説明

ハイブリッド表示装置

【課題】臨場感や雰囲気を損なうことがなく、また、印刷物のためにディスプレイの実効厚みを大きくしないハイブリッド表示装置を提供する。
【解決手段】主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイ1からなる主表示部2と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部3と、該印刷部3で印刷された印刷用紙からなる印刷物を外部に排出する排紙口4と、前記フラットパネルディスプレイ1を保持する架台7と、を具備し、前記印刷部3が前記主表示部2の背面に設けられ、且つ前記排紙口4がフラットパネルディスプレイ1の側面又は背面に設けられ、前記排紙口4が視聴者の視野から隠れていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド表示装置に関し、特に、印刷装置を具備し、静止画及び動画等を表示しながら、特定の情報、例えば表示画像又は直前に表示した記録画像や配信ニュースをフルカラー印刷するのに適したハイブリッド表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル、液晶パネル、ELパネル、ECDパネル、FEDパネル又はLEDパネル等の大型のプラットパネルディスプレイは薄型であるため、単にテレビを見るにとどまらず、様々な応用が提案されている。
【0003】
例えば、最近では、大きな設置面積の必要なCRTを用いた表示装置に代わって、フラットパネルディスプレイを壁に掛け、臨場感の優れた高音質の音響装置を用いて、映画やドラマなどを鑑賞するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、壁掛けではなく、AV機器とプラズマディスプレイパネルを、ローボード型家具で構成されるベースユニットの上にラック型家具で構成されるトップユニットが設けられたユニット家具に配設し、ビデオテープ、DVD、LD又はCDといった記録媒体を扱うことのできるプレーヤーと、5.1chスピーカシステムとを組み合わせてホームシアターを形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
そして、例えば、映画やテレビ放送を見ながら、表示された一場面を取り出して静止画像として印刷することが要求されている。また、映画やテレビ放送を見ながら、文字放送の内容を印刷したり、メールが到着した場合にはその内容を印刷することが要求されている。さらには、デジタル放送において、本放送部分とデータ放送部分に分けてテレビ番組とデータとを同時に配信するデジタルテレビ放送方法が開示され、本放送で流す映像のうち代表的なものを静止画像としてデータ放送から受信し、高画質の静止画像を印刷することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
このような要求に対して、PDPや液晶ディスプレイからなる表示部と、印字部が1つの筐体に収められたプリンタ内蔵表示装置が提案され、料理番組を見ながら、レシピを要求すると、その料理のレシピがプリントされて出てくることが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2002−268578号公報
【特許文献2】特開2004−81538号公報
【特許文献3】特開2003−219380号公報
【特許文献4】特開2002−171462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に記載のプリンタ内蔵表示装置では、印字部が表示装置の底部に位置し、排紙部に直結しており、印刷時の騒音が排紙部を通して表示装置で鑑賞している映画やドラマの音声を聞き取りにくくし、また、映画鑑賞中に表示装置の前面から印刷物が出てくると、臨場感や雰囲気を損なうという問題があった。
【0008】
また、前面から排紙されるため、印刷物を受けるための空間を確保する必要があり、フラットディスプレイはその厚みが薄いことが特徴であるが、印刷物受用空間がディスプレイとしての大きさに組み込まれてしまい、実質的なディスプレイの奥行きが大幅に厚くなってしまうという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、臨場感や雰囲気を損なうことがなく、また、印刷物のためにディスプレイの実効厚みを大きくしないハイブリッド表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一のハイブリッド表示装置は、プリンタに固定式印刷ヘッドを具備し、印刷部を表示画面の背面に配置し、表示装置の正面で視聴している人からプリンタの排紙口を見えない位置に配置することによってテレビ、映画やドラマ等の臨場感や雰囲気を損なうことがなく、また、印刷物のためにディスプレイの実効厚みを大きくしないハイブリッド表示装置を実現することができるとの新規な知見に基づくものである。
