説明

ハードディスク装置

【課題】
ハードディスク装置で発生した障害等のイベントを発生した現在時刻と併せてハードディスク装置上の円盤状記録媒体上に保持することでイベントの発生原因特定を容易にする。
【解決手段】
ハードディスク装置に実装した現在時刻記録部位に、ディスクアレイコントローラ装置から現在時刻データを伝達する。ハードディスク装置で障害等のイベント発生時に、現在時刻データとマイコン内のタイマでカウントしているハードディスク装置の電源ONからの時間を加算し、イベント発生時の現在時刻を算出しイベント情報と一緒に円盤状記録媒体上のイベント情報記録部位に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク等の円盤状記録媒体の回転駆動を行うディスクドライブ装置に係り、詳しくは、ディスクアレイコントローラ装置に接続され、ハードディスク装置で発生したイベントを記録するハードディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクアレイコントローラ装置に接続されたディスクドライブ装置の障害発生時の障害原因解析を容易にする目的で、ハードディスク装置で発生したエラーなどのイベントをハードディスク内部に記録する。その関連技術の例として、例えば特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】特開平7-230360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記、従来の技術のイベント記録方式はハードディスク装置でエラーなどのイベントが発生した場合、このイベント情報を円盤状記録媒体などの障害情報記録器に記録する。
しかし、上記技術では記録したエラーなどのイベントについて発生した現在時刻を記録できない為、ハードディスク装置以外で記録された障害情報とハードディスク装置に記録したイベント情報を比較してもイベント同士のマッチングを取りにくく障害原因の解析が困難となる課題が残る。
【0005】
本発明の目的はエラーなどのイベント情報をハードディスク装置に実装された円盤状記録媒体に記録する際にイベント発生の現在時刻を併せて記録することにより、ハードディスク装置で発生したエラーなどのイベントの原因解析を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、ハードディスク装置に現在時刻記録部位を実装する。この現在刻記録部位はハードディスク装置上に実装されたメモリ上に実装する。ハードディスク装置の起動時にディスクアレイコントローラ装置からハードディスク装置に対し現在時刻のデータ書き込み指示があった場合、ハードディスク装置は現在時刻をメモリ上に実装された現在時刻記録部位に現在時刻のデータを格納する。
ハードディスク装置でエラーなどのイベントが発生した場合、現在時刻記録部位に記録された現在時刻を読み出し、この現在時刻とハードディスク装置に実装されたマイコンに実装されたタイマで監視しているハードディスク起動から現在までの時間を加算しエラーなどのイベント発生の現在時刻を算出しエラーなどのイベント情報と併せて発生した現在時刻をハードディスク装置内の円盤状記録媒体上に実装されたイベント情報記録部位に記録する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハードディスク装置で発生したイベントを発生した現在時刻と併せてハードディスク装置上の磁気記録円盤に保持することでイベントの発生原因特定を容易にすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について記述する。まず、ハードディスク装置で発生したイベントを発生した現在時刻と併せてハードディスク装置上の円盤状記録媒体に保持するためのハードディスク装置の構成を示した図1、図2を用いて説明する。
【0009】
101は接続されたハードディスク装置102に対しデータのリード/ライトアクセスを行うディスクアレイコントローラ装置を表す。
102はハードディスク装置で、ハードディスクコントローラ103、マイコン104、リード/ライトデータ処理回路106、磁気ヘッド107、円盤状記録媒体108、メモリ110を備える。なお当然のことながら、ハードディスク装置102はそれ以外のコンポーネント、例えばボイス・コイル・モータ、スピンドル・モータ、モータドライバRAM、電源コネクタ等を備えているし、備えるようにしてもよい。
【0010】
103はディスクアレイコントローラ装置101から入力される、あるいは出力するデータ信号を処理するハードディスクコントローラ、104はマイコン、105はマイコン内に実装されたタイマを表す。
106はハードディスクコントローラ103から伝達されたアドレスのデータを、磁気ヘッド107を用いて円盤状記録媒体108上のデータをリード/ライトするリード/ライトデータ処理回路を表す。
107は円盤状記録媒体108上のデータをリード/ライトする磁気ヘッドを表す。
108はデータが記録されている円盤状記録媒体を表す。
109は円盤状記録媒体内にあるイベント情報記録部位を表す。
110はハードディスク装置の動作パラメータ等を一時記憶するメモリを表す。
111はメモリ内にある現在時刻記録部位を表す。
以下、本発明の動作の流れを図1、図2を用いて説明する。
〔S201〕ディスクアレイコントローラ装置101からハードディスク装置102上に実装されたハードディスクコントローラ103に対し現在時刻データを伝達する。
〔S202〕ハードディスクコントローラ103からハードディスク装置102上に実装されたメモリ110内に確保した現在時刻記録部位111に現在時刻データを伝達し、現在時刻記録部位は現在時刻データを保持する。
〔S203〕ハードディスク装置102上に実装されたマイコン104内のファームウェアまたは別に実装されたハードディスク装置イベント検知装置がハードディスク装置102で発生した障害等のイベントの発生を検知する。
