説明

ハイブリッドインフレーター

【課題】高出力でコンパクトに構成できるハイブリッドインフレーターの提供。
【解決手段】インフレーター1は、ガス発生室26と中間室37との間に、第1破裂板35によって塞がれた噴出口34を配設させる。第1破裂板35は、スクイブ28の着火によって発生した燃焼ガスFGにより、破裂される。ガス封入室22と中間室37との間には、噴出口34を経て中間室37に流入した燃焼ガスFGをガス封入室22内に流入させて、ガス封入室22内の加圧ガスPGを昇温させ、かつ、昇温させた加圧ガスPGを中間室37に流入可能な昇温用連通路39が、配設される。中間室37と吐出室45との間には、第2破裂板43によって塞がれた流出口42が配設される。そして、第2破裂板43が、ガス封入室22内で昇温された加圧ガスPGの圧力により破裂すれば、昇温された加圧ガスと燃焼ガスとの混合ガスCGが、吐出室45のガス吐出口47から吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動時に、スクイブの着火により発生する燃焼ガスと、封入済みの加圧ガスと、を、ガス吐出口から吐出させる構成のハイブリッドインフレーターに関し、車両の運転席用や助手席用等のエアバッグ装置のエアバッグを膨らませるために好適なインフレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリッドインフレーターは、円板状のディスクタイプとして、加圧ガスを封入させたガス封入室を円環状に配設させ、その中央の下部側に、ガス発生室を配設し、その上方に、順に、中間室と、ガス吐出口を設けた吐出室と、を設けたものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。ガス発生室には、スクイブとスクイブの着火により燃焼ガスを発生させるガス発生剤とが配設されていた。そして、ガス発生室と中間室との間の区画壁には、噴出口が配設され、ガス封入室と中間室との間の区画壁には、連通口が開口され、中間室と吐出室との区画壁には、流出口が開口されていた。さらに、噴出口と流出口とは、それぞれ、第1,2破裂板により塞がれていた。
【0003】
このインフレーターでは、作動時、スクイブの点火により着火されてガス発生剤が燃焼し、ガス発生剤の燃焼ガスが発生すると、その発生に伴う衝撃波、圧力、熱等により、噴出口を塞いでいた第1破裂板が破裂し、燃焼ガスが中間室に流入する。そして、連通口を経て中間室内に流入していた加圧ガスが昇温されて圧力を増し、さらに、燃焼ガスの圧力も伴って、瞬時に、流出口を塞いでいた第2破裂板を破裂させることとなり、その結果、ガス封入室に封入されていた加圧ガスと燃焼ガスとの混合ガスが、中間室を経て、吐出室内に流入し、吐出室のガス吐出口から、インフレーター外に吐出されることとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新型専利説明書ZL200820017796.1(公告番号CN201169241Y)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のインフレーターでは、スクイブが着火されて燃焼ガスが発生すれば、瞬時に、第1,2破裂板が破裂して、燃焼ガスと加圧ガスとの混合ガスが吐出される構成であって、加圧ガスの昇温が不十分であった。すなわち、加圧ガスは、燃焼ガスの噴出口からの噴出時、中間室内に充満していた分が、昇温昇圧されるだけで、ガス封入室に封入されていた大部分のガスは、第1破裂板の破裂に続く第2破裂板の破裂に伴って、昇温されずに、吐出されていた。そのため、このような構成では、例えば、容積の大きなエアバッグを膨張させるように混合ガスの吐出量を多くして、出力を高めようとする際、ガス封入室に封入した加圧ガスや燃焼ガスを発生させるガス発生剤の封入量を増加させて対処しなけれならず、インフレーターの大型化を招いていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、高出力で、かつ、コンパクトに構成できるハイブリッドインフレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るハイブリッドインフレーターは、作動時に、スクイブの着火により発生する燃焼ガスと封入済みの加圧ガスとの混合ガスを、ガス吐出口から吐出させる構成のハイブリッドインフレーターであって、
