説明

ハンダ付け検査装置

【課題】ハンダ付け装置に一体化することによってコストダウンと作業工数と作業スペースの削減を図ることができるハンダ付け検査装置を提供すること。
【解決手段】ハンダ付け検査装置は、ハンダごて2を保持してこれを移動させるロボット1と、該ロボット1を駆動制御するロボットコントローラを備え、プリント基板3上の指定位置に前記ハンダごて2を順次移動させて複数のリードピン(電子部品)9をプリント基板3上に自動的にハンダ付けするハンダ付け装置に一体的に設けられる。このハンダ付け検査装置は、ハンダ付け装置によってハンダ付けされたリードピン9のハンダ付け箇所を撮像するカメラ(撮像手段)4とハンダ付け箇所を照明する照明装置(照明手段)5をロボット1に取り付けるとともに、カメラ4によって撮像された画像を処理してリードピン9のハンダ付けの良否を判定する画像処理手段と、表示手段を設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をプリント基板上に自動的にハンダ付けするハンダ付け装置に一体的に設けられたハンダ付け検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板上には例えば電子部品であるコネクタの複数のリードピン(端子)がハンダ付けされるが、このハンダ付けは例えば図8に示すハンダ付け装置によって自動的になされている。ここで、ハンダ付け装置の概要を図8に基づいて説明する。
【0003】
即ち、図8はハンダ付け装置の概略構成を示す斜視図であり、同図において、1はハンダごて2を保持してこれを直交座標軸であるX,Y,Z軸方向及びZ軸を中心とする回転方向であるθ方向に移動させるロボットであって、該ロボット1の水平なテーブル1a上にはプリント基板3がセットされている。尚、ロボット1は、不図示のロボットコントローラによって駆動制御され、該ロボットコントローラに予め記憶されているリードピンの座標に基づいてハンダこて2を各リードピン位置へと順次連続的に移動させてリードピンをプリント基板3にハンダ付けする。
【0004】
各リードピンのハンダ付けにおいては、ロボット1によって所定のリードピンの位置に移動したハンダこて2が加熱され、このハンダこて2に自動的に供給されるハンダが溶融されることによってリードピンがプリント基板3上の所定位置にハンダ付けされ、以後、同様にしてハンダこて2が各リードピンの位置まで順次移動しながらこれらのリードピンをプリント基板3上に自動で連続的にハンダ付けする。
【0005】
ところで、特許文献1には、自動ハンダ付け装置においてハンダこての先端の荷重を荷重計によって計測する構成が提案されている。
【0006】
而して、図8に示すようなハンダ付け装置によってプリント基板3上にハンダ付けされたリードピンのハンダ付けの良否を判定する検査は、従来は後工程での作業者による目視によってなされていた。
【0007】
ところが、上述のような目視によるハンダ付けの良否の判定は基準が作業者によって一定していないばかりか、作業者に多大な負担を強いることとなる。
【0008】
そこで、特許文献2,3には、電子部品のハンダ付け箇所に光照射手段によって光を照射し、光が照射されたハンダ付け箇所を含む領域を撮像手段によって撮像し、撮像された画像に基づいて判定手段によってハンダ付けの良否を判定するようにしたハンダ付け検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−269041号公報
【特許文献2】特開平8−285785号公報
【特許文献3】特開2004−151010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2,3において提案されたハンダ付け検査装置は、ハンダ付けを行うハンダ付け装置とは別に設けられる検査専用の装置であるため、ハンダ付け装置にも使用されているロボット等の駆動手段を設ける必要があり、装置コストがアップする他、電子部品がハンダ付けされたプリント基板をハンダ付け装置から取り外して検査のためにハンダ付け検査装置まで搬送する必要があり、作業工数と作業スペースが増えるという問題があった。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ハンダ付け装置に一体化することによってコストダウンと作業工数と作業スペースの削減を図ることができるハンダ付け検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載のハンダ付け検査装置は、ハンダごてを保持してこれを直交座標軸であるX,Y,Z軸方向及びZ軸を中心とする回転方向であるθ方向に移動させるロボットと、該ロボットを駆動制御するロボットコントローラを備え、プリント基板上の指定位置に前記ハンダごてを順次移動させて複数の電子部品をプリント基板上に自動的にハンダ付けするハンダ付け装置に一体的に設けられる装置であって、
前記ハンダ付け装置によってプリント基板上にハンダ付けされた電子部品のハンダ付け箇所を撮像する撮像手段と同電子部品のハンダ付け箇所を照明する照明手段を前記ロボットに取り付けるとともに、
