説明

ハイブリッドチラーの凍結防止装置

【課題】 熱交換器及びその周辺に対する凍結防止を確実に行うとともに、省エネルギ性を高め、かつ夜間の騒音問題を回避する。また、資源節減を図るとともに、経済性をより高める。
【解決手段】 冷却液Lを通す熱交換器5における冷却液管Pの上端部位Puから下端部位Pdまでの全部位を下降傾斜又は水平に形成し、かつ冷却液タンク2及びこの冷却液タンク2と冷却液管Pの下端部位Pd間を接続する配管7を熱交換器5の下方に配設するとともに、熱交換器5の上端内部又は熱交換器5に接続される配管における当該熱交換器5よりも上方位置の内部を大気に対して開放又は閉塞可能な給気弁9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気と冷却液の熱交換を行うフリークーリング機能を備えるハイブリッドチラーの凍結防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外気の低温環境を直接利用するフリークーリング機能を備えるハイブリッドチラーは、特許文献1に開示される冷却装置及び特許文献2で開示される冷却装置が知られている。
【0003】
前者の冷却装置は、冷却効率を高めることを目的として、送風装置を備えた冷却塔内に、冷却水を冷却する冷却水コイルと冷凍機の冷媒を冷却するコンデンサコイルとを同じプレートフィンチューブ型熱交換器内に配管した熱交換ユニットを設け、外気温度が低いときは冷凍機の運転を停止して熱交換ユニット内に冷却水のみを通し、外気温度が高いときは冷凍機を運転して冷却水を冷凍機の蒸発器にのみ通して熱交換ユニット内に冷凍機の冷媒のみを通し、外気温度によって冷却水と冷媒のいずれか一方を冷却塔で冷却する構成を備えたものであり、また、後者の冷却装置は、同様に冷却効率を高めることを目的として、伝熱パイプに被冷却流体を通し、ファンによって伝熱パイプを冷却する冷却塔において、被冷却流体が通過する伝熱パイプにフィンを設けたラジエターを冷却塔の外側部に設け、圧縮機、コンデンサ、膨張弁、蒸発器からなり、冷媒を圧縮、膨張を繰り返し運転するチラーを設け、コンデンサは、伝熱パイプにフィンを設けたフィン付コンデンサに設けてラジエターの内側に配置し、冷却塔のファンによってラジエターとコンデンサに送風し、冷却すべき機器から戻る被冷却流体をラジエターからチラーの蒸発器を通して冷却し、冷却すべき機器に送り出すことができるようにしたものである。
【0004】
ところで、このような冷却装置に備えるフリークーリング用の熱交換器は、冬季等の低温期において外気との熱交換により冷却液を冷却する機能を有するため、常に外気に晒された状態となるなど、本来的に凍結しやすい環境に置かれる。したがって、熱交換器の凍結防止対策は重要となり、例えば、上述した特許文献2には、冬季等で冷却装置の運転が停止中の場合、設定した温度(5℃以下)になったなら循環ポンプを起動させる信号を出し、被冷却水を冷却装置内で循環させることにより凍結を防止する手段が開示され、また、特許文献3には、密閉型冷却筒において、流入電動駆動弁、流出電動駆動弁及び排水用電動駆動弁を閉弁し、圧縮空気導入口から圧縮空気を導入する工程と、圧力センサで検知した圧力値を所定の圧力値と比較する工程と、圧力センサで検知した圧力値が、所定の圧力値と同じ又は上回ったときに排水用電動駆動弁を開弁する工程とからなり、ほぼボタン1つで確実に被冷却水を外部に排出(水抜き)するための手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−234055号公報
【特許文献2】特開2000−266447号公報
【特許文献3】特開2008−309413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のハイブリッドチラー(冷却装置等)における凍結防止対策は、次のような問題点があった。
【0007】
まず、被冷却水を冷却装置内で循環させるタイプ(特許文献2)は、循環ポンプを運転させる必要がある。したがって、電力消費を伴うことになり省エネルギ性に劣る。特に、運転効率を高めて省エネルギ性を向上させることを目的としたこの種のハイブリッドチラーにおける凍結防止手段としては望ましいものでない。また、冷却装置の運転を停止させる夜間に行われることから、夜間での騒音発生原因となり、この観点からも望ましいものではない。
【0008】
