ハードソフト連携フィルタリング処理システム
【課題】サービスの記述であるモジュールと、そこで利用されるセンサ・アクチュエータへアクセスするモジュールが分離する。
【解決手段】本発明のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、ソフト部またはハード部による動作を決定する処理を、ハード部に接続されたセンサからの入力情報を処理する入力処理部と、ソフト部で初期設定されたデータに基づいてアクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割する。
【解決手段】本発明のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、ソフト部またはハード部による動作を決定する処理を、ハード部に接続されたセンサからの入力情報を処理する入力処理部と、ソフト部で初期設定されたデータに基づいてアクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどのネットワークで利用されるネットワーク機器システムに関し、特にセンサやアクチュエータ等の監視システムや制御システムに接続され動作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
実世界からの情報を収集して処理を実行し、ユーザへのサービスを提供する実世界情報処理システムは、サービス提供者が所有する情報機器により構成されてきた。しかし、サーバなどの情報機器を管理するコストがサービス提供者の大きな負担となっており、最近では、サービス提供者の情報機器に代わりユーザへのサービスをネットワーク越しに提供するクラウドシステムが登場している。クラウドシステムにおいては、実世界からの情報は、データセンタまで伝達され、データセンタにて蓄積、処理されることによって高度意味情報の抽出が実施され、実世界に結果がフィードバックされる。データセンタに至るネットワークにおいて多くのネットワーク機器を通過するため、フィードバックが行われるまでに少なくとも数秒オーダーの処理遅延が発生する。そのため、リアルタイム性を要求するサービス(プラント制御、金融アルゴリズム取引、予防保全など)においては、信頼性を確保しつつ、処理遅延を短縮することが課題となる。また、今後はセンサが様々な分野で普及し、実世界からの情報量が急増すると予測される。このため、情報量増加に伴う消費電力の急増を最小限に抑止することが大きな課題となる。
【0003】
FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現されているハードウェアモジュールと、CPUで実行されるソフトウェアモジュールのどちらで実行するかを選択でき、そのモジュールを転送速度で選択できる情報処理システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3738802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法ではサービスの記述であるモジュールと、そこで利用されるセンサ・アクチュエータへアクセスするモジュールが分離できず、モジュールが要求するデータのサイズが大きいときにソフトウェア動作させたい場合等、呼び出されるセンサ・アクチュエータへのアクセス方法を変更する場合、同様な機能を持つセンサ・アクチュエータへの変更が難しく、モジュール自体の変更が必要になり、モジュールの管理が面倒になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、ソフト部またはハード部による動作を決定する処理を、ハード部に接続されたセンサからの入力情報を処理する入力処理部と、ソフト部で初期設定されたデータに基づいてアクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割する。
【0007】
本発明の他の態様は、各処理部をネットワーク機器のハード部・ソフト部のどちらにでも設置できるようにする。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、複数のセンサ・アクチュエータをまとめて一つのセンサ・アクチュエータとして扱えるようにする。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、上位のノードからまたは自ネットワーク機器の負荷状態に合わせて、入出力処理の方法を変更できるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モジュールと、センサのデータの取り出し、アクチュエータの駆動を行う機能を分離することにより、センサ・アクチュエータの変更があってもモジュールの変更が不要することができ、モジュールの可用性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成図である。
【図2】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの一部の詳細を示す図である。
