説明

ハイブリッド車両の制御装置及び制御方法

【課題】本発明は、蓄電器が高温である場合に、エアコン用コンプレッサの駆動によって蓄電器の温度がさらに上昇してしまうことを抑制できるハイブリッド車両の制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、エンジン6と、バッテリ3と、バッテリ3と電力の授受を行ない、エンジン6の動力により発電可能なモータ7と、車室の空調を行なうエアコンを駆動するエアコン用コンプレッサ112と、を備えるハイブリッド車両1の制御装置に関する。バッテリ3の温度が所定温度以上である場合には、モータ7により発電した電力によって、バッテリ3を介さずにエアコン用コンプレッサ112が駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関と、電動機と、蓄電器と、を備えたハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両において、電動機は、蓄電器から供給された電力によって駆動されると共に、減速走行時における駆動輪の回転や内燃機関の動力により回生発電を行って、蓄電器の充電を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電器は充放電によって発熱するが、蓄電器は高温になると劣化するおそれがあり、また、十分な出力を得ることができなくなる可能性がある。また、近年、車室内の空調は、電力によって駆動されるエアコン用コンプレッサにより行なわれているが、蓄電器が高温である場合に蓄電器から電力を持ち出すと、蓄電器がさらに高温になってしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電器が高温である場合に、エアコン用コンプレッサの駆動によって蓄電器の温度がさらに上昇してしまうことを抑制できるハイブリッド車両の制御装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
内燃機関(例えば、後述の実施形態におけるエンジン6)と、
蓄電器(例えば、後述の実施形態におけるバッテリ3、高圧バッテリ3a)と、
前記蓄電器と電力の授受を行ない、前記内燃機関の動力により発電可能な電動機(例えば、後述の実施形態におけるモータ7)と、
車室の空調を行なうエアコンを駆動するエアコン用コンプレッサ(例えば、後述の実施形態におけるエアコン用コンプレッサ112)と、を備えるハイブリッド車両(例えば、後述の実施形態におけるハイブリッド車両1)の制御装置であって、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記内燃機関の動力により走行し、前記蓄電器を介さずに、前記電動機によって前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記内燃機関の動力で走行中、前記蓄電器の温度が所定温度未満である場合、前記電動機が発電を行うことにより前記蓄電器を充電可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、
前記電動機が、前記内燃機関の動力により前記エアコン用コンプレッサ及び補機類(例えば、後述の実施形態における補機類122)による消費電力に対応した電力を発電し、
前記電動機で発電された電力によって前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記エアコン用コンプレッサは、前記蓄電器の電力又は前記電動機で発電された電力により駆動可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の制御装置において、前記蓄電器と変圧器(例えば、後述の実施形態におけるダウンバータ4)を介して接続された、前記蓄電器よりも低電圧を供給する低圧蓄電器(例えば、後述の実施形態における低圧バッテリ3b)と、を含み、
前記低圧蓄電器の電力により前記エアコン用コンプレッサを駆動可能であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記エアコン用コンプレッサを駆動して冷房を行なうことにより、前記蓄電器を冷却可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の制御装置において、前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、乗員の要求冷房強度以上の強度で冷房を行なうように前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の制御装置において、少なくとも前記要求冷房強度を超えた分の冷房を、乗員を回避した流路を介して行うことを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記ハイブリッド車両が、
前記内燃機関の出力軸及び前記電動機からの機械的動力を、前記電動機と係合する第1入力軸(例えば、後述の実施形態の第1主軸11)で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第1入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第1変速機構と、
前記内燃機関の出力軸からの機械的動力を第2入力軸(例えば、後述の実施形態の第2中間軸16)で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第2入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第2変速機構と、
前記内燃機関の出力軸と前記第1入力軸とを係合させることが可能な第1断接部(例えば、後述の実施形態の第1クラッチ41)と、
前記内燃機関の出力軸と前記第2入力軸とを係合させることが可能な第2断接部(例えば、後述の実施形態の第2クラッチ42)と、をさらに備え、
前記第1断接部及び前記第2断接部の係合状態を制御する断接部制御部(例えば、後述の実施形態におけるECU5)を有し、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた係合状態とし、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた係合状態とすることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の制御装置において、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合において、
前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より小さい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた半係合とし、且つ、前記第2断接部を係合し、
前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より大きい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を係合し、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた半係合とすることを特徴とする。
【0016】
請求項11に係る発明は、内燃機関と、
蓄電器と、
前記蓄電器と電力の授受を行ない、前記内燃機関の動力により発電可能な電動機と、
前記内燃機関の出力軸及び前記電動機からの機械的動力を、前記電動機と係合する第1入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第1入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第1変速機構と、
前記内燃機関の出力軸からの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第2入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第2変速機構と、
前記内燃機関の出力軸と前記第1入力軸とを係合させることが可能な第1断接部と、
