説明

ハンドヘルド型測定装置

【課題】簡易な構造で操作性を向上する。
【解決手段】キートップモジュール5の上ケース1への組み付けは、揺動軸55を上ケース1の軸受部14に枢着し、キートップモジュール5の二つのボス孔53に上ケース1の二つのボス13を圧入して嵌挿することにより行う。ここで、このようにキートップモジュール5を上ケース1に組み付けた状態において、操作キートップ51の上面は、上ケース1の後部に向かって下方に傾斜したテーパ部分に、当該テーパ部分の上面と略同一の高さで略同一の傾斜をもって配置される。また、操作キートップ51は、ユーザの押し下げ操作に応じて、可撓部54の付勢力による復元力を持って、揺動軸55を揺動軸55として後部が下方に移動するように揺動し、プッシュスイッチの操作を行う下部の突起56が下方に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルド型測定装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド型測定装置としては、ハンドヘルド型測定装置の各種操作ボタンと、測定結果等を表す表示装置の表示画面とを、ハンドヘルド型測定装置の上面にまとめて配置した装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006-214891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1記載のハンドヘルド型測定装置によれば、各種操作ボタンがハンドヘルド型測定装置の上面から突出する形態で設けられているため、ハンドヘルド型測定装置をポケットに入れて携帯しているときに、何らかのはずみで意図せぬボタン操作が行われてしまうことがあった。一方で、このような意図せぬボタン操作の発生を抑止するために、操作の受け付けを禁止するための、簡易に操作できないように構成したホールドススイッチを設けると、装置構造が複雑化してしまうと共に、使用開始時の操作性が劣化する。
【0004】
また、特許文献1記載のハンドヘルド型測定装置は、ハンドヘルドする際のグリップ性向上のために特段の構造を備えていないため、その操作性が必ずしも充分ではなかった。ここで、適当な素材を用いた滑り止め部材などをハンドヘルド型測定装置の使用者によって握持される部分に設けるようにすればグリップ性は向上するが、このようにすると装置構造が複雑化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、良好な操作性と、構造の簡易性を兼ね備えたハンドヘルド型測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために本発明は、概略直方体形状のケースに測定機能部を収容した、手持ち操作されるハンドヘルド型の測定装置を、前記ケースに収容された、前記ケースの上面に表示面が配置された表示装置と、前記ケースの上面に配置された操作キーとより構成したものである。ただし、前記ケースの上面は、後部部分よりも前部部分の高さが高く形成されており、かつ、前記前部部分と前記後部部分との間に、前記前部部分と後部部分を連結する、後部に向けて下方に傾斜した傾斜部分を有する。また、前記表示面は前記ケースの上面の前部部分に配置されており、前記操作キーは前記ケースの上面の前記傾斜部分に、当該操作キーの上面の高さ及び傾斜が、前記ケースの上面の前記傾斜部分の高さ及び傾斜に揃うように配置されているものである。
【0007】
このようなハンドヘルド型の測定装置によれば、操作キーは、その上面が、ケースの上面の前記傾斜部分と揃うように配置される。したがって、操作キーがケースが突出していないので、測定装置をポケットなどに携帯しているときに、何らかのはずみで操作キートップの意図せぬ操作が行われてしまうことが抑制される。また、ケースの後方に向かって下方に傾斜した傾斜部分に、操作キーを設けているので、ユーザは、ケースの後部部分を握持して、前部部分の表示面を見ながら、握持している当該後部部分の面まで操作キーを押し下げ等する自然な動作形態で、その操作を行うことができるようになる。
【0008】
ここで、このようなハンドヘルド型の測定装置において、前記操作キーは、ユーザの押し下げ操作に応じて、前端を揺動軸として後端が下方に揺動して、前記ケースに収容されたスイッチを作動するように設けることが、その操作性の向上のために好ましい。
