説明

ノズル状態検知方法、クリーニング方法、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

【課題】ノズルの状態を確実に検知できるノズル状態検知方法、ノズルの状態に応じたクリーニング方法及びインクジェット記録方法、長期間に渡って不良画像を出力することが無く、長寿命化されたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ヘッドに設けられた複数のノズルにそれぞれ連通する液室と、前記液室に対応して設けられたアクチュエータに電圧を印加して前記ノズルから液滴を吐出させる駆動手段と、液滴の吐出方向を検出する吐出方向検出手段とを備え、前記駆動手段が、前記アクチュエータに第1の駆動電圧を印加して第1の液滴を吐出させた後、前記ノズルで形成されるメニスカスが前記ノズルから突出している状態で、前記アクチュエータに第2の駆動電圧を印加して第2の液滴を吐出させ、前記吐出方向検出手段が第2の液滴が吐出される方向を検出することによって液滴が吐出される方向からノズルの状態を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出して画像を形成するインクジェット記録装置におけるノズル状態検知方法、クリーニング方法、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙等の被記録媒体に画像を形成する装置として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドから用紙にインク滴を吐出して記録(画像形成、印写、印字、印刷等も同義語である)を行なうものであり、高精細な画像を高速に記録することができる。また、ランニングコストが低く、騒音が少なく、且つ、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易である等の利点を有している。
【0003】
この様なインクジェット記録装置では、ノズルから液滴を吐出するヘッドが搭載されており、多くの場合、ヘッドのノズル面へのインクの固着を低減させるためにノズル面に撥水層が形成されている。また、ノズル面に付着したインクをクリーニングする機構として、ワイパーを用いてメカニカルにノズル面を擦る機構を備えている。
【0004】
ノズル面をクリーニングするためにワイピングを繰り返すと、ノズル面の撥水層にダメージが蓄積して撥水層が剥離し、乾燥したインクがノズルエッジに固着することにより、ノズルから吐出される液滴の噴射曲がりが生じる場合がある。
【0005】
特に、近年では普通紙上に高画質の画像を形成するために顔料インクが主流になっているが、顔料インクは染料インクに比べて顔料粒子の存在により、ワイピング時のノズル面へのダメージがより大きくなっている。
【0006】
また、高速化を達成するために速乾性のインクを用いることにより、ノズル面やワイパーに付着したインクの乾燥が進み易く、乾燥したインクがノズルエッジに固着し易くなっている。
【0007】
この様に、ワイピングによる撥水層の剥離や、乾燥したインクがノズルエッジに固着することを原因とする噴射曲がりは大きな課題となっており、アクチュエータの寿命には至っていないにも関わらず、噴射曲がりの発生によりヘッドの寿命が決定される場合が多い。
【0008】
近年では、上述した様な高速、高画質、低ランニングコスト等の利点からオフィスや産業用途として多量の印刷を行う記録装置のニーズが高まっており、インクジェット記録装置としての高耐久化(長寿命化)が望まれている。
【0009】
ノズルの状態は使用状況によって大きく異なり、全てのユーザを対象にして不具合が生じない範囲に寿命を設定すると、多くのユーザでは必要以上に寿命を短く設定することになる。したがって、個々の装置においてリアルタイムにノズルの状態を検知して寿命を個別設定することが、装置を有効活用するために必要とされている。
【0010】
そこで、リアルタイムにノズルの状態を検知する方法として、マイクロスコープやCCDカメラ等でノズルを随時直接観察する方法が知られている。また、例えば特許文献1には、ノズルに連通する圧力室に対応して設けられるアクチュエータに駆動信号を出力し、ノズルからインク滴を吐出させる駆動手段が、駆動信号に圧力室の容積を拡大してインクを引き込む第1段階と、圧力室の容積を縮小してインク滴を吐出する第2段階とを設け、且つ前記第1段階で生じるインク充満状態での圧力室の固有振動が反転する位相に合わせて第2段階を設定するヘッド駆動装置が開示されている。
【0011】
特許文献1に係るヘッド駆動装置によれば、インクジェットプリンタの圧電式アクチュエータ駆動後の残留振動を確保し、ノズルヘッド内のノズル流路や圧力室等の状態を推定することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、マイクロスコープ、CCDカメラ等でノズルを直接観察する場合には、この様な観察手段を装置に内蔵させる必要があり、装置のコストアップ及び大型化を招いてしまうという問題がある。
【0013】
また、特許文献1に係るヘッド駆動装置では、ノズルヘッド内のノズル流路や圧力室等の状態を推定し、所謂ノズルの目詰まりによるドット抜け等の画質劣化を検出しているが、ノズルからの液滴の吐出不良を直接的に検知するものではないため、ノズルの状態を確実に検知できない場合がある。
