説明

ノード装置、通信システム、及びパス割当方法

【課題】ノード装置において、リソースの利用効率を容易に向上させる技術を提供する
【解決手段】ノード装置は、上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、上位パスに下位パスを割り当てるノード装置であって、制御手段の制御に従って、上位パスに下位パスを割り当てるパス割当手段と、ノード装置の管理するリソースの利用状況を取得し、利用状況に応じて、リソースの利用効率が向上するように、パス制御手段を制御する制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニックネットワークに適用される通信装置にパスを設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、コアネットワークにおいて継続的に通信量が増大しており、通信量の増大に対応するため、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置の導入が進められている。
【0003】
そして、波長分離・混合を選択的に行う機能を具備したWDM装置であるROADM(Reconfigurable Add Drop Multiplexer)の導入も進められている。
【0004】
このように、Point-to-Point接続されたWDM装置同士が、光信号を波長分割方式で多重化して送受信するフォトニックネットワークの導入が、今後更に進むものと考えられる。WDM装置で構成されたネットワークにおいて、波長分割された各波長の光信号を伝送する、それぞれの経路を、波長パスと称する。WDM装置が収容するクライアントが送受信する信号をクライアント信号と称する。
【0005】
この波長パスに割り当てられる帯域は、一般的にクライアント信号に割り当てられる帯域と比較して広帯域である。このため、ネットワークを構成する装置のコストや、ネットワークを維持するコストを低減するには、波長パスの帯域の利用効率を高めることが不可欠である。
【0006】
特許文献1にはネットワークの帯域を利用する方法の一例が開示されている。特許文献1に記載されたノード装置は、計測された上位層のトラフィック量と、上位層のトラフィックを伝送する下位層ネットワークのリソースの利用状況とを取得する。
【0007】
そして、ノード装置は、取得したトラフィック量から、下位層ネットワークのパスの本数を決定する。ノード装置は、取得したリソースの利用状況に応じて、決定した本数となるように、上位層ネットワークの各波長パスに割り当てる下位層ネットワークのパスの増減、変更を行う。このようなパス管理を行うことにより、ノード装置は、上位層のトラフィックを失うことなく、下位層のパス設定を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−20572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載されたノード装置では、パスの割り当てにおいて、波長パスの帯域などのリソースの利用効率が低くなることがあった。
【0010】
特許文献1に記載されたノード装置は、上位層のトラフィックを失うことがなくなるが、リソースの利用効率については考慮していない。このため、クライアント信号の増減などに起因してパスの設定や変更が繰り返されると、リソースの利用効率が低下することがあった。
【0011】
オペレータなどが手動でパス設定を変更することで、リソースの利用効率の向上を試みることもできるが、パスの変更が煩雑であると、オペレータが対処しきれないことがあった。
【0012】
本発明は、ノード装置において、リソースの利用効率を容易に向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のノード装置は、上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置であって、制御手段の制御に従って、前記上位パスに下位パスを割り当てるパス割当手段と、前記ノード装置の管理するリソースの利用状況を取得し、該利用状況に応じて、該リソースの利用効率が向上するように、前記パス制御手段を制御する制御手段と、を有する。
【0014】
本発明の通信システムは、上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置が管理する複数のリソースのうち、いずれかのリソースの利用効率をそれ以外のリソースの利用効率に対して優先して向上するかを決定するサーバと、前記ノード装置が管理するリソースの利用状況を取得し、前記サーバにより決定された前記リソースの利用効率を優先して向上するように、前記上位パスに前記下位パスを割り当てるノード装置と、を有する。
【0015】