前記撮像手段によって撮像された画像を処理して電子部品のハンダ付けの良否を判定する画像処理手段と、該画像処理手段によって処理された画像と判定されたハンダ付けの良否を表示する表示手段を設けて構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ハンダごてと前記撮像手段及び前記照明手段とを前記ロボットの回転軸を中心として互いに反対方向に配置し、これらのハンダごてと撮像手段及び照明手段の位置をハンダ付け工程と検査工程とで反転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ハンダ付け検査装置がハンダ付け装置に一体的に設けられるため、ハンダ付け装置のロボットやロボットコントローラをハンダ付け検査装置に共用することができ、装置を小型化してコストダウンを図ることができる。又、1つの装置でハンダ付けとハンダ付けの検査を行うことができるため、電子部品がハンダ付けされたプリント基板の検査装置への搬送が不要となり、作業工数と作業スペースを削減することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、ハンダ付け工程に使用されるハンダごてと検査工程に使用される撮像手段及び照明手段とをロボットの回転軸を中心として互いに反対方向に配置し、これらのハンダごてと撮像手段及び照明手段の位置をハンダ付け工程と検査工程とで反転させることによって、装置に並設されるハンダごてと撮像手段及び照明手段をハンダ付け工程と検査工程とで使い分けて1つの装置でハンダ付けとハンダ付けの検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るハンダ付け検査装置の基本構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るハンダ付け検査装置の基本構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るハンダ付け検査装置のハンダ付け工程におけるハンダこてとカメラの位置関係を示す側面図である。
【図4】本発明に係るハンダ付け検査装置のハンダ付け工程におけるハンダ付け状態を示す側面図である。
【図5】本発明に係るハンダ付け検査装置の検査工程における検査状態を示す側面図である。
【図6】本発明に係るハンダ付け検査装置におけるハンダ付け工程と検査工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】(a),(b)は撮像画像の例を示す図である。
【図8】ハンダ付け装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るハンダ付け検査装置の基本構成を示す斜視図、図2は同ハンダ付け検査装置の基本構成を示すブロック図であり、本発明に係るハンダ付け検査装置は図8に示すハンダ付け装置に一体的に設けられる装置である。具体的には、本発明に係るハンダ付け検査装置は、図8に示す単体としてのハンダ付け装置に、撮像手段であるカメラ4と、照明手段である照明装置5と、画像処理手段である画像処理コントローラ6及び表示手段であるモニター7を付設することによって構成されており、プリント基板3上への電子部品であるコネクタ8の複数のリードピン9(図3〜図5参照)のハンダ付けとリードピン9のハンダ付けの良否を判定する検査を行うものである。尚、図1及び図2においては、図8に示したものと同一要素には同一符号を付している。
【0019】
上記照明装置5は、ハンダ付け装置によってプリント基板3上にハンダ付けされた複数のリードピン9のハンダ付け箇所を含む領域に光を照射してその領域を照明するものであり、前記カメラ4は、照明装置5によって照明される領域の画像を撮像するものである。又、前記画像処理コントローラ6は、カメラ4によって撮像された画像を処理してリードピン9のハンダ付けの良否を判定するものであり、前記モニター7は、画像処理コントローラ6によって処理された画像と判定されたハンダ付けの良否を表示するものである。
【0020】
次に、本発明に係るハンダ付け検査装置によるハンダ付け工程と検査工程における作用を図3〜図7に基づいて以下に説明する。
【0021】
図3は本発明に係るハンダ付け検査装置のハンダ付け工程におけるハンダこてとカメラの位置関係を示す側面図、図4は同ハンダ付け検査装置のハンダ付け工程におけるハンダ付け状態を示す側面図、図5は同ハンダ付け検査装置の検査工程における検査状態を示す側面図、図6は同ハンダ付け検査装置におけるハンダ付け工程と検査工程の処理手順を示すフローチャート、図7(a),(b)は撮像画像の例を示す図である。
【0022】
本発明に係るハンダ付け検査装置は、図8に示すハンダ付け装置の機能も備えており、ハンダ付け工程においては、図3に示すように、ハンダこて2はコネクタ8の端部(図3の左端であって、ハンダ付けを開始する側)のリードピン9の上方に位置しており、ハンダ付け工程においては使用されないカメラ4と照明装置5はロボット1の回転軸(Z軸)1bを中心としてハンダこて2とは反対側(右側)に位置している。
【0023】
