説明

ハロゲン化有機ホスフィンの製造方法

本出願は、ハロゲン化有機ホスフィンの製造方法であって、第一級または第二級有機ホスフィンを、(A)式(I):(Hal)C−C(O)−X(I)の化合物(式中、Xは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、NR、C(Hal)、OR、−O−C(O)−R3’または−Y−Z−Y−C(O)−C(Hal)から選択され;RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択され;Rは、H、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルまたはトリオルガノシリルから選択され;R3’は、C(Hal)、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルから選択され;Yは、独立して、OまたはNHから選択され;Zは、独立して、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンまたはシクロアルキレンから選択され;そしてHalは、ClまたはBrから選択される);あるいは(B)2つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を含むポリオール、ポリアミンまたはポリアミノアルコールの誘導体であって、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基の各々における水素原子が−C(O)−C(Hal)基に置き替えられ、HalがClまたはBrから選択される誘導体から選択されるハロゲン化剤と反応させることを包含する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一級または第二級有機ホスフィンから、ハロゲン化有機ホスフィン、例えば塩素化有機ホスフィンを製造するための新規の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1または2つの反応性P−ハロゲン結合を有する場合、ハロゲン化有機ホスフィン、例えば塩素化有機ホスフィン(本明細書中ではクロロホスフィンとも呼ばれる)は、新規のリン含有分子、例えば第三級ホスフィンの調製のための中間体として有用である。
【0003】
第一級および第二級有機ホスフィンはともに、ホスフィンガスとオレフィンとの反応を含めた多数の経路により得ることができる。第一級および第二級ホスフィンの塩素化によるジクロロホスフィン(RPCl)およびモノクロロホスフィン(RPCl)の調製は以前に開示されており、塩素化剤が提案されている:
【0004】
米国特許第2,437,796号および米国特許第2,437,798号(C. Walling)は、第一級および第二級ホスフィンの両方から対応するクロロ化合物を産生するための25℃より低い温度での不活性溶媒中での塩素の制御付加を開示する。
【化1】

【0005】
しかしながら、これらの反応はしばしば再現可能でなく、そしてポリクロロホスホランの生成を回避するために有害塩素の付加は注意深く制御されなければならない。
【0006】
別の方法は、第一級および第二級ホスフィンのホスゲン化である:
【化2】

【0007】
しかしながら、これらの反応は典型的には、不活性溶媒および低温を要し、それらはしばしば不満足な結果をもたらす。さらに、反応の副産物は、腐食性(塩化水素)且つ高毒性(一酸化炭素)である。さらに、ホスゲンは高毒性気体(沸点は8.3℃)であり、これは接触または吸入の両方により有毒である。これらの理由のため、ホスゲン化は特殊設備を要する。
【0008】
このようなホスゲン化反応は、A. Michaelis, F. Dittler, Ber., 1879, 12, 338;E. Steiniger, Chem. Ber., 1963, 96, 3184;米国特許第3,074,994号およびW.A. Henderson, Jr., S.A. Buckler, N.E. Day, M. Grayson, J. Org. Chem., 1961, 26, 4770-4771に開示されている。
【0009】
さらなる方法[A.N. Pudovik, G.V. Romanov, V.M. Pozhidaev. Bull. Acad. Sci. USSR, 1977, V.26, No.9, 2014]は、適切な第二級ホスフィンからの多数のジアルキル−またはジアリールクロロホスフィンの調製のためのジエチルエーテル中のトリクロロアセトニトリルの使用を教示する。
【化3】

(式中、R=R’=Et;R=Et、R’=Ph;R=R’=Bu;R=R’=Ph)。
【0010】
さらなる方法(N. Weferlingにより米国特許第4,536,350号に、そしてZ. Anorg,Allg. Chem., 1987, 548, 55-62に開示されたような方法)では、多数のクロロホスフィンの調製にヘキサクロロエタンが用いられた:
【化4】

【0011】
しかしながら、それらの調製は通常は、2〜6時間の期間に亘って、かなり高い温度(90℃〜150℃)を要する。さらに、ヘキサクロロエタンは、潜在的な発癌物質である(TWA−1ppm;IDLH−300ppm)。
【0012】
さらなる方法(米国特許第4,752,648号)では、第一級および第二級ホスフィンの両方の塩素化のために五塩化リンが用いられた:
【化5】

【0013】
しかしながら、五塩化リンは高毒性、腐食性、感湿性固体であり、そして反応の副産物である塩化水素および三塩化リンは、腐食性および高毒性の化学物質である。