一方、被冷却水を外部に排出するタイプ(特許文献3)は、被冷却水の無駄を招くため、資源節減の観点から望ましい手法ではないとともに、被冷却水が減少した際には、被冷却水を頻繁に追加する煩わしい工程が必要になるとともに、ランニングコストも増加することになり、経済性の観点からも望ましいものではない。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したハイブリッドチラーの凍結防止装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するため、冷却液Lを収容した冷却液タンク2と、冷却液Lを冷却する冷却装置3を用いた第一冷却系M1と、送風ファン4により送風される外気Wと冷却液Lの熱交換を行う熱交換器5を有する第二冷却系M2と、少なくとも第一冷却系M1又は第二冷却系M2を用いて冷却液Lを冷却する制御を行う制御系Mcとを有してなるハイブリッドチラーHにおける少なくとも熱交換器5の凍結を防止するハイブリッドチラーの凍結防止装置1を構成するに際して、冷却液Lを通す熱交換器5における冷却液管Pの上端部位Puから下端部位Pdまでの全部位を下降傾斜又は水平に形成し、かつ冷却液タンク2及びこの冷却液タンク2と冷却液管Pの下端部位Pd間を接続する配管7を熱交換器5の下方に配設するとともに、熱交換器5の上端内部又は熱交換器5に接続される配管における当該熱交換器5よりも上方位置の内部を大気に対して開放又は閉塞可能な給気弁9を備えてなることを特徴とする。
【0011】
この場合、発明の好適な態様により、給気弁9は、手動操作又は電動操作により開閉する開閉弁を用いてもよいし、熱交換器5の内部における正圧により閉じ、かつ負圧により開く逆止弁を用いてもよい。開閉弁を用いる場合、制御系Mcには、外気温度Ttが設定温度(凍結防止温度)Tc以下になったときに、開閉弁を開側に制御する制御機能を設けることができる。また、熱交換器5は、四つの熱交換盤部5a,5b,5c,5dの組合わせにより構成し、かつ各熱交換盤部5a,5b,5c,5dの一辺側を近接させることにより、X形に配設するとともに、四つの各熱交換盤部5a,5b,5c,5dにより区画される四つの空間Sab,Sbc,Scd,Sdaにおける相対向する位置関係にある任意の二つの空間Sab,Scdをケーシング11の送風入口12に連通させ、かつ他の二つの空間Sbc,Sdaをケーシング11の送風出口13に連通させることができる。さらに、熱交換盤部5a,5b,5c,5dは、冷却液管Pをジグザグ形状に湾曲形成したパスQpを複数備えるとともに、順次配列させた複数のパスQp…における各流出口Qpe…を流出側ヘッダ部5peに接続し、かつ各流入口Qpi…を流入側ヘッダ部5piに接続して構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
このような構成を有する本発明に係るハイブリッドチラーHの凍結防止装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 少なくとも熱交換器5に残存する冷却液Lを全て抜くことができるため、熱交換器5、更にはその周辺に対する凍結防止を確実に行うことができる。加えて、循環ポンプ等の運転は行わないため、電力消費を伴わず、更なる省エネルギ性に優れるとともに、夜間における騒音問題も発生しない。したがって、特に、運転効率を高めて省エネルギ性を向上させることを目的としたこの種のハイブリッドチラーHにおける凍結防止対策として最適となる。
【0014】
(2) 熱交換器5に残存する冷却液Lを全て冷却液タンク2に戻すため、冷却液Lの無駄が生じない。したがって、資源節減に寄与できるとともに、冷却液Lの減少に伴って冷却液Lを頻繁に追加するなどの煩わしい工程が不要になり、しかも、冷却液Lの追加に伴うランニングコストも発生しないため、経済性にも優れる。
【0015】
(3) 好適な態様により、給気弁9には、手動操作又は電動操作により開閉する開閉弁、或いは熱交換器5の内部における正圧により閉じ、かつ負圧により開く逆止弁を用いることができるなど、使用環境等に応じたオプション設定が可能となる。したがって、例えば、手動操作により開閉する開閉弁を用いれば、滅多に凍結が発生しない地域において、コストメリットの観点から好適となる。また、電動操作により開閉する開閉弁を用いれば、頻繁に凍結が発生する地域において、外気温度又はタイマ等と連動させた自動開閉が可能となる。さらに、逆止弁を用いれば、滅多に使用しないケースにおいて、電源OFF/ON(循環ポンプOFF/ON)により自動開閉が可能となる。
【0016】
(4) 好適な態様により、制御系Mcに、外気温度Ttが設定温度(凍結防止温度)Tc以下になったときに、開閉弁を開側に制御する制御機能を設ければ、設定温度Tcに基づく自動開側制御により凍結を確実に防止できる。
【0017】
(5) 好適な態様により、熱交換器5を、四つの熱交換盤部5a…の組合わせにより構成し、かつ各熱交換盤部5a…の一辺側を近接させることにより、X形に配設するとともに、四つの各熱交換盤部5a…により区画される四つの空間Sab…における相対向する位置関係にある任意の二つの空間Sab,Scdをケーシング11の送風入口12に連通させ、かつ他の二つの空間Sbc,Sdaをケーシング11の送風出口13に連通させれば、フリークーリング機能を構築する観点から熱交換器5の熱交換面積を可及的に大きくすることができ、ハイブリッドチラーHの熱交換効率、更には省エネルギ性をより高めることができる。しかも、熱交換器5の送風方向上流側には十分な配設スペースを確保できるため、例えば、散水ノズル等を配設するに際しても、別途、配設スペースを確保することなく、散水によるミストをより広い範囲に拡散できる最適位置を選定できる。したがって、ハイブリッドチラーHが大型化する不具合を回避できるとともに、散水ノズル等の付属機構を利用した本来の冷却能力を十分に確保できる。
