バイオロジカルソイル検出器およびその使用方法
バイオロジカルソイル検出器と、バイオソイルを検出するための方法とが提供される。バイオロジカルソイル検出器は、固体支持部材と、固体支持部材に固定された特異的指標であって、血液の存在に対して敏感な材料を含む特異的指標と、を含み、固体支持体および特異的指標は、表面の接触に用いられた液体との接触を容易にすべく検出器に対して配置されている。バイオソイルを検出するための方法において、この方法は、表面を液体と接触させるステップと、液体が表面と接触した後に、この液体を本願明細書にて記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、固体支持部材の検出可能な応答を検査して、特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオロジカルソイル検出器と、バイオロジカルソイル検出器を使用するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な表面のどこにある病原体でも検出できる汎用的な機能が望まれている。調理をするにあたっては、業務であろうと家庭の場であろうと、調理面などにある病原体を検出することには、その表面で調理される食料品への二次汚染を防ぐ上で価値がある。汚染源の一例として、細菌、細菌を含む食品(生肉やその肉汁など)、あるいは特定の生物流体をあげることができよう。二次汚染を防ぐには、台所や浴室にある表面(カウンター、まな板、トイレなど)ならびに室内の表面(床、壁など)をはじめとする家庭内の表面などの特定の表面でのソイルレベルを判断することが望ましい。また、使用時に生物流体に触れる医用装置の表面では清潔度の評価が重要である。医用装置の一例としては、内視鏡、カテーテルなどの表面があげられる。
【0003】
特定の表面における清潔度を試験するためのキットも販売されてはいるが、こうした入手可能なキットでは一般に、外部の研究所に標本を送って分析してもらう必要がある。このため、依頼者が回答を得るまでの時間を割り出すのに、標本を外部の研究所に送って分析するのにかかる時間を考慮しなければならない。さらに、病原体の分析には一般に培養法が用いられるため、微生物研究室の設備と熟練を積んだ微生物学者の専門知識とが必要である。
【0004】
保健医療の分野では、内視鏡などの医用装置がバイオロジカルソイルに触れる医療処置に、このような装置の有用性がある。たとえば内視鏡は、人体の開口部か外科的な切開によって内視鏡を患者の体内に挿入する、人体内での医療処置に用いられる。内視鏡には、体内の様子を目視確認し、器官や関節あるいは体腔の検査を容易にしたり、目視確認したい場所に光を送ったりするための光ファイバを通すことのできるチャネルが何本もある。内視鏡のチャネルには、電気外科用プローブや鉗子といった処置用器具が通されることもあれば、このチャネルを利用して流体または気体を吸引したり、サンプリング用のカテーテルをそこに通すこともある。
【0005】
事実上、内視鏡を使えば人体のどの部分にも到達できるが、代表的な外科処置部位としては、耳、喉、尿道、肺、腸、腹腔があげられる。また、結腸鏡での処置に使われる内視鏡を用いると、結腸や大腸の中を直接検査し、ポリープ、潰瘍、炎症がないかどうかを調べることができる。さらに、内視鏡を介してポリープまたは腫瘍などの異物を外科的に摘出することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
言うまでもないであろうが、内視鏡や他の医用装置は、外科的処置での使用時に多種多様なボディソイル(body soils)に触れることになる。このようなソイルには、血液、糞便、さまざまな組織からの細胞片などがあり、こうしたソイルはいずれも、ウイルス源または細菌源となり得るものである。内視鏡は体内で使用されるものであることから、この医用装置を次の医療処置または外科的処置で使用する前に汚れた表面が消毒殺菌されるように、使うたびに完全に洗浄かつ消毒殺菌しておかなければならない。再利用可能な内視鏡に対して米国で用いられている洗浄工程では、汚れた内視鏡をまずは手作業での洗浄ステップで洗浄して、器具の表面から可能な限り汚れを取り除く。その上で、手で洗浄した内視鏡に高レベルの消毒殺菌ステップをほどこし、これを再利用可能な状態にしている。一般に、手作業での洗浄ステップは、洗浄用ブラシあるいはこれと似たような道具で器具をこすって行われている。この手作業での洗浄ステップは、ブラシで器具の表面から汚れを落とせなくなったように見えるまで行われる。手作業での洗浄工程が効果的に行われないと、残留ソイルが器具の表面に残ってしまうため細菌汚染の危険性も残ることがあり、結果として後から行われる高レベルの消毒殺菌行程が有効ではなくなる可能性が高くなる。現段階では、手作業での洗浄ステップの有効性を短時間で判断できる標準的な試験装置または方法はない。
【0007】
内視鏡や他の医用装置の表面をはじめとする多種多様な表面のいずれについても洗浄工程または消毒殺菌行程の有効性を簡単に評価できるようになれば望ましい。インキュベーション時間が長くなるのを回避し、かつ、残留ソイルまたは特定の病原体の存在を短時間で特定しやすくする方法を提供できれば望ましい。また、上記の方法を実施するにあたって使用可能な物品または装置を提供できれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、
固体支持部材と、
固体支持部材に固定された特異的指標であって、血液の存在に対して敏感な材料を含む特異的指標と、を含み、
固体支持体および特異的指標が、表面の接触に用いられた液体との接触を容易にすべく検出器に対して配置されているバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。
【0009】
もうひとつの実施形態では、本発明は、
表面を液体と接触させるステップと、
液体が表面と接触した後に、この液体を本願明細書にて記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
固体支持部材の検出可能な反応を検査して、特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、表面に関連したバイオソイルを検出するための方法を提供するものである。
【0010】
さらにもうひとつの実施形態では、本発明は、
固体支持部材と、
固体支持部材に固定された特異的指標と、を含み、
固体支持体および特異的指標が、表面の接触に用いられる液体との接触を容易にすべく配置されているバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。
【0011】
本願明細書において使用する場合、本発明のさまざまな実施形態の説明において用いる用語については、特に明記しない限り、通常馴染んだ意味と理解されたい。便宜上、以下のものなどの特定の用語に対して、具体的な定義をしてある。
【0012】
「バイオロジカルソイル」または「バイオソイル」とは、一例として、体液(唾液、血液、消化液など)糞便、細胞片および組織、細菌性物質、細菌、ウイルス、病原体ならびに、酵素をはじめとする他の生物学的または生化学的物質、さらには部分的または完全に消化された食物を指す。バイオロジカルソイル源は多様で構わないものであるが、血液、人体、動物の体、植物のほか、たとえば、汚染されたり少なくとも部分的に消化および/または分解されていることがある食用肉類、家禽肉、乳製品などのさまざまな食品を含み得る。
【0013】
本願明細書において使用する場合、「患者のソイル」とは、医用装置を人体から取り出した後もこの装置に残っているバイオロジカルソイルを指す。
【0014】
「特異的指標」とは、バイオロジカルソイル中に見られるものなどの酵素またはタンパク質と相互作用することで、目視確認可能な色の変化や特異的指標の蛍光またはルミネッセント特性の検出可能な変化といった検出可能な反応を生む1以上のケミカル化合物を指す。
【0015】
「固定される」とは、水、水溶液、機械的な力などに固体支持体をさらしたときに、この支持体からケミカル化合物が除去されないような形で化合物が支持体に保持されている状態を指す。
【0016】
好ましい実施形態のこれ以上の詳細については、好ましい実施形態の詳細な説明ならびに特許請求の範囲を含む本件開示の残りの部分で説明する。
【0017】
好ましい実施形態の説明では、参照符号を用いて図示の実施形態の特徴を特定(同様の構造には同様の参照符号を付す)したさまざまな図を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、バイオロジカルソイルを検出するための検出器および方法を提供するものである。本発明の検出器では、固体支持部材に固定された1以上の特異的指標を利用し、バイオロジカルソイルとの接触時に、この特異的指標によって検出可能な反応を得る。本発明は、広義にはバイオロジカルソイルの存在を示すマーカーまたは検体(検出可能な生化学物質など)の検出に関するものである。検出可能なマーカーとしては、バイオロジカルソイルの成分中に見られるまたはこれに由来する多種多様なタンパク質または酵素をはじめとして、バイオロジカルソイルに含まれる成分があげられる。本発明の検出器および方法は、医用装置に対してなされる洗浄ステップの効果を判断する目的で用いるのに適したものである。たとえば調理または加工に用いられるものをはじめとする他の表面でのバイオソイルの検出など、本発明による装置の別の用途も企図される。
【0019】
一態様において、本発明は、医用装置の表面などの表面上のバイオソイルを固体支持部材に固定された特異的指標と関連させるための手段を提供するものである。特異的指標については、表面からのバイオソイルが特異的指標と反応して検出可能で比較的短時間での反応が生成されるようにバイオソイルの成分に対する感受性で選択すればよい。検出可能な反応は、固体支持部材の表面での色の変化の形で、あるいは特異的指標の蛍光特性の変化によって得ることのできるものである。さまざまな実施形態において、本発明の装置は、試験対象となる表面を直接接触させるのに利用できる、あるいは、たとえば試験対象となる表面をすすぐのに使用した液体に固体支持部材を接触させるなどの方法でバイオソイルの存在を試験するのに間接的に利用できる、上述した固体支持部材を含む。一般に、後者の実施形態では固体支持部材に固定された特異的指標も保持する容器内に液体を捕捉し、このような液体の捕捉によって固体支持部材と固定された特異的指標とが表面からすすがれたバイオソイルに曝露されるようにする。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、医用装置でのバイオロジカルソイルの存在を判断するための手段を提供するものである。本発明のこのような用途のひとつに、たとえば内視鏡に対する手作業での洗浄ステップ後のバイオロジカルソイルの検出がある。内視鏡を用いると、人体の開口部または皮膚にあけた小さな切開部分を介して装置を挿入することで、体内を直接目視確認することができる。内視鏡によっては、一組のレンズを用いた硬質の構造になっているものもあれば、可撓性で光ファイバを用いて体内の該当部分を照光し、外科医が目で見ることができるよう画像をアイピースに戻すものもある。電気外科あるいは、外科処置部内の構造物を操作、把持または破砕するなどの外科的処置を行う目的で、内視鏡のチャネルを介して外科処置用の器具を体内に通すこともある。内視鏡のチャネルによって流体または気体を手術部位まで送る、吸引をする、あるいはカテーテルやレーザ光のパイプを位置決めしやすくすることもできる。可撓性の内視鏡の場合、操作用のハンドルによって外科医は外科処置部位内の所望の場所の先端を操作することができる。
【0021】
医療処置で内視鏡を使用後、手作業での洗浄工程を用いて、内視鏡の外面ならびに露出している各チャネルの内面またはルーメンから目に見えるバイオソイルを取り除く。手作業での洗浄ステップの後、高レベルの適当な消毒殺菌剤を用いて器具を消毒殺菌することがある。本発明は、内視鏡または他の医用装置での残留バイオロジカルソイルの存在を検出し、洗浄ステップがうまく行われたか、あるいは検出可能なソイルがまだ装置に残っているため洗浄ステップを繰り返す必要があるかを判断する手段を提供するものである。ソイルが検出されなければ、その内視鏡または他の医用装置は高レベルでの消毒殺菌ができる状態にあると考えられる。
【0022】
本発明の実施形態については、内視鏡のバイオソイルの検出に用いる場合を代表例として説明してあるが、本発明が内視鏡での用途に限定されるものではないことは自明であろう。本発明を用いて、医療業界で患者側での準備(preparation)、検査および/または治療に用いられる他の医用装置ならびに表面を試験してもよい。また、洗浄が不十分で表面が汚れる可能性があることに関心がもたれる食品飲料業界など、医療業界以外の多種多様な業界で本発明を利用することも可能である。さらに、浴室の表面、台所の表面などをはじめとする家庭や仕事場での表面を試験するにあたっても本発明が有用である。そのさまざまな態様において、本発明は、検出可能な量のバイオソイルが存在するかどうかについて短時間で表面を試験するのに適している。
【0023】
少なくとも一態様において、本発明は、特異的指標をバイオロジカルソイルの成分と接触させて検出可能な反応を生成するための手段のある特異的指標を含む検出器を提供するものである。本願明細書にてさらに詳細に説明するように、この検出器は、バイオロジカルソイルを適宜検出できるように特異的指標を選択できる多種多様な実施形態のうちのどのような形態でも提供可能なものであり、特異的指標をバイオロジカルソイルの成分と接触させるための手段も多種多様な形態のうちどのような形態でも提供可能なものである。本発明の実施形態およびそのさまざまな構成要素の詳細については後述する。
【0024】
本発明のさまざまな実施形態では、固体支持部材を、この固体支持部材に固定された特異的指標と一緒に設ける。さまざまな図を参照すると、図1aは、第1の表面12と第2の表面14とを有する固体支持部材10の実施形態を示している。図示の実施形態では、支持材10は、空いた部分すなわち孔22と、孔22間に延在する中実部分24とを含む多孔性材料である。支持材10の第2の表面14に任意の裏材16を固定する。支持材10には任意のスクリム(scrim)18が延在し、たとえば内視鏡などの医用装置に設けられたチャネルの中に支持材を押し込む際に、相当な伸張または引っ張りに耐えることができるよう、支持材10にさらに強度を持たせるようになっている。スクリム18は、織物材、不織材、編んだ材料などの多種多様な強化材のうちのいずれかを含むものであっても構わない。
【0025】
支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材10に特異的指標の化学物質が固定される。図1aに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面12に関連した層20として特定されている。特異的指標層20は主に第1の表面12と関連しているが、この指標を(支持材10の影の部分で示されているように)支持材10の本体の端から端まで延在させてもよい。指標を固体支持部材表面上の層(層20など)に沿って固体支持部材と関連させてもよいし、指標を固体支持部材の表面と部分的に関連させてもよく、あるいは、指標をほとんどまたは完全に固体支持部材10の本体内に配置してもよいことが企図される。本願明細書において使用する場合、「固定される」とは、固体支持部材に対する特異的指標の配置に関していうときは、固体支持部材に対する特異的指標の考え得るあらゆる配置を包含し、固体支持部材の表面で、あるいは表面上における特異的指標の配置に限定することを意図したものではないものと理解されたい。さらに、固体支持部材の2ヶ所以上を特異的指標と関連させ、複数(2以上の化学的に異なるなど)の特異的指標を同じ固体支持部材で使用することも本発明の範囲内に企図される。
【0026】
図1bを参照すると、一方を向いていてもよいし、ランダムに向いていてもよい繊維122のアセンブリを含む不織材または布帛としてのもうひとつの固体支持部材110が図示されている。不織固体支持部材110は、(1)繊維122を機械的に絡み合わせる、(2)熱可塑性樹脂を融合させるか繊維を結合させる、あるいは(3)ゴム、スターチ、糊、カゼイン、ラテックスまたはセルロース誘導体あるいは合成樹脂などの適当なバインダーを用いて繊維を接着結合する方法をはじめとして、当業者間で周知のどのような方法でも保持できるものである。
【0027】
図1aの実施形態と同様に、図1bの固体支持部材110も第1の表面112と第2の表面114とを含む。支持材110の第2の表面114には任意の裏材116が固定されている。支持材110には任意のスクリム118が延在し、たとえば内視鏡などの医用装置に設けられたチャネルの中に支持材110を押し込む際などに、使用時に想定される伸張または引っ張りに耐えることができるよう、支持材110に強度を持たせるようになっている。支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材110に特異的指標の化学物質が固定される。図1bに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面112に関連しているが(支持材110の影の部分で示されているように)支持材110の本体の端から端まで延在する層120として特定されている。他の態様において、図1aおよび図1bの実施形態は実質的に同一である。
【0028】
図1cを参照すると、第1の表面212と第2の表面214とを有するもうひとつの固体支持部材210が示されている。支持材210の第2の表面214には任意の裏材216が固定され、支持材210を強化すべく支持材210の端から端まで任意のスクリム218が延在している。支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材210に特異的指標の化学物質が固定される。図1cに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面212に関連しているが(支持材210の影の部分で示されているように)支持材210の本体の端から端まで延在する層220として特定されている。固体支持部材210は、固体支持部材に固定された特異的指標の層220を持つことのできる多種多様な材料のうちのいずれかを含むものであっても構わない。このような材料については、本願明細書の他の部分で説明する。残りのすべての態様において、図1a、図1b、図1cの実施形態は実質的に同一である。
【0029】
図1a〜図1cの上記の実施形態における固体支持部材は、たとえば、それだけでも利用できるし、食物と接触していた表面(調理面、食物または食肉の加工エリアなど)、浴室および台所のシンク、カウンター、まな板、トイレの表面、床、壁、バイオロジカルソイルが存在し得る他のあらゆる表面などのさまざまな表面にあるバイオソイルの検出用の使い捨て拭き取り用品として利用してもよいものである。また、このような拭き取り用品は(湿った表面などで)乾燥した状態でも利用できるし、水または水溶液で湿らせて利用してもよいものである。いくつかの実施形態では、拭き取り用品に洗浄液または消毒殺菌溶液をしみこませ、表面の洗浄または消毒殺菌と表面でのバイオソイルの試験とを同時に行うようにすることができる。よって、本発明は、特異的指標が患者のソイルの成分と相互作用して拭き取り用品の表面で観察可能な色の変化が生じるか、あるいは拭き取り用品の表面の蛍光が変化した場合に、さらに洗浄または消毒殺菌を行うことができるよう、表面の清潔度を評価するのに有用な拭き取り用品を提供するものである。
【0030】
上述したように、固体支持部材は特異的指標を固定化するための支持体である。固体支持部材に適した材料は、望ましい表面特性を持つ単一の母材のこともあれば、複合材料構造のこともある。固体支持部材が単一の母材である場合、好適な材料には、水との接触角が90度未満、好ましくは50度未満、最も好ましくは10度未満になるポリマー、無機表面または有機と無機の混合面がある。好適な材料として、以下の官能基すなわち、カルボキシル基およびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド(2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニルなど)、オキシアルキレンおよびイミダゾールを含むポリマーがあげられるが、これに限定されるものではない。上記の官能基を含有するかあるいは含有するように調製できるポリマーまたはコポリマーとしては、これらの塩を含むアクリル酸および/またはメタクリル酸から合成されるポリマーおよびコポリマーなどのカルボキシル含有ポリマー;ポリアルコキシレート;ポリ(メタ)アクリレート;ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(商品名EVAL F101AでEVAL カンパニーオブアメリカ(EVAL Company of America)(EVALCA)から入手可能なものなど)、テキサス州ヒューストン)などのポリビニルアルコールおよびコポリマー;ポリウレタン;ポリ尿素;ポリエステル;ナイロン6,6などのポリアミド;ポリイミド;ポリエーテル;セルロースアセテート、ニトロセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース;レーヨン;ポリホスフェート;ポリペプチド;ポリアクリロニトリル;ポリアクリルアミド;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;これらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
好適な無機物質としては、金属酸化物、水和物、金属−ヒドロキシル(ケイ素ヒドロキシル(Si−OH)官能表面など)があげられる。有機無機混合物質であり、かつ支持材として適した構成の材料には、金属アルコキシド(テトラエトキシオルトシリケート、n−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランなど)と有機モノマーとの共重合物を主成分とするものなどのポリマー系複合材料およびセラマー(ceramer)があるが、これに限定されるものではない。
【0032】
固体支持部材が複合材料構造である実施形態では、第1の材料または母材は、望ましい表面特性を持つ第2の材料またはコーティング材が付着するものであれば、どのようなポリマー系、無機または有機無機混合物質であってもよい。好適な母材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、上記の組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
母材については、当業者間で周知の好適なコーティング材または表面処理をほどこして、水の接触角が90度未満、通常50度未満、一般には10度未満の表面になるように改質することができる。好適なコーティング材は、カルボン酸およびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド基(2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニルなど)、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン(2003年11月14日に出願された米国特許出願第10/713174号明細書の実施例11に記載されているものなど)、グリシジル、スクシンイミド基およびイミダゾールなどの1以上の官能基を含み得るモノマー、ポリマーまたは反応性金属アルコキシドから調製できる。また、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、スルホニウムおよびホスホニウムなどであるがこれに限定されるものではない官能基を含まず、化学反応(酸化、加水分解、分解など)によって、これらの基が表面に露出するよう後から改質可能な、モノマー、ポリマーまたは反応性金属アルコキシドからコーティング材を調製してもよい。コーティング材については、パターンコーティング(コーティング材をスポットで母材にたらすなど)をはじめとする周知の適当なコーティング方法で塗布すればよい。固体支持部材に好適なコーティング材を調製するための表面処理方法としては、酸素プラズマ、コロナ処理、火炎処理、化学気相成長法、グラフト重合および物理的気相成長法があげられるが、これに限定されるものではない。本願明細書において使用する場合、「コーティング」という用語は、連続コーティング、不連続コーティング、不連続なパターンで塗布されるまたは配置されるコーティング、連続したパターンで塗布されるが、幾何学的または非幾何学的な構成で配置されるコーティングなど、第2の材料を固体支持部材上の第1の材料に適用したあらゆる構成を含むものと理解されたい。
【0034】
固体支持部材は、フィルム、セルロース系材料や、レーヨン/ポリプロピレン不織材を含む材料などの不織材(商品名ノボネッテ(Novonette)149−051でテネシー州ナッシュビルのBBAノンウォーブンズ(BBA Nonwovens)から入手可能なものなど)ならびにレーヨンおよびポリエステルを含む不織材(70%レーヨン/30%ポリエステルなど)、織物材または編んだ材料(ワタ、レーヨンまたはポリマー材料から調製したものなど)、網状フォーム(ポリウレタンなど)、開放気泡フォーム((メタ)アクリレート、ポリスチレンジビニルベンゼンなど)、多孔性セラミック無機フリット(シリカ、アルミナなど)、繊維、粒子コート支持材、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ(ブラシ状の構成に配置したものなど)、繊維束および膜をはじめとする材料を含むよう生成可能なものである。医用装置(内視鏡など)のチャネル内に挿入される実施形態など、本発明のいくつかの実施形態では、固体支持部材は、固体支持部材をチャネルの長さ方向に押し込むおよび/または引っ張ったときに構造的な破損(破れたりチャネル内に残物が残るなど)を生じることなくチャネル内面との接触を維持しつつ医用装置の内部チャネルに合ってフィットする心地がよく可撓性で高品質な材料を含む。
【0035】
固体支持部材として用いるのに適したポリマー膜としては、最初に均質なポリマー溶液を注型して、これよりも冷たい界面(水浴または冷却した注型用ホイール(casting wheel)など)に曝露した後、温度を下げて溶液フィルムで相分離を誘導(熱的に誘導した相分離すなわち「TIPS」)する、転相方法で得られるものがあげられる。好適なTIPSフィルムまたは膜では、フィルム物性と微細な孔径が広範囲にわたることがある。また、多種多様なポリマーのうちの適当なものから調製された比較的剛性の支持体であってもよいし、非剛性の支持体であってもよい。米国特許第4,539,256号明細書および同第5,120,594号明細書の教示内容にそって作製したTIPS膜が本発明で用いるのに適しており、これには、たとえば高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(商品名EVAL F101Aでテキサス州ヒューストンのEVALカンパニーオブアメリカ(EVALCA)から入手可能なものなど)を含み得る。膜には、親水性ポリマー(ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマーまたはEVALなど)をコーティングしたTIPS HDPEまたはポリプロピレン膜あるいは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどの親水性で強塩基性の正に荷電したコーティングをほどこしたTIPSポリプロピレン支持材あるいは四級化ジメチルアミノエチルアクリレートを取り入れたポリマーなどの材料の組み合わせを含み得る。また、膜は、フロリダ州ペンサコラのポールコーポレーション(Pall Corporation)から商品名「SB−6407」で市販されている膜など、第4級アンモニウム基とのポリエーテルスルホンコポリマーを含む強塩基性で正に荷電した膜を含むものであってもよい。他の支持材には、正に荷電したナイロン6,6材料(商品名バイオダイン(Biodyne)Bでフロリダ州ペンサコラのポールコーポレーションから入手可能なものならびに、商品名マグナプローブ(Magnaprobe)でミネソタ州ミネトンカのGEオスモニクスラブストア(GE Osmonics Labstore)から入手可能なものなど)などのナイロン材料、商品名GHP−450でポールコーポレーションから入手可能な孔径0.45ミクロンの親水処理ポリプロピレン膜、ポリオレフィン(親水性処理済);ポリエステル、ニトロセルロース、セルロースアセテート、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネートなどをはじめとする非剛性ポリマーおよび他の材料から作成される不織材を含み得る。こうした材料を組み合わせて固体支持部材として利用してもよく、上記の説明は上述した材料を単独および他の材料との組み合わせで含むものと理解される。
【0036】
特異的指標に関して、特異的指標として用いるのに適した化合物については、バイオソイルの成分と相互作用して検出可能な反応を生成できる多種多様な材料から選択すればよい。特異的指標を選択するにあたって考慮すべきことのひとつに、洗浄液またはその成分あるいは、内視鏡などの医用装置の手作業での洗浄ステップ時に導入された物質などのバイオロジカルソイル由来ではない他の物質と反応しない指標を選択することがある。個々の化合物を特異的指標ならびに化合物の組み合わせとして用いることができる。好適な特異的指標としては、たとえば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート;4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、米国特許第6,395,561B1号明細書、同第6,306,5989B1号明細書、同第6,277,652号明細書、同第6,183,722号明細書、同第6,080,423号明細書、国際公開第01/71317号パンフレットに記載されているものなどのポリジアセチレン;クーマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue)染料をタンパク質に結合させることをベースにしたブラッドフォード(Bradford)試料(assay)(イリノイ州ロックフォードのピアースバイオテクノロジーインコーポレイテッド(Pierce Biotechnology Inc.)から入手可能);タンパク質によるリンモリブデン−タングステン混酸発色の還元をベースにしたローリー(Lowry)試料;アルカリ溶液中のタンパク質によるCu+2の干渉をベースにしたビウレット(Biuret)試料;タンパク質の存在下におけるCu+2イオンのCu+1への還元を検出するためのビシンコニン酸(BCA)(イリノイ州ロックフォードのピアースバイオテクノロジーインコーポレイテッドから入手可能)があげられる。固体支持部材に固定された上記の2以上の組み合わせも本発明の範囲内に企図される。さらに、インドリル官能性指標をニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)または他の電子受容体と併用する場合、バイオロジカルソイルの存在下では、より一層短時間で発色が起こる。
【0037】
ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどの一価または二価の金属イオンを加えることで、酵素活性を亢進させることができる。NBTを含む指標の組成にマンガン塩を取り入れ、早い段階(バイオソイルのない状態など)に発色するのを防ぐことが可能である。
【0038】
検出器を拭き取り用品として用いる実施形態では、特異的指標は一般に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート;4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドおよび上記の2以上の組み合わせを含む。ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)または他の電子受容体を上記の特異的指標に加え、バイオロジカルソイルの存在下で一層短時間で発色するようにしてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は、血液の存在に、より一般的には血液の1以上の成分の存在に敏感な特異的指標を用いて血液を検出するためのバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。検出可能な好適な血液の成分としては、たとえば、ヘモグロビンなどのタンパク質があげられる。ヘモグロビンの検出が必要であるか望まれる場合、特異的指標は、ペルオキシドとヘムの生成物、イムノ試料ベースの試験で有用な材料、タグ付き抗体と反応することができる3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンおよび他の化合物などの検出可能な変化を生じる1以上の指標を含み得る。このような指標に適した支持材としては、本願明細書で述べる支持材があげられる。血液を検出するための市販の特異的検出器および支持材に、ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケア(Bayer Healthcare)から商品名「マルチスティックス(Multistix)」(登録商標)で入手可能な製品がある。マルチスティックス製品は、好適な特異的指標が固定された可撓性プラスチック支持材を含む。本願明細書にて記載のいくつかの実施形態では、本願明細書にて記載のように、マルチスティックス製品によって好適な支持材部材と保持部材に挿入できる特異的指標を得て、本発明によるバイオロジカルソイル検出器を得ることができる。
【0040】
特異的指標を支持材に固定するには、たとえば、吸着、イオン交換、捕捉、マイクロカプセル化、架橋、共重合、捕捉および架橋、配合、共有結合といった多数の異なる手段を利用できる。支持材に対する指標の吸着は、指標と支持材との間にファンデルワールス静電性および/または疎水性干渉が起こる結果として生じる。イオン交換では、指標の電荷と支持材の電荷との間の静電気引力がゆえに指標が支持材に結合する。捕捉は支持材にある顕微鏡でしか見えないまたは肉眼で見える空隙に指標を機械的に捕獲することを示唆するものである。マイクロカプセル化または封止とは、(通常はトリガーとなる物理的または化学的なイベント(局所的な湿度の突然の変化など)に曝露されるまで指標を外部の環境から保護する目的で)指標の化学物質を化学的に異なるコーティングで被覆するものである。指標に反応性基が結合していれば、この指標は支持材のバルクへの表面のグラフトまたは共重合で支持材の表面または中に架橋可能であり、あるいは、指標を捕捉した上で支持材に架橋させてもよい。また、押出処理で指標を添加剤としてポリマー系の支持材に配合してもよい。支持材に対する指標の共有結合については、指標の官能基と反応する1以上のリガンドで官能化した固体支持部材で実現すればよい。一例としてのリガンドには、本願明細書の実施例にあげたものなどがある。固体相の指標と溶液相の反応剤との反応時に立体障害が生じないような方法で固定化を行うのが望ましい。さらに、固定化で指標が不活性化されないようにする。特に有用かつ都合のよい手法が、指標の化学物質を細孔膜に捕捉するおよび/または指標の化学物質を支持材に吸着させることである。
【0041】
