説明

ハードコート形成用積層フィルム、ロールフィルム、及び、ハードコート形成用硬化性組成物

【課題】タック性が低く、耐摩耗性に優れたハードコート形成用積層フィルムを提供する。
【解決手段】プラスチックフィルムの少なくとも一面に、直接または他の層を介してハードコート形成層が形成された積層フィルムであって、
前記ハードコート形成層が、ハードコート形成層の全体を100質量%として、
(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、
(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、及び
(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、含有することを特徴とするハードコート形成用積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品や金属製品などの被転写物にハードコート形成層を形成させて表面保護するためのハードコート形成用積層フィルム及びハードコート形成用硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、各種プラスチック製品の表面保護のために、外装にハードコート層を設けることが行われている。
ここで、ハードコート層には、携帯電話等の携行する製品用途に用いられることなどに起因して、耐擦傷性を要求される場合が多いため、硬度の高い表面保護性能が求められている。
従来は、プラスチック製品の表面に液状のハードコート材料をディップ法等で塗布した後、熱硬化又は紫外線硬化等の方法で該ハードコート材料を硬化して保護フィルム層を形成している場合が多かった。また、プラスチック製品を成形後に、ハードコート形成層(硬化層であるハードコート層を形成するための未硬化又は半硬化状態の硬化性組成物からなる層をいう。本明細書において以下同じ。)を転写フィルムから転写する方法なども用いられていた(特許文献1)。近年、プラスチック製品を射出成型するときにハードコート層を同時に形成するインモールド転写、インモールド成形等の技術が普及しつつある(特許文献2〜4)。
インモールド転写(インモールドデコレーション(In-Mold Decoration)又はIMDともいう。)とは、プラスチックフィルム上にハードコート形成層が形成されたハードコート形成用積層フィルムを射出成型用金型の内部に保持し、射出成形と同時にハードコート形成層をプラスチック成型品に接着した後、プラスチックフィルムを剥離することによりハードコート形成層を成型品の表面に転写する技術である。転写されたハードコート形成層は、その後に硬化されてハードコート層を形成する。
インモールド成形(インモールドラミネーション(In-Mold Lamination)又はIMLともいう。)とは、プラスチックフィルム上にハードコート形成層が形成されたハードコート形成用積層フィルムを射出成型用金型の内部に保持し、射出成形と同時にハードコート形成用積層フィルムをプラスチック成型品に溶着する(ラミネートする)技術である。このとき、ハードコート形成用積層フィルムは、そのプラスチックフィルムを介してプラスチック成型品に溶着される。ハードコート形成層は、その後に硬化されてハードコート層を形成する。
ここで、本明細書において、ハードコート形成用積層フィルムには、プラスチック製品の成形後にハードコート形成層を転写するために用いられる転写フィルムや、IMD、IML等に用いられるハードコート形成用積層フィルムの全てが含まれる。
IMDやIMLに用いられる従来のハードコート形成用積層フィルムは、ハードコート形成層は、プラスチックフィルム上に安定的に保持されるためには半硬化状態である必要であり、その硬化度の制御が難しく硬化が不十分な場合、転写シートが貼り付く原因となり、逆に硬化が過剰となると転写する物品との密着性が得られず剥離しやすくなっていた(特許文献2、3)。
この問題を解決するために、加熱により半硬化させる紫外線硬化材料が提案されているが、熱硬化した時点で材料の柔軟性がなくなるため、曲率の高い部材へ転写する場合クラックが発生する原因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−062396号公報
【特許文献2】特開2008−000988号公報
【特許文献3】特開平10−58895号公報
【特許文献4】特開2009−137219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の背景に鑑みてなされたものであり、タック性が低く(すなわち、表面のべとつきが少なく)、かつ、透明性、耐擦傷性に優れたハードコート形成用積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の成分組成を有するハードコート形成用積層フィルムを使用することにより、本発明の上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1]プラスチックフィルムの少なくとも一面に、直接または他の層を介してハードコート形成層が形成された積層フィルムであって、前記ハードコート形成層が、ハードコート形成層の全体を100質量%として、(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、及び(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、含有することを特徴とするハードコート形成用積層フィルム。
[2]前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物を有する前記[1]に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【0007】
【化1】

(式中、Rは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する1価の有機基であり、Rは、各々独立に、環状構造を有する2価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、nは、3〜20の整数である。)
[3]前記(A)成分が、下記式(2)で表される化合物を含む前記[1]に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【0008】
【化2】

(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、Rは単結合または炭素数2〜10の炭化水素基であり、Rは単結合又は分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、R及びRは水酸基を有していても良く、Y及びYはそれぞれ独立に単結合、−O−、−NHCOO−、又は、−OCONH−である。)
