説明

ハンマグラブとそのクラウン装置

【課題】地中から引上げる地中杭等の埋設物の重量の制限が緩和され、埋設物の能率よい除去が可能となると共に、引上げ操作が容易で安全性が高まるハンマグラブとそのクラウン装置を提供する。
【解決手段】ハンマグラブバケット1の頂部の吊支用円筒6に着脱可能に係止され、かつバケット吊りロープ3と共に上下動する掛金37が内部を通過可能な第1のクラウン5を備える。可撓性支持部材33により第1のクラウン5を支持すると共に、バケット吊りロープ3より吊上げ力の大きな巻上げ手段により可撓性支持部材32を介して支持され、かつバケット吊りロープ3を通す第2のクラウン31を備える。第2のクラウン31の係止爪59を掛金37に係止させた状態において、吊上げ力の大きな巻上げ手段によるハンマグラブバケット1を吊上げ対象物と共に吊上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマグラブとそのクラウン装置に係わり、特に地中に埋設されたコンクリート杭を所定の長さごとに切断して引上げる場合のように、対象物の重量が大きい場合に好適なハンマグラブとそのクラウン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンマグラブは、特許文献1に示すように、ケーシングドライバの中掘りに使用されることが多い。図18に示すように、このハンマグラブバケット(以下バケットと称することがある。)1は、クレーン(図示せず)に搭載され巻上ウインチ(補巻ウインチ)2により巻取り繰出しされてブーム(図示せず)の頂部から垂下されるバケット吊りロープ3により支持され、このバケット1をケーシングドライバにより建て込まれたケーシング内に入れ、巻上ウインチ2のブレーキを解除し、バケット1をその下部のシェル1aを開いた状態で自由落下させてケーシング内の地盤底部に食い込ませ、その後、バケット吊りロープ3を巻上げてシェル1aを閉じ、さらに巻上げてバケット1を地上に引上げ、シェル1aを開いて排土するという作業を繰り返して中掘りを行なうものである。図18において、4はケーシングドライバを吊上げるための巻上ウインチ(主巻ウインチ)である。
【0003】
このようなバケット1において、クラウン5は、バケット1のシェル1aを開いて排土させるに当たり、シェルを開いた状態とするために使用される。通常、このクラウン5は、例えば特許文献2、3に示されるように、巻上ロープやチェーンに接続されるクラウンヘッドと、クラウンヘッドに上下動可能に取付けられた筒状の錘からなる。クラウンヘッドは、前記バケット吊りロープ3等を中に通すため、上面開口の釣鐘状をなし、そのクラウンヘッドに複数の係止爪を回動可能に取付けている。前記錘は前記係止爪操作用のもので、図18に示すようなバケット1の頂部に設けた吊支用円筒6に対して前記係止爪を係止姿勢と非係止姿勢の間で回動させるために設けられる。
【0004】
このクラウンは特許文献2に示すように、クレーンのブームからワイヤロープやチェーンにより固定高さに垂下されるか、あるいは図18に示すように、前記巻上ウインチ2とは別の巻上ウインチ7により巻取り繰出しされる巻上ロープ9により上下動可能に支持される。
【0005】
このハンマグラブにおいて、バケット1を地中に落下させた後、バケット吊りロープ3を巻上げてシェル1aを閉じて土砂を取り込むと、バケット1内のシェル開方向付勢用スプリング45(以下図3参照)が圧縮され、さらにバケット吊りロープ3を巻上げるとバケット1が上方に引上げられる。そして、地上の排土位置まで引上げた後、クラウン5の係止爪がバケット1の頂部の吊支用円筒6の上方の係止部を引っ掛かる。これにより、バケット1はクラウン5を介して巻上ロープ9により支持される。このため、バケット吊りロープ3を弛めるとバケット1内の前記スプリング45の力によりシェル1aが拡げられ、シェル1a内の土砂が地上に排土される。また、バケット吊りロープ3に接続されるチェーン46に固定された掛金37がバケット1の頂部のラッチ36により係止され、バケット1はバケット吊りロープ3によりシェル1aが開いた状態で支持される。この状態でバケット吊りロープ3を巻上げるかあるいは巻上ウインチ7により巻上ロープ9を巻き下げてクラウン5を下げると、クラウン5の錘がクラウンヘッドに対して相対的に上がり、クラウンヘッドの係止爪による吊支用円筒6の係止が解かれ、クラウン5を吊支用円筒7から外すことができ、ハンマグラブの自由落下が可能な状態となる。
【0006】
【特許文献1】特開平6−317079号公報
【特許文献2】特開平10−54049号公報
【特許文献3】実用新案登録第3032615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は、コンクリート建造物の建て替えを行なうに当り、地中に埋設されたコンクリート杭を切断して引き抜くため、ケーシングドライバと、そのケーシングドライバによりケーシングと共に切断用開閉爪を回転させて杭を切断する切断機と、切断した杭をハンマグラブにより把持して引上げるシステムを開発し、特願2005−364172号として提案した。
【0008】