どの特異的指標を選択するかが、バイオロジカルソイル中に存在するマーカーに影響されることもある。一例としての検出用マーカーとして、タンパク質、エンドトキシン、酵素、アデノシン三リン酸(ATP)などのヌクレオチドがあげられる。タンパク質は、血液(ヘモグロビンなど)といったヒトの分泌物や微生物細胞の構成要素のどこにでも含まれることから、バイオロジカルソイルの存在を示す有用なマーカーとなり得る。エンドトキシンの存在は、グラム陰性細菌のリポ多糖成分を表すものとなろう。酵素活性が検出されれば、ほ乳類、植物または微生物起源であり得る酵素が存在していることを意味する。検出に適した酵素としては、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、ラクトシダーゼ、さらにはヒトの分泌物中に通常見られる他の酵素ならびに微生物源または植物源由来の酵素があげられる。他のマーカーには、スルファターゼおよび脂肪酸エステラーゼがある。
【0042】
図7〜図10を参照すると、本発明による検出器310が示されており、各図に異なる特徴があるが、これを今から説明する。検出器310は、固体支持部材312を表面で保持するための保持部材314に関連した固体支持部材312を含む。保持部材314は、第1の端316と、第2の端318と、第1の端316と第2の端318との間に延在する細長い本体部分320とを含む。図7の実施形態では、固体支持部材が保持部材314の第1の端316に固定されている。さらに、保持部材314の長さは必要に応じて可変であり、一般には固体支持部材に固定された特異的指標312と試験対象となる表面との間の接触を容易にするためのハンドルとして機能するような寸法に作られる。この構成では、到達範囲外であるか、そうでなければアクセスできない表面に届くように固体支持部材312を配置または延在させることができる。換言すれば、検出器310を用いることで、固体支持部材(第2の端318など)から遠位にある保持部材314の端を把持し、保持部材314の細長い本体部分320の長さ方向を、固体支持部材とこれに関連した特異的指標のある比較的離れた場所にあるかアクセスできない表面に達する目的で使用することができる。いくつかの実施形態では、保持部材は、固体支持部材312および特異的指標で、患者のソイルを含むバイオソイルがチャネル壁にあるかどうかをサンプルできるよう、内視鏡のチャネルなど医用器具のチャネルの内側にちょうど合うような寸法に作られる。
【0043】
図8を参照すると、検出器310は、保持部材314の第2の端318に固定された固体支持部材312を含む。また、洗浄用ブラシ322が設けられ、保持部材314の第1の端316に固定されている。この構成では、洗浄用ブラシ322が洗浄のための手段となる。いくつかの実施形態では、ブラシ322が内視鏡などの医用装置を洗浄するような大きさで構成され、典型的なブラシ322は医用装置のチャネル内を洗浄するような大きさで構成される。洗浄操作の後、検出器310を利用して、装置、特に装置のチャネル内に残っているバイオソイルの存在を試験すればよい。
【0044】
上記の実施形態では、保持部材は一般に、永久的または取り外しができない形で固体支持部材に固定される。言葉を変えると、固体支持部材と保持部材との間の取り付けは通常、これらの部品を互いに取り外すことを想定したものではない。取り付け方法に関しては、接着剤による取り付け、溶融結合、機械的な取り付け(ステープル、ボタン、スナップなど)を含むがこれに限定されるものではない、当業者間で周知の適当な方法で固体支持部材と保持部材とを互いに取り付けるようにすればよい。固体支持部材を保持部材に取り付ける方法はすべて、当業者の技術の範囲内であり、本願開示内容に包含されるものと企図される。
【0045】
図9は、ブラシ322が保持部材314の第1の端316と関連した検出器310のさらに別の構成を示している。ここでは、固体支持部材312を剥離可能な形で保持部材314と関連させ得ることを示す目的で、固体支持部材312を保持部材314から取り外した状態で示してある。言葉を変えると、固体支持部材は、保持部材312から取り外されるが、細長い本体部分320の長さ方向に沿った適当な場所、あるいは第1の端316または第2の端318のいずれかで保持部材314に固定できる検出器310の別の構成要素として提供されている。さらに、以後の用途で使用すべく、保持部材314とブラシ322とを洗浄し、消毒殺菌し、必要に応じて滅菌するために、使用後に保持部材314から固体支持部材を取り除いてもよい。図示の構成では、固体支持部材312は、固体支持部材の端にウィング状の突起313aおよび313bを含む。ウィング状の突起313aおよび313bは、突起313aおよび313bの各々にいくらかの強度を持たせ、(保持部材314の外周のまわりでウィング状の突起を手でねじるなどして)固体支持部材312を保持部材314に固定するための手段を提供する目的で薄い鋼または金属ワイヤのある内側の補強構造を含むものであっても構わない。あるいは、ウィング状の突起313aおよび313bが各々、2つの突起同士と保持部材314を固定できるような長さであってもよい。固体支持部材312と保持部材314とを互いに剥離可能に固定するには、どのような手段(クリップ、接着剤または他の固定具を使用するなど)を用いてもよいことは理解できよう。
【0046】
図9に示す検出器の構成では、検出器310に、1以上の特異的指標であらかじめ処理した単一の保持部材314と複数の固体支持部材312とを設けることができる。このような構成では、複数の固体支持部材312に同じ特異的指標を含むこともできるし異なる特異的指標を含むこともできる。
【0047】
図10〜図13aは、本発明の検出器における固体支持部材の別の構成を示している。図11は、保持部材364に沿って配置された固体支持部材360を示している。固体支持部材360は、保持部材364から垂直に突出している複数のブリストル状部材362で構成される。医用装置のチャネル内のバイオソイルの検出などの用途では、十分な数のこのようなブリストル状部材362を設け、固体支持部材360をチャネル内に入れたときに実質的にその全面をサンプリングできるようにする。
【0048】
図11は、本発明において有用な固体支持部材370のもうひとつの構成を示す。支持材部材は、内視鏡の内部チャネルをサンプリングするにあたって双方向の使用ができるように構成されている。換言すれば、検出可能なバイオソイルの存在または欠如を判断する際には、医用装置の内部チャネルを介して固体支持部材370を押し込むおよび/または引っ張るようにすればよい。さらに、固体支持部材370は、バイオソイルの存在時における色の変化を目視確認しやすくする比較的大きな表面積のものである。
【0049】
図12は、本発明において有用な固体支持部材380のもうひとつの構成を示す。図示のように、固体支持部材380は、医用装置の内部チャネルを介して一方向で導入されるように構成された発泡材料で作成できるものである。固体支持部材380については、たとえば、図11の実施形態における固体支持部材370よりも少ない材料で作ることができる。しかしながら、固体支持部材380は、バイオソイルと固体支持部材に関連した特異的指標との干渉によって生じる色の変化を短時間かつ比較的簡単に確認するために十分な表面積がある。
【0050】
図13aは、三角形に近い形の表面を含む旗形の固体支持部材390を有する検出器388のもうひとつの構成を示す。固体支持部材390は、保持部材392に固定され、保持部材に取り付けられた第1のエッジ394と、第1のエッジ394から離れた第2のエッジ396とを含む。第2のエッジ396は、第1のエッジ394よりも短いため、側面のエッジ395および397が第1および第2のエッジ394と394との間に平行ではない状態で延在している。さらに、側面のエッジ395と保持部材392との間の角度(αで示す)は約45度で示されている。いくつかの実施形態では、この角度が図示のものとは異なることもあるが、一般には90度未満、より一般には45度未満、多くの場合は約20から約45度である。この構成では、医用装置内のチャネルのサンプリングに固体支持部材390が有用である。固体支持部材390と保持部材392との間の角度αによって、医用装置のチャネル内に挿入したときなどに固体支持部材390を保持部材392のまわりに均一に巻き付けやすくなる。また、固体支持部材390については、この固体支持部材390を保持部材392のまわりに巻いた構成にしてもよいことは理解できよう。このような構成では、側面のエッジ395と保持部材392との間の角度の大きさが、検出器388の全体としての性能という点でさほど重要ではなくなる。
【0051】
図13bは、内視鏡などの医用装置に設けられたチャネル400の壁のサンプリング時における検出器388の使い方を示している。固体支持部材390は、固体支持部材を「コルクスクリュー」すなわち螺旋状のパターンで保持部材392のまわりに巻いたりカールさせたりしやすい長さである。固体支持部材390を螺旋状に巻くと、検出器388がチャネル400の中を矢印で示す方向に移動する際、固体支持部材390の表面とチャネル壁とをチャネル表面全体に沿って接触させやすくなる。いくつかの実施形態では、固体支持部材の長さは約50mmである。
【0052】
ここで図14を参照すると、本発明による保持部材422に固定された状態で固体支持部材420が示されている。固体支持部材420は、第1の材料からなる第1のエリア424と、第2の材料からなる第2のエリア426とを含む。好適な第1および第2の材料としては、本願明細書の他の部分に記載のものがあげられる。いくつかの実施形態では、第1の材料は、たとえばナイロン不織シートを含むことが可能であり、第2の材料は、第1の材料に固定された複数のTIPS膜セグメントを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、第1および第2の材料が、TIPSセグメントに塗布した(スプレーするなど)ホットメルト接着剤で互いに固定される。この構成では、特異的指標を第2のエリア426内に固定できる。特異的指標が比色であるような実施形態では、特異的指標とバイオソイルとの干渉によって第2の材料426の色が変化する際の第1の材料と第2の材料との色のコントラストを可視的に強める背景色になるように第1の材料を選択すれば、バイオソイルの検出性を高めることが可能である。
【0053】
ここで図15を参照すると、本発明による保持部材432に固定された状態で固体支持体430が示されている。図14に示す実施形態と同様に、固体支持部材430は第1の材料からなる第1のエリア434を含み、第2のエリア436は第2の材料からなる。この構成では、第2のエリア436内で特異的指標を固体支持部材に印刷するなどの方法で特異的指標を第2のエリア436内に固定できる。特異的指標が比色であるような実施形態では、指標とバイオソイルとの干渉によって第2の材料436の色が変化する際の第1の材料と第2の材料との色のコントラストを可視的に強める背景色になるように第1の材料を選択すれば、バイオソイルの検出性を高めることが可能である。
【0054】
本発明の検出器の構成では、特異的指標の溶液を固体支持部材にコーティングしても構わない。この場合、溶媒を揮発させれば固体支持部材に固定された指標の化合物が残る。いくつかの実施形態では、固体支持部材を多孔性にして、たとえばファンデルワールス力、固体支持部材に用いられる材料との疎水性および/またはイオン性干渉によって、孔内に特異的指標を物理的に捕捉することで、固体支持部材の孔内に特異的指標を保持できるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、固体支持部材を親水性および/または特異的指標化合物と共有結合が可能なようにする目的で、特異的指標を塗布する前に固体支持部材を処理してもよい。特異的指標の溶液については、固体支持部材の全面に均一にコーティングしてもよいし、表面の何カ所かを覆うパターンで表面にコーティングしてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、固体支持部材の表面が均一に白色の場合、白色表面の少なくとも一部に固定された特異的指標を設けてもよい。このような実施形態では、背景が白色であることから、特異的指標とバイオソイルとの反応によって生成された色に対する鮮明な色のコントラストが得られ、比色反応の確認がさらに簡単になる。いくつかの実施形態では、特異的指標とバイオソイルとの反応時に蛍光の変化を検出しやすいよう、固体支持部材の表面を最初から低蛍光の背景を含むものとすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、あらかじめ定められたパターンや規則的なパターンで支持材の表面に指標化合物を塗布すれば、指標化合物とバイオロジカルソイルとの間の反応を検出しやすくなる。さらに、固体支持部材の表面に背景パターンを設け、図22a〜図22cに示すパターンなどの比色反応の存在を強めるまたは強調するようにしてもよい。図面では各々、比色反応によって容易になる最初のパターンから最後のパターンへの変化を示す経過が左から右に図示されている。図22aを参照すると、密にグループ化された一連の小さな暗色の背景円460が、色の付いていない前面の円または淡い色の前面の円462からなる第2のパターンと一緒に設けられている。前面の円462が背景の円460よりも淡い色の目に見える円を含むものであってもよいし、前面の円462が固体支持部材の表面に固定された特異的指標の無色のパターンを表すものであってもよい。バイオロジカルソイルの検出時、前面の円462の色が比色反応によって可視的に暗くなるため、比色反応が進行して完了するまでの間には関連した固体支持部材の表面が違った見た目になる。図22aに示すパターンでは、直交して延在する一連の点線が、固体支持部材の表面の矩形領域を占める一連の直線に見えるようになる。
【0057】
同様に、図22bは、比色反応が進んで完了するにつれて進行して幾何学的パターンになる前面の円またはドット466と背景の円またはドット468とからなるパターンを示している。図22cは、最初は淡い色のパターンあるいは、固体支持部材に適用された無色かつ検出できない表面処理として提示されていてもよい一連の背景またはパターンの背景の円472を示している。線分474として図示されているマークが、背景の円472の上に印刷または固定されている。比色反応が進むにつれて、背景の円474の見た目が可視的に優勢な特徴になって線分474の存在をマスクするまで背景の円が暗く見えるようになる。上記のようなパターンが、固体支持部材上の特異的指標を提示して、表面上でのバイオソイルの存在を示す比色反応の可視的な認識を容易にするための考え得る形態として本発明の範囲内に企図される。
【0058】
本発明の実施形態では、図22a〜図22cに鑑みて説明したもののようなパターンを固体支持部材に押印するか、そうでなければ固定する。このパターンは、表面のサンプリング後に比色反応を可視的に調べられる固体支持部材上のエリアを表す。一般に、パターンのあるエリアは、このような反応を容易かつ迅速に特定しやすくなるような十分な大きさのものであるが、本発明は、特異的指標で処理された固体支持部材上のエリアが、パターン状であるか否かを問わず、特定の寸法または大きさに限定されるものではない。
【0059】
上述したように、本発明の検出器は、医用装置の表面あるいは調理面などバイオソイルに触れた可能性のある他の表面などの表面でのバイオソイルの検出に有用である。表面におけるバイオソイルの存在を検出する目的で、図7〜図14を参照して上述した検出器は、
固体支持部材および特異的指標を表面と接触させるステップと、
固体支持部材を表面から後退させるステップと、
検出器の固体支持体に検出可能な反応がないかどうかを調べることで、固体支持体に固定された特異的指標がバイオロジカルソイルの成分と相互作用したか否かを判断するステップと、を含む方法に利用できるものである。
【0060】
上記の方法では、利用者が検出器を保持部材(保持部材314、図7など)の軸に沿って把持し、固体支持部材および特異的指標が表面と接触した状態になるように検査対象となる表面上の位置まで固体支持部材を延在させることで、検出器を操作することができる。一般に、試験対象となる表面および/または固体支持部材は、少なくとも若干湿らされる(水でなど)。通常、バイオソイル(存在する場合)と特異的指標とを干渉させるには周囲温度で表面と接触させれば十分である。検出器を表面から後退させた時に、色の変化などの見た目の変化を固体支持部材で調べることができる。いくつかの実施形態では、固体支持部材を調べて固体支持部材の蛍光の変化を検出する。色、見た目または蛍光の変化は、バイオソイルの存在を示すものである。一般に、見た目または蛍光の変化は固体支持部材において比較的短時間で検出可能である。通常、検出可能な変化は15分以内またはそれ未満、より一般には10分未満、さらに一般には、5分未満、多くの場合1分未満で観察される。添付の実施例に示すように、検出可能な変化は30秒以内またはそれ未満で固体支持部材に認められることが多い。さらに、固体支持部材は、バイオロジカルソイルと接触するまで特異的指標を保持し、特異的指標とバイオソイルとの間の干渉によって生じる反応生成物も保持する。
【0061】
本発明の検出器は、どのような表面でのバイオソイルの検出にも利用できるものである。このような表面の一例に、調理場、食物加工場などの食物と接触する表面がある。浴室や台所の表面(シンク、カウンター、まな板、トイレの表面など)、床、壁など、バイオソイルを潜在的に含むどのような表面であっても本発明の検出器でサンプリングすることが可能である。上記の実施形態の一態様では、洗浄溶液または消毒殺菌溶液を固体支持部材に取り入れて、表面のバイオソイルを試験するのと同時に表面の洗浄または消毒殺菌を行うようにしてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、医用装置の内部チャネルのバイオソイルを検出するのに検出器が有用である。再利用可能な内視鏡を再処理するにあたり、たとえば、内視鏡の再処理に通常用いられている洗浄ステップの後で残留バイオソイルの存在を判断するのに本発明の検出器が有用である。特に、医療処置または外科的処置に用いられて汚れた内視鏡は一般に、まずは手作業での洗浄ステップで洗浄して目に見えるデブリまたはバイオソイルを器具の表面(内部チャネルの表面を含む)から取り除く。これは一般に、ブラシと、内視鏡の表面に適用した洗浄液または酵素洗浄化合物を含む溶媒を用いて達成される。通常、内視鏡の表面をブラシでこすって目に見える検出可能なバイオソイルをすべてこの医用装置の表面から取り除く。その後、高レベルの消毒殺菌剤を用いて内視鏡に消毒殺菌ステップをほどこす。装置を高レベルの消毒殺菌剤で消毒殺菌した後は、再利用できるように内視鏡を完全にすすいで乾燥させる。
【0063】
上述した手作業での洗浄ステップの効果を評価するために、内視鏡に高レベルの消毒殺菌をほどこす前に図7〜図14を参照して上述した本発明の検出器を利用して検出可能なバイオソイルが内視鏡のどこかの表面に残っていないかどうかを判断することができる。このような方法では、まずは固体支持部材を表面と接触させて本発明の検出器を利用する。いくつかの実施形態では、内視鏡または他の医用装置のチャネル内に合うように検出器の保持部材を寸法合わせして、固体支持部材をチャネルの壁と接触させた状態で配置する。チャネル内で使用する場合、固体支持部材に関連した特異的指標とチャネル壁との間の接触を容易にするような形で固体支持体がチャネル内に合うように、固体支持部材は一般に極めて可撓性の高い材料から選択される。保持部材は通常、チャネルの全長に沿ってチャネルの壁に固体支持部材を曝露可能なだけの十分な長さである。医用装置に設けられたチャネルの壁は一般に、チャネル内で検出器を一方向に摺動させてサンプリングされる。
【0064】
本発明のもうひとつの態様では、試験対象となる表面を水または別の液体ですすいだ後、すすぎ流体と固体支持部材に固定された特異的指標との間の接触を容易にする形ですすぎ流体を捕捉して固体支持部材上のバイオソイルの検出を容易にする形で検出器が得られる。
【0065】
ここで図2を参照すると、本発明による検出器のもうひとつの実施形態が図示されており、ここではこれについて説明する。内部チャネルのうちの1本がバイオソイルの存在を試験する対象となる内視鏡500が示されている。内視鏡500の一端502では、好適なサンプリング流体またはすすぎ用流体508が、流体508が内視鏡500のチャネルをその第2の端504で出るようにチャネル全長のサンプリングを容易にするような形で内視鏡500のチャネルに挿入される。
【0066】
サンプリング用流体508は、水道水、脱イオン水または蒸留水、さまざまな材料を、溶媒すなわち、水、リン酸緩衝生理食塩水、研磨剤、中和用流体に加えた溶液または混合物などの多種多様な液体のうちのどのようなものであってもよい。いくつかの実施形態では、流体に加えられる研磨剤は、可溶性の塩、可溶性ポリマー材料など、溶媒に可溶なものである。他の実施形態では、溶解しない固体の研磨粒子を利用してもよい(シリカなど)。試験対象となる表面が医療試験、外科処置または診断処置で用いられる医用装置の一部であるような場合は、表面に付着することがなく、あるいは装置を再利用する前に表面から容易に取り除くことが可能なサンプリング用流体中の材料を利用するのが通常は望ましい。
【0067】
サンプリング用流体は、流体をチャネル経由で押し出せる適切な大きさの力で内視鏡500のチャネルに分注される。いくつかの実施形態では、シリンジ506などの流体ディスペンサを用いて、あらかじめ定められた量のサンプリング用流体508を内視鏡500のチャネルに分注する。サンプリング用流体508は内視鏡500の第2の端504を出て、固体支持部材510と固体支持部材510のエリア512内で固定された特異的指標に接触する。
【0068】
本発明は内視鏡のサンプリングに限定されるものではないことは理解できよう。サンプリング用流体は、多種多様な表面のうちのどのような表面にも適用した上で、固体支持部材に固定された特異的指標と接触させることが可能なものである。サンプリング用流体の液体については、サンプリング対象となるチャネルまたは他の表面から流体が出る際にサンプリング用流体の経路内に固体支持部材を配置するなど、どのような方法で固体支持部材と接触させてもよい。いくつかの実施形態では、単に固体支持部材をサンプリング用流体の流れの中に配置する。
【0069】
いくつかの実施形態では、固体支持部材512は、内視鏡500のチャネルなどの試験対象となる表面に流体が接触した後にサンプリング用流体508を捕捉することも可能な容器内に配置される。図3〜図6は、本発明で使用するのに適した容器520を示している。図3〜図6の実施形態で用いる容器は一般に、蛍光の励起波長ならびに放出波長に対して透明であり、かつ、可視的な検出用の可視光線の波長に対しても透明であることは理解できよう。
【0070】
図3には、サンプリング用流体をバイアル528に入れることができるようにするためのオリフィス526を画定する開放上面524のあるキャップ522を含む容器520が図示されている。いくつかの実施形態では、上面524は、サンプリング用流体がチャネルからバイアル528に直接流れるように医用装置の端(内視鏡500の端504など)の上にぴったりとフィットし、これによってサンプリング用流体が跳ねて失われるのを防ぐ可撓性材料(シリコーンゴムなど)を含む。固体支持部材530は、特異的指標で処理済みのエリア532がキャップ522の上面524に形成されたオリフィス526を介して容器520に入る、サンプリング用流体の流入してくる流れに触れるように配置されるよう、バイアル528内に配置される。固体支持部材530は、バイアル528の内壁と固体支持部材530を含む材料のエッジとの間で摩擦係合してバイアル528内に配置させることができるものである。あるいは、適切な接着剤などを用いてバイアル528内に固体支持部材530を固定してもよい。特異的指標によってバイオソイルの存在に対する比色反応を得るようにしてもよいし、あるいは、バイアル528の壁を介して検出可能な蛍光反応を得るようにしてもよい。
【0071】
ここで図4を参照すると、容器の構成は図3で説明したものと同じである。しかしながら、固体支持部材540はバイアル528の内壁に固定され、特異的指標は固体支持部材540内の細片542に固定される。一般に、固体支持部材540は本願明細書にて記載したような材料を含み、固体支持部材540はバイアル528の内壁に固定される。あるいは、固体支持部材が、シリカ、カチオン性ポリマー(ナイロンなど)、アミン含有ポリマー、アミン含有オルガノシロキサンなどのバイアル528の内壁に配置された吸着剤材料を含むものであってもよい。固体支持部材540は、バイアル528の壁と密に接触した状態にあり、バイオソイルと相互作用する特異的指標の比色反応または蛍光反応を部分的に分かりにくくしかねないサンプリング用流体による比色または蛍光吸光度を最小限にする。
【0072】
図5では、固体支持部材550は、固定された特異的指標を含むエリア552を有する材料片を含む。固体支持部材550は、一対の接着剤片554および556でバイアル528の壁の対向する側に繋留されている。エリア552内の特異的指標もバイアル内の中心位置にきて、固体支持部材550の両側でサンプリング用流体との接触がしやすくなるように、固体支持部材550はバイアル528のほぼ中心に配置される。
【0073】
図6は、固体支持部材がバイアル528の内壁のエリア560である本発明の実施形態を示している。壁で発色するパターンとして比色反応が可視的に明確になるようにバイアル528の壁に特異的指標を化学的に固定化することで、特異的指標が固体支持部材560に固定される。あるいは、サンプリング用流体中のバイオソイルと特異的指標との間で反応が生じたときに流体に色が付くか蛍光になるように、サンプリング用流体に特異的指標を溶解させてもよい。一般に、バイアル528は、可視的検出または蛍光検出のいずれかによる検出の限界を増す経路長を提供するものとする。
【0074】
図16〜図18を参照すると、本発明のもうひとつの実施形態が示されており、これについてここで説明する。ここで、表面からのサンプリング用流体を捕捉して真空での吸引下で入れ物に入れるための容器600のもうひとつの形態が示されている。図16は、サンプリング用流体が中に入れるようになる前の容器600を示している。この入れ物の中にはスポンジ602が配置され、スポンジの表面には固体支持部材604が関連している。本願明細書にて記載の材料からなる固体支持部材604上のエリア606内に特異的指標が固定される。流入口610がサンプリング用流体(内視鏡など)源と接続され、流出口612によって入れ物を真空ポンプと接続することができる。図16から始めて図19で終わる進行過程で、入れ物600(最初は空)は、流出口612に接続された真空による吸引下、流入口610を介してサンプリング用流体を受け取る。入れ物600の中に入れられると、スポンジ602がサンプリング用流体を吸収する。使用するサンプリング用流体の容量によっては、スポンジ602がサンプリング用流体で充満して膨らむため、流体が満ちたスポンジ602(図18参照)で入れ物600が一杯になる。固体支持部材604と特異的指標は、スポンジ602内のサンプリング用流体が固体支持部材604ならびにそこに固定された特異的指標と接するように、スポンジ602と密に接触する。上述したように、固体支持部材で比色反応または蛍光反応を検出し、サンプリング用流体中におけるバイオソイルの存在を示す。
【0075】
もうひとつの実施形態では、上述したような、流入口610および流出口612ポートがある入れ物を図19〜図21に示す。しかしながら、スポンジ626はスポンジ602よりも実質的に小さい。固定された特異的指標のエリア606のある固体支持部材604が、スポンジ626の上で入れ物内に配置される。図19〜図21に示す進行過程では、充填されたスポンジ626が開口610および612をふさぐまで(図21参照)スポンジ626が膨脹してサンプリング用流体と接触する。他のあらゆる観点で、図19〜図21の実施形態は図16〜図18で説明したものと同一である。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態で説明した容器などの保持部材表面または保持部材内に固体支持部材を配置することができる。保持部材は一般に、液体と固体支持部材との間の接触を容易にするように保持部材が配置された状態で固体支持部材および特異的指標を支持する。保持部材は、液体が試験対象となる表面と接した後で特異的指標と液体との接触を容易にするように固定支持部材を保持して保つどのような構造または構成のものであってもよい点は理解できよう。いくつかの実施形態では、保持部材は、液体を収集して保持できる(図3〜図6および図16〜図21で説明したもののような)容器であり、液体を容器に集めた際に液体と特異的指標との接触を容易にするために、この容器内に固体支持体および特異的指標が配置される。いくつかの実施形態では、保持部材は、液体を通すことが可能な構造を含み、液体を保持部材経由で導入したときに液体と固体支持部材との間の接触を容易にするために、保持部材内に固体支持体および特異的指標が配置される。液体を導入できる一例としての構造としては、たとえば、液体が保持部材に入るときに通る流体入口と、液体が保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材があり、固体支持体および特異的指標は一般に、流体入口と流体出口との間の保持部材内に配置される。
【0077】
いくつかの実施形態では、液体が検出器を通ったことを目視確認できるように任意のフロー指標も設けられている。フロー指標は、湿ったときに見た目が変化する多種多様な材料のうちの何を含むものであってもよい。言葉を変えると、フロー指標は、フロー指標が乾いているときに第1の見た目で、フロー指標が液体に触れたときには第2の見た目になる。任意のフロー指標は、乾燥した状態から湿った状態になったときに見た目が識別可能に変化して、液体との接触を示す好適な材料または物質を含み得る。好適な材料としては、織物材、不織材、紙またはセルロース系の材料、湿ったときに色が変わる適切な染料または顔料で処理した材料(上記を含む)などの吸収剤がある。本発明では、ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアから入手可能なマルチスティックス(登録商標)試薬ストリップで利用できる比重パッドなどの業務用の材料をフロー指標として利用してもよい。マルチスティックス製品では、イオン濃度に関してあらかじめ処理してある特定の高分子電解質のpKaが明らかに変化することで、湿ると色が変化する。本発明の一態様では、固体支持部材に隣接して、その下流にフロー指標を配置することができる。このような部品配置で、湿ったフロー指標(第2の見た目になっているなど)を見れば、特異的指標が液体で湿ったことも分かる。本発明のもうひとつの態様では、フロー指標上の材料が液体の流れに乗って移動して特異的指標に干渉することがない限り、フロー指標を特異的指標の上流に配置してもよい。上記の別の実施形態について後述する。フロー指標については、多種多様な構成のうちのどのような構成で設けてもよく、固体支持部材および特異的指標に対してどのような部品配置であってもよいことは理解できよう。水があることが分かる染料のテープが、2003年5月22日公開の米国特許出願公開第20030096107号明細書に記載されている。
【0078】
本発明のもうひとつの実施形態では、液体を通すように構成され、残留ソイルの存在について液体を試験できることを想定した保持部材700の一構成を図23に示す。この実施形態では、まずは洗浄ステップで液体を表面に送って残留ソイルを除去する。次に、この液体を、フロー流入口710が第1の端に設けられた本体702を含む保持部材700に送る。保持部材700は、流体の流れを流入口710から本体702経由で保持部材700の第2の端にある流体出口ポート704に送るように構成されている。流入口ポート710は、先細の摩擦取付具として設けられ、流体の流れを試験対象となる表面から保持部材700に送るための可撓性管材の長さであってもよいチューブ712に接続された状態で図示されている流入口取付具708の端に配置される。保持部材700には、チューブ712を介して保持部材700までの液体の流れが支持材部材714に接触して、通常はエリア716で示される特異的指標を液体に曝露させることで、残留ソイルの存在を試験できるような形で固体支持部材714が関連している。この実施形態では、固体支持部材は流入口ポート710に配置される。固体支持体のエリアについては、そこに固定された特異的指標であらかじめ処理し、可視的に確認可能な色の変化、蛍光測定値などによって液体中にバイオロジカルソイルが存在することが固体支持部材714上で分かるようにする。特異的指標がない固体支持部材714のエリアに、特異的指標の色の変化に対して比較可能な「対照」色を設けてもよい。これと同じ比較のために、同じ基準または対照色をどこにでも設けることが可能である。たとえば、保持部材のある紙片、パッケージ、保持部材の別の部分などに対照を設けることが可能である。
【0079】
カラー713が流入口取付具708を支持し、取付具708の基部を囲む表面715を提供している。表面715の直径は図示のようにチューブ712の端に当接するような大きさである。流入口710は、本体702を経由してフロー流出口704から出る保持部材700への経路を液体に与える。フロー流出口704は、可撓性チューブ(排水チューブなど)の端と嵌合して保持部材700から出てくる流体の流れをドレインや容器、あるいは他の好適な廃棄部位に向けることができる先細の摩擦取付具である流出口取付具706の端に設けられている。
【0080】
固体支持部材714については、どのような方法でフロー流入口ポート710と関連させてもよい。いくつかの実施形態では、固体支持部材714は、バイオソイルの検出に1回使用したら保持部材全体を適宜破棄するように、永久的に固定されるか、あるいは保持部材700の永久部品である。他の実施形態では、洗浄、消毒殺菌および/または滅菌後に保持部材を再利用できるように、また、新しい固体支持体または新鮮な固体支持体を使用済みの固体支持体と交換してもよいように、固体支持体714を保持部材700から除去可能にするような方法で流入口ポート710内に固体支持部材714が可逆的に配置される。固体支持体は比較的剛性のポリマーなどであり、固体支持部材714を流入口ポート710に挿入し、摩擦係止によって再利用可能な形で保持することができる。固体支持部材714については、摩擦係止、接着剤、接着テープ、クリップなど、周知のどのような方法で流入口ポート710に固定または関連付けてもよいことは、当業者であれば理解できよう。
【0081】
図23に示す保持部材700の実施形態では、固体支持部材と特異的指標とを湿らせている流体の流れを容易に検出可能なように、任意のフロー指標718を特異的指標716の下流に設ける。可視的に補助して、保持部材700に液体が実際に流れているかの判断を容易にするために、特に特異的指標が液体と接していることの判断を容易にするために、フロー指標718の任意のインクルージョン(inclusion)を設けてある。さらに、フロー指標718上に流体流があると分かることで、流体がすでに特異的指標716に達していることを示すまたは確認することができるように、フロー指標718は通常、特異的指標716に隣接して配置される。
【0082】
上記の保持部材における流体の流れについては、便宜上流入口710から流出口704へと流れるものとして説明したが、上記保持部材では流体の流れが流出口704から流入口710の方向であってもよいことは理解できよう。さらに、保持部材700は、本発明によれば部材700での流れの方向とは無関係にバイオソイルを検出できるように機能する。
【0083】