【0014】
そこで本発明では、ノズルの状態を的確に検知できるノズル状態検知方法を提供することを目的とする。また、ノズルの状態に応じたノズル面のクリーニング方法及びインクジェット記録方法、長期間に渡って不良画像を出力することが無く、長寿命化されたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題に鑑み、ヘッドに設けられた複数のノズルと、前記ノズルにそれぞれ連通する液室と、前記液室に対応して設けられたアクチュエータと、前記アクチュエータに電圧を印加して前記ノズルから液滴を吐出させる駆動手段と、前記ノズルから前記液滴の吐出方向を検出する吐出方向検出手段と、を備えるインクジェット記録装置におけるノズル状態検知方法であって、前記駆動手段が、前記アクチュエータに第1の駆動電圧を印加して第1の液滴を吐出させるステップと、前記第1の液滴の吐出後に、前記ノズルで形成されるメニスカスが前記ノズルから前記液室とは反対側に突出している状態で、前記駆動手段が前記アクチュエータに第2の駆動電圧を印加して第2の液滴を吐出させるステップと、前記吐出方向検出手段が前記ノズルから前記第2の液滴が吐出される方向を検出するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、ノズルから吐出された小滴の吐出方向を検出することによって、ノズル端部の撥水層剥離やインク固着の発生等のノズルの状態を検知し、ヘッドが寿命に達するまで有効に活用することが可能になる。
【0017】
また、ノズル状態の検知結果に基づいてノズル面のクリーニングや画像形成を行うことで、ノズルを備えるヘッドの長寿命化を達成し、且つ、画像品質の低下を防ぐことが可能となる。さらに、ノズル状態を的確に検知することにより、長期に渡って画像品質が良好で、長寿命化されたインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す断面概略図
【図2】実施形態に係るインクジェット記録装置の要部を示す平面図
【図3】実施形態に係るヘッドの上面図及び側面図
【図4】実施形態に係るヘッドの幅方向の部分拡大断面図
【図5】実施形態に係るヘッドの長手方向の部分拡大断面図
【図6】実施形態に係るノズル面のクリーニング手段の概略構成図
【図7】実施形態に係るノズル端部の撥水層が剥離する様子を示す図
【図8】実施形態に係るノズル104端部の剥離部73がインク滴の吐出方向に与える影響を示す図
【図9】実施形態に係る液滴の吐出方向検出手段の構成例を示す図
【図10】実施形態に係る圧電素子に印加する駆動電圧の波形の例を示す図
【図11】実施形態に係る第1の液滴吐出後のメニスカス位置の変化を示す図
【図12】実施形態に係る第1の駆動電圧と第2の駆動電圧との時間間隔Tdと、第2のインク滴の噴射速度Vjとの関係を示す図
【図13】実施形態に係る圧電素子に印加する駆動電圧の波形の例を示す図
【図14】実施形態に係る第2の駆動電圧の波形の拡大図
【図15】実施形態に係るノズル状態検知結果に基づいて画像データを変更する例を示す図
【図16】実施形態においてインク滴の噴射曲がりが生じた場合のドット形成例を示す図
【図17】実施形態に係るノズルの端部にワイピングによる撥水層の剥離部が形成されている例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<インクジェット記録装置の構成>
本実施形態に係るインクジェット記録装置100について図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施形態に係るインクジェット記録装置100の全体構成を示す断面概略図であり、図2は本実施形態に係るインクジェット記録装置100の要部を示す平面図である。
【0020】
本実施形態に係るインクジェット記録装置100は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1と、ガイドレール2とにより、キャリッジ3を主走査方向に移動自在に保持している。キャリッジ3は、主走査モータ4にタイミングベルト5を介して接続し、図2の矢印方向(主走査方向)に移動走査する。
【0021】
キャリッジ3は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッド107を、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。なお、ヘッド107には、圧電素子等の圧電アクチュエータを用いたものを使用している。
【0022】
また、キャリッジ3には、ヘッド107に各色のインクを供給するため、各色に対応したサブタンク8が搭載されている。サブタンク8には、図示しないインク供給チューブを介してメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0023】
一方、給紙カセット110等の用紙積載部111上に積載した用紙112を給紙するための給紙部として、用紙積載部111から用紙112を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)113と、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド114を備えている。
【0024】
