説明

ハイパースペクトル画像解析システム、その方法及びそのプログラム

【課題】ハイパースペクトル画像解析システムで、大気による吸収の影響を抑えた上でスペクトル照合により自動で目標物体を抽出する。
【解決手段】基準反射板を備える。大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する。基準反射板のスペクトルデータを取得する。取得したスペクトルデータと、保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する。目標画像のスペクトルデータを取得する。大気補正係数を用いて目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする。目標物体の基準スペクトルデータを保持する。基準スペクトルデータと大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について第1の照合をする。特定の波長領域についてのみ第2の照合をする。第1の照合の結果及び第2の照合の結果に基づいて目標物体を選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイパースペクトル画像解析システムにおける自動大気吸収補正及び自動目標抽出に関する。
【背景技術】
【0002】
リモートセンシング技術の目標抽出能力を向上させるために、従来高解像度化に注力がされてきたが、形状認識だけでは目標抽出に限界がある。
【0003】
例えば、カモフラージュされたものの探知は困難である。そこで、ハイパースペクトル撮像装置による物質の光学特性を利用したハイパースペクトルセンシング技術にて、目標抽出能力が格段に向上することが見込まれている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−012036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もっとも、ハイパースペクトルセンシング技術を用いるにあたっては、以下の2つの問題点があった。
【0005】
第1の問題点は、同物体でも撮像条件により得られるスペクトルが異なることである。この原因は、可視・近赤外のハイパースペクトル画像は、太陽光の大気による吸収の影響を受け、その吸収特性は大気の状態に依存し、一定にはならないためである。
【0006】
第2の問題点は、一般的なスペクトル照合関数では類似の色を持つ物体の識別が困難であることである。この原因は、類似色の物体はスペクトル形状も類似しているため、一般の照合関数による照合結果に際立った差異が生じないためである。
【0007】
そこで、本発明は太陽光の大気による吸収の影響を抑えた上でスペクトル照合により自動で目標物体を抽出できるハイパースペクトル画像解析システム、ハイパースペクトル画像解析方法及びハイパースペクトル画像解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1のシステムとして基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、撮像装置が、基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像手段と、目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、画像解析装置が、大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持手段と、前記基準反射板スペクトルデータ撮像手段において取得したスペクトルデータと、前記保持手段において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出手段と、前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正手段と、前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析手段と、を備えることを特徴とする解析システムが提供される。
【0009】
更に、第2のシステムとして、撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、撮像装置が、目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、画像解析装置が、目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持手段と、前記基準スペクトルデータと目標画像撮像手段において撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合手段と、前記基準スペクトルデータと目標画像撮像手段において撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合手段と、前記第1の照合手段における照合の結果及び前記第2の照合手段における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別手段と、を備えることを特徴とする解析システムが提供される。
【0010】
更に、第3のシステムとして、基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、撮像装置が、基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像手段と、目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、画像解析装置が、大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持手段と、前記基準反射板スペクトルデータ撮像手段において取得したスペクトルデータと、前記保持手段において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出手段と、前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正手段と、目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持手段と、前記基準スペクトルデータと前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合手段と、前記基準スペクトルデータと前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合手段と、
前記第1の照合手段における照合の結果及び前記第2の照合手段における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別手段と、を備えることを特徴とする解析システムが提供される。
【0011】