図24および図25を参照すると、本発明のさらにもうひとつの実施形態が、液体を通すように構成され、残留ソイルの存在について液体を試験できることを想定した保持部材800の形で提供されている。この実施形態では、まずは洗浄ステップで液体を表面に送って残留ソイルを除去する。次に、この液体を、液体に取付具への入口経路を提供する第1の端にフロー流入口810が設けられた本体802を含む保持部材800に送る。ここでは、本願明細書の別の部分で説明したように医療器具または別の表面から流入口810に排出されてきた流体の流れを、残留ソイルの試験のために保持部材800経由で送るよう、可撓性チューブ812(供給チューブ)の端に固定されて図示された先細の摩擦取付具である流入口取付具808の端にフロー流入口810が設けられている。カラー813が流入口取付具808を支持し、流入口取付具808の基部を囲む表面815を提供している。表面815の直径は一般に、図示のように供給チューブ812の端に当接するような大きさである。
【0084】
保持部材800は、流体の流れを流入口810から本体802経由で保持部材800の第2の端にある流体出口ポート804まで送るように構成されている。流出口ポート804は、流出口取付具806の端に配置されている。流出口取付具806は、可撓性の排水チューブなどに接続して流体の流れを保持部材800からドレインや収集容器、あるいは別の好適な廃棄部位まで送ることができる第2の先細摩擦取付具として設けられている。
【0085】
保持部材800を通る流体の流れは通常、流入口810から本体802を経由して流出口ポート804を通って出る。保持部材800の本体802内には、保持部材800を通る液体の流れが支持材部材814と接触して、通常はエリア816内に示される特異的指標を残留ソイルの存在を試験する液体に曝露させる方法で、固体支持部材814が配置されている。保持部材800には、本体802内のウィンドウ820が設けられ、液体への曝露後に固体支持部材814を見て特異的指標818の検出可能な変化を調べることができるようになっている。ウィンドウ820については、どのような方法で本体802に設けてもよい。いくつかの実施形態では、保持部材800が成形部品であり、この成形部品の造作としてウィンドウ820が設けられる。いくつかの実施形態では、保持部材800の本体802にウィンドウを穿孔または切り取るようにしてもよい。上記のいずれの場合でも、流体の流れがウィンドウ820から外に出てきてしまうのを防ぎつつ観察者が特異的指標を見ることができるように、ウィンドウ820は一般に透明フィルムなどで覆われている。他の実施形態では、保持部材800の本体802全体を透明プラスチックまたはポリマー材料で作成し、ウィンドウなしで固体支持部材と特異的指標とを直接見ることができるようにしてもよい。また、保持部材800も特異的指標816の下流に任意のフロー指標818を含み、同じくウィンドウ820を介して目視可能である。
【0086】
固体支持部材814については、どのような方法で配置して保持部材の本体802内に保持してもよい。いくつかの実施形態では、バイオソイルの検出に利用した後の取付具を適宜廃棄できるように、保持部材800の本体802内に漠然と固体支持部材814を固定することが企図される。他の実施形態では、保持部材800の本体802内に固体支持部材814を剥離可能に保持することが企図される。このような配置では、固体支持部材814を本体802から取り外して廃棄することができ、その後で保持部材800再利用できるように適宜洗浄、消毒殺菌および/または滅菌すればよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、流体流の導入を容易にするような構成で保持部材800を提供し、これによって流体が部材800の本体802を通る際にこの流体を固体支持部材814に送る。たとえば、保持部材を介して延在する内側のルーメンまたはチャネルに、流体の流れを固体支持部材814に送ってまずは特異的指標816と接触させた上で出口ポート804経由で部材800から出すように構成され、かつ、液体が部材800を介して流れやすいようにする溝またはチャネルを持たせてもよい。本発明のもうひとつの態様は、部材800を介して内部チャネルの壁に沿ってマイクロ構造化アレイを含むが、これも液体の流れを保持部材の内面経由で送って固体支持部材と特異的指標が液体ならびにそこに含まれる可能性のあるバイオソイルと触れるように構成されている。
【0088】
図25の斜視図では、固体支持部材814をトラック822内に配置して、フロー流出口804経由で本体802に挿入し、特異的指標と任意のフロー指標とをウィンドウ820を通して見ることが可能なように本体802内に配置できるよう、保持部材800内に一対の対向するスロットまたはトラック822aおよび822bが設けられている。固体支持部材814については、たとえば、本体802を通る液体の流れによって容易に押しのけられることなく支持材814を取付具800の本体内に保持できる限り、どのような方法で保持部材800の本体802内に配置しても構わないことは理解できよう。固体支持部材814を本体802内に保持するのに適した手段としては、摩擦、接着剤、接着テープ、クリップなどがあげられるが、これに限定されるものではない。このようにして、医用装置の表面または別の表面にある残留ソイルの存在を検出する目的で表面と接触させるのに利用した液体と接触しやすくなるように固体支持部材および特異的指標を配置する。
【0089】
上記の保持部材における流体の流れについては、便宜上流入口810から流出口804へと流れるものとして説明したが、上記保持部材では流体の流れが流出口804から流入口810の方向であってもよいことは理解できよう。さらに、保持部材800は、本発明によれば部材800での流れの方向とは無関係にバイオソイルを検出できるように機能する。
【0090】
また、当業者であれば、図23〜図25に図示し、本願明細書で説明した上記の実施形態は単に本発明の範囲内にある装置を例示したものにすぎないことは理解できよう。他の装置が企図され、本発明では、試験対象となる表面に液体が接触した後に液体と接触させるよう特異的指標を配置した、液体の流れをサンプリングすべく設計された装置も包含することを想定している。このような装置の具体的な構成には、液体を固体支持部材に固定された特異的指標と接触させやすくするような方法で液体の流れを流入口から流出口に送るフロー流入口、フロー流出口、本体部分など、図23〜図25の上記装置の通常の特徴を含み得る。
【0091】
上述したように、サンプリング用流体を上記の構成要素と併用することで、
表面を液体と接触させるステップと、
液体が表面と接触した後に、この液体を固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
固体支持部材の検出可能な反応を検査して、特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、表面に関連したバイオソイルを検出するための方法が得られる。
【0092】
本発明のこの態様では、サンプリング対象となる表面に液体を使って接触させ、その表面に残っているバイオソイルをほぐして取り除き、その上で取り除いたソイルを、バイオソイルを特異的指標と相互作用させることができる容器に押し出す。液体は、バイオソイルが捕捉されている可能性のある連結部または接続エリア内の空間をはじめとして、サンプリング対象となる表面のあらゆる部分をプローブすることができる。サンプリング対象となる表面に液体を接触させた後、本願明細書にて記載のようにこれを固体支持体に固定された特異的指標と接触させる。いくつかの実施形態では、バイオロジカルソイル検出器において、液体を表面に送った上で何ら補助なく特異的指標と接触させる受動的なモードで液体を利用することができる。いくつかの実施形態では、バイオロジカルソイル検出器に真空ポンプを設けて固体支持体材料の表面にある液体の搬送を補助する。他の実施形態では、流体を押し出すか(シリンジまたはポンプを用いるなどして)検出器にポンプ供給する。このような実施形態では、流体または液体を駆動して特異的指標と接触させるのに接触圧またはパルス圧力を利用して検出器に流体を送り込む。医用装置のチャネルの潜在的に汚染されているあらゆる表面からバイオソイルをほぐすのに液体を用いると、本願明細書にて記載のように、保持部材に固定された固体支持部材で直接プローブするには小さすぎるチャネル(内視鏡の空気および水のチャネルなど)のサンプリングが容易になる。さらに、図16〜図21を参照して上述した真空駆動式の実施形態は一般に、病院の真空システムと相性のよいものでなければならない。
【0093】
また、上記の装置および使用方法は、内視鏡などの医用装置でのバイオソイルの検出に用いることに限定されるわけではないことも理解できよう。食物と接触した表面などの他の表面をサンプリングして、バイオロジカルソイルの存在または欠如を判断することもできる。ここに記載の本発明の装置および方法を利用すれば、どのような表面でもサンプリングしてバイオソイルの存在を調べることができる。
【0094】
好ましい実施形態のこれ以上の特徴については、以下の非限定的な実施例においてさらに説明する。
【実施例】
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
実施例1
BCIP12.5μL、NBT50μL、TRIS緩衝液50μLおよび水37.5μLを組み合わせて、BCIP/NBT3成分ホスファターゼ支持体系(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc.))を用いて溶液を生成した。BCIP/NBT3成分ホスファターゼ支持体系から得た溶液5μLをたらすマイクロピペットを利用してバイオダインBフィルムの粗い側にスポットを付け、30分間空気乾燥させた。このスポットを付けたフィルムに、アルカリホスファターゼ(カルバイオケム(Calbiochem))5μLを用いて3.6単位/mLの濃度で再度スポットを付けた。
【0101】
26秒後、青紫のスポットが表れたことから、アルカリホスファターゼが存在することが分かった。
【0102】
実施例2
0.1MのTRISを脱イオン水に入れたもの50mL、0.1NのHCl7mLおよび脱イオン水43mLを混合して、pH=8.9の0.05MのTRIS緩衝液を調製した。BCIPを25mgと、1,2−プロパンジオール3mL、グリセロール2mL、0.05MのTRIS緩衝液(pH=8.9)5mLの混合物とを組み合わせて、第1の溶液を調製した。NBT50mgと、1,2−プロパンジオール3mL、グリセロール2mL、0.05MのTRIS緩衝液(pH=9)5mLとを組み合わせて、第2の溶液を調製した。次に、第1の溶液100μLを、第2の溶液100μL、0.1mg/mLのMnCl2を水に入れたもの100μL、pH=9のTRIS緩衝液1mLと混合した。このようにして得られる溶液を、5μLのスポットを作るマイクロピペットでバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、このフィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度3.5単位/mLまたは1.7単位/mLのアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)からなる5μLのスポットを、すでにスポットを付けてあるフィルムにのせた。
【0103】
色の反応が得られるまでの平均時間は、3.5単位/mLのアルカリホスファターゼで45秒、1.7単位/mLのアルカリホスファターゼで20秒であった。
【0104】
実施例3
3種類の溶液A、BおよびCを別々に調製した。溶液Aについては、バイオシンス(Biosynth)から得たBCIP25mgを脱イオン水10mLに溶解させて調製した。溶液Bについては、NBT50mgを脱イオン水10mLに溶解させて調製した。溶液Cについては、MgCl2100mgとMnCl2100mgを実施例2で説明したようにして調製したTRIS緩衝液10mLに加えて調製した。溶液Aを400μLと溶液Bを100μL、溶液Cを500μL組み合わせて、実験1〜10用の溶液を調製した。また、溶液A800μL、と溶液B100μLおよび溶液C100μLで組み合わせて、実験11〜20用の溶液を調製した。さらに、溶液A300μL、溶液B300μLおよび溶液C400μLを組み合わせて、実験21〜30用の溶液を調製した。このようにして得られる溶液各々5マイクロリットルを、マイクロピペットを使ってバイオダインBフィルムの上にスポットし、室温にて30分間空気乾燥させた。実験6〜10、16〜20、26〜30では、乾燥後のフィルムを水道水の流水ですすぎ、再度室温にて30分間空気乾燥させた。実験1〜30を乾燥させた後、濃度3.5、1.79、0.89、0.45、0.1単位/mLのアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)溶液5μLを各々乾燥後のスポットにのせ、これによって灰色−黒色が認められるようになるまでの時間を記録した。表1に示す結果は3つのスポットの平均とした。
【0105】
【表6】
【0106】
水道水の流水ですすいだかBCIPの濃度を変えたかとは無関係に、2分未満で発色が見られた。実験20では酵素の濃度が検出限界に達した。
【0107】
実施例4
製造業者の指示(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド)に従って1倍濃度の50μLBCI−gal/鉄緩衝溶液2mLを調製した。2倍濃度の100μLBCI−gal/鉄緩衝溶液2mLを調製した。次に、4倍濃度の100μLBCI−gal/鉄緩衝溶液1mLを調製した。1倍、2倍、4倍の各溶液を、10μLの滴をたらすマイクロピペットで正に荷電したオスモニクスナイロン膜にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度5.9、0.59、0.059、0.0059単位/スポットまたは0.5、0.05、0.005、0.0005mg/スポットのβ−ガラクトシダーゼ(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から590単位/mLで供給)10μLの滴をたらした。発色に必要な時間を秒単位で記録した。結果を表2に示す。
【0108】
【表7】
【0109】
実施例5
エスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液を、5μLの滴をたらすマイクロピペットでバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度625、312.5、156.25、78.125、39.0625のβ−グルコシダーゼ5μLの滴をエスクリン/FeCl3スポットにたらし、発色に必要な時間を記録した。エスクリンは純な酵素系でうまく作用した。結果を表3に示す。
【0110】
【表8】
【0111】
実施例6
試験管にエスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液100μLを満たした。次に、濃度5、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.05、0.025、0.0025単位/mLのβ−グルコシダーゼ100μLを、エスクリン/FeCl3溶液の入った試験管に滴下し、緑から黒への発色の変化に必要な時間を記録した。結果を表4に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
実施例7
エスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液を、5μLの滴をたらすマイクロピペットを使ってバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック(Mayo Clinic)にて結腸処置法で結腸鏡の生検組織ルーメンを用いてリン酸緩衝生理食塩水10mLをフラッシュし、臨床内視鏡ソイル標本(患者のソイル)を収集した。続いて、臨床内視鏡ソイル標本100μLをエスクリン/FeCl3スポットの上にのせ、発色のために必要な時間を記録した。発色には10分を超える時間を要した。
【0114】
実施例8
メトリセル(Metricel)SB−6407膜の標本4つに、スポット1個あたりBCIP/NBT溶液10μLをたらすマイクロピペットを使ってスポットを付けた。これらのスポットを室温にて空気乾燥させた。スポットを付けた膜1つに、スポット1個あたりアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(500μg/mLアルカリホスファターゼを蒸留水に加えたもの)10μLで再度スポットを付けた。BCIP/NBTでスポットを付けた膜2つに、手作業での洗浄の前と手作業での洗浄の後で、使用済みの胃腸用内視鏡から得られた流体標本10μL(スポット1個あたり)で再度スポットを付けた。4番目のBCIP/NBTでスポットを付けた膜に、スポット1個あたり蒸留水10μLで再度スポットを付けた。
【0115】
純粋な標本と洗浄前の標本のどちらでも酵素および指標の反応生成物による青紫色が、酵素添加後2分以内に表れた。洗浄後の標本には2分以内で目に見える比色反応は認められず、蒸留水だけで処理したスポットにも比色反応は認められなかった。結果を表5に示す。
【0116】
【表10】
【0117】
実施例9
水焼き浴に押し出す代わりに、米国特許第5,120,594号明細書に記載されているように押出後の膜を冷却したパターン付きキャスティングホイールに巻き取ったこと以外は、米国特許第4,539,256号明細書(実施例23)に記載されている方法に従ってHDPE TIPS膜を作成した。
【0118】
いくつかのHDPE TIPS膜を金属フレームに固定し、60:40のIPA:水溶液に2.5%EVOHを加えたものを注いでコーティングし、ゴム製のスプレッダを使ってなめらかに延展し、余分なところを取り除いた。コーティング後の膜を室温にて一晩乾燥させた。ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(PDAMAC)(<100,000MW、40wt%水で供給)を脱イオン水に入れた5:1、2:1、1:1の溶液と、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(100,000〜200,000MW、20wt%水で供給)を脱イオン水に入れた5:1、2:1、1:1の溶液を注いで、6つの標本にコーティングをし、周囲温度にて空気乾燥させた。EVOHをコーティングした膜とPDAMACをコーティングした膜に、実施例1と同様にしてスポット1個あたりBCIP/NBT溶液10μLのスポットを付け、乾燥させた。次に、これらのスポットに、蒸留水中500μg/mLの濃度で、スポット1個あたりアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで再度スポットを付けた。
【0119】
PDAMACをコーティングした標本では2分以内に青紫の比色反応が認められたが、EVOHだけをコーティングした標本ではこのようにならなかった。PDAMACをコーティングした標本では、どちらも反応速度が5:1>2:1>1:1であった。結果を表6に示す。
【0120】
【表11】
【0121】
実施例10
マイクロピペットを用いて、スポット1個あたりBCIP/NBT溶液約5マイクロリットルをシリカゲルガラス支持TLCプレート(2.54cm×7.62cm)にたらした。これらのスポットを、モデル番号HG−751ヒートガン(マスターアプリアンスコーポレーション(Master Appliance Corp.)、ウィスコンシン州ラシーヌ)からの温風で乾燥させた。スポットを付けたガラスプレートのうちの1枚を対照として利用し、水浴に入れずにおいた。他のスポットを付けたガラスプレート(試験プレート)を水浴(25℃)に2分間入れ、これを取り出し、ヒートガンを使って再度乾燥させた。次に、アルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(25mgホスファターゼ/1mL水)5マイクロリットルを試験プレートおよび対照のプレート上の指標スポットにたらした。すべての酵素指標の組み合わせで、指標が反応したことによる紫色が2分以内で目立った。続いて、対照のプレートと試験プレートの両方で色のついたスポットはいずれも、水浴(25℃)に入れても色が洗い流されなかった。この実験の結果から、スポットのある酵素指標は水で洗った後もシリカに結合したまま残り、結合状態で酵素と反応することが分かった。さらに、実験では反応後の酵素指標は水の存在下でシリカに結合したまま残ることが分かった。
【0122】
実施例11
実施例1と同様にして、メトリセルSB−6407膜(第4級アンモニウム基を含み、ポールから入手可能)にBCIP/NBTのスポットを付け、水道水の流水ですすぎ、乾燥させ、アルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)と反応させた。酵素と指標との反応生成物による青紫色が、酵素の添加後2分以内に現れ、これを水で洗い流すことはできなかった。
【0123】
比較例A
テックスワイプ(TexWipe)スワブ(ニュージャージー州アッパーサドルリバーのテックスワイプカンパニーインコーポレイテッド(Texwipe Co, Inc.)の品番TX712A)を、実施例11のメトリセル膜と同じように処理した。実施例11のようにスワブを水で洗うと、指標がスワブから洗い流された。さらに、テックスワイプスワブでの指標と酵素との反応による色も、水道水の流水ですすぐと簡単に洗い流されてしまった。
【0124】
比較例B
以下のステップで、コーティングなしのPP TIPS膜からなる支持材を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、膜にX−glc溶液2mLをDMF中0.0003g/mLの濃度でロードし、この膜を58℃で20分間乾燥させた。続いて、ロードした膜にマイクロピペットを使って100単位/mLの濃度で純粋なβ−グルコシダーゼ溶液10μlのスポットをたらし、発色のために必要な時間を記録して膜の比色反応を試験した。酵素水溶液を表面にスポットしても膜は湿らなかった。反応は何も観察されなかった。
【0125】
実施例12
60:40イソプロピルアルコール:水)に入れたEVAL溶液(2.8%(w/w)EVAL約1mLをプラスチックピペットで分注し、均一に塗りひろげて、HDPE TIPS膜をコーティングした。以下のステップで、さらにコーティング後の膜を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を直径10.08cmの輪状にして固定し、膜にX−glc溶液2mLを0.15g/mLの濃度でロードし、この膜をインキュベータ(マサチューセッツ州アンドーバーのGCAコーポレーション(GCA Corporation)のプレサイションメカニカルコンベクションインキュベータ(Precision Mechanical Convection Incubator))にて58℃で20分間乾燥させた。
【0126】
次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のスポットで、ロード後の膜にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を室温で試験した。実験6では、室温で50分経過後も発色しなかった場合に、実験1〜6を含む膜を10分間インキュベータで58℃まで加熱した。続いて、インキュベータから膜を取り出し、室温まで冷ました。実施例では室温にて一晩、発色させ続けた。結果を表7に示す。
【0127】
【表12】
【0128】
実施例13
以下のステップでレーヨン/PP不織支持体を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、不織支持体にX−glc溶液2.5mLをDMF中0.15g/mLの濃度でロードし、この膜を58℃で20分間乾燥させた。次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のスポットで、ロード後の支持材にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、X−glcをロードした。不織支持体の比色反応を室温にて試験した。実験6では、室温で21分経過後も発色しなかった場合に、実験1〜6を含む膜を10分間インキュベータで58℃まで加熱した。続いて、インキュベータから膜を取り出し、室温まで冷ました。室温にて一晩、発色させ続けた。比色反応とテクスチャのある背景とのコントラストから、実施例12のTIPS膜支持材の場合よりも色の検出が一層顕著で短時間に行われた。結果を表8に示す。
【0129】
【表13】
【0130】
実施例14
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペット(SAMCOトランスファーピペット(SAMCO Transfer Pipettes)、カリフォルニア州サンフェルナンド)を使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩空気乾燥させ、DMF中0.22g/mLの濃度でX−glc化学物質2mLのスポットを膜にロードし、スポットを付けた膜を58℃で20分間乾燥させた。この膜は、EVALを表面にスポットした場合に限って酵素水溶液で湿った。
【0131】
次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のEVAL/X−glcスポットで、ロード後の膜にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を試験した。一晩、発色させ続けた。標本が特定のエリアに限られていたためEVALをコーティングしたHDPE(実施例12)の場合よりも色が鮮やかであったが、反応は速くなかった。結果を表9に示す。
【0132】
【表14】
【0133】
実施例15
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペットを使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩乾燥させ、DMF中0.15g/mLの濃度でX−glc25μLのいくつかの親水性スポットあるいは、DMF中0.15g/mLの濃度でX−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド(Biosynth AG, Inc.))25μLのいくつかの親水性スポットを膜にロードし、スポットを付けた膜を58℃で5分間乾燥させ、膜上の他の親水性スポットにクーマシープラス(Coomassie Plus)(登録商標)タンパク質アッセイ試薬25μLをロードし、58℃で20分間乾燥させた。
【0134】
次に、100単位/mLの濃度で、EVAL/X−glcまたはEVAL/X−galスポットに、それぞれ試薬グレードの水中β−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)20μLまたは試薬グレードの水β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション(Worthington Biochemical Corp.))20μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、スポットを付けた膜の比色反応を試験した。
【0135】
さらに、マイクロバイオロジクス(Microbiologics)から得た緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)MBL 0484をトリプシン大豆ブロス(ベクトンディッキンソンアンドカンパニー(Becton Dickinson and Company)、メリーランド州スパークス)にて37℃で一晩(16時間)増殖させ、スポットを付けた膜の比色反応試験に利用した。マイクロピペットを使って、ウシ血清中緑膿菌(108CFU/mL)の1:10の連続希釈物20μLを各タイプの指標ロード済み親水性スポットにたらした。
【0136】
試薬グレードの水中の酵素β−グルコシダーゼによって、X−glc化学物質に対する反応が1.5分以内に生じた。一方、試薬グレードの水中の酵素β−ガラクトシダーゼではX−gal化学物質に対して1分以内に青い反応が生じた。クーマシー化学物質では緑膿菌培養物の各希釈物に対して20秒以内に反応が生じた。緑膿菌培養物108CFU/mLではX−galまたはX−glc化学物質に対する反応が生じなかった。
【0137】
実施例16
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペットを使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩乾燥させ、膜上の6個の親水性スポットに、X−glc、X−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド)、X−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μLを各々DMF中0.07g/mLの濃度でロードし、膜上の別の6個の親水性スポットに、マゼンタ(Magenta)(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−gal、マゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μlを各々DMFで各0.06g/mLの濃度でロードし、58℃で20分間乾燥させた。
【0138】
次に、マイクロピペットを使い、試薬グレードの水(100単位/mL)中β−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)20μL、試薬グレードの水(100単位/mL)中β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)20μL、ウシ血清20μL、臨床内視鏡ソイル標本(メイヨークリニック、ミネソタ州ロチェスター)20μLを、ロード後の膜上にあるコーティングをした各タイプの親水性スポットにたらし、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を試験した。結腸処置法で結腸鏡の生検組織ルーメンを用いて、結腸鏡の洗浄手順に従ってリン酸緩衝生理食塩水10mLをフラッシュし、臨床内視鏡ソイル標本(患者のソイル)を収集した。
【0139】
β−グルコシダーゼは、マゼンタ(登録商標)の組み合わせで1分以内に反応し、X−化学物質の組み合わせでは2分以内に反応した。β−ガラクトシダーゼは、X−化学物質の組み合わせとマゼンタ(登録商標)化学物質の組み合わせでは各々2分以内に反応した。ウシ血清は10分以内に反応しなかった。メイヨーからのPB78臨床試料では、マゼンタ(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−galまたはマゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学物質の組み合わせで4分以内に反応し、X−glc、X−galまたはX−phos−p−tol化学物質の組み合わせでは6分以内に反応した。
【0140】
実施例17
実施例15で説明したようにして、HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、EVAL溶液のスポットを付け、乾燥させた。次に、スポットを付けた膜に、ヘキサデカン中1:1000のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシラン1.5mLをコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄し、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理後の膜上の親水性スポットに、支持体全体/mL(0.07gX−化学物質/各化学物質1mL)0.2gの濃度で、DMF中X−glc、X−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド)、X−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μLでスポットを付け、約20分間反応させた。0.14MのNaCl(EMサイエンス(EM Science)、ニュージャージー州ギブスタウン)、0.006MのK2HPO4(シグマ−アルドリッチ)、0.02MのKH2PO4(シグマ−アルドリッチ)とを組み合わせて、pH7.4のPBS緩衝液を調製した。処理後の膜をPBS緩衝液と1%トゥイーン(Tween)(登録商標)80で2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0141】
続いて、実施例16のようにして調製したβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)、β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)、ウシ血清、臨床内視鏡ソイル標本20μLで膜上の親水性スポットの比色反応を試験し、発色に必要な時間を記録した。発色までに必要な時間は2分間の時間以内ではなかったが、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、さらにはX−gal、X−glc、X−phosと組み合わせた汚れた内視鏡標本1つで2時間以内に発色した。
【0142】
実施例18
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、実施例12で説明したようなEVALで膜をコーティングし、コーティング後の膜に4−MU−β−D−glc化学物質2mLを0.0003g/mLの濃度でロードし、58℃で20分間乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。
【0143】
次に、ロード後の膜に、純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで、試薬グレードの水中50、25、12.5、6.3、3.1単位/mL希釈物の濃度でスポットを付け、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表10に示す。
【0144】
【表15】
【0145】
実施例19
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、この不織材に4−MU−β−D−glc化学物質3mLをDMF中0.0003g/mLの濃度でコーティングし、58℃で20分間乾燥させて、レーヨン/PP不織支持体を作成した。次に、ロード後の膜に、純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで、試薬グレードの水中50、25、12.5、6.3,3.1単位/mL希釈物の濃度でスポットを付け、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、膜の蛍光反応を試験した。結果を表11に示す。
【0146】
【表16】
【0147】
実施例20
HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、実施例18で説明したようにしてEVAL溶液でコーティングした後、ヘキサデカン中1:1000のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシラン1.5mLでコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄し、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理後の膜に、DMF中0.0003g/mLの濃度で4−MU−β−D−glc化学物質の溶液20μLをコーティングし、実施例17で説明したようにして調製したpH7.4のPBS緩衝液と1%トゥイーン(登録商標)80で2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0148】
