通常洗浄モードに切り替えるモード切替手段100aを備えている。この自動分析装置1では、分析情報101aに基づき、例えば凝固成分を含み、かつ粘性を有した全血検体のように、検体の分注後の洗浄では洗浄時間が長くなる場合は、特別洗浄モードに切り替える。一方、例えば血清検体のように分注ノズル50の外壁面の洗浄が比較的し易く、検体の分注後の洗浄であっても洗浄時間を短く維持できる場合には、通常洗浄モードに切り替える。このため、検体を分析する分析状況に応じて全洗浄時間の延長を防ぐように洗浄モードを切り替えることが可能になる。この結果、検体の吸引・吐出および分注ノズルの洗浄を1サイクルとした分注サイクル時間が長くなることを防ぎ、分析の高速化を図ることができる。
【0059】
また、分析情報は、分析を行う検体の種類、分析項目、もしくは検体を吸引する際の分注ノズルの液面からの潜り込み深さであり、モード切替手段は、これら分析情報の少なくとも一つ、または組み合わせに基づいて洗浄モードを切り替えることで、検体を分析する分析状況にあった洗浄モードの選択が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態である自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】分注装置を示す概略構成図である。
【図3】ノズル洗浄装置を示す概略構成図である。
【図4】分注ノズル洗浄にかかる制御系を示すブロック図である。
【図5】分注ノズルの洗浄動作を示すフローチャートである。
【図6】特別洗浄モードの洗浄動作を示すフローチャートである。
【図7】特別洗浄モードの動作図である。
【図8】通常洗浄モードを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 自動分析装置
2 検体載置部
3 反応部
4 試薬載置部
5 分注機構
50 分注ノズル
51 アーム
52 支軸
53 ノズル移送部
54a,54b チューブ
55 シリンジ
55a シリンダー
55b プランジャー
56 プランジャー駆動部
57 タンク
58 電磁弁
59 ポンプ
6 ノズル洗浄機構
60 洗浄槽
60a 開口
61 噴出用洗浄液供給手段
61a ノズル部
61b チューブ
61c タンク
61d 電磁弁
61e ポンプ
62 貯留部
62a 開口
62b チューブ
62c 廃棄タンク
62d 電磁弁
63 貯留用洗浄液供給手段
63a ノズル部
63b チューブ
63c 電磁弁
64 排出部
64a チューブ
100 制御部
100a モード切替手段
101 記憶部
101a 分析情報
102 入力部
L1 予圧用液
L2 洗浄液
O 鉛直軸
S 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄方法において、
液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に、前記分注ノズルの外壁面を洗浄する第一洗浄工程と、
液体を吐出した後に、前記分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する第二洗浄工程と
を含むことを特徴とするノズル洗浄方法。
【請求項2】
前記第一洗浄工程は、前記分注ノズルを洗浄した後に、前記分注ノズルに吸引されている液体の一部を廃棄することを特徴とする請求項1に記載のノズル洗浄方法。
【請求項3】
前記第一洗浄工程は、噴出された洗浄液の流路中に前記分注ノズルを進入させつつ、該分注ノズルを自身の長手方向に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル洗浄方法。
【請求項4】
前記第一洗浄工程は、洗浄液が貯留された貯留部内に前記分注ノズルを挿入させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のノズル洗浄方法。
【請求項5】
液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを洗浄するノズル洗浄装置において、
前記分注ノズルが挿入される開口を上部に有した洗浄槽と、
前記洗浄槽内の上部にて洗浄液を噴出させる噴出用洗浄液供給手段と、
前記洗浄槽内であって前記噴出用洗浄液供給手段によって噴出される洗浄液の下方域に配置されて前記分注ノズルが挿入される開口を上部に有し、かつ洗浄液が貯留される貯留部と、
前記貯留部に対して洗浄液を供給する貯留用洗浄液供給手段と
を備えたことを特徴とするノズル洗浄装置。
【請求項6】
前記噴出用洗浄液供給手段によって供給された洗浄液、および前記貯留用洗浄液供給手段によって供給されて前記貯留部の開口から溢れた洗浄液を前記洗浄槽の外部に排出する排出部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のノズル洗浄装置。
【請求項7】
液体の吸引および吐出を行う分注ノズルを有し、前記分注ノズルによって液体を所定容器に分注して、該容器内で異なる液体を混合し反応させた反応液を分析する自動分析装置において、
液体を吸引した後であって該液体を吐出する前に前記分注ノズルの外壁面を洗浄し、吸引した液体を吐出した後に前記分注ノズルの少なくとも内壁面を洗浄する特別洗浄モードと、吸引した液体を吐出した後にのみ前記分注ノズルの外壁面および内壁面を洗浄する通常洗浄モードとを有し、予め取得した分析情報に基づいて前記特別洗浄モードまたは通常洗浄モードに切り替えるモード切替手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
前記分析情報は、分析を行う液体の種類、分析項目、もしくは液体を吸引する際の分注ノズルの液面からの潜り込み深さであり、前記モード切替手段は、これら分析情報の少なくとも一つ、または組み合わせに基づいて洗浄モードを切り替えることを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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