[4] 前記ハードコート形成層が、さらに(F)紫外線吸収剤を10質量%以下含有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハードコート形成用積層フィルム。


[5]前記プラスチックフィルムが、剥離性を有するフィルムである[1]〜[4]のいずれかに記載のハードコート形成用積層フィルム。
[6]前記プラスチックフィルムが、易接着処理を行ったフィルムである[1]〜[4]のいずれかに記載のハードコート形成用積層フィルム。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルムのフィルムロール。
[8]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハードコート形成用積層フィルムのハードコート形成層を形成するための硬化性組成物であって、(E)有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、及び、(E)有機溶剤を含むハードコート形成用硬化性組成物。
[9]さらに、(F)紫外線吸収剤を、(E)有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.1〜10質量%含有する、前記[8]に記載のハードコート形成用硬化性組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、タック性が低く、疎水性部材やトリアセチルセルロース系保護フィルム等に対して優れた接着性を有し、かつ、透明性、耐擦傷性(鉛筆硬度)に優れている。
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、プラスチック製品の成形後に転写法によりハードコート層を形成する場合や、IMD、IML等によりハードコート層を形成する場合に好適に用いることができる。本発明のハードコート形成用積層フィルムは、携帯電話、携帯情報端末、デスクトップ型コンピュータ用ディスプレイ、ノート型コンピュータ、車載用コンピュータ(カーナビゲーション用ディスプレイ等)、タッチパネル、テレビジョン、及び時計等の外装保護用に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[ハードコート形成用硬化性組成物]
本発明のハードコート形成用硬化性組成物(以下、「硬化性組成物」と略することもある。)は、ハードコート形成用積層フィルムのハードコート形成層を形成するための硬化性組成物ある。本発明のハードコート形成用硬化性組成物は、(E)有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000の化合物を10〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、及び(E)有機溶剤を含んでいる。
以下、成分ごとに説明する。
[(A)成分]
本発明の硬化性組成物に用いられる(A)成分は、分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定したポリスチレン換算の質量平均分子量が3,000〜200,000の化合物である。また、(A)成分はガラス転移点が30℃以上であることが必要である。(A)成分がこれら条件を満たすことで、硬化前の塗膜のべたつきの抑制と硬化膜の硬度の両立が可能となる。(A)成分としては、上記の条件を満たす化合物であれば特に制限されないが、例えば下記式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートや、下記式(2)で表される構造単位を有する重合体を使用することができる。
【0011】
【化3】

[式中、Rは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する1価の有機基であり、Rは、各々独立に、環状構造を有する2価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、nは、5〜20の整数である。]
【0012】
【化4】

[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、Rは単結合または炭素数2〜10の炭化水素基であり、Rは単結合又は分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、R及びRは水酸基を有していても良く、Y及びYはそれぞれ独立に単結合、−O−、−NHCOO−、又は、−OCONH−である。「*」は結合手であることを示す。]
【0013】
式(1)で表される化合物は、典型的には、(a)ジオール化合物、(b)環状構造を有するジイソシアネート、並びに(c)1個の水酸基および(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する化合物を反応させて得られる。
【0014】
(a)ジオール化合物としては、分岐していても良い炭素数2〜6の脂肪族ジオール化合物、環状構造を有するジオール化合物が好ましい。分岐していても良い炭素数2〜6の脂肪族ジオールの具体例としては、特に限定されないが、分岐していても良い炭素数2〜4の脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコール又はプロピレングリコールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。脂肪族ジオール化合物の炭素数が6を超えると、得られる(A)成分の分子が柔軟になるため、硬化物の硬度が低下する傾向がある。また、環状構造を有するジオール化合物としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、2,5−トルエンジオール、2,6−トルエンジオールが好ましく使用できる。
【0015】
(b)環状構造を有するジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族構造を有するジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するジイソシアネート等を挙げることができる。中でも、脂環族構造を有するジイソシアネートが本発明のハードコート形成層の表面のべたつきを効果的に抑制することができる点で好ましい。
【0016】
