説明

バインダレスゼオライト系吸着剤、バインダレスゼオライト系吸着剤の作製方法、およびバインダレスゼオライト系吸着剤を用いた混合キシレンからのパラ−キシレンの吸着分離のための方法

バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤、その作製方法、および液相吸着分離プロセスにおけるその使用方法を提供する。吸着剤は、x重量%のカオリンクレイバインダーから形成されるバインダー変換ゼオライト部分、および(100−x)重量%の、シリカ:アルミナのモル比が2.5である非変換ゼオライトXを含む。カオリンクレイバインダーは、10から20重量%の範囲である。吸着剤中のカチオン交換性部位はBaおよびKによって占められている。バインダレスBaKXゼオライト吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である。コーンスターチをゼオライトXおよびカオリンクレイバインダーに添加して、吸着剤のマクロ多孔性および細孔体積を増加させてもよい。吸着剤の生産性が改善され、プロセスの運転コストが低減される。また、吸着剤の機械強度も改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト系吸着剤、その作製方法、および吸着分離プロセスにおけるその使用方法全般に関し、より詳細には、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤、その作製方法、およびバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を用いた液相擬似移動床式吸着プロセスにおける混合キシレンからのパラ−キシレンの回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
擬似移動床式(SMB)吸着プロセスは、高純度パラ−キシレン(PX)を混合キシレンから回収するための数多くの大スケール石油化学分離において商業的に用いられている。本明細書で用いる「混合キシレン」とは、エチルベンゼン(EB)、パラ−キシレン(p−キシレンまたはPX)、メタ−キシレン(MX)、およびオルソ−キシレン(OX)を含むC芳香族異性体の混合物を意味する。高純度パラ−キシレンは、ポリエステル繊維、樹脂、およびフィルムの生産に用いられている。パラ−キシレンは、通常、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)に変換され、次にこれは、エチレングリコールと反応させて、ほとんどのポリエステルの原料であるポリエチレンテレフタレート(PET)を形成させる。
【0003】
擬似移動床式吸着分離プロセスの実施に用いられる一般的な技術は、広く報告されており、実行されている。一般的に、このプロセスは、吸着剤に対する液体供給の連続する向流により吸着剤の移動床を模するものである。供給物および生成物は、ほぼ一定の組成にて、連続的に吸着剤床に投入され、およびそこから抜き出される。分離は、吸着剤のパラ−キシレンに対する親和性がその他のC芳香族異性体と比較して異なることを利用することで行われる。
【0004】
擬似移動床式吸着プロセスに用いられる典型的な吸着剤としては、一般的には、結晶アルミノシリケートゼオライトが挙げられ、天然および合成のいずれのアルミノシリケートも含み得る。パラ−キシレンに選択的な吸着剤としての使用に適する結晶アルミノシリケートゼオライトとしては、アルミナおよびシリカの四面体がオープンな三次元結晶ネットワーク中で互いに密接して連結するアルミノシリケートのかご型構造を有するものが挙げられる。この四面体は、酸素原子を共有することで架橋しており、ゼオライトを部分的または完全に脱水する前は、四面体間の空間は水分子によって占められている。脱水により、結晶中に分子サイズのチャネルが点在する結果となる。水和状態では、結晶アルミノシリケートゼオライトは、一般に、式:MO:Al:wSiO:yHO、で表され、ここで、「M」は、四面体の電気原子価を平衡させるカチオンであり、一般的には、カチオン交換性部位と称され、「n」は、カチオンの原子価を表し、「w」は、SiOのモル数を表し、「y」は、水のモル数を表す。吸着剤として有用であるこのような結晶アルミノシリケートゼオライトは、比較的良く解明された細孔構造を持つ。アルミノシリケートゼオライトの厳密な種類は、一般に、特定のシリカ:アルミナのモル比、およびかご構造の細孔サイズによって識別される。
【0005】
ゼオライト系吸着剤のカチオン交換性部位を占めるカチオン(M)は、結晶アルミノシリケートの分野の当業者に周知であるイオン交換法によって他のカチオンに置換され得る。ゼオライトのカチオン交換性部位にバリウムおよびカリウムカチオンを持つゼオライトXなどの結晶アルミノシリケートは、少なくとも1つの他のC芳香族異性体を含む混合物中にてパラ−キシレンを選択的に吸着することが知られている。
【0006】
一般に、分離プロセスに用いられるゼオライト系吸着剤は、液体が結晶物質へ到達することを可能とするチャネルおよびキャビティをその中に有するアモルファス物質または無機マトリックス中に分散されたゼオライト系結晶物質を含有する。シリカ、アルミナ、または特定のクレイ、およびこれらの混合物は、そのような無機マトリックス物質の典型であり、これらは、「バインダー」として作用し、これがなければ微細粉末を含むことになるであろうゼオライト結晶の粒子を形成または凝集させる。凝集したゼオライト系吸着剤は、従って、押出し物、集合体、錠剤、ビーズなどのマクロスフェア、または顆粒、などの粒子の形態であり得る。
【0007】
バインダーは、通常は不活性であり、吸着にはまったく寄与しない。「ゼオライト化(zeolitization)」と称される変換プロセスにてバインダーを選択性ゼオライトに変換することにより、ゼオライト系吸着剤の強度およびマクロ多孔性は維持したまま、吸着剤中の選択性部分(ゼオライト体積)を増加させて吸着剤の生産性を改善する試みが行われてきた。この変換プロセスにより、「バインダレス(binderless)」ゼオライト系吸着剤が得られる。この変換プロセスの結果として吸着剤の生産性は向上したが、吸着分離プロセスにおけるなおさらなるプロセス性能の向上、および運転コストの低減が求められている。
【発明の概要】
【0008】
従って、バインダレス吸着剤、およびプロセス性能が改善され、運転コストが低減されるようにバインダレス吸着剤を用いた液相分離プロセスにて混合キシレンから高純度パラ−キシレンを回収する方法を提供することが望ましい。加えて、一定の供給量の処理に要する吸着剤および脱着剤の量を低減し、ならびにメソおよびマクロ多孔性、物質移動速度、および機械強度が増加されたバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を提供することも望ましい。また、そのようなバインダレス吸着剤を形成するための方法を提供することも望ましい。さらに、本発明のその他の望ましい特色および特徴は、添付の図面およびこの背景技術と合わせて、以下の本発明の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0009】
本発明は、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の作製方法、およびバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を用いた混合キシレンからのパラ−キシレンの吸着分離のための方法を提供する。このバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は:
x重量パーセント(重量%)の不活性クレイバインダーから形成され、ここで、xは、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の10重量%から20重量%の範囲である、バインダー変換ゼオライト部分;