このように地中杭を切断して地上に引上げる場合、杭の径や長さが大きいと、切断された杭の重量も大となり、切断した杭とバケット1の重量を加算した総重量も大となる。例えばバケット1の重量が3tで、切断した杭が7tであると、総重量が10tにも及ぶ。ここで、巻上ウインチ(補巻ウインチ)2の巻上げ能力が10tであると、それ以上の杭の引上げは不可能となり、それ以上の重量の杭の引上げは不可能となる。杭の切断、引上げを能率良く行なうには、杭の切断長さをなるべく長くし、切断作業の回数と引上げ回数を少なくする必要があるが、図18に示した従来技術によると、能率向上に限界がある。また、地中に大きな転石や埋もれた木等の大きな障害物がある場合、前記引上げ能力の制限から、これらの障害物が除去できない場合があるという問題点がある。
【0009】
巻上ウインチ(補巻ウインチ)2により巻上げ可能な重量を超える埋設物を引上げる場合には、クラウン5をバケット1の頂部の吊支用円筒6に係止したままとし、巻上ウインチ2と巻上ウインチ7の双方を同時に巻上げ方向に操作してバケット1を吊上げることも行なわれていたが、2台のウインチ2、7の巻上げ速度を同調させて操作することは大変難しく、クラウン5を吊っている巻上ロープ9の巻上げ力が強すぎるとバケット吊りロープ3が緩み、シェル1aが開いてシェル1aで把持していた重量物が落下するという危険性があった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、地中から引上げる地中杭等の埋設物の重量の制限が緩和され、埋設物の能率よい除去が可能となると共に、引上げ操作が容易で安全性が高まるハンマグラブとそのクラウン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1のハンマグラブのクラウン装置は、
クレーンの巻上ウインチにより巻取り繰出しされ、ブームの頂部から垂下されるバケット吊りロープにより吊られるハンマグラブバケットを備えると共に、ハンマグラブバケット吊支用のクラウン装置を備えたハンマグラブにおいて、
前記ハンマグラブバケットの頂部の吊支用円筒に着脱可能に係止され、かつ前記バケット吊りロープと共に上下動する掛金が内部を通過可能な第1のクラウンと、
可撓性支持部材により前記第1のクラウンを支持すると共に、前記バケット吊りロープより吊上げ力の大きな巻上げ手段により可撓性支持部材を介して支持され、かつ前記バケット吊りロープを通す第2のクラウンとを備え、
前記第2のクラウンは、前記掛金に対する係止、非係止の位置または姿勢に変更可能な係止体と、この係止体の位置または姿勢を選択する手段を有し、
前記第2のクラウンの前記係止体を前記掛金に係止させた状態において、前記吊上げ力の大きな巻上げ手段によるハンマグラブバケットの吊上げを可能にした
ことを特徴とする。
【0012】
請求項2のハンマグラブのクラウン装置は、請求項1に記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記第2のクラウンは、前記バケット吊りロープを通すクラウンヘッドと、このクラウンヘッドに上下動可能に装着される錘とを備え、
前記係止体の位置または姿勢を選択する手段は、前記錘に係合され、錘が前記クラウンヘッドに対して上下に変位することにより、前記掛金に対して係止姿勢と非係止姿勢に回動可能な係止爪からなる
ことを特徴とする。
【0013】
請求項3のハンマグラブのクラウン装置は、請求項2に記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記第2のクラウンは、前記錘の前記クラウンヘッドに対する上下方向の相対位置を保持する手段を有し、
前記位置保持手段は、前記クラウンヘッドに設けられ、ほぼハート形の閉じたループを形成するガイド溝を有するガイド体と、前記錘に設けられ、前記ガイド溝に一部を挿入し、かつ前記ガイド溝に向けてスプリングにより付勢された移動体とを含み、
前記ガイド溝の左右の上部、上部の中央部、下部の中央部の各溝部の近傍にそれぞれ移動体の戻り防止用の段部を有する
ことを特徴とする。
【0014】
請求項4のハンマグラブのクラウン装置は、請求項1から3までのいずれかに記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記巻上ウインチが補巻ウインチであり、
前記吊上げ力の大きな巻上げ手段が、前記クレーンに搭載した主巻ウインチと、この主巻ウインチにより巻取り繰出しされる巻上ロープと、前記ブームの頂部および頂部から垂下した位置で前記巻上ロープをそれぞれ掛け回す上下のシーブブロックと、下方のシーブブロックに取付けられたフックとからなる
ことを特徴とする。
【0015】
請求項5のハンマグラブは、請求項1から4までのいずれかのクラウン装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明においては、バケット吊りロープにより上下動する掛金を第2のクラウンに係止させ、ハンマグラブバケットを、大きな吊上げ力を有する巻上げ手段(別のクレーン、別の巻上ウインチにより巻取り繰出しされる巻上ロープを複数掛けしたシーブブロック、または巻上げ力の大きな巻上ウインチ等)を用いて巻上げることができるので、ハンマグラブバケットを支持する巻上ウインチによる重量制限がなくなり、従来不可能であった重量の大きな埋設物の除去が可能となる。このため、例えば地中杭を所定の長さずつ切断して引上げる地中杭除去作業等において、切断回数と除去作業の回数を少なくすることができ、作業能率を上げることができる。
【0017】
また、1台の巻上ウインチにより重量の大きな埋設物を巻上げることができるので、前記した従来技術のように、2台の巻上ウインチをバケットの巻上げに用いる場合に比較して操作が容易となる上、バケットを把持している埋設物が落下するおそれがなく、安全性が向上する。