マイクロピペットを使ってβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)10μLのスポットを膜にたらし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、コーティング後の膜の蛍光反応を試験した。100単位/mLでの酵素溶液に対する蛍光反応が即座に起こった。
【0149】
実施例21
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、DMF中0.0003g/mLの濃度で4−MU−β−D−glc化学物質3mLを膜にコーティングし、58℃で20分間乾燥させて、GHP−450膜支持材を作成した。次に、試薬グレードの水中、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mL希釈物の濃度で、ロード後の膜に純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表12に示す。
【0150】
【表17】
【0151】
実施例22
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、膜に実施例12で説明したようなEVALをコーティングした後、0.8mg/mLの濃度でOPA溶液2mLをコーティングし、58℃で30分間乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。次に、試薬グレードの水中2、1、0.5、0.25、0.13、0.06mg/mLの濃度で、ロード後の膜にBSA溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表13に示す。
【0152】
【表18】
【0153】
実施例23
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、0.8mg/mLの濃度でOPA溶液3mLを膜にロードし、58℃で30分間乾燥させて、レーヨン/PP不織支持体を作成した。次に、マイクロピペットを使用して、試薬グレードの水中2、1、0.5、0.25、0.13、0.06mg/mLの濃度でロード後の膜にBSA溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この不織支持体の蛍光反応を試験した。結果を表14に示す。
【0154】
【表19】
【0155】
実施例24
まず脱イオン水10mLに5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩25mgを溶解させた後、脱イオン水10mLにNBT50mgを溶解させ、2種類の溶液を調製した。次に、実施例2で説明したようにして10mLずつ4種類のTRIS緩衝溶液(A、B、C、D)を調製した。緩衝溶液Aに、MnCl2250mgを加えた。緩衝溶液Bに、MgCl2250mgを加えた。緩衝溶液Cに、MgCl2250mgとMnCl2250mgとを加えた。緩衝溶液Dには金属塩を添加しなかった。5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩/水溶液400μLと、NBT/水溶液100μLと、緩衝溶液A、B、CまたはD500μLとを組み合わせて、4種類の5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩/NBT/緩衝溶液を調製した。このようにして得られる4種類の指標溶液を、それぞれ指標溶液1、2、3および4とした。4種類の溶液各々5マイクロリットルを、マイクロピペットでバイオダインBフィルムにスポット状にたらした。このスポットを室温にて30分間空気乾燥させた。各スポットに、1.79単位/mLの濃度でアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルのスポットを再度付けた。発色までに必要な時間、フィルムでの最初の指標スポット色、周囲温度ならびに光のある条件で1日および1週間老化後の指標スポットの色を記録した。
【0156】
MnCl2およびMgCl2を含有する標本では、アルカリホスファターゼ酵素を用いた場合の発色に短い時間しかかからないことが分かった。MgCl2だけを含む標本では、指標溶液4(MnCl2とMgCl2のどちらも含有しない)と同じように老化したスポットの色が得られた。マンガン塩含有スポットの黄色が、未反応の指標と反応した指標の茶黒色のどちらとも良好なコントラストをなした。結果を表15に示す。
【0157】
【表20】
【0158】
実施例25
実施例15で説明したようにして、HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、EVAL溶液でスポットを付け、乾燥させた。続いて、膜上の各親水性スポットに、X−gal(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド)200μLと鉄緩衝液1mLとを組み合わせて調製したX−gal溶液10μL、BCIP4mLと、NBT1mLと、TRIS緩衝液5mLとを組み合わせて調製したBCIP/NBT(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッドから入手した3成分ホスファターゼ支持体系)10μL、水0.3g/Lと組み合わせて121℃で15分間オートクレーブし調製した4−MU−β−D−gal10μL、水0.3g/Lを組み合わせて121℃で15分間オートクレーブして調製した4−MU−β−D−glc10μL、あるいは100マイクロリットルのDMFに0.03gを溶解させ、水100mLで希釈して調製した4−MU−phos10μLをロードした。この溶液をマイクロピペットで膜にたらし、室温で空気乾燥させた。
【0159】
次に、ロード後の膜上のコーティング後の各タイプの親水性スポットについて、188、18.8、9.4、1.88単位/mLの濃度で試薬グレードの水中β−ガラクトシダーゼ(シグマ)10μL、50、5、2.5、0.5単位/mLの濃度で試薬グレードの水中β−グルコシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)10μL、あるいは3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度で試薬グレードの水中アルカリホスファターゼ(カルバイオケム)10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、膜の比色反応を試験した。結果を表16に示す。
【0160】
【表21】
【0161】
実施例26
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、実施例12で説明したようなEVALを膜にコーティングした後、BCIP4mLと、NBT1mLと、TRIS緩衝液5mLとを組み合わせて調製したBCIP/NBT(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッドから入手した3成分ホスファターゼ支持体系)10μL6滴をマイクロピペットを使ってスポット状にたらし、室温で空気乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。
【0162】
次に、BCIP/NBTの5個のスポットに3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度で試薬グレードの水中アルカリホスファターゼ(カルバイオケム)10μLをたらすマイクロピペットを使い、この膜の比色反応を試験した。6番目のBCIP/NBTスポットは、水10μLで同じように試験した。発色のために必要な時間を記録した。結果を表17に示す。
【0163】
【表22】
【0164】
実施例27
まず、脱イオン水10mLに5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩5mgを溶解させた後、脱イオン水10mLにNBT50mgを溶解させ、2種類の溶液を調製した。次に、実施例2で説明したようにしてTRIS緩衝溶液10mLを調製し、MnCl2100mgとMgCl2100mgとを加えた。続いて、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート溶液300マイクロリットルとNBT溶液300マイクロリットルとを、MgCl2およびMnCl2を含有するTRIS緩衝溶液400マイクロリットルと合わせた。指標溶液5マイクロリットルを用いて、マイクロピペットを使ってバイオダインBフィルム片(1cm×3cm)に30個のスポット(直径1mm、1mm間隔)を形成した。内視鏡の生検組織チャネルの内側をシミュレートしたポリエチレンチューブに、患者の汚れた内視鏡から得た内容物2mLを充填した後、空にした。10秒以内に、スポットを付けたバイオダインBフィルムを汚れたポリエチレンチューブのルーメンを介して押し付けた。20秒以内に比色反応が生じたことから、患者の汚れた内視鏡の内容物で汚れたポリエチレンルーメン中にアルカリホスファターゼが存在していることが分かった。
【0165】
実施例28
いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を3種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理し、ディップコーティングによって湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。まず、pH=4になるように硫酸を滴下して加えて、95パーセント水/5パーセントエタノールのわずかに酸性の溶液を調製した。この酸性溶液に、それぞれ5/5/90の比でGPSと各アミノシランとを加えた。不織材をアミノシラン溶液のうちのひとつに浸漬させた後、2種類のエタノール浴に連続して浸漬させ、オーブン(モデルLFD1−42−3としてミネソタ州レイクビルのデスパッチ(Despatch)から市販)中にて70℃で1.5から2時間かけて熱硬化させた。アミン含有不織材との比較のため、不織材の標本ひとつを未処理のまま残し、標本ひとつをGPSだけで処理(アミン基なし)した。
【0166】
マイクロピペットを利用して、アミノシラン処理標本、未処理標本、GPS処理標本の3種類各々に、NBT/BCIP1−ステップ(Step)(登録商標)溶液のいくつかの5−マイクロリットルスポットを作成した。これらのスポットを少なくとも30分間室温にて空気乾燥させた。次に、3.5、1.75、0.35、0.175単位/mL濃度のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルを、マイクロピペットを使って不織支持体上のNBT/BCIPの乾燥させたスポットにたらした。比較のため、NBT/BCIPの別の乾燥させたスポットに、マイクロピペットを使って滅菌した超純水(酵素0単位/mL)5マイクロリットルをたらした。色の第1の見た目に必要な時間を記録し、結果を表18に示す。
【0167】
未反応のNBT/BCIP 1−ステップ(登録商標)溶液の背景色が経時的に変化したか否かを判断するために、不織支持体上のNBT/BCIPの未反応の乾燥させたスポットいくつかで、最初の色と1日後の色の変化を観察した。観察結果を表19にあげておく。
【0168】
【表23】
【0169】
【表24】
【0170】
実施例29
実施例28で説明したようにして、いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、3種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムのうちのいずれか1つで処理し、湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。さらに、不織材の標本ひとつを未処理のまま残した。溶液A、溶液B、溶液Cとした3種類の溶液を、実施例3および24で説明した溶液と同じようにして調製した。BCIP25mgを脱イオン水10mLと組み合わせて、溶液Aを調製した。NBT15mgを脱イオン水10mLに溶解させて、溶液Bを調製した。MnCl2およびMgCl2各々250mgを組み合わせて、TRIS緩衝液(pH=8.9)10mLに溶解させて溶液Cを調製した。TRIS緩衝液については、実施例2の説明に従って調製した。溶液Aを400マイクロリットルと、溶液Bを100マイクロリットルと、溶液Cを500マイクロリットルとを組み合わせて、指標溶液を調製し、MnCl2およびMgCl2塩を用いて4:1:5BCIP:NBT:TRIS緩衝液の比とした。マイクロピペットを使って、3種類のアミノシラン処理標本と未処理標本の各々に、4:1:5指標溶液のいくつかの5−マイクロリットル滴をスポット状のパターンにたらした。これらのスポットを室温にて少なくとも30分間空気乾燥させた。次に、1.00、0.50、0.10、0.05、0.01単位/mLの濃度のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルを、マイクロピペットを使って指標溶液の乾燥させたスポットにたらした。比較のため、指標溶液の別の乾燥させたスポットに、マイクロピペットを使って脱イオン水(酵素0単位/mL)5マイクロリットルをたらした。特徴的な紫−黒色の第1の見た目に必要な時間を記録し、結果を表20に示す。
【0171】
未反応の4:1:5BCIP:NBT:TRIS緩衝液およびMnCl2およびMgCl2塩の背景色が経時的に変化したか否かを判断するために、不織支持体上の未反応の乾燥させたスポットいくつかで、最初の色と1日後(乾燥)の色の変化を観察した。さらに、指標色の安定性を判断するために、反応後の乾燥標本と未反応の乾燥標本の両方を1日(湿り)および1週間(湿り)水に浸し、色の変化を観察した。(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンおよびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理した標本では、酵素との反応の前後にBCIP/NBT/TRIS溶液を使うと安定した色が認められた。結果を表21に示す。
【0172】
【表25】
【0173】
【表26】
【0174】
【表27】
【0175】
実施例30
実施例28で説明したようにして、いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、2種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンとN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理し、湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。さらに、不織材の標本ひとつを未処理のまま残した。マイクロピペットを使って、2種類のアミノシラン処理標本と未処理標本の各々に、実施例29で説明したようにして調製した4:1:5指標溶液のいくつかの5−マイクロリットル滴をスポット状のパターンにたらした。これらのスポットを室温にて少なくとも30分間空気乾燥させた。6つ(処理と未処理各々2つずつ)の乾燥標本を使って、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)(1単位/ミリリットル)の10マイクロリットルの滴の拭き取りに利用した。別の6つ(処理と未処理各々2つずつ)の乾燥標本を完全に湿るまで超純水に浸し、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上のアルカリホスファターゼ(3.5単位/ミリリットル)の20マイクロリットルの滴の拭き取りに利用した。特徴的な紫−黒色の第1の見た目までの時間を記録した。アミノシラン処理不織材では乾燥した状態と湿った状態のどちらで使用したときにも色の変化が見られ、元の指示滴の形が維持された。対照標本では、酵素との反応後に指標化学物質のしみが生じた。結果を表22に示す。
【0176】
【表28】
【0177】
実施例31
検尿用のマルチスティックス(登録商標)試薬ストリップ(ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアLLC、診断部門から市販)から血液検出パッドを取り除いた。この血液検出パッドを水道水に浸漬し、1分間、3分間および5分間浸しておいた。続いて、パッドを羊の脱線維血液の1:10,000希釈物(オレゴン州ウィルソンビルのPMLマイクロバイオロジカルズ(PML Microbiologicals)から市販、カタログ番号A0408)に浸漬した。下記の結果から、事前に5分間水に浸したにもかかわらず血液検出パッドが希釈血液を検出可能であったことが分かる。結果を表23に示す。
【0178】
【表29】
【0179】
希釈血液検出実験(上記)を行った後、濃い緑(反応)のパッドを再度水に入れた。血液検出による緑色の強度は、実験を行った72時間のあいだ目立って低減されることがなかった。
【0180】
実施例32
血液検出パッド以外、検尿用マルチスティックス(登録商標)試薬ストリップ(ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアLLC、診断部門から市販)のすべての検出パッドを取り除いた。血液検出パッドの検出限界は0.015mgヘモグロビン/尿1デシリットルである。3Mスコッチテープ(3M Scotch Tape)(3/4インチ幅のサテン;ミネソタ州セントポールの3Mから市販)を検出パッドの上におき、液体がテープの穴を通り抜けて検出パッドと接触するような方法で、「エグザクト(Exact)」タイプのホビーナイフを使ってテープに約0.5mmの穴をあけた。指標パッドを水道水の中に10分間おいた後、パッドが黄色に見えた。続いて、パッドを1:10,000羊血液中においた。25秒後、上にかぶせたテープの穴があいた部分にある検出パッドに濃い緑のスポットが見えた。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1a】本発明による固体支持部材の一実施形態の一部を示す側断面図である。
【図1b】本発明による固体支持部材のもうひとつの実施形態の一部を示す側断面図である。
【図1c】本発明による固体支持部材のもうひとつの実施形態の一部を示す側断面図である。
【図2】本発明による検出器の実施形態を表す斜視図である。
【図3】図2に示す実施形態の特徴についての実施形態の斜視図である。
【図4】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図5】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図6】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図7】本発明による検出器の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の斜視図である。
【図9】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の斜視図である。
【図10】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図11】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図12】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図13a】本発明の特徴についてのもうひとつの実施形態を示す側面図である。
【図13b】本発明による図13aの装置を使用する方法を説明するための、部分的に断面で示した側面図である。
【図14】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のもうひとつの実施形態を示している。
【図15】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のもうひとつの実施形態を示している。
【図16】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図17】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図18】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図19】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図20】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図21】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図22a】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図22b】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図22c】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図23】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の側面図を示している。
【図24】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の側面図を示している。
【図25】図24の検出器の斜視図を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオロジカルソイル検出器と、バイオロジカルソイル検出器を使用するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な表面のどこにある病原体でも検出できる汎用的な機能が望まれている。調理をするにあたっては、業務であろうと家庭の場であろうと、調理面などにある病原体を検出することには、その表面で調理される食料品への二次汚染を防ぐ上で価値がある。汚染源の一例として、細菌、細菌を含む食品(生肉やその肉汁など)、あるいは特定の生物流体をあげることができよう。二次汚染を防ぐには、台所や浴室にある表面(カウンター、まな板、トイレなど)ならびに室内の表面(床、壁など)をはじめとする家庭内の表面などの特定の表面でのソイルレベルを判断することが望ましい。また、使用時に生物流体に触れる医用装置の表面では清潔度の評価が重要である。医用装置の一例としては、内視鏡、カテーテルなどの表面があげられる。
【0003】
特定の表面における清潔度を試験するためのキットも販売されてはいるが、こうした入手可能なキットでは一般に、外部の研究所に標本を送って分析してもらう必要がある。このため、依頼者が回答を得るまでの時間を割り出すのに、標本を外部の研究所に送って分析するのにかかる時間を考慮しなければならない。さらに、病原体の分析には一般に培養法が用いられるため、微生物研究室の設備と熟練を積んだ微生物学者の専門知識とが必要である。
【0004】
保健医療の分野では、内視鏡などの医用装置がバイオロジカルソイルに触れる医療処置に、このような装置の有用性がある。たとえば内視鏡は、人体の開口部か外科的な切開によって内視鏡を患者の体内に挿入する、人体内での医療処置に用いられる。内視鏡には、体内の様子を目視確認し、器官や関節あるいは体腔の検査を容易にしたり、目視確認したい場所に光を送ったりするための光ファイバを通すことのできるチャネルが何本もある。内視鏡のチャネルには、電気外科用プローブや鉗子といった処置用器具が通されることもあれば、このチャネルを利用して流体または気体を吸引したり、サンプリング用のカテーテルをそこに通すこともある。
【0005】
事実上、内視鏡を使えば人体のどの部分にも到達できるが、代表的な外科処置部位としては、耳、喉、尿道、肺、腸、腹腔があげられる。また、結腸鏡での処置に使われる内視鏡を用いると、結腸や大腸の中を直接検査し、ポリープ、潰瘍、炎症がないかどうかを調べることができる。さらに、内視鏡を介してポリープまたは腫瘍などの異物を外科的に摘出することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
言うまでもないであろうが、内視鏡や他の医用装置は、外科的処置での使用時に多種多様なボディソイル(body soils)に触れることになる。このようなソイルには、血液、糞便、さまざまな組織からの細胞片などがあり、こうしたソイルはいずれも、ウイルス源または細菌源となり得るものである。内視鏡は体内で使用されるものであることから、この医用装置を次の医療処置または外科的処置で使用する前に汚れた表面が消毒殺菌されるように、使うたびに完全に洗浄かつ消毒殺菌しておかなければならない。再利用可能な内視鏡に対して米国で用いられている洗浄工程では、汚れた内視鏡をまずは手作業での洗浄ステップで洗浄して、器具の表面から可能な限り汚れを取り除く。その上で、手で洗浄した内視鏡に高レベルの消毒殺菌ステップをほどこし、これを再利用可能な状態にしている。一般に、手作業での洗浄ステップは、洗浄用ブラシあるいはこれと似たような道具で器具をこすって行われている。この手作業での洗浄ステップは、ブラシで器具の表面から汚れを落とせなくなったように見えるまで行われる。手作業での洗浄工程が効果的に行われないと、残留ソイルが器具の表面に残ってしまうため細菌汚染の危険性も残ることがあり、結果として後から行われる高レベルの消毒殺菌行程が有効ではなくなる可能性が高くなる。現段階では、手作業での洗浄ステップの有効性を短時間で判断できる標準的な試験装置または方法はない。
【0007】
内視鏡や他の医用装置の表面をはじめとする多種多様な表面のいずれについても洗浄工程または消毒殺菌行程の有効性を簡単に評価できるようになれば望ましい。インキュベーション時間が長くなるのを回避し、かつ、残留ソイルまたは特定の病原体の存在を短時間で特定しやすくする方法を提供できれば望ましい。また、上記の方法を実施するにあたって使用可能な物品または装置を提供できれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、本発明は、
固体支持部材と、
固体支持部材に固定された特異的指標であって、血液の存在に対して敏感な材料を含む特異的指標と、を含み、
固体支持体および特異的指標が、表面の接触に用いられた液体との接触を容易にすべく検出器に対して配置されているバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。
【0009】
もうひとつの実施形態では、本発明は、
表面を液体と接触させるステップと、
液体が表面と接触した後に、この液体を本願明細書にて記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
固体支持部材の検出可能な反応を検査して、特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、表面に関連したバイオソイルを検出するための方法を提供するものである。
【0010】
さらにもうひとつの実施形態では、本発明は、
固体支持部材と、
固体支持部材に固定された特異的指標と、を含み、
固体支持体および特異的指標が、表面の接触に用いられる液体との接触を容易にすべく配置されているバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。
【0011】
本願明細書において使用する場合、本発明のさまざまな実施形態の説明において用いる用語については、特に明記しない限り、通常馴染んだ意味と理解されたい。便宜上、以下のものなどの特定の用語に対して、具体的な定義をしてある。
【0012】
「バイオロジカルソイル」または「バイオソイル」とは、一例として、体液(唾液、血液、消化液など)糞便、細胞片および組織、細菌性物質、細菌、ウイルス、病原体ならびに、酵素をはじめとする他の生物学的または生化学的物質、さらには部分的または完全に消化された食物を指す。バイオロジカルソイル源は多様で構わないものであるが、血液、人体、動物の体、植物のほか、たとえば、汚染されたり少なくとも部分的に消化および/または分解されていることがある食用肉類、家禽肉、乳製品などのさまざまな食品を含み得る。
【0013】
本願明細書において使用する場合、「患者のソイル」とは、医用装置を人体から取り出した後もこの装置に残っているバイオロジカルソイルを指す。
【0014】
「特異的指標」とは、バイオロジカルソイル中に見られるものなどの酵素またはタンパク質と相互作用することで、目視確認可能な色の変化や特異的指標の蛍光またはルミネッセント特性の検出可能な変化といった検出可能な反応を生む1以上のケミカル化合物を指す。
【0015】
「固定される」とは、水、水溶液、機械的な力などに固体支持体をさらしたときに、この支持体からケミカル化合物が除去されないような形で化合物が支持体に保持されている状態を指す。
【0016】
好ましい実施形態のこれ以上の詳細については、好ましい実施形態の詳細な説明ならびに特許請求の範囲を含む本件開示の残りの部分で説明する。
【0017】
好ましい実施形態の説明では、参照符号を用いて図示の実施形態の特徴を特定(同様の構造には同様の参照符号を付す)したさまざまな図を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、バイオロジカルソイルを検出するための検出器および方法を提供するものである。本発明の検出器では、固体支持部材に固定された1以上の特異的指標を利用し、バイオロジカルソイルとの接触時に、この特異的指標によって検出可能な反応を得る。本発明は、広義にはバイオロジカルソイルの存在を示すマーカーまたは検体(検出可能な生化学物質など)の検出に関するものである。検出可能なマーカーとしては、バイオロジカルソイルの成分中に見られるまたはこれに由来する多種多様なタンパク質または酵素をはじめとして、バイオロジカルソイルに含まれる成分があげられる。本発明の検出器および方法は、医用装置に対してなされる洗浄ステップの効果を判断する目的で用いるのに適したものである。たとえば調理または加工に用いられるものをはじめとする他の表面でのバイオソイルの検出など、本発明による装置の別の用途も企図される。
【0019】
一態様において、本発明は、医用装置の表面などの表面上のバイオソイルを固体支持部材に固定された特異的指標と関連させるための手段を提供するものである。特異的指標については、表面からのバイオソイルが特異的指標と反応して検出可能で比較的短時間での反応が生成されるようにバイオソイルの成分に対する感受性で選択すればよい。検出可能な反応は、固体支持部材の表面での色の変化の形で、あるいは特異的指標の蛍光特性の変化によって得ることのできるものである。さまざまな実施形態において、本発明の装置は、試験対象となる表面を直接接触させるのに利用できる、あるいは、たとえば試験対象となる表面をすすぐのに使用した液体に固体支持部材を接触させるなどの方法でバイオソイルの存在を試験するのに間接的に利用できる、上述した固体支持部材を含む。一般に、後者の実施形態では固体支持部材に固定された特異的指標も保持する容器内に液体を捕捉し、このような液体の捕捉によって固体支持部材と固定された特異的指標とが表面からすすがれたバイオソイルに曝露されるようにする。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、医用装置でのバイオロジカルソイルの存在を判断するための手段を提供するものである。本発明のこのような用途のひとつに、たとえば内視鏡に対する手作業での洗浄ステップ後のバイオロジカルソイルの検出がある。内視鏡を用いると、人体の開口部または皮膚にあけた小さな切開部分を介して装置を挿入することで、体内を直接目視確認することができる。内視鏡によっては、一組のレンズを用いた硬質の構造になっているものもあれば、可撓性で光ファイバを用いて体内の該当部分を照光し、外科医が目で見ることができるよう画像をアイピースに戻すものもある。電気外科あるいは、外科処置部内の構造物を操作、把持または破砕するなどの外科的処置を行う目的で、内視鏡のチャネルを介して外科処置用の器具を体内に通すこともある。内視鏡のチャネルによって流体または気体を手術部位まで送る、吸引をする、あるいはカテーテルやレーザ光のパイプを位置決めしやすくすることもできる。可撓性の内視鏡の場合、操作用のハンドルによって外科医は外科処置部位内の所望の場所の先端を操作することができる。
【0021】
医療処置で内視鏡を使用後、手作業での洗浄工程を用いて、内視鏡の外面ならびに露出している各チャネルの内面またはルーメンから目に見えるバイオソイルを取り除く。手作業での洗浄ステップの後、高レベルの適当な消毒殺菌剤を用いて器具を消毒殺菌することがある。本発明は、内視鏡または他の医用装置での残留バイオロジカルソイルの存在を検出し、洗浄ステップがうまく行われたか、あるいは検出可能なソイルがまだ装置に残っているため洗浄ステップを繰り返す必要があるかを判断する手段を提供するものである。ソイルが検出されなければ、その内視鏡または他の医用装置は高レベルでの消毒殺菌ができる状態にあると考えられる。
【0022】
本発明の実施形態については、内視鏡のバイオソイルの検出に用いる場合を代表例として説明してあるが、本発明が内視鏡での用途に限定されるものではないことは自明であろう。本発明を用いて、医療業界で患者側での準備(preparation)、検査および/または治療に用いられる他の医用装置ならびに表面を試験してもよい。また、洗浄が不十分で表面が汚れる可能性があることに関心がもたれる食品飲料業界など、医療業界以外の多種多様な業界で本発明を利用することも可能である。さらに、浴室の表面、台所の表面などをはじめとする家庭や仕事場での表面を試験するにあたっても本発明が有用である。そのさまざまな態様において、本発明は、検出可能な量のバイオソイルが存在するかどうかについて短時間で表面を試験するのに適している。
【0023】
少なくとも一態様において、本発明は、特異的指標をバイオロジカルソイルの成分と接触させて検出可能な反応を生成するための手段のある特異的指標を含む検出器を提供するものである。本願明細書にてさらに詳細に説明するように、この検出器は、バイオロジカルソイルを適宜検出できるように特異的指標を選択できる多種多様な実施形態のうちのどのような形態でも提供可能なものであり、特異的指標をバイオロジカルソイルの成分と接触させるための手段も多種多様な形態のうちどのような形態でも提供可能なものである。本発明の実施形態およびそのさまざまな構成要素の詳細については後述する。
【0024】
本発明のさまざまな実施形態では、固体支持部材を、この固体支持部材に固定された特異的指標と一緒に設ける。さまざまな図を参照すると、図1aは、第1の表面12と第2の表面14とを有する固体支持部材10の実施形態を示している。図示の実施形態では、支持材10は、空いた部分すなわち孔22と、孔22間に延在する中実部分24とを含む多孔性材料である。支持材10の第2の表面14に任意の裏材16を固定する。支持材10には任意のスクリム(scrim)18が延在し、たとえば内視鏡などの医用装置に設けられたチャネルの中に支持材を押し込む際に、相当な伸張または引っ張りに耐えることができるよう、支持材10にさらに強度を持たせるようになっている。スクリム18は、織物材、不織材、編んだ材料などの多種多様な強化材のうちのいずれかを含むものであっても構わない。