本発明のパス割当方法は、サーバが、上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置が管理する複数のリソースのうち、いずれかのリソースの利用効率をそれ以外のリソースの利用効率に対して優先して向上するかを決定し、ノード装置が、該ノード装置が管理するリソースの利用状況を取得し、前記サーバにより決定された前記リソースの利用効率を優先して向上するように、前記上位パスに前記下位パスを割り当てる、パス割当方法法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノード装置は、リソースの利用効率が向上するように、パスを割り当てるので、オペレータがパス設定を最適化する必要がなくなり、リソースの利用効率を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のノード装置の一構成例を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の集中管理サーバの一構成例を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のノード装置の一構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の運用ポリシの設定内容の一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の管理テーブルの記載内容の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のノード装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の変形例の通信システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の通信システムの一構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明を実施するための第1の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態の通信システム1の一構成例を示す全体図である。通信システム1は、WDM方式で多重化した光信号を送受信する通信システムである。同図を参照すると、この通信システム1は、ノード装置10、20、30、40、50、および60と、対向ペア光ファイバ70等と、集中管理サーバ80とを有する。
【0020】
各ノード装置(10等)は、リング状に接続されており、互いにWDM方式で光信号を送受信する。
【0021】
図2は、ノード装置10の構成を説明するための図である。同図に示すように、ノード装置10は、波長分割多重化された各波長の光信号を伝送する複数のパスを相互に交差接続する。これらのパスを「波長パス」と称する。
【0022】
また、ノード装置10は、複数のクライアントを収容し、これらのクライアントとの間で光信号を送受信する。本実施形態では、クライアントとしてODU(Optical Data Unit)を想定する。クライアントが光信号に重畳する信号を「クライアント信号」と称する。
【0023】
ノード装置10において、各ODUからの光信号と、ノード装置からの光信号とは、ノード装置10内で電気信号に変換され、この電気信号は時分割方式で多重化される。時分割多重化された各電気信号を伝送するパスを「TDMパス」と称する。
【0024】
波長パスを伝送するトラフィックが、TDMパスを伝送するトラフィックに対して上位層のトラフィックとなる。
【0025】
ノード装置10は、上位層のパスに下位層のパスを割り当てる。具体的には、ノード装置10は、ノード装置に対応するTDMパスと、クライアントに対応するTDMパスとを交差接続することにより、波長パスのそれぞれに、波長パスの帯域に収容可能な数のTDMパスを割り当てる。
【0026】
クライアント信号が増減したり、最適化の方針が変更されたりしたとき、ノード装置10は、波長パスの帯域利用効率を最適化するため、クライアント信号の総容量に応じて、パスの割り当てを変更する。この再割り当ての処理をパス再構成と称する。
【0027】
図1に戻り、対向ペア光ファイバ70等は、ノード装置10等を物理的に接続する。集中管理サーバ80は、制御プレーン、制御チャネル、またはNMS(Network Management System)などを使用して、ノード装置を制御する。
【0028】
図3は、集中管理サーバ80の一構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、集中管理サーバ80は、記憶部801および制御部803を有する。記憶部801には、各ノード装置(N1等)の運用ポリシが格納される。
【0029】
運用ポリシには、パス設定において、優先して利用効率を向上させるべきリソースが記載される。最適化すべきリソースは、例えば、WDM伝送距離、クライアント信号のフロー帯域、装置消費電力、波長パスの帯域、などである。これらのリソースには、それぞれ優先順位が設定されている。