また、前記ケースの上面に配置された第2のキーを設ける場合には、前記操作キーと前記第2のキーは単一のキーモジュールとして一体として形成してもよい。また、この場合には、前記キーモジュールを、前記操作キーの前端に設けられた左右方向に延びる軸部と、前記操作キーの後端に連結した第1の可撓部と、前記第1の可撓部に連結した固定部と、前記固定部と前記第2のキーとに連結した第2の可撓部とより構成すると共に、前記ケースの上壁の内面側に、前記軸部を枢着する軸受部と、前記固定部を上ケースに固着するための固定構造部とを設けるようにしてもよい。
このようにすることにより、簡易かつ少ない部品点数で、複数のキーを構成することができるようになる。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、概略直方体形状のケースに測定機能部を収容した、手持ち操作されるハンドヘルド型の測定装置を、前記ケースの左右側壁に各々固着された、左右一対のグリップ部材を含めて構成したものである。ただし、前記ケースは、当該ケースの上部を形成する上部ケースと、当該ケースの下部を形成する下部ケースとより構成され、前記上部ケースの左右側壁には、各々、前後方向に配列された複数の、上部部分において前後方向の幅が狭められた孔が設けられており、前記下部ケースの左右側壁には、各々、前後方向に配列された複数の、下部部分において前後方向の幅が狭められ孔が設けられているものである。また、前記ケースの左側壁に固着されるグリップ部材の右側面の上部には、前記上部ケースの左側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第1のフックを有し、前記ケースの右側壁に固着されるグリップ部材の左側面の上部には、前記上部ケースの右側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第2のフックを有し、前記ケースの左側壁に固着されるグリップ部材の右側面の下部には、前記下部ケースの左側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第3のフックを有し、前記ケースの右側壁に固着されるグリップ部材の左側面の下部には、前記下部ケースの右側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第4のフックを有するものである。
【0010】
また、前記第1のフックと第2のフックの先端には前後方向に屈曲した鈎形状部が形成されており、当該第1のフックと第2のフックの鈎形状部の前後方向の幅は、対応する孔の下部部分の前後方向の幅より小さく、対応する孔の上部部分の前後方向の幅より大きく、かつ、当該第1のフックと第2のフックの鈎形状部は、各々前記上部ケースの対応する孔の上部部分の前後の周縁部に掛止されており、前記第3のフックと第4のフックの先端には前後方向に屈曲した鈎形状部が形成されており、当該第3のフックと第4のフックの鈎形状部の前後方向の幅は、対応する孔の上部部分の前後方向の幅より小さく、対応する孔の下部部分の前後方向の幅より大きく、かつ、当該第3のフックと第4のフックの鈎形状部は、各々前記下部ケースの対応する孔の下部部分の前後の周縁部に掛止されているものである。
【0011】
このような測定装置によれば、簡易な構造によってグリップ部材の上下両側端の複数箇所において強固にグリップ部材を測定装置の左右に安定的に組み付けることができ、ハンドヘルドする際の測定装置のグリップ性の向上を実現することができる。また、グリップ部材に、上部ケースと下部ケースの連結やつなぎ目のカバーとしての役割を兼ねさせることができ、測定装置の構造の簡易化を図ることができる。また、さらに、グリップ部材の第1のフックと第2のフックの鈎形状部を上部ケースの対応する孔の下部に挿入し、グリップ部材の第3のフックと第4のフックの鈎形状部を下部ケースの対応する孔の上部に挿入し、上部ケースと下部ケースを上下から力を加えて挟みつけて、第1のフックと第2のフックの鈎形状部を、各々前記上部ケースの対応する孔の上部部分の前後の周縁部に掛止させ、第3のフックと第4のフックの鈎形状部を、各々前記下部ケースの対応する孔の下部部分の前後の周縁部に掛止させるだけの簡単な作業で、グリップ部材を確実にケースに組み付けることができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、良好な操作性と、構造の簡易性を兼ね備えたハンドヘルド型測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、ハンドヘルド型の光学式のタコメータへの適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係るタコメータの外観を示す。
図中、aがタコメータの前面を、bがタコメータの上面を、cがタコメータの後面を、dがタコメータの左側面を、eがタコメータの右側面を、fがタコメータの底面を表しており、図中、gがタコメータを上方より斜視したようすを表している。
