説明

ハンドガイドローラ

【課題】ロッドハンドルに伝わる振動を好適に減衰し得るように構成されたハンドガイドローラを提供する。
【解決手段】前後のローラ3を支持すると共に起振装置を備えた車体フレーム2と、格納位置と使用位置との間を旋回動自在なように車体フレームの後部に結合されたロッドハンドル5とを有するハンドガイドローラ1において、車体フレームとロッドハンドルとの結合部に防振ゴム14を介設し、車体フレームからロッドハンドルに伝達される振動を防振ゴムに吸収させることにより、長時間の作業にも支障が生じないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の地盤や舗装面を地固めするためのハンドガイドローラに関し、特にロッドハンドルを水平方向に人力で押し引きすることによって進行方向を変える手動操舵式のハンドガイドローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路の地盤や舗装面を地固めするための振動ローラとして、人力によってロッドハンドルを水平方向に押し引きすることで操舵する手動操舵式のハンドガイドローラが知られている(特許文献1を参照されたい)。
【0003】
このハンドガイドローラは、前後一対のローラを支持した車体フレームの後端部にロッドハンドルが固着されている。また車体フレームには起振装置が設けられており、起振装置の発生する振動が車体フレームを介して前後のローラに伝達され、それによって路面に転圧力を加えるようになっている。そして、ロッドハンドルの遊端に水平方向の力を加えることによって前後のローラの向きを車体フレームごと強制的に変えることにより、進路の転換が行われる。
【特許文献1】特開平09−003818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の構成は、極めて簡易な構造で製造コストも低廉で済む反面、ロッドハンドルが車体フレームに直結されており、起振装置の発生する振動がロッドハンドルに直接伝わる構造となっている。そのため、作業者の手に常時振動が伝わり、手首の関節などが疲労し易いという不都合があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、ロッドハンドルに伝わる振動を好適に減衰し得るように構成されたハンドガイドローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため、本発明は、前後のローラ3を支持すると共に起振装置を備えた車体フレーム2と、格納位置と作業位置との間を回動自在なように前記車体フレームの後部に結合されたロッドハンドル5とを有するハンドガイドローラ1において、前記車体フレームと前記ロッドハンドルとの結合部に、防振ゴム14を介設するものとした。
【発明の効果】
【0007】
このような本発明によれば、車体フレームとロッドハンドルとの間で伝達される振動を防振ゴムが吸収するので、ロッドハンドルの振動が低減され、長時間の作業にも支障を生じ難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明が適用されるハンドガイドローラの全体外観図である。このハンドガイドローラ1は、車体フレーム2の前後に一対の転圧ローラ3が装着されており、車体フレーム2に搭載したエンジン4の駆動力により、この転圧ローラ3を回転駆動すると共に、車体フレームに搭載した起振装置(図示せず)を駆動して、転圧ローラ3を振動させるものである。
【0010】
車体フレーム2の後端部には、後方へ向けて延出されるロッドハンドル5が取り付けられている。このロッドハンドル5は、車体フレームにしっかりと連結されており、これの遊端を水平方向へ押し引きすることにより、ハンドガイドローラ1全体を所定の方向へ向ける方向転換を行い得るようになっている。
【0011】
このロッドハンドル5の遊端部には、エンジンのスタータースイッチや前後進レバー等の運転操作装置6が設けられている。
【0012】
ロッドハンドル5は、図2・3に併せて示すように、車体フレーム2に対して上下に回動自在に枢支されており、格納時は垂直に立ててロッドハンドル5が邪魔にならなくなるようにし、作業時は斜め後方へ傾斜させて運転操作装置6を操作し易い高さにセットできるようになっている。なお、運転操作装置6の位置は、作業者の身長の違いに対応し得るように、所定角度範囲を自在に回動して調節可能になっている。
【0013】
また最低位置では、車体フレーム2に一体的に設けられたストッパ7にクッションゴム8が突き当たり、ロッドハンドル5が急に倒れても、そのショックが吸収されるようになっている。さらに格納位置では、ロッドハンドル5の直立状態が保持されるように、ロック装置(図示せず)が設けられている。
