説明

ノボラック型フェノール樹脂およびこれを含むフォトレジスト組成物

【課題】半導体やLCDを製造する際のリソグラフィーに使用されるフォトレジスト用として、高耐熱、高感度、高残膜率、高解像度なフォトレジストの製造を可能にするノボラック型フェノール樹脂を提供すること。
【解決手段】m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と架橋成分(b)とを反応して得られるノボラック型フェノール樹脂であって、架橋成分(b)が、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有し、架橋成分(b)における、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)が5/95〜95/5であることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体やLCDを製造する際のリソグラフィーに使用されるフォトレジスト用として、高耐熱、高感度、高残膜率、高解像度なフォトレジストの製造を可能にするノボラック型フェノール樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にポジ型フォトレジストはナフトキノンジアジド化合物等のキノンジアジド基を有する感光剤とアルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック型フェノール樹脂)が用いられる。このような組成からなるポジ型フォトレジストはアルカリ溶液による現像によって高い解像力を示し、IC、LSI等の半導体製造、LCDなどの回路基材の製造に利用されている。またノボラック型フェノール樹脂は露光後のドライエッチングに対し、芳香環を多く持つ構造に起因する高い耐熱性も有しており、これまでノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤とを含有する数多くのポジ型フォトレジストが開発、実用化されている。
【0003】
上記のポジ型フォトレジスト用のノボラック型フェノール樹脂は、m−、p−またはo−クレゾールとホルムアルデヒドとを酸触媒の存在下で反応させて得られる樹脂であり、フォトレジストの特性を調整または向上させるために、m−、p−またはo−クレゾールの比率や樹脂の分子量などの検討がなされている。特に、半導体製造用のフォトレジストでは、高耐熱、高感度、高残膜率、高解像度をバランスよく保つフェノール樹脂が重要視されている。
【0004】
耐熱性を向上させる方法としては、フェノール類として、キシレノール、トリメチルフェノールなどのアルキルフェノール類を用いて検討された例があるが、この方法では耐熱性が若干向上する程度であり、目的にかなうフォトレジスト製造用のノボラック型フェノール樹脂としては不十分である。
【0005】
上記以外の耐熱性向上の方法としては、フェノール樹脂の製造の際に、原料のフェノール類として、カルボキシル基含有フェノール類を用いるか、あるいは原料のアルデヒド類として、カルボキシル基含有アルデヒド類を使用する方法が開示されている(特許文献1〜3)。
LCD等の分野においても、TFT、STNなどの技術の進展に伴い画像の線幅が細くなり、ますます微細化の傾向が強まっている。最近では、高精細なTFT表示素子では、設計寸法が数μmレベルまで向上している。かかる用途においては、特に高い解像力、高耐熱性、高感度を有するフォトレジストが要求され、従来の上記のポジ型フォトレジスト用のフェノール樹脂では対応できないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−136230号公報
【特許文献2】特開2001−114853号公報
【特許文献3】特開平8−202034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高耐熱性・高解像度・高感度・高残膜率を両立したフォトレジスト用ノボラック型フェノール樹脂、及びそれを含有するフォトレジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と架橋成分(b)とを反応して得られるノボラック型フェノール樹脂であって、架橋成分(b)が、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有し、架橋成分(b)における、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)が5/95〜95/5であることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂;
(2)上記ノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物;及び
(3)m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有する架橋成分(b)であって、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)が95/5〜5/95である架橋成分(b)とを架橋反応させる工程を含むことを特徴とするノボラック型フェノール樹脂の製造方法;
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のノボラック型フェノール樹脂を使用したフォトレジストは、高耐熱性・高解像度・高感度・高残膜率を両立しており、高集積半導体を製造する際のリソグラフィーや液晶用の薄膜フィルムトランジスター(TFT)材料に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<ノボラック型フェノール樹脂>
本発明のノボラック型フェノール樹脂(A)は、フェノール成分(a)と架橋成分(b)を縮合反応に付して得られる。
【0011】
<フェノール成分(a)>