【0030】
制御部803は、制御プレーン等を介して、運用ポリシを各ノード装置へ送信する。各ノード装置は、運用ポリシを受信し、運用ポリシにおける、優先順位の高いリソースの利用効率を優先して向上するようにパス設定を行う。
【0031】
図4は、ノード装置10の一構成例を示すブロック図である。同図における点線は、光信号、実線は、電気信号である。同図を参照すると、ノード装置10は、管理部101、およびパス設定部102を有する。ノード装置10以外のノード装置の構成も同様である。
【0032】
管理部101は、ノード装置制御管理部1011、およびWDM IFリソース管理部1012を有する。パス設定部102は、波長XCスイッチ部103、WDMインターフェース部104と、TDMXCスイッチ部105と、クライアント収容部106とを有する。
【0033】
ノード装置制御管理部1011は、集中管理サーバ80から、制御プレーン等を介して、運用ポリシを受信する。ノード装置制御管理部1011は、その運用ポリシに従って、WDMインターフェース部104、TDMXCスイッチ部105、およびクライアント収容部106を制御し、パスの設定を行う。
【0034】
ノード装置制御管理部1011は、パスを設定後、TDMパスの割り当てのない、WDMインターフェース部104内のカードと、クライアント信号を送受信しないクライアント収容部106内のカードとへの電源供給を抑制する。
【0035】
WDM IFリソース管理部1012は、WDMインターフェース部104を監視し、管理テーブルを作成する。管理テーブルは、ノード装置10が管理するリソース、すなわちWDMインターフェース部104の使用状況を記載したテーブルである。管理テーブルに記載する事項の一部は、オペレータが手動で入力することも可能である。
【0036】
波長XCスイッチ部103は、WDM方式で多重化された、各波長の光信号を伝送する波長パスを交差接続する。
【0037】
WDMインターフェース部104は、複数のWDMインターフェースカードを有する。各WDMインターフェースカードは、OE/EO終端部1043と、TDMフレーム生成・終端部1042とを有する。
【0038】
OE/EO終端部1043は、波長XCスイッチ部103からの光信号と、TDMフレーム生成・終端部1042で生成された電気信号とを相互に変換する。
【0039】
TDMフレーム生成・終端部1042は、OE/EO終端部1043で生成された電気信号から、通信規格における、最小粒度の帯域でTDMフレームを生成する。例えば、SONET/SDHの場合、STS−1の単位、すなわち155Mbps単位でフレームを生成する。TDMフレーム生成・終端部1042は、ノード装置制御管理部1011の制御に従って、それぞれのTDMフレームに対し、クライアント信号をマッピングし、またはデマッピングする。
【0040】
TDMXCスイッチ部105は、ノード装置制御管理部1011の制御に従って、ノード装置側のTDMフレームを伝送するTDMパスと、クライアント側のTDMフレームを伝送するTDMパスとを交差接続する。
【0041】
クライアント収容部106は、複数のインターフェースカードを有する。各インターフェースカードは、クライアント終端部1061と、TDMフレーム生成・終端部1062とを有する。
【0042】
クライアント終端部1061は、ODUからの光信号と、TDMフレーム生成・終端部1062で伝送される電気信号とを相互に変換する。
【0043】
TDMフレーム生成・終端部1062は、クライアント終端部1061で生成された電気信号から、TDMフレームを生成する。また、TDMフレーム生成・終端部1062は、TDMフレームをクライアント終端部1061で伝送される電気信号に変換する。
【0044】
図5は、運用ポリシの設定内容の一例を示す図である。同図を参照すると、運用ポリシには、「WDM伝送距離」、「フロー帯域」、「帯域利用効率」、「装置消費電力」、「装置占有スロット数」などの「最適化モード」と、「優先順位」とが対応付けて記載される。
【0045】
「最適化モード」は、ノード装置10のリソースのうち、いずれの利用効率を優先して、パス設定を最適化するかを示す。「優先順位」は、最適化モードの適用を、いずれから優先して適用すべきかを示す数字である。例えば、優先度の高い最適化モードほど、小さな数字が設定される。
【0046】
「優先順位」が、数字などで運用ポリシに設定される必要はなく、例えば、優先順位のたかい「最適化モード」ほど、上位に記載されるなど、「最適化モード」の記載の順番や位置で優先順位が設定される構成であってもよい。
【0047】
「WDM伝送距離」は、ノード装置間の距離である。「WDM伝送距離」を優先してパス再構成する場合、ノード装置10は、WDM伝送距離の小さい波長パスほど、多くのTDMパスを割り当てる。
【0048】