加圧ガスを封入させたガス封入室が、円環状に配設され、
ガス封入室の内側に、燃焼ガスを発生させるガス発生剤とスクイブとを収納したガス発生室、ガス吐出口を有した吐出室、及び、ガス発生室と吐出室との間の中間室、が配設され、
ガス発生室と中間室との間に、第1破裂板によって塞がれた噴出口が配設されるとともに、第1破裂板が、燃焼ガスの発生時に破裂して、燃焼ガスを中間室に流入させる構成とし、
ガス封入室と中間室との間に、噴出口を経て中間室に流入する燃焼ガスをガス封入室内に流入させて、ガス封入室内の加圧ガスを昇温させ、かつ、昇温させた加圧ガスを中間室に流入可能な昇温用連通路が、配設され、
中間室と吐出室との間に、第2破裂板によって塞がれた流出口が配設されるとともに、第2破裂板が、ガス封入室内で昇温された加圧ガスの圧力により破裂して、加圧ガスと燃焼ガスとの混合ガスを吐出室に流入させる構成としていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るハイブリッドインフレーターでは、作動時、ガス発生室内のガス発生剤が、スクイブの着火によって燃焼して、燃焼ガスを発生させる。そして、その衝撃波、圧力、熱等により、第1破裂板が破裂して噴出口を開口させることから、燃焼ガスが、噴出口を経て、ガス発生室から中間室に流入する。そして、中間室に流入した燃焼ガスは、昇温用連通路により、ガス封入室内に流入し、ガス封入室内の加圧ガスを昇温させることから、ガス封入室の加圧ガスは、圧力が高まって、燃焼ガスとともに、第2破裂板を破裂させる。その結果、昇温昇圧された加圧ガスが、昇温用連通路を経て、ガス封入室から中間室に流入し、燃焼ガスと混合されて混合ガスとなり、この混合ガスが、第2破裂板の破裂で開口した流出口を経て、吐出室に流入し、さらに、ガス吐出口から吐出されることとなる。そして、このガス吐出口から吐出される混合ガスの加圧ガス分は、作動前のガス封入室に流入されていた状態より、昇温用連通路を経てガス封入室内に流入した燃焼ガスによって、積極的に、昇温昇圧されており、インフレーターがコンパクトに構成されていても、混合ガスは、容積を増大させて、高い圧力の状態で、ガス吐出口から吐出されることとなり、インフレーターの出力が高められることとなる。
【0009】
したがって、本発明に係るハイブリッドインフレーターでは、高出力で、かつ、コンパクトに構成することができる。
【0010】
そして、本発明に係るハイブリッドインフレーターでは、昇温用連通路は、ガス封入室と中間室との間の円筒状の区画壁に、周方向に沿って、放射状に複数の連通口を設けて構成するとともに、連通口の開口面積の総和を、ガス吐出口の開口面積の総和より、大きく設定することが望ましい。このような構成では、第2破裂板の破裂後にガス発生室内で燃焼ガスが発生していても、その燃焼ガスは、ガス吐出口の開口面積が狭いことから、直ちに、中間室と吐出室とを経てガス吐出口から流出せずに、開口面積の広い連通口を経て、ガス封入室内に残留している加圧ガスを昇温昇圧させることとなる。そのため、燃焼ガスが、ガス封入室内に封入していた加圧ガスを、第2破裂板の破裂前のみならず、破裂後においても、昇温昇圧させて、ガス吐出口から吐出させることができ、インフレーターは、混合ガスの吐出中においても、極力、高出力を維持して、混合ガスを吐出することができる。勿論、連通口は、その開口面積が大きいことから、第2破裂板を破裂させる前に、ガス発生室で発生させた燃焼ガスを、火炎を含めて、ガス封入室に流入させ易く、ガス封入室の加圧ガスを迅速に昇温昇圧することができて、インフレーターの出力を高めることができる。