【0011】
即ち、本発明の第一のハイブリッド表示装置は、主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイ(FPD)からなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷物を外部に排出する排紙口と、を具備し、前記印刷部が前記主表示部の背面に設けられ、且つ前記排紙口が側面又は背面に設けられ、前記主表示部の中心位置において前記排紙口が視野にないことを特徴とする。
【0012】
特に、前記排紙口から排出された印刷物を収容する印刷物保持部を設けてなることが好ましい。また、前記印刷物保持部が、架台に設けられてなることが好ましい。これにより、印刷物を保持し、所望の時間に取り出すことができ、映画やドラマ等を視聴中に取りに行く必要が無くなり、映画やドラマの鑑賞を楽しむ人の邪魔をすることを避けることが容易になる。
【0013】
本発明の第二のハイブリッド表示装置は、主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイからなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷用紙からなる印刷物を保持する印刷物保持部と、前記フラットパネルディスプレイを保持する架台と、を具備し、前記印刷部及び/又は印刷物保持部が前記架台に設けられてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第三のハイブリッド表示装置は、主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイからなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷用紙からなる印刷物を保持する印刷物保持室と、を具備し、前記主表示部が壁面の表側に、前記印刷部が前記壁面の裏側に配置するように、前記フラットパネルディスプレイを壁面に設けてなることを特徴とする。
【0015】
特に、前記第三のハイブリッド表示装置においては、前記壁面がユニット家具の背面壁を利用したものであることが好ましい。取付けが容易で、ユニット家具の移動によって表示装置の位置を容易に変更できる。また、前記印刷物保持室が、前記ユニット家具の架台部に設けられてなることが好ましい。これにより、印刷物の保管が容易となり、またユニット家具の引出や扉内部に印刷物が収納でき、家具をより有効に利用できる。
【0016】
本発明においては、前記印刷物保持室が、前記ユニット家具の架台部に設けられてなることが好ましい。これにより、臨場感や雰囲気を損なわないで、印刷部2bで発する騒音の放出を容易に抑制でき、架台部の空間を効果的に利用でき、取出しの自由度が増える。
【0017】
前記印刷部を外部から密閉してなることが好ましい。これにより、印刷部から外部に放出される騒音を効果的に抑制することができる。
【0018】
前記印刷ヘッドと印刷用紙とが実質的に非接触で印刷が行われることが好ましい。これにより、さらに印刷時に発生する騒音を低減することができる。
【0019】
前記印刷部が連続紙又はセパレート紙を装填するための脱着可能な保持具を具備してなることが好ましい。この構成により、主画面の表示内容によって用紙を選択でき、情報内容に最適な用紙を選択することができる。
【0020】
前記表示画面が、対角14インチ以上の大きさであることが好ましい。表示画面の背面に印刷部を容易に配置することができる。
【0021】
文字情報、画像情報及び音声情報のうち少なくとも2つの情報を受信する機能を備えてなることが好ましい。これにより、ハイブリッド表示装置を多機能化することができ、各種情報を表示するとともに、必要な情報を随時印刷することが容易になる。
【0022】
記憶装置を具備し、該記憶装置に前記受信情報を蓄積するとともに、該受信情報の少なくとも一部を特定の時刻に自動的に印刷する機能を具備することが好ましい。映画やドラマに熱中していても、他の用事を行っていても必要な情報を忘れずに入手し、印刷することができる。
【0023】
前記主表示部又は前記副表示部にカメラを設け、該カメラの情報を電話回線又はインターネット回線で送信することができる機能を具備することが好ましい。これにより、会話をしながら文字・映像情報をやり取りでき、所謂テレビ電話として用いるとともに、通信によって得られた文字や映像を印刷することで、さらに高度な情報交換を実現することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を、図を用いて説明する。図1は、本発明のハイブリッド表示装置を示すもので、図1(a)は正面斜視図、図1(b)は背面斜視図である。
