説明

ノズル装置

【課題】粉粒状のドライアイスを効率よく、かつ、円滑に供給して噴射することのできるノズル装置を提供すること。
【解決手段】キャリアガス供給管70と、粉粒状のドライアイスを供給するために接続されるドライアイス供給管82とを備えるノズル装置3であって、キャリアガス供給管70は、導入部71と、導入部71における第1流れ方向下流側に接続され、導入部71の開口断面積より小さい開口断面積を有するスロート部と、スロート部の第1流れ方向下流側に接続され、スロート部の開口断面積より大きい開口断面積を有する噴射部73とを備え、噴射部73は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁75と、左右方向において、第1壁75の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、第1壁75間の対向方向長さが、一定であり、ドライアイス供給管82を、噴射部73の第1壁75に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル装置、詳しくは、粉粒状のドライアイスを噴射するノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉粒状のドライアイスを噴射して、対象物の表面を洗浄またはブラスト加工するための装置が知られている。
【0003】
例えば、断面略円形状に形成され、内部にガスが供給され、ガスの流れ方向上流側端部にベンチュリ(スロート)が形成されたブラストガンにおいて、ベンチュリの流れ方向下流側に、ドライアイスペレットを導入するための1対のポートが周壁に接続されたブラストガンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のブラストガンでは、ガスが、ブラストガンの流れ方向上流側端縁から供給され、ベンチュリにおいて、加速されて、高速のガスとなって、ブラストガンの流れ方向下流側端縁から噴射される。また、ドライアイスペレットは、ポートの導入口からブラストガン内に導入され、高速のガスによって加速され、ガスとともに、噴射部から噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6174225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に記載のブラストガンは、開口断面円形状に形成されているので、各ポートの導入口の開口断面積は、ブラストガンの内径に対応して、限定される。つまり、ブラストガンの開口断面積が比較的小さいと、ポートの導入口の開口断面積も比較的小さくなる。そのため、種々のサイズを有するドライアイスペレットを、ポートの導入口からブラストガンに円滑に供給することができないという不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、粉粒状のドライアイスを効率よく、かつ、円滑に供給して噴射することのできるノズル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉粒状のドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるドライアイス供給管とを備えるノズル装置であって、前記キャリアガス供給管は、前記キャリアガスが導入される導入部と、前記導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、前記導入部の開口断面積より小さい開口断面積を有する絞り部と、前記絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、前記絞り部の開口断面積より大きい開口断面積を有する噴射部とを備え、前記噴射部は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、前記第1壁間の対向方向長さが、一定であり、前記ドライアイス供給管は、前記噴射部の前記第1壁に接続されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、キャリアガス供給管では、キャリアガスが、導入部に導入され、絞り部において、加速された後、噴射部を高速で通過する。
【0010】
また、ドライアイス供給管からは、噴射部においてキャリアガスの通過によって、ドライアイスが吸引されて、かかるドライアイスがキャリアガスによって高速で噴射される。
【0011】
そのため、ドライアイス供給管において、ドライアイスを効率よく供給して噴射することができる。
【0012】
また、この構成では、噴射部の第1壁間の対向方向長さを一定に維持しつつ、噴射部における第2壁間の対向方向長さを長くすることができる。そのため、特許文献1に記載の開口断面円形状のブラストガンの開口断面積と同一の開口断面積であっても、噴射部の第2壁間の対向方向長さを長くすることができるので、第1壁にドライアイス供給管を接続することにより、ドライアイス供給管の供給口の開口断面積を大きくすることができる。その結果、種々のサイズを有する粉粒状のドライアイスを、ドライアイス供給管の供給口から噴射部に円滑に供給することができる。
【0013】
さらに、この構成では、第1流れ方向において、第1壁間の対向方向長さを一定にしながら、第1壁の直交方向長さのみ、つまり、第2壁間の対向方向長さのみを変化させることによって、噴射部を構成することができる。
【0014】
そのため、噴射部を簡易かつ低コストで形成することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記噴射部は、前記絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かうに従って開口断面積が大きくなる第1拡大部を有する第1噴射部と、前記第1噴射部の前記第1流れ方向下流側端縁から前記第1流れ方向下流側に向かうに従って開口断面積が大きくなる第2拡大部を有する第2噴射部とを備え、前記ドライアイス供給管は、前記第2拡大部における第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることが好適である。
【0016】
この構成によれば、絞り部においてキャリアガスが加速され、続いて、第1噴射部においてキャリアガスがさらに加速され、その後、第2拡大部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍において、高速のキャリアガスに、ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0017】
つまり、ドライアイス供給管は、第2拡大部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されているので、第2噴射部の第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離を確保することができる。そのため、ドライアイスを、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記絞り部および前記第1噴射部が、ラバルノズルから形成されていることが好適である。
【0019】
この構成では、絞り部によって、キャリアガスを音速まで加速し、次いで、第1噴射部によって、かかるキャリアガスを超音速まで加速することができる。
