説明

バイオマス炭の製造方法およびこれに用いるバイオマス炭の製造装置

【課題】ロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する際に、バイオマス炭の収率を向上可能であって、しかもバイオマス炭の品質の低下の少ない、バイオマス炭の製造方法およびこれに用いるバイオマス炭の製造装置を提供すること。
【解決手段】ロータリーキルン10を用いてバイオマス1を炭化してバイオマス炭を製造する方法であって、ロータリーキルン10から排出される炭化の際に発生するタールを含有する排出ガス4の少なくとも一部をロータリーキルン10に供給する前のバイオマスに接触させて、タールの少なくとも一部が付着したバイオマスをロータリーキルン10に供給することを特徴とするバイオマス炭の製造方法を用いる。充填槽11内でバイオマスに排出ガス4を接触させて、ロータリーキルン10供給前のバイオマスを乾燥させることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する方法およびこれに用いるバイオマス炭の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球温暖化防止の観点からCO2排出量削減が緊急の課題である。CO2排出量削減の方法として、インプットの炭素量を削減する、アウトプットのCO2を回収する、従来の石炭・石油等をカーボンフリーの炭素源に代替する等の技術開発が行われている。カーボンフリーの炭素源としてはバイオマスが知られている。バイオマスとしては、建築家屋の解体で発生する木材廃棄物、製材所発生の木質系廃棄物、森林等での剪定廃棄物、農業系廃棄物などがある。その処理利用方法としては、埋立て、放置、焼却、燃料等が主なものである。また、燃料利用を目的としたバイオ燃料作物も知られている。
【0003】
一方で、このようなバイオマスを熱分解して可燃性ガスや炭化物(バイオマス炭)を製造して再利用する技術も知られている。
【0004】
特許文献1には、バイオマスを加熱乾留することにより得られる炭化物に対し、加熱時に発生する揮発分を循環吸収させて高発熱量炭化物を製造する方法として、バイオマスを200〜500℃で加熱乾留することにより得られる炭化物と揮発分とを分離回収した後、冷却により生成した液状揮発分に120〜350℃の炭化物を浸漬して、揮発分を吸収させる高発熱量炭化物の製造方法や、バイオマスを200〜500℃で加熱乾留することにより得られる炭化物と揮発分とを分離回収した後、ガス状の揮発分に250℃以下に冷却した炭化物を接触させて、水より高沸点の揮発分を吸収させる高発熱量炭化物の製造方法などが記載されている。また、バイオマスを200〜500℃で加熱乾留することにより得られる炭化物と揮発分とを分離回収し、冷却した揮発分に冷却した炭化物を接触させた後、120〜350℃で加熱することにより水分を除去して高発熱量炭化物を製造する方法も記載されている。
【0005】
特許文献2には、有機廃棄物を外熱式ロータリーキルンで熱分解して炭化物を得る固体燃料の製造方法が記載されている。また特許文献3には、有機物を燃焼用空気の非供給下で熱分解して無定形炭素(炭化物)を生成し、熱分解途上の有機物から発生する可燃性ガスと気体状のタールとを含む未処理ガスを、高温で無定形炭素に流通させて、タールをほぼ完全に熱分解してタールが除去された処理ガスを得る有機物の処理方法が記載されている。特許文献3においては熱分解炉としてロータリーキルンを用い、ロータリーキルンの出口付近で有機物の熱分解で発生したガスを炭化物に接触させてタールの分解を行なうものである。この技術は、炭化物にタールを接触させて、1000℃付近の高温でタールを分解して可燃性ガスを得ようとするものである。
【0006】
バイオマスを乾留、あるいは熱分解して炭化物を得るためには、上記のように炭化炉が使用される。運転方式、炉の形式や形状などで、バッチ方式、連続式に分類され、ロータリーキルン方式、流動層方式等による各種の炉が炭化炉として使用されている。
【0007】
また加熱熱源としてはバイオマス乾留により得られる発生ガス、タールを燃焼させ、それを熱源とすることが知られている。加熱の方式としては、バイオマスを前記燃焼ガスなどの高温ガスで直接加熱する方式(熱風循環式)や、ロータリーキルン等のように炉外部から間接加熱する方式(外熱式)、炉内部で発生ガスを燃焼させ直接加熱する方式(内熱式)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−213273号公報