(c)1個の水酸基および(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する化合物としては、特に限定されないが、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等をあげることができる。中でも、(メタ)アクリロイル基を4〜6個有する化合物が好ましく、また、分子量が1000以下である化合物が好ましい。(メタ)アクリロイル基が2個以下である場合には、本発明の硬化性組成物の硬化物の硬度が低下する傾向がある。また、分子量が1000を超えると、(A)成分の単位質量当たりの(メタ)アクリロイル基の濃度が低下するため、硬化物の硬度が低下する傾向がある。
式(1)で表される化合物は、(b)環状構造を有するジイソシアネート並びに(c)1個の水酸基および(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する化合物に由来する繰り返し構造を5〜20個有しているため、本発明のハードコート形成層の表面のべたつきを効果的に抑制することができる。
【0017】
式(1)で表される化合物として、下記式(3)で表される化合物を例示することができる。
【0018】
【化5】

[式中、nは、5〜20の整数である。]
【0019】
式(2)で表される構造を有する重合体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体に、イソシアネート及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は、(メタ)アクリル酸を反応させることで得ることができる。前記式(2)表される構造以外の構造は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、スチレン、に由来する構造を導入できる。
【0020】
本発明の組成物中の(A)成分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定したポリスチレン換算質量平均分子量が3,000〜200,000の範囲である。質量平均分子量が3,000未満では組成物層の表面にべたつきが生じるおそれがあり、200,000を超えると本発明の積層フィルムを転写した際にクラックが発生するおそれがある。この様な理由から、質量平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の硬化性組成物中の(A)成分は、ガラス転移点が30℃以上である。(A)成分の分子量が上記範囲内であっても、ガラス転移点が30℃未満では硬化前の塗膜表面がべたつき、フィルムをロール状に巻き取ったときに裏面に貼り付いてしまったり、フィルムロールを縦向きに保管した際に組成物が染み出してしまったりする可能性がある。この様な理由から、ガラス転移点は40℃以上が好ましく、60℃以上がさらに好ましい。なお、本発明のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)で5℃/分の温度勾配で昇温し測定して得られた値を言う。ガラス転移点の上限は特に限定されないが、300℃あれば実用上十分である。
【0022】
また、(A)成分は、主鎖骨格にアルキレンオキシド鎖を有しないことが好ましい。それは、主鎖骨格にアルキレンオキシド鎖を有すると硬化した際に十分な硬度が得られない場合があるためと、ガラス転移点が低温になるためである。
【0023】
(A)成分の市販品は、(1)式及び(3)式で表される化合物として根上工業製UN−952等を、(2)式で表される化合物として根上工業製RA−311M、J−6822等を挙げることができる。
【0024】
本発明の硬化性組成物中の(A)成分の配合量は、(E)有機溶剤以外の組成物全体を100質量%として、通常10〜90質量%であり、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。(A)成分の配合量を上記範囲内とすることにより、本発明の硬化性組成物の表面のべたつきを効果的に抑制することができるとともに、硬化物の硬度を改善することができる。
【0025】
[(B)成分]
本発明の硬化性組成物に用いられる(B)成分は、エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子である。
(B)成分であるシリカ粒子は、シリカ粒子(Ba)と、重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性シリカ粒子」という)。ここで、結合とは、共有結合であってもよいし、物理吸着等の非共有結合であってもよい。
【0026】
(1)シリカ粒子(Ba)
シリカ粒子(Ba)の数平均粒子径は、電子顕微鏡法による測定で、0.001μm〜2μmが好ましく、0.01μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.02μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。
【0027】
シリカ粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
【0028】
シリカ粒子(Ba)は、通常、粉体状又は分散液として入手することができる。分散液である場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0029】
シリカ粒子(Ba)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。シリカ粒子(Ba)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これらシリカ粒子(Ba)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、分散液として当業界に知られている微粒子状のシリカ粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においてはシリカ粒子の分散液の利用が好ましい。
【0030】
(2)粒子変性剤(Bb)
本発明に用いられる粒子変性剤(Bb)は、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有する化合物であれば特に限定されない。重合性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。尚、加水分解性シリル基とは、水と反応してシラノール(Si−OH)基を生成するものであって、例えば、ケイ素に1以上のメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、等のアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、又はハロゲン原子が結合したものを指す。
