説明

ハイオクタンガソリン製造用の接触改質方法

本発明はナフサ沸騰範囲供給材料からハイオクタン生成物を生成するための多段階改質法にある。本方法において、最後から二番目の改質段階からの流出生成物を沸点によって少なくとも第一流と第二流とに分離する。二つの流の低沸騰流を最終改質段階において中型孔分子篩触媒上でさらに改質する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は高い液体収率および水素産生をもってハイオクタンナフサを製造するための中型孔(medium pore)分子篩触媒を用いる多段階改質方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
接触改質は、しばしばナフサ供給材料と称される軽質炭化水素供給材料を品質向上させるための基本的石油精製法の一種である。接触改質からの生成物は自動車燃料として有用なハイオクタンガソリン、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン類およびエチルベンゼン)および/または水素を包含することができる。接触改質に典型的に包含される反応はナフサ範囲炭化水素の脱水素環化、異性化および脱水素を包含し、線状および僅かに分枝したアルカン類の脱水素環化および脱水素および芳香族化合物の生成を導くシクロパラフィンの脱水素を付随する。脱アルキル化および水素添加分解は一般に、生成する軽質炭化水素生成物の価値が低いことから望ましくない。
【0003】
商業用改質反応に常用される触媒は多くの場合、白金またはパラジウムなどの第VIII族金属、あるいは第VIII族金属+助触媒として作用する第二触媒性金属を包含する。助触媒として有用な金属の例はレニウム、スズ、タングステン、ゲルマニウム、コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、イリジウムまたはその組合せを包含する。1種または2種以上の触媒性金属はアルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナなどの支持体上に分散させることができる。典型的に、塩素などのハロゲンを支持体上に配合し、酸官能性基を付加する。第VIII族金属に加えて、その他の改質触媒としてはアルミノシリケートゼオライト触媒を包含する。例えば、米国特許第3,761,389号、同第3,756,942号および同第3,760,024号はZSM−5型ゼオライト触媒を用いる炭化水素フラクションの芳香族化を教示している。米国特許第4,927,525号は貴金属およびアルカリ金属を含有するベータゼオライト触媒を用いる接触改質方法を教示している。その他の改質触媒は別種の分子篩、例えばボロシリケート類およびシリコアルミノホスフェート類、層状結晶クレイ型フィロシリケート類、および無定形クレイ類を包含する。
【0004】
改質用触媒の選択に加えて、1または2以上の処理段階でナフサ供給材料を改質し、より価値の高い改質生成物を生成するための各種方法が当技術で知られている。米国特許第3,415,737号は常習的な温和な改質条件下に白金−レニウム−クロライド改質触媒を用い、ナフサのオクタン価および芳香族含有量を増加させるナフサの改質方法を教示している。米国特許第3,770,614号には、改質油を分別し、軽質改質油フラクション(C6フラクション)をZSM−5型ゼオライト上に通し、生成物の芳香族含有量を増加させる方法が記載されている。米国特許第3,950,241号はナフサを低沸騰フラクションと高沸騰フラクションとに分離し、低沸騰フラクションを改質し、この改質油を高沸騰ナフサと混合し、次いで混合されたフラクションをZSM−5型触媒と接触させることによるナフサの品質向上方法を記載している。米国特許第4,181,599号はナフサを重質フラクションと軽質フラクションとに分離し、次いでこれらのナフサフラクションを改質および異性化することを含むナフサの改質方法を記載している。米国特許第4,190,519号はナフサ沸騰範囲炭化水素の品質向上方法であって、ナフサ供給材料をC6パラフィン類および低沸騰炭化水素を含有する軽質ナフサフラクションと高沸騰炭化水素を含有する重質ナフサフラクションとに分離し、重質ナフサフラクションを改質し、次いでこの改質油の少なくとも一部分を軽質ナフサフラクションとともにゼオライト触媒上に通し、芳香族化合物に富む流出物を生成させることを含む方法を教示している。例えば、米国特許第4,627,909号、米国同第4,443,326号、米国同第4,764,267号、米国同第5,073,250号、米国同第5,169,813号、米国同第5,171,691号、米国同第5,182,012号、米国同第5,358,631号、米国同第5,376,259号および米国同第5,407,558号に記載されているように、ナフサ供給材料の改質中に相違する処理段階において相違する触媒を使用することができる。
【0005】
ナフサ改質用触媒および方法における進歩にもかかわらず、より高い液体収率を提供し、水素産生を改善し、および価値の低い低分子量(C−C)生成物の形成を最低にする新規で、改良された改質方法の開発が依然として必要とされている。段階的改質方法における中間段階供給材料の分離および多段階改質方法の最終段階における低い圧力がRON(Research Octane Number)(リサーチオクタン価)、芳香族化合物含有量、C5+液体収率、水素産生および触媒寿命を改善することができることが見出された。
【0006】
(発明の要旨)
本発明はナフサ燃料供給材料の接触改質方法であって、多段階改質操作で生成物改質油を生成する方法に関する。本方法は多段階改質方法の最後から2番目の段階(penultimate stage)において第一改質圧力下にナフサ沸騰範囲炭化水素供給材料を接触させ、最後から2番目の流出液を生成し;この最後から2番目の流出液の少なくとも一部分を少なくとも中間改質油と重質改質油とに分離し、ここで中間改質油は重質改質油の中間−沸点(mid−boiling point)より低い中間−沸点を有しており;次いでこの中間改質油を多段階改質方法の最終段階において第二改質圧力下に少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と接触させ、最終改質油を含む最終流出液を生成させることを含む方法であって、ここで第一改質圧力は第二改質圧力よりも高い方法である。