【特許文献2】特開2008−184531号公報
【特許文献3】特許第3781379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ロータリーキルン型の炭化炉は運転が容易であり、原料の形状に制約が少ないことから、バイオマス等を炭化して炭化物を製造するために用いるのに好適である。ロータリーキルン内で内容物を加熱して炭化すると、乾留による熱分解により、炭化物の生成と同時にガス、タール等も発生する。これらのガスやタールも有効利用することは可能であるので、特許文献3に記載の技術のように積極的にガス化を促進する場合もあるが、炭化物の製造という観点では、原料中の炭素分がガスやタール化することで、炭化物の収率が低下することになる。特許文献3に記載のように1000℃近い温度でタールを熱分解すると、ほとんどがガスに転化し、タールから得られる炭化物の収率はせいぜい数mass%である。
【0010】
炭化物であるバイオマス炭の収率を向上させるために、上記の特許文献1に記載のようにバイオマスの炭化時に発生するタールやガスを炭化物に吸収させる方法がある。特許文献1に記載の方法でバイオマス炭を製造すると、バイオマス炭の収率は付着したタール等の分だけ向上するが、液状揮発分を吸収させる方法で得られる炭化物の表面は粘着性で、取り扱いが困難なものであると考えられる。また、タールの発熱量は低いことが知られている。一般的に、バイオマスを熱分解して得られるタールとは、熱分解して得られる液体を言うものであるが、バイオマスの炭化物の発熱量が約30MJ/kgであるのに対し、タールは最大10MJ/kgであり重油の半分以下である。また、バイオマスを熱分解して炭化物が得られる際に、バイオマス中の酸素分の多くはタール分や揮発分としてバイオマスから脱離するために、一般的には、炭化物中の酸素含有率は10mass%未満であるのに対し、タール中の酸素含有率は20mass%を超え、40mass%近くなる場合もある。酸素分の高い、反応性の高いタールは発火性も高く、安全上の問題もある。
【0011】
以上のように、タール分は炭化物と比較すると、酸素含有率が高く、発熱量が低く、高粘性で、反応性が高く安定性が低いため、バイオマス炭に単に付着させることはバイオマス炭の品質を低下させることになる。
【0012】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、ロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する際に、バイオマス炭の収率を向上可能であって、しかもバイオマス炭の品質の低下の少ない、バイオマス炭の製造方法およびこれに用いるバイオマス炭の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)ロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する方法であって、
前記ロータリーキルンから排出される前記炭化の際に発生するタールを含有する排出ガスの少なくとも一部を前記ロータリーキルンに供給する前のバイオマスに接触させて、
前記タールの少なくとも一部が付着した前記バイオマスをロータリーキルンに供給することを特徴とするバイオマス炭の製造方法。
(2)充填槽内でバイオマスに排出ガスを接触させて、ロータリーキルン供給前の前記バイオマスを乾燥させることを特徴とする(1)に記載のバイオマス炭の製造方法。
(3)バイオマスに接触させることで冷却された排出ガスを用いて、バイオマス炭を冷却することを特徴とする(1)または(2)に記載のバイオマス炭の製造方法。
(4)バイオマスを炭化するロータリーキルンと、
前記ロータリーキルンにバイオマスを供給するバイオマスの充填槽と、
前記ロータリーキルンから排出されるガスを前記充填槽下部に供給するガス流路と、を備えることを特徴とする、バイオマス炭の製造装置。
(5)さらに前記ロータリーキルンから排出されるバイオマス炭の充填槽と、
前記バイオマスの充填槽から排出されるガスを前記バイオマス炭の充填槽に供給するガス流路と、を備えることを特徴とする、(4)に記載のバイオマス炭の製造装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロータリーキルンを用いて、バイオマスを炭化してバイオマス炭を効率的に製造することができ、バイオマス炭の収率を向上させることが可能となる。製造されるバイオマス炭の品質も、タールが単に付着したバイオマス炭に比べて向上する。