(100−x)重量%の、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5であるゼオライトX;及び、
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤内のカチオン交換性部位におけるバリウム(Ba)およびカリウム(K)カチオンであって、ここで、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である、BaおよびKカチオン、を含む。バインダー変換ゼオライト部分およびゼオライトXは、バインダー変換ゼオライト部分の形成前にコーンスターチと混合してよい。コーンスターチは、バインダー変換ゼオライト部分およびゼオライトXを合わせた重量%の0から5重量パーセントを占める。ゼオライトX、不活性クレイバインダー、コーンスターチ、K、およびBaの重量パーセントは、揮発成分を含まない状態に基づくものである。
【0010】
代表的な実施形態によると、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を作製するための方法は、イオン交換性部位を有する凝集物を形成する工程を含み、この凝集物は、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5であるゼオライトX、および不活性バインダーから形成される。凝集物形成工程の過程でコーンスターチを添加してもよい。次に、凝集物は活性化され、この工程の過程で、コーンスターチは焼失する。この活性化工程により、カオリンクレイバインダーがメタ−カオリンクレイバインダーに変換される。次の工程において、メタ−カオリンクレイバインダーは、バインダー変換ゼオライトに変換される。次に、凝集物のイオン交換性部位が、BaおよびKに交換され、ここで、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である。次に、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、乾燥され、その水分含有量が固定される。
【0011】
パラ−キシレンを芳香族キシレンの混合物から分離するための方法は、シリカのアルミナに対するモル比が2.5±0.5であるゼオライトX部分およびバインダー変換ゼオライト部分から成るバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤とこの混合物を接触させる工程を含み、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、このバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対する重量%で、それぞれ少なくとも31.6%および0.25から0.9%のBaおよびKをカチオン交換性部位に含有する。パラ−キシレンは、選択的にこの吸着剤上に吸着され、混合物の吸着選択性の低い部分は、ラフィネート流によってプロセスから除去される。パラ−キシレンは、精製ゾーンで精製される。パラ−キシレンは、脱着ゾーンにて脱着剤を用いた脱着によって回収され、抽出流によって回収される。
【0012】
本発明を、以降、以下の図面と合わせて説明するが、同じ数字は同じ要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の代表的な実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を作製する方法のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の代表的な実施形態に従う図1のプロセスにおいて用いられる吸着分離ユニットの代表的な4ゾーン型吸着剤チャンバーの簡略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤中のKの重量パーセントと脱着剤/供給(D/F)比との間の関係を示す直線回帰プロットである。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤のD/F比を、バインダレスBaKX2.0吸着剤のD/F比と比較するグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の生産性を、バインダレスBaKX2.0ゼオライト系吸着剤の生産性と比較するグラフである。
【図6】図6は、最適化されたゼオライト系吸着剤組成領域を示す、重ね合わせて示したコンタープロット(overlaid contour plot)である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を含む種々の吸着剤の相対的物質移動速度を示すボックスプロットである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤における、ゼオライトX(重量%)に対する水摩滅ロス(water attrition loss)(微粉%)の直線回帰プロットである。
【図9】図9は、本発明の代表的な実施形態に従うコーンスターチ有りおよび無しで作製されたバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の水銀ポロシメトリーの結果のプロットである。
【図10】図10は、本発明の代表的な実施形態に従う図2の吸着分離ユニットにおけるバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を用いるプロセス工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の以下の詳細な説明は、本質的に単なる代表例であり、本発明、または本発明の適用および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術、または以下の本発明の詳細な説明に提供されるいかなる理論にも束縛されることを意図するものではない。
【0015】
本発明の代表的な実施形態によると、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、x重量パーセント(重量%)の不活性クレイバインダーから形成され、ここで、xは、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の10重量%から20重量%の範囲であるバインダー変換ゼオライト部分、および(100−x)重量%の、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5であるゼオライトX(結晶アルミノシリケートゼオライト)を含む。BaおよびKは、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤のカチオン交換性部位に存在し、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である。さらに、不活性クレイバインダーおよびゼオライトXは、バインダー変換ゼオライト部分の形成前にコーンスターチと混合してよい。コーンスターチは、バインダー変換ゼオライト部分およびゼオライトXを合わせた重量%の0から5重量%を占める。ゼオライトX、不活性クレイバインダー、コーンスターチ、K、およびBaの重量パーセントは、揮発成分を含まない状態に基づくものである。水銀圧入ポロシメトリーで測定したバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の細孔体積は、0.25cc/gから0.35cc/gの間である。
【0016】
本発明の代表的な実施形態によると、ゼオライトXは、吸着剤に用いられる特定の結晶アルミノシリケートゼオライトを含む。水和状態では、ゼオライトXは、モル酸化物(mole oxides)として、以下のように表すことができる:
0.9±0.2M2/nO:Al:2.5±0.5SiO:yH
ここで、「M」は、四面体の電気原子価を平衡させる3以下の原子価を有する少なくとも1つのカチオンで、一般的にはカチオン交換性部位と称されるものであり、「n」は、カチオンの原子価を表し、「y」は、水のモル数を表す(yは、Mの種類および結晶の水和度に応じて異なる最大9までの数値である)。ゼオライトXは、比較的良く解明された細孔構造を持つ。ゼオライトXは、最初に作製された際、通常はカチオン「M」の大部分がナトリウムであり、従って、ナトリウム型ゼオライトXと称される。ゼオライトXの明らかにされたSiO/Alモル比は、2.5±0.5の範囲内である。好ましい実施形態では、ゼオライトXのシリカ:アルミナのモル比は2.3から2.7の範囲内であり、最も好ましくは2.5である。
【0017】
図1は、代表的な実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を作製するための方法10のフローチャートである。この方法は、ゼオライトXおよび不活性バインダーから成る吸着剤凝集物を形成することから開始する(工程12)。ゼオライトXは、周囲温度にて水と混合することにより、不活性バインダーを用いて吸着剤ビーズへと凝集される。好ましい実施形態では、不活性バインダーは、シリカ:アルミナのモル比が2.0から2.2の範囲内であり、好ましくは2.0であるカオリンクレイを含む。カオリンクレイは、例えば、USシリカカンパニー(U.S. Silica Co.)、ウェストバージニア州バークレースプリングス、から入手可能である。このビーズは、80から90重量%のゼオライトXおよび10から20重量%のカオリンクレイバインダーより成っていてよい(揮発成分を含まない状態に基づく)。カオリンクレイバインダーは、出発物質のゼオライト粉末同士を保持させることで、粒子サイズが0.3mmから0.8mmであり、以降で述べる水摩滅試験によって示されるように機械強度が増加された吸着剤ビーズを形成する。ビーズの形態の凝集物について述べてきたが、本発明はそれに限定されるものではない。ゼオライトXは、押出し物、集合体、錠剤、マクロスフェア、または顆粒などの他の形態の粒子へ凝集されてもよい。
【0018】
代表的な実施形態では、コーンスターチなどの添加剤を、凝集物形成工程12の過程でゼオライトXおよび不活性バインダーと混合してもよい。コーンスターチは、以降で述べる目的のために、バインダー変換ゼオライト部分および出発物質のゼオライトXを合わせた総重量の0から5.0重量%の量(揮発成分を含まない状態に基づく)で添加してよい。その他の添加剤としては、ポリマーおよび繊維を挙げることができる。
【0019】
カオリンクレイバインダーをバインダー変換ゼオライトへ変換するために、凝集物を625℃以上で活性化して、カオリンクレイバインダーをメタ−カオリンクレイバインダーへ変換する(工程13)。カオリンクレイバインダーは、吸熱脱ヒドロキシル化反応を起こし、不規則なメタ−カオリン相に変換される。コーンスターチが添加されていた場合は、この工程で焼失する。
【0020】
次に、メタ−カオリンクレイバインダーは、水酸化ナトリウム溶液により80℃の温度にて苛性分解され、メタ−カオリンバインダーは、シリカ:アルミナのモル比が2.0から2.2の範囲内であり、好ましくは2.0であるバインダー変換ゼオライトに変換される(工程14)。1gのメタ−カオリンクレイバインダーに対して、41gの2.4重量%NaOHが変換のために必要である。この変換の結果、液体酸素温度でのMcBain酸素容量測定によって測定した選択性細孔体積(selective pore volume)が15%増加する。このような測定は、“Zeolite Molecular Sieves: Structure, Chemistry and Use” by Donald W. Breck, John Wiley & Sons, 1974、に記載されている。従って、吸着剤ビーズは、実質的に100%のゼオライトを含み、不活性バインダーは無視できるほど僅かであり、「バインダレス」ゼオライト系吸着剤ビーズを形成する。吸着剤ビーズは、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5の範囲内であり、好ましくは2.5であるゼオライトX部分(出発物質のゼオライトX由来)、およびシリカ:アルミナのモル比が2.0から2.2の範囲内であり、好ましくは2.0であるバインダー変換ゼオライト部分を含む。カオリンクレイバインダーのバインダー変換ゼオライトへの変換について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、他のクレイバインダーをバインダー変換ゼオライトに変換してもよい。限定されない例としては、ハロイサイト系に属するクレイが挙げられる。加えて、バインダー変換のための苛性溶液として水酸化ナトリウム溶液の使用について説明したが、本発明はこれに限定されない。水酸化ナトリウムに加えて、その他の水酸化アルカリ金属の水溶液も変換に用いてよい。限定されない例としては、水酸化カリウムの溶液、または水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物が挙げられる。
【0021】
バインダレスゼオライト系吸着剤ビーズは、次に、イオン交換のためにBa2+カチオンおよびKカチオンに曝露され、「バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤」を生成する(工程16)。好ましい実施形態では、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤中のNaの重量パーセントが、好ましくは0.3%未満に、最も好ましくは0.11%未満(揮発成分を含まない状態に基づいて)となるように、バインダレスゼオライト系吸着剤ビーズのイオン交換性Na部位の実質的にすべてがBaおよびKに交換される。バリウムおよびカリウムイオンの交換は、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kが、揮発成分を含まない状態に基づいて(水分は含まない)0.25から0.9重量%、好ましくは0.3から0.75重量%の範囲であり、Baが、31.6重量%超であるように、相対量で行われる。
【0022】
1つの代表的な実施形態では、交換は、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤中のBaおよびKの重量パーセントが上述の範囲となるように、BaおよびKの混合物を用いて一段階で行ってよい。別の選択肢として、交換は、各段階で適切な量のイオンを交換して上述の範囲の重量パーセントのBaおよびKイオンを有するバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤が生成するように、順次に行ってもよい。一段階の、および別の選択肢の連続段階の交換は、工程16として図1にまとめて示す。イオン交換をゼオライトXの凝集後および変換後に行うものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。BaおよびKによる交換は、ゼオライトXの凝集の前に、または凝集物形成後、変換の前に行ってもよいが、メタ−カオリンのゼオライトへの変換に水酸化ナトリウムが用いられることから、変換後にもある程度のイオン交換が必要であり得る。ゼオライトXにおけるカチオン交換容量の計算は、“Zeolite Molecular Sieves: Structure, Chemistry, and Use” by Donald W. Breck, John Wiley & Sons, 1974、に記載されている。
【0023】