給紙部から給紙された用紙112を搬送する給紙部は、用紙112を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21等を備え、ヘッド107に用紙112を搬送する。
【0025】
搬送ベルト21は無端状ベルトであり、搬送ローラ127とテンションローラ128との間に掛け渡されて、副走査モータ31の駆動を受けて図2に示すベルト搬送方向(副走査方向)で周回する様に構成されている。
【0026】
インクジェット記録装置100の背部には、両面給紙ユニット161が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット161は、搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙112を取り込んで反転させ、再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
【0027】
以上の様に構成された本実施形態に係るインクジェット記録装置100では、給紙部から用紙112が1枚ずつ分離給紙され、搬送ベルト21に静電吸着した状態で副走査方向に搬送される。
【0028】
用紙112がヘッド107の下方に到達した時に、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じてヘッド107を駆動させることにより、停止している用紙112にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙112を所定量搬送した後に次の行の記録を行う。
【0029】
記録終了信号又は用紙112の後端が記録領域に到達した信号を受信することで、記録動作を終了して用紙112を排紙トレイ54に排出する。
【0030】
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録終了時に、搬送ベルト21を逆回転させて用紙112を両面給紙ユニット161内に送り込み、用紙112を反転させて再度搬送ベルト21により搬送して裏面への記録を行なった後に、排紙トレイ54に排出する。
<ヘッドの構成及び動作>
図3に、本実施形態に係るヘッド107の上面図及び側面図を示す。図3(a)はノズル面から見たヘッド107の上面図であり、図3(b)はヘッド107の側面図である。以下の図中に示すX方向はヘッド107の幅方向、Y方向は長手方向、Z方向は高さ方向を示している。
【0031】
ヘッド107は、フレーム部材130に複数のノズル104が形成されたノズル板103が接合されている。また、ヘッド107は内部にインクを供給する液室や、液室に圧力を付与する圧電素子及び振動板等を備えており、ノズル104からインク滴を吐出することができる。なお、ノズル104の数は印刷速度、画素数に応じて適宜設計することができる。
【0032】
図4に本実施形態に係るヘッド107の幅方向の部分拡大断面図、図5に本実施形態に係るヘッド107の長手方向の部分拡大断面図を示す。
【0033】
ヘッド107は、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合されたニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを積層して構成する。
【0034】
流路板101には、液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109等が形成されている。
【0035】
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段であるアクチュエータとしての積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。圧電素子121の間には支柱部123が設けられている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧が印加されないため単なる支柱となる。圧電素子121は、圧電素子121に電圧を印加する駆動回路(駆動手段)を搭載したFPC12に接続している。
【0036】
振動板102は、周縁部がフレーム部材130に接合されている。フレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122等で構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給口132が形成されている。フレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂等の熱可塑性樹脂あるいはポリフェニレンサルファイトで射出成型により形成されている。
【0037】
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)等のアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものである。また、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂等を用いて構成することもできる。
【0038】
振動板102は、例えばニッケルの金属プレートを用いてエレクトロフォーミング法(電鋳法)で形成されるが、この他にも金属板や金属と樹脂との接合部材等を用いることもできる。振動板102は、圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130が接着剤接合されている。