【0014】
さらなる方法では、四塩化炭素とジアルキルホスフィンおよびジアリールホスフィンとの反応により、亜ホスフィン酸塩化物が形成された:
【化6】

【0015】
このような方法は、GB928,207(E. Hofmann, June 12, 1963);Y.A. Veits,
E.G. Nehanova, M.V. Filippov, A.A. Borlisenko, V.L. Foss, Zhurnal Obshchei Khimii, 1991, Vol. 61, No. 1, pp. 130-135;P. Majewski, Phosphorus, Sulfur, and Silicon, 1993, Vol. 85, 41-47;P. Majewski, Phosphorus, Sulfur, and Silicon, 1994, Vol. 86, 181-191;およびP. Majewski, Phosphorus, Sulfur, and Silicon, 1998, Vol. 134/135, 399-406に開示されている。
【0016】
最後に、ジシクロヘキシルジクロロホスホニウム塩化物とジシクロヘキシルホスフィンとの反応(WO/02070530 A1)により以下に例示されるように、ジオルガノジハロゲンホスホニウムハロゲン化物は、第二級ホスフィンと反応して、適切な亜ホスフィン酸塩化物を生じる:
【化7】

【0017】
第一級および第二級クロロホスフィンは、目下、上述の既知の方法から得ることができるが、列挙された方法の多くは重大な欠点を有する。例えば、気体塩素による塩素化はしばしば再現可能でなく、ポリ塩化化合物の形成のため、制御することは難しい。さらに、四塩化炭素はオゾン層破壊物質であり、その適用は厳しく制限されている。さらに、五塩化リンは、取扱いが難しく溶媒を必要とする、感湿性腐食性固体である。塩化水素および三塩化リンである、五塩化リン使用からの副産物も、腐食性で、非常に有害である。さらにまた、ヘキサクロロエタンは環境問題という難点を有する。最後に、しばしば塩素化の好ましい方法とされるホスゲン化は典型的には低温を要し、しばしば再現可能でない。ホスゲンも極めて有毒であり、その使用は、実験室環境でさえ、多大の予防措置を要する。
【0018】
上記にかんがみて、有害試薬の使用を回避するかまたは最小限にし、低温の使用(低温技術)を回避する第一級および第二級ホスフィンのハロゲン化のための新規の代替的方法に対する強い必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
一態様において、本発明は、ハロゲン化有機ホスフィンの製造方法であって、第一級または第二級有機ホスフィンを以下から選択されるハロゲン化剤と反応させることを包含する方法を提供する:
(A)式(I)の化合物:
(Hal)C−C(O)−X (I)
(式中、Xは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、NR、C(Hal)、OR、−O−C(O)−R3’または−Y−Z−Y−C(O)−C(W)から選択され;
およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択され;
は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルまたはトリオルガノシリルから選択され;
3’は、C(Hal)、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルから選択され;
Yは、独立して、OまたはNHから選択され;
Zは、独立して、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンまたはシクロアルキレンから選択され;
Wは、水素またはHalから選択され;
Halは、ClまたはBrから選択される)
;あるいは
(B)2つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を含むポリオール、ポリアミンまたはポリアミノアルコールの誘導体であって、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基の各々における水素原子が−C(O)−C(Hal)基に置き替えられ、HalがClまたはBrから選択される誘導体。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本明細書中で用いる場合、「アルキル」は、1〜12個の範囲の炭素原子を有し、任意に((任意に低級)アルキル基の)アルコキシ、アリール、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、カルボキシル、カルバメート、スルホニルまたはスルホンアミドにより置換される直鎖または分枝鎖アルキルラジカルを指す。
【0021】
「低級アルキル」は、1〜4個の範囲の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルラジカルを指す。
【0022】
「シクロアルキル」は、3〜14個の範囲の炭素原子を含有し、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される環式環含有ラジカルを指す;この用語は、縮合環状ラジカルおよび架橋環状ラジカル、ならびに1つ以上の異種原子(例えば、N、O、S等)を環構造の一部として含有する環状ラジカルも包含する。