【0007】
態様において、最後から2番目の段階内の触媒は多孔質耐火性無機酸化物支持体上に支持されている第VIII族金属および助触媒を含む。態様において、最終段階内の触媒は第VIII族金属を含む。
【0008】
別の態様において、改質方法は多段階改質方法の最後から2番目の段階において第一改質圧力下にナフサ沸騰範囲炭化水素供給材料を接触させ、最後から2番目の流出液を生成し;この最後から2番目の流出液の少なくとも一部分を少なくとも軽質改質油、中間改質油および重質改質油に分離し、ここで軽質改質油は中間改質油の中間−沸点より低い中間−沸点を有しており、および中間改質油は重質改質油の中間−沸点より低い中間−沸点を有しており、;次いでこの中間改質油を多段階改質方法の最終段階において第二改質圧力下に少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と接触させ、最終改質油を含む最終流出液を生成させることを含む方法であって、ここで第一改質圧力は第二改質圧力よりも高い方法である。
【0009】
別の観点、特徴および利点はその態様にかかわる記載および特許請求の範囲から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の第一の態様の概略図である。
【図2】図2は本発明の第二の態様の概略図である。
【0011】
(詳細な説明)
本発明による方法において、ナフサ沸騰範囲炭化水素供給材料を多段階改質方法で処理する。この方法はナフサ供給材料をナフサ供給材料のオクタン価より高いオクタン価を有する最後から二番目の段階のナフサ生成物に改質する少なくとも最後から2番目の段階および最後から2番目の段階からの流出生成物の一部分をさらに改質し、最後から2番目の段階のナフサ生成物のオクタン価より高いオクタン価を有する最終ナフサを生成する最終段階を包含する。この改質方法は低オクタン価正パラフィン類およびシクロパラフィン類をハイオクタン物質に変換する脱水素環化、異性化および脱水素反応が行われるように選択される触媒を用い、および選択された条件下に操作する。この方法により、増加されたオクタン価を有し、および/または増加した量の芳香族化合物を含有する生成物が生成される。態様の中で、当該多段階改質方法は基本的に明確な量の水素を生成させるための1種以上の触媒および条件を用い操作する。
本発明による多段階改質方法は精製流を一連の少なくとも二つの改質段階に通すことを含んでいる。一般に、各改質段階の特徴は、それぞれが触媒を含有し、改質反応条件に維持されている1個または2個以上の改質反応容器にある。最終段階に先立つ各段階からの生成物は全体的にまたは部分的に多段階改質方法の引続く段階に通される。引続く段階に通される各段階からの生成物の温度は上昇または低下させ、当該方法の特定の必要性に適合させることができる。同様に、最終段階に先立つ各段階に通す生成物の圧力は、最後から2番目の段階における圧力が最終段階における圧力より高いかぎり、上昇または降下させることができる。
【0012】
下記説明は、簡便にするために、時として、最後から2番目の改質段階および最終改質段階を操作する場合に関するものであるけれども、本発明の原則は全ての二つの順次段階間にも適用され、数回の順次継続段階にも適用することができる。従って、原則的に、本明細書で使用されているものとして、最終段階の用語は、3段階またはそれ以上の段階が存在する場合の最後の段階を必ずしも示すものではなく、むしろ次の処理(多くの場合、「最後から2番目」として表される)段階を伴う順次段階を表す。
【0013】
(定義)
本明細書に記載されているものとして、沸点温度は、別段の記載がないかぎり、ガスクロマトグラフィによる石油フラクションの沸騰範囲分布用のASTM D−2887標準試験方法に基づく。中間−沸点はASTM D−2887模擬蒸留(simulated distillation)に基づく50容量%沸騰温度であると定義される。
【0014】
本明細書で使用されているものとして、炭化水素の炭素数値(すなわち、C、C、C、Cなど)は標準ガスクロマトグラフィ法により測定することができる。別段の記載がないかぎり、リサーチオクタン価(RON)はASTM D−2699に記載の方法を使用し測定する。
【0015】
別段の記載がないかぎり、接触反応帯域への供給速度は供給材料の量/触媒の量/時間で報告する。実際に、本明細書に記載されている供給速度は時間当たりの液体空間速度(LHSV)で表され、時間の逆数(すなわち、/時間)で報告する。
【0016】
本明細書で使用されているものとして、C4−流は1分子あたり4個またはそれ以下の炭素原子を有する炭化水素を高割合で含む流である。同様に、C5+流は1分子あたり5個またはそれ以上の炭素原子を有する炭化水素を高割合で含む流である。改質方法における炭化水素流は一般に、蒸留法を用いる沸騰範囲によって分離されることは当業者にとって明白である。従って、C4−流は少量のC、CおよびC分子さえも含有するものと予想される。しかしながら、典型的蒸留はC4−流の少なくとも約70容量%が一分子あたり4個またはそれ以下の炭素原子を有する分子を含有するようにデザインされ、操作される。従って、C4−流の少なくとも70容量%はC4−沸騰範囲で沸騰する。本明細書で使用されているものとして、C5+、C−C、C9+およびその他の炭素数範囲によって同定される炭化水素フラクションは同様に判断する。
【0017】
「シリカ対アルミナ比」の用語は、酸化ケイ素(SiO)対酸化アルミニウム(Al)のモル比を表す。
【0018】
本明細書で使用されているものとして、「分子篩」の用語は、当該孔、空洞または隙間空間を通過するのに充分に小さい分子は吸着され、他方、大きい分子は吸着されない孔、空洞または隙間空間を含有する結晶物質を表す。分子篩の例は、ゼオライトおよび非ゼオライト分子篩、例えば、これらに限定されないものとして、SAPO類(シリコアルミノホスフェート類)、MeAPO類(メタロアルミノホスフェート類)、AlPOおよびELAPO類(非金属置換アルミノホスフェート一族)を包含するゼオライト同族体(zeolite analog)物質などを包含する。