【0015】
また、タールが有効利用され、タール処理の負担も軽減する。乾留生成物を軽質化でき、排ガス処理工程も軽減可能となる。これにより、バイオマスの再利用が促進されて、CO2排出量削減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す説明図。
【図2】本発明のバイオマス炭の製造装置の一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
バイオマスとは、ある一定量集積した動植物資源とこれを起源とする廃棄物の総称(ただし、化石資源を除く)であり、本発明で用いるバイオマスには、農業系、林業系、畜産系、水産系、廃棄物系等の、熱分解して炭化物を生成するあらゆるバイオマスを用いることができる。有効発熱量の高いバイオマスを用いることが好ましく、木質系バイオマスを用いることが好ましい。木質系バイオマスとしては、パルプ黒液、チップダスト等の製紙副産物、樹皮、のこ屑等の製材副産物、枝、葉、梢、端尺材等の林地残材、スギ、ヒノキ、マツ類等の除間伐材、食用菌類の廃ホダ木等の特用林産からのもの、シイ、コナラ、マツ等の薪炭林、ヤナギ、ポプラ、ユーカリ、マツ等の短伐期林業等の林業系バイオマスや、市町村の街路樹、個人宅の庭木等の剪定枝条等の一般廃棄物や、国や県の街路樹、企業の庭木等の剪定枝条、建設・建築廃材等の産業廃棄物等が挙げられる。農業系バイオマスに分類される、廃棄物・副産物を発生源とする籾殻、麦わら、稲わら、サトウキビカス、パームヤシ等や、エネルギー作物を発生源とする米糠、菜種、大豆等の農業系バイオマスの一部も木質系バイオマスとして好適に用いることができる。
【0018】
本発明では、炭化炉としてロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化して、炭化物であるバイオマス炭を製造する。ロータリーキルンには外熱式と内熱式があるが、燃焼用の空気が直接炭化物に触れない点で外熱式の方が好ましい。外熱式ロータリーキルンは回転炉の一種であり、一端に原料の供給口を、他端に炭化物の排出口を有する内筒と、内筒の外側に同心状に配置した外筒との間に、加熱流路を形成し、外筒と内筒を一体で回転できるようにした熱分解キルン炉を、供給口側よりも排出口側が僅かに低くなるように傾斜させて横向きに配置し、駆動装置により低速で回転するようにしたものである。外熱式は、炭化炉内に酸素を投入しないため、炭化物の回収率が良いという特徴がある。
【0019】
バイオマスを炭化する際の炭化とは、空気(酸素)の供給を遮断または制限して加熱し、気体(木ガスとも呼ばれる)、液体(タール)、固体(炭)の生成物を得る技術を言う。加熱温度、加熱時間を変化させることで、得られる気体、液体、固体の成分や割合が変化する。本発明では炭化の際に発生する排出ガス中のタールを気体とともに回収し、そのタールの少なくとも一部をロータリーキルンに供給する前のバイオマスに接触させて、回収したタールの少なくとも一部をバイオマスに付着させ、ロータリーキルンに供給する。これによりタールがバイオマス炭として回収され、バイオマスの収率が向上する。バイオマスに付着したタールの少なくとも一部は、ロータリーキルン内で炭化してバイオマス炭上に析出し、バイオマス炭はタールが付着しただけの状態に比べて、より酸素含有率が低く、発熱量が高くなり、反応性が低く発火性も低下して安全性が高まり、品質が向上したものとなる。ここで、本発明のバイオマス炭は従来のタールを付着させないバイオマス炭と同様の30MJ/kg程度の発熱量が得られることになるが、例えば特許文献1に示すような方法でタールを付着させると、タールの発熱量が10MJ/kg程度であることから、特許文献1における実施例のエネルギー収率向上の割合からタールの付着量を想定して計算すると、14〜20MJ/kg程度の発熱量しか得られないことになる。仮に、特許文献1において、付着したタールがバイオマスを熱分解して得られる液体を静置あるいは蒸留によって褐色透明な液(酢液)を分離して除いた黒褐色の高粘性の液状物であったとしても、酢液が除去されたタールの発熱量は最大約20MJ/kgとなり、結果としてバイオマス炭の発熱量は23〜27MJ/kgにとどまる。
【0020】