【0011】
さらに、この場合、連通口を、区画壁における吐出室とガス発生室との間の中間位置より、ガス発生室側に片寄って配設させておけば、第2破裂板を破裂させる前に、ガス発生室で発生させた燃焼ガスを、火炎を含めて、連通口を経て、ガス封入室に流入させ易くなって、一層、ガス封入室の加圧ガスを迅速に昇温昇圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る一実施形態のハイブリッドインフレーターの縦断面図である。
【図2】実施形態のハイブリッドインフレーターの斜視図である。
【図3】実施形態のハイブリッドインフレーターの概略横断面であり、図1のIII−III部位に対応する。
【図4】実施形態のハイブリッドインフレーターの概略横断面であり、図1のIV−IV部位に対応する。
【図5】実施形態のハイブリッドインフレーターの作動時の状態を順に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のハイブリッドインフレーター(以下、単に、インフレーターとする)1は、図1〜3に示すように、ディスクタイプとして、円柱状のハウジング3内の外周側に、円環状のガス封入室22を配設させるとともに、ガス封入室22の内側において、下方から上方にかけて、直列的に、ガス発生室26、中間室37、及び、吐出室45、を配設させて構成されている。そして、ハウジング3は、それぞれ、カップ状の鋼等の金属材からなる天井側部4と底側部11とを備えて構成されている。
【0014】
上部側の天井側部4は、円板状の天板部5と、天板部5の外周縁から底側部11側の下方へ、円筒状に延びる周壁部8と、を備えて構成されている。天板部5の中央には、円柱状に上方へ突出する突出部6が配設されている。突出部6は、吐出室45の外壁を構成するものであり、円筒状の周壁6aには、ハウジング3の軸心Oの直交方向に混合ガスCGを吐出する円形に開口した複数のガス吐出口47が、配設されている。実施形態の場合、ガス吐出口47は、ハウジング3の軸心Oを中心とした周方向に沿って等間隔として、4個配設されている。周壁部8の下端には、外方へ突出するフランジ部9が配設され、フランジ部9には、インフレーター1を所定箇所に取り付けるための取付孔9aが、配設されている。
【0015】
下部側の底側部11は、円環状の底板部12と、底板部12の内縁から天板部5側の上方へ延びる円筒状の内側筒部15と、底板部12の内縁から下方に延びる組付筒部13と、底板部12の外縁から天板部5側の上方へ延びる周壁部20と、を備えて構成されている。内側筒部15の内周側には、内側筒部15の内周側を塞ぐように、円板状の中間壁部18が形成されている。そして、内側筒部15は、中間壁部18を間にして、底板部12側の内底側壁部16と、天板部5側の内天側壁部17と、から構成されることとなる。中間壁部18は、ガス発生室26と中間室37とを区画する部位であり、中央には、円形に開口した噴出口34が形成されている。内底側壁部16は、ガス発生室26とガス封入室22とを区画する円筒状の区画壁を構成し、内天側壁部17は、ガス封入室22と中間室37とを区画する円筒状の区画壁を構成している。そして、内天側壁部17は、天板部5より中間壁部18に接近した位置に、円形に開口させた複数の連通口40を開口させている。
【0016】
連通口40は、ハウジング3の軸心Oを中心として、放射状に8個配設され、それぞれ、一個分のガス吐出口47の開口より大きく開口されている。そして、これらの連通口40は、ガス発生室26で発生した燃焼ガスFGをガス封入室22側に導入させ、かつ、燃焼ガスFGに昇温昇圧されたガス封入室22内の加圧ガスPGを、中間室37側に流入させる昇温用連通路39を構成している(図5参照)。
【0017】
底板部12の内縁から下方に延びる組付筒部13は、ガス発生器27をガス発生室26に固定するかしめ部位としている。また、底板部12の外縁から天板部5側の上方へ延びる周壁部20は、先端20aが、天井側部4のフランジ部9の下面9bに溶接されている。