【0018】
(6) 好適な態様により、熱交換盤部5a…を構成するに際し、冷却液管P…をジグザグ形状に湾曲形成したパスQpを複数備えるとともに、順次配列させた複数のパスQp…における各流出口Qpe…を流出側ヘッダ部5pe…に接続し、かつ各流入口Qpi…を流入側ヘッダ部5pi…に接続すれば、比較的短い長さとなる1パスQp当たりの液抜き時間が全体の液抜き時間となり、迅速かつ円滑な液抜きを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好適実施形態に係る凍結防止装置を含むハイブリッドチラーの概略構成図、
【図2】同ハイブリッドチラーの主要部を明示する模式的斜視図、
【図3】同ハイブリッドチラーの主要部を明示する模式的断面平面図、
【図4】同ハイブリッドチラーに備える熱交換盤部の一部破断正面図、
【図5】同ハイブリッドチラーに備える熱交換盤部の下部一部を拡大及び破断して示す側面図、
【図6】同ハイブリッドチラーの送風経路を明示する模式的斜視図、
【図7】同ハイブリッドチラーの系統回路図、
【図8】同ハイブリッドチラーの動作を示すフローチャート、
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係る凍結防止装置1を含むハイブリッドチラーHの全体構造について、図2〜図7を参照して説明する。
【0022】
ハイブリッドチラーHは、図2に示すように、全体を直方体状に形成したケーシング11を備え、このケーシング11の上部内部は熱交換室Rcとして構成するとともに、下部内部は収納室Riとして構成する。そして、熱交換室Rcの内部には、第一冷却系M1の凝縮器16と第二冷却系M2の熱交換器5を配設する。この場合、凝縮器16は、図7に示すように、冷媒が循環する冷凍サイクルCの一部となり、この冷凍サイクルCは第一冷却系M1における冷却装置3を構成する。一方、熱交換器5は、図7に示すように、外気Wと冷却液Lの熱交換を行う第二冷却系M2を構成する。冷却装置3(第一冷却系M1)及び第二冷却系M2は、いずれも後述する冷却液Lを冷却する機能を備え、特に、第二冷却系M2はフリークーリング機能を有している。
【0023】
凝縮器16は、図3に示すように、くの字形に折曲した二つの凝縮ユニット部16x,16yの組合わせにより構成し、中央の山折部Ex,Eyを対向させて配設する。したがって、平面視による凝縮器16の全体形状はX形となる。一方の凝縮ユニット部16xは、一般的な凝縮器構造、即ち、冷媒を通す冷媒管をジグザグ形状に湾曲形成した冷媒管ユニットの外周面に多数の放熱用フィンを付設し、冷媒管ユニットの中央をくの字形に折曲させた形態を有している。他方の凝縮ユニット部16yも凝縮ユニット部16xと同様に構成し、二つの凝縮ユニット部16xと16yは並列接続により使用する。
【0024】
一方、熱交換器5は、四つの熱交換盤部5a,5b,5c,5dの組合わせにより構成し、かつ各熱交換盤部5a,5b,5c,5dの一辺側を近接させることによりX形に配設する。したがって、図3に示すように、四つの熱交換盤部5a,5b,5c,5dは、二つの凝縮ユニット部16xと16yにおける山折部Ex,Eyの両側位置にそれぞれ対面させて配設する。なお、X形とは厳密なX形状を意味するものではなく、X形に類似する各種形状を含む概念である。この場合、各熱交換盤部5a…は、各凝縮ユニット部16x,16yに対して後述する送風ファン4の送風方向Fwにおける上流側に配する。このように、各熱交換盤部5a…を、送風ファン4の送風方向Fwにおける上流側から凝縮器16(凝縮ユニット部16x,16y)に対面させれば、凝縮器16及び各熱交換盤部5a…を配設する際のデッドスペースが無くなり、全体の小型化に寄与できるとともに、送風ファン4の共用化を容易に実現できる。加えて、通常、熱交換盤部5a…の温度は、凝縮器16の温度よりも低くなるため、より効率的な熱交換を行わせることができる。
【0025】
また、この熱交換器5には、本実施形態に係る凍結防止装置1の主要部を付設する。以下、凍結防止装置1の主要部を含む熱交換器5の具体的な構成及びその周辺構造について説明する。
【0026】
一つの熱交換盤部5aは、図4及び図5に示すように、冷却液Lを通す冷却液管Pをジグザグ形状に湾曲形成した1パスQpを複数パス(例示は5パス)用意し、順次配列させた複数のパスQp…の外周面に多数の放熱用フィン17…を付設して単位熱交換盤部Csを構成するとともに、図4に示すように、二つの単位熱交換盤部Cs,Csを上下に連結し、熱交換盤部5aとして構成する。この場合、1パスQpは、図5に示すように、自然落下により内部の冷却液Lが流出する際に、冷却液Lが内部に残存しないように、冷却液管Pの上側に位置する流出口Qpeから下側に位置する流入口Qpiまでの全ての部位で下降傾斜又は水平となるように形成する。
【0027】