「フロー帯域」は、クライアント信号を伝送するフローの帯域である。「フロー帯域」を優先してパス再構成する場合、ノード装置10は、フロー帯域の大きいTDMパスから順に、波長パスに割り当てる。
【0049】
「帯域利用効率」は、波長パスの帯域に対する、その波長パスに割り当てられるTDMパスの帯域の割合である。「帯域利用効率」を優先してパス再構成する場合、ノード装置10は、起動している各WDMインターフェースカードの帯域利用効率の平均がなるべく高くなるように、TDMパスを割り当てる。
【0050】
「装置消費電力」は、ノード装置10の消費電力である。「装置消費電力」を優先してパス再構成する場合、ノード装置10は、起動するWDMインターフェースカードの消費電力の合計が小さくなるように、パスの構成を行う。
【0051】
「装置占有スロット数」は、WDMインターフェースカードがノード装置10において物理的に占有するスロット数である。「装置占有スロット数」を優先してパス再構成する場合、ノード装置10は、起動するWDMインターフェースカードの占有するスロット数の合計が小さくなるように、パスの構成を行う。
【0052】
図6は、管理テーブルに記載の内容の一例を示す図である。同図を参照すると、管理テーブルは、「WDM IF No#」、「WDM IF 収容TDM規格」、「TDMスロット使用状態」、「消費電力」、および「装置占有スロット数」の項目が設けられている。
【0053】
「WDM IF No#」には、WDMインターフェースカードを識別するための番号が記載される。「WDM IF 収容TDM規格」には、WDMインターフェースカード生成するフレームのフォーマットが記載される。
【0054】
「TDMスロット使用状態」には、「利用可能メンバ」、「使用済メンバ」、および「パスID#」の項目が設けられる。
【0055】
「利用可能メンバ」には、「WDM IF No#」の示すWDMインターフェースカードを介して、ノード装置と対向接続が可能なODUが記載される。クライアント収容部106は収容サービスの種類に応じてTDMクロスコネクトスイッチ部105への接続容量が決められており、最小粒度帯域の整数倍で総容量が規定される。この総容量のうち、各WDMインターフェースカードが収容できる容量に応じた「利用可能メンバ」が記載される。
【0056】
「使用済メンバ」には、「利用可能メンバ」のうち、TDMパスが割り当てられ、対向接続されたODUが記載される。「パスID#」は、波長パスに割り当てられたTDMパスを識別するための番号が記載される。パス再構成により、設定されたTDMパスが削除されたとき、そのパスに対応する「使用済メンバ」は、「利用可能メンバ」に変更され、「パスID#」は削除される。
【0057】
「消費電力」には、「WDM IF No#」の示すWDMインターフェースカードの消費電力が記載される。「装置占有スロット数」には、「WDM IF No#」の示すWDMインターフェースカードが、ノード装置10において占有するスロット数が記載される。
【0058】
例えば、4枚のWDMインターフェースカードがノード装置10に挿入され、いずれも未起動の場合について考える。各カードには「1」〜「4」の識別番号が割り当てられ、「WDM IF No#」には、これらの番号が記載される。また、これらのカードの仕様に応じて、「WDM IF 収容TDM規格」、「消費電力」、および「装置占有スロット数」の項目が記載される。
【0059】
「1」のWDMインターフェースカードは、「ODU0#1」および「ODU0#2」に対応するクライアント信号を収容できるので、これらのODUが「利用可能メンバ」として記載される。
【0060】
また、「2」、「3」、「4」のWDMインターフェースカードの波長パスの帯域に応じて、それらのカードの「利用可能メンバ」として「ODU0#1〜10」、「ODU0#1〜40」、「ODU0#1〜100」が記載される。
【0061】
ここで、「ODU0#1」および「ODU0#2」において、ノード装置10と対向するノード装置60との間で、クライアント信号を送受信する要求が生じたとする。
【0062】
ノード装置制御管理部1011は、管理テーブルの情報に基づき、ノード装置10において、すでに起動しているWDMインターフェースカードの中から、これらのODUの要求する帯域が収容できるカードを検索する。ノード装置制御管理部1011は、検索に失敗した場合は未起動のWDMインターフェースカードを含めて検索し、さらに検索に失敗した場合は、要求元のODUにパス設定ができない旨の応答を行う。ノード装置10側では、「2」、「3」、「4」のカードが検索されたとする。
【0063】
ノード装置制御管理部1011は、同様のインターフェースカードの検索を、対向するノード装置40においても実行する。ノード装置10、60間での情報のやりとりは、前述した制御チャネル等を介して行う。
【0064】