次に、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、乾燥され、その水分含有量が固定される(工程18)。これに関して、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、ビーズを洗浄し、4から7%の強熱減量(900℃でのLOI)までビーズを乾燥することで活性化される。乾燥は、一般に、好ましくは175℃から250℃の温度にて、熱活性化によって行われる。吸着剤の水分含有量は、本明細書にて、認知されている900℃でのLOI試験に関連して表される。LOI試験は、UOP試験法No.UOP954−03(ASTMインターナショナル、100バーハーバードライブ、私書箱C700、ウエストコンショホッケン、ペンシルベニア州、19428−2959、米国(ASTM International, 100 Barr Harbor Drive, PO Box C700, West Conshohocken, PA, 19428-2959 USA)から入手可能)に記載されている。
【0024】
上述のように、コーンスターチを、ビーズ形成段階の過程でゼオライトXおよびクレイバインダーの混合物に添加してよい。以下でより詳細に説明するように、コーンスターチの添加により、吸着剤ビーズのメソおよびマクロ細孔性が高められる。本明細書にて、および従来から用いられる「マクロ細孔」は、細孔径が50nm超である細孔として定義され、「メソ細孔」は、細孔径が2から50nmである細孔として定義される。マクロおよびメソ細孔性は、水酸化ナトリウム変換溶液がバインダー全体に通流することを可能とすることによってバインダーの変換を促進する。マクロおよびメソ細孔はまた、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の物質移動速度を改善する手助けにもなる。
【0025】
本発明の代表的な実施形態によると、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、混合キシレンからパラ−キシレンを回収するための擬似移動床式吸着分離プロセスに用いることができる。この吸着剤は、パラ−キシレンに選択的である。図10に示すように、1つの代表的な実施形態では、プロセス40は、液相吸着条件にて混合キシレンをバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤と接触させること(工程42)、パラ−キシレンをバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に吸着させること(工程44)、ラフィネート流により、混合物の中の吸着選択性の低い部分をバインダレスBaKX吸着剤との接触から除去すること(工程46)、および脱着条件にて脱着剤を用いて脱着することによってパラ−キシレンを精製、回収すること(工程48)を含む。脱着剤は、吸着剤からのパラ−キシレンの置換を行う。吸着条件としては、148℃から177℃(華氏300度から華氏350度)の温度範囲、および液相での運転を確保するために必要である、690kPa(100psig)の圧力が好ましい大気圧から3447KPa(500psig)の圧力範囲、を挙げることができる(以降「液相吸着条件」と称する)。好ましいサイクル時間は20〜34分間である。脱着条件としては、好ましくは、吸着に用いられるものと同一の温度および圧力が挙げられる。
【0026】
擬似移動床式吸着分離プロセスにおいて、これらの工程は、1もしくは2つ以上の吸着チャンバーに保持された吸着ビーズ内の別々のゾーン(以降で説明)にて行われる。図2は、簡略化した4ゾーン型吸着剤チャンバー20を示す。擬似移動床式吸着分離プロセス40において、吸着および脱着は、供給連続流Fおよび脱着剤流Dを用いて連続的に行われ、抽出物Eおよびラフィネート流Rを連続生成させる。このようなシステムでは、吸着剤チャンバーの複数の液体アクセス点を下方向へ次々に動かすことによって、吸着剤チャンバー20に含まれる吸着剤の上方向への動きを模している。
【0027】
特別に定義された数多くの用語が擬似移動床式プロセスの説明に用いられる。「供給流」または「供給注入流」の用語は、供給混合物が吸着剤へ送られるこのプロセスにおける流れを示している。供給混合物は、1もしくは2つ以上の抽出成分、および1もしくは2つ以上のラフィネート成分を含む。「抽出成分」は、吸着剤によってより選択的に保持される化合物または化合物の種類であり、一方「ラフィネート成分」または「ラフィネート物質」は、保持選択性が低い化合物または化合物の種類である。ここでは、供給混合物は、混合キシレンを含む。前述のように、本明細書で用いる「混合キシレン」とは、エチルベンゼン(EB)、パラ−キシレン(PX)、メタ−キシレン(MX)、およびオルソ−キシレン(OX)を含むC芳香族異性体の混合物を意味する。従って、供給流からのエチルベンゼン(EB)、ならびにメタ−およびオルソ−キシレン(それぞれMXおよびOX)は、ラフィネート成分であり、一方パラ−キシレン(PX)は、抽出成分である。「脱着剤」の用語は、一般に、抽出成分を置換する能力を持つ物質を意味する。本明細書で述べるプロセスに適する脱着剤は、p−ジエチルベンゼン(PDEB)を含むが、本発明はこれに限定されない。その他の適する脱着剤としては、トルエンおよびテトラリンが挙げられる。「脱着剤流」または「脱着剤注入流」の用語は、脱着剤が吸着剤へ送られる流れを示している。「ラフィネート流」または「ラフィネート排出流」の用語は、ラフィネート成分のほとんどを吸着剤から除去する流れを意味する。ラフィネート流の組成は、100%の脱着剤から本質的に100%のラフィネート成分まで様々であり得る。「抽出流」または「抽出排出流」の用語は、脱着剤によって置換された抽出物質を吸着剤から除去する流れを意味する。抽出流の組成は、100%の脱着剤から本質的に100%の抽出成分まで様々であり得る。
【0028】
吸着剤の「選択性細孔体積」の用語は、供給流からの抽出成分を選択的に保持する吸着剤の体積として定義される。吸着剤の「非選択性空隙体積」という用語は、供給流からの抽出成分を選択的に保持することのない吸着剤の体積である。この体積は、ラフィネート成分を保持する能力を有する吸着剤のキャビティ、および吸着剤粒子の間の粒子間空隙の空間を含む。選択性細孔体積および非選択性空隙体積は、一般に、体積測定量として表され、ある量の吸着剤に対して効率的な操作を行うために操作ゾーンへ送るのに必要である流体の適切な流速を決定する際に重要である。
【0029】
吸着剤が操作ゾーン(以降で定義、および説明する)に「送られる」場合、その非選択性空隙体積はその選択性細孔体積と共に流体をそのゾーンへと運搬する。非選択性空隙体積は、非選択性空隙体積中に存在する流体を置換するために吸着剤に対して向流の方向で同一ゾーンへと送られるべき流体量の決定に用いられる。あるゾーンへ送られる流体の流速が、そのゾーンへ送られる吸着剤物質の非選択性空隙体積率よりも小さい場合、吸着剤によるそのゾーンへの液体の正味の取り込みが存在する。この正味の取り込みは、吸着剤の非選択性空隙体積中に存在する流体であるため、ほとんどの場合、保持選択性の低い供給成分を含んでいる。
【0030】
擬似移動床式プロセスにおいて、一度に4箇所の液体アクセス点が常に作動しており:すなわち、供給注入流、脱着剤注入流、ラフィネート排出流、および抽出排出流のアクセスラインである。必要に応じて追加のアクセスラインを用いてもよい。固体吸着剤のこの擬似上方移動に合わせて、吸着剤の空隙体積を占める液体が移動する。向流接触が維持されるように、吸着剤チャンバーを下へ向かう液流をポンプで提供してもよい。サイクルを通して作動中の液体アクセス点が移動、すなわち、吸着チャンバーの頂上部から底部まで移動するため、チャンバー循環ポンプ30は、異なる流速を要する異なるゾーンにわたって移動する。プログラムされたフローコントローラー(図示せず)を提供して、これらの流速を設定、制御してよい。
