説明

バイオイメージング用ランプ

【課題】 緑色蛍光タンパク質の解析に最適なバイオイメージング用ランプを提供する。
【解決手段】 本ランプは平面形蛍光ランプであり、放電空間内部の蛍光体膜6として青色蛍光体のみが使用されたバイオイメージング用ランプである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオイメージング用のランプに関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の細胞内局在を観察するために緑色蛍光タンパク質(GFP)がタグとして用いられることが注目されている。GFPは生きた細胞を直接観察できるために、従来の抗体反応による観察方式では限界であった様々な解析が行えるようになっている。
【0003】
GFPを観察するためのイメージング光学系においては重要なポイントは、GFPに当てる励起光をなるべく減らして、励起光による細胞傷害、蛍光物質の劣化を防ぐことである。特に、紫外線、赤外線の影響は大きく、できるだけ可視光だけを当てることが望ましい(非特許文献1)。
【0004】
従来のバイオイメージング装置では、水銀蛍光ランプやキセノンランプなどが用いられている。
【非特許文献1】宮脇敦史 編「GFPとバイオイメージング」羊土社出版、2000年10月、第5章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、水銀蛍光ランプやキセノンランプでは紫外線や赤外線が発生するため、被写体のタンパク質に悪影響を及ぼす。そのため、紫外線、赤外線の発生ができるだけ少ない光源が必要とされている。
【0006】
また、バイオイメージングで使用する光照射面積は観察物に依存するが、一般的にはランプの大きさよりも小さいため、一般的な管形蛍光ランプでは十分な照度を得ることが難しい。
【0007】
そこで本発明は、上述した実状に鑑み、バイオイメージング装置特に緑色蛍光タンパク質の解析に最適なバイオイメージング用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、キセノンなどのガスを封入した平面型のバイオイメージング用蛍光ランプである。そのランプ内の放電室に設けられた蛍光体は、一般式Ba1-xEuxMgAl1017(x=0.01〜0.20)および/またはCa1-xEuMgSi26(x=0.01〜0.02)からなる青色蛍光体のみである。
【0009】
このように本発明は、バイオイメージング用蛍光ランプとして、蛍光ランプ内の蛍光体を青色蛍光体に限定し、そのランプ形状が管型ではなく、平面型であることを特徴とする。この蛍光ランプでは、一般蛍光ランプより小型化できるために、被写体までの距離を縮めることができる。さらに、従来に比べて赤外線の発生が少ないため、被写体を温めるなどの悪影響が少なくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、青色蛍光体だけを使用していることで、緑色、赤色の発光を有しないため、例えば青色光励起で緑色発光する緑色蛍光タンパク質(GFP)などの観察に最適である。
【0011】
また、平面型蛍光ランプであるため、裏面への発光が無く、小型化が可能であるため、バイオイメージング装置の小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態によるバイオイメージング用ランプの構成を示す断面図である。
【0014】
図1を参照すると、本ランプは平面形蛍光ランプであり、偏平で中空の放電室をもつ容器を形成するために、2枚の対向する板ガラスである前面ガラス1および裏面ガラス2と、これらの板ガラスの周辺部を支持する枠部材3で形成されている。裏面ガラス2上には放電に必要な一組の電極4が形成されている。電極4は放電空間に露出すると放電によるスパッタリングで劣化するため誘電体膜5で覆われている。
【0015】
誘電体膜5の表面と、前面ガラス1の誘電体膜5と対向する面とに所定の蛍光体膜6が塗布され、放電空間には所定の圧でキセノンと窒素が封入されている。
【0016】
蛍光体膜6としては青色蛍光体のみを使用する。この青色蛍光体は、Ba1-xEuxMgAl1017(x=0.01〜0.2)、もしくはCa1-xEuMgSi26(x=0.01〜0.02)である。
【0017】
図2に青色蛍光体は、Ba1-xEuxMgAl1017(x=0.01〜0.2)の発光スペクトルを示す。
【0018】
この図に示すように、本実施形態の蛍光ランプは緑色、赤色の発光を有しないため、例えば青色光励起で緑色発光する緑色蛍光タンパク質(GFP)などの観察に最適である。この場合、青色フィルターを必要としないが、具備しても良い。さらに、バイオイメージング用蛍光ランプとしては、従来の水銀蛍光ランプやキセノンランプと比べ、青色の可視光のみを発し、紫外線や赤外線が発生しないため、被写体のタンパク質に悪影響を及ぼさない。
【0019】
また、本実施形態の蛍光ランプは管型ではなく、平面型であるため、小型化が可能である。小型化しても、裏面への発光が無いので、バイオイメージング用ランプとして被写体に対し十分な照度を得ることができる。さらに、小型化が可能であるため、被写体までの距離を縮めることができる。これらの結果、バイオイメージング装置の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態によるバイオイメージング用蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図2】青色蛍光体としての、Ba1-xEuxMgAl1017(x=0.01〜0.2)の発光スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0021】
1 前面ガラス
2 裏面ガラス
3 枠部材
4 電極
5 誘電体膜
6 蛍光体膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面ガラスとこれに対面する裏面ガラスとで形成され、内部が偏平で中空の放電空間になっている容器と、該放電空間に封入されたガスと、前記放電空間の内壁に設けられた青色蛍光体のみの膜とを備えたバイオイメージング用ランプ。
【請求項2】
前記青色蛍光体がBa1-xEuxMgAl1017(x=0.01〜0.20)からなる、請求項1に記載のバイオイメージング用ランプ。
【請求項3】
前記青色蛍光体がCa1-xEuMgSi26(x=0.01〜0.02)からなる、請求項1に記載のバイオイメージング用ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−19066(P2006−19066A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193571(P2004−193571)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】