前記内燃機関の出力軸と前記第2入力軸とを係合させることが可能な第2断接部と、
車室の空調を行なうエアコンを駆動するエアコン用コンプレッサと、を備えるハイブリッド車両の制御方法であって、
前記蓄電器の温度を検出するステップと、
前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力を導出するステップと、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた係合状態とし、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた係合状態とするステップと、
前記電動機により発電された電力により、前記蓄電器を介さずに前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類を駆動するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の制御方法において、
前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力を導出するステップと、
前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力と、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力と、を比較するステップと、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合において、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より小さい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた半係合とし、且つ、前記第2断接部を係合し、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より大きい場合には、前記第1断接部を係合し、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた半係合とするステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、蓄電器の充放電を行なうことなく、エアコン用コンプレッサを駆動することができるので、蓄電器の温度上昇を抑制することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、蓄電器の温度を監視しながら、蓄電器の充電状態を適切に調整することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、蓄電器の充放電を行なうことなく、エアコン用コンプレッサ及び補機類を駆動することができるので、蓄電器の温度上昇を抑制することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、蓄電器の電力によりエアコン用コンプレッサを駆動することができるので、内燃機関が停止中であってもエアコン用コンプレッサを駆動してエアコンを駆動することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、低圧蓄電器の電力によりエアコン用コンプレッサを駆動することができるので、高圧蓄電器の充放電を行なうことなく、高圧蓄電器の温度上昇を抑制することができる。また、電動機により発電された電力が、エアコン用コンプレッサや補機類の消費電力よりも大きい場合であっても、余剰分を低圧蓄電器に充電することができるので、エネルギー効率を向上することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、エアコン用コンプレッサを駆動することにより、車室内を冷房することに加えて蓄電器を冷却することができるので、蓄電器の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、乗員の要求冷房強度以上の強度で冷房を行なうことにより、乗員の要求冷房を満足した上で、蓄電器を冷却することができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、要求冷房強度を超えた分の冷房は、乗員を回避した流路を介して行われるので、乗員に不快感を与えることなく蓄電器を冷却することができる。
【0026】
請求項9及び11の発明によれば、ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力とエアコン用コンプレッサ及び補機類を電動機により発電するために必要な駆動力とが、内燃機関の動力によって、別々の動力伝達経路を介して与えられるので、補機類の駆動のために電動機に必要な駆動力を走行に必要な駆動力に付加して走行することが困難な極低速走行状態などに対応できるとともに、各駆動力の制御を精密に行うことができる。
【0027】
請求項10及び12の発明によれば、ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力とエアコン用コンプレッサ及び補機類を電動機により発電するために必要な駆動力との大きさに応じて、第1及び第2断接部の係合状態を切り換えることで、ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じてエンジン走行できると共に、エアコン用コンプレッサ及び補機類の駆動に必要な電力を電動機で発電することができるので、蓄電器の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る制御装置を含むハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】図1の変速機構の詳細を示す概略構成図である。
【図3】バッテリ温度とバッテリ許可出力の関係を示すグラフである。
【図4】図1の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】バッテリを冷却するための流路の一例を示す図である。
【図6】一走行モードにおけるトルクの伝達状態を示す図である。
【図7】他の走行モードにおけるトルクの伝達状態を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る制御装置を含むハイブリッド車両の概略構成図である。
【図9】図8の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置の第1実施形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0030】
図1に示されるように、ハイブリッド車両1は、駆動源である内燃機関(ENG、以下「エンジン」という)6と、電動機(MOT、以下「モータ」という)7と、パワーコントロールユニット(PDU)2と、蓄電器(BATT、以下「バッテリ」という)3と、制御装置(以下「ECU」という)5と、動力を駆動輪DWに伝達するための変速機(TM)20と、変圧器(D/V、以下「ダウンバータ」という)4と、消費電力センサ(S)110と、エアコン用コンプレッサ(A/C)112と、補機類(ACCES)122と、を備える。ここで、モータ7はモータジェネレータやトラクションモータを含む。バッテリ3は、電力によって蓄電可能な装置の総称であり、キャパシタ等を含む。
【0031】
エンジン6は、例えばガソリンエンジン又はディーゼルエンジンである。図2に示されるように、エンジン6のクランク軸6aには、変速機20の第1クラッチ41と第2クラッチ42が配置されている。
【0032】
モータ7は、3相ブラシレスDCモータであり、ステータ71と、このステータ71に対向するように配置されたロータ72とを有し、後述する遊星歯車機構30のリングギヤ35の外周側に配置されている。ロータ72は、遊星歯車機構30のサンギヤ32に連結されて、遊星歯車機構30のサンギヤ32と一体に回転するように構成されている。
【0033】
遊星歯車機構30は、サンギヤ32と、このサンギヤ32と同軸上に配置され、かつ、このサンギヤ32の周囲を取り囲むように配置されたリングギヤ35と、サンギヤ32とリングギヤ35に噛合されたプラネタリギヤ34と、このプラネタリギヤ34を自転可能、かつ、公転可能に支持するキャリア36とを有し、サンギヤ32とリングギヤ35とキャリア36が、相互に差動回転自在に構成されている。