【0019】
本明細書で使用されている場合、引用されている元素の周期律表はHandbook of Chemistry and Physics、72版(1991−1992)にChemical Abstract Serviceにより発行されたCAS改訂版である。
【0020】
その他因子の中で、本発明は分離したまたは追加の改質段階におけるパラフィン類、特にC−Cパラフィンの選択的改質が総合的改質方法の改良された性能をもたらすという発見に基づいている。すなわち、ナフサ燃料または燃料配合材料に通常で望まれるハイオクタンレベルに到達することは要求されないことから、慣用の改質触媒を使用する最後から二番目の改質段階は比較的低い苛酷度で操作される。これらの条件下において、触媒は水素添加分解を最低に維持しながら、シクロヘキサンおよびアルキルシクルヘキサンの脱水素などのさらに生じ易い反応を触媒する。一般に、さらに苛酷な条件下におけるパラフィン類の脱水素環化に使用される慣用の触媒は、当該触媒が脱水素環化に対し幾分非選択的であることから、より多い量の軽質ガスを生成させる。しかしながら、本発明の場合、最後から二番目の改質段階からの中間改質油が中型孔分子篩触媒を含有する最終改質段階に通される。中型孔分子篩触媒の性能特性は多段階改質方法における最終段階を減少された圧力下に行うことを可能にする。これは低い触媒堆積速度を保有しながらC−Cパラフィン類の脱水素環化の選択性を増大させる。最後から二番目の段階からのC9+フラクションはC−C中間フラクションに比較し高いオクタン価を有し、最終段階においてさらに改質されない。換言すれば、最後から二番目の段階からのハイオクタンC9+フラクションは最終段階で若干の分解および/または脱アルキル化反応を受ける。これにより、液体収率が低下され、また水素が消費される。従って、最終段階の触媒の性能特性は追加の利益をもたらし、改良された液体収率および水素産生下にハイオクタン生成物を生成する総合的方法を提供する。
【0021】
多段階法の最後から二番目の段階に装入されるナフサ沸騰範囲供給材料は約50°F〜約550°F、好ましくは70°F〜450°Fの範囲内で沸騰するナフサフラクションである。一態様において、改質供給材料はC5+供給材料である。改質供給材料は、例えば直鎖状ナフサ、芳香族抽出または吸着からのパラフィン系ラフィネート、およびC−C10パラフィンに富む供給材料、生物由来ナフサ、フィッシャートロプシュ(Fischer Tropsch)およびメタノール合成法を包含する炭化水素合成法からのナフサ、ならびに水素添加分解またはその他の常習的改質法などのその他の精製方法からのナフサ生成物を包含することができる。二段階以上の段階を包含する改質方法において、改質供給材料は、先行段階で生成される生成物の少なくとも一部分を含むことができる。
【0022】
最後から二番目の改質段階で使用される改質触媒は接触改質活性を有することが知られている全ての触媒であることができる。態様において、この最後から二番目の改質段階の触媒は酸化物支持体上に配置されている第VIII族金属を含む。第VIII族金属の例は白金およびパラジウムを包含する。触媒はさらに助触媒、例えばレニウム、スズ、ゲルマニウム、コバルト、ニッケル、イリジウム、タングステン、ロジウム、ルテニウム、またはその組合せを含むことができる。このような態様の中で、助触媒金属はレニウムまたはスズである。これらの金属は支持体、例えばアルミナ、シリカ/アルミナまたはシリカ上に配置させる。このような態様の中で、支持体はアルミナである。支持体はまた、天然または合成ゼオライトを包含することができる。触媒はまた、クロライドを0.1〜3重量パーセント、好ましくは0.5〜1.5重量パーセントの量で包含することができる。触媒は、助触媒金属を包含する場合、0.5:1〜10:1または1:1〜6:1の助触媒対白金比が提供されるのに充分な助触媒金属を適当なものとして包含する。触媒製造用の正確な条件、化合物および方法は当業者に知られている。慣用の触媒の例は中でも、米国特許第3,631,216号;同第3,415,737号;および同第4,511,746号に示されている触媒がある。これらの記載を、それらの全体を引用することによってここに組入れる。
【0023】
最後から二番目の段階および最終段階の両方において、触媒は反応帯域内の固定床に配置されているピル、ペレット、顆粒、粉砕片または種々の特別の形状の形態で使用することができ、装入原料はそこに液相、蒸気相または混合相として、上昇流、下降流または放射状流のいずれかの流として通過させることができる。別法として、これらは移動床または流動−固体系(この場合、装入原料は微細に粉砕された触媒の乱流床を上向きに通過させる)で使用することができる。しかしながら、固定床法または濃縮相移動床系は、触媒摩滅損失を低下させることから、およびその他の操作上の利益から好適である。固定床系において、供給材料は望ましい反応温度にまで予備加熱し(あらゆる適当な加熱手段による)、次いで触媒の固定床を含有する反応帯域に通す。この反応帯域は反応器入口に所望の温度を維持するのに適当な手段を備えた1個または2個以上の分離した反応器であることができる。改質反応が本質的に典型的な吸熱反応であることから、温度は維持されなければならない。
【0024】
最後から二番目の段階および最終段階の両方において、実際の改質条件は少なくとも部分的に、使用される供給材料、高度に芳香族系であるか、パラフィン系であるか、またはナフテン系であるか、および生成物に望まれるオクタン価および所望の水素産生に依存する。
【0025】
最後から二番目の段階は比較的温和な反応条件に維持する。これにより品質向上される供給流の分解が阻止され、および最後から二番目の段階における触媒の有効寿命が延長される。最後から二番目の段階で品質向上されるナフサ沸騰範囲供給材料は、約800°F〜約1100°Fの範囲の温度、70psig以上〜約400psigの範囲の圧力および約0.5/時間〜約5/時間LHSVの範囲の供給速度を包含する反応条件下に最後から二番目の段階の触媒と接触させる。態様の中で、最後から二番目の段階の圧力は約200psig〜約400psigの範囲である。
【0026】