本発明におけるフェノール成分(a)は、m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有する。すなわち、フェノール成分(a)は、m−クレゾール若しくはp−クレゾール又はm−クレゾールとp−クレゾールの混合物であることが必須であるが、その他のフェノール類を含有してもよい。その他の使用できるフェノール類としては、具体的には、フェノール、o−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールが挙げられる。キシレノールは、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールの各構造異性体が使用でき、トリメチルフェノールにおいても、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等の各異性体が使用できる。これらのフェノール類は、単独でも2種以上を混合使用してもよい。
【0012】
本発明におけるフェノール成分(a)において、m−クレゾールとp−クレゾールの合計の含有量は、フェノール成分(a)に対して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%である。前記フェノール成分(a)中において、m−クレゾールとp−クレゾールの合計の含有量が少なすぎると、耐熱性が劣る。
【0013】
フェノール成分(a)におけるm−クレゾールとp−クレゾールの割合は、好ましくは20/80〜100/0、より好ましくは40/60〜80/20である。m−クレゾールの割合が少なすぎると感度が高くなりすぎる場合がある。
【0014】
フェノール成分(a)は、m−クレゾール及びp−クレゾールの両方を含有することが好ましい。
【0015】
<架橋成分(b)>
本発明における架橋成分(b)は、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有し、架橋成分(b)における、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)は、5/95〜95/5であり、好ましくは20/80〜70/30、より好ましくは30/70〜60/40である。このモル比が95/5を超えるとプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する溶解性が劣り、5/95を下回るとレジスト溶液にした場合、感光剤の溶解性が低くなりすぎる場合がある。
【0016】
架橋成分(b)は、ノボラック型フェノール樹脂を構成するフェノール成分を架橋する作用を有する成分であり、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の他に、このような作用を有する周知のアルデヒド及び/又はケトンを含有することができる。
【0017】
架橋成分(b)中のカルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の合計量は、架橋成分(b)に対して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは90重量%以上であり、最も好ましくは100重量%である。
【0018】
前記架橋成分(b)は、水溶液として反応系中に添加することもできる。
【0019】
<アルデヒド及び/またはケトン(b1)>
本発明におけるアルデヒド及び/またはケトン(b1)は、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトンであり、アルデヒド及び/またはケトン(b1)としては、アルデヒドまたはケトンのカルボニル炭素にカルボニルオキシ基が直接または間接的に結合している化合物であれば、特に限定されずに使用することができる。カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)の具体例としては、グリオキシル酸、ホルミル酢酸、2−ホルミルプロピオン酸、ピルビン酸、レブリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のカルボキシ基を有するアルデヒド及び/又はケトン;グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル基を有するアルデヒド及び/又はケトンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
【0020】
前記カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/又はケトン(b1)の中でも、耐熱性の付与の観点から、カルボキシ基を有するアルデヒド及び/ケトンが好ましく、反応性や入手の容易さの観点から、グリオキシル酸がさらに好ましい。
【0021】
<ポリアルデヒド(b2)>
本発明で使用されるポリアルデヒド(b2)は、分子中に2個以上のアルデヒド基を有する化合物、例えば、ジアルデヒド、トリアルデヒド等である。ジアルデヒドとしては、例えば、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド又はアドプアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド化合物や、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド又はテレフタルアルデヒド等の芳香族ジアルデヒドが挙げられる。トリアルデヒドとして、トリホルミルメタン、ベンゼントリアルデヒド等が挙げられる。ポリアルデヒド(b2)としては、入手の容易さからグリオキザール、グルタルアルデヒドが好ましい。これらのポリアルデヒドは、単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
<フェノール成分(a)と架橋成分(b)のモル比(a/b)>
本発明において、フェノール成分(a)と架橋成分(b)を反応する際には、フェノール成分(a)1モルに対して、架橋成分(b)中のカルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の合計を、好ましくは0.2〜1.0モル、より好ましくは0.3〜0.5モルとする。
【0023】
<ノボラック型フェノール樹脂>