【0039】
ノズル板103には、各液室106に対応して例えば直径10〜30μmのノズル104が形成され、流路板101に接着剤により接合されている。ノズル板103には、ノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層34が形成されている。なお、ノズル板103には、例えばNi電鋳により形成したものや、SUS板をプレス加工したものや、樹脂をレーザー加工したものや、感光性樹脂をパターニングしたもの等を用いることができる。
【0040】
圧電素子121は、PZT(Pb(Zr,Ti)O)からなる圧電材料151と、AgPd等からなる内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子である。
【0041】
圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には、個別電極153及び共通電極154が接続されている。図示しないが、共通電極154は個別電極153側に引き出されており、個別電極153と共通電極154が同じ面でFPC12と接続されている。
【0042】
本実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内にインクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて液室106内のインクを加圧する構成とすることもできる。
【0043】
なお、圧電素子として用いる材料は本実施例に限られるものではなく、一般的に圧電素子材料として用いられるBaTiO、PbTiO、(NaK)NbO等の強誘電体等の電気機械変換素子を用いることもできる。
【0044】
また、本実施形態では圧電素子に積層型のものを用いているが、単板の圧電素子を用いることもできる。単板の圧電素子としては、切削加工したものや、スクリーン印刷して焼結した厚膜のものや、スパッタや蒸着、あるいはゾルゲル法により形成する薄膜のものでも良く、本実施形態に示した構成に限るものではない。さらに、1つの基板122に設けられる圧電素子121は、複数列設けた構成にすることもできる。
【0045】
上記した構成を有するヘッド107では、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121を収縮させ、振動板102を下降させる。振動板102が下降することで、液室106の容積が膨張して液室106内にインクが流入する。その後、圧電素子121への印加電圧を上げて圧電素子121を積層方向に膨張させ、振動板102をノズル104方向に変形させることにより液室106の容積及び体積を収縮させる。この様な動作をすることで液室106内の液が加圧され、ノズル104から液滴が吐出(噴射)される。
【0046】
ノズル104から液滴が吐出された後、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことにより、振動板102が初期位置に復帰し、液室106が膨張して負圧が発生する。この時、共通液室108から液室106内に液が充填される。
【0047】
なお、ヘッド107の駆動方法としては上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動電圧の印加方法によって引き打ちや押し打ち等を適宜選択することができる。
<ノズル面のクリーニング>
図6に、本実施形態に係るノズル面のクリーニング手段の概略構成図を示す。
【0048】
インクジェット記録装置100のヘッド107を搭載するキャリッジ3の走査方向一方側の非印字領域には、ヘッド107のノズル104の状態を維持し、回復するためのクリーニング機構71が配設されている。
【0049】
クリーニング機構71は、ノズル面をワイピングするためのゴム製のブレード部材であるワイパー72を備え、ワイパー72をヘッド107のノズル面に押圧した状態で図中X方向に移動可能に設けられている。クリーニング機構71は、ヘッド107の幅方向において両方向に移動することができ、ノズル面に付着したインク滴70を除去する。
【0050】
なお、ワイパー72は複数設けても良く、不織布等の塵の発生しないシート状のワイパーを使用することもできる。
【0051】
本実施形態では、クリーニング機構71がヘッド107の幅方向に移動可能に配設されているが、ヘッド107の長手方向に移動可能に配設することもできる。また、クリーニング機構71を固定し、ヘッド107のノズル面がワイパー72に接触して移動することでノズル面のクリーニングを行う様に構成することもできる。
【0052】
ここで、ワイパー72を用いたノズル面のクリーニングを繰り返し行うと、ノズル104の端部から撥水層34が剥離する場合がある。
【0053】
図7に、ノズル104端部の撥水層34が剥離する様子を示す。図7(a)〜(c)は、クリーニング機構71のワイパー72がノズル面を図中X方向で一方向にワイピングを繰り返すことにより、ノズル104端部の撥水層34の剥離が進行する様子を示している。
【0054】
ノズル104からインク滴をノズル面に対して直交する方向に真っ直ぐ吐出するためには、ノズル104で形成されるインクのメニスカスが対称に形成される必要がある。そのために、ノズル104は高い対称性を有する様に形成されており、撥水層34はその対象性を崩さない様にノズル104の縁部に均一に形成されている。