【0034】
リングギヤ35には、同期機構を有しリングギヤ35の回転を停止(ロック)可能に構成されたブレーキ機構61が設けられている。なお、ブレーキ機構61にかわって、ロック機構、シンクロ機構等が設けられてもよい。
【0035】
変速機20は、前述した第1クラッチ41と第2クラッチ42と、遊星歯車機構30と、後述する複数の変速ギヤ段を備えた、いわゆるデュアルクラッチ式変速機である。
【0036】
より具体的に、変速機20は、エンジン6のクランク軸6aと同軸(回転軸線A1)上に配置された第1主軸11、第2主軸12、連結軸13と、回転軸線A1と平行な回転軸線B1を中心として回転自在なカウンタ軸14と、回転軸線A1と平行な回転軸線C1を中心として回転自在な第1中間軸15と、回転軸線A1と平行な回転軸線D1を中心として回転自在な第2中間軸16と、回転軸線A1と平行に配置された回転軸線E1を中心として回転自在なリバース軸17と、を備えている。
【0037】
第1主軸11には、エンジン6側に第1クラッチ41が設けられ、エンジン6側とは反対側に遊星歯車機構30のサンギヤ32とモータ7のロータ72が第1主軸11と一体で回転するように設けられている。従って、第1主軸11は、第1クラッチ41によって選択的にエンジン6のクランク軸6aと連結されるとともにモータ7と直結され、エンジン6及び/又はモータ7の動力が入力されるように構成されている。
【0038】
第2主軸12は、第1主軸11より短く中空に構成されており、第1主軸11のエンジン6側の周囲を覆うように相対回転自在に配置されている。また、第2主軸12には、エンジン6側に第2クラッチ42が設けられ、エンジン6側とは反対側にアイドル駆動ギヤ27cが第2主軸12と一体で回転するように設けられている。従って、第2主軸12は、第2クラッチ42によって選択的にエンジン6のクランク軸6aと連結され、エンジン6の動力がアイドル駆動ギヤ27cへ入力されるように構成されている。
【0039】
連結軸13は、第1主軸11より短く中空に構成されており、第1主軸11のエンジン6側とは反対側の周囲を覆うように第1主軸11と相対回転自在に配置されている。また、連結軸13には、エンジン6側に第3速用駆動ギヤ23aが連結軸13と一体で回転するように設けられ、エンジン6側とは反対側に遊星歯車機構30のキャリア36が連結軸13と一体で回転するように設けられている。従って、プラネタリギヤ34の公転により連結軸13に設けられたキャリア36と第3速用駆動ギヤ23aが一体に回転するように構成されている。
【0040】
さらに、第1主軸11には、連結軸13に設けられた第3速用駆動ギヤ23aと第2主軸12に設けられたアイドル駆動ギヤ27cとの間に、第3速用駆動ギヤ23aとともに奇数段変速部を構成する第7速用駆動ギヤ97aと第5速用駆動ギヤ25aとが、第3速用駆動ギヤ23a側からこの順に第1主軸11と相対回転自在に設けられている。また、第5速用駆動ギヤ25aとアイドル駆動ギヤ27cとの間には、第1主軸11と一体に回転する後進用従動ギヤ28bが設けられている。
【0041】
第3速用駆動ギヤ23aと第7速用駆動ギヤ97aとの間には、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23a又は第7速用駆動ギヤ97aとを連結又は開放する第1奇数段変速用シフター51aが設けられ、第7速用駆動ギヤ97aと第5速用駆動ギヤ25aとの間には、第1主軸11と第5速用駆動ギヤ25aとを連結又は開放する第2奇数段変速用シフター51bが設けられている。
【0042】
そして、第1奇数段変速用シフター51aが第3速用接続位置でインギヤするときには、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23aが連結して一体に回転し、3速相当の変速段で走行可能となる。第1奇数段変速用シフター51aが第7速用接続位置でインギヤするときには、第1主軸11と第7速用駆動ギヤ97aが連結して一体に回転し、7速相当の変速段で走行可能となる。第1奇数段変速用シフター51aがニュートラル位置にあるときには、第1主軸11は第3速用駆動ギヤ23aと第7速用駆動ギヤ97aに対し相対回転する。なお、第1主軸11と第3速用駆動ギヤ23aが一体に回転するとき、第1主軸11に設けられたサンギヤ32と第3速用駆動ギヤ23aに連結軸13で連結されたキャリア36が一体に回転するとともに、リングギヤ35も一体に回転し、遊星歯車機構30が一体となる。
【0043】
第2奇数段変速用シフター51bがインギヤするときには、第1主軸11と第5速用駆動ギヤ25aが連結して一体に回転し、5速相当の変速段で走行可能となる。ニュートラル位置にあるときには、第1主軸11は第5速用駆動ギヤ25aに対し相対回転する。
【0044】
第1中間軸15には、第2主軸12に設けられたアイドル駆動ギヤ27cと噛合する第1アイドル従動ギヤ27dが第1中間軸15と一体で回転するように設けられている。
【0045】
第2中間軸16には、第1中間軸15に設けられた第1アイドル従動ギヤ27dと噛合する第2アイドル従動ギヤ27eが第2中間軸16と一体で回転するように設けられている。第2アイドル従動ギヤ27eは、前述したアイドル駆動ギヤ27cと第1アイドル従動ギヤ27dとともに第1アイドルギヤ列27aを構成し、エンジン6の動力が第2主軸12から第1アイドルギヤ列27aを介して第2中間軸16に伝達される。
【0046】
また、第2中間軸16には、第1主軸11に設けられた第3速用駆動ギヤ23aと第7速用駆動ギヤ97aと第5速用駆動ギヤ25aと対応する位置に、それぞれ偶数段変速部を構成する第2速用駆動ギヤ22aと第6速用駆動ギヤ96aと第4速用駆動ギヤ24aとが第2中間軸16と相対回転自在に設けられている。
【0047】
第2速用駆動ギヤ22aと第6速用駆動ギヤ96aとの間には、第2中間軸16と第2速用駆動ギヤ22a又は第6速用駆動ギヤ96aとを連結又は開放する第1偶数段変速用シフター52aが設けられ、第6速用駆動ギヤ96aと第4速用駆動ギヤ24aとの間には、第2中間軸16と第4速用駆動ギヤ24aとを連結又は開放する第2偶数段変速用シフター52bが設けられている。
【0048】
そして、第1偶数段変速用シフター52aが第2速用接続位置でインギヤするときには、第2中間軸16と第2速用駆動ギヤ22aが連結して一体に回転し、2速相当の変速段で走行可能となる。第1偶数段変速用シフター52aが第6速用接続位置でインギヤするときには、第2中間軸16と第6速用駆動ギヤ96aが連結して一体に回転し、6速相当の変速段で走行可能となる。第1偶数段変速用シフター52aがニュートラル位置にあるときには、第2中間軸16は第2速用駆動ギヤ22aと第6速用駆動ギヤ96aに対し相対回転する。
【0049】
第2偶数段変速用シフター52bがインギヤするときには、第2中間軸16と第4速用駆動ギヤ24aが連結して一体に回転し、4速相当の変速段で走行可能となる。第2偶数段変速用シフター52bがニュートラル位置にあるときには、第2中間軸16は第4速用駆動ギヤ24aに対し相対回転する。
【0050】
カウンタ軸14には、エンジン6側とは反対側から順に第1共用従動ギヤ23bと、第2共用従動ギヤ96bと、第3共用従動ギヤ24bと、パーキングギヤ21と、ファイナルギヤ26aとが一体回転可能に設けられている。
【0051】
ここで、第1共用従動ギヤ23bは、連結軸13に設けられた第3速用駆動ギヤ23aと噛合して第3速用駆動ギヤ23aと共に第3速用ギヤ23を構成し、第2中間軸16に設けられた第2速用駆動ギヤ22aと噛合して第2速用駆動ギヤ22aと共に第2速用ギヤ22を構成する。
【0052】
第2共用従動ギヤ96bは、第1主軸11に設けられた第7速用駆動ギヤ97aと噛合して第7速用駆動ギヤ97aと共に第7速用ギヤ97を構成し、第2中間軸16に設けられた第6速用駆動ギヤ96aと噛合して第6速用駆動ギヤ96aと共に第6速用ギヤ96を構成する。
【0053】
第3共用従動ギヤ24bは、第1主軸11に設けられた第5速用駆動ギヤ25aと噛合して第5速用駆動ギヤ25aと共に第5速用ギヤ25を構成し、第2中間軸16に設けられた第4速用駆動ギヤ24aと噛合して第4速用駆動ギヤ24aと共に第4速用ギヤ24を構成する。
【0054】