【0025】
本発明のハイブリッド表示装置は、フラットプレイディスプレイ1を架台7に載置したものであり、フラットパネルディスプレイ1の正面には、情報の表示画面2aを備える主表示部2が設けられ、背面には、特定の情報を印刷する印刷部3が設けられている。
【0026】
主表示部2の表示画面2aは、B6サイズの印刷用紙であれば、対角12インチ以上が必要になるが、特にA5の印刷用紙を用いる場合には対角14インチ以上、更にB5の印刷用紙を用いる場合には対角17インチ以上のものを用いることが好ましい。そして、A4サイズの印刷用紙を用いる場合、対角が20インチ以上、特に25インチ以上、更には30インチ以上、より好適には35インチ以上の大きさを有するものが好ましい。このように、表示画面が大きくなると、背面に設置する印刷部3が視聴者から隠れ、また、印刷部3で発生する騒音を視聴者の耳に到達しにくくすることが容易になる。
【0027】
この表示画面2aには、各種の文字情報や映像情報を表示することができ、また、アナログ情報でもデジタル情報でも良い。具体的には、地上波放送や衛星放送等のテレビ放送、文字放送、ビデオ映像、カメラ映像、各種の動画や静止画、インターネット情報、来客情報等を表示することができる。
【0028】
印刷部3は、給紙部3a、転写部3b、排紙部3cとで構成され、フラットプレイディスプレイ1の背面に設けることが重要である。給紙部3aは、印刷に用いる印刷用紙を複数枚保持するもので、所望によりハイブリッド表示装置1から脱着可能なカートリッジ方式を採用することができ、例えば給紙カセット方式の印刷用紙保持具5を採用し、印刷用紙保持具5の脱着、印刷用紙保持具5への印刷用紙の補充、印刷用紙保持具5の装着に関する一連の操作を簡単に、且つ簡便に行うことができる。
【0029】
このように、フラットプレイディスプレイ1の背面に印刷部3が設けられているが、印刷部3を付加したことによるフラットプレイディスプレイ1の厚みの増加は、印刷用紙をストックしている給紙部の厚み程度であり、実質的に大幅な増加はない。
【0030】
また、給紙部3aに保持された印刷用紙は、紙送り機構によって転写部3bに送り込まれ、転写部3bで所定の文字情報や画像情報を印刷する。転写部3bには、印刷を行うための印刷ヘッドが備えられ、白黒印刷とカラー印刷を選択して実行することができる。転写部3bで印刷された印刷用紙からなる印刷物は、紙送り機構によって排紙部3cに移動する。
【0031】
印刷部3において、転写部3bで印刷した印刷物の排紙口4は、側面又は背面に設けることが好ましい。図1の場合には、印刷物が排出される排紙口4がハイブリッド表示装置1の背面に設けられ、排紙方向Xが背面方向となっており、排紙方向Xに印刷時の騒音が排紙口4から放出される。これは、騒音の放出される方向が、表示画面2aと略垂直な背面方向であり、表示画面2aを視聴している人と反対の方向に騒音が放出されるため、視聴者の耳に入る騒音のレベルを低減することができ、映画やドラマ等の雰囲気を維持することができる。
【0032】
この排紙口4は、表示画面2aの中心位置と対向する特定位置Aからフラットパネルディスプレイ1の表示画面2aを眺めた時、視野に入らないことが重要である。この際に、フラットパネルディスプレイ1から目のある特定位置Aまでの距離dは、一般に視聴者が画面を見る距離を考慮して2〜5m程度に設定することができる。このように、フラットパネルディスプレイ1から正面方向に2〜5m離れた位置から表示画面2aを眺めた時に排紙口4が視野から外れているため、騒音は視聴者の耳に到達しにくくなる。よって、特許文献4のように印刷物が表示装置の手前に排出され、映画の臨場感を損なうことが避けられる。
【0033】
特に、印刷時の騒音を30dB以下、更には25dB以下、より好適には20dB以下にすることで、視聴者に印刷をほとんど意識させずに印刷を実効でき、テレビ、映画やドラマ等の鑑賞を邪魔せずに、所望の情報を印刷することが容易になる。なお、本発明ぬいおける騒音測定は、ISO7779に準じたBsyustander-Positionによって行った。
【0034】
印刷物が排出された後には印刷物ができたことを示すために、印刷物が視聴者の視野に入っても良いが、フラットパネルディスプレイ1に表示灯を設けても良いし、遠隔操作装置に印刷完了の表示を行って印刷物を視聴者の目から全く見えないようにしても良い。
【0035】
遠隔操作装置には、副表示画面を備えるフラットディスプレイからなる副表示部をモけることが好ましい。手元の副表示画面で表示や印刷を制御でき、映画鑑賞等を妨げず、またその臨場感や雰囲気を維持したまま、印刷状態を知ることができる。また、鑑賞映像の一部を副表示画面に表示することで、主表示画面の映像を中断させること無く、所望の印刷を実行することができる。