更に、第1の方法として、基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、画像解析装置が大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持ステップと、撮像装置が基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像ステップと、画像解析装置が前記基準反射板スペクトルデータ撮像ステップにおいて取得したスペクトルデータと、前記保持ステップにおいて保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出ステップと、撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、画像解析装置が前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正ステップと、画像解析装置が前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析ステップと、を備えることを特徴とする解析方法が提供される。
【0012】
更に、第2の方法として、撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、画像解析装置が目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持ステップと、撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、画像解析装置が前記基準スペクトルデータと目標画像撮像ステップにおいて撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合ステップと、画像解析装置が前記基準スペクトルデータと目標画像撮像ステップにおいて撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合ステップと、画像解析装置が前記第1の照合ステップにおける照合の結果及び前記第2の照合ステップにおける照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別ステップと、を備えることを特徴とする解析方法が提供される。
【0013】
更に、第3の方法として、基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、画像解析装置が大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持ステップと、撮像装置が基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像ステップと、画像解析装置が前記基準反射板スペクトルデータ撮像ステップにおいて取得したスペクトルデータと、前記保持ステップにおいて保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出ステップと、撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、画像解析装置が前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正ステップと、画像解析装置が目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持ステップと、画像解析装置が前記基準スペクトルデータと前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合ステップと、画像解析装置が前記基準スペクトルデータと前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合ステップと、画像解析装置が前記第1の照合ステップにおける照合の結果及び前記第2の照合ステップにおける照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別ステップと、を備えることを特徴とする解析方法が提供される。
【0014】
更に、第1のプログラムとして、基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれるハイパースペクトル画像解析プログラムにおいて、大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持機能と、前記撮像装置より伝達される基準反射板スペクトルデータ撮像機能において取得したスペクトルデータと、前記保持機能において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出機能と、前記大気補正係数を用いて前記撮像装置より伝達される目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正機能と、前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラムが提供される。
【0015】
更に、第2のプログラムとして、撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれるハイパースペクトル画像解析を行う解析プログラムにおいて、目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持機能と、前記基準スペクトルデータと前記撮像装置より伝達される撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合機能と、前記基準スペクトルデータと前記撮像装置より伝達される撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合機能と、前記第1の照合機能における照合の結果及び前記第2の照合機能における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラムが提供される。
【0016】
更に、第3のプログラムとして、基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれるハイパースペクトル画像解析を行う解析プログラムにおいて、大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持機能と、前記撮像装置より伝達される基準反射板スペクトルデータ撮像機能において取得したスペクトルデータと、前記保持機能において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出機能と、前記大気補正係数を用いて前記撮像装置より伝達される目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正機能と、目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持機能と、前記基準スペクトルデータと前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合機能と、前記基準スペクトルデータと前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合機能と、前記第1の照合機能における照合の結果及び前記第2の照合機能における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽光の大気による吸収の影響を抑えた上で、スペクトル照合により自動で目標物体を抽出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1を参照すると、本発明の第一の実施形態として、ハイパースペクトル画像解析システムの構成図が示されている。