【0018】
なお、このハウジング3は、底側部11の周壁部20の先端20aと内側筒部15の先端15aとが、天井側部4のフランジ部9の下面9bと天板部5の下面5aとに対して、摩擦溶接、レーザ溶接、抵抗溶接等により(実施形態では、摩擦溶接により)、接合されている。
【0019】
そして、加圧ガスPGを封入させたガス封入室22が、円環状として、天井側部4の天板部5と底側部11の底板部12との間で、内外周を、内側筒部15と周壁部8,20相互とにより、囲まれて形成されている。実施形態の場合、加圧ガスPGは、アルゴン等の不活性ガスが使用されている。なお、底板部12には、加圧ガスPGをガス封入室22に封入するために開口させた封入口23と、加圧ガスPGを封入した後に、封入口23を塞ぐ封止ピン24と、が配設されている。
【0020】
ガス発生室26は、ガス封入室22の内側の底板部12側に設けられ、中間壁部18の底板部12側における内底側壁部16に囲まれて配設されている。ガス発生室26には、組付筒部13の下端のかしめ部13aにより、ホルダ30が底板部12に保持されて、ガス発生器27が、配設されている。ガス発生器27は、燃焼時に、火炎を含んだ窒素ガス等の燃焼ガスFGを発生させるガス発生剤29が、アルミニウム合金等のカップ31内に収納されるとともに、ガス発生剤29を着火させるスクイブ28とカップ31とが円板状のホルダ30に組み付けられて構成されている。ホルダ30から離れたカップ31の天井壁32には、ガス発生剤29が燃焼して発生した燃焼ガスFGに押し開かれる複数の三角板状のフラップ32aが配設されている。フラップ32aの周縁には、切れ目を入れた破断予定部32bが放射状に配設され、各フラップ32aが、ハウジング3の軸心O側から周縁に向かって開くように、構成されている。
【0021】
なお、ガス発生剤29の燃焼した燃焼ガスFGは、加圧ガスPGを昇温昇圧させる加熱媒体FGとも言えることから、ガス発生剤29は、燃焼させて加熱媒体FGを発生させる熱媒体発生剤29、ガス発生室26は、熱媒体発生室26、ガス発生器27は、熱媒体発生器27、と言い換えることもできる。
【0022】
また、実施形態では、ガス発生剤(熱媒体発生剤)29を構成する組成物が、主成分のMg/Al合金に酸化剤やバインダを含有させたものが使用されており、その燃焼時、高温の気体成分より火炎を多く発生させた状態の加熱媒体(燃焼ガス)FGとなって、その火炎成分の多い燃焼ガスFGにより、主に、加圧ガスPGの昇温を促進させている。
【0023】
そして、中間壁部18に設けられた噴出口34は、金属板等からなる第1破裂板35によって塞がれており、第1破裂板35は、燃焼ガスFGの発生時に、その衝撃波や圧力、あるいは、熱等により、破裂される。
【0024】
中間室37は、天板部5と中間壁部18との間で、換言すれば、吐出室45とガス発生室26との間で、内天側壁部17で囲まれた部位に配設されている。中間室37は、既述したように、内天側壁部17に設けられた昇温用連通路39を構成する複数(実施形態では6個)の連通口40により、ガス封入室22と連通されている。
【0025】
吐出室45は、天板部5の突出部6内に設けられて、既述したように、複数(実施形態では4個)のガス吐出口47を備えて構成されている。そして、吐出室45は、中間室37との間に、金属製の第2破裂板43によって塞がれた流出口42を配設させている。流出口42は、天板部5の突出部6の内周縁に配設され、昇温昇圧された加圧ガスPGと燃焼ガスFGとの混合ガスCGの圧力の作用時、第2破裂板43が破裂することにより開口する。その際、混合ガスCGは、開口した流出口42を経て、中間室37から流出されて吐出室45内に流入し、そして、ガス吐出口47から吐出されることとなる。
【0026】