【0020】
そのため、第2噴射部において、ドライアイスを、超音速のキャリアガスによって加速し、次いで、第2噴射部の噴射口から高速で噴射することができる。
【0021】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第2噴射部の寸法が下記式を満たしていることが好適である。
【0022】
10W≦L≦80
W:前記第2噴射部の前記第1流れ方向上流側端縁における前記第2壁間の対向方向長さ
L:前記第2噴射部の前記第1流れ方向長さ
この構成では、第2噴射部において、ドライアイスを、超音速のキャリアガスによって十分かつ確実に加速しながら、噴射部の噴射口から確実に高速で噴射することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記第2噴射部は、前記第2壁間の対向方向長さが、前記第1流れ方向下流側に向かって、第1増加率で次第に長くなる上流側噴射部と、前記上流側噴射部の前記第1流れ方向下流側に接続されており、前記第2壁間の対向方向長さが前記第1流れ方向において略同一であるか、または、前記第2壁間の対向方向長さが、前記上流側噴射部から前記第1流れ方向下流側に向かって、前記第1増加率より小さい第2増加率で次第に長くなる下流側噴射部とを備えていることが好適である。
【0024】
この構成によれば、上流側噴射部の第1壁に、ドライアイス供給管を、より広い開口断面積で接続することができる。そのため、ドライアイスを、ドライアイス供給管の供給口から上流側噴射部により一層円滑に供給することができる。
【0025】
また、下流側噴射部において、ドライアイスを高速のキャリアガスに乗せて十分に加速して、効率よく噴射することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記噴射部の開口断面の重心を前記第1流れ方向に沿って結ぶ第1直線と、前記ドライアイス供給管の開口断面の重心を前記ドライアイスの流れ方向である第2流れ方向に沿って結ぶ第2直線とが交差しており、前記第1直線と前記第2直線との交点から前記第1流れ方向上流側に向かう線分と、前記交点から前記第2流れ方向上流側に向かう線分との成す角度が、鋭角であることが好適である。
【0027】
この構成によれば、ドライアイスをドライアイス供給管から噴射部に円滑に供給することができる。
【0028】
そのため、噴射部におけるドライアイスの効率のよい噴射を達成することができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記噴射部の前記第1流れ方向上流側に接続されるキャリアガス接続配管と、前記ドライアイス供給管の前記ドライアイスの流れ方向である第2流れ方向上流側に接続されるドライアイス接続配管と、前記キャリアガス接続配管および前記ドライアイス接続配管の少なくとも一方に、それらの長手方向にスライド自在に設けられる把持部とを備えていることが好適である。
【0030】
この構成によれば、把持部を、キャリアガス接続配管および/またはドライアイス接続配管の少なくとも一方の長手方向にスライドさせることにより、作業者と噴射対象物との距離に対応するように、把持部と噴射部の第1流れ方向下流側端縁との間の長さを自在に変更することができる。そのため、噴射の作業性を向上させることができる。
【0031】
また、把持部をスライドさせても、噴射部の第1流れ方向長さを一定に維持することができる。
【0032】
そのため、ドライアイスの噴射の作業性を向上させながら、効率のよいドライアイスの噴射を維持することができる。
【0033】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、さらに、前記噴射部における前記ドライアイス供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることが好適である。
【0034】
キャリアガスが、ドライアイスの供給によって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0035】
しかし、この構成によれば、加熱手段によって、噴射部におけるドライアイス供給管の接続部またはその近傍を通過するキャリアガスを加熱できるので、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、ドライアイスを噴射部から効率よく加速することができる。
【0036】
また、ドライアイス供給管において、ドライアイスによる目詰まりが発生する場合がある。
【0037】
しかし、このノズル装置では、加熱手段によって、上記したドライアイスによる目詰まりを解消でき、ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【発明の効果】
【0038】
請求項1に記載の発明によれば、種々のサイズを有する粉粒状のドライアイスを、ドライアイス供給管の供給口から噴射部に効率よくかつ円滑に供給することができる。また、噴射部を簡易かつ低コストで形成することができる。
【0039】
また、請求項2に記載の発明によれば、ドライアイスを第2拡大部から高速で噴射することができる。
【0040】
また、請求項3に記載の発明によれば、第2噴射部において、ドライアイスを、超音速のキャリアガスによって加速し、次いで、第2噴射部の噴射口から高速で噴射することができる。
【0041】
また、請求項4に記載の発明によれば、ドライアイスを、噴射部の噴射口から確実に高速で噴射することができる。
【0042】
また、請求項5に記載の発明によれば、ドライアイスを、ドライアイス供給管の供給口から上流側噴射部により一層円滑に供給することができ、下流側噴射部において、効率よく噴射することができる。
【0043】
また、請求項6に記載の発明によれば、噴射部におけるドライアイスの効率のよい噴射を達成することができる。
【0044】
また、請求項7に記載の発明によれば、ドライアイスの噴射の作業性を向上させながら、効率のよいドライアイスの噴射を維持することができる。
【0045】
また、請求項8に記載の発明によれば、加熱手段によって、ドライアイスによる目詰まりを解消でき、ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明のドライアイス供給装置の一実施形態の概略図を示す。
【図2】図2は、図1に示すドライアイス供給装置の供給部の正面図であって、(a)は、案内カバー部が取り付けられている状態、(b)は、案内カバー部が取り外されている状態を示す。
【図3】図3は、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図を示す。
【図4】図4は、図3に示すノズル装置のドライアイス供給管の平断面図を示す。
【図5】図5は、図4に示すドライアイス供給管のスロート部、第1噴射部および接続部の部分拡大平断面図を示す。
【図6】図6は、図3および図4に示すノズル装置のA−A線に沿う断面図を示す。