【0020】
また、図2は、全波長照合処理と特定波長照合処理の説明図である。まず、図2に示す[1]のスペクトルの形状と[2]のスペクトルの形状を照合し、識別を行う場合について説明する。なお、以下では波線により挟まれている領域のことを特に「特定波長領域」と記載する。
【0021】
[1]のスペクトルの形状と[2]のスペクトルの形状を特定波長領域のみについて照合した場合、両波長は大きく異なるため[1]のスペクトルの形状と[2]のスペクトルの形状を識別することができる。
【0022】
一方、[1]のスペクトルの形状と[2]のスペクトルの形状を全領域について照合した場合、識別することは困難である。特定波長領域については異なっているが、特定波長領域以外の領域では波長が近似しているため全体的にみると両波長は大きく変わらないといえるためである。
【0023】
次に、[1]のスペクトルの形状と[3]のスペクトルの形状の照合について説明する。[1]のスペクトルの形状と[3]のスペクトルの形状を特定波長領域のみについて照合した場合、両波長は近似するため[1]のスペクトルの形状と[3]のスペクトルの形状を識別することは困難である。
【0024】
一方、[1]のスペクトルの形状と[3]のスペクトルの形状を全領域について照合した場合、識別することができる。特定波長領域については近似しているが、特定波長領域以外の領域では波長が異なっているため全体的にみると両波長は大きく異なるといえるためである。
【0025】
以上より、全波長照合処理と特定波長照合処理を組み合わせることにより、精度の高いスペクトルの形状の照合が可能となることが分かる。
【0026】
図1を参照すると、本発明のハイパースペクトル画像解析システムは、ハイパースペクトル撮像装置1及び画像解析装置2を備える。
【0027】
また、ハイパースペクトル撮像装置1は、基準反射板3、走査装置4及び撮像装置5を備える。
【0028】
また、画像解析装置2は、基準データ記憶部6、大気補正処理部7、全波長照合処理部8及び特定波長照合処理部9を備える。
【0029】
本発明による基準反射板3および大気補正処理部7の存在により、自動の大気補正が可能となっている。従って、後段のスペクトル照合処理において基準スペクトルとの照合が可能となる。
【0030】
また、全波長照合処理部8、特定波長照合処理部9により、スペクトル全体の特徴および目標物体固有の特徴を用いて照合処理するので、目標抽出精度が向上する。
【0031】
次に、図1乃至図6を参照して第1の実施の形態の処理方法を説明する。
【0032】
始めに、図1の点線で示すように基準反射板方向に走査装置を指向させ、基準反射板のスペクトルデータを得る。
【0033】
そして図3に示すように、大気補正処理部にて次式により大気補正係数を得る。
【0034】
α(k)=S(k)/S0(k)
但し、
α(k):大気補正係数
S(k):基準反射板スペクトル
S0(k):基準データ記憶部に保存された、大気吸収の影響を除外した基準反射板スペクトル
k:波長番号
であるとする。
【0035】
次に図1の実線で示すように走査装置を目標方向に指向させて目標画像を取得し,図4に示すように、大気補正処理部7にて前記補正係数α(k)を用いて次式により目標画像の大気補正を行う。
【0036】
Zi(k)=Xi(k)/α(k)
但し、
Zi(k):補正後の目標スペクトル
Xi(k):補正前の目標スペクトル
α(k):大気補正係数
i:画素番号
k:波長番号
であるとする。
【0037】
次に、全波長照合処理部において、スペクトル全体の特徴による目標物体の一次抽出を行う。図5には例として、基準スペクトル、目標1スペクトル、目標2スペクトル、目標3スペクトルを示した。なお、ここで基準スペクトルとは、基準データ記憶部6に保持している大気吸収の影響を除外した目標物体スペクトルデータのことを指す。
【0038】
目標1は基準スペクトルと同等のスペクトル、目標2はスペクトル全体の形状は基準スペクトルと類似しているが特定領域のスペクトル形状が基準スペクトルとは異なるもの、目標3は、スペクトル全体の形状は基準スペクトルと異なるが特定領域のスペクトル形状は基準スペクトルと類似しているものを示している。
【0039】
目標1、目標2、目標3に対して、代表的な照合関数であるSAM(Spectral Angle Mapper)による基準スペクトルと照合した結果は以下となる。ここでSAMは、スペクトルの形状をベクトルに置き換え、ベクトルの角度を尺度として照合度を算出する方法である。
【0040】
目標1の照合結果 0度
目標2の照合結果 1度
目標3の照合結果 20度
(角度が小さいほど照合度が高い。照合度最大は0度、最小は90度)
この結果、全波長照合結果として、目標1および目標2が抽出される。
【0041】
最後に、特定波長照合処理部9において、特定波長での照合を行ない、目標物体の抽出を行う。ここで図6に特定波長照合の処理を示す。
【0042】
まず波長選択部91が基準データ記憶部6より、基準スペクトルに応じた処理波長域を取得し、目標スペクトルに対して波長域を選択する。同様に、波長選択部92が基準スペクトルに対して波長域を選択する。
【0043】
最小輝度算出部93及び最小輝度算出部94が前記選択スペクトルの最小値を求め、最小値を減算してオフセット除去を行う。照合処理部95が前記オフセット除去後のスペクトルについてスペクトル照合関数を用いて照合処理を行い、照合度を算出する。
【0044】
図5の目標1、目標2に対して、代表的な照合関数であるSAM(Spectral Angle Mapper)によって特定波長において基準スペクトルと照合した結果は以下となり、特定波長照合結果として、目標1が抽出される。
【0045】
目標1の照合結果 0度
目標2の照合結果 32度
(参考に、目標3の照合結果は7度である。)
本実施の形態では基準反射板を用いて大気補正を行うので、大気吸収の影響を自動で除去でき、またスペクトル全体の特徴および物体に応じた特定の波長域の特徴により照合を行うので、所望の目標を抽出することができる。
【0046】
[発明の他の実施の形態]
上記実施の形態において、スペクトル特定波長照合処理部を複数段重ねた形態とすることも可能である。
【0047】
このようにスペクトル特定波長照合処理部を複数段重ねた形態とする利点は、複数の特徴波長域を持つ物体の抽出が可能となること、および、特徴波長域を断定できない目標に対する抽出確度を向上できることである。
【0048】
さらに、大気補正後のスペクトルデータを基準データ記憶部に格納するという形態にすることにより、撮像スペクトルから基準データを蓄積していくことが可能である。
【0049】
[発明の効果]
第1の効果は、基準反射板のスペクトルを使用することで、自動で大気補正を行うことができ、大気の影響を除外したスペクトル照合処理を可能とすることができることである。