【0031】
本発明で用いられる粒子変性剤(Bb)は、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の市販品を使用することもできるし、例えば、国際公開公報WO97/12942号公報に記載された化合物を用いることもできる。
【0032】
(B)成分である反応性シリカ粒子は、シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する粒子変性剤(Bb)をシリカ粒子(Ba)と混合し、加水分解させ、両者を結合させることによって得られる。得られる反応性シリカ粒子(B)中の有機重合体成分すなわち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
【0033】
シリカ粒子(Ba)への粒子変性剤(Bb)の結合量は、反応性シリカ粒子(B)(シリカ粒子(Ba)及び粒子変性剤(Bb)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。シリカ粒子(Ba)に結合した粒子変性剤(Bb)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性シリカ粒子(B)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性シリカ粒子(B)製造時の原料中のシリカ粒子(Ba)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。反応性シリカ粒子(B)を構成するシリカ粒子(Ba)の含有量は、反応性シリカ粒子(B)の65〜95質量%であることが好ましい。
【0034】
反応性シリカ粒子(B)の硬化性組成物中における配合(含有)量は、(E)有機溶剤以外の組成物全体を100質量%として、5〜80質量%が好ましく、15〜60質量%がさらに好ましく、25〜50質量%が特に好ましい。5質量%未満であると、硬化物の硬度が不十分であり、70質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。尚、反応性シリカ粒子(B)の量は、固形分を意味し、分散媒の量を含まない。
【0035】
[(C)成分]
本発明の硬化性組成物に用いられる(C)成分は、重合開始剤である。
上記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤又は熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が好ましい。
これらの市販品としては、イルガキュア184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ルシリンLR8728、Darocur1116、1173、TPO(BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
【0036】
また、光重合開始剤を用いる場合には光増感剤を併用してもよく、光増感剤の具体例としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。光増感剤の市販品としては、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0037】
本発明の硬化性組成物中、(C)成分の配合割合は、(E)有機溶剤以外の組成物全体を100質量%として、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。上記配合割合が0.1質量%未満では、硬化性が不足して硬化物の硬度が低下する。一方、上記配合割合が10質量%を超えると、硬化性組成物の硬化特性及び取り扱い性の点で問題を生じる場合がある。(C)成分は1種のみで使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明の硬化性組成物が、後述する(F)紫外線吸収剤を含有する場合であって、かつ紫外線照射により硬化性組成物を硬化させる場合は、(C)成分として、(C1)380nm〜500nmに極大吸収波長(λmax)を有する光重合開始剤と、(C2)320nm〜380nmに極大吸収波長を有し380nmの吸光度が極大吸収波長の吸光度の5%以下の光重合開始剤を併用することが好ましい。前記(C1)成分と(C2)成分を併用することで、(F)成分を含有していても、紫外線硬化により十分な硬化性を得ることができる。これは、(C1)成分が(C2)成分に対する増感剤として機能し、かつ、(C1)自身もラジカルを発生するため、単独で使用した場合と比較してより多くのラジカルを発生するからと考えられる。
【0039】
前記(C1)成分の具体例は、前記(C)成分の例示のうち、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドである。
【0040】
前記(C2)成分の具体例は、前記(C)成分の例示のうち、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンである。
【0041】
前記(C1)成分、(C2)成分ともに、複数種類を使用することができ、(C1)成分と(C2)成分を含む合計量で、前記の(C)成分の配合量となるように使用することができる。(C1)成分と(C2)成分の配合比は、紫外線吸収剤の種類、配合量に応じて適宜決められるが、例えば(C1)成分:(C2)成分の比で、1:9〜9:1(質量比)とすることができる。また、(C1)及び(C2)を併用する効果を損なわない程度に、(C1)及び(C2)以外の(C)成分が含まれていてもよい。
【0042】
[(D)成分]
本発明の硬化性組成物は、(D)成分としてエチレン性不飽和基を2個以上有する、(A)および(B)成分以外の化合物を含むことができる。
(D)成分である多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、特に限定されないが、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート、及びこれらの化合物を製造する際の出発アルコール類のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0043】