炭化の際に発生する排出ガス中のタールを分離機を用いて分離して、タールのみをロータリーキルンに供給する前のバイオマスに付着させることも可能である。ここで得られるタールは、バイオマスを熱分解して得られる液体を静置あるいは蒸留によって褐色透明な液(酢液)を分離して除いた黒褐色の高粘性の液状物となる。この場合のタールの発熱量は、酢液を除去することにより、最大約20MJ/kgとなる。
【0021】
ロータリーキルンの上流側にバイオマスの充填槽を設置して、充填槽内でバイオマスの充填層を形成し、該充填層内に下部から排出ガスを流通させることでバイオマスにタールを含有する排出ガスを接触させて、タールの付着と同時にロータリーキルン供給前のバイオマスを乾燥させることが好ましい。バイオマスの充填槽内ではバイオマスとともに排出ガスの水分も除去することができる。
【0022】
バイオマスに接触させることで排出ガスは冷却される。このタール分が少なくとも一部除去され、低温化した排出ガスである冷却ガスを用いて、バイオマス炭を冷却することが好ましい。その際にはロータリーキルンの下流側にバイオマス炭の充填槽を設置することが好ましく、バイオマス炭の充填槽内にバイオマス炭の充填層を形成し、該充填層内に排出ガスを流通させる。バイオマス炭は冷却されると共に、冷却ガス中のタールが付着し、さらにバイオマス炭の収率が向上する。
【0023】
バイオマスの充填層に供給する排出ガスや、バイオマス炭の充填層に供給する冷却ガスには、外部発生のタールを追加することも可能である。外部発生のタールとしては、炭化する余地のある、バイオマス由来のタールを用いることが好ましく、バイオマスを700℃以下で熱分解して発生するタールを用いることが特に好ましい。
【0024】
排出ガスや、冷却ガスの残部は、燃料として用いることや、別途燃焼機等で燃焼させてロータリーキルンの熱源として用いる他、高温の廃ガスとして、熱回収などに利用することができる。
【0025】
本発明の一実施形態を図1を用いて説明する。
【0026】
外熱式のロータリーキルン炉である炭化炉10では、原料1が炭化され、炭化物3と排出ガス4が排出される。ロータリーキルン炉10には、その一端側から原料1が供給され、他端から炭化物3が排出される。原料1には、炭化炉10から排出された排出ガス4の一部が混合される。原料1に排出ガス4の一部を混合するには、炭化炉10に原料1を供給する際に、原料1と排出ガス4とを混合して吹き込むことや、炭化炉10の上流側に充填槽を設けて、充填槽内に原料1の充填層を形成させて、その中に排出ガス4を吹き込むことで行なうことができる。
【0027】
炭化炉10で発生した排出ガス4は、炭化炉10で熱分解により発生したタールを含むため、排出ガス4を原料1に混合させることで、原料1にタールが付着する。この付着したタールの少なくとも一部は、炭化炉で加熱される際に熱分解して、炭化物やガス、タールなどが発生する。そのため、系内で発生するタールが原料に付着することにより、炭化物の収率を向上させることになる。
【0028】
本発明の他の一実施形態を図2を用いて説明する。
【0029】
まずバイオマスの充填槽11に、原料1が供給される。供給の際にはスクリューフィーダなどのガス気密性が高い供給装置を用いる。バイオマスの充填槽11は、高温ガスを流通させて原料を乾燥させる方式であれば、特に方式は問わない。バイオマスの充填槽11の好ましい形態はバイオマスの充填槽11内に原料の充填層を形成する方式である。
【0030】
バイオマスの充填槽11で乾燥された乾燥原料2は、炭化炉10に供給される。供給の際にはスクリューフィーダなどのガス気密性が高い供給装置を用いる。炭化炉10は、外熱式のロータリーキルンを用いる。
【0031】
炭化炉10で炭化された炭化物3は、バイオマス炭の充填槽12に供給される。供給の際にはスクリューフィーダなどのガス気密性が高い供給装置を用いる。バイオマス炭の充填槽12は、低温ガスを流通させて炭化物を冷却させる方式であれば、特に方式は問わない。バイオマス炭の充填槽12の好ましい形態はバイオマス炭の充填槽12内に炭化物3の充填層を形成する方式である。
【0032】
バイオマス炭の充填槽12で冷却された冷却炭化物6は、スクリューフィーダなどのガス気密性が高い切り出し装置を用いて排出される。
【0033】
炭化炉10で発生した排出ガス4は、炭化炉10で熱分解により発生したガスやタールを含むものであるが、これをバイオマスの充填槽11に乾燥用の高温ガスとして供給する。更に乾燥用に用いられ温度が低下した元排出ガス4は、低温の冷却ガス5として、バイオマス炭の充填槽12に供給される。更に冷却用に用いられ温度がやや上昇した元冷却ガス5は、廃ガス7として、吸引されるなどしてバイオマス炭の充填槽12から排出される。