最後から二番目の段階からの流出液は品質向上された生成物である。すなわち、最後から二番目の段階における反応中にRONは増加される。最後から二番目の段階からの流出液は最後から二番目の段階における反応中に発生される水素および炭化水素を含み、存在する場合、この水素の少なくとも一部分は最後から二番目の段階の上昇供給流に添加される。流出炭化水素はC4−炭化水素およびC5+炭化水素の混合物であることを特徴とすることができ、この特徴は各群の炭化水素の分子量に関連する。態様において、この流出液中のC5+炭化水素は少なくとも85の総合RONを有する。
【0027】
最後から二番目の段階からの流出液(別名として、「最後から二番目の流出液」と称する)はC5+炭化水素を含み、これは少なくとも中間改質油と重質改質油とに分離される。この流出液は水素およびC4−炭化水素をさらに含む。水素に富む流は、例えば高圧分離器または別種のフラッシュ帯域を用いる予備分離工程で流出液から分離することができる。流出液中のC4−炭化水素はまた、予備分離により水素とともに分離することができ、または後続のフラッシュ帯域において分離することができる。中間改質油は重質改質油に比較し低い中間−沸点を有することを特徴とするものである。態様の中で、中間改質油は約70°F〜約280°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、中間改質油は少なくとも70容量%のC−C炭化水素を含む。態様の中で、中間改質油は約100°F〜約280°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、中間改質油は少なくとも70容量%のC−C炭化水素を含む。態様の中で、中間改質油は約100°F〜約230°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、中間改質油は少なくとも70容量%のC−C炭化水素を含む。中間改質油フラクションの回収はC軽質改質油フラクションの大部分をさらに回収することによって行うことができる。軽質改質油の特徴は中間改質油に比較して低い中間−沸点を有することにある。態様の中で、軽質改質油は約70°F〜約140°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、軽質改質油は少なくとも70容量%のC炭化水素を含む。重質改質油は約220°Fおよびそれ以上の範囲で沸騰する品質向上された生成物の分離中に生成される。このような態様の中で、重質改質油は少なくとも70容量%のC9+炭化水素を含む。
【0028】
中間改質油のRONは最後から二番目の段階における温和な改質条件を示している。すなわち、中間改質油は典型的に、65より大きいRONを有する。態様の中で、中間改質油は約65〜100未満の範囲内のRONを有する。このような態様の中で、中間改質油は65〜95未満の範囲内のRONを有する。
【0029】
最終段階改質触媒は少なくとも1種の中型孔分子篩を含んでいる。この分子篩は、各分子篩の特定の構造に応じて特定の幾何学的形状の孔を備えた結晶構造を有することを特徴とする多孔質無機酸化物である。本明細書で使用されているものとして、「中型孔」の用語は、当該多孔質無機酸化物が焼結形態である場合、約3.9〜約7.1オングストロームの範囲の結晶学的自由径(crystallographic free diameter)を有する。分子篩のチャンネルの結晶学的自由径は、Ch.Baerlocher、W.M.MeierおよびD.H.OlsonによりElsevier、10頁〜15頁の「ゼオライト骨格タイプの図表」(Atlas of Zeolite Framework Types)、2001、第5改訂版に発表されており、これらの記載を引用してここに組入れる。中型孔分子篩の非限定的例はZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、 MCM−22、SSZ−20、SSZ−25、SSZ−32、SSZ−35、SSZ−37、SSZ−44、SSZ−45、SSZ−47、SSZ−57、SSZ−58、SSZ−74、SUZ−4、EU−1、NU−85、NU−87、NU−88、IM−5、TNU−9、ESR−10、TNU−10およびその組合せを包含する。本明細書で使用されているものとして、本発明に有用な中型孔分子篩は、少なくとも40:1、好ましくは少なくとも200:1、さらに好ましくは少なくとも500:1のSiO/Mモル比(ここで、MはAl、BまたはGaから選択される)を有する高シリカZSM−5ゼオライトである。
【0030】
種々の参考書に記載されているZSM−5はMillerに対する米国特許第4,401,555号で提供される。これらの参考書は前記のGrose等に対する米国特許第4,061,724号、Dwyer等に対する米国特許再発行第29,948号、Flanigan等によるNature、271、512−516(1978年2月9日)(ここには、高シリカZSM−5の物理的特徴および吸着特性が議論されている)を包含する。Anderson等によるJ.Catalysis 58、114−130(1979)はZSM−5で行われる触媒反応および吸着値を記載している。これらの参考書および米国特許第4,401,555号の記載、特に高シリカ対アルミナZSM−5の製造方法に係わるそれらの記載を引用してここに組入れる。高シリカZSM−5の製造および性質に係わる追加の説明は米国特許第5407558号および米国特許第5376259号に見出すことができる。
【0031】