【0055】
しかし、ワイパー72がノズル面をX方向に繰り返しワイピングすることで、ノズル104の端部から撥水層34が剥離し、剥離部73が形成される(図7(b))。その後もワイピングによるクリーニングが繰り返されると、剥離部73が拡大していく(図7(c))。
【0056】
この様に、ノズル104の端部に撥水層34の剥離部73が形成されると、ノズル104から押し出されるインクのメニスカスの対称性を保つことが出来なくなる。また、剥離部73ではインクを弾くことができないため、インクが付着して固着し易い状態になっており、インクの吐出不良を引き起こす要因となる。
【0057】
図8に、ノズル104端部の剥離部73がインク滴の吐出方向に与える影響を示す。図8(a)〜(c)は図7(a)〜(c)に対応しており、それぞれの場合におけるメニスカス74の状態とインク滴の吐出方向を示している。
【0058】
図8(a)に示した様に、撥水層34が剥離しておらず、ノズル104の形状が保たれている場合には、ノズル面から盛り上がったインクのメニスカス74は対称性が維持され、ノズル面に対して直交する矢印Za方向に真っ直ぐインク滴を吐出することができる。
【0059】
しかし、図8(b)、(c)に示した様にノズル104の端部に剥離部73が形成されると、ノズル面から盛り上がるインクのメニスカス74の対称性が崩れ、インク滴の吐出方向がノズル面に対する直交方向から矢印Zb,Zc方向にずれ、大きな噴射曲がりが生じることになる。
【0060】
また、剥離部73にインクが固着した場合にも、同様にインクのメニスカス74の対称性が崩れることによりインク滴の噴射曲がりが生じることとなる。
【0061】
この様に、ノズル104端部の撥水層34の剥離やインクの固着は、インク滴の吐出方向に大きな影響を与える。この様な噴射曲がりが生じると、用紙上に形成するドットの位置がずれてしまうため画像品質が低下してしまう。
<インク滴吐出方向の検出>
図9に、本実施形態に係る液滴の吐出方向検出手段200の構成例を示す。図9(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0062】
液滴(インク滴)の吐出方向検出手段200は、例えばLD、LED等の発光素子201と、例えばPD等の受光素子204を備え、受光素子204の受光量の変化からインク滴206の吐出方向を検出する。
【0063】
発光素子201から出力された光学ビーム207は、例えばコリメートレンズ等のビーム平行光化手段202によって平行光化されて平行光208となる。生成された平行光208は、ビーム収束手段である例えばアパーチャー、シリンドリカル凸レンズ等の光学素子203を介すことによって、一平面状に扁平した検知ビーム光209となる。
【0064】
検知ビーム光209と、ヘッド107上に並ぶノズル104から吐出されたインク滴206の吐出経路とが交差することによって、散乱光(反射光)である検出光205が発生する。
【0065】
受光素子204は、検知ビーム光209の光軸から外れ、且つ、検知ビーム光209とインク滴206とが交差した時に生じる散乱光である検出光205を受光しうる位置に配置されることが好ましい。また、光強度の強い位置に受光素子204を配置することにより、散乱光205の光強度に応じて、インク滴206の吐出状態を検知することが可能になる。
【0066】
検知ビーム光209は、長手方向がインク滴206の吐出方向と平行になるように垂直方向に扁平しているので、インク滴206に噴射曲がりが無い状態であれば、インク滴206と検知ビーム光209とが交差する時間が長くなり、検出光205の発生時間も長くなる。したがって、検出光205の発生時間の長短を計測することによって、噴射曲がりの発生を検出することが可能となる。
【0067】
また、インク滴206の噴射曲がりは、ノズル面をクリーニングするワイピング方向に関連するため、吐出方向検出手段200は、少なくともワイピング方向におけるインク滴の吐出方向の変化を検出する様に構成する。
【0068】
本実施形態に係るヘッド107のノズル面は図中X方向にワイピングされており、インク滴の噴射曲がりはX方向に発生するため、検知ビーム光をX方向に短く、Y方向に長く扁平させることで、X方向の噴射曲がりを検出することができる。
【0069】
なお、吐出方向検出手段200としては、ヘッド107から吐出されるインク滴206の吐出方向を検出可能であれば上記構成に限るものではなく、例えば用紙上に吐出されたインク滴の着弾位置を測定することで検出する構成とすることもできる。
<ノズル状態の検知について>
図10に、ノズル状態を検知する際に圧電素子121に印加する駆動電圧の波形の例を示す。
【0070】
図示した例では、まず第1の駆動電圧として5つのパルスからなる駆動波形により、ノズル104から通常の印刷時と同等サイズの第1のインク滴を吐出させる。次に、第1の駆動電圧から時間Tdが経過した時点で、第2の駆動電圧を印加することで第2のインク滴を吐出させる。
【0071】
ここで、図11に第1の液滴吐出後のメニスカス位置の変化を示す。
【0072】
メニスカス位置は、インクのメニスカスがノズル面と一致する位置を基準に、ノズル面から液室106とは反対側に突出した状態をプラス、ノズル面から液室106側に引き込まれた状態をマイナスとして表している。