【0034】
廃ガス7には可燃性ガスが含まれるため、これを燃焼機313等で燃焼して炭化炉10の外熱の加熱源として利用することができる。
【0035】
排出ガス4には、熱分解により発生したタールが含まれているため、バイオマスの充填槽11内で原料1にタールが付着する。また、冷却ガス5にもタールが含まれているため、バイオマス炭の充填槽12内にて炭化物3にタールが付着する。このように、系内で発生するタールを排出ガス4と共に循環させて、原料や炭化物に付着させることにより、炭化物の収率を向上させることができる。
【0036】
一方で、バイオマスの充填槽11内で原料1に付着したタールは、炭化炉10内で加熱される際に熱分解してチャー分が生成し、即ち炭化物となり、炭化物2の収率向上と同時に品質の向上にも寄与する。
【0037】
また、排出ガス4の熱を利用することにより、効率的に原料1を乾燥させることが出来る。冷却ガス5の冷熱を利用することにより、効率的に炭化物3を冷却させることが出来る。
【0038】
すなわち、炭化物の収率向上と、原料乾燥や炭化物冷却を同時に達成することが出来るため、効率的に炭化物の収率を向上させることができる。
【0039】
原料1の形態としては、ロータリーキルンの操業上は粒径1〜200mm程度が主体とするのが好ましく、バイオマスまたはバイオマス炭の充填層を有する場合はそのガス流通に支障が生じないような形態、すなわち5mm〜200mm程度が主体(90mass%以上)の大きさの塊状物とすることが好ましい。なお、ここでの粒径は、200mm以下とは目開きが200mmの篩を通過する篩下であり、5mm以上とは目開きが5mmの篩の篩上の状態を言う。
【0040】
炭化炉10内の炭化温度は300〜700℃程度とする。温度が低すぎると炭化が十分に進まず、高すぎると炭化物の収率が低下する上に、設備がコスト高になるためである。好ましくは400〜700℃であり、更に好ましくは400〜600℃である。
【0041】
バイオマスの充填槽11内で乾燥された原料の温度は、60〜120℃程度とする。
【0042】
バイオマス炭の充填槽12内で冷却された炭化物の温度は、60〜150℃程度とする。
【0043】
上記の本発明方法に用いる装置としては、ロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する装置であって、ロータリンキルンと、前記ロータリーキルンにバイオマスを供給するバイオマスの充填槽と、前記ロータリーキルンから排出されるガスを充填槽下部に供給するガス流路と、を備えるバイオマス炭の製造装置を用いることができる。ここでのガス流路は、ロータリーキルンから排出される前記炭化の際に発生する排出ガスの少なくとも一部を充填槽下部に供給する配管(ダクト、煙道)等であれば良い。
【0044】
さらにロータリーキルンから排出されるバイオマス炭の充填槽と、バイオマスの充填槽から排出されるガスをバイオマス炭の充填槽に供給するガス流路と、を備えることが好ましい。ここでのガス流路は、バイオマスの充填槽から排出される冷却された排出ガスの少なくとも一部をバイオマス炭の充填槽に供給する配管(ダクト、煙道)等であれば良い。冷却された排出ガスをバイオマス炭の充填槽に供給する配管(ダクト、煙道)の充填槽側の設置位置は、バイオマス炭の充填槽の上部または下部に設置する。バイオマス炭の充填槽から廃ガスを排出する配管(ダクト、煙道)は、排出ガスを供給する配管が充填槽の上部の場合は下部に、下部の場合は上部として、冷却ガス中のタールおよび粉化炭化物とバイオマス炭との接触時間ができるだけ長くなるようにすることが好ましい。
【0045】
このようなバイオマス炭の製造装置において、固体を工程間にて移動するには、ガス気密性の高いスクリューフィーダやロータリーフィーダを用いることができる。これにより、ガス流れと固体流れとをそれぞれをより効率的に制御することが可能となり、前述したタールとバイオマスの充填層との接触がより効果的なものとなる。具体的には、図2において、バイオマスの充填槽11へ原料1を送る箇所、炭化炉10へ乾燥原料2を送る箇所、炭化炉10からバイオマスの充填槽12に炭化物3を送る箇所、およびバイオマスの充填槽12から冷却炭化物6を排出する箇所に、ガス気密性の高いスクリューフィーダやロータリーフィーダを用いることができる。