〔S204〕ハードディスク装置102上に実装されたマイコン104内のファームウェアが現在時刻記録部位111に現在時刻データが保持されているかどうか判断する。
〔S205〕マイコン104が現在時刻データを保持している現在時刻記録部位111から現在時刻データを読み出す。
〔S206〕マイコン104内のタイマ105で測定しているハードディスク装置102の電源ONからの経過時間と、読み出した現在時刻データを加算しハードディスク装置障害等のイベント発生時の現在時刻を算出する。
〔S207〕イベント発生時の現在時刻と、発生したイベントのデータを円盤状記録媒体108内のイベント情報記録部位109に記録する。
〔S208〕現在時刻記録部位111に現在時刻データが保持されていなかった場合、マイコン104内のタイマ105で測定しているハードディスク装置102の電源ONからの経過時間と発生したイベント情報を円盤状記録媒体108内のイベント情報記録部位109に記録する。
【0011】
例えば、ディスクアレイコントローラ装置が接続されたSCSI規格のハードディスク装置に対し、現在時刻データをLogselectコマンドまたはModeselectコマンドを用いてハードディスク装置内のLogpageまたはModepageに記録する。このとき現在時刻のデータ形式は例えば10月25日18時45分であれば0x10、0x25、0x18、0x45の4バイトとなる。当然のことながら現在時刻にはこれに加えて年をいれてもよいし、秒をいれてもよいし、また分や月をなくしてもよい。LogselectコマンドまたはModeselectコマンドを発行する際に、LogselectコマンドまたはModeselectコマンドのパラメータであるSave Pageのビットを“0”に設定する。この設定により、通常円盤状記録媒体に確保されているLogpageまたはModepageに現在時刻データの書き込みを行わなずに、メモリ上のLogpageまたはModepageにのみ書き込みを行う。すなわち現在時刻データを保存値であるSave値ではなく、通電動作中に参照するCurrent値にのみ保持する。この動作により、現在時刻データをハードディスク装置に伝達しない仕様のディスクアレイコントローラ装置にハードディスク装置を接続したとき、誤った現在時刻とともにイベント情報を記録することを防止できる。
【0012】
ハードディスク装置で障害等のイベントが発生した場合、ハードディスク装置に実装されたマイコン上で動作するファームウェアが、LogpageまたはModepageの現在時刻を記録している部位のCurrent値を読み出し、ハードディスク装置出荷時のLogpageまたはModepageの値であるDefault値と比較し異なっていれば現在時刻が記録されていると判断し、値が等しければ現在時刻が記録されていないと判断する。
【0013】
現在時刻が記録されていると判断した場合、ファームウェアは読み出した現在時刻の値と、マイコン内のタイマでカウントしているハードディスク装置の電源ONからの時間、つまりパワーオンタイムを加算しイベント発生の現在時刻を算出し、発生したイベント情報、例えば障害であればSCSIのセンス情報と一緒に円盤状記録媒体上のイベント情報記録部位に記録を行う。このイベント情報記録部位はハードディスク装置製造メーカ固有の記録部位でもよいし、LogpageまたはModepageの一部であってもよい。
【0014】
現在時刻が記録されていないと判断した場合、ファームウェアはマイコン内のタイマでカウントしているハードディスク装置の電源ONからの時間、つまりパワーオンタイムを、発生したイベント情報、例えば障害であればSCSIのセンス情報と一緒に円盤状記録媒体上のイベント情報記録部位に記録を行う。このイベント情報記録部位はハードディスク装置製造メーカ固有の記録部位でもよいし、LogpageまたはModepageの一部であってもよい。
【0015】
以上から、ハードディスク装置で発生したイベントを発生した現在時刻と併せてハードディスク装置上の磁気記録円盤に保持することでイベントの発生原因特定を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明装置を用いたハードディスク装置の基本図
【図2】本発明装置のフロー図
【符号の説明】
【0017】
101…ディスクアレイコントローラ装置
102…ハードディスク装置
103…ハードディスクコントローラ
104…マイコン
105…タイマ
106…リード/ライトデータ処理回路
107…磁気ヘッド
108…円盤状記録媒体
109…イベント情報記録部位
110…メモリ
111…現在時刻記録部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクコントローラ装置に接続されたハードディスク装置において、ハードディスク装置で発生したイベントのイベント発生時刻を算出する算出手段と、ハードディスク装置で発生したイベントのイベント情報を前記算出手段で算出したイベント発生時刻と併せて円盤状記録媒体上に記録する記録手段とを備えたことを特徴とするハードディスク装置。
【請求項2】
電源ONからの経過時間を測定するカウンタと、前記ディスクコントローラ装置から現在時刻を取得してメモリに保持する制御手段とを備え、前記算出手段は前記カウンタで測定された電源ONからの経過時間と前記メモリに保持された現在時刻を加算してイベント発生時刻を算出することを特徴とする請求項1記載のハードディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−110133(P2009−110133A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279785(P2007−279785)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】