図示するように、タコメータの上面には、測定スイッチの操作部である測定キートップ51と二つのコマンドスイッチの操作部であるコマンドキートップ52と、測定結果等を表示するための液晶表示装置の表示画面61と、インジケータランプ7が設けられている。また、タコメータの前面には、被測定体に回転検出用の光を投射し被測定体で反射した光を入射するための投入射部8が設けられている。
【0014】
そして、タコメータの内部には、液晶表示装置や電気回路基盤及び光学系よりなる機能部が収容されており、これら機能部は以下の動作を行う。すなわち、測定スイッチが使用者によって押し下げられると測定スイッチの押し下げが止んでから所定期間経過するまで、タコメータの電源をオンとする。そして、測定スイッチが使用者によって押し下げられている間、光を生成してレンズから投射し、レンズに入射する当該光の反射光の強度変化に応じて、被測定体の回転数を算定し、表示装置の表示画面61に表示すると共に、反射光の検出の有無をインジケータランプ7の点灯によって表示する。また、電源がオンである期間中に、コマンドスイッチの操作が行われると、その操作内容に応じた動作を行う。
【0015】
さて、このようなタコメータの筐体は、上ケース1と下ケース2と左右のグリップ部材3と、バッテリ蓋4より構成される。
図2に、上ケース1の構造を示す。
図中、aが上ケース1の前面を、bが上ケース1の上面を、cが上ケース1の後面を、dが上ケース1の左側面を、eが上ケース1の右側面を、fが上ケース1の底面を表しており、図中、gが上ケース1を上方より斜視したようす、hが上ケース1を下方から斜視したようすを表している。
【0016】
図示するように、上ケース1は、概略、下面が開放された箱形状を有する。
そして、上ケース1の上壁には、液晶表示装置の表示画面61と測定キートップ51と二つのコマンドキートップ52とインジケータランプ7とをタコメータ上面に露出させるための開口を有する。ここで、上ケース1の上面は、前部部分が後部部分よりも上方に高くなる段差形状を有し、この段差形状の段差は後部が前部よりも低くなる傾斜を有するテーパ部分で連結されている。そして、この上方に高くなっている前部部分に液晶表示装置の表示画面61とインジケータランプ7とをタコメータ上面に露出させるための開口が設けられ、テーパ部分に、測定キートップ51と二つのコマンドキートップ52とをタコメータ上面に露出させるための開口が設けられている。
【0017】
また、上ケース1の上壁の下面には、雌ネジが切られた突部11と、二カ所の鈎受12と、二つのボス13と、軸受部14とが設けられている。また、上ケース1の左右側壁には、グリップ部材3の取り付けに用いる、図2jに拡大して示すような前後方向幅が上部において狭まった凸の字形状の孔である凸字形状孔15が複数設けられている。
【0018】
次に、図3に下ケース2の構造を示す。
図中、aが下ケース2の前面を、bが下ケース2の上面を、cが下ケース2の後面を、dが下ケース2の左側面を、eが下ケース2の右側面を、fが下ケース2の底面を表しており、図中、gが下ケース2を上方より斜視したようすを、hが下ケース2を下方から斜視したようすを表している。
【0019】
図示するように下ケース2は、概略、上面が開放された箱形状を有する。
そして、下ケース2には、上ケース1の突部11に設けられた雌ネジと螺号するネジを貫通させるネジ孔21を有する。また、下ケース2の下壁の上面には、上ケース1の二カ所の鈎受12と係合する二つの鈎部22が設けられている。また、下ケース2の下面には、タコメータの電源となるバッテリを収容する凹形状部23が形成されており、この凹形状部23を覆うように、バッテリ蓋4は装着される。
【0020】
また、上ケース1の左右側壁には、グリップ部材3の取り付けに用いる、図3jに拡大して示すような前後方向幅が下部において狭まった逆凸の字形状の孔である逆凸字形状孔24が複数設けられている。
次に、タコメータの左右側面に設けられるグリップ部材3の構造を示す。ここでタコメータの左側面に設けられるグリップ部材3と、右側面に設けられるグリップ部材3とは左右対称な構造を有しているので、ここでは右側面に設けられるグリップ部材3を代表例にとりグリップ部材3の構造を示す。
【0021】
図4にタコメータの右側面に設けられるグリップ部材3の構造を示す。
図中、aがグリップ部材3の前面を、bがグリップ部材3の上面を、cがグリップ部材3の後面を、dがグリップ部材3の左側面を、eがグリップ部材3の右側面を、fがグリップ部材3の底面を表しており、図中、gがグリップ部材3を右方より斜視したようす、hがグリップ部材3を左方から斜視したようすを表している。