【0025】
支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材10に特異的指標の化学物質が固定される。図1aに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面12に関連した層20として特定されている。特異的指標層20は主に第1の表面12と関連しているが、この指標を(支持材10の影の部分で示されているように)支持材10の本体の端から端まで延在させてもよい。指標を固体支持部材表面上の層(層20など)に沿って固体支持部材と関連させてもよいし、指標を固体支持部材の表面と部分的に関連させてもよく、あるいは、指標をほとんどまたは完全に固体支持部材10の本体内に配置してもよいことが企図される。本願明細書において使用する場合、「固定される」とは、固体支持部材に対する特異的指標の配置に関していうときは、固体支持部材に対する特異的指標の考え得るあらゆる配置を包含し、固体支持部材の表面で、あるいは表面上における特異的指標の配置に限定することを意図したものではないものと理解されたい。さらに、固体支持部材の2ヶ所以上を特異的指標と関連させ、複数(2以上の化学的に異なるなど)の特異的指標を同じ固体支持部材で使用することも本発明の範囲内に企図される。
【0026】
図1bを参照すると、一方を向いていてもよいし、ランダムに向いていてもよい繊維122のアセンブリを含む不織材または布帛としてのもうひとつの固体支持部材110が図示されている。不織固体支持部材110は、(1)繊維122を機械的に絡み合わせる、(2)熱可塑性樹脂を融合させるか繊維を結合させる、あるいは(3)ゴム、スターチ、糊、カゼイン、ラテックスまたはセルロース誘導体あるいは合成樹脂などの適当なバインダーを用いて繊維を接着結合する方法をはじめとして、当業者間で周知のどのような方法でも保持できるものである。
【0027】
図1aの実施形態と同様に、図1bの固体支持部材110も第1の表面112と第2の表面114とを含む。支持材110の第2の表面114には任意の裏材116が固定されている。支持材110には任意のスクリム118が延在し、たとえば内視鏡などの医用装置に設けられたチャネルの中に支持材110を押し込む際などに、使用時に想定される伸張または引っ張りに耐えることができるよう、支持材110に強度を持たせるようになっている。支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材110に特異的指標の化学物質が固定される。図1bに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面112に関連しているが(支持材110の影の部分で示されているように)支持材110の本体の端から端まで延在する層120として特定されている。他の態様において、図1aおよび図1bの実施形態は実質的に同一である。
【0028】
図1cを参照すると、第1の表面212と第2の表面214とを有するもうひとつの固体支持部材210が示されている。支持材210の第2の表面214には任意の裏材216が固定され、支持材210を強化すべく支持材210の端から端まで任意のスクリム218が延在している。支持材の少なくとも1ヶ所で、固体支持部材210に特異的指標の化学物質が固定される。図1cに示す実施形態では、特異的指標の化学物質は、一部が第1の表面212に関連しているが(支持材210の影の部分で示されているように)支持材210の本体の端から端まで延在する層220として特定されている。固体支持部材210は、固体支持部材に固定された特異的指標の層220を持つことのできる多種多様な材料のうちのいずれかを含むものであっても構わない。このような材料については、本願明細書の他の部分で説明する。残りのすべての態様において、図1a、図1b、図1cの実施形態は実質的に同一である。
【0029】
図1a〜図1cの上記の実施形態における固体支持部材は、たとえば、それだけでも利用できるし、食物と接触していた表面(調理面、食物または食肉の加工エリアなど)、浴室および台所のシンク、カウンター、まな板、トイレの表面、床、壁、バイオロジカルソイルが存在し得る他のあらゆる表面などのさまざまな表面にあるバイオソイルの検出用の使い捨て拭き取り用品として利用してもよいものである。また、このような拭き取り用品は(湿った表面などで)乾燥した状態でも利用できるし、水または水溶液で湿らせて利用してもよいものである。いくつかの実施形態では、拭き取り用品に洗浄液または消毒殺菌溶液をしみこませ、表面の洗浄または消毒殺菌と表面でのバイオソイルの試験とを同時に行うようにすることができる。よって、本発明は、特異的指標が患者のソイルの成分と相互作用して拭き取り用品の表面で観察可能な色の変化が生じるか、あるいは拭き取り用品の表面の蛍光が変化した場合に、さらに洗浄または消毒殺菌を行うことができるよう、表面の清潔度を評価するのに有用な拭き取り用品を提供するものである。
【0030】
上述したように、固体支持部材は特異的指標を固定化するための支持体である。固体支持部材に適した材料は、望ましい表面特性を持つ単一の母材のこともあれば、複合材料構造のこともある。固体支持部材が単一の母材である場合、好適な材料には、水との接触角が90度未満、好ましくは50度未満、最も好ましくは10度未満になるポリマー、無機表面または有機と無機の混合面がある。好適な材料として、以下の官能基すなわち、カルボキシル基およびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド(2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニルなど)、オキシアルキレンおよびイミダゾールを含むポリマーがあげられるが、これに限定されるものではない。上記の官能基を含有するかあるいは含有するように調製できるポリマーまたはコポリマーとしては、これらの塩を含むアクリル酸および/またはメタクリル酸から合成されるポリマーおよびコポリマーなどのカルボキシル含有ポリマー;ポリアルコキシレート;ポリ(メタ)アクリレート;ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(商品名EVAL F101AでEVAL カンパニーオブアメリカ(EVAL Company of America)(EVALCA)から入手可能なものなど)、テキサス州ヒューストン)などのポリビニルアルコールおよびコポリマー;ポリウレタン;ポリ尿素;ポリエステル;ナイロン6,6などのポリアミド;ポリイミド;ポリエーテル;セルロースアセテート、ニトロセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース;レーヨン;ポリホスフェート;ポリペプチド;ポリアクリロニトリル;ポリアクリルアミド;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;これらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
好適な無機物質としては、金属酸化物、水和物、金属−ヒドロキシル(ケイ素ヒドロキシル(Si−OH)官能表面など)があげられる。有機無機混合物質であり、かつ支持材として適した構成の材料には、金属アルコキシド(テトラエトキシオルトシリケート、n−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランなど)と有機モノマーとの共重合物を主成分とするものなどのポリマー系複合材料およびセラマー(ceramer)があるが、これに限定されるものではない。
【0032】
固体支持部材が複合材料構造である実施形態では、第1の材料または母材は、望ましい表面特性を持つ第2の材料またはコーティング材が付着するものであれば、どのようなポリマー系、無機または有機無機混合物質であってもよい。好適な母材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、上記の組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
母材については、当業者間で周知の好適なコーティング材または表面処理をほどこして、水の接触角が90度未満、通常50度未満、一般には10度未満の表面になるように改質することができる。好適なコーティング材は、カルボン酸およびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド基(2−ピロリジノニル、2−ピペリジノニルなど)、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン(2003年11月14日に出願された米国特許出願第10/713174号明細書の実施例11に記載されているものなど)、グリシジル、スクシンイミド基およびイミダゾールなどの1以上の官能基を含み得るモノマー、ポリマーまたは反応性金属アルコキシドから調製できる。また、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、スルホニウムおよびホスホニウムなどであるがこれに限定されるものではない官能基を含まず、化学反応(酸化、加水分解、分解など)によって、これらの基が表面に露出するよう後から改質可能な、モノマー、ポリマーまたは反応性金属アルコキシドからコーティング材を調製してもよい。コーティング材については、パターンコーティング(コーティング材をスポットで母材にたらすなど)をはじめとする周知の適当なコーティング方法で塗布すればよい。固体支持部材に好適なコーティング材を調製するための表面処理方法としては、酸素プラズマ、コロナ処理、火炎処理、化学気相成長法、グラフト重合および物理的気相成長法があげられるが、これに限定されるものではない。本願明細書において使用する場合、「コーティング」という用語は、連続コーティング、不連続コーティング、不連続なパターンで塗布されるまたは配置されるコーティング、連続したパターンで塗布されるが、幾何学的または非幾何学的な構成で配置されるコーティングなど、第2の材料を固体支持部材上の第1の材料に適用したあらゆる構成を含むものと理解されたい。
【0034】
固体支持部材は、フィルム、セルロース系材料や、レーヨン/ポリプロピレン不織材を含む材料などの不織材(商品名ノボネッテ(Novonette)149−051でテネシー州ナッシュビルのBBAノンウォーブンズ(BBA Nonwovens)から入手可能なものなど)ならびにレーヨンおよびポリエステルを含む不織材(70%レーヨン/30%ポリエステルなど)、織物材または編んだ材料(ワタ、レーヨンまたはポリマー材料から調製したものなど)、網状フォーム(ポリウレタンなど)、開放気泡フォーム((メタ)アクリレート、ポリスチレンジビニルベンゼンなど)、多孔性セラミック無機フリット(シリカ、アルミナなど)、繊維、粒子コート支持材、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ(ブラシ状の構成に配置したものなど)、繊維束および膜をはじめとする材料を含むよう生成可能なものである。医用装置(内視鏡など)のチャネル内に挿入される実施形態など、本発明のいくつかの実施形態では、固体支持部材は、固体支持部材をチャネルの長さ方向に押し込むおよび/または引っ張ったときに構造的な破損(破れたりチャネル内に残物が残るなど)を生じることなくチャネル内面との接触を維持しつつ医用装置の内部チャネルに合ってフィットする心地がよく可撓性で高品質な材料を含む。
【0035】
固体支持部材として用いるのに適したポリマー膜としては、最初に均質なポリマー溶液を注型して、これよりも冷たい界面(水浴または冷却した注型用ホイール(casting wheel)など)に曝露した後、温度を下げて溶液フィルムで相分離を誘導(熱的に誘導した相分離すなわち「TIPS」)する、転相方法で得られるものがあげられる。好適なTIPSフィルムまたは膜では、フィルム物性と微細な孔径が広範囲にわたることがある。また、多種多様なポリマーのうちの適当なものから調製された比較的剛性の支持体であってもよいし、非剛性の支持体であってもよい。米国特許第4,539,256号明細書および同第5,120,594号明細書の教示内容にそって作製したTIPS膜が本発明で用いるのに適しており、これには、たとえば高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー(商品名EVAL F101Aでテキサス州ヒューストンのEVALカンパニーオブアメリカ(EVALCA)から入手可能なものなど)を含み得る。膜には、親水性ポリマー(ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマーまたはEVALなど)をコーティングしたTIPS HDPEまたはポリプロピレン膜あるいは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどの親水性で強塩基性の正に荷電したコーティングをほどこしたTIPSポリプロピレン支持材あるいは四級化ジメチルアミノエチルアクリレートを取り入れたポリマーなどの材料の組み合わせを含み得る。また、膜は、フロリダ州ペンサコラのポールコーポレーション(Pall Corporation)から商品名「SB−6407」で市販されている膜など、第4級アンモニウム基とのポリエーテルスルホンコポリマーを含む強塩基性で正に荷電した膜を含むものであってもよい。他の支持材には、正に荷電したナイロン6,6材料(商品名バイオダイン(Biodyne)Bでフロリダ州ペンサコラのポールコーポレーションから入手可能なものならびに、商品名マグナプローブ(Magnaprobe)でミネソタ州ミネトンカのGEオスモニクスラブストア(GE Osmonics Labstore)から入手可能なものなど)などのナイロン材料、商品名GHP−450でポールコーポレーションから入手可能な孔径0.45ミクロンの親水処理ポリプロピレン膜、ポリオレフィン(親水性処理済);ポリエステル、ニトロセルロース、セルロースアセテート、親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネートなどをはじめとする非剛性ポリマーおよび他の材料から作成される不織材を含み得る。こうした材料を組み合わせて固体支持部材として利用してもよく、上記の説明は上述した材料を単独および他の材料との組み合わせで含むものと理解される。
【0036】
特異的指標に関して、特異的指標として用いるのに適した化合物については、バイオソイルの成分と相互作用して検出可能な反応を生成できる多種多様な材料から選択すればよい。特異的指標を選択するにあたって考慮すべきことのひとつに、洗浄液またはその成分あるいは、内視鏡などの医用装置の手作業での洗浄ステップ時に導入された物質などのバイオロジカルソイル由来ではない他の物質と反応しない指標を選択することがある。個々の化合物を特異的指標ならびに化合物の組み合わせとして用いることができる。好適な特異的指標としては、たとえば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート;4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、米国特許第6,395,561B1号明細書、同第6,306,5989B1号明細書、同第6,277,652号明細書、同第6,183,722号明細書、同第6,080,423号明細書、国際公開第01/71317号パンフレットに記載されているものなどのポリジアセチレン;クーマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue)染料をタンパク質に結合させることをベースにしたブラッドフォード(Bradford)試料(assay)(イリノイ州ロックフォードのピアースバイオテクノロジーインコーポレイテッド(Pierce Biotechnology Inc.)から入手可能);タンパク質によるリンモリブデン−タングステン混酸発色の還元をベースにしたローリー(Lowry)試料;アルカリ溶液中のタンパク質によるCu+2の干渉をベースにしたビウレット(Biuret)試料;タンパク質の存在下におけるCu+2イオンのCu+1への還元を検出するためのビシンコニン酸(BCA)(イリノイ州ロックフォードのピアースバイオテクノロジーインコーポレイテッドから入手可能)があげられる。固体支持部材に固定された上記の2以上の組み合わせも本発明の範囲内に企図される。さらに、インドリル官能性指標をニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)または他の電子受容体と併用する場合、バイオロジカルソイルの存在下では、より一層短時間で発色が起こる。
【0037】
ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどの一価または二価の金属イオンを加えることで、酵素活性を亢進させることができる。NBTを含む指標の組成にマンガン塩を取り入れ、早い段階(バイオソイルのない状態など)に発色するのを防ぐことが可能である。
【0038】
検出器を拭き取り用品として用いる実施形態では、特異的指標は一般に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド;5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート;4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド;4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドおよび上記の2以上の組み合わせを含む。ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)または他の電子受容体を上記の特異的指標に加え、バイオロジカルソイルの存在下で一層短時間で発色するようにしてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は、血液の存在に、より一般的には血液の1以上の成分の存在に敏感な特異的指標を用いて血液を検出するためのバイオロジカルソイル検出器を提供するものである。検出可能な好適な血液の成分としては、たとえば、ヘモグロビンなどのタンパク質があげられる。ヘモグロビンの検出が必要であるか望まれる場合、特異的指標は、ペルオキシドとヘムの生成物、イムノ試料ベースの試験で有用な材料、タグ付き抗体と反応することができる3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンおよび他の化合物などの検出可能な変化を生じる1以上の指標を含み得る。このような指標に適した支持材としては、本願明細書で述べる支持材があげられる。血液を検出するための市販の特異的検出器および支持材に、ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケア(Bayer Healthcare)から商品名「マルチスティックス(Multistix)」(登録商標)で入手可能な製品がある。マルチスティックス製品は、好適な特異的指標が固定された可撓性プラスチック支持材を含む。本願明細書にて記載のいくつかの実施形態では、本願明細書にて記載のように、マルチスティックス製品によって好適な支持材部材と保持部材に挿入できる特異的指標を得て、本発明によるバイオロジカルソイル検出器を得ることができる。
【0040】
特異的指標を支持材に固定するには、たとえば、吸着、イオン交換、捕捉、マイクロカプセル化、架橋、共重合、捕捉および架橋、配合、共有結合といった多数の異なる手段を利用できる。支持材に対する指標の吸着は、指標と支持材との間にファンデルワールス静電性および/または疎水性干渉が起こる結果として生じる。イオン交換では、指標の電荷と支持材の電荷との間の静電気引力がゆえに指標が支持材に結合する。捕捉は支持材にある顕微鏡でしか見えないまたは肉眼で見える空隙に指標を機械的に捕獲することを示唆するものである。マイクロカプセル化または封止とは、(通常はトリガーとなる物理的または化学的なイベント(局所的な湿度の突然の変化など)に曝露されるまで指標を外部の環境から保護する目的で)指標の化学物質を化学的に異なるコーティングで被覆するものである。指標に反応性基が結合していれば、この指標は支持材のバルクへの表面のグラフトまたは共重合で支持材の表面または中に架橋可能であり、あるいは、指標を捕捉した上で支持材に架橋させてもよい。また、押出処理で指標を添加剤としてポリマー系の支持材に配合してもよい。支持材に対する指標の共有結合については、指標の官能基と反応する1以上のリガンドで官能化した固体支持部材で実現すればよい。一例としてのリガンドには、本願明細書の実施例にあげたものなどがある。固体相の指標と溶液相の反応剤との反応時に立体障害が生じないような方法で固定化を行うのが望ましい。さらに、固定化で指標が不活性化されないようにする。特に有用かつ都合のよい手法が、指標の化学物質を細孔膜に捕捉するおよび/または指標の化学物質を支持材に吸着させることである。
【0041】
どの特異的指標を選択するかが、バイオロジカルソイル中に存在するマーカーに影響されることもある。一例としての検出用マーカーとして、タンパク質、エンドトキシン、酵素、アデノシン三リン酸(ATP)などのヌクレオチドがあげられる。タンパク質は、血液(ヘモグロビンなど)といったヒトの分泌物や微生物細胞の構成要素のどこにでも含まれることから、バイオロジカルソイルの存在を示す有用なマーカーとなり得る。エンドトキシンの存在は、グラム陰性細菌のリポ多糖成分を表すものとなろう。酵素活性が検出されれば、ほ乳類、植物または微生物起源であり得る酵素が存在していることを意味する。検出に適した酵素としては、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、ラクトシダーゼ、さらにはヒトの分泌物中に通常見られる他の酵素ならびに微生物源または植物源由来の酵素があげられる。他のマーカーには、スルファターゼおよび脂肪酸エステラーゼがある。
【0042】
図7〜図10を参照すると、本発明による検出器310が示されており、各図に異なる特徴があるが、これを今から説明する。検出器310は、固体支持部材312を表面で保持するための保持部材314に関連した固体支持部材312を含む。保持部材314は、第1の端316と、第2の端318と、第1の端316と第2の端318との間に延在する細長い本体部分320とを含む。図7の実施形態では、固体支持部材が保持部材314の第1の端316に固定されている。さらに、保持部材314の長さは必要に応じて可変であり、一般には固体支持部材に固定された特異的指標312と試験対象となる表面との間の接触を容易にするためのハンドルとして機能するような寸法に作られる。この構成では、到達範囲外であるか、そうでなければアクセスできない表面に届くように固体支持部材312を配置または延在させることができる。換言すれば、検出器310を用いることで、固体支持部材(第2の端318など)から遠位にある保持部材314の端を把持し、保持部材314の細長い本体部分320の長さ方向を、固体支持部材とこれに関連した特異的指標のある比較的離れた場所にあるかアクセスできない表面に達する目的で使用することができる。いくつかの実施形態では、保持部材は、固体支持部材312および特異的指標で、患者のソイルを含むバイオソイルがチャネル壁にあるかどうかをサンプルできるよう、内視鏡のチャネルなど医用器具のチャネルの内側にちょうど合うような寸法に作られる。
【0043】
図8を参照すると、検出器310は、保持部材314の第2の端318に固定された固体支持部材312を含む。また、洗浄用ブラシ322が設けられ、保持部材314の第1の端316に固定されている。この構成では、洗浄用ブラシ322が洗浄のための手段となる。いくつかの実施形態では、ブラシ322が内視鏡などの医用装置を洗浄するような大きさで構成され、典型的なブラシ322は医用装置のチャネル内を洗浄するような大きさで構成される。洗浄操作の後、検出器310を利用して、装置、特に装置のチャネル内に残っているバイオソイルの存在を試験すればよい。
【0044】
上記の実施形態では、保持部材は一般に、永久的または取り外しができない形で固体支持部材に固定される。言葉を変えると、固体支持部材と保持部材との間の取り付けは通常、これらの部品を互いに取り外すことを想定したものではない。取り付け方法に関しては、接着剤による取り付け、溶融結合、機械的な取り付け(ステープル、ボタン、スナップなど)を含むがこれに限定されるものではない、当業者間で周知の適当な方法で固体支持部材と保持部材とを互いに取り付けるようにすればよい。固体支持部材を保持部材に取り付ける方法はすべて、当業者の技術の範囲内であり、本願開示内容に包含されるものと企図される。
【0045】
図9は、ブラシ322が保持部材314の第1の端316と関連した検出器310のさらに別の構成を示している。ここでは、固体支持部材312を剥離可能な形で保持部材314と関連させ得ることを示す目的で、固体支持部材312を保持部材314から取り外した状態で示してある。言葉を変えると、固体支持部材は、保持部材312から取り外されるが、細長い本体部分320の長さ方向に沿った適当な場所、あるいは第1の端316または第2の端318のいずれかで保持部材314に固定できる検出器310の別の構成要素として提供されている。さらに、以後の用途で使用すべく、保持部材314とブラシ322とを洗浄し、消毒殺菌し、必要に応じて滅菌するために、使用後に保持部材314から固体支持部材を取り除いてもよい。図示の構成では、固体支持部材312は、固体支持部材の端にウィング状の突起313aおよび313bを含む。ウィング状の突起313aおよび313bは、突起313aおよび313bの各々にいくらかの強度を持たせ、(保持部材314の外周のまわりでウィング状の突起を手でねじるなどして)固体支持部材312を保持部材314に固定するための手段を提供する目的で薄い鋼または金属ワイヤのある内側の補強構造を含むものであっても構わない。あるいは、ウィング状の突起313aおよび313bが各々、2つの突起同士と保持部材314を固定できるような長さであってもよい。固体支持部材312と保持部材314とを互いに剥離可能に固定するには、どのような手段(クリップ、接着剤または他の固定具を使用するなど)を用いてもよいことは理解できよう。
【0046】
図9に示す検出器の構成では、検出器310に、1以上の特異的指標であらかじめ処理した単一の保持部材314と複数の固体支持部材312とを設けることができる。このような構成では、複数の固体支持部材312に同じ特異的指標を含むこともできるし異なる特異的指標を含むこともできる。
【0047】
図10〜図13aは、本発明の検出器における固体支持部材の別の構成を示している。図11は、保持部材364に沿って配置された固体支持部材360を示している。固体支持部材360は、保持部材364から垂直に突出している複数のブリストル状部材362で構成される。医用装置のチャネル内のバイオソイルの検出などの用途では、十分な数のこのようなブリストル状部材362を設け、固体支持部材360をチャネル内に入れたときに実質的にその全面をサンプリングできるようにする。
【0048】
図11は、本発明において有用な固体支持部材370のもうひとつの構成を示す。支持材部材は、内視鏡の内部チャネルをサンプリングするにあたって双方向の使用ができるように構成されている。換言すれば、検出可能なバイオソイルの存在または欠如を判断する際には、医用装置の内部チャネルを介して固体支持部材370を押し込むおよび/または引っ張るようにすればよい。さらに、固体支持部材370は、バイオソイルの存在時における色の変化を目視確認しやすくする比較的大きな表面積のものである。
【0049】
図12は、本発明において有用な固体支持部材380のもうひとつの構成を示す。図示のように、固体支持部材380は、医用装置の内部チャネルを介して一方向で導入されるように構成された発泡材料で作成できるものである。固体支持部材380については、たとえば、図11の実施形態における固体支持部材370よりも少ない材料で作ることができる。しかしながら、固体支持部材380は、バイオソイルと固体支持部材に関連した特異的指標との干渉によって生じる色の変化を短時間かつ比較的簡単に確認するために十分な表面積がある。
【0050】
図13aは、三角形に近い形の表面を含む旗形の固体支持部材390を有する検出器388のもうひとつの構成を示す。固体支持部材390は、保持部材392に固定され、保持部材に取り付けられた第1のエッジ394と、第1のエッジ394から離れた第2のエッジ396とを含む。第2のエッジ396は、第1のエッジ394よりも短いため、側面のエッジ395および397が第1および第2のエッジ394と394との間に平行ではない状態で延在している。さらに、側面のエッジ395と保持部材392との間の角度(αで示す)は約45度で示されている。いくつかの実施形態では、この角度が図示のものとは異なることもあるが、一般には90度未満、より一般には45度未満、多くの場合は約20から約45度である。この構成では、医用装置内のチャネルのサンプリングに固体支持部材390が有用である。固体支持部材390と保持部材392との間の角度αによって、医用装置のチャネル内に挿入したときなどに固体支持部材390を保持部材392のまわりに均一に巻き付けやすくなる。また、固体支持部材390については、この固体支持部材390を保持部材392のまわりに巻いた構成にしてもよいことは理解できよう。このような構成では、側面のエッジ395と保持部材392との間の角度の大きさが、検出器388の全体としての性能という点でさほど重要ではなくなる。
【0051】
図13bは、内視鏡などの医用装置に設けられたチャネル400の壁のサンプリング時における検出器388の使い方を示している。固体支持部材390は、固体支持部材を「コルクスクリュー」すなわち螺旋状のパターンで保持部材392のまわりに巻いたりカールさせたりしやすい長さである。固体支持部材390を螺旋状に巻くと、検出器388がチャネル400の中を矢印で示す方向に移動する際、固体支持部材390の表面とチャネル壁とをチャネル表面全体に沿って接触させやすくなる。いくつかの実施形態では、固体支持部材の長さは約50mmである。
【0052】
ここで図14を参照すると、本発明による保持部材422に固定された状態で固体支持部材420が示されている。固体支持部材420は、第1の材料からなる第1のエリア424と、第2の材料からなる第2のエリア426とを含む。好適な第1および第2の材料としては、本願明細書の他の部分に記載のものがあげられる。いくつかの実施形態では、第1の材料は、たとえばナイロン不織シートを含むことが可能であり、第2の材料は、第1の材料に固定された複数のTIPS膜セグメントを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、第1および第2の材料が、TIPSセグメントに塗布した(スプレーするなど)ホットメルト接着剤で互いに固定される。この構成では、特異的指標を第2のエリア426内に固定できる。特異的指標が比色であるような実施形態では、特異的指標とバイオソイルとの干渉によって第2の材料426の色が変化する際の第1の材料と第2の材料との色のコントラストを可視的に強める背景色になるように第1の材料を選択すれば、バイオソイルの検出性を高めることが可能である。
【0053】
ここで図15を参照すると、本発明による保持部材432に固定された状態で固体支持体430が示されている。図14に示す実施形態と同様に、固体支持部材430は第1の材料からなる第1のエリア434を含み、第2のエリア436は第2の材料からなる。この構成では、第2のエリア436内で特異的指標を固体支持部材に印刷するなどの方法で特異的指標を第2のエリア436内に固定できる。特異的指標が比色であるような実施形態では、指標とバイオソイルとの干渉によって第2の材料436の色が変化する際の第1の材料と第2の材料との色のコントラストを可視的に強める背景色になるように第1の材料を選択すれば、バイオソイルの検出性を高めることが可能である。
【0054】
本発明の検出器の構成では、特異的指標の溶液を固体支持部材にコーティングしても構わない。この場合、溶媒を揮発させれば固体支持部材に固定された指標の化合物が残る。いくつかの実施形態では、固体支持部材を多孔性にして、たとえばファンデルワールス力、固体支持部材に用いられる材料との疎水性および/またはイオン性干渉によって、孔内に特異的指標を物理的に捕捉することで、固体支持部材の孔内に特異的指標を保持できるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、固体支持部材を親水性および/または特異的指標化合物と共有結合が可能なようにする目的で、特異的指標を塗布する前に固体支持部材を処理してもよい。特異的指標の溶液については、固体支持部材の全面に均一にコーティングしてもよいし、表面の何カ所かを覆うパターンで表面にコーティングしてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、固体支持部材の表面が均一に白色の場合、白色表面の少なくとも一部に固定された特異的指標を設けてもよい。このような実施形態では、背景が白色であることから、特異的指標とバイオソイルとの反応によって生成された色に対する鮮明な色のコントラストが得られ、比色反応の確認がさらに簡単になる。いくつかの実施形態では、特異的指標とバイオソイルとの反応時に蛍光の変化を検出しやすいよう、固体支持部材の表面を最初から低蛍光の背景を含むものとすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、あらかじめ定められたパターンや規則的なパターンで支持材の表面に指標化合物を塗布すれば、指標化合物とバイオロジカルソイルとの間の反応を検出しやすくなる。さらに、固体支持部材の表面に背景パターンを設け、図22a〜図22cに示すパターンなどの比色反応の存在を強めるまたは強調するようにしてもよい。図面では各々、比色反応によって容易になる最初のパターンから最後のパターンへの変化を示す経過が左から右に図示されている。図22aを参照すると、密にグループ化された一連の小さな暗色の背景円460が、色の付いていない前面の円または淡い色の前面の円462からなる第2のパターンと一緒に設けられている。前面の円462が背景の円460よりも淡い色の目に見える円を含むものであってもよいし、前面の円462が固体支持部材の表面に固定された特異的指標の無色のパターンを表すものであってもよい。バイオロジカルソイルの検出時、前面の円462の色が比色反応によって可視的に暗くなるため、比色反応が進行して完了するまでの間には関連した固体支持部材の表面が違った見た目になる。図22aに示すパターンでは、直交して延在する一連の点線が、固体支持部材の表面の矩形領域を占める一連の直線に見えるようになる。
【0057】
同様に、図22bは、比色反応が進んで完了するにつれて進行して幾何学的パターンになる前面の円またはドット466と背景の円またはドット468とからなるパターンを示している。図22cは、最初は淡い色のパターンあるいは、固体支持部材に適用された無色かつ検出できない表面処理として提示されていてもよい一連の背景またはパターンの背景の円472を示している。線分474として図示されているマークが、背景の円472の上に印刷または固定されている。比色反応が進むにつれて、背景の円474の見た目が可視的に優勢な特徴になって線分474の存在をマスクするまで背景の円が暗く見えるようになる。上記のようなパターンが、固体支持部材上の特異的指標を提示して、表面上でのバイオソイルの存在を示す比色反応の可視的な認識を容易にするための考え得る形態として本発明の範囲内に企図される。
【0058】