ファイナルギヤ26aは差動ギヤ機構8と噛合して、差動ギヤ機構8は、駆動軸9,9を介して駆動輪DW,DWに連結されている。従って、カウンタ軸14に伝達された動力はファイナルギヤ26aから差動ギヤ機構8、駆動軸9,9、駆動輪DW,DWへと出力される。
【0055】
リバース軸17には、第1中間軸15に設けられた第1アイドル従動ギヤ27dと噛合する第3アイドル従動ギヤ27fがリバース軸17と一体回転可能に設けられている。第3アイドル従動ギヤ27fは、前述したアイドル駆動ギヤ27cと第1アイドル従動ギヤ27dとともに第2アイドルギヤ列27bを構成し、エンジン6の動力が第2主軸12から第2アイドルギヤ列27bを介してリバース軸17に伝達される。また、リバース軸17には、第1主軸11に設けられた後進用従動ギヤ28bと噛合する後進用駆動ギヤ28aがリバース軸17と相対回転自在に設けられている。後進用駆動ギヤ28aは、後進用従動ギヤ28bとともに後進用ギヤ列28を構成している。さらに後進用駆動ギヤ28aのエンジン6側とは反対側にリバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとを連結又は開放する後進用シフター53が設けられている。
【0056】
そして、後進用シフター53が後進用接続位置でインギヤするときには、リバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとが一体に回転し、後進用シフター53がニュートラル位置にあるときには、リバース軸17と後進用駆動ギヤ28aとが相対回転する。
【0057】
なお、第1,第2奇数段変速用シフター51a,51b、第1、第2偶数段変速用シフター52a、52b、後進用シフター53は、接続する軸とギヤの回転数を一致させる同期機構を有するクラッチ機構を用いている。第1,第2奇数段変速用シフター51a,51bはブレーキ機構61とともに奇数段切替手段を構成し、第1、第2偶数段変速用シフター52a、52bは偶数段切替手段を構成する。
【0058】
このように構成された変速機20には、2つの変速軸の一方の変速軸である第1主軸11上に第3速用駆動ギヤ23aと第7速用駆動ギヤ97aと第5速用駆動ギヤ25aからなる奇数段変速部が構成され、2つの変速軸の他方の変速軸である第2中間軸16上に第2速用駆動ギヤ22aと第6速用駆動ギヤ96aと第4速用駆動ギヤ24aからなる偶数段変速部が構成される。
【0059】
以上の構成により、本実施形態のハイブリッド車両1は、以下の第1〜第5の伝達経路を有している。
【0060】
(1)第1伝達経路は、エンジン6の動力が、第1主軸11、遊星歯車機構30、連結軸13、第3速用ギヤ23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに伝達される伝達経路である。ここで、遊星歯車機構30の減速比は、第1伝達経路を介して駆動輪DW,DWに伝達されるエンジントルクが第1速相当となるように設定されている。即ち、遊星歯車機構30の減速比と第3速用ギヤ23の減速比をかけ合わせた減速比が第1速相当となるように設定されている。この第1伝達経路を介して、第1クラッチ41を締結し、ブレーキ機構61をロックするとともに第1、第2奇数段変速用シフター51a、51bをニュートラルにすることで、第1速走行がなされる。
【0061】
(2)第2伝達経路は、エンジン6の動力が、第2主軸12、第1アイドルギヤ列27a(アイドル駆動ギヤ27c、第1アイドル従動ギヤ27d、第2アイドル従動ギヤ27e)、第2中間軸16、第2速用ギヤ22(第2速用駆動ギヤ22a、第1共用従動ギヤ23b)又は第4速用ギヤ24(第4速用駆動ギヤ24a、第3共用従動ギヤ24b)又は第6速用ギヤ96(第6速用駆動ギヤ96a、第2共用従動ギヤ96b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに伝達される伝達経路である。この第2伝達経路を介して、第2クラッチ42を締結し、第1偶数段変速用シフター52aを第2速用接続位置でインギヤすることで第2速走行がなされ、第2偶数段変速用シフター52bをインギヤすることで第4速走行がなされ、第1偶数段変速用シフター52aを第6速用接続位置でインギヤすることで第6速走行がなされる。
【0062】
(3)第3伝達経路は、エンジン6の動力が、第1主軸11、第3速用ギヤ23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)又は第5速用ギヤ25(第5速用駆動ギヤ25a、第3共用従動ギヤ24b)又は第7速用ギヤ97(第7速用駆動ギヤ97a、第2共用従動ギヤ96b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに伝達される伝達経路である。この第3伝達経路を介して、第1クラッチ41を締結し、第1奇数段変速用シフター51aを第3速用接続位置でインギヤすることで第3速走行がなされ、第2奇数段変速用シフター51bをインギヤすることで第5速走行がなされ、第1奇数段変速用シフター51aを第7速用接続位置でインギヤすることで第7速走行がなされる。
【0063】
(4)第4伝達経路は、モータ7の動力が、遊星歯車機構30、又は遊星歯車機構30および第3速用ギヤ23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)、又は第5速用ギヤ25(第5速用駆動ギヤ25a、第3共用従動ギヤ24b)、又は第7速用ギヤ97(第7速用駆動ギヤ97a、第2共用従動ギヤ96b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに伝達される伝達経路である。この第4伝達経路を介して、第1及び第2クラッチ41、42を開放した状態で、ブレーキ機構61をロックするとともに第1、第2奇数段変速用シフター51a、51bをニュートラルにすることで第1速EV走行がなされ、ブレーキ機構61のロックを解除し第1奇数段変速用シフター51aを第3速用接続位置でインギヤすることで第3速EV走行がなされ、ブレーキ機構61のロックを解除し第2奇数段変速用シフター51bをインギヤすることで第5速EV走行がなされ、ブレーキ機構61のロックを解除し第1奇数段変速用シフター51aを第7速用接続位置でインギヤすることで第7速EV走行がなされる。
【0064】
(5)第5伝達経路は、エンジン6の動力が、第2主軸12、第2アイドルギヤ列27b(アイドル駆動ギヤ27c、第1アイドル従動ギヤ27d、第3アイドル従動ギヤ27f)、リバース軸17、後進用ギヤ列28(後進用駆動ギヤ28a、後進用従動ギヤ28b)、遊星歯車機構30、連結軸13、第3速用ギヤ23(第3速用駆動ギヤ23a、第1共用従動ギヤ23b)、カウンタ軸14、ファイナルギヤ26a、差動ギヤ機構8、駆動軸9,9を介して、駆動輪DW,DWに連結される伝達経路である。この第5伝達経路を介して、第2クラッチ42を締結し後進用シフター53を後進用接続位置でインギヤし且つブレーキ機構61をロックすることで後進走行がなされる。
【0065】
また、モータ7はPDU2に接続されており、PDU2は、複数のセルにより構成されたバッテリ3に接続されている。PDU2は、バッテリ3の直流電力を三相交流電力に変換してモータ7に供給する。また、PDU2は、減速走行時における駆動輪DW,DWの回転やエンジン6の動力によってモータ7で発電された三相交流電力を直流電力に変換して、バッテリ3の充電やエアコン用コンプレッサ112及び補機類122の駆動に用いる。
【0066】
PDU2及びバッテリ3は、ダウンバータ4を介して、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122と接続されている。エアコン用コンプレッサ112は、モータ7とは異なるモータを動力源として駆動するので、エンジン6やモータ7の駆動状態、変速機20の走行段に関わらず作動可能である。補機類122は車両の走行を間接的に補助するものであり、例えばヘッドライト、車内ライト、オーディオ、ワイパー、ナビゲーションシステム等が挙げられる。
【0067】
