説明

バイオマス資源の処理方法と処理装置

【課題】バイオマス資源から油分を気化抽出すると共に、油分抽出後の残渣をそのまま連続して炭化できるバイオマス処理方法と処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、ボイラ10、過熱蒸気を生成するパイプヒータ11、処理槽20、蒸留ガスを冷却する冷却器12、液化した油分等を貯留する油水タンク14等を有する。処理槽20内に過熱蒸気を導入して、バイオマス資源から油分を気化させる気化工程と、油分抽出残渣を炭化する炭化工程とを処理槽20内で連続して行う。バイオマス資源から、炭化物とバイオマスオイルとを同時に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス資源から油分を気化抽出すると共に、油分抽出後の残渣(抽出粕)をそのまま連続して炭化できるバイオマス処理方法とその処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、菜種やパーム椰子などのバイオマス資源からバイオマスオイルが採取され、食用・灯火用・化学工業の原料用などとして種々の分野で利用されている。さらに近年では、環境問題等の観点から、これらバイオマスオイルをメチルエステル化したバイオディーゼル燃料(BDF)としての利用も注目されている(特許文献1)。これは、化石燃料である石油由来の燃料を燃焼すると、地球温暖化の要因となり得る二酸化炭素が発生するが、バイオマス由来の燃料であれば、成長過程で取り込んでいた二酸化炭素が放出されるだけなので、地球全体の二酸化炭素量は増加しない(カーボンニュートラル)という観点である。また、化石資源は有限であるが、バイオマス資源は生物が存在する限り、無限である。バイオマス資源からバイオマスオイルを採取する方法としては、圧搾や溶剤抽出が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2006/016492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、圧搾ではバイオマス資源に含有されている油分を充分に搾油することはできず、搾油残渣中には多くの油分が残存するため効率的ではない。一方溶剤抽出では、後処理として脱ガム処理、水洗、蒸留、濾過などを要するため手間がかかるなどの問題がある。
【0005】
さらに従来では、油採取後の残渣は埋め立てや焼却処理されることが一般的であり、廃棄問題も有していた。堆肥化処理したり家畜用飼料等として有効利用も図られているが、その利用量は一部であり、依然バイオマス残渣の廃棄問題を残している。
【0006】
また、例えばパーム椰子等では椰子殻が活性炭としても利用される。しかし、圧搾又は溶剤抽出と炭化処理とを別々に行えば、各工程用の装置、場所、コスト等を要するほか、処理時間も長くなり、効率的ではない。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、バイオマス資源から油分を気化抽出すると共に、油分抽出後の残渣(抽出粕)をそのまま連続して炭化できるバイオマス処理方法とその処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段として本発明は、バイオマス資源の処理方法であって、前記バイオマス資源を過熱蒸気により加熱して該バイオマス資源中の油分を気化させる気化工程と、前記気化工程後のバイオマス残渣を、さらに過熱蒸気により加熱して炭化させる炭化工程とを有し、前記気化工程と炭化工程とを、1つの処理槽内で連続して行うことを特徴とする。なお、バイオマス資源とは、動物や植物など生物由来の資源を意味する。また、過熱蒸気とは、飽和水蒸気をさらに加熱して、常圧において100℃を超える温度の水蒸気を意味する。
【0009】
前記気化工程により発生したガスを冷却すれば、バイオマスオイルとして得られる。前記バイオマス資源としては、例えばヤトロファ種子が好適な資源として挙げられる。
【0010】
また、上記処理方法を実行するバイオマス資源の処理装置の発明として、次のものも提案することができる。すなわち、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成手段と、バイオマス資源を処理する処理槽と、該処理槽内で発生したガスを冷却する冷却手段と、これらを互いに連結する連結管とを有し、前記処理槽内に過熱蒸気を導入して、前記バイオマス資源からの油分気化と、バイオマス資源の炭化とを連続して行うことを特徴とする。