本発明の実施形態では、図22a〜図22cに鑑みて説明したもののようなパターンを固体支持部材に押印するか、そうでなければ固定する。このパターンは、表面のサンプリング後に比色反応を可視的に調べられる固体支持部材上のエリアを表す。一般に、パターンのあるエリアは、このような反応を容易かつ迅速に特定しやすくなるような十分な大きさのものであるが、本発明は、特異的指標で処理された固体支持部材上のエリアが、パターン状であるか否かを問わず、特定の寸法または大きさに限定されるものではない。
【0059】
上述したように、本発明の検出器は、医用装置の表面あるいは調理面などバイオソイルに触れた可能性のある他の表面などの表面でのバイオソイルの検出に有用である。表面におけるバイオソイルの存在を検出する目的で、図7〜図14を参照して上述した検出器は、
固体支持部材および特異的指標を表面と接触させるステップと、
固体支持部材を表面から後退させるステップと、
検出器の固体支持体に検出可能な反応がないかどうかを調べることで、固体支持体に固定された特異的指標がバイオロジカルソイルの成分と相互作用したか否かを判断するステップと、を含む方法に利用できるものである。
【0060】
上記の方法では、利用者が検出器を保持部材(保持部材314、図7など)の軸に沿って把持し、固体支持部材および特異的指標が表面と接触した状態になるように検査対象となる表面上の位置まで固体支持部材を延在させることで、検出器を操作することができる。一般に、試験対象となる表面および/または固体支持部材は、少なくとも若干湿らされる(水でなど)。通常、バイオソイル(存在する場合)と特異的指標とを干渉させるには周囲温度で表面と接触させれば十分である。検出器を表面から後退させた時に、色の変化などの見た目の変化を固体支持部材で調べることができる。いくつかの実施形態では、固体支持部材を調べて固体支持部材の蛍光の変化を検出する。色、見た目または蛍光の変化は、バイオソイルの存在を示すものである。一般に、見た目または蛍光の変化は固体支持部材において比較的短時間で検出可能である。通常、検出可能な変化は15分以内またはそれ未満、より一般には10分未満、さらに一般には、5分未満、多くの場合1分未満で観察される。添付の実施例に示すように、検出可能な変化は30秒以内またはそれ未満で固体支持部材に認められることが多い。さらに、固体支持部材は、バイオロジカルソイルと接触するまで特異的指標を保持し、特異的指標とバイオソイルとの間の干渉によって生じる反応生成物も保持する。
【0061】
本発明の検出器は、どのような表面でのバイオソイルの検出にも利用できるものである。このような表面の一例に、調理場、食物加工場などの食物と接触する表面がある。浴室や台所の表面(シンク、カウンター、まな板、トイレの表面など)、床、壁など、バイオソイルを潜在的に含むどのような表面であっても本発明の検出器でサンプリングすることが可能である。上記の実施形態の一態様では、洗浄溶液または消毒殺菌溶液を固体支持部材に取り入れて、表面のバイオソイルを試験するのと同時に表面の洗浄または消毒殺菌を行うようにしてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、医用装置の内部チャネルのバイオソイルを検出するのに検出器が有用である。再利用可能な内視鏡を再処理するにあたり、たとえば、内視鏡の再処理に通常用いられている洗浄ステップの後で残留バイオソイルの存在を判断するのに本発明の検出器が有用である。特に、医療処置または外科的処置に用いられて汚れた内視鏡は一般に、まずは手作業での洗浄ステップで洗浄して目に見えるデブリまたはバイオソイルを器具の表面(内部チャネルの表面を含む)から取り除く。これは一般に、ブラシと、内視鏡の表面に適用した洗浄液または酵素洗浄化合物を含む溶媒を用いて達成される。通常、内視鏡の表面をブラシでこすって目に見える検出可能なバイオソイルをすべてこの医用装置の表面から取り除く。その後、高レベルの消毒殺菌剤を用いて内視鏡に消毒殺菌ステップをほどこす。装置を高レベルの消毒殺菌剤で消毒殺菌した後は、再利用できるように内視鏡を完全にすすいで乾燥させる。
【0063】
上述した手作業での洗浄ステップの効果を評価するために、内視鏡に高レベルの消毒殺菌をほどこす前に図7〜図14を参照して上述した本発明の検出器を利用して検出可能なバイオソイルが内視鏡のどこかの表面に残っていないかどうかを判断することができる。このような方法では、まずは固体支持部材を表面と接触させて本発明の検出器を利用する。いくつかの実施形態では、内視鏡または他の医用装置のチャネル内に合うように検出器の保持部材を寸法合わせして、固体支持部材をチャネルの壁と接触させた状態で配置する。チャネル内で使用する場合、固体支持部材に関連した特異的指標とチャネル壁との間の接触を容易にするような形で固体支持体がチャネル内に合うように、固体支持部材は一般に極めて可撓性の高い材料から選択される。保持部材は通常、チャネルの全長に沿ってチャネルの壁に固体支持部材を曝露可能なだけの十分な長さである。医用装置に設けられたチャネルの壁は一般に、チャネル内で検出器を一方向に摺動させてサンプリングされる。
【0064】
本発明のもうひとつの態様では、試験対象となる表面を水または別の液体ですすいだ後、すすぎ流体と固体支持部材に固定された特異的指標との間の接触を容易にする形ですすぎ流体を捕捉して固体支持部材上のバイオソイルの検出を容易にする形で検出器が得られる。
【0065】
ここで図2を参照すると、本発明による検出器のもうひとつの実施形態が図示されており、ここではこれについて説明する。内部チャネルのうちの1本がバイオソイルの存在を試験する対象となる内視鏡500が示されている。内視鏡500の一端502では、好適なサンプリング流体またはすすぎ用流体508が、流体508が内視鏡500のチャネルをその第2の端504で出るようにチャネル全長のサンプリングを容易にするような形で内視鏡500のチャネルに挿入される。
【0066】
サンプリング用流体508は、水道水、脱イオン水または蒸留水、さまざまな材料を、溶媒すなわち、水、リン酸緩衝生理食塩水、研磨剤、中和用流体に加えた溶液または混合物などの多種多様な液体のうちのどのようなものであってもよい。いくつかの実施形態では、流体に加えられる研磨剤は、可溶性の塩、可溶性ポリマー材料など、溶媒に可溶なものである。他の実施形態では、溶解しない固体の研磨粒子を利用してもよい(シリカなど)。試験対象となる表面が医療試験、外科処置または診断処置で用いられる医用装置の一部であるような場合は、表面に付着することがなく、あるいは装置を再利用する前に表面から容易に取り除くことが可能なサンプリング用流体中の材料を利用するのが通常は望ましい。
【0067】
サンプリング用流体は、流体をチャネル経由で押し出せる適切な大きさの力で内視鏡500のチャネルに分注される。いくつかの実施形態では、シリンジ506などの流体ディスペンサを用いて、あらかじめ定められた量のサンプリング用流体508を内視鏡500のチャネルに分注する。サンプリング用流体508は内視鏡500の第2の端504を出て、固体支持部材510と固体支持部材510のエリア512内で固定された特異的指標に接触する。
【0068】
本発明は内視鏡のサンプリングに限定されるものではないことは理解できよう。サンプリング用流体は、多種多様な表面のうちのどのような表面にも適用した上で、固体支持部材に固定された特異的指標と接触させることが可能なものである。サンプリング用流体の液体については、サンプリング対象となるチャネルまたは他の表面から流体が出る際にサンプリング用流体の経路内に固体支持部材を配置するなど、どのような方法で固体支持部材と接触させてもよい。いくつかの実施形態では、単に固体支持部材をサンプリング用流体の流れの中に配置する。
【0069】
いくつかの実施形態では、固体支持部材512は、内視鏡500のチャネルなどの試験対象となる表面に流体が接触した後にサンプリング用流体508を捕捉することも可能な容器内に配置される。図3〜図6は、本発明で使用するのに適した容器520を示している。図3〜図6の実施形態で用いる容器は一般に、蛍光の励起波長ならびに放出波長に対して透明であり、かつ、可視的な検出用の可視光線の波長に対しても透明であることは理解できよう。
【0070】
図3には、サンプリング用流体をバイアル528に入れることができるようにするためのオリフィス526を画定する開放上面524のあるキャップ522を含む容器520が図示されている。いくつかの実施形態では、上面524は、サンプリング用流体がチャネルからバイアル528に直接流れるように医用装置の端(内視鏡500の端504など)の上にぴったりとフィットし、これによってサンプリング用流体が跳ねて失われるのを防ぐ可撓性材料(シリコーンゴムなど)を含む。固体支持部材530は、特異的指標で処理済みのエリア532がキャップ522の上面524に形成されたオリフィス526を介して容器520に入る、サンプリング用流体の流入してくる流れに触れるように配置されるよう、バイアル528内に配置される。固体支持部材530は、バイアル528の内壁と固体支持部材530を含む材料のエッジとの間で摩擦係合してバイアル528内に配置させることができるものである。あるいは、適切な接着剤などを用いてバイアル528内に固体支持部材530を固定してもよい。特異的指標によってバイオソイルの存在に対する比色反応を得るようにしてもよいし、あるいは、バイアル528の壁を介して検出可能な蛍光反応を得るようにしてもよい。
【0071】
ここで図4を参照すると、容器の構成は図3で説明したものと同じである。しかしながら、固体支持部材540はバイアル528の内壁に固定され、特異的指標は固体支持部材540内の細片542に固定される。一般に、固体支持部材540は本願明細書にて記載したような材料を含み、固体支持部材540はバイアル528の内壁に固定される。あるいは、固体支持部材が、シリカ、カチオン性ポリマー(ナイロンなど)、アミン含有ポリマー、アミン含有オルガノシロキサンなどのバイアル528の内壁に配置された吸着剤材料を含むものであってもよい。固体支持部材540は、バイアル528の壁と密に接触した状態にあり、バイオソイルと相互作用する特異的指標の比色反応または蛍光反応を部分的に分かりにくくしかねないサンプリング用流体による比色または蛍光吸光度を最小限にする。
【0072】
図5では、固体支持部材550は、固定された特異的指標を含むエリア552を有する材料片を含む。固体支持部材550は、一対の接着剤片554および556でバイアル528の壁の対向する側に繋留されている。エリア552内の特異的指標もバイアル内の中心位置にきて、固体支持部材550の両側でサンプリング用流体との接触がしやすくなるように、固体支持部材550はバイアル528のほぼ中心に配置される。
【0073】
図6は、固体支持部材がバイアル528の内壁のエリア560である本発明の実施形態を示している。壁で発色するパターンとして比色反応が可視的に明確になるようにバイアル528の壁に特異的指標を化学的に固定化することで、特異的指標が固体支持部材560に固定される。あるいは、サンプリング用流体中のバイオソイルと特異的指標との間で反応が生じたときに流体に色が付くか蛍光になるように、サンプリング用流体に特異的指標を溶解させてもよい。一般に、バイアル528は、可視的検出または蛍光検出のいずれかによる検出の限界を増す経路長を提供するものとする。
【0074】
図16〜図18を参照すると、本発明のもうひとつの実施形態が示されており、これについてここで説明する。ここで、表面からのサンプリング用流体を捕捉して真空での吸引下で入れ物に入れるための容器600のもうひとつの形態が示されている。図16は、サンプリング用流体が中に入れるようになる前の容器600を示している。この入れ物の中にはスポンジ602が配置され、スポンジの表面には固体支持部材604が関連している。本願明細書にて記載の材料からなる固体支持部材604上のエリア606内に特異的指標が固定される。流入口610がサンプリング用流体(内視鏡など)源と接続され、流出口612によって入れ物を真空ポンプと接続することができる。図16から始めて図19で終わる進行過程で、入れ物600(最初は空)は、流出口612に接続された真空による吸引下、流入口610を介してサンプリング用流体を受け取る。入れ物600の中に入れられると、スポンジ602がサンプリング用流体を吸収する。使用するサンプリング用流体の容量によっては、スポンジ602がサンプリング用流体で充満して膨らむため、流体が満ちたスポンジ602(図18参照)で入れ物600が一杯になる。固体支持部材604と特異的指標は、スポンジ602内のサンプリング用流体が固体支持部材604ならびにそこに固定された特異的指標と接するように、スポンジ602と密に接触する。上述したように、固体支持部材で比色反応または蛍光反応を検出し、サンプリング用流体中におけるバイオソイルの存在を示す。
【0075】
もうひとつの実施形態では、上述したような、流入口610および流出口612ポートがある入れ物を図19〜図21に示す。しかしながら、スポンジ626はスポンジ602よりも実質的に小さい。固定された特異的指標のエリア606のある固体支持部材604が、スポンジ626の上で入れ物内に配置される。図19〜図21に示す進行過程では、充填されたスポンジ626が開口610および612をふさぐまで(図21参照)スポンジ626が膨脹してサンプリング用流体と接触する。他のあらゆる観点で、図19〜図21の実施形態は図16〜図18で説明したものと同一である。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態で説明した容器などの保持部材表面または保持部材内に固体支持部材を配置することができる。保持部材は一般に、液体と固体支持部材との間の接触を容易にするように保持部材が配置された状態で固体支持部材および特異的指標を支持する。保持部材は、液体が試験対象となる表面と接した後で特異的指標と液体との接触を容易にするように固定支持部材を保持して保つどのような構造または構成のものであってもよい点は理解できよう。いくつかの実施形態では、保持部材は、液体を収集して保持できる(図3〜図6および図16〜図21で説明したもののような)容器であり、液体を容器に集めた際に液体と特異的指標との接触を容易にするために、この容器内に固体支持体および特異的指標が配置される。いくつかの実施形態では、保持部材は、液体を通すことが可能な構造を含み、液体を保持部材経由で導入したときに液体と固体支持部材との間の接触を容易にするために、保持部材内に固体支持体および特異的指標が配置される。液体を導入できる一例としての構造としては、たとえば、液体が保持部材に入るときに通る流体入口と、液体が保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材があり、固体支持体および特異的指標は一般に、流体入口と流体出口との間の保持部材内に配置される。
【0077】
いくつかの実施形態では、液体が検出器を通ったことを目視確認できるように任意のフロー指標も設けられている。フロー指標は、湿ったときに見た目が変化する多種多様な材料のうちの何を含むものであってもよい。言葉を変えると、フロー指標は、フロー指標が乾いているときに第1の見た目で、フロー指標が液体に触れたときには第2の見た目になる。任意のフロー指標は、乾燥した状態から湿った状態になったときに見た目が識別可能に変化して、液体との接触を示す好適な材料または物質を含み得る。好適な材料としては、織物材、不織材、紙またはセルロース系の材料、湿ったときに色が変わる適切な染料または顔料で処理した材料(上記を含む)などの吸収剤がある。本発明では、ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアから入手可能なマルチスティックス(登録商標)試薬ストリップで利用できる比重パッドなどの業務用の材料をフロー指標として利用してもよい。マルチスティックス製品では、イオン濃度に関してあらかじめ処理してある特定の高分子電解質のpKaが明らかに変化することで、湿ると色が変化する。本発明の一態様では、固体支持部材に隣接して、その下流にフロー指標を配置することができる。このような部品配置で、湿ったフロー指標(第2の見た目になっているなど)を見れば、特異的指標が液体で湿ったことも分かる。本発明のもうひとつの態様では、フロー指標上の材料が液体の流れに乗って移動して特異的指標に干渉することがない限り、フロー指標を特異的指標の上流に配置してもよい。上記の別の実施形態について後述する。フロー指標については、多種多様な構成のうちのどのような構成で設けてもよく、固体支持部材および特異的指標に対してどのような部品配置であってもよいことは理解できよう。水があることが分かる染料のテープが、2003年5月22日公開の米国特許出願公開第20030096107号明細書に記載されている。
【0078】
本発明のもうひとつの実施形態では、液体を通すように構成され、残留ソイルの存在について液体を試験できることを想定した保持部材700の一構成を図23に示す。この実施形態では、まずは洗浄ステップで液体を表面に送って残留ソイルを除去する。次に、この液体を、フロー流入口710が第1の端に設けられた本体702を含む保持部材700に送る。保持部材700は、流体の流れを流入口710から本体702経由で保持部材700の第2の端にある流体出口ポート704に送るように構成されている。流入口ポート710は、先細の摩擦取付具として設けられ、流体の流れを試験対象となる表面から保持部材700に送るための可撓性管材の長さであってもよいチューブ712に接続された状態で図示されている流入口取付具708の端に配置される。保持部材700には、チューブ712を介して保持部材700までの液体の流れが支持材部材714に接触して、通常はエリア716で示される特異的指標を液体に曝露させることで、残留ソイルの存在を試験できるような形で固体支持部材714が関連している。この実施形態では、固体支持部材は流入口ポート710に配置される。固体支持体のエリアについては、そこに固定された特異的指標であらかじめ処理し、可視的に確認可能な色の変化、蛍光測定値などによって液体中にバイオロジカルソイルが存在することが固体支持部材714上で分かるようにする。特異的指標がない固体支持部材714のエリアに、特異的指標の色の変化に対して比較可能な「対照」色を設けてもよい。これと同じ比較のために、同じ基準または対照色をどこにでも設けることが可能である。たとえば、保持部材のある紙片、パッケージ、保持部材の別の部分などに対照を設けることが可能である。
【0079】
カラー713が流入口取付具708を支持し、取付具708の基部を囲む表面715を提供している。表面715の直径は図示のようにチューブ712の端に当接するような大きさである。流入口710は、本体702を経由してフロー流出口704から出る保持部材700への経路を液体に与える。フロー流出口704は、可撓性チューブ(排水チューブなど)の端と嵌合して保持部材700から出てくる流体の流れをドレインや容器、あるいは他の好適な廃棄部位に向けることができる先細の摩擦取付具である流出口取付具706の端に設けられている。
【0080】
固体支持部材714については、どのような方法でフロー流入口ポート710と関連させてもよい。いくつかの実施形態では、固体支持部材714は、バイオソイルの検出に1回使用したら保持部材全体を適宜破棄するように、永久的に固定されるか、あるいは保持部材700の永久部品である。他の実施形態では、洗浄、消毒殺菌および/または滅菌後に保持部材を再利用できるように、また、新しい固体支持体または新鮮な固体支持体を使用済みの固体支持体と交換してもよいように、固体支持体714を保持部材700から除去可能にするような方法で流入口ポート710内に固体支持部材714が可逆的に配置される。固体支持体は比較的剛性のポリマーなどであり、固体支持部材714を流入口ポート710に挿入し、摩擦係止によって再利用可能な形で保持することができる。固体支持部材714については、摩擦係止、接着剤、接着テープ、クリップなど、周知のどのような方法で流入口ポート710に固定または関連付けてもよいことは、当業者であれば理解できよう。
【0081】
図23に示す保持部材700の実施形態では、固体支持部材と特異的指標とを湿らせている流体の流れを容易に検出可能なように、任意のフロー指標718を特異的指標716の下流に設ける。可視的に補助して、保持部材700に液体が実際に流れているかの判断を容易にするために、特に特異的指標が液体と接していることの判断を容易にするために、フロー指標718の任意のインクルージョン(inclusion)を設けてある。さらに、フロー指標718上に流体流があると分かることで、流体がすでに特異的指標716に達していることを示すまたは確認することができるように、フロー指標718は通常、特異的指標716に隣接して配置される。
【0082】
上記の保持部材における流体の流れについては、便宜上流入口710から流出口704へと流れるものとして説明したが、上記保持部材では流体の流れが流出口704から流入口710の方向であってもよいことは理解できよう。さらに、保持部材700は、本発明によれば部材700での流れの方向とは無関係にバイオソイルを検出できるように機能する。
【0083】
図24および図25を参照すると、本発明のさらにもうひとつの実施形態が、液体を通すように構成され、残留ソイルの存在について液体を試験できることを想定した保持部材800の形で提供されている。この実施形態では、まずは洗浄ステップで液体を表面に送って残留ソイルを除去する。次に、この液体を、液体に取付具への入口経路を提供する第1の端にフロー流入口810が設けられた本体802を含む保持部材800に送る。ここでは、本願明細書の別の部分で説明したように医療器具または別の表面から流入口810に排出されてきた流体の流れを、残留ソイルの試験のために保持部材800経由で送るよう、可撓性チューブ812(供給チューブ)の端に固定されて図示された先細の摩擦取付具である流入口取付具808の端にフロー流入口810が設けられている。カラー813が流入口取付具808を支持し、流入口取付具808の基部を囲む表面815を提供している。表面815の直径は一般に、図示のように供給チューブ812の端に当接するような大きさである。
【0084】
保持部材800は、流体の流れを流入口810から本体802経由で保持部材800の第2の端にある流体出口ポート804まで送るように構成されている。流出口ポート804は、流出口取付具806の端に配置されている。流出口取付具806は、可撓性の排水チューブなどに接続して流体の流れを保持部材800からドレインや収集容器、あるいは別の好適な廃棄部位まで送ることができる第2の先細摩擦取付具として設けられている。
【0085】
保持部材800を通る流体の流れは通常、流入口810から本体802を経由して流出口ポート804を通って出る。保持部材800の本体802内には、保持部材800を通る液体の流れが支持材部材814と接触して、通常はエリア816内に示される特異的指標を残留ソイルの存在を試験する液体に曝露させる方法で、固体支持部材814が配置されている。保持部材800には、本体802内のウィンドウ820が設けられ、液体への曝露後に固体支持部材814を見て特異的指標818の検出可能な変化を調べることができるようになっている。ウィンドウ820については、どのような方法で本体802に設けてもよい。いくつかの実施形態では、保持部材800が成形部品であり、この成形部品の造作としてウィンドウ820が設けられる。いくつかの実施形態では、保持部材800の本体802にウィンドウを穿孔または切り取るようにしてもよい。上記のいずれの場合でも、流体の流れがウィンドウ820から外に出てきてしまうのを防ぎつつ観察者が特異的指標を見ることができるように、ウィンドウ820は一般に透明フィルムなどで覆われている。他の実施形態では、保持部材800の本体802全体を透明プラスチックまたはポリマー材料で作成し、ウィンドウなしで固体支持部材と特異的指標とを直接見ることができるようにしてもよい。また、保持部材800も特異的指標816の下流に任意のフロー指標818を含み、同じくウィンドウ820を介して目視可能である。
【0086】
固体支持部材814については、どのような方法で配置して保持部材の本体802内に保持してもよい。いくつかの実施形態では、バイオソイルの検出に利用した後の取付具を適宜廃棄できるように、保持部材800の本体802内に漠然と固体支持部材814を固定することが企図される。他の実施形態では、保持部材800の本体802内に固体支持部材814を剥離可能に保持することが企図される。このような配置では、固体支持部材814を本体802から取り外して廃棄することができ、その後で保持部材800再利用できるように適宜洗浄、消毒殺菌および/または滅菌すればよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、流体流の導入を容易にするような構成で保持部材800を提供し、これによって流体が部材800の本体802を通る際にこの流体を固体支持部材814に送る。たとえば、保持部材を介して延在する内側のルーメンまたはチャネルに、流体の流れを固体支持部材814に送ってまずは特異的指標816と接触させた上で出口ポート804経由で部材800から出すように構成され、かつ、液体が部材800を介して流れやすいようにする溝またはチャネルを持たせてもよい。本発明のもうひとつの態様は、部材800を介して内部チャネルの壁に沿ってマイクロ構造化アレイを含むが、これも液体の流れを保持部材の内面経由で送って固体支持部材と特異的指標が液体ならびにそこに含まれる可能性のあるバイオソイルと触れるように構成されている。
【0088】
図25の斜視図では、固体支持部材814をトラック822内に配置して、フロー流出口804経由で本体802に挿入し、特異的指標と任意のフロー指標とをウィンドウ820を通して見ることが可能なように本体802内に配置できるよう、保持部材800内に一対の対向するスロットまたはトラック822aおよび822bが設けられている。固体支持部材814については、たとえば、本体802を通る液体の流れによって容易に押しのけられることなく支持材814を取付具800の本体内に保持できる限り、どのような方法で保持部材800の本体802内に配置しても構わないことは理解できよう。固体支持部材814を本体802内に保持するのに適した手段としては、摩擦、接着剤、接着テープ、クリップなどがあげられるが、これに限定されるものではない。このようにして、医用装置の表面または別の表面にある残留ソイルの存在を検出する目的で表面と接触させるのに利用した液体と接触しやすくなるように固体支持部材および特異的指標を配置する。
【0089】
上記の保持部材における流体の流れについては、便宜上流入口810から流出口804へと流れるものとして説明したが、上記保持部材では流体の流れが流出口804から流入口810の方向であってもよいことは理解できよう。さらに、保持部材800は、本発明によれば部材800での流れの方向とは無関係にバイオソイルを検出できるように機能する。
【0090】
また、当業者であれば、図23〜図25に図示し、本願明細書で説明した上記の実施形態は単に本発明の範囲内にある装置を例示したものにすぎないことは理解できよう。他の装置が企図され、本発明では、試験対象となる表面に液体が接触した後に液体と接触させるよう特異的指標を配置した、液体の流れをサンプリングすべく設計された装置も包含することを想定している。このような装置の具体的な構成には、液体を固体支持部材に固定された特異的指標と接触させやすくするような方法で液体の流れを流入口から流出口に送るフロー流入口、フロー流出口、本体部分など、図23〜図25の上記装置の通常の特徴を含み得る。
【0091】
上述したように、サンプリング用流体を上記の構成要素と併用することで、
表面を液体と接触させるステップと、
液体が表面と接触した後に、この液体を固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
固体支持部材の検出可能な反応を検査して、特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、表面に関連したバイオソイルを検出するための方法が得られる。
【0092】
本発明のこの態様では、サンプリング対象となる表面に液体を使って接触させ、その表面に残っているバイオソイルをほぐして取り除き、その上で取り除いたソイルを、バイオソイルを特異的指標と相互作用させることができる容器に押し出す。液体は、バイオソイルが捕捉されている可能性のある連結部または接続エリア内の空間をはじめとして、サンプリング対象となる表面のあらゆる部分をプローブすることができる。サンプリング対象となる表面に液体を接触させた後、本願明細書にて記載のようにこれを固体支持体に固定された特異的指標と接触させる。いくつかの実施形態では、バイオロジカルソイル検出器において、液体を表面に送った上で何ら補助なく特異的指標と接触させる受動的なモードで液体を利用することができる。いくつかの実施形態では、バイオロジカルソイル検出器に真空ポンプを設けて固体支持体材料の表面にある液体の搬送を補助する。他の実施形態では、流体を押し出すか(シリンジまたはポンプを用いるなどして)検出器にポンプ供給する。このような実施形態では、流体または液体を駆動して特異的指標と接触させるのに接触圧またはパルス圧力を利用して検出器に流体を送り込む。医用装置のチャネルの潜在的に汚染されているあらゆる表面からバイオソイルをほぐすのに液体を用いると、本願明細書にて記載のように、保持部材に固定された固体支持部材で直接プローブするには小さすぎるチャネル(内視鏡の空気および水のチャネルなど)のサンプリングが容易になる。さらに、図16〜図21を参照して上述した真空駆動式の実施形態は一般に、病院の真空システムと相性のよいものでなければならない。
【0093】
また、上記の装置および使用方法は、内視鏡などの医用装置でのバイオソイルの検出に用いることに限定されるわけではないことも理解できよう。食物と接触した表面などの他の表面をサンプリングして、バイオロジカルソイルの存在または欠如を判断することもできる。ここに記載の本発明の装置および方法を利用すれば、どのような表面でもサンプリングしてバイオソイルの存在を調べることができる。
【0094】
好ましい実施形態のこれ以上の特徴については、以下の非限定的な実施例においてさらに説明する。
【実施例】
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
実施例1
BCIP12.5μL、NBT50μL、TRIS緩衝液50μLおよび水37.5μLを組み合わせて、BCIP/NBT3成分ホスファターゼ支持体系(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc.))を用いて溶液を生成した。BCIP/NBT3成分ホスファターゼ支持体系から得た溶液5μLをたらすマイクロピペットを利用してバイオダインBフィルムの粗い側にスポットを付け、30分間空気乾燥させた。このスポットを付けたフィルムに、アルカリホスファターゼ(カルバイオケム(Calbiochem))5μLを用いて3.6単位/mLの濃度で再度スポットを付けた。
【0101】
26秒後、青紫のスポットが表れたことから、アルカリホスファターゼが存在することが分かった。
【0102】
実施例2
0.1MのTRISを脱イオン水に入れたもの50mL、0.1NのHCl7mLおよび脱イオン水43mLを混合して、pH=8.9の0.05MのTRIS緩衝液を調製した。BCIPを25mgと、1,2−プロパンジオール3mL、グリセロール2mL、0.05MのTRIS緩衝液(pH=8.9)5mLの混合物とを組み合わせて、第1の溶液を調製した。NBT50mgと、1,2−プロパンジオール3mL、グリセロール2mL、0.05MのTRIS緩衝液(pH=9)5mLとを組み合わせて、第2の溶液を調製した。次に、第1の溶液100μLを、第2の溶液100μL、0.1mg/mLのMnCl2を水に入れたもの100μL、pH=9のTRIS緩衝液1mLと混合した。このようにして得られる溶液を、5μLのスポットを作るマイクロピペットでバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、このフィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度3.5単位/mLまたは1.7単位/mLのアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)からなる5μLのスポットを、すでにスポットを付けてあるフィルムにのせた。
【0103】
色の反応が得られるまでの平均時間は、3.5単位/mLのアルカリホスファターゼで45秒、1.7単位/mLのアルカリホスファターゼで20秒であった。
【0104】
実施例3
3種類の溶液A、BおよびCを別々に調製した。溶液Aについては、バイオシンス(Biosynth)から得たBCIP25mgを脱イオン水10mLに溶解させて調製した。溶液Bについては、NBT50mgを脱イオン水10mLに溶解させて調製した。溶液Cについては、MgCl2100mgとMnCl2100mgを実施例2で説明したようにして調製したTRIS緩衝液10mLに加えて調製した。溶液Aを400μLと溶液Bを100μL、溶液Cを500μL組み合わせて、実験1〜10用の溶液を調製した。また、溶液A800μL、と溶液B100μLおよび溶液C100μLで組み合わせて、実験11〜20用の溶液を調製した。さらに、溶液A300μL、溶液B300μLおよび溶液C400μLを組み合わせて、実験21〜30用の溶液を調製した。このようにして得られる溶液各々5マイクロリットルを、マイクロピペットを使ってバイオダインBフィルムの上にスポットし、室温にて30分間空気乾燥させた。実験6〜10、16〜20、26〜30では、乾燥後のフィルムを水道水の流水ですすぎ、再度室温にて30分間空気乾燥させた。実験1〜30を乾燥させた後、濃度3.5、1.79、0.89、0.45、0.1単位/mLのアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)溶液5μLを各々乾燥後のスポットにのせ、これによって灰色−黒色が認められるようになるまでの時間を記録した。表1に示す結果は3つのスポットの平均とした。
【0105】
【表6】
【0106】
水道水の流水ですすいだかBCIPの濃度を変えたかとは無関係に、2分未満で発色が見られた。実験20では酵素の濃度が検出限界に達した。
【0107】
実施例4
製造業者の指示(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド)に従って1倍濃度の50μLBCI−gal/鉄緩衝溶液2mLを調製した。2倍濃度の100μLBCI−gal/鉄緩衝溶液2mLを調製した。次に、4倍濃度の100μLBCI−gal/鉄緩衝溶液1mLを調製した。1倍、2倍、4倍の各溶液を、10μLの滴をたらすマイクロピペットで正に荷電したオスモニクスナイロン膜にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度5.9、0.59、0.059、0.0059単位/スポットまたは0.5、0.05、0.005、0.0005mg/スポットのβ−ガラクトシダーゼ(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から590単位/mLで供給)10μLの滴をたらした。発色に必要な時間を秒単位で記録した。結果を表2に示す。
【0108】
【表7】
【0109】
実施例5
エスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液を、5μLの滴をたらすマイクロピペットでバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。次に、濃度625、312.5、156.25、78.125、39.0625のβ−グルコシダーゼ5μLの滴をエスクリン/FeCl3スポットにたらし、発色に必要な時間を記録した。エスクリンは純な酵素系でうまく作用した。結果を表3に示す。
【0110】
【表8】
【0111】
実施例6