【実施例1】
【0046】
図2に示すものと同様の設備を用いて、バイオマスを乾留して、バイオマス炭を製造する試験を行った。
【0047】
バイオマスの充填槽(乾燥機)11の熱源に排出ガス4を用い、バイオマス炭の充填槽(冷却機)12の冷熱源に冷却ガス5を用いた場合(本発明例)と、乾燥機11の熱源に高温の窒素ガスを用い、冷却器12の冷熱源に低温の窒素ガスを用いた場合(比較例)とで、冷却炭化物6の収率を比較した。
【0048】
原料1として、パーム油を生成する過程で発生するアブラヤシの空果房(EFB)からなるバイオマス系の残渣を用いた。EFBの含水率は20mass%であった。ロータリーキルン10の炭化温度は550℃とした。乾燥温度と冷却温度も、本発明例と比較例とで同一とした。
【0049】
(本発明例)排出ガス4を乾燥機11に送ったところ、乾燥機11では、20℃の原料が80℃まで昇温された。原料1は、含水率20mass%から15mass%にまで乾燥された。乾燥ベースの原料1の質量流量を1としたとき、原料に付着したタールの質量流量は0.06、原料に付着した炭化物粉の質量流量は0.02であった。
【0050】
乾燥機11から出た冷却ガス5の温度は100℃であった。この冷却ガス5を冷却機12に送り、炭化物を冷却させた。乾燥ベースの原料1の質量流量を1としたとき、炭化物に付着したタールの質量流量は0.02、炭化物に付着した炭化物粉の質量流量は0.02であった。
【0051】
乾燥ベースの原料1の質量流量を1としたとき、製造された冷却炭化物6の質量流量は0.29であった。すなわち、乾燥ベースでの炭化物の収率は29%であった。
【0052】
(比較例)次に、排出ガス4は、そのまま燃焼させ、乾燥機11や冷却機12に循環させずに、窒素ガスを用いて乾燥及び冷却を行なった。
【0053】
乾燥ベースの原料1の質量流量を1としたとき、製造された冷却炭化物6の質量流量は0.24であった。すなわち、乾燥ベースでの炭化物の収率は24%であった。
【0054】
本発明方法を用い、排出ガスをバイオマスの乾燥とバイオマス炭の冷却に用いることで、炭化物収率が2割以上向上した。
【符号の説明】
【0055】
1 原料
2 乾燥原料
3 炭化物
4 排出ガス
5 冷却ガス
6 冷却炭化物
7 廃ガス
10 炭化炉(ロータリーキルン炉)
11 バイオマスの充填槽(乾燥機)
12 バイオマス炭の充填槽(冷却機)
313 燃焼機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルンを用いてバイオマスを炭化してバイオマス炭を製造する方法であって、
前記ロータリーキルンから排出される前記炭化の際に発生するタールを含有する排出ガスの少なくとも一部を前記ロータリーキルンに供給する前のバイオマスに接触させて、
前記タールの少なくとも一部が付着した前記バイオマスをロータリーキルンに供給することを特徴とするバイオマス炭の製造方法。
【請求項2】
充填槽内でバイオマスに排出ガスを接触させて、ロータリーキルン供給前の前記バイオマスを乾燥させることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス炭の製造方法。
【請求項3】
バイオマスに接触させることで冷却された排出ガスを用いて、バイオマス炭を冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオマス炭の製造方法。
【請求項4】
バイオマスを炭化するロータリーキルンと、
前記ロータリーキルンにバイオマスを供給するバイオマスの充填槽と、
前記ロータリーキルンから排出されるガスを前記充填槽下部に供給するガス流路と、
を備えることを特徴とする、バイオマス炭の製造装置。
【請求項5】
さらに前記ロータリーキルンから排出されるバイオマス炭の充填槽と、
前記バイオマスの充填槽から排出されるガスを前記バイオマス炭の充填槽に供給するガス流路と、
を備えることを特徴とする、請求項4に記載のバイオマス炭の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−222472(P2010−222472A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71482(P2009−71482)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】