【0018】
また、ハンマグラブバケットを支持しているバケット吊りロープでは引上げることができないような転石や埋設木等であっても引上げることが可能となる。
【0019】
請求項2の発明においては、前記掛金に対する係止、非係止を選択する手段を、前記錘に係合され、錘が前記クラウンヘッドに対して上下に変位することにより、前記掛金に対して係止姿勢と非係止姿勢に回動可能な係止爪により構成したので、第2のクラウンを第1のクラウンに載せたり、離したりする操作により、係止爪を操作することができ、係止と係止解除のための例えば液圧シリンダや電磁石等のアクチュエータやそのための配管、配線が不要となり、構成が簡略化できる。
【0020】
請求項3の発明においては、第2のクラウンの錘の位置保持手段を前記のように構成したので、第2のクラウンを第1のクラウン上に載せたり離したりする操作により、係止爪を係止姿勢と非係止姿勢に交互に変更することができる。
【0021】
請求項4の発明は、ケーシングドライバと共に協働するハンマグラブに備えられた主巻ウインチを大荷重の吊上げに用いることができ、別のクレーンが不要となる。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1〜4までのいずれかのクラウン装置を備えてハンマグラブを構成したので、前記各効果をあげることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明のクラウン装置を備えたハンマグラブの一実施の形態を示す斜視図である。この実施の形態においては、ハンマグラブを構成するクレーン10が、ケーシングドライバ11と共に地中杭12の切断、除去に使用される場合について示す。クレーン10は、ケーシングドライバ11に連結された掘削反力受け用の台枠13に載せて作業を行なうか、あるいは後述のクローラ式走行体14で反力を支持するように設置する。このクレーン10は、クローラ式走行体14上に旋回体15を設置し、旋回体15上に液圧源や電源を備えたパワーユニット16や運転室17が搭載され、ブーム19が起伏ウインチ20等からなる起伏装置21により起伏される。2、4は旋回体15上に搭載された巻上ウインチで、本実施の形態においては巻上ウインチ2は通常補巻ウインチと称され、第2のウインチ4は通常主巻ウインチと称されるものである。
【0024】
ケーシングドライバ11は継ぎ足し式ケーシング22を地中に建て込むもので、ガイド枠に沿って液圧シリンダ等により昇降させる昇降枠と、その昇降枠に搭載され、液圧モータにより回転する回転体と、その回転体をケーシング22にチャックするチャック装置とを備え、ケーシング22をチャック装置により回転体にチャックした状態で回転または揺動させながら、前記液圧シリンダによりガイド枠に沿って前記昇降枠を回転体と共に下降させてケーシング22を地中に押し込むことにより、ケーシング22を地中に建て込み、ケーシング22の1本分が建て込まれたら、新たなケーシングを別のクレーンまたはクレーン10により吊り込んで継ぎ足すという作業を繰り返してケーシング22の建て込みを行なうものである。この実施の形態においては、地中杭12と同心にケーシング22を建て込み、ケーシング22と地中杭12との間に挿入する例えば前記特願2005−364172号で示した切断機により地中杭12を切断し、バケット1を用いて引上げて除去するものである。
【0025】
この特願2005−364172号で示した切断機は、ケーシング22内に開閉式バケットを地中杭12とケーシング22の間に挿入し、液圧シリンダにより開閉式バケットを閉じ方向に作動させてバケットに設けた掘削爪を地中杭12に食い込ませ、ケーシングドライバ11によりケーシング22と共に切断機を回転させることにより、前記切断機のバケットにより地中杭12の外周側から切断溝を入れ、切断するものである。
【0026】
図2は図1に示したクラウン装置の構成を示す斜視図である。1は下部シェル1aを有するハンマグラブバケット、2はこのバケット1を支持するバケット吊りロープ3を巻取り繰出しする前記巻上ウインチ(補巻ウインチ)であり、バケット吊りロープ3はブーム19の頂部のシーブ23から垂下される。24は前記巻上ウインチ(主巻ウインチ)4により巻取り繰出しされる巻上ロープであり、この巻上ロープ24はブーム19の頂部に取付けられたシーブブロック25の複数のシーブ26と、ブーム19の頂部からこの巻上ロープ24により垂下されたシーブブロック27の複数のシーブ29との間で掛け回わされる。30は垂下されたシーブブロック27の枠に取付けたフックである。
【0027】
5は前記バケット1の頂部の吊支用円筒6を着脱可能に係止するクラウンであり、以下これを第1のクラウンと称す。31は第2のクラウンであり、この第2のクラウン31は前記フック30によりワイヤロープまたはチェーン等の可撓性支持部材32により支持される。前記第1のクラウン5は前記第2のクラウン31により可撓性支持部材33(これは前記可撓性支持部材32を延長したものであってもよい。)を介して支持される。
【0028】
