ハウジング形管継手
【課題】管を軸方向に強固に固定することができるとともに、管に加わる荷重を自身で受け、管の変位を抑制したハウジング形管継手を提供する。
【解決手段】
取付け部Paを端部に有する1対の管Pをシール部材6を介して接続するハウジング形管継手1において、円弧状をなすハウジング本体4と、ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部5と、ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて管の取付け部に係合する2つの係合部4aと、ハウジング本体の内面において、個々の係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bと、を備えたハウジング3を複数個有し、複数のハウジングを管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、ハウジングと管との間にシール部材を介して管を挟み、隣接するハウジングの固定部同士を固定することにより管を固定可能なハウジング形管継手である。
【解決手段】
取付け部Paを端部に有する1対の管Pをシール部材6を介して接続するハウジング形管継手1において、円弧状をなすハウジング本体4と、ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部5と、ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて管の取付け部に係合する2つの係合部4aと、ハウジング本体の内面において、個々の係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bと、を備えたハウジング3を複数個有し、複数のハウジングを管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、ハウジングと管との間にシール部材を介して管を挟み、隣接するハウジングの固定部同士を固定することにより管を固定可能なハウジング形管継手である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続される管の端部同士を突き合わせて接続するハウジング形管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図15に示すようなハウジング形管継手が知られている。このハウジング形管継手100は、略半円形状のハウジング本体400、ハウジング本体400の両端部から径方向外側に延びるフランジ部500を備えたハウジング300を一対組み付けてなる。そして、円周状の溝(図示せず)が管端部に形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット600を介して一対のハウジング300を囲むように取付け、対向するフランジ部500に開口されたボルト穴にボルト800を挿通してナット900を締め付けることにより、ハウジング形管継手100が管の接続部を囲んで固定される。
そして、図16に示すように、ハウジング本体400の周方向に沿う両側部には、径方向内側に突出する爪部400aがそれぞれ形成され、この爪部400aが一対の管Pの溝Paにそれぞれ係合することにより、管Pが接続される。
【0003】
ところで、このようなハウジング形管継手による接続方法は、配管システムの用途や目的に応じて異なる。例えば、施工時の微調整や施工後の温度変化等による管の伸縮への対応が必要な配管システムの場合、ハウジング形管継手に管を可動に接続する方法が用いられる。
このため、爪部400aの幅を溝Paの幅より狭くし、溝Paに爪部400aを遊嵌させることで、1対の管Pの間の相対的な移動、及び管Pとハウジング本体400との間の相対的な動きが僅かに許容される。
【0004】
一方、ハウジング形管継手に管Pを固定して接続し、管Pの軸方向及び周方向への動きを制限する配管システムが要求される場合がある。このような固定接続のためのハウジング形管継手として、ハウジング本体の中心軸線に対して傾斜して爪部を形成した技術が開示されている(特許文献1)。この技術は、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した後、ハウジングを中心の周りで互いに反対方向にねじるように回転させることで、対向する爪部のうち、一方の爪部の内縁が管の環状溝の外縁に当接し、他の爪部の外縁が管の環状溝の内縁に当接し、爪部と環状溝の間のクリアランス(遊び)を無くしてガタ付きのない接続が得られる。
【0005】
さらに、図17に示すように、ハウジング400の外縁部全周に鍔部400cを設け、管Pの外周全面に鍔部400cを密着させることによって、管端部に加わる荷重を鍔部400cで受け、ゴムリング600に荷重が加わらないようにした技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案2538261号公報(図2、図5)
【特許文献2】特開2000−257767号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、管の環状溝の外縁にハウジングの爪を圧接させているため、軸方向には強固に固定することができ、径方向の曲げにもある程度耐えるが、外力等による(強制的な曲げの様な)機械的な曲げには強度が充分であるとはいえない。
【0008】
また、特許文献2記載の技術の場合、通常は爪部400aの幅が管Pの溝Paより狭いため、管に内圧が作用すると、図17に示すように、接続した管同士が管軸方向(管端と管端が離れる方向)Lに移動し、完全な固定をすることが困難である。また、爪部400aに対して管Pの外周面と密着する部分が鍔部400cの1点Txのみであるのでモーメントの影響を受け易く、爪部400aが溝Paに対して動いたときに、Txを支点として管Pが曲がる恐れがある。
さらに、管Pの外径には製品ばらつきによる許容差(公差)があるため、管Pの公称値にぴったり密着するように鍔部400cの内径を設定すると、管Pの外径が公差の分だけ大きくなった場合にハウジング本体400同士の合せ面に隙間Sx(図15参照)が生じ、締め付け固定ができなくなることがある。この場合、ハウジング本体400がしっかりと管Pに固定されず、外力等により管Pが曲がったり、ゴムリング600が密着せずに気密性が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は上記した課題を解決し、管を軸方向に強固に固定することができるとともに、管に加わる荷重を自身で受け、管の変位を抑制したハウジング形管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハウジング形管継手は、凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を、シール部材を介して接続するハウジング形管継手において、円環の一部となる円弧状をなすハウジング本体と、前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部と、前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合する2つの係合部と、前記ハウジング本体の内面において、個々の前記係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて前記管の外面に接する内鍔部及び外鍔部とを備えたハウジングを複数個有し、前記複数のハウジングを前記管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、前記ハウジングと前記管との間に前記シール部材を介して前記管を挟み、隣接するハウジングの前記固定部同士を固定することにより前記管を固定可能である。
このように、各管は管軸方向の内鍔部と外鍔部でハウジングに支持されるので、管がそれぞれハウジングでしっかりと支持され、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
【0011】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向に沿う一部に形成されていてもよい。
このようにすると、外鍔部(内鍔部)が形成されない部分で管とハウジング本体との間に隙間が生じ、この隙間に管の材料の一部が逃げることができる。従って、管の外径が外鍔部及び/又は内鍔部の内径より大きい場合であっても、各ハウジングで管をしっかりと挟み込むと、管が隙間に向かって拡がるように変形するので、各ハウジングで管を挟み込んで組み付けることができる。
つまり、通常、管の製品の外径寸法は、公称値±公差の範囲でばらつくため、内鍔部や外鍔部の内径を、管の外径の最小値(公称値−公差)に合わせた場合に、管の外径が内鍔部や外鍔部より大きくなっても組み付けが可能となる。