さらに、単位熱交換盤部Csは、流入側ヘッダ部5piと流出側ヘッダ部5peを備え、各パスQp…の流入口Qpi…を流入側ヘッダ部5piに接続するとともに、各パスQp…の流出口Qpe…を流出側ヘッダ部5peに接続する。なお、上下に配する各単位熱交換盤部Cs…における流入側ヘッダ部5pi…と流出側ヘッダ部5pe…の形態は異ならせている。特に、流入側ヘッダ部5piの上端は終端となるように閉塞構成とする。また、上側の単位熱交換盤部Csの流入側ヘッダ部5pi及び流出側ヘッダ部5peと、下側の単位熱交換盤部Csの流入側ヘッダ部5pi及び流出側ヘッダ部5peは相互に接続する。他の熱交換盤部5b,5c及び5dも、上述した熱交換盤部5aと同様に構成する。そして、各熱交換盤部5a,5b,5c,5dにおける流入側ヘッダ部5pi…同士及び流出側ヘッダ部5pe…同士は並列に接続する。
【0028】
このように、熱交換盤部5a…は、冷却液管Pをジグザグ形状に湾曲形成したパスQpを複数備えるとともに、順次配列させた複数のパスQp…における各流出口Qpe…を流出側ヘッダ部5peに接続し、かつ各流入口Qpi…を流入側ヘッダ部5piに接続して構成するため、熱交換盤部5a…の全体の冷却液管Pにおける上端部位Puから下端部位Pdまでの全部位も、自然落下により内部の冷却液Lが流出する際に、冷却液Lが内部に残存しない形状となる。特に、複数のパスQp…を、流入側ヘッダ部5piと流出側ヘッダ部5peに接続した形態となるため、比較的短い長さとなる1パスQp当たりの液抜き時間が全体の液抜き時間となり、迅速かつ円滑な液抜きを行える利点がある。
【0029】
また、図4に示すように、一つの流出側ヘッダ部5peの上端には給気弁9を付設する。これにより、熱交換器5の上端内部(又は熱交換器5に接続される配管における当該熱交換器5よりも上方位置の内部)を大気に対して開放又は閉塞可能にする。給気弁9には、手動操作又は電動操作により開閉する開閉弁、或いは熱交換器5の内部における正圧により閉じ、かつ負圧により開く逆止弁を用いることができる。これにより、給気弁9は、使用環境等に応じたオプション設定が可能となる。この場合、例えば、手動操作により開閉する開閉弁を用いれば、滅多に凍結が発生しない地域において、コストメリットの観点から好適となる。一方、電動操作により開閉する開閉弁を用いれば、頻繁に凍結が発生する地域において、外気温度Tt又はタイマ等と連動させた自動開閉が可能となる。他方、逆止弁を用いれば、滅多に使用しないケースにおいて、電源OFF/ON(循環ポンプOFF/ON)により自動開閉が可能となる。例示の給気弁9は、電動操作により開閉する開閉弁(電磁開閉弁)である。
【0030】
そして、四つの熱交換盤部5a,5b,5c,5dを取付けた二つの凝縮ユニット部16xと16yは、図2に示すように、熱交換室Rcの底面を構成する底面パネル部Rcdの上に一体に設置(固定)する。この際、凝縮器16は、くの字形に折曲した二つの凝縮ユニット部16x,16yの組合わせにより構成し、中央の山折部Ex,Eyを対向させて配設するとともに、四つの熱交換盤部5a…は、二つの凝縮ユニット部16x,16yにおける山折部Ex,Eyの両側位置にそれぞれ配設するため、組付性、更には組付時の機械的剛性を高めることができるとともに、凝縮器16及び熱交換器5に係わる位置決めも容易かつ正確に行うことができる。この場合、各熱交換盤部5a,5b,5c,5dは、図3に示すように、平面視において、ケーシング11の対角線位置に配設する。このように、各熱交換盤部5a…は、平面視においてケーシング11の対角線位置に配設できるため、ハイブリッドチラーHの小型化にも寄与できる。
【0031】
さらに、図1及び図2に示すように、冷却液タンク2及びこの冷却液タンク2と冷却液管Pの下端部位Pd間を接続する配管7は、熱交換器5の下方に配設する。この場合、配管7には、各構成部品を接続する配管をはじめ、この配管に接続される循環ポンプ29等も含まれる。このため、図2に示すように、冷却液タンク2は、熱交換器5を配設する熱交換室Rcの下方に設けた収納室Riの内部に配設するとともに、循環ポンプ29等を含む配管7も収納室Riの内部に配される。また、この収納室Riの内部には、凝縮器16を除く冷凍サイクルC(第一冷却系M1)の構成部品類,熱交換器5を除く第二冷却系M2の構成部品類及び後述する圧送ポンプ29等も配設する。
【0032】
一方、四つの各熱交換盤部5a,5b,5c,5dにより区画される四つの空間Sab,Sbc,Scd,Sdaにおける相対向する位置関係にある二つの空間Sab,Scdは送風入口側となり、この空間Sab,Scdに臨むケーシング11の左右両側に位置する側面パネル部11s,11tに、外気Wが流入する側面送風入口12s,12tをそれぞれ形成する。さらに、ケーシング11の上面パネル部11uの中央には送風出口13を形成するとともに、この送風出口13の両側に、上面送風入口12su,12tuをそれぞれ形成する。この場合、送風出口13は、残りの二つの空間Sbc,Sdaに対して上方から連通する。このように、送風入口12は、側面パネル部11s,11tの側面送風入口12s,12tと上面パネル部11uの上面送風入口12su,12tuの計四つの開口似より構成されるため、送風入口12の全体の面積をより大きくできるとともに、外気Wの流入方向の選択が可能になるため、ハイブリッドチラーHの最適な設置態様を選択できる。例えば、上面送風入口12su,12tuのみを選択すれば、複数台のハイブリッドチラーH…を隙間無く並べて連結使用することができる。