【0011】
前記処理槽内には、撹拌翼を設けることが好ましい。また、前記処理槽と前記冷却手段との間にフィルタを設けることもできる。また、前記冷却手段の下流には、冷却されて液化した油分と水とを貯留する油水タンクと、冷却後のガスを除害処理する除害手段とを設けることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の処理方法及び処理装置によれば、加熱によって油分を気化抽出しているので、バイオマス資源に含有されている油分の殆どを確実に抽出することができる。したがって、油分の利用効率が搾油よりも大幅に向上する。また、基本的には気化したガスを冷却するだけで油分を得ることができるので、溶剤抽出よりも簡便である。過熱蒸気によれば、迅速にバイオマス資源を加熱することができるので、処理時間を短縮できる。また、過熱蒸気を使用すれば、処理槽内はほぼ無酸素状態となる。したがって、バイオマス資源は燃焼することなく、熱分解される。これにより、バイオマス資源をそのまま炭化させることができる。しかも、温度条件によっては賦活された活性炭として得ることもできる。
【0013】
このように、本発明では過熱蒸気による油分の気化抽出から熱分解による炭化さらには賦活を一系統処理にて連続して行えるので、従来に比べて省スペース且つ短時間で効率良く処理できる。すなわち、一系統処理によって、バイオマスオイルの抽出と炭化物ないし活性炭の製造とを連続して行うことができる。油分抽出後の残渣をそのまま炭化物(活性炭を含む)として有効利用できるので、廃棄物の問題は生じない。本発明によれば、得られた炭化物重量は、処理前の重量の1/5以下となっている。また、過熱蒸気によれば、油分のみならずバイオマス資源中の水分等も蒸発気化するので、被処理物は必然的に乾燥される。したがって、前処理として、バイオマス資源を予め乾燥しておく必要は必ずしもない。
【0014】
処理槽内に複数の撹拌翼を設けておけば、処理効率が向上し、均一処理と時間短縮を図ることができる。油水タンクへ液化ガスを貯留すれば、比重差によって油分と水とが層状に分かれる。これにより、油分を容易に採取することができる。冷却によって液化しなかった排気ガスを除害手段によって汚染物質や臭気を除去したうえで排気すれば、環境への悪影響を避けることができる。したがって、屋内施設での処理も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】処理装置の模式図である。
【図2】N−ヘキサンの定性分析結果を示すチャートである。
【図3】ヤトロファ種子油の定性分析結果を示す要部拡大チャートである。
【図4】ヤトロファ種子油の定性分析結果を示す要部拡大チャートである。
【図5】ヤトロファ種子油の定性分析結果を示す要部拡大チャートである。
【図6】ヤトロファ種子油の定性分析結果を示す要部拡大チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態の一例について説明するが、これに限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。本発明の処理対象であるバイオマス資源としては、油分を含有し、且つ最終的に炭(活性炭を含む)として利用できる資源であれば特に限定されない。例えば、ヤトロファ(ナンヨウアブラギリとも称される)、綿実、大豆、サフラワ、なたね、亜麻、蓖麻、はぜ、オリーブ、胡麻、椿、落花生、パームヤシ、アブラヤシ、ココヤシ、コーヒー及びひまわり等の植物資源を挙げることができる。動物由来の資源でも良い。これらは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。また、上記植物資源は、代表的には種子部分が利用されるが、茎、葉、根、殻などを含んでも良い。
【0017】
図1に示すように、バイオマス資源の処理装置は、蒸気を発生させる蒸気発生手段としてのボイラ10、蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成手段としてのヒータ11、バイオマス資源を処理する処理槽20、該処理槽20内で発生したガスを冷却する冷却手段としての冷却器12、処理槽20と冷却器12との間に設けられたフィルタ装置13、冷却されて液化した油分及び水を貯留する油水タンク14、および冷却後のガスを除害処理する除害手段としての排ガス処理装置15などを有する。これらの各構成要素は、互いに連結管によって連結されている。