【図3】サービス要求テーブルである。
【図4】ソフト部負荷テーブルである。
【図5】ハード部負荷テーブルである。
【図6】サービス記述テーブルである。
【図7A】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの処理フローチャートである。
【図7B】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの処理フローチャートである。
【図8】実施例2のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成図である。
【図9】サービス要求テーブル作成の処理フローチャートである。
【図10】ソフト部負荷取得部およびハード部負荷取得部の処理フローチャートである。
【図11】上位サービス記述ノード宛データテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、実施例1〜4により以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成を示すブロック図である。本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、一つまたは複数の、ネットワーク機器ソフト部101、ソフト部101にPCIなどの規格で接続されたネットワーク機器ハード部102、ハード部102にPCI、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、DIO(Digital I/O)等の規格で接続されたセンサ103、アクチュエータ104でネットワーク機器が構成され、ネットワーク107でソフト部102と接続された上位サービス記述ノード105、サービス管理ノード106を備える。
【0014】
上位サービス記述ノード105、サービス管理ノード106の間のネットワーク107は、IPプロトコルなどに従う通信パケットが転送される一般的な通信路であり、インターネットやイントラネット、あるいはそれらの複合的な通信ネットワークである。
【0015】
ソフト部101とハード部102では、センサ103からの情報をハードモジュール選択部124でソフト部101かハード部102のどちらで解析を行うかを決定し、決定されたソフト部101に置かれた入力処理部115またはハード部102に置かれた入力処理部122で情報を解析する。ソフトモジュール選択部114でどの入力処理部からの分析の結果なのかを確認しながら受け、サービス記述部113に渡す。サービス記述部113は、その分析結果を基にサービスの動作内容を決定する。ソフトモジュール選択部114でその動作内容を、ソフト部101の出力処理部116またはハード部102の出力処理部123のどちらで実行させるかを決定する。ソフト部101の出力処理部116またはハード部の出力処理部123で実際にアクチュエータ104を動かすためのデータを作成し、ハードモジュール選択部124でどちらの出力処理部でどの出力処理部の結果なのかを確認しながら受け、目的のアクチュエータ104へデータを渡し、アクチュエータ104を起動させることでサービス記述部113の内容を動作させる。また、サービス記述部113は、ネットワーク107を経由し上位サービス記述ノード105へ情報を送付・再度受信を行い他ネットワーク機器と協調動作を行うこともできる。
【0016】
図2では、図1に示す、ソフトモジュール選択部114とハードモジュール選択部124、サービス要求解析部111、ソフト部負荷取得部112、ハード部負荷取得部121の動作と構成について記述する。サービス要求解析部111は、サービス記述部113が保持し、各サービス内容を記述したサービス記述テーブル204に書かれた各サービス記述に合わせた要求レベルをサービス管理ノード106から取得し、その要求レベルをソフトモジュール選択部114とハードモジュール選択部124に入力し、ソフト部101の入力処理部115かハード部102の入力処理部122のどちらを利用するか、またソフト部101の出力処理部116かハード部102の出力処理部123のどちらを利用するかを決定する。
【0017】
図3はサービス要求テーブル201の構成について、図4はソフト部負荷テーブル202の構成、図5はハード部負荷テーブル203の構成、図6は、サービス記述テーブル204の構成について記述する。
【0018】
図3に示すサービス要求テーブル201は、サービス記述名、性能要求、データサイズ、電力使用量、および、入出力種別の項目を有する。図4に示すソフト部負荷テーブル202は、CPU負荷、電力消費、ネットワーク負荷、サービス管理ノードからの指示などのソフト部101の負荷に関する項目を有する。図5に示すハード部負荷テーブル203は、CPU負荷、電力消費、センサ・アクチュエータ側通信負荷などのハード部102の負荷に関する項目を有する。図6に示すサービス記述テーブル204は、サービス記述名、上位サービス記述ノード名、および、上位サービス記述名の項目を有する。
【0019】