【0033】
また、送風出口13の内側には空冷用の送風ファン4を配設する。これにより、送風ファン4は、送風出口13に連通する二つの空間Sbc,Sdaに対して共用される。このように、送風ファン4を、送風出口13に連通する二つの空間Sbc,Sdaに対して共用する位置に配設すれば、基本的には一台の送風ファン4で足りるため、全体の小型化,コストダウン及び省電力化に寄与できる。したがって、このような送風経路を構築するため、図6に示すように、凝縮ユニット部16xと16yの上端に、三角形状の水平仕切プレート31s,31tを取付けることにより、二つの空間Sab,Scdの上方を覆うとともに、送風入口12s,12t側に位置する水平仕切プレート31s,31tの端辺から垂直仕切プレート32s,32tを上方に起立し、垂直仕切プレート32sの上端を上面パネル部11uにおける送風出口13と上面送風入口12su間の内面に当接させ、かつ垂直仕切プレート32tの上端を上面パネル部11uにおける送風出口13と上面送風入口12tu間の内面に当接させることにより、空間を仕切れば、側面送風入口12s,12tは、空間Sab,Scdに対してそれぞれ側方から連通するとともに、上面送風入口12su,12tuは、空間Sab,Scdに対してそれぞれ上方から連通し、かつ水平仕切プレート31s,31t及び垂直仕切プレート32s,32tにより送風出口13側(空間Sbc,Sda側)から遮断される。図6の白抜矢印は送風方向Fwを示している。
【0034】
他方、送風入口12に臨む空間Sab,Scd内における底面パネル部Rcdの上には、散水機構18を構成する散水ノズル18s,18tを、各熱交換盤部5a,5b,5c,5dに対して適度に離れた位置であって、送風方向Fwに対して上流側に配設する。各散水ノズル18s,18tは、斜め上方に散水できるように、熱交換盤部5a,5b,5c,5dに向けて配設し、特に、より広い範囲に拡散できる最適位置を選定する。散水機構18は、各散水ノズル18s,18tからの散水により冷却能力をより高める機能を備える。即ち、散水によるミストの水温及び蒸発時の潜熱の利用により送風がより冷却される。
【0035】
このように、熱交換器5は、四つの熱交換盤部5a…の組合わせにより構成し、かつ各熱交換盤部5a…の一辺側を近接させることにより、X形に配設するとともに、四つの各熱交換盤部5a…により区画される四つの空間Sab…における相対向する位置関係にある任意の二つの空間Sab,Scdをケーシング11の送風入口12に連通させ、かつ他の二つの空間Sbc,Sdaをケーシング11の送風出口13に連通させたため、フリークーリング機能を構築する観点から熱交換器5の熱交換面積を可及的に大きくすることができ、ハイブリッドチラーHの熱交換効率、更には省エネルギ性をより高めることができる。しかも、熱交換器5の送風方向上流側には十分な配設スペースを確保できるため、例えば、散水ノズル等を配設するに際しても、別途、配設スペースを確保することなく、散水によるミストをより広い範囲に拡散できる最適位置を選定できる。したがって、ハイブリッドチラーHが大型化する不具合を回避できるとともに、散水ノズル等の付属機構を利用した本来の冷却能力を十分に確保できる。
【0036】
また、図7は、本実施形態に係るハイブリッドチラーHの全体系統回路を示す。なお、図7において、図1〜図3と同一部分には、同一符号を付してその構成を明確にした。
【0037】
図7において、Hはハイブリッドチラーを示すとともに、50はこのハイブリッドチラーHに接続することにより当該ハイブリッドチラーHから供給される冷却液Lにより冷却される工作機械等の被冷却部を示す。また、ハイブリッドチラーHにおいて、M1は第一冷却系、M2はフリークーリング機能を有する第二冷却系をそれぞれ示す。
【0038】
第一冷却系M1は、前述した凝縮器16を含む冷凍サイクルCを用いた冷却装置3により構成し、この冷凍サイクルCは冷媒Kが循環する一般的な冷凍サイクルにより構成可能である。22は圧縮機であり、この圧縮機22の吐出口は凝縮器16の冷媒入口に接続するとともに、圧縮機22の戻り口は冷媒Kと冷却液Lの熱交換を行う冷却器(熱交換器)23における一次側23fの冷媒出口に接続する。また、冷却器23における一次側23fの冷媒入口は電子膨張弁24を介して凝縮器16の冷媒出口に接続する。これにより、冷媒Kが循環する冷凍サイクルCが構成される。なお、25は制御弁25vを接続したホットガスバイパス回路であり、圧縮機22の吐出口と電子膨張弁24の冷媒出口間に接続する。22iは圧縮機インバータを示す。
【0039】