本発明のノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、フォトレジスト組成物の性能や製造上のハンドリング性から、4000〜50000が好ましく、5000〜30000がより好ましく、7000〜20000がさらに好ましい。重量平均分子量が5000より小さい場合は、感度が高すぎて耐熱性に劣る場合があり、50000より大きい場合は感度が低い場合がある。
【0024】
本発明のノボラック型フェノール樹脂の軟化点は、耐熱性から140℃以上が好ましく、さらに好ましくは150℃以上、もっとも好ましくは160℃以上である。軟化点が140℃より低いと、フォトレジスト用として使用する場合に、耐熱性に劣り、好ましくない。
【0025】
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有する架橋成分(b)であって、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド類(b2)とのモル比(b1/b2)が5/95〜95/5である架橋成分(b)とを架橋反応させる工程を含むことを特徴とする。
【0026】
<1段法>
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、例えば、酸触媒存在下、一定量のフェノール成分(a)に対して、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド類(b2)を含有する架橋成分(b)を添加して1段の架橋反応で行なうことができる。この1段反応の場合は、フェノール成分(a)1モルに対して、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の合計を0.2〜1.0モル、好ましくは0.3〜0.5モルの範囲で使用すると共に、低温の反応温度(一例として100℃前後)にて、まずフェノール成分(a)とポリアルデヒド(b2)の反応を優先的に行ない、主として低分子量のメチレン架橋基のフェノール樹脂を形成させ、次いで昇温または触媒を増量してメチレン架橋基フェノール樹脂、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)及びフェノール成分(a)を反応させる方式を採用するのが好ましい。
【0027】
<2段法>
本発明のノボラック型フェノール樹脂は、例えば、酸触媒存在下、架橋成分であるカルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)の添加時期と架橋成分であるポリアルデヒド(b2)の添加時期をずらす2段法によって製造することもできる。2段法には、ポリアルデヒド(b2)を含む架橋成分(b)の一部を最初に加えてフェノール成分(a)と反応させ、次いで、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)を含む架橋成分(b)の残部を加えて更に反応させる方式と、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)を含む架橋成分(b)の一部を最初に加えてフェノール成分(a)と反応させ、次いで、ポリアルデヒド(b2)を含む架橋成分(b)の残部を添加して更に反応させる方式があり、何れの方式も採用できる。2段法において、フェノール成分(a)1モルに対して、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の合計を好ましくは0.2〜1.0モル、より好ましくは0.3〜0.5モルの範囲で使用する。
【0028】
ノボラック型フェノール樹脂は、2段法で製造するのがより好ましい。その理由は、2段法によれば、カルボニルオキシ基を含有する架橋基で架橋されたフェノール樹脂の重合単位及びメチレン架橋基で架橋されたフェノール樹脂の重合単位の重合度の分布が狭くなり、分子量のコントロールが容易となり、所望の重合体が得やすいからである。
【0029】
2段法の架橋反応は、1段法の架橋反応条件に準じて実施することができる。
【0030】
<酸触媒>
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、酸触媒を使用することができる。酸触媒としては、フェノール成分とアルデヒド又はケトンとを反応させる能力のあるものであれば、特に限定されることなく使用可能であり、例えば、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無機酸などを使用できる。触媒の使用量は、フェノール成分(a)に対して、0.01重量%〜5重量%であるが、フォトレジスト用組成物の特性の向上のためには、極力少ない方が好ましい。樹脂中に酸触媒が残存するとフォトレジストの特性に弊害を及ぼすため、アミン類または無機アルカリを使用して酸触媒を中和することが好ましい。
【0031】
前記1段反応及び2段反応における酸触媒の使用量は、その種類によっても異なるが、シュウ酸の場合は0.3〜1.0重量%程度、硫酸の場合は0.05〜0.1重量%程度、またパラトルエンスルホン酸の場合は0.1〜0.5重量%程度使用するのがよい。硫酸又はパラトルエンスルホン酸を使用することが好ましい。
【0032】
<反応温度>
前記1段反応及び2段反応における反応温度は、とくに限定されないが、好ましくは60〜160℃、より好ましくは80〜140℃である。50℃より低いと重合が進まず、200℃より高いと反応の制御が難しくなる場合があり、目的のノボラック型フェノール樹脂を安定的に得ることが困難となる場合があるので好ましくない。
【0033】
<反応溶媒>
本発明の製造方法には、必要によって反応溶媒を使用することができる。
反応溶媒としては、フェノール成分(a)、カルボニルオキシ基含有アルデヒド及び/またはカルボニルオキシ基含有ケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を溶解する水が好適であるが、場合によっては、反応に影響を及ぼさない有機溶媒を使用することもできる。
【0034】
このような有機溶媒としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類等が挙げられる。
【0035】