【0036】
また、転写部3bは、印刷用紙に印刷を行う印刷ヘッドを備え、特に、紙と印刷ヘッドとの接触によって発生する騒音を低減することが容易なため、前記印刷部における印刷ヘッドと印刷用紙とが実質的に非接触であることが好ましい。例えば、印刷ヘッドとしてインクジェットヘッドを採用することができる。インクジェットヘッドは、加熱方式でも圧電方式でも、それ以外の方式でも良い。
【0037】
印刷部3で用いられる印刷用紙は、連続紙でもセパレート紙でも良いが、両者を装填するための脱着可能な保持具を具備し、所望により、印刷用紙を選べるため、情報内容に適した印刷用紙を選択することができる。例えば、ニュースやメールでは連続紙に印字し、印字範囲が入る領域で連続紙を切断することで、セパレート紙に印刷した場合に、最後が1行で終わるような印刷用紙の無駄を省くこともできる。
【0038】
連続紙とセパレート紙の選択は、随時行うこともできるが、静止画の印刷はセパレート紙、文字は連続紙といったように印刷内容によって設定しておくことも可能である。なお、このような設定は、副表示部で行うことが好ましい。
【0039】
また、印刷ヘッドには走査式と固定式がある。走査式は、走査時の印刷ヘッドの移動にともなって騒音が発生しやすいため、固定式であることが重要である。固定式印刷ヘッドにすることで、走査を行うための駆動機構を搭載する必要もなくなり、装置の小型化も容易になり、また、印刷ヘッドの配置の自由度が高まり、設計の自由度が広がる。
【0040】
転写部3bにおける印刷速度は、A4サイズ以下の用紙1枚に対して5秒以内、特に4秒以内、さらには3秒以内、より好適には2秒以内、最も好適には1秒以内でフルカラー印刷が可能な速度であることが好ましい。このような高速印刷により、鑑賞者が気に入った場面をすぐさま印刷でき、しかも複数枚でもストレスなく印刷でき、また、多くの場面をタイムリーに印刷することも可能である。
【0041】
さらに、排紙部3cは、印刷の終了した印刷用紙からなる印刷物を排紙口4から排出するためのものであり、印刷部3で発生する騒音が、映画の鑑賞者の耳に入る騒音の音量を低減するため、側面、上面、下面又は背面の方向の少なくとも1つにすることができる。
【0042】
その一例を図2に示した。図2は、本発明の他のハイブリッド表示装置1を示す背面斜視図である。なお、正面斜視図は図1と同一なので表示を省略した。また、図1との共通部分は同一の番号を付与し、共通する説明を省略した。
【0043】
図2によれば、印刷部3は、印刷用紙保治具5を具備する給紙部3aと、転写部3bと、印刷物保持具6を具備する排紙部3cで構成される。印刷物保持具6は、印刷用紙保治具5と同様に、脱着及び交換可能なカートリッジ方式とすることができる。なお、排紙口は装置に内蔵され、側面に設けられている。また、印刷物保持具6には、排紙口4が設けられ、排紙方向が側面方向となっている。このように、側面に設けられ、特定位置から視野にない、隠れた位置に配置しているので、FPDの視聴者の耳に届く印刷時の騒音を低減することができる。この排紙口4には、蓋を設け、印刷用紙の取出時のみに開閉するのが騒音低減のためにより一層好ましい。
【0044】
印刷部3は、転写部3bで印刷した印刷物の排紙方向Xが、左側面方向であり、表示画面2aの中心位置をフラットパネルディスプレイから遠ざかる位置からフラットパネルディスプレイを眺めた時に、排紙口4が視野に入らないため、視聴者の耳に入る騒音のレベルを低減することができ、映画やドラマ等の雰囲気を維持することができる。
【0045】
図2では、排紙方向Xが左側面方向であるが、同様にして右側方向にすることもできる。さらには、上側面、下側面からも印刷物を排出することが可能である。
【0046】
図3は、本発明のさらに他のハイブリッド表示装置を示すもので、図3(a)は正面斜視図、図3(b)は背面斜視図である。図1との共通部分は同一の番号を付与し、共通する説明を省略した。
【0047】
図3によれば、排紙口(不図示)は装置に内蔵されており、印刷物は架台7の内部に収納される。即ち、架台が排紙部3cの一部を構成しており、転写部3bで印刷された印刷物が、装置に内蔵された排紙口(不図示)を経由して、印刷物保持部6bを兼ねる架台7に移動する。
【0048】
このように、排紙方向Xを下方向とし、排紙口をフラットパネルディスプレイ2の背面下側面に設け、架台脚部7aの内部を印刷物が通過し、架台脚部7aに設けられた印刷物保持部6bの扉状の取出口8を開けて印刷物を取るようにすることができる。なお、印刷物保持部6bは、架台底部7bに設けることもできる。また、架台脚部7aは、正面側は見えない構造を採用し、背面側は開放状態にすることも、気流調整用等の空気孔を設けることも可能である。