双方のノード装置10、40において検索に成功した場合、ノード装置制御管理部1011は、運用ポリシに従って、検索に成功したカードに設定すべきTDMパスを決定する。ここで、運用ポリシで最も優先順位の高い最適化モードが「帯域利用効率」であったとする。
【0065】
「2」、「3」、「4」のカードのうち、利用可能メンバの数が最も少ないカード、言い換えれば波長パスの帯域が最も小さいカードは、「2」のカードである。このカードにTDMパスを割り当てると、最も帯域利用効率が高くなる。従って、ノード装置制御管理部1011は、「2」のカードに、「ODU0#1」および「ODU0#2」に対応するTDMパスを割り当てることを決定する。
【0066】
ノード装置制御管理部1011は、波長XCスイッチ部103を制御して、「2」のカードに対応する波長パスと、ノード装置40に対応する波長パスとを接続する。そして、ノード装置制御管理部1011は、TDMXCスイッチ部105を制御して、「2」のカードに対応するTDMパスと、「ODU0#1」および「ODU0#2」に対応するTDMパスとを接続する。
【0067】
ノード装置制御管理部1011は、「ODU0#1」、「ODU0#2」に対応するTDMパスに、それぞれ「1」、「4」の「パスID#」を割り当て、管理テーブルに記載する。
【0068】
ノード装置制御管理部1011は、WDMインターフェース部104を制御して、「2」のWDMインターフェースカードを起動し、残りを未起動、もしくは省電力モードに移行させる。また、ノード装置制御管理部1011は、クライアント収容部106を制御して、「ODU0#1」、「ODU0#2」に対応するインターフェースカード以外のカードを未起動、もしくは省電力モードに移行させる。
【0069】
ノード装置制御管理部1011は、定期的に運用ポリシを受信する。ノード装置制御管理部1011は、運用ポリシの内容や、クライアント信号の増減に基づいて、必要があれば、パス再構成を行う。
【0070】
図7は、ノード装置10の動作を示すフローチャートである。この動作は、ノード装置10の電源が投入されたとき、または所定のアプリケーションが実行されたときに開始する。同図を参照すると、ノード装置10は、TDMスロットの使用状態など、リソースの使用状況を管理テーブルに記載する(ステップS1)。
【0071】
管理部101は、集中管理サーバ80から、制御プレーン等を介して、運用ポリシを受信する(ステップS2)。管理部101は、運用ポリシの設定に従って、パス設定部102を制御し、パスの構成を行う(ステップS3)。
【0072】
管理部101は、TDMパスの割り当てのない、WDMインターフェース104内のカードと、クライアント信号を送受信しないクライアント収容部106内のカードとへの電源供給をオフにする(ステップS4)。
【0073】
管理部101は、ノード装置10を起動したとき、または前回パス構成を行ったときから、制御周期が経過したか否かを判断する(ステップS5)。制御周期が経過していなければ(ステップS5:NO)、管理部101は、ステップS5に戻る。制御周期が経過したならば(ステップS5:YES)、管理部101は、ステップS1に戻る。
【0074】
なお、本実施形態では、リング型のトポロジで各ノード装置を接続する構成としているが、トポロジのパターンは、リング型に限られず、任意のパターンを使用できる。例えば、図8に示すように、スター型のトポロジで各ノード装置を接続することも可能である。
【0075】
また、本実施形態では、ノード装置は、定期的にパス再構成を行う構成としているが、オペレータが手動でパス再構成を開始させる構成としてもよい。また、クライアント信号の変化量が閾値を超えたときなど、所定のイベントが生じたときに、ノード装置がパス再構成を実行してもよい。
【0076】
更に、本実施形態では、管理部101は、運用ポリシに従って、波長パスにTDMパスを設定する構成としているが、管理部101は、上位ネットワーク上のパスに対する、下位ネットワーク上のパスの割り当てであれば、他のパス設定を行うこともできる。例えば、管理部101は、運用ポリシに従って、電気信号への変換を行わずに、波長パスの交差接続の設定のみを行う構成としてもよい。また、ATM(Asynchronous Transfer Mode)ネットワークにおいて、管理部101が、運用ポリシに従って、物理パスに仮想パスを割り当てる構成としてもよい。
【0077】
本実施形態の波長パスが本発明の上位パスに相当し、TDMパスが本発明の下位パスに相当する。また、本実施形態の管理部101が本発明の制御手段に相当し、パス設定部102が本発明のパス割当手段に相当する。
【0078】
以上説明したように本実施形態によれば、ノード装置は、リソースの利用効率が向上するように、パスを割り当てるので、オペレータがパス設定を最適化する必要がなくなり、リソースの利用効率を容易に向上させることができる。
【0079】
また、ノード装置は、リソースごとに、優先順位を設定した運用ポリシに従ってパス再構成を行うので、予め運用ポリシに優先順位を設定しておくことで、複数のリソースが有る場合であっても、必要なリソースの利用効率を容易に向上させることができる。