これらの反応溶媒の使用量は、通常、反応原料100重量部当り、20〜1000重量部である。
【0036】
<反応時間、反応圧力>
本発明における反応時間は、反応温度にもよるが、通常は20時間以内である。
本発明における反応圧力は、通常は常圧下で行われるが、若干の加圧ないし減圧下でも行うことができる。
【0037】
<後処理>
本発明における架橋反応終了後、後処理として、塩基を添加して酸触媒を中和し、続いて酸触媒を除去するために水を加えて水洗を実施することが好ましい。
【0038】
酸触媒の中和のための塩基としては、特に限定されることはなく、酸触媒を中和し、水に可溶となる塩を形成するものであれば使用可能である。塩基としては、例えば、金属水酸化物や金属炭酸塩などの無機塩基ならびにアミンや有機アミンなどの有機塩基が挙げられる。無機塩基としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムや炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムが挙げられる。有機塩基のアミンあるいは有機アミンの具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。好ましくは有機アミンが使用される。塩基の使用量は、酸触媒を中和し、反応系内のpHを4〜8の範囲にする量で使用することが好ましい。
【0039】
水洗における水洗水の量と水洗の回数は、特に限定されない。酸触媒をレジスト用組成物としての実使用に影響ない程度の量まで除去するには、水洗回数としては1〜5回程度である。
【0040】
水洗温度は、特に限定されないが、触媒除去の効率と作業性の観点から40〜95℃で行うのが好ましい。水洗中、樹脂と水洗水の分離が悪い場合は、樹脂の粘度を低下させる溶媒の添加や水洗温度を上昇させることが効果的である。このような溶媒は、フェノール樹脂を溶解し、粘度を低下させるものであれば特に限定されることなく使用することができる。
【0041】
酸性触媒を中和及び水洗により除去した後、例えば、反応系の温度を130℃〜230℃に上げて、20〜50toorの減圧下で、反応系内に存在する未反応原料、有機溶媒等の揮発分を留去して、本発明のノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。
【0042】
[フォトレジスト組成物]
本発明のレジスト組成物は、ノボラック型フェノール樹脂(A)を好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜25重量%含有する。
【0043】
本発明のレジスト用組成物は、さらに感光剤(B)を含有することが好ましい。感光剤(B)としては、ノボラック型フェノール樹脂を含むフォトレジストの感光剤として公知のものを使用できる。感光剤(B)としては、キノンジアジド基を有するキノンジアジド化合物が好ましく、特に1,2−キノンジアジド化合物又はその誘導体が好ましい。
【0044】
キノンジアジド化合物を用いることで、露光した部分は溶解促進効果によりアルカリ溶解速度が大きくなり、逆に露光しない部分は溶解抑制効果によりアルカリ溶解速度が小さくなり、この露光部と未露光部の溶解速度の差によって、コントラストの高い、シャープなレジストパターンを得ることが出来る。
【0045】
キノンジアジド化合物としては、従来、キノンジアジド−ノボラック系レジストで用いられている公知の化合物を用いることができる。このようなキノンジアジド基を含む化合物としては、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライド等と、これらの酸クロライドと縮合反応可能な官能基を有する化合物とを反応させることによって得られた化合物が好ましい。ここで酸クロライドと縮合可能な官能基としては水酸基、アミノ基等があげられるが、特に水酸基が好適である。酸クロライドと縮合可能な水酸基を有する化合物としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等のヒドロキシベンゾフェノン類、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン等のヒドロキシフェニルアルカン類、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタン、4,4’,2”,3”,4”−ペンタヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタン等のヒドロキシトリフェニルメタン類などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上を組合せて用いてもよい。
【0046】
酸クロライドであるナフトキノンジアジドスルホン酸クロライドやベンゾキノンジアジドスルホン酸クロライドの具体例としては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルフォニルクロライドなどが好ましいものとして挙げられる。
【0047】
感光剤(B)の配合量は、ノボラック型フェノール樹脂(A)100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、より好ましくは10〜40重量部である。感光剤(B)の配合量が5重量部よりも少なくと、感光性樹組成物として十分な感度が得られないことがあり、また、50重量部よりも多いと成分の析出の問題が起こることがあるので好ましくない。
【0048】
本発明のレジスト組成物は、上記のノボラック型フェノール樹脂(A)及び感光剤(B)の他に、レジスト組成物の慣用成分である、溶剤、酸化防止剤等の安定剤、可塑剤、界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤、溶解阻害剤などを添加することができる。
【実施例】
【0049】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
また、成分の含有量および樹脂の物性値等の分析方法は以下の通りである。
【0051】
(1)重量平均分子量(GPC測定方法)
型式 :HLC−8220 東ソー(株)製