態様において、本発明の方法で触媒の成分として有用である高シリカZSM−5分子篩は少なくとも40:1、または少なくとも200:1、または少なくとも500:1のモルシリカ対アルミナ比を有する。高シリカ分子篩の例は少なくとも1000:1のシリカ対アルミナモル比を有する。態様において、分子篩は10μmより小さい、または5μmより小さい、または1μmより小さい結晶サイズを有することを特徴とするものである。例えば、走査電子顕微鏡を用いる結晶サイズの測定方法は周知である。態様において、高シリカZSM−5は少なくとも80%の結晶度、または少なくとも90%の結晶度、または少なくとも95%の結晶度を有することを特徴とするものである。例えば、X−線回折を用いる結晶度測定方法は周知である。強酸性は分解を促進し、C5+液状生成物に対する低い選択性をもたらすことから、触媒における強酸性は望ましくない。酸性度を減少させるために、分子篩はアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有すると好ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属は好ましくは、分子篩の合成中または合成後に触媒中に配合する。好ましくは、酸性部位の少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を金属の導入により中和する。一態様において、中型孔分子篩は5,000ppmより少ないアルカリを有する。このような中型孔シリケート分子篩は、例えば米国特許第4,061,724号および米国特許第5,182,012号に記載されている。これらの特許、特に特定のモルシリカ対アルミナモル比を有し、特定の結晶度を有し、および特定のアルカリ含有量を有する分子篩の説明、製造および分析に係わる記載を引用してここに組入れる。
【0032】
最終改質段階で使用することができる別種の結晶分子篩は、米国特許第4,835,336号に列挙されている分子篩、すなわちZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48および1980年7月7日に出願されたHicksonによる特許出願第166,863号に記載されているCZH−5のような別種の類似分子篩を包含する(これらの記載を引用してここに組入れる)。
【0033】
SSZ−20は米国特許第4,483,835号に記載されており、およびSSZ−23は米国特許第4,859,442号に記載されており、これらの特許の両方を引用してここに組入れる。
【0034】
ZSM−5は米国特許第3,702,886号および米国特許再発行第29,948号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0035】
ZSM−11は米国特許第3,709,979号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0036】
ZSM−12は米国特許第3,832,449号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0037】
ZSM−22は米国特許第4,481,177号、同第4,556,477号およびヨーロッパ特許第102,716号にさらに特別に記載されており、これらの特許のそれぞれの全内容を引用してここに組入れる。
【0038】
ZSM−23は米国特許第4,076,842号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0039】
ZSM−35は米国特許第4,016,245号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0040】
ZSM−38は米国特許第4,046,859号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0041】
ZSM−48は米国特許第4,397,827号にさらに特別に記載されており、これらの特許の全内容を引用してここに組入れる。
【0042】
結晶分子篩は、分子篩のさらに典型的なアルミノシリケート形態のアルミニウムの少なくとも一部分の代わりにホウ素が存在するボロシリケートの形態であることができる。ボロシリケート分子篩はKlotzに対する米国特許第4,268,420号;同第4,269,813号;同第4,327,236号に記載されており、これらの特許の記載、特にボロシリケートの製造に係わる記載をここに組入れる。
【0043】
シリコアルミノホスフェート(SAPO類)は本発明の実施に有用な非ゼオライト性分子篩の例である。SAPO類は酸素原子によって結合されている角を分け合う[SiO]テトラヘドラ、[AlO]テトラヘドラおよび[PO]テトラヘドラの分子骨格を含んでいる。P/Al比およびSi/Al比を変えることによって、SAPOの酸性度を改質し、望ましくない水素添加分解を最低にし、かつ有利な異性化反応を最大にすることができる。P/Alの好適なモル比は約0.75対1.3であり、およびSi/Alの好適なモル比は約0.08対0.5である。本発明に有用なシリコアルミノホスフェートの例はSAPO−11、SAPO−31およびSAPO−41を包含し、これらは米国特許第5,135,638号に詳細に記載されている。
【0044】
本発明による最終改質段階に使用される触媒は1種または2種以上の第VIII族金属、例えばニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウムまたは白金を含有する。好適な第VIII族金属はイリジウム、パラジウム、および特に白金である。これらは脱水素環化に対し選択性が高く、別種の第VIII族金属に比較し、脱水素環化反応条件下に高い安定性を有する。触媒中の第VIII族金属、例えば白金の好適なパーセンテージは0.1重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜2.5重量%である。これらの触媒はさらに、助触媒、例えばレニウム、スズ、ゲルマニウム、コバルト、ニッケル、イリジウム、タングステン、ロジウム、ルテニウム、またはその組合せを含むことができる。
【0045】
最終段階触媒の形成において、結晶ゼオライトはマトリックスと結合させると好ましい。このマトリックスは炭化水素分解に係わり触媒的に活性ではない。満足なマトリックスは、アルミナ、シリカ、天然産生および常習的に処理されたクレイ(例えば、ベントナイト、カオリン、セピオライト、アタパルガイトおよびハロイサイト)を包含する。このような物質は、あるとしても僅かな酸部位を有するのみであり、従って、分解活性をほとんど有していないか、または有していない。
【0046】
最終改質段階の反応条件は当該段階に使用される触媒の特定の性能上の利点が効果的に利用されるように特定する。従って、本発明の方法において、最終改質段階の反応圧力は最後から二番目の段階の圧力よりも低い。低い圧力における最終改質段階の操作は、少なくとも部分的に本発明の中型孔分子篩触媒の高い触媒としての安定性によって可能にされる。すなわち、これらの触媒は有意の堆積および早過ぎる活性の喪失を伴うことなく低い圧力における操作を可能にする。従って、これは比較的温和な条件における最後から二番目の段階の操作を可能にし、これにより長い触媒寿命および高い水素収率、ならびに所望のハイオクタン生成物がもたらされる。