【0049】
図3においては、外部に放出される騒音を抑制するために、印刷部を密閉しており、騒音の低減を容易に行うことができる。密閉にすることによって、転写部3bへのゴミの進入も抑制することができる。騒音を低減するため、密閉のような消音機構を具備することが好ましい。さらには、印刷部から外部に放出される騒音をさらに効果的に抑制するために、印刷部3に消音装置を設けることが好ましい。例えば、印刷部3の周囲を、音波の損失係数の大きな材料、例えば、ゴムや、低密度のポリエチレン、発泡ウレタン、発泡スチロール等の部材で囲む、或いは、発生する騒音を打ち消す音の発生装置を取り付けることができる。
【0050】
図4は、本発明のさらに他のハイブリッド表示装置1を示すもので、図4(a)は正面斜視図、図4(b)は架台底部の一部の斜視図である。図1との共通部分は同一の番号を付与し、共通する説明を省略した。
【0051】
図4によれば、印刷部3は、フラットパネルディスプレイ1の背面ではなく、架台の底面を形成する架台底部7bに設けることができる。架台底部7bに、印刷用紙保持部3a、転写部3b及び印刷物保持部3cを具備し、印刷用紙保持部3aに保持された印刷用紙は、転写部3bに送り出され、転写部3bで印刷され、印刷の終了した印刷物は、装置に内蔵された排紙口(非図示)を経由して、印刷物保持部3cに移され、取出口8から自由に取り出すことができる。なお、取出口8を開口部としてもよいが、引出方式や扉方式にして騒音の低減を図ることが好ましい。
【0052】
また、架台底部7bの幅は印刷用紙の幅よりもやや大きい程度で済むため、フラットパネルディスプレイ1の重量を支え、倒れないような幅を設定すると、A4やA3を収納するのに十分な大きさを確保できる。従って、フラットパネルディスプレイ1の幅を大幅に大きくすることなく、プリンタを組み込み、しかも騒音の発生を効果的に防止できる。
【0053】
印刷部3は、実質的に密封してなることが望ましい。密封することにより、騒音量の低減が期待でき、また、印刷部3が外部から見えなくなり、デザイン上も好ましい。なお、実質的に密封するとは、引出しや扉を設けた場合の微小な隙間や通気用の微小な孔を除き、騒音が漏れるような開口部がないことを示す。
【0054】
次に、壁掛け方式の表示装置について説明する。壁掛け方式は、特許文献1に示したように、取り付け部材等を使用して、表示装置を壁面に直接取り付け、また、特許文献2に示したように、表示装置をユニット家具のパネルに取り付けることができる。このように、壁面に本発明のハイブリッド表示装置を取り付ける場合、
以上は、ハイブリッド表示装置をスタンド式の架台を用いた場合ついて説明したが、次に、ハイブリッド表示装置を壁やユニット家具に掛ける場合、所謂壁掛けテレビとして用いる場合について説明する。
【0055】
本発明のハイブリッド表示装置は、フラットディスプレイ101をユニット家具に掛けたものでもよく、その一例の正面斜視図を図5に、その背面斜視図を図6に示した。
【0056】
フラットパネルディスプレイは、専用の治具等により、表側からはめ込むようにして表示画面が壁面の表側に、印刷部を壁面の裏側に配置するように、壁面に直接設けて、所謂壁掛けテレビとしても良いが、図5及び6のように、フラットパネルディスプレイ101を、ユニット家具111の背面壁112にはめ込むように取り付け、フラットパネルディスプレイ101の主表示部102の表示画面102aが背面壁112の表側に突出するように、あるいは壁と同じ平面上に形成されるように取り付けられている。
【0057】
ハイブリッド表示装置の背面には、特定の情報を印刷する印刷部103が設けられている。このように、ユニット家具111の背面壁112の面積が大きいため、その背面に設置する印刷部103が視聴者から隠れるため、印刷部103で発生する騒音を視聴者の耳に到達しにくくすることが容易になる。即ち、背面壁112の背面112b、即ち背面壁112の表示画面102aと反対側に、印刷部103を設けることによって、印刷部103で発生する騒音をユニット家具111の背面側に放出するため、ハイブリッド表示装置の鑑賞者に対して騒音の影響を顕著に低減できる。
【0058】
なお、壁の反対側に印刷部103を露出させる場合、騒音の放出口を設けても良く、また、映画やドラマ等の鑑賞中に、鑑賞者の邪魔をせずにユニット家具の背面でインクの補充や印刷用紙の補充を簡単に行うという効果も期待できる。なお、イブリッド表示装置を壁面に埋め込む場合も同様に、隣室からインクの補充や印刷用紙の補充を行うことができる。
【0059】
また、本発明によれば、給紙部103aから転写部103bに送られた印刷用紙が印刷され、印刷物として排紙部103cに送り出されるが、印刷物が排紙口104を介してユニット家具の一部に設けられた印刷物保管室106に保持することもできる。印刷物保管室106は図5のように扉108を設けて正面から取り出し可能にしてもよいし、引出方式にして、引出を引き出して印刷物を取るようにしてもよい。