【0031】
作動中の液体アクセス点は、実質的に、吸着剤チャンバーを別々のゾーンに分割しており、その各々は異なる機能を有する。このプロセスの実施形態では、プロセスを実施するために通常は3つの別々の操作ゾーンが存在するが、場合によっては、第四の操作ゾーンが用いられることもある。
【0032】
図2を参照すると、吸着ゾーン22は、供給注入流およびラフィネート排出流の間に位置する吸着剤として定められる。このゾーンでは、供給流が吸着剤と接触し、抽出成分が保持され、ラフィネート流が引き抜かれる。ゾーン22を通る全体の流れは、このゾーンへ送られる供給流から、ゾーンより排出されるラフィネート流へ向かうものであることから、このゾーンの流れは、供給注入流からラフィネート排出流へ進むため、下流への方向と見なされる。
【0033】
吸着ゾーン22における流体流に対してすぐ上流側は、精製ゾーン24である。精製ゾーン24は、抽出排出流および供給注入流の間の吸着剤として定められる。ゾーン24で行われる基本的な操作は、吸着剤をこのゾーンへシフトすることによって、ゾーン24へ運ばれたいずれのラフィネート成分をも吸着剤の非選択性空隙体積から置換すること、および吸着剤の選択性細孔体積内に保持されたいずれのラフィネート成分をも置換することである。精製は、ラフィネート物質の置換を行うために、脱着ゾーン26(以降で考察)から排出された抽出流物質の一部を、ゾーン24の上流側境界にてゾーン24へ送ることによって実施される。ゾーン24における液体流は、抽出排出流から供給注入流への下流への方向である。脱着剤により、ラフィネート成分が吸着剤の非選択性空隙体積および選択性空隙体積からゾーン22へ押出されるため、パラ−キシレンはさらに濃縮される。
【0034】
ゾーン24における流体の流れに対してゾーン24のすぐ上流側は、脱着ゾーン26である。脱着ゾーン26は、脱着剤注入流および抽出排出流の間の吸着剤として定められる。脱着ゾーン26の機能は、このゾーンに送られる脱着剤により、操作の前サイクルにおけるゾーン22の供給流とのここまでの接触の過程で吸着剤に保持された抽出成分を置換させることである。ゾーン26の流体流は、本質的にゾーン22および24と同じ方向である。
【0035】
所望に応じて行ってよい代表的な実施形態では、バッファーゾーン、ゾーン28、を用いてよい。ラフィネート排出流および脱着剤注入流の間の吸着剤として定められるこのゾーンは、用いられる場合、ゾーン26への流体流に対してすぐ上流側に位置する。ゾーン28を用いることにより、ゾーン22から除去されたラフィネート流の一部がゾーン28へ直接送られ、存在する脱着剤を置換し、それを脱着ゾーン26へと流すことができるため、脱着工程で用いられる脱着剤の量を節約することができる。ゾーン22からゾーン28へ送られるラフィネート流中に存在するラフィネート物質がゾーン26へ送られることによってゾーン24から除去された抽出流を汚染することが防がれるように、ゾーン28は十分な脱着剤を含有する。所望に応じて用いてよいゾーン28が用いられない場合は、ゾーン22からゾーン28へ流れるラフィネート流を注意深くモニタリングし、ゾーン22からゾーン26へ送られるラフィネート流中に相当量のラフィネート物質が存在する場合は、抽出排出流の汚染を防ぐためにゾーン22からゾーン26へ直接向かう流れを止めることができるようにする必要がある。
【実施例】
【0036】
以下は、下記の表1に示す種々の配合(配合A〜K)を有する、代表的な実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の例である。これらの例は、単に説明の目的で提供するものであり、本発明の種々の実施形態をいかなる形であっても限定することを意図するものではない。
【0037】
これらの例は、シリカ:アルミナのモル比が2.5である13X1ゼオライト粉末、およびカオリンクレイバインダーを用いて上述の工程に従って作製した。
【0038】
【表1】

【0039】
本技術分野で公知のパルス/動的性能評価実験(Pulse/dynamic performance evaluation experiments)を特定の供給混合物で実施し、種々の配合の吸着容量および選択性を測定した。容積が70ccであり、チャンバーの逆側末端に注入部および排出部を有する吸着剤チャンバーから成る動的試験装置を用いた。チャンバーを温度制御手段の中に入れ、加えて、圧力制御装置を用いてチャンバーを所定の一定圧力で操作した。クロマトグラフィ分析装置をチャンバーの排出ラインに接続し、これを用いて吸着剤チャンバーから出る排出流を「オンストリーム」で分析した。
【0040】
この装置および以下の一般手順を用いて実施したパルス試験を用いて、種々の吸着剤配合についての選択性、物質移動、およびその他のデータを測定した。脱着剤を吸着剤チャンバーに通すことで、吸着剤をp−ジエチルベンゼンとの平衡状態まで充填した。都合の良い時点で、脱着剤で希釈した既知濃度の非吸着パラフィントレーサー(n−ノナン)および特定の芳香族異性体(PX、EB、MX,およびOX)を含有する供給パルスを、数分間にわたって注入した。注入後、脱着剤流を再開し、トレーサーおよび芳香族異性体を液体−固体クロマトグラフィ操作のようにして溶出させた。排出流をオンストリームクロマトグラフィ装置によって分析し、対応する成分ピークの包絡線の形を作成した(図示せず)(別の選択肢として、排出物サンプルを定期的に回収し、後にガスクロマトグラフィーで別々に分析してもよい)。動的試験(破過試験(breakthrough test)としても知られる)も行い、吸着容量、PX/PDEB選択性、および物質移動特性を測定した。トルエンを吸着剤チャンバーに通すことで、吸着剤を(既知濃度の非吸着パラフィントレーサー(n−ノナン))を含有するトルエンとの平衡状態までまず充填した。都合の良い時点で、流れをパラ−キシレンおよびパラ−ジエチルベンゼンの混合物流に切り替えた。時間の経過と共に、パラ−キシレンおよびパラ−ジエチルベンゼンが溶出した。吸着容量は、吸着剤チャンバーに供給されたパラ−キシレンおよびパラ−ジエチルベンゼンの総量から溶出したパラ−キシレンおよびパラエチルベンゼンの総量を引いた差から決定した。
【0041】
クロマトグラフィの記録より得られる情報から、吸着剤性能を、抽出成分に対する容量指標、ならびに1つの異性体の別の異性体に対する、および脱着剤に対する選択性に関して評価した。抽出成分に対する吸着剤容量が高いほど、吸着剤はより優れている。特定の吸着剤の容量が高められることにより、供給混合物の特定のチャージ速度において抽出成分を分離するのに要する吸着剤の量を低減することが可能となる。特定の吸着分離に要する吸着剤の量が低減されると、分離プロセスのコストが低下する。吸着剤の良好な初期容量は、ある程度の経済的に所望される寿命期間にわたって分離プロセスで実際に使用される間、維持されるべきである。
【0042】
異性体に対する選択性(B)は、供給混合物の一成分を別の成分と比較して表すことができるだけでなく、供給混合物のいずれかの成分と脱着剤との間でも表すことができる。相対的選択性は、以下の式で示され:
選択性(B)=[体積パーセントC/体積パーセントD]/[体積パーセントC/体積パーセントD]
ここで、CおよびDは、体積パーセントで表される供給流の2つの成分であり、下付のAおよびUは、それぞれ、吸着および非吸着相を表す。従って、CおよびCは、それぞれ、吸着剤(吸着相)および供給流(非吸着相)中の成分Cの濃度を表し、DおよびDは、それぞれ、吸着剤および供給流中の成分Dの濃度を表す。吸着剤床を通る供給流が吸着剤床との接触後に組成を変化させないときに、平衡状態に達する。すなわち、平衡状態に達するのは、非吸着相(供給流)と吸着相(吸着剤)との間で正味の物質移動が発生しない場合である。
【0043】