ECU5には加速要求、制動要求、エンジン回転数、モータ回転数、第1,第2主軸11、12の回転数、カウンタ軸14等の回転数、車速、変速段、シフトポジション、バッテリ3の充電状態(SOC:State of Charge)などが入力される一方、ECU5からは、エンジン6を制御する信号、モータ7を制御する信号、バッテリ3における充電状態・放電状態などを示す信号、バッテリ3の温度情報、第1、第2奇数段変速用シフター51a、51b、第1、第2偶数段変速用シフター52a、52bおよび後進用シフター53を制御する信号、ブレーキ機構61の締結(ロック)と開放(ニュートラル)を制御する信号などが出力される。
【0068】
このように構成されたハイブリッド車両1は、ブレーキ機構61、第1及び第2クラッチ41、42の断接を制御するとともに第1、第2奇数段変速用シフター51a、51b、第1、第2偶数段変速用シフター52a、52b及び後進用シフター53の接続位置を制御することにより、エンジン6で第1〜第7速走行及び後進走行を行うことができる。
【0069】
第1速走行では、第1クラッチ41を締結してブレーキ機構61を接続することで第1伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。第2速走行では、第2クラッチ42を締結して第1偶数段変速用シフター52aを第2速用接続位置でインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。第3速走行では、第1クラッチ41を締結して第1奇数段変速用シフター51aを第3速用接続位置でインギヤすることで第3伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。
【0070】
また、第4速走行では、第2クラッチ42を締結して第2偶数段変速用シフター52bをインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。第5速走行では、第1クラッチ41を締結して第2奇数段変速用シフター51bをインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。また、第6速走行では、第2クラッチ42を締結して第1偶数段変速用シフター52aを第6速用接続位置でインギヤすることで第2伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。第7速走行では、第1クラッチ41を締結して第1奇数段変速用シフター51aを第7速用接続位置でインギヤすることで第3伝達経路を介して駆動力が駆動輪DW,DWに伝達される。さらに、第2クラッチ42を締結して後進用シフター53を接続することで、第5伝達経路を介して後進走行がなされる。
【0071】
また、エンジン走行中にブレーキ機構61を接続したり、第1、第2奇数段変速用シフター51a、51b及び第1、第2偶数段変速用シフター52a、52bをプレシフトすることでモータ7でアシストしたり回生したり、さらにアイドリング中であってもエンジン6をモータ7で始動したりバッテリ3を充電することもできる。さらに、第1及び第2クラッチ41、42を切断してモータ7でEV走行を行うこともできる。EV走行の走行モードとしては、第1及び第2クラッチ41、42を切断して、ブレーキ機構61を接続することで第4伝達経路を介して走行する第1速EVモードと、第1奇数段変速用シフター51aを第3速用接続位置でインギヤすることで第4伝達経路を介して走行する第3速EVモードと、第2奇数段変速用シフター51bを第5速用接続位置でインギヤすることで第4伝達経路を介して走行する第5速EVモードと、第1奇数段変速用シフター51aを第7速用接続位置でインギヤすることで第4伝達経路を介して走行する第7速EVモードと、が存在する。また、これらのEV走行の走行モードにおいて、モータ7を逆転方向に駆動して逆転方向にモータトルクを印加することで、後進走行を行なうこともできる。
【0072】
ところで、バッテリ3を構成する各セルは、正極、負極、及び電解液から主に構成されており、充放電時、化学反応により発熱する。この発熱反応によりセルが高温になってしまうと、セル内部で不要な化学反応が生じる結果、出力が低下することがある。また、バッテリ3が高温になるとバッテリ3の劣化が進行して、寿命が低下してしまうという問題がある。したがって、バッテリ3が所定温度以上になった場合には、バッテリ3がそれ以上高温にならないように、バッテリ3の出力が制限される。
【0073】
図3は、バッテリ3の温度とバッテリ3から許可されている出力(バッテリ許可出力)との関係の一例を示すグラフである。図3から分かるように、バッテリ3の温度が温度Tを超えると、バッテリ許可出力は徐々に低下する。したがって、バッテリ3の出力を十分に得るためには、また、バッテリ3の劣化を防止するためにも、バッテリ3の温度が温度Tを超えないように制御する必要がある。そのため、本実施形態においては、バッテリ3の温度が、温度Tよりも低い温度Tに達した時点で、バッテリ3の充放電を防止するように制御し、バッテリ3の温度上昇を抑制する。尚、温度Tは例えば45℃程度であり、安全性を鑑みてバッテリ3の温度上昇の抑制と冷却の開始とが要求される温度である。また、温度Tは例えば50℃程度であり、バッテリ許可出力が制限され始める温度である。尚、バッテリ3の温度が温度Tよりも低い場合には、バッテリ3のSOCに応じてバッテリ3の充放電が可能である。したがって、エンジン走行中に、バッテリ3の温度が温度Tよりも低い場合には、エンジン6の動力によりモータ7に逆転方向のトルクを加えることによってモータ7が発電した電力により、バッテリ3のSOCに応じてバッテリ3を充電してもよい。
【0074】
以下、第1実施形態に係るハイブリッド車両1のECU5の動作について、図4を参照して説明する。まず、ECU5は、エアコンがONであるかどうか、すなわちエアコン要求があるかどうかを判断する(ステップS1)。エアコンのON及びOFFは、乗員が不図示のエアコンパネルを操作することによって設定することができるほか、後述のように、バッテリ3の温度が温度T以上であるときには自動的にエアコンがONに設定されることもある。
【0075】
エアコンがONであると判断された場合、次にECU5は、バッテリ3の温度がT以上であるかどうかを判断する(ステップS2)。バッテリ3の温度がT以上であると判断されない場合、すなわち、バッテリ3が高温でない場合には、ECU5は、バッテリ3の電力によりエアコン用コンプレッサ112を駆動する(ステップS3)。
【0076】
ステップS2でバッテリ3の温度がT以上であると判断された場合には、バッテリ3が既にある程度高温であるため、バッテリ3がそれ以上高温になることを抑制するため、バッテリ3の充放電を行わないように制御する必要がある。そこで、このような場合に、ECU5は、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122で消費する電力分のみをモータ7で発電するようにエンジン6及びモータ7を制御することによって、バッテリ3の充放電を防止する。そのため、ECU5は、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pの推定を行なう(ステップS4)。
【0077】
エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pの推定は、以下のような手順で行なわれる。図1に示されるように、ダウンバータ4の直上流位置(PDU2側)には、消費電力センサ110が設けられている。消費電力センサ110は電流センサ及び電圧センサからなり、PDU2からダウンバータ4へと流れ込む電流の電流値及び電圧値を検出する。これら電流値及び電圧値に関する情報は、ECU5へと送られる。ECU5は、検出された電流値及び電圧値の積を算出することにより、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pを推定する。ダウンバータ4の上流側の電流値及び電圧値に基づいて消費電力Pの推定を行なうことにより、ダウンバータ4の効率を推定する必要がなく、また電圧変換に伴うロス分を含む消費電力Pを正確に把握することができる。そのため、上記手順によれば、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pを正確に推定することができる。
【0078】