【図7】図7は、噴射部の拡大平断面であって、(a)は、一実施形態(下流側噴射部の第2増加率が上流側噴射部の第1増加率より小さい態様)、(b)は、他の実施形態(下流側噴射部における第2壁間の対向方向長さが第1流れ方向において略同一である態様)、(c)は、他の実施形態(下流側噴射部の第2増加率が上流側噴射部の第1増加率と同一である態様)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明のドライアイス供給装置の一実施形態の概略図、図2は、図1に示すドライアイス供給装置の供給部の正面図、図3は、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図、図4は、図3に示すノズル装置のドライアイス供給管の平断面図、図5は、図4に示すドライアイス供給管のスロート部、第1噴射部および接続部の部分拡大平断面図、図6は、図3および図4に示すノズル装置のA−A線に沿う断面図、図7は、噴射部の拡大平断面図を示す。
【0048】
なお、図1において、紙面右側を「前側」、紙面左側を「後側」、紙面手前側を「左側」、紙面奥側を「右側」、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」とし、図2の方向について、上記した図1の方向に準じる。また、図3において、紙面左側を「前側」、紙面右側を「後側」、紙面手前側を「右側」、紙面奥側を「左側」、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」とし、図4〜図7の方向について、上記した図3の方向に準じる。
【0049】
図1および図3において、このドライアイス噴射システム1は、ドライアイス供給装置2と、ドライアイス供給装置2にドライアイスライン(図示せず)を介して接続されるノズル装置3とを備えている。
【0050】
ドライアイス供給装置2は、図1に示すように、収容部としてのホッパ10と、ホッパ10の下側に接続される供給部15と、それらを支持する支持部4とを備えている。
【0051】
ホッパ10は、粉粒状のドライアイスを収容するために設けられ、具体的には、ドライアイス供給装置2の上側に設けられ、略角筒形状をなし、開口断面積が、下方に向かって次第に小さくなるテーパ形状に形成されている。具体的には、ホッパ10は、前壁11と、前壁11の後方に間隔を隔てて配置される後壁12と、それらの左右方向両端部を連結する横壁(図示せず)とを一体的に備えている。
【0052】
前壁11は、鉛直方向に沿う平板状に形成されている。また、前壁11には、前方に突出し、左右方向に沿って延びる伝達板13が設けられている。伝達板13の上面には、振動付与部としてのバイブレータ14の下端が当接されている。
【0053】
バイブレータ14は、その上端が支持部4に固定され、上下方向に振動可能に設けられている。
【0054】
後壁12は、前壁11に対して、下方に向かって次第に近接する傾斜状に形成されている。
【0055】
供給部15は、ホッパ10に収容されるドライアイスを供給するために設けられ、二軸スクリューフィーダ20と、その下側に接続される粉砕部30とを備えている。
【0056】
二軸スクリューフィーダ20は、ホッパ10の下側に設けられており、具体的には、図1および図2に示すように、第1モータ21と、それに連結される第1スクリュー22および第2スクリュー23と、第1スクリュー22および第2スクリュー23を収容するスクリューケーシング24とを備えている。
【0057】
第1モータ21は、第1スクリュー22および第2スクリュー23を回転駆動可能に設けられている。
【0058】
第1スクリュー22および第2スクリュー23は、前後方向に延び、左右方向に並行するように隣接配置されている。また、第1スクリュー22および第2スクリュー23は、互いに噛み合うように配置されており、具体的には、正面視において、ともに回転するときに、二軸スクリューフィーダ20におけるドライアイスを粉砕しながら前方に定量的に押出可能に設けられている。
【0059】
スクリューケーシング24は、前後方向に延びる略筒状に形成されており、また、第1スクリュー22および第2スクリュー23の前端部を露出するように形成されている。また、スクリューケーシング24のやや後側の前後方向途中の上端には、受入開口部28が形成されており、その受入開口部28には、ホッパ10の下端部が挿入されている。
【0060】
また、供給部15には、乾燥ガス送風部16が接続されている。具体的には、乾燥ガス送風部16は、乾燥ガスをスクリューケーシング24内に送風するために設けられており、詳しくは、スクリューケーシング24の後端部の上端には、乾燥ガス送風部16の送風口が接続されている。乾燥ガスとしては、特に限定されず、例えば、乾燥空気、例えば、窒素などの不活性ガスなどが挙げられる。
【0061】
粉砕部30は、二軸スクリューフィーダ20から供給されるドライアイスを粉砕するために設けられ、二軸スクリューフィーダ20の下側に接続されている。
【0062】
粉砕部30は、粉砕槽35と、第2モータ45と、第2モータ45に連結される羽根部40とを備えている。
【0063】
粉砕槽35は、後述する回転軸41を中心とする正面視略円形状に形成されている。
【0064】
第2モータ45は、羽根部40を回転可能に支持している。具体的には、第2モータ45は、正面視において、羽根部40を反時計回りに回転可能に支持している。
【0065】
羽根部40は、粉砕槽35内に設けられており、回転軸41と、回転軸41から放射状に延びる羽根としての第1羽根42、第2羽根43および第3羽根44とを備えている。
【0066】
回転軸41は、前後方向に延び、粉砕槽35の中心に配置されている。
【0067】
第1羽根42、第2羽根43および第3羽根44は、回転軸41から径方向外方に向かって延び、前方から後方に向かって順次配置されている。第1羽根42、第2羽根43および第3羽根44の先端部は、周方向に等間隔を隔てて配置されている。
【0068】
また、二軸スクリューフィーダ20および粉砕部30には、案内カバー部50が設けられている。
【0069】
案内カバー部50は、スクリューケーシング24および粉砕槽35に対して着脱自在に設けられ、スクリューケーシング24および粉砕槽35に装着されているときには、それらの前側に配置されており、図2(a)に示すように、スクリューケーシング24および粉砕槽35の前側に、それらの前側部分を被覆するように対向配置されている。
【0070】
詳しくは、案内カバー部50は、第1前壁51、第2前壁52、上壁54、横壁55および第3前壁53を一体的に備えている。
【0071】
第1前壁51は、上下方向および左右方向に沿って配置され、略矩形平板状に形成されている。第1前壁51は、第1スクリュー22および第2スクリュー23の前方に、間隔を隔てて配置されている。
【0072】
第2前壁52は、第1前壁51の下端から連続し、下方斜め後側に傾斜するように配置されており、上側部分が、下方に向かうに従って幅(左右方向長さ)狭となるテーパ状に形成され、下側部分が、上下方向において同幅となる略矩形状に形成されている。
【0073】
また、第2前壁52の上側部分は、第1スクリュー22および第2スクリュー23の前端縁の下方に配置されている。第2前壁52の下側部分は、羽根部40の上側部分の前側に対向配置されている。
【0074】
上壁54は、第1前壁51の上端から後方に連続し、第1スクリュー22および第2スクリュー23の前端縁の上方に、間隔を隔てて配置されており、平面視略矩形状に形成されている。
【0075】
横壁55は、第1前壁51、第2前壁52および上壁54の幅方向(左右方向)両端部から後方に連続し、第1スクリュー22および第2スクリュー23の前端縁およびスクリューケーシング24の前端部の幅方向両側に間隔を隔てて配置されている。
【0076】