【0047】
最終段階へのナフサ供給材料は最後から二番目の段階の流出液から分離される中間改質油である。本方法において、この中間改質油を最終段階において改質条件下に触媒と接触させる。この反応条件は、約800°F〜約1100°Fの範囲の温度、約50psig〜約250psigの範囲の圧力および約0.5/時間〜約5/時間LHSVの範囲の供給速度を包含する。態様の中で、この改質段階における圧力は100psigより低い。水素は追加の供給材料として最終改質段階に添加することができるが、必須ではない。態様において、供給材料とともに添加される水素は最終段階流出液の分離操作から回収され、最終段階に再循環される。最終段階はH/炭化水素モル比を1:1〜10:1の範囲に維持する条件下に操作する。具体的には、H/炭化水素モル比は1:1〜4:1の範囲である。
【0048】
特定の方法に応じ、最終改質段階からの流出液(別名、「最終流出液」)は軽質(すなわち、C4−生成物および/または水素)生成物を含有することができ、この軽質生成物は配合用にさらに処理する前に、または燃料として使用する前に、最終分離工程において改質油から除去することができる。水素に富む流は分離工程に先立ち、例えば高圧分離器またはその他のフラッシュ帯域を用いて流出液から分離することができる。流出液中のC4−炭化水素はまた、予備フラッシュ帯域において水素とともに分離することができ、または後続のフラッシュ帯域で分離することができる。最終改質段階で生成される改質油は最終改質段階に供給される中間改質油に比較し増加したRONを有する。態様において、最終改質油のRONは少なくとも90、または少なくとも95、または少なくとも98である。態様の中で、最終改質油は約70°F〜約280°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、最終改質油は少なくとも70容量%の量でC−C炭化水素を含む。態様の中で、最終改質油は約100°F〜約230°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、最終改質油は少なくとも70容量%の量でC−C炭化水素を含む。態様の中で、最終改質油は約100°F〜約230°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、最終改質油は少なくとも70容量%の量でC−C炭化水素を含む。最終改質流に加え、最終軽質流がまた、最終流出液から回収される。このような場合、最終改質流は約70°F〜約140°Fの範囲で沸騰する。このような態様の中で、最終軽質流は少なくとも70容量%の量でC炭化水素を含む。
【0049】
改質油は燃料として、または燃料用配合原料として有用である。態様の中で、最終改質段階からの改質油の少なくとも一部分は、最後から2番目の改質段階から回収される重質改質油の少なくとも一部分と配合する。この配合油は燃料として、または燃料用配合原料として使用することができる。
【0050】
ここで、図1に例示されている本発明の態様を引用する。50°F〜550°Fの範囲内で沸騰するナフサ沸騰範囲フラクション5を反応段階10中に約0.5/時間〜約5/時間LHSVの範囲の供給速度で通す。改質段階10における反応条件は約800°F〜約1100°Fの範囲の温度および約70psigより高い圧力から約400psigまでの範囲の総合圧力を包含する。
【0051】
最後から2番目の改質段階からの流出液11は品質向上された生成物であり、RONは最後から2番目の改質段階10における反応期間中に増加されている。最後から2番目の段階の流出液11は炭化水素および当該最後から2番目の段階における反応中に生成される水素および最後から2番目の段階の供給上流に添加される(添加される場合)水素の少なくとも幾分かを含む。図1に例示されている態様において、流出液は分離帯域20において水素に富む流21、C4−流22、中間改質油25および重質改質油26に分離される。態様において、この分離は単独の分離帯域で生じる。別の態様において、この分離は水素および場合により、中間改質油25と重質改質油26との分離に先立つ1個または2個以上の予備分離帯域において分離されるC4−流とともに後続の帯域で行われる。
【0052】
図1に例示されている態様において、中間改質油25は流出液中に含まれるC−C炭化水素を実質的な量で含み、少量のCおよびC炭化水素を付随する。中間改質油25の少なくとも一部分は最終改質段階30に通す。重質改質油26は流出液11に含有されるC9+炭化水素を実質的量で含有し、98より大きい、好ましくは100より大きいRONを有する。
【0053】
中間改質油25は最終改質段階30に通し、ここで白金および少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と約800°F〜約1100°Fの範囲の温度および約50psig〜約250psigの範囲の圧力を包含する反応条件下に接触させる。
【0054】
最終改質段階からの流出液31は分離帯域40において分離され、水素に富む流41、C4−流42、および最終改質油流45が少なくとも得られる。態様において、最終改質油流はC5+沸騰範囲で沸騰する。前記したように、この分離は特定の方法の特定の要件に応じて、1個または2個以上の分離帯域で行うことができる。或る種の態様において、最終改質油流45は、さらに処理する前に、あるいは燃料としてまたは燃料配合用原料として使用する前に、重質改質油26とさらに配合することができる。水素に富む流41は別の精製処理における使用に先立ち、水素に富む流21と混合され、またC4−流42はC4−流22と混合される。
【0055】
ここで、図2に例示されている本発明の態様を引用する。50°F〜550°Fの範囲内で沸騰するナフサ沸騰範囲フラクション5を反応段階10中に約0.5/時間〜約5/時間LHSVの範囲の供給速度で通す。改質段階10における反応条件は約800°F〜約1100°Fの範囲の温度および約70psigより高い圧力から約400psigまでの範囲の総合圧力を包含する。