【0050】
第2の効果は、スペクトル全体の特徴および目標物体固有の特徴を用いて照合処理することで、高精度の目標抽出機能を持つ画像解析装置を提供することができることである。
【0051】
なお、ハイパースペクトル画像解析システムは、ハードウェアとソフトウェアの組合せにより実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の活用例として、災害調査、植生調査、捜索、救難等のリモートセンシングに使用されるハイパースペクトル画像解析システムといった例が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態であるハイパースペクトル画像解析システムの構成を示す図である。
【図2】ハイパースペクトル画像解析における全波長照合処理及び特定波長照合処理に関する説明図である。
【図3】本発明の実施形態における大気補正係数についての説明図である。
【図4】本発明の実施形態における大気補正の説明図である。
【図5】本発明の実施形態における基準スペクトル及び目標スペクトルの例を表す図である。
【図6】本発明の特定波長照合処理部のブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ハイパースペクトル撮像装置
2 画像解析装置
3 基準反射板
4 走査装置
5 撮像装置
6 基準データ記憶部
7 大気補正処理部
8 全波長照合処理部
9 特定波長照合処理部
91、92 波長選択部
93、94 最小輝度算出部
95 照合処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、
撮像装置が、
基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像手段と、
目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、
画像解析装置が、
大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持手段と、
前記基準反射板スペクトルデータ撮像手段において取得したスペクトルデータと、前記保持手段において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出手段と、
前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正手段と、
前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析手段と、
を備えることを特徴とする解析システム。
【請求項2】
撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、
撮像装置が、
目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、
画像解析装置が、
目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持手段と、
前記基準スペクトルデータと目標画像撮像手段において撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合手段と、
前記基準スペクトルデータと目標画像撮像手段において撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合手段と、
前記第1の照合手段における照合の結果及び前記第2の照合手段における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別手段と、
を備えることを特徴とする解析システム。
【請求項3】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備え、ハイパースペクトル画像解析を行う解析システムにおいて、
撮像装置が、
基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像手段と、
目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像手段を備え、
画像解析装置が、
大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持手段と、
前記基準反射板スペクトルデータ撮像手段において取得したスペクトルデータと、前記保持手段において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出手段と、
前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正手段と、
目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持手段と、
前記基準スペクトルデータと前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合手段と、
前記基準スペクトルデータと前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合手段と、
前記第1の照合手段における照合の結果及び前記第2の照合手段における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別手段と、
を備えることを特徴とする解析システム。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の解析システムであって、
画像解析装置が、
前記大気補正手段において大気補正されたスペクトルデータを前記基準スペクトルデータとして記録する記録手段を更に備えることを特徴とする解析システム。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の解析システムであって、
画像解析装置が、
前記第2の照合手段を前記特定の波長領域を異なるものとして複数回動作させることを特徴とする解析システム。
【請求項6】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、
画像解析装置が大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持ステップと、
撮像装置が基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像ステップと、
画像解析装置が前記基準反射板スペクトルデータ撮像ステップにおいて取得したスペクトルデータと、前記保持ステップにおいて保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出ステップと、
撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、
画像解析装置が前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正ステップと、
画像解析装置が前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析ステップと、