【0022】
図示するように、グリップ部材3は、概略、長板形状を有し、弾力性ある素材を用いて構成されている。
そして、グリップ部材3の右面は滑り止め用の凸凹形状部31を備えた形状を有している。また、左面の上部に、グリップ部材3の上ケース1への取り付けに用いるフック32が複数前後方向に並べて設けられ、左面の下部に、グリップ部材3の上ケース1への取り付けに用いるフック32が複数前後方向に並べて設けられている。
【0023】
ここで、この各フック32は、図4Jに拡大して示すように、その先端が前後方向に鈎状に屈曲して前後方向幅が広がった形状を有している。
さて、次に、前述した測定キートップ51と二つのコマンドキートップ52は、図5に示すようなキートップモジュール5として、一体として形成されている。
図中、aがキートップモジュール5の前面を、bがキートップモジュール5の上面を、cがキートップモジュール5の後面を、dがキートップモジュール5の左側面を、eがキートップモジュール5の右側面を、fがキートップモジュール5の底面を表しており、図中、gがキートップモジュール5を上方より斜視したようす、hがキートップモジュール5の図中bの断面線AAによる断面を表している。
【0024】
図示するようにキートップモジュール5には、左右二つのボス孔53が設けられており、左のボス孔53と測定キートップ51の後部左側部と、左のボス孔53と左のコマンドキートップ52の上部とが、それぞれ可撓部54で連結されている。また、右のボス孔53と測定キートップ51の右部左側部と、右のボス孔53と右のコマンドキートップ52の上部とが、それぞれ可撓部54で連結されている。また、測定キートップ51の前部には揺動軸55が設けられている。
【0025】
そして、測定キートップ51の底面とコマンドキートップ52の底面には、測定スイッチやコマンドキースイッチとして各々用いられるプッシュスイッチの操作面の押し下げを行うための突起56が設けられている。
また、図hの断面に示すように、測定キートップ51は、前部から後部に向かって下方に傾斜した形状を有している。
さて、このようなタコメータの組み立ては次のように行う。
まず、図5に示したキートップモジュール5の図2に示した上ケース1への組み付けは、上ケース1へのキートップモジュール5を組み付けたようすを下方から表す図6aや、図6aの断面線BBによる断面を表す図6bに示すように、キートップモジュール5の揺動軸55を上ケース1の軸受部14に枢着し、キートップモジュール5の二つのボス孔53に上ケース1の二つのボス13を圧入して嵌挿することにより行われる。
【0026】
ここで、この状態において、キートップモジュール5の操作キートップ51と二つのコマンドキートップ52は、それぞれ、上ケース1に設けられた開口に上部が遊嵌して上面が露出した形態となる。また、キートップモジュール5の操作キートップ51の、ユーザの押し下げ操作に応じて、操作キートップ51とボス孔53との間の可撓部54は撓み、操作キートップ51は、図6cに示すように、可撓部54の撓みに抗する付勢力による復元力を持ちつつ、揺動軸55を回転軸として後部が下方に移動するように揺動し、操作キートップ51の下部の突起56が下方に移動する。また、コマンドキートップ52のユーザの押し下げ操作に応じて、押し下げ操作されたコマンドキートップ52とボス孔53との間の可撓部54は撓み、当該コマンドキートップ52は、可撓部54の撓みに抗する付勢力による復元力を持ちつつ、ボス孔53を固定点として後部が下方に移動するように揺動し、当該コマンドキートップ52の下部の突起56が下方に移動する。
【0027】
ここで、このようにキートップモジュール5を上ケース1に組み付けた状態において、図6b、cに示すように、操作キートップ51の上面は、上ケース1の後部が下方に傾斜したテーパ部分の上面と略同一の高さで略同一の傾斜をもって配置される。したがって、タコメータをポケットなどに携帯しているときに、何らかのはずみで操作キートップ51の意図せぬ操作が行われてしまうことが抑制される。また、上ケース1の後方に向かって下方に傾斜したテーパ部分に、押し下げ式の各キートップを設けているので、ユーザは、タコメータの後部部分を握持した状態で、握持しているタコメータの後部部分の面まで各キートップを押しつけるだけの自然な動作形態で、各キートップの操作を行うことができるようになる。
【0028】
次に、上ケース1と下ケース2と二つのグリップ部材3の組み立ては次のように行う。
すなわち、まず、図7a1-b1に示すように、液晶表示装置6や、測定スイッチとして用いるプッシュスイッチ81やコマンドスイッチとして用いるプッシュスイッチ82などを搭載した回路基板9を搭載した下ケース2の左側壁の逆凸字形状孔24のそれぞれに、左側のグリップ部材3の下側のフック32の各々を挿入し、下ケース2の右側壁の逆凸字形状孔24のそれぞれに、右側のグリップ部材3の下側のフック32の各々を挿入する。