【0056】
最後から2番目の改質段階からの流出液11は品質向上された生成物であり、RONは最後から2番目の改質段階10の反応中に増加されている。最後から2番目の段階の流出液11は最後から2番目の改質段階における反応中に生成された水素および炭化水素を含み、さらに最後から2番目の改質段階の供給上流に添加された(添加された場合)水素の少なくとも一部分を含む。図2に例示されている態様において、流出液は分離帯域25において水素に富む流21、C4−流22、軽質改質油23、中間改質油25および重質改質油26に分離される。態様において、この分離は単独の分離帯域で行う。別の態様において、この分離は水素および場合により、軽質改質油23、中間改質油25と重質改質油26との分離に先立つ1個または2個以上の予備分離帯域において分離されるC4−流とともに引続く帯域で行われる。
【0057】
図2に例示されている態様において、軽質改質油23は流出液中に含有される実質的量のC炭化水素を含み、また少量のCおよびC炭化水素を付随する。中間流は流出液中に含有されるC−C炭化水素の実質的部分を含む;重質改質油26は流出液11に含有されるC9+炭化水素を実質的な量で含有する。
【0058】
中間改質油24は最終改質段階30に約0.5/時間〜約5/時間LHSVの範囲の供給速度で通し、ここで白金および少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と約800°F〜約1100°Fの範囲の温度および約50psig〜約250psigの範囲の圧力を包含する反応条件下に接触させる。
【0059】
最終改質段階からの流出液31は分離帯域40において分離し、少なくとも水素に富む流41、C4−流42、最終C流43および最終改質油流44を得る。態様において、最終改質油流はC6+沸騰範囲で沸騰する。前記したように、この分離は特定の方法の特定の要件に応じて、1個または2個以上の分離帯域で行うことができる。図2に例示されている態様に示されているように、最終改質油流44は、さらに処理する前に、あるいは燃料としてまたは燃料配合用原料として使用する前に、重質改質油26とさらに混合する。水素に富む流41は別の精製処理に使用するのに先立ち、水素に富む流21と混合し、C4−流42はC4−流22と混合し、および最終C流43はC流23と混合する。
【0060】
下記例は本発明の態様を例示するために示されており、本発明を記載されている特定の態様に制限しようとするものではない。別段の記載がないかぎり、全部の部およびパーセンテージは重量による。全部の数値は大体の数値である。数字による範囲が示されている場合、記載されている範囲外の態様も本発明の範囲内に入るものと理解されるべきである。各例に記載されている特別の詳細は本発明の必須の特徴であると解釈されるべきではない。
【0061】
(例)
(例1)
54.8のAPI、53.3のRONおよび表1に示されているASTM D−2887模擬蒸留を有するナフサ供給材料をアルミナ支持体上のレニウム助触媒含有白金を含む市販の改質触媒を用いる最後から2番目の段階で改質した。反応条件は840°Fの温度、200psigの圧力、5:1モル比の水素対炭化水素比および1.43/時間LHSVの供給速度を包含した。C+液体収率は92.7重量%であった。水素産生は975標準立法フィート/供給材料バレルであった。
【0062】
この最後から2番目の段階から採取されたC5+液体生成物は46.6のAPI、89のRONおよび表2に示されているASTM D−2887模擬蒸留を有した。
【表1】


【表2】

【0063】
(例2)
例1からのC5+液体生成物を中間改質油および重質改質油に蒸留した。中間改質油は例1からのC5+液体生成物の80容量%を示すことが見出された。55.7のAPI、85のRONおよび表3に示されているASTM D−2887模擬蒸留を有する中間改質油を例3および比較例1における最終改質段階への供給材料として使用した。この重質改質油は例1からのC5+液体生成物の20容量%を示すことが見出された。この重質改質油は28.9のAPIおよび105のRONを有しており、表5でさらに説明されている。
【表3】

【0064】
(例3)
例2で生成された中間改質油を、35%アルミナ結合材料とともに構成されたZSM−5ゼオライト基材触媒を使用する最終改質段階への供給材料として使用した。ZSM−5は〜2000のSiO/Alモル比を有し、アンモニウム形態にイオン交換した後、65%ゼオライト/35%アルミナ押出成型物中に配合した。この押出成型物に0.8%Pt、0.3%Naおよび0.3%Mgを初期湿潤法(incipient wetness procedure)により含浸し最終触媒を生成した。反応条件および実験結果を表4に示す。
【表4】

【0065】
(比較例1)
例2で生成された中間改質油を最終改質段階で例1に記載の市販のアルミナ上白金/レニウム基材触媒と接触させた。反応条件および実験結果を表4に示し、ZSM−5ゼオライト基材触媒を使用する例3からの結果と比較した。
【0066】
例3および比較例1は、類似のC5+RONにおけるC5+収率および水素産生に係わり市販のアルミナ上白金触媒と比較した場合、ZSM−5ゼオライト基材触媒の利点を示す。
【0067】
(例4)
例3の中間改質油の最終段階改質で生成された生成物を、最終段階に付されていない重質改質油(例2)と混合した。混合された最終生成物のC5+の総RON、総C5+収率および総H産生を供給材料として総C5+最後から二番目の流出液(例2において中間改質油と重質改質油とに蒸留される)の使用に基づき表5に示す。これらの結果を総C5+生成物が供給材料として総C5+最後から二番目の流出液から生成され、中間改質油と重質改質油とに蒸留されていない場合である比較例2から得られた結果と比較する。
【0068】
(比較例2)