次に、ECU5は、モータ7の発電電力値が、ステップS4で推定されたエアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pとなるように、エンジン6及びモータ7を制御する(ステップS5)。そして、ECU5は、エンジン6の動力によりモータ7で発電した電力を、PDU2、ダウンバータ4を介してエアコン用コンプレッサ112に供給してエアコン用コンプレッサ112を駆動し、バッテリ3を冷却する(ステップS6)。このように、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pをモータ7によって正確に発電することによって、バッテリ3の充放電を回避してバッテリ3の温度上昇を防止できるほか、エネルギー損失を最小限に抑えることができる。
【0079】
ステップS1で、エアコンがONになっていると判断されなかった場合、ECU5はバッテリ3の温度がT以上であるかどうかを判断する(ステップS7)。バッテリ3の温度が所定値以上であると判断された場合には、バッテリ3の冷却を行なう必要性が高い。そこで、このような場合には、ECU5はエアコンをONに設定し(ステップS8)、ステップS4以降の処理を行なうことにより、バッテリ3の充放電を行うことなく、モータ7で発電した電力のみによりエアコン用コンプレッサ112を駆動して、バッテリ3の冷却を行う。
【0080】
エアコンがONになっているとき、エアコン用コンプレッサ112の駆動により冷却された空気(冷気)は、図5に示される複数の吐出口300から車室内へと吹き出され、車室内の冷房を行なう。冷気は、車室内後方に配置された吸入口250から吸入され、例えばラゲッジスペース(不図示)の床下に収容されたバッテリ3へと供給されることによって、バッテリ3を冷却することができる。
【0081】
尚、バッテリ3の温度が所定値以上と高温になっている場合には、乗員の要求する冷房強度よりも強い冷房を行なうことにより、バッテリ3をさらに冷却することも可能である。例えば、乗員の操作により設定される車室設定温度が25℃の場合であっても、モータ7で発電した電力により車室温度20℃まで冷房可能である場合には、例えば車室温度23℃を目標にした冷房を行なうことにより、バッテリ3をより迅速に冷却することができる。このような場合、乗員の要求する冷房強度を超える分の冷房は、乗員を回避して迂回する流路を介して行なわれることが望ましい。例えば運転席200のみに乗員が存在する場合、図5に示されるように、運転席200に対しては、要求冷房強度に対応した流量の冷気が吐出口300から吹き出される。一方、乗員の存在しない助手席320、後部座席220に対しては、要求冷房強度を超える流量の冷気が吐出口300から吹き出される。この要求冷房強度を超える流量の冷気が吸入口250へと吸入されることにより、バッテリ3を冷却することができる。このように、要求冷房強度を超える冷房に相当する冷気を、乗員が存在する場所を迂回する流路を介して供給することにより、乗員に不快感を与えることなく、バッテリ3をより迅速に冷却することができる。
【0082】
尚、冷気の供給量は、吐出口300の開口量を変更することにより変更することができる。例えば、乗員の存在する運転席に対して冷気を供給する吐出口300の開口量を絞ることにより乗員に対して供給される冷気の流量を減らすと共に、乗員を迂回して冷気を供給する吐出口300の開口量を増加させることによって、乗員を迂回して供給される冷気の流量を増やすことができる。ここで、乗員を迂回した供給された冷気はバッテリ3に配置したファンによりバッテリ3へと供給され、冷却に用いられた後で外気又は室内外に排気される。したがって、車室内の温度が要求以上に低下することはなく、運転者の要求温度に合った冷房を行なうと共に、バッテリ3を冷却することが可能となる。
【0083】
また、バッテリ3の温度がT以上と高温になっている場合には、バッテリ3がこれ以上高温になるのを防止するため、バッテリ3の充放電が行なわれない走行モードで走行するように制御することが望ましい。例えば、第2クラッチ42を係合状態とすると共に第1、第2偶数段変速用シフター52a、52bのいずれかを係合状態とすることにより、ハイブリッド車両1は第2、第4、第6のいずれかの走行段でエンジン走行することができる。これと同時に、第1クラッチ41を半係合状態とし、上記した消費電力Pをエンジン6の動力によりモータ7で発電することにより、バッテリ3の充放電を行うことなく、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122を駆動することができる。ここで、「半係合状態」は、クラッチの係合状態と開放状態との間の状態を意味するものであり、第1クラッチ41および第2クラッチ42は、要求されるエンジン6の動力に応じて係合状態を変化することが可能である。
【0084】
例えば、図6に示されるように、第2クラッチ42を係合状態とすると共に第1偶数段変速用シフター52aを第2速用接続位置でインギヤすることで、エンジン6の動力による第2速走行を行なう一方、第1クラッチ41を半係合状態にしてモータ7に逆転方向のモータトルクを印加することで、モータ7で発電することができる。モータ7により消費電力Pを発電するために必要な駆動力に応じて、第1クラッチ41の係合状態を変化させることにより、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122での消費電力Pだけを正正確にモータ7で発電することができ、バッテリ3の充放電を行なうことなく、バッテリ3が高温になることを防止することができる。
【0085】
また、例えば極低速走行時など、モータ7により消費電力Pを発電するために必要な駆動力が、ハイブリッド車両1の走行に必要な駆動力よりも大きい場合には、消費電力Pを発電するために必要なトルクが得られるように第1クラッチ41を係合状態とする。これにより、エンジン6の動力によってモータ7で消費電力Pを発電することができるので、バッテリ3の充放電を行なうことなく、バッテリ3が高温になることを防止することができる。このとき、第2クラッチ42を係合状態としてエンジン走行を行なうと、カウンタ軸14、ひいては駆動輪DWにトルクが出すぎてしまうおそれがある。したがって、走行に必要な駆動力に応じて第2クラッチ42を半係合状態とし、第1、第2偶数段変速用シフター52a、52bのいずれかを係合状態にして、ハイブリッド車両1が第2、第4、第6のいずれかの走行段でエンジン走行することができる。
【0086】
例えば、図7に示されるように、第1クラッチ41を係合状態にしてモータ7に逆転方向のモータトルクを印加することによりモータ7で発電する一方、走行に必要な駆動力に応じて第2クラッチ42を半係合状態とすると共に第1偶数段変速用シフター52aを第2速用接続位置でインギヤすることで、エンジン6の動力による走行を行なう。これにより、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122での消費電力Pをモータ7で発電することができ、バッテリ3の充放電を行なうことなく、バッテリ3が高温になることを防止することができる。
【0087】
以上説明したように、第1実施形態に係る制御装置によれば、バッテリ3の充放電を行なうことなく、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122を駆動して走行することができるので、バッテリ3の温度上昇を抑制することができる。また、バッテリ3の温度を監視しながら、バッテリ3の充電状態を適切に調整することができる。また、エアコン用コンプレッサ112を駆動することにより、車室内を冷房することに加えてバッテリ3を冷却することができるので、バッテリ3の温度上昇をさらに抑制することができる。また、乗員の要求冷房強度以上の強度で冷房を行なうことにより、乗員の要求冷房を満足した上で、バッテリ3を冷却することができる。また、要求冷房強度を超えた分の冷房を、乗員を回避した流路を介して行うことにより、乗員に不快感を与えることなくバッテリ3を冷却することができる。
【0088】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るハイブリッド車両1aの制御装置について、図8、9を参照して説明する。図8から明らかなように、第2実施形態は、蓄電器(バッテリ)3に代わって、高圧蓄電器(BATT1、以下「高圧バッテリ」という)3a及び低圧蓄電器(BATT2、以下「低圧バッテリ」という)3bが設けられている点において、第1実施形態と異なる。したがって、第1実施形態と同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0089】