試験管にエスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液100μLを満たした。次に、濃度5、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.05、0.025、0.0025単位/mLのβ−グルコシダーゼ100μLを、エスクリン/FeCl3溶液の入った試験管に滴下し、緑から黒への発色の変化に必要な時間を記録した。結果を表4に示す。
【0112】
【表9】
【0113】
実施例7
エスクリン(1mg/mL)/FeCl3(1mg/mL)の溶液を、5μLの滴をたらすマイクロピペットを使ってバイオダインBフィルムの粗い側にスポットし、フィルムを室温にて30分間空気乾燥させた。ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニック(Mayo Clinic)にて結腸処置法で結腸鏡の生検組織ルーメンを用いてリン酸緩衝生理食塩水10mLをフラッシュし、臨床内視鏡ソイル標本(患者のソイル)を収集した。続いて、臨床内視鏡ソイル標本100μLをエスクリン/FeCl3スポットの上にのせ、発色のために必要な時間を記録した。発色には10分を超える時間を要した。
【0114】
実施例8
メトリセル(Metricel)SB−6407膜の標本4つに、スポット1個あたりBCIP/NBT溶液10μLをたらすマイクロピペットを使ってスポットを付けた。これらのスポットを室温にて空気乾燥させた。スポットを付けた膜1つに、スポット1個あたりアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(500μg/mLアルカリホスファターゼを蒸留水に加えたもの)10μLで再度スポットを付けた。BCIP/NBTでスポットを付けた膜2つに、手作業での洗浄の前と手作業での洗浄の後で、使用済みの胃腸用内視鏡から得られた流体標本10μL(スポット1個あたり)で再度スポットを付けた。4番目のBCIP/NBTでスポットを付けた膜に、スポット1個あたり蒸留水10μLで再度スポットを付けた。
【0115】
純粋な標本と洗浄前の標本のどちらでも酵素および指標の反応生成物による青紫色が、酵素添加後2分以内に表れた。洗浄後の標本には2分以内で目に見える比色反応は認められず、蒸留水だけで処理したスポットにも比色反応は認められなかった。結果を表5に示す。
【0116】
【表10】
【0117】
実施例9
水焼き浴に押し出す代わりに、米国特許第5,120,594号明細書に記載されているように押出後の膜を冷却したパターン付きキャスティングホイールに巻き取ったこと以外は、米国特許第4,539,256号明細書(実施例23)に記載されている方法に従ってHDPE TIPS膜を作成した。
【0118】
いくつかのHDPE TIPS膜を金属フレームに固定し、60:40のIPA:水溶液に2.5%EVOHを加えたものを注いでコーティングし、ゴム製のスプレッダを使ってなめらかに延展し、余分なところを取り除いた。コーティング後の膜を室温にて一晩乾燥させた。ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(PDAMAC)(<100,000MW、40wt%水で供給)を脱イオン水に入れた5:1、2:1、1:1の溶液と、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド(100,000〜200,000MW、20wt%水で供給)を脱イオン水に入れた5:1、2:1、1:1の溶液を注いで、6つの標本にコーティングをし、周囲温度にて空気乾燥させた。EVOHをコーティングした膜とPDAMACをコーティングした膜に、実施例1と同様にしてスポット1個あたりBCIP/NBT溶液10μLのスポットを付け、乾燥させた。次に、これらのスポットに、蒸留水中500μg/mLの濃度で、スポット1個あたりアルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで再度スポットを付けた。
【0119】
PDAMACをコーティングした標本では2分以内に青紫の比色反応が認められたが、EVOHだけをコーティングした標本ではこのようにならなかった。PDAMACをコーティングした標本では、どちらも反応速度が5:1>2:1>1:1であった。結果を表6に示す。
【0120】
【表11】
【0121】
実施例10
マイクロピペットを用いて、スポット1個あたりBCIP/NBT溶液約5マイクロリットルをシリカゲルガラス支持TLCプレート(2.54cm×7.62cm)にたらした。これらのスポットを、モデル番号HG−751ヒートガン(マスターアプリアンスコーポレーション(Master Appliance Corp.)、ウィスコンシン州ラシーヌ)からの温風で乾燥させた。スポットを付けたガラスプレートのうちの1枚を対照として利用し、水浴に入れずにおいた。他のスポットを付けたガラスプレート(試験プレート)を水浴(25℃)に2分間入れ、これを取り出し、ヒートガンを使って再度乾燥させた。次に、アルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液(25mgホスファターゼ/1mL水)5マイクロリットルを試験プレートおよび対照のプレート上の指標スポットにたらした。すべての酵素指標の組み合わせで、指標が反応したことによる紫色が2分以内で目立った。続いて、対照のプレートと試験プレートの両方で色のついたスポットはいずれも、水浴(25℃)に入れても色が洗い流されなかった。この実験の結果から、スポットのある酵素指標は水で洗った後もシリカに結合したまま残り、結合状態で酵素と反応することが分かった。さらに、実験では反応後の酵素指標は水の存在下でシリカに結合したまま残ることが分かった。
【0122】
実施例11
実施例1と同様にして、メトリセルSB−6407膜(第4級アンモニウム基を含み、ポールから入手可能)にBCIP/NBTのスポットを付け、水道水の流水ですすぎ、乾燥させ、アルカリホスファターゼ(シグマ−アルドリッチ)と反応させた。酵素と指標との反応生成物による青紫色が、酵素の添加後2分以内に現れ、これを水で洗い流すことはできなかった。
【0123】
比較例A
テックスワイプ(TexWipe)スワブ(ニュージャージー州アッパーサドルリバーのテックスワイプカンパニーインコーポレイテッド(Texwipe Co, Inc.)の品番TX712A)を、実施例11のメトリセル膜と同じように処理した。実施例11のようにスワブを水で洗うと、指標がスワブから洗い流された。さらに、テックスワイプスワブでの指標と酵素との反応による色も、水道水の流水ですすぐと簡単に洗い流されてしまった。
【0124】
比較例B
以下のステップで、コーティングなしのPP TIPS膜からなる支持材を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、膜にX−glc溶液2mLをDMF中0.0003g/mLの濃度でロードし、この膜を58℃で20分間乾燥させた。続いて、ロードした膜にマイクロピペットを使って100単位/mLの濃度で純粋なβ−グルコシダーゼ溶液10μlのスポットをたらし、発色のために必要な時間を記録して膜の比色反応を試験した。酵素水溶液を表面にスポットしても膜は湿らなかった。反応は何も観察されなかった。
【0125】
実施例12
60:40イソプロピルアルコール:水)に入れたEVAL溶液(2.8%(w/w)EVAL約1mLをプラスチックピペットで分注し、均一に塗りひろげて、HDPE TIPS膜をコーティングした。以下のステップで、さらにコーティング後の膜を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を直径10.08cmの輪状にして固定し、膜にX−glc溶液2mLを0.15g/mLの濃度でロードし、この膜をインキュベータ(マサチューセッツ州アンドーバーのGCAコーポレーション(GCA Corporation)のプレサイションメカニカルコンベクションインキュベータ(Precision Mechanical Convection Incubator))にて58℃で20分間乾燥させた。
【0126】
次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のスポットで、ロード後の膜にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を室温で試験した。実験6では、室温で50分経過後も発色しなかった場合に、実験1〜6を含む膜を10分間インキュベータで58℃まで加熱した。続いて、インキュベータから膜を取り出し、室温まで冷ました。実施例では室温にて一晩、発色させ続けた。結果を表7に示す。
【0127】
【表12】
【0128】
実施例13
以下のステップでレーヨン/PP不織支持体を作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、不織支持体にX−glc溶液2.5mLをDMF中0.15g/mLの濃度でロードし、この膜を58℃で20分間乾燥させた。次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のスポットで、ロード後の支持材にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、X−glcをロードした。不織支持体の比色反応を室温にて試験した。実験6では、室温で21分経過後も発色しなかった場合に、実験1〜6を含む膜を10分間インキュベータで58℃まで加熱した。続いて、インキュベータから膜を取り出し、室温まで冷ました。室温にて一晩、発色させ続けた。比色反応とテクスチャのある背景とのコントラストから、実施例12のTIPS膜支持材の場合よりも色の検出が一層顕著で短時間に行われた。結果を表8に示す。
【0129】
【表13】
【0130】
実施例14
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペット(SAMCOトランスファーピペット(SAMCO Transfer Pipettes)、カリフォルニア州サンフェルナンド)を使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩空気乾燥させ、DMF中0.22g/mLの濃度でX−glc化学物質2mLのスポットを膜にロードし、スポットを付けた膜を58℃で20分間乾燥させた。この膜は、EVALを表面にスポットした場合に限って酵素水溶液で湿った。
【0131】
次に、試薬グレードの水中100、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mLの濃度のEVAL/X−glcスポットで、ロード後の膜にβ−グルコシダーゼ溶液10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を試験した。一晩、発色させ続けた。標本が特定のエリアに限られていたためEVALをコーティングしたHDPE(実施例12)の場合よりも色が鮮やかであったが、反応は速くなかった。結果を表9に示す。
【0132】
【表14】
【0133】
実施例15
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペットを使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩乾燥させ、DMF中0.15g/mLの濃度でX−glc25μLのいくつかの親水性スポットあるいは、DMF中0.15g/mLの濃度でX−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド(Biosynth AG, Inc.))25μLのいくつかの親水性スポットを膜にロードし、スポットを付けた膜を58℃で5分間乾燥させ、膜上の他の親水性スポットにクーマシープラス(Coomassie Plus)(登録商標)タンパク質アッセイ試薬25μLをロードし、58℃で20分間乾燥させた。
【0134】
次に、100単位/mLの濃度で、EVAL/X−glcまたはEVAL/X−galスポットに、それぞれ試薬グレードの水中β−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)20μLまたは試薬グレードの水β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション(Worthington Biochemical Corp.))20μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、スポットを付けた膜の比色反応を試験した。
【0135】
さらに、マイクロバイオロジクス(Microbiologics)から得た緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)MBL 0484をトリプシン大豆ブロス(ベクトンディッキンソンアンドカンパニー(Becton Dickinson and Company)、メリーランド州スパークス)にて37℃で一晩(16時間)増殖させ、スポットを付けた膜の比色反応試験に利用した。マイクロピペットを使って、ウシ血清中緑膿菌(108CFU/mL)の1:10の連続希釈物20μLを各タイプの指標ロード済み親水性スポットにたらした。
【0136】
試薬グレードの水中の酵素β−グルコシダーゼによって、X−glc化学物質に対する反応が1.5分以内に生じた。一方、試薬グレードの水中の酵素β−ガラクトシダーゼではX−gal化学物質に対して1分以内に青い反応が生じた。クーマシー化学物質では緑膿菌培養物の各希釈物に対して20秒以内に反応が生じた。緑膿菌培養物108CFU/mLではX−galまたはX−glc化学物質に対する反応が生じなかった。
【0137】
実施例16
HDPE TIPS膜支持材を以下のステップで作成した。乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、プラスチックピペットを使って60:40イソプロピルアルコール:水中2.8%(w/w)EVALでEVAL溶液を膜にスポットし、スポットを付けた膜を25℃で一晩乾燥させ、膜上の6個の親水性スポットに、X−glc、X−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド)、X−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μLを各々DMF中0.07g/mLの濃度でロードし、膜上の別の6個の親水性スポットに、マゼンタ(Magenta)(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−gal、マゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μlを各々DMFで各0.06g/mLの濃度でロードし、58℃で20分間乾燥させた。
【0138】
次に、マイクロピペットを使い、試薬グレードの水(100単位/mL)中β−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)20μL、試薬グレードの水(100単位/mL)中β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)20μL、ウシ血清20μL、臨床内視鏡ソイル標本(メイヨークリニック、ミネソタ州ロチェスター)20μLを、ロード後の膜上にあるコーティングをした各タイプの親水性スポットにたらし、発色のために必要な時間を記録して、この膜の比色反応を試験した。結腸処置法で結腸鏡の生検組織ルーメンを用いて、結腸鏡の洗浄手順に従ってリン酸緩衝生理食塩水10mLをフラッシュし、臨床内視鏡ソイル標本(患者のソイル)を収集した。
【0139】
β−グルコシダーゼは、マゼンタ(登録商標)の組み合わせで1分以内に反応し、X−化学物質の組み合わせでは2分以内に反応した。β−ガラクトシダーゼは、X−化学物質の組み合わせとマゼンタ(登録商標)化学物質の組み合わせでは各々2分以内に反応した。ウシ血清は10分以内に反応しなかった。メイヨーからのPB78臨床試料では、マゼンタ(登録商標)−glc、マゼンタ(登録商標)−galまたはマゼンタ(登録商標)−phos−p−tol化学物質の組み合わせで4分以内に反応し、X−glc、X−galまたはX−phos−p−tol化学物質の組み合わせでは6分以内に反応した。
【0140】
実施例17
実施例15で説明したようにして、HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、EVAL溶液のスポットを付け、乾燥させた。次に、スポットを付けた膜に、ヘキサデカン中1:1000のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシラン1.5mLをコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄し、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理後の膜上の親水性スポットに、支持体全体/mL(0.07gX−化学物質/各化学物質1mL)0.2gの濃度で、DMF中X−glc、X−gal(バイオシンスAGインコーポレイテッド)、X−phos−p−tol化学物質の組み合わせ20μLでスポットを付け、約20分間反応させた。0.14MのNaCl(EMサイエンス(EM Science)、ニュージャージー州ギブスタウン)、0.006MのK2HPO4(シグマ−アルドリッチ)、0.02MのKH2PO4(シグマ−アルドリッチ)とを組み合わせて、pH7.4のPBS緩衝液を調製した。処理後の膜をPBS緩衝液と1%トゥイーン(Tween)(登録商標)80で2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0141】
続いて、実施例16のようにして調製したβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)、β−ガラクトシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)、ウシ血清、臨床内視鏡ソイル標本20μLで膜上の親水性スポットの比色反応を試験し、発色に必要な時間を記録した。発色までに必要な時間は2分間の時間以内ではなかったが、β−グルコシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、さらにはX−gal、X−glc、X−phosと組み合わせた汚れた内視鏡標本1つで2時間以内に発色した。
【0142】
実施例18
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、実施例12で説明したようなEVALで膜をコーティングし、コーティング後の膜に4−MU−β−D−glc化学物質2mLを0.0003g/mLの濃度でロードし、58℃で20分間乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。
【0143】
次に、ロード後の膜に、純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで、試薬グレードの水中50、25、12.5、6.3、3.1単位/mL希釈物の濃度でスポットを付け、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表10に示す。
【0144】
【表15】
【0145】
実施例19
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、この不織材に4−MU−β−D−glc化学物質3mLをDMF中0.0003g/mLの濃度でコーティングし、58℃で20分間乾燥させて、レーヨン/PP不織支持体を作成した。次に、ロード後の膜に、純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLで、試薬グレードの水中50、25、12.5、6.3,3.1単位/mL希釈物の濃度でスポットを付け、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、膜の蛍光反応を試験した。結果を表11に示す。
【0146】
【表16】
【0147】
実施例20
HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、実施例18で説明したようにしてEVAL溶液でコーティングした後、ヘキサデカン中1:1000のω−サッカリンアミドウンデシルトリクロロシラン1.5mLでコーティングし、20分間反応させ、MEKで洗浄し、3回空気乾燥させた。乾燥後、処理後の膜に、DMF中0.0003g/mLの濃度で4−MU−β−D−glc化学物質の溶液20μLをコーティングし、実施例17で説明したようにして調製したpH7.4のPBS緩衝液と1%トゥイーン(登録商標)80で2回洗浄し、空気乾燥させた。
【0148】
マイクロピペットを使ってβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)10μLのスポットを膜にたらし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、コーティング後の膜の蛍光反応を試験した。100単位/mLでの酵素溶液に対する蛍光反応が即座に起こった。
【0149】
実施例21
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、DMF中0.0003g/mLの濃度で4−MU−β−D−glc化学物質3mLを膜にコーティングし、58℃で20分間乾燥させて、GHP−450膜支持材を作成した。次に、試薬グレードの水中、50、25、12.5、6.3、3.1単位/mL希釈物の濃度で、ロード後の膜に純粋なβ−グルコシダーゼ(シグマ−アルドリッチ)溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表12に示す。
【0150】
【表17】
【0151】
実施例22
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、膜に実施例12で説明したようなEVALをコーティングした後、0.8mg/mLの濃度でOPA溶液2mLをコーティングし、58℃で30分間乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。次に、試薬グレードの水中2、1、0.5、0.25、0.13、0.06mg/mLの濃度で、ロード後の膜にBSA溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この膜の蛍光反応を試験した。結果を表13に示す。
【0152】
【表18】
【0153】
実施例23
乾燥ステップの間の収縮を回避するために不織材を輪状にして固定し、0.8mg/mLの濃度でOPA溶液3mLを膜にロードし、58℃で30分間乾燥させて、レーヨン/PP不織支持体を作成した。次に、マイクロピペットを使用して、試薬グレードの水中2、1、0.5、0.25、0.13、0.06mg/mLの濃度でロード後の膜にBSA溶液10μLをスポットし、蛍光反応が起こるまで膜をUV光(365nm)に曝露し、時間を記録して、この不織支持体の蛍光反応を試験した。結果を表14に示す。
【0154】
【表19】
【0155】
実施例24
まず脱イオン水10mLに5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩25mgを溶解させた後、脱イオン水10mLにNBT50mgを溶解させ、2種類の溶液を調製した。次に、実施例2で説明したようにして10mLずつ4種類のTRIS緩衝溶液(A、B、C、D)を調製した。緩衝溶液Aに、MnCl2250mgを加えた。緩衝溶液Bに、MgCl2250mgを加えた。緩衝溶液Cに、MgCl2250mgとMnCl2250mgとを加えた。緩衝溶液Dには金属塩を添加しなかった。5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩/水溶液400μLと、NBT/水溶液100μLと、緩衝溶液A、B、CまたはD500μLとを組み合わせて、4種類の5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩/NBT/緩衝溶液を調製した。このようにして得られる4種類の指標溶液を、それぞれ指標溶液1、2、3および4とした。4種類の溶液各々5マイクロリットルを、マイクロピペットでバイオダインBフィルムにスポット状にたらした。このスポットを室温にて30分間空気乾燥させた。各スポットに、1.79単位/mLの濃度でアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルのスポットを再度付けた。発色までに必要な時間、フィルムでの最初の指標スポット色、周囲温度ならびに光のある条件で1日および1週間老化後の指標スポットの色を記録した。
【0156】
MnCl2およびMgCl2を含有する標本では、アルカリホスファターゼ酵素を用いた場合の発色に短い時間しかかからないことが分かった。MgCl2だけを含む標本では、指標溶液4(MnCl2とMgCl2のどちらも含有しない)と同じように老化したスポットの色が得られた。マンガン塩含有スポットの黄色が、未反応の指標と反応した指標の茶黒色のどちらとも良好なコントラストをなした。結果を表15に示す。
【0157】
【表20】
【0158】
実施例25
実施例15で説明したようにして、HDPE TIPS膜支持材を輪状にし、EVAL溶液でスポットを付け、乾燥させた。続いて、膜上の各親水性スポットに、X−gal(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッド)200μLと鉄緩衝液1mLとを組み合わせて調製したX−gal溶液10μL、BCIP4mLと、NBT1mLと、TRIS緩衝液5mLとを組み合わせて調製したBCIP/NBT(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッドから入手した3成分ホスファターゼ支持体系)10μL、水0.3g/Lと組み合わせて121℃で15分間オートクレーブし調製した4−MU−β−D−gal10μL、水0.3g/Lを組み合わせて121℃で15分間オートクレーブして調製した4−MU−β−D−glc10μL、あるいは100マイクロリットルのDMFに0.03gを溶解させ、水100mLで希釈して調製した4−MU−phos10μLをロードした。この溶液をマイクロピペットで膜にたらし、室温で空気乾燥させた。
【0159】
次に、ロード後の膜上のコーティング後の各タイプの親水性スポットについて、188、18.8、9.4、1.88単位/mLの濃度で試薬グレードの水中β−ガラクトシダーゼ(シグマ)10μL、50、5、2.5、0.5単位/mLの濃度で試薬グレードの水中β−グルコシダーゼ(ワージントンバイオケミカルコーポレーション)10μL、あるいは3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度で試薬グレードの水中アルカリホスファターゼ(カルバイオケム)10μLをたらすマイクロピペットを使い、発色のために必要な時間を記録して、膜の比色反応を試験した。結果を表16に示す。
【0160】
【表21】
【0161】
実施例26
乾燥ステップの間の収縮を回避するために膜を輪状にして固定し、実施例12で説明したようなEVALを膜にコーティングした後、BCIP4mLと、NBT1mLと、TRIS緩衝液5mLとを組み合わせて調製したBCIP/NBT(キルケガードアンドペリーラボラトリーズインコーポレイテッドから入手した3成分ホスファターゼ支持体系)10μL6滴をマイクロピペットを使ってスポット状にたらし、室温で空気乾燥させて、HDPE TIPS膜支持材を作成した。
【0162】
次に、BCIP/NBTの5個のスポットに3582、358、35.8、3.58、0.358単位/mLの濃度で試薬グレードの水中アルカリホスファターゼ(カルバイオケム)10μLをたらすマイクロピペットを使い、この膜の比色反応を試験した。6番目のBCIP/NBTスポットは、水10μLで同じように試験した。発色のために必要な時間を記録した。結果を表17に示す。
【0163】
【表22】
【0164】
実施例27
まず、脱イオン水10mLに5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート二ナトリウム塩5mgを溶解させた後、脱イオン水10mLにNBT50mgを溶解させ、2種類の溶液を調製した。次に、実施例2で説明したようにしてTRIS緩衝溶液10mLを調製し、MnCl2100mgとMgCl2100mgとを加えた。続いて、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート溶液300マイクロリットルとNBT溶液300マイクロリットルとを、MgCl2およびMnCl2を含有するTRIS緩衝溶液400マイクロリットルと合わせた。指標溶液5マイクロリットルを用いて、マイクロピペットを使ってバイオダインBフィルム片(1cm×3cm)に30個のスポット(直径1mm、1mm間隔)を形成した。内視鏡の生検組織チャネルの内側をシミュレートしたポリエチレンチューブに、患者の汚れた内視鏡から得た内容物2mLを充填した後、空にした。10秒以内に、スポットを付けたバイオダインBフィルムを汚れたポリエチレンチューブのルーメンを介して押し付けた。20秒以内に比色反応が生じたことから、患者の汚れた内視鏡の内容物で汚れたポリエチレンルーメン中にアルカリホスファターゼが存在していることが分かった。
【0165】
実施例28
いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を3種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理し、ディップコーティングによって湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。まず、pH=4になるように硫酸を滴下して加えて、95パーセント水/5パーセントエタノールのわずかに酸性の溶液を調製した。この酸性溶液に、それぞれ5/5/90の比でGPSと各アミノシランとを加えた。不織材をアミノシラン溶液のうちのひとつに浸漬させた後、2種類のエタノール浴に連続して浸漬させ、オーブン(モデルLFD1−42−3としてミネソタ州レイクビルのデスパッチ(Despatch)から市販)中にて70℃で1.5から2時間かけて熱硬化させた。アミン含有不織材との比較のため、不織材の標本ひとつを未処理のまま残し、標本ひとつをGPSだけで処理(アミン基なし)した。
【0166】
マイクロピペットを利用して、アミノシラン処理標本、未処理標本、GPS処理標本の3種類各々に、NBT/BCIP1−ステップ(Step)(登録商標)溶液のいくつかの5−マイクロリットルスポットを作成した。これらのスポットを少なくとも30分間室温にて空気乾燥させた。次に、3.5、1.75、0.35、0.175単位/mL濃度のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルを、マイクロピペットを使って不織支持体上のNBT/BCIPの乾燥させたスポットにたらした。比較のため、NBT/BCIPの別の乾燥させたスポットに、マイクロピペットを使って滅菌した超純水(酵素0単位/mL)5マイクロリットルをたらした。色の第1の見た目に必要な時間を記録し、結果を表18に示す。
【0167】
未反応のNBT/BCIP 1−ステップ(登録商標)溶液の背景色が経時的に変化したか否かを判断するために、不織支持体上のNBT/BCIPの未反応の乾燥させたスポットいくつかで、最初の色と1日後の色の変化を観察した。観察結果を表19にあげておく。
【0168】
【表23】
【0169】
【表24】
【0170】
実施例29
実施例28で説明したようにして、いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、3種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムのうちのいずれか1つで処理し、湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。さらに、不織材の標本ひとつを未処理のまま残した。溶液A、溶液B、溶液Cとした3種類の溶液を、実施例3および24で説明した溶液と同じようにして調製した。BCIP25mgを脱イオン水10mLと組み合わせて、溶液Aを調製した。NBT15mgを脱イオン水10mLに溶解させて、溶液Bを調製した。MnCl2およびMgCl2各々250mgを組み合わせて、TRIS緩衝液(pH=8.9)10mLに溶解させて溶液Cを調製した。TRIS緩衝液については、実施例2の説明に従って調製した。溶液Aを400マイクロリットルと、溶液Bを100マイクロリットルと、溶液Cを500マイクロリットルとを組み合わせて、指標溶液を調製し、MnCl2およびMgCl2塩を用いて4:1:5BCIP:NBT:TRIS緩衝液の比とした。マイクロピペットを使って、3種類のアミノシラン処理標本と未処理標本の各々に、4:1:5指標溶液のいくつかの5−マイクロリットル滴をスポット状のパターンにたらした。これらのスポットを室温にて少なくとも30分間空気乾燥させた。次に、1.00、0.50、0.10、0.05、0.01単位/mLの濃度のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)5マイクロリットルを、マイクロピペットを使って指標溶液の乾燥させたスポットにたらした。比較のため、指標溶液の別の乾燥させたスポットに、マイクロピペットを使って脱イオン水(酵素0単位/mL)5マイクロリットルをたらした。特徴的な紫−黒色の第1の見た目に必要な時間を記録し、結果を表20に示す。
【0171】
未反応の4:1:5BCIP:NBT:TRIS緩衝液およびMnCl2およびMgCl2塩の背景色が経時的に変化したか否かを判断するために、不織支持体上の未反応の乾燥させたスポットいくつかで、最初の色と1日後(乾燥)の色の変化を観察した。さらに、指標色の安定性を判断するために、反応後の乾燥標本と未反応の乾燥標本の両方を1日(湿り)および1週間(湿り)水に浸し、色の変化を観察した。(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンおよびN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理した標本では、酵素との反応の前後にBCIP/NBT/TRIS溶液を使うと安定した色が認められた。結果を表21に示す。
【0172】
【表25】
【0173】
【表26】
【0174】
【表27】
【0175】
実施例30