図3は前記バケット1の内部構造の一例を示す断面図である。6はバケット1の上部に固定したブラケット34に所定の上下幅にわたり摺動自在に取付けられた吊支用円筒であり、この吊支用円筒6は図4の断面図に示すように、スプリング35により下方へ付勢される。36は掛金37を掛ける吊支用円筒6のラッチであり、このラッチ36は前記ブラケット34にピン38を中心として回動自在に取付けられている。39はバケット1内上部に軸40を介して回転可能に取付けた上方シ−ブ、41はバケット1内に昇降可能に取付けた昇降フレ−ム、42は昇降フレ−ム41に軸43を介して回転可能に取付けた下方シ−ブ、44は上方シーブ39と下方シーブ42とに掛け回されたワイヤロープである。45は軸40を支持する支持部材と昇降フレ−ム41との間に設けた押圧スプリングである。
【0029】
46はバケット吊りロープ3にスイベルジョイント47を介して取付けたチェ−ンであり、その下部に前記掛金37が取付けられると共に、このチェーン46と前記ワイヤロープ44とが接続される。
【0030】
1aはバケットの下端左右部にピン50を介して開閉可能に取付けたシェルであり、このシェル1aは平面視形状が弧状をなす。これらのシェル1aは前記昇降フレーム41とリンク51を介して連結され、昇降フレーム41が上昇、下降するとシェル1aが閉方向、開方向に動作する。
【0031】
図4に示す第1のクラウン5は公知の構造のもので、クラウンヘッド52に軸53を中心に回動可能に複数の係止爪54を取付け、クラウンヘッド52の外側に筒形の錘55を装着したもので、錘55がクラウンヘッド52に対して下がった位置にあるときは、吊支用円筒6の上部の突出した係止部6aを係止しない傾斜姿勢となる。一方、錘55がクラウンヘッド52に対して上がった位置になると、係止爪54は係止部6aを係止可能な水平姿勢となる。
【0032】
図5は前記第2のクラウン31を示す側面図、図6はその平面図、図7は図6のA−A断面図である。56は円筒形をなすクラウンヘッドであり、その上部に設けたブラケット57に前記ワイヤロープまたはチェーンからなる可撓性支持部材32、33がボルト58aとナット58bにより接続される。
【0033】
59は前記掛金37を係止する係止爪である。この係止爪59はクラウンヘッド56の外面に設けた平行板状のブラケット60に取付けた軸61を中心として回動可能に、クラウンヘッド56に設けた窓62に挿入して取付けられる。この係止爪59は複数個(本例では3個)設けられ、図7に示すように、軸61がクラウンヘッド56の外側に偏位して設けられていることにより、通常は図示のように窓62の底部に支持され、掛金37を係止可能な水平の係止姿勢をとる。63はブラケット60に固着され、係止爪59を保護するために設けられたカバーである。
【0034】
64はクラウンヘッド56の外周にクラウンヘッド56に対して上下動可能に装着された筒状の錘であり、この実施の形態においては、錘64に設けた複数本(本例では3本)のロッド65を、クラウンヘッド56の外側に設けたガイド筒66にそれぞれ摺動可能に嵌合することにより、錘64はクラウンヘッド56に対して回り止めして上下動可能に変位できるように構成している。ロッド65の頂部にはストッパ65aが取付けられ、このストッパ65aがガイド筒66の上面に当接することにより、錘64のクラウンヘッド56からの抜け出しが防止される。この実施の形態においては、錘64は自重によりクラウンヘッド56に対して下方に付勢される。この下方への付勢手段としては、スプリングを付加的に用いてもよい。
【0035】
67は前記係止爪59を操作する操作体であり、この操作体67はそれぞれ前記係止爪59に対して係止爪59の下方部位に設けられ、錘64がクラウンヘッド56に対して相対的に上動すると、操作体67が係止爪59を押し上げて掛金37を係止しない解除姿勢に変位させるものである。また、操作体67がクラウンヘッド56に対して相対的に下がると、係止爪59が水平の係止姿勢、すなわち掛金37を上に載せて係止可能な姿勢をとるものである。しかし、この係止姿勢であっても、掛金37を引上げて下方から係止爪59に当てると、係止爪59を上方に押し上げることができ、掛金37をクラウンヘッド56に通過させることができる。
【0036】
この第2のクラウン31には、さらにクラウンヘッド56と錘64との相対位置を保持する手段を有する。この位置保持手段は、クラウンヘッド56の外面にボルト72により取付けたガイド体69と、このガイド体69に設けたガイド溝70に移動可能に押し当てる移動体71とを含む。
【0037】
前記移動体71の取付け装置は、錘64の外面に半径方向に突出させて設けた軸73と、この軸73に回動可能に嵌合しかつ抜け止めして取付けた筒体74と、この筒体74にその半径方向に突出させて一体に設けたアーム部75と、このアーム部75の先端に一体に設けた筒体76とを含む。前記移動体71は前記筒体76内に一部が収容され、この移動体71と筒体76に設けたスプリング受け77との間に押圧スプリング78を介在させ、移動体71の先端をガイド体69のガイド溝70内に押圧して当接させている。79はこれらの位置保持手段を構成する部材を覆うカバーである。
【0038】
図8(A)に示すように、ガイド溝70はほぼハート形をなし、図8(B)に示すように、左側の溝部70aは上方から下方にかけて、溝70の底面の高さが次第に高くなる(錘64の半径方向に突出する)ような傾斜面に形成される。また、図8(C)に示すように、ガイド溝70の右側の溝部70aは下方から上方にかけて、溝70の底面が次第に高くなるように形成される。また、これらの傾斜面に形成された左側溝部70aと右側溝部70bの境界となるガイド溝70の下の部分には移動体71の戻り防止用の段部70cが形成される。また、ガイド溝70の上部の中央部70dは下方に下げた形状としており、図8(D)に示すように、右側の溝部7bの最も高い部分から左側の溝部分7aの最も低い部分にわたり、平面状の底面を有する左下がりの溝部70h、左上がりの溝部70i、前記底面が傾斜した左側の傾斜した溝部70aに連続する溝部70jが形成され、これらの溝部70h、70i、70jの近傍にそれぞれ移動体71の戻り防止用の段部70e、70f、70gが形成されている。