第3前壁53は、第2前壁52の下端部および横壁55の後端部から連続し、下方向および幅方向両側に向かってそれぞれ延び、粉砕槽35の周囲の前側に対向配置されている。また、第3前壁53の中央は、羽根部40の下側部分に対向配置されている。
【0077】
この案内カバー部50は、ドライアイス供給装置2の清掃時には、粉砕部30から取り外すことができる。これによって、前側から、二軸スクリューフィーダ20および粉砕部30を容易に清掃することができる。
【0078】
排出管56は、粉砕槽35に接続されており、粉砕槽35の接線方向に沿って接続されている。具体的には、排出管56は、上下方向に延びる略円筒形状に形成されており、粉砕槽35の周壁の左端部(最左側端部)から下方に延びるように形成されている。つまり、排出管56の左端部は、正面視において、粉砕槽35の周壁の左端部から下方向に延びる接線となるように形成されている。
【0079】
なお、排出管56の下端部には、図示しないドライアイスラインが接続されている。
【0080】
支持部4は、防振部材17を介してホッパ10を支持するとともに、供給部15を支持している。防振部材17は、バイブレータ14の振動に起因するホッパ10の振動が支持部4に伝達されることを防止する。
【0081】
このドライアイス供給装置2では、ホッパ10に収容されるドライアイスが、受入開口部28を介してスクリューケーシング24内に落下する。なお、ドライアイス供給装置2では、バイブレータ14の上下振動が伝達板13を介してホッパ10に伝達されることにより、ホッパ10内のドライアイスのブリッジが防止されている。
【0082】
また、乾燥ガス送風部16から送風され、供給部15を通過した乾燥ガスは、二軸スクリューフィーダ20に連通するホッパ10内にも送風されるため、上記したドライアイスのブリッジをより一層確実に防止することができる。
【0083】
また、このようなドライアイスは、ドライアイスペレットや粉状ドライアイスを含む概念であって、その平均粒子径は、例えば、0.1〜10mm、好ましくは、1〜5mmである。
【0084】
次いで、スクリューケーシング24において、ドライアイスは、第1モータ21の駆動力に基づく第1スクリュー22および第2スクリュー23の回転駆動によって、粉砕されながら前方に定量的に押し出される(切り出される)。また、スクリューケーシング24に送風される乾燥ガスは、スクリューケーシング24におけるドライアイスの付着およびそれに起因する負荷の発生を防止する。
【0085】
第1スクリュー22および第2スクリュー23の前端部に到達したドライアイスは、第2前壁52に沿って後方斜め下側に滑り落ちながら、粉砕槽35に案内される。
【0086】
次いで、粉砕槽35において、ドライアイスは、第2モータ45の駆動力に基づく羽根部40の回転駆動によって、所定のサイズに粉砕され、続いて、粉砕部30から排出管56に排出される。このとき、二軸スクリューフィーダ20を通過し、それに連通する粉砕部30に送風される乾燥ガスは、羽根部40におけるドライアイスの付着およびそれに起因する負荷の発生を防止する。
【0087】
その後、ドライアイスは、図示しないドライアイスラインを介してノズル装置3に供給される。
【0088】
なお、粉砕後のドライアイスの平均粒子径は、例えば、0.01〜1.0mm、好ましくは、0.5〜1.0mmである。
【0089】
図3および図4において、ノズル装置3は、キャリアガス供給部60と、ドライアイス供給部80とを備えている。
【0090】
キャリアガス供給部60は、キャリアガス接続配管61と、それのキャリアガスの流れ方向(以下、第1流れ方向という。)下流側に接続されるキャリアガス供給管70とを備えている。
【0091】
キャリアガス接続配管61は、キャリアガス供給管70にキャリアガスを供給するために設けられ、側断面視略L状で、略円筒形状に形成されており、具体的には、後方から前方に向かってに延び、その後、前端部が、上方に屈曲するように形成されている。
【0092】
キャリアガス接続配管61の第1流れ方向上流側端部、すなわち、後端部は、キャリアガスライン(図示せず)を介してコンプレッサ(図示せず)に接続されている。コンプレッサは、キャリアガスをキャリアガス接続配管61に供給可能に構成されている。
【0093】
キャリアガス接続配管61の第1流れ方向下流側端部、すなわち、上端部は、キャリアガス供給管70に接続されている。
【0094】
なお、キャリアガス接続配管61の第1流れ方向上流側端部には、図示しないキャリアガス開閉弁が設けられている。図示しないキャリアガス開閉弁は、ノズル装置3に設けられるスイッチ(図示せず)と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0095】
キャリアガス供給管70は、キャリアガスを供給するために設けられており、導入部71と縮小部74と絞り部としてのスロート部72と噴射部73とを備えている。また、キャリアガス供給管70は、上下方向に互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁75と、第1壁75の左右方向両端部を連結する2つの第2壁76とを備えている。
【0096】
第1壁75および第2壁76は、上記した導入部71と縮小部74とスロート部72と噴射部73とに連続的に設けられている。第1壁75は、左右方向および前後方向に沿う平板状に形成されている。また、第2壁76は、前後方向に延び、前後方向において同幅(上下方向長さ)となるように形成されている。
【0097】
導入部71は、キャリアガス供給管70の第1流れ方向上流側端部に設けられている。また、キャリアガス供給管70の第1流れ方向上流側端部には、キャリアガス接続配管61が接続されている。
【0098】
導入部71は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成されている。つまり、導入部71は、開口断面(左右方向および上下方向に沿って切断された開口断面、つまり、図6が参照されるように、正面開口断面、以下キャリアガス供給管70において単に開口断面という。)が、左右方向に長い略矩形状に形成されており、その開口断面積が、第1流れ方向において同一である。
【0099】
詳しくは、導入部71では、第1壁75間の対向方向長さ、および、第2壁76間の対向方向長さは、第1流れ方向においてともに一定である。
【0100】
また、導入部71における第1流れ方向上流側端部の、下側の第1壁75には、キャリアガス接続配管61が接続されている。なお、キャリアガス接続配管61の接続口の内径は、第2壁76管の対向方向長さより小さく形成されている。
【0101】
縮小部74は、導入部71の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、図6が参照されるように、開口断面略矩形状に形成され、その開口断面積が、導入部71の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなるように形成されている。具体的には、縮小部74において、第1壁75の対向方向(上下方向)の距離を一定に維持しつつ、第2壁76の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に近接する(二次関数的に漸近する)湾曲状に形成されている。
【0102】