なお、実施形態の場合、第2破裂板43は、ガス発生室26内で発生した燃焼ガスFGが、第1破裂板35を破裂させて中間室37に流入しても、直ちに破裂しないように設定されている。すなわち、中間室37に流入した燃焼ガスFGが、昇温用連通路39を経て、ガス封入室22内の加圧ガスPGを昇温昇圧できるように、第2破裂板43は、中間壁部18からの距離Lや肉厚tが考慮されて、強度が設定されている。そして、実施形態の場合、第2破裂板43は、中間室37内が90MPa以上となった際に、破裂するように設定されている。ちなみに、ガス封入室22に封入した加圧ガスPGは、40MPaとしている。
【0027】
そして、実施形態のインフレーター1では、作動時、まず、図1、図5のAに示すように、ガス発生室26内のガス発生剤29が、スクイブ28の点火により着火されて燃焼し、燃焼ガスFGを発生させる。そして、その燃焼ガスFGの衝撃波、圧力、熱、あるいは、押し開かれるフラップ32aの衝突等により、第1破裂板35が破裂して、噴出口34が開口する。そのため、まず、燃焼ガスFGが、噴出口34を経て、ガス発生室26から中間室37に流入する。そして、中間室37に流入した燃焼ガスFGは、昇温用連通路39の各連通口40を経て、ガス封入室22内に流入し、ガス封入室22内の加圧ガスPGが昇温される。そのため、ガス封入室22内の加圧ガスPGは、圧力が高まって、図5のBに示すように、燃焼ガスFGとともに、第2破裂板43を破裂させる。その結果、昇温昇圧された加圧ガスPGが、昇温用連通路39の連通口40を経て、ガス封入室22から中間室37に流入し、燃焼ガスFGと混合されて混合ガスCGとなり、この混合ガスCGが、第2破裂板43の破裂で開口した流出口42を経て、吐出室45に流入し、さらに、ガス吐出口47から吐出されることとなる。そして、このガス吐出口47から吐出される混合ガスCGの加圧ガスPG分は、作動前のガス封入室22に流入されていた状態より、昇温用連通路39を経てガス封入室22内に流入した燃焼ガスFGによって、積極的に、昇温昇圧されており、インフレーター1がコンパクトに構成されていても、混合ガスCGは、容積を増大させて、高い圧力の状態で、ガス吐出口47から吐出されることとなり、インフレーター1の出力が高められることとなる。
【0028】
したがって、実施形態のインフレーター1では、高出力で、かつ、コンパクトに構成することができる。
【0029】
そして、実施形態のインフレーター1では、昇温用連通路39が、ガス封入室22と中間室37との間の円筒状の区画壁としての内天側壁部17に、周方向に沿って、放射状に複数の連通口40を設けて構成されるとともに、連通口40の開口面積の総和を、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きくするように設定されている。ちなみに、実施形態の場合、連通口40自体が、ガス吐出口47より大きな円形の開口として、そして、連通口40の数が、ガス吐出口47の4個より多い6個としており、連通口40の開口面積の総和が、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きくしている。そのため、実施形態では、第2破裂板43の破裂後にガス発生室26内で燃焼ガスFGが発生していても、その燃焼ガスFGは、ガス吐出口47の開口面積が狭いことから、直ちに、中間室37と吐出室45とを経てガス吐出口47から流出せずに、開口面積の広い連通口40を経て、ガス封入室22内に残留している加圧ガスPGを昇温昇圧させることとなる。そのため、燃焼ガスFGが、ガス封入室22内に封入していた加圧ガスPGを、第2破裂板43の破裂前のみならず、破裂後においても、昇温昇圧させて、ガス吐出口47から吐出させることができる。
【0030】
その結果、実施形態のインフレーター1は、混合ガスCGの吐出中においても、極力、高出力を維持して、混合ガスCGを吐出することができる。勿論、連通口40は、その開口面積が大きいことから、第2破裂板43を破裂させる前に、ガス発生室26で発生させた燃焼ガスFGを、火炎を含めて、ガス封入室22に流入させ易く、ガス封入室22の加圧ガスPGを迅速に昇温昇圧することができて、インフレーター1の出力を高めることができる。
【0031】