さらに、冷却器23における二次側23sの冷却液入口は、圧送ポンプ29を介して冷却液タンク2の第二冷却液槽2sに接続するとともに、冷却器23における二次側23sの冷却液出口は、被冷却部50が接続される冷却液供給口27sに接続する。また、被冷却部50が接続される冷却液戻り口27rは冷却液タンク2の第一冷却液槽2fに接続する。冷却液タンク2は、仕切壁2pにより第一冷却液槽2fと第二冷却液槽2sに区画され、第一冷却液槽2f内における冷却液Lの上澄液が仕切壁2pの上端縁を乗り越えて第二冷却液槽2sに進入する構造を有する。なお、28は冷却液供給口27sと冷却液戻り口27r間に接続した開閉弁を示す。
【0040】
他方、第二冷却系M2は、前述した熱交換器5を備え、この熱交換器5の冷却液流入口は、循環ポンプ26を介して冷却液タンク2の第一冷却液槽2fに接続するとともに、熱交換器5の冷却液流出口は、冷却液タンク2の第二冷却液槽2sに接続する。また、18は散水機構であり、前述した散水ノズル18s,18tは、電磁開閉弁等を用いた散水バルブ18vを介して水道管側に接続する。
【0041】
一方、41は制御系Mcの主要部を構成するコントローラであり、このコントローラ41は、ハイブリッドチラーHの全体の制御を司る機能を備える。コントローラ41は、図1に示すように、コントローラ本体41mを備えるとともに、このコントローラ本体41mに付属し、冷却液Lの設定温度Ts(例えば、20〔℃〕),凍結防止温度Tc(例えば、4〔℃〕),設定時間等を含む各種設定を行う設定部(入力部)41sと、外気温度Tt等の各種データの表示を行う表示部(ディスプレイ)41dを備える。
【0042】
また、コントローラ41の制御出力ポートには、少なくとも前述した圧縮機インバータ22iを接続するとともに、送風ファン4,電子膨張弁24,循環ポンプ26,圧送ポンプ29,制御弁25v,給気弁9及び散水バルブ18vを接続する。さらに、コントローラ41の入力ポートには、外気乾球温度センサ42t,外気湿球温度センサ42w,チラー出口温度センサ43,戻り温度センサ44及び熱交換器出口温度センサ45を接続する。これにより、外気乾球温度センサ42tからは外気乾球温度となる外気Wの温度(外気温度)Ttが検出され、外気湿球温度センサ42wからは外気湿球温度Thが検出され、チラー出口温度センサ43からはチラー出口温度Teが検出され、戻り温度センサ44からは戻り液温度Trが検出され、それぞれコントローラ41に付与される。コントローラ41は、CPU及び各種メモリ等を含むコンピュータ機能を備え、少なくともハイブリッドチラーHに係わる温度制御(シーケンス制御)を実行する。したがって、コントローラ41には、温度制御を実現するための制御プログラムを格納するとともに、少なくとも外気温度Ttが冷却液Lの設定温度Tsよりも低いときに第二冷却系M2により冷却液Lを冷却する制御を行う制御機能、及び本実施形態に係る凍結防止装置1を機能させるための後述する凍結防止モードに係わる制御機能を備えている。
【0043】
次に、本実施形態に係るハイブリッドチラーHの全体動作及び凍結防止装置1の動作について説明する。
【0044】
まず、ハイブリッドチラーHの電源ONにより圧送ポンプ29が運転を開始する。圧送ポンプ29の運転により、冷却液タンク2における第二冷却液槽2s内の冷却液Lは、圧送ポンプ29,冷却器23の二次側23s,冷却液供給口27sを経て、被冷却部50に供給される。これにより、被冷却部50は冷却液Lにより冷却されるとともに、熱交換により温められた冷却水Lは、冷却液戻り口27rを介して冷却液タンク2における第一冷却液槽2f内に戻される。
【0045】
一方、コントローラ41は、チラー出口温度Te,戻り液温度Tr,外気温度Tt,湿球温度Thを監視する。この際、チラー出口温度Teが、予め設定された冷却液Lの設定温度Tsよりも高く、かつ戻り液温度Trが外気温度Tt以下であれば、通常のチラー運転制御(冷却装置3の制御)を行い、チラー出口温度Teが設定温度Tsになるようにフィードバック制御する。
【0046】
この際、チラー出口温度Teが設定温度Tsよりも高く、かつ外気温度Ttが戻り液温度Trよりも低いときは、チラー運転制御を行うことなく、循環ポンプ26に対する運転制御を行う。循環ポンプ26の運転により、冷却液タンク2における第一冷却液槽2f内の冷却液Lは、循環ポンプ26,熱交換器5を経て、冷却液タンク2における第二冷却液槽2s内に戻される。循環ポンプ26の運転制御中に、チラー出口温度Teが設定温度Ts以下になれば、循環ポンプ26の運転を停止する。
【0047】
また、循環ポンプ26の運転制御中において、チラー出口温度Teが設定温度Tsよりも高ければ、送風ファン4に対する運転制御を行う。この際、チラー出口温度Teが設定温度Ts以下になれば、送風ファン4の運転を停止する。さらに、送風ファン4の運転制御中において、チラー出口温度Teが設定温度Tsよりも高く、かつ外気温度Ttが湿球温度Thよりも高いときは、散水バルブ18vを開側に切換え、散水ノズル18s,18tから散水する。これにより、散水ノズル18s,18tから散水されるミストの水温及び蒸発する際の潜熱を利用して冷却能力がより高められる。散水バルブ18vが開側に切換えられている際に、チラー出口温度Teが設定温度Ts以下になれば、散水バルブ18vを閉側に切換える。また、散水バルブ18vが開側においてチラー出口温度Teが設定温度Tsよりも高くなり、或いは散水バルブ18vが閉側において外気温度Ttが湿球温度Th以下になれば、圧縮機22の運転制御を行う。この際、チラー出口温度Teが設定温度Ts以下になれば、圧縮機22の運転を停止する。なお、循環ポンプ26、送風ファン4、圧縮機22のそれぞれの運転中に、ハイブリッドチラーHが電源OFFになれば全動作が停止する。