詳しくは、縮小部74における第1壁75間の対向方向長さは、導入部71の第1壁75間の対向方向長さと同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、縮小部74における第2壁76間の対向方向長さは、導入部71の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって二次関数的に漸近するように次第に短くなる。
【0103】
スロート部72は、縮小部74の第1流れ方向下流側端縁として形成される部分であり、つまり、図6が参照されるように、開口断面略矩形状に形成され、その開口断面積は、導入部71の開口断面積より小さく形成されている。
【0104】
詳しくは、スロート部72における第1壁75間の対向方向長さは、縮小部74における第1壁75間の対向方向長さと同一である。一方、スロート部72における第2壁76間の対向方向長さは、導入部71における第2壁76間の対向方向長さより小さい。より詳しくは、スロート部72における第2壁76間の対向方向長さは、キャリアガス供給管70において、最小である。
【0105】
噴射部73は、第1噴射部77およびその第1流れ方向下流側に接続される第2噴射部78を連続して備えている。
【0106】
第1噴射部77は、図5に示すように、第1拡大部88およびその第1流れ方向下流側に接続されるストレート部89を備えている。
【0107】
第1拡大部88は、スロート部72の第1流れ方向下流側に接続されている。具体的には、第1拡大部88は、スロート部72の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0108】
また、第1拡大部88の開口断面は、図6が参照されるように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第1拡大部88の開口断面積は、スロート部72の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。具体的には、第1拡大部88において、第1壁75の対向方向(上下方向)の距離を一定に維持しつつ、第2壁76の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0109】
詳しくは、第1拡大部88における第1壁75間の対向方向長さは、スロート部72における第1壁75間の対向方向長さと同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1拡大部88における第2壁76間の対向方向長さは、スロート部72の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0110】
また、第1拡大部88では、第2壁76は、次に述べるように湾曲状に形成されている。
【0111】
また、第1拡大部88は、膨張部65およびその第1流れ方向下流側に接続される圧縮部66を備えている。
【0112】
膨張部65では、平面視における第2壁76における接線69の、噴射部73の開口断面の重心を流れ方向に沿って結ぶ第1直線95に対する傾きが、第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる。一方、圧縮部66では、平面視における第2壁76における接線69の第1直線95に対する傾きが、第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなる。
【0113】
ストレート部89は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成されている。つまり、ストレート部89は、図6が参照されるように、開口断面が、左右方向に長い略矩形状に形成されており、その開口断面積が、第1流れ方向において同一である。
【0114】
詳しくは、ストレート部89では、第1壁75間の対向方向長さ、および、第2壁76間の対向方向長さは、第1流れ方向においてともに一定である。
【0115】
また、上記したスロート部72および第1噴射部77は、ラバルノズルから形成されている。
【0116】
第2噴射部78は、ストレート部89の第1流れ方向下流側に接続されている。具体的には、第2噴射部78はストレート部89の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0117】
また、第2噴射部78の開口断面は、図6に示すように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第2噴射部78の開口断面積は、ストレート部89の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。具体的には、第2噴射部78において、第1壁75の対向方向の距離を一定に維持しつつ、第2壁76の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0118】
詳しくは、第2噴射部78における第1壁75間の対向方向長さは、ストレート部89における第1壁75間の対向方向長さと同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第2噴射部78における第2壁76間の対向方向長さは、ストレート部89の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0119】
また、第2噴射部78は、第2拡大部である上流側噴射部90およびその第1流れ方向下流側に接続される下流側噴射部91を備えている。詳しくは、上流側噴射部90における第2壁76間の対向方向長さは、第1流れ方向下流側に向かって、第1増加率Aで次第に長くなっており、また、下流側噴射部91における第2壁76間の対向方向長さは、上流側噴射部90から第1流れ方向下流側に向かって、第1増加率Aより小さい第2増加率Bで次第に長くなっている。
【0120】
また、図4が参照されるように、第2噴射部78の寸法は、下記式(1)を満たしている。
【0121】
10W≦L≦80W (1)
W:第2噴射部78の第1流れ方向上流側端縁における第2壁76間の対向方向長さ(すなわち、ラバルノズルの内径)
L:第2噴射部78の第1流れ方向長さ
Lが10W未満であると、ドライアイスを加速させるための距離が不足する場合がある。一方、Lが80Wを超えると、キャリアガスが第2噴射部78における第1壁75および第2壁76による抵抗を受けるなどの理由により、キャリアガスの速度が低下する場合がある。
【0122】
好ましくは、下記式(2)を満たしている。
【0123】
15W≦L≦40W (2)
ドライアイス供給部80は、図3に示すように、ドライアイス接続配管81と、それの第2流れ方向(ドライアイスの流れ方向)下流側に接続されるドライアイス供給管82とを備えている。
【0124】
ドライアイス接続配管81は、ドライアイス供給管82にドライアイスを供給するために設けられ、前後方向に延びる略円筒形状に形成されている。ドライアイス接続配管81は、キャリアガス接続配管61と上下方向に間隔を隔てて平行となるように、前後方向に沿って配置されている。
【0125】
ドライアイス接続配管81の第2流れ方向上流側端部、すなわち、後端部は、ドライアイスライン(図示せず)を介して排出管56に接続されている。
【0126】
なお、ドライアイス接続配管81の第2流れ方向上流側端部には、図示しないドライアイス開閉弁が設けられている。図示しないドライアイス開閉弁は、ノズル装置3に設けられるスイッチ(図示せず)と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0127】