カラム :TSK−GEL Hタイプ G2000H×L 4本
G3000H×L 1本
G4000H×L 1本
測定条件:カラム圧力 13.5MPa
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)フローレート 1ml/min
温度 :40℃
検出器 スペクトロフォトメーター(UV−8020)RANGE 2.56
WAVE LENGTH 254nm とRI
【0052】
(2)軟化点(環球法)
JIS K−7234に準じた方法で測定した。
【0053】
(3)ノボラック型フェノール樹脂のアルカリ溶解速度の評価方法
ノボラック型フェノール樹脂3gをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)9gに溶解し、樹脂溶液を調合した。これらを0.2ミクロンメンブレンフィルターで濾過した。これを4インチシリコンウェハー上に約1.5μmの厚みになるようにスピンコーターで塗布し、110℃で60秒間ホットプレート上で乾燥させた。次いで現像液(2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液)を用い、完全に膜が消失するまでの時間を計測した。初期膜厚を溶解するまでの時間で割った値を溶解速度とした。
【0054】
(4)感光剤溶解性の評価方法
ノボラック型フェノール樹脂20gとナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルホン酸と2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンエステル5gとをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)75gに溶解し、レジスト液とした。このレジスト液を室温25℃に保ち、2日間かけて振盪機を用いて溶解させ、下記基準で評価した。
○:感光剤の完全溶解
×:感光剤の不溶部あり
【0055】
(5)プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)溶解性の評価方法
ノボラック型フェノール樹脂25gをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)75gに溶解し、樹脂溶液を調合した。この溶液を室温中で振盪機を用いて溶解させ、下記基準で評価した。
○:1〜3日で完全に溶解
×:4日以上で完全に溶解、又は不溶
【0056】
実施例1 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール38g(0.35モル)、p−クレゾール57g(0.53モル)、50%グルタルアルデヒド34.71g(0.18モル)及びp−トルエンスルホン酸0.33gを入れ、120℃で4時間反応させた。その後、40%グリオキシル酸水溶液32.53g(0.18モル)を入れ、120℃で4時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.4gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂45gを得た。
【0057】
実施例2 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール38g(0.35モル)、p−クレゾール57g(0.53モル)、50%グルタルアルデヒド29.50g(0.15モル)及びp−トルエンスルホン酸0.33gを入れ、100℃で20時間反応させた。その後、40%グリオキシル酸水溶液32.69g(0.18モル)を入れ、110℃で4時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.4gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂70gを得た。
【0058】
実施例3 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール63g(0.58モル)、p−クレゾール42g(0.39モル)、50%グルタルアルデヒド32.78g(0.17モル)及びp−トルエンスルホン酸0.21gを入れ、100℃で20時間反応させた。その後、40%グリオキシル酸水溶液45.40g(0.24モル)を入れ、110℃で4時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.3gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂96gを得た。
【0059】
実施例4 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール89g(0.82モル)、p−クレゾール22g(0.20モル)、50%グルタルアルデヒド40.66g(0.21モル)及びp−トルエンスルホン酸0.22gを入れ、100℃で20時間反応させた。その後、40%グリオキシル酸水溶液28.72g(0.15モル)を入れ、110℃で4時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.3gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂90gを得た。
【0060】
実施例5 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール82g(0.76モル)、p−クレゾール55g(0.51モル)、50%グルタルアルデヒド57.65g(0.29モル)、40%グリオキシル酸水溶液35.41g(0.19モル)及びp−トルエンスルホン酸0.27gを入れ、110℃で20時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.3gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂118gを得た。
【0061】