本発明の硬化性組成物中の(D)成分の含有量は、(E)有機溶剤以外の組成物全体を100質量%として、30質量%以下とすることが必要であり、好ましくは、20質量%以下である。(D)成分の配合量が30質量%以上であると、本発明のハードコート形成層の表面のべたつきが過大となる傾向がある。
【0044】
[(E)成分]
本発明の硬化性組成物に用いられる(E)成分は、有機溶剤である。(E)有機溶剤は、公知のものを使用することができる。(E)有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。
【0045】
[(F)成分]
本発明の硬化性組成物は、任意成分として(F)紫外線吸収剤を含有することもできる。
(F)紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤等を挙げることができる。紫外線吸収材を含有することで、屋外の使用時の劣化を抑えることが可能となる。
【0046】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン 、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン 、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。
【0047】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0048】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0049】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等が挙げられ、ヒドロキシベンゾエート 系紫外線吸収剤としては、フェニルサルシレート、4−t−ブチルフェニルサルシレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート 等が挙げられる。
【0050】
(F)成分としては、短波長域から長波長域に渡る広範囲の波長(約280〜360nm)の紫外線吸収性が高い点で、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。(F)成分は上記化合物を1種単独で又は2種以上を併用して配合することができる。
【0051】
任意成分である(F)成分の硬化性組成物中における配合量は、(E)有機溶剤以外の組成物全体を100質量%として、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。(F)成分の配合量が10質量%を超えると硬化性が劣ることがあり好ましくない。(F)紫外線吸収剤を配合した効果を発揮するためには、0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上配合することが好ましい。
【0052】
[各種添加剤]
本発明の組成物には、上記成分の他、必要に応じて界面活性剤、易滑剤、酸化防止剤等を添加することができる。特に、離型性のプラスチックフィルムに硬化性組成物を塗布する場合は、はじきを防止するために界面活性剤を添加することが好ましい。使用する界面活性剤の種類は、プラスチックフィルムの離型層の種類に応じて適宜変更でき、例えば、シリコーン系の離型層に対してはシリコーン系界面活性剤を、フッ素系の離型層に対してはフッ素系界面活性剤を選択することができる。界面活性剤の添加量は、溶剤を除いた成分全体量を100質量%としたときに0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜1質量%であることがより好ましい。
【0053】
易滑剤としては、例えば(B)成分以外の粒子を使用することができる。この様な粒子としては、例えば、動的光散乱で測定した数平均粒子径が100〜500nmのシリカ粒子を挙げることができる。(B)成分以外の粒子を易滑剤として使用する場合の添加量は、溶剤を除いた成分全体量を100質量%としたときに0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
【0054】
[プラスチックフィルム]
本発明で使用されるプラスチックフィルムは、転写材に使用される公知の材料を使用することができる。この様な材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを使用することができる。また、使用方法により、各種表面処理を行うこともできる。
プラスチックフィルムの厚さは、特に制限されないが、操作性と加工性の観点から、30〜200μmであることが好ましい。
本発明のハードコート形成用積層フィルムをIMDに用いる場合には、ハードコート形成層と剥離することができるプラスチックフィルムであることが好ましい。剥離性を有するプラスチックフィルムとしては、例えば、離型処理を行ったPET、PMMA、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0055】
これらの樹脂のフィルムをそのまま使用することもできるが、離型性を向上させるために離型層が形成されていてもよい。離型層の材料としては、メラミン樹脂系、シリコーン系、フッ素樹脂系、ポリオレフィン系の各材料を使用することができる。
【0056】
また、被覆対象物を本発明の積層フィルムで被覆したのち、プラスチックフィルムを取り外さずに被覆層として使用する場合は、プラズマ処理、コロナ放電処理等の易接着処理を行ったフィルムを使用することもできる。易接着処理を行ったフィルムとしては、例えば、易接着処理を行ったPET、PMMA、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0057】
[ハードコート形成用積層フィルム]
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、プラスチックフィルムの少なくとも一面に、直接または他の層を介してハードコート形成層が形成された積層フィルムである。ハードコート形成層は、ハードコート形成層の全体を100質量%として、(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、及び(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、含有する。
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、前記ハードコート形成用硬化性組成物をプラスチックフィルムに塗布し、(E)有機溶剤の少なくとも一部を室温〜100℃程度で加温する等の方法により除去することにより製造することができる。塗布は、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、ダイコート、バーコート等の方法を利用することができる。このとき、ハードコート形成層の厚さが、1〜30μmになるように塗布することが好ましい。