ドライアイス供給管82は、ドライアイスをキャリアガス供給管70に供給するために設けられ、前方斜め上側に延びる断面略円形状または断面略楕円形状に形成されている。
【0128】
また、ドライアイス供給管82は、具体的には、噴射部73における下側の第1壁75に接続されている。より具体的には、ドライアイス供給管82は、図4および図5に示すように、第2拡大部における第1流れ方向上流側端部の近傍、すなわち、上流側噴射部90の下流側部分と下流側噴射部91の上流側部分との連続部分に接続されている。詳しくは、ドライアイス供給管82は、上流側噴射部90および下流側噴射部91の第1流れ方向上流側端部に接続されている。
【0129】
なお、ドライアイス供給管82の幅方向長さは、上記した上流側噴射部90における第2壁76間の対向方向長さおよび下流側噴射部91の第1流れ方向上流側端部における第2壁76間の対向方向長さより大きい。そのため、ドライアイス供給管82は、幅方向途中がドライアイス供給管82内に開口している。
【0130】
また、図3に示すように、ドライアイス供給管82の開口断面の重心を第2流れ方向に沿って結ぶ第2直線85と、上記した第1直線95とは、交差しており、第1直線95と第2直線85との交点Pから第1流れ方向上流側に向かう線分(第1線分)Xと、交点Pから第2流れ方向上流側に向かう線分(第2線分)Yとの成す角度αは、鋭角であり、例えば、10〜80度、好ましくは、20〜70度である。
【0131】
また、このノズル装置3には、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81の両方に、それらの長手方向(前後方向)にスライド自在に設けられる把持部96が設けられている。
【0132】
把持部96は、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81が挿入されるスライド装置98と、スライド装置98に取り付けられる取手部99とを備えている。
【0133】
スライド装置98は、平断面視略矩形状に形成され、2つの挿通穴が形成されており、それら挿通穴にキャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81が挿通されている。
【0134】
また、スライド装置98は、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81に対して前後方向にスライド自在である。すなわち、スライド装置98は、ボルトなどの固定部材100でキャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81へ固定させることによって、それらに対して前後方向において固定される一方、固定部材100によってそれらへの固定を解除させることによって、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81に対してスライドする。
【0135】
このノズル装置3では、キャリアガスが、コンプレッサからキャリアガスライン(図示せず)およびキャリアガス接続配管61を介して、導入部71に導入される。そして、キャリアガスは、スロート部72において音速程度(具体的には、300〜340m/秒)まで加速され、次いで、第1噴射部77の第1拡大部88で超音速程度(具体的には、400〜850m/秒)までさらに加速されながら、減圧され、その後、第2噴射部78を、高速(超音速状態)で通過する。また、ストレート部89では、第1壁75および第2壁76が第1流れ方向と並行であるので、キャリアガスが安定した直線流となる。
【0136】
そして、キャリアガスは、第2噴射部78の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、噴射される。
【0137】
一方、ドライアイスは、排出管56から圧送されることなく、キャリアガスの通過により生じる減圧によって上流側噴射部90に吸引されるように供給され、続いて、高速(超音速)のキャリアガスによって加速され、かつ、第2噴射部78の第1流れ方向上流側端部から下流側噴射部91の第1流れ方向下流側端部にわたって、十分に加速される。
【0138】
ドライアイスは、上流側噴射部90の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、キャリアガスとともに、噴射対象物に向けて噴射される。
【0139】
そして、上記したドライアイス噴射システム1を使用、つまり、ドライアイスを噴射するには、まず、ドライアイス供給装置2における第1モータ21の駆動および第2モータ45の駆動を開始させて、供給部15によるドライアイスの供給および粉砕部30によるドライアイスの粉砕を開始する。これと同時に、バイブレータ14の駆動を開始させる。
【0140】
これとともに、コンプレッサを駆動させ、続いて、ノズル装置3におけるキャリアガス開閉弁(図示せず)およびドライアイス開閉弁(図示せず)を開く。
【0141】
これにより、キャリアガスをキャリアガス供給管70に供給するとともに、ドライアイスをドライアイス供給管82からキャリアガス供給管70に供給する。
【0142】
続いて、上記したドライアイスの噴射を実施する。
【0143】
その後、上記したドライアイス噴射システム1の使用を停止するときには、図示しないキャリアガス開閉弁およびドライアイス開閉弁を閉じ、続いて、コンプレッサ、第1モータ21、第2モータ45およびバイブレータ14の駆動を停止させる。
【0144】
そして、上記したドライアイス供給装置2によれば、供給部15は、二軸スクリューフィーダ20を備えるので、第1スクリュー22および第2スクリュー23間において、それらに付着したドライアイスを互いに引き剥がすことができる。
【0145】
そのため、ドライアイスの付着に起因する負荷を低減することができ、ドライアイスを定量的に供給することができる。
【0146】
なお、上記したドライアイス供給装置2では、乾燥ガス送風部16を二軸スクリューフィーダ20に接続しているが、例えば、それに代えて、あるいは、それとともに、ホッパ10に設けることもできる。
【0147】
また、上記した説明では、乾燥ガス送風部16を設けているが、例えば、乾燥ガス送風部16を設けることなくドライアイス供給装置2を構成することもできる。
【0148】
好ましくは、ドライアイス供給装置2に乾燥ガス送風部16を設ける。乾燥ガス送風部16によって、ホッパ10に収容されるドライアイスおよび供給部15から供給されるドライアイスに、乾燥ガスを送風することができるので、ドライアイスの表面における凝固水の付着を防止することができる。
【0149】
そのため、ホッパ10において、凝固水の付着に起因するブリッジの発生、および/または、供給部15におけるドライアイスの付着およびそれに起因する負荷の発生を確実に防止することができる。
【0150】
その結果、ドライアイスをより一層定量的に供給することができる。
【0151】
また、上記した説明では、粉砕部30には、第1羽根42、第2羽根43および第3羽根44を備える羽根部40を設けているが、例えば、図示しないが、羽根部40に代えて、破砕ロールを設けることもできる。好ましくは、羽根部40を設ける。
【0152】
羽根部40を設ければ、供給部15から供給されるドライアイスを、粉砕部30の粉砕槽35において、羽根部40によって効率よく粉砕することができる。