【0018】
ボイラ10は、電気ボイラでも燃焼ボイラでもよい。エネルギーコストや環境等の観点からは、電気ボイラが好ましい。ボイラ10には給水管30が連結されている。
【0019】
処理槽20は密閉可能な縦型の中空容器であり、複数本の脚28によって支持されている。処理槽20は、連結管としての蒸気管31を介してボイラ10と連結されている。処理槽20の素材としては、加熱処理により変形・変質しない程度の耐熱性を有する金属製であれば特に限定されない。本実施形態では、耐候性や伝熱性の良好なステンレス製としている。処理槽20内には、回転軸21を中心として回転する撹拌翼22が設けられている。本実施形態では、被処理物(バイオマス資源)を効率良く撹拌するために、少なくとも処理槽20内の下部に撹拌翼22を設けている。好ましくは、上下方向へ複数段重ねて設ける。回転軸21は、処理槽20上に設けられた駆動装置23によって回転駆動される。
【0020】
処理槽20は、バイオマス資源の投入口24と、排気口25と、処理物の排出口26とを有する。投入口24は、処理槽20の周壁上部に設けられている。投入口24には、バイオマス資源の処理中に処理槽20内への外気流入を防ぐシャッタが設けられている。排気口25は、処理槽20の天壁に設けられている。処理槽20の底壁は中心部へ向けて下方へ傾斜した漏斗状となっており、その中心部に排出口26が設けられている。排出口26は、バルブ開閉される。なお、処理槽20の外面には、断熱材を被覆することも好ましい。
【0021】
ヒータ11としては、ボイラ10によって発生した飽和水蒸気をさらに過熱できる手段であれば特に限定されない。例えば、蒸気管31に巻回した電熱ヒータや高周波誘導加熱コイルのほか、バーナ等でもよい。そのうえで、本実施形態では、処理槽20の周壁内面へ螺旋状に配設したパイプヒータを使用している。パイプヒータとは、インコネルやハステロイ等からなる金属製の中空パイプであり、当該パイプヒータへ通電することで、パイプ自体が発熱するものである。パイプヒータ11の一端は蒸気管31に連結されており、パイプヒータ11の他端は処理槽20の内部に開口して過熱蒸気排出口27となっている。過熱蒸気排出口27は、処理槽20内の下部に開口している。
【0022】
処理槽20の排気口25と冷却器12とが、連結管としての蒸留ガス管32によって連通されている。また、蒸留ガス管32上には、フィルタ装置13が設けられている。フィルタ装置13内には、蒸留ガス中の塵埃等を除去するフィルタや、有害物質を無害化する触媒等が配されている。冷却器12は、処理槽20からの蒸留ガスを液化するものであり、冷却器12周りに冷却水が通水されている。
【0023】
冷却器12の下部には、液化された油分及び水が貯留される油水タンク14が一体化されている。油水タンク14内では、比重差によって上層の油分層と下層の水層とに別れる。そこで、油水タンク14の上部には油分排出用の油分バルブ16が設けられており、油水タンク14の下部には水排出用の水バルブ17が設けられている。
【0024】
冷却器12を通しても液化しなかった排気ガスは、排気管33を通して大気中へ排気される。排気管33上には、排ガス処理装置15が設けられている。排ガス処理装置15では、排気ガスの燃焼や吸着材などによって、有害物質を除害したり脱臭したりする。
【0025】
次に、上記処理装置を使用したバイオマス資源の処理方法について説明する。なお、本実施形態の処理装置は、バッチ式の処理装置である。先ず、投入口24から所定量のバイオマス資源を処理槽20内へ投入し、シャッタを閉じて処理槽20内を気密状態とする。次いで、撹拌翼22を駆動しながら処理槽20内へ過熱蒸気を導入し、バイオマス資源を加熱処理する。処理槽20内は常圧程度でよい。処理時間は、過熱蒸気温度、処理槽20の容量、バイオマス資源の投入量などにもよるが、1〜5時間程度でよい。例えば、20Kgのヤトロファ種子であれば1時間程度で処理することができる。
【0026】
詳しくは、給水管30を通してボイラ10へ水が導入され、飽和蒸気が発生する。ボイラ10によって発生した飽和蒸気は、蒸気管31からパイプヒータ11を通して過熱蒸気排出口27から処理槽20内へ導入される。このとき、飽和蒸気は、パイプヒータ11中において過熱蒸気となる。過熱蒸気の温度は、パイプヒータ11への通電量によって制御することができる。過熱蒸気の温度、導入量、処理時間等は、図示していない制御盤によって操作することができる。なお、パイプヒータ11は、処理槽20内の加熱ないし保温にも有効である。撹拌翼22によって撹拌しながらバイオマス資源を処理すれば、過熱蒸気によって均一且つ迅速に加熱処理できる。