【0012】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において前記ハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されていてもよい。
このようにすると、上記した管の支持効果により、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を低減し、かつ、管とハウジング本体との間の隙間を確保し、管の外径が外鍔部(内鍔部)の内径より大きくても、各ハウジングで管を挟み込むことができる。
【0013】
前記外鍔部と前記内鍔部とは、前記係合部(爪部)の延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されていてもよい。
このようにすると、係合部を挟んで内鍔部と外鍔部が全く形成されない領域が生じず(又はこの領域が少なくなり)、管を内鍔部と外鍔部とで支持する円周上の領域が増え、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を減らして管が曲がり難くなる。
【0014】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において1箇所又は複数箇所形成されていてもよい。
【0015】
前記隣接するハウジングの前記固定部同士は、当該隣接するハウジングの長手方向の軸が交差する位置で固定可能になっている
このようにすると、隣接するハウジングの軸が交差するように固定することで、管の取付け部にそれぞれ異なるハウジングの係合部が係合した際、係合部の管軸方向の間隔が広がり、管に係合部がしっかりと固定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管を軸方向に強固に固定することができるとともに、管に加わる荷重を自身で受け、管の変位を抑制したハウジング形管継手が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジング本体を、対向させて配置したときの斜視図である。
【図2】図1の1対のハウジングを、1対の管に組み付ける方法を示す概略図である。
【図3】一方の管の端部溝へ、1対のハウジングの相対する一方の爪部を係合した状態を示す概略図である。
【図4】図1のハウジングを内面側から見た概略図である。
【図5】図2のD−D面で切断した断面の概略図である。
【図6】図2のA−A面で切断した断面の概略図である。
【図7】図2のB−B面で切断した断面の概略図である。
【図8】管が隙間に向かって拡がるように変形する態様を示す断面の概略図である。
【図9】図2のE方向(管軸方向に平行な方向)から見たときの各ハウジングの外観図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジングを、対向させて配置したときの斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジングを対向させて配置したときの斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るハウジング形管継手を管に取付けたとき、管軸方向に垂直な面で切断した断面の概略図である。
【図13】図12のハウジング形管継手を管に取付けたときの、上から見た概略図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係るハウジング形管継手の概略を示した部分断面図である。
【図15】従来のハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面の概略図である。
【図16】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面の概略図である。
【図17】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した別の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明するが、それにより本発明が限定されるものではない。
まず、図1〜図9を参照し、本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手1について説明する。
【0019】
図1は、ハウジング形管継手1を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図である。なお、ハウジング3の内面を示すため管を図示していないが、管は管軸方向Lに沿って延び、1対のハウジング3の間に挟持されている。
それぞれのハウジング3は、半円状をなすハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の内面に互いに平行して設けられる1対の係合部(爪部)4aとを備えている。
爪部4aは、ハウジング本体4の円周方向に沿う両側部に設けられ、ハウジング本体4の径方向内側に突出している。そして、この爪部4aが一対の管(図示せず)の端部の周方向に沿ってそれぞれ形成された溝(凹状の取付け部)に係合することにより、管が接続される。又、フランジ部5には、締結ボルト(図示せず)を通すための長円状の挿通孔5hが開口している。そして、フランジ部5同士を対向して挿通孔5hに締結ボルトを挿通し、ナット(図示せず)を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管の接続部を囲んで固定される。なお、締結ボルトとナットとが「締結具」を構成する。
一方、1対の爪部4aの間で、ハウジング本体4は外側へ向かって凹む凹部4bを形成し、凹部4bには、管とハウジング本体4との間をシールするシール部材(図示せず)が収容可能になっている。なお、一対の管は、ほぼ同軸になるよう取り付けられるが、接続した管の軸同士が多少偏心したり角度が生じた状態で接続されることもある。
【0020】
さらに、ハウジング本体4の内面において、各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。ここで、爪部4aの内側とは1対の爪部4aで囲まれる部分であり、爪部4aの外側とは、ハウジング本体4の周方向に沿う外縁側である。
外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向に垂直な方向(管軸方向L)に突出しつつ、ハウジング本体4の周方向に沿う一部(ハウジング本体4の全周の1/2の長さ)に形成されている。
又、内鍔部10aは、各爪部4aからハウジング本体4の管軸方向L内側に向かって延び、さらにハウジング本体4の周方向に沿う一部(ハウジング本体4の全周の1/2の長さ)に形成されている。
さらに、外鍔部10bと内鍔部10aは、各爪部4aの延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置(例えばの爪部を挟んで斜向かいの位置)に形成されている。例えば、図1の下側のハウジングの手前側の爪部4aを見たとき、外鍔部10bはハウジング本体4の周方向の左半分に形成され、内鍔部10aはハウジング本体4の周方向の右半分に形成されている。なお、本発明においては、各爪部4aを挟んで外鍔部10bと内鍔部10aの両方が形成されていることが必要である。
【0021】
各ハウジング3において、一方のフランジ部5の内面に管軸方向Lに延びる凸部5aを形成しつつ、他方のフランジ部5の内面に凹部5bを形成し、各ハウジング3の対向する凸部5aと凹部5bとを組み合わせ、締結具を締め付けたときに各ハウジング3を互いに逆方向に回転させ固定してよい。
【0022】
図2は、図1の1対のハウジング3を、1対の管P1、P2に組み付ける方法を示す概略図である。一対の管P1、P2を互いに突き合わせた接続部にシール部材(環状ガスケット、図示せず)を被せ、シール部材を囲むように一対のハウジング3を対向配置する。そして、対向するフランジ部5の挿通孔5hに締結ボルト8を挿通してナット(図示せず)を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管P1、P2の接続部を挟んで固定される。
ここで、挿通孔5hはL方向に長い長円状とし挿通孔5hと締結ボルト8の間にL方向に遊びを設け、締結ボルト8で各フランジ部5を緩く締め付け、各ハウジング3を互いに中心付近を対称にねじるように回転させるようにしてもよい。また、挿通孔5hをハウジング3の中心からL方向に偏心した位置に形成し、対向するハウジング3を締結具により締め付けたときに、各ハウジング3を互いに逆方向に回転させるようにしてもよい。