【0023】
「アリール」は、6〜14個の範囲の炭素原子を含有し、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される芳香族ラジカルを指す。
【0024】
「アルカリル」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換されるアルキル置換アリールラジカルを指す。
【0025】
「アラルキル」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換されるアリール置換アルキルラジカルを指す。
【0026】
「アルキレン」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される二価アルキルラジカルを指す。
【0027】
「アリーレン」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される二価アリールラジカルを指す。
【0028】
「アラルキレン」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される二価アラルキルラジカルを指す。
【0029】
「アルカリーレン」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される二価アルカリルラジカルを指す。
【0030】
「シクロアルキレン」は、任意に上記のような1つ以上の置換基により置換される二価シクロアルキルラジカルを指す。
塩素化剤
【0031】
本発明の一実施形態では、ハロゲン化剤は、式(I):
(Hal)C−C(O)−X (I)
の化合物から選択され、式中、Xは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、NR、C(Hal)、OR、−O−C(O)−R3’または−Y−Z−Y−C(O)−C(W)から選択され;RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択され;Rは、H、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルまたはトリオルガノシリル(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、イソ−プロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルおよびジ−tert−ブチルメチルシリル)から選択され;R3’は、C(Hal)、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルから選択され;Yは、独立して、OまたはNHから選択され;Zは、独立して、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンまたはシクロアルキレンから選択され;Wは、水素またはHalから選択され;そしてHalは、ClまたはBrから選択される。
【0032】
さらなる実施形態では、ハロゲン化剤は、XがCCl、アルコキシ基またはアリール基である、式Iの化合物である。さらなる実施形態では、ハロゲン化剤は、トリクロロアセテート、例えばメチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル(n−、イソ−、sec−またはtert)、ペンチル(n−、イソ−、sec−、tert−、ネオ)、ヘキシル(またはその異性体)、ヘプチル(またはその異性体)、オクチル(またはその異性体)、ノニル(またはその異性体)、デシル(またはその異性体)、ウンデシル(またはその異性体)、ドデシル(またはその異性体)、トリデシル(またはその異性体)、テトラデシル(またはその異性体)、フェニル(またはその誘導体)またはナフチルトリクロロアセテートである。ハロゲン化剤は、2つのトリクロロアセタトまたはトリクロロアセトアミド基、あるいは単一のトリクロロアセタトまたはトリクロロアセトアミド基およびメチルアセテート基を保有するアルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンまたはシクロアルキレン部分でも有り得る。
【0033】
本発明の別の実施形態では、ハロゲン化剤は、2つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を含むポリオール、ポリアミンまたはポリアミノアルコールの誘導体であって、この場合、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基の各々における水素原子は、−C(O)−C(Cl)基または−C(O)−C(Br)基に置き替えられる。その結果生じる誘導体は、したがって、2つ以上の三ハロゲン化アセタトおよび/またはアセトアミド基を保有する、任意に、オリゴマーまたはポリマーの性質を有し得る分子である。一実施形態では、結果的に生じる誘導体は、2つ以上の三ハロゲン化アセタトおよび/またはアセトアミド基を保有するオリゴマーまたはポリマー分子である。
【0034】
適切なハロゲン化剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
(i)ヘキサクロロアセトン、
(ii)エチルトリクロロアセテート、
(iii)tert−ブチルトリクロロアセテート、
(iv)オクチルトリクロロアセテート、
(v)2−エチルヘキシルトリクロロアセテート、
(vi)フェニルトリクロロアセテート、
(vii)ナフチルトリクロロアセテート、
(viii)エタン−1,2−ジイルビス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−CH−O−C(O)−C(Cl)]、
(ix)2−アセトキシエチルトリクロロアセテート、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−CH−O−C(O)−CH]、
(x)2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイルビス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−C(CH−CH−O−C(O)−C(Cl)]、
(xi)2−メチルプロパン−1,3−ジイルビス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−CH(CH)−CH−O−C(O)−C(Cl)]、
(xii)1,4−フェニレンビス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Hal)C−C(O)−O−C−O−C(O)−C(Cl)]、
(xiii)2−トリクロロアセトアミド)エチルトリクロロアセテート、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−CH−NH−C(O)−C(Cl)]、
(xiv)2−((トリクロロアセトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイルビス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH−CH[CH−O−C(O)−C(Cl)
(xv)プロパン−1,2,3−トリイルトリス(トリクロロアセテート)、すなわち
[(Cl)C−C(O)−O−CH[CH−O−C(O)−C(Cl)
またはその置換誘導体。
第一級および第二級有機ホスフィン
【0035】
一実施形態では、第一級または第二級有機ホスフィンは、次式を有し:
P−H、
式中、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択されるが、但し、RおよびRは同時に水素を表わすことはない。
【0036】
さらなる実施形態では、第一級有機ホスフィンはモノシクロアルキルホスフィン、モノアリールホスフィンまたはモノアルキルホスフィンから選択され、その具体的な例としてはモノシクロヘキシルホスフィン、モノノルボルニルホスフィン、モノフェニルホスフィンおよびモノ−tert−ブチルホスフィンが挙げられる。
【0037】
別の実施形態では、第二級有機ホスフィンはジシクロアルキルホスフィン、ジアリールホスフィン、ジアルキルホスフィンまたはアルキルアリールホスフィンから選択され、その具体的な例としてはジシクロヘキシルホスフィン、ジノルボルニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、イソブチルフェニルホスフィンおよびジ−tert−ブチルホスフィンが挙げられる。
塩素化有機ホスフィン
【0038】
本発明の方法から得られる塩素化有機ホスフィンの性質は、ハロゲン化剤と反応させた有機ホスフィンの性質に主に依存する。有機ホスフィンが第二級有機ホスフィンであり、ハロゲン化剤が塩素化剤である本発明の一実施形態に関しては、得られる塩素化有機ホスフィンは、例えば、次式を有し得:
P−Cl、
式中、RおよびRは、各々独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択される。別の実施形態では、塩素化有機ホスフィンは、ジシクロアルキルクロロホスフィン、ジアリールクロロホスフィン、ジアルキルクロロホスフィンまたはアルキルアリールクロロホスフィンから選択され得、その具体的な例としてはジシクロヘキシルクロロホスフィン、ジノルボルニルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン、イソブチルフェニルクロロホスフィンおよびジ−tert−ブチルクロロホスフィンが挙げられる。
【0039】
有機ホスフィンが第一級有機ホスフィンであり、ハロゲン化剤が塩素化剤である本発明の別の実施形態では、得られる塩素化有機ホスフィンは、例えば、次式を有し得:
P−Cl
式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択される。さらに別の実施形態では、塩素化有機ホスフィンはシクロアルキルジクロロホスフィン、アリールジクロロホスフィンまたはアルキルジクロロホスフィンから選択され得、その具体的な例としてはシクロヘキシルジクロロホスフィン、ノルボルニルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィンおよびtert−ブチルジクロロホスフィンが挙げられる。
反応条件
【0040】
一実施形態では、本明細書中に記載されるハロゲン化反応は、種々の溶媒中で実行することができ、その溶媒の例としては、アセトン、THF、CHCl、CHCl、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等、ならびにエステル、例えば酢酸エチルが挙げられる。別の実施形態では、ハロゲン化反応は、いかなる溶媒も用いずに実行され得る。溶媒の使用(またはその非存在)は、純度、収率、副反応および温浸時間のような反応の特質をより良好に制御するのに役立ち得る。
【0041】
反応に用いられる有機ホスフィン対ハロゲン化剤のモル比は、第一級、第二級有機ホスフィンのどちらがハロゲン化されるのか、そしてハロゲン化剤から得ることができるハロゲン原子の量に依る。例えば、第一級有機ホスフィンは完全ハロゲン化のために2個のハロゲン原子を要するが、一方、第二級有機ホスフィンは1つのハロゲン原子のみを要する。さらに、単一の(Hal)C−部分を含むハロゲン化剤は一般的に1つのハロゲン原子のみを提供するが、一方、2個以上のこのような基を含む作用物質は、さらなるハロゲン原子を提供することができる。一実施形態では、第一級または第二級有機ホスフィンの完全ハロゲン化を保証するために、過剰量のハロゲン化剤が反応に用いられる。部分的ハロゲン化が求められる場合には、あるいは過剰量のハロゲン化剤の使用が望ましくない副産物の形成をもたらす場合には、より少ない量のハロゲン化剤も用いられ得る。
【0042】
1つ以上の試薬が酸素または水と反応し易い場合の実施形態では、ハロゲン化反応は、不活性雰囲気下で、例えば窒素またはアルゴン雰囲気下で実行される。
【0043】
一実施形態では、本明細書中に開示されるハロゲン化反応は、−100℃〜約200℃の温度で実行され得る。例えば、反応は、10℃〜150℃、10℃〜110℃、20℃
〜110℃、35℃〜110℃、40℃〜110℃、80℃〜110℃、10℃〜90℃、20℃〜90℃、35℃〜90℃、40℃〜90℃、80℃〜95℃、80℃〜90℃、80℃〜85℃、10℃〜40℃、20℃〜40℃、35℃〜40℃、10℃〜35℃、20℃〜35℃の温度で、または約20℃、約35℃、約45℃、約80℃または約110℃の温度で実行され得る。
【0044】
一実施形態では、反応は、加圧雰囲気下で実行され得る。加圧雰囲気を用いて、溶媒の揮発を低減するかまたは無くし得る。加圧雰囲気は、反応が溶媒の存在下で実行され、用いられる温度が標準圧でそのような揮発を促進する場合に用いることができる。
【0045】
反応温度は、ハロゲン化試薬および有機ホスフィンの反応度により、適切な溶媒を選択することにより、ある試薬を別の試薬に付加する割合により決定され得、および/または、例えば、反応が実行される容器を冷却するかまたは加熱することにより、外部的に制御され得る。
【0046】
一実施形態では、ジ−tert−ブチルホスフィンは、80〜95℃の温度で、溶媒を用いずに、トリクロロアセテートで塩素化される。別の実施形態では、ジシクロヘキシルホスフィンは、溶媒としてクロロベンゼンを用いて、80〜90℃の温度で、トリクロロアセテートで塩素化される。
【0047】
ハロゲン化反応の収率および純度は、上記の反応から得られるハロゲン化有機ホスフィンを分離するために利用される技術に、部分的に依存する。例えば、蒸留中の揮発性物質の減圧ならびに除去温度のような操作パラメーターが、影響を及ぼし得る。ハロゲン化剤としてエチルトリクロロアセテート、および溶媒としてクロロベンゼンを用いてジシクロヘキシルクロロホスフィンが調製される実施形態に関して、その結果生じる揮発性物質種(クロロベンゼンおよびジクロロ酢酸エチル)は80〜100℃を超えない温度で除去することができ、タール様物質の形成をもたらすジシクロヘキシルクロロホスフィンおよびジクロロ酢酸エチル間の二次反応を最小限にする。ワイプト薄膜蒸発器(WFE)も、単離/精製ステップを実行するために用いられ得る。
利点
【0048】
本明細書中に開示される塩素化剤は、以下のような多数の利点を示す:
【0049】
開示される試薬は、例えばいくつかの実施形態に関しては、商業的規模で容易に入手可能であり得る。
【0050】
1モルのヘキサクロロアセトンは、2個の塩素原子を提供して、1モルのジクロロホスフィンまたは2モルのクロロホスフィンを生じ、そしてしばしば、溶媒を用いずに実行され得る。得られる副産物テトラクロロアセトンは、便利よく真空除去され得る(沸点184℃)。
【0051】
トリクロロ酢酸エチルは、極低刺激性塩素化剤であり、この塩素化剤による塩素化は溶媒を用いてまたは用いずに実行され得る。トリクロロ酢酸エチルおよび生成される副産物であるジクロロ酢酸エチルはともに、便利よく真空除去され得る液体である。
【0052】
生じるハロゲン化有機ホスフィンおよび副産物(例えば、ジクロロ酢酸オクチル)の沸点間の示差が大きいほど蒸留による分離を促すため、他のジクロロアセテートの異なる沸点を用いて、生成されるハロゲン化有機ホスフィンの単離収率を増大し得る。
【0053】
tert−ブチルトリクロロアセテートは、25.5℃の融点を有する固体である。し
たがって、それは溶媒中で用いられ得るし、あるいは融解され、反応容器へ計量され得る。他のトリクロロアセテートも固体である場合、当業者に利用可能な同様のまたは他の技法が用いられ得る。
実施例
【0054】
本発明を例証するために、以下の実施例を提供する。しかしながら、各実施例に示される具体的な詳細は例証目的のために選択されており、本発明の範囲を限定するものではない、と理解されるであろう。一般的に、別記しない限り、同様の条件下で実験を実行した。
実施例1:トリクロロ酢酸エチルによるジシクロヘキシルホスフィンの塩素化を介したジシクロヘキシルクロロホスフィンの調製
【0055】
窒素雰囲気下での磁気撹拌ジシクロヘキシルホスフィン(1.34g、6.8mmol)に、トリクロロ酢酸エチル(1.3g、7mmol)を周囲温度で付加した。発熱反応の完了後、反応混合物を一晩磁気撹拌し、その後、その結果生じた混合物を31P NMRにより分析すると、ジシクロヘキシルクロロホスフィンの存在が示された(83.4%、31P NMR δ=128ppm)。
実施例2:トリクロロ酢酸エチルによるTHF中のジシクロヘキシルホスフィンの塩素化を介したジシクロヘキシルクロロホスフィンの調製
【0056】
ジシクロヘキシルホスフィン(98.8%、10.68g、53.8mmol)を、反応フラスコに付加し、その後、THF(10.85g)を付加した。その結果生じた溶液に、撹拌しながら、トリクロロ酢酸エチル(97%、10.52g、55mmol)を30分間に亘って滴下した(付加中、外部冷却を適用することにより、反応混合物の温度は18℃から33℃まで変化した)。反応混合物を周囲温度で2時間温浸した(温浸は、反応混合物が、特定時間の間、任意に撹拌されながら、特定条件で保持される、ということを意味する)。温浸後、反応混合物は、透明且つ無色の移動液になった。粗反応混合物を真空蒸留(96〜100℃/3.6mbar)に付して、収率53%および高純度で、透明無色移動液としてジシクロヘキシルクロロホスフィンを単離した(31P NMR;98.78%;GC−FID:97.26%)。
実施例3:トリクロロ酢酸エチルによるモノシクロヘキシルホスフィンの塩素化
【0057】
磁気撹拌棒を装備した窒素パージ試験管に、シクロヘキシルホスフィン(0.30g、2.6mmol)を、その後、トリクロロ酢酸エチル(1g、5.2mmol)を投入した。反応混合物を、4時間、110℃に保持した(油浴)。GC−MSおよび31P NMR(77%、31P NMR δ=196.61ppm)により、ジシクロヘキシルクロロホスフィンの形成が示された。
実施例4:トリクロロ酢酸エチルによるクロロベンゼン中のジシクロヘキシルホスフィンの塩素化
【0058】
クロロベンゼン(90.10g)中のジシクロヘキシルホスフィン(98.8%;35.30g、174mmol)の溶液を、80℃に加熱した。反応混合物の温度を80℃に保持しながら、トリクロロ酢酸エチル(30.17g、158mmol)を46分間に亘って滴下した。反応混合物を80℃で1.7時間、さらに温浸した後、それを真空蒸留して、31P NMRにより98.9%の純度でジシクロヘキシルクロロホスフィンを生じた(29.63g、収率80.6%)。
実施例5:溶媒を用いないトリクロロ酢酸エチルによるジ−tert−ブチルホスフィンの塩素化
【0059】
ジ−tert−ブチルホスフィン(694.8g、4.75mol)を反応フラスコに
投入し、80℃に加熱した。トリクロロ酢酸エチル(909.74g、4.75mol)を、反応混合物の温度が85℃を超えないような速度で滴下した(全体で2.5時間)。その結果生じた反応混合物の真空蒸留により、485g(収率57%)のジ−tert−ブチルクロロホスフィンを、透明無色液体として得た(31P NMRにより純度98%)。不純物分画の再蒸留により、潜在的にさらなる量の純生成物を生成し得る。
実施例6:トリクロロ酢酸オクチルによるジ−tert−ブチルホスフィンの塩素化
【0060】
ジ−tert−ブチルホスフィン(13.5g、92mmol)を、温度計、滴下漏斗および冷却器を装備し窒素ブランケットを伴う三首丸底フラスコに投入し、83〜84℃に加熱した。トリクロロ酢酸オクチル(25.4g、92mmol)を、20分間に亘って滴下した。付加完了後、その結果生じた反応混合物を70℃でさらに20分間温浸し、その後、GCにより分析して、0.6%非反応ジ−tert−ブチルホスフィンの存在を示した。
【0061】
滴下漏斗を取り外して、フラスコに短工程蒸留ヘッドを取り付けた。蒸留により2つの分画を得た。前方留分(1.24g)を廃棄した。第二分画は、13g(78.2%)のジ−tert−ブチルクロロホスフィンを透明無色液体として提供した。沸点48〜52℃/3.2mbar(lit. 48℃/3mmHg)。GC−FIDによる純度97%。
実施例7:tert−ブチルトリクロロアセテートによるジシクロヘキシルホスフィンの塩素化
【0062】
25mL窒素パージ梨形フラスコに、ジシクロヘキシルホスフィン(1.16g、5.9mmol、1.2当量)を、その後、tert−ブチルトリクロロアセテート(1.2g、4.9mmol、1当量)を投入した。その結果生じた透明無色溶液を、3日間に亘って周囲温度で磁気撹拌した。その後、GC−FIDおよびGC−MSによる反応混合物の分析は、2つの主要構成成分が予測されたジシクロヘキシルクロロホスフィンおよびtert−ブチルジクロロアセテートであることを示した。反応混合物を、油浴中で70℃から170℃への漸次真空加熱に付した。反応混合物を10分間170℃に保持し、その後、周囲温度に冷却した。かなり粘性の茶色がかった暗赤色物質を、31P NMRにより分析した(87%のジシクロヘキシルクロロホスフィン)。ガスクロマトグラフィーによるその分析は、残りのtert−ブチルジクロロアセテートの存在を示した。
実施例8:酢酸エチル中のヘキサクロロアセトンによるジシクロヘキシルホスフィンの塩素化
【0063】
酢酸エチル(1mL)中のジシクロヘキシルホスフィン(0.52g、2.6mmol)の磁気撹拌溶液に、周囲温度で、酢酸エチル(0.5mL)中のヘキサクロロアセトン(0.35g、1.3mmol)の溶液を一部ずつ付加した。反応は速く、発熱性であった;変色は観察されなかった。2〜3分後、熱発生は終わり、その結果生じた透明溶液を周囲温度に冷却させて、さらに40分間撹拌した。その後、反応混合物をGC−MSにより分析して、ジシクロヘキシルクロロホスフィンの形成を示した。
実施例9:ヘキサクロロアセトンによるジフェニルホスフィンの塩素化を介したジフェニルホスフィナルクロライドの調製
【0064】
反応容器に磁気撹拌棒を取り付けて、窒素でパージした後、ジフェニルホスフィン(0.75g、4.03mmol、1.00当量)を投入した。ヘキサクロロアセトン(0.59g、2.23mmol、0.55当量)の滴下を開始すると、短い誘導期後に強度の発熱を生じた。反応物を氷浴中で冷却し、付加を再開した。約10分後に付加が完了して、透明黄色/橙色溶液を生じ、これを周囲温度に温めた。反応混合物は混濁するようになり、4時間温浸した。脱気無水トルエン(5mL)を黄色懸濁液に付加し、混合物を30分間放置した。白色沈殿物が底に沈んで、透明黄色上清を生じ、これを31P NMRおよびGC/MSにより分析して、ジフェニルホスフィナルクロライドの形成を立証した。
実施例10:ジクロロ(シクロヘキシル)ホスフィンへのヘキサクロロアセトンによるモノシクロヘキシルホスフィンの塩素化
【0065】
試験管に磁気撹拌棒を取り付けて、窒素でパージした。無水トルエン(0.74g)を投入し、その後、モノシクロヘキシルホスフィン(0.26g、2.2mmol、1.00当量)を投入した。ヘキサクロロアセトン(0.65g、2.5mmol、1.14当量)を、約3分に亘って滴下した。最初に、ヘキサクロロアセトンの付加は発熱を生じ、このため、ヘキサクロロアセトンのさらなる付加中、試験管を氷浴中に浸漬した。付加完了後、結果的に生じた透明無色液体を冷却下でさらに5分間、周囲温度でさらに1.5時間撹拌した。31P NMR(δ=196.05ppm、96.4%)およびGC/MS(1.6:1という特徴的比率でのM+2ピークに伴ってm/z 184Da)は、ジクロロ(シクロヘキシル)ホスフィンの形成を立証した。
実施例11:溶媒を伴わないトリクロロ酢酸エチルによるジノルボルニルホスフィンの塩素化を介したジノルボルニルホスフィナルクロライドの調製
【0066】
窒素パージした反応容器に、ジノルボルニルホスフィン(0.43g、1.9mmol、1.00当量)を付加し、その後、トリクロロ酢酸エチル(0.41g、2.1mmol、1.1当量)を注射器により迅速に付加した。その結果生じた反応混合物は、数秒のうちに濁った。1時間後、完全に透明な反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。3:1という特徴的比率でのM+2ピークに伴う適切なM−ピーク[m/z 256Da]の質量スペクトルにおける存在により、ジノルボルニルホスフィナルクロライドの形成を確証した。
実施例12:溶媒を伴わないトリクロロ酢酸エチルによるジノルボルニルホスフィンの塩素化を介したジノルボルニルホスフィナルクロライドの調製
【0067】
窒素パージした反応容器に、ジノルボルニルホスフィン(1.01g、4.54mmol、1.00当量)を付加し、その後、トリクロロ酢酸エチル(1.01当量)を注射器によりゆっくり付加すると、発熱を生じた。1時間後、反応混合物の試料を31P NMRに付した。主要構成成分に関して観察された化学シフト(δ=116ppm、48.3%)は、亜ホスフィン酸塩化物に関する化学シフトと一致した。
【0068】
本明細書中で引用した出版物、特許および特許出願は全て、各々の個々の出版物、特許または特許出願が、特定的に且つ個別に、参照により組み入れられるべきであることが示されるかのように、参照により本明細書中に組み入れられる。いかなる出版物の引用も、出願日前のその開示のためであり、本発明が従来の発明に基づいてこのような出版物に先行する権利を与えられないということを認めるべきものではない。
【0069】
明確な理解のために図示および実施例により多少詳細に前記発明を記載してきたが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲を逸脱せずに、ある種の変更および修正が成され得ることは、本発明の教示にかんがみて、当業者には容易に明らかである。
【0070】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形態「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数言及を包含する、ということには留意しなければならない。別記しない限り、本明細書中で用いられる技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当該技術分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化有機ホスフィンの製造方法であって、第一級または第二級有機ホスフィンを以下から選択されるハロゲン化剤と反応させることを包含する方法:
(A)式(I):
(Hal)C−C(O)−X (I)
の化合物
(式中、Xは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、NR、C(Hal)、OR、−O−C(O)−R3’または−Y−Z−Y−C(O)−C(W)から選択され;
およびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択され;
は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルまたはトリオルガノシリルから選択され;
3’は、C(Hal)、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキルから選択され;
Yは、独立して、OまたはNHから選択され;
Zは、独立して、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレンまたはシクロアルキレンから選択され;
Wは、水素またはHalから選択され;そして
Halは、ClまたはBrから選択される)
;あるいは、
(B)2つ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を含むポリオール、ポリアミンまたはポリアミノアルコールの誘導体であって、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基の各々における水素原子が基−C(O)−C(Hal)に置き替えられ、HalがClまたはBrから選択される誘導体。
【請求項2】
前記ハロゲン化有機ホスフィンが、次式の塩素化有機ホスフィンである請求項1に記載の方法:
P−Cl
(式中、RおよびRは、各々独立して、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択される)。
【請求項3】
前記ハロゲン化有機ホスフィンが、次式の塩素化有機ホスフィンである請求項1に記載の方法:
P−Cl
(式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択される)。
【請求項4】
前記第一級または第二級有機ホスフィンが、次式を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法:
P−H
(式中、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリルまたはシクロアルキルから選択されるが、但し、RおよびRがともに水素であることはない)。
【請求項5】
XがC(Cl)である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
XがORであり、Rがエチル、tert−ブチル、オクチルまたは2−エチルヘキシルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
XがORであり、Rがフェニルまたはナフチルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Xが−Y−Z−Y−C(O)−C(Hal)であり、Yが酸素であり、HalがClであり、Zがフェニレン、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−または−CH−C(CH−CH−から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲン剤が
(Cl)C−C(O)−O−CH−CH[CH−O−C(O)−C(Cl)
である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
溶媒を用いずに実行される請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アセトン、THF、CHCl、CHCl、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、アルカンまたはエステルから選択される溶媒の存在下で実行される請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記アルカンがペンタン、ヘキサンまたはヘプタンから選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エステルが酢酸エチルである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
−100℃〜200℃の温度で実行される請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
80〜95℃の温度で実行される請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ハロゲン化剤が前記有機ホスフィンに付加される請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記有機ホスフィンが前記ハロゲン化剤に付加される請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
連続的に実行される請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ハロゲン化有機ホスフィンが、大気圧での蒸留または減圧下での蒸留により、任意に高温で、単離される請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ハロゲン化有機ホスフィンがワイプト薄膜蒸発器(WFE)を用いて単離される請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項で定義されたような方法により得られるハロゲン化有機ホスフィン。

【公表番号】特表2011−522032(P2011−522032A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512234(P2011−512234)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005781
【国際公開番号】WO2009/147495
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510319720)サイテク・カナダ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】