図8に示されるように、本発明の第2実施形態に係るハイブリッド車両1aにおいては、PDU2及び高圧バッテリ3aは、ダウンバータ4を介して、低圧バッテリ3b、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122と接続されている。高圧バッテリ3aは、トラクションモータとして機能するモータ7によってEV走行可能な程度、高圧な電圧を供給できる装置であり、例えばリチウムバッテリやNi−MHなどにより構成される。低圧バッテリ3bは、高圧バッテリ3aよりも低電圧を供給する装置であり、補機バッテリ、12Vバッテリなどとも称され、走行に必要な電装部品への電力供給などに用いられる。低圧バッテリ3bは、モータ7が発電した電力をPDU2、ダウンバータ4を介して充電できると共に、高圧バッテリ3aの電力をダウンバータ4を介して充電可能であり、また、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122に電力を供給可能である。
【0090】
以下、第2実施形態に係るハイブリッド車両1aのECU5の動作について、図9を参照して説明する。まず、ECU5は、エアコンがONであるかどうか、すなわちエアコン要求があるかどうかを判断する(ステップS11)。エアコンがONとなっていると判断された場合、ECU5は、高圧バッテリ3aの許可出力が、エアコンの要求出力以上であるかどうかを判断する(ステップS12)。高圧バッテリ3aの許可出力が、エアコンの要求出力以上であると判断された場合、次に、ECU5は、高圧バッテリ3aの温度がT以上であるかどうかを判断する(ステップ13)。高圧バッテリ3aの温度がT以上であると判断されない場合、すなわち、高圧バッテリ3aが高温ではない場合には、ECU5は、高圧バッテリ3aの電力によりエアコン用コンプレッサ112を駆動する(ステップS14)。
【0091】
ステップS12で高圧バッテリ3aの許可出力がエアコンの要求出力以上であると判断されなかった場合、すなわち、例えば高圧バッテリ3aが高温である等の原因により、高圧バッテリ3aの許可出力がエアコンの要求出力未満である場合には、他の手段によりエアコン用コンプレッサを駆動する必要があり、また高圧バッテリ3aを冷却する必要性があるものと考えられる。このような場合や、ステップS13で高圧バッテリ3aの温度が所定値以上であると判断された場合には、ECU5は、低圧バッテリ3bの許可出力がエアコン要求出力以上であるかどうかを判断する(ステップS15)。低圧バッテリ3bの許可出力がエアコン要求出力以上であると判断された場合には、低圧バッテリ3bの電力によりエアコン用コンプレッサ112を駆動して、高圧バッテリ3aを冷却する(ステップS16)。
【0092】
ステップS15で、低圧バッテリ3bの許可出力がエアコン要求出力以上であると判断されなかった場合、すなわち、低圧バッテリ3bの許可出力がエアコンの要求出力未満である場合には、ECU5は、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122で消費する電力をモータ7で発電するように制御する。そのため、ECU5は、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pの推定を行なう(ステップS17)。エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pの推定処理については、第1実施形態で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
次に、ECU5は、モータ7の発電電力値が、ステップS17で推定されたエアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pとなるように、エンジン6及びモータ7を制御する(ステップS18)。そして、ECU5は、エンジン6の動力によりモータ7で発電した電力をエアコン用コンプレッサ112に供給することにより、エアコン用コンプレッサ112を駆動して高圧バッテリ3aを冷却する(ステップS19)。このようにして、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力分を発電することによって、不要な充放電を回避して、エネルギー損失を最小限に抑えることができる。
【0094】
ステップS11で、エアコンがONになっていると判断されなかった場合、ECU5は、高圧バッテリ3aの温度がT以上であるかどうかを判断する(ステップS20)。高圧バッテリ3aの温度がT以上であると判断された場合には、高圧バッテリ3aの冷却を行なう必要性が高い。そこで、このような場合には、ECU5はエアコンをONにし(ステップS21)、次いでステップS15以降の処理を行なうことにより、高圧バッテリ3aの充放電を行うことなく、高圧バッテリ3aの冷却を行うことができる。
【0095】
尚、第2実施形態において、エンジン6の動力によりモータ7で発電する電力は、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122により消費される消費電力Pと正確に等しくなくてもよい。第2実施形態においては、低圧バッテリ3bが設けられているため、モータ7で発電した電力が消費電力Pより大きい場合には、余剰分をPDU2およびダウンバータ4を介して低圧バッテリ3bに充電することができ、エネルギー効率を向上することができる。また、モータ7で発電した電力が消費電力Pより小さい場合には、不足分を低圧バッテリ3bから供給することもできる。
【0096】
以上説明したように、第2実施形態に係る制御装置によれば、低圧バッテリ3bの電力によりエアコン用コンプレッサ112を駆動することができるので、高圧バッテリ3aの充放電を行なうことなく、高圧バッテリ3aの温度上昇を抑制することができる。また、モータ7により発電された電力が、エアコン用コンプレッサ112や補機類122の消費電力よりも大きい場合であっても、余剰分を低圧バッテリ3bに充電することができるので、エネルギー効率を向上することができる。
【0097】
本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。例えば、前述した実施形態においては、モータ7が接続された入力軸である第1主軸11に奇数段ギヤを配置し、モータ7が接続されていない入力軸である第2中間軸16に偶数段ギヤを配置したが、これに限定されず、モータ7が接続された入力軸である第1主軸11に偶数段ギヤを配置し、モータ7が接続されていない入力軸である第2中間軸16に奇数段ギヤを配置してもよい。
【0098】
また、奇数段の変速段として第1速用駆動ギヤとしての遊星歯車機構30と、第3速用駆動ギヤ23aと第5速用駆動ギヤ25aと第7速用駆動ギヤ97aに加えて、第9、11・・速用駆動ギヤを、偶数段の変速段として第2速用駆動ギヤ22aと第4速用駆動ギヤ24aと第6速用駆動ギヤ96aに加えて、第8、10・・速用駆動ギヤを設けてもよい。また、各実施形態では、本発明の制御装置がデュアルクラッチ式変速機を備えるハイブリッド車両に設けられる場合について説明したが、本発明の制御装置は、その他の方式の変速機を備えるハイブリッド車両に設けられてもよい。
【0099】
また、前述した各実施形態においては、消費電力センサ110によって、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力Pを推定していたが、消費電力センサ110を用いることなく、ECU5によって、エアコン用コンプレッサ112及び補機類122の消費電力を算出してもよい。この場合には、エアコン用コンプレッサ112への要求駆動力から定まる使用電力や補機類122の使用電力を示す信号がECU5に伝達され、この信号に基づいてECU5が消費電力を算出する。このような構成によっても、ECU5は、モータ7による発電量が、エアコン用コンプレッサ112および補機類122の消費電力と略同一になるように、モータ7の発電量を制御することができる。
【符号の説明】
【0100】
1、1a ハイブリッド車両
3 蓄電器(バッテリ)
3a 高圧蓄電器(高圧バッテリ)
3b 低圧蓄電器(低圧バッテリ)
4 ダウンバータ(変圧器)
5 制御装置(ECU)