【0014】
車体フレーム2に対するロッドハンドル5の枢着部には、車体フレーム2に一体的に結合された一対のブラケット11a・11bと、これら一対のブラケット11a・11bの内面に固着された一対の合成樹脂製のカラー12と、これら一対のカラー12の各中心部に回転自在に嵌着された一対の軸部材13と、これら一対の軸部材13のそれぞれに結合された防振ゴム部材14とが設けられ、ロッドハンドル5の基端側が、一対の防振ゴム部材14同士間に挟持された態様で、これら一対の防振ゴム部材14に固着されている。
【0015】
またロッドハンドル5の基端側には、該ロッドハンドル5の軸線と直交する向きに延在する丸棒15が固着されており、一対のブラケット11a・11bには、丸棒15の両端を突入させる円弧状長孔16が形成されている。そして円弧状長孔16のロッドハンドル5の使用位置に対応する部分には、図3に示すように、丸棒15を緩く受容する隙間が開けられている。
【0016】
以上の構成を更に詳しく言うと、カラー12は、例えばナイロン樹脂材で円板形に形成されており、車体フレーム2にその一方11aが溶接付けされ、他方11bがボルト止めされる一対のブラケットの対向内面に、それぞれボルト止めされている。そして両カラー12の中心孔12aに、鋼材からなる短寸な軸部材13が回転可能に嵌着されている。
【0017】
他方、ロッドハンドル5は鋼管からなり、その基端側は、一対のフラットバー17を平行に溶接付けすることによってフォーク状に形成されており、一対のフラットバー17の外面に、扁平な円板形の防振ゴム部材14がボルト止めされている。なお、防振ゴム部材14の中心部における軸線方向の両側には、一対のナット部材18が埋め込まれた形で焼き付け固着されており、その一方にフラットバー17がボルト止めされ、その他方に軸部材13がボルト止めされている。そして前記の丸棒15は、両フラットバー17を貫通した上で両フラットバー17に溶接付けされている。
【0018】
このようにして、一対のフラットバー17の各外面に一対の防振ゴム部材14が一体的に固着され、両防振ゴム部材14の各外面に軸部材13が一体的に固着され、両軸部材13をカラー12の中心孔12aに嵌着した状態で他方のブラケット11bを車体フレーム2にボルト止めすることにより、ロッドハンドル5が、ブラケット11a・11b、即ち車体フレーム2に対して回動自在に結合されることとなる。ここでカラー12の素材として、機械的強度が高く、且つ摩擦係数の低いものを選ぶことにより、カラー12のラジアル及びスラスト軸受けとしての機能を高めることができる。
【0019】
これらの防振ゴム部材14により、車体フレーム2の振動が減衰され、ロッドハンドル5への振動伝達量が大幅に低減される。特に直進時は、ロッドハンドル5の基端側に固着された丸棒15は、ブラケット11a・11bに形成された円弧状長孔16に緩く受容されていて、ブラケット11a・11bとロッドハンドル5とが非接触となるので、車体フレーム2の振動は好適に遮断される。
【0020】
ハンドガイドローラ1の向きを変えようとしてロッドハンドル5を押し引きすると、防振ゴム部材14が撓むが、円弧状長孔16と丸棒15との間の隙間を超えると長孔16の内周面に丸棒15が突き当たり、ロッドハンドル5に加えた力が丸棒16を介してブラケット11a・11bに直接伝わるので、方向転換作業に支障を生ずることはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用されたハンドガイドローラの全体斜視図である。
【図2】本発明装置の一部切除して示す上面図である。
【図3】本発明装置の要部側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 ハンドガイドローラ
2 車体フレーム
3 転圧ローラ
5 ロッドハンドル
11 ブラケット
12 カラー
13 軸部材
14 防振ゴム部材
15 丸棒
16 円弧状長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後のローラを支持すると共に起振装置を備えた車体フレームと、格納位置と作業位置との間を回動自在なように前記車体フレームの後部に結合されたロッドハンドルとを有するハンドガイドローラであって、
前記車体フレームと前記ロッドハンドルとの結合部に、防振ゴムが介設されることを特徴とするハンドガイドローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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