【0048】
他方、凍結防止モードがONのときは凍結防止モードによる凍結防止処理が行われる。以下、凍結防止処理について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、凍結防止モードは、モード選択スイッチ等によりON(実行)/OFF(解除)することができる。また、凍結防止モードは、電源ON又は電源OFFに拘わらず実行される。
【0049】
今、凍結防止モードがONされている場合を想定する(ステップS1)。凍結防止モードのONにより、コントローラ41は、検出される外気温度Ttを取り込み、外気温度Ttが予め設定した設定温度(凍結防止温度)Tc以下であるか否かを常時監視する(ステップS2)。そして、外気温度Ttが設定温度Tc以下になった場合には、閉側の給気弁9を開側に切換える(ステップS3,S4)。即ち、給気弁9は電動操作により開閉する開閉弁(電磁開閉弁)を例示するため、この場合、コントローラ41は切換信号を給気弁9に付与し、開閉弁を開側に切換える。このように、コントローラ41(制御系Mc)に、外気温度Ttが設定温度Tc以下になったときに、開閉弁を開側に制御する制御機能を設ければ、設定温度Tcに基づく自動開側制御により凍結を確実に防止できる。
【0050】
これにより、流出側ヘッダ部5peの内部、更には熱交換器5の内部には給気弁9を通して外気Wが進入する(ステップS5)。この結果、流出側ヘッダ部5pe及び流入側ヘッダ部5piを含む熱交換器5の内部に残存する冷却液Lは、配管7を通して冷却液タンク2に流入する(ステップS6)。即ち、熱交換器5を構成する冷却液管P、具体的には各パスQp…における各冷却液管P…は、自然落下により内部の冷却液Lが流出する際に、冷却液Lが内部に残存しないように、流出口Qpe…から流入口Qpi…までの全ての部位で下降傾斜又は水平となるように形成されるため、全パスQp…の内部に残存する全冷却液L…は、流出側ヘッダ部5pe…及び配管7を通して冷却液タンク2に戻される。
【0051】
そして、全ての冷却液Lの抜取りが完了する時間を考慮して設定した設定時間が経過したなら給気弁9を閉側に切換える(ステップS7,S8)。この後は熱交換器5の空状態が維持される(ステップS9)。
【0052】
このように、本実施形態に係る凍結防止装置1によれば、少なくとも熱交換器5に残存する冷却液Lを全て抜くことができるため、熱交換器5、更にはその周辺に対する凍結防止を確実に行うことができる。加えて、循環ポンプ等の運転は行わないため、電力消費を伴わず、省エネルギ性に優れるとともに、夜間における騒音問題も発生しない。したがって、特に、運転効率を高めて省エネルギ性を向上させることを目的としたこの種のハイブリッドチラーHにおける凍結防止対策として最適となる。また、熱交換器5に残存する冷却液Lを全て冷却液タンク2に戻すため、冷却液Lの無駄が生じない。したがって、資源節減に寄与できるとともに、冷却液Lの減少に伴って冷却液Lを頻繁に追加するなどの煩わしい工程が不要になり、しかも、冷却液Lの追加に伴うランニングコストも発生しないため、経済性にも優れる。
【0053】
他方、熱交換器5が空状態において、外気温度Ttが設定温度(凍結防止温度)Tcを越えた場合には、循環ポンプ26を予め設定した一定時間だけ予備運転し、熱交換器5を含む第二冷却系M2の配管内に冷却液Lを満たす予備処理を行う(ステップS10,S11)。そして、この後は、外気温度Ttの監視に基づく同様の凍結防止モード(凍結防止処理)が、凍結防止モードをOFFにしない限り実行される(ステップS12,S2…)。また、ハイブリッドチラーH自身は、凍結防止モードのON/OFF状態に拘わらず通常モードの運転が行われる。なお、このような凍結防止モードは一例であり、予備運転は必ずしも行う必要はない。
【0054】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0055】