このようにして、各ハウジング3のフランジ部5同士は、各ハウジング3の長手方向の軸(L方向に垂直な軸)が交差する位置で固定することができる。これにより、以下の図3に述べるように、爪部4a同士のL方向の間隔が広がった状態で固定可能になっている。
【0023】
図3は、一方の管Pの端部の溝Paへ、1対のハウジングの相対した一方の爪部4aを係合した状態を示す。1対のハウジング3で管P1を挟み込むと、各ハウジング3にそれぞれ形成された爪部4aが管P1の溝Paに上下から係合する。そして、この状態で締結具を締め付けて、各ハウジング3を互いに逆方向に回転させて管軸方向Lに向かって互いにずらす(図2参照)と、上下の爪部4a同士のL方向の間隔が広がる。図3の例では、上側のハウジング3に形成された爪部4(図3の実線)が左回転し、溝Paの側壁に当接する。一方、下側のハウジング3に形成された爪部4(図3の点線)が右回転し、溝Paの側壁に当接する。
このようにして、締結具を締め付けることにより、爪部4a同士のL方向の間隔が広がり、各爪部4aが溝Paにクリアランス(遊び)無く係合するので、各ハウジング3に管Pがしっかりと固定されるとともに各ハウジング3が固定される。管P2についても、同様である。
【0024】
次に、図4、図5を参照し、外鍔部10bと内鍔部10aの作用について説明する。
図4は、図1のハウジング3を内面側から見た概略図である。外鍔部10bと内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向に沿い、ハウジング本体4の全周の1/2の長さにわたって形成されている。又、外鍔部10bと内鍔部10aは、各爪部4aの延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されている。
【0025】
図5は、図2のD線(図1も参照)に沿う断面図である。ここで、内鍔部10aと管P1,P2との接触面をT1とし、外鍔部10bと管P1,P2との接触面をT2とする。管P1,P2の上側及び下側では、個々の爪部4aを挟んで外鍔部10bと内鍔部10aのいずれか一方しか形成されていない。しかしながら、管P1,P2のそれぞれの上下を全体で見ると、各管P1,P2はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持されている。例えば、管P1は、自身の上側で内鍔部10aとT1で接し、自身の下側で外鍔部10bとT2で接している。
従って、管P1,P2はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管P1,P2が曲がり難くなる。
なお、各管P1,P2とそれぞれT1で接するよう、内鍔部10aはハウジング本体4の周方向に沿う中心軸線C(図4参照)を挟んで両側(各爪部4a側)にそれぞれ配置される必要がある。
【0026】
次に、図6〜図9を参照し、ハウジング本体4の周方向に沿う一部に、外鍔部10bと内鍔部10aとを形成する理由について説明する。
図6は、図2のA−A面で切断した断面の概略図である。A−A切断面の矢印方向からの概略図では、ハウジング本体4の凹部4bに収容されたシール部材(環状ガスケット)6が管Pの突き合わせ接続部の外面に接し、接続部をシールしている。
【0027】
一方、図7は、図2のB−B面で切断した断面の概略図である。内鍔部10aは、管Pの上側で一方のハウジング本体4の周方向に沿う左半分に形成され、管Pの下側で他のハウジング本体4の周方向に沿う右半分に形成されている。
【0028】
通常、管Pの製品の外径寸法は、公称値±公差の範囲でばらつくため、内鍔部10aや外鍔部10bの内径を管Pの公称値に等しく設定しても、管Pの外径が最も小さくなる場合(公称値−公差)には、内鍔部10aや外鍔部10bが管Pの外面にぴったりと接しなくなる。一方、内鍔部10aや外鍔部10bの内径を、管Pの外径の最小値(公称値−公差)に合わせると、管Pの外径がこれより大きくなった場合に、各ハウジング3で管Pを挟み込んで取付けることができなくなる。
【0029】
そこで、ハウジング本体4の周方向に沿う一部にのみ内鍔部10aを形成すると、管Pの外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、内鍔部10aが形成されない部分で管Pとハウジング本体4との間に隙間S1が生じ、この隙間S1に管Pの材料の一部が逃げることができる。
従って、図8に示すように、各ハウジング3で管Pをしっかりと挟み込むと、管Pが隙間S1に向かって拡がるように変形するので、管Pの外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管Pを挟み込むことができる。
【0030】
又、図9は、図2のE方向(管軸方向Lに平行な方向)から見たときの各ハウジング3の外観図である。外鍔部10bは、管Pの上側でハウジング本体4の周方向に沿う右半分に形成され、管Pの下側でハウジング本体4の周方向に沿う左半分に形成されている。
このように、ハウジング本体4の周方向に沿う一部に外鍔部10bを形成すると、管Pの外径が外鍔部10bの内径より大きい場合であっても、外鍔部10bが形成されない部分に管Pの材料の一部が逃げることができる。従って、図8の場合と同様に、管Pの外径が外鍔部10bの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管Pを挟み込むことができる。
【0031】
外鍔部10b及び/又は内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されているとよい。
外鍔部10b及び/又は内鍔部10aが、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/4未満の長さ形成されている場合、上記した管の支持効果が低減し、M方向の曲げに対してモーメントの影響を受けやすくなる場合がある。一方、外鍔部10b及び/又は内鍔部10aが、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/2を超える長さ形成されている場合、上記した管Pとハウジング本体4との間の隙間が減少し、管Pの外径が外鍔部10b(内鍔部10a)の内径より大きい場合に各ハウジング3で管Pを挟み込むことが困難になることがある。
【0032】
又、このように、内鍔部10a及び外鍔部10bをハウジング本体4の周方向に沿う一部にのみ形成する場合、内鍔部10a及び外鍔部10bを1つの爪部4aの延びる方向を対称軸としたときに互いに重ならない位置(対称でない位置、つまり爪部を挟んで斜向かいとなる位置)に形成するのが好ましい。これは、内鍔部10a及び外鍔部10bを爪部4aの延びる方向を対称軸としたときに重なる(爪部4aに対して向かい合った)位置のみとすると、爪部4aを挟んで内鍔部10aと外鍔部10bが全く形成されない領域が生じ、この領域では管Pが内鍔部10aや外鍔部10bで支持されず、M方向の曲げに対してモーメントの影響を受けて曲がり易くなるからである。
【0033】
次に、図10を参照し、本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手11について説明する。図10は、第2の実施形態に係るハウジング形管継手11を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図であり、図1に対応した図である。
第2の実施形態に係るハウジング形管継手11は、外鍔部10bと内鍔部10aの形成位置が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0034】
図10において、ハウジング本体4内面の各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部10a及び外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されている。
第2の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
特に、内鍔部10a及び外鍔部10bが、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されているため、管の支持がより強固になる。
【0035】
次に、図11を参照し、本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手12について説明する。図11は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手12を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図であり、図1に対応した図である。