図7Aは、ハードソフト連携フィルタリング処理システムで実行される処理のフローチャートである。まず、サービス管理ノード106または直接管理者より、ソフト部101内部のサービス記述テーブル204に対し、サービス記述名、上位サービス記述ノード名、当システムを呼び出す場合の上位サービス記述名を登録するとともに、サービス記述の本体である、スクリプトまたはバイナリ実行プログラムをソフト部102に設置する。また、サービス要求テーブル201を、サービス管理ノード106または直接管理者により設定し、どのサービス記述がソフト部の入力処理部115で実行されるのか、ハード部の入力処理部122で実行されるのかを、センサ種別毎に決定する(701)。次に、各サービス記述に必要なセンサ103からのデータを待つ(702)。データを受信したら、ハードモジュール選択部124に送付され(703)、ステップ701でセンサ種別毎に決定された、ソフト部101内の入力処理部115またはハード部102内の入力処理部122にてデータの分析を行う(704)。ここでの分析では、複数のセンサから得られた同一時刻のデータの平均値演算処理や、単一のセンサから得られた一定時間範囲のデータの平均値演算処理、複数のセンサから得られた同一時刻のデータの最大値/最小値演算処理、単一のセンサから得られた一定時間範囲のデータの最大値/最小値演算処理、閾値を用いたセンサデータの異常値判定処理、センサデータの微分値、積分値などを用いた異常値判定処理、高速フーリエ変換によるセンサデータの周波数成分の演算処理、センシング情報の時間方向のサンプル間引き処理、センシング情報の量子化処理(ビット数削減、倍精度から整数などのデータ形式変換を含む)、複数のセンシング情報のまとめパケット生成処理(3種類の情報をセットで32bit化するなど)、ヘッダ情報の圧縮処理(例:IETF規格RFC4944(6lowPAN-HC-04)に規定)、カメラ画像情報のフレーム間引き処理、カメラ画像情報の画像サイズ変更処理、カメラ画像情報の顔検出、動き検出などの特徴抽出処理等を含む(705,706)。次にその分析結果をソフトモジュール選択部114に送付し(707)、その結果を用いて目的のサービス記述を実行する(708)。
【0020】
図7Bで続きを説明する。サービス記述部113にて、実行された各サービス記述の結果を作成し(709)、上位サービス記述ノードに結果を戻すかどうかをサービス記述自体で確認し(710)、戻す場合、処理結果を上位サービス記述ノード105に送付して(711)、センサからのデータ待ちに戻る。サービス記述にて上位サービス記述ノード105に戻るのではなく、アクチュエータ104を起動する記述であった場合、処理結果をソフトモジュール選択部114に送付する(712)。そこで、ハード部102の出力処理部123またはソフト部101の出力処理部116のどちらを実行するのかをサービス要求テーブル201を確認して決定する(713)。ハード部102の出力処理部123またはソフト部101の出力処理部116で、目的のアクチュエータを起動するためのデータを、サービス記述の処理結果を元に作成し(714、715)、ハードモジュール選択部124に送付する(716)。アクチュエータ104にデータを送付しアクチュエータ104を起動する(717)。その後、センサ103の入力待ちに戻る。以上により、センサ104の情報を使ってサービス記述を実行し、上位サービス記述ノード105へ戻るまたはアクチュエータ104を起動することが可能になる。
【実施例2】
【0021】
図8は、本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成を示すブロック図である。入力冗長処理部1241では、複数のセンサの入力を確認して、一部のデータを取得できない場合にも一定の時間でデータを入力処理部115、122へ戻す。これにより、一部のセンサの故障などでデータがすべて取得できない場合にも、目的のサービス記述を実行し、上位サービス記述ノード105へ戻るまたはアクチュエータ104を起動することが可能になる。また、出力冗長処理部1242において、複数アクチュエータから動作可能なアクチュエータを選んで動作させることで、アクチュエータの一部が故障した場合にも、目的のアクチュエータの動作を実行することが可能になる。
【実施例3】
【0022】
(ソフトハード選択)
図9を用いて、サービス要求テーブル201の作成方法を説明する。実施例1における図2のサービス要求解析部111で利用するサービス要求テーブル201に、サービス管理ノードで管理しているサービス記述で要求された、性能、必要なデータサイズ、電力使用量の値を設定する。次に、サービス要求テーブル201の各項目を読み出し(901)、性能要求が大きく(High)で、データサイズが小さい項目から優先して、ハード部で利用できるメモリ量または電力使用量を超えない範囲で(902、903、904)、ハード部の入出力部122、123を割り当て(905、907)、また、残りをソフト部の入出力部115、116で実行するように設定する(906、907)。以上をサービス要求テーブル201の各項目で繰り返す(908)。以上により、外部機器に実現されたハード部の入力処理部・出力処理部と、ソフト部の入力処理部・出力処理部のどちらを利用するかを、サービス記述で必要とされるデータサイズ・性能・電力使用量により決められるパラメータを用いて選択することを実現することが可能になる。