【0039】
図9ないし図12は図5ないし図8に示した第2のクラウン31の係止爪59の操作および動作を説明する図である。いま、図9(A)に示すように、クラウンヘッド56に対して錘64が下がった相対位置にあるとき、ロッドの上部のストッパ65aがガイド筒66の上面に当接した状態で抜け止めされる。このとき、図9(B)に示すように、移動体71は溝部70bの下部の底面にスプリング78の力で圧接する。この状態では、可撓性支持部材32により第2のクラウン31が支持されると共に、第2のクラウン31の錘64がその下方にある第1のクラウン5に当接していない状態である。
【0040】
バケット吊りロープ3によりバケット1を支持した状態において、巻上ウインチ4を作動させて巻上ロープ24を繰出すと、シーブブロック27が下がり、まず第1のクラウン5がバケット1の頂部のブラケット34および吊支用円筒6上に載り、さらに図15(B)に示すように、第1のクラウン5上に第2のクラウン31が載る。これにより、クラウンヘッド56に対して錘64が相対的に上がり、操作体67が係止爪59を押し上げ、掛金37に対して係止爪59を非係止姿勢とする、このとき、操作体67が係止爪59を押し上げる過程においては、移動体71はガイド体69の右側の溝部70bに沿って上がり、アーム部75が多少回動しながら相対的に上がる。そして戻り防止用の段部70eを超えてガイド溝70の右上部の浅い溝部70hに達する。この状態を図10(A)、(B)に示す。
【0041】
図10(A)、(B)の状態から巻上ウインチ4により巻上ロープ24を巻取ると、シーブブロック27が上がり、第2のクラウン31も上がるので、第2のクラウン31の錘64が第1のクラウン5から離れ、錘64の自重により錘64がクラウンヘッド56に対して落下しようとするが、移動体71がガイド溝70に嵌まっているので落下が阻止され、錘64の自重により移動体71は左下がりに形成されている溝部70hに沿って移動し、さらに段部70fを超えて溝部70iに至り、この間、錘64はクラウンヘッド56に対して若干下がる。この状態を図11(A)、(B)に示す。この状態では錘64はアーム部75を介して支持され、係止爪59は掛金37に対して非係止姿勢に保持される。
【0042】
次に再び巻上ウインチ4を巻上ロープ24の繰出し方向に作動させて図15(B)に示す状態とすると、再度錘64がクラウンヘッド56に対して相対的に上がる。この錘64の相対的上動に伴い、移動体71はガイド溝70の左上がりの溝部70iに沿って上がり、段部70gを超えて溝部70jに至る。この状態を図12(A)、(B)に示す。
【0043】
続いて巻上ウインチ4を巻上ロープ24の巻取り方向に作動させると、再度第2のクラウン31が上がり、錘64が第1のクラウン5から離れ、錘64がクラウンヘッド56に対して下降するので、移動体71はガイド溝70の左側の溝部70aに沿って下降し、段部7cを超え、溝部7bの下部に至り、ストッパ65aがガイド溝66の上面に当接した状態となりさらなる下降が防止される。この状態は図9(A)、(B)の状態、すなわち係止爪59は掛金37が係止しうる姿勢となる。
【0044】
このように、バケット1をバケット吊りロープ3により支持した状態において、巻上ウインチ4の巻上ロープ24を巻取り繰出し、第1のクラウン5上に第2のクラウン31を載せたり引上げて離したりするごとに、図9(A)、(B)に示すように係止爪59を係止姿勢にしたり、図11(A)、(B)に示すように係止爪59を非係止姿勢に変更することができる。
【0045】
次に図13ないし図17により、このクラウン装置を備えたハンマグラブを用いて地中杭の除去作業を行なう場合の操作、動作について説明する。図13(A)は前述のように地中杭12を除去するに当り、前記ケーシングドライバ11によって地中杭12に同心にケーシング22を建て込み、切断機(図示せず)により地中杭12の頂部から所定の長さの箇所に切れ目12Xを設けた後、引上げられるべき切断杭12Aをバケット1のシェル1aで把持した状態を示す。
【0046】
前記切断杭12Aの把持は、次のように行なわれる。切断杭12Aをバケット1により把持する場合、図3に示すように、ラッチ36の下面に掛金37を掛けてバケット1をバケット吊りロープ3により吊った状態、すなわちシェル1aを開いた状態で巻上ウインチ2の作動によりバケット吊りロープ3を繰出し、シェル1aを切断杭12Aの頂部に被せる。このようにバケット1を下降させてシェル1aにより切断杭12Aを把持したとき、バケット吊りロープ3は下降の慣性力と巻上ウインチ2のブレ−キをかけるタイミングのずれから少し弛む。これによって図4に示す押圧スプリング35のスプリング力により吊支用円筒6が下降し、ラッチ36がピン38を中心に図4の矢印aで示すように回動し、ラッチ3の内端は下向きに回転して掛金37から外れる。
【0047】