【0029】
ここで、この状態において、各グリップ部材3の下側のフック32は、図7b2に示すように下ケース2の側壁の逆凸字形状孔24の上部の前後方向幅が広い部分に挿入された状態となる。
次に、図7c1に示すキートップモジュール5を組み付けた上ケース1を、図7c2に示すように、下ケース2の上方に平行に配置し、上ケース1の左側壁の凸字形状孔15のそれぞれに、左側のグリップ部材3の上側のフック32の各々を挿入し、上ケース1の右側壁の凸字形状孔15のそれぞれに、右側のグリップ部材3の上側のフック32の各々を挿入する。
【0030】
ここで、この状態において、図7c2及び図7c2中のフック32部分の拡大図である図7c3に示すように、各グリップ部材3の下側のフック32は、下ケース2の側壁の逆凸字形状孔24の上部の前後方向幅が広い部分に挿入された状態となり、各グリップ部材3の上側のフック32は、上ケース1の側壁の凸字形状孔15の下部の前後方向幅が広い部分に挿入された状態となる。
【0031】
そこで、次に、図7d1に矢印で示すように、上ケース1と下ケース2を上下から力を加えて挟みつけ、図7d2及び図7d2中のフック32部分の拡大図である図7d3に示すように、各グリップ部材3の下側のフック32の根本の前後方向幅が狭い部分を、下ケース2の側壁の逆凸字形状孔24の下部の前後方向幅が狭い部分に押し入れ、各グリップ部材3の上側のフック32の根本の前後方向幅が狭い部分を、上ケース1の側壁の凸字形状孔15の上部の前後方向幅が狭い部分に押し入れる。また、このとき、併せて、上ケース1の前部の鈎受12に、下ケース2の前部に設けられた鈎部22が嵌り込むことになる。
【0032】
ここで、この状態において、各グリップ部材3は、図7d4の上下方向から見たフック32と上ケース1/下ケース2との関係に示すように、フック32の先端の鈎状部分が凸字形状孔15/逆凸字形状孔24の周縁に掛かり止まって、グリップ部材の長板形状の部分とフック32の先端の鈎状部分の間で上ケース1/下ケース2の側壁を挟持した形態となる。そして、この形態で、各グリップ部材3は、下ケース2と上ケース1とを連結すると共に、各グリップ部材3が、下ケース2と上ケース1に対して固定される。
【0033】
そして、最後に、下ケース2の下方より、下ケース2のネジ孔21を通して雄ネジを、上ケース1の突部11の雌ネジにネジ止めし組み立てを完了する。
ここで、このように上ケース1と下ケース2とに組み付けられるグリップ部材3によれば、上ケース1と下ケース2の連結部材や、上ケース1と下ケース2のつなぎ目のカバーとしての役割を兼ねる簡易な構造によって強固にグリップ部材3をタコメータに組み付け、ハンドヘルドする際のグリップ性の向上を実現することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態で示したタコメータのグリップ部材3やキーモジュールの構造や、各キーやケースの形状や配置関係は、タコメータ以外の任意のハンドヘルド型の測定装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータの外観を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータの上ケースの構造を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータの下ケースの構造を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータのグリップ部材の構造を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータのキートップモジュールの構造を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータのキートップモジュールの上ケースへの組み付け構造を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るハンドヘルド型のタコメータの上ケースと下ケースとグリップ部材の組み付け構造を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…上ケース、2…下ケース、3…グリップ部材、4…バッテリ蓋、5…キートップモジュール、6…液晶表示装置、7…インジケータランプ、8…投入射部、11…突部、12…鈎受、13…ボス、14…軸受部、15…凸字形状孔、21…ネジ孔、22…鈎部、23…凹形状部、24…逆凸字形状孔、31…凸凹形状部、32…フック、51…測定キートップ、52…コマンドキートップ、53…ボス孔、54…可撓部、55…揺動軸、61…表示画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略直方体形状のケースに測定機能部を収容した、手持ち操作されるハンドヘルド型の測定装置であって、