第3の実施形態に係るハウジング形管継手12は、外鍔部10bと内鍔部10aの形成位置が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0036】
図11において、ハウジング本体4内面の各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されている。一方、外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の2箇所に分離して形成され、ハウジング本体4の周方向中央部には外鍔部10bが形成されていない。
第3の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
又、外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の一部に形成されているため、第1の実施形態と同様、管の外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管を挟み込むことができる。
【0037】
次に、図12、図13を参照し、本発明の第4の実施形態に係るハウジング形管継手13について説明する。図12は、第4の実施形態に係るハウジング形管継手13を管に取付けたとき、管軸方向Lに垂直な面で切断した断面図である。第4の実施形態に係るハウジング形管継手13は、ハウジング本体4の両端のうち、一端にはフランジが形成されず、その代わりにヒンジ70が設けられていること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図12において、ハウジング形管継手13は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部のうち一端に径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の他端に接続されたヒンジ70とを備えたハウジング31a、31bを一対組み付けて構成されている。ここで、ヒンジ70は、上側ハウジング31aの他端の中心軸線C上に接続された片状のヒンジベース部72と、ヒンジベース部72を挟む一対の円形の軸支持部71と、軸支持部71とヒンジベース部72とを管軸方向Lに貫通する孔に嵌挿されたボルト73と、図示しないナット74とを有する。
各軸支持部71の基端は下側ハウジング31bの他端に接続され、ボルト73を軸心としてヒンジベース部72が軸支持部71に対して相対的に回動することにより、上側ハウジング31aが下側ハウジング31bに対して開き、管Pの出し入れができるようになっている。
なお、第4の実施形態において、「締結具」は、フランジ5を固定するボルト8とナット9、及びヒンジ70から構成される。
【0039】
図13は、図12の第4の実施形態に係るハウジング形管継手13を管に取付けたとき、上から見た概略図である。各軸支持部71は、ヒンジベース部72と所定の隙間Gを有しているため、第1の実施形態と同様にハウジング31a、31bを互いにねじるように回転させることができる。つまり、各ハウジングを回転させることにより、各ハウジングが互いにずれることができるよう、ヒンジベース部72と各軸支持部71との間には遊びが設けられている。なお、第4の実施形態の場合、各ハウジング31a、31bの一端はヒンジ70に接続されているため、図示しない凸部5a及び凹部5bをフランジ5の内面のみに設ければよい。又、フランジ5には第1の実施形態と同様の長円状の挿通孔が開口している。
【0040】
第4の実施形態によれば、各ハウジング31a、31bがヒンジ70に接続されているため、1対のハウジングを選び出す必要がなく、又、作業中にハウジングの一方が紛失したりしないので、施工性も向上する。
又、第4の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング31a、31bの内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング31a、31bでしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
【0041】
次に、図14を参照し、本発明の第5の実施形態に係るハウジング形管継手14について説明する。図14は、第5の実施形態に係るハウジング形管継手14を管軸方向Lに沿って切断したときの部分断面図である。
第5の実施形態に係るハウジング形管継手14は、管Pの取付け部が突起Pbであり、又、突起Pbに対応してハウジングの係合部が凹部42bであること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0042】
図14において、ハウジング本体42内面の各凹部42bの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部12a及び外鍔部12bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部12a及び外鍔部12bは、ハウジング本体42の周方向の全周に形成されている。内鍔部12a及び外鍔部12bは、管Pの外面に接する。なお、凹部42bの管軸方向Lにおける幅Lwは、管の突起Pb(取付け部)の幅より広い。そして、第1の実施形態と同様にハウジング32を互いにねじるように回転させると、対向する凹部42bのL方向の間隔が広がり(図14の各凹部42bの位置を参照)、凹部42bが突起Pbと遊びを設けずにしっかりと固定することができる。
【0043】
第5の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング32の内鍔部12aと外鍔部12bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング32でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
なお、第1の実施形態と同様、内鍔部12a及び/又は外鍔部12bを、ハウジング本体4の周方向の一部に形成してもよく、この場合は第1の実施形態と同様、管の外径が内鍔部12a(外鍔部12b)の内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管を挟み込むことができる。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、上記した実施形態では、1対(2個)のハウジングで管を囲んで固定したが、3個以上のハウジングで管を囲んで固定してもよい。なお、3個のハウジングで管を固定する場合は、各ハウジングのハウジング本体が約1/3円の円弧状をなし、これらを一列に並べると円環状になり、管の外側を囲むようになる。同様に、4個のハウジングで管を固定する場合は、各ハウジングのハウジング本体が約1/4円の円弧状をなすことになる。さらに、3個以上のハウジングで管を囲む場合、各ハウジングの隣接部分をヒンジで接続し、両端となるハウジングのみに固定部を設けれてもよい。
又、固定部は、上記フランジ部に限られず、各ハウジングで管を囲んだ際に隣接するハウジング同士を固定するものであればよい。
【符号の説明】
【0045】
1、11〜14 ハウジング形管継手
3、31a、31b、32 ハウジング
4、42 ハウジング本体
4a、42b 係合部(爪部)
5 フランジ部(固定部)
5h 挿通孔
6 シール部材
8 締結ボルト
10a、12a 内鍔部
10b、12b 外鍔部
P 管
Pa、Pb 管の取付け部
L 管軸方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続される管の端部同士を突き合わせて接続するハウジング形管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図15に示すようなハウジング形管継手が知られている。このハウジング形管継手100は、略半円形状のハウジング本体400、ハウジング本体400の両端部から径方向外側に延びるフランジ部500を備えたハウジング300を一対組み付けてなる。そして、円周状の溝(図示せず)が管端部に形成された一対の管Pを互いに突き合わせて接続部とし、この接続部に環状ガスケット600を介して一対のハウジング300を囲むように取付け、対向するフランジ部500に開口されたボルト穴にボルト800を挿通してナット900を締め付けることにより、ハウジング形管継手100が管の接続部を囲んで固定される。
そして、図16に示すように、ハウジング本体400の周方向に沿う両側部には、径方向内側に突出する爪部400aがそれぞれ形成され、この爪部400aが一対の管Pの溝Paにそれぞれ係合することにより、管Pが接続される。
【0003】