このように掛金37がラッチ36から外れた状態でバケット吊りロープ3を巻上げると、バケット吊りロープ3に接続したスイベルジョイント47と吊上用チェ−ン46も一緒に巻上げられ、掛金37は吊支用円筒6より上方に抜け出る。ここで、ワイヤロ−プ44は昇降フレ−ム41に取付けられた下方シ−ブ42とバケット1に取付けられた上方シ−ブ39との間に掛け回されているため、昇降フレ−ム41も上方に引上げられる。これにより昇降フレ−ム41にリンク36を介して連結されたシェル1aが閉じ方向に作動し、切断杭12Aの上部をシェル1aで把持する。このとき、シェル1aに設けられている爪または先端鋭利な複数個の突起(図示せず)が切断杭12Aに食い込み、切断杭12Aの落下が防止される。このようにして切断杭12Aをシェル1aにより把持した状態を図13(A)に示す。また、クラウン5、31の状態を図15(A)に示す。
【0048】
続いて巻上ウインチ4の作動より、巻上ロープ24を繰出し、図13(A)、(B)に示すように、シーブブロック27を下降させ、掛金37より下方に第2のクラウン31を位置させる。ここで、仮に、第2のクラウン31の錘64がクラウンヘッド56に対して下降した位置にあれば、係止爪59が図9(A)に示すように水平の係止姿勢にあるが、第2のクラウン31を掛金37よりも下に下降させるとき、掛金37により係止爪59が上方に押し上げられて回動するので、掛金37を通過させることができる。この場合は、掛金37が第2のクラウン31より上方になるまで第2のクラウン31を下降させた後、今度は巻上ロープ24を巻上げ、図14(A)、図16(A)に示すように、第2のクラウン31の係止爪59上に掛金37を係止し、さらに巻上ウインチ4により巻上ロープ24を巻上げれば、バケット1は、ワイヤロープ44に張力を掛けた状態、すなわちシェル1aを閉じ方向に付勢した状態で、ワイヤロープ44、掛金37、第2のクラウン31、可撓性支持部材32、シーブブロック27、25に巻かれた巻上ロープ24を介して巻上げられる。このとき、バケット吊りロープ3は弛めた状態とする。
【0049】
もし、図13(A)に示すように第2のクラウン31を下降させる際に、係止爪59が図11(A)、図15(A)に示すような非係止姿勢にあれば、勿論掛金37は第2のクラウン31内を通すことができるが、この場合は、係止爪59を係止姿勢に変更するため、第1のクラウン5をバケット1の頂部のブラケット34および吊支用円筒6上に載せ、さらに第2のクラウン31を下降させて、図13(B)、図15(B)に示すように、第1のクラウン5上に載せる。この第2のクラウン31を第1のクラウン5に載せる操作で移動体71は図11(B)に示す溝部70iから段部70gを超えて図12(B)に示すように溝部70jに移る。その後、巻上ロープ24を巻上げることにより、前に説明したように、クラウンヘッド56に対して錘64と共に操作体67を下降させ、これに伴い移動体71は溝部70aに沿って下降し、係止爪59を図9(A)に示す水平の係止姿勢にする。この状態でさらに巻上ウインチ4により巻上ロープ24を巻上げることにより、図14(A)、図16(A)に示すように、係止爪59上に掛金37を係止した状態となり、切断杭12Aを把持したバケット1を、ワイヤロープ44、掛金37、可撓性支持部材32、シーブブロック27、25に掛け回した巻上ロープ24を介して吊上げることができる。
【0050】
続いて地上に切断杭12Aを降ろす際には、巻上ウインチ4により巻上ロープ24を繰出して図14(B)に示すように切断杭12Aを地面GLに着地させる。この後、巻上ウインチ2を操作してバケット1および切断杭12Aを支持しておき、図14(B)、図16(B)に示すように、さらに巻上ロープ24を繰出し、ブラケット34および吊支用円筒6上に第1のクラウン5を載せ、その上に第2のクラウン31を載せる。この動作により、第2のクラウン31の錘64がクラウンヘッド56に対して相対的に上がり、移動体71は図10(B)の溝部70hの位置になり、係止爪59は図10(A)に示す非係止姿勢となる。その後、第2のクラウン31を引上げると、係止爪59は非係止姿勢のままで、移動体71は図11(B)に示す溝部7i(非係止位置)に保持される。
【0051】
一方、第1のクラウン5においては、図16(B)に示すように(図15(B)、図16(A)でも第1のクラウン5の状態は同様であるが、図15(A)、(B)、図16(A)では係止爪54の図示を省略している。)、錘55はブラケット34上に載るため、クラウンヘッド52に対して錘55が相対的に上がり、係止爪54は水平の係止姿勢であって、吊支用円筒6の係止部6aに係止可能であり、巻上ウインチ4によって巻上ロープ24を巻上げることにより、図17に示すように、係止爪54が吊支用円筒6の係止部6aに係止され、バケット1および切断杭12Aは、第1のクラウン5、可撓性支持部材33、第2のクラウン31、可撓性支持部材32.シーブブロック25、27に巻かれた巻上ロープ24を介して支持することができる。このようにして第1のクラウン5によりバケット1を支持した状態で巻上ウインチ2によりバケット吊りロープ3を繰出せば、シェル1aが開き、切断杭12Aをシェル1aから離し、地面GLに倒すことができる。
【0052】
次に、バケット1内の押圧スプリング45(図3参照)によりワイヤロープ44がバケット1内に引き込まれ、掛金35がバケット1内に入った状態からバケット吊りロープ3を巻上ウインチ2により巻上げると、掛金37が図3、図4に示すラッチ36に掛かり、バケット1をバケット吊りロープ3により吊上げることができる。このバケット吊りロープ3によりバケット1を支持した状態においては、スプリング35が圧縮され、吊支用円筒6が上がり、係止部6aの位置が上がる。この係止部6aが上がった状態で、巻上ロープ24を巻上げて第1のクラウン5を上げると、クラウンヘッド52は錘55に対して相対的に上がるため、係止爪54は係止部6aに邪魔されずに回って傾斜した非係止姿勢となり、係止爪54が係止部6aから外れる。このため、シェル1aが開き、かつバケット1がバケット吊りロープ3のみにより支持された状態、すなわちケーシング22内にバケット1を挿入可能な状態に戻る。