【実施例4】
【0023】
(パラメータによる動作変更)
図2のソフト部負荷取得部112・ハード部負荷取得部121の動作を図10で説明する。まずセンサからデータが入力されるかまたはサービス記述部においてサービス記述が動作することで、入力処理部または出力処理部が起動する(1001)。ここで、各入出力処理部で負荷状態を取得する設定が入っている場合(1002)、ハード部負荷取得部121またはソフト部負荷取得部112が、ハード部負荷テーブル203またはソフト部負荷テーブル202に負荷状態を設定する(1003)。各入出力処理部の設定により、ソフト部ではCPU負荷、電力消費、ネットワーク負荷、サービス管理ノードからの指示等のパラメータを用いて、またハード部ではCPU負荷、電力消費、センサ・アクチュエータ側通信負荷等を用いて、通常の入出力処理を行うか、高負荷時における間引き運転処理を行うかを選択する(1004、1005、1006)。次に、上位サービス記述ノードへ、このシステムでどのような動作を行ったかを、入力処理後の分析データに付加する(1007)。付加したデータは、図11の上位サービス記述ノード宛データテーブル1101に示す。以上により、各処理部が置かれる外部機器または計算機の負荷状態や消費電力、計算機のネットワークに接続された、他の計算機からの指示に基づいて処理内容を変更することが可能になる。
【0024】
以上の実施形態によれば、モジュールと、センサのデータの取り出し、アクチュエータの駆動を行う機能を分離することにより、センサ・アクチュエータの変更があってもモジュールの変更が不要することができ、モジュールの可用性を向上できる。また、センサ・アクチュエータをまとめて操作できるため、グループ内のセンサ・アクチュエータが故障で停止しても、残ったセンサ・アクチュエータで動作を継続することができる。また、センサへのアクセス機能に負荷情報を与えることで、高負荷時にも停止せず、限定された機能の提供を行うことができる。モジュールが要求するセンサ・アクチュエータへのアクセスに必要な情報のデータサイズに合わせて、データサイズが制限されているFPGA等のハードウェア上のアクセス機能を利用するか、PC等のソフトウェア上のそれを利用するか決定できることで、できるだけ多くの機能を機器上に実現できる。
【符号の説明】
【0025】
101:ソフト部、102:ハード部、103:センサ、104:アクチュエータ、105:上位サービス記述ノード、106:サービス管理ノード、107:ネットワーク、111:サービス要求解析部、112:ソフト部負荷取得部、113:サービス記述部、114:ソフトモジュール選択部、115:入力処理部(ソフト部)、116:出力処理部(ソフト部)、121:ハード部負荷取得部、122:入力処理部(ハード部)、123:出力処理部(ハード部)、124:ハードモジュール選択部、1241:入力冗長処理部、1242:出力助長処理部、201:サービス要求テーブル、202:ソフト部負荷テーブル、203:ハード部負荷テーブル、204:サービス記述テーブル、1101:上位サービス記述ノード宛データテーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどのネットワークで利用されるネットワーク機器システムに関し、特にセンサやアクチュエータ等の監視システムや制御システムに接続され動作する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
実世界からの情報を収集して処理を実行し、ユーザへのサービスを提供する実世界情報処理システムは、サービス提供者が所有する情報機器により構成されてきた。しかし、サーバなどの情報機器を管理するコストがサービス提供者の大きな負担となっており、最近では、サービス提供者の情報機器に代わりユーザへのサービスをネットワーク越しに提供するクラウドシステムが登場している。クラウドシステムにおいては、実世界からの情報は、データセンタまで伝達され、データセンタにて蓄積、処理されることによって高度意味情報の抽出が実施され、実世界に結果がフィードバックされる。データセンタに至るネットワークにおいて多くのネットワーク機器を通過するため、フィードバックが行われるまでに少なくとも数秒オーダーの処理遅延が発生する。そのため、リアルタイム性を要求するサービス(プラント制御、金融アルゴリズム取引、予防保全など)においては、信頼性を確保しつつ、処理遅延を短縮することが課題となる。また、今後はセンサが様々な分野で普及し、実世界からの情報量が急増すると予測される。このため、情報量増加に伴う消費電力の急増を最小限に抑止することが大きな課題となる。
【0003】
FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現されているハードウェアモジュールと、CPUで実行されるソフトウェアモジュールのどちらで実行するかを選択でき、そのモジュールを転送速度で選択できる情報処理システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3738802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法ではサービスの記述であるモジュールと、そこで利用されるセンサ・アクチュエータへアクセスするモジュールが分離できず、モジュールが要求するデータのサイズが大きいときにソフトウェア動作させたい場合等、呼び出されるセンサ・アクチュエータへのアクセス方法を変更する場合、同様な機能を持つセンサ・アクチュエータへの変更が難しく、モジュール自体の変更が必要になり、モジュールの管理が面倒になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、ソフト部またはハード部による動作を決定する処理を、ハード部に接続されたセンサからの入力情報を処理する入力処理部と、ソフト部で初期設定されたデータに基づいてアクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割する。
【0007】
本発明の他の態様は、各処理部をネットワーク機器のハード部・ソフト部のどちらにでも設置できるようにする。
【0008】
本発明のさらに他の態様は、複数のセンサ・アクチュエータをまとめて一つのセンサ・アクチュエータとして扱えるようにする。
【0009】
本発明のさらに他の態様は、上位のノードからまたは自ネットワーク機器の負荷状態に合わせて、入出力処理の方法を変更できるようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モジュールと、センサのデータの取り出し、アクチュエータの駆動を行う機能を分離することにより、センサ・アクチュエータの変更があってもモジュールの変更が不要することができ、モジュールの可用性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成図である。
【図2】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの一部の詳細を示す図である。
【図3】サービス要求テーブルである。
【図4】ソフト部負荷テーブルである。
【図5】ハード部負荷テーブルである。
【図6】サービス記述テーブルである。
【図7A】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの処理フローチャートである。
【図7B】ハードソフト連携フィルタリング処理システムの処理フローチャートである。
【図8】実施例2のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成図である。
【図9】サービス要求テーブル作成の処理フローチャートである。
【図10】ソフト部負荷取得部およびハード部負荷取得部の処理フローチャートである。
【図11】上位サービス記述ノード宛データテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、実施例1〜4により以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成を示すブロック図である。本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システムは、一つまたは複数の、ネットワーク機器ソフト部101、ソフト部101にPCIなどの規格で接続されたネットワーク機器ハード部102、ハード部102にPCI、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、DIO(Digital I/O)等の規格で接続されたセンサ103、アクチュエータ104でネットワーク機器が構成され、ネットワーク107でソフト部102と接続された上位サービス記述ノード105、サービス管理ノード106を備える。
【0014】
上位サービス記述ノード105、サービス管理ノード106の間のネットワーク107は、IPプロトコルなどに従う通信パケットが転送される一般的な通信路であり、インターネットやイントラネット、あるいはそれらの複合的な通信ネットワークである。
【0015】
ソフト部101とハード部102では、センサ103からの情報をハードモジュール選択部124でソフト部101かハード部102のどちらで解析を行うかを決定し、決定されたソフト部101に置かれた入力処理部115またはハード部102に置かれた入力処理部122で情報を解析する。ソフトモジュール選択部114でどの入力処理部からの分析の結果なのかを確認しながら受け、サービス記述部113に渡す。サービス記述部113は、その分析結果を基にサービスの動作内容を決定する。ソフトモジュール選択部114でその動作内容を、ソフト部101の出力処理部116またはハード部102の出力処理部123のどちらで実行させるかを決定する。ソフト部101の出力処理部116またはハード部の出力処理部123で実際にアクチュエータ104を動かすためのデータを作成し、ハードモジュール選択部124でどちらの出力処理部でどの出力処理部の結果なのかを確認しながら受け、目的のアクチュエータ104へデータを渡し、アクチュエータ104を起動させることでサービス記述部113の内容を動作させる。また、サービス記述部113は、ネットワーク107を経由し上位サービス記述ノード105へ情報を送付・再度受信を行い他ネットワーク機器と協調動作を行うこともできる。