【0153】
しかも、羽根部40は、粉砕槽35において広いスペースを必要とする破砕ロールに比べて、粉砕槽35内にコンパクトに設けられる。そのため、省スペース化を図ることができる。
【0154】
また、上記した説明では、排出管56を、粉砕槽35の接線方向に沿って接続させているが、例えば、図示しないが、粉砕槽35の径方向に沿って接続させることもできる。好ましくは、排出管56を、粉砕槽35の接線方向に沿って接続させる。
【0155】
このような構成では、粉砕部30において、羽根部40によって粉砕されたドライアイスを、第1羽根42、第2羽根43および第3羽根44の回転に伴って、粉砕槽35の接線方向に沿って排出管56から効率的に排出して、効率的に供給することができる。
【0156】
また、上記した説明では、粉砕部30を供給部15に設けているが、例えば、図示しないが、粉砕部30を設けず、ドライアイスを粉砕することなく、二軸スクリューフィーダ20からドライアイスラインを介してノズル装置3に供給することもできる。
【0157】
また、上記したノズル装置3によれば、キャリアガス供給管70では、キャリアガスが、導入部71に導入され、スロート部72において、加速された後、噴射部73を高速で通過する。
【0158】
また、ドライアイス供給管82からは、噴射部73においてキャリアガスの通過によって、ドライアイスが吸引されて、かかるドライアイスがキャリアガスによって高速で噴射される。
【0159】
そのため、ドライアイス供給管82において、ドライアイスを圧送してキャリアガス供給管70に送り込む場合に比べて、ドライアイスを効率よく供給して噴射することができる。
【0160】
また、このノズル装置3では、噴射部73の第1壁75間の対向方向長さを一定に維持しつつ、噴射部73における第2壁76間の対向方向長さを長くすることができる。つまり、噴射部73の断面形状を略矩形にすることができる。そのため、特許文献1に記載の開口断面円形状のブラストガンの開口断面積と同一の開口断面積であっても、噴射部73の第2壁76間の対向方向長さを長くすることができるので、第1壁75にドライアイス供給管82を接続することにより、ドライアイス供給管82の供給口の開口断面積を大きくすることができる。その結果、種々のサイズを有する粉粒状のドライアイスを、ドライアイス供給管82の供給口から噴射部73に円滑に供給することができる。
【0161】
さらに、このドライアイス供給装置2では、第1流れ方向において、第1壁75間の対向方向長さを一定にしながら、第1壁75の直交方向長さのみ、つまり、第2壁76間の対向方向長さのみを変化させることによって、噴射部73を構成することができる。
【0162】
そのため、噴射部73を簡易かつ低コストで形成することができる。
【0163】
なお、上記した説明では、導入部71、縮小部74およびスロート部72の第1壁75の対向方向長さを第1流れ方向において一定となるように、開口断面略矩形状に形成しているが、例えば、図示しないが、それらの長さを変動させて、開口断面略円形状または開口断面略楕円形状に形成することもできる。
【0164】
また、上記した説明では、ドライアイス供給管82を、第2拡大部の上流側端部の近傍に接続しているので、スロート部72においてキャリアガスが加速され、続いて、第1噴射部77においてキャリアガスがさらに加速され、その後、第2拡大部の上流側端部の近傍において、高速のキャリアガスに、ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0165】
つまり、ドライアイス供給管82は、第2拡大部の第1流れ方向上流側端部の近傍に接続されているので、第2噴射部78の第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離を確保することができる。そのため、ドライアイスを、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0166】
また、上記した説明では、スロート部72および第1噴射部77を、ラバルノズルから形成しているが、その態様は、特に限定されない。好ましくは、ラバルノズルから形成する。
【0167】
これにより、スロート部72によって、キャリアガスを音速まで加速し、次いで、第1噴射部77によって、かかるキャリアガスを超音速まで加速することができる。
【0168】
そのため、第2噴射部78において、ドライアイスを、超音速のキャリアガスによって加速し、次いで、第2噴射部78の噴射口から高速で噴射することができる。
【0169】
また、第2噴射部78は、上記式(1)を満たしているので、第2噴射部78から噴射されるキャリアガスの流速を超音速にすることができる。
【0170】
また、上記した説明では、下流側噴射部91を、第2壁76間の対向方向長さが、上流側噴射部90から第1流れ方向下流側に向かって、次第に長くなるように形成している(図7(a)参照)が、例えば、図7(b)に示すように、下流側噴射部91の第2壁76間の対向方向長さが第1流れ方向において略同一となるように形成することもできる。
【0171】
さらには、図7(c)に示すように、下流側噴射部91の第2増加率Bを、上流側噴射部90の第1増加率Aと同一に設定することもできる。
【0172】
好ましくは、図7(a)および図7(b)の態様が挙げられる。
【0173】
このような構成によれば、上流側噴射部90の第1壁75に、ドライアイス供給管82を、より広い開口断面積で接続することができる。そのため、ドライアイスを、ドライアイス供給管82の供給口から上流側噴射部90により一層円滑に供給することができる。
【0174】
また、下流側噴射部91において、ドライアイスを高速のキャリアガスに乗せて十分に加速して、効率よく噴射することができる。
【0175】
さらに好ましくは、さらなる噴射効率の観点から、図7(a)の態様が挙げられる。
【0176】
また、上記した説明では、第1線分Xおよび第2線分Yとの成す角度αを鋭角に設定しているが、例えば、図示しないが、直角、あるいは、鈍角に設定することもできる。
【0177】
好ましくは、第1線分Xと第2線分Yとの成す角度αを鋭角に設定する。これにより、ドライアイスをドライアイス供給管82から噴射部73に円滑に供給することができる。
【0178】
そのため、噴射部73におけるドライアイスの効率のよい噴射を達成することができる。
【0179】
また、上記したノズル装置3では、把持部96を、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81の長手方向にスライドさせることにより、作業者と噴射対象物との距離に対応するように、把持部96と噴射部73の第1流れ方向下流側端縁との間の長さを自在に変更することができる。そのため、噴射の作業性を向上させることができる。
【0180】
また、把持部96をスライドさせても、噴射部73の第1流れ方向長さを一定に維持することができる。
【0181】
そのため、ドライアイスの噴射の作業性を向上させながら、効率のよいドライアイスの噴射を維持することができる。
【0182】
なお、上記した説明では、把持部96を、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81両方にスライド自在に設けているが、例えば、図示しないが、把持部96に、キャリアガス接続配管61およびドライアイス接続配管81のいずれか一方のみを挿入させ、それの長手方向にスライド自在に設けることもできる。