【0073】
インク滴の吐出後は、一旦メニスカス位置がノズル面から液室106側に引き込まれた後、インクが供給(リフィル)されることによって液室106とは反対側に突出して盛り上がった状態になる。この後、メニスカス位置がノズル面と一致する位置で外圧と均衡が取れることにより安定する。
【0074】
この様に、メニスカス位置が最も突出した状態からノズル面に戻って安定するまでのメニスカス振動周期Trは約110μsecである。なお、メニスカスがノズル面から盛り上がった状態で表れる周期Tcの振動は、液室106の固有振動周期である。
【0075】
画像形成を行う場合には、インク滴の大きさを制御するために、インク滴吐出後に少なくともメニスカス振動周期Trが経過して安定した状態で圧電素子121に駆動電圧を印加して次のインク滴の吐出を行う。
【0076】
図12に、第1の駆動電圧と第2の駆動電圧との時間間隔Tdと、第2のインク滴の噴射速度Vjとの関係を示す。
【0077】
第1のインク滴吐出後、メニスカス位置がノズル面から液室106とは反対側に突出すると共に、第2のインク滴の噴射速度Vjが低下していく。また、メニスカスの盛り上がりが減少してメニスカス位置が低下すると共に、第2のインク滴の噴射速度Vjが上昇している。
【0078】
ここで、噴射速度Vjが大きい場合、インク滴はノズル面に対して直交する方向に正常に吐出され易いが、噴射速度Vjが小さい場合には、ノズル104の端部に形成される剥離部73等の影響を受け易くなるため、噴射曲がりが生じ易くなる。
【0079】
そこで、インク滴の噴射速度Vjが小さくなる条件、すなわち第1のインク滴の吐出後に、ノズルで形成されるメニスカスがノズルから液室106とは反対側に突出している状態で第2の駆動電圧を印加して第2のインク滴を吐出させる。この様な条件下で吐出されたインク滴の吐出方向を検出することで、ノズル104の端部に剥離部73が生じていないか等のノズル状態を敏感に検知することが可能になる。
【0080】
本実施形態に係るインクジェット記録装置100では、100K枚印刷後に第1と第2の駆動電圧の時間間隔Tdが30μsecの時に第2のインク滴の噴射曲がりが検出された。また、200K枚印刷後では時間間隔Tdが25〜40μsec、300K枚印刷後では時間間隔Tdが25〜50μsecで第2のインク滴の噴射曲がりが検出された。
【0081】
印刷枚数が増加し、ノズル104へのダメージが与えられ続けると、撥水層34の剥離部73が拡大し、メニスカスの対称性が大きく崩れるため、噴射曲がりが発生する時間間隔Td及び噴射速度Vjの範囲が大きくなる。
【0082】
図11及び図12に示した様に、第1と第2の駆動電圧の時間間隔Tdを、第1のインク滴吐出後にメニスカス位置がノズル104から盛り上がっている範囲にすることで、ノズル状態を的確に検知することができる。
【0083】
さらに、時間間隔Tdをメニスカス位置が最大となる付近に設定することで、ノズル104端部に生じた剥離部73やインク固着といったノズル状態を高感度に検知することができる。本実施形態においては、時間間隔Tdをメニスカス振動周期Trの略4分の1に相当する25μsec設定することが好ましい。
【0084】
また、図13に示した様に、第1の駆動電圧の振幅を第2の駆動電圧の振幅よりも大きくして第1のインク滴を可能な範囲で大きくすることで、第1のインク滴吐出後のメニスカスの盛り上がりを大きくし、噴射曲がりを検出する時間間隔Tdのマージンを大きく取ることができる。
【0085】
また、図14に第2の駆動電圧の波形を拡大した図を示す。
【0086】
第2の駆動電圧は、圧電素子に印加する電圧を基準電位から一旦下げることで振動板102を下降させ、メニスカスをノズル面から液室106側に大きく引き込んだ後に、電圧を段階的に上げることでインク滴を押し出す波形としている。
【0087】
この様な波形にすることで、噴射曲がりを生じ易くすることができ、ノズル104端部の撥水層34の剥離及びインク固着を原因とする噴射曲がりを高感度に検知することが可能になる。
【0088】
また、段階的にインク滴を押し出す際に、2段目の押し出しのタイミングを液室の固有振動周期であるTcとし、1段目の押し出しのタイミングをTc/2とする。この様な波形にすることで、メニスカス振動に対して逆位相の動作となり、その後の液室の固有振動に起因するメニスカス残留振動を抑制して高速に小さいサイズのインク滴を吐出させることが可能になる。
<ノズル状態検知後の制御について>
以上説明した方法によりインク滴の噴射曲がりが検出された場合には、クリーニング機構71によりノズル面のクリーニングを行い、再度第1及び第2のインク滴を吐出させてノズルの状態検知を行う。
【0089】
一度噴射曲がりが検出された場合であっても、ノズル面をクリーニングすることで固着したインクや異物が除去され、噴射曲がりが直る場合がある。クリーニング後にインク滴の噴射曲がりが検出されなかった場合には、その後も通常通り印刷を行うことができる。
【0090】
なお、ノズル面のクリーニングは一度だけでも良いが、複数回行うことで固着したインクや異物をより確実に除去することができる。
【0091】
また、ノズル104の端部の撥水層34の剥離やインク固着の影響により噴射曲がりが生じている場合には、画像データを変更して印刷することで、出力画像の画質低下を防ぐことができる。
【0092】