二成分間の選択性が1.0に近づくと、一方の成分の他方に対する吸着剤よる選択的吸着が起こらず、すなわち、これらはいずれも、互いに対して同じ度合いで吸着される(または吸着されない)。選択性(B)が1.0より小さく、または大きくなると、一方の成分の他方に対する吸着剤よる選択的吸着が発生する。一方の成分Cの成分Dに対する吸着剤による選択性を比較すると、1.0よりも大きい(B)は、吸着剤内における成分Cの選択的吸着を示している。(B)が1.0よりも小さい場合は、成分Dが選択的に吸着され、非吸着相は成分Cリッチに、吸着相は成分Dリッチとなることを示している。ラフィネート成分に対する抽出成分の吸着剤の選択性が1.0の値をちょうど超えたところでも、ラフィネート成分からの抽出成分の分離は理論的に可能であるが、そのような選択性は、2に近いかこれを超える値であることが好ましい。選択性が高いほど、分離の実施が容易となる。より高い選択性は、プロセスに用いられる吸着剤量の低減を可能とする。理想的には、脱着剤は、すべての抽出成分に対して1と等しいかまたはそれ未満の選択性を有するべきであり、それによって、抽出成分のすべてを1つの集合として抽出し、ラフィネート成分のすべてをラフィネート流中へと取り除くことができる。
【0044】
表1の各配合に対するパルス/動的性能評価実験の選択性および容量の結果を下記の表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
表中:
PX/EB Sel=パラ−キシレン/エチルベンゼン選択性
PX/MX Sel=パラ−キシレン/メタ−キシレン選択性
PX/OX Sel=パラ−キシレン/オルソ−キシレン選択性
Adsorb. Cap.=吸着容量
PX/PDEB Sel=パラ−キシレン/p−ジエチルベンゼン(脱着剤)選択性
これらの実験からの許容されるデータに基づいて、平衡SMBプロセスのモデルを開発し、本発明の代表的な実施形態に従うバインダレスBaKX吸着剤のプロセス性能および吸着剤生産性の予測を行った。このモデルの結果を図3〜7に示す。生産性を算出するためのプロセスモデルについてのより詳細な情報は、Marco Mazzotti, etc. “Robust Design of Countercurrent Adsorption Separation Processes: 2. Multicomponent Systems”, AIChE Journal, November 1994, Vol.40, No.11、に提供されている。
【0047】
図3は、バインダレスBaKX吸着剤の配合A〜KにおけるKのレベルと、脱着剤/供給比(本明細書にて「D/F比」)との間の相関を示している。D/F比は、吸着分離プロセスの運転コストに大きな影響を与える重要なプロセスパラメータである。D/F比は、擬似移動床式分離プロセスにおける脱着剤流速の供給流流速に対する比率である。D/F比は、任意の量の供給流の処理に要する脱着剤の量に換算される。最も小さいD/F比が好ましい。D/F比が小さいほど、吸着されたパラ−キシレンを吸着剤から置換するのに要する脱着剤の量が少なくなり、すなわち、脱着剤の必要量(処理される供給物に対して)が大きく低減される。このことは、運転コストの低下、さらには、吸着プロセスの生産性の著しい改善と言い換えられる。D/F比は低い方が望ましいが、処理することができる供給量が影響されないことが重要である。
【0048】
図3に示すように、D/F比は、予想外なことに、特に配合Cにおいて、Kのレベルの上昇に従って低下した。配合Cは、後述するように高生産性、および低D/Fの両方を有しており、いずれも重要な吸着剤特性である。回帰/実験計画法(DOE)分析表(Regression/Design of Experiment (DOE) analysis table)を以下に示す:
回帰式は:
D/F=1.09065−0.101838K(重量%)
S=0.0323172 R=50.5% R(adj)=45.0%
【0049】
【表3】

【0050】
表中:
S=変動因=因子、交互作用、または誤差のいずれかによる分散の変動因を示す;
=回帰定数;
(adj)=回帰定数(調整後);
DF=各変動因からの自由度。因子が3水準を有する場合、自由度は2(n−1)である。合計で30の測定を行った場合、自由度は29(n−1)である;
SS=グループ間の平方和(因子)、およびグループ内の平方和(誤差);
MS=平方和を自由度で割ることで決定される平均平方;
F=因子MSを誤差MSで割ることで算出される;および、
P=Pを用いて因子が有意であるかを判定することができる。通常は、0.05のアルファ値との比較が行われる。従って、低いp値は、その予測変数の追加がモデルに対して有意であることを示唆している。この値により、係数がゼロに等しい(効果なし)とする帰無仮説の検定が行われる。従って、Pが<0.05の場合、それは、相関のない確率が5%未満であることを意味する。ここで、P<0.05の値は、D/F比とK含有量との間に有意な相関があることを示している。>95%の信頼性で相関が存在する。本明細書で用いる統計分析および定義についてのより詳細な背景情報は、“Essentials of SPC in the Process Industries” by James M. Pruett and Helmut Schneider, Instrument Society of America, 1993、およびミニタブ社(Minitab Inc.)による2006年のMINITABソフトウェアに見出すことができる。
【0051】
図4および5をそれぞれ参照すると、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤(配合Cに代表される)のD/F比および生産性を、上述と同じ方法で作製したバインダレスBaKX2.0吸着剤のD/F比および生産性と比較し、ここで2.0は、この比較吸着剤におけるゼオライトXのシリカ:アルミナのモル比を意味している。
【0052】
図4に示すように、シリカ:アルミナのモル比が2.5であるバインダレスBaKX吸着剤(図3において「配合C」と称される)のD/F比は、バインダレスBaKX2.0吸着剤(シリカ:アルミナのモル比が2.0)のD/F比よりも低いと算出された。より具体的には、BaKX2.0吸着剤のD/F比1.75と比較して、バインダレスBaKX吸着剤(配合C)のD/F比は、1.0であることが示される。従って、ある供給量の処理に要する吸着剤の量は、バインダレスBaKX2.0吸着剤を用いた場合よりも、シリカ:アルミナのモル比が2.5であるバインダレスBaKX吸着剤を用いた場合の方が少ない。
【0053】
図5は、予測m−m平面を用いることによる配合CとバインダレスBaKX2.0吸着剤との間の生産性(供給速度)の比較を示す。m−m平面は、ゾーン22および24(図2)において吸着剤の固定床上で処理可能である供給量を表している。供給流速(および従って生産性)は、m(ゾーン22の質量流速比)−m(ゾーン24の質量流速比))に比例し、式:F∝m−mで表される。図5のy軸は、m、ゾーン22の質量流速比(正味の流体質量流速/吸着相質量流速)を表す。図5のx軸は、m、ゾーン24の質量流速比(正味の流体質量流速/吸着相質量流速)を表す。ゾーン24の流速と比較してゾーン22の流速が高い場合、より多い供給量を処理することができ、生産性が向上する。従って、mとmの間の差が大きいほど、吸着剤の生産性が高く、すなわち、148〜177℃(華氏300〜350度)およびサイクル時間20〜34分の吸着条件下にて、単位体積の吸着剤あたりの処理可能である供給量が増加する。生産性(EQT)は、抽出物中にて100%のパラ−キシレンの純度および回収率が達成される、単位体積の吸着剤あたりの処理可能である供給量として定義される。シリカ:アルミナのモル比が2.5である配合Cは、バインダレスBaKX2.0ゼオライト系吸着剤と比較して、23%超の生産性性能の有利性を示した。
【0054】