ところで、このようなハウジング形管継手による接続方法は、配管システムの用途や目的に応じて異なる。例えば、施工時の微調整や施工後の温度変化等による管の伸縮への対応が必要な配管システムの場合、ハウジング形管継手に管を可動に接続する方法が用いられる。
このため、爪部400aの幅を溝Paの幅より狭くし、溝Paに爪部400aを遊嵌させることで、1対の管Pの間の相対的な移動、及び管Pとハウジング本体400との間の相対的な動きが僅かに許容される。
【0004】
一方、ハウジング形管継手に管Pを固定して接続し、管Pの軸方向及び周方向への動きを制限する配管システムが要求される場合がある。このような固定接続のためのハウジング形管継手として、ハウジング本体の中心軸線に対して傾斜して爪部を形成した技術が開示されている(特許文献1)。この技術は、管を囲んで1対のハウジングを対向配置した後、ハウジングを中心の周りで互いに反対方向にねじるように回転させることで、対向する爪部のうち、一方の爪部の内縁が管の環状溝の外縁に当接し、他の爪部の外縁が管の環状溝の内縁に当接し、爪部と環状溝の間のクリアランス(遊び)を無くしてガタ付きのない接続が得られる。
【0005】
さらに、図17に示すように、ハウジング400の外縁部全周に鍔部400cを設け、管Pの外周全面に鍔部400cを密着させることによって、管端部に加わる荷重を鍔部400cで受け、ゴムリング600に荷重が加わらないようにした技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案2538261号公報(図2、図5)
【特許文献2】特開2000−257767号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術の場合、管の環状溝の外縁にハウジングの爪を圧接させているため、軸方向には強固に固定することができ、径方向の曲げにもある程度耐えるが、外力等による(強制的な曲げの様な)機械的な曲げには強度が充分であるとはいえない。
【0008】
また、特許文献2記載の技術の場合、通常は爪部400aの幅が管Pの溝Paより狭いため、管に内圧が作用すると、図17に示すように、接続した管同士が管軸方向(管端と管端が離れる方向)Lに移動し、完全な固定をすることが困難である。また、爪部400aに対して管Pの外周面と密着する部分が鍔部400cの1点Txのみであるのでモーメントの影響を受け易く、爪部400aが溝Paに対して動いたときに、Txを支点として管Pが曲がる恐れがある。
さらに、管Pの外径には製品ばらつきによる許容差(公差)があるため、管Pの公称値にぴったり密着するように鍔部400cの内径を設定すると、管Pの外径が公差の分だけ大きくなった場合にハウジング本体400同士の合せ面に隙間Sx(図15参照)が生じ、締め付け固定ができなくなることがある。この場合、ハウジング本体400がしっかりと管Pに固定されず、外力等により管Pが曲がったり、ゴムリング600が密着せずに気密性が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は上記した課題を解決し、管を軸方向に強固に固定することができるとともに、管に加わる荷重を自身で受け、管の変位を抑制したハウジング形管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のハウジング形管継手は、凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を、シール部材を介して接続するハウジング形管継手において、円環の一部となる円弧状をなすハウジング本体と、前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部と、前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合する2つの係合部と、前記ハウジング本体の内面において、個々の前記係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて前記管の外面に接する内鍔部及び外鍔部とを備えたハウジングを複数個有し、前記複数のハウジングを前記管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、前記ハウジングと前記管との間に前記シール部材を介して前記管を挟み、隣接するハウジングの前記固定部同士を固定することにより前記管を固定可能である。
このように、各管は管軸方向の内鍔部と外鍔部でハウジングに支持されるので、管がそれぞれハウジングでしっかりと支持され、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
【0011】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向に沿う一部に形成されていてもよい。
このようにすると、外鍔部(内鍔部)が形成されない部分で管とハウジング本体との間に隙間が生じ、この隙間に管の材料の一部が逃げることができる。従って、管の外径が外鍔部及び/又は内鍔部の内径より大きい場合であっても、各ハウジングで管をしっかりと挟み込むと、管が隙間に向かって拡がるように変形するので、各ハウジングで管を挟み込んで組み付けることができる。
つまり、通常、管の製品の外径寸法は、公称値±公差の範囲でばらつくため、内鍔部や外鍔部の内径を、管の外径の最小値(公称値−公差)に合わせた場合に、管の外径が内鍔部や外鍔部より大きくなっても組み付けが可能となる。
【0012】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において前記ハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されていてもよい。
このようにすると、上記した管の支持効果により、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を低減し、かつ、管とハウジング本体との間の隙間を確保し、管の外径が外鍔部(内鍔部)の内径より大きくても、各ハウジングで管を挟み込むことができる。
【0013】
前記外鍔部と前記内鍔部とは、前記係合部(爪部)の延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されていてもよい。
このようにすると、係合部を挟んで内鍔部と外鍔部が全く形成されない領域が生じず(又はこの領域が少なくなり)、管を内鍔部と外鍔部とで支持する円周上の領域が増え、管軸方向に垂直な方向の曲げに対してモーメントの影響を減らして管が曲がり難くなる。
【0014】
前記外鍔部及び/又は前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において1箇所又は複数箇所形成されていてもよい。
【0015】
前記隣接するハウジングの前記固定部同士は、当該隣接するハウジングの長手方向の軸が交差する位置で固定可能になっている
このようにすると、隣接するハウジングの軸が交差するように固定することで、管の取付け部にそれぞれ異なるハウジングの係合部が係合した際、係合部の管軸方向の間隔が広がり、管に係合部がしっかりと固定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、管を軸方向に強固に固定することができるとともに、管に加わる荷重を自身で受け、管の変位を抑制したハウジング形管継手が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジング本体を、対向させて配置したときの斜視図である。
【図2】図1の1対のハウジングを、1対の管に組み付ける方法を示す概略図である。
【図3】一方の管の端部溝へ、1対のハウジングの相対する一方の爪部を係合した状態を示す概略図である。
【図4】図1のハウジングを内面側から見た概略図である。
【図5】図2のD−D面で切断した断面の概略図である。
【図6】図2のA−A面で切断した断面の概略図である。
【図7】図2のB−B面で切断した断面の概略図である。
【図8】管が隙間に向かって拡がるように変形する態様を示す断面の概略図である。
【図9】図2のE方向(管軸方向に平行な方向)から見たときの各ハウジングの外観図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジングを、対向させて配置したときの斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手を構成する1対のハウジングを対向させて配置したときの斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係るハウジング形管継手を管に取付けたとき、管軸方向に垂直な面で切断した断面の概略図である。