【0058】
また、本発明のハードコート形成用積層フィルムは、プラスチックフィルムの少なくとも一面に、直接にハードコート形成層が形成されていてもよいし、他の層を介してハードコート形成層が形成されていてもよい。他の層としては、特に限定されないが、物品に模様をつけるための印刷層等が挙げられる。
【0059】
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、ハードコート形成層のべたつきが少ないため、ハードコート形成用積層フィルムをフィルムロールとして巻き取った場合に隣り合って接するハードコート形成用積層フィルム同士が貼り付くことが少なく、取扱いが容易である。また、本発明のハードコート形成用積層フィルムを用いると、所望のプラスチック成形体の表面に容易にハードコート層を形成することができる。
【0060】
本発明のハードコート形成用積層フィルムの使用方法は、例えば、以下の通りである。
プラスチック製品を成形後に転写法によりハードコート層を形成する場合には、本発明のハードコート形成用積層フィルムのハードコート形成層をプラスチック成型品に圧着法等により密着させた後、プラスチックフィルムを剥離し、放射線を照射することにより、所望のプラスチック成型品の表面にハードコート層が形成される。
IMDによりハードコート層を形成する場合には、ハードコート形成用積層フィルムを射出成型用金型の内部に保持し、射出成形と同時にハードコート形成層をプラスチック成型品に接着した後、プラスチックフィルムを剥離することによりハードコート形成層を成型品の表面に転写する。その後、放射線を照射することにより、所望のプラスチック成型品の表面にハードコート層が形成される。
IMLによりハードコート層を形成する場合には、ハードコート形成用積層フィルムを射出成型用金型の内部に保持し、射出成形と同時にハードコート形成用積層フィルムをプラスチック成型品に溶着する(ラミネートする)。このとき、ハードコート形成用積層フィルムは、そのプラスチックフィルムを介してプラスチック成型品に溶着される。その後、放射線を照射することにより、所望のプラスチック成型品の表面にハードコート層が形成される。
【0061】
本発明のハードコート形成層は、紫外線、電子線等の放射線を照射することにより硬化させることができる。なお、紫外線を用いる場合には、プラスチックフィルムの光透過率が紫外線吸収剤により低下している場合があるため、365nmの波長を含む波長領域の紫外線を用いることが好ましい。
放射線は、空気等の酸素を含有する雰囲気下又は窒素等の不活性ガスにより酸素を含有しない雰囲気下において、好ましくは0.1〜3J/cm、より好ましくは0.5〜2J/cmの照射量となるように照射される。
【0062】
本発明の積層フィルムの用途としては、例えば、携帯電話、携帯情報端末(いわゆるPDA、モバイル機器を含む)、ノート型コンピュータ、時計、電卓及び測定機器等の外装に組み込む用途を例示することができる。
【実施例】
【0063】
以下に本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0064】
[製造例1 重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−1)の製造]
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部と、ジブチル錫ジラウレート1部とからなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−1)を得た。以上により、粒子変性剤(Bb−1)が773部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
【0065】
[製造例2 重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−2)の製造]
乾燥空気中、トリレンジイソシアネート10.9部と、ジブチル錫ジラウレート0.08部とを攪拌しながら40℃に保ち、1時間かけてメルカプトプロピルトリメトキシシラン 8.52部を滴下した。その後、水酸基とアクリロイル基を含有するポリシロキサン(チッソ株式会社製 商品名FM−0411)を76.8部滴下して、60℃で5時間攪拌することで、重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−2)を得た。
【0066】
[製造例3 シリカ粒子分散液の調製]
(i)メタノール分散コロイダルシリカの調製
固形分が20質量%、pHが2.7、BET法での比表面積が226m/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度が4.1×10−5モル/g、原子吸光法で求めた溶媒中の金属含量が、Naとして4.6ppm、Caとして0.013ppm、Kとして0.011ppmの水分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス−O)30kgをタンクに入れ、50℃に加熱し、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで、限外濾過膜モジュール((株)トライテック製)及びアルミナ製限外濾過膜(日本碍子(株)製、商品名:セラミックUFエレメント、仕様:4mmΦ、19穴、長さ1m、分画分子量=15万、膜面積=0.24m)を用いて濃縮を行った。0.5時間後、10kgの濾液を排出したところ、固形分は30質量%となった。
【0067】
前述の工程終了後、メタノール14kgを加え、温度50℃、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで前記限外濾過膜モジュール及び限外濾過膜を用いて濃縮を行い、14kgの濾液を排出する操作を6回繰り返すことで、固形分30質量%、カールフィッシャー法で求めた水分量が1.5質量%のメタノール分散コロイダルシリカ20kgを調製した。
【0068】
(ii)メチルエチルケトン分散疎水化コロイダルシリカの調製