【0183】
また、図3の仮想線で示すように、さらに、加熱手段としてのヒータ26を、噴射部73におけるドライアイス供給管82の接続部に設けることもできる。
【0184】
キャリアガスが、ドライアイスの供給によって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0185】
しかし、これによれば、ヒータ26によって、噴射部73におけるドライアイス供給管82の接続部を通過するキャリアガスを加熱できるので、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、ドライアイスを噴射部73から効率よく加速することができる。
【0186】
また、ドライアイス供給管82において、ドライアイスによる目詰まりが発生する場合がある。
【0187】
しかし、このノズル装置3では、ヒータ26によって、上記したドライアイスによる目詰まりを解消でき、ドライアイスを噴射部73からより一層効率よく噴射することができる。
【0188】
なお、ヒータ26は、噴射部73におけるドライアイス供給管82の接続部の近傍、具体的には、接続部の第1流れ方向下流側部分に設けることもできる。
【0189】
そして、上記した図1に示すドライアイス噴射システム1によれば、クリーンなドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【0190】
このようなドライアイス噴射システム1は、ドライアイスの噴射によって、噴射対象物を洗浄する洗浄システムとして用いることができる。噴射対象物である洗浄対象物としては、特に限定されず、例えば、トナーの製造工程に用いられる混合装置、混練装置、粉砕装置、分級装置などのトナー製造設備、例えば、鋼板、コンクリート、スパッタリング装置などの成膜装置のチャンバーの内壁、焼却炉の内壁、医療機器(錠剤を製造するためのミキサー、成形機など)などが挙げられる。
【0191】
このような洗浄システムでは、ドライアイスを効率よく洗浄対象物に噴射して、優れた洗浄力を確保しながら、洗浄後、洗浄対象物の表面に、ドライアイスが残存しても、ドライアイスが揮発し易く、そのため、洗浄対象物の表面をクリーンな状態に維持することができる。
【0192】
また、上記したドライアイス噴射システム1は、例えば、ドライアイスの噴射によって、噴射対象物をブラスト加工するブラスト加工システムとして用いることもできる。噴射対象物であるブラスト加工対象物としては、例えば、鋼板、コンクリートなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0193】
3 ノズル装置
26 ヒータ
61 キャリアガス接続配管
70 キャリアガス供給管
71 導入部
72 スロート部
73 噴射部
75 第1壁
76 第2壁
77 第1噴射部
78 第2噴射部
81 ドライアイス接続配管
82 ドライアイス供給管
85 第2直線
88 第1拡大部
90 上流側噴射部(第2拡大部)
91 下流側噴射部
95 第1直線
96 把持部
P 交点
X 第1線分
Y 第2線分
α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉粒状のドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるドライアイス供給管とを備えるノズル装置であって、
前記キャリアガス供給管は、
前記キャリアガスが導入される導入部と、
前記導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、前記導入部の開口断面積より小さい開口断面積を有する絞り部と、
前記絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、前記絞り部の開口断面積より大きい開口断面積を有する噴射部とを備え、
前記噴射部は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、
前記第1壁間の対向方向長さが、一定であり、
前記ドライアイス供給管は、前記噴射部の前記第1壁に接続されていることを特徴とする、ノズル装置。
【請求項2】
前記噴射部は、
前記絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かうに従って開口断面積が大きくなる第1拡大部を有する第1噴射部と、
前記第1噴射部の前記第1流れ方向下流側端縁から前記第1流れ方向下流側に向かうに従って開口断面積が大きくなる第2拡大部を有する第2噴射部とを備え、
前記ドライアイス供給管は、前記第2拡大部における第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記絞り部および前記第1噴射部が、ラバルノズルから形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記第2噴射部の寸法が下記式を満たしていることを特徴とする、請求項3に記載のノズル装置。
10W≦L≦80W
W:前記第2噴射部の前記第1流れ方向上流側端縁における前記第2壁間の対向方向長さ
L:前記第2噴射部の前記第1流れ方向長さ
【請求項5】
前記第2噴射部は、
前記第2壁間の対向方向長さが、前記第1流れ方向下流側に向かって、第1増加率で次第に長くなる上流側噴射部と、
前記上流側噴射部の前記第1流れ方向下流側に接続されており、前記第2壁間の対向方向長さが前記第1流れ方向において略同一であるか、または、前記第2壁間の対向方向長さが、前記上流側噴射部から前記第1流れ方向下流側に向かって、前記第1増加率より小さい第2増加率で次第に長くなる下流側噴射部とを備えていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項6】
前記噴射部の開口断面の重心を前記第1流れ方向に沿って結ぶ第1直線と、
前記ドライアイス供給管の開口断面の重心を前記ドライアイスの流れ方向である第2流れ方向に沿って結ぶ第2直線とが交差しており、
前記第1直線と前記第2直線との交点から前記第1流れ方向上流側に向かう線分と、
前記交点から前記第2流れ方向上流側に向かう線分との成す角度が、鋭角であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項7】
前記噴射部の前記第1流れ方向上流側に接続されるキャリアガス接続配管と、
前記ドライアイス供給管の前記ドライアイスの流れ方向である第2流れ方向上流側に接続されるドライアイス接続配管と、
前記キャリアガス接続配管および前記ドライアイス接続配管の少なくとも一方に、それらの長手方向にスライド自在に設けられる把持部と
を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項8】
さらに、前記噴射部における前記ドライアイス供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のノズル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−218324(P2011−218324A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92677(P2010−92677)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】