【図13】図12のハウジング形管継手を管に取付けたときの、上から見た概略図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係るハウジング形管継手の概略を示した部分断面図である。
【図15】従来のハウジング形管継手を管軸方向に垂直な面で切断した断面の概略図である。
【図16】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した断面の概略図である。
【図17】従来のハウジング形管継手を管軸方向に平行な面で切断した別の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明するが、それにより本発明が限定されるものではない。
まず、図1〜図9を参照し、本発明の第1の実施形態に係るハウジング形管継手1について説明する。
【0019】
図1は、ハウジング形管継手1を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図である。なお、ハウジング3の内面を示すため管を図示していないが、管は管軸方向Lに沿って延び、1対のハウジング3の間に挟持されている。
それぞれのハウジング3は、半円状をなすハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部にそれぞれ設けられて径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の内面に互いに平行して設けられる1対の係合部(爪部)4aとを備えている。
爪部4aは、ハウジング本体4の円周方向に沿う両側部に設けられ、ハウジング本体4の径方向内側に突出している。そして、この爪部4aが一対の管(図示せず)の端部の周方向に沿ってそれぞれ形成された溝(凹状の取付け部)に係合することにより、管が接続される。又、フランジ部5には、締結ボルト(図示せず)を通すための長円状の挿通孔5hが開口している。そして、フランジ部5同士を対向して挿通孔5hに締結ボルトを挿通し、ナット(図示せず)を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管の接続部を囲んで固定される。なお、締結ボルトとナットとが「締結具」を構成する。
一方、1対の爪部4aの間で、ハウジング本体4は外側へ向かって凹む凹部4bを形成し、凹部4bには、管とハウジング本体4との間をシールするシール部材(図示せず)が収容可能になっている。なお、一対の管は、ほぼ同軸になるよう取り付けられるが、接続した管の軸同士が多少偏心したり角度が生じた状態で接続されることもある。
【0020】
さらに、ハウジング本体4の内面において、各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。ここで、爪部4aの内側とは1対の爪部4aで囲まれる部分であり、爪部4aの外側とは、ハウジング本体4の周方向に沿う外縁側である。
外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向に垂直な方向(管軸方向L)に突出しつつ、ハウジング本体4の周方向に沿う一部(ハウジング本体4の全周の1/2の長さ)に形成されている。
又、内鍔部10aは、各爪部4aからハウジング本体4の管軸方向L内側に向かって延び、さらにハウジング本体4の周方向に沿う一部(ハウジング本体4の全周の1/2の長さ)に形成されている。
さらに、外鍔部10bと内鍔部10aは、各爪部4aの延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置(例えばの爪部を挟んで斜向かいの位置)に形成されている。例えば、図1の下側のハウジングの手前側の爪部4aを見たとき、外鍔部10bはハウジング本体4の周方向の左半分に形成され、内鍔部10aはハウジング本体4の周方向の右半分に形成されている。なお、本発明においては、各爪部4aを挟んで外鍔部10bと内鍔部10aの両方が形成されていることが必要である。
【0021】
各ハウジング3において、一方のフランジ部5の内面に管軸方向Lに延びる凸部5aを形成しつつ、他方のフランジ部5の内面に凹部5bを形成し、各ハウジング3の対向する凸部5aと凹部5bとを組み合わせ、締結具を締め付けたときに各ハウジング3を互いに逆方向に回転させ固定してよい。
【0022】
図2は、図1の1対のハウジング3を、1対の管P1、P2に組み付ける方法を示す概略図である。一対の管P1、P2を互いに突き合わせた接続部にシール部材(環状ガスケット、図示せず)を被せ、シール部材を囲むように一対のハウジング3を対向配置する。そして、対向するフランジ部5の挿通孔5hに締結ボルト8を挿通してナット(図示せず)を締め付けることにより、ハウジング形管継手1が管P1、P2の接続部を挟んで固定される。
ここで、挿通孔5hはL方向に長い長円状とし挿通孔5hと締結ボルト8の間にL方向に遊びを設け、締結ボルト8で各フランジ部5を緩く締め付け、各ハウジング3を互いに中心付近を対称にねじるように回転させるようにしてもよい。また、挿通孔5hをハウジング3の中心からL方向に偏心した位置に形成し、対向するハウジング3を締結具により締め付けたときに、各ハウジング3を互いに逆方向に回転させるようにしてもよい。
このようにして、各ハウジング3のフランジ部5同士は、各ハウジング3の長手方向の軸(L方向に垂直な軸)が交差する位置で固定することができる。これにより、以下の図3に述べるように、爪部4a同士のL方向の間隔が広がった状態で固定可能になっている。
【0023】
図3は、一方の管Pの端部の溝Paへ、1対のハウジングの相対した一方の爪部4aを係合した状態を示す。1対のハウジング3で管P1を挟み込むと、各ハウジング3にそれぞれ形成された爪部4aが管P1の溝Paに上下から係合する。そして、この状態で締結具を締め付けて、各ハウジング3を互いに逆方向に回転させて管軸方向Lに向かって互いにずらす(図2参照)と、上下の爪部4a同士のL方向の間隔が広がる。図3の例では、上側のハウジング3に形成された爪部4(図3の実線)が左回転し、溝Paの側壁に当接する。一方、下側のハウジング3に形成された爪部4(図3の点線)が右回転し、溝Paの側壁に当接する。
このようにして、締結具を締め付けることにより、爪部4a同士のL方向の間隔が広がり、各爪部4aが溝Paにクリアランス(遊び)無く係合するので、各ハウジング3に管Pがしっかりと固定されるとともに各ハウジング3が固定される。管P2についても、同様である。
【0024】
次に、図4、図5を参照し、外鍔部10bと内鍔部10aの作用について説明する。
図4は、図1のハウジング3を内面側から見た概略図である。外鍔部10bと内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向に沿い、ハウジング本体4の全周の1/2の長さにわたって形成されている。又、外鍔部10bと内鍔部10aは、各爪部4aの延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されている。
【0025】
図5は、図2のD線(図1も参照)に沿う断面図である。ここで、内鍔部10aと管P1,P2との接触面をT1とし、外鍔部10bと管P1,P2との接触面をT2とする。管P1,P2の上側及び下側では、個々の爪部4aを挟んで外鍔部10bと内鍔部10aのいずれか一方しか形成されていない。しかしながら、管P1,P2のそれぞれの上下を全体で見ると、各管P1,P2はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持されている。例えば、管P1は、自身の上側で内鍔部10aとT1で接し、自身の下側で外鍔部10bとT2で接している。
従って、管P1,P2はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管P1,P2が曲がり難くなる。
なお、各管P1,P2とそれぞれT1で接するよう、内鍔部10aはハウジング本体4の周方向に沿う中心軸線C(図4参照)を挟んで両側(各爪部4a側)にそれぞれ配置される必要がある。
【0026】
次に、図6〜図9を参照し、ハウジング本体4の周方向に沿う一部に、外鍔部10bと内鍔部10aとを形成する理由について説明する。
図6は、図2のA−A面で切断した断面の概略図である。A−A切断面の矢印方向からの概略図では、ハウジング本体4の凹部4bに収容されたシール部材(環状ガスケット)6が管Pの突き合わせ接続部の外面に接し、接続部をシールしている。
【0027】
一方、図7は、図2のB−B面で切断した断面の概略図である。内鍔部10aは、管Pの上側で一方のハウジング本体4の周方向に沿う左半分に形成され、管Pの下側で他のハウジング本体4の周方向に沿う右半分に形成されている。
【0028】