【0016】
図2では、図1に示す、ソフトモジュール選択部114とハードモジュール選択部124、サービス要求解析部111、ソフト部負荷取得部112、ハード部負荷取得部121の動作と構成について記述する。サービス要求解析部111は、サービス記述部113が保持し、各サービス内容を記述したサービス記述テーブル204に書かれた各サービス記述に合わせた要求レベルをサービス管理ノード106から取得し、その要求レベルをソフトモジュール選択部114とハードモジュール選択部124に入力し、ソフト部101の入力処理部115かハード部102の入力処理部122のどちらを利用するか、またソフト部101の出力処理部116かハード部102の出力処理部123のどちらを利用するかを決定する。
【0017】
図3はサービス要求テーブル201の構成について、図4はソフト部負荷テーブル202の構成、図5はハード部負荷テーブル203の構成、図6は、サービス記述テーブル204の構成について記述する。
【0018】
図3に示すサービス要求テーブル201は、サービス記述名、性能要求、データサイズ、電力使用量、および、入出力種別の項目を有する。図4に示すソフト部負荷テーブル202は、CPU負荷、電力消費、ネットワーク負荷、サービス管理ノードからの指示などのソフト部101の負荷に関する項目を有する。図5に示すハード部負荷テーブル203は、CPU負荷、電力消費、センサ・アクチュエータ側通信負荷などのハード部102の負荷に関する項目を有する。図6に示すサービス記述テーブル204は、サービス記述名、上位サービス記述ノード名、および、上位サービス記述名の項目を有する。
【0019】
図7Aは、ハードソフト連携フィルタリング処理システムで実行される処理のフローチャートである。まず、サービス管理ノード106または直接管理者より、ソフト部101内部のサービス記述テーブル204に対し、サービス記述名、上位サービス記述ノード名、当システムを呼び出す場合の上位サービス記述名を登録するとともに、サービス記述の本体である、スクリプトまたはバイナリ実行プログラムをソフト部102に設置する。また、サービス要求テーブル201を、サービス管理ノード106または直接管理者により設定し、どのサービス記述がソフト部の入力処理部115で実行されるのか、ハード部の入力処理部122で実行されるのかを、センサ種別毎に決定する(701)。次に、各サービス記述に必要なセンサ103からのデータを待つ(702)。データを受信したら、ハードモジュール選択部124に送付され(703)、ステップ701でセンサ種別毎に決定された、ソフト部101内の入力処理部115またはハード部102内の入力処理部122にてデータの分析を行う(704)。ここでの分析では、複数のセンサから得られた同一時刻のデータの平均値演算処理や、単一のセンサから得られた一定時間範囲のデータの平均値演算処理、複数のセンサから得られた同一時刻のデータの最大値/最小値演算処理、単一のセンサから得られた一定時間範囲のデータの最大値/最小値演算処理、閾値を用いたセンサデータの異常値判定処理、センサデータの微分値、積分値などを用いた異常値判定処理、高速フーリエ変換によるセンサデータの周波数成分の演算処理、センシング情報の時間方向のサンプル間引き処理、センシング情報の量子化処理(ビット数削減、倍精度から整数などのデータ形式変換を含む)、複数のセンシング情報のまとめパケット生成処理(3種類の情報をセットで32bit化するなど)、ヘッダ情報の圧縮処理(例:IETF規格RFC4944(6lowPAN-HC-04)に規定)、カメラ画像情報のフレーム間引き処理、カメラ画像情報の画像サイズ変更処理、カメラ画像情報の顔検出、動き検出などの特徴抽出処理等を含む(705,706)。次にその分析結果をソフトモジュール選択部114に送付し(707)、その結果を用いて目的のサービス記述を実行する(708)。
【0020】
図7Bで続きを説明する。サービス記述部113にて、実行された各サービス記述の結果を作成し(709)、上位サービス記述ノードに結果を戻すかどうかをサービス記述自体で確認し(710)、戻す場合、処理結果を上位サービス記述ノード105に送付して(711)、センサからのデータ待ちに戻る。サービス記述にて上位サービス記述ノード105に戻るのではなく、アクチュエータ104を起動する記述であった場合、処理結果をソフトモジュール選択部114に送付する(712)。そこで、ハード部102の出力処理部123またはソフト部101の出力処理部116のどちらを実行するのかをサービス要求テーブル201を確認して決定する(713)。ハード部102の出力処理部123またはソフト部101の出力処理部116で、目的のアクチュエータを起動するためのデータを、サービス記述の処理結果を元に作成し(714、715)、ハードモジュール選択部124に送付する(716)。アクチュエータ104にデータを送付しアクチュエータ104を起動する(717)。その後、センサ103の入力待ちに戻る。以上により、センサ104の情報を使ってサービス記述を実行し、上位サービス記述ノード105へ戻るまたはアクチュエータ104を起動することが可能になる。