(i)で調製したメタノール分散コロイダルシリカ20kgに、トリメチルメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製)0.6kgを加え、60℃で3時間加熱攪拌した。加熱攪拌終了後、メチルエチルケトン14kgを加え、温度50℃、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで前記限外濾過膜を用いて濃縮を行い、14kgの濾液を排出する操作を5回繰り返すことで、固形分32質量%、カールフィッシャー法で求めた水分量が0.3質量%、ガスクロマトグラフィー(GC)で求めたメタノール量が3.2質量%、電子顕微鏡による観測で求めた数平均粒子径が11nmのメチルエチルケトン分散疎水化コロイダルシリカ(シリカ粒子分散液)(Ba)成分20kgを調製した。
【0069】
[製造例4 反応性シリカ粒子(B−1)の製造]
製造例1で製造した重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−1)2.32部、製造例3で調製したシリカ粒子分散液(Ba)(シリカ濃度32%)89.90部、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.36部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性シリカ粒子を得た。この反応性シリカ粒子分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.7重量%であった。得られた反応性シリカ粒子をB−1とする。
【0070】
[製造例5 反応性シリカ粒子(B−2)の製造]
製造例1で製造した重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−1)2.77部、製造例2で製造した重合性不飽和基を含む粒子変性剤(Bb−2)1.33部、製造例3で調製したシリカ粒子分散液(Ba)(シリカ濃度32%)90.2部、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.33部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性シリカ粒子を得た。この反応性シリカ粒子分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.7重量%であった。得られた反応性シリカ粒子をB−2とする。
【0071】
[製造例6:エチレン性不飽和基を有する、(A)および(B)以外の化合物((D)成分)の製造]
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート 18.8部と、ジブチル錫ジラウレート 0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N 93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、ウレタンアクリレート(PIP)を得た。
【0072】
[製造例7:(A)成分以外の高分子ウレタンアクリレート((A)’成分)の製造]
撹拌機を備えた反応容器に、旭硝子ウレタン製数平均分子量10,000のポリプロピレングリコール71.080g、イソホロンジイソシアネート0.319g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.014g、ジブチル錫ジラウレート0.096gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が60℃以上にならないよう加熱、攪拌を行った。
次に、ヒドロキシエチルアクリレート0.916gを滴下し、液温度50〜70℃にて2時間撹拌を継続させ残留イソシアネートが0.05質量%以下になった時を反応終了とした。このようにして得られたウレタンアクリレートをU−1とする。GPCで分子量測定したところ、質量平均分子量は120,000であり、U−1のガラス転移点をDSCで測定したところ、−45℃であった。
【0073】
[実施例1〜11、比較例1〜4]
表1に記載の配合割合に従って、各成分を混合し、均一な組成物とした後、離型PETフィルム上に、該組成物を膜厚10μmになるように塗布して組成物層を形成した後、80℃で2分加熱することにより離型PETフィルム上に硬化性組成物層を調製した。各積層フィルムについて、下記の方法により評価した。
結果を表1〜表3に示す。なお、表1〜表3に示す各成分の配合量は質量部であり、(B)成分の配合量は分散媒を含まない粒子の乾燥質量である。
(タック性)
ハードコート形成用積層フィルムを5cm角に切り取り、5枚重ねて1kg荷重をかけ、1時間後に剥離して積層フィルム間の貼り付きがないかを目視にて判定した。硬化性組成物層が隣接する積層フィルムに付着していなかった場合を「A」、付着していた場合を「B」と判定した。
【0074】
(耐摩耗性)
各積層フィルムを硬化性組成物層がガラス基板に接する様にのせ、ゴムローラーで圧着した後、離型PETフィルムを剥離して硬化性組成物層をガラス基板に転写し、高圧水銀灯を用いて空気下で照射量1.0J/cmの強度で紫外線を照射して硬化膜を作製した。スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重900g/cmの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、目視で傷が確認できなかった場合を「A」、傷が確認できた場合を「B」と判定した。
(クラック耐性)
各積層フィルムを短冊状に切り出し、引っ張り試験機を用いて60℃で引っ張りを行い、100%ひずみでクラックの有無を目視で確認した。クラックが確認できなかった場合を「A」、クラックが確認できた場合を「B」と判定した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
(耐紫外線性)
紫外線蛍光ランプ式耐候性試験装置(スガ試験機社製 FDP)、SUGA−FS−40光源(スガ試験機社製 270−700nm、313nmにピーク波長)を使用し、350hr照射後、積層体の黄色度(Yellow Index)の変化を測定した。黄色度の変化が3以下であれば十分な耐候性があると判断しできる。
【0078】
【表3】

【0079】
なお、表中の各化合物の名称等は以下のとおりである。
RA−311M:根上工業社製。式(2)で表される構造単位を有する化合物、質量平均分子量:50,000、ガラス転移点:90℃
UN−952:根上工業社製。式(3)で表される構造単位を有するウレタンアクリレートポリマー、質量平均分子量:20,000、ガラス転移点:70℃
J−6822:根上工業社製。式(2)で表される構造単位を有する化合物、質量平均分子量:7,800、ガラス転移点:45℃
U−1:製造例7で製造、質量平均分子量:120,000、ガラス転移点:−45℃
Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF製IRGACURE184