通常、管Pの製品の外径寸法は、公称値±公差の範囲でばらつくため、内鍔部10aや外鍔部10bの内径を管Pの公称値に等しく設定しても、管Pの外径が最も小さくなる場合(公称値−公差)には、内鍔部10aや外鍔部10bが管Pの外面にぴったりと接しなくなる。一方、内鍔部10aや外鍔部10bの内径を、管Pの外径の最小値(公称値−公差)に合わせると、管Pの外径がこれより大きくなった場合に、各ハウジング3で管Pを挟み込んで取付けることができなくなる。
【0029】
そこで、ハウジング本体4の周方向に沿う一部にのみ内鍔部10aを形成すると、管Pの外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、内鍔部10aが形成されない部分で管Pとハウジング本体4との間に隙間S1が生じ、この隙間S1に管Pの材料の一部が逃げることができる。
従って、図8に示すように、各ハウジング3で管Pをしっかりと挟み込むと、管Pが隙間S1に向かって拡がるように変形するので、管Pの外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管Pを挟み込むことができる。
【0030】
又、図9は、図2のE方向(管軸方向Lに平行な方向)から見たときの各ハウジング3の外観図である。外鍔部10bは、管Pの上側でハウジング本体4の周方向に沿う右半分に形成され、管Pの下側でハウジング本体4の周方向に沿う左半分に形成されている。
このように、ハウジング本体4の周方向に沿う一部に外鍔部10bを形成すると、管Pの外径が外鍔部10bの内径より大きい場合であっても、外鍔部10bが形成されない部分に管Pの材料の一部が逃げることができる。従って、図8の場合と同様に、管Pの外径が外鍔部10bの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管Pを挟み込むことができる。
【0031】
外鍔部10b及び/又は内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されているとよい。
外鍔部10b及び/又は内鍔部10aが、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/4未満の長さ形成されている場合、上記した管の支持効果が低減し、M方向の曲げに対してモーメントの影響を受けやすくなる場合がある。一方、外鍔部10b及び/又は内鍔部10aが、ハウジング本体4の周方向においてハウジング本体の全周の1/2を超える長さ形成されている場合、上記した管Pとハウジング本体4との間の隙間が減少し、管Pの外径が外鍔部10b(内鍔部10a)の内径より大きい場合に各ハウジング3で管Pを挟み込むことが困難になることがある。
【0032】
又、このように、内鍔部10a及び外鍔部10bをハウジング本体4の周方向に沿う一部にのみ形成する場合、内鍔部10a及び外鍔部10bを1つの爪部4aの延びる方向を対称軸としたときに互いに重ならない位置(対称でない位置、つまり爪部を挟んで斜向かいとなる位置)に形成するのが好ましい。これは、内鍔部10a及び外鍔部10bを爪部4aの延びる方向を対称軸としたときに重なる(爪部4aに対して向かい合った)位置のみとすると、爪部4aを挟んで内鍔部10aと外鍔部10bが全く形成されない領域が生じ、この領域では管Pが内鍔部10aや外鍔部10bで支持されず、M方向の曲げに対してモーメントの影響を受けて曲がり易くなるからである。
【0033】
次に、図10を参照し、本発明の第2の実施形態に係るハウジング形管継手11について説明する。図10は、第2の実施形態に係るハウジング形管継手11を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図であり、図1に対応した図である。
第2の実施形態に係るハウジング形管継手11は、外鍔部10bと内鍔部10aの形成位置が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0034】
図10において、ハウジング本体4内面の各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部10a及び外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されている。
第2の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
特に、内鍔部10a及び外鍔部10bが、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されているため、管の支持がより強固になる。
【0035】
次に、図11を参照し、本発明の第3の実施形態に係るハウジング形管継手12について説明する。図11は、第3の実施形態に係るハウジング形管継手12を構成する1対のハウジング3を対向させて配置したときの斜視図であり、図1に対応した図である。
第3の実施形態に係るハウジング形管継手12は、外鍔部10bと内鍔部10aの形成位置が異なること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0036】
図11において、ハウジング本体4内面の各爪部4aの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部10a及び外鍔部10bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部10aは、ハウジング本体4の周方向の全周に形成されている。一方、外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の2箇所に分離して形成され、ハウジング本体4の周方向中央部には外鍔部10bが形成されていない。
第3の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング3の内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング3でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
又、外鍔部10bは、ハウジング本体4の周方向の一部に形成されているため、第1の実施形態と同様、管の外径が内鍔部10aの内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管を挟み込むことができる。
【0037】
次に、図12、図13を参照し、本発明の第4の実施形態に係るハウジング形管継手13について説明する。図12は、第4の実施形態に係るハウジング形管継手13を管に取付けたとき、管軸方向Lに垂直な面で切断した断面図である。第4の実施形態に係るハウジング形管継手13は、ハウジング本体4の両端のうち、一端にはフランジが形成されず、その代わりにヒンジ70が設けられていること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については、図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図12において、ハウジング形管継手13は、略半円形状のハウジング本体4と、ハウジング本体4の両端部のうち一端に径方向外側に延びるフランジ部5と、ハウジング本体4の他端に接続されたヒンジ70とを備えたハウジング31a、31bを一対組み付けて構成されている。ここで、ヒンジ70は、上側ハウジング31aの他端の中心軸線C上に接続された片状のヒンジベース部72と、ヒンジベース部72を挟む一対の円形の軸支持部71と、軸支持部71とヒンジベース部72とを管軸方向Lに貫通する孔に嵌挿されたボルト73と、図示しないナット74とを有する。
各軸支持部71の基端は下側ハウジング31bの他端に接続され、ボルト73を軸心としてヒンジベース部72が軸支持部71に対して相対的に回動することにより、上側ハウジング31aが下側ハウジング31bに対して開き、管Pの出し入れができるようになっている。
なお、第4の実施形態において、「締結具」は、フランジ5を固定するボルト8とナット9、及びヒンジ70から構成される。
【0039】
図13は、図12の第4の実施形態に係るハウジング形管継手13を管に取付けたとき、上から見た概略図である。各軸支持部71は、ヒンジベース部72と所定の隙間Gを有しているため、第1の実施形態と同様にハウジング31a、31bを互いにねじるように回転させることができる。つまり、各ハウジングを回転させることにより、各ハウジングが互いにずれることができるよう、ヒンジベース部72と各軸支持部71との間には遊びが設けられている。なお、第4の実施形態の場合、各ハウジング31a、31bの一端はヒンジ70に接続されているため、図示しない凸部5a及び凹部5bをフランジ5の内面のみに設ければよい。又、フランジ5には第1の実施形態と同様の長円状の挿通孔が開口している。