【0027】
処理槽20内では、バイオマス資源中の油分など気化成分が気化し、蒸留ガスが発生する。また、バイオマス資源中の水分も気化するので、バイオマス資源の乾燥も兼ねている。処理槽20内で発生した蒸留ガスは、蒸留ガス管32を通して冷却器12へ導入される。蒸留ガスは、処理槽20から冷却器12へ至る間に、フィルタ装置13によって不純物等が除去される。冷却器12では、蒸留ガスが冷却されて液化し、油水タンク14へ貯留される。一方、液化しなかった排気ガスは、排ガス処理装置15によって汚染物質や臭気が除害されたうえで、排気管33から大気中へ排気される。
【0028】
油水タンク14では、比重差によって上層の油分層と下層の水層とに別れている。したがって、油分バルブ16を開弁することで、バイオマスオイルを得ることができる。バイオマスオイルを採取した後は、油水タンク14内に残存している水を水バルブ17を開弁することで、排水すればよい。
【0029】
一方、処理槽20内には、油分が気化抽出された抽出残渣(抽出粕)が残っている。そして、油分抽出後も抽出残渣をさらに過熱蒸気によって加熱処理することで、抽出残渣が炭化される。さらに、処理温度によっては炭化物が賦活される。なお、処理槽20内は過熱蒸気で満たされて無酸素状態なので、抽出残渣が燃焼することはない。所定時間処理してバイオマス資源を炭化ないし賦活できたら、過熱蒸気の導入を停止し、バルブを開弁して排出口26から炭化物ないし活性炭を処理槽20内から取り出すことができる。取り出された炭化物の重量は、処理前の重量に比して1/5以下となっている。この一連の操作を繰り返し行うことで、所定量のバイオマス資源をバッチ式で処理することができる。
【0030】
このように、本発明の処理方法では、バイオマス資源を過熱蒸気により加熱して当該バイオマス資源中の油分を気化させる気化工程と、気化工程後のバイオマス残渣をさらに過熱蒸気により加熱して炭化させる炭化工程とを有し、気化工程と炭化工程とを1つの処理槽20内で連続して行っている。処理槽20内へ導入する過熱蒸気の温度は、少なくとも200℃以上とする。200℃未満では、油分を含めてバイオマス資源中の気化成分を的確に気化できない恐れがあるからである。一方、過熱蒸気温度の上限は特に限定されないが、900℃以下が好ましい。900℃を超えても構わないが、エネルギーコストが高くなる。過熱蒸気温度を高めると、処理時間の短縮に有利であるほか、抽出残渣の賦活が進行し易い。導入する過熱蒸気の温度は、好ましくは250〜700℃程度であり、より好ましくは300〜500℃程度である。300〜500℃程度であれば、エネルギーコストを抑えながら気化成分の気化とバイオマス資源の炭化を的確に行うことができる。抽出残渣を賦活して活性炭とするには、400℃以上が好ましい。
【0031】
気化工程と炭化工程とは、基本的には両工程を通して同じ温度の過熱蒸気を導入すればよい。また、気化工程と炭化工程の処理温度を変更することもできる。この場合、炭化工程での処理温度(過熱蒸気温度)は、気化工程での処理温度よりも高くする。例えば、気化工程において200〜400℃程度の過熱蒸気を導入し、炭化工程では400〜900℃程度の過熱蒸気を導入することもできる。
【0032】
得られたバイオマスオイルは、食用油、灯火用油・化学工業原料などのほか、適宜メチルエステル化などの化学処理を施した後にバイオマスオイルからグリセリンを取り除くことでバイオディーゼル燃料(BDF)として利用できる。一方、得られた炭化物(活性炭の状態を含む)は、分子篩、触媒担体、吸着材などとして、各種工業分野で使用することができる。特に、ヤトロファ種子由来のバイオマスオイルであれば、そのままでも比較的軽油に近い組成なので、バイオディーゼル燃料として好適である。また、ヤトロファ種子由来の活性炭であれば、窒素精製用の吸着材等として好適である。
【実施例】
【0033】
内径500mm×高さ600mm、容積120Lのステンレス製処理槽を用いた。この処理槽にヤトロファ種子(水分率約40%)20kgを投入し、撹拌しながら過熱蒸気を7.4kg/hの速度で処理槽に導入して、500℃で1時間処理した。発生した蒸留ガスを金属フィルターへ通したうえでウォータージャケット方式の凝縮器で液化させ、油水タンクに溜まった上層の油を採取した。処理後には、1.6kg(処理前重量の8%)の活性炭(水分率0%)が得られた。
【0034】