実施例6 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール63g(0.58モル)、p−クレゾール95g(0.88モル)、50%グルタルアルデヒド72.31g(0.37モル)、40%グリオキシル酸水溶液40.86g(0.22モル)及びp−トルエンスルホン酸0.32gを入れ、110℃で20時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却してトリエチルアミン0.3gを添加し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂125gを得た。
【0062】
比較例1 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール80g(0.74モル)、p−クレゾール120g(1.11モル)、42%ホルマリン81.3g(1.14モル)及び蓚酸0.8gを三つ口フラスコに入れ、100℃で10時間反応させた後、180℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂150gを得た。
【0063】
表1に示すとおり、比較例1のノボラック型フェノール樹脂を用いたレジスト組成物は、現像液への溶解速度が遅すぎることが分かった。
【0064】
比較例2 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール100g(0.93モル)、p−クレゾール100g(0.93モル)、50%グルタルアルデヒド74.2g(0.20モル)、p−トルエンスルホン酸0.4gを三つ口フラスコに入れ、100℃で10時間反応させた後、80℃まで冷却してトリエチルアミン0.3g添加し、イオン交換水110gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した分離水のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、180℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂158gを得た。
【0065】
表1に示すとおり、比較例2のノボラック型フェノール樹脂を用いたレジスト組成物は、現像液への溶解速度が遅すぎること、レジスト液への感光剤の溶解性が低いことが分かった。
【0066】
比較例3 ノボラック型フェノール樹脂の合成
温度計、仕込み・留出口および攪拌機を備えたガラス製三口フラスコに、m−クレゾール63g(0.58モル)、p−クレゾール42g(0.39モル)、40%グリオキシル酸水溶液45.40g(0.25モル)及びシュウ酸0.37gを入れ、110℃で20時間反応させた。反応終了後、90℃まで冷却し、イオン交換水100gを添加して攪拌、静置した。静置することにより分離した水層のpHを5.5〜7.0となるように調整し、分離水を除去した。この操作を2回行った。その後、185℃まで昇温して脱水した後、30torrで2時間減圧蒸留を行い、ノボラック型フェノール樹脂58gを得た。
【0067】
表1に示すとおり、比較例3のノボラック型フェノール樹脂を用いたレジスト組成物は、現像液への溶解速度が速すぎること、軟化点が低すぎることが分かった。
【0068】
試験例1
実施例1〜6及び比較例1〜2のそれぞれのノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量、軟化点、アルカリ溶解速度、感光剤溶解性及びPGMEA溶解性を測定した。測定結果を表1に示した。
【0069】
【表1】

【0070】
[レジスト組成物の調製]
実施例1〜6及び比較例1〜3のそれぞれのノボラック型フェノール樹脂を用い、以下の配合でレジスト組成物を調製した。
ノボラック型フェノール樹脂:20重量部
感光剤(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド):5重量部
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):75重量部
【0071】
[レジスト組成物の評価方法]
試験例1 レジスト組成物の感度・残膜率・解像度の評価方法
ノボラック型フェノール樹脂20重量部と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド5重量部とをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)75重量部に溶解し、レジスト溶液を調合した。これらを0.2ミクロンメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物とした。これを4インチシリコンウェハー上に約1.5μの厚みになるようにスピンコーターで塗布し、110℃、60秒間ホットプレ−ト上で乾燥させた。その後、縮小投影露光装置を用い、露光時間を段階的に変えて露光した。次いで現像液(1.71%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液)を用い、60秒間現像し、リンス、乾燥を行なった。
【0072】
感度は、走査型電子顕微鏡により、得たれたパターンのパターン形状を観察することにより、以下の基準で評価を行なった。
A:5mJ/cm未満で画像が形成出来る。
B:5〜60mJ/cmで画像が形成出来る。
【0073】
未露光部の残膜厚から残膜率を求めた。残膜率とは、現像後の感光性樹脂の膜厚と現像前の感光性樹脂の膜厚の比であり、
残膜率(%)=(現像後の感光性樹脂の膜厚/現像前の感光性樹脂の膜厚)×100
により表される値である。
【0074】
また、解像度は、テストチャートマスクを用い、下記基準で評価した。
○:2.0μライン&スペースが解像できる
×:2.0μライン&スペースが解像できない
【0075】
試験例2 耐熱性の評価方法