前記ケースに収容された、前記ケースの上面に表示面が配置された表示装置と、
前記ケースの上面に配置された操作キーとを有し、
前記ケースの上面は、後部部分よりも前部部分の高さが高く形成されており、かつ、前記前部部分と前記後部部分との間に、前記前部部分と後部部分を連結する、後部に向けて下方に傾斜した傾斜部分を有し、
前記表示面は前記ケースの上面の前部部分に配置されており、
前記操作キーは前記ケースの上面の前記傾斜部分に、当該操作キーの上面の高さ及び傾斜が、前記ケースの上面の前記傾斜部分の高さ及び傾斜に揃うように配置されていることを特徴とするハンドヘルド型の測定装置。
【請求項2】
請求項1記載のハンドヘルド型の測定装置であって、
前記操作キーは、ユーザの押し下げ操作に応じて、前端を揺動軸として後端が下方に揺動して、前記ケースに収容されたスイッチを作動するように設けられていることを特徴とするハンドヘルド型の測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の測定装置であって、
前記ケースの上面に配置された第2のキーを有し、
前記操作キーと前記第2のキーは単一のキーモジュールとして一体として形成されており、
前記キーモジュールは、前記操作キーの前端に設けられた左右方向に延びる軸部と、前記操作キーの後端に連結した第1の可撓部と、前記第1の可撓部に連結した固定部と、前記固定部と前記第2のキーとに連結した第2の可撓部とを有し、
前記ケースの上壁の内面側には、前記軸部を枢着する軸受部と、前記固定部を上ケースに固着するための固定構造部とが設けられていることを特徴とするハンドヘルド型の測定装置。
【請求項4】
概略直方体形状のケースに測定機能部を収容した、手持ち操作されるハンドヘルド型の測定装置であって、
前記ケースの左右側壁に各々固着された、左右一対のグリップ部材を有し、
前記ケースは、当該ケースの上部を形成する上部ケースと、当該ケースの下部を形成する下部ケースとより構成され、
前記上部ケースの左右側壁には、各々、前後方向に配列された複数の、上部部分において前後方向の幅が狭められた孔が設けられており、
前記下部ケースの左右側壁には、各々、前後方向に配列された複数の、下部部分において前後方向の幅が狭められ孔が設けられており、
前記ケースの左側壁に固着されるグリップ部材の右側面の上部には、前記上部ケースの左側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第1のフックを有し、前記ケースの右側壁に固着されるグリップ部材の左側面の上部には、前記上部ケースの右側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第2のフックを有し、前記ケースの左側壁に固着されるグリップ部材の右側面の下部には、前記下部ケースの左側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第3のフックを有し、前記ケースの右側壁に固着されるグリップ部材の左側面の下部には、前記下部ケースの右側壁の孔の各々に対応して設けられた、前後方向に配列された複数の第4のフックを有し、
前記第1のフックと第2のフックの先端には前後方向に屈曲した鈎形状部が形成されており、当該第1のフックと第2のフックの鈎形状部の前後方向の幅は、対応する孔の下部部分の前後方向の幅より小さく、対応する孔の上部部分の前後方向の幅より大きく、かつ、当該第1のフックと第2のフックの鈎形状部は、各々前記上部ケースの対応する孔の上部部分の前後の周縁部に掛止されており、
前記第3のフックと第4のフックの先端には前後方向に屈曲した鈎形状部が形成されており、当該第3のフックと第4のフックの鈎形状部の前後方向の幅は、対応する孔の上部部分の前後方向の幅より小さく、対応する孔の下部部分の前後方向の幅より大きく、かつ、当該第3のフックと第4のフックの鈎形状部は、各々前記下部ケースの対応する孔の下部部分の前後の周縁部に掛止されていることを特徴とするハンドヘルド型の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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