図15に、ノズル状態の検知結果に基づいて画像データを変更する例を示す。図中一点鎖線の交点は画像データに応じてインク滴を吐出してドットを形成する位置である。
【0093】
キャリッジ3は主走査方向(図中X方向)に移動しながら、ヘッド107からインク滴を吐出することで画像形成を行う。また、クリーニング機構71によるワイピングも図中X方向に行われ、ノズル104の端部に剥離部73が形成されることによるインク滴の噴射曲がりも図中X方向に発生する。また、インク滴の噴射曲がりは、通常サイズのインク滴を吐出した後に連続して小サイズのインク滴を吐出する場合に生じ易い。
【0094】
そこで、画像データ中に小滴を吐出する必要がある場合には、キャリッジ3の主走査方向に隣接するドットにはインク滴を吐出しない様に画像データを変更する。図15に示した様に、中央に小滴でドットを形成する場合には、X方向に隣接する点にはドットを形成しない様に画像データを変更する。
【0095】
この様に画像データを変更することで、インク滴吐出後のメニスカスが盛り上がった状態で小サイズのインク滴を吐出することがなくなり、噴射曲がりの発生を防ぐことで画像品質を維持することができる。
【0096】
また、インク滴の噴射曲がりが生じた場合において、画像データはそのままで、圧電素子121に電圧を印加する駆動周波数を低く制御することでも、画像品質の低下を防止することができる。
【0097】
圧電素子121に電圧を印加する時間間隔を大きく取ることにより、印刷速度は低下するものの、インク滴吐出後のメニスカス位置がノズル面から突出した状態でインク滴を吐出することがなくなるため、噴射曲がりの発生を抑制することができる。
【0098】
したがって、ノズル104の周辺の撥水層34が剥離する等、ノズル104が劣化した状態であっても、画像品質を維持して印刷を継続することが可能になる。
【0099】
次に、図16にインク滴の噴射曲がりが生じた場合のドット形成例を示す。図中の一点鎖線の交点はインク滴を吐出してドットを形成する目標位置であり、小滴が2ドット連続するパターンのドット形成例を示している。
【0100】
キャリッジ3はX方向に移動し、往路と復路の両方で印刷を行うことによって高速印刷を実現している。また、クリーニング機構71によるワイピングも図中X方向に行っており、噴射曲がりはX方向に発生することになる。噴射曲がりが生じるとインク滴の着弾位置が目標からずれ、さらにキャリッジ3の往路と復路で形成されるドット位置が大きく異なってしまう。
【0101】
図16(a)は、ノズル104の状態が正常であり、目標位置にドットが形成されている様子を示している。図16(b)、(c)はインク滴の噴射曲がりが生じており、図中矢印方向に移動するキャリッジ3に応じてインク滴が吐出され、ドットB1,C1が先に形成され、その後にドットB2,C2が形成された状態を表している。
【0102】
図16(b)、(c)に示した様に、第1のインク滴は目標位置に着弾してドットB1、C1が正常位置に形成されている。しかし、その後に連続する第2のインク滴が、第1のインク滴の吐出後のメニスカスの盛り上がりにより噴射曲がりが生じたことで着弾位置がずれ、目標位置とは異なる位置にドットB2,C2が形成されてしまっている。
【0103】
図16(c)の様にドット間隔が広がってしまうと、例えば文字の輪郭部にヒゲが生じた状態になり、画像品質を大きく低下させてしまう。しかし、図16(b)に示した様にドット間隔が狭くなる場合には、文字の輪郭部の鋭さが低下する程度で画像品質の大きな低下には至らない。
【0104】
そこで、ビジネス用途等で特に文字の画像品質を重視するプリンタ等において噴射曲がりが発生した場合には、キャリッジ3の走査方向が連続するドット間隔が狭くなる方向のみで印刷を行うことで、画像品質の低下を抑制することができる。すなわち、ワイピングによりノズル104に剥離部73が形成されている方向とは反対方向にキャリッジ3を走査させる時のみ印刷を行う様に制御する。
【0105】
また、ノズル状態の検知結果に基づいてクリーニング機構71のワイピング方向を制御することにより、ヘッド107を長寿命化することができる。
【0106】
図17に、ノズル104の端部にワイピングによる撥水層34の剥離部73が形成されている例を示す。
【0107】
例えば、図17(a)に示した様に、図中X方向のワイピングによりノズル104の端部に撥水層34の剥離部73が形成され、インク滴の噴射曲がりが生じているが出力画像には影響が無い段階で、ワイピング方向を180°逆方向に変更する様に制御する。
【0108】
ワイピング方向を変えることで、図17(b)に示した様にノズル104の逆側の端部で撥水層34の剥離が進行することになり、剥離部73の拡大を防止できる。したがって、出力画像に影響を与える程度のインク滴の噴射曲がりの発生を防ぎ、ヘッド107を長寿命化することが可能になる。
【0109】
なお、インク滴の吐出方向から、ノズル面の撥水層34の剥離や、クリーニングで除去不可能なインク固着や異物付着によりノズルが寿命に達していると判断した時点で、ヘッド107の交換を表示する様にできる。ノズル104の状態を適宜検知することによって、ヘッド107が実際に使用不能状態に至るまで最大限有効に活用することが可能になる。
<まとめ>