図6の重ね合わせて示したコンタープロットは、生産性(EQT)の許容範囲を特定することによって構築されたものであり、すなわち、最大化されるべき平衡特性に基づく供給速度が0.27から0.28g/ccであり、最小化されるべきPX HETP(理論段相当高さ)の許容範囲が、5.08cmから6.604cm(2.0から2.6インチ)である。理論段相当高さ(HETP)の定義は、“Principles of Adsorption and Adsorption Processes”(John Wiley & Sons, Inc., 1984)のDouglas Ruthvenによる研究など、文献に説明されている。これを用いて、異なる吸着剤の物質移動速度が推定、比較される。低いHETP値は、物質移動速度が良好であることを意味する。従って、低HETP値である吸着剤の性能の有利性は、SMBプロセスがより短いサイクル時間で運転される場合に維持される。さらに図6を参照すると、領域30は、2つの因子または変数、Kレベル(重量%)およびゼオライトXの重量%という点で、実行可能な領域である。第三の因子または変数であるコーンスターチレベルは、固定レベルに設定し、図6では、コーンスターチレベルは、最も高いレベル(5%)に設定した。図6の領域30は、KレベルおよびゼオライトXの重量パーセントという2つの変数が重なり合う部分である。この領域は、高い値の生産性と物質移動速度とを同時に得られる最適化されたバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤配合を表す。配合C(表1より)がこの領域の最も近くにあることが分かる。
【0055】
図7を参照すると、種々の吸着剤の物質移動速度を、パルス/動的試験結果のPX HETP分析を行うことで評価した。評価を行った吸着剤は、液相吸着分離プロセスに用いるための市販されている参照非バインダレスゼオライト系吸着剤(図7では「Ref」と称する)、分析の目的で複数回の試験を行ったバインダレスBaKX吸着剤の配合C(表1)、ならびにまとめた配合A〜Kのすべて、とした。物質移動速度(HETP)のボックスプロット分析より、バインダレスBaKX吸着剤の配合Cの物質移動速度のメジアン値は、配合A〜K(まとめて試験を行った)の物質移動速度のメジアン値と実質的に等しく、市販の参照非バインダレスゼオライト系吸着剤の物質移動速度のメジアン値よりも小さいことが示される。配合Cの平均物質移動速度は、参照吸着剤および配合A〜Kをまとめたものの両方の平均物質移動速度よりも低かった。平均物質移動速度はドットで識別される。
【0056】
図8は、吸着剤の摩滅(吸着剤微粉の%として測定)とバインダレスBaKX吸着剤の配合A〜KのゼオライトXの重量%との間の相関を示す。本発明の代表的な実施形態に従うバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の摩滅を調べるために、実験スケールの摩滅試験を行った。ろ過の間の吸着剤の摩滅およびそれに続く微粉の放出を評価した。微粉のパーセントが低いほど、吸着剤の摩滅は少ない。この試験には、振とうテーブル上でバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を水に浸漬させることを含めた。水および吸着剤を周囲温度および圧力下にて30分間振とうした。振とう後、微粉を含む水をろ過によって吸着剤から取り除いた。回収した微粉を乾燥、秤量して、発生した微粉のパーセントを測定し、これを図8のy軸で表した。水摩滅ロスは、吸着剤の機械強度に対応する。摩滅は、機械強度の不足に起因する。摩滅による吸着剤のロスは、運転コストの上昇および吸着剤寿命の短縮をもたらす。
【0057】
摩滅試験の結果を図8に示す。回帰式は:
水摩滅=−27.28+0.3517ゼオライトX%
S=0.858229 R=57.3% R(adj)=52.6%
【0058】
【表4】

【0059】
Pの値は、水摩滅とゼオライトX含有量との間に有意な相関があることを示している。>95%の信頼性で相関が存在する。
摩滅の結果は、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤中のゼオライトXの重量パーセントが増加すると、摩滅ロスも増加したことを示している。言い換えると、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤中のカオリンクレイバインダーのレベルが10%から20%に増加すると、摩滅ロスは減少しており、このことから、バインダー量が増加すると吸着剤の機械強度が上昇することが示される。機械強度が上昇すると吸着剤の寿命が増加し、その結果、設備コストおよび運転コストが低下し、安定なプロセス運転も得られる。従って、ゼオライトXの重量%が低く、バインダー変換ゼオライト(カオリンクレイバインダーの変換から)のパーセントが高いバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の方が、摩滅に対する抵抗性が高くなる。
【0060】
細孔体積測定および平均細孔サイズ測定を、UOP試験法 UOP578−02(ASTMインターナショナル、100バーハーバードライブ、私書箱C700、ウエストコンショホッケン、ペンシルベニア州、19428−2959、 米国、から入手可能)に記載の水銀圧入ポロシメトリー法によって行った。水銀圧入ポロシメトリーは、メソ細孔おおびマクロ細孔を測定するが、マイクロ細孔は測定しない。82%ゼオライト(Z)/5%コーンスターチ(CS)(配合C)で作製したバインダレス吸着剤、およびコーンスターチなしの82%ゼオライト(Z)(配合A)で作製したバインダレスBaKX吸着剤に対して、これらの吸着剤も入れておいたペネトロメーター中の一定体積の水銀の液圧上昇を施す。水銀への圧力が上昇するに従って、水銀は吸着剤の細孔中へ圧入または浸透を開始し、最も大きい細孔が最も低い圧力にてまず充填される。圧力が大気圧の僅かに上から最大の413,688kPa(60,000psi)まで徐々に上昇する間に、圧入された水銀対圧力に関するデータを収集した。圧力は、対応する円柱状細孔径に変換し、特定の範囲で圧入された全水銀体積は、全細孔体積に変換し、平均は、平均細孔径である。結果を図9に示す。コーンスターチを含む組成Cは、0.29cc/gの全細孔体積を示し、コーンスターチを含まない組成Aは、これより小さい0.25cc/gの全細孔体積を示した。図9はまた、コーンスターチを含まない吸着剤と比較して、コーンスターチを含む吸着剤はメソおよびマクロ細孔の体積が大きいことも示している。細孔体積の11%がメソ細孔由来であり、細孔体積の89%がマクロ細孔由来である。コーンスターチを含む吸着剤の平均細孔径は166nmであり、これは、コーンスターチを含まない吸着剤の平均細孔径(164nm)よりも大きい。細孔体積(多孔性)が高く細孔サイズが大きいと、速い物質移動速度が得られる。x軸は、x軸の長さを短縮するために対数表示としている。
【0061】
上記より、本明細書で述べるバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の代表的な実施形態は、吸着分離プロセスの生産性を高め、吸着剤および脱着剤の使用量が減少することによって運転コストを低減することが理解される。この吸着剤は、先行技術の吸着剤と比較して、生成物1トンあたりに要する脱着剤の循環量が少ない。脱着剤の循環量が少ないことは、生成物1トンあたりのユーティリティ消費が少ないことを意味する。生産性が高いことは、一定の吸着剤体積によってより多くのパラ−キシレンを生産することができることを意味する。加えて、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤は、より良好な物質移動特性および機械強度も示す。
【0062】