6 内燃機関(エンジン)
7 電動機(モータ)
112 エアコン用コンプレッサ
122 補機類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
蓄電器と、
前記蓄電器と電力の授受を行ない、前記内燃機関の動力により発電可能な電動機と、
車室の空調を行なうエアコンを駆動するエアコン用コンプレッサと、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記内燃機関の動力により走行し、前記蓄電器を介さずに、前記電動機によって前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関の動力により走行中、前記蓄電器の温度が所定温度未満である場合、前記電動機が発電を行うことにより前記蓄電器を充電可能であることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、
前記電動機が、前記内燃機関の動力により前記エアコン用コンプレッサ及び補機類による消費電力に対応した電力を発電し、
前記電動機で発電された電力によって前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記エアコン用コンプレッサは、前記蓄電器の電力又は前記電動機で発電された電力により駆動可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
前記蓄電器と変圧器を介して接続された、前記蓄電器よりも低電圧を供給する低圧蓄電器と、を含み、
前記低圧蓄電器の電力により前記エアコン用コンプレッサを駆動可能であることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
前記エアコン用コンプレッサを駆動して冷房を行なうことにより、前記蓄電器を冷却可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項7】
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、乗員の要求冷房強度以上の強度で冷房を行なうように前記エアコン用コンプレッサを駆動することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項8】
少なくとも前記要求冷房強度を超えた分の冷房を、乗員を回避した流路を介して行うことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項9】
前記ハイブリッド車両が、
前記内燃機関の出力軸及び前記電動機からの機械的動力を、前記電動機と係合する第1入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第1入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第1変速機構と、
前記内燃機関の出力軸からの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第2入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第2変速機構と、
前記内燃機関の出力軸と前記第1入力軸とを係合させることが可能な第1断接部と、
前記内燃機関の出力軸と前記第2入力軸とを係合させることが可能な第2断接部と、をさらに備え、
前記第1断接部及び前記第2断接部の係合状態を制御する断接部制御部を有し、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた係合状態とし、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた係合状態とすることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項10】
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合において、
前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より小さい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた半係合とし、且つ、前記第2断接部を係合し、
前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より大きい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を係合し、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた半係合とすることを特徴とする請求項9記載のハイブリッド車両の制御装置。
【請求項11】
内燃機関と、
蓄電器と、
前記蓄電器と電力の授受を行ない、前記内燃機関の動力により発電可能な電動機と、
前記内燃機関の出力軸及び前記電動機からの機械的動力を、前記電動機と係合する第1入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第1入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第1変速機構と、
前記内燃機関の出力軸からの機械的動力を第2入力軸で受け、複数の変速段のいずれかを係合状態にして前記第2入力軸と駆動輪とを係合させることが可能な第2変速機構と、
前記内燃機関の出力軸と前記第1入力軸とを係合させることが可能な第1断接部と、
前記内燃機関の出力軸と前記第2入力軸とを係合させることが可能な第2断接部と、
車室の空調を行なうエアコンを駆動するエアコン用コンプレッサと、を備えるハイブリッド車両の制御方法であって、
前記蓄電器の温度を検出するステップと、
前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力を導出するステップと、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた係合状態とし、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた係合状態とするステップと、
前記電動機により発電された電力により、前記蓄電器を介さずに前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類を駆動するステップと、を含むハイブリッド車両の制御方法。
【請求項12】
前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力を導出するステップと、
前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力と、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力と、を比較するステップと、
前記蓄電器の温度が所定温度以上である場合において、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より小さい場合には、前記断接部制御部が、前記第1断接部を前記エアコン用コンプレッサ及び補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力に応じた半係合とし、且つ、前記第2断接部を係合し、前記エアコン用コンプレッサ及び前記補機類の消費電力を前記電動機により発電するために必要な駆動力が前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力より大きい場合には、前記第1断接部を係合し、且つ、前記第2断接部を前記ハイブリッド車両の走行に必要な駆動力に応じた半係合とするステップと、を含むことを特徴とする請求項11記載のハイブリッド車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49324(P2013−49324A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187664(P2011−187664)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】