【0060】
本発明によれば、ユニット家具111には引出しや棚等が付属しても良く、印刷物は、印刷直後に背面壁112の背面112b側で、一度下方向に排出され、その後ユニット家具の一部に設けられた印刷物保管室106に収納されるが、背面壁112に取り付けるフラットパネルディスプレイ101の実効厚みは小さくできる。
【0061】
なお、ユニット家具にフラットパネルディスプレイ101を取り付ける場合、フラットパネルディスプレイ101を保持する架台部107に印刷部103を設けても良い(不図示)。この場合、図4と同様に、印刷部が架台部107の中に内蔵されるものである。
【0062】
本発明におけるフラットパネルディスプレイとしては、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル装置、EL表示装置、フィールドエミッションディスプレイ装置、エレクトロクロミックディスプレイ等を採用することができ、薄型で大型表示画面を実現できる。特に、情報の表示画面の大きさが、対角14インチ以上であればA5サイズの印刷用紙に印刷が可能となり、フラットパネルディスプレイの背面に印刷部を容易に隠すように設けることができ、印刷部から発する騒音をフラットパネルディスプレイ自体で遮蔽することができる。また、同様に、B5の印刷用紙を用いる場合には対角17インチ以上、さらに、A4サイズの印刷用紙を用いる場合には対角が20インチ以上、特に25インチ以上、更には30インチ以上、より好適には35インチ以上であることが、視聴者に対する騒音抑制の点で好ましい。
【0063】
本発明によれば、FPDの表示画面には、テレビ放送、衛星放送、文字放送、有線(ケーブル)放送、インターネット放送、ビデオ映像、デジタル映像、音楽映像等の文字情報、画像情報及び音声情報のうち少なくとも2つの情報を受信する機能を備えてなることが好ましい。これにより、ハイブリッド表示装置を多機能化することができ、各種情報を表示するとともに、必要な情報をFPD1台に集約し、しかも所望の情報を随時印刷することが容易になる。
【0064】
また、本発明のハイブリッド表示装置が記憶装置を具備し、入手した受信情報を記憶装置に蓄積するとともに、受信情報の少なくとも一部を特定の時刻に自動的に印刷する機能を具備することが好ましい。記憶した情報を随時取り出すことができ、しかも、表示画面で映画を鑑賞しながら、同時に記憶した画像を印刷することができ、映画やドラマに熱中していても、あるいは、他の用事を行っていても必要な情報を忘れずに入手し、例えば朝の特定の時間に必要情報を印刷しておき、出勤時にその印刷物を持って出かけることができる。
【0065】
前記主表示部又は前記副表示部にカメラを設け、該カメラの情報を電話回線又はインターネット回線で送信することができる機能を具備することが好ましい。これにより、会話をしながら文字・映像情報をやり取りでき、所謂テレビ電話として用いるとともに、通信によって得られた文字や映像を印刷することで、さらに高度な情報交換を実現することができる。
【0066】
また、ハイブリッド表示装置が、各種の操作を行うために、他のフラットパネルディスプレイを具備する遠隔操作装置を具備することが好ましい。遠隔操作装置には、走査情報や記憶した画像情報等を表示するためのフラットパネルディスプレイが備えられており、座ったままで各種の処理を簡単に行うことができる。
【0067】
以上のように、本発明のハイブリッド表示装置は、発生する騒音を抑制し、多機能表示装置として情報を集約し、必要情報を映画やドラマ等の鑑賞中に簡単に、且つ静かに印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のハイブリッド表示装置の構造を示すもので、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。
【図2】本発明の他のハイブリッド表示装置の構造を示すもので、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。
【図3】本発明の更に他のハイブリッド表示装置の構造を示すもので、(a)は正面斜視図、(b)は背面斜視図である。
【図4】本発明の更に他のハイブリッド表示装置の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の更に他のハイブリッド表示装置の構造を示す正面斜視図である。
【図6】本発明の更に他のハイブリッド表示装置の構造を示す背面斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1、101・・・フラットプレイディスプレイ