を備えることを特徴とする解析方法。
【請求項7】
撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、
画像解析装置が目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持ステップと、
撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、
画像解析装置が前記基準スペクトルデータと目標画像撮像ステップにおいて撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合ステップと、
画像解析装置が前記基準スペクトルデータと目標画像撮像ステップにおいて撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合ステップと、
画像解析装置が前記第1の照合ステップにおける照合の結果及び前記第2の照合ステップにおける照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別ステップと、
を備えることを特徴とする解析方法。
【請求項8】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける、ハイパースペクトル画像解析を行う解析方法において、
画像解析装置が大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持ステップと、
撮像装置が基準反射板のスペクトルデータを取得する基準反射板撮像ステップと、
画像解析装置が前記基準反射板スペクトルデータ撮像ステップにおいて取得したスペクトルデータと、前記保持ステップにおいて保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出ステップと、
撮像装置が目標画像のスペクトルデータを取得する目標画像撮像ステップと、
画像解析装置が前記大気補正係数を用いて前記目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正ステップと、
画像解析装置が目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持ステップと、
画像解析装置が前記基準スペクトルデータと前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合ステップと、
画像解析装置が前記基準スペクトルデータと前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合ステップと、
画像解析装置が前記第1の照合ステップにおける照合の結果及び前記第2の照合ステップにおける照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別ステップと、
を備えることを特徴とする解析方法。
【請求項9】
請求項6又は8に記載の解析方法であって、
画像解析装置が、
前記大気補正ステップにおいて大気補正されたスペクトルデータを前記基準スペクトルデータとして記録する記録ステップを更に備えることを特徴とする解析方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の解析方法であって、
画像解析装置が、
前記第2の照合ステップを前記特定の波長領域を異なるものとして複数回行うことを特徴とする解析方法。
【請求項11】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれる、ハイパースペクトル画像解析プログラムにおいて、
大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持機能と、
前記撮像装置より伝達される基準反射板スペクトルデータ撮像機能において取得したスペクトルデータと、前記保持機能において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出機能と、
前記大気補正係数を用いて前記撮像装置より伝達される目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正機能と、
前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータを用いてハイパースペクトル画像解析を行う解析機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラム。
【請求項12】
撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれる、ハイパースペクトル画像解析を行う解析プログラムにおいて、
目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持機能と、
前記基準スペクトルデータと前記撮像装置より伝達される撮像されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合機能と、
前記基準スペクトルデータと前記撮像装置より伝達される撮像されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合機能と、
前記第1の照合機能における照合の結果及び前記第2の照合機能における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラム。
【請求項13】
基準反射板を備えた撮像装置と画像解析装置を備えたシステムにおける画像解析装置に組み込まれる、ハイパースペクトル画像解析を行う解析プログラムにおいて、
大気吸収の影響を除外した基準反射板のスペクトルデータを保持する保持機能と、
前記撮像装置より伝達される基準反射板スペクトルデータ撮像機能において取得したスペクトルデータと、前記保持機能において保持しているスペクトルデータとに基づいて大気補正係数を算出する大気補正係数算出機能と、
前記大気補正係数を用いて前記撮像装置より伝達される目標画像のスペクトルデータに対し大気補正をする大気補正機能と、
目標物体の基準スペクトルデータを保持する基準スペクトルデータ保持機能と、
前記基準スペクトルデータと前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータとを全波長領域について照合する第1の照合機能と、
前記基準スペクトルデータと前記大気補正機能において大気補正されたスペクトルデータとを特定の波長領域についてのみ照合する第2の照合機能と、
前記第1の照合機能における照合の結果及び前記第2の照合機能における照合の結果に基づいて目標物体を選別する選別機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−115498(P2009−115498A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286210(P2007−286210)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】