例1から生成された総C5+生成物を中間改質油および重質改質油を蒸留することなく最終改質段階において930°F、80psig、2:1モル比の水素対炭化水素および1.5/時間LHSV供給速度で例3に記載のZSM−5ゼオライト基材触媒と接触させた。C5+液体収率は89.9重量%であり、および最終改質段階からのC5+液体生成物のRONは97.4であった。水素産生は190標準立法フィート/供給材料バレルであった。表5において、最終生成物が(i)例3の中間改質油の最終改質段階で生成された生成物からの配合物である場合および(ii)最終段階改質に付されていない重質改質油(例2)からの配合物である場合である例4からの結果を総C5+生成物が中間改質油と重質改質油とに蒸留されていない総C5+最後から2番目の流出流を供給材料として生成された場合である比較例2から得られた結果と比較する。
【表5】

【0069】
例4および比較例2は、全沸騰範囲C5+供給材料を使用する場合と比較し、ZSM−5ゼオライト基材触媒を用いる最終改質段階への供給材料としての中間改質油の利点をC5+収率、水素産生およびC5+RONの観点から示している。
【0070】
上記例3〜4および比較例1および2で報告されているRON値はガスクロマトグラフィを用いる組成分析に適用されるRON併合相互作用に基づく計算値である。この方法は±0.8以内の測定RON値と計算RON値との間の差を得るために基準化されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む改質方法:
a.ナフサ沸騰範囲供給材料を多段階改質方法の最後から2番目の段階において第一改質圧力下に接触させ、最後から2番目の流出液を生成し;
b.この最後から2番目の流出液の少なくとも一部分を少なくとも中間改質油と重質改質油とに分離し、ここで中間改質油は重質改質油の中間−沸点より低い中間−沸点を有しており;および
c.この中間改質油の少なくとも一部分を多段階改質方法の最終段階において第二改質圧力下に少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と接触させ、最終改質油を含む最終流出液を生成させることを含み、ここで第一改質圧力は第二改質圧力より高い。
【請求項2】
中間改質油が少なくとも70容量%のC−C炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中間改質油が少なくとも70容量%のC−C炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
重質改質油が少なくとも70容量%のC9+炭化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
中間改質油のRONがナフサ沸騰範囲供給材料のRONより高い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
中間改質油が65から100未満の範囲内のRONを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
重質改質油が少なくとも95のRONを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第一改質圧力が200psig〜400psigの範囲内であり、および第二改質圧力は50psig〜150psigの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
最後から二番目の段階内の触媒が多孔質耐火性無機酸化物支持体上に支持されている第VIII族金属および助触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
触媒がアルミナ支持体上に第VIII族金属として白金を含み、および助触媒としてレニウムを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
中型孔分子篩が、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38、ZSM−48、 MCM−22、SSZ−20、SSZ−25、SSZ−32、SSZ−35、SSZ−37、SSZ−44、SSZ−45、SSZ−47、SSZ−57、SSZ−58、SSZ−74、SUZ−4、EU−1、NU−85、NU−87、NU−88、IM−5、TNU−9、ESR−10、TNU−10およびその組合せからなる群から選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
中型孔分子篩が、少なくとも200:1のシリカモル対アルミナモル比を有するZSM−5を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
中型孔分子篩が、5000ppmより少ないアルカリを有するZSM−5を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
以下を含む改質方法:
a.ナフサ沸騰範囲供給材料を多段階改質方法の最後から2番目の段階で第一改質圧力下に接触させ、最後から2番目の段階の流出液を生成し;
b.この最後から2番目の流出液の少なくとも一部分を少なくとも軽質改質油、中間改質油および重質改質油に分離し、ここで軽質改質油は中間改質油の中間−沸点より低い中間−沸点を有し、および中間改質油は重質改質油の中間−沸点より低い中間−沸点を有し;次いで
c.この中間改質油の少なくとも一部分を多段階改質方法の最終段階において第二改質圧力下に少なくとも1種の中型孔分子篩を含む触媒と接触させ、最終改質油を含む最終流出液を生成させることを含み、ここで第一改質圧力は第二改質圧力より高い。
【請求項15】
a.最終流出液を少なくとも最終C流と最終改質油流とに分離し;
b.この最終C流を軽質改質油流と混合し;および
c.最終改質油を重質改質油と混合する;
ことをさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−522927(P2011−522927A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512505(P2011−512505)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/043586
【国際公開番号】WO2009/148773
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】