【0053】
このハンマグラブにおいて、巻上ウインチ(補巻ウインチ)2と巻上ウインチ(主巻ウインチ)4の巻上げ可能な重量を同じく10tと仮定し、シーブブロック25、27のシーブ26、29の数を図示のようにそれぞれ3個とすると、巻上ロープ24によりバケット1と切断杭12Aを吊上げる場合は、60tが吊上げ可能となる(ただし、ワイヤロープ44等の吊上げに係る部材がこの60tの荷重に耐えられると仮定する)。従って従来巻上ウインチ2のみで例えば10t程度しか吊上げられなかったものでも、主巻ウインチ4を用いることにより、10tを超える埋設物の吊上げが可能となる。このため、従来より切断杭12Aを重量の大きなサイズごとに切断し、吊上げることができるから、切断回数と除去作業の回数を少なくすることができ、地中杭の除去作業の能率を上げることができる。
【0054】
また、1台の巻上ウインチ4により埋設物を巻上げることができるので、2台の巻上ウインチを同調させてバケットの巻上げに用いる場合に比較して操作が容易となる上、巻上げ時にはワイヤロープ44には常に張力がかかるので、バケットを把持している埋設物が落下するおそれがなく、安全性が向上する。
【0055】
また、バケット1を支持しているバケット吊りロープ3では引上げることができないような転石や埋設木等であっても引上げることが可能となる。
【0056】
本発明を実施する場合、前記掛金37に対する係止、非係止の選択は、液圧シリンダや電磁石により掛止めピンや係止爪等の係止体の位置変更や姿勢変更により行なってもよいが、本実施の形態においては、錘64が前記クラウンヘッド56に対して上下に変位することにより、前記掛金37に対して係止姿勢と非係止姿勢に回動可能な係止爪により前記選択手段を構成したので、第2のクラウン31を第1のクラウン5に載せたり、離したりする操作により、係止爪59を操作することができ、係止と係止解除のための液圧シリンダや電磁石等のアクチュエータやそのための配管、配線等が不要となり、構成が簡略化できる。
【0057】
また本実施の形態においては、錘64の位置保持手段が、ガイド体69と、その戻り防止用の段部付きのガイド溝70に沿って移動する移動体71からなるので、液圧シリンダや電磁石等のアクチュエータを付加することなく、錘64のクラウンヘッド56に対する上下動により、係止爪54を係止姿勢と係止解除姿勢に交互に変更することができる。
【0058】
本発明を実施する場合、第2のクラウン31を吊る吊上げ力の大きな吊上げ手段としては、ハンマグラブを構成するクレーン以外の別のクレーンを用いたり、ハンマグラブを構成するクレーンに搭載した巻上ウインチ2より大きな巻上げ力の巻上ウインチを搭載してその巻上ウインチを用いることもできる。しかしながら本実施の形態においては、前記吊上げ力の大きな巻上げ手段が、前記クレーン10に従来より搭載されている主巻ウインチ4と、この主巻ウインチ4により巻上ロープ24を前記ブーム19の頂部とその下部とに設けられたそれぞれ複数のシーブ26、29からなるシーブブロック25、29と、下方のシーブブロック27に取付けられたフック30からなるので、通常、ケーシングドライバ11と共に協働するクレーン10に備えられた主巻ウインチ4を大荷重の吊上げに用いることができ、別のクレーンが不要となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のハンマグラブの一実施の形態をケーシングドライバと共に示す側面図である。
【図2】図1のハンマグラブの構成を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態のバケットの断面図である。
【図4】本実施の形態の第1のクラウンと掛金のラッチ機構を示す縦断面図である。
【図5】本実施の形態の第2のクラウンの側面図である。
【図6】本実施の形態の第2のクラウンの平面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】(A)は本実施の形態の第2のクラウンに設けるガイド体の正面図、(B)、(C)、(D)はそれぞれ(A)のB−B、C−C、D−D断面図である。
【図9】(A)は本実施の形態の第2のクラウンの一動作過程を示す縦断面図、(B)はこの動作過程におけるガイド体のガイド溝と移動体との相対位置関係図である。
【図10】(A)は図9から変化した動作過程を示す縦断面図、(B)はこの動作過程におけるガイド体のガイド溝と移動体との相対位置関係図である。
【図11】(A)は図10から変化した動作過程を示す縦断面図、(B)はこの動作過程におけるガイド体のガイド溝と移動体との相対位置関係図である。
【図12】(A)は図11から変化した動作過程を示す縦断面図、(B)はこの動作過程におけるガイド体のガイド溝と移動体との相対位置関係図である。
【図13】(A)、(B)は地中杭の切断後に本実施の形態のハンマグラブを用いて切断杭の除去作業を行なう場合の一部工程図である。
【図14】(A)、(B)、(C)は図13に続く地中杭の除去作業における残りの工程図である。