少なくとも1つの代表的な実施形態を、本発明の前述の詳細な説明で提供したが、非常に数多くの変形が存在することは理解されるべきである。また、1もしくは複数の代表的な実施形態は、単なる例であり、いかなる形であっても、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の代表的な実施形態を実行するために都合の良いロードマップを当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物に示される本発明の範囲から逸脱することなく、代表的な実施形態で述べた要素の機能および配置について種々の変更を行うことができることは理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤であって:
x重量%の不活性クレイバインダーから形成され、ここで、xは、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の10重量%から20重量%の範囲である、バインダー変換ゼオライト部分;
(100−x)重量%の、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5であるゼオライトX;及び、
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤内のカチオン交換性部位におけるバリウム(Ba)およびカリウム(K)であって、ここで、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である、BaおよびK、
を含む、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤。
【請求項2】
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の重量パーセントにて、ゼオライトXは82%を占め、バインダー変換ゼオライト部分は18%を占め、Baは33%を占め、Kは0.3%を占め、およびNaは.11%を占める、請求項1に記載のバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤。
【請求項3】
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤内のカチオン交換性部位におけるNaが、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の0.3重量%未満である、請求項1に記載のバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤。
【請求項4】
水銀圧入ポロシメトリーで測定した吸着剤の全細孔体積が、0.25cc/gから0.35cc/gである、請求項1に記載のバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤。
【請求項5】
バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の全細孔体積の大部分が、50nmよりも大きいサイズの細孔由来のものである、請求項4に記載のバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤。
【請求項6】
凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を作製するための方法(10)であって:
イオン交換性部位を有する凝集物を形成し、前記凝集物は、シリカ:アルミナのモル比が2.5±0.5であるゼオライトX、カオリンクレイバインダー、およびコーンスターチから形成される、工程(12);
前記凝集物を活性化して、前記カオリンクレイバインダーをメタ−カオリンクレイバインダーに変換し、この活性化工程の過程で前記コーンスターチは焼失する、工程(13);
前記メタ−カオリンクレイバインダーを、バインダー変換ゼオライトに変換する工程(14);
前記凝集物のイオン交換性部位を、BaおよびKによって交換し、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を生成させる工程(16);及び、
前記凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤を乾燥して、その水分含有量を固定する工程(18)、
を含む、方法。
【請求項7】
凝集物を形成する工程(12)が、ゼオライトXおよびカオリンクレイバインダーを、それぞれ、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、80から90重量パーセントおよび10から20重量パーセントの量で混合すること、及び、バインダー変換ゼオライトと前記ゼオライトXとを合わせた重量パーセントに対して5重量%までの量でコーンスターチと混合することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
凝集物のイオン交換性部位の交換を行う工程(16)が、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤内のカチオン交換性部位におけるNaを、凝集バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤の0.3重量%未満まで減少させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
凝集物の活性化を行う工程(13)が、凝集物を少なくとも625℃まで加熱することを含み、メタ−カオリンクレイバインダーをバインダー変換ゼオライトへ変換する工程が、水酸化アルカリ金属水溶液によるメタ−カオリンクレイバインダーの苛性分解を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
芳香族キシレンの混合物からパラ−キシレンを分離するための方法(40)であって、前記プロセスは:
シリカのアルミナに対するモル比が2.5±0.5であるゼオライトX部分、およびバインダー変換ゼオライト部分から成るバインダレスBaKXゼオライト系吸着剤であって、前記バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤内のカチオン交換性部位にバリウム(Ba)およびカリウム(K)を有し、ここで、前記バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に対して、Kは、0.25から0.9重量%の範囲であり、Baは、31.6重量%超である、バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤と、前記混合物とを接触させる工程(42);
パラ−キシレンを前記バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤に吸着させる工程(44);
前記混合物の吸着選択性の低い部分を、ラフィネート流によって前記バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤との接触から除去する工程(46);及び、
脱着剤による脱着によって前記バインダレスBaKXゼオライト系吸着剤からパラ−キシレンを精製、回収する工程(48)、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−533427(P2012−533427A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521661(P2012−521661)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/041011
【国際公開番号】WO2011/011190
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】