ノボラック型フェノール樹脂20重量部と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルフォニルクロライド5重量部とをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)75重量部に溶解し、レジスト溶液を調合した。これらを0.2ミクロンメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物とした。これを4インチシリコンウェハー上に約15000Åの厚みになるようにスピンコーターで塗布し、110℃、60秒間ホットプレート上で乾燥させた。その後、縮小投影露光装置を用い、露光時間を段階的に変えて露光した。次いで現像液(1.71%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液)を用い、60秒間現像した。得られたシリコンウエハーを温度を変えたホットプレート上で2分間放置し、シリコウエハー上のレジストパターンの形状を走査型電子顕微鏡で観察し、耐熱性を下記基準により評価した。
○:140℃でパターン形状を維持できる。
×:140℃でパターン形状を維持できない。
【0076】
試験例1
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた樹脂を用いて調製したレジスト用組成物のフォトレジストとしての測定を行った。その結果を表2に示した。
【0077】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のノボラック型フェノール樹脂を使用したフォトレジストは、高集積半導体を製造する際のリソグラフィーや液晶用の薄膜フィルムトランジスター(TFT)材料に使用でき、半導体や液晶製品の歩留まりの向上および高集積化に極めて貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と架橋成分(b)とを反応して得られるノボラック型フェノール樹脂であって、架橋成分(b)が、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有し、架橋成分(b)における、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)が5/95〜95/5であることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂。
【請求項2】
フェノール成分(a)1モルに対して、架橋成分(b)中のカルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)の合計が0.2〜1.0モルであることを特徴とする請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂。
【請求項3】
フェノール成分(a)中のm−クレゾール及び/又はp−クレゾールの量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のノボラック型フェノール樹脂。
【請求項4】
架橋成分(b)中のカルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにジアルデヒド(b2)の量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂。
【請求項5】
重量平均分子量が4000〜50000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項7】
さらに感光剤を含有することを特徴とする請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
感光剤がキノンジアジド基を含む化合物であることを特徴とする請求項7に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)を含有する架橋成分(b)であって、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)とポリアルデヒド(b2)とのモル比(b1/b2)が5/95〜95/5である架橋成分(b)とを架橋反応させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項10】
架橋反応させる工程が、m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と、ポリアルデヒド(b2)を含む架橋成分(b)の一部とを反応させ、次いで、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)を含む架橋成分(b)の残部を加えて反応させることを含む請求項9に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項11】
架橋反応させる工程が、m−クレゾール及び/又はp−クレゾールを含有するフェノール成分(a)と、カルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)を含む架橋成分(b)の一部とを反応させ、次いで、ポリアルデヒド(b2)を含む架橋成分(b)の残部を加えて反応させることを含む請求項9に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項12】
フェノール成分(a)1モルに対して、架橋成分(b)中のカルボニルオキシ基を有するアルデヒド及び/またはケトン(b1)並びにポリアルデヒド(b2)をそれらの合計が0.2〜1.0モルの範囲内で反応させることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項13】
フェノール成分(a)中のm−クレゾール及び/又はp−クレゾールの量が50重量%以上であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2011−252064(P2011−252064A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125939(P2010−125939)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(591018707)明和化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】