【0040】
第4の実施形態によれば、各ハウジング31a、31bがヒンジ70に接続されているため、1対のハウジングを選び出す必要がなく、又、作業中にハウジングの一方が紛失したりしないので、施工性も向上する。
又、第4の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング31a、31bの内鍔部10aと外鍔部10bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング31a、31bでしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
【0041】
次に、図14を参照し、本発明の第5の実施形態に係るハウジング形管継手14について説明する。図14は、第5の実施形態に係るハウジング形管継手14を管軸方向Lに沿って切断したときの部分断面図である。
第5の実施形態に係るハウジング形管継手14は、管Pの取付け部が突起Pbであり、又、突起Pbに対応してハウジングの係合部が凹部42bであること以外は、第1の実施形態に係るハウジング形管継手と同一であるので、同一部分については説明を省略する。
【0042】
図14において、ハウジング本体42内面の各凹部42bの内側及び外側に、管の外面に接する内鍔部12a及び外鍔部12bがそれぞれ設けられている。又、内鍔部12a及び外鍔部12bは、ハウジング本体42の周方向の全周に形成されている。内鍔部12a及び外鍔部12bは、管Pの外面に接する。なお、凹部42bの管軸方向Lにおける幅Lwは、管の突起Pb(取付け部)の幅より広い。そして、第1の実施形態と同様にハウジング32を互いにねじるように回転させると、対向する凹部42bのL方向の間隔が広がり(図14の各凹部42bの位置を参照)、凹部42bが突起Pbと遊びを設けずにしっかりと固定することができる。
【0043】
第5の実施形態においても、管はL方向の異なる2箇所T1、T2でハウジング32の内鍔部12aと外鍔部12bで支持される。従って、管はそれぞれハウジング32でしっかりと支持され、L方向に垂直なM方向の曲げに対してモーメントの影響を受け難く、管が曲がり難くなる。
なお、第1の実施形態と同様、内鍔部12a及び/又は外鍔部12bを、ハウジング本体4の周方向の一部に形成してもよく、この場合は第1の実施形態と同様、管の外径が内鍔部12a(外鍔部12b)の内径より大きい場合であっても、各ハウジング3で管を挟み込むことができる。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、上記した実施形態では、1対(2個)のハウジングで管を囲んで固定したが、3個以上のハウジングで管を囲んで固定してもよい。なお、3個のハウジングで管を固定する場合は、各ハウジングのハウジング本体が約1/3円の円弧状をなし、これらを一列に並べると円環状になり、管の外側を囲むようになる。同様に、4個のハウジングで管を固定する場合は、各ハウジングのハウジング本体が約1/4円の円弧状をなすことになる。さらに、3個以上のハウジングで管を囲む場合、各ハウジングの隣接部分をヒンジで接続し、両端となるハウジングのみに固定部を設けれてもよい。
又、固定部は、上記フランジ部に限られず、各ハウジングで管を囲んだ際に隣接するハウジング同士を固定するものであればよい。
【符号の説明】
【0045】
1、11〜14 ハウジング形管継手
3、31a、31b、32 ハウジング
4、42 ハウジング本体
4a、42b 係合部(爪部)
5 フランジ部(固定部)
5h 挿通孔
6 シール部材
8 締結ボルト
10a、12a 内鍔部
10b、12b 外鍔部
P 管
Pa、Pb 管の取付け部
L 管軸方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を、シール部材を介して接続するハウジング形管継手において、
円環の一部となる円弧状をなすハウジング本体と、
前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部と、
前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合する2つの係合部と、
前記ハウジング本体の内面において、個々の前記係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて前記管の外面に接する内鍔部及び外鍔部と、
を備えたハウジングを複数個有し、
前記複数のハウジングを前記管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、前記ハウジングと前記管との間に前記シール部材を介して前記管を挟み、隣接するハウジングの前記固定部同士を固定することにより前記管を固定可能なハウジング形管継手。
【請求項2】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向に沿う一部に形成されている請求項1に記載のハウジング形管継手。
【請求項3】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向においてそれぞれ前記ハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されている請求項2に記載のハウジング形管継手。
【請求項4】
前記外鍔部と前記内鍔部とは、前記係合部の延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されている請求項2又は3に記載のハウジング形管継手。
【請求項5】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において1箇所又は複数箇所形成されている請求項2〜4のいずれかに記載のハウジング形管継手。
【請求項6】
前記隣接するハウジングの前記固定部同士は、当該隣接するハウジングの長手方向の軸が交差する位置で固定可能になっている請求項2〜5のいずれかに記載のハウジング形管継手。
【請求項1】
凹状又は凸状の取付け部を端部に有する1対の管を、シール部材を介して接続するハウジング形管継手において、
円環の一部となる円弧状をなすハウジング本体と、
前記ハウジング本体の両端部にそれぞれ設けられる固定部と、
前記ハウジング本体の内面に互いに平行して設けられて前記管の前記取付け部に係合する2つの係合部と、
前記ハウジング本体の内面において、個々の前記係合部の内側及び外側にそれぞれ設けられて前記管の外面に接する内鍔部及び外鍔部と、
を備えたハウジングを複数個有し、
前記複数のハウジングを前記管の径方向に沿って一列に並べ、管の外側を円環状に囲むよう配置し、前記ハウジングと前記管との間に前記シール部材を介して前記管を挟み、隣接するハウジングの前記固定部同士を固定することにより前記管を固定可能なハウジング形管継手。
【請求項2】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向に沿う一部に形成されている請求項1に記載のハウジング形管継手。
【請求項3】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向においてそれぞれ前記ハウジング本体の全周の1/4〜1/2の長さにわたって形成されている請求項2に記載のハウジング形管継手。
【請求項4】
前記外鍔部と前記内鍔部とは、前記係合部の延びる方向を対称軸としたとき、互いに重ならない位置に形成されている請求項2又は3に記載のハウジング形管継手。
【請求項5】
前記外鍔部及び前記内鍔部は、前記ハウジング本体の周方向において1箇所又は複数箇所形成されている請求項2〜4のいずれかに記載のハウジング形管継手。
【請求項6】
前記隣接するハウジングの前記固定部同士は、当該隣接するハウジングの長手方向の軸が交差する位置で固定可能になっている請求項2〜5のいずれかに記載のハウジング形管継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−226574(P2011−226574A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97501(P2010−97501)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000139023)株式会社リケン (101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000139023)株式会社リケン (101)
【Fターム(参考)】
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