【実施例2】
【0021】
図8は、本実施例のハードソフト連携フィルタリング処理システム構成を示すブロック図である。入力冗長処理部1241では、複数のセンサの入力を確認して、一部のデータを取得できない場合にも一定の時間でデータを入力処理部115、122へ戻す。これにより、一部のセンサの故障などでデータがすべて取得できない場合にも、目的のサービス記述を実行し、上位サービス記述ノード105へ戻るまたはアクチュエータ104を起動することが可能になる。また、出力冗長処理部1242において、複数アクチュエータから動作可能なアクチュエータを選んで動作させることで、アクチュエータの一部が故障した場合にも、目的のアクチュエータの動作を実行することが可能になる。
【実施例3】
【0022】
(ソフトハード選択)
図9を用いて、サービス要求テーブル201の作成方法を説明する。実施例1における図2のサービス要求解析部111で利用するサービス要求テーブル201に、サービス管理ノードで管理しているサービス記述で要求された、性能、必要なデータサイズ、電力使用量の値を設定する。次に、サービス要求テーブル201の各項目を読み出し(901)、性能要求が大きく(High)で、データサイズが小さい項目から優先して、ハード部で利用できるメモリ量または電力使用量を超えない範囲で(902、903、904)、ハード部の入出力部122、123を割り当て(905、907)、また、残りをソフト部の入出力部115、116で実行するように設定する(906、907)。以上をサービス要求テーブル201の各項目で繰り返す(908)。以上により、外部機器に実現されたハード部の入力処理部・出力処理部と、ソフト部の入力処理部・出力処理部のどちらを利用するかを、サービス記述で必要とされるデータサイズ・性能・電力使用量により決められるパラメータを用いて選択することを実現することが可能になる。
【実施例4】
【0023】
(パラメータによる動作変更)
図2のソフト部負荷取得部112・ハード部負荷取得部121の動作を図10で説明する。まずセンサからデータが入力されるかまたはサービス記述部においてサービス記述が動作することで、入力処理部または出力処理部が起動する(1001)。ここで、各入出力処理部で負荷状態を取得する設定が入っている場合(1002)、ハード部負荷取得部121またはソフト部負荷取得部112が、ハード部負荷テーブル203またはソフト部負荷テーブル202に負荷状態を設定する(1003)。各入出力処理部の設定により、ソフト部ではCPU負荷、電力消費、ネットワーク負荷、サービス管理ノードからの指示等のパラメータを用いて、またハード部ではCPU負荷、電力消費、センサ・アクチュエータ側通信負荷等を用いて、通常の入出力処理を行うか、高負荷時における間引き運転処理を行うかを選択する(1004、1005、1006)。次に、上位サービス記述ノードへ、このシステムでどのような動作を行ったかを、入力処理後の分析データに付加する(1007)。付加したデータは、図11の上位サービス記述ノード宛データテーブル1101に示す。以上により、各処理部が置かれる外部機器または計算機の負荷状態や消費電力、計算機のネットワークに接続された、他の計算機からの指示に基づいて処理内容を変更することが可能になる。
【0024】
以上の実施形態によれば、モジュールと、センサのデータの取り出し、アクチュエータの駆動を行う機能を分離することにより、センサ・アクチュエータの変更があってもモジュールの変更が不要することができ、モジュールの可用性を向上できる。また、センサ・アクチュエータをまとめて操作できるため、グループ内のセンサ・アクチュエータが故障で停止しても、残ったセンサ・アクチュエータで動作を継続することができる。また、センサへのアクセス機能に負荷情報を与えることで、高負荷時にも停止せず、限定された機能の提供を行うことができる。モジュールが要求するセンサ・アクチュエータへのアクセスに必要な情報のデータサイズに合わせて、データサイズが制限されているFPGA等のハードウェア上のアクセス機能を利用するか、PC等のソフトウェア上のそれを利用するか決定できることで、できるだけ多くの機能を機器上に実現できる。
【符号の説明】
【0025】
101:ソフト部、102:ハード部、103:センサ、104:アクチュエータ、105:上位サービス記述ノード、106:サービス管理ノード、107:ネットワーク、111:サービス要求解析部、112:ソフト部負荷取得部、113:サービス記述部、114:ソフトモジュール選択部、115:入力処理部(ソフト部)、116:出力処理部(ソフト部)、121:ハード部負荷取得部、122:入力処理部(ハード部)、123:出力処理部(ハード部)、124:ハードモジュール選択部、1241:入力冗長処理部、1242:出力助長処理部、201:サービス要求テーブル、202:ソフト部負荷テーブル、203:ハード部負荷テーブル、204:サービス記述テーブル、1101:上位サービス記述ノード宛データテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、