【図15】(A)、(B)は図13、図14の地中杭の除去作業における第1、第2のクラウンおよび掛金の相対関係図である。
【図16】(A)、(B)は図13、図14の地中杭の除去作業における第1、第2のクラウンおよび掛金の相対関係図である。
【図17】図13、図14の地中杭の除去作業における第1、第2のクラウンおよび掛金の相対関係図である。
【図18】従来のハンマグラブの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1:ハンマグラブバケット、1a:シェル、2:巻上ウインチ(補巻ウインチ)、3:バケット吊りロープ、4:巻上ウインチ(主巻ウインチ)、5:第1のクラウン、6:吊支用円筒、10:クレーン、11:ケーシングドライバ、12:地中杭、12A:切断杭、12X:切れ目、13:台枠、14:クローラ式走行体、15:旋回体、16:パワーユニット、17:運転室。19:ブーム、20:起伏ウインチ、21:起伏装置、22:ケーシング、23、26、29:シーブ、24:巻上ロープ、25、27:シーブブロック、30:フック、31:第2のクラウン、32、33:可撓性支持部材、34:ブラケット、35:スプリング、36:ラッチ、37:掛金、38:ピン、40、43:軸、39:上方シーブ、41:昇降フレーム、42:下方シーブ、44:ワイヤロープ、45:押圧スプリング、46:チェーン、47:スイベルジョイント、51:リンク、52:クラウンヘッド、53:軸、54:係止爪、55:錘、56:クラウンヘッド、59:係止爪、60:ブラケット、61:軸、62:窓、63:カバー、64:錘、65:ロッド、66:ガイド筒、67:操作体、69:ガイド体、70:ガイド溝、70a、70b、70h〜70j:溝部、70c、70e〜70g:戻り防止用段部、71:移動体、73:軸、74:筒体、75:アーム部、76:筒体、77:スプリング受け、78:押圧スプリング、79:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの巻上ウインチにより巻取り繰出しされ、ブームの頂部から垂下されるバケット吊りロープにより吊られるハンマグラブバケットを備えると共に、ハンマグラブバケット吊支用のクラウン装置を備えたハンマグラブにおいて、
前記ハンマグラブバケットの頂部の吊支用円筒に着脱可能に係止され、かつ前記バケット吊りロープと共に上下動する掛金が内部を通過可能な第1のクラウンと、
可撓性支持部材により前記第1のクラウンを支持すると共に、前記バケット吊りロープより吊上げ力の大きな巻上げ手段により可撓性支持部材を介して支持され、かつ前記バケット吊りロープを通す第2のクラウンとを備え、
前記第2のクラウンは、前記掛金に対する係止、非係止の位置または姿勢に変更可能な係止体と、この係止体の位置または姿勢を選択する手段を有し、
前記第2のクラウンの前記係止体を前記掛金に係止させた状態において、前記吊上げ力の大きな巻上げ手段によるハンマグラブバケットの吊上げを可能にした
ことを特徴とするハンマグラブのクラウン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記第2のクラウンは、前記バケット吊りロープを通すクラウンヘッドと、このクラウンヘッドに上下動可能に装着される錘とを備え、
前記係止体の位置または姿勢を選択する手段は、前記錘に係合され、錘が前記クラウンヘッドに対して上下に変位することにより、前記掛金に対して係止姿勢と非係止姿勢に回動可能な係止爪からなる
ことを特徴とするハンマグラブのクラウン装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記第2のクラウンは、前記錘の前記クラウンヘッドに対する上下方向の相対位置を保持する手段を有し、
前記位置保持手段は、前記クラウンヘッドに設けられ、ほぼハート形の閉じたループを形成するガイド溝を有するガイド体と、前記錘に設けられ、前記ガイド溝に一部を挿入し、かつ前記ガイド溝に向けてスプリングにより付勢された移動体とを含み、
前記ガイド溝の左右の上部、上部の中央部、下部の中央部の各溝部の近傍にそれぞれ移動体の戻り防止用の段部を有する
ことを特徴とするハンマグラブのクラウン装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載のハンマグラブのクラウン装置において、
前記巻上ウインチが補巻ウインチであり、
前記吊上げ力の大きな巻上げ手段が、前記クレーンに搭載した主巻ウインチと、この主巻ウインチにより巻取り繰出しされる巻上ロープと、前記ブームの頂部および頂部から垂下した位置で前記巻上ロープをそれぞれ掛け回す上下のシーブブロックと、下方のシーブブロックに取付けられたフックとからなる
ことを特徴とするハンマグラブのクラウン装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のクラウン装置を備えた
ことを特徴とするハンマグラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−31803(P2008−31803A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209194(P2006−209194)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【Fターム(参考)】