例えば、給気弁9は、流出側ヘッダ部5peの上端に付設した場合を示したが、その他、流入側ヘッダ部5piの上端や冷却液管Pの上端であってもよいし、熱交換器5に接続される配管における当該熱交換器5よりも上方位置に付設してもよい。また、熱交換器5は、四つの熱交換盤部5a…の組合わせにより構成し、かつ各熱交換盤部5a…の一辺側を近接させることにより、X形に配設した形態を示したが、このような形態に限定されるものではない。さらに、複数のパスQp…を組合わせた場合を示したが、交換器5の全体を連続する一体の形態により構成する場合を排除するものではない。他方、冷却装置3は、冷凍サイクルCにより構成した場合を示したが、ペルチェ素子を利用したサーモモジュール等の他の冷却系により構成する場合を排除するものではない。したがって、サーモモジュールを利用する場合には、凝縮器16は不要となる。また、凝縮器16は、くの字形に折曲させた二つの凝縮ユニット部16x,16yの組合わせにより構成した場合を示したが、熱交換盤部5a…の場合と同様に四つの凝縮ユニット部により構成してもよいし、連続する単体のユニットとして構成してもよい。同様に熱交換器5の場合も単体となる四つの熱交換器の組合わせにより構成する場合のみならず、くの字形に折曲させた単体の熱交換器の当該折曲部の両側を二つの熱交換盤部5a…として利用してもよいし、或いは一本の冷却液管を所謂一筆書き状に折曲してX形に形成した一つの熱交換器の四面をそれぞれ熱交換盤部5a…として利用してもよい。したがって、熱交換盤部とは、単一(一ブロック)の盤に対して複数の熱交換盤部エリアを区画する場合を含む概念である。さらに、給気弁9を電動操作により開閉制御するに際し、外気温度Ttに基づいて制御する場合を示したが、タイマー(設定時刻)に基づいて制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るハイブリッドチラーの凍結防止装置は、外気の温度が冷却液の設定温度よりも低いときに外気と冷却液の熱交換を行うフリークーリング機能を備える各種ハイブリッドチラー、より広くは各種冷却装置に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1:凍結防止装置,2:冷却液タンク,3:冷却装置,4:送風ファン,5:熱交換器,5a:熱交換盤部,5b:熱交換盤部,5c:熱交換盤部,5d:熱交換盤部,7:配管,9:給気弁,11:ケーシング,12:送風入口,13:送風出口,5pi:流入側ヘッダ部,5pe:流出側ヘッダ部,L:冷却液,M1:第一冷却系,M2:第二冷却系,Mc:制御系,W:外気,Tt:外気温度,H:ハイブリッドチラー,P:冷却液管,Pu:上端部位,Pd:下端部位,Qp…:パス,Qpe…:流出口,Qpi…:流入口,Sab:空間,Sbc:空間,Scd:空間,Sda:空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液を収容した冷却液タンクと、前記冷却液を冷却する冷却装置を用いた第一冷却系と、送風ファンにより送風される外気と前記冷却液の熱交換を行う熱交換器を有する第二冷却系と、少なくとも前記第一冷却系又は前記第二冷却系を用いて前記冷却液を冷却する制御を行う制御系とを有してなるハイブリッドチラーにおける少なくとも前記熱交換器の凍結を防止するハイブリッドチラーの凍結防止装置であって、前記冷却液を通す前記熱交換器における冷却液管の上端部位から下端部位までの全部位を下降傾斜又は水平に形成し、かつ前記冷却液タンク及びこの冷却液タンクと前記下端部位間を接続する配管を前記熱交換器の下方に配設するとともに、前記熱交換器の上端内部又は前記熱交換器に接続される配管における当該熱交換器よりも上方位置の内部を大気に対して開放又は閉塞可能な給気弁を備えてなることを特徴とするハイブリッドチラーの凍結防止装置。
【請求項2】
前記給気弁は、手動操作又は電動操作により開閉する開閉弁を用いることを特徴とする請求項1記載のハイブリッドチラーの凍結防止装置。
【請求項3】
前記制御系は、外気温度が予め設定した設定温度(凍結防止温度)以下になったときに、前記開閉弁を開側に制御する制御機能を備えることを特徴とする請求項2記載のハイブリッドチラーの凍結防止装置。
【請求項4】
前記給気弁は、前記熱交換器の内部における正圧により閉じ、かつ負圧により開く逆止弁を用いることを特徴とする請求項1記載のハイブリッドチラーの凍結防止装置。
【請求項5】
前記熱交換器は、四つの熱交換盤部の組合わせにより構成し、かつ前記各熱交換盤部の一辺側を近接させることにより、X形に配設するとともに、四つの前記各熱交換盤部により区画される四つの空間における相対向する位置関係にある任意の二つの前記空間をケーシングの送風入口に連通させ、かつ他の二つの前記空間を前記ケーシングの送風出口に連通させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッドチラーの凍結防止装置。
【請求項6】
前記熱交換盤部は、前記冷却液管をジグザグ形状に湾曲形成したパスを複数備えるとともに、順次配列させた複数のパスにおける各流出口を流出側ヘッダ部に接続し、かつ各流入口を流入側ヘッダ部に接続して構成することを特徴とする請求項5記載のハイブリッドチラーの凍結防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−93068(P2012−93068A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242806(P2010−242806)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】