DAROCUR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF製
PIP:製造例6で製造した多官能ウレタンアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、日本化薬社製KAYARAD DPHA
B−1:製造例4で製造したエチレン性不飽和基を有する反応性シリカ粒子
B−2:製造例5で製造したエチレン性不飽和基を有する反応性シリカ粒子
SC1050−KJA:数平均粒径300nmのシリカ粒子、アドマテックス社製
TINUVIN329:2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、長瀬産業社製
【0080】
実施例1〜9は、何れもタック性、耐摩耗性、クラック耐性に優れていることが分かる。一方、(A)成分を含有しない比較例1及び比較例4はタック性に劣り、(B)成分を含有しない比較例2は耐SW性に劣ることが分かる。また、(A)成分の配合比が範囲外のい比較例3も耐SW性に劣ることが分かる。さらに(F)成分を含有する実施例10及び11は、参考例(実施例1)の有する各種特性に加えて耐紫外線性を有していることが分かる。
【0081】
[実施例12]
実施例1において、離型PETフィルムの代わりに易接着PETフィルムを使用した以外は同様の操作を行い、易接着PETフィルム上に硬化性組成物層を有する積層フィルムを調製した。次に、硬化性組成物層側から高圧水銀灯を用いて空気下で照射量1.0J/cmの強度で紫外線を照射して硬化膜を作製した。硬化膜に対し、JIS K5600−5−6(ISO2409と同等)に従って、クロスカット試験を行ったところ、100/100で膜が残っており、IML用として必要な耐剥離性を有していることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のハードコート形成用積層フィルムは、タックが少なく、また、耐摩耗性に優れたハードコート層が得られるため、電気機器等の外装の保護層形成用として好適に使用できる。また、紫外線吸収剤を配合することで耐紫外線性が向上し、自動車のヘッドライトカバー等の屋外で使用される部品の外層保護相形成用としても好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムの少なくとも一面に、直接または他の層を介してハードコート形成層が形成された積層フィルムであって、
前記ハードコート形成層が、ハードコート形成層の全体を100質量%として、
(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、
(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、及び
(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、含有することを特徴とするハードコート形成用積層フィルム。
【請求項2】
前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物を含む請求項1に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【化1】

[式中、Rは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基を3〜6個有する1価の有機基であり、Rは、各々独立に、環状構造を有する2価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に、分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、nは、3〜20の整数である。]
【請求項3】
前記(A)成分が、下記式(2)で表される化合物を含む請求項1または2に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【化2】

[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、Rは単結合または炭素数2〜10の炭化水素基であり、Rは単結合又は分岐していても良い炭素数2〜6の炭化水素基であり、R及びRは水酸基を有していても良く、Y及びYはそれぞれ独立に単結合、−O−、−NHCOO−、又は、−OCONH−である。]
【請求項4】
前記ハードコート形成層が、さらに(F)紫外線吸収剤を0.1〜10質量%含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムが、剥離性を有するフィルムである請求項1〜4の何れか一項に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【請求項6】
前記プラスチックフィルムが、易接着処理を行ったフィルムである請求項1〜4の何れか一項に記載のハードコート形成用積層フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムのフィルムロール。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート形成用積層フィルムのハードコート形成層を形成するための硬化性組成物であって、(E)有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、
(A)分子内にエチレン性不飽和基を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した質量平均分子量が3,000〜200,000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である化合物を10〜90質量%、
(B)エチレン性不飽和基を有するシリカ粒子を5〜80質量%、
(C)光重合開始剤を0.1〜10質量%、及び
(E)有機溶剤
を含むハードコート形成用硬化性組成物。
【請求項9】
さらに、(F)紫外線吸収剤を、(E)有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.1〜10質量%含有する、請求項8に記載のハードコート形成用硬化性組成物。

【公開番号】特開2011−51340(P2011−51340A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176317(P2010−176317)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】