【0080】
また、ノード装置は、TDMパスの割り当てのないWDMインターフェースカードと、クライアント信号を送受信しないインターフェースカードとについて、これらのカードへの電源供給を抑制するので、消費電力を低減できる。
【0081】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、本実施形態のノード装置10aの一構成例を示すブロック図である。本実施形態のノード装置10aの構成は、TDMフレームの代わりに、ITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) G.709に準拠したODUフレームを生成する点で第1の実施形態の構成と異なる。
【0082】
なお、本実施形態のノード装置について、図3で説明した構成と同様な構成の詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる点について詳しく説明する。
【0083】
図9を参照すると、WDMインターフェース部104は、複数のTDMフレーム生成・終端部(1042等)の代わりに、複数のODUフレーム生成・終端部(1042a等)を有する。また、クライアント収容部106は、複数のTDMフレーム生成・終端部(1062等)の代わりに、複数のODUフレーム生成・終端部(1062a等)を有する。
【0084】
ODUフレーム生成・終端部1042aは、OE/EO終端部1043で生成された電気信号から、通信規格における最小粒度の帯域でODUフレームを生成する。例えば、ODUフレーム生成・終端部1042aは、ODU0(GbEをペイロードに収容できるレート)の帯域でフレームを生成する。ODUフレーム生成・終端部1062aは、クライアント終端部1061で生成された電気信号から、ODUフレームを生成する。
【0085】
ノード装置N1は、運用ポリシに従って、波長パスに、ODUフレームを伝送するパスを割り当てる。
【0086】
以上説明したように本実施形態によれば、ITU−T G.709に準拠したODU0などを最小粒度帯域としてリソース管理を行うので、今後クライアントインターフェースの主流となるEthernet(登録商標)を効率よく収容できる点で効果が高い。
【0087】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。図10は、本実施形態のノード装置10bの一構成例を示すブロック図である。本実施形態のノード装置10bの構成は、TDMフレームの代わりに、ITU−T G.707に準拠したSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)フレームを生成する点で第1の実施形態の構成と異なる。
【0088】
なお、本実施形態のノード装置について、図3で説明した構成と同様な構成の詳細な説明を省略し、第1の実施形態と異なる点について詳しく説明する。
【0089】
図9を参照すると、WDMインターフェース部104は、複数のTDMフレーム生成・終端部(1042等)の代わりに、複数のSTS−1フレーム生成・終端部(1042b等)を有する。また、クライアント収容部106は、複数のTDMフレーム生成・終端部(1062等)の代わりに、複数のSTS−1フレーム生成・終端部(1062b等)を有する。
【0090】
STS−1フレーム生成・終端部1042bは、OE/EO終端部1043で生成された電気信号から、最小粒度の帯域(155Mbps)でSTS−1フレームを生成する。STS−1フレーム生成・終端部1062aは、クライアント終端部1061で生成された電気信号から、STS−1フレームを生成する。
【0091】
ノード装置N1は、運用ポリシに従って、波長パスに、STS−1フレームを伝送するパスを割り当てる。
【0092】
以上説明したように本実施形態によれば、ノード装置は、STS−1フレームを最小粒度帯域としてリソース管理を行うので、通信規格としてSONET/SDHを用いるノード装置に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 通信システム
10、20、30、40、50、60 ノード装置
70 対向ペア光ファイバ
101 管理部
102 パス設定部
103 波長XCスイッチ部
104 WDMインターフェース部
105 TDMXCスイッチ部
106 クライアント収容部
801 記憶部
803 制御部
1011 ノード装置制御管理部
1012 WDM IFリソース管理部
1041 OE/EO終端部
1042 TDMフレーム生成・終端部
1061クライアント終端部
1062 TDMフレーム生成・終端部
1042a ODUフレーム生成・終端部
1062a ODUフレーム生成・終端部
1042b STS−1フレーム生成・終端部