前記ソフト部または前記ハード部による動作を決定する処理を、前記ハード部に接続された前記センサからの入力情報を処理する入力処理部と、前記ソフト部で初期設定されたデータに基づいて前記アクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、前記アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割することを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項2】
請求項1のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記入力処理部及び前記出力処理部の処理をまとめて処理する冗長処理部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項3】
請求項1のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記ハード部に実現されたハードウェア入力処理部およびハードウェア出力処理部と、前記ソフト部に実現されたソフトウェア入力処理部およびソフトウェア出力処理部とのどちらを利用するかを、前記サービス処理部で必要とされるデータサイズ・性能・電力使用量により決められるパラメータを用いて選択するモジュール選択部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項4】
請求項3のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記ハードウェア入力処理部、前記ハードウェア出力処理部、前記ソフトウェア入力処理部、および、前記ソフトウェア出力処理部の処理内容を、該処理部が置かれる前記ハード部または前記ソフト部の負荷状態や消費電力、前記ネットワークに接続された他の計算機からの指示に基づいて変更する状態通知部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項1】
センサとアクチュエータが接続されたハード部とネットワークに接続されたソフト部とを有するハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、
前記ソフト部または前記ハード部による動作を決定する処理を、前記ハード部に接続された前記センサからの入力情報を処理する入力処理部と、前記ソフト部で初期設定されたデータに基づいて前記アクチュエータの動作を決定するサービス処理部と、前記アクチュエータを操作するデータを作成する出力処理部とに分割することを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項2】
請求項1のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記入力処理部及び前記出力処理部の処理をまとめて処理する冗長処理部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項3】
請求項1のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記ハード部に実現されたハードウェア入力処理部およびハードウェア出力処理部と、前記ソフト部に実現されたソフトウェア入力処理部およびソフトウェア出力処理部とのどちらを利用するかを、前記サービス処理部で必要とされるデータサイズ・性能・電力使用量により決められるパラメータを用いて選択するモジュール選択部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【請求項4】
請求項3のハードソフト連携フィルタリング処理システムにおいて、前記ハードウェア入力処理部、前記ハードウェア出力処理部、前記ソフトウェア入力処理部、および、前記ソフトウェア出力処理部の処理内容を、該処理部が置かれる前記ハード部または前記ソフト部の負荷状態や消費電力、前記ネットワークに接続された他の計算機からの指示に基づいて変更する状態通知部を持つことを特徴とするハードソフト連携フィルタリング処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−198060(P2011−198060A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64341(P2010−64341)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度 総務省「セキュアクラウドネットワーキング技術の研究開発(インテリジェント分散処理技術)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度 総務省「セキュアクラウドネットワーキング技術の研究開発(インテリジェント分散処理技術)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]