さらに実施形態では、連通口40が、区画壁として内天側壁部17における吐出室45とガス発生室26との間の中間位置より、ガス発生室26側に片寄って配設されている。そのため、実施形態では、第2破裂板43を破裂させる前に、ガス発生室26で発生させた燃焼ガスFGが、火炎を含めて、連通口40を経て、ガス封入室22に流入させ易くなって、一層、ガス封入室22の加圧ガスPGを迅速に昇温昇圧することができる。
【0032】
なお、実施形態では、連通口40の開口面積の総和を、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きく設定する際、1個の連通口40自体が、1個のガス吐出口47より大きな開口面積とした場合を示したが、連通口40の開口面積の総和が、ガス吐出口47の開口面積の総和より、大きければ、連通口40の1個の開口面積は、1個のガス吐出口47の開口面積と同等、あるいは、連通口40の数をガス吐出口47より多数として、1個のガス吐出口47の開口面積より、小さくしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…(ハイブリッド)インフレーター、
17…(区画壁)内天側壁部、
22…ガス封入室、
26…ガス発生室、
28…スクイブ、
29…ガス発生剤、
34…噴出口、
35…第1破裂板、
37…中間室、
39…昇温用連通路、
40…連通口、
42…流出口、
43…第2破裂板、
45…吐出室、
47…ガス吐出口、
PG…加圧ガス、
FG…燃焼ガス、
CG…混合ガス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に、スクイブの着火により発生する燃焼ガスと封入済みの加圧ガスとの混合ガスを、ガス吐出口から吐出させる構成のハイブリッドインフレーターであって、
前記加圧ガスを封入させたガス封入室が、円環状に配設され、
前記ガス封入室の内側に、前記燃焼ガスを発生させるガス発生剤と前記スクイブとを収納したガス発生室、前記ガス吐出口を有した吐出室、及び、前記ガス発生室と前記吐出室との間の中間室、が配設され、
前記ガス発生室と前記中間室との間に、第1破裂板によって塞がれた噴出口が配設されるとともに、前記第1破裂板が、前記燃焼ガスの発生時に破裂して、前記燃焼ガスを前記中間室に流入させる構成とし、
前記ガス封入室と前記中間室との間に、前記噴出口を経て前記中間室に流入する前記燃焼ガスを前記ガス封入室内に流入させて、前記ガス封入室内の前記加圧ガスを昇温させ、かつ、昇温させた前記加圧ガスを前記中間室に流入可能な昇温用連通路が、配設され、
前記中間室と前記吐出室との間に、第2破裂板によって塞がれた流出口が配設されるとともに、前記第2破裂板が、前記ガス封入室内で昇温された前記加圧ガスの圧力により破裂して、前記加圧ガスと前記燃焼ガスとの前記混合ガスを前記吐出室に流入させる構成としていることを特徴とするハイブリッドインフレーター。
【請求項2】
前記昇温用連通路が、前記ガス封入室と前記中間室との間の円筒状の区画壁に、周方向に沿って、放射状に設けられた複数の連通口を備え、
該連通口の開口面積の総和が、前記ガス吐出口の開口面積の総和より、大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドインフレーター。
【請求項3】
前記連通口が、前記区画壁における前記吐出室と前記ガス発生室との間の中間位置より、前記ガス発生室側に片寄って配設されていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドインフレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−213143(P2011−213143A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80542(P2010−80542)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】