次いで、得られたヤトロファ種子油の成分分析を行った。分析は、抽出油10μlを1mlのN−ヘキサンへ溶解し、オートサンプラーにてGC/MSに注入して分析した。詳細な条件は次の通りである。
<GC>
Method:40℃で3分保持後、10℃/minの速度で昇温し、280℃で6min保持した。分析時間(Run Time)33分
DB−5MS60m、0.25mm、0.25μm
Split Flow:−0.5〜1分;0ml、1分以降;50ml He 18psi
<MS>
Scan time:2.5〜33分、m/z33〜500EI+
【0035】
抽出油の分析結果を図3〜6に示す。なお、図3〜6は、Run Timeを一定時間毎に区切って拡大した要部拡大チャートであり、図3〜6をそれぞれ繋げることで1つのチャートとなる。また、参考としてN−ヘキサンについても同様に分析した結果を図2に示す。図2と図3〜6との対比から、Run Time約7min以降のピークはヤトロファ種子由来の成分であることがわかる。そのうえで、図3〜6の結果から、ヤトロファ種子油にはアルカン、炭化水素(環状構造を含む)、アルケン、トルエン、アルキルベンゼン化合物、フェノール系化合物、高級脂肪酸、アルデヒド化合物、エステル化合物などが含まれていると推定された。特に、炭素数C13〜14をメインとしてC17程度までの炭化水素が検出されており、比較的軽油に近い組成となっていることがわかった。また、得られたヤトロファ種子油について、JIS K 2279に基づき燃研式自動ボンベ熱量計にて総発熱量を測定したところ、総発熱量は37,420J/gであった。
【符号の説明】
【0036】
10 ボイラ
11 ヒータ
12 冷却器
13 フィルタ装置
14 油水タンク
15 排ガス処理装置
16 油分バルブ
17 水バルブ
20 処理槽
21 回転軸
22 撹拌翼



【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス資源の処理方法であって、
前記バイオマス資源を過熱蒸気により加熱して該バイオマス資源中の油分を気化させる気化工程と、
前記気化工程後のバイオマス残渣を、さらに過熱蒸気により加熱して炭化させる炭化工程とを有し、
前記気化工程と炭化工程とを、1つの処理槽内で連続して行うことを特徴とする、バイオマス資源の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオマス資源の処理方法であって、
前記気化工程により発生したガスを冷却してバイオマスオイルを得る、バイオマス資源の処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバイオマス資源の処理方法であって、
前記バイオマス資源がヤトロファ種子である、バイオマス資源の処理方法。
【請求項4】
バイオマス資源の処理装置であって、
蒸気を発生させる蒸気発生手段と、蒸気を過熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成手段と、バイオマス資源を処理する処理槽と、該処理槽内で発生したガスを冷却する冷却手段と、これらを互いに連結する連結管とを有し、
前記処理槽内に過熱蒸気を導入して、前記バイオマス資源からの油分気化と、バイオマス資源の炭化とを連続して行うことを特徴とする、バイオマス資源の処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバイオマス資源の処理装置であって、
前記処理槽内には撹拌翼が設けられている、バイオマス資源の処理装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のバイオマス資源の処理装置であって、
前記処理槽と前記冷却手段との間にはフィルタが設けられており、
前記冷却手段の下流には、冷却されて液化した油分と水とを貯留する油水タンクと、冷却後のガスを除害処理する除害手段とが設けられている、バイオマス資源の処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−52015(P2012−52015A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195523(P2010−195523)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(504073908)株式会社実践環境研究所 (2)
【Fターム(参考)】