1062b STS−1フレーム生成・終端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置であって、
制御手段の制御に従って、前記上位パスに下位パスを割り当てるパス割当手段と、
前記ノード装置の管理するリソースの利用状況を取得し、該利用状況に応じて、該リソースの利用効率が向上するように、前記パス制御手段を制御する制御手段と、
を有するノード装置。
【請求項2】
前記のノード装置は、複数のリソースを管理し、
前記制御手段は、前記リソースごとに、利用効率の向上を優先する優先順位を定めた運用ポリシを取得し、該運用ポリシに基づいて前記パス割当手段を制御する、請求項2に記載のノード装置。
【請求項3】
前記運用ポリシは、前記上位パスの帯域と、前記ノード装置により送受信される信号の伝送距離と、前記クライアント信号のフロー帯域と、前記ノード装置の消費電力と、前記上位パスを提供する通信カードの前記ノード装置内における占有スロット数とのうち、いずれか2つ以上を前記リソースとして記載した運用ポリシである、請求項2に記載のノード装置。
【請求項4】
前記パス割当手段は、
複数の前記上位パスを交差接続する上位交差接続スイッチ部と、
前記上位パスで伝送される信号と、ノード装置が収容するクライアントからのクライアント信号が重畳された電気信号とを相互に変換する複数の上位インターフェースカードと、
前記クライアント信号が重畳された電気信号を伝送する下位パスを交差接続する下位交差接続スイッチ部と、
前記クライアント信号が重畳された光信号と、前記クライアント信号が重畳された電気信号とを相互に変換する複数の下位インターフェースカードと、
を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノード装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記クライアント信号が重畳された電気信号を変換しない前記上位インターフェースカードと、前記クライアント信号が重畳された光信号を変換しない前記下位インターフェースカードとへの電源供給を抑制する、請求項4に記載のノード装置。
【請求項6】
前記上位パスは、波長分割された各波長の光信号を伝送する波長パスであり、前記下位パスは、時分割多重化された電気信号を伝送するTDMパスである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のノード装置。
【請求項7】
前記TDMパスは、ITU-T.G.709規格に準拠したODUフレームを伝送するパスである、請求6に記載のノード装置。
【請求項8】
前記TDMパスは、ITU-T.G.707規格に準拠したSTS−1フレームを伝送するパスである、請求項6に記載のノード装置。
【請求項9】
前記上位パスは、ATMプロトコルにおける物理パスであり、前記下位パスは、ATMプロトコルにおける仮想パスである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のノード装置。
【請求項10】
上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置が管理する複数のリソースのうち、いずれのリソースの利用効率をそれ以外のリソースの利用効率に対して優先して向上するかを決定するサーバと、
前記ノード装置が管理するリソースの利用状況を取得し、前記サーバにより決定された前記リソースの利用効率を優先して向上するように、前記上位パスに前記下位パスを割り当てるノード装置と、
を有する通信システム。
【請求項11】
サーバが、上位層のトラフィックを伝送するパスを上位パス、下位層のトラフィックを伝送するパスを下位パスとして、該上位パスに該下位パスを割り当てるノード装置が管理する複数のリソースのうち、いずれのリソースの利用効率をそれ以外のリソースの利用効率に対して優先して向上するかを決定し、
ノード装置が、該ノード装置が管理するリソースの利用状況を取得し、前記サーバにより決定された前記リソースの利用効率を優先して向上するように、前記上位パスに前記下位パスを割り当てる、パス割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−10188(P2011−10188A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153655(P2009−153655)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト(グリーンITプロジェクト)/革新的省エネルギーネットワーク・ルータ技術の研究開発/IT社会を遠望した、情報の流れと情報量の調査研究/社会インフラとしてのネットワークのモデル設計と総合評価」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】