実施例28で説明したようにして、いくつかの70%レーヨン/30%ポリエステル不織支持体を、2種類のアミン含有シランすなわち、(N−トリメトキシシリルプロピル)ポリエチレンイミンとN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウムで処理し、湿潤剤である3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPS)で処理した。さらに、不織材の標本ひとつを未処理のまま残した。マイクロピペットを使って、2種類のアミノシラン処理標本と未処理標本の各々に、実施例29で説明したようにして調製した4:1:5指標溶液のいくつかの5−マイクロリットル滴をスポット状のパターンにたらした。これらのスポットを室温にて少なくとも30分間空気乾燥させた。6つ(処理と未処理各々2つずつ)の乾燥標本を使って、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上のアルカリホスファターゼ(カルバイオケム)(1単位/ミリリットル)の10マイクロリットルの滴の拭き取りに利用した。別の6つ(処理と未処理各々2つずつ)の乾燥標本を完全に湿るまで超純水に浸し、2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)のスライドガラス上のアルカリホスファターゼ(3.5単位/ミリリットル)の20マイクロリットルの滴の拭き取りに利用した。特徴的な紫−黒色の第1の見た目までの時間を記録した。アミノシラン処理不織材では乾燥した状態と湿った状態のどちらで使用したときにも色の変化が見られ、元の指示滴の形が維持された。対照標本では、酵素との反応後に指標化学物質のしみが生じた。結果を表22に示す。
【0176】
【表28】
【0177】
実施例31
検尿用のマルチスティックス(登録商標)試薬ストリップ(ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアLLC、診断部門から市販)から血液検出パッドを取り除いた。この血液検出パッドを水道水に浸漬し、1分間、3分間および5分間浸しておいた。続いて、パッドを羊の脱線維血液の1:10,000希釈物(オレゴン州ウィルソンビルのPMLマイクロバイオロジカルズ(PML Microbiologicals)から市販、カタログ番号A0408)に浸漬した。下記の結果から、事前に5分間水に浸したにもかかわらず血液検出パッドが希釈血液を検出可能であったことが分かる。結果を表23に示す。
【0178】
【表29】
【0179】
希釈血液検出実験(上記)を行った後、濃い緑(反応)のパッドを再度水に入れた。血液検出による緑色の強度は、実験を行った72時間のあいだ目立って低減されることがなかった。
【0180】
実施例32
血液検出パッド以外、検尿用マルチスティックス(登録商標)試薬ストリップ(ニューヨーク州タリタウンのバイエルヘルスケアLLC、診断部門から市販)のすべての検出パッドを取り除いた。血液検出パッドの検出限界は0.015mgヘモグロビン/尿1デシリットルである。3Mスコッチテープ(3M Scotch Tape)(3/4インチ幅のサテン;ミネソタ州セントポールの3Mから市販)を検出パッドの上におき、液体がテープの穴を通り抜けて検出パッドと接触するような方法で、「エグザクト(Exact)」タイプのホビーナイフを使ってテープに約0.5mmの穴をあけた。指標パッドを水道水の中に10分間おいた後、パッドが黄色に見えた。続いて、パッドを1:10,000羊血液中においた。25秒後、上にかぶせたテープの穴があいた部分にある検出パッドに濃い緑のスポットが見えた。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1a】本発明による固体支持部材の一実施形態の一部を示す側断面図である。
【図1b】本発明による固体支持部材のもうひとつの実施形態の一部を示す側断面図である。
【図1c】本発明による固体支持部材のもうひとつの実施形態の一部を示す側断面図である。
【図2】本発明による検出器の実施形態を表す斜視図である。
【図3】図2に示す実施形態の特徴についての実施形態の斜視図である。
【図4】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図5】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図6】図2に示す実施形態の特徴についての他の実施形態の斜視図である。
【図7】本発明による検出器の実施形態の斜視図である。
【図8】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の斜視図である。
【図9】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の斜視図である。
【図10】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図11】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図12】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のさまざまな実施形態を示す図である。
【図13a】本発明の特徴についてのもうひとつの実施形態を示す側面図である。
【図13b】本発明による図13aの装置を使用する方法を説明するための、部分的に断面で示した側面図である。
【図14】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のもうひとつの実施形態を示している。
【図15】本発明による検出器用の保持部材および固体支持部材のもうひとつの実施形態を示している。
【図16】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図17】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図18】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図19】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図20】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図21】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の特徴についてのさまざまな図である。
【図22a】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図22b】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図22c】本発明の実施形態で利用できるパターンについてのさまざまな図である。
【図23】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の側面図を示している。
【図24】本発明による検出器のもうひとつの実施形態の側面図を示している。
【図25】図24の検出器の斜視図を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持部材と、
前記固体支持部材に固定された特異的指標と、を含み、
前記固体支持体および特異的指標は、表面の接触に用いられる液体との接触を容易にすべく配置されているバイオロジカルソイル検出器。
【請求項2】
前記固体支持部材が、少なくとも1種のポリマーと、無機物質と、有機および無機混合物質と、からなる群から選択される第1の材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項3】
前記ポリマーが官能基を含有するポリマーから選択され、前記官能基が、カルボキシルおよびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、イミダゾール、ならびに上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項4】
官能基を含有する前記ポリマーが、カルボキシル含有ポリマー、ポリアルコキシレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、セルロース、レーヨン、ポリホスフェート、ポリペプチド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択されるポリマーおよびコポリマーを含む、請求項3に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項5】
前記無機物質が、金属酸化物、水和物、金属−ヒドロキシル、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項6】
前記有機および無機混合物質が、ポリマー系複合材料、セラマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項7】
前記固体支持部材が、少なくとも1種のポリマー、無機物質、有機および無機混合物質からなる群から選択される第1の材料と、前記第1の材料に取り付けられた第2の材料と、を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項8】
前記第1の材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、および上記の組み合わせから選択される、請求項7に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項9】
前記第2の材料が親水性であり、モノマー、ポリマー、反応性金属アルコキシド、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項10】
前記第2の材料が、カルボキシルおよびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン、グリシジル、スクシンイミド、イミダゾール、および上記の2以上の組み合わせから選択される1以上の官能基を含む、請求項9に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項11】
前記固体支持部材が、フィルム、不織材、織物材、編んだ材料、網状フォーム、開放気泡フォーム、多孔性セラミック無機フリット、繊維、粒子コート支持材、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ、およびポリマー膜からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項12】
前記ポリマー膜が、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレン−ビニルコポリマー、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含む熱的に誘導した相分離膜を含む、請求項11に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項13】
前記固体支持部材が、親水性コーティングをさらに含む、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項14】
前記特異的指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、ポリジアセチレン、ブラッドフォード試料、ローリー、ビウレット試料、ビシンコニン酸(BCA)、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項15】
前記特異的指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェートからなる群から選択される1以上のインドリル官能性指標との組み合わせでNBTを含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項16】
前記特異的指標が、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム、および上記の1以上の組み合わせから選択される一価または二価の金属イオンをさらに含む、請求項15に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項17】
前記特異的指標が、タンパク質、エンドトキシン、酵素、ヌクレオチド、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択されるバイオロジカルソイルの成分を検出するよう選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項18】
前記ヌクレオチドがアデノシン三リン酸である、請求項17に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項19】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、ラクトシダーゼ、およびこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項20】
特異的指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するよう選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項21】
前記固体支持部材および前記特異的指標を支持する保持部材をさらに含み、前記保持部材が、前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように配置されている、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項22】
前記保持部材が前記液体を収集し保持できる容器であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記液体を前記容器に収集したときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記容器内に配置されている、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項23】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体を導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材内に配置されている、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項24】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記流体入口と前記流体出口との間で前記保持部材内に配置されている、請求項23に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項25】
前記検出器が、前記保持部材内または前記保持部材を介しての液体の流れを容易にするために前記保持部材に関連付けられた真空ポンプをさらに含む、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項26】
前記特異的指標が血液の存在に敏感な材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項27】
前記特異的指標が、1以上の血液タンパク質に敏感な材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項28】
前記特異的指標が、ペルオキシドおよびヘムの生成物と反応できる化合物、イムノ試料ベースの試験で有用な材料、タグ付き抗体、並びに上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項29】
前記特異的指標が3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項30】
前記固体支持部材および前記特異的指標を支持する保持部材をさらに含み、前記保持部材が、前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように配置されている、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項31】
前記保持部材が前記液体を収集し保持できる容器であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記液体を前記容器に収集したときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記容器内に配置されている、請求項30に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項32】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体を導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材内に配置されている、請求項30に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項33】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記流体入口と前記流体出口との間で前記保持部材内に配置されている、請求項32に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項34】
乾いているときに第1の外観を呈し、前記液体に触れたときに第2の外観を呈するフロー指標をさらに含む、請求項33に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項35】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体をチャネルで導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材上に配置されている、請求項17に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項36】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持体および特異的指標が前記流体入口の近くに配置されている、請求項35に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項37】
乾いているときに第1の外観を呈し、前記液体に触れたときに第2の外観を呈するフロー指標をさらに含む、請求項36に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項38】
前記フロー指標の第2の外観が、前記特異的指標が前記液体に触れたことを示す指標となるように、前記フロー指標が前記特異的指標の近くに配置されている、請求項37に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項39】
表面に関連付けられたバイオソイルを検出するための方法であって、
前記表面を液体と接触させるステップと、
前記液体が前記表面と接触した後に、この液体を請求項1に記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
前記固体支持部材の検出可能な反応を検査して、前記特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、方法。
【請求項40】
前記表面が医用装置内のチャネルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記医用装置が内視鏡である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
表面に関連付けられたバイオソイルを検出するための方法であって、
前記表面を液体と接触させるステップと、
前記液体が前記表面と接触した後に、この液体を請求項26に記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
前記固体支持部材の検出可能な反応を検査して、前記特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、方法。
【請求項43】
前記表面が医用装置内のチャネルである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記医用装置が内視鏡である、請求項42に記載の方法。
【請求項1】
固体支持部材と、
前記固体支持部材に固定された特異的指標と、を含み、
前記固体支持体および特異的指標は、表面の接触に用いられる液体との接触を容易にすべく配置されているバイオロジカルソイル検出器。
【請求項2】
前記固体支持部材が、少なくとも1種のポリマーと、無機物質と、有機および無機混合物質と、からなる群から選択される第1の材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項3】
前記ポリマーが官能基を含有するポリマーから選択され、前記官能基が、カルボキシルおよびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、イミダゾール、ならびに上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項4】
官能基を含有する前記ポリマーが、カルボキシル含有ポリマー、ポリアルコキシレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン−ビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、セルロース、レーヨン、ポリホスフェート、ポリペプチド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択されるポリマーおよびコポリマーを含む、請求項3に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項5】
前記無機物質が、金属酸化物、水和物、金属−ヒドロキシル、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項6】
前記有機および無機混合物質が、ポリマー系複合材料、セラマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項7】
前記固体支持部材が、少なくとも1種のポリマー、無機物質、有機および無機混合物質からなる群から選択される第1の材料と、前記第1の材料に取り付けられた第2の材料と、を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項8】
前記第1の材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルスルホン、ガラス、シリカ、セルロース、レーヨン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、および上記の組み合わせから選択される、請求項7に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項9】
前記第2の材料が親水性であり、モノマー、ポリマー、反応性金属アルコキシド、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項10】
前記第2の材料が、カルボキシルおよびこれらの塩、アルデヒド、スルホン酸およびこれらの塩、ホスホン酸およびこれらの塩、アルコール、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、アミド、イミド、第4級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジン、環状アミド、オキシアルキレン、ω−サッカリンアミドウンデシルシロキサン、グリシジル、スクシンイミド、イミダゾール、および上記の2以上の組み合わせから選択される1以上の官能基を含む、請求項9に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項11】
前記固体支持部材が、フィルム、不織材、織物材、編んだ材料、網状フォーム、開放気泡フォーム、多孔性セラミック無機フリット、繊維、粒子コート支持材、焼結粒子、焼結繊維、スポンジ、およびポリマー膜からなる群から選択される材料を含む、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項12】
前記ポリマー膜が、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレン−ビニルコポリマー、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含む熱的に誘導した相分離膜を含む、請求項11に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項13】
前記固体支持部材が、親水性コーティングをさらに含む、請求項2に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項14】
前記特異的指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート、エスクリン、オルトフタルジアルデヒド(OPA)、ポリジアセチレン、ブラッドフォード試料、ローリー、ビウレット試料、ビシンコニン酸(BCA)、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項15】
前記特異的指標が、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、および5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルホスフェートからなる群から選択される1以上のインドリル官能性指標との組み合わせでNBTを含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項16】
前記特異的指標が、ナトリウム、カリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム、および上記の1以上の組み合わせから選択される一価または二価の金属イオンをさらに含む、請求項15に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項17】
前記特異的指標が、タンパク質、エンドトキシン、酵素、ヌクレオチド、および上記の2以上の組み合わせからなる群から選択されるバイオロジカルソイルの成分を検出するよう選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項18】
前記ヌクレオチドがアデノシン三リン酸である、請求項17に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項19】
前記酵素が、ガラクトシダーゼ、ホスファターゼ、グルコシダーゼ、ラクトシダーゼ、およびこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項20】
特異的指標が、スルファターゼまたは脂肪酸エステラーゼを検出するよう選択される、請求項1に記載のバイオロジカルソイル指標。
【請求項21】
前記固体支持部材および前記特異的指標を支持する保持部材をさらに含み、前記保持部材が、前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように配置されている、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項22】
前記保持部材が前記液体を収集し保持できる容器であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記液体を前記容器に収集したときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記容器内に配置されている、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項23】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体を導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材内に配置されている、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項24】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記流体入口と前記流体出口との間で前記保持部材内に配置されている、請求項23に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項25】
前記検出器が、前記保持部材内または前記保持部材を介しての液体の流れを容易にするために前記保持部材に関連付けられた真空ポンプをさらに含む、請求項21に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項26】
前記特異的指標が血液の存在に敏感な材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項27】
前記特異的指標が、1以上の血液タンパク質に敏感な材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項28】
前記特異的指標が、ペルオキシドおよびヘムの生成物と反応できる化合物、イムノ試料ベースの試験で有用な材料、タグ付き抗体、並びに上記の2以上の組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項29】
前記特異的指標が3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを含む、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項30】
前記固体支持部材および前記特異的指標を支持する保持部材をさらに含み、前記保持部材が、前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように配置されている、請求項1に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項31】
前記保持部材が前記液体を収集し保持できる容器であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記液体を前記容器に収集したときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記容器内に配置されている、請求項30に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項32】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体を導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材内に配置されている、請求項30に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項33】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持部材および特異的指標が、前記流体入口と前記流体出口との間で前記保持部材内に配置されている、請求項32に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項34】
乾いているときに第1の外観を呈し、前記液体に触れたときに第2の外観を呈するフロー指標をさらに含む、請求項33に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項35】
前記保持部材が、これを介して前記液体を導くことができる構造を含み、前記固体支持部材および特異的指標が、前記保持部材を介して前記液体をチャネルで導くときに前記液体と前記固体支持部材との間の接触を容易にするように前記保持部材上に配置されている、請求項17に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項36】
前記保持部材が、前記液体が前記保持部材に入るときに通る流体入口と、前記液体が前記保持部材から出るときに通る流体出口とを有する管状部材であり、前記固体支持体および特異的指標が前記流体入口の近くに配置されている、請求項35に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項37】
乾いているときに第1の外観を呈し、前記液体に触れたときに第2の外観を呈するフロー指標をさらに含む、請求項36に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項38】
前記フロー指標の第2の外観が、前記特異的指標が前記液体に触れたことを示す指標となるように、前記フロー指標が前記特異的指標の近くに配置されている、請求項37に記載のバイオロジカルソイル検出器。
【請求項39】
表面に関連付けられたバイオソイルを検出するための方法であって、
前記表面を液体と接触させるステップと、
前記液体が前記表面と接触した後に、この液体を請求項1に記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
前記固体支持部材の検出可能な反応を検査して、前記特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、方法。
【請求項40】
前記表面が医用装置内のチャネルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記医用装置が内視鏡である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
表面に関連付けられたバイオソイルを検出するための方法であって、
前記表面を液体と接触させるステップと、
前記液体が前記表面と接触した後に、この液体を請求項26に記載の検出器の固体支持部材および特異的指標と接触させるステップと、
前記固体支持部材の検出可能な反応を検査して、前記特異的指標がバイオロジカルソイルと相互作用したか否かを判断するステップと、を含む、方法。
【請求項43】
前記表面が医用装置内のチャネルである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記医用装置が内視鏡である、請求項42に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図22c】
【図23】
【図24】
【図25】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図22c】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2007−536556(P2007−536556A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513146(P2007−513146)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/011831
【国際公開番号】WO2005/113796
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/011831
【国際公開番号】WO2005/113796
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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