2、102・・・主表示部
2a、102a・・・表示画面
3、103・・・印刷部
3a、103a・・・給紙部
3b、103b・・・転写部
3c、103c・・・排紙部
4、104・・・排紙口
5・・・印刷用紙保持具
6・・・印刷物保持具
6b・・・印刷物保持部
7・・・架台
7a・・・スタンド
7b・・・架台底部
106・・・印刷物保管室
107・・・架台部
107a・・・架台脚部
107b・・・架台底部
108・・・取出口
111・・・ユニット家具
112・・・背面壁
A・・・特定位置
d・・・主表示画面から特定位置までの距離
X・・・排紙方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイからなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷用紙からなる印刷物を外部に排出する排紙口と、前記フラットパネルディスプレイを保持する架台と、を具備し、前記印刷部が前記主表示部の背面に設けられ、且つ前記排紙口がフラットパネルディスプレイの側面又は背面に設けられ、前記排紙口が視聴者の視野から隠れていることを特徴とするハイブリッド表示装置。
【請求項2】
前記排紙口から排出された印刷物を収容する印刷物保持部を設けてなることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド表示装置。
【請求項3】
前記印刷物保持部が、架台に設けられてなることを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド表示装置。
【請求項4】
主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイからなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷用紙からなる印刷物を保持する印刷物保持部と、前記フラットパネルディスプレイを保持する架台と、を具備し、前記印刷部が前記架台に設けられてなることを特徴とするハイブリッド表示装置。
【請求項5】
主表示画面を備えるフラットパネルディスプレイからなる主表示部と、固定式印刷ヘッド及び給排紙機構を有する印刷部と、該印刷部で印刷された印刷用紙からなる印刷物を保持する印刷物保持室と、を具備し、前記主表示部が壁面の表側に、前記印刷部が前記壁面の裏側に配置するように、前記フラットパネルディスプレイを壁面に設けてなることを特徴とするハイブリッド表示装置。
【請求項6】
前記壁面がユニット家具の背面壁であることを特徴とする請求項5記載のハイブリッド表示装置。
【請求項7】
前記印刷物保持室が、前記ユニット家具の架台部に設けられてなることを特徴とする請求項6記載のハイブリッド表示装置。
【請求項8】
前記印刷部を外部から密閉してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項9】
前記印刷ヘッドと印刷用紙とが実質的に非接触で印刷が行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項10】
前記印刷部が連続紙又はセパレート紙を装填するための脱着可能な保持具を具備してなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項11】
前記表示画面が、対角14インチ以上の大きさであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項12】
文字情報、画像情報及び音声情報のうち少なくとも2つの情報を同時に受信する機能を備えてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項13】
記憶装置を具備し、該記憶装置に前記受信情報を蓄積するとともに、該受信情報の少なくとも一部を特定の時刻に自動的に印刷する機能を具備することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。
【請求項14】
前記主表示部又は前記副表示部にカメラを設け、該カメラの情報を電話回線又はインターネット回線で送信することができる機能を具備することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のハイブリッド表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−56165(P2006−56165A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241376(P2004−241376)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】