以上説明した様に、本発明の実施形態によれば、第1の液滴吐出後のメニスカスが盛り上がった状態で第2の液滴を吐出させ、第2の液滴の吐出方向を検出することでノズルの状態を感度良く検知することができ、寿命に達するまでヘッドを最大限活用することができる。また、ノズル状態の検知結果に基づいてキャリッジの走査方向を制御して画像形成を行うことで、画像品質の低下を抑制することが可能となる。さらに、ノズル状態の検知結果に基づいてノズル面のワイピング方向を制御し、ノズル端部に形成された剥離部の拡大を防止してヘッドの長寿命化を達成できる。
【0110】
また、ノズル状態を的確に検知することで、長期に渡って画像品質が良好で、長寿命化されたインクジェット記録装置を提供することができる。
【0111】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0112】
3 キャリッジ
71 クリーニング機構(クリーニング手段)
72 ワイパー(クリーニング手段)
74 メニスカス
100 インクジェット記録装置
104 ノズル
106 液室
107 ヘッド
121 圧電素子(アクチュエータ)
200 吐出方向検出手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】2006−218727号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドに設けられた複数のノズルと、
前記ノズルにそれぞれ連通する液室と、
前記液室に対応して設けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータに電圧を印加して前記ノズルから液滴を吐出させる駆動手段と、
前記ノズルから前記液滴の吐出方向を検出する吐出方向検出手段と、
を備えるインクジェット記録装置におけるノズル状態検知方法であって、
前記駆動手段が、前記アクチュエータに第1の駆動電圧を印加して第1の液滴を吐出させるステップと、
前記第1の液滴の吐出後に、前記ノズルで形成されるメニスカスが前記ノズルから前記液室とは反対側に突出している状態で、前記駆動手段が前記アクチュエータに第2の駆動電圧を印加して第2の液滴を吐出させるステップと、
前記吐出方向検出手段が前記ノズルから前記第2の液滴が吐出される方向を検出するステップと、を有する
ことを特徴とするノズル状態検知方法。
【請求項2】
前記第2の駆動電圧は、前記ノズルから前記液滴を吐出させる際の電圧が段階的に変化する
ことを特徴とする請求項1に記載のノズル状態検知方法。
【請求項3】
前記第1の駆動電圧の振幅が、前記第2の駆動電圧の振幅よりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル状態検知方法。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段が前記ノズル面をクリーニングした後に、
前記第1及び第2の液滴を吐出させ、前記第2の液滴の吐出方向を検出する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のノズル状態検知方法。
【請求項5】
前記クリーニング手段が、前記ノズル面をワイピングするワイパーであり、
前記吐出方向検出手段は、前記ワイパーのワイピング方向における前記液滴の吐出方向の変化を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載のノズル状態検知方法。
【請求項6】
請求項5に記載のノズル状態検知方法による検知結果に基づいて、
前記ワイパーのワイピング方向を制御する
ことを特徴とするノズルのクリーニング方法。
【請求項7】
請求項1から5の何れか一項に記載のノズル状態検知方法による検知結果に基づいて、前記駆動手段が前記アクチュエータに電圧を印加する駆動周波数を制御する
ことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項8】
請求項1から5の何れか一項に記載のノズル状態検知方法による検知結果に基づいて、前記ヘッドを搭載するキャリッジの画像形成時のスキャン方向を一方向にする
ことを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項9】
ヘッドに設けられた複数のノズルと、
前記ノズルにそれぞれ連通する液室と、
前記液室に対応して設けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータに電圧を印加して前記ノズルから液滴を吐出させる駆動手段と、
前記ノズルから前記液滴の吐出方向を検出する吐出方向検出手段と、
を有するインクジェット記録装置であって、
前記駆動手段が、前記アクチュエータに第1の駆動電圧を印加して第1の液滴を吐出させた後に、液のメニスカスが前記ノズルから前記液室とは反対側に突出している状態で、前記駆動手段が前記アクチュエータに第2の駆動電圧を印加して第2の液滴を吐出させ、
前記吐出方向検出手段が、前記ノズルから前記第2の液滴が吐出される方向を検出することで、前記ノズルの劣化状態を検知する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−52616(P2013−52616A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193062(P2011−193062)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】