而して、ロボット1は図2に示すロボットコントローラ10によって駆動制御されるが、該ロボットコントローラ10には各リードピン9の位置を示す座標が予め記憶されており、その座標に基づいてハンダ対象であるリードピン9の位置が指定される(図6のステップS1)。すると、ロボット1が駆動されてハンダこて2が図4に示すように指定されたリードビン9の位置へと移動する(ステップS2)。上記状態からハンダこて2が加熱され、このハンダこて2に自動的に供給されるハンダが溶融されることによってリードピン9がプリント基板3上の所定位置にハンダ付けされる(ステップS3)。
【0024】
以上の動作(ステップS2,S3の動作)がリードピン9の数だけ繰り返され(ステップS4)、全てのリーとビン9についてハンダ付けが完了した場合(ステップS4での判定結果がNoである場合)には、次の検査工程に移行する。
【0025】
検査工程においては、ロボット1が180°回転して図5に示すようにハンダ付け工程において使用されるハンダこて2と検査工程において使用されるカメラ4及び照明装置5の位置がロボット1の回転軸(Z軸)1bを中心として反転される(ステップS5)。即ち、ハンダ付けの検査が開始される端部(図5の左端部)のリードピン9の上方にカメラ4と照明装置5が位置する。
【0026】
上記状態において検査対象であるリードピン9の位置が指定され(ステップS6)、ロボット1が駆動されてカメラ4と照明装置5が図5に示すように指定されたリードビン9の上方位置へと移動する(ステップS7)。その状態において図5に示すように照明装置5によって検査対象であるリードピン9を含む領域に向けて光が照射されてその領域が照明され、照明される領域がカメラ4によって撮像されて撮像画像が画像処理コントローラ6に入力される(ステップS8)。尚、撮像画像の例を図7(a),(b)に示す。
【0027】
すると、画像処理コントローラ6は、入力された撮像画像を検査し(ステップS9)、リードピン9のハンダ付けの良否(OK/NG)を判定し(ステップS10)、その結果をモニターに表示する(ステップS11,S12)。
【0028】
以上の動作(ステップS7〜S12の動作)がリードピン9の数だけ繰り返され(ステップS13)、全てのリードビン9についてハンダ付けの検査が完了した場合(ステップS13での判定結果がNGである場合)には、ハンダ付け検査が終了する(ステップS14)。
【0029】
以上のように、本発明に係るハンダ付け検査装置は、ハンダ付け装置に一体的に設けられるため、ハンダ付け装置のロボット1やロボットコントローラ10をハンダ付け検査装置に共用することができ、装置を小型化してコストダウンを図ることができる。又、1つの装置でハンダ付けとその検査を行うことができるため、コネクタ8のリードピン9がハンダ付けされたプリント基板3の検査装置への搬送が不要となり、作業工数と作業スペースを削減することができる。
【0030】
更に、本発明に係るハンダ付け検査装置によれば、ハンダ付け工程に使用されるハンダごて2と検査工程に使用されるカメラ4及び照明装置5とをロボット1の回転軸1bを中心として互いに反対方向に配置し、これらのハンダごて2とカメラ4及び照明装置5の位置をハンダ付け工程と検査工程とで反転させることによって、装置に並設されるハンダごて2とカメラ3及び照明装置5をハンダ付け工程と検査工程とで使い分けて1つの装置でハンダ付けとハンダ付けの検査を行うことができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1 ロボット
1a ロボットのテーブル
1b ロボットの回転軸(Z軸)
2 ハンダこて
3 プリント基板
4 カメラ(撮像手段)
5 照明装置(照明手段)
6 画像処理コントローラ(画像処理手段)
7 モニター(表示手段)
8 コネクタ
9 リードピン(電子部品)
10 ロボットコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンダごてを保持してこれを直交座標軸であるX,Y,Z軸方向及びZ軸を中心とする回転方向であるθ方向に移動させるロボットと、該ロボットを駆動制御するロボットコントローラを備え、プリント基板上の指定位置に前記ハンダごてを順次移動させて複数の電子部品をプリント基板上に自動的にハンダ付けするハンダ付け装置に一体的に設けられる装置であって、
前記ハンダ付け装置によってプリント基板上にハンダ付けされた電子部品のハンダ付け箇所を撮像する撮像手段と同電子部品のハンダ付け箇所を照明する照明手段を前記ロボットに取り付けるとともに、
前記撮像手段によって撮像された画像を処理して電子部品のハンダ付けの良否を判定する画像処理手段と、該画像処理手段によって処理された画像と判定されたハンダ付けの良否を表示する表示手段を設けて成ることを特徴とするハンダ付け検査装置。
【請求項2】
前記ハンダごてと前記撮像手段及び前記照明手段とを前記ロボットの回転軸を中心として互いに反対方向に配置し、これらのハンダごてと撮像手段及び照明手段の